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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】減圧弁ユニット
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/06 20060101AFI20220715BHJP
   E03B 7/09 20060101ALI20220715BHJP
   E03B 7/07 20060101ALI20220715BHJP
   F16K 17/30 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G05D16/06 L
E03B7/09
E03B7/07 A
F16K17/30 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018162792
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020035299
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】中田 佳典
(72)【発明者】
【氏名】牧野 樹
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-169600(JP,A)
【文献】特開2005-314982(JP,A)
【文献】特開2013-227773(JP,A)
【文献】特開2002-310738(JP,A)
【文献】特開平11-93226(JP,A)
【文献】特開平9-280919(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195103(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/06
E03B 7/09
E03B 7/07
F16K 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入管と、前記流入管と同軸の流出管と、前記流入管と前記流出管とを接続する内部流路を備えるハウジングと、前記ハウジングから前記流入管および流出管の管軸方向と交差する方向に突出する固定部と、前記内部流路における流体の流通方向の途中で前記管軸方向と直交する直交方向の一方側を向く環状の弁座と、前記直交方向から見た場合に前記弁座と重なる位置に配置され、前記内部流路において前記弁座よりも前記流通方向の下流側に位置する下流側流路部分の壁面の一部分を構成するダイアフラムと、を有する減圧弁と、
前記減圧弁を設置するための減圧弁設置部材と、を有し、
前記ダイアフラムは、前記直交方向から見た場合の輪郭形状が円形であり、前記ハウジングによって外周縁を保持され、中央部分が前記内部流路における前記弁座よりも下流側の流体の圧力に応じて前記直交方向に変位し、
前記固定部は、前記直交方向を、前記ダイアフラムから前記弁座に向かう方向に突出する脚部分、前記脚部分の先端部分から前記管軸方向の一方側に延びる第1固定板部分、および前記管軸方向の他方側に延びる第2固定板部分と、を備え、
前記第1固定板部分は、ボルト締結用の第1貫通部を備え、
前記第2固定板部分は、ボルト締結用の第2貫通部を備え、
前記減圧弁設置部材は、設置面を備える設置部と、前記設置部の前記設置面とは反対側から当該設置面と垂直な方向に延びる減圧弁取付部と、を備え、
前記減圧弁取付部は、当該減圧弁取付部の延設方向で離間する2か所にボルト締結用の第1穴部および第2穴部を備え、
前記第1穴部および前記第2穴部は、それぞれ前記延設方向の延びる長穴であり、
前記減圧弁設置部材は、前記延設方向が上下方向となる姿勢で設置され、
前記減圧弁は、前記管軸方向を前記延設方向に向けて、前記固定部が前記減圧弁取付部に取り付けられることを特徴とする減圧弁ユニット。
【請求項2】
流入管と、前記流入管と同軸の流出管と、前記流入管と前記流出管とを接続する内部流路を備えるハウジングと、前記ハウジングから前記流入管および流出管の管軸方向と交差する方向に突出する固定部と、前記内部流路における流体の流通方向の途中で前記管軸方向と直交する直交方向の一方側を向く環状の弁座と、前記直交方向から見た場合に前記弁座と重なる位置に配置され、前記内部流路において前記弁座よりも前記流通方向の下流側
に位置する下流側流路部分の壁面の一部分を構成するダイアフラムと、を有する減圧弁と、
前記減圧弁を設置するための減圧弁設置部材と、を有し、
前記ダイアフラムは、前記直交方向から見た場合の輪郭形状が円形であり、前記ハウジングによって外周縁を保持され、中央部分が前記内部流路における前記弁座よりも下流側の流体の圧力に応じて前記直交方向に変位し、
前記固定部は、前記ダイアフラムから前記弁座に向かう方向に突出する第1柱部および第2柱部を備え、
前記第1柱部および前記第2柱部は、前記管軸方向に配列されて互いに離間しており、
前記第1柱部の先端面は、前記直交方向に延びるボルト締結用の第1ねじ穴を備え、
前記第2柱部の先端面は、前記直交方向に延びるボルト締結用の第2ねじ穴を備え、
前記減圧弁設置部材は、設置面を備える設置部と、前記設置部の前記設置面とは反対側から当該設置面と垂直な方向に延びる減圧弁取付部と、を備え、
