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特許7105418シス-二置換非芳香族化合物の製造装置および製造方法
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  • 特許-シス-二置換非芳香族化合物の製造装置および製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】シス-二置換非芳香族化合物の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 3/03 20210101AFI20220715BHJP
   C07C 13/18 20060101ALI20220715BHJP
   C25B 3/25 20210101ALI20220715BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20220715BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20220715BHJP
   C25B 11/081 20210101ALI20220715BHJP
【FI】
C25B3/03
C07C13/18
C25B3/25
C25B9/00 G
C25B9/23
C25B11/081
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018021154
(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公開番号】P2019137886
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】跡部 真人
(72)【発明者】
【氏名】深澤 篤
(72)【発明者】
【氏名】簑島 樹里
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐太郎
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0008139(US,A1)
【文献】国際公開第2014/156125(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0110268(US,A1)
【文献】特開2015-165043(JP,A)
【文献】特表2004-514791(JP,A)
【文献】特開昭62-164887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極接合体を有する固体高分子形電解ユニットと、
前記固体高分子形電解ユニットに、2つの置換基で置換された芳香族性環を有する二置換芳香族化合物を供給する供給部と、を備え、
前記膜電極接合体は、アノード触媒層を含むアノードと、カソード触媒層を含むカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に設けられる固体高分子電解質膜と、を有し、
前記固体高分子形電解ユニットは、前記二置換芳香族化合物を電解還元して前記芳香族性環を水素化し、シス-二置換非芳香族化合物を製造し、
前記二置換芳香族化合物はp-キシレンであり、前記シス-二置換非芳香族化合物はシス-1,4-ジメチルシクロヘキサンであることを特徴とするシス-二置換非芳香族化合物の製造装置。
【請求項2】
前記供給部は、前記カソードに前記二置換芳香族化合物を供給する請求項1に記載のシス-二置換非芳香族化合物の製造装置。
【請求項3】
前記カソード触媒層は、Pt,Pd,Rh,RuおよびIrからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む請求項1または2に記載のシス-二置換非芳香族化合物の製造装置。
【請求項4】
前記固体高分子電解質膜は、パーフルオロスルホン酸を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシス-二置換非芳香族化合物の製造装置。
【請求項5】
アノード触媒層を含むアノードと、カソード触媒層を含むカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に設けられる固体高分子電解質膜と、を有する膜電極接合体を備える固体高分子形電解ユニットを用いて、2つの置換基で置換された芳香族性環を有する二置換芳香族化合物を電解還元して前記芳香族性環を水素化し、シス-二置換非芳香族化合物を製造することを含み、
