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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20220715BHJP
   F16H 1/16 20060101ALN20220715BHJP
   F16H 1/06 20060101ALN20220715BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/16 Z
F16H1/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020069406
(22)【出願日】2020-04-07
(62)【分割の表示】P 2016149825の分割
【原出願日】2016-07-29
(65)【公開番号】P2020114177
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2020-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】平林 晃一郎
(72)【発明者】
【氏名】松村 行真
(72)【発明者】
【氏名】生田 明子
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-098199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
F16H 1/16
F16H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸の回転を外部に出力する出力ギアを含む複数のギアと、
前記モータ及び前記ギアを収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、第1筐体と第2筐体とに分離可能であり、
前記モータは、
前記回転軸が導出される第1端部と、
前記第1端部の反対側に位置する第2端部と、を備え、
前記第2筐体は、前記回転軸方向において、前記モータの前記第2端部側の一部分を規制する規制部と、当該規制部の壁部に対向する面部と、当該規制部の壁部と当該面部を繋ぐ側部と、前記筐体の筒部の一部となる側壁部と、を備え、
前記第2筐体において、前記側部および前記面部は、前記側壁部に対して内側に設けられ、
前記回転軸方向において、前記面部は、当該モータから離れる方向に前記壁部から離間している回転装置。
【請求項2】
前記面部は、前記回転軸方向において、前記規制部の壁部から第1距離だけ離間するように設けられている、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記第2筐体は、前記側部を含む一対の側部を備える、請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記規制部の壁部は突出部を備える、請求項1から3のいずれかに記載の回転装置。
【請求項5】
前記第2筐体は、面部と、当該面部の外周部に設けられた前記側壁部と、を備え、
前記モータの回転軸方向において、前記規制部は、前記第2端部側の一部分が前記第2筐体の側壁部に向かってズレることを抑止している、請求項1から4のいずれかに記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両用空調システムの空気を流す空気通路の途中に設けられた複数のドア(ルーバー)の駆動を行うモータアクチュエータ(回転装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015―220969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両内環境は静音性が高まる傾向にあるが、電気自動車等のモータで駆動する車両に関しては、内燃機関の発する騒音も出ないので車内における静音性が著しく高くなっている。
【0005】
このように静音性が高くなると、内燃機関を搭載した自動車の車内において、それほど気になっていなかった音であっても、その音が車内で目立つようになるため、各種の部品においても、これまで以上に高い静音性が求められるようになると考えられる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、静音性を向上した回転装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の回転装置は、回転軸を有するモータと、前記回転軸の回転を外部に出力する出力ギアを含む複数のギアと、前記モータ及び前記ギアを収容する筐体と、を備え、前記筐体は、第1筐体と第2筐体とに分離可能であり、前記モータは、前記回転軸が導出される第1端部と、前記第1端部の反対側に位置する第2端部と、を備え、前記第2筐体は、前記モータの前記第1端部側の位置を規制する第1規制部を備え、前記第1筐体は、前記第2筐体側に向かって突出する突出部を備え、前記突出部は、前記モータの前記第2端部を、直接又は他の部材を介して、前記第1規制部側に付勢する。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記第2筐体は、前記モータの前記第2端部側の位置を規制する第2規制部と、前記突出部を受ける受け部を備え、前記受け部は、前記モータから離れる前記回転軸方向において、前記モータの前記第2端部から離間して設けられ、前記受け部と前記第2規制部の間に前記突出部は圧入されている。
