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特許7105491植物装飾体用板体、植物装飾体およびその作成方法
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  • 特許-植物装飾体用板体、植物装飾体およびその作成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】植物装飾体用板体、植物装飾体およびその作成方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20220715BHJP
   A01G 22/30 20180101ALI20220715BHJP
   A01G 22/63 20180101ALI20220715BHJP
【FI】
A01G9/02 Z
A01G22/30
A01G22/63
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019015813
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020120634
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】593069130
【氏名又は名称】株式会社アクアデザインアマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】天野 しのぶ
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-044954(JP,U)
【文献】特開平09-313042(JP,A)
【文献】特開平03-108415(JP,A)
【文献】登録実用新案第3048063(JP,U)
【文献】国際公開第98/002031(WO,A1)
【文献】特開2003-111518(JP,A)
【文献】特開昭61-274630(JP,A)
【文献】特開2018-113947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/02
A01G 22/30
A01G 22/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着生植物を使用した植物装飾体を作成するためのものであって、陶土を焼成した板体であり、この板体には前記着生植物を該板体に止着するための糸もしくは紐が挿通される孔が設けられ、またこの板体の表面は前記着生植物が着生可能な表面処理が施され、またこの板体の裏面には凹凸加工が施されていることを特徴とする植物装飾体用板体。
【請求項2】
請求項1記載の植物装飾体用板体において、前記板体には該板体を吊り下げるためのフックを係止する係止孔が設けられていることを特徴とする植物装飾体用板体。
【請求項3】
請求項1、2いずれか1項に記載の植物装飾体用板体において、前記着生植物は洋ラン類であることを特徴とする植物装飾体用板体。
【請求項4】
着生植物を使用した植物装飾体であって、陶土を焼成した板体には前記着生植物を該板体に止着するための糸もしくは紐が挿通される孔が設けられ、またこの板体の表面は前記着生植物が着生可能な表面処理が施され、またこの板体の裏面には凹凸加工が施され、前記板体には前記着生植物が着生しているとともに、前記孔に挿通した糸もしくは紐により縛着されていることを特徴とする植物装飾体。
【請求項5】
請求項4において、前記着生植物はミズゴケなどにより覆われていることを特徴とする植物装飾体。
【請求項6】
請求項4、5いずれか1項に記載の植物装飾体において、前記板体には該板体を吊り下げるためのフックを係止する係止孔が設けられていることを特徴とする植物装飾体。
【請求項7】
請求項4~6いずれか1項記に記載の植物装飾体において、前記着生植物は洋ラン類であることを特徴とする植物装飾体。
【請求項8】
着生植物を使用した植物装飾体の作成方法であって、陶土を焼成して構成した板体を水に浸漬した後、この板体の表面に所望の着生植物を載置し糸もしくは紐を巻回することで該着生植物を前記板体に固定せしめ、前記着生植物を育成して植物装飾体を作成することを特徴とする植物装飾体の作成方法。
【請求項9】
請求項8記載の植物装飾体の作成方法において、前記着生植物を適宜ミズゴケなどで覆って育成することを特徴とする植物装飾体の作成方法。
【請求項10】
請求項8、9いずれか1項に記載の植物装飾体の作成方法において、前記着生植物の育成は、前記板体を適宜な台上に水平状態に載置して行うことを特徴とする植物装飾体の作成方法。
【請求項11】
請求項8~10いずれか1項に記載の植物装飾体の作成方法において、前記着生植物は洋ラン類であることを特徴とする植物装飾体の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着生植物を使用した室内装飾を簡易かつ良好に提供することができる植物装飾体用板体、植物装飾体およびその作成方法である。
