(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220715BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20220715BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20220715BHJP
【FI】
G06Q30/02 370
G01C21/34
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2016137686
(22)【出願日】2016-07-12
【審査請求日】2019-05-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】森 雄 大
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】中野 浩昌
【審判官】古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-130918(JP,A)
【文献】特開2005-234710(JP,A)
【文献】特表2012-521169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
G01C21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者にインセンティブを付与するためのインセンティブ評価の対象となる評価対象移動情報を取得する評価対象移動情報取得手段と、
前記インセンティブ評価の基準となる基準移動情報を取得する基準移動情報取得手段と、
前記評価対象移動情報と前記基準移動情報との比較に基づいて、前記基準移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間が
混雑ピーク時間帯に短縮されたと判断した場合に、前記利用者にインセンティブを付与するインセンティブ付与手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記基準移動情報取得手段は、
前記利用者の経路探索結果に基づいて前記基準移動情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記基準移動情報取得手段は、
前記利用者の定期券登録情報に基づいて前記基準移動情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記基準移動情報取得手段は、
前記利用者が設定した乗車駅および/または降車駅に基づいて前記基準移動情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記基準移動情報取得手段は、
前記利用者の移動履歴情報に基づいて前記基準移動情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記基準移動情報取得手段は、
前記評価対象移動情報に基づいて前記基準移動情報を取得することを特徴とする請求項1、3および4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記基準移動情報取得手段は、
出発地および
前記出発地からの経路コストが他の乗車駅と比較して小さい最適乗車駅と、目的地および
前記目的地までの経路コストが他の降車駅と比較して小さい最適降車駅との少なくとも一方に基づいて前記基準移動情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記基準移動情報取得手段は、
更に、前記利用者が実際に利用した乗車駅および/または前記利用者が実際に利用した降車駅に基づいて前記基準移動情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記基準移動情報取得手段は、
更に、路線に基づいて前記最適乗車駅および/または前記最適降車駅を取得することを特徴とする請求項7または8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記インセンティブ付与手段は、前記公共交通機関の移動区間が短縮された時間帯に応じたインセンティブを付与することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記インセンティブ付与手段は、前記公共交通機関の移動区間の短縮量に応じたインセンティブを付与することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
出発地
からの経路コストが他の乗車駅と比較して小さい最適乗車駅および/または目的地
までの経路コストが他の降車駅と比較して小さい最適降車駅を取得する取得手段と、
利用者が
混雑ピーク時間帯に前記最適乗車駅
よりも前記目的地側の乗車駅または前記最適降車駅
よりも前記出発地側の降車駅を利用し
て移動した場合に、前記利用者にインセンティブを付与するインセンティブ付与手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項13】
コンピュータを、
利用者にインセンティブを付与するためのインセンティブ評価の対象となる評価対象移動情報を取得する評価対象移動情報取得手段、
前記インセンティブ評価の基準となる基準移動情報を取得する基準移動情報取得手段、
前記評価対象移動情報と前記基準移動情報との比較に基づいて、前記基準移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間が
混雑ピーク時間帯に短縮されたと判断した場合に、前記利用者にインセンティブを付与するインセンティブ付与手段、
として機能させる情報処理プログラム。
【請求項14】
コンピュータを、
出発地
からの経路コストが他の乗車駅と比較して小さい最適乗車駅および/または目的地
までの経路コストが他の降車駅と比較して小さい最適降車駅を取得する取得手段、
利用者が
混雑ピーク時間帯に前記最適乗車駅
よりも前記目的地側の乗車駅または前記最適降車駅
よりも前記出発地側の降車駅を利用し
て移動した場合に、前記利用者にインセンティブを付与するインセンティブ付与手段、
として機能させる情報処理プログラム。
【請求項15】
評価対象移動情報取得手段が、利用者にインセンティブを付与するためのインセンティブ評価の対象となる評価対象移動情報を取得するステップと、
基準移動情報取得手段が、前記インセンティブ評価の基準となる基準移動情報を取得するステップと、
インセンティブ付与手段が、前記評価対象移動情報と前記基準移動情報との比較に基づいて、前記基準移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間が
混雑ピーク時間帯に短縮されたと判断した場合に、前記利用者にインセンティブを付与するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項16】
取得手段が、出発地
からの経路コストが他の乗車駅と比較して小さい最適乗車駅および/または目的地
までの経路コストが他の降車駅と比較して小さい最適降車駅を取得するステップと、
インセンティブ付与手段が、利用者が
混雑ピーク時間帯に前記最適乗車駅
よりも前記目的地側の乗車駅または前記最適降車駅
よりも前記出発地側の降車駅を利用し
て移動した場合に、前記利用者にインセンティブを付与するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ICカードの入退場情報から乗車区間および乗車時間を特定し、乗車時間帯の列車の状況を推定してインセンティブを付与する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、インセンティブ付与の条件が限定的であるため、公共交通機関の利用者がインセンティブを取得する機会を増やすことが困難であるといった問題がある。例えば、特許文献1に記載の技術では、普段利用する移動経路上の公共交通機関の移動区間を短縮して移動した場合、そのような移動をした利用者に対して、なんらインセンティブの考慮はされていなかった。
【0005】
本発明は、公共交通機関の利用者がインセンティブを取得する機会を増やすことができる情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置および情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理システムは、
利用者にインセンティブを付与するためのインセンティブ評価の対象となる評価対象移動情報を取得する評価対象移動情報取得手段と、
前記インセンティブ評価の基準となる基準移動情報を取得する基準移動情報取得手段と、
