(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ライト部搭載の受電装置と篏合するバッテリー搭載装置を有するワイヤレス給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220715BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20220715BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220715BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/12
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2021509446
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020012993
(87)【国際公開番号】W WO2020196508
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2019062924
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501180045
【氏名又は名称】株式会社エーオーアイ・ジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】518371951
【氏名又は名称】株式会社レゾンテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】特許業務法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】久野 義憲
(72)【発明者】
【氏名】関沢 康史
(72)【発明者】
【氏名】田原 研二
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-502612(JP,A)
【文献】特開2013-172506(JP,A)
【文献】特表2015-525482(JP,A)
【文献】特表2006-517778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/00-50/90
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を発生する第1の給電コイルと、
該第1の給電コイルに電磁波を発生させるべく電力を供給する第1の給電回路部と、
前記第1の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により受け取る第1の受電コイルと、
該第1の受電コイルに発生したエネルギーを回収する第1の受電回路部と、
該第1の受電回路部が回収したエネルギーを蓄える第1のバッテリーと
を有し、
前記第1の給電コイルと前記第1の受電コイルとが所定の共振周波数で共振する現象を用いた電磁誘導により電気的エネルギーを供給して前記第1のバッテリーを充電する第1のワイヤレス給電システムと、
電磁波を発生する第2の給電コイルと、
該第2の給電コイルに電磁波を発生させるべく電力を供給する第2の給電回路部と、
前記第2の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により受け取る第2の受電コイルと、
該第2の受電コイルに発生したエネルギーを回収する第2の受電回路部と、
該第2の受電回路部が回収したエネルギーを消費するエネルギー消費回路部と
を有し、
前記第2の給電コイルと前記第2の受電コイルとが所定の共振周波数で共振する現象を用いた電磁誘導により電気的エネルギーを供給して前記エネルギー消費回路部にエネルギーを供給する第2のワイヤレス給電システムと
の二つのワイヤレス給電システムからなる複合的なワイヤレス給電システムであって、
前記第1の受電コイルを前記第2の給電コイルと兼用するワイヤレス受給電コイルとして構成し、
前記第1のバッテリーを前記第2の給電コイルに電磁波を発生させる電力源とし、
第2の給電回路部と第1の受電回路部とを一つの回路基板で実装して所定のモード切換手段により給電モードと受電モードとを切換可能とした受給電回路部として構成し、
前記モード切換手段によって、
給電モードが有効の場合、前記第2の給電回路部が有効になり、前記ワイヤレス受給電コイルから前記第二の受電コイルに向けて電磁波を出力して前記エネルギー消費回路部にエネルギーを供給し、
受電モードが有効の場合、前記第1の受電回路部が有効になり、前記第1の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により、前記ワイヤレス受給電コイルに発生したエネルギーを回収し、前記第一のバッテリーに充電するワイヤレス給電システムにおいて、
前記ワイヤレス受給電コイルと、前記第1のバッテリーと、前記受給電回路部と、前記モード切換手段とをバッテリー搭載装置として一体的に構成し、
前記第二の受電コイルと、前記第二の受電回路部と、前記エネルギー消費回路部とを末端消費部として一体的に構成し、
該末端消費部は、数種類の機能の異なる前記エネルギー消費回路部をそれぞれ有する複数種類のものとして構成し、前記バッテリー搭載装置に対して、取り換え可能であって、前記末端消費部と前記バッテリー搭載装置とは、電気的接合部が外に露出しないようにして接続されるものであることを特徴とするワイヤレス給電システム。
【請求項2】
前記エネルギー消費回路部は、電気エネルギーを光に変換する回路であって、
前記末端消費部は、数種類の機能をそれぞれ有するライト部として構成されることを特徴とする請求項1に記載したワイヤレス給電システム。
【請求項3】
前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルと、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルとが近接するように、前記エネルギー消費回路部と前記バッテリー搭載装置が嵌合する嵌合部をさらに有し、
前記嵌合部は、直接的な電気的接合部を持たず、防水対策された嵌合部であって、
前記受給電回路部は、さらに制御回路を有し、
前記制御回路は、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルと、前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルとの近接状態を検出して、前記エネルギー消費回路部へのエネルギー供給を連続的かつ高いエネルギーにて実行することを特徴とする請求項1に記載したワイヤレス給電システム。
【請求項4】
前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルと、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルとが近接するように、前記エネルギー消費回路部と前記バッテリー搭載装置が嵌合する嵌合部をさらに有し、
前記嵌合部は、直接的な電気的接合部を持たず、防水対策された嵌合部であって、
前記受給電回路部は、さらに制御回路を有し、
前記制御回路は、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルと、前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルとの近接状態を検出して、前記エネルギー消費回路部へのエネルギー供給を連続的かつ高いエネルギーにて実行することを特徴とする請求項2に記載したワイヤレス給電システム。
【請求項5】
前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルと、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルとが近接するように、前記エネルギー消費回路部と前記バッテリー搭載装置が嵌合する嵌合部をさらに有し、
前記嵌合部は、直接的な電気的接合部を持たず、防水対策された嵌合部であって、
前記受給電回路部は、さらに制御回路を有し、