【背景技術】
【0002】
従来から植物を室内装飾としたいという要求があるが、植物の中でも着生植物、たとえば洋ラン類を用いた装飾は素人が作成することは厄介である。
【0003】
例えば、特許文献1には、着生植物である洋ラン類の育成方法および育成器(以下、従来例という。)が開示されている。
【0004】
この従来例1は、根絡と通気性を確保できる着生部材に養液を揚水可能な揚水部材を積層し、前記着生部材の適当箇所を欠損させて着生孔を設け、この着生孔に洋ラン類の根部を保水材とともに充填し、着生部材の下端を養液槽内に浸漬して洋ラン類を立面的に育成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭61-274630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来例は着生部材に揚水部材を積層させること、着生部材に着生孔を形成すること、さらに、着生孔に洋ラン類を保水材とともに充填することなどが必須構成および必須作業であり、非常に厄介である。
【0007】
本発明は着生植物を使用した室内装飾を簡易に作成することができる植物装飾体用板体、植物装飾体およびその作成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
着生植物1を使用した植物装飾体2を作成するためのものであって、陶土を焼成した板体であり、この板体には前記着生植物1を該板体に止着するための糸3もしくは紐が挿通される孔4が設けられ、またこの板体の表面は前記着生植物1が着生可能な表面処理が施され、またこの板体の裏面には凹凸加工が施されていることを特徴とする植物装飾体用板体に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の植物装飾体用板体において、前記板体には該板体を吊り下げるためのフック7を係止する係止孔8が設けられていることを特徴とする植物装飾体用板体に係るものである。
【0011】
また、請求項1、2いずれか1項に記載の植物装飾体用板体において、前記着生植物1は洋ラン類であることを特徴とする植物装飾体用板体に係るものである。
【0012】
また、着生植物1を使用した植物装飾体であって、陶土を焼成した板体には前記着生植物1を該板体に止着するための糸3もしくは紐が挿通される孔4が設けられ、またこの板体の表面は前記着生植物1が着生可能な表面処理が施され、またこの板体2の裏面には凹凸加工が施され、前記板体には前記着生植物1が着生しているとともに、前記孔4に挿通した糸3もしくは紐により縛着されていることを特徴とする植物装飾体に係るものである。
【0013】
また、請求項4において、前記着生植物1はミズゴケ5などにより覆われていることを特徴とする植物装飾体に係るものである。
【0014】
また、請求項4、5いずれか1項に記載の植物装飾体において、前記板体には該板体を吊り下げるためのフック7を係止する係止孔8が設けられていることを特徴とする植物装飾体に係るものである。
【0015】
また、請求項4~6いずれか1項記に記載の植物装飾体において、前記着生植物1は洋ラン類であることを特徴とする植物装飾体に係るものである。
【0016】
また、着生植物1を使用した植物装飾体の作成方法であって、陶土を焼成して構成した板体を水9に浸漬した後、この板体の表面に所望の着生植物1を載置し糸3もしくは紐を巻回することで該着生植物1を前記板体に固定せしめ、前記着生植物1を育成して植物装飾体を作成することを特徴とする植物装飾体の作成方法に係るものである。
【0017】
また、請求項8記載の植物装飾体の作成方法において、前記着生植物1を適宜ミズゴケ5などで覆って育成することを特徴とする植物装飾体の作成方法に係るものである。
【0018】
また、請求項8、9いずれか1項に記載の植物装飾体の作成方法において、前記着生植物1の育成は、前記板体2を適宜な台10上に水平状態に載置して行うことを特徴とする植物装飾体の作成方法に係るものである。
【0019】
また、請求項8~10いずれか1項に記載の植物装飾体の作成方法において、前記着生植物1は洋ラン類であることを特徴とする植物装飾体の作成方法に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、着生植物を使用した室内装飾を簡易に作成することができる植物装飾体用板体、植物装飾体およびその作成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施例の正面斜視図である。
図2】本実施例の背面斜視図である。
図3】本実施例の生産過程説明断面図である。
図4】本実施例の生産過程説明図である。
図5】本実施例の生産過程説明図である。
図6】本実施例の生産過程説明断面図である。