【0009】
(3)上記(2)の構成において、前記モータの前記第2端部は、第2軸受部を有し、前記第2規制部は、回転軸方向において、前記第2軸受部に対向する壁部を備え、前記受け部は、前記壁部に対向する面部を備え、前記突出部が、前記面部と前記壁部の間に圧入されている。
【0010】
(4)上記(3)の構成において、前記第2規制部は、前記壁部にて繋がれた一対の側部を備え、前記一対の側部の間には前記第2軸受部が配置されている。
【0011】
(5)上記(3)又は(4)の構成において、前記受け部は、前記回転軸方向において、前記壁部から第1距離だけ離間して設けられ、前記受け部と前記壁部の間に挿入される前記突出部の一部分の幅が前記第1距離よりも大きい。
【0012】
(6)上記(1)の構成において、前記モータの前記第2端部は、第2軸受部を有し、前記第2筐体は、前記突出部を受ける受け部を備え、前記受け部は、前記回転軸方向において、前記第2軸受部から第1距離だけ離間するように設けられ、前記突出部が、前記第2軸受部と前記受け部との間に圧入されている。
【0013】
(7)上記(6)の構成において、前記突出部が、直接、前記第2軸受部を前記第1規制部側に付勢している。
【0014】
(8)上記(6)又は(7)の構成において、前記第2筐体は、前記モータの前記第2端部側の位置を規制する第2規制部を備え、前記第2規制部は、回転軸方向において、前記第2軸受部に対向する壁部を備え、前記壁部は、前記第1筐体側に開口した切欠部を有しており、前記突出部が前記切欠部に挿入される。
【0015】
(9)上記(6)から(8)のいずれか1つの構成において、前記受け部と前記第2軸受部の間に挿入される前記突出部の一部分の幅が前記第1距離よりも大きい。
【0016】
(10)上記(5)又は(9)の構成において、前記突出部の先端部が、前記第1距離よりも小さく先細りする楔状である。
【0017】
(11)本発明の回転装置は、回転軸を有するモータと、前記回転軸の回転を外部に出力する出力ギアを含む複数のギアと、前記モータ及び前記ギアを収容する筐体と、を備え、前記筐体は、第1筐体と第2筐体とに分離可能であり、前記モータは、前記回転軸が導出される第1端部と、前記第1端部の反対側に位置する第2端部と、を備え、前記第2筐体は、前記モータの前記第2端部側の位置を規制する第2規制部を備え、前記第1筐体は、第2筐体側に向かって突出する突出部を備え、前記突出部は、前記モータの前記第1端部を直接又は他の部材を介して、前記第2規制部側に付勢する。
【0018】
(12)上記(11)の構成において、前記第2筐体は、前記モータから離れる前記回転軸方向において、前記モータの前記第1端部から離間して設けられた受け部を備え、前記受け部と前記第2規制部の間に前記突出部は圧入されている。
【0019】
(13)上記(2)から(5)及び(8)のいずれか1つの構成において、前記第1規制部と前記第2規制部は、前記第1筐体が前記第2筐体から分離されている状態で前記モータが前記第1規制部と前記第2規制部の間に圧入されるように設けられている。
【0020】
(14)本発明の回転装置は、第1筐体と、第2筐体と、モータと、を備え、前記モータは前記第1筐体と前記第2筐体との間に配置されており、前記第1筐体の内側には、前記第2筐体に向かって突出する突出部が設けられ、前記第2筐体は、回転軸方向において、前記モータの両面のうち一方の面に接触する接触部を備え、前記突出部は、前記接触部に向けて、前記モータの両面のうち他方の面を直接又は他の部材を介して付勢している。
【0021】
(15)上記(14)の構成において、前記第1筐体と前記第2筐体の間に配置される複数のギアを備え、前記モータは前記ギアに接触する回転軸を備える。
【0022】
本発明によれば、静音性を向上した回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る第1実施形態の回転装置の斜視図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の第1筐体と第2筐体を分離して、筐体の内側が見えるようにした斜視図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の回転装置の分解斜視図である。
図4】本発明に係る第1実施形態の回転装置の第2筐体の第2面部側が見えるようにした斜視図である。