前記エネルギー消費回路部と、前記バッテリー搭載装置とのそれぞれには、さらにマグネットおよびマグネットスイッチが設けられ、
前記制御回路は、前記マグネットスイッチの出力に基づいて、前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルと前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルとの近接状態を検出して、それに基づいて、前記エネルギー消費回路部へのエネルギー供給を連続的かつ高いエネルギーにて実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したワイヤレス給電システム。
【請求項6】
前記バッテリー搭載装置若しくは前記末端消費部には、さらにLEDライトおよび小容量のバックアップバッテリーが設けられて、
さらにまた、お互いの装置を認識しやすくする蓄光材料による発光部を具備し、
前記バッテリー搭載装置と、前記末端消費部との間の篏合状態が解除された際に、前記LEDライトが一定時間、発光して、前記末端消費部の交換を容易にする事を特徴とした請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載したワイヤレス給電システム。
【請求項7】
前記末端消費部は、電気エネルギーを光に変換する回路であって、
前記バッテリー搭載装置と前記末端消費部とが嵌合した状態にあって、前記末端消費部の発する光の方向を自由に変えられるように回転部を有しており、
前記第二の受電回路により、当該回転部の回転方向もしくは回転位置を検出する機能を有し、
前記バッテリー搭載装置側の前記制御回路は、該回転方向若しくは回転位置により、前記ワイヤレス受給電コイルを介する電気エネルギーの供給を制御して、ライトの強弱若しくはライトの色若しくは点灯と点滅を変更できる事を特徴とした請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載したワイヤレス給電システム。
【請求項8】
前記受給電回路部の給電モードに関わる回路は、
前記ワイヤレス受給電コイルとの組み合わせで並列共振回路を形成するよう、共振周波数に調整された共振用コンデンサーと、
前記給電コイルに対して、電源供給のオン(駆動状態)と、オフ(共振状態)とを周期的に繰り返すスイッチング回路と、
前記ワイヤレス受給電コイルに対して供給する電源の周波数を変更する周波数調整回路と、
前記給電コイルの共振状態を検出し、前記周波数調整回路及び前記制御回路に検出信号を出力する共振状態センサーを、
さらに有し、
前記制御回路は、
前記スイッチング回路と、前記周波数調整回路との双方を統括して制御し、
当該共振状態センサーからの情報にしたがって、最適な共振周波数と安定した共振状態となるように、給電の周波数と駆動時間を定め、それに従って前記
スイッチング回路と前記周波数調整回路とを制御するとともに、
異常な共振状態や、水中若しくは塩水の中で電磁波を出力した際に起こりうる放電異常状態であると判断した場合、更には温度検出による発熱、過電圧や過電流を検知し、異常状態であると判断した場合には、給電を止めることを特徴とする請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載するワイヤレス給電システム。
【請求項9】
前記モード切換手段は、
前記バッテリー搭載装置と前記末端消費部とが篏合していない若しくは篏合状態を感知していない状態の時、待機状態の給電モードで動作し、篏合状態を感知した時に、待機状態の給電モードから受電モードに切り替えることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項10】
前記モード切換手段は、
受電モードでは第1の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により受け取るワイヤレス受給電コイルと、該ワイヤレス受給電コイルに発生したエネルギーを回収する第1の受電回路部により構成されるものであって、
所定の受電レベルでは無い場合には、受電モードから待機状態の給電モードに切り替えるものであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のワイヤレス給電システム。
【請求項11】
前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイル、前記第1の給電コイル、及び、前記第2の受電コイルは、巻線部を囲む円筒状の部分と、巻線部の軸の部分と、円筒状の部分の一方の底面がフェライトで構成されたポット形フェライトコアであり、
給電モードでは、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルと前記第2の受電コイルとが、受電モードでは、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルと前記第1の給電コイルとが、芯穴を中心として篏合し、フェライトの底面が設けられていない側で向かい合わせの状態で配置され、
受電モード又は給電モードにあっては、芯穴を中心として回転しても、ワイヤレス給電をし続ける事を特徴とした請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載したワイヤレス給電システム。
【請求項12】
さらに、双方向の通信手段を有し、
受電モード又は給電モードで、ワイヤレス受給電を行っている際に、該ワイヤレス給電システムは、双方向のデータ通信を可能とした所定の通信手段を有し、
受給電回路部のコントロール部によって、バッテリーの充電状況を検出し、その数値を、前記通信手段で、相手方へ通信し、
前記エネルギー消費
回路部では少なくともエネルギー消費量を記録する仕組みと、その数値を前記通信手段で、前記バッテリー搭載装置へ通信する事を特徴とした請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載したワイヤレス給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電システム、特に共振方式の誘導結合により給電するシステムに関する。さらに言えば、バッテリー搭載のライトに利用されるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水中ライトにおいて、専用のバッテリー搭載装置に着脱し、複数種類のライトを取り替え利用する水中ライトがある。
一方、ワイヤレス給電の技術においては、種々の方法、方式に基づいた装置が、数多く提案されている。その中でも、電磁誘導を使った方法は、広く一般的に知られている。
【0003】
特許文献1には、電磁界共振による結合で比較的遠距離に給電できるワイヤレス給電にあって、より幅広い周波数の利用拡大を可能とするワイヤレス給電の方法及び給電システムが開示されている。電磁界共振ワイヤレス給電方法は、送電デバイスの送電回路と受電デバイスの受電回路とが電磁界共振で結合されるワイヤレス給電にあって、送電デバイスを、電源2に異なる2つの周波数成分f1及びf2を用い、送電回路の共振周波数をf1及び/又はf2とし、送電回路の条件を周期的に変化させて電流及び/又は電圧の安定しない電気的過渡状態とし、受電デバイスを、受電回路の共振周波数をうなり現象による(f2-f1)又は(f1+f2)とし、該(f2-f1)又は(f1+f2)の周波数による電力を負荷に供給することを特徴とするものである。
【0004】
特許文献2には、電力伝送デバイスとしてループコイルを用い、非常にシンプルなワイヤレス給電器が開示されている。送電装置に設けられている送電ループコイルは、直流電源から電気エネルギーを取り出して、周期的に変化する電磁界共鳴エネルギーを空間に発生させる。受電器に設けられている受電ループコイルは、周期的に変化する電磁界共鳴エネルギーを空間から電気エネルギーとして取り出して負荷に電力を供給する。送電ループコイルと受電ループコイルとは電磁界共鳴結合し、送電装置から受電器へワイヤレスで電力が給電される。
【0005】
