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特許7105381シャフト炉内で炭素含有材料を燃焼させるための方法およびシャフト炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】シャフト炉内で炭素含有材料を燃焼させるための方法およびシャフト炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 1/10 20060101AFI20220714BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20220714BHJP
   F27D 3/16 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
F27B1/10
F27D7/02 A
F27D3/16 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021553115
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2020055742
(87)【国際公開番号】W WO2020182584
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】102019203210.9
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】BE2019/5148
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516031325
【氏名又は名称】メルツ オフェンバウ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Maerz Ofenbau AG
(73)【特許権者】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ピリンゲル,ハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ビュッヒャー,パトリック
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0029005(US,A1)
【文献】特表2010-531389(JP,A)
【文献】米国特許第03085022(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0283788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 1/00-3/28
F27D 7/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸塩含有材料を焼成するためのシャフト炉(10)であって、前記材料の流れ方向に、予熱ゾーン(18)、少なくとも1つの焼成ゾーン(20)、冷却ゾーン(22)、および前記シャフト炉(10)から前記材料を排出するための材料出口(26)と、
前記焼成ゾーン(20)内に突出する複数のバーナランス(32、34;54)であって、少なくとも1つのバーナランス(32)は、前記焼成ゾーン(20)への第1の侵入深さを有し、少なくとも1つのさらなるバーナランス(34)は、前記第1の侵入深さよりも大きい前記焼成ゾーン(20)への第2の侵入深さを有する複数のバーナランス(32、34;54)と、
少なくとも1つのバーナランス(32、34;54)に接続された、燃焼空気を搬送するための少なくとも1つの一次空気導管(36、38)と
を備え、
前記シャフト炉(10)は、酸素を前記焼成ゾーン(20)に搬送するための酸素導管(52)を備え、前記酸素導管(52)は、酸素が前記酸素導管(52)から前記第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランス(34)に流れるように配置され、
前記一次空気導管(36、38)は、前記第1の侵入深さを有する前記バーナランス(32)に接続された、燃焼空気を搬送するための第1の一次空気導管(36)と、前記第2の侵入深さを有する前記バーナランス(34)に接続された、燃焼空気を搬送するための第2の一次空気導管(38)とを備え、前記酸素導管(52)は、酸素が前記酸素導管(52)から前記第2の一次空気導管(38)に流入するように、前記第2の一次空気導管(38)にのみ接続される
ことを特徴とする、
シャフト炉(10)。
【請求項2】
前記酸素導管(52)は、燃料の燃焼のための酸素が前記バーナランス(34)に流入するように、前記第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランス(34)に接続される、請求項1に記載のシャフト炉(10)。
【請求項3】
前記酸素導管(52)は、前記第2の侵入深さを有する前記バーナランス(34)にのみ接続される、請求項1または2に記載のシャフト炉(10)。
【請求項4】
前記酸素導管(52)は、前記酸素導管(52)を通って流れる酸素の量を調節するための手段(50)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシャフト炉(10)。
【請求項5】