前記減圧弁取付部は、当該減圧弁取付部の延設方向で離間する2か所にボルト締結用の第1穴部および第2穴部を備え、
前記第1穴部および前記第2穴部は、それぞれ前記延設方向の延びる長穴であり、
前記減圧弁設置部材は、前記延設方向が上下方向となる姿勢で設置され、
前記減圧弁は、前記管軸方向を前記延設方向に向けて、前記固定部が前記減圧弁取付部に取り付けられることを特徴とする減圧弁ユニット。
【請求項3】
前記第1穴部および前記第2穴部は、前記延設方向で連続する1つの長穴とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の減圧弁ユニット。
【請求項4】
前記流入管に接続された止水栓を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の減圧弁ユニット。
【請求項5】
前記流入管は、止水栓部を備え、
前記止水栓部は、前記流入管の途中に区画された弁室と、前記弁室内に配置されたボール弁体と、前記ボール弁体を前記管軸方向と交差する軸線回りに回転させるハンドルと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の減圧弁ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減圧弁を設置するための減圧弁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
高層ホテルにおいて、各客室の水道に水を供給する給水系は、各階に水を配送する本管と、各階において本管から分岐して各客室に向かって延びる複数の分岐配管とを備える。このような給水系では、最上階の各客室の水道で水圧を確保しようとすると、低い階の各客室の水道において水圧が高くなりすぎる。従って、各階の各分岐配管の途中に必要に応じて減圧弁を設置して、各客室の水道の水圧を所定の圧力に調節する。特許文献1には、このような場合に用いられる減圧弁が記載されている。
【0003】
特許文献1の減圧弁は、流入管、流入管と同軸の流出管、および、流入管と流出管とを接続する内部流路を備えるハウジングを有する。内部流路の途中には、環状の弁座が設けられている。また、減圧弁は、ハウジングの内部に、内部流路における弁座よりも下流側の圧力に応じて変位するダイアフラムと、ステムを介してダイアフラムに固定された弁体と、を備える。弁体は、ダイアフラムの変位に伴って弁座に接近する方向および離間する方向に移動して、弁座との間の距離を変化させる。これにより、減圧弁は、減圧弁を通過する流体の圧力を所定の圧力に調節する。
【0004】
特許文献1では、減圧弁は、流入管および流入管が鉛直方向を向く姿勢で分岐配管の途中に接続されている。すなわち、分岐配管における減圧弁よりも上流側の1次側配管部分は鉛直方向に延びており、減圧弁は1次側配管部分の下端に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-314982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
減圧弁が1次側配管部分の下端に接続されると、1次側配管部分には、少なくとも減圧弁の重量分の負荷がかかる。従って、1次側配管部分を構成する管継手には、このような負荷に耐える強度が要求される。このため、1次側配管部分を構成する管継手には鋳造品が用いられている。ここで、減圧弁を1次側配管部分に接続したときに1次側配管部分にかかる負荷を軽減できれば、1次側配管部分を構成する管継手として樹脂製のものなどを用いて、配管にかかるコストを抑制することが可能となる。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、設置に際し、上流側の配管などにかかる負荷
を低減できる減圧弁を備える減圧弁ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の減圧弁ユニットは、流入管と、前記流入管と同軸の流出管と、前記流入管と前記流出管とを接続する内部流路を備えるハウジングと、前記ハウジングから前記流入管および流出管の管軸方向と交差する方向に突出する固定部と、前記内部流路における流体の流通方向の途中で前記管軸方向と直交する直交方向の一方側を向く環状の弁座と、前記直交方向から見た場合に前記弁座と重なる位置に配置され、前記内部流路において前記弁座よりも前記流通方向の下流側に位置する下流側流路部分の壁面の一部分を構成するダイアフラムと、を有する減圧弁と、前記減圧弁を設置するための減圧弁設置部材と、を有し、前記ダイアフラムは、前記直交方向から見た場合の輪郭形状が円形であり、前記ハウジングによって外周縁を保持され、中央部分が前記内部流路における前記弁座よりも下流側の流体の圧力に応じて前記直交方向に変位し、前記固定部は、前記直交方向を、前記ダイアフラムから前記弁座に向かう方向に突出する脚部分、前記脚部分の先端部分から前記管軸方向の一方側に延びる第1固定板部分、および前記管軸方向の他方側に延びる第2固定板部分と、を備え、前記第1固定板部分は、ボルト締結用の第1貫通部を備え、前記第2固定板部分は、ボルト締結用の第2貫通部を備え、前記減圧弁設置部材は、設置面を備える設置部と、前記設置部の前記設置面とは反対側から当該設置面と垂直な方向に延びる減圧弁取付部と、を備え、前記減圧弁取付部は、当該減圧弁取付部の延設方向で離間する2か所にボルト締結用の第1穴部および第2穴部を備え、前記第1穴部および前記第2穴部は、それぞれ前記延設方向の延びる長穴であり、前記減圧弁設置部材は、前記延設方向が上下方向となる姿勢で設置され、前記減圧弁は、前記管軸方向を前記延設方向に向けて、前記固定部が前記減圧弁取付部に取り付けられることを特徴とする