前記評価対象移動情報と前記基準移動情報との比較に基づいて、前記基準移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間が短縮されたと判断した場合に、前記利用者にインセンティブを付与するインセンティブ付与手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、公共交通機関の利用者がインセンティブを取得する機会を増やし、混雑緩和に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、端末装置2の入力画面を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適経路上の最適降車駅の手前の降車駅を利用する評価対象移動経路を示す図であり、
図4(b)は、最適経路上の最適乗車駅の先の乗車駅を利用する評価対象移動経路を示す図であり、
図4(c)は、最適乗車駅の先の乗車駅と最適降車駅の手前の降車駅とを利用する評価対象移動経路を示す図である。
【
図5】第1の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適乗車駅の先の乗車駅を利用する例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、実際に利用する乗車駅への進入判定を説明するための説明図である。
【
図8】第1の実施形態の第2の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、路線毎の最適乗車駅を示す図である。
【
図9】第1の実施形態の第3の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態の第3の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、登録された出発地の真偽判定を説明するための説明図である。
【
図11】第1の実施形態の第4の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第1の実施形態の第4の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、定期券降車駅の手前の駅を利用する例を示す図である。
【
図13】第1の実施形態の第5の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第1の実施形態の第5の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適乗車駅の先の乗車駅と最適降車駅の手前の降車駅とを利用する例を示す図である。
【
図15】第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【
図16】第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17】第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例において、混雑ピーク時間帯データを示す図である。
【
図18】第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、混雑ピーク時間帯に最適経路上の最適降車駅の手前の降車駅を利用する例を示す図である。
【
図19】第1の実施形態の第7の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図20】第1の実施形態の第8の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図21】第2の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図22】第2の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例において、最適降車駅を利用しない移動の有無の判定工程を示すフローチャートである。
【
図23】第2の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適降車駅を利用しない移動の有無の判定を説明するための説明図である。
【
図24】第2の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図25】第2の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適降車駅を利用しない移動の有無の判定を説明するための説明図である。
【
図26】第2の実施形態の第2の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図27】第2の実施形態の第2の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適降車駅を利用しない移動の有無の判定を説明するための説明図である。
【
図28】情報処理システム1の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム1について説明する。第1の実施形態に係る情報処理システム1は、モバイル端末(スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等)を携帯し、公共交通機関を利用する利用者(以下、単に「ユーザ」ともいう)に対してインセンティブを付与するシステムである。
【0011】
ここで、インセンティブとは、公共交通機関のユーザに、ある行動をとらせるためのものである。例えば、公共交通機関の混雑緩和を推奨するために、比較的空いている列車や路線を利用することで混雑回避に貢献したユーザに付与される。インセンティブの具体的な態様は特に限定されず、例えば、マイル、ポイント、定期券の割引およびクーポンなどの金銭的価値のあるものであってもよい。インセンティブがポイントの場合、ポイントは、例えば、情報処理システム1の保有者(すなわち、自社)が提供する商品やサービスに専用の自社専用ポイント、情報処理システム1の保有者以外の者(すなわち、他社)が提供する商品やサービスに適用される他社用ポイント、他社用ポイントに還元可能なポイント、または、懸賞用のポイントなどであってもよい。
【0012】
また、公共交通機関は、本実施形態では、鉄道である。公共交通機関は、鉄道に限らず、バス等であってもよい。ここで、駅とは、公共交通機関が乗客を乗り降りさせるために停留する場所を意味し、例えば、公共交通機関が鉄道の場合には駅であり、公共交通機関がバスの場合にはバス停留所である。
【0013】
情報処理システム1は、
図1に示すように、端末装置2と、サーバ3とを備えている。端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。ネットワークは、無線回線を含むのであれば回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置2およびサーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0014】
端末装置2は、公共交通機関や他の移動手段(例えば、徒歩や自転車)による移動の際にユーザが携帯するものであり、例えば、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末である。
【0015】
端末装置2は、
図1に示すように、通信部21と、制御部22と、入力部23と、出力部24と、記憶部25とを有する。まず、端末装置2の構成要素のうち、制御部22以外の構成要素、即ち、通信部21、入力部23、出力部24および記憶部25について説明する。
【0016】
通信部21は、ネットワークを介して制御部22とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。なお、通信部21は、ユーザのICカードから乗車履歴を取得したり、自動改札機からの入退場情報を取得したりすることが可能なNFC(Near Field Communication)機能などの近距離無線通信機能を備えていてもよい。
【0017】
入力部23は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、タッチパッドもしくはダイヤルボタンであってもよい。
【0018】
出力部24は、端末装置2からユーザに対して各種情報を出力するインターフェースであり、例えば液晶ディスプレイ等の映像表示手段である。具体的には、出力部24は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。出力部24は、各種情報を音声出力するスピーカであってもよい。
【0019】
