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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】電子レンジ
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20220715BHJP
   H05B 6/68 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
F24C7/02 355H
F24C7/02 360A
H05B6/68 330Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018006550
(22)【出願日】2018-01-18
(65)【公開番号】P2019124423
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100193172
【弁理士】
【氏名又は名称】上川 智子
(72)【発明者】
【氏名】小野 信一
(72)【発明者】
【氏名】東 広樹
(72)【発明者】
【氏名】盛屋 考治
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-132793(JP,A)
【文献】特開2017-154413(JP,A)
【文献】特開2001-317741(JP,A)
【文献】特開2005-076990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
H05B 6/68
H05B 6/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグ検出部と、前記RFIDタグ検出部からの信号を受信し、RFIDタグを判定する判定部と、前記RFIDタグを検出したことを報知する報知手段と、被加熱物を載置する加熱庫と、を備える、電子レンジであって、
前記RFIDタグ検出部は、前記RFIDタグが検出可能領域内に入った段階で前記RFIDタグの検索を開始する、電子レンジ
【請求項2】
前記RFIDタグ検出部がRFIDリーダーおよび/または金属探知機である、請求項1に記載の電子レンジ。
【請求項3】
記加熱庫内に前記RFIDタグ検出部を備える、請求項1または2のいずれかに記載の電子レンジ。
【請求項4】
前記RFIDタグ検出部が前記電子レンジの外部に設けられている、請求項1または2に記載の電子レンジ。
【請求項5】
前記加熱庫への扉をロックする ロック手段をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の電子レンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)を用いたタグが様々な用途に用いられている。RFIDタグは、通常、金属製のアンテナとICチップとを備える。RFIDは非接触でデータの読みだし、および、書き換えが可能であり、また、複数のタグを一括で読み取ることができる。そのため、小売業等の物流での活用が進んでいる。例えば、各商品にRFIDタグを取り付けることで、在庫管理が容易になる。また、レジでの商品の一括読み取りが可能となり、利便性が向上する。RFIDタグの単価も安価になってきていることから、幅広い分野でRFIDタグの導入が進められている。
【0003】
上記の通り、RFIDタグは金属製のアンテナを備えている。RFIDタグはアンテナの表面に紙または樹脂フィルムを積層したラベルの状態で用いられるため、外部からは金属を含んでいることが確認できない。そのため、食料品に取り付けられていた場合、電子レンジでの加熱時に火花が生じ、引火するおそれがある。また、電子レンジ自体の故障の原因ともなり得る。そのため、電子レンジにも対応可能なRFIDタグの開発が進められている(特許文献1)。しかしながら、専用のRFIDタグを用いることによりタグの単価が高くなるという問題がある。そのため、特別なRFIDタグを用いることなく、電子レンジでも安全に使用が可能な技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-164528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、RFIDタグが取り付けられた被加熱物の加熱に際し、注意喚起する機能を備えた電子レンジに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子レンジは、RFIDタグ検出部と、上記RFIDタグ検出部からの信号を受信し、上記RFIDタグを判定する判定部と、上記RFIDタグを検出したことを報知する報知手段と、被加熱物を載置する加熱庫と、を備える。このRFIDタグ検出部は、上記RFIDタグが検出可能領域内に入った段階で上記RFIDタグの検索を開始する。
1つの実施形態においては、上記RFIDタグ検出部はRFIDリーダーおよび/または金属探知機である。
1つの実施形態においては、上記電子レンジは上記加熱庫内に上記RFIDタグ検出部を備える。
1つの実施形態においては、上記RFIDタグ検出部は上記電子レンジの外部に設けられている。
