(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】流通在庫情報提供システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220715BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
(21)【出願番号】P 2021035420
(22)【出願日】2021-03-05
(62)【分割の表示】P 2018522211の分割
【原出願日】2016-06-07
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】596165947
【氏名又は名称】鍵和田 芳光
(73)【特許権者】
【識別番号】501045881
【氏名又は名称】株式会社キーソフト
(74)【代理人】
【識別番号】100110652
【氏名又は名称】塩野谷 英城
(72)【発明者】
【氏名】鍵和田 芳光
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/027533(WO,A1)
【文献】特開2002-012306(JP,A)
【文献】特開2004-244181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求元の装置に商品の在庫数量を提供するシステムであって、
第1の企業間取引を管理する第1のシステムに適合して当該システムから第1の商品納入情報を受信する第1のシステムアダプタと、
第2の企業間取引を管理する第2のシステムに適合して当該システムから第2の商品納入情報を受信する第2のシステムアダプタと、
前記第1の商品納入情報及び前記第2の商品納入情報を商品納入情報DBに蓄積する記録処理部と、
前記商品納入情報DBに蓄積された第1の商品納入情報に含まれる商品Pの納入経路と納入数量とに基づき、当該納入数量を当該納入経路に示された納入先Bの在庫数量に設定した後、前記商品納入情報DBに蓄積された第2の商品納入情報に含まれる前記商品Pの納入経路と納入数量とに基づき、当該納入数量を当該納入経路に示された納入元Bの在庫数量から減算すると共に、当該納入数量を当該納入経路に示された納入先Cの在庫数量に設定することにより、BとCの在庫数量を算出する在庫情報生成部と、
前記在庫情報生成部が算出した在庫数量を前記要求元の装置に提供する在庫情報提供I/Fとを備えた、在庫情報提供システム。
【請求項2】
要求元の装置に商品の在庫数量を提供する方法であって、
プロセッサが、
第1の企業間取引を管理する第1のシステムに適合して当該システムから第1の商品納入情報を受信するステップと、
第2の企業間取引を管理する第2のシステムに適合して当該システムから第2の商品納入情報を受信するステップと、
前記第1の商品納入情報及び前記第2の商品納入情報を商品納入情報DBに蓄積するステップと、
前記商品納入情報DBに蓄積された第1の商品納入情報に含まれる商品Pの納入経路と納入数量とに基づき、当該納入数量を当該納入経路に示された納入先Bの在庫数量に設定するステップと、
前記商品納入情報DBに蓄積された第2の商品納入情報に含まれる前記商品Pの納入経路と納入数量とに基づき、当該納入数量を当該納入経路に示された納入元Bの在庫数量から減算すると共に、当該納入数量を当該納入経路に示された納入先Cの在庫数量に設定することにより、BとCの在庫数量を算出するステップと、
前記算出した在庫数量を前記要求元の装置に提供するステップとを実行する、在庫情報提供方法。
【請求項3】
要求元の装置に商品の在庫数量を提供するプログラムであって、
第1の企業間取引を管理する第1のシステムに適合して当該システムから第1の商品納入情報を受信するステップと、
第2の企業間取引を管理する第2のシステムに適合して当該システムから第2の商品納入情報を受信するステップと、
前記第1の商品納入情報及び前記第2の商品納入情報を商品納入情報DBに蓄積するステップと、
前記商品納入情報DBに蓄積された第1の商品納入情報に含まれる商品Pの納入経路と納入数量とに基づき、当該納入数量を当該納入経路に示された納入先Bの在庫数量に設定するステップと、
前記商品納入情報DBに蓄積された第2の商品納入情報に含まれる前記商品Pの納入経路と納入数量とに基づき、当該納入数量を当該納入経路に示された納入元Bの在庫数量から減算すると共に、当該納入数量を当該納入経路に示された納入先Cの在庫数量に設定することにより、BとCの在庫数量を算出するステップと、
前記算出した在庫数量を前記要求元の装置に提供するステップとをプロセッサに実行させる、在庫情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流通在庫情報提供システムに係り、特に、トレーサビリティシステムから取得する情報に基づいて流通在庫情報を生成し提供するシステムに関する。「流通在庫」とは、卸売業者、小売業者など、商品の流通過程にある業者によって保有される在庫をいう。
【背景技術】
【0002】