図5】本発明に係る第1実施形態の第1筐体と第2筐体を分離して、筐体内に収容される各種の部品を省略し、筐体の内側が見えるようにした斜視図である。
図6】本発明に係る第1実施形態の回転装置を回転軸に沿って切断した断面図である。
図7】本発明に係る第1実施形態の第2筐体を示す斜視図である。
図8】本発明に係る第2実施形態の筐体を示す斜視図である。
図9】本発明に係る第2実施形態の筐体内にモータが設けられている状態を説明するための回転軸に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0025】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態の回転装置10の斜視図である。
図1に示すように、回転装置10は、第1筐体23と第2筐体27とを合わせることで構成される筐体20を備えている。
これら第1筐体23と第2筐体27は、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS等の樹脂材料で形成されている。
【0026】
第1筐体23は、面部としての第1面部21及び第1面部21の外周部に設けられた第1側壁部22を有し、第1筐体23の四隅には、回転装置10を空調システムを構成する空調機等に取り付けるための取付部A,B,C,Dが第1側壁部22の外周に一体に形成されている。
この第1側壁部22は、筐体20の筒部の一部となる。
なお、筐体20の筒部の平面形状(外形)は、図示の例では複数の角部を有する多角形となっている。
【0027】
また、第2筐体27は、面部としての第2面部25及び第2面部25の外周部に設けられた第2側壁部26を有している。
この第2側壁部26は、筐体20の筒部の一部となる。
すなわち、第1側壁部22と第2側壁部26は、筐体20の筒部を形成する。
【0028】
図2は第1筐体23と第2筐体27を分離して、筐体20の内側が見えるようにした斜視図であり、図3は回転装置10の分解斜視図である。
図2に示すように、第1筐体23は、第1側壁部22の外周に複数設けられた第2筐体27側に延出する係合部22bが第1側壁部22に一体に形成されており、この係合部22bの内面には凹部22aが設けられている。
ここで内面とは、第1筐体23の内側に向けられた面をいう。
【0029】
筐体20の筒部には外部コネクタを収容する収容部が設けられている。
この収容部は、後述する回転装置10のコネクタを形成する。
収容部は、第1筐体23の第1側壁部22の対向する一部分22dと、一部分22dの間を跨ぐ第1面部21の一部分21aと、第2筐体27の第2側壁部26の対向する一部分26bと、一部分26bの間を跨ぐ第2筐体27の第2面部25の一部分25bと、で形成されている。
【0030】
これら第1側壁部22の一部分22dと第2側壁部26の一部分26bは、筐体20の筒部を形成する第1側壁部22の他の一部分と第2側壁部26の他の一部分から外側に向かって突出した形状となっている。
【0031】
なお、外部コネクタを収容する収容部を構成する領域Xに関しては、同様に、第1側壁部22に一対の第2筐体27側に延出する係合部22cが第1側壁部22に一体に形成されているが、この係合部22cには孔22caが設けられている。
【0032】
一方、第2筐体27は、第1筐体23の複数の係合部22b及び一対の係合部22cのそれぞれに対応する第2側壁部26の外周面に、係合部22bの凹部22a及び係合部22cの孔22caに係合される複数の突起26aが、第2側壁部26に一体に形成されている。
突起26aは係合部22b及び一対の係合部22cに係合する被係合部となる。
【0033】
そして、第1筐体23の係合部22bの凹部22a及び係合部22cの孔22caに第2筐体27の突起26aを係合させるように第1筐体23と第2筐体27を合わせることで、第1筐体23と第2筐体27とが一体化され、図2に示す各種の部品を収容する筐体20(図1参照)となるように構成されている。
なお、第2筐体27に凹部や孔を有する係合部を設け、第1筐体23に凹部や孔に係合する突起を設けるようにしてもよい。
【0034】
回転装置10は、筐体20(図1参照)内に収容された各種の部品として、図2に示すように、モータ30と、モータ30の回転軸32の回転を外部に機械的に出力する出力ギア50を含む複数のギア60と、出力ギア50の回転角を検出するセンサー70と、モータ30のモータ端子33と外部接続用の第2接続端子35の間を電気的に接続するフレキシブル配線基板80(図3参照)と、を備えている。
【0035】
つまり、第1筐体23と第2筐体27の内側(第1筐体23と第2筐体27の間)には、モータ30と、複数のギア60と、センサー70と、フレキシブル配線基板80と、が配置されている。
【0036】
また、第2筐体27には、図3に示すように、出力ギア50の中央部に対応した開口部25aが設けられている。
【0037】
図4は、回転装置10の第2筐体27の第2面部25側が見えるようにした斜視図である。