出力部24は、ユーザに情報を直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部24は、端末装置2の外部に接続される映像表示手段や音声出力手段に、映像信号や音声信号を出力するものであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するものであってもよいし、端末装置2内もしくは外部の記憶装置にデータを出力して記憶させるものであってもよい。
【0020】
記憶部25は、例えば内蔵メモリや外部メモリ(SDメモリカード等)などのデータストレージであり、各種データを格納する。記憶部25は、必ずしも端末装置2内に設けられなくてもよく、ネットワークを介して端末装置2と通信可能に接続された別の装置(例えば、サーバ)内に設けられてもよい。
【0021】
次に、端末装置2の制御部22について説明する。制御部22は、
図1に示すように、位置測位部221と利用者登録部222とを有する。
【0022】
位置測位部221は、端末装置2の現在位置を測位する。位置測位部221は、例えば、GPS、ビーコンなどの電波航法手段による測位情報に基づいて現在位置を測位する。位置測位部221は、加速度センサや地磁気センサなどの自律航法手段による測位情報を測位に用いてもよい。なお、これらの加速度センサや地磁気センサは、現在位置を測位するだけでなく、ユーザの歩数を検知することに用いられてもよい。
【0023】
利用者登録部222は、入力部23を用いて入力された基準移動情報を記憶部25に登録する。
【0024】
ここで、基準移動情報とは、ユーザにインセンティブを付与するためのインセンティブ評価の基準となる情報である。本実施形態では、基準移動情報は、インセンティブ評価の基準となる移動経路の情報である。例えば、基準移動情報は、ユーザが探索した、出発地から目的地までの移動経路のうち最適な移動経路(最適経路)である。最適経路は、例えば、出発地、経由地、目的地、乗車駅、降車駅、乗換駅、路線、乗車駅から降車駅までの区間、乗換駅までの区間および時刻情報の少なくとも1つを含む。典型的には、最適経路は、出発地からの経路コストが最小の最適乗車駅、および、目的地までに経路コストが最小の最適降車駅を利用する経路である。なお、最適経路以外の基準移動情報の具体例については、後述の変形例で説明する。
【0025】
制御部22は、利用者登録部222によって登録された基準移動情報を、通信部21を通じてサーバ3に送信する。サーバ3は、端末装置2から送信された基準移動情報のみをインセンティブ評価の基準として用いてもよい。あるいは、サーバ3は、端末装置2から送信された基準移動情報に基づいて新たな基準移動情報を生成し、生成された新たな基準移動情報をインセンティブ評価の基準として用いてもよい。もしくは、サーバ3は、端末装置2から送信された基準移動情報と、端末装置2から送信された基準移動情報取に基づいて生成された新たな基準移動情報との双方を、インセンティブ評価の基準として用いてもよい。
【0026】
また、制御部22は、位置測位部221によって測位された現在位置を、通信部21を通じてサーバ3に送信する。現在位置を送信することで、サーバ3は、現在位置に基づいて評価対象移動情報を取得できる。なお、制御部22(端末装置2)は、単に移動ログをサーバ3に送信することに限定されず、自ら移動ログを解析して出発地や目的地などの地点情報を特定し、特定された地点情報をサーバ3に送信してもよい。
【0027】
ここで、評価対象移動情報とは、インセンティブ評価の対象となる情報である。評価対象移動情報は、ユーザの実際の行動を示した移動履歴情報である移動ログに基づく情報である。移動ログは、例えば、出発地、目的地、出発地または目的地での滞在情報、出発地から目的地までの経路、1地点からの進行方向、乗車駅、降車駅、乗車駅から降車駅までの区間、乗換駅までの区間、乗車駅までの歩行距離や歩数または降車駅までの歩行距離や歩数等であってもよい。評価対象移動情報は、単一の移動ログで構成されていてもよく、または、複数の移動ログを組み合わせた情報であってもよい。また、評価対象移動情報は、移動ログを、公共交通機関の路線を示す後述の経路ネットワーク情報で補完もしくは修正した情報であってもよい。
【0028】
次に、サーバ3について説明する。
図1に示すように、サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。制御部32について説明する前に、通信部31および記憶部33について説明する。
【0029】
通信部31は、ネットワークを介して端末装置2と、サーバ3の制御部32との間で情報を送受信するインターフェースである。なお、通信部31は、電鉄会社のサーバ等の他のサーバからユーザの乗車履歴を受信してもよい。
【0030】
記憶部33は、例えばハードディスク等の固定型データストレージであり、各種データベースを格納する。なお、記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられなくてもよく、ネットワークを介してサーバ3と通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。
【0031】
記憶部33は、経路ネットワークデータベース331と、インセンティブデータベース332とを有する。
【0032】
経路ネットワークデータベース331は、経路探索用のデータベースであり、経路ネットワーク情報として、例えば、交通ネットワーク情報を含む。交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点(ノード)のデータと、結節点間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0033】
また、図示しないが、記憶部33には、地図の表示や地点の検索等に用いる地図情報データベースを含んでいてもよい。地図情報は、全国または各地方の道路地図などの地図データを含み、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報(施設情報、注記情報、記号情報等)を含んでいてもよい。また、記憶部73には、地点検索や経路探索条件の地点設定等に用いるPOI(Point Of Interest)情報データベースを含んでいても良い。POI情報は、地点の位置情報や名称情報等を含む。
【0034】
インセンティブデータベース332には、ユーザに付与されたインセンティブを示すインセンティブデータが格納される。インセンティブデータは、ユーザの識別情報やインセンティブ付与の理由となった公共交通機関の短縮区間などの情報と対応付けた状態でインセンティブデータベース332に格納されてもよい。サーバ3は、インセンティブデータベース332に格納されたインセンティブが、これを適用可能なサービスに利用されたときに、利用されたインセンティブを減少させる。
【0035】
次に、サーバ3の制御部32について説明する。制御部32は、
図1に示すように、経路探索部321と、基準移動情報取得手段の一例である基準移動情報取得部322と、評価対象移動情報取得手段の一例である評価対象移動情報取得部323と、インセンティブ付与手段の一例であるインセンティブ付与部324とを有する。これら各部は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0036】
経路探索部321は、端末装置2から送信された現在位置(出発地)や目的地などの経路探索条件を取得する。経路探索部321は、経路ネットワークデータベース331内の経路ネットワーク情報に基づいて、経路探索条件を満たす移動経路を探索する。経路探索部321は、探索された移動経路のうち最適経路を、通信部31を通じて端末装置2に送信する。制御部22は、サーバ3から送信された最適経路を、端末装置2の記憶部25に探索履歴として記録する。これにより、ユーザは、探索履歴の中から所望の最適経路を選択して基準移動情報として登録できる。ここで、基準移動情報の登録は、端末装置2の記憶部25への記憶だけでなく、サーバ3が端末装置2から取得した基準移動情報をサーバ側のユーザデータベース(図示しない)に保持しておくことを含んでもよい。
【0037】
基準移動情報取得部322は、端末装置2から送信された基準移動情報を、通信部31から取得する。なお、基準移動情報取得部322は、端末装置2から取得された基準移動情報に基づいて、新たな基準移動情報を生成してもよい。
【0038】
評価対象移動情報取得部323は、端末装置2から送信された移動ログを通信部31から取得する。より具体的には、評価対象移動情報取得部323は、所定時間おきに端末装置2から送信される現在位置を逐次取得することで、時間(時刻)毎の現在位置を移動ログとして取得する。なお、評価対象移動情報取得部323は、時間毎の現在位置を繋ぎ合わせた移動経路を移動ログとして生成してもよい。また、評価対象移動情報取得部323は、改札機を通じて電鉄会社のサーバに記録された駅の入退場情報に基づいて移動ログを生成してもよい。また、評価対象移動情報取得部323は、移動ログに示される現在位置の間の区間を経路ネットワーク情報で補完した評価対象移動情報を生成してもよく、また、移動ログの少なくとも一部を経路ネットワーク情報で修正した評価対象移動情報を生成してもよい。