「トレーサビリティシステム」とは、商品の取扱いの記録を残すことにより、商品の移動を把握できるようにする仕組みである。この仕組みに関する先行技術文献として、例えば、農林水産省の事業の一環として発行された「食品トレーサビリティガイドライン」(特許文献1)等がある。
しかし、このトレーサビリティシステムから取得する情報に基づいて流通在庫情報を生成し提供するシステムは、提案されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「食品のトレーサビリティシステム導入の手引き(食品トレーサビリティガイドライン」、「食品トレーサビリティシステム導入の手引き」改定委員会、平成20年3月、第2版第2刷
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、トレーサビリティシステムから取得する情報に基づいて流通在庫情報を生成し提供するシステムの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するため、本発明の流通在庫情報提供システムでは、トレーサビリティシステムによって記憶部にリアルタイムに更新されるチェーントレーサビリティのための対応づけ情報の中から、指定された事業者ID及び商品IDを含む複数のチェーントレーサビリティのための対応づけ情報を抽出する検索部を備える。また、この検索部によって抽出された複数のチェーントレーサビリティのための対応づけ情報の数を最も川下の事業者毎に集計した商品別事業者別在庫数量情報を、情報取得装置に提供するために生成する処理部を備える。
【0006】
これによると、検索部により、特定の事業者が仕入又は販売を行った特定の商品に関するチェーントレーサビリティのための対応づけ情報だけが抽出される。そして、処理部により、当該抽出された各対応づけ情報に示された最も川下の事業者(つまり、現状でその商品を在庫している事業者)ごとに、対応づけ情報の数(つまり、商品の識別単位(個体又はロット)の数)が集計され、商品別事業者別在庫数量情報が生成される。商品別事業者別在庫数量情報は、商品の識別単位(個体又はロット)の在庫数量であって、各事業者が現在保有している在庫数を表す。
【0007】
前記複数のチェーントレーサビリティのための対応づけ情報の数を最も川下の事業者毎に集計する処理に代えて、前記チェーントレーサビリティのための対応づけ情報に対応する商品数量を最も川下の事業者毎に集計してもよい。この場合、商品別事業者別在庫数量情報は、商品の在庫数量であって、各事業者が現在保有している在庫数量を表す。この場合、在庫数量は、1個、2個のように商品の数を表してもよいし、1kg、2kgのように、商品の量を表してもよい。
【0008】
また、前記情報取得装置が情報要求装置を兼ね、前記受付部は、前記情報要求装置のユーザである事業者の事業者IDを前記指定された事業者IDとしてもよい。この場合、検索部は、情報要求装置のユーザの事業者IDを含む対応づけ情報だけを抽出するので、処理対象となる対応づけ情報は、当該事業者IDに対応する事業者が仕入れた又は販売した識別単位の対応づけ情報のみである。このため、情報要求装置のユーザである事業者が知ることができる在庫情報は、当該事業者が仕入れた又は販売した識別単位についてのみであり、当該事業者よりも川上の事業者が保有している在庫や、当該事業者が取り扱っていない在庫について知ることができない、というフィルタリング機能が実現される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トレーサビリティシステムから取得する情報に基づいて流通在庫情報を生成し提供するシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すチェーントレーサビリティのための対応づけ情報のデータ構造図である(第1実施形態)。
【
図3】
図3は、
図2の対応づけ情報に基づいて生成される商品別事業者別在庫数量情報のデータ構造図である(第1実施形態)。
【
図4】
図4は、
図2の対応づけ情報に基づいて生成される商品別流通在庫総数量情報のデータ構造図である(第1実施形態)。
【
図5】
図5は、
図1に示すチェーントレーサビリティのための対応づけ情報のデータ構造図である(第2実施形態)。
【
図6】
図6は、
図5の対応づけ情報に基づいて生成される商品別事業者別在庫数量情報のデータ構造図である(第2実施形態)。
【
図7】
図7は、
図5の対応づけ情報に基づいて生成される商品別流通在庫総数量情報のデータ構造図である(第2実施形態)。
【
図9】
図9は、
図1に示された実施形態の変形例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、他の在庫情報提供システムの実施形態を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、
図10の商品納入情報DBに蓄積される商品納入情報のデータ構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、非特許文献1に挙げた「食品トレーサビリティガイドライン」に定義された用語を適宜用いる。ただし、本願発明は、食品以外の商品にも適用できる。