図4に示すように、第2筐体27の第2面部25に設けられた開口部25aを通じて出力ギア50の係合部51に外部からアクセスできるようになっており、例えば、図示しない自動車等の車両に設けられる空調システムのルーバーの駆動軸が出力ギア50の係合部51に係合できるようになっている。
【0038】
したがって、出力ギア50を回転させることで、例えば、自動車等に設けられる空調システムの空調機や空気流路上に設けられるルーバーが制御され、空調システムの空気の流量等を所定の流量に制御することができる。
【0039】
(モータ)
モータ30は出力ギア50を回転させるための駆動装置であり、本実施形態ではDCモータを用いている。
図2及び図3に示すように、モータ30は、角部が湾曲した四角柱状の外形を有する本体部31と、回転軸32が導出される本体部31の第1端部31aと、本体部31の第1端部31aの反対側に位置する第2端部31bと、外側に突出するように第2端部31bに設けられた一対のモータ端子33と、を備えている。
【0040】
また、第1端部31aは、回転軸32方向(図2のZ軸方向)に突出するように設けられ、回転軸32を回転可能に支持する軸受を収納し、中央から回転軸32が導出される第1軸受部31aaを有している。
この第1軸受部31aaは、回転軸32を回転可能に支持している。
【0041】
同様に、第2端部31bも回転軸32方向に突出するように設けられ、回転軸32を回転可能に支持する軸受を収容する第2軸受部31bbを有している。
この第2軸受部31bbは、回転軸32を回転可能に支持している。
なお、モータ30は、本体部31内に、ステータとロータとを備え、回転軸32は、そのロータに固定されている。
【0042】
(伝達ギア)
図2及び図3に示すように、複数のギア60には、伝達ギア40が含まれており、この伝達ギア40は、所定のギア比でモータ30の回転軸32の回転を出力ギア50に伝達させるためのギアである。
本実施形態では、伝達ギア40として3つのギア(ウォームギア41、第1二段ギア42及び第2二段ギア43)を用いている。
【0043】
具体的には、図2に示すように、伝達ギア40は、モータ30の回転軸32に固定されるウォームギア41と、ウォームギア41に接続される直径の大きいギア42a及び直径の小さいギア42bを有する第1二段ギア42と、第1二段ギア42における直径の小さいギア42bに接続される直径の大きいギア43a及び出力ギア50に接続される直径の小さいギア43b(図3参照)を有する第2二段ギア43と、を備えている。
【0044】
なお、本実施形態では、少ないスペースを利用してギア比を調節しつつ、モータ30の回転軸32の回転を出力ギア50に伝達するように、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を用いているが、これに限定されるものではない。
例えば、第2二段ギア43を省略して第1二段ギア42の直径の小さいギア42bに出力ギア50を接続する設計としてもよく、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を省略してウォームギア41に、直接、出力ギア50を接続する設計としてもよい。
【0045】
(出力ギア)
出力ギア50は、上述したように、図示しない空調システムのルーバーの駆動軸が接続され、モータ30の回転軸32の回転をルーバーの駆動軸を制御する駆動力として出力するためのギアである。
【0046】
なお、出力ギア50にルーバーの駆動軸を直結させる対応に限られるものではなく、回転装置10と図示しないルーバーの駆動軸との間に介在するギアを設けるようにしてもよく、この場合、その介在するギアの回転軸が出力ギア50に接続される。
【0047】
(センサー)
ルーバーは、出力ギア50の回転とルーバーの駆動状態との関係に基づいて、所定の状態となるように制御される。
【0048】
ルーバーの制御のためには、出力ギア50の回転状態(回転角)を検出する必要があり、センサー70は、その出力ギア50の回転角の検出を行うセンサーであり、より具体的には、回転角に応じた出力信号を出力するセンサーである。
【0049】
そして、その検出した出力ギア50の回転角に基づいて、モータ30の回転制御を行うことで、図示しないルーバーが所定の状態になるように、出力ギア50の回転制御が行われる。
【0050】
本実施形態では、センサー70にロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いている。
具体的には、図2及び図3に示すように、センサー70は、出力ギア50の回転角に応じた回転角信号を得るための入出力用の3つの第1接続端子71と、第1接続端子71が電気的に接続される抵抗体が樹脂基板に印刷された抵抗体基板72と、を備えている。
【0051】
また、センサー70は、抵抗体基板72の抵抗体に接触する図示しない導電性ブラシを有し、回転角を検出する出力ギア50と一体に回転する回転体(図示せず)と、それらを配置するためのベース部73と、図示しない回転体に対応する位置に設けられ、ベース部73とで、センサー70が有する筐体(センサー筐体という場合がある)を形成する覆い部74と、を備えている。