前記二置換芳香族化合物はp-キシレンであり、前記シス-二置換非芳香族化合物はシス-1,4-ジメチルシクロヘキサンであることを特徴とするシス-二置換非芳香族化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シス-二置換非芳香族化合物の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの置換基で置換された非芳香族性環を有する非芳香族化合物の幾何異性体は、産業上有用であることが知られている。例えば、特許文献1には、水素化触媒を分散させた水溶液で4-置換安息香酸を還元することでトランス-4-置換シクロヘキサンカルボン酸を製造する化学プロセスが開示されている。トランス-4-置換シクロヘキサンカルボン酸は、液晶ディスプレイに用いられる液晶化合物として産業上有用である。
【0003】
また、二置換非芳香族性環を有する非芳香族化合物のシス体、すなわちシス-二置換非芳香族化合物も、産業上、特に医薬等に用いられる化合物として有用であることが知られている。例えば、シス-二置換シクロヘキサンは、医薬品の中間原料として有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-40606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上述したシス-二置換非芳香族化合物の製造について鋭意検討を重ねた結果、シス-二置換非芳香族化合物の新規な製造技術に想到した。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、シス-二置換非芳香族化合物の新規な製造技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、シス-二置換非芳香族化合物の製造装置である。当該製造装置は、固体高分子形電解ユニットと、固体高分子形電解ユニットに、2つの置換基で置換された芳香族性環を有する二置換芳香族化合物を供給する供給部と、を備える。固体高分子形電解ユニットは、二置換芳香族化合物を電解還元して芳香族性環を水素化し、シス-二置換非芳香族化合物を製造する。
【0008】
本発明の他の態様は、シス-二置換非芳香族化合物の製造方法である。当該製造方法は、固体高分子形電解ユニットを用いて、2つの置換基で置換された芳香族性環を有する二置換芳香族化合物を電解還元して芳香族性環を水素化し、シス-二置換非芳香族化合物を製造することを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シス-二置換非芳香族化合物の新規な製造技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係るシス-二置換非芳香族化合物の製造装置の概略構成を示す模式図である。
図2】固体高分子形電解ユニットの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0012】
図1は、実施の形態に係るシス-二置換非芳香族化合物の製造装置の概略構成を示す模式図である。なお、図1では、固体高分子形電解ユニットの構造を簡略化して図示している。シス-二置換非芳香族化合物の製造装置10は、二置換芳香族化合物を電解還元してシス型の二置換非芳香族化合物を製造する装置であり、固体高分子形電解ユニット100、電力制御部20、基質貯蔵槽30、水素貯蔵槽40および制御部60を主な構成として備える。以下では適宜、シス-二置換非芳香族化合物の製造装置10を、単に「製造装置10」と記す。
【0013】
電力制御部20は、例えば、電力源の出力電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータである。電力制御部20の正極出力端子は、固体高分子形電解ユニット100のアノード(陽極)130に接続される。電力制御部20の負極出力端子は、固体高分子形電解ユニット100のカソード(負極)120に接続される。これにより、固体高分子形電解ユニット100のアノード130とカソード120との間に所定の電圧が印加される。
【0014】
電力制御部20には、正および負極の電位検知の目的で参照極が設けられてもよい。この場合、参照極入力端子は、固体高分子電解質膜110に設けられる参照電極112に接続される。参照電極112は、固体高分子電解質膜110におけるカソード120およびアノード130から離間した領域に、固体高分子電解質膜110に接するように設けられる。参照電極112は、カソード120およびアノード130から電気的に隔離されている。参照電極112は、参照電極電位に保持される。本願における参照電極電位は、可逆水素電極(RHE)に対する電位を意味するものとする(参照電極電位=0V)。なお、参照電極電位は、Ag/AgCl電極に対する電位であってもよい(参照電極電位=0.199V)。なお、参照電極112は、固体高分子電解質膜110におけるカソード120側の表面に設置されることが好ましい。
【0015】