1つの実施形態においては、上記電子レンジは上記加熱庫への扉をロックするロック手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、RFIDタグが取り付けられた被加熱物を電子レンジで加熱することによる、発火等の不具合を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態による電子レンジの概略を示すブロック図である。
図2図1に示す実施形態の制御装置の動作を説明するフローチャートである。
図3】本発明の別の実施形態による電子レンジの概略を示すブロック図である。
図4図3に示す実施形態の制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の電子レンジは、RFIDタグ検出部と、上記RFIDタグ検出部からの信号を受信し、上記RFIDタグを判定する判定部と、上記RFIDタグを検出したことを報知する報知手段と、被加熱物を載置する加熱庫と、を備える。このRFIDタグ検出部は、上記RFIDタグが検出可能領域内に入った段階で上記RFIDタグの検索を開始する。これらを備えることにより、RFIDタグが取り付けられた被加熱物が電子レンジ内で加熱されることによる発火等の不具合の発生を防止し得る。
【0010】
本発明の電子レンジは、マグネトロンで発生させたマイクロ波により、加熱庫内に置かれた被加熱物を加熱する。電子レンジのマイクロ波による被加熱物を加熱するための構造は任意の適切な構造とすることができる。
【0011】
図1は本発明の1つの実施形態における電子レンジの概略を示すブロック図である。この電子レンジは、RFIDタグを検出するRFIDタグ検出部10と、RFIDタグを検出したことを報知するための報知手段20と、マグネトロンを制御するためのマグネトロン制御回路30と、マグネトロンに電圧を印加するためのマグネトロン用高圧トランス40と、マグネトロン50とを備える(以下、第1の実施形態ともいう)。電子レンジは、制御装置100により制御される。この制御装置100は、マイクロコンピューターおよび入出力回路等を含み、RFIDタグ検出部10からの信号を基にRFIDタグを判定する判定部101を有する。判定部101は、RFIDタグ検出部10からのRFIDタグを検出したとの信号に基づき、RFIDタグの有無を判定する。RFIDタグがRFIDタグ検出部の検出可能領域内にあると判定した場合、制御装置100は報知手段20に対し信号を送り、RFIDタグを検出したことを報知する。
【0012】
図2図1の実施形態の電子レンジにおける制御装置での動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに基づき制御装置100の動作についてさらに詳細に説明する。制御装置での処理は任意の適切な段階で開始される。例えば、加熱庫への扉に手が触れた段階、RFIDタグ検出部の検出可能領域内にRFIDタグが入った段階(具体的には、RFIDタグが取り付けられた食品を持って電子レンジに近づいた段階等)で制御装置による処理が開始される。処理が開始されると、RFIDタグ検出部10はRFIDタグの検索を行う。判定部101が検出可能領域内にRFIDタグがないと判定した場合、制御装置100はマグネトロン制御回路30へと信号を送信し、マグネトロン用高圧トランス40からマグネトロン50に高電圧を印加する。これにより、加熱庫内の被加熱物の加熱が開始される。所定の時間および/または温度になるまで加熱を行い、処理を終了する。
【0013】
判定部101が検出可能領域内にRFIDタグがあると判定した場合、報知手段20によりRFIDタグを検出したことを報知する。次いで、再度RFIDタグ検出部10によるRFIDタグの検索を行う。制御装置100はRFIDタグが検出されなくなるまで、報知およびRFIDタグの検索を繰り返し行う。すなわち、RFIDタグがRFIDタグ検出部の検出可能領域内になくなるまで、繰り返し処理が行われる。したがって、被加熱物からRFIDタグを取り外し、RFIDタグのみを検出可能領域外にだす、または、RFIDタグが取り付けられた容器から中身を別の容器に移し替え、移し替えた容器で加熱を行うことにより、電子レンジでの通常の加熱を行うことができる。
【0014】
RFIDタグ検出部10は電子レンジの任意の適切な場所に取り付けられる。本発明の電子レンジで用いられるRFIDタグ検出部は検出可能領域を広く設定することができる(例えば、電子レンジの周辺部一帯)。そのため、デザイン等に応じて、RFIDタグ検出部を取り付ければよい。例えば、電子レンジの加熱庫内に取り付けられていてもよく、外部に取り付けられていてもよい。加熱庫内に取り付けられる場合、RFIDタグ検出部への温度およびマイクロ波の悪影響を避けるために任意の適切な保護部が設けられていてもよい。
【0015】
RFIDタグ検出部10は、好ましくはRFIDリーダーまたは金属探知機である。RFIDタグ検出部がRFIDリーダーである場合、RFIDタグ検出部10は、RFIDタグに備えられたICチップから発信されたとの信号をリーダーが受信することにより、RFIDタグを検出する。RFIDタグが金属探知機である場合、RFIDタグ検出部10は、RFIDタグの金属部分(例えば、アンテナ)を探知することにより、RFIDタグを検出する。