さらなるバーナランス(54)が、前記第1の侵入深さよりも大きく、前記第2の侵入深さよりも小さい、前記焼成ゾーン(20)への第3の侵入深さを有し、前記酸素導管(52)は、酸素が前記バーナランス(54)に流入するように、前記第3の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランス(54)に接続される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシャフト炉(10)。
【請求項6】
前記手段(50)は、前記第2の侵入深さを有する前記少なくとも1つのバーナランス(34)への酸素の量が、前記第3の侵入深さを有する前記少なくとも1つのバーナランス(54)への酸素の量よりも大きくなるように構成される、請求項4に従属する請求項5に記載のシャフト炉(10)。
【請求項7】
酸塩含有材料を焼成するためのシャフト炉(10)であって、前記材料の流れ方向に、予熱ゾーン(18)、少なくとも1つの焼成ゾーン(20)、冷却ゾーン(22)、および前記シャフト炉(10)から前記材料を排出するための材料出口(26)と、
前記焼成ゾーン(20)内に突出する複数のバーナランス(32、34;54)であって、少なくとも1つのバーナランス(32)は、前記焼成ゾーン(20)への第1の侵入深さを有し、少なくとも1つのさらなるバーナランス(34)は、前記第1の侵入深さよりも大きい前記焼成ゾーン(20)への第2の侵入深さを有する複数のバーナランス(32、34;54)と、
前記第1の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランス(32)に接続された、一次燃焼空気を搬送するための第1の一次空気導管(36)と、
前記第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランス(34)に接続された、一次燃焼空気を搬送するための第2の一次空気導管(38)と
を備え、
前記第2の一次空気導管(38)は、前記第2の一次空気導管(38)内の前記空気を加熱するための予熱装置を少なくとも部分的に通って延びる
ことを特徴とする、
シャフト炉(10)。
【請求項8】
前記予熱装置は、前記シャフト炉(10)内に前記予熱ゾーン(18)を備え、前記第2の一次空気導管(38)は、前記予熱ゾーン(18)を少なくとも部分的に通って延びる、請求項7に記載のシャフト炉(10)。
【請求項9】
前記第2の一次空気導管(38)は、前記第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランス(34)にのみ接続され、その結果、前記予熱された一次燃焼空気は、前記第2の侵入深さを有するバーナランス(34)にのみ供給される、請求項7または8に記載のシャフト炉(10)。
【請求項10】
前記第2の一次空気導管(38)は、前記予熱ゾーン(18)を少なくとも部分的にまたは完全に通って延在する複数の浸漬導管(62)を備える、請求項7、8、または9に記載のシャフト炉(10)。
【請求項11】
前記第1の侵入深さは、前記焼成ゾーン(20)の半径の1/3以下あり、前記第2の侵入深さは、前記焼成ゾーン(20)の前記半径の/3ある、請求項7~10のいずれか一項に記載のシャフト炉(10)。
【請求項12】
前記第1の侵入深さは、5~20cmである、請求項11に記載のシャフト炉(10)。
【請求項13】
前記第1の侵入深さは、10~15cmである、請求項11に記載のシャフト炉(10)。
【請求項14】
前記第2の侵入深さは、40~80cmである、請求項11~13のいずれか一項に記載のシャフト炉(10)。
【請求項15】
前記第2の侵入深さは、50~70cmである、請求項11~13のいずれか一項に記載のシャフト炉(10)。
【請求項16】
前記第2の侵入深さは、60cmである、請求項11~13のいずれか一項に記載のシャフト炉(10)。
【請求項17】
ャフト炉(10)内で炭酸塩含有材料を焼成するためのプロセスであって、前記材料は、予熱ゾーン(18)、少なくとも1つの焼成ゾーン(20)、および冷却ゾーン(22)を通って材料出口(26)に流れ、燃料、複数のバーナランス(32、34;54)を介して前記焼成ゾーン(20)内に導入され、少なくとも1つのバーナランス(32)は、前記焼成ゾーン(20)への第1の侵入深さを有し、さらなるバーナランス(34)は、前記第1の侵入深さよりも大きい前記焼成ゾーン(20)への第2の侵入深さを有し、一次燃焼空気が前記バーナランス(32、34;54)に搬送され、
酸素及び前記一次燃焼空気は、焼空気を前記第2の侵入深さを有する前記バーナランス(34;54)に搬送するための一次空気導管(38)に搬送される
ことを特徴とする、
プロセス。
【請求項18】
前記一次燃焼空気は、40%~90%の酸素含有量を有するように、酸素で富化される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
ャフト炉(10)内で炭酸塩含有材料を焼成するためのプロセスであって、前記材料は、予熱ゾーン(18)、少なくとも1つの焼成ゾーン(20)、および冷却ゾーン(22)を通って流れ、燃料、複数のバーナランス(32、34;54)を介して前記焼成ゾーン(20)内に導入され、少なくとも1つのバーナランス(32)は、前記焼成ゾーン(20)への第1の侵入深さを有し、さらなるバーナランス(34)は、前記第1の侵入深さよりも大きい前記焼成ゾーン(20)への第2の侵入深さを有し、一次燃焼空気が前記バーナランス(32、34;54)に搬送され、前記一次燃焼空気は予熱され、
