(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】排水機構を備えた墓、及びその補修方法
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
E04H13/00 B
(21)【出願番号】P 2018247830
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-12-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】718006844
【氏名又は名称】加西商事株式会社
(72)【発明者】
【氏名】沼野 藤信
(72)【発明者】
【氏名】沼野 藤憲
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-211425(JP,A)
【文献】登録実用新案第3066335(JP,U)
【文献】特開平9-53340(JP,A)
【文献】特開2006-233531(JP,A)
【文献】実開昭63-17250(JP,U)
【文献】実開昭53-164498(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表の上側に墓石本体が設けられ、地表より下側の地中にカロート本体が埋設される地中埋設型の墓であって、
上記墓の領域において、カロート下排水領域から参道下排水領域に亘る地中を所望形状にかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて雨水・雪やカロート本体より浸み出した結露水などの降水を集める排水機構を形成し、
上記排水機構上であって上記カロート下排水領域にカロート本体を配置すると共に、上記カロート本体の上側であって地表上に立設される墓石本体を配置し、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする排水機構を備えた墓。
【請求項2】
上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする請求項1記載の排水機構を備えた墓。
【請求項3】
上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする請求項1または2記載の排水機構を備えた墓。
【請求項4】
地表上に墓石本体を設置すると共に、上記墓石本体の下側の地中にカロート本体とさらにその下側に雨水・雪やカロート本体から浸み出してくる結露水などの降水を集める排水機構を設けた墓であって、
カロート下排水領域に隣接する参道下排水領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて集水を排出する新設の排水機構を形成すると共に、上記カロート下排水領域に配置されている既設の排水機構と協働して排水機能を果たさせ、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする排水機構を備えた墓。
【請求項5】
上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする請求項4記載の排水機構を備えた墓。
【請求項6】
上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする請求項4または5記載の排水機構を備えた墓。
【請求項7】
請求項1または請求項4記載の墓の補修であって、
少なくとも参道側領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、掘削した上記掘削凹部を基点として不具合箇所の補修を行うことを特徴とする排水機構を備えた墓の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カロート(納骨棺)の下側と参道の下側とに亘る広い領域であって、参道の下側の領域に外部に排水させる排水管を有する排水機構を備えた墓、及びその補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
墓所における墓は、故人を偲び弔うための場所であり、故人の遺骨をカロート(納骨棺)に埋葬してこれを顕彰し弔うための場所である。
従来、我が国の墓は、故人を弔い顕彰するための墓石や遺骨を納骨するカロートなどが、地上に立設される地上型(和型)の墓が多かったが、近年は宗派に囚われない公園墓地などのような墓所も多く建設されてきており、そのような墓所の墓では地面より下にカロートが埋設される、所謂地中埋設型の墓(洋型)も普及してきている。
【0003】
地上型の墓は、一般に地表の上側に盛土して墓石基礎部を形成し、その墓石基礎部内に遺骨を納骨したカロートを埋設すると共に、排水機構も埋設され、かつその墓石基礎部の上段側に墓石が設けられており、地中埋設型の墓は、地表の上側に墓石が設けられるが、地面より下側の地中にカロートが埋設されると共に、カロートの更に下側に排水機構も埋設されている。
このように構成された地上型の墓は、地表の上側に墓石やカロートや排水機構などが設けられているので、湿気や水捌け性に優れていると云われており、また、補修作業も比較的に容易であると云われているが、地中埋設型の墓は、地表の上側に墓石が設けられているものの、地面より下側の地中にカロートや排水機構が埋設されているため、地中に埋設されているカロートや排水機構などの補修は容易ではないと云われている。