特許文献3には、複数の中継装置を備えるワイヤレス給電システムであって、中継装置による電力の伝送効率の低下を抑制するワイヤレス給電システムが開示されている。給電される電力を送電する送電装置と、前記送電装置から送電された前記電力を中継する複数の中継装置と、前記中継装置で中継された前記電力を受電する受電器と、前記中継装置を経由して前記送電装置から前記受電器に前記電力を伝送する複数の伝送経路において前記電力の伝送効率が最も高くなる前記伝送経路で電力伝送するように前記中継装置を制御する制御装置と、を備えるものである。
【0006】
特許文献4には、磁気共振型ワイヤレス給電システムの電力の伝送効率を上昇させる技術が開示されている。磁気共振型ワイヤレス給電システムは、交流電源と、交流電源に接続される電圧変換用コイルと、送電側LC回路と、受電側LC回路と、インピーダンス変換用コイルと、インピーダンス変換用コイルに接続される負荷と、負荷に並列に接続される伝送効率調整用コンデンサーとを備える。送電側LC回路は、電圧変換用コイルの近傍に配置され、電圧変換用コイルとの間の電磁誘導により励起される送電側コイル及び送電側コンデンサーを有する。受電側LC回路は、送電側コイルと共振する受電側コイル及び受電側コンデンサーを有する。インピーダンス変換用コイルは、受電側LC回路の近傍に配置され、受電側コイルとの間の電磁誘導により励起される。伝送効率調整用コンデンサーは、交流電源から負荷への電力の伝送効率を上昇させるような容量を有する。
【0007】
特許文献5には、あらゆる受電機器に対し、汎用性が高く応用性の高いワイヤレス給電システムが開示されている。ワイヤレス給電システムは、給電部を有する給電台から受電部を搭載した受電機器へ無接点で電力を給電するワイヤレス給電システムであって、給電台と受電機器との間に中間部材を備えたことを特徴とする。受電機器が異なった場合であっても、単一の給電器で給電を行うことができる。また、受電機器は、給電中に受電機器の配置を変化させることができるため、汎用性が高く応用性の高いワイヤレス給電システムを提供することができる。
【0008】
特許文献6には、ワイヤレス給電器において、給電器と受電器の方式や大きさや形状に不整合がある場合でも、給電器から受電器に給電できるようにする装置が開示されている。給電器が給電できる受電器の範囲を広くすることができる。給電器と受電器との間に、着脱自在な変換器を設ける。変換器は、磁気回路や電気的な受動素子や再給電などを用いて、給電器からの受電器の見かけの方式や大きさや形状が適合するように機能する。
【0009】
特許文献7には、送信コイルと受信コイルの結合度が変化しても、高効率な電力伝送を行うワイヤレス給電の技術が開示されている。ワイヤレス給電器は、共振回路およびマルチトーン電源を備え、電界、磁界、電磁界のいずれかを含む電力信号を送信する。共振回路は、直列に接続された送信コイルおよび共振用キャパシタを含む。マルチトーン電源は、複数の周波数の正弦波信号を重ね合わせたマルチトーン信号を、共振回路に出力する。
【0010】
特許文献8には、磁気共振型のワイヤレス給電における電力伝送効率を高める技術が開示されている。ワイヤレス給電器は、キャパシタと給電コイルを共振させることにより、給電コイルと受電コイルを磁気共振させる。このときの共振周波数をfとする。ワイヤレス給電器は、スイッチングトランジスタとスイッチングトランジスタを交互にオン・オフさせることにより、給電コイルに共振周波数fの交流電力を供給する。
【0011】
特許文献9には、磁場共振型のワイヤレス給電において、給電電力を効率的に制御する技術が開示されている。ワイヤレス給電器は、給電コイルと受電コイルの磁場共振現象に基づき、給電コイルから受電コイルにワイヤレス給電するための装置である。送電制御回路は、給電コイルに駆動周波数にて交流電力を供給する。これにより、給電コイルから受電コイルに交流電力を給電させる。位相検出回路は、交流電力の電圧位相と電流位相の位相差を検出する。具体的には、信号T2がハイレベル第1検出期間と信号S2がハイレベルとなる第2検出期間を比較し、それらが重複する期間の長さを検出することにより、位相差を検出する。
【0012】
特許文献10には、回路規模、コストの増大を抑止でき、電力損失を低減でき、しかも給電側、受電側双方のインピーダンス調整を行うことが可能な給電器、受電器、およびワイヤレス給電システムが開示されている。給電器は、給電すべき電力を生成する電力生成部と、電力生成部で生成される電力が給電されるコイルにより形成される給電素子と、電磁誘導により結合する共鳴素子と、給電側のインピーダンスを検出するインピーダンス検出部と、制御信号に応じて電力の給電素子の給電点におけるインピーダンス整合機能を含む可変整合部と、インピーダンス特性推定情報を参照テーブルとして格納する記憶部と、少なくとも検出されたインピーダンス情報と、憶部の参照テーブルの情報から可変整合部の調整すべき状態を求め、求めた状態となるように制御信号を可変整合部に出力する制御部と、を有する。
【0013】
特許文献11には、磁場共振型のワイヤレス給電において、負荷電圧を安定させる技術が開示されている。給電コイルから受電コイルには磁気共振により電力が伝送される。VCOは、スイッチングトランジスタQ1とスイッチングトランジスタQ2を駆動周波数foにて交互にオン・オフさせ、給電コイルに交流電力を供給し、給電コイルから受電コイルに交流電力を供給する。位相検出回路は電流位相と電圧位相の位相差を検出し、VCOはこの位相差がゼロとなるように駆動周波数foを調整する。負荷電圧が変化したときには電圧位相の検出値が調整され、結果として駆動周波数foが調整される。
【0014】
特許文献12には、高いQ値を実現可能な受電回路が開示されている。ワイヤレス受電器は、ワイヤレス給電器から送出される電界、磁界、電磁界のいずれかを含む電力信号S1を受信する。受信コイルL2は、電力信号S1を受信するためのものである。電力保存用キャパシタC3は、その第1端子の電位が固定される。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2は、受信コイルL2と閉ループを形成するように順に直列に接続され、それらの接続点N1は電力保存用キャパシタC3の第2端子と接続される。第3スイッチSW3、第4スイッチSW4は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2と並列な経路に順に直列に設けられ、それらの接続点N2の電位が固定される。
【0015】
特許文献13には、磁界共鳴型においてより広帯域な周波数特性を得ることが可能な給電器、受電器、およびワイヤレス給電システムが開示されている。給電器は、給電すべき電力を生成する電力生成部と、電力生成部で生成される電力が給電される給電素子と、多段に配置され、互いに磁界共鳴関係をもって結合する複数の共振素子を有し、複数の共振素子の一つの共振素子は、給電素子により電磁誘導により結合する。
【0016】
特許文献14には、電力伝送デバイスとしてループコイルを用いるワイヤレス給電装置が開示されている。具体的には、送電装置に設けられている送電ループコイルは、直流電源から電気エネルギーを取り出して、周期的に変化する電磁界共鳴エネルギーを空間に発生させる。受電装置に設けられている受電ループコイルは、周期的に変化する電磁界共鳴エネルギーを空間から電気エネルギーとして取り出して負荷に電力を供給する。送電ループコイルと受電ループコイルとは電磁界共鳴結合し、送電装置から受電装置へワイヤレスで電力が給電される。
【0017】
図3に示すのは、従来の水中ライトの構成図である。基本的には、水中でライトを取り替える事はできず、嵌合部の電気接点に水が入らないように防水する必要があり、浮上後に着脱する場合は水分が電気接点に付着しないように注意する必要がある。
バッテリー搭載装置は、バッテリーが内蔵されている本体である。これに、ライト装置を篏合部において合体する事で、本体のバッテリーの電力でライトを光らせる事ができる。ライト装置は、数種類が用意され、例えば、遠くまで光らせるスポットビームなライトや、広範囲を光らせるワイドビームなライトなどがある。それぞれバッテリーの消耗具合も異なる。この篏合部には、電気的に接触する事で接続される接続コネクタがあり、ライト装置がバッテリー搭載装置に、ねじ込んでしっかり取り付けられる事で、電気的に接続状態となる。この時、海水など水分が篏合部に残っていると接続コネクタや、防水のパッキンなどの寿命を早めるとされ、十分に水分をふき取ってから篏合しなければならない。バッテリー搭載装置には、コネクタが具備され、ACアダプタが接続されて、バッテリーを充電する事ができる。コネクタには専用の蓋が用意され、ACアダプターを接続しない時には蓋をして防水する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2017-163647号公報