前記予熱された一次燃焼空気は、前記第2の侵入深さを有する前記バーナランス(34)にのみ供給される
ことを特徴とする、
プロセス。
【請求項20】
前記一次燃焼空気は、250℃~500℃の温度を有するように予熱される、請求項19に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素含有材料を焼成するためのシャフト炉およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
粒状材料の焼成では、均一に材料に必要な量の熱を供給し、それにより局所的な過熱の結果として粒子が共に焼結することなく各粒子がそのコアを通って焼成され、炉内に固体ブリッジを形成するという問題がある。この問題は、軟質焼成を超える比較的高い焼成度が要求される際に特に大きい。
【0003】
小さな粒子で構成された焼成される材料に対して、および均一な焼成、したがって製品品質を得るためには、材料の激しい撹拌が各粒子への良好かつ均一な熱伝達を確実にするので、回転管炉が最も適している。しかしながら、欠点は、これらの構造が非常に複雑であり、それに対応して高い資本コストが出力放射および排気ガスを介した高い摩耗損失および高い熱損失に起因する高い運転コストによって追加されることであり、これらは、比較的高い焼成度、ならびに中程度の焼成、硬質焼成、および焼結焼成などの他の製品品質に必要とされるような比較的高い温度を用いるときに特に顕著である。回転管炉は、通常、10mm~50mmの粒径を有する材料を焼成する場合にのみ適しており、より小さい、特により大きい粒径は、回転管炉内で焼成することができない。
【0004】
焼成に必要な量の熱を焼成される材料に均一に供給する別の方法は、燃料、すなわち冶金コークスを混合焼成炉内で焼成される材料に混合することである。しかしながら、混合焼成炉は、小さな粒径を有する焼成される材料には適していない。加えて、それらは、コークス燃焼からの灰が最終焼成生成物中に残り、したがって灰色着色に関連する製品品質の低下をもたらすというかなりの欠点を有する。さらに、混合焼成炉は、非常に高い排出量を発生するという欠点を有する。このプロセスの結果として、混合焼成炉は、かなりの量の一酸化炭素の形成をもたらす。加えて、混合焼成炉は、非常に高濃度の有機炭化水素(TOC)および硫化水素(HS)も発生することが多い。
【0005】
シャフト炉は、材料の焼成のさらなる可能性である。後者を使用すると、燃料はバーナランスを通して導入され、バーナランスは焼成される材料に浸され、シャフト断面にわたって分配される。そのような炉は、これまで、シャフト断面にわたって均一な温度分布を達成すること、特に局所的な過熱に起因する焼成される材料の互いの焼結を回避することが困難であったが、これはまだ克服されていない。
【0006】
欧州特許第1148311号明細書は、関連するシャフトレベルで均一な焼成温度を達成するためにバーナランスを移動させることができる、炭酸塩含有材料を焼成するためのプロセスを開示している。しかしながら、実際の実験は、この方法がその目的を達成しないことを示している。非常に高温の領域は、通常、シャフト炉の壁に近い領域に形成され、シャフト炉内の領域は著しく低い温度を有する。この効果の結果、材料はシャフト断面にわたって異なる温度で焼成されるため、均質な製品品質は達成されない。多くの場合、必要な製品品質も達成することができない。さらに、シャフトの中間で製品品質を達成しようとすると、シャフト断面の外側で過熱につながる可能性がある。ここで、例えば、ダストまたは燃料灰の焼結によって材料堆積物が形成され、または溶融相が形成されることさえある。堆積物は、重力によってもたらされる材料の流れに悪影響を及ぼす。炉を通る通路を遮断する材料のブリッジもまた、堆積物から生じることが多い。加えて、シャフト断面の外側の高温は、耐火ライニングを損傷する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第1148311号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このことから、本発明の目的は、非常に簡単な方法でシャフト断面にわたって均一な温度分布が達成される、炭素含有材料を焼成するためのシャフト炉およびプロセスを提供することである。
【0009】
この目的は、本発明によれば、独立した装置請求項1および8の特徴を有する装置によって、ならびに独立したプロセス請求項14および16の特徴を有するプロセスによっても達成される。有利なさらなる発展は、従属請求項から導き出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、特に、炭素含有材料を焼成するためのシャフト炉は、材料の流れ方向に、予熱ゾーン、少なくとも1つの焼成ゾーン、冷却ゾーン、およびシャフト炉から材料を排出するための材料出口を備える。シャフト炉はまた、焼成ゾーン内に突出する複数のバーナランスを備え、少なくとも1つのバーナランスは、焼成ゾーンへの第1の侵入深さを有し、少なくとも1つのさらなるバーナランスは、第1の侵入深さよりも大きい焼成ゾーンへの第2の侵入深さを有する。シャフト炉はまた、燃焼空気を搬送するための少なくとも1つの一次空気導管を備え、空気導管は、少なくとも1つのバーナランスに接続される。さらに、シャフト炉は、酸素を焼成ゾーンに搬送するための酸素導管を備え、酸素導管は、酸素が酸素導管から第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスに流れるように配置される。