【0009】
本発明によれば、減圧弁が固定部を備える。従って、固定部を利用して減圧弁を建物の壁面等に固定した状態で、減圧弁に配管を接続できる。よって、減圧弁と配管とを接続したときに、減圧弁の上流側に位置する1次側配管部分に、減圧弁の重量分の負荷がかかることを回避できる。また、固定部は、流入管および流出管とは異なる方向に突出している。従って、流入管および流出管に配管を接続する際に、固定部が配管と干渉することを防止できる。また、減圧弁のダイアフラムは、下流側流路部分の圧力の変動に伴って変位可能とするために、比較的大きな径寸法を備える。従って、固定部がダイアフラムの径方向に延びる場合には、固定部を建物の壁面等に固定する際に、ハウジングにおいてダイアフラムの外周縁を保持するハウジング部分と建物の壁面等が干渉する場合がある。これに対して、固定部が突出する直交方向は、ダイアフラムが変位する方向であり、ダイアフラムの径方向と直交する方向である。従って、固定部を壁面等に固定する際などに、ダイアフラムを保持するハウジング部分と壁面等との干渉を避けることができる。さらに、このような固定部を備えるので、2本のボルトと、これらに螺合する2つのナットと、を用いて減圧弁を固定できる。また、第1固定板部分および第2固定板部分は管軸方向に延びる。従って、固定部を設けることにより、減圧弁が、管軸方向および直交方向と直交する幅方向で大きくなることを防止或いは抑制できる。
【0010】
また、本発明によれば、減圧弁設置部材を用いて減圧弁を設置できる。ここで、減圧弁設置部材の減圧弁取付部はボルト締結用の第1穴部および第2穴部を備える。従って、これらの2つの穴部を利用して、減圧弁の固定部を減圧弁取付部に固定できる。また、設置面を建物の床面に当接させて減圧弁設置部材を設置すれば、減圧弁取付部は上下方向に延びた状態となり、減圧弁取付部に固定された減圧弁は管軸方向を上下方向に向けた姿勢となる。従って、減圧弁よりも上流側に位置する1次側配管部分が上下方向に延びている場合には、1次側配管部分と減圧弁とを接続することが容易である。また、減圧弁は減圧弁設置部材により支持されているので、1次側配管部分の下端に減圧弁を接続した場合でも、1次側配管部分にかかる荷重が小さい。さらに、本発明において、前記第1穴部および前記第2穴部は、それぞれ前記延設方向の延びる長穴である。従って、減圧弁取付部に固定する減圧弁の固定位置を、減圧弁取付部の延設方向において調節できる。
【0011】
次に、本発明の別の形態の減圧弁ユニットは、流入管と、前記流入管と同軸の流出管と、前記流入管と前記流出管とを接続する内部流路を備えるハウジングと、前記ハウジングから前記流入管および流出管の管軸方向と交差する方向に突出する固定部と、前記内部流路における流体の流通方向の途中で前記管軸方向と直交する直交方向の一方側を向く環状の弁座と、前記直交方向から見た場合に前記弁座と重なる位置に配置され、前記内部流路において前記弁座よりも前記流通方向の下流側に位置する下流側流路部分の壁面の一部分を構成するダイアフラムと、を有する減圧弁と、前記減圧弁を設置するための減圧弁設置部材と、を有し、前記ダイアフラムは、前記直交方向から見た場合の輪郭形状が円形であり、前記ハウジングによって外周縁を保持され、中央部分が前記内部流路における前記弁座よりも下流側の流体の圧力に応じて前記直交方向に変位し、前記固定部は、前記ダイアフラムから前記弁座に向かう方向に突出する第1柱部および第2柱部を備え、前記第1柱部および前記第2柱部は、前記管軸方向に配列されて互いに離間しており、前記第1柱部の先端面は、前記直交方向に延びるボルト締結用の第1ねじ穴を備え、前記第2柱部の先端面は、前記直交方向に延びるボルト締結用の第2ねじ穴を備え、前記減圧弁設置部材は、設置面を備える設置部と、前記設置部の前記設置面とは反対側から当該設置面と垂直な方向に延びる減圧弁取付部と、を備え、前記減圧弁取付部は、当該減圧弁取付部の延設方向で離間する2か所にボルト締結用の第1穴部および第2穴部を備え、前記第1穴部および前記第2穴部は、それぞれ前記延設方向の延びる長穴であり、前記減圧弁設置部材は、前記延設方向が上下方向となる姿勢で設置され、前記減圧弁は、前記管軸方向を前記延設方向に向けて、前記固定部が前記減圧弁取付部に取り付けられることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、減圧弁が固定部を備える。従って、固定部を利用して減圧弁を建物の
