(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】焚き火台
(51)【国際特許分類】
A47J 37/07 20060101AFI20220715BHJP
F24B 13/02 20060101ALI20220715BHJP
F24B 13/00 20060101ALI20220715BHJP
F24C 1/16 20210101ALI20220715BHJP
【FI】
A47J37/07
F24B13/02 E
F24B13/00 Z
F24C1/16 Z
(21)【出願番号】P 2021101391
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000135726
【氏名又は名称】株式会社バンガード
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】岩本 将史
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3143162(JP,U)
【文献】特開平10-323289(JP,A)
【文献】米国特許第10557635(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/07
F24B 13/02
F24B 13/00
F24C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状に形成される本体部と、
自立可能で、前記本体部の底壁に連結されて前記本体部を接地面上の適宜高さに保持する台座とを有し、
前記本体部の底部壁面には、前記台座の一端部に形成される嵌合突部が着脱自在に嵌合可能な表裏に貫通する台座連結孔が形成されるとともに、
前記台座は、本体部を支持する支持姿勢に対して天地反転した収容姿勢で前記嵌合突部を台座連結孔に嵌合させて前記本体部に嵌入可能に形成される焚き火台。
【請求項2】
前記本体部は嵌入状態の台座を始端位置から終端位置まで移動可能な大きさに形成されるとともに、前記台座連結孔は長孔状に形成されて台座の移動に伴う嵌合突部の移動が許容され、
かつ、前記嵌合突部の先端には抜け止め突部が突設され、
前記台座連結孔は、始端位置において挿通した前記抜け止め突部の抜去を終端部において規制して台座の本体部からの離脱を規制する請求項1記載の焚き火台。
【請求項3】
前記台座は始端位置から終端位置まで水平回転する請求項2記載の焚き火台。
【請求項4】
前記台座は前記本体部の深さ寸法に比して低背に形成される請求項1、2または3記載の焚き火台。
【請求項5】
前記台座は2枚の板材を分離可能に平面視X字形状に連結して形成される請求項1から4のいずれかに記載の焚き火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焚き火台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可搬性を高めた焚き火台としては、特許文献1記載のものが知られている。この従来例において、焚き火台は4枚のプレート本体と、2枚のプレート状の足を連結して形成され、使用後には6枚のプレートを折り畳むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来例において、使用の際の組み立て、使用終了時の組立解除作業が必要となり、面倒であるという欠点がある。
【0005】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、設置、後片付けに手間を要せず、使い勝手の良好な焚き火台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記目的は、
有底筒状に形成される本体部1と、
自立可能で、前記本体部1の底壁に連結されて前記本体部1を接地面上の適宜高さに保持する台座2とを有し、
前記本体部1の底部壁面には、前記台座2の一端部に形成される嵌合突部3が着脱自在に嵌合可能な表裏に貫通する台座連結孔4が形成されるとともに、
前記台座2は、本体部1を支持する支持姿勢に対して天地反転した収容姿勢で前記嵌合突部3を台座連結孔4に嵌合させて前記本体部1に嵌入可能に形成される焚き火台を提供することにより達成される。
【0007】
焚き火台は薪等の燃料を燃焼させる本体部1に台座2を連結して形成される。台座2は嵌合突部3を上方に位置させた支持姿勢で地面等の設置面上に自立させ、嵌合突部3を本体部1の底壁に開設された台座連結孔4に嵌合させることによって本体部1を接地面上の適宜高さに安定して保持することができる。
【0008】
また、上記台座連結孔4は底壁の表面に対しても開口する貫通孔として形成されるとともに、本体部1は、収容姿勢の台座2を嵌入させることが可能な大きさに形成され、さらに、台座連結孔4は、台座2を収めた状態で嵌合突部3が嵌合する位置に設けられる。