【0039】
インセンティブ付与部234は、評価対象移動情報と基準移動情報との比較に基づいて、基準移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間が短縮されたと判断された場合に、ユーザにインセンティブを付与する。
【0040】
(動作例)
次に、
図1の情報処理システム1の動作例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0041】
先ず、
図2に示すように、基準移動情報取得部322は、基準移動情報を取得する(ステップS1)。
図3は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、入力画面を示す図である。
図3の入力画面は、端末装置2の出力部24によって表示されるものである。入力画面では、登録すべき基準移動情報として複数のパターンを選択できる。例えば、“Myルート”を選択することで、ユーザが探索した最適経路等を基準移動情報として登録できる。また、“自宅”や“My地点”や“Myステーション”などを選択することで、出発地・目的地や経由地等を基準移動情報として登録できる。また、“会社(職場)・学校”を選択することで、目的地を基準移動情報として登録できる。また、“定期券区間”を選択することで、定期券情報を基準移動情報として登録できる。基準移動情報取得部322は、このようにして端末装置2の利用者登録部22で登録された基準移動情報を端末装置2から受信することで、基準移動情報を取得する。
【0042】
基準移動情報を取得した後、
図2に示すように、評価対象移動情報取得部323は、評価対象移動情報を取得する(ステップS2)。具体的には、端末装置2は、位置測位部221で測位された現在位置を通信部21からサーバ3に送信し、評価対象移動情報取得部323は、端末装置2から送信された現在位置を通信部31から取得する。そして、評価対象移動情報取得部323は、取得された現在位置に基づいて評価対象移動情報を取得する。
【0043】
ここで、
図4(a)~(c)を参照して、評価対象移動情報の具体例について説明する。
図4(a)は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適経路上の最適降車駅の手前の降車駅を利用する評価対象移動経路を示す図である。
図4(a)の例において、基準移動情報取得部322は、基準移動情報として、
図3の入力画面の“Myルート”を用いて登録されたユーザが過去に探索した最適経路R1を取得している。最適経路R1は、自宅を出発地Sとし、職場を目的地Gとしている。最適経路R1上の公共交通機関の移動区間は、最適乗車駅から最適降車駅までの電車移動区間である。
【0044】
図4(a)に示すように、評価対象移動情報取得部323は、評価対象移動情報として、移動ログに基づいて生成した評価対象移動経路R2を取得する場合がある。
図4(a)の例において、評価対象移動経路R2は、最適乗車駅でA路線の電車に乗り、最適降車駅の手前の駅でA路線の電車から降りる経路である。
図4(a)の評価対象移動経路R2では、公共交通機関の移動区間として、実際の降車駅から最適降車駅までの電車移動区間が短縮されている。なお、評価対象移動情報取得部323は、評価対象移動経路R2の代わりに、自宅、最適乗車駅、最適降車駅の手前の降車駅、および職場の4地点を評価対象移動情報としてもよい。
【0045】
図4(b)は、最適経路上の最適乗車駅の先(すなわち、奥)の乗車駅を利用する評価対象移動経路を示す図である。
図4(b)の最適経路R1は、
図4(a)と同じである。
図4(b)に示すように、評価対象移動情報取得部323は、最適乗車駅の先の乗車駅でA路線の電車に乗り、最適降車駅でA路線の電車から降りる評価対象移動経路R2を取得する場合がある。
図4(b)の評価対象移動経路R2では、最適乗車駅から最適乗車駅の先の乗車駅までの電車移動区間が短縮されている。
【0046】
図4(c)は、最適乗車駅の先の乗車駅と、最適降車駅の手前の降車駅とを利用する評価対象移動経路を示す図である。
図4(c)の最適経路R1は、
図4(a)と同じである。
図4(c)に示すように、評価対象移動情報取得部323は、最適乗車駅の先の乗車駅でA路線の電車に乗り、最適降車駅の手前の降車駅でA路線の電車から降りる評価対象移動経路R2を取得する場合がある。
図4(c)の評価対象移動経路R2では、最適乗車駅から最適乗車駅の先の乗車駅までの電車移動区間と、最適降車駅の手前の降車駅から最適降車駅までの電車移動区間が短縮されている。
【0047】
上記のようにして評価対象移動情報を取得した後、
図2に示すように、インセンティブ付与部324は、基準移動情報と評価対象移動情報とを比較する(ステップS3)。
【0048】
そして、インセンティブ付与部324は、ステップS3において比較した結果、評価対象移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間が、基準移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間よりも短縮されたか否かを判定する(ステップS4)。すなわち、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与するためのインセンティブ評価を行う。
図4(a)~
図4(c)のいずれの例の場合においても、インセンティブ付与部324は、基準移動情報に含まれる公共交通機関の移動区間が短縮された(ステップS4:Yes)と判定する。すなわち、インセンティブ付与部324は、
図4(a)~
図4(c)に示されるユーザの行動が、いずれもインセンティブの付与に値すると評価する。なお、
図4(c)の場合、
図4(a)および
図4(b)の場合よりも公共交通機関の移動区間の短縮量が大きいため、インセンティブ付与部324は、
図4(a)および
図4(b)の場合よりも付与するインセンティブを増やしてもよい。
【0049】
公共交通機関の移動区間が短縮された(ステップS4:Yes)と判定された場合、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与(ステップS5)して処理を終了する。インセンティブ付与部324は、例えば、ユーザの識別情報とインセンティブデータとを対応付けてインセンティブデータベース332に格納する。一方、公共交通機関の移動区間が短縮されなかったと判定された場合(ステップS5:No)、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与せずに処理を終了する。
【0050】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、基準移動情報を基準として評価対象移動情報のインセンティブ評価を行うことで、公共交通機関の移動区間を短縮したユーザにインセンティブを付与できる。これにより、ユーザがインセンティブを取得する機会を増やすことができる。
【0051】
(第1の変形例)
上述の実施形態では、基準移動情報として、ユーザが登録した最適経路R1を取得する例について説明した。これに対して、第1の変形例では、基準移動情報として、ユーザが登録した出発地および目的地の少なくとも一方を取得する。第1の変形例について、
図5を参照して説明する。
図5は、第1の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
具体的には、
図5に示すように、基準移動情報取得部322は、基準移動情報として、端末装置2の利用者登録部222で登録された出発地および目的地の少なくとも一方を、端末装置2とサーバ3との間の通信を介して取得する(ステップS11)。
【0053】
出発地が取得された場合、基準移動情報取得部322は、取得された出発地に基づいて、新たな基準移動情報として、出発地に対する最適乗車駅を生成して取得する(ステップS12)。例えば、基準移動情報取得部322は、経路探索部321に出発地から一定時間内または一定距離内で到達できる到達圏を探索させ、探索された到達圏内に存在する駅を最適乗車駅として取得してもよい。また、目的地が取得された場合、基準移動情報取得部322は、取得された目的地に基づいて、新たな基準移動情報として最適降車駅を生成して取得する(ステップS12)。例えば、基準移動情報取得部322は、経路探索部321に目的地から一定時間内または一定距離内で到達できる到達圏を探索させ、探索された到達圏内に存在する駅を最適降車駅として取得してもよい。ここで、最適乗車駅または、最適降車駅の取得は、到達圏による探索に限らず、出発地又は目的地からの直線距離で最も短い距離に該当する駅を最適乗車駅または最適降車駅として取得してもよい。
