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  • 特許-感知器用取付具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】感知器用取付具
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20220715BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G08B17/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018124309
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020004184
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】393011913
【氏名又は名称】東京防災設備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 精一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】村 優理香
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 広聖
(72)【発明者】
【氏名】広沼 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】土屋 滋央
(72)【発明者】
【氏名】松本 武浩
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-326261(JP,A)
【文献】特開2011-034165(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2016-0001363(KR,U)
【文献】実開昭62-062396(JP,U)
【文献】特開2017-041010(JP,A)
【文献】特開平5-081579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱または煙を検知する感知器を天井に取り付ける感知器用取付具であって、
前記感知器と天井の間に配置される傘部材と、
前記感知器と天井の間に配置される樹脂製の中空部材と、
を有することを特徴とする感知器用取付具。
【請求項2】
前記中空部材の内部に断熱材が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の感知器用取付具。
【請求項3】
前記中空部材と天井の間に配置される棒状の吊下部材を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の感知器用取付具。
【請求項4】
前記感知器の配線は、前記傘部材の傘の外側を引き回されて感知器に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の感知器用取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱または煙を検知する感知器を天井に取り付ける感知器用取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
火災に迅速に対処するために、建造物の屋内には熱や煙を検知する火災感知器(以下、単に感知器と称する)が設置される。感知器が設置される建造物の屋内の湿度が極めて高い場合、天井付近において空気中の水分が冷却され、天井が結露することがある。すると、天井から落下した結露水が感知器の内部に流入してしまい、感知器の内部の基盤が短絡して誤作動(非火災報)が生じてしまうおそれがある。
【0003】
そこで例えば特許文献1では、建造物から発生する湿気や水滴が、火災報知器あるいは火災報知用感知器に浸入するのを防止する構成を有する火災報知器(火災報知用感知器の取付具)が開示されている。具体的には、特許文献1では、火災報知器の下面に取り付けられてそれを保持する板状部材からなる取付具を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-34165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天井からの結露水は、温度が低い天井において空気中の水分が一気に冷却されることによって発生する。特許文献1のように板状部材からなる取付具によって火災報知器と天井とを離隔すれば、天井からの結露水の火災報知器への浸入を防止する効果はある程度得られる。しかしながら、特許文献1のように板状部材を用いた場合、天井からの冷熱が板状部材を通じて火災報知器に伝達してしまう。すると、やはり火災報知器の近傍において結露水が発生してしまうため、特許文献1の技術には更なる改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、天井からの結露水の感知器への流入をより効果的に抑制することができ、感知器の誤作動を確実に防止することが可能な感知器用取付具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる感知器用取付具の代表的な構成は、熱または煙を検知する感知器を天井に取り付ける感知器用取付具であって、感知器と天井の間に配置される傘部材と、感知器と天井の間に配置される樹脂製の中空部材と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、天井と感知器との熱伝達が樹脂製の中空部材によって遮断されるため、天井からの冷熱によって感知器が冷えて、感知器自身に結露してしまうことを緩和することができる。したがって、感知器内部への結露水の流入をより効果的に防ぐことができ、感知器の誤作動を確実に防止することが可能となる。また感知器と天井との間に傘部材が配置されることにより、仮に天井に結露水が発生したとしても、結露水は傘部材を伝って落下する。これにより、感知器への結露水の流入をより確実に防ぐことが可能となる。