【0012】
図1にシステムの全体構成図を示す。流通在庫情報提供システム10は、トレーサビリティシステム20及び情報要求端末30と情報の送受を行うように構成されている。
【0013】
トレーサビリティシステム20は、チェーントレーサビリティのための対応づけ情報を記憶部に記録する。チェーントレーサビリティのための対応づけ情報とは、生産、処理、加工、卸売、小売等の各段階の事業者を通じた商品の移動の把握を可能とする情報であって、各事業者を一歩川上の事業者(仕入先)と、一歩川下の事業者(販売先)とに紐付けることによって構成される。トレーサビリティシステム20は、各事業者から商品の移動に関するリアルタイム情報を取得するセンターとなり、当該情報に基づいてチェーントレーサビリティのための対応づけ情報を常にリアルタイムの情報に更新し、一元管理する。
【0014】
流通在庫情報提供システムは、受付部1、検索部2及び処理部3を備えている。受付部1は、通信装置を介して情報要求端末30と情報の送受を行う。検索部2は、チェーントレーサビリティのための対応づけ情報を蓄積するデータベースへのアクセスを行う。処理部3は、検索部2が取得した対応づけ情報に基づいて在庫情報を生成し、受付部1に渡す。各部1,2,3の動作は、プロセッサがプログラムを実行することにより実現される。各部1,2,3が処理に用いるすべての情報は記憶装置の記憶領域から読み出される。また、各部1,2,3が処理したすべての情報は記憶装置の記憶領域に格納される。
【0015】
トレーサビリティシステム20と流通在庫情報提供システム10とが、同一のコンピュータ上で実行される各プロセスである場合、両者間の情報の受け渡しは記憶領域を介して行われる。トレーサビリティシステム20と流通在庫情報提供システム10とが、異なるコンピュータ上で実行されるプロセスである場合、両者間の情報の送受は通信装置を介して行われる。
【0016】
情報要求端末30は、流通在庫情報提供システム10に対して在庫情報の提供を要求する端末である。流通在庫情報提供システム10と通信する情報要求端末30は、複数のユーザに対応して複数存在する。
【0017】
本実施形態において、チェーントレーサビリティのための対応づけ情報は、
図2に示すデータ構造をとる。即ち、識別単位IDごとに、最も川上の事業者の事業者IDから最も川下の事業者の事業者IDまでの各事業者IDが直接又は間接的に紐づけられている。識別単位IDには、商品IDが直接又は間接的に紐づけられている。識別単位とは、トレーサビリティシステムが商品を識別するときの単位であり、ロットが単位となる場合と、個体・個別製品が単位となる場合がある。識別単位IDは、一の識別単位を他の識別単位と区別するための識別記号である。商品IDは、商品アイテムを区別するための識別記号であり、JANコード等が該当する。
【0018】
次に、本実施形態の動作を説明する。受付部1は、情報要求端末30から、事業者ID及び商品IDを受信し、受信した事業者ID及び商品IDを検索部2に渡す。この事業者IDは、情報要求端末30のユーザである事業者に対応する事業者IDとする。商品IDは、情報要求端末30に対しユーザが指定した商品IDとする。
【0019】
検索部2は、記憶部に格納されているチェーントレーサビリティのための対応づけ情報の中から、受付部1から渡された事業者ID及び商品IDの双方を含む対応づけ情報を複数抽出し、処理部3に渡す。
【0020】
処理部3は、検索部2から渡された対応づけ情報について、最も川下の事業者の事業者IDが共通する対応づけ情報の数を当該最も川下の事業者の事業者IDごとに集計し、対応する商品IDと最も川下の事業者の事業者IDと集計数とを関連付けた商品別事業者別在庫数量情報(
図3)を生成し受付部1に渡す。商品別事業者別在庫数量情報は、商品IDに対応する商品の識別単位(商品個体又はロット)の在庫数量であって、事業者IDに対応する事業者が保有している在庫数量を表す。
【0021】
また、処理部3は、検索部2から渡された対応づけ情報の総数を集計し、対応する商品IDと集計数とを関連付けた商品別流通在庫総数量情報(
図4)を生成し受付部1に渡す。又は、処理部3は、各事業者の商品別事業者別在庫数量情報を集計し、対応する商品IDと集計数とを関連付けて商品別流通在庫総数量情報を生成し受付部1に渡してもよい。商品別流通在庫総数量情報は、商品IDに対応する商品の識別単位(商品個体又はロット)の流通在庫の総数量を表す。
【0022】
受付部1は、処理部3から渡された商品別事業者別在庫数量情報及び商品別流通在庫総数量情報を要求元の情報要求端末30に送信する。事業者IDに対応する事業者名の情報を取得できる場合、受付部1は、事業者IDに対応する事業者名を併せて送信してもよい。
【0023】
情報要求端末30は、流通在庫情報提供システム10から受信した商品別事業者別在庫数情報と商品別流通在庫総数情報とを出力装置に出力する。商品IDに対応する商品名の情報を取得できる場合は、商品IDに対応する商品名を併せて出力してもよい。
【0024】
情報要求端末30のユーザは、指定した商品IDに対応する商品の商品別事業者別在庫数量情報と商品別流通在庫総数量情報とを知ることができる。