カソード120とアノード130との間を流れる電流は、電流検出部113によって検出される。電流検出部113は、例えば従来公知の電流計で構成される。電流検出部113で検出された電流値は、制御部60に入力され、制御部60による電力制御部20の制御に用いられる。参照電極112とカソード120との間の電位差は、電圧検出部114によって検出される。電圧検出部114は、例えば従来公知の電圧計で構成される。電圧検出部114で検出された電位差の値は制御部60に入力され、制御部60による電力制御部20の制御に用いられる。なお、必要に応じて、電圧検出部114は参照電極112とアノード130との間の電位差を検出してもよい。
【0016】
制御部60は、カソード120および/またはアノード130の電位を所定の電位に調整する。制御部60は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現される。このことは、当業者には当然に理解されるところである。制御部60は、カソード120および/またはアノード130の電位が所定の電位となるように、電力制御部20の正極出力端子および負極出力端子の出力を制御する。また、制御部60は、カソード120および/またはアノード130における電流密度が所定値となるように電力制御部20の出力を制御する。
【0017】
基質貯蔵槽30には、基質としての二置換芳香族化合物が貯蔵される。二置換芳香族化合物とは、2つの置換基で置換された芳香族性環(以下では適宜、二置換芳香族性環という)を少なくとも1つ有する化合物である。二置換芳香族化合物には、芳香族炭化水素化合物の二置換体と、含窒素複素環式芳香族化合物の二置換体とが含まれる。芳香族炭化水素化合物が有する芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニルエタンなどが例示される。これらは単独で用いられても、組み合わせて用いられてもよい。含窒素複素環式芳香族化合物が有する含窒素複素環としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、N-アルキルピロール、N-アルキルインドール、N-アルキルジベンゾピロールなどが例示される。これらは単独で用いられても、組み合わせて用いられてもよい。また、芳香族炭化水素化合物と含窒素複素環式芳香族化合物とは、単独で用いられても組み合わせて用いられてもよい。
【0018】
芳香族炭化水素化合物に含まれる芳香環、および含窒素複素環式芳香族化合物に含まれる複素芳香環は、2つの置換基で置換されている。つまり、二置換芳香族性環には、二置換芳香環および二置換複素芳香環が含まれる。置換基の種類は、特に限定されるものではないが、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、エステル、アミド、エーテル、ハロゲン等が例示される。2つの置換基は、同一であっても異なっていてもよい。また、2つの置換基の位置は、オルト位、メタ位およびパラ位のいずれであってもよい。
【0019】
基質が常温で固体である場合や粘性が高い場合等、基質をそのままの状態で電解反応に供せない場合には、基質を溶媒で希釈してもよい。溶媒は、特に限定されない。しかしながら、溶媒が電極に付着したり電解反応で還元されたりすると、基質の電解反応が阻害され得る。このため、溶媒は、基質の電解反応を阻害することなく基質を反応点に送り届けられるものが好ましい。なお、基質が常温で液体であり、且つ電解反応に供することができる程度に粘性が低い場合には、溶媒は省略することができる。
【0020】
基質貯蔵槽30に貯蔵された二置換芳香族化合物は、第1供給装置32によって固体高分子形電解ユニット100のカソード120に供給される。基質貯蔵槽30と第1供給装置32とは、固体高分子形電解ユニット100に二置換芳香族化合物を供給する供給部34を構成する。第1供給装置32としては、例えば、ギアポンプあるいはシリンダーポンプ等の各種ポンプ、または自然流下式装置等を用いることができる。
【0021】
基質貯蔵槽30とカソード120との間には、循環経路36が設けられる。循環経路36は、基質の流れにおけるカソード120の上流側で基質貯蔵槽30とカソード120とをつなぐ往路部36aと、基質の流れにおけるカソード120の下流側でカソード120と基質貯蔵槽30とをつなぐ復路部36bとを含む。往路部36aの途中には、第1供給装置32が設けられる。
【0022】
供給部34は、往路部36aを介してカソード120に二置換芳香族化合物を供給する。カソード120において還元された二置換芳香族化合物の還元物と、未反応の二置換芳香族化合物とは、復路部36bを経て基質貯蔵槽30に戻される。なお、カソード120で進行する主反応ではガスは発生しないが、水素等のガスが副生する場合には復路部36bの途中に気液分離手段を設けてもよい。また、復路部36bは設けられなくてもよい。
【0023】