【0052】
なお、抵抗体基板72に用いられる樹脂基板には、例えば、厚さは、300μm~1600μm程度のエポキシ系樹脂の基板を用いることができ、後述するフレキシブル配線基板80に比べて硬い。
【0053】
ここで、センサー70の具体的な動作について簡単に説明する。
出力ギア50の回転軸に係合された図示しない回転体がベース部73上に回転可能に設けられている。
この回転体上に離間して配置される抵抗体基板72に対して、回転体の抵抗体基板72側に設けられた図示しない導電性ブラシの位置が、回転体の回転に伴って変化するようになっている。
また、この導電性ブラシは、抵抗体基板72の抵抗体に接触している。
【0054】
そして、抵抗体基板72の抵抗体に接触する導電性ブラシの位置が変化すると、入出力端子間の抵抗値が変化することに伴い出力電圧も変化し、この出力電圧の変化に基づいて回転角を求めることができる。
【0055】
この出力電圧に基づいて回転角を求める演算は、センサー70に集積回路等を実装してセンサー70の内部で行うようになっていてもよく、逆に、外部に設けられる制御装置で行うようになっていてもよく、本実施形態では、外部に設けられる制御装置で回転角を求める演算を行わせるようにしている。
【0056】
ただし、センサー70は、ロータリ型の抵抗式ポジションセンサーに限定される必要はなく、例えば、回転体の回転に伴って導電性ブラシによってON-OFFが繰り返されるように導電部が形成されたセンサー基板を用いて、このON-OFFを出力するタイプのセンサーであってもよい。
このようなON-OFFを出力するものであっても、そのON-OFFの回数に基づいて回転体の回転角を求めることができる。
【0057】
一方、ベース部73には、回転装置10のコネクタを形成する入出力用の3つの第1接続端子71と、モータ30用の2つの第2接続端子35が配置されている。
具体的には、図2に示すように、出力ギア50及びセンサー70は、モータ30の本体部31の横側、すなわちモータ30の回転軸32方向(Z軸方向)にほぼ直交する方向でかつ第2筐体27の第2面部25に沿って(X軸方向におけるモータ30から遠い側の第2筐体27の第2側壁部26側)に配置されている。
【0058】
そして、センサー70のベース部73は、モータ30用の第2接続端子35を配置できるように、端子が配置される端子配置部を備えている。
この端子配置部は、センサー70からモータ30側に張り出すように形成されている。
【0059】
この端子配置部には、モータ30の回転軸32方向(Z軸方向)にほぼ直交する方向において、モータ30から離れた側に第1接続端子71が配置されるとともに、モータ30に近い側に第2接続端子35が配置されるようになっており、端子配置部を用いることで、モータ30のモータ端子33とモータ30用の第2接続端子35との間を短い距離で電気的に接続できるようになっている。
【0060】
このように、センサー70のベース部73にセンサー70の入出力用の3つの第1接続端子71が固定されるだけでなく、モータ30用の2つの第2接続端子35も固定できるようにすることで、筐体20(図1参照)にモータ30用の2つの第2接続端子35を固定するための微細な構造を設ける必要がなくなり、筐体20を形成するための金型等が複雑になることが抑制され、筐体20の製造コストの低減が可能になっている。
【0061】
なお、代わりに、センサー70のベース部73の端子配置部をモータ30用の2つの第2接続端子35が配置できるものにする必要があるが、ベース部73は、図2及び図3を見ればわかるように、2つの第2接続端子35を配置するようにしても極めてシンプルな形状であり、金型等が複雑化することがないため、製造コストが上昇することがなく、製品全体にかかるトータルコストという観点で製造コストを抑制することができる。
【0062】
本実施形態では、図2及び図3に示すように、センサー70のベース部73に各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)に対応した突起を形成し、各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)に設けた孔に、その突起が圧入される。
【0063】
このような構成にすることで、各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)をベース部73上に固定している。
しかしながら、ベース部73への各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)の固定方法は、特に、限定される必要はなく、接着剤を用いて固定する方法等であってもよい。
【0064】
なお、ベース部73に第2接続端子35を配置するようにすることで第2接続端子35が筐体20(図1参照)内に収容される部品類と接触することも回避でき、信頼性を向上させることができる。