【0025】
また、検索部2は、情報要求端末30のユーザの事業者IDを含む対応づけ情報だけを抽出するので、処理対象となる対応づけ情報は、当該事業者IDに対応する事業者が仕入れた又は販売した識別単位の対応づけ情報のみである。このため、情報要求端末30のユーザである事業者が知ることができる在庫情報は、当該事業者が仕入れた又は販売した識別単位についてのみであり、当該事業者よりも川上の事業者が保有している在庫や、当該事業者が取り扱っていない在庫について知ることができない、というフィルタリング機能が実現されている。
【0026】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態で説明した
図1のシステム構成は同一のため、説明を省略する。
【0027】
本実施形態において、チェーントレーサビリティのための対応づけ情報は、
図5に示すデータ構造をとる。即ち、識別単位IDごとに、最も川上の事業者の事業者IDから最も川下の事業者の事業者IDまでの各事業者IDが直接又は間接的に紐づけられている。識別単位IDには、商品ID及び商品数量が直接又は間接的に紐づけられている。商品数量は、識別単位であるロットに含まれる商品の数量を示す。商品の数量は、1個、2個のような数でもよいし、1kg、2kgのような量でもよい。
【0028】
次に、本実施形態の動作を説明する。受付部1は、情報要求端末30から、事業者ID及び商品IDを受信し、受信した事業者ID及び商品IDを検索部2に渡す。この事業者IDは、情報要求端末30のユーザである事業者に対応する事業者IDとする。商品IDは、情報要求端末30に対し当該端末30のユーザが指定した商品IDとする。
【0029】
検索部2は、記憶部に格納されているチェーントレーサビリティのための対応づけ情報の中から、受付部1から渡された事業者ID及び商品IDの双方を含む対応づけ情報を複数抽出し、処理部3に渡す。
【0030】
処理部3は、検索部2から渡された対応づけ情報について、最も川下の事業者の事業者IDが共通する対応づけ情報の商品の数量を当該最も川下の事業者の事業者IDごとに集計し、対応する商品IDと最も川下の事業者の事業者IDと集計数量とを関連付けた商品別事業者別在庫数量情報(
図6)を生成し受付部1に渡す。商品別事業者別在庫数量情報は、商品IDに対応する商品の在庫数量であって、事業者IDに対応する事業者が保有している在庫数量を表す。
【0031】
また、処理部3は、検索部2から渡されたすべての対応づけ情報の商品の数量を集計し、対応する商品IDと集計数量とを関連付けた商品別流通在庫総数量情報(
図7)を生成し受付部1に渡す。又は、処理部3は、各事業者の商品別事業者別在庫数量情報を集計し、対応する商品IDと集計数量とを関連付けて商品別流通在庫総数量情報を生成し受付部1に渡してもよい。商品別流通在庫総数量情報は、商品IDに対応する商品の流通在庫の総数量を表す。
【0032】
受付部1は、処理部3から渡された商品別事業者別在庫数量情報及び商品別流通在庫総数量情報を要求元の情報要求端末30に送信する。事業者IDに対応する事業者名の情報を取得できる場合、受付部1は、事業者IDに対応する事業者名を併せて送信してもよい。
【0033】
情報要求端末30は、流通在庫情報提供システム10から受信した商品別事業者別在庫数量情報と商品別流通在庫総数量情報とを出力装置に出力する。商品IDに対応する商品名の情報を取得できる場合、情報要求端末30は、商品IDに対応する商品名を併せて出力してもよい。
【0034】
情報要求端末30のユーザは、指定した商品IDに対応する商品の商品別事業者別在庫数量情報と商品別流通在庫総数量情報とを知ることができる。また、本実施形態によれば、チェーントレーサビリティのための対応づけ情報の識別単位がロットの場合でも、商品の数量を、商品別事業者別在庫数量情報及び商品別流通在庫総数量情報として知ることができる。
【0035】
[第1実施形態及び第2実施形態の変形例]
(1)以下、「商品別事業者別在庫数量情報」及び「商品別流通在庫総数量情報」の総称を「流通在庫情報」とする。ここで、第1実施形態及び第2実施形態では、情報要求端末30のユーザである事業者が、自社で仕入又は販売を行った商品の流通在庫情報のみを閲覧できる構成とした。しかしこれに限らず、情報要求端末30のユーザが、他の事業者が仕入又は販売を行った商品の流通在庫情報を閲覧できるように構成してもよい。当該ユーザは、消費者でもよい。この場合、受付部1は、情報要求端末30から、任意の事業者の事業者ID及び商品IDを受信し、受信した事業者ID及び商品IDを検索部2に渡すように構成するとよい。
【0036】
このように構成することにより、本システムのユーザは、任意の事業者の流通在庫情報を知ることが可能となり、例えば、当該情報を、商品を購入するタイミングや場所を知る情報として役立てたり、流通在庫情報を株式取引の参考にすること等が可能となる。
【0037】
(2)また、第1実施形態及び第2実施形態では、情報要求端末30の要求に応じて流通在庫情報を提供するプル型の配信を行っている。しかしこれに限らず、流通在庫情報提供システム10から情報要求端末30に宛てて流通在庫情報をプッシュ配信してもよい。