また、この地中埋設型は、地表が芝で覆われて参道とされていると、雨天の場合にはより水捌けの管理が必要であった。
【0004】
従来の地上型の墓と排水機構による水捌けについて特許文献1のようなものがある。
すなわち、墓所区画内の墓の地面上に、コンクリート壁で囲んで盛土した墓石基台を形成し、この墓石基台の上側に一段目の墓石を形成すると共に、墓石の前部には花立てや線香立てや水入れなどからなる供養台を設け、さらに墓石の上方に二段目の墓石である上台石を積み、最後に戒名や俗名、忌日、建立者などを記載した塔石5を立てている。
また、墓石基台の中央部には骨つぼ収納室(カロート)の空間を設け、その骨つぼ収納室の下には砂石層内の下部に排水機構を設けると共に、通水層である砂石層に浸みだした水を排水パイプから墓石基台外に排水している。
【0005】
また、地中埋設型の墓については特許文献2のような文献がある。墓石本体の下部にカロート本体を埋設した墓であり、カロート本体の墓地への埋設とカロート本体の撤去を行うものが開示されており、カロート本体の底面に連結管を有する排水管を介して地下下方にベースコンクリートで固められた排水機構が設けられている。また、この排水管が墓所の横方向と縦方向に配管されて防水が図られている。
そして、特許文献3のように、墓所の排水を円滑にしてカロート内の湿気をできるだけ少なくするためのものであって、カロートを地下に埋設し、カロートの上部の開口部の一部を蓋石とし、カロートの底部に排水孔を設け、排水孔を基礎玉石内に設けた排水筒に連通するもので、基礎玉石は上部を大きめの玉石とし下部を小さめの玉石とし、それら基礎玉石の中に排水用の排水筒を設置しているため、カロート内に溜まる水や地上よりの降水雨の水捌けがよくなり、溜水も容易に排出できるようにするものである。なお、排水筒は排水層に2つの排水筒を設けてもよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-211425号
【文献】実用新案登録第3066335号
【文献】特開平09-053340号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、地上型の特許文献1は、墓を雨水・雪や結露水などの被害から守る排水構造を有した墓であって水捌け性に優れているが、排水機構の補修に関しては、盛土とともに同時に排水機構(暗渠)を設置しているため、それらを撤去してから補修を行うため、施工工数がかかり施工費が割高になるという問題がある。
また、地中埋設型の特許文献2や特許文献3においては、カロート本体を墓地に埋設するために、墓地に孔(掘削凹部)を掘削し、カロート本体をこの孔(掘削凹部)に埋め込むので、地上型に比べてカロート本体の墓地への埋設が容易に行えるという利点があるが、排水性や冬季における凍結融解などに対する対策が必要である。
また、地表を掘削したりするという手間がかかると共に、カロート本体の下部に排水機構を設置しなければならないため、また、その補修に関してはカロート本体を撤去しなければなければならないため、補修費用も大変割高となり、実際にはコスト面や施工面の手間を考慮するとその補修はできなかった。
【0008】
すなわち、この地下埋設型は、カロート本体の下部に排水機構を設ける構造のため、排水機構に不具合が発生した場合にはカロート自体が邪魔になり、カロートを退かして作業しなければならないため、大変な費用がかかると共に、墓地を購入している遺族にも大変な迷惑がかかることになる。
【0009】
特許出願人は、上記のような事情に鑑みて、気持ちよく故人を祀るためまた気持ちよく故人を弔うため、地中埋設型の墓において、排水機構性に優れると共に、その補修性に優れた墓及び補修を鋭意研究したものである。
【0010】
本発明は、雨水や雪などの降水やカロート(納骨棺)から浸み出してくる結露水などを、カロート(納骨棺)の下方側の領域と参道下側の領域とよりなる領域の排水機構に集めて外部に排水させる墓、及びその補修方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、排水機構を備えた墓として、請求項1記載のように、地表の上側に墓石本体が設けられ、地表より下側の地中にカロート本体が埋設される地中埋設型の墓であって、
上記墓の領域において、カロート下排水領域から参道下排水領域に亘る地中を所望形状にかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて雨水・雪やカロート本体より浸み出した結露水などの降水を集める水機構を形成し、
上記排水機構上であって上記カロート下排水領域にカロート本体を配置すると共に、上記カロート本体の上側であって地表上に立設される墓石本体を配置し、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする。
また、請求項2記載のように、 上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする。
また、請求項3記載のように、上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする。
また、請求項4記載のように、地表上に墓石本体を設置すると共に、上記墓石本体の下側の地中にカロート本体とさらにその下側に雨水・雪やカロート本体から浸み出してくる結露水などの降水を集める排水機構を設けた墓であって、