水素貯蔵槽40には、例えば加湿された水素ガスが貯蔵される。以下では適宜、加湿された水素ガスを、単に「水素ガス」と記す。水素ガスの露点温度は、例えば室温~100℃であり、より好ましくは50~100℃である。水素貯蔵槽40に貯蔵された水素ガスは、第2供給装置42によって固体高分子形電解ユニット100のアノード130に供給される。第2供給装置42としては、例えば各種のガスフローコントローラー、または自然流下式装置等を用いることができる。
【0024】
水素貯蔵槽40とアノード130との間には、循環経路44が設けられる。循環経路44は、水素ガスの流れにおけるアノード130の上流側で水素貯蔵槽40とアノード130とをつなぐ往路部44aと、水素ガスの流れにおけるアノード130の下流側でアノード130と水素貯蔵槽40とをつなぐ復路部44bとを含む。往路部44aの途中には、第2供給装置42が設けられる。
【0025】
水素ガスは、往路部44aを介してアノード130に供給される。アノード130において未反応の水素ガスは、復路部44bを経て水素貯蔵槽40に戻される。なお、復路部44bは設けられなくてもよい。
【0026】
図2は、固体高分子形電解ユニット100の概略構成を示す断面図である。本実施の形態の固体高分子形電解ユニット100は、フィルム形状の電解質膜の一方の側にアノード室を、他方の側にカソード室をそれぞれ有する固体高分子形電解槽である。より具体的には、固体高分子形電解ユニット100は、膜電極接合体102と、膜電極接合体102を挟む一対のセパレータ150a,150bとを備える。膜電極接合体102は、固体高分子電解質膜110と、カソード120と、アノード130とを有する。
【0027】
固体高分子電解質膜110は、アノード130とカソード120との間に設けられる。固体高分子電解質膜110は、プロトン伝導性を有する材料(アイオノマー)で形成される。固体高分子電解質膜110は、プロトンを選択的に伝導する一方で、カソード120とアノード130との間で物質が混合したり拡散したりすることを抑制する。固体高分子電解質膜110の厚さは、例えば5~300μmである。固体高分子電解質膜110の厚さを5μm以上とすることで、固体高分子電解質膜110のバリア性を確保して、二置換芳香族化合物等のクロスリークの発生をより確実に抑制することができる。また、固体高分子電解質膜110の厚さを300μm以下とすることで、イオン移動抵抗が過大になることを抑制することができる。
【0028】
固体高分子電解質膜110は、プロトン伝導性を有する材料として、好ましくはパーフルオロスルホン酸を含む。例えば固体高分子電解質膜110は、パーフルオロスルホン酸のポリマーで構成される。当該ポリマーとしては、ナフィオン(登録商標)やフレミオン(登録商標)などが例示される。固体高分子電解質膜110には、多孔性のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の補強材が混合されてもよい。補強材を導入することで、固体高分子電解質膜110の寸法安定性を高めることができる。これにより、固体高分子電解質膜110の耐久性を向上させることができる。また、二置換芳香族化合物等のクロスオーバーを抑制することができる。
【0029】
カソード120は、二置換芳香族化合物を還元してシス-二置換非芳香族化合物を生成するための電極であり、固体高分子電解質膜110の一方の側に配置される。本実施の形態では、カソード120は固体高分子電解質膜110の一方の主表面に接するように設けられている。カソード120は、カソード触媒層122および拡散層124が積層された構造を有する。カソード触媒層122は、拡散層124よりも固体高分子電解質膜110側に配置される。
【0030】
カソード触媒層122は、固体高分子電解質膜110の一方の主表面に接している。カソード触媒層122は、二置換芳香族化合物の二置換芳香族性環をプロトンで水素化するための触媒金属を含む。好ましくは、カソード触媒層122は、Pt,Pd,Rh,RuおよびIrからなる群から選択される少なくとも一種の元素を触媒として含む。カソード触媒層122がこれらの触媒元素を含むことで、シス-二置換非芳香族化合物を高選択的に製造することができる。
【0031】
触媒元素は、電子伝導性材料で構成される触媒担体によって担持される。触媒元素を触媒担体に担持させることで、カソード触媒層122の表面積を拡大することができる。また、触媒元素の凝集を抑制することができる。触媒担体に用いられる電子伝導性材料の電子伝導度は、好ましくは1.0×10-2S/cm以上である。電子伝導性材料の電子伝導度を1.0×10-2S/cm以上とすることで、カソード触媒層122に対してより確実に電子伝導性を付与することができる。
【0032】