【0038】
(3)また、第1実施形態及び第2実施形態では、情報要求端末30が、流通在庫情報を取得する情報取得装置を兼ねている。しかしこれに限らず、情報要求装置30とは別の情報取得装置が流通在庫情報を取得するように構成してもよい。「情報取得装置」は、流通在庫情報を取得する装置であれば足り、それが端末であるか、外部のサーバであるか等を問わない。また、「情報要求端末」に代えて「情報要求装置」を備えてもよい。「情報要求装置」は、流通在庫情報を要求する装置であれば足り、それが端末であるか、外部のサーバであるか等を問わない。
【0039】
以上に説明した各実施形態によれば、トレーサビリティシステムが管理するチェーントレーサビリティのための対応づけ情報に基づき、商品の流通在庫情報を提供するシステムを実現することができる。商品別事業者別在庫数情報や商品別流通在庫総数情報を知ることにより、メーカーである事業者は、生産タイミングを計ることができ、無駄な生産や廃棄を防止することができる。流通過程にある事業者は、仕入のタイミングを計ることができ、無駄な仕入や廃棄を防止することができる。逆に売り切れなどの販売機会のロスも無くなる。また、計画的な生産又は仕入により生産コストや物流コストの低減を図ることができる。川下の流通在庫数の状況に応じて自動発注システムを連動させることも可能となり、管理コストの低減を図ることもできる。さらに、各事業者における流通在庫数の変動を分析することにより、ビッグデータとしての活用が可能となる。チェーントレーサビリティのための対応づけ情報に最終消費者のIDまで対応づけられていれば、最終消費者の商品の嗜好や購買タイミングを分析することにより、適切な商品の提案を行うことが可能になると共に、買った人が誰かを知ることができるので、商品リコール時の回収が容易になる。また、特定の商品の在庫が今どこにあるかが分かるので、商品の問い合わせに対し、どこに行けばその商品を買えるかを案内することができる。
上記において、最終消費者のIDをチェーントレーサビリティのための対応づけ情報に取り込む方法として、以下が考えられる。例えば、レジで精算する時に店側システムが、商品の識別単位IDを取得すると共に、最終消費者IDを取得し、当該識別単位IDと最終消費者のIDとの紐付けを含む取引情報をトレーサビリティシステムに送信することにより、対応づけ情報に取り込むことが可能となる。ここで、商品の識別単位IDは、QRコード(登録商標)等の情報保持部から取得されることが考えられる。また、最終消費者IDは、ポイントカードやクレジットカード等の個人情報源から取得されることが考えられる。また、ネットショップで購入した場合、最終消費者IDは、当該ネットショップ又は当該ネットショップが属するショッピングモールが管理するユーザログインID等の個人情報源から取得されることが考えられる。
【0040】
本発明は、上記の各実施形態に限られない。例えば、検索部や処理部がトレーサビリティシステムの一部に装備されていてもよい。チェーントレーサビリティのための対応づけ情報は、トレーサビリティシステムの外部の記憶部にコピーされた情報を使用してもよい。事業者には、運送や包装など商品そのものの移転に関与する業者を含めてもよい。
【0041】
[日時情報の提供]
卸業者及び小売業者は、自社の在庫のうち、製造日時の古い商品又は入荷日時が古い商品を知ることができれば、その古い商品から先に出荷することが容易にできるので、便利である。また、製造業者や卸売業者などは、どこに古い商品があるかを知り、交換したり、廃棄することが可能になる。
図2及び
図5に示すように、チェーントレーサビリティのための対応づけ情報には、各識別単位を取り扱った事業者IDごとに、その事業者に当該識別単位が入荷した日時情報Tが関連付けられている。最も川上の事業者(製造者)の場合、Tは製造日時とする。
図1において、情報要求端末30から商品IDと事業者IDとを指定して当該商品の在庫一覧の要求があった場合、流通在庫情報提供システム10は、以下の処理を実行する。
【0042】
受付部1は、情報要求端末から在庫一覧の要求を受け付け、当該要求に伴って指定された商品ID及び事業者IDを検索部2に渡す。検索部2は、受付部1から取得した商品IDが一致し、かつ、事業者IDが最も川下の事業者IDと一致するレコードをチェーントレーサビリティのための対応づけ情報から検索する。検索部2は、この結果ヒットした各レコードから、商品IDと、識別単位IDと、最も川上の事業者IDに紐付けられた製造日時と、最も川下の事業者IDに紐付けられた入荷日時との関連付けを抽出する。
【0043】
そして、検索部2は、抽出した情報を識別単位IDごとに羅列し、