カロート下排水領域に隣接する参道下排水領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて集水を排出する新設の排水機構を形成すると共に、上記カロート下排水領域に配置されている既設の排水機構と協働して排水機能を果たさせ、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする。
また、請求項5記載のように、上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする。
また、請求項6記載のように、上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする。
また、排水機構を備えた墓の補修方法として、請求項7記載のように、請求項1または請求項4記載の墓の補修であって、少なくとも参道側領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、掘削した上記掘削凹部を基点として不具合箇所の補修を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、地表上側に墓石本体を設置しカロート本体を地中に埋設した地中埋設型の墓であって、雨水や結露水など墓に降り注ぎ浸み出した降水を集める排水機構は、カロート下排水領域から参道下排水領域までに亘る広域排水機構とされ、参道下排水領域に外部に排水する排水管を設けた排水機構に掘削凹部を介して成形するので、広域の排水機構を有する新設の墓を容易に提供することができる。
また、カロート本体の下側領域に排水機構を設けている既設の墓に対し、参道下排水領域を掘削して当該領域に排水管を有する排水機構を付設したので、既設の排水機構と協働する広域領域の排水機構を提供するので、既設の墓に対して排水機能性に優れた墓を容易に提供することができる。
さらに、既設の墓あるいは新設の墓であっても排水機構の補修は、少なくとも墓に接近した参道の地表を所定深さ掘削して掘削凹部を穿設すればよいので、排水機構性に優れた墓をきわめて容易に補修し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る新設の墓構造を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る既設の墓構造に対する示す断面図である。
【
図4】掘削凹部に基づく墓構造を示す工程図である。
【
図5】従来の排水機構を有する地中埋設型の墓を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施例であり、新設の墓に好適な実施例である。
すなわち、この実施例においては、墓10は地表上側に墓石本体11を形成して設置し、遺骨を埋葬するカロート本体(納骨棺)12を地中に埋設してなる地中埋設型の墓であり、そのさらに地下には排水機構14が配置される。
すなわち、カロート本体12の下側の領域はカロート下排水領域
(L2)とされ、参道側の領域は参道下排水領域
(L1)とされ、カロート下排水領域
(L2)と参道下排水領域
(L1)とに亘る広い領域の排水領域(L1+L2=L)として設けられている。
【0015】
具体的には、墓所の区画内において、芝Jが植え付けられた地面Gの参道Rを介して各故人・各家の墓10・・・に通じている。
各墓10の墓石本体11は、地面G上に起立設置されると共に、基台11a、基台11a上に立設される墓石11b、基台11aの前方側である参道に向かって配置される蓋石11cと香炉11d・・・などから構成されている。
この墓石本体11の下部である地中には、地面Gを掘り起して形成された掘削凹部X内に埋設されている(詳細は後記する)筐体のカロート本体12が配置される。
この筐体であるカロート本体12は、上面を開口部12aと壁12b・・と底部12cによって囲繞されている。なお、12dは納骨の仕切り板である。
また、カロート本体12の底部12cには、結露水用の排出孔13が設けられており、カロート本体12などより浸み出した結露水を下部側の領域に形成されている排水機構14に排出する。
また、排水機構14は、カロート本体12の下側領域に配置され、雨水・雪や結露水などの降水を集めて排出するものであるが、カロート本体12の下側領域であるカロート下排水領域(L2)から芝Jが植え付けられた参道Rの下側領域である参道下排水領域(L1)とよりなる広域の排水領域(L1+L2=L))の排水機構とされている。
しかして、この広い領域(L)の排水機構14は、掘削凹部Xに玉砂利などを多段に敷き詰めた砂利・砕石層14aとされ、砂利・砕石層14aは雨水などの降水を排水機構の外部に排水する排水管15が有孔パイプ15aとして配置されている。
なお、墓石本体11とカロート本体12の間は、セメントモルタルなどで接着し、地震等への耐震性を持たせている。
また、この広い領域の排水機構14には、排水に伴う周囲の土砂の流出を防ぐために、排水機構14と周囲の土砂との間に水のみを透過する機能を持った吸い出し防止材17を土木シートとして配置する。
なお、広い領域の排水機構Lを設けるために、埋め戻し層により掘削凹部Xをもとの状態に整える。
また、この墓石本体11あるいはカロート本体12などは、従来のように御影石などを使うこともできるが、型枠成形性を考慮するとコンクリート部材により形成されるのが好適である。
【0016】
さらに、この第1の実施例の構造をその施工・補修とともに説明する。
墓の施工にあたっては、カロート本体12と参道Rに亘る地表Gを所定深さ掘削して掘削凹部を穿設する。
そして、この掘削凹部X(カロート下排水領域(L2)から参道Rの下側の領域である参道下排水領域(L1)とよりなる広域の領域(L2+L2=L)の掘削凹部内に土木シートである吸い出し防止材を敷設する。