触媒担体としては、例えば多孔性カーボン、多孔性金属、多孔性金属酸化物のいずれかを主成分として含有する電子伝導性材料を挙げることができる。多孔性カーボンとしては、例えばケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、ファーネスブラック、バルカン(登録商標)などのカーボンブラックが挙げられる。多孔性金属としては、例えばPtブラック、Pdブラック、フラクタル状に析出させたPt金属などが挙げられる。多孔性金属酸化物としては、例えばTi、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの酸化物が挙げられる。また、触媒担体には、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wなどの金属の窒化物、炭化物、酸窒化物、炭窒化物、部分酸化した炭窒化物といった、多孔性の金属化合物も用いることができる。
【0033】
触媒元素を担持した状態の触媒担体は、アイオノマーで被覆される。これにより、カソード120のイオン伝導性を向上させることができる。アイオノマーとしては、例えばナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸ポリマー等を挙げることができる。なお、カソード触媒層122に含まれるアイオノマーは、触媒元素を部分的に被覆していることが好ましい。これによれば、カソード触媒層122における電気化学反応に必要な3要素(二置換芳香族化合物、プロトン、電子)を効率的に反応場に供給することができる。
【0034】
カソード触媒層122の厚さは、例えば1~100μmである。カソード触媒層122の厚さを上述の範囲とすることで、プロトンの移動抵抗の増大を抑制でき、また二置換芳香族化合物の拡散性を保持することができる。
【0035】
カソード触媒層122は、例えば触媒成分粉末と、水等の溶媒と、アイオノマーとを混合して触媒インクを調製し、得られた触媒インクを拡散層124に塗布し、乾燥後にホットプレスすることで作製することができる。なお、触媒インクの塗布と乾燥とを複数回に分けて行った後に、ホットプレスを実施することが好ましい。これにより、より均質なカソード触媒層122を得ることができる。また、カソード触媒層122は、固体高分子電解質膜110上に形成してもよい。
【0036】
拡散層124は、セパレータ150aから供給される二置換芳香族化合物をカソード触媒層122に均一に拡散させる機能を担う。拡散層124を構成する材料は、二置換芳香族化合物に対して親和性が高いことが好ましい。拡散層124を構成する材料としては、例えばカーボンの織布(カーボンクロス)、カーボンの不織布、カーボンペーパー等を挙げることができる。カーボンクロスは、数μmの径の細いカーボン繊維を数百本の束とし、この束を織布としたものである。また、カーボンペーパーは、カーボン原料繊維を製紙法にて薄膜の前駆体とし、これを焼結したものである。拡散層124の厚さは、好ましくは50~1000μmである。
【0037】
カソード120は、カソード触媒層122と拡散層124との間に図示しない緻密層を有してもよい。緻密層は、カソード触媒層122の面方向への二置換芳香族化合物の拡散を促す機能を有する。特に、緻密層を設けることで、拡散層124におけるセパレータ150aと直に接する領域の直下に、二置換芳香族化合物を拡散させることができる。
【0038】
セパレータ150aは、固体高分子電解質膜110とは反対側のカソード120の主表面に積層される。セパレータ150aは、例えばカーボン樹脂や、Cr-Ni-Fe系、Cr-Ni-Mo-Fe系、Cr-Mo-Nb-Ni系、Cr-Mo-Fe-W-Ni系あるいはTi系などの耐食性合金で形成することができる。セパレータ150aの拡散層124側の面には、単数又は複数の溝状の流路152aが設けられる。流路152aには、往路部36aおよび復路部36bが接続される。セパレータ150aと、固体高分子電解質膜110と、これらの間に配置される枠状のスペーサ126とでカソード室が画成され、カソード室にカソード触媒層122と拡散層124とが収容される。
【0039】
カソード室の流路152aには、往路部36aを介して二置換芳香族化合物が流入する。二置換芳香族化合物は、流路152aから拡散層124に浸み込む。カソード触媒層122での電解還元反応の生成物と未反応の二置換芳香族化合物とは、復路部36bを介してカソード室から外部に流出し、基質貯蔵槽30に戻される。流路152aの形態は、特に限定されないが、例えば直線状流路、サーペンタイン流路などを採用し得る。あるいは、セパレータ150aが多孔体層を有し、多孔体層の空隙によって流路152aが構成されてもよい。
【0040】
アノード130は、水素ガスからプロトンを生成するための電極であり、固体高分子電解質膜110の一方の側、すなわちカソード120が配置される側とは反対側に配置される。アノード130は、アノード触媒層132および拡散層134が積層された構造を有する。アノード触媒層132は、拡散層134よりも固体高分子電解質膜110側に配置される。
【0041】