図8に示す在庫一覧表を生成する。処理部3は、検索部2が生成した在庫一覧表を受付部1に渡す。受付部1は、在庫一覧を要求した情報要求端末30に在庫一覧表を送信する。情報要求端末30は、受付部1から受信した在庫一覧表を表示装置に表示する。情報要求端末30を操作した事業者は、在庫一覧表を閲覧することにより、自社の在庫又は自社流通の他社の在庫のうち製造又は入荷が古い識別単位を容易に知ることができる。よって、事業者は、自社の在庫について、製造又は入荷が古い識別単位から先に出荷することが可能になる。また、事業者が他社の在庫を知り得ることにより、例えばメーカーは、自社の商品のうち、どの卸や小売店に古いものがあるかがわかるので、古いものは交換して新しくするとか、その小売店Aとは別の小売店Bが出荷する時に、Aの古い在庫をBに使ってもらう(賞味期限にこだわらない用途などの場合)ということで、廃棄を減らし、品物を有効に使うことができる。
【0044】
[トレーサビリティシステムによる消費者の管理]
図1において、トレーサビリティシステム20は、チェーントレーサビリティのための対応づけ情報を格納した記憶部21と、当該対応づけ情報を更新する更新部22とを備えている。更新部22の動作は、トレーサビリティシステム20の処理装置がプログラムを実行することにより実現する。更新部22は、情報登録端末40から商品の出荷又は入荷を表す情報(商品IDと、識別単位IDと、出荷先又は入荷先の事業者ID又は消費者IDと、その出荷日時又は入荷日時との関連付け)を受信すると、識別単位IDが一致する対応づけ情報を更新する。即ち、更新部22は、識別単位IDが一致する対応づけ情報のレコードに対し、受信した事業者ID又は消費者IDを最も川下に付け加えると共に、当該事業者ID又は消費者IDに、受信した出荷日時又は入荷日時Tを紐付ける。対応づけ情報の最も川下に消費者IDが付加された場合、流通在庫情報提供システム10は、その識別単位は消費者の手に渡ったものとして、事業者の在庫としてはカウントしなくなる。
【0045】
事業者が在庫を自家消費した場合、情報登録端末40からトレーサビリティシステム20に対し、当該事業者の事業者IDから当該事業者の消費者IDへと識別単位が移動したことを表す情報を入力すればよい。これにより、トレーサビリティシステム20は、当該識別単位の対応づけ情報の最も川下に当該事業者の消費者IDを付加する。よって、流通在庫情報提供システム10は、当該事業者の在庫が減少したものとして、正しい在庫数量を算出する。
【0046】
[取引管理システムとの連携]
図9は、第1実施形態及び第2実施形態の変形例を示す。トレーサビリティシステム20は、上記の情報登録端末40と通信する代わりに、取引管理システム50と通信する。その他の構成は
図1と同様である。
流通在庫情報提供システム10、トレーサビリティシステム20、及び、取引管理システム50は、必ずしも、独立したネットワークノードである必要はない。例えば、流通在庫情報提供システム10、トレーサビリティシステム20、及び、取引管理システム50は、それぞれがプログラムのユニットでもよい。ユニット相互間の通信は、プログラム間のデータの引き渡しによって行うことができる。
【0047】
取引管理システム50は、発注処理機能、発送・納品処理機能、及び、伝票発行処理機能を備えている。各機能は、コンピュータがプログラムを実行することにより実現される。
発注処理機能は、事業者又は消費者から第1の事業者への商品の発注指示を外部の端末から受け付け、当該発注指示を処理する。また、発注処理機能は、当該商品を第1の事業者から川上の第2の事業者に更に発注する必要があるか否かを判断し、第2の事業者に発注する必要があれば、当該発注の処理を実行する。
【0048】
発送・納品処理機能は、発注先の事業者による商品の発送状況を管理する。また、発送・納品処理機能は、発注元の事業者又は消費者への商品の納入状況を管理する。発送・納品処理機能は、発注先から発注元の事業者又は消費者に商品が納入されると、当該入荷先の事業者ID又は消費者のIDと、納入された商品の商品IDと、当該商品の識別単位IDと、納入された日時とを外部の端末から取得し、これらの情報を関連付けて記憶部に格納する。取引管理システム50は、所定のタイミングでこれらの情報を記憶部から読み出し、トレーサビリティシステム20の更新部22に引き渡す。
【0049】
更新部22は、取引管理システム50から、商品IDと、識別単位IDと、入荷先の事業者ID又は消費者IDと、その入荷日時との関連付けを取得し、識別単位IDが一致する対応づけ情報を検索し、今回受信した事業者ID又は消費者IDを対応づけ情報に付け加えて更新する。
伝票発行処理機能は、商品の発注元から発注先への発注書(発注伝票)、商品の発注先から発注元への請求書(請求伝票)や納品書(納品伝票)を発行する。上記のように、発注元の事業者又は消費者から第1の事業者への商品の発注指示があり、更に、当該商品を第1の事業者から川上の第2の事業者に発注する場合、伝票発行処理機能は、最初に発注を指示した事業者又は消費者と第1の事業者との間の取引伝票だけでなく、第1の事業者から川上の第2の事業者への発注に関する取引伝票も自動的に発行する。
【0050】
[他の在庫情報提供システム]
以下に説明する発明は、商品の流通により増減する在庫数量の情報を提供するシステムに関する。
例えば、生産業者から卸売業者に納入した商品の数量を、生産業者は把握することができる。しかし、その後に卸売業者から小売業者に納入された商品の納入先や数量を、生産業者は把握できない場合がある。本発明は、納入した商品について、直接の納入先以降の在庫の分布が分かるようにすることを課題とする。