【0009】
以上から、台座2は本体部1から取り外した後、天地を反転させた収容姿勢に移行させて本体部1に嵌入させることができる。
【0010】
したがって、本発明によれば、焚き火台を使用する際には本体部1から取り出した台座2を支持姿勢に移行させた後、嵌合突部3を本体部1の台座連結孔4に嵌合させるだけで本体部1を台座2により支持された使用状態にすることができる。
【0011】
また、使用後には、台座2を本体部1から取り外した後、台座2を収容姿勢に反転させて嵌合突部3を台座連結孔4に嵌合させるだけで台座2を本体部1内に格納することができる。格納姿勢で台座2は嵌合突部3が台座連結孔4に嵌合された状態となっているために、本体部1内での不用意な動揺、ガタツキを防ぐことができる。
【0012】
台座2は収容姿勢で本体部1に嵌入させただけの状態で運搬等が可能であるが、
前記本体部1は嵌入状態の台座2を始端位置から終端位置まで移動可能な大きさに形成されるとともに、前記台座連結孔4は長孔状に形成されて台座2の移動に伴う嵌合突部3の移動が許容され、
かつ、前記嵌合突部3の先端には抜け止め突部5が突設され、
前記台座連結孔4は、始端位置において挿通した前記抜け止め突部5の抜去を終端部において規制して台座2の本体部1からの離脱を規制するように構成することもできる。
【0013】
嵌合突部3の先端部に形成された抜け止め突部5は台座2の始端位置に対応する位置において台座連結孔4に挿通可能であり、台座連結孔4に嵌合突部3を挿入した状態で台座2を始端位置から終端位置まで移動させると、抜け止め突部5は台座連結孔4から離脱することがなくなる。
【0014】
この状態で本体部1を反転、あるいは転倒させても、台座2が本体部1から離脱することがなくなり、運搬時等のガタツキ等を効果的に防止できる。
【0015】
台座2は並進移動により始端位置から終端位置まで移動させることも可能であり、この場合、始端位置と終端位置との間隔を狭く設定することにより本体部1内の空間部を台座2収容空間として効率的に利用することができるが、台座2を水平回転させるように構成すると、本体部1内の空間部をより効率的に利用することができる。
【0016】
また、台座2は全体を本体部1内に格納する必要はなく、一部が本体部1から突出した状態で本体部1の空間部に嵌入させてもよいが、台座2を嵌合突部3が台座連結孔4に嵌合させた状態で本体部1の高さに比して低背となるように形成すると、不使用時に台座2全体を本体部1内に収容することができるために、運搬、保管時に邪魔になることがなくなる。
【0017】
さらに、台座2は適宜の形状に形成することが可能であるが、2枚の板材を平面視X字形状に連結して形成すると、台座2の構造を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、設置、後片付けに手間を要しないために、使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を示す図で、(a)は使用状態を示す正面図、(b)は平面図である。
【
図2】本発明を示す図で、(a)は
図1(a)の2A方向矢視図、(b)は
図1(b)の2B-2B線断面図である。
【
図3】台座を示す図で、(a)は台座片を示す図、(b)は台座の組立方法を示す斜視説明図、(c)は台座を示す斜視図である。
【
図4】本体部を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の4B-4B線断面図である。
【
図5】本体部への台座の装着方法を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の5B-5B線断面図である。
【
図6】本体部内への台座の収納状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の6B-6B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1以下に示すように、焚き火台は、薄い金属板等により形成される有底筒形状の本体部1に台座2を連結して形成される。
【0021】
図3に示すように、台座2は金属製の板材により形成される2枚の台座片6を連結して形成される。各台座片6は、
図3(a)に示すように、左右対称のX字形状に形成されており、上端部には、上方に延びる嵌合突部3と、嵌合突部3の先端から対象軸方向(中心軸(C6)方向)に突出する抜け止め突部5とが設けられる。
【0022】
これら2枚の台座片6のうち一方の中心軸(C6)上には、下方に向け、他方には上方に開放される連結スリット6aが各々設けられる。これら各連結スリット6aは、台座片6の厚み方向寸法とほぼ同寸の溝幅寸法を有するとともに、奥行壁と台座片6の下端との寸法は同寸とされており、連結スリット6aを除いて2枚の台座片6は同一形状に形成される。