【0009】
上記中空部材の内部に断熱材が充填されているとよい。かかる構成によれば、中空部材による断熱効果が向上する。したがって、上述した効果を更に高めることが可能となる。
【0010】
上記中空部材と天井の間に配置される棒状の吊下部材を更に有するとよい。これにより、天井と感知器とが更に離間する。このため、天井からの冷熱の感知器への伝達をより効果的に防ぐことができ、上述した効果を高めることが可能となる。
【0011】
上記感知器の配線は、傘部材の傘の外側を引き回されて感知器に接続されるとよい。かかる構成によれば、感知器の配線を挿通するための挿通孔を傘部材に形成することなく配線を感知器に接続することができる。したがって、結露水が挿通孔を通じて感知器に流入することを防ぐことができ、上述した効果を更に高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、結露水の感知器内部への流入をより効果的に抑制することができ、感知器の誤作動をより確実に防止することが可能な感知器用取付具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態にかかる感知器用取付具を説明する図である。
図2】本実施形態の取付具の他の例を説明する図である。
図3】本実施形態の取付具の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態にかかる感知器用取付具(以下、取付具100と称する)を説明する図であり、天井102に取り付けられた取付具100および感知器104の断面を例示している。図1に示すように、本実施形態の取付具100は、熱または煙を検知する感知器104を天井102に取り付けるための器具である。
【0016】
天井102には取付用のパネルボックス106が埋設されていて、従来ではこのパネルボックス106に感知器ベース108をネジ止め等によって固定し、かかる感知器ベース108に感知器104を接続していた。これに対し本実施形態では、パネルボックス106と感知器ベース108との間に取付具100を介在させた状態で感知器104を天井102に取り付ける。
【0017】
本実施形態の取付具100は、中空部材110および傘部材120を含んで構成される。中空部材110は、感知器104と天井102の間に配置される樹脂製の部材であり、内部が中空となっている。傘部材120は、感知器104と天井102の間に配置される部材であり、傘部材110に当接する平面部122と、平面部122の端部から延びて感知器104から離れるにしたがって下方に傾斜する傾斜部124とを有する。
【0018】
上記構成によれば、天井102と感知器104との間に中空部材110が介在することにより、110の内部の空気によって天井102と感知器104との熱伝達が遮断される。これにより、天井102からの冷熱によって感知器104が冷えて、感知器104自身に結露してしまうことを緩和することができる。したがって、結露水の感知器104の内部への流入をより効果的に抑制することができ、感知器104の誤作動を確実に防止することが可能となる。
【0019】
また上記構成によれば、中空部材110の下側には傘部材120が配置される。これにより、仮に天井102において結露水が発生したとしても、結露水は傘部材120の傾斜部124を伝って落下する。したがって、感知器104への結露水の流入をより確実に防ぐことが可能となる。
【0020】
更に本実施形態の取付具100では、図1に示すように、感知器104の配線104aは、傘部材120の傘である傾斜部124の外側を引き回されて感知器ベース108ひいては感知器104に接続される。これにより、感知器104の配線104aを挿通するための挿通孔を傘部材120の平面部122に形成することなく配線104aを感知器104に接続することができる。したがって、結露水が挿通孔を通じて感知器104に流入することを防ぐことができ、上述した効果を更に高めることが可能となる。
【0021】
なお、本実施形態では、中空部材110が上側に位置し、傘部材120が下側に位置する構成を例示したが、これに限定するものではない。すなわち、傘部材120が上側に位置し、中空部材110が下側に位置する構成によっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0022】
図2および図3は、本実施形態の取付具の他の例を説明する図である。なお、以下に説明する例では、先に説明した取付具100と共通する部材については同一の符号を付すことにより重複説明を避ける。
【0023】
図2に示す取付具100aは、中空部材110の内部に充填される断熱材130を更に有する。これにより、中空部材110による断熱効果を高めることができる。したがって、天井102と感知器104との熱伝達がより効率的に遮断されるため、上述した効果を高めることが可能となる。
【0024】
図3に示す取付具100bは、中空部材110と天井102の間に配置される棒状の吊下部材140を更に有する。かかる構成によれば、天井102と感知器104とを更に離間させることができる。また、棒状の吊下部材140は、特許文献1(特開2011-34165号公報)に記載された板状部材よりも熱容量が小さく、周囲の気温になじみやすい。したがって、天井102からの冷熱の感知器104への伝達をより効果的に防ぐことができ、上述した効果を高めることが可能となる。
【0025】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、熱または煙を検知する感知器を天井に取り付ける感知器用取付具として利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
100…取付具、100a…取付具、100b…取付具、102…天井、104…感知器、104a…配線、106…パネルボックス、108…感知器ベース、110…中空部材、120…傘部材、122…平面部、124…傾斜部、130…断熱材、140…吊下部材
図1
図2
図3