【文献】特開2017-028998号公報
【文献】特開2017-028770号公報
【文献】特開2014-176122号公報
【文献】特開2014-068507号公報
【文献】特開2013-162611号公報
【文献】特開2012-253944号公報
【文献】特開2012-231674号公報
【文献】特開2012-182975号公報
【文献】特開2011-223739号公報
【文献】特開2011-217596号公報
【文献】特表2013-524743号公報
【文献】特開2011-151958号公報
【文献】特開2018-183051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
電子機器には、バッテリーを内蔵して用いるものがある。そのようなバッテリーは、放電して消耗すると、専用のACアダプタなどに接続するなどして充電する必要がある。
バッテリー搭載の本体とライト部が着脱可能な水中ライトの場合、海水等の水滴にさらされる装置では、バッテリーの交換や、ライトの交換は、水中ではできず、十分水滴をふき取った状態で行わなければならない。接続コネクタ部からの漏電や寿命を速める問題が生じる。
【0020】
バッテリー搭載装置では、ライトへの給電と、バッテリーへの充電の為の受電の役割が必要で、それぞれ各々のコネクタ部を具備している。水中での動作を前提とした場合、コネクタ部のかわりにワイヤレス給電で電力を供給する方法が考えられるが、コネクタ部がライトへの給電とバッテリーへの充電の2種類がある仕組みは、利便性が悪くコストアップ要因である。
【0021】
ワイヤレス給電のために、共振回路を用いることがある。給電装置の側の共振回路は、直列共振回路とするか、並列共振回路とするかの選択がなされる。直列共振回路は、大容量のエネルギーを送りやすい反面、損失が大きい。一方、並列共振回路は、その逆であって、比較的小容量のエネルギーを送るのに用いられ、安定した共振状態を作りやすいという特徴を持つ。
【0022】
従来の一般的なワイヤレス給電では、給電装置側に直列共振回路を採用する。また、一般的には、共振状態を検出して、周波数を調整することを行うが、給電装置側では、検出用の受信コイルを用いたり、給電と受信を切り替えたりすることにより、共振状態の検出そして周波数調整を実現している。さらに、受電装置側も、共振状態を検出して、その情報を、なんらかの通信方法で、給電装置側に送る(Qi規格など)。こうした仕組みは、コストアップ要因が多く存在している。
【0023】
本発明は、バッテリー搭載の本体とライト部が着脱可能な水中ライトにて、海水等の水分が電気接点に付着して接点不良を起こしてしまう課題を解決することを目的とし、水中でライト部の交換ができ、電気的に無接点な状態で、電力を供給できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係るワイヤレス給電システムは、電磁波を発生する第1の給電コイルと、
該第1の給電コイルに電磁波を発生させるべく電力を供給する第1の給電回路部と、
前記第1の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により受け取る第1の受電コイルと、
該第1の受電コイルに発生したエネルギーを回収する第1の受電回路部と、
該第1の受電回路部が回収したエネルギーを蓄える第1のバッテリーと
を有し、
前記第1の給電コイルと前記第1の受電コイルとが所定の共振周波数で共振する現象を用いた電磁誘導により電気的エネルギーを供給して前記第1のバッテリーを充電する第1のワイヤレス給電システムと、
電磁波を発生する第2の給電コイルと、
該第2の給電コイルに電磁波を発生させるべく電力を供給する第2の給電回路部と、
前記第2の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により受け取る第2の受電コイルと、
該第2の受電コイルに発生したエネルギーを回収する第2の受電回路部と、
該第2の受電回路部が回収したエネルギーを消費するエネルギー消費回路部と
を有し、
前記第2の給電コイルと前記第2の受電コイルとが所定の共振周波数で共振する現象を用いた電磁誘導により電気的エネルギーを供給して前記エネルギー消費回路部にエネルギーを供給する第2のワイヤレス給電システムとの二つのワイヤレス給電システムからなる複合的なワイヤレス給電システムであって、
前記第1の受電コイルを前記第2の給電コイルと兼用するワイヤレス受給電コイルとして構成し、
前記第1のバッテリーを前記第2の給電コイルに電磁波を発生させる電力源とし、
第2の給電回路部と第1の受電回路部とを一つの回路基板で実装して所定のモード切換手段により給電モードと受電モードとを切換可能とした受給電回路部として構成し、
前記モード切換手段によって、
給電モードが有効の場合、前記第2の給電回路部が有効になり、前記ワイヤレス受給電コイルから前記第二の受電コイルに向けて電磁波を出力して前記エネルギー消費回路部にエネルギーを供給し、
受電モードが有効の場合、前記第1の受電回路部が有効になり、前記第1の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により、前記ワイヤレス受給電コイルに発生したエネルギーを回収し、前記第一のバッテリーに充電することを特徴とする。
これにより、電気的に無接点な状態で、電力を供給できるシステムを提供することができる。
【0025】
また、本発明に係るワイヤレス給電システムは、
前記ワイヤレス受給電コイルと、前記第1のバッテリーと、前記受給電回路部と、前記モード切換手段とをバッテリー搭載装置として一体的に構成し、
前記第二の受電コイルと、前記第二の受電回路部と、前記エネルギー消費回路部とを末端消費部として一体的に構成し、
該末端消費部は、数種類の機能の異なる前記エネルギー消費回路部をそれぞれ有する複数種類のものとして構成し、前記バッテリー搭載装置に対して、取り換え可能であって、前記末端消費部と前記バッテリー搭載装置とは、電気的接合部が外に露出しないようにして接続されるものであることを特徴とする。
これにより、水中でも取り換え可能とすることができる。
【0026】
前記エネルギー消費回路部は、電気エネルギーを光に変換する回路であって、
前記末端消費部は、数種類の機能をそれぞれ有するライト部として構成されることを特徴とする。
これにより、水中であっても、複数のライト部を取り替えて使用可能となる。
【0027】
前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルと、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルとが近接するように、前記エネルギー消費回路部と前記バッテリー搭載装置が嵌合する嵌合部をさらに有し、
前記嵌合部は、直接的な電気的接合部を持たず、防水対策された嵌合部であって、
前記受給電回路部は、さらに制御回路を有し、
前記制御回路は、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルと、前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルとの近接状態を検出して、前記エネルギー消費回路部へのエネルギー供給を連続的かつ高いエネルギーにて実行することを特徴とする。
これにより、エネルギー供給を無駄にせずに実行することが可能となる。
【0028】
前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルと、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルとが近接するように、前記エネルギー消費回路部と前記バッテリー搭載装置が嵌合する嵌合部をさらに有し、