【0054】
最適乗車駅が取得された後、評価対象移動情報取得部323は、端末装置2から送信された現在位置や鉄道会社のサーバから取得した駅の入場情報等に基づいて、ユーザが実際に利用した乗車駅を取得する(ステップS21)。また、最適降車駅が取得された後、評価対象移動情報取得部323は、端末装置2から送信された現在位置や駅の退場情報等に基づいて、ユーザが実際に利用した降車駅を取得する(ステップS21)。
【0055】
実際に利用した乗車駅が取得された後、インセンティブ付与部324は、出発地および最適乗車駅と実際に利用した乗車駅とを比較する(ステップS31)。また、実際に利用した降車駅が取得された後、インセンティブ付与部324は、目的地および最適降車駅と実際に利用した降車駅とを比較する(ステップS31)。その後は、
図2と同様に、比較結果に基づいて公共交通機関の移動区間の短縮の有無を判定し(ステップS4)、判定結果に応じてインセンティブを付与する(ステップS5)。
【0056】
なお、出発地に対する最適乗車駅と目的地に対する最適降車駅との間に経由地(例えば、乗換駅)が設定されている場合、経由地は、目的地と同様に扱ってよい。例えば、ユーザが、乗換駅の手前の駅で降車して乗換駅まで歩いた場合や、乗換駅で降車して乗換駅の先の駅まで歩いて乗換路線に乗車した場合に、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与してもよい。
【0057】
図6は、第1の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適乗車駅の先の乗車駅を利用する例を示す図である。
図6の例では、出発地Sとしての自宅が利用者登録部222によって基準移動情報として登録されている。また、
図6の例において、基準移動情報取得部322は、登録された自宅に基づく新たな基準移動情報として、自宅からの経路コストが最小の最適乗車駅を取得している。また、
図6の例において、評価対象移動情報取得部323は、最適乗車駅の先の実際に利用した乗車駅として、最適乗車駅の上り方向側の乗車駅と、最適乗車駅の下り方向側の乗車駅とを取得している。
図6の例のように、評価対象移動情報取得部323によって評価対象移動情報として最適乗車駅の上り方向側の乗車駅が取得された場合、インセンティブ付与部324は、上り方向に向かう電車移動区間が、最適乗車駅と上り方向側の乗車駅との間の区間分短縮されたと判断できる。また、評価対象移動情報取得部323によって評価対象移動情報として最適乗車駅の下り方向側の乗車駅が取得された場合、インセンティブ付与部324は、下り方向に向かう電車移動区間が最適乗車駅と下り方向側の乗車駅との間の区間分短縮されたと判断できる。したがって、最適乗車駅の上り方向側の乗車駅または最適乗車駅の下り方向側の乗車駅が取得された場合、インセンティブ付与部324はユーザにインセンティブを付与する。
【0058】
図7は、第1の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、実際に利用する乗車駅への進入判定を説明するための説明図である。
図7に示すように、最適乗車駅の先の駅にジオフェンスFを設定しておき、ジオフェンスF内への現在位置の進入を検出することで、実際に利用した乗車駅を取得してもよい。ジオフェンスFは、これが設定される駅を中心とした所定半径の仮想境界線である。なお、実際に利用する駅への進入判定は、ジオフェンスを用いて行うことに限定されず、例えば、マップマッチング等で行ってもよい。また、ジオフェンスは、最適乗車駅に隣接する駅に対して設定することに限定されず、最適乗車駅以降に停車する駅に対しても設定することができる。
【0059】
第1の変形例によれば、基準移動情報として、移動経路ではなく、出発地または目的地のみがユーザによって登録されている場合であっても、インセンティブを付与することができる。
【0060】
(第2の変形例)
図8は、第1の実施形態の第2の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、路線毎の最適乗車駅を示す図である。
図4および
図6では、基準移動情報として、単一の路線上の最適乗車駅を取得する例について説明した。これに対して、第2の変形例において、基準移動情報取得部322は、
図8に示すように自宅の周辺たとえば到達圏探索での探索領域内に複数の路線が存在する場合に、路線毎に最適乗車駅を取得する。また、図示はしないが、職場の周辺に複数の路線が存在する場合についても、基準移動情報取得部322は、路線毎に最適降車駅を取得してもよい。
【0061】
第2の変形例によれば、路線毎の最適乗車駅を基準としたインセンティブ評価を行うことができるので、ユーザがインセンティブを取得する機会を更に増やすことができる。
【0062】
(第3の変形例)
図9は、第1の実施形態の第3の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。これまでは、利用者登録部222で登録された出発地および目的地の真偽を判断しない例について説明した。これに対して、第3の変形例では、利用者登録部222で登録された出発地および目的地の真偽を判断する。第3の変形例において、基準移動情報取得部322は、出発地および目的地の真偽判断のための情報の設定や検知等の各種の処理を行う。
【0063】
具体的には、
図9に示すように、基準移動情報取得部322は、端末装置2から送信された出発地を取得した場合(ステップS11)に、取得された出発地に対する最適乗車駅を設定する(ステップS111)。また、基準移動情報取得部322は、端末装置2から送信された目的地を取得した場合(ステップS11)に、取得された目的地に対する最適降車駅を設定する(ステップS111)。
【0064】
最適乗車駅を取得した場合、基準移動情報取得部322は、経路ネットワークデータ等に基づいて、出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離、歩数および方向の少なくとも1つを設定する(ステップS112)。以下、出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離、歩数および方向の少なくとも1つのことを、「出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等」と呼ぶ。また、最適降車駅を取得した場合、基準移動情報取得部322は、経路ネットワークデータ等に基づいて、最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離、歩数および方向の少なくとも1つを設定する(ステップS112)。以下、最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離、歩数および方向の少なくとも1つのことを、「最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等」と呼ぶ。
【0065】
出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等を設定した後、基準移動情報取得部322は、出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等を検知すなわち実測する(ステップS113)。この検知は、例えば、現在位置の変位と、端末装置2内の地磁気センサおよび加速度センサの検出結果と、最適乗車駅の先の駅に設定されたジオフェンスへの進入判定と、に基づいて行ってもよい。また、最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等を設定した後、基準移動情報取得部322は、最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等を検知すなわち実測する(ステップS113)。この検知は、例えば、現在位置の変位と、端末装置2の地磁気センサおよび加速度センサの検出結果と、最適降車駅の手前の駅に設定されたジオフェンスへの進入後の所定距離または所定歩数の歩行判定とに基づいて行ってもよい。
【0066】
出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等を検知した後、基準移動情報取得部322は、設定された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等と、検知された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等とを比較する(ステップS114)。また、最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等を検知した後、基準移動情報取得部322は、設定された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等と、検知された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等とを比較する(ステップS114)。