【0065】
また、このようにベース部73にセンサー70の入出力用の3つの第1接続端子71及びモータ30用の2つの第2接続端子35を集約するように配置することで端子の収納が煩雑になることが抑制できるため、全体として回転装置10を小型化することが可能となる。
【0066】
そして、このようにベース部73の端子配置部に配置されるともに固定されたモータ30用の2つの第2接続端子35は、図3に示すフレキシブル配線基板80によって、モータ30のそれぞれのモータ端子33に電気的に接続される。
【0067】
(フレキシブル配線基板)
フレキシブル配線基板80は、例えば、ポリイミドやポリエステル等の絶縁性を有する樹脂材料で形成され、厚さが12μmから50μmのフィルムと、フィルムの上に形成された接着層と、接着層の上に、印刷又は貼り合わされた導体を備えている。
接着層は、例えばエポキシ系の樹脂材料又はアクリル系の樹脂材料で形成されている。
導体は、厚さが12μm~50μm程度の銅箔等の金属部材で形成されている。
【0068】
そして、フレキシブル配線基板80は、90度以上の角度で折り曲げても折り曲げ前の形態に復元できるフレキシブルな基板になっており、モータ30用の第2接続端子35とモータ端子33との間の接続作業が行いやすい。
【0069】
具体的な接続作業の一例としては、第2接続端子35は、図3に示すように、先端部と反対となる基端部が折り曲げられた接続部35aを有しており、そこにフレキシブル配線基板80の孔81を係合させた後、半田付けすることで、第2接続端子35とフレキシブル配線基板80の接続を行う。
【0070】
また、図3では、第2筐体27内にモータ30が配置されているが、このように配置する前のモータ30に対して、引き続き、モータ30のモータ端子33にフレキシブル配線基板80の孔82を係合させた後、半田付けすることでモータ端子33とフレキシブル配線基板80の接続を行うことで、モータ30のモータ端子33と第2接続端子35の間をフレキシブル配線基板80で接続する作業が終了する。
【0071】
ところで、本実施形態では、孔81が設けられた部分から孔82が設けられた部分に至るまでのフレキシブル配線基板80の途中の箇所に、孔81の設けられる部分と孔82の設けられる部分をほぼ直交する位置関係にする、折り返し構造を有する折曲部83が設けられている。
【0072】
このような折曲部83を設けておくことで、回転装置10が振動等したりしてもその振動を折曲部83が吸収するため、フレキシブル配線基板80の破損等が発生し難く、長期信頼性を向上することができる。
【0073】
なお、モータ30用の第2接続端子35とモータ端子33との間の電気的な接続は、リード線を用いた接続であってもよい。
ただし、リード線を用いる場合、リード線自体が細く取り扱い難いため、本実施形態のように、フレキシブル配線基板80の方が取扱い性が良い点で好ましい。
【0074】
このため、モータ30用の第2接続端子35とモータ端子33との間の電気的な接続をフレキシブル配線基板80で行うようにすることで、回転装置10の組み立て作業を行いやすくすることができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【0075】
(静音性の向上)
以上のような基本構成を有する回転装置10に関して鋭意検討したところ、筐体20(図1参照)へのモータ30の固定の態様を工夫することで騒音を約1.5dBも低減でき、静音性を向上できることを発見した。
本実施形態では、この発見した静音性を高めることができる固定の態様を採用しており、具体的に、以下で説明する。
【0076】
図5は、第1筐体23と第2筐体27を分離して、筐体20内に収容される各種の部品を省略し、筐体20の内側が見えるようにした斜視図である。
図2及び図5に示すように、第2筐体27は、モータ30の第1端部31a側の一部分の位置を規制する第1規制部91と、モータ30の第2端部31b側の一部分の位置を規制する第2規制部92と、を備えている。
【0077】
よって、モータ30の第1端部31a側の一部分が、回転軸方向において、第2筐体の第2側壁部26に向かってズレることを、第1規制部91は抑止している。
同様に、モータ30の第2端部31b側の一部分が、回転軸方向において、第2筐体の第2側壁部26に向かってズレることを、第2規制部92は抑止している。
【0078】
第1規制部91は、図2に示すように、第2筐体27の第2面部25から第1筐体23側に突出するように、一対の突出部91a、91bが設けられている。
これら一対の突出部91a、91bは、回転軸方向に対して交差する方向(図示の例では回転軸方向に対して直交する方向)に並べて配置されている。
モータ30の第1端部31aが有する第1軸受部31aaは、これら一対の突出部91a、91bの間に配置されている。
第1軸受部31aaは、一対の突出部91a、91bにより挟まれていても構わない。
【0079】