前記嵌合部は、直接的な電気的接合部を持たず、防水対策された嵌合部であって、
前記受給電回路部は、さらに制御回路を有し、
前記エネルギー消費回路部と、前記バッテリー搭載装置とのそれぞれには、さらにマグネットおよびマグネットスイッチが設けられ、
前記制御回路は、前記マグネットスイッチの出力に基づいて、前記エネルギー消費回路部の第2の受電コイルと前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルとの近接状態を検出して、それに基づいて、前記エネルギー消費回路部へのエネルギー供給を連続的かつ高いエネルギーにて実行することを特徴とする。
これにより、エネルギー供給を無駄にせずに実行することができる。
【0029】
前記バッテリー搭載装置若しくは前記末端消費部には、さらにLEDライトおよび小容量のバックアップバッテリーが設けられて、
さらにまた、お互いの装置を認識しやすくする蓄光材料による発光部を具備し、
前記バッテリー搭載装置と、前記末端消費部との間の篏合状態が解除された際に、前記LEDライトが一定時間、発光して、前記末端消費部の交換を容易にする事を特徴とした。
これにより、暗い場所であっても、末端消費部の取り換えを容易にする。
【0030】
前記末端消費部は、電気エネルギーを光に変換する回路であって、
前記バッテリー搭載装置と前記末端消費部とが嵌合した状態にあって、前記末端消費部の発する光の方向を自由に変えられるように回転部を有しており、
前記第二の受電回路により、当該回転部の回転方向もしくは回転位置を検出する機能を有し、
前記バッテリー搭載装置側の前記制御回路は、該回転方向若しくは回転位置により、前記ワイヤレス受給電コイルを介する電気エネルギーの供給を制御して、ライトの強弱若しくはライトの色若しくは点灯と点滅を変更できる事を特徴とした。
これにより、光の指向性に対応した電力の出力調整が可能となる。
【0031】
前記受給電回路部の給電モードに関わる回路は、
前記ワイヤレス受給電コイルとの組み合わせで並列共振回路を形成するよう、共振周波数に調整された共振用コンデンサーと、
前記給電コイルに対して、電源供給のオン(駆動状態)と、オフ(共振状態)とを周期的に繰り返すスイッチング回路と、
前記ワイヤレス受給電コイルに対して供給する電源の周波数を変更する周波数調整回路と、
前記給電コイルの共振状態を検出し、前記周波数調整回路及び前記制御回路に検出信号を出力する共振状態センサーを、
さらに有し、
前記制御回路は、
前記スイッチング回路と、前記周波数調整回路との双方を統括して制御し、
当該共振状態センサーからの情報にしたがって、最適な共振周波数と安定した共振状態となるように、給電の周波数と駆動時間を定め、それに従って前記スイッチ回路と前記周波数調整回路とを制御するとともに、
異常な共振状態や、水中若しくは塩水の中で電磁波を出力した際に起こりうる放電異常状態であると判断した場合、更には温度検出による発熱、過電圧や過電流を検知し、異常状態であると判断した場合には、給電を止めることを特徴とする。
これにより、漏電などの無駄なエネルギー消費を回避することが可能となる。
【0032】
前記モード切換手段は、
前記バッテリー搭載装置と前記末端消費部とが篏合していない若しくは篏合状態を感知していない状態の時、待機状態の給電モードで動作し、篏合状態を感知した時に、待機状態の給電モードから受電モードに切り替えることを特徴とする。
これにより、受電と給電のモードをよりスムーズに切り替えることが可能となる。
【0033】
前記モード切換手段は、
受電モードでは第1の給電コイルから発せられた電磁波を電磁誘導により受け取るワイヤレス受給電コイルと、該ワイヤレス受給電コイルに発生したエネルギーを回収する第1の受電回路部により構成されるものであって、
所定の受電レベルでは無い場合には、受電モードから待機状態の給電モードに切り替えるものであることを特徴とする。
これにより、受電と給電のモードをよりスムーズに切り替えることが可能となる。
【0034】
前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイル、前記第1の給電コイル、及び、前記第2の受電コイルは、巻線部を囲む円筒状の部分と、巻線部の軸の部分と、円筒状の部分の一方の底面がフェライトで構成されたポット形フェライトコアであり、
給電モードでは、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルと前記第2の受電コイルとが、受電モードでは、前記バッテリー搭載装置のワイヤレス受給電コイルと前記第1の給電コイルとが、芯穴を中心として篏合し、フェライトの底面が設けられていない側で向かい合わせの状態で配置され、
受電モード又は給電モードにあっては、芯穴を中心として回転しても、ワイヤレス給電をし続ける事を特徴とした。
これにより、磁束の指向性を高めることができる。
【0035】
さらに、双方向の通信手段を有し、
受電モード又は給電モードで、ワイヤレス受給電を行っている際に、該ワイヤレス給電システムは、双方向のデータ通信を可能とした所定の通信手段を有し、
受給電回路部のコントロール部によって、バッテリーの充電状況を検出し、その数値を、前記通信手段で、相手方へ通信し、
前記エネルギー消費部では少なくともエネルギー消費量を記録する仕組みと、その数値を前記通信手段で、前記バッテリー搭載装置へ通信する事を特徴とした。
これにより、充電状況、消費状況のモニタリングが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
従来、バッテリー搭載の本体とライトとの組み合わせで、例えば水中の様な環境で、ライト若しくはバッテリーを取り替える事ができなかった。また、バッテリーを充電するには、専用のコネクタにACアダプタを接続して充電する必要があった。本発明のワイヤレス給電システムを利用する事で、水中でもバッテリー搭載の本体、若しくはライトを取り替える事ができ、かつバッテリー搭載の本体とライトとのワイヤレス給電の接続部を利用して、電気接点の無い無接点のバッテリー給電器によって充電が可能となり、更には水滴等がついたままでも充電ができ、メンテナンス性及び製品の寿命を長くできると共に、更にはバッテリー搭載の本体部は、ライトに対しては給電し、バッテリーを充電する場合は受電となりながら、無接点な電気的接点部を共有しているので低コストと利便性にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図6】給電部と受電部が一つとしたワイヤレス受給電回路説明図
【
図7】バッテリー搭載装置とライト装置の接続部の断面図
【
図9】バッテリー搭載装置とバッテリー充電装置の接続部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のシステムを実現するための最良の形態を詳細に説明する。
図1は、水中ライトの構成図の例1である。水中ライト50は、バッテリー搭載装置53とライト部搭載の受電装置51とで分離、着脱可能な製品である。ライト部搭載の受電装置51は、幾種のライトが用意されており、適宜取り替えられる仕組みであり、逆にバッテリー搭載装置53のバッテリーが消耗された場合、予め用意しておいた別途、満充電のバッテリー搭載装置53があれば、取り替える事で継続して水中にてライトが利用できる。
【0039】
しかし、従来の水中ライトでは、種々の課題があった。ここで、従来の水中ライトの例として、
図3の従来水中ライトの構成図を説明する。
従来の水中ライトでは、水中から取り出して、十分篏合部若しくは接続部の水分をふき取った上で、バッテリー搭載装置926とライト装置925を取り替える必要があった。これは漏電の問題や、海水がついた時のコネクタ部の電?や塩噛みなど接点寿命が悪くなる要因があったからである。また、同じ様に、バッテリー搭載装置926のバッテリーを充電する場合には、コネクタ929に、ACアダプタ928を接続する事で充電できる。このコネクタ929は、水中の時には、防水の蓋をした上で利用しなければならない。この様に、従来の水中ライトでは、水中や水滴がついた状態でのバッテリー搭載装置926とライト装置925を取り替える事ができなかったし、防水部のメンテナンスが必要で利便性が悪かった。
【0040】