【0011】
焼成される材料は、例えば、10~50mm、好ましくは40~80mm、特に30~60mmの粒径を有する粒状材料である。
【0012】
予熱ゾーンは、好ましくは、シャフト炉への材料用の材料入口に直接隣接し、材料を約600℃~800℃の温度に予熱するように機能する。焼成ゾーンは、好ましくは、予熱ゾーンに直接隣接し、材料を焼成するように機能し、これは、好ましくは、約1200℃~1800℃の温度に加熱される。冷却ゾーンは、好ましくは、焼成ゾーンに直接隣接し、焼成された材料を例えば100℃の温度に冷却するように機能する。材料出口は、例えば、冷却ゾーンに隣接する出口漏斗に配置され、材料出口は、例えば、冷却ゾーンから出口漏斗に材料を排出するための回転プレートまたはプッシャテーブルを備える。バーナランスは、好ましくは、管状であり、燃料を焼成ゾーンに搬送するように機能する。
【0013】
酸素導管は、例えば、シャフト炉の焼成ゾーンに延在し、酸素を焼成ゾーンに排出するための出口を有する酸素ランスを備える。酸素ランスは、好ましくは、第2の侵入深さを有するバーナランスに、またはバーナランスの真下に設置される。同様に、酸素ランスがバーナランスを通過することも考えられる。バーナランスはまた、特に、燃料を焼成ゾーンに排出するための出口開口部を有する。ただし、バーナランスは、好ましくは、酸素がバーナランスを通して燃焼空気および燃料と共に流れるように構成される。
【0014】
酸素を焼成ゾーンに搬送するための酸素導管は、第2の侵入深さを有するバーナランスからの燃料の燃焼を改善するという利点を提供し、燃料の燃焼を確実にするために、十分な量の酸素が焼成ゾーン内、好ましくは焼成ゾーンに配置されたバーナランスの出口に存在することが保証される。また、酸素を第2の侵入深さを有するバーナランスに導入することにより、第2のより深い侵入深さを有するバーナランスからの燃料の燃焼が改善される。これは、シャフト炉の中間領域における温度の目標とする上昇をもたらし、その結果、シャフト炉の壁領域からシャフト炉中間までの温度勾配が相殺される。そのようなシャフト炉は、シャフト炉の断面にわたって本質的に一定の温度分布を可能にし、その結果、シャフト炉内の材料の均一な焼成が達成される。
【0015】
第1の実施形態では、酸素導管は、燃料の燃焼のための酸素がバーナランスに流入するように、好ましくは第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスに直接接続される。特に、酸素導管は、第2の侵入深さを有するすべてのバーナランスに接続される。酸素導管は、好ましくは、第1の侵入深さを有するバーナランスに接続されない。さらなる実施形態では、酸素導管は、第2の侵入深さを有するバーナランスにのみ接続される。バーナランスは、例えば、酸素導管が配置される酸素導入用の入口を有する。これにより、酸素がバーナランスに、好ましくは第2の侵入深さを有するバーナランスにのみ搬送されることが保証される。
【0016】
酸素導管は、さらなる実施形態では、酸素導管を通って流れる酸素の量を調節するための手段を備える。この手段は、例えば、弁、特に調整可能な弁である。これにより、シャフト炉の焼成ゾーンにおける酸素の量を目標に設定することが可能である。
【0017】
さらなる実施形態では、一次空気導管は、第1の侵入深さを有するバーナランスに接続された、燃焼空気を搬送するための第1の一次空気導管と、第2の侵入深さを有するバーナランスに接続された、燃焼空気を搬送するための第2の一次空気導管とを備え、酸素導管は、酸素が酸素導管から第2の一次空気導管に流入するように、第2の一次空気導管にのみ接続される。第1の一次空気導管は、好ましくは、第1の侵入深さを有するバーナランスにのみ接続され、第2の一次空気導管は、第2の侵入深さを有するバーナランスにのみ接続される。これにより、異なる量の酸素を第1および第2の侵入深さを有するバーナランスに供給することが可能になる。
【0018】
さらなる実施形態では、第1の侵入深さよりも大きく、第2の侵入深さよりも小さい、焼成ゾーンへの第3の侵入深さを有するさらなるバーナランスが提供され、酸素導管は、酸素がバーナランスに流入するように、第3の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスに接続される。酸素導管は、好ましくは、第2および第3の侵入深さを有するバーナランスにのみ接続され、第1の侵入深さを有するバーナランスには接続されない。
【0019】
この手段は、さらなる実施形態では、第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスへの酸素の量が、第3の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスへの酸素の量よりも大きくなるように構成される。最大の侵入深さを有するバーナランスには、好ましくは、最も多くの酸素が供給される。
【0020】