【0067】
そして、基準移動情報取得部322は、設定された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等と、検知された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等とが一致するか否かを判定する(ステップS115)。また、基準移動情報取得部322は、設定された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等と、検知された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等とが一致するか否かを判定する(ステップS115)。
【0068】
設定された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等と、検知された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等とが一致する場合(ステップS115:Yes)、利用者登録部222で登録された出発地は真正であるとみなすことができる。また、設定された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等と、検知された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等とが一致する場合(ステップS115:Yes)、利用者登録部222で登録された目的地は真正であるとみなすことができる。これらの場合には、基準移動情報取得部322は、取得された最適乗車駅および最適降車駅を維持して処理を終了する。
【0069】
一方、設定された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等と、検知された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等とが一致しない場合(ステップS115:No)、利用者登録部222で登録された出発地は虚偽であるとみなすことができる。この場合、基準移動情報取得部322は、最適乗車駅を、最適乗車駅の先の駅に修正する(ステップS116)。なお、基準移動情報取得部322は、最適乗車駅を先の駅に修正する代わりに、検知された出発地から最適乗車駅の先の駅までの歩行距離等に基づいて、利用者登録部222で登録された出発地を真正の出発地に修正してもよい。
【0070】
また、設定された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等と、検知された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等とが一致しない場合(ステップS115:No)、利用者登録部222で登録された目的地は虚偽であるとみなすことができる。この場合、基準移動情報取得部322は、最適降車駅を、最適降車駅の手前の駅に修正する(ステップS116)。なお、基準移動情報取得部322は、最適降車駅を手前の駅に修正する代わりに、検知された最適降車駅の手前の駅から目的地までの歩行距離等に基づいて、利用者登録部222で登録された目的地を真正の目的地に修正してもよい。
【0071】
図10は、第1の実施形態の第3の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、登録された出発地の真偽判定を説明するための説明図である。
図10の例においては、出発地としての自宅の位置が利用者登録部222で偽装して登録されている。この例では、自宅(偽装位置)に対する最適乗車駅の先の駅が、実際の自宅の最寄駅となっている。
【0072】
図10の例において、もし、自宅位置の真偽判定を行わない場合、自宅位置の最寄駅を利用するといった電車移動区間の短縮に何ら寄与しない行動をとったにもかかわらず、インセンティブ付与部324は、最適乗車駅の先の駅を利用したと判断してしまい、ユーザにインセンティブを付与してしまう。
【0073】
これに対して、第3の変形例によれば、出発地および目的地の真偽を判定し、判定結果に応じて最適乗車駅および最適降車駅を修正できる。これにより、不正にインセンティブが取得されることを抑制できる。
【0074】
(第4の変形例)
図11は、第1の実施形態の第4の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。これまでは、基準移動情報として、ユーザが登録した最適経路R1、出発地および目的地を取得する例について説明した。これに対して、第4の変形例において、基準移動情報取得部322は、
図11に示すように、定期券情報に含まれる定期券乗車駅と定期券降車駅とを基準移動情報として取得する(ステップS101)。また、定期券乗車駅および定期券降車駅だけに限らず、使用路線や電鉄会社情報なども基準移動情報として取得する。
【0075】
定期券乗車駅および定期券降車駅が取得された後、評価対象移動情報取得部323は、端末装置2から送信された現在位置、駅の入場情報およびジオフェンスFへの進入判定(
図7参照)等に基づいて、ユーザが実際に利用した乗車駅を取得する(ステップS201)。また、評価対象移動情報取得部323は、端末装置2から送信された現在位置、駅の退場情報およびジオフェンスFへの進入後の歩行距離等に基づいて、ユーザが実際に利用した降車駅を取得する(ステップS201)。
【0076】
実際に利用した乗車駅および降車駅が取得された後、インセンティブ付与部324は、定期券乗車駅と実際に利用した乗車駅とを比較し、かつ、定期券降車駅と実際に利用した降車駅とを比較する(ステップS301)。
【0077】
その後は、
図2と同様に、比較結果に基づいて基準移動情報に含まれる公共交通機関の短縮の有無を判定し(ステップS4)、判定結果に応じてインセンティブを付与する(ステップS5)。
【0078】
図12は、第1の実施形態の第4の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、定期券降車駅の手前の駅で降車する例を示す図である。
図12の例では、実際に利用した乗車駅として、定期券乗車駅が取得され、かつ、実際に利用した降車駅として、定期券降車駅の手前の駅が取得されている。
図12の例では、電車移動区間が定期券降車駅の手前の駅と定期券降車駅との間の区間分短縮されたと判断できる。したがって、
図12の例において、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与する。
【0079】
第4の変形例によれば、基準移動情報として定期券情報のみがユーザによって登録されている場合であっても、これを活用してインセンティブを付与することができる。
【0080】
(第5の変形例)
図13は、第1の実施形態の第5の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。第4の変形例においては、出発地(例えば、自宅)の最寄駅が定期券乗車駅であり、目的地(例えば、職場)の最寄駅が定期券降車駅であった。これに対して、第5の変形例は、定期券乗車駅が出発地の最寄駅よりも目的地から離れた駅である場合や、定期券降車駅が目的地の最寄駅よりも出発地から離れた駅である場合を想定した例である(
図14参照)。
【0081】
具体的には、
図13に示すように、基準移動情報取得部322は、定期券乗車駅および定期券降車駅を取得(ステップS101)した後、端末装置2から送信された現在位置や駅の入退場情報等に基づいて、ユーザの移動ログを取得する(ステップS102)。この移動ログは、評価対象移動情報取得部323が評価対象移動情報として取得してもよい。
【0082】
移動ログを取得した後、基準移動情報取得部322は、取得された移動ログに基づいて、出発地および目的地を判定する(ステップS103)。
【0083】
出発地および目的地を判定した後、基準移動情報取得部322は、判定された出発地に対する最適乗車駅および判定された目的地に対する最適降車駅を設定する(ステップS104)。このとき、基準移動情報取得部322は、経路探索部321を利用した経路探索によって、出発地の周辺の複数の路線の駅を最適乗車駅の候補として検出し、また、目的地の周辺の複数の路線の駅を最適降車駅の候補として検出する場合がある。この場合においても、基準移動情報取得部322は、定期券情報に基づくことで、最適乗車駅および最適降車駅を定期券区間上の駅に迅速かつ確実に絞り込むことができる。