【0023】
したがって、本例において、
図3(b)に示すように、2枚の台座片6を直交状態にした後、連結スリット6a同士を噛み合わせることにより、
図3(c)に示すように、全体として平面視がX字形状で、下端から上端までの距離が4箇所で同寸で、必要に応じて台座片6に分離可能な台座2を形成することができる。
【0024】
一方、
図4に示すように、本例の本体部1は円筒筒形状に形成され、側壁部には通風孔として機能する開口1aが複数個開設されている。本例において開口1aは矩形孔として形成されているが、円孔、スリット等にすることもできる。
【0025】
また、開口1aは通風孔として使用する場合を示しているが、対向位置の開口1a間に複数本の金属棒を張り渡して調理器を支持するための支持台を形成するために使用することも可能であり、大きさ、形状は用途に合わせて変更し、あるいは種々のものを混在させることができる。
【0026】
上記本体部1の底壁1bには、台座連結孔4が表裏に貫通して開設される。台座連結孔4は、本体部1の中心に対して同心円上に4個配置されており、各々が上記台座2の嵌合突部3に対応する。
【0027】
各台座連結孔4は、台座2の抜け止め突部5が挿通可能な始端開口部4aと、始端開口部4aの遠心方向端部から接線方向に延びる突部移動開口4bとを有する。始端開口部4aは台座2の抜け止め突部5が挿通可能な幅、長さ寸法を有しており、突部移動開口4bは抜け止め突部5の長さ寸法に比して短寸で、かつ、嵌合突部3が通過可能な寸法に形成される。
【0028】
したがって本例において、
図5に示すように、台座2の抜け止め突部5を本体部1の底面側から始端開口部4aに挿通させると、嵌合突部3の高さ寸法は本体部1の底壁1bの板厚に比してやや大寸とされているために、抜け止め突部5は本体部1の底壁1bの上面から突出した状態となっており、さらに嵌合突部3は突部移動開口4bを通可能であるために、台座2は
図5(a)において時計回りに回転させることができる。
【0029】
この始端位置、すなわち、抜け止め突部5を始端開口部4aに挿通させた位置から、台座2を嵌合突部3が突部移動開口4bの終端に当接するまで回転操作して終端位置に移動させると、
図1、2に示すように、突部移動開口4bの幅寸法に比して長寸の抜け止め突部5が本体部1の底壁1bの表面に位置して突部移動開口4bからの離脱が規制され、この状態で台座2を地面等の適宜の接地面上に載置して焚き火台として使用することができる。
【0030】
使用後には、台座2を始端位置まで回転させた後、台座2を本体部1から分離し、次いで、本体部1を下方から支持していた支持姿勢から天地反転させて収容姿勢に移行させ、この後、下端に位置する抜け止め突部5を始端開口に挿通させて本体部1内に収納する。
【0031】
本体部1は、収容姿勢の台座2が抜け止め突部5を始端開口に挿通させた状態で格納可能な大きさに形成されており、始端位置から終端位置まで回転操作可能な本例においては、始端位置にある状態から終端位置までの台座2の回転が許容される大きさに形成される。
【0032】
本体部1の深さは台座2の一部を覆うことができれば足りるが、本例のように、台座2の抜け止め突部5を台座連結孔4に挿通させた状態で台座2の全高を覆うことができる深さに設定すると、
図6に示すように、収容状態において台座2が本体部1からはみ出すことがないので、保管、運搬時の邪魔にならない。
【0033】
また、本体部1内で台座2を始端位置から終端位置まで回転操作すると、上述したように、本体部1からの台座2の離脱が困難になるために、保管、運搬時に不用意に台座2が本体部1から飛び出すことがない。
【0034】
なお、以上においては、本体部1を円筒形状に形成する場合を示したが、この他に、例えば、上方に行くに従って漸次直径が大きくなる截頭円錐筒形状等、適宜の形状に形成することができる。
【0035】
また、台座2の始端位置から終端位置までの移動は、回転移動に限られず、並進移動によることも可能で、このような並進移動による場合であっても、始端開口と突部移動開口4bの終端までの間隔を小さくすると、本体部1の容積を過大にする必要がなくなる。
【符号の説明】
【0036】
1 本体部
2 台座
3 嵌合突部
4 台座連結孔
5 抜け止め突部
【要約】
【課題】後片付けに手間を要せず、使い勝手の良好な焚き火台の提供を目的とする。
【解決手段】有底筒状に形成される本体部1と、
自立可能で、前記本体部1の底壁に連結されて前記本体部1を接地面上の適宜高さに保持する台座2とを有し、
前記本体部1の底部壁面には、前記台座2の一端部に形成される嵌合突部3が着脱自在に嵌合可能な表裏に貫通する台座連結孔4が形成されるとともに、
前記台座2は、本体部1を支持する支持姿勢に対して天地反転した収容姿勢で前記嵌合突部3を台座連結孔4に嵌合させて前記本体部1に嵌入可能に形成される。
【選択図】
図6