本発明はまた、特に、炭酸塩含有材料を焼成するためのシャフト炉であって、材料の流れ方向に、予熱ゾーン、少なくとも1つの焼成ゾーン、冷却ゾーン、およびシャフト炉から材料を排出するための材料出口と、焼成ゾーン内に突出する複数のバーナランスとを備え、少なくとも1つのバーナランスは、焼成ゾーンへの第1の侵入深さを有し、少なくとも1つのさらなるバーナランスは、第1の侵入深さよりも大きい焼成ゾーンへの第2の侵入深さを有する、シャフト炉を備える。シャフト炉はまた、第1の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスに接続された、一次燃焼空気を搬送するための第1の一次空気導管と、第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスに接続された、一次燃焼空気を搬送するための第2の一次空気導管とを備える。第2の一次空気導管は、一次空気導管内の空気を加熱するための予熱装置を少なくとも部分的に通って延びる。
【0021】
シャフト炉は、例えば、予熱ゾーン、焼成ゾーン、および冷却ゾーンを備えるシャフト空間を備える。予熱装置は、例えば、シャフト空間の外側に配置され、一次空気を加熱する熱交換器などの装置である。シャフト炉に関して示された上述の情報および利点は、予熱装置を有するシャフト炉にも適用される。予熱装置を有するシャフト炉は、例えば、上述の酸素導管を備える。
【0022】
第2の一次空気導管の一次空気の予熱は、第2の侵入深さを有するバーナランスからの燃料の燃焼を改善するという利点を提供し、燃料の燃焼を確実にするために、最適な温度が焼成ゾーン内、好ましくは焼成ゾーンに配置されたバーナランスからの出口で広がることが保証される。加えて、第2の侵入深さを有するバーナランスへの一次空気の予熱により、第2のより深い侵入深さを有するバーナランスからの燃料の燃焼が改善される。これは、シャフト炉の中間シャフトにおける温度の目標とする上昇をもたらし、その結果、シャフト炉の壁領域からシャフト炉中間までの温度勾配が相殺される。そのようなシャフト炉は、シャフト炉の断面にわたって本質的に一定の温度分布を可能にし、その結果、シャフト炉内の材料の均一な焼成が達成される。
【0023】
予熱装置は、さらなる実施形態では、シャフト炉内に予熱ゾーンを備え、一次空気導管は、予熱ゾーンを少なくとも部分的に通って延びる。このようにして、予熱ゾーンが一次空気導管との熱交換器として機能する、シャフト炉の特にコンパクトでエネルギー効率の良い構造を実現することができる。
【0024】
さらなる実施形態では、第2の一次空気導管は、第2の侵入深さを有する少なくとも1つのバーナランスにのみ接続され、その結果、予熱された一次燃焼空気は、第2の侵入深さを有するバーナランスにのみ供給される。
【0025】
第2の一次空気導管は、さらなる実施形態では、予熱ゾーンを少なくとも部分的にまたは完全に通って延在する複数の浸漬導管を備える。浸漬導管は、例えば、一次空気が流れる、異なる直径を有する複数の同心円状に設置された配管である。浸漬導管は、例えば、U字形を有する。
【0026】
第1の侵入深さは、さらなる実施形態では、焼成ゾーンの半径の1/3以下、特に約5~20cm、好ましくは10~15cmである。さらなる実施形態では、第2の侵入深さは、焼成ゾーンの半径の約1/3、特に約40~80cm、好ましくは50~70cm、特に60cmである。
【0027】
そのような侵入深さは、シャフト炉断面にわたって本質的に均一な温度分布を可能にするための最適な深さである。
【0028】
本発明はまた、特に、シャフト炉内で炭酸塩含有材料を焼成するためのプロセスであって、材料は、予熱ゾーン、少なくとも1つの焼成ゾーン、および冷却ゾーンを通って材料出口に流れ、燃料の導入は、複数のバーナランスを介して焼成ゾーン内またはそれに隣接して行われ、少なくとも1つのバーナランスは、第1の侵入深さを有し、さらなるバーナランスは、第1の侵入深さよりも大きい第2の侵入深さを有し、一次燃焼空気がバーナランスに搬送される、プロセスを備える。プロセスはまた、一次燃焼空気に加えて、および/または燃焼空気を第2の侵入深さを有するバーナランスに搬送するための一次空気導管に搬送される酸素を備える。
【0029】
特に、炭酸塩含有材料を焼成するためのシャフト炉に関して示された情報および利点は、プロセスの観点から、特に、シャフト炉内で炭酸塩含有材料を焼成するためのプロセスに適用される。
【0030】
一実施形態では、一次燃焼空気は、40%~90%の酸素含有量を有するように、酸素で富化される。
【0031】
本発明はまた、特に、シャフト炉内で炭酸塩含有材料を焼成するためのプロセスであって、材料は、予熱ゾーン、少なくとも1つの焼成ゾーン、および冷却ゾーンを通って流れ、燃料の導入は、複数のバーナランスを介して焼成ゾーン内またはそれに隣接して行われ、少なくとも1つのバーナランスは、第1の侵入深さを有し、さらなるバーナランスは、第1の侵入深さよりも大きい第2の侵入深さを有し、一次燃焼空気がバーナランスに搬送され、一次燃焼空気は予熱される、プロセスを備える。予熱された一次燃焼空気は、第2の侵入深さを有するバーナランスにのみ供給される。一次空気は、好ましくは、予熱のために予熱ゾーンを通して搬送される。
【0032】
特に、炭酸塩含有材料を焼成するためのシャフト炉に関して示された情報および利点は、プロセスの観点から、特に、シャフト炉内で炭酸塩含有材料を焼成するためのプロセスに適用される。
【0033】