壁面等に固定した状態で、減圧弁に配管を接続できる。よって、減圧弁と配管とを接続したときに、減圧弁の上流側に位置する1次側配管部分に、減圧弁の重量分の負荷がかかることを回避できる。また、固定部は、流入管および流出管とは異なる方向に突出している。従って、流入管および流出管に配管を接続する際に、固定部が配管と干渉することを防止できる。また、減圧弁のダイアフラムは、下流側流路部分の圧力の変動に伴って変位可能とするために、比較的大きな径寸法を備える。従って、固定部がダイアフラムの径方向に延びる場合には、固定部を建物の壁面等に固定する際に、ハウジングにおいてダイアフラムの外周縁を保持するハウジング部分と建物の壁面等が干渉する場合がある。これに対して、固定部が突出する直交方向は、ダイアフラムが変位する方向であり、ダイアフラムの径方向と直交する方向である。従って、固定部を壁面等に固定する際などに、ダイアフラムを保持するハウジング部分と壁面等との干渉を避けることができる。さらに、このような固定部を備えるので、2本のボルトを用いて減圧弁を固定できる。また、第1柱部および第2柱部は管軸方向に配列されている。従って、固定部を設けることにより、減圧弁が、管軸方向および直交方向と直交する幅方向で大きくなることを防止或いは抑制できる。
【0013】
また、本発明によれば、減圧弁設置部材を用いて減圧弁を設置できる。ここで、減圧弁設置部材の減圧弁取付部はボルト締結用の第1穴部および第2穴部を備える。従って、これらの2つの穴部を利用して、減圧弁の固定部を減圧弁取付部に固定できる。また、設置面を建物の床面に当接させて減圧弁設置部材を設置すれば、減圧弁取付部は上下方向に延びた状態となり、減圧弁取付部に固定された減圧弁は管軸方向を上下方向に向けた姿勢となる。従って、減圧弁よりも上流側に位置する1次側配管部分が上下方向に延びている場合には、1次側配管部分と減圧弁とを接続することが容易である。また、減圧弁は減圧弁設置部材により支持されているので、1次側配管部分の下端に減圧弁を接続した場合でも、1次側配管部分にかかる荷重が小さい。さらに、本発明において、前記第1穴部および前記第2穴部は、それぞれ前記延設方向の延びる長穴である。従って、減圧弁取付部に固定する減圧弁の固定位置を、減圧弁取付部の延設方向において調節できる。
【0017】
この場合において、前記第1穴部および前記第2穴部は、前記延設方向で連続する1つの長穴とすることもできる。
【0018】
本発明において、前記流入管に接続された止水栓を備えることが望ましい。このようにすれば、止水栓を閉じることにより、減圧弁への水の流入を停止できる。従って、減圧弁を交換する際に止水栓を閉じれば、上流側からの水が飛散することを防止できる。
【0019】
本発明において、前記流入管は、止水栓部を備え、前記止水栓部は、前記流入管の途中に区画された弁室と、前記弁室内に配置されたボール弁体と、前記ボール弁体を前記管軸方向と交差する軸線回りに回転させるハンドルと、を備えるものとすることができる。このようにすれば、減圧弁にボール止水栓の機能を備えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の減圧弁ユニットの減圧弁は、固定部を備える。従って、固定部を利用して減圧弁を建物の壁面等に固定した状態で、減圧弁に配管を接続できる。よって、減圧弁と配管とを接続したときに、減圧弁の上流側に位置する1次側配管部分に、減圧弁の重量分の負荷がかかることを回避できる。また、固定部は、流入管および流出管とは異なる方向に突出している。従って、流入管および流出管に配管を接続する際に、固定部が配管と干渉することを防止できる。
【0021】
また、本発明の減圧弁ユニットによれば、減圧弁設置部材を用いて減圧弁を設置できる。ここで、減圧弁設置部材の減圧弁取付部はボルト締結用の2つの穴部を備えるので、減圧弁の固定部を減圧弁取付部に固定することが容易である。また、設置面を建物の床面に当接させて減圧弁設置部材を設置すれば、減圧弁取付部は上下方向に延びた状態となり、減圧弁取付部に固定された減圧弁は管軸方向を上下方向に向けた姿勢となる。従って、減圧弁よりも上流側に位置する1次側配管部分が上下方向に延びている場合には、1次側配
管部分と減圧弁とを接続することが容易である。また、減圧弁は減圧弁設置部材により支持されているので、1次側配管部分の下端に減圧弁を接続した場合でも、1次側配管部分にかかる荷重が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】減圧弁ユニットの側面図である。
図2】減圧弁設置部材の説明図である。
図3】減圧弁ユニットの断面図である。
図4】変形例1の減圧弁の断面図である。
図5】変形例2の減圧弁を備える減圧弁ユニットの側面図である。
図6】変形例2の減圧弁を備える減圧弁ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態である減圧弁ユニットおよび減圧弁を説明する。
【0024】
(減圧弁ユニット)
図1(a)は、減圧弁ユニットを減圧弁の側から見た場合の側面図である。図1(b)は、減圧弁ユニットを図1(a)と直交する方向から見た場合の側面図である。減圧弁ユニット1は、減圧弁2と、止水栓3と、減圧弁2を設置するための減圧弁設置部材4と、を備える。減圧弁ユニット1は、高層ホテルにおいて各客室の水道に水を供給する給水系の配管の途中に減圧弁2を設置するために用いられる。
【0025】
すなわち、高層ホテルの給水系は、各階に水を配送する本管(不図示)と、各階において本管から分岐して各客室に向かって延びる複数の分岐配管6とを備える。このような給水系では、最上階の各客室の水道で水圧を確保しようとすると、低い階の各客室の水道では水圧が高くなりすぎる。従って、各階の各分岐配管6の途中に必要に応じて減圧弁2を設置して、各客室の水道の水圧を所定の圧力に調節する。