その後、土木シートである吸い出し防止材を敷設した掘削凹部内に、砂利・砕石層13aを敷設すると共に、排水管を設置し、この参道側に降水を集める排水機構を敷く。
排水機構外の他所に排出する排水管を敷設し、排水管を敷設した後にカロート本体を所定箇所に設置して地中に埋設し固定する。
その地表面に地上に墓石本体を立設した墓とするものである。
掘削凹部を埋め戻しつつ掘削凹部を地固めし養生を行い、養生後に地上に墓石本体を立設した墓とするものである。
掘削凹部は、参道から墓までの総てを含む新設の掘削凹部とする場合と、参道から墓近傍までを掘削凹部する場合とがある。
具体的には、
第1工程:(掘削凹部の形成)
各墓10・・・を形成する区画の地面Gの所定の箇所を、台形状に掘削して墓埋設用の掘削凹部Xを形成するが、この前段階において掘削凹部Xと連続する排水管を設置する掘削凹部溝を墓所中に条設する。
次いで、各墓10・・・用としてカロート12の下部領域(L2)と参道Rにかかる領域(L1)とに亘る広い領域(L)の排水機構の排水機構凹部Xを掘り起こす。
第2工程:吸い出し防止材敷設
掘削された広い領域(L)の排水機構の掘削凹部の底面に、土木シートである吸い出し防止材を敷く。
第3工程:砂利・砕石層を敷設
さらに、吸い出し防止材を敷いた広域の排水機構の掘削凹部に、砂利・砕石層を敷く。
第4工程:排水機構の形成
砂利・砕石層を敷いた後に、外部に連通する排水管(有孔パイプ)を敷き排水機構の形成を行う。
第5工程:カロートの固定
排水機構の敷かれた後の掘削凹部に、カロート本体を設置し、固定する。
第6工程:掘削凹部の埋め戻し
カロート本体が固定された後に、掘削凹部に土を埋め戻すともに、地固めし養生する。
第7工程:墓の設置
埋め戻しをし、カロート本体の上部がやや地表に出た状態とし、その上に墓石本体を接地する。
第8工程:完成整備
カロート本体の上部に墓石本体を設置し、芝をカロート本体の上部周辺を囲むように養生して完成とする。
【0017】
このように、この第1の実施例によれば、本発明は、地表上側に墓石本体を設置しカロート本体を地中に埋設した地中埋設型の墓であって、雨水や結露水など墓に降り注ぎ浸みだした降水を集める排水機構は、カロート本体の下部側の領域から参道下側の領域まで亘る広い排水機構とすると共に、参道下側の領域に外部に排水する排水管を設けた排水機構としたので、広い領域の排水機構性に優れた新設の墓を提供することができ、かつ掘削による掘削凹部を介して成形するので、新設の墓を容易に提供することができる。
【0018】
図2は、本発明の第2実施例であり、排水機構を有する既設の墓に好適であるが、区画の地面Gのカロート本体12の下側の領域には、既に墓石本体11が起立設置されており、この墓石本体11の下部である地中には、上部を開口部とする筐体からなるカロート本体12が埋設されている。
そこで、所定深さ台形状に掘削して墓埋設用の掘削凹部Xを穿設する。掘削凹部Xは、参道Rにかかる墓の領域(L2)までの領域(L)の排水機構とされている。
しかして、この掘削凹部Xを掘り返し、排水機構14を配置し、ついでカロート本体12を設置し、掘削凹部Xに土を埋め戻し、カロート本体12上に墓10を立設する。
一方、既に墓所として活用されている場合には、排水機構14など地中に埋設されている構造物に不具合があった場合、カロート本体12の下側部位の排水機構はそのままとして、すなわち動かすことなく、地面Gの参道側部位にかかる領域を掘削しその領域にある排水管15を容易に補修することができる。
【0019】
次に、墓所構造の補修について説明する。
既に墓所として活用されている場合には、排水機構はカロート本体の下部側領域に既に設けられているので、既設の排水機構に対して不具合が発生したような場合には、その補修を行うのであるが、既にある墓石本体やカロート本体を動かし取り除いて補修することは、実際上においてさまざまな問題があり不可能で、既に埋められているカロート本体12やその上部にある墓10は動かすことできない。
したがって、参道下側の領域に掘削凹部を新たに掘削し、新たに排水機構を加えて広域排水機構とする必要がある。
したがって、その補修に際しては、芝Jが植え付けられた参道R側から掘削凹部を穿設することが必要である。
掘削凹部を掘削して、カロート本体12の下側部位の排水機構14に到達したならば、この既設の排水機構14に新たに排水管15を有する排水機構14を接続する。
これにより、新たに接続された排水機構14の排水管17が、不具合となった既設の排水機構14に代わって協働することとなる。
このように、支障した排水機構14はそのままとして、参道に設置された排水機構14を稼働させるので、容易な補修によって広域領域(L)の排水機構とすることができる。
【0020】
このように、排水機構の領域は、カロート本体と参道に至る広域の排水機構とされているので、排水機構に不具合があり点検や改修を行う場合でも容易に参道部分を掘削して工事が行える。このため、従来では墓の全面掘削となり、費用も効果となり、また、ほとんど不可能であったが、本発明ではその問題も容易に解決できる。
【符号の説明】
【0021】
G 地面
J 芝
R 参道
10 墓
11 墓石本体
11a 基台
11b 墓石
11c 蓋石
11d 香炉
12 カロート本体(筐体)
12a 開口部
12b 側部
12c 底部
12d 区画板
13 排出孔
14 排水機構
14a 砂利・砕石層
15 排出管
15a 有孔パイプ
X 掘削凹部
17 防水シート