一実施形態では、一次燃焼空気は、250℃~500℃の温度を有するように予熱される。
【0034】
本発明は、いくつかの実施例を用いて、添付の図を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一実施例による、酸素導管を有するシャフト炉の概略断面図である。
図2】異なる実施形態による、シャフト炉の概略断面図である。
図3】異なる実施形態による、シャフト炉の概略断面図である。
図4】一実施例による、一次空気予熱を有するシャフト炉の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、例えば、約10~50mm、好ましくは40~80mm、特に30~60mmの粒径を有する炭素含有材料を焼成するためのシャフト炉10を示す。シャフト炉10は、好ましくは垂直方向に延在し、例えば、一定の断面または焼成される材料の流れ方向に広がる断面を有するシャフト空間12を備える。例えば、シャフト空間12は、丸形、特に円形、または角形、特に四辺形の断面を有する。シャフト空間12は、例えば、隣接する耐火性組積造内壁を有する鋼製のシャフト壁14によって囲まれている。シャフト空間12は、頂部および底部で開口しており、シャフト炉10は、シャフト空間12の上部開口部として構成され、好ましくはシャフト空間12の断面全体にわたって延在する材料入口16を有する。材料入口16は、焼成される材料をシャフト炉10に導入するように機能する。さらなる実施形態は、図1に図示する開放材料入口16の代わりに、焼成される材料を材料供給装置から炉シャフトに導入することを可能にする材料ロックを備え、材料ロックは、炉の頂部に周囲空気が入るのを大幅に防止するタスクを有する。この実施形態は、好ましくは、石炭の粉砕/乾燥、テンサイ糖プロセス、ソーダプロセスなどの下流プロセス、または沈降炭酸カルシウムの製造に必要なように、炉のオフガスが高い二酸化炭素濃度および低い酸素濃度を有する際に使用される。材料の流れ方向は、図1に矢印で示され、シャフト炉10を通って上から下に垂直に延びる。
【0037】
材料の流れ方向において、シャフト炉10は、材料入口16に続く予熱ゾーン18と、焼成ゾーン20と、冷却ゾーン22とを備える。冷却ゾーン22の後には出口漏斗24が続き、これは、シャフト炉10から材料を排出するための材料出口26で終わる。出口漏斗24内には、例えば、シャフト炉10の冷却ゾーン22から出口漏斗24に材料を排出するように機能する排出装置23がある。排出装置23は、例えば、回転プレートまたはプッシャテーブルである。材料出口26の下には、例えば、緊密に閉鎖する材料排出フラップ、または必要に応じて、緊密に閉鎖する材料ロックのいずれかがある。材料は、本質的に重力の作用下でシャフト炉10を通って流れ、向流で熱処理される。シャフト空間12の高さは、好ましくは、排出装置23による輸送速度の設定と併せて決定される、焼成される材料のプロセス滞留時間によって決定される。これらの滞留時間は、材料入口16に隣接する上部予熱ゾーン18、下方向に続く焼成ゾーン20、および排出装置23に延びる冷却ゾーン22にわたって分布する。焼成される材料は、好ましくは、予熱ゾーン18において最大約800℃の温度に予熱され、焼成ゾーン20は、例えば、800℃~1800℃の温度を有し、焼成された材料は、冷却ゾーンにおいて約100℃に冷却される。
【0038】
シャフト炉10は、空気をシャフト炉10に導入するための1つまたは複数の空気入口28、30を備える。例えば、2つの空気入口28、30が図1のシャフト炉10に配置され、空気を出口漏斗24および変位体23aに導入する。空気は、好ましくは、最大500mbarのゲージ圧力で、出口漏斗24に、例えば変位体23aに吹き込まれる。以下、空気を二次空気と称する。二次空気は、シャフト炉10、特にシャフト空間12を通って、底部から上方に垂直方向に、そして材料に向流で流れる。同時に材料入口16は、例えば、空気出口、より正確にはシャフト炉10の全炉のオフガス用の出口を表す。
【0039】
シャフト炉10は、シャフト壁14を通ってシャフト空間12の焼成ゾーン20に延在する複数のバーナランス32、34をさらに備える。例えば、バーナランス32、34は、図1の2つの平面に配置され、上面のバーナランス32は、シャフト空間12への第1の侵入深さを有し、下面のバーナランス34は、シャフト空間12への第2の侵入深さを有する。バーナランス32の第1の侵入深さは、好ましくは、下面のバーナランス34の第2の侵入深さよりも小さい。同様に、下部バーナランス34は、それらの上方に配置された上部バーナランス32よりも小さい侵入深さを有することが考えられる。第2の侵入深さを有するバーナランス34は、例えば、第1の侵入深さを有するバーナランス32の下方全体に配置される。バーナランス32、34は各々、シャフト空間12の半径方向にシャフト空間12内へと延在し、バーナランス34は、より深く、例えば、シャフト空間12の半径の約2/3にわたって延在して侵入する。あまり深く侵入しないバーナランス32は、例えば、シャフト空間12の半径の約1/3にわたって延在する。気体、粉状、または液体燃料は、バーナランス32、34を介して一次空気と共に焼成ゾーン20に導入される。バーナランス32、34の異なる侵入深さは、焼成ゾーン20内のバーナランス32、34から出る炎の異なる深さをもたらし、したがって材料の均一な加熱を確実にする。図1には示されていない、温度測定のための複数の測定プローブが、好ましくは、シャフト空間12の断面にわたって配置される。焼成ゾーン20の断面にわたる均一な温度分布は、焼成ゾーン20の平面内で測定された温度値によって確認することができる。温度分布は、同様に、シャフト空間12の内側領域および外側領域からの材料のサンプルを確認しながら、排出装置23での材料の目標サンプリングによって確認することができる。