アノード触媒層132は、固体高分子電解質膜110の他方の主表面に接している。アノード触媒層132は、水素ガスからプロトンを生成するための触媒金属を含む。例えば、アノード触媒層132は、Ru、Rh、Pd、IrおよびPtからなる群から選択される少なくとも一種の元素を触媒として含む。触媒元素は、電子伝導性を有する金属基材に分散担持、又はコーティングされてもよい。このような金属基材としては、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、Wなどの金属、あるいはこれらを主成分とする合金などで構成される、金属繊維(繊維径:例えば10~30μm)、メッシュ(メッシュ径:例えば500~1000μm)、金属多孔体の焼結体、発泡成型体(フォーム)、エキスパンドメタル等を挙げることができる。アノード触媒層132の厚さは、例えば0.1~10μmである。
【0042】
拡散層134は、セパレータ150bから供給される水素ガスをアノード触媒層132に均一に拡散させる機能を担う。拡散層134を構成する材料としては、例えばカーボンの織布(カーボンクロス)、カーボンの不織布、カーボンペーパー等を挙げることができる。拡散層134の厚さは、好ましくは50~1000μmである。
【0043】
セパレータ150bは、固体高分子電解質膜110とは反対側のアノード130の主表面に積層される。セパレータ150bは、セパレータ150aと同様の材料で構成することができる。セパレータ150bの拡散層134側の面には、単数又は複数の溝状の流路152bが設けられる。流路152bには、往路部44aおよび復路部44bが接続される。セパレータ150bと、固体高分子電解質膜110と、これらの間に配置される枠状のスペーサ136とでアノード室が画成され、アノード室にアノード触媒層132と拡散層134とが収容される。
【0044】
アノード室の流路152bには、往路部44aを介して水素ガスが流入する。水素ガスは、流路152bから拡散層134に浸み込む。未反応の水素ガスは、復路部44bを介してアノード室から外部に流出し、水素貯蔵槽40に戻される。流路152bの形態は、流路152aと同様である。なお、アノード130には、水素ガスに代えて、イオン交換水、純水、あるいはこれらに硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の酸を加えた水溶液(以下では適宜、これらをまとめて「アノード液」という)が供給されてもよい。この場合、アノード触媒層132は、アノード液中の水を酸化してプロトンを生成する。水素ガスに代えてアノード液を供給することで、製造装置10の簡素化を図ることができる。
【0045】
固体高分子形電解ユニット100は、二置換芳香族化合物を電解還元して二置換芳香族性環を水素化し、シス-二置換非芳香族化合物を製造する。二置換芳香族化合物としてp-キシレンを用いた場合の固体高分子形電解ユニット100における反応は、以下の通りである。
<アノード130での電極反応>
→2H+2e:E=0V
<カソード120での電極反応>
p-キシレン+6H+6e→1,4-ジメチルシクロヘキサン:E=+0.10V
<全反応>
p-キシレン+3H→1,4-ジメチルシクロヘキサン
【0046】
すなわち、アノード130での電極反応と、カソード120での電極反応とが並行して進行する。そして、アノード130で生じたプロトンが、固体高分子電解質膜110を介してカソード120に供給される。カソード120に供給されたプロトンは、カソード120において二置換芳香族化合物であるp-キシレンの還元に利用される。
【0047】
カソード120での電極反応では、p-キシレンの還元によって、二置換非芳香族化合物として1,4-ジメチルシクロヘキサンのシス体とトランス体とが生成され得る。本実施の形態の製造装置10によれば、シス-1,4-ジメチルシクロヘキサンを高選択的に生成することができる。
【0048】
また、カソード触媒層122がPtまたはRuを含む場合に、より好ましくはカソード触媒層122がRuを含む場合に、シス-1,4-ジメチルシクロヘキサンをより高選択的に生成することができる。また、より好ましい態様として、制御部60はカソード120の電流密度を、25mA/cm以下に調整する。これにより、シス-1,4-ジメチルシクロヘキサンを生成する際の電流効率を向上させることができる。
【0049】
[シス-二置換非芳香族化合物の製造方法]
本実施の形態に係るシス-二置換非芳香族化合物の製造方法では、固体高分子形電解ユニット100を用いて、二置換芳香族化合物を電解還元して二置換芳香族性環を水素化し、シス-二置換非芳香族化合物を製造することを含む。より具体的には、アノード130のアノード触媒層132に水素ガスが供給される。また、カソード120のカソード触媒層122に二置換芳香族化合物が供給される。そして、電力制御部20によって、固体高分子形電解ユニット100のアノード130とカソード120との間に所定の電圧が印加される。