図7】本実施例の使用状態説明図である。
図8】本実施例の使用状態説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0023】
板体は、陶土を焼成したものであり、また、この板体の表面は着生植物1の着生が可能な表面処理が施されている。
【0024】
この板体を水9に浸漬した後、板体の表面に、たとえば洋ランを載置し、この洋ランを糸3で縛り該洋ランを板体に固定する。続いて、洋ランの根の付近を保水のため、ミズゴケ5などを付着させる。板体は適度の通気性および通水性を有するため、洋ランに適度な水分が与えられるとともに、適度に保冷され(気化熱により板体の表面温度が低下するため)、さらにミズゴケ5が適度に保水し、よって、洋ランは良好に育成する。
【実施例
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例の板体Aは、可塑性に富んだ陶土を焼成したものであり、着生植物1の着生が可能な表面処理が施されているものである。
【0027】
着生植物1は、板体Aに着生するもの、着生しないもの、そもそも根をもたないものなど、種々あるが、本実施例は、洋ラン(着生ラン)を採用した場合である。
【0028】
また、本実施例は洋ランの根を覆うものとしてミズゴケ5を採用した場合である。このミズゴケ5は乾燥ミズゴケを水で戻したものである。
【0029】
ミズゴケ5は保水性に富み、着生植物1、この場合、高価な洋ランを長期に育成維持させることが可能となる。なお、ミズゴケ5は生きているものを採用することも可能であり、また、ミズゴケ5に限らず、保水作用を発揮するものであればどのようなものを用いてもよい。
【0030】
本実施例の板体Aは陶土を焼成したもの、すなわち陶器であり、正面視方形状で縦およそ10センチメートル、横およそ8センチメートル、厚さおよそ1センチメートルの板体Aである。この板体Aは、表面に特別に保護樹脂などが塗布されておらず、また表面は、手で触った時にわずかに感じる程度の凹凸が形成されている。この板体Aの表面に形成される微細な凹凸の大きさや高さの度合いは、陶土の調整であったり、焼成温度の調整で可変するものであり、適宜設定される。
【0031】
また、この板体Aには、糸3を挿通するための孔4及び板体Aを吊り下げるためのフック7を係止する係止孔8が設けられている。
【0032】
糸3は目立たないものであればどのようなものでもよく、本実施例では例えば木綿糸を採用している。
【0033】
また、この板体Aの裏面には複数本の凹溝6が縦方向に形成され、台10上に載置したり、壁面に吊り下げても通気性が確保される。この凹溝6は、陶土を焼成する前に形成され、焼成した際に縦方向への反りを阻止する機能も発揮する。
【0034】
着生植物1が着生(付着)可能な表面処理は、前述した板体Aの表面に形成される凹凸形状処理の他、例えばブラスト処理(粗し処理)など、着生植物1の根が係止可能となる処理であればどのような処理でも良い。
【0035】
また、本実施例の板体Aはいわゆる陶器である。繊維で構成したもの、不織布で構成したもの、合成樹脂で構成したもの、木で構成したものなど、種々実験した結果、陶器が適度の通気性および通水性を有し、着生植物1に適度の水分を与え、さらに着生植物1を適度に保冷するため、好ましいことを確認した(図8参照)。尚、陶器製の板体Aが備える通気性および通水性は、陶土の調整であったり、焼成温度の調整で可変するものであり、適宜設定される。
【0036】
以下、本実施例の植物装飾体2の生産方法について詳述する。
【0037】
板体Aを水9(水には養分を混入しおいても良い。)に浸漬した後(図3)、板体Aを適当な台10の上に水平状態で載置し、続いて、この板体Aの表面に洋ランを載置する(図4)。続いて、この洋ランの根の近傍にミズゴケ塊を適宜付着させる(このミズゴケ塊を板体Aにまで付着させると洋ランが一層、保持固定される。)。続いて、孔4に糸3を挿通してこの板体Aに洋ランを縛着する(図5)。なお、糸3の縛着の後、ミズゴケ塊を付着しても良い。板体Aの通気性及び通水性(板体Aに含浸した水が適度ににじみ出る。)により、洋ランには適度な水分が与えられ、また、洋ランは適度に保冷され、更にミズゴケ5の保水作用も相まって、洋ランは良好に育成し(図6)、ミズゴケ5で根の近傍が覆われた洋ランが付設された室内装飾体となる(ミズゴケ5が板体Aにまで着生すると、洋ランは一層板体Aに強く付着することになる。)。たとえば、ミズゴケ5を敷き詰めた水槽11の壁面にフック7を使用して掛けたりすることで斬新な装飾品となる(図7図8)。
【0038】
尚、本発明は、前記実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0039】
1 着生植物
2 植物装飾体
3 糸
4 孔
5 ミズゴケ
7 フック
8 係止孔
10 台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8