【0040】
バーナランス32、34は、例えば、冷却ジャケット(図示せず)を有し、これは、冷却ジャケット内に配置されたバーナ管を冷却する。冷却液体は、好ましくは、冷却ジャケットを通って流れる。同様に、冷却ジャケットは、冷却液体なしで作動され、耐熱材料で作製されることが考えられる。
【0041】
シャフト炉10はまた、例えば、空気をバーナランス32、34に搬送するための2つの一次空気導管36、38を備える。一次空気導管36、38は各々、空気がバーナランスの方向に一次空気導管36、38を通って供給されるように、ファン40、42、好ましくは圧縮機に接続される。各一次空気導管36、38は、シャフト壁14の円周の周りにそれぞれ延在するそれぞれのリング導管44、46に接続される。リング導管44、46は、例えば、バーナランス32、34の上方に配置される。各リング導管44、46は、複数のバーナランス32、34に接続され、図1では、リング導管44の上方に配置されたリング導管46は、一例として、より大きい侵入深さを有するバーナランス34に接続される。例えば、シャフト炉は、第1のリング導管44に接続された第1の一次空気導管36を備える。下側の第1のリング導管44は、例えば、第1の侵入深さを有するバーナランス32にのみ接続され、その結果、空気は、第1の一次空気導管36を通って第1のリング導管44に流入し、第1のより小さい侵入深さを有するバーナランス32に流れる。シャフト炉はまた、第2のリング導管46に接続された第2の一次空気導管38を備える。上側の第2のリング導管46は、例えば、第2の侵入深さを有するバーナランス34にのみ接続され、その結果、空気は、第2の一次空気導管38を通って第2のリング導管46に流入し、第2のより大きい侵入深さを有するバーナランス34に流れる。酸素入口48を有する酸素導管52が、第2の一次空気導管38に接続される。酸素導管52は、酸素の量を調節するための弁50を備える。酸素導管52は、酸素が第2の一次空気導管38に流入するように、第2の一次空気導管38に接続される。酸素富化一次空気が、第2の一次空気導管38を通って上側の第2のリング導管46に流入し、続いて第2のより大きい侵入深さを有するバーナランス34に流入する。第2の一次空気導管38に流入する酸素の量は、弁50を介して設定することができる。酸素が富化された一次空気は、第2の侵入深さを有するバーナランス34にのみ供給される。第1の侵入深さを有するバーナランス32は、酸素入口48に接続されない。第2の一次空気導管を通って流れる燃焼空気は、好ましくは、空気と酸素の混合物が40~90%の酸素含有量を有するような程度まで、酸素で富化される。
【0042】
同様に、バーナランス32、34が3つ以上の平面または一平面のみに配置され、例えば、第1の侵入深さを有するバーナランス32および第2の侵入深さを有するバーナランス34が、一平面に共に配置されることが考えられる。例えば、シャフト炉は、バーナランス32、34の3つ、4つ、または5つの平面を有し、最大の侵入深さを有するバーナランス34のみが酸素導管52に接続される。
【0043】
シャフト炉10の運転中、焼成される材料は、材料入口16を介して上方からシャフト空間12に導入され、シャフト空間12を通って排出装置23の方向に垂直方向に重力の作用下で下方に移動する。二次空気または焼成オフガスは、材料に向流で流れる。空気入口28、30を通ってシャフト空間12に下方から導入された二次空気は、焼成ゾーン内の燃焼空気として使用され、バーナランス32、34を通って焼成ゾーン20に導入された燃料、例えば天然ガス、加熱油、またはコイルダストを燃焼させるように機能する。燃焼のオフガスは、シャフト空間12の予熱ゾーン18内の材料を予熱するように機能する。予熱ゾーン18の後、材料は焼成ゾーン20に入り、そこで焼成、例えば、か焼および/または焼結される。続いて、冷却ゾーン22内の二次空気によって冷却され、二次空気は同時に加熱される。
【0044】
図2および図3は各々、図1に図示するようなシャフト炉10の断面を示し、バーナランス32、34の異なる配置が示されている。図2は、第1の侵入深さを有する複数のバーナランス32、および第1の侵入深さよりも大きい第2の侵入深さを有する複数のバーナランス34を示す。さらに、図2はまた、一例として、第2の侵入深さよりも小さく、第1の侵入深さよりも大きい第3の侵入深さを有する複数のバーナランス54を示す。バーナランス32、34、54は、例えば、すべて一平面に配置され、互いに対してオフセットされている。例えば、バーナランス32、34、54の異なる侵入深さは、焼成ゾーン20の円周の周りで規則的に交互になっている。
【0045】