なお、一対の突出部91a,91bの間には、モータ30の第1軸受部31aaの第2筐体27側を受ける支持部93(図5参照)が設けられているが、この支持部93は、一対の突出部91a,91bに繋がっていてもよい。
【0080】
そして、この一対の突出部91a,91bは、モータ30に対向する面91c(図5参照)を備えている。
この面91cは、モータ30の第1端部31aと接触する。
具体的には、第1端部31aは、第1軸受部31aaよりも外側に位置する部分に面91cに対向する面を有しており、その面91cに対向する面と面91cが接触する。
このように、面91cと第1端部31aが接触することで、モータ30の第1端部31a側の一部分の位置が規制されるようになっている。
【0081】
第2規制部92は、図5に示すように、第1筐体23側から見た平面視で、コの字状を有している。
この第2規制部92は、モータ30(図2参照)から離れる側に凹む第2軸受部31bb(図2参照)を収容する凹部を有する。
【0082】
具体的には、図2に示すように、第2規制部92は、第2筐体27の第2面部25から第1筐体23側に向けて突出するように設けられている。
この第2規制部92は、一対の側部92a、92bと、一対の側部92a、92bの間を繋ぐ壁部92cと、を備えている。
一対の側部92a、92bは、モータ30の回転軸32方向(Z軸方向)に交差する方向(図示の例では回転軸32方向にほぼ直交する方向)に並べて配置されている。
【0083】
そして、これら一対の側部92a、92bの間にモータ30の第2端部31bが有する第2軸受部31bbが設けられている。
図示の例では、第2軸受部31bbが一対の側部92a、92bに挟まれている。
【0084】
壁部92cは、第2軸受部31bbの端部側に設けられ、一対の側部92a,92bの間を繋いでいる。
なお、壁部92cと第2軸受部31bbの端部は対向し、第2軸受部31bbの端部は壁部92cと第2筐体27の第2側壁部26に対向している。
【0085】
そして、図2に示すような、第1筐体23が第2筐体27から分離しており、かつ、モータ30が配置されている状態のときには、モータ30の第1端部31aと第1規制部91のモータ30側の面91c(図5参照)が接触する。
具体的には、第1端部31aは、第1軸受部31aaよりも外側に位置する部分に面91cに対向する面を有しており、その面91cに対向する面と面91cが接触する。
【0086】
また、図2に示すような、第1筐体23が第2筐体27から分離しており、かつ、モータ30が配置されている状態のときには、モータ30の第2端部31bの第2軸受部31bbが、第2規制部92の第2軸受部31bbの端部側に設けられた壁部92cに接触する。
【0087】
したがって、図2に示すような、第1筐体23が第2筐体27から分離しており、かつ、モータ30が配置されている状態のときに、モータ30は、第1規制部91と第2規制部92の間に圧入されている。
以上の構成になるように、第2筐体27には、第1規制部91と第2規制部92が設けられている。
【0088】
なお、図5に示すように、第2規制部92の壁部92cは、モータ30側となる面を備え、このモータ30側の面に線状の突出部92caが形成されている。
この突出部92caにより、モータ30の圧入が確実なものとしている。
【0089】
このように、モータ30は、第1規制部91と第2規制部92との間に圧入されかつ固定されているため、モータ30の内部で振動が起こることはあっても、モータ30の本体部31自体の振動は抑制されているものと考えていた。
【0090】
しかしながら、モータ30の本体部31の各所をより押圧することを行い、押圧後の騒音を調べていった結果、第2規制部92の壁部92cを第1規制部91側に強く押圧すると、大幅に騒音が小さくなることを発見した。
【0091】
そこで、本実施形態では、図2及び図5に示すような構成にした。
具体的には、第2筐体27は、回転軸32方向(図2のZ軸方向)にモータ30の第2端部31bの第2軸受部31bbから所定の距離だけ離間した位置(モータ30から離れる方向に第2規制部92の壁部92cから所定の距離だけ離間した位置)に設けられた受け部95(図5及び図7参照)を備える。
【0092】
一方、第1筐体23は突出部97を備え、突出部97は第2筐体27側に向かって突出し、受け部95とモータ30の第2端部31bの間の位置(受け部95と第2規制部92の壁部92cの間の位置)に挿入されている。
【0093】
この突出部97は、受け部95とモータ30の第2端部31bの間に挿入されることで、モータ30の第2端部31bを第1規制部91側に付勢する付勢力を与える。
つまり、第1筐体23の突出部97は、モータ30の第2端部31bを他の部材としての壁部92cを介して、第1規制部側に付勢している。
【0094】
図7は、第2筐体27の内側を見るようにした第2筐体27を示す斜視図である。
受け部95は、本実施形態において、突出部97の一部を収容する空間を形成している。
具体的には、図7に示すように、受け部95は、壁部92cと対向する面部95aと、面部95aと壁部92cを繋ぐ一対の側部95bと、を備える。