【0026】
図1に示すように、減圧弁2は、流入管11および当該流入管11と同軸の流出管12を有する。減圧弁設置部材4は、設置面15aを備える設置部15と、設置部15の設置面15aとは反対側から当該設置面15aと垂直な方向に延びる減圧弁取付部16と、を備える。減圧弁取付部16は減圧弁2および止水栓3の一方側に位置する。
【0027】
以下の説明では、減圧弁2の流入管11および流出管12の管軸Oに沿った方向を減圧弁2の管軸方向Xとする。管軸方向Xにおいて止水栓3が位置する側をX1方向とする。また、管軸方向Xと直交する方向を減圧弁2の直交方向Yとし、管軸方向Xおよび直交方向Yと直交する方向を減圧弁2の幅方向Zとする。直交方向Yは、減圧弁2と減圧弁取付部16とが対向する方向である。直交方向Yにおいて減圧弁取付部16が位置する側をY1方向、減圧弁2が位置する側をY2方向とする。ここで、減圧弁2が減圧弁設置部材4に取り付けられた状態では、管軸方向Xと減圧弁取付部16の延設方向Lとは一致する。従って、減圧弁設置部材4の説明においては、互いに異なる3方向を延設方向L、直交方向Y、幅方向Zとする。
【0028】
(減圧弁設置部材)
図2(a)は、減圧弁設置部材4を減圧弁2が固定される側から見た場合の側面図である。図2(b)は、減圧弁設置部材4を図2(a)と直交する方向から見た場合の側面図である。図2(c)は、減圧弁設置部材4を減圧弁取付部16の延設方向Lから見た場合の平面図である。
【0029】
減圧弁設置部材4の設置部15は板状であり、平面形状は略正方形である。減圧弁取付部16は、減圧弁設置部材4の中央部分から設置面15aと直交する方向に突出する。設置部15における4辺の縁には、それぞれ切欠き部17が設けられている。減圧弁設置部材4を、例えば、高層ホテルの各階の床面に固定する際には、設置面15aを床面に当接させる。また、切欠き部17に、各階の床面から突出するアンカーを貫通させる。そして、設置部15とアンカーとをナット或いは溶接等により締結する。減圧弁設置部材4を床面に設置した状態では、減圧弁取付部16は、床面から上方に延びる。
【0030】
減圧弁取付部16は、設置面15aと垂直な方向に一定幅で延びる第1取付板部分19と、第1取付板部分19に沿って設置面15aと垂直な方向に一定幅で延びる第2取付板部分20と、を備える。第1取付板部分19における第2取付板部分20の側の端と第2取付板部分20の第1取付板部分19の側の端とは連続しており、第1取付板部分19の厚み方向と第2取付板部分20側の厚み方向とは直交する。従って、図2(c)に示すように、減圧弁取付部16を、設置面15aと垂直な延設方向Lから見た場合の形状は、L字形状である。第1取付板部分19には、延設方向Lで離間する位置に第1穴部21および第2穴部22が設けられている。第1穴部21および第2穴部22のそれぞれは、延設方向Lに延びる長穴である。
【0031】
(減圧弁)
図3は、減圧弁ユニット1の断面図である。図3では、止水栓3および減圧弁2の周辺を拡大して示す。図3に示すように、減圧弁2の流入管11は、X1方向の端部分の外周面に雄ねじ11aを備える。流出管12は、X2方向の端部分の外周面に雄ねじ12aを備える。また、減圧弁2は、流入管11と流出管12とを接続する内部流路25を備えるハウジング26を有する。
【0032】
図3に示すように、内部流路25は、直交方向Yに延びる流路部分25aを備える。当該流路部分25aの途中には、Y1方向を向く環状の弁座27が設けられている。また、減圧弁2は、ハウジング26内にダイアフラム28を有する。ダイアフラム28は、内部流路25において弁座27よりも水の流通方向Sの下流側に位置する下流側流路部分25bの壁面の一部分を構成する。ダイアフラム28は、直交方向Yから見た場合に弁座27と重なる位置に配置されている。
【0033】
図1(a)に鎖線で示すように、ダイアフラム28は、直交方向Yから見た場合の輪郭形状が円形である。ダイアフラム28は、外周縁がハウジング26によって保持されている。また、ダイアフラム28は、ハウジング26内に配置されたコイルバネ29により、その中央部分が、直交方向Yにおける所定の位置に支持されている。減圧弁2は、直交方向Yから見たときに、ハウジング26においてダイアフラム28を内周側に保持するハウジング部分26aの幅が最も広い。
【0034】
ここで、ダイアフラム28は、その中央部分が、下流側流路部分25bの流体の圧力に応じて直交方向Yに変位する。
【0035】
また、減圧弁2は、図3に示すように、ダイアフラム28の中央部分に固定されて直交方向YをY1方向に延びるステム30を備える。ステム30は、内部流路25における弁座27よりも流通方向Sの上流側に位置する上流側流路部分25cを経由して、弁座27を貫通し、その先端部が上流側流路部分25cに達する。ステム30の先端部(ダイアフラム28とは反対側に端)には、弁体31が取り付けられている。弁体31は円環状である。弁体31は、下流側流路部分25bに位置しており、Y1方向の側から弁座27に対向する。
【0036】