【0084】
最適乗車駅および最適降車駅を設定した後、評価対象移動情報取得部323は、ユーザが実際に利用した乗車駅および降車駅を取得する(ステップS201)。なお、この工程は、移動ログ(ステップS102)として実際に利用した乗車駅および降車駅が取得されている場合には省略してよい。
【0085】
実際に利用した乗車駅および降車駅を取得した後、基準移動情報取得部322は、最適乗車駅と実際に利用した乗車駅とを比較し、かつ、最適降車駅と実際に利用した降車駅とを比較する(ステップS302)。
【0086】
その後は、
図2と同様に、比較結果に基づいて基準移動情報に含まれる公共交通機関の短縮の有無を判定し(ステップS4)、判定結果に応じてインセンティブを付与する(ステップS5)。
【0087】
図14は、第1の実施形態の第5の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適乗車駅の先の乗車駅と最適降車駅の手前の降車駅とを利用する例を示す図である。
【0088】
図14の例において、定期券乗車駅は、自宅の最寄駅よりも職場から離れた駅である。また、定期券降車駅は、職場の最寄駅よりも自宅から離れた駅である。
図14の例では、移動ログに基づいて判定された自宅に対する最適乗車駅として、自宅の最寄駅が取得される。また、移動ログに基づいて判定された職場に対する最適降車駅として、職場の最寄駅が取得される。このようにして取得された基準移動情報(最適乗車駅、最適降車駅)に対して、評価対象移動情報として取得された実際に利用した乗車駅は、最適乗車駅の先の駅である。また、評価対象移動情報として取得された実際に利用した降車駅は、最適降車駅の手前の駅である。この場合、電車移動区間は、最適乗車駅から実際に利用した乗車駅との間の区間分および実際に利用した降車駅と最適降車駅との間の区間分短縮されたと判断できる。したがって、
図14の例において、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与する。
【0089】
図14の例において、もし、基準移動情報として定期券乗車駅または定期券降車駅を用いたインセンティブ評価を行った場合、自宅または職場の最寄駅を利用するといった電車移動区間の短縮に何ら寄与しない行動をとったにもかかわらず、定期券乗車駅の先の駅または定期券降車駅の手前の駅を利用したと判断されて、インセンティブが付与されてしまう。
【0090】
これに対して、第5の変形例によれば、移動ログ(評価対象移動情報)に基づいて設定された出発地に対する最適乗車駅と、移動ログに基づいて設定された目的地に対する最適降車駅とを基準移動情報として用いることで、公共交通機関の移動区間が短縮されたか否かを精緻に求めることができる。これにより、真に公共交通機関の移動区間の短縮に寄与した定期券ユーザにインセンティブを付与することができる。
【0091】
(第6の変形例)
図15は、第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。これまでは、公共交通機関の移動区間が短縮されていれば、その時間帯は問わずにインセンティブを付与する例について説明した。これに対して、第6の変形例では、所定時間帯の一例である混雑ピーク時間帯に公共交通機関の移動区間が短縮された場合にインセンティブを付与するように構成されている。
【0092】
具体的には、
図15に示すように、第6の変形例において、サーバ3の記憶部33は、公共交通機関の混雑ピーク時間帯を示す混雑ピーク時間帯データ333を記憶している。インセンティブ付与部324は、公共交通機関の移動区間が短縮されたことに加えて、その短縮が混雑ピーク時間帯データ333に示される混雑ピーク時間帯に行われことをインセンティブ付与の条件とする。また、混雑ピーク時間帯に公共交通機関の移動区間が短縮されたことを判断できるようにするため、特に、第6の変形例の評価対象移動情報は、時間情報を含んでいる。この時間情報は、例えば、現在位置に対応する時刻や、駅の入退場時刻や、ジオフェンスへの進入時刻などであってもよい。以下、第6の変形例の具体的な動作例を説明する。
【0093】
図16は、第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。インセンティブ付与部324は、公共交通機関の移動区間が短縮されたと判定した場合(ステップS4:Yes)、記憶部33から混雑ピーク時間帯データ333を取得する(ステップS6)。
【0094】
図17は、第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例において、各路線ごとの混雑ピーク時間帯データを示す図である。
図17の例において、混雑ピーク時間帯データ333に示される混雑ピーク時間帯は、電車のA路線のa駅~i駅に対応付けられている。各駅a~iに対応付けられた混雑ピーク時間帯は、更に、複数の時間帯(第1時間帯、第2時間帯、第3時間帯)に区分けされている。なお、混雑ピーク時間帯は、リアルタイムに配信される運行情報や混雑情報を元にサーバ3が混雑度を求めて都度更新(変更)した時間帯であってもよく、または、予め定められた固定の時間帯であってもよい。
【0095】
図17に例示されるような混雑ピーク時間帯データ333を取得した後、
図16に示すように、インセンティブ付与部324は、公共交通機関の移動区間が混雑ピーク時間帯に短縮されたか否かを判定する(ステップS7)。この判定は、評価対象移動情報に対応付けられた時間情報と混雑ピーク時間帯データ333との比較によって行う。そして、公共交通機関の移動区間が混雑ピーク時間帯に短縮された場合(ステップS7:Yes)には、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与する(ステップS5)。
【0096】
なお、インセンティブ付与部324は、混雑ピーク時間帯の中でも、時間帯に応じて付与するインセンティブを異ならせてもよい。すなわち、インセンティブ付与部324は、公共交通機関の移動区間が短縮された時間帯に応じたインセンティブを付与してもよい。例えば、インセンティブ付与部324は、混雑ピーク時間帯の中でも混雑量がより多い時間帯ほど、公共交通機関の移動区間を短縮したユーザに付与するインセンティブの数や金銭的価値を増加させてもよい。
【0097】
図18は、第1の実施形態の第6の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、混雑ピーク時間帯に最適経路上の最適降車駅の手前の降車駅を利用する例を示す図である。
図18の例では、評価対象移動情報の一例である評価対象移動経路Reが、基準移動情報の一例である最適経路Rrよりも電車移動区間を短縮する経路となっている。具体的には、
図18の例において、評価対象移動経路Reは、最適経路Rrの最適降車駅の手前の降車駅を利用する経路となっている。
図18の例において、最適降車駅は、
図17に例示したA路線のh駅であり、その手前の駅は、A路線のg駅である。さらに、
図18の例において、ユーザは、混雑ピーク時間帯データ333に示される混雑ピーク時間帯内の8時に最適降車駅hの手前の降車駅gを利用している。この場合、g駅が
図17の第1時間帯に利用されたことに該当するため、電車移動区間が混雑ピーク時間帯に短縮されたと判断することができる。このため、インセンティブ付与部324は、ユーザにg駅の第1時間帯に対応するインセンティブを付与する。
【0098】
第6の変形例によれば、公共交通機関の混雑緩和により確実に寄与するユーザにインセンティブを付与することができる。
【0099】
(第7の変形例)
図19は、第1の実施形態の第7の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。これまでは、基準移動情報を利用者登録部222の登録情報に基づいて取得する例について説明した。これに対して、第7の変形例の情報処理システム1は、基準移動情報を評価対象移動情報に基づいて取得する。
【0100】
具体的には、
図19に示すように、先ず、評価対象移動情報取得部323は、評価対象移動情報を取得する(ステップS2)。
【0101】
評価対象移動情報が取得された後、基準移動情報取得部322は、評価対象移動情報に基づいて基準移動情報を取得する(ステップS1)。例えば、評価対象移動情報取得部323が評価対象移動情報として目的地を取得した場合、基準移動情報取得部322は、基準移動情報として目的地に対する最適降車駅を取得してもよい。
【0102】
評価対象移動情報に基づいて基準移動情報を取得した後は、
図2と同様に、基準移動情報と評価対象移動情報とを比較(ステップS3)して公共交通機関の移動区間の短縮の有無を判定したうえで(ステップS4)、判定結果に応じたインセンティブの付与を行う(ステップS5)。
【0103】