【0050】
これにより、アノード触媒層132においてプロトンが生成される。生成されたプロトンは、固体高分子電解質膜110を通過して、カソード120側に移動する。カソード触媒層122において、固体高分子電解質膜110を通過したプロトンで二置換芳香族性環が水素化されて、シス-二置換非芳香族化合物が生成される。プロトンの生成工程と、電解還元反応によるシス-二置換非芳香族化合物の生成工程とは、少なくとも一時において並行して起こる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態に係るシス-二置換非芳香族化合物の製造装置10とシス-二置換非芳香族化合物の製造方法とは、固体高分子形電解ユニット100によって二置換芳香族化合物を電解還元してシス-二置換非芳香族化合物を製造することを含む。したがって、本実施の形態によれば、シス-二置換非芳香族化合物の製造に関する新規な技術を得ることができる。
【0052】
従来の化学プロセスでは、触媒を分散させた溶液中に基質としての二置換芳香族化合物を混合してシス-二置換非芳香族化合物を製造することが一般的であった。このプロセスでは、反応後に溶液中の触媒と生成物とを分離する工程が必要であった。これに対し、本実施の形態では固体高分子形電解ユニット100が用いられるため、触媒と生成物とを分離する工程を省くことができる。したがって、シス-二置換非芳香族化合物の製造工程を簡略化することができる。
【0053】
また、従来の化学プロセスでは、トランス-二置換非芳香族化合物の生成割合が高かった。このため、生成物からシス-二置換非芳香族化合物を分離することが困難であった。一方、本実施の形態によれば、シス-二置換非芳香族化合物を高選択的に生成することができるため、生成物からシス-二置換非芳香族化合物を分離することが容易である。
【0054】
また、本実施の形態によれば、50℃および常圧の温和な条件下でシス-二置換非芳香族化合物を高選択的に生成することができる。このため、副反応の発生を抑制することができる。また、固体高分子形電解ユニット100を用いることで、液型電解に比べて電解槽の大きさを小さくすることができる。また、カソード120における過電圧を小さくすることができる。このため、より簡単な電位制御が可能となる。電位制御が容易になるため、より高精度な電位制御も可能となる。
【0055】
また、固体高分子形電解ユニット100のカソード触媒層122は、好ましくはPt,Pd,Rh,RuおよびIrからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む。これにより、トランス-二置換非芳香族化合物に比べて、シス-二置換非芳香族化合物を高選択的に製造することができる。また、本実施の形態では、アノード130に水素ガスが供給される。このため、アノード130の電位は、0V(vs.RHE)となる。したがって、アノード130を参照電極112の代わりとして用いることができる。よって、参照電極112を省略することができる。
【実施例
【0056】
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0057】
(実施例1)
<アノードの作製>
触媒担体としての多孔性カーボンに触媒金属としての白金を担持させた、Pt/C触媒(品番:TEC10E50E、田中貴金属工業社製)の粉末に、ナフィオン(登録商標)分散液DE2020(デュポン社製)を添加し、適宜溶媒を用いてアノード触媒層用の触媒インクを調製した。ナフィオン(登録商標)分散液の添加量は、乾燥後のナフィオン(登録商標)と触媒中のカーボンとの質量比が0.8:1となる量とした。
【0058】
また、大きさ4cmの拡散層(製品名:SGL35BC、SGLカーボン社製)を用意した。そして、調製した触媒インクを、拡散層の一方の主表面にスプレー塗布した。触媒インクは、Ptの質量が電極面積あたり0.5mg/cmとなるように塗布した。その後、触媒インクを塗布した拡散層を80℃で乾燥させて、触媒インク中の溶媒成分を除去した。続いて、120℃、0.4MPaの条件で1分間熱接合し、アノード触媒層と拡散層とからなる第1積層体を得た。
【0059】
<カソードの作製>
アノードの作製と同様の手順で、カソード触媒用の触媒インクを調製し、この触媒インクを拡散層へスプレー塗布し、熱接合を実施し、カソード触媒層と拡散層とからなる第2積層体を得た。
【0060】
<膜電極接合体の作製>
厚さ50μmの固体高分子電解質膜(製品名:ナフィオン(登録商標)212、デュポン社製)を用意した。そして、第1積層体と第2積層体との間にこの電解質膜を挟み込み、120℃、0.4MPaの条件で1分間熱接合した。これにより、拡散層、カソード触媒層、固体高分子電解質膜、アノード触媒層および拡散層からなる膜電極接合体(MEA)を得た。
【0061】
<生成物の測定>