例えば、バーナランス34のみが酸素導管52に接続され、酸素、特に酸素富化一次空気がバーナランス34にのみ供給される。また、第3の中間の侵入深さを有するバーナランス54に酸素を供給することも考えられ、第3の侵入深さを有するバーナランス54に供給される酸素の量は、第2の侵入深さを有するバーナランス34に供給される酸素の量よりも少なくすることができる。最大量の酸素は、好ましくは、最大の侵入深さを有するバーナランスに供給される。例えば、シャフト炉10は、図1に図示する断面において、第1の侵入深さを有する12個のバーナランス32と、第2の侵入深さを有する4つのバーナランス34と、第3の侵入深さを有する8つのバーナランス54とを有する。これは単なる例示であり、異なる侵入深さを有するバーナランス32、34、54の任意の数が考えられる。例えば、シャフト炉10のバーナランスは、3つ、4つ、またはそれ以上の異なる侵入深さを有し、最大量の酸素が、最大の侵入深さを有するバーナランスに供給される。例えば、シャフト炉は、さらなる酸素導管に接続された第3の一次空気導管を備える。第3の一次空気導管は、好ましくは、第3のリング導管に接続され、第3のリング導管は、第3の侵入深さを有するバーナランス54に接続され、その結果、酸素富化一次空気は、第3の一次空気導管を通って第3の侵入深さを有するバーナランス54に流れる。
【0046】
図3は、第1および第2の侵入深さを有するバーナランス32、34の配置のさらなる実施例を示す。例えば、第1の侵入深さを有する12個のバーナランス32、および第2の侵入深さを有する4つのバーナランス34が設けられる。第2の侵入深さを有するバーナランス34には、好ましくは、酸素富化一次空気が供給され、第1の侵入深さを有するバーナランス32には酸素富化されていない一次空気が供給され、その結果、第1の侵入深さを有するバーナランス32に供給される一次空気の酸素の割合は、第2の侵入深さを有するバーナランス34に供給される一次空気の酸素の割合よりも低くなる。
【0047】
図4は、図1のシャフト炉10に少なくとも大部分は対応するシャフト炉10を示し、同一の要素は同一の参照番号で示されている。シャフト炉10は、シャフト炉10からオフガスを排出するためのガス出口56をさらに備える。そのようなガス出口56は、例えば、図1のシャフト炉10にも存在する。図1のシャフト炉とは対照的に、図4に図示するシャフト炉は、シャフト空間12の予熱ゾーンを部分的に通って延びる第2の一次導管38を備える。第2の一次空気導管38は、好ましくは、第1のリング導管58と、第1のリング導管58の下方に配置された第2のリング導管60とを備える。リング導管58、60は、シャフト空間12の外周の周りに配置される。第2の一次空気導管は、例えば、U字形または二重管のいずれかで構成され、第1のリング導管58から予熱ゾーン18を通って第2のリング導管60に延在する複数の浸漬導管62を備える。浸漬導管62は、好ましくは、予熱ゾーン18の一部または予熱ゾーン18全体にわたって延在する。第2の一次空気導管38の第2のリング導管60は、予熱された一次空気が第2の侵入深さを有するバーナランス34に流れるように、リング導管46に接続される。予熱された一次空気は、好ましくは、第2の侵入深さを有するバーナランス34にのみ供給される。
【0048】
シャフト炉10の運転中、燃焼ガス中に存在する熱エネルギーの一部は、一次空気を加熱するために使用され、その結果、予熱された一次空気は、第2の侵入深さを有するバーナランス34にのみ供給される。この一次空気の加熱は、予熱ゾーン18の焼成材料に浸され、例えば、シャフト空間12の円周方向のシャフト空間断面にわたって、好ましくは均一に分配される浸漬管62を通して搬送される一次空気によって、シャフト空間12内で行われる。浸漬管62は、好ましくは同一の構成を有し、好ましくは互いに等距離に配置される。浸漬管62は、好ましくは、高い熱伝導率を有する材料を備える。焼成される材料および焼成ガスと直接接触するシャフト空間12内の浸漬管62の配置は、熱伝導、対流、および熱放射による特に良好な熱伝達をもたらす。加えて、浸漬管62の熱交換面は、重力の作用下でそれらに沿って流れる焼成材料によって自動的に清浄される。
【0049】
図1図2図3、および図4の実施例の組み合わせもまた、同様に考えられる。例えば、図4の第2の一次空気導管38は、酸素富化され予熱された一次燃焼空気が第2の侵入深さを有するバーナランス34に供給されるように、酸素を第2の一次空気導管38に導入するための酸素入口を有する。
【0050】
図2および図3に示すシャフト炉10の断面は、図4に図示するシャフト炉10の実施例にも適用することができ、例えば、第2の侵入深さを有するバーナランス34に供給される一次空気と比較してより低い温度を有する一次空気が、第3の侵入深さを有するバーナランス54に供給される。例えば、第2の侵入深さを有するバーナランス34に供給される一次空気と比較してより低い温度を有する一次空気が、第3の侵入深さを有するバーナランス54に供給される。
【符号の説明】
【0051】
10 シャフト炉
12 シャフト空間
14 シャフト壁
16 材料入口
18 予熱ゾーン
20 焼成ゾーン
22 冷却ゾーン
23 排出装置
23a 変位体
24 出口漏斗
26 材料出口
28 空気入口
30 空気入口
32 第1の侵入深さを有するバーナランス
34 第2の侵入深さを有するバーナランス
36 第1の一次空気導管
38 第2の一次空気導管
40 ファン
42 ファン
44 リング導管
46 リング導管
48 酸素入口
50 弁
52 酸素導管
54 第3の侵入深さを有するバーナランス
56 ガス出口
58 リング導管
60 リング導管
62 浸漬導管
図1
図2
図3
図4