本発明では、この課題を解決する為に、ワイヤレス給電の仕組みを使う。更には、コストを安くする工夫をした。それを端的に説明する。
図1の水中ライトの構成
図1の篏合部には電気的なコネクタが無い。その代わり、位置を合わせる接合部と、バッテリー搭載装置53のワイヤレス受給電側55には、ワイヤレス給電として機能するワイヤレス受給電コイルが内蔵され、ライト部搭載の受電装置51のワイヤレス受電側54には、ワイヤレス受電コイルが内蔵されている。篏合部及び接合部は、主に樹脂で構成され、腐食しにくい素材を使うことが好ましい。
【0041】
図1の水中ライトの構成
図1の篏合部にはLED56を備えている。ディープダイビングなど深い水深でバッテリー搭載装置とライト装置を取り替える時は、太陽光が届かず真っ暗な場所であることが常である。この時、唯一のライトの明かりがバッテリー切れで切れたら、死活問題になる。そこで、篏合部にLEDを配置して、バッテリー切れを起こしても、小容量のバッテリーで数分間光らせて、交換をしやすくする。尚、本実施例では、篏合部にLEDを設置したのであるが、ライト装置が見えやすくする目的であれば、篏合部では無く、ライト装置のどこに設置していても構わない。
バックアップ用バッテリーは、例えばスーパーキャパシタなどを利用すれば良い。
【0042】
また、
図1では、篏合部のしかるべき箇所に、蓄光材52による発光ガイド部が設けられている。蓄光材料は一定の光源があたる事で、光源が無くてもしばらく淡く光る素材である。本篏合部のLEDのバックアップ用バッテリーが仮に切れたとしても、そのLEDの光で蓄光した発光ガイド部が、しばらく淡く光っている為、2重に安全性が担保できる。
【0043】
更に、本発明では、便宜上、ライト装置を取り替える例を上げているが、バッテリー搭載装置の予備を持ち運んで、バッテリーが無くなった際に、予備のバッテリー搭載装置に取り替える場合も、基本的に同じ事である。
【0044】
図2は水中ライトの構成図の例2である。本発明では、
図1のバッテリー搭載装置53がライト部搭載の受電装置51と接続する場合には、バッテリー搭載装置53はワイヤレス給電を行い、
図2の同、バッテリー搭載装置56とバッテリー充電装置57と接続する場合には、バッテリー搭載装置56はワイヤレス受電の機能となる。この事で、バッテリー搭載装置56に、充電用のコネクタと機能を具備しなくても良く、低コスト化と利便性に寄与する。
【0045】
図2の篏合部を着目すると、バッテリー搭載装置56は、ワイヤレス受給電側58には、ワイヤレス受電として機能するワイヤレス受給電コイルが内蔵され、バッテリー充電装置57のワイヤレス給電側59には、ワイヤレス給電コイルが内蔵されている。充電器との合体の場合には、バッテリー搭載装置56のへこみを利用して、バッテリー充電装置57は、突起のある構造である。ライト部と違ってねじ込むようなことは必要なく、バッテリー搭載装置56を立てる様な形で合体させる。
バッテリー充電装置57には、ACアダプタ60と接続され電源を供給する。バッテリー充電装置57は、ACアダプタ60とのコネクタ部は、特段防水処理は必要ない。
【0046】
図4の給電装置10は、給電コイル11、給電コイル11とともに共振回路を構成する共振用コンデンサー14、給電コイル11に電力をオン、オフするためのスイッチ回路12、給電コイル11に供給する周波数の調整を行う周波数調整回路15(たとえばコンデンサーを調整する回路)、共振状態を検出する共振状態センサー16、電源18とからなる。給電装置10側の特徴を挙げる。第一に、給電コイル11と共振用コンデンサー14とは、並列共振回路を構成する。第二に、スイッチは一つである。第三に、制御回路17により、周波数調整回路15の制御と、スイッチ回路12の制御を行い、周波数と電力供給時間の制御を行う。第四に、共振状態(主に周波数のずれ)を検知する共振状態センサー16を有し、制御回路17は、共振状態センサー16の検知結果に基づいて、前記制御に加えて、給電を停止する制御を行う。
【0047】
図4は、基本的な回路図(ブロック図に近い)を示している。基本的な回路では、給電コイル11が備わり、電磁波を発生させ、電磁誘導を起こす。少なくとも給電装置10の電気回路には、共振用コンデンサー14と電源18が備わり、受電装置2の受電コイル1に対し、一定の周波数による共振関係を作る。この時の周波数を共振周波数と称し、一般的には、100kHzから500kHzまでの周波数を使う。本発明において用いる共振周波数は、特に限定されるものではない。
【0048】
受電装置2の位置関係や状態で、共振周波数に若干のずれが生じる。例えば、その受電装置2の受電コイルの位置や傾きで状況が変わってくる。そこで、給電コイル11から送出される電磁波の及ぶ範囲(
図1に示す磁束線の内)に、受電コイル1が入れば、エネルギーを供給可能となる。磁束線内に受電コイル1が入ることは、共振周波数のずれという形で給電装置側に影響を与える。共振周波数がずれれば、エネルギー供給の効率が下がる。そこで、ずれた周波数や位相を共振状態センサー16(たとえば、電流センサー及び電圧センサーを用いた位相検波回路を含む回路)で検出し、その周波数や位相に応じて、周波数調整回路15を用いて、給電コイル11の周波数の調整を行う。周波数調整回路15は、例えば、コンデンサーの容量を調整する回路となる。
【0049】
周波数(又は位相)の調整には、様々な要素を加味する必要がある。したがって、マイクロコントローラ(プロセッサ、メモリ、周辺回路を含む集積回路)又はプログラマブルロジックデバイス(内部論理回路を定義・変更できる集積回路)などを用いて、プログラムによる制御を行う制御回路17を設けることが好ましい。制御回路17は、共振状態センサー16(位相検波回路)と接続されている。共振状態センサー16が周波数のずれや位相のずれを感知して、制御回路17にその信号を伝える。それにより、所定の受電装置2以外の物体が近づいたときに、異常な周波数や位相を共振状態センサー16が検知して、その信号を制御回路17に伝えて、制御回路17が給電を停止することが可能となる。
【0050】
更にはマイクロコントローラに接続された温度センサーによって、温度検出による発熱状態をチェックし異常を検出する方法、更には電圧・電流検出手段を用いて、過電圧や過電流を検知し、異常を検出する方法も併用する事で、より安全なシステムとする事ができる。
【0051】
本発明の給電装置では、共振コンデンサー14の位置がαの位置にある。しかし、従来の給電装置では、給電コイルに直列にコンデンサーが接続されておりβの位置にある、このコンデンサーの仕様によって、共振周波数の基準を調整する事ができる。従来のこの回路の接続方法は、一般的に直列共振回路と呼ばれている。
それに対し、
図4に示す本発明におけるワイヤレス給電システムの給電装置10の回路では、並列共振回路を採用する。
図4の回路では、給電コイル11に対する給電を止めずに、共振状態を検波する方法を用いる事ができる。
【0052】
本発明のワイヤレス給電システムは、
図4に示す基本回路により構成される。この並列共振回路の場合、SW1をオンして安定的な共振状態になった後に、SW1をオフした場合、受電コイル1とコンデンサー3に蓄えられたエネルギーが放出する間、受電装置2との共振状態を給電装置10が続ける事が特徴である。このSW1のオン・オフのタイミングは、PLL(フェーズロックトループ)回路を使って制御する。ここで、給電コイル11と並列に接続されている共振状態センサー16が検出した共振状態の遷移を元に、周波数調整回路15及び制御回路17は、適した周波数の電源供給を実現する。この共振状態センサー16は、共振状態を検出するセンサーであり、電圧センサー・電流センサーの遷移の検出及び共振周波数の位相検波などを検出する。
【0053】
図4の回路では、受電装置2の共振周波数の位相のずれは、明確に知ることは難しい。しかし、共振状態センサー16から得られる、様々な状況をあらかじめシミュレートして、それに基づくプログラミングをすることにより、共振周波数を上げるか下げるかそのままにするかの単純な判断を下す処理をすることができる。そして、さらにその調整後の結果の遷移を検出することで、適合か不適合かを判断し、試行錯誤による制御をすることができる。
【0054】
図5は、
図4の給電装置10の基本回路の信号波形の概要図である。
図5(A)は、