MEAのカソード側に加湿窒素を、アノード側に加湿水素を、それぞれ流速100mL/分で1時間流通させ、MEAに前処理を施した。加湿窒素および加湿水素の露点は、それぞれ50℃とした。前処理の後、MEAのカソード側に、基質としてのp-キシレンからなるカソード溶液を流通させた。カソード溶液は、シリンジを用いて流速0.25mL/分で流通させた。また、アノード側には、引き続き加湿水素を流速100mL/分で流通させた。そして、所定の電流をMEAに通電し、20分間の定電流電解を実施した。カソードにおける電流密度は、表1に示す値となるように設定した。
【0062】
定電流電解の後、ガスクロマトグラフ(GC)(製品名:GC-2014、島津製作所製、検出器FID)を用いて、カソード溶液に含まれる反応生成物を定量した。得られた各生成物のモル比から、定電流電解で流した電流における各生成物の生成に用いられた電流の割合を、生成物の電流効率(%)として算出した。結果を表1に示す。また、トランス体のモル分率とシス体のモル分率との比率(cis/trans)を算出した。結果を表1に示す。
【0063】
(実施例2)
カソード触媒層に、Pt/Cに代えてRu/CBを用いた点を除いて、実施例1と同様にMEAを作製し、生成物の電流効率(%)と、トランス体とシス体の比率とを算出した。結果を表1に示す。Ru/CBは、以下の手順で調製した。すなわち、まずRuClとカーボンブラック(CB)とを純水中に分散させ、得られた溶液に60℃で30分間の超音波処理を施した。その後、溶液をドライアップした。得られた試料を60℃で一晩乾燥させた後、350℃で水素還元して、Ru/CBを得た。Ru/CBにおけるRuの濃度は、熱重量分析で測定して27質量%であった。
【0064】
(実施例3)
カソード触媒層に、Pt/Cに代えてPtRu/C(品番:TEC61E54、Pt21.6wt%、Ru32.4wt%、田中貴金属工業社製)を用いた点を除いて、実施例1と同様にMEAを作製し、生成物の電流効率(%)と、トランス体とシス体の比率とを算出した。結果を表1に示す。
【0065】
(実施例4)
カソード触媒層に、Pt/Cに代えてRh/CBを用いた点を除いて、実施例1と同様にMEAを作製し、生成物の電流効率(%)と、トランス体とシス体の比率とを算出した。結果を表1に示す。Rh/CBは、以下の手順で調製した。すなわち、まずRhClとカーボンブラック(CB)とを純水中に分散させ、得られた溶液に60℃で30分間の超音波処理を施した。その後、溶液をドライアップした。得られた試料を60℃で一晩乾燥させた後、350℃で水素還元して、Rh/CBを得た。Rh/CBにおけるRhの濃度は、熱重量分析で測定して29質量%であった。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示すように、実施例1~4から、二置換芳香族化合物の電解還元によってシス-二置換非芳香族化合物を高選択的に製造できることが確認された。また、カソードの触媒金属としてPtまたはRuを含む場合は、Rhを含む場合に比べてシス-二置換非芳香族化合物の選択性が高いことが確認された。さらに、実施例1~3から、カソードの触媒金属としてRuを含む場合は、シス-二置換非芳香族化合物の選択性がより向上することが確認された。また、実施例2,3から、Ruの割合が高いとシス-二置換非芳香族化合物の選択性がより一層向上することが確認された。
【0068】
また、実施例1~4から、カソードの触媒金属としてPtを含む場合は、RuまたはRhを含む場合に比べてシス-二置換非芳香族化合物を生成する際の電流効率が高まる傾向にあることが確認された。また、実施例1,3,4から、電流密度を25mA/cm以下の場合に、シス-二置換非芳香族化合物を生成する際の電流効率が高まる傾向にあることが確認された。また、実施例2から、カソードの触媒金属としてRuのみを含む場合は、電流密度を25mA/cm以上とした場合であっても、シス-二置換非芳香族化合物を生成する際の電流効率を維持できることが確認された。
【0069】
なお、表1において各生成物の電流効率の合計が100%とならないのは、一部の電流が水素ガスの生成に用いられたためである。また、当業者であれば、カソードの触媒金属としてPt、RuおよびRhを用いた実施例1~4の結果から、PdおよびIrを触媒金属として用いた場合にも同様の結果が得られることを理解することができる。
【0070】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0071】
実施の形態で説明した構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【符号の説明】
【0072】
10 製造装置、 34 供給部、 100 固体高分子形電解ユニット、 110 固体高分子電解質膜、 120 カソード、 122 カソード触媒層、 130 アノード、 132 アノード触媒層。
図1
図2