ダイアフラム28の中央部分が内部流路25における下流側流路部分25bの流体の圧力に応じて直交方向Yに変位すると、ステム30がダイアフラム28の変位に伴って直交方向Yに移動する。これにより、弁体31が弁座27に接近する方向および離間する方向に変位して、弁座27との間の距離を変化させる。すなわち、減圧弁2は、ダイアフラム28の変位に伴って弁の開口度を変化させる。これにより、減圧弁2は、当該減圧弁2を通過する水の圧力を所定の圧力に調節する。
【0037】
さらに、減圧弁2は、ハウジング26から管軸方向Xと交差する直交方向Yに突出する固定部33を有する。固定部33は、ハウジング26から直交方向Yに延びる脚部分34と、脚部分34の先端部分から管軸方向XをX1方向に延びる第1固定板部分35と、管軸方向XをX2方向に延びる第2固定板部分36と、を備える。第1固定板部分35および第2固定板部分36は、その厚み方向を直交方向Yに向けている。第1固定板部分35は、X1方向の端縁にボルト締結用の第1切欠き部37(第1貫通部)を備える。第2固定板部分36は、X2方向の端縁にボルト締結用の第2切欠き部38(第2貫通部)を備える。なお、第1切欠き部37および第2切欠き部38は、貫通穴でもよい。
【0038】
(止水栓)
止水栓3は、本例では、ボール止水栓である。図3に示すように、止水栓3は、ボール弁体41と、弁箱42と、ボール弁体41を回転させるためのハンドル43と、を備える。ボール弁体41は、弁箱42の内部に区画された弁室44に収容されている。ハンドル43は、直交方向Yに延びる軸部45と、軸部45のY2方向の端部分に設けられた摘み部46と、を備える。軸部45のY1方向の端部はボール弁体41に固定され、Y2方向の端部分は弁箱42からY2方向に突出している。摘み部46は、軸部45において、弁箱42から突出している部分に取り付けられている。
【0039】
また、止水栓3は、弁箱42からX1方向に突出する第1接続管47と、弁箱42からX2方向に延びる第2接続管48とを備える。第1接続管47および第2接続管48は、減圧弁2の流入管11および流出管12と同軸である。第2接続管48のX2方向の端部分には、袋ナット49が取り付けられている。袋ナット49は、管軸O回りに回転可能、かつ、管軸方向Xに移動不能な状態で第2接続管48の外周側に支持されている。止水栓3の第2接続管48は、袋ナット49の雌ねじ49aが、逆止2弁の流入管11の雄ねじ11aに螺合することにより、流入管11に接続される。本例では、第2接続管48と流入管11との間にはパッキン50が介在する。
【0040】
(減圧弁の減圧弁設置部材への固定)
図1に示すように、減圧弁2は、ボルト締結機構51により、減圧弁設置部材4に固定される。ボルト締結機構51は、図3に示すように、固定部33に設けられた第1切欠き部37および第2切欠き部38、並びに、減圧弁取付部16に設けられた第1穴部21および第2穴部22を備える。また、ボルト締結機構51は、第1切欠き部37および第1穴部21を貫通して延びる第1ボルト53、第2切欠き部38および第2穴部22を貫通して延びる第2ボルト54、第1ボルト53に螺合する第1ナット56、および第2ボルト54に螺合する第2ナット57を備える。
【0041】
第1ナット55は、固定部33における第1切欠き部37の開口縁と減圧弁取付部16における第1穴部21の開口縁とを第1ボルト53の頭部との間に挟んで、減圧弁2を減圧弁取付部16に固定する。第2ナット56は、固定部33における第2切欠き部38の開口縁と減圧弁取付部16における第2穴部22の開口縁とを第2ボルト54の頭部との間に挟んで、減圧弁2を減圧弁取付部16に固定する。
【0042】
ここで、減圧弁2が減圧弁取付部16に取り付けられた状態では、減圧弁2の管軸方向
Xと、減圧弁取付部16の延設方向Lとは、一致する。従って、図1に示すように、減圧弁取付部16が建物の床面に設置された場合には、減圧弁2の管軸方向Xは上下方向となり、止水栓3および減圧弁2は上下方向に配列される。ここで、図1(a)に示すように、直交方向Y方向から見た場合には、減圧弁2および止水栓3は、減圧弁取付部16と重なる。幅方向Zにおける減圧弁取付部16の幅寸法は、減圧弁2においてダイアフラム28を内周側に保持するハウジング部分26aの幅寸法以下である。
【0043】
(減圧弁の分岐配管への接続、および減圧弁の交換)
本例では、止水栓3と減圧弁2とは予め袋ナット49より締結された状態とされている。減圧弁2を設置する際には、図1に示すように、減圧弁設置部材4を建物の床面に設置する。そして、ボルト締結機構51により、減圧弁2を減圧弁設置部材4に固定する。
【0044】
ここで、減圧弁設置部材4の減圧弁取付部16に設けられた第1穴部21および第2穴部22は、それぞれ減圧弁取付部16の延設方向Lに延びる長穴である。従って、減圧弁2を固定する際に、その固定位置を、長穴(第1穴部21および第2穴部22)の範囲で上下方向に移動させて調節できる。
【0045】
次に、止水栓3の第1接続管47に、分岐配管6における1次側配管部分61を接続する。また、減圧弁2の第2接続管48に、分岐配管6における2次側配管部分62を接続する。
【0046】
ここで、減圧弁2が、高層ホテルの分岐配管6の途中に設置されると、減圧弁2のダイアフラム28は、客室の水道が使用される毎に変位する。従って、ダイアフラム28には頻繁に負荷がかかる。よって、減圧弁2は、ダイアフラム28の損傷により、故障する場合がある。
【0047】