【0051】
図10に実施形態を示す。A社、B社、C社、及び、D社の取引において、A社とB社の取引は、A-B社間取引管理システム201により管理されている。同様に、B社とC社の取引は、B-C社間取引管理システム202により管理されている。同様に、B社とD社の取引は、B-D社間取引管理システム203により管理されている。各取引管理システム201-203は、企業間取引に基づき納入された商品の商品ID、製造ロットID、納入数量、納入経路を示す情報、及び、納入日時を示す情報を、在庫情報提供システム100にそれぞれ送信する。各取引管理システム201-203は、コンピュータがプログラムを実行することにより動作する。各取引管理システム201-203と在庫情報提供システム100との通信は、インターネット等を通じて行われる。各取引管理システム201-203は、それぞれ仕様が異なる独立したシステムであり、在庫情報提供システム100に送信するデータの仕様もシステム毎に異なっている。
【0052】
在庫情報提供システム100は、システムアダプタ101-103、記録処理部104、商品納入情報DB105、在庫情報生成部106、及び、在庫情報提供I/F107を備えている。システムアダプタ101-103、記録処理部104、在庫情報生成部106、及び、在庫情報提供I/Fは、コンピュータがプログラムを実行することにより実現する。商品納入情報DB105は、記憶装置に設けられたデータベースである。
【0053】
システムアダプタ101-103は、各取引管理システム201-203から送信されたデータを受信する。データの受信は通信装置を介して行われる。A-Bシステムアダプタ101は、A-B社間取引管理システム201から送信されたデータの仕様を理解し、当該データから商品ID、製造ロットID、納入数量、納入経路を示す情報、及び、納入日時を示す情報を抽出し、これらの情報を関連付けた商品納入情報を記録処理部104に引き渡す。同様に、B-Cシステムアダプタ102は、B-C社間取引管理システム202から送信されたデータの仕様を理解し、当該データから商品ID、製造ロットID、納入数量、納入経路を示す情報、及び、納入日時を示す情報を抽出し、これらの情報を関連付けた商品納入情報を記録処理部104に引き渡す。同様に、B-Dシステムアダプタ103は、B-D社間取引管理システム203から送信されたデータの仕様を理解し、当該データから商品ID、製造ロットID、納入数量、納入経路を示す情報、及び、納入日時を示す情報を抽出し、これらの情報を関連付けた商品納入情報を記録処理部104に引き渡す。
【0054】
記録処理部104は、各システムアダプタ101-103から取得した商品納入情報を商品納入情報DB105に蓄積する。
図11は、商品納入情報DB105に蓄積される商品納入情報の例を示している。ここで、
図10の下方に示すように、ある商品をA社からB社100個納入し、その後、その商品をB社からC社に50個納入するとともに、B社からD社に40個納入したとする。
【0055】
この場合、A-B社間取引管理システム201からは、
図11の符号abで示す商品納入情報が送信され、商品納入情報DB105に蓄積される。その内訳は、商品IDがp001の商品が、100個、A社からB社に納入され、その納入日時は6月1日の12:00である。
【0056】
また、B-C社間取引管理システム202からは、
図11の符号bcで示す商品納入情報が送信され、商品納入情報DB105に蓄積される。その内訳は、商品IDがp001の商品が、50個、B社からC社に納入され、その納入日時は6月1日の18:00である。
【0057】
また、B-D社間取引管理システム203からは、
図11の符号bdで示す商品納入情報が送信され、商品納入情報DB105に蓄積される。その内訳は、商品IDがp001の商品が、40個、B社からD社に納入され、その納入日時は6月2日の9:00である。他の商品p002等についても、同様に、納入実績に応じて、商品納入情報DB105に蓄積されてゆく。
【0058】
先にも触れたが、各社間の取引管理システム201-203は、他社間の取引管理システムとの情報共有を行っておらず、クローズシステムの形態で運用されている。一方、在庫情報提供システム100は、各クローズシステムから情報を集約して処理するオープンシステムとして運用される。
【0059】
在庫情報生成部106は、商品納入情報DB105に蓄積された商品納入情報を参照し、指定された企業が発送した商品について、当該企業よりも下流の企業における在庫の分布を示すために、下流の各社の在庫数量を算出する。
【0060】
この動作を
図12に示す。説明にあたり、
図11に示した商品納入情報を前提とし、処理対象としてA社が発送した商品p001が指定されたとする。まず、在庫情報生成部106は、指定された商品p001について、指定されたA社を納入元とする商品納入情報(レコード)abを選択し、当該レコードabの納入数量100個を当該レコードの納入先であるB社の在庫数量として設定する(S1)。
【0061】