図4のスイッチ回路12の波形であり、ハイの時にスイッチオンとなる。つまり、スイッチオンの時、電源18が供給されるので、駆動状態、すなわち駆動時間となる。スイッチがオフになり、駆動していない時間は、共振状態すなわち共振時間となる。
図4に示すように、給電コイル11と共振用コンデンサー14とが並列共振回路を構成する場合、駆動状態にあっても共振状態にあっても、給電装置10が受電装置2と共振状態にあれば、エネルギーを供給し続ける。
【0055】
図5(B)は駆動信号である。スイッチ回路12がオンの時に電源18がオンになる。
図5(C)は、
図1の共振状態センサー16が検出しているサンプリング信号であり、サンプリング時間に、複数回信号をONして、検出(サンプリング)を行う。
図5(D)は、
図1の共振状態センサー16に入力された受信信号である。この信号は、共振状態にある給電コイル11の状態を示している。この信号波形は、簡略的に示しているが、周波数特性を有する信号であり、周波数成分を測定する事も可能である。主に、電圧としてAD変換回路などでデジタル値に変換し、
図4の制御回路17に情報を送る。
【0056】
図5(A)に示す共振時間においては、給電コイル11と共振用コンデンサー14にあるエネルギーが、受電装置2へ供給される際に、
図5(D)で示す様に、信号強度(電圧)が落ちていく。この遷移を見る事で、共振が適切に行われているかをシミュレートする事ができる。また、周波数特性として、位相差として検出する事もできる。給電装置10が受電装置2と共振した時とそうでない時には、若干の変異が見られる。これらを複合的に判断して、制御回路17は、周波数調整回路15と協働して、電源供給の際の周波数を調整する。時には、意図的に周波数を前後にずらしてみて、
図5(D)の状態の変化を調べることも行う。また、受電装置2と共振状態にある場合、
図5(D)の電圧の減り方を考慮して、駆動時間を調整することも、制御回路17で行う。
【0057】
尚、
図5(C)の共振状態センサー16の検出を実行することは、給電装置10としてのエネルギーの損失を伴うことでもある。したがって、毎回、行なわずして、例えば、1秒に一回など、間欠的にサンプリングを行って、エネルギーの損失を抑えるようにしても差し支えない。
また、電源18や給電コイル11及び共振周波数の仕様は、送りたいエネルギーの大きさや、給電させたいエリアの広さや高さに応じて仕様を決める。共振用コンデンサー14は主に、基準とする共振周波数の仕様に応じて定まる。これらの構成は、実際は複雑なシミュレーションを重ねた上で構成された高度な電気回路となる。
上述したように、制御回路17には、マイクロコントローラ又はプログラマブルロジックデバイスのように、プログラム可能な回路を用いるので、シミュレーションを重ねた上で、適切なプログラムを見出し、当該プログラムに従う制御を行うことが可能となる。
【0058】
受電装置2の回路は、所定の受電コイル1を備え、少なくとも、コンデンサー3と整流回路4とを備えている。尚、コンデンサー3は、受電コイル1に対し、直列に接続しても、並列に接続しても良い。本発明では、並列に接続する事が理想としている。受電装置2には、内部バッテリー5を内蔵する。内部バッテリー5は充電可能な二次電池である。二次電池の替わりにスーパーコンデンサ(電気二重層コンデンサ)を用いてもよい。
この時の受電コイル1及び共振周波数の仕様や容積は、受け取りたいエネルギーの大きさに応じて設定されるが、受電装置2として納めたい容積を優先する設計をすることも可能である。
【0059】
給電装置10の給電コイル11から、所定の共振周波数による電磁誘導を起こした時、
図4に磁束線を描いたように磁束が発生する。磁束線の先に、受電装置2の受電コイル1が入ると、電磁誘導による起電力により、電気的エネルギーが発生する。このエネルギーを回収して内部バッテリー5に蓄積する。
一般的な既存のワイヤレス給電の装置の場合、受電装置2側に、周波数の検波回路及び、受電装置2がどの様な状態にあるかを示す、給電装置10への通信手段が備わる場合が多い。通信手段により、給電装置10に送信し、給電装置10は適宜共振周波数を調整する仕組みを持つ。その場合、受電装置10には所定のIC回路が必要である。
【0060】
それに対し、当該発明では、受電装置2の回路を極限まで簡素化する仕組みによって構成する。この簡素化した構成により、充電しつつ、放電することが可能となるので、電子機器の内部に充電器を取り付けたまま、ワイヤレス給電システムにより充電し、同時に当該電子機器に対して放電して電力供給することが可能となる。
【0061】
図6は給電部と受電部が1つとした回路説明図である。
本発明のバッテリー搭載装置のワイヤレス給電システムは、ワイヤレス給電コイルとワイヤレス受電コイルを一つとしたワイヤレス受給電コイルである。
給電回路部と受電回路部が一つの回路基板で実装された受給電回路部となっている。受給電回路部には所定の切り替え手段により給電モードと受電モードを切り替え可能とした受給電回路部で構成された。
【0062】
図4に示した受電コイル1と給電コイル11は、1つの受給電コイル31で共有している。また、受電装置2の回路部と給電装置10の回路部が1つとなった受給電回路である事が特徴としている。
本発明で提案している並列共振回路を使った回路であり、共振用コンデンサー34がコイルと並列に接続されている。
【0063】
ここで、給電を行う給電モード場合の回路の状態を説明する。給電モードの場合、切り替え手段33のスイッチSW2はオンとしてバッテリーから電源が供給され、SW3はオフの状態となる。この並列共振回路の場合、SW1をオンして安定的な共振状態になった後に、SW1をオフした場合、受給電コイル31とコンデンサー34に蓄えられたエネルギーが放出する間、受電装置との共振状態を続ける事が特徴である。ここで、受給電コイル31と並列に接続されている共振状態センサー36が検出した共振状態の遷移を元に、周波数調整回路35及び制御回路37は、適した周波数の電源供給を実現する。この共振状態センサー36は、共振状態を検出するセンサーであり、電圧・電流の遷移の検出及び共振周波数の位相検波などを検出する。
【0064】
ここで、受電を行う受電モード場合の回路の状態を説明する。受電モードの場合、切り替え手段33のスイッチSW2はオフとし、SW3はオンの状態となる。またSW1はオフとする。受給電コイル31が電磁誘導による起電力により、電気的エネルギーが発生する。このエネルギーは整流回路38を通り、バッテリー39に充電を行う。
【0065】
この様に、スイッチを制御する制御回路37によって、SW1、SW2、SW3を操作する事で、給電モード、受電モードを切り替える手段を提供できる。
【0066】
図7はバッテリー搭載装置とライト装置の接続部の断面図である。
バッテリー搭載装置本体部61には、フェライトコイルA64が具備され、回路基板A63と接続されている。ここには、
図6に示したワイヤレス受給電回路が実装されている基板である。回路基板A63とは、バッテリー70が接続されている。フェライトコイルA64は、ワイヤレス受給電コイルとも称する。
ライト装置部62には、フェライトコイルB65が具備され、回路基板B66と接続されている。ここには、
図6に示したワイヤレス受給電回路が実装されている基板である。回路基板B66には、ライトであるLED69と接続されている。
【0067】
図7のバッテリー搭載装置とライト装置の接続部には、突起部71が装備されている。この図の場合、バッテリー搭載装置本体部61が凸状であり、ライト装置部62が凹状で、篏合される仕組みである。防水対策の為、パッキン等があり、かつバッテリー搭載装置本体部の篏合部全体が凹状であり、ライト装置部62の篏合部全体は凸状である。つまり、ライト装置部62の凸部をバッテリー搭載装置本体部61の凹部に、突起部71を中心としてはめ込む、若しくはねじ込むような形で篏合される。
フェライトコイルA64とフェライトコイルB65とは、ケースの厚みを挟んで向かい合わせになる様な配置である。
【0068】
図7では、バッテリー搭載装置本体部61とライト装置部62とが篏合状態かを検出する為に、バッテリー搭載装置本体部61に磁石スイッチ67が具備され、ライト装置部62に磁石68が具備されている。篏合した時に、磁石68によって、磁石スイッチ67がONになり、回路基板A63に作用する。
【0069】