【0016】
また、アンテナの上に積層した樹脂フィルムの厚み等の影響により、十分な感度でRFIDタグを検知できない場合がある。このような場合、制御装置100は、マグネトロン制御回路30に対し出力を抑えるよう信号を送り、通常よりも低出力で加熱を開始させ得る。次いで、RFIDタグについて正確な判定ができた段階で加熱の停止およびRFIDタグの検出を報知する、または、通常の出力での加熱を行う。
【0017】
報知手段20による報知方法としては、任意の適切な方法により行うことができる。例えば、報知音などの音による報知、および、ライトの点灯による報知等が挙げられる。
【0018】
図3は本発明の別の実施形態における電子レンジの概略を示すブロック図である。この実施形態では、第1の実施形態の電子レンジがドアロック手段60をさらに備える(以下、第2の実施形態ともいう)。この電子レンジでは、RFIDタグを検出した場合、報知手段20による注意喚起だけではなく、加熱庫への扉をロックすることにより加熱庫内にRFIDタグが取り付けられた被加熱物が入ることを防止する。
【0019】
この実施形態では、電子レンジは制御装置100により制御される。この電子レンジは、RFIDタグを検索するRFIDタグ検出部10と、RFIDタグを検出したことを報知するための報知手段20と、ドアロック手段60と、マグネトロンを制御するためのマグネトロン制御回路30と、マグネトロンに電圧を印加するためのマグネトロン用高圧トランス40と、マグネトロン50とを備える。制御装置100は、マイクロコンピューターおよび入出力回路等を含み、RFIDタグ検出部10からの信号をもとにRFIDタグを判定する判定部101を有する。判定部101は、RFIDタグ検出部10からのRFIDタグを検出したとの信号に基づき、RFIDタグの有無を判定する。RFIDタグがRFIDタグ検出部の検出可能領域内にあると判定した場合、制御装置100は報知手段20およびドアロック手段60に対してRFIDタグを検出したとの信号を送信する。報知手段20は制御装置100からの信号を受信すると、RFIDタグを検出したことを報知する。ドアロック手段60は制御装置100からの信号を受信すると加熱庫への扉をロックする。このようにすることで、RFIDタグが検出されたことを報知して注意喚起するとともに、加熱庫内にRFIDタグが取り付けられた被加熱物が入ることを防止する。
【0020】
図4はこの実施形態の電子レンジにおける制御装置での動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに基づき制御装置100の動作についてさらに詳細に説明する。第1の実施形態と同様に、例えば、加熱庫への扉に手が触れた段階、RFIDタグ検出部の検出可能領域内にRFIDタグが入った段階(具体的には、RFIDタグが取り付けられた食品を持って電子レンジに近づいた段階)で制御装置による処理が開始される。処理が開始されると、RFIDタグ検出部10はRFIDタグの検索を行う。判定部101が検出可能領域内にRFIDタグがないと判定した場合、制御装置100はマグネトロン制御回路30へと信号を送信し、マグネトロン用高圧トランス40からマグネトロン50に高電圧を印加する。これにより、加熱庫内の被加熱物の加熱が開始される。所定の時間および/または温度まで加熱を行い、処理を終了する。
【0021】
判定部101が検出可能領域内にRFIDタグがあると判定した場合、制御装置100はドアロック手段60に対し加熱庫への扉をロックするよう信号を送信し、加熱庫への扉の開閉を防止する。次いで、報知手段20によりRFIDタグが検出されたことを報知する。その後、再度RFIDタグ検出部によるRFIDタグの検索が行われる。この検索でRFIDタグが検出されなかった場合(すなわち、検出可能領域内にRFIDタグがない場合)、制御装置100はドアロック手段60に対しロックを解除するよう信号を送信し、加熱庫内に被加熱物を入れることが可能となる。次いで、上記と同様にして、所定の時間および/または温度まで加熱を行い処理が終了する。
【0022】
再度の検索でもRFIDタグが検出された場合、ドアロック手段60により扉がロックされた状態が維持され、再度RFIDタグを検出したことが報知される。これをRFIDタグが検出されなくなるまで繰り返し行う。上記の通り、被加熱物からRFIDタグを取り外し、RFIDタグのみを検出可能領域外にだす、または、RFIDタグが取り付けられた容器から中身を別の容器に移し替え、移し替えた容器で加熱を行うことにより、電子レンジでの通常の加熱を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の電子レンジによれば、金属製のアンテナを有するRFIDタグを電子レンジで加熱することによる不具合を防止することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 RFIDタグ検出部
20 報知手段
30 マグネトロン制御回路
40 マグネトロン用高圧トランス
50 マグネトロン
60 ドアロック手段
70 RFIDリーダー
100 制御装置
101 判定部
図1
図2
図3
図4