続いて、在庫情報生成部106は、前に選択したレコードabから納入日時の時系列にレコードを検査し、指定された商品p001について、前に選択したレコードabの納入先であるB社が納入元になっているレコードbc及びbdを選択する(S2及びS3でYES)。
【0062】
続いて、在庫情報生成部106は、選択したレコードbcの納入数量50個を当該レコードbcの納入元であるB社の在庫数量から減算し、当該レコードbcの納入先であるC社の在庫数量に設定する。また、選択したレコードbdの納入数量40個を当該レコードbdの納入元であるB社の在庫数量から減算し、当該レコードbdの納入先であるD社の在庫数量に設定する(S4)。その後、在庫情報生成部106は、S2からの処理を繰り返す。
図11の例では、前に選択したレコードの納入先であるC社又はD社が納入元になっているレコードが存在しないので、処理を終了する(S2及びS3でNO)。この結果、A社が納入した100個の商品p001の在庫数量は、B社に10個(100-50-40個)、C社に50個、D社に40個と算出される。
【0063】
在庫情報提供I/F107は、外部の在庫情報要求装置300にユーザインターフェースを提供する。在庫情報提供I/F107と在庫情報要求装置300との通信は通信装置及びインターネットを介して行われる。在庫情報提供I/F107は、在庫情報提供システム100を利用する在庫情報要求装置300のユーザを認証する。ここでは、ユーザとしてA社を認証する。その後、在庫情報提供I/F107は、在庫情報要求装置300から、在庫を調べたい商品の指定と、情報要求操作とを受け付ける。ここでは、商品IDとしてp001の指定を受ける。在庫情報要求装置300から情報要求操作を受け付けた在庫情報提供I/F107は、認証したA社の識別子と、指定された商品IDとを在庫情報生成部106に引き渡し、在庫情報の生成を指示する。
【0064】
当該指示を受けた在庫情報生成部106は、上記のとおり、各社に分布する在庫数量を算出し、在庫情報提供I/F107に渡す。
図11に示した例によれば、在庫情報生成部106は、A社が発送した100個の商品p001が、B社の10個、C社の50個、D社の40個の在庫になっている、という在庫情報を、在庫情報提供I/F107に渡す。
【0065】
在庫情報提供I/F107は、在庫情報生成部106から取得した在庫情報を整形し要求元の在庫情報要求装置300に送信する。在庫情報要求装置300のユーザは、自社が発送した商品の下流における在庫分布を知ることができ、将来における商品の調達の計画等に役立てることができる。
【0066】
本実施形態によれば、仕様が異なる複数のクローズドシステムで管理されている取引情報をオープンシステムとしての在庫情報提供システムに集めることにより、クローズドシステムで把握できる自社の在庫だけでなく、更に下流の流通先を含む在庫の分布を知ることができる。
【0067】
また、在庫情報提供I/F107は、納入元が持っている現在の在庫数量を納入先に示してもよい。この場合、在庫情報提供I/F107は、在庫情報要求装置のユーザとして認証した企業の識別子と商品IDの指定とを、在庫情報要求装置300から受信する。ここでは、商品IDとしてp001を、かつ、ユーザの識別子としてC社の識別子を受信したとする。在庫情報生成部106は、商品IDがp001であり、かつ、納入経路に示された納入先がC社である商品納入情報のレコードbcを商品納入情報DB105から検索する。在庫情報生成部106は、検索したレコードbcの納入経路に示された納入元の企業を判定し、当該納入元の企業に設定されているp001の在庫数量を記憶装置から読み出す。そして、在庫情報生成部106は、読み出した在庫数量を在庫情報提供I/F107に渡す。在庫情報提供I/F107は、在庫情報生成部106から渡された在庫数量を情報要求元の在庫情報要求装置300に送信する。
【0068】
B社が持っているp001の在庫数量は、
図12に示した在庫数量の算出処理により算出することができる。この場合、商品p001についてB社が納入経路に示された納入先になっているレコードabをステップS1の処理対象とすればよい。
【0069】
このようにすると、納入先の企業は、納入元の企業が持っている商品の在庫数量を知ることができるため、仕入れのタイミングを計る参考になる。また、在庫情報提供システム100は、メーカー企業が持っている商品の在庫数量を取引管理システムから取得することにより、当該在庫数量を在庫情報要求装置300を通じて下流の納入先に示すことが可能となる。この場合も、下流の企業はメーカーにどれだけ在庫があるかを知ることができ、仕入れのタイミングを計る参考になる。
【符号の説明】
【0070】
1 受付部
2 検索部
3 処理部
10 流通在庫情報提供システム
20 トレーサビリティシステム
21 記憶部
22 更新部
30 情報要求端末
40 情報登録端末
50 取引管理システム
100 在庫情報提供システム
101,102,103 システムアダプタ
104 記録処理部
105 商品納入情報DB
106 在庫情報生成部
107 在庫情報提供I/F
201,202,203 社間取引管理システム
300 在庫情報要求装置