このような場合には、まず、止水栓3を操作して、1次側配管部分61から減圧弁2への水の流入を停止する。次に、止水栓3の袋ナット49を回転させて止水栓3と減圧弁2との締結を解除する。また、減圧弁2と、2次側配管部分62との接続を解除する。その後、新たな減圧弁2と、止水栓3および2次側配管部分62とを締結する。しかる後に、止水栓3を操作して、水を1次側配管部分61から減圧弁2へ流通させる。
【0048】
(作用効果)
本例によれば、減圧弁2が固定部33を備える。従って、固定部33を利用して減圧弁2を減圧弁設置部材4に固定した状態で、減圧弁2に分岐配管6を接続できる。よって、減圧弁2と分岐配管6とを接続したときに、減圧弁2の上流側に位置する1次側配管部分61に、減圧弁2の重量分の負荷がかかることを回避できる。また、固定部33は、流入管11および流出管12とは異なる方向に突出している。従って、流入管11および流出管12に分岐配管6を接続する際に、固定部33が分岐配管6と干渉することを防止できる。
【0049】
また、本例では、減圧弁2と減圧弁設置部材4とが減圧弁ユニット1とされている。従って、分岐配管6の途中に減圧弁2を設置する際に、減圧弁設置部材4を用いることができる。ここで、減圧弁設置部材4は設置面15aを備える、従って、減圧弁設置部材4を建物の床面等に設置することが容易である。
【0050】
また、減圧弁設置部材4の減圧弁取付部16は、ボルト締結用の第1穴部21および第2穴部22を備える。従って、これらの第1穴部21および第2穴部22を利用して、減圧弁2を減圧弁設置部材4に固定できる。
【0051】
さらに、設置面15aを建物の床面等に当接させて減圧弁設置部材4を設置した場合には、減圧弁取付部16は上下方向に延びた状態となる。また、減圧弁取付部16に固定した減圧弁2は、管軸方向Xを上下方向に向けた姿勢となる。従って、減圧弁2よりも上流側に位置する1次側配管部分61が上下方向に延びている場合には、この1次側配管部分61と減圧弁2とを接続することが容易である。また、減圧弁2が減圧弁設置部材4に固定されているので、1次側配管部分61の下端に減圧弁2を接続した場合でも、1次側配管部分61にかかる荷重が小さい。
【0052】
ここで、減圧弁2のダイアフラム28は、下流側流路部分25bの圧力の変動に伴って変位するように、比較的大きな径寸法を備える。従って、固定部33がダイアフラム28の径方向に延びる場合には、固定部33を減圧弁取付部16に固定する際に、ハウジング26においてダイアフラム28を内周側に保持するハウジング部分26aと減圧弁取付部16とが干渉する場合がある。これに対して、本例では、固定部33が突出する直交方向Yは、ダイアフラム28が変位する方向であり、ダイアフラム28の径方向と直交する方向である。従って、固定部33を減圧弁取付部16に固定したときに、減圧弁取付部16とダイアフラム28とが干渉することがない。
【0053】
また。本例では、固定部33の第1固定板部分35および第2固定板部分36が管軸方向Xに延びる。従って、固定部33を設けることにより、減圧弁2が幅方向Zで大きくなることを防止或いは抑制できる。
【0054】
さらに、幅方向Zにおける減圧弁取付部16の幅寸法は、減圧弁2においてダイアフラム28を内周側に保持するハウジング部分26aの幅寸法以下である。また、直交方向Y方向から見た場合には、減圧弁2および止水栓3は、減圧弁取付部16と重なる。従って、減圧弁2を減圧弁取付部16に固定した状態で減圧弁設置部材4を建物の床面に設置したときに、減圧弁2および減圧弁取付部16が占有する空間を小さくできる。
【0055】
また、減圧弁ユニット1は、減圧弁2の上流側に止水栓3を備える。従って、止水栓3を閉じることにより、減圧弁2への水の流入を停止できる。従って、減圧弁2を交換する際に止水栓3を閉じれば、1次側配管部分61からの水が飛散することがない。
【0056】
(変形例1)
図4は変形例1の減圧弁の説明図である。本例の減圧弁2Aは、固定部33を除き、上記の減圧弁2と同様の構成を備える。従って、減圧弁2と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
固定部33は、ハウジング26から直交方向Yに延びる第1柱部71および第2柱部72を備える。第1柱部71および第2柱部72は、管軸方向Xに配列されて互いに離間している。第1柱部71は第2柱部72のX1方向に位置する。第1柱部71の先端面には直交方向Yに延びるボルト締結用の第1ねじ穴73が設けられている。第2柱部72の先端面には直交方向Yに延びるボルト締結用の第2ねじ穴74が設けられている。
【0058】
本例においても、減圧弁2Aは、ボルト締結機構51により、減圧弁設置部材4に固定される。ボルト締結機構51は、第1ねじ穴73および第2ねじ穴74、減圧弁取付部16に設けられた第1穴部21および第2穴部22、並びに、第1ボルト53および第2ボルト54を備える。減圧弁2Aは、第1ボルト53が第1穴部21を貫通して第1ねじ穴73に捩じ込まれ、第2ボルト54が、第2穴部22を貫通して第2ねじ穴74に捩じ込まれることにより減圧弁設置部材4に固定される。本例の減圧弁2Aにおいても、上記の減圧弁2と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
(変形例2)