バッテリー搭載装置本体部61とライト装置部62とが篏合状態の時、ワイヤレス給電では、突起部71を中心軸して、ライト装置部62を回転させても、ワイヤレス給電の給電効率は一定である。そこで、ライト装置部62を回転させた時の回転位置を検出する機能を有すれば、回転方向によって、ライトの強弱を変更する事ができる機能を提供できる。
更には、ライトの強弱ではなく、ライトの色の変更、若しくは点灯と点滅を変更する事も可能である。幾種のライトを現場で取り替える事ができるので、適した用途のライトに変更して、更には多機能に運用できる。
【0070】
篏合状態を検出する意味は、篏合していない時に、ワイヤレス給電を止めて、バッテリーの消耗を抑える役目をする。また、基本的に前述の異常検出により、漏電は無いが、万一海水と金属の組み合わせで、長時間電磁波にさらされた場合、金属が異常発熱を起こす事例があり、このスイッチ機構を設ける事が好ましい。
しかし、磁石スイッチを使わない方法も、本発明では開示しているが後述説明する。
【0071】
図8はフェライトコイルの構成図である。本発明では、
図7のフェライトコイルA及びBを、あえて、ポット形のフェライトコア81を利用する。このコアは磁束をポット形状外部により漏らさない構造であり、導通する環境(金属や海水)にさらされている場合でも、より漏れ磁束を抑える事ができる。漏れ磁束を抑えれば、給電効率があがり、安全性が高まる。また、ワイヤレス給電の際には、コイル部83が幾分の発熱をする事があるが、ポット形のフェライトコアでは、他の形状のフェライトコアと比較して、放熱効果がある。
ポット形のフェライトコア81の間略図として、電線で巻かれたコイル部83と、フェライト84と、中心に穴が開いている場合は、芯穴85とで構成されたポット形のフェライトコア81である。
【0072】
図9はバッテリー搭載装置とバッテリー充電装置の接続部の断面図である。
バッテリーと搭載装置91には、フェライトコイルA92が具備され、回路基板A93と接続されている。回路基板A93はバッテリー94と接続された構成である。フェライトコイルA92は、ワイヤレス受給電コイルとも称する。
バッテリー給電装置92には、フェライトコイルC95が具備され、回路基板C96と接続されている。回路基板C96はACアダプタなどから電源が供給されている。
バッテリー給電装置92は、バッテリーと搭載装置91に水滴がついた状態で充電しようとする事を想定して、防滴対策97の機構を持つ。
防滴対策97は、スポンジ状の水滴を吸う素材になっており、自然蒸発の為の空気穴を設けているバッテリー給電装置92のケースである。また、防滴対策97の別の方法としては、バッテリーと搭載装置91と合体する時に、バッテリーと搭載装置91についた水滴が押し出され、皿状の防滴対策97に水滴が流される仕組みでも良い。皿状の防滴対策97には水滴を逃がす穴をバッテリーと搭載装置91のケースに設ける。
【0073】
図10はバッテリー搭載本体部の処理フロー図である。バッテリー搭載本体は、ワイヤレス給電とワイヤレス受電の両方の機能を、同じコイルと回路で処理を行う。それを、順を追って説明する。
初期化処理は、電源を入れた時に実行される諸々処理である。8-2は、ワイヤレス給電の待機状態の給電モード切り替え処理である。この時、低電圧駆動の状態でのワイヤレス給電処理を行う(8-3)。この状態では、例えば、給電の電圧自体を低くする他、給電しないタイミングを長くとって、間欠的に給電を行うなどをして、消費電力を低く抑える処理を行う。給電をすると、ライト装置の受電側があるかないかで、共振状態センサー16の検出から、閾値以上かどうかを、センサーに反応8-4で判断する。センサーに反応が無い場合は、ワイヤレス受電モードに切り替える(8-6)。次に8-7のワイヤレス受電処理を行う。共振状態センサー16の検出から、閾値以上かどうかを、センサーに反応8-8で判断する。
次からは、繰り返し処理である。8-10ワイヤレス受電処理を行い、センサーに反応8-11で判断する。そして、センサーの反応から安定した受電が行われているのであれば、8-12でバッテリー受電処理を行う。8-9に戻って、センサーに反応している限り、繰り返し処理される。センサーに反応が無くなった場合は、8-1に戻る。
8-4のセンサーに反応がある場合は、8-5ワイヤレス給電の通常の給電モードに切り替える。8-13にて、高電圧駆動でワイヤレス給電処理を行う。8-14に所定の異常検知処理を行う。異常検知の結果、対象物にワイヤレス給電を行っている(8-15)場合は、8-16へ、そうでなければ8-1に戻る。対象物が正常の場合、8-17にて高電圧駆動でワイヤレス給電処理を行う。そして、センサーに反応が無くなった場合は、8-1に戻り、反応があれば、8-16に戻り繰り返し処理を行う。
この様に、バッテリー搭載本体部のワイヤレス受給電のモード切り替えの仕組みを、フロー図にて説明した。
【0074】
図11はバッテリー充電装置の例の図である。本バッテリー充電装置は、
図9に説明したバッテリー給電器が3つある構成である。この様に、バッテリー搭載本体を3つ同時に、バッテリー充電を行う事ができる充電装置である。各々の給電器には、給電中を示すLEDステータスが装備されている。また、各々の給電器部には、溝が装備されており、溝には防水対策がされていて、給電中、水滴などが吸収され、排出される機構になっている。
【0075】
図12は通信処理の例のフロー図である。ワイヤレス給電及びワイヤレス受電を行っている際に、所定の方法にて、通信処理を行う事ができる。この方法は、後述するとして、ここでは、その実行ステップをフロー図にて、順を追って説明する。
バッテリー給電器では、10-1にて通信処理を開始する。ここでは、通信内容をメモリに格納する処理が主に行われる。次に10-2にて、通信送信処理を行う。通信送信は、ポーリング形式で通信を行う。次に10-3にて、通信受信待ちを行う。通信が通れば、レスポンス値が返ってくる仕組みなので、一定時間、受信を待つ。次にレスポンス値が返ってきた場合、10-4に通信受信処理を行う。例えば、その値が、バッテリー容量としての充電状態を示めす値であれば、10-5満充電判断処理を行う。ここで、満充電と判断した場合、例えば、
図11のLEDなどを赤点灯から緑点灯に変更する。
次に、バッテリー搭載本体部を説明する。10-2の通信処理から送信された通信内容を受信する10-7通信受信処理がある。10-8通信有りと判断された場合、バッテリー容量を測定し、10-10のバッテリー容量値を返信する処理を行い、レスポンスとして送信する。
【0076】
この通信手段は双方向通信とする事で、更に様々な機能を有する事ができる。例えば、ライト部搭載の受電装置に発光量を記録する手段を装備し、バッテリー搭載本体部とライト部とが接合しワイヤレス給電を行っている際に、発光量の数値を、通信手段で受信して、バッテリー搭載本体部のメモリに格納しておく事も可能である。
【0077】
ここで、通信処理の仕方を簡単に説明する。通信の方法は種々方法があるが、例えば、簡単な電波通信で行う事もできるが、
図5の基本的な信号波形で示す24受信信号が、最初の受信信号はバースト信号26として、2つ目以降から、信号値の2値で、1の場合は受信信号があり、0の場合は受信信号無しとして反応できれば、非常に低速ではあるが、ワイヤレス給電をしながら、データを送る事ができる。また、一般的に採用されている事例としては、別の通信手段、例えば、RFID(radio frequency identifier)などの機能を別途有して、時折通信をさせる方法もある。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のワイヤレス給電システムは、特に水中カメラに適した構成である。また、水中だけでなく、粉塵の多い環境や子供が扱う安全性を気遣う製品にも適用できる。バッテリー搭載の本体と接続する先は例えば、回転方向を自由にしたいライトでも対応可能であり、ライトに限ったものではなく、電源を供給したい先(エネルギー消費回路部)であれば何でも適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 受電コイル 2 受電装置 10 給電装置 11 給電コイル 12スイッチ回路 14 共振用コンデンサー 15 周波数調整回路 16 共振状態センサー 17 制御回路 18 電源