第7の変形例によれば、評価対象移動情報に基づいて自動的に基準移動情報を取得できるので、利用者登録部222への基準移動情報の事前登録が不要となり、ユーザの操作負担を軽減できる。
【0104】
(第8の変形例)
図20は、第1の実施形態の第8の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。第8の変形例において、インセンティブ付与部324は、インセンティブを付与するにあたり、先ず、公共交通機関の移動区間の短縮量を取得する(ステップS51)。そして、インセンティブ付与部324は、取得された短縮量に応じたインセンティブを付与する(ステップS52)。例えば、インセンティブ付与部324は、
図4(c)の例で説明したように、短縮された公共交通機関の移動区間の距離(あるいは所要時間)が長いほど、ユーザに付与するインセンティブの数や金銭的価値を増加させてもよい。
【0105】
第8の変形例によれば、公共交通機関の移動区間の短縮量に応じたインセンティブを付与することで、公共交通機関の混雑の更なる緩和を図ることができる。
【0106】
(第2の実施形態)
図21は、第2の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。第1の実施形態では、公共交通機関の移動区間が短縮された場合にインセンティブを付与する例について説明した。これに対して、第2の実施形態では、ユーザが、出発地に対する最適乗車駅または目的地に対する最適降車駅を利用しなかった場合に、インセンティブを付与する。第2の実施形態では、
図1に示した基準移動情報取得部322を取得手段として用いる。また、第2の実施形態では、
図1に示した評価対象移動情報取得部323は省略してよい。
【0107】
具体的には、
図21に示すように、先ず、基準移動情報取得部322は、予め設定された出発地に対する最適乗車駅と、予め設定された目的地に対する最適降車駅との少なくとも一方を取得する(ステップS8)。
【0108】
最適乗車駅および最適降車駅の少なくとも一方が取得された後、インセンティブ付与部324は、最適乗車駅または最適降車駅を利用しないでユーザが移動したか否かを判定する(ステップS9)。
【0109】
そして、最適乗車駅または最適降車駅を利用しないでユーザが移動した場合(ステップS9:Yes)、インセンティブ付与部324は、ユーザにインセンティブを付与する(ステップS5)。
【0110】
図22は、第2の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例において、最適降車駅を利用せずに移動したか否かを判定する判定工程を示すフローチャートである。
図23は、第2の実施形態に係る情報処理システム1の動作の一例として、上記判定工程を説明するための説明図である。
【0111】
インセンティブ付与部324は、最適降車駅を利用せずに移動したか否かの判定(ステップS9)を、以下の手順で行ってもよい。
【0112】
先ず、サーバ3は、最適降車駅の手前の駅にジオフェンスFを設定する(
図22のステップS91、
図23)。
【0113】
ジオフェンスFが設定された後、インセンティブ付与部324は、設定されたジオフェンスFと現在位置とに基づいて、ユーザが最適降車駅の手前の駅に進入したか否かを判定する(ステップS92)。
【0114】
ユーザが最適降車駅の手前の駅に進入した場合(ステップS92:Yes)、インセンティブ付与部324は、所定時間内に所定距離の歩行があったか否かを判定する(ステップS93)。なお、所定時間内に所定歩数の歩行があったか否かを判定してもよい。
【0115】
所定距離または所定歩数の歩行が検知された場合(
図22のステップS93:Yes、
図23)、インセンティブ付与部324は、最適降車駅を利用しない移動があった(ステップS9:Yes)と判定して、ユーザにインセンティブを付与する。
【0116】
第2の実施形態によれば、移動区間の短縮を評価する工程を省略してインセンティブの付与を簡便に行うことができる。
【0117】
(第1の変形例)
第2の実施形態の第1の変形例について、
図24および
図25を参照して説明する。
図24は、第2の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図25は、第2の実施形態の第1の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適降車駅を利用しない移動の有無の判定を説明するための説明図である。
【0118】
図23および
図24では、最適降車駅を利用しない移動の有無の判定にあたって、最適降車駅の手前の駅にジオフェンスFを設定していた。これに対して、第1の変形例において、インセンティブ付与部324は、最適降車駅の手前の駅にジオフェンスF1を設定し、更に、最適降車駅にもジオフェンスF2を設定する(
図24のステップS94、
図25)。
【0119】
また、第1の変形例において、インセンティブ付与部324は、最適降車駅の手前の駅への進入を確認した後(ステップS92:Yes)、最適降車駅に設定したジオフェンスF2に基づいて、最適降車駅の手前の駅への進入から所定時間内に最適降車駅への進入が有ったか否かを判定する(ステップS95)。
【0120】
そして、所定時間内に最適降車駅への進入が無かった場合(ステップS95:No)、インセンティブ付与部324は、最適降車駅を利用しない移動があった(ステップS9:Yes)と判定して、ユーザにインセンティブを付与する。第1の変形例によれば、ユーザの歩行を検知することを要しない。
【0121】
(第2の変形例)
第2の実施形態の第2の変形例について、
図26および
図27を参照して説明する。
図26は、第2の実施形態の第2の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図27は、第2の実施形態の第2の変形例に係る情報処理システム1の動作の一例として、最適降車駅を利用しない移動の有無の判定を説明するための説明図である。
【0122】
第2の変形例において、インセンティブ付与部324は、最適降車駅のみにジオフェンスFを設定する(
図26のステップS94、
図27)。
【0123】
最適降車駅にジオフェンスFを設定した後、インセンティブ付与部324は、最適降車駅に設定されたジオフェンスFと、ユーザの端末装置2の現在位置等から取得した移動ログとに基づいて、ユーザが最適降車駅に進入せずに目的地に到達したか否かを判定する(ステップS96)。
【0124】
ユーザが最適降車駅に進入せずに目的地に到達した場合(ステップS96:Yes)、インセンティブ付与部324は、最適降車駅を利用しない移動があった(ステップS9:Yes)と判定して、ユーザにインセンティブを付与する。
【0125】
なお、本発明に係る情報処理システムは
図1等で説明した構成に限られない。制御部32の構成手段は、一つのサーバ内に設けられなくてもよい。
図28は、他の実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。例えば、
図28に示すように、インセンティブ付与部324は、サーバ3と異なるサーバ4に備えられていてもよい。
【0126】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0127】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0128】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0129】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実施するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0130】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0131】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0132】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0133】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0134】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実施するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0135】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 情報処理システム
2 端末装置
3 サーバ
32 制御部
322 基準移動情報取得部
323 評価対象移動情報取得部
324 インセンティブ付与部