図5は変形例2の減圧弁を備える減圧弁ユニットの説明図である。図6は変形例2の減圧弁を備える減圧弁ユニットの断面図である。本例の減圧弁ユニット100は、変形例2の減圧弁2Bと、減圧弁設置部材4と、を備える。減圧弁設置部材4は、減圧弁ユニット1の減圧弁設置部材4と同一である。減圧弁2Bは、流入管11の構成を除き、上記の減圧弁2と同様の構成を備える。以下では、減圧弁2Bにおいて、減圧弁2と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図5図6に示すように、減圧弁2Bは、流入管11に止水栓部75を備える。止水栓部75は、流入管11の途中に区画された弁室76と、弁室76内に配置されたボール弁体77と、ボール弁体77を直交方向Yに延びる軸線回りに回転させるハンドル78と、を備える。ハンドル78は、直交方向Yに延びる軸部79と、軸部79のY2方向の端部分に設けられた摘み部80と、を備える。軸部79のY1方向の端部はボール弁体77に固定され、Y2方向の端部分は流入管11からY2方向に突出する。摘み部80は、軸部79において、流入管11から突出している部分に取り付けられている。
【0061】
減圧弁2Bを直交方向Yから見た場合には、図5(a)に示すように、止水栓部75の幅は、ハウジング26においてダイアフラム28を内周側に保持するハウジング部分26aの幅よりも狭い。言い換えれば、減圧弁2Bは、直交方向Yから見たときに、ハウジング26においてダイアフラム28を内周側に保持するハウジング部分26aの幅が最も広い。また、減圧弁2Bを減圧弁設置部材4に固定した状態を直交方向Yから見た場合には、減圧弁2Bは、減圧弁取付部16と重なる。また、減圧弁取付部16の幅寸法は、減圧弁2Bのハウジング部分26aの幅寸法以下である。従って、減圧弁ユニット100を建物の床面に設置したときに、減圧弁2Bおよび減圧弁取付部16が占有する空間を小さくできる。
【0062】
本例では、減圧弁2Bの流入管11に、止水栓部75として、ボール止水栓が構成されている。従って、減圧弁2Bは、止水栓部75を備える分だけ、重量が嵩んでいる。よって、減圧弁2Bと分岐配管6とを接続した場合には、減圧弁2Bの上流側に位置する1次側配管部分61には、止水栓部75を備えていない減圧弁2Bの重量分以上の負荷がかかるという問題が発生する。
【0063】
このような問題に対して、減圧弁2Bは固定部33を備える。従って、固定部33を利用して減圧弁2を減圧弁設置部材4に固定すれば、減圧弁2Bが重い場合でも、1次側配管部分61にかかる負荷を低減できる。よって、1次側配管部分61を構成する管継手として樹脂製のものなどを用いて、配管にかかるコストを抑制できる。
【0064】
また、本例では、減圧弁2Bに、止水栓部75として、ボール止水栓が一体に設けられている。換言すれば、本例の減圧弁2Bは、ボール止水栓の機能を備える。従って、減圧弁2Bの流入管11に、別途、止水栓3を接続する必要がない。よって、図6に示すように、減圧弁2に替えて本例の減圧弁2Bを採用した減圧弁ユニット100では、止水栓3を省略できる。また、止水栓部75を閉じることにより、減圧弁2Bへの水の流入を停止できる。従って、ダイアフラムなどを交換する際などに、止水栓部75を閉じれば、減圧弁2Bの内部流路25に水が流入することを防止できる。
【0065】
なお、本例の減圧弁2Bの固定部33として、減圧弁2Aの固定部33を採用できることは勿論である。
【0066】
(その他の実施の形態)
ここで、減圧弁2、2A、2Bは、固定部33を利用して、建物の壁面等に直接固定し
てもよい。
【0067】
また、上記の例では、減圧弁設置部材4は、第1穴部21および第2穴部22を備えるが、図2に点線で示すように、これらを減圧弁取付部16の延設方向Lで連続する1つの長穴23とすることができる。このようにしても、減圧弁2、2Aを減圧弁取付部16に固定できる。また、長穴23の範囲において、減圧弁2、2Aの位置を、減圧弁取付部16の延設方向Lで調節できる。
【符号の説明】
【0068】
1、100…減圧弁ユニット、2、2A、2B…減圧弁、3…止水栓、4…減圧弁設置部材、6…分岐配管、11…流入管、12…流出管、15…設置部、15a…設置面、16…減圧弁取付部、17…切欠き部、19…第1取付板部分、20…第2取付板部分、21…第1穴部、22…第2穴部、23…長穴、25…内部流路、25a…流路部分、25b…下流側流路部分、25c…上流側流路部分、26…ハウジング、26a…ハウジング部分、27…弁座、28…ダイアフラム、29…コイルバネ、30…ステム、31…弁体、33…固定部、34…脚部分、35…第1固定板部分、36…第2固定板部分、37…第1切欠き部、38…第2切欠き部、41…ボール弁体、42…弁箱、43…ハンドル、44…弁室、45…軸部、46…摘み部、47…第1接続管、48…第2接続管、49…袋ナット、50…パッキン、51…ボルト締結機構、53…第1ボルト、54…第2ボルト、56…第1ナット、57…第2ナット、61…1次側配管部分、62…2次側配管部分、71…第1柱部、72…第2柱部、73…第1ねじ穴、74…第2ねじ穴、75…止水栓部、76…弁室、76…弁室、77…ボール弁体、78…ハンドル、79…軸部、80…摘み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6