なお、受け部95は、壁部92cと対向する面部95aを少なくとも有していればよく、面部95aと壁部92cを繋ぐ一対の側部95bは必須の要件ではない。
【0095】
図5には、第1筐体23が第2筐体27から分離し、かつ、モータ30が配置されていない状態が示されている。
図5に示すように、第1筐体23が第2筐体27から分離し、かつ、モータ30が配置されていない状態のときに、受け部95は、回転軸32方向(図2のZ軸方向)において、壁部92cから第1距離(以下、第1離間距離と呼称する)だけ離間するように設けられている。
【0096】
回転軸32方向(図2のZ軸方向)において、第1筐体23に設けた突出部97のうち、受け部95と壁部92cの間に挿入される部分の幅が第1離間距離よりも大きい幅となっている。
【0097】
なお、本実施形態では、突出部97が受け部95と壁部92cの間への挿入がスムーズに行えるように、突出部97の先端部は第1距離よりも小さく先細りする楔状の形状となっている。
【0098】
ここで、突出部97の先端部は、第2筐体27側における突出部97の端部である。
また、図5に示すように、回転軸32方向(図2のZ軸方向)における先端部の幅が第1離間距離よりも小さい幅となっている。
【0099】
図6は、回転装置10を回転軸32に沿って切断した断面図である。
なお、図6では、モータ30の内部の構造についての図示を省略している。
突出部97の先端部を楔状の形状にすることで、第1筐体23と第2筐体27を合わせるときに、受け部95と壁部92cの間に、突出部97の先端部がスムーズに入り込む。
なお、回転軸32方向において、突出部97の先端部の幅は、受け部95と壁部92cとの間の間隙の幅より小さい。
一方、突出部97の中間部の幅及び末端部の幅は、受け部95と壁部92cとの間の間隙の幅より大きい。
【0100】
つまり、突出部97の先端部から末端部にかけて、突出部97の幅は大きくなる。
なお、突出部97の中間部は先端部と末端部の間にあり、突出部97の末端部は先端部に対して反対側にある突出部97の端部である。
【0101】
そして、第1筐体23と第2筐体27を合わせるにしたがって、受け部95と壁部92cの間の第1離間距離よりも大きい幅を有する突出部97の中間部が、受け部95と壁部92cの間に圧入されていく。
【0102】
その後、完全に第1筐体23と第2筐体27が合わさり、筐体20の状態になったときには、図6に示すように、突出部97が、壁部92cを介して第2軸受部31bbを第1規制部91(図2及び図5参照)側に強く付勢する状態となり、騒音を大幅に低減できる状態となる。
【0103】
このような構成によって大幅に騒音が低減できる理由は、モータ30のトルクリップルにより発生した、モータ30の本体部31の回転軸32方向(図2のZ軸方向)の振動が抑制されているためではないかと考えられる。
【0104】
つまり、モータ30は、ロータに固定されている回転軸32を軸受で回転可能に支持することでステータに対してロータが回転できるようになっているが、回転軸32を回転可能に支持しているため、回転軸32自体には、多少軸方向にガタが許されている。
【0105】
この回転軸32に許容されているガタによって回転軸32が回転軸32方向(図2のZ軸方向)に移動することを抑制するために、ステータの中心とロータのマグネットの中心を回転軸32方向(図2のZ軸方向)にずらして、回転軸32を回転軸32方向(図2のZ軸方向)の一方側に引き寄せることで回転軸32が回転軸32方向(図2のZ軸方向)に移動することを抑制している。
【0106】
しかしながら、ロータを回転させるためには、ステータに設けられている複数のコイル間で電流の切り替えが必要であり、その電流の切り替えの際に、上述のようなステータとロータのマグネットとの間での引き合に強弱が発生するため、回転軸32は回転軸32方向(図2のZ軸方向)に移動できる状態となる。
【0107】
ここで、回転装置10にモータ30が配置された状態のときには、回転軸32はウォームギア41を介して第1二段ギア42と接続されているため、回転軸32も固定端となり、ステータとロータのマグネットとの間での引き合いに強弱が発生すると、ステータが固定されているモータ30の本体部31に対しても回転軸32方向(図2のZ軸方向)に動きを与えようとする力が発生し、その結果、モータ30が回転軸32方向(図2のZ軸方向)に振動しているものと思われる。
【0108】
そして、モータ30の回転軸32方向(図2のZ軸方向)への振動が第1規制部91と第2規制部92の間にモータ30を圧入した程度で抑制できていない場合には、第1規制部91側にモータ30を強く付勢するようにすることで、モータ30の回転軸32方向(図2のZ軸方向)への振動を抑制できるようになり、大幅な雑音の低減が可能になったものと考えられる。
【0109】
なお、突出部97を受け部95と壁部92cの間に挿入する前において、第1規制部91と第2規制部92に対するモータ30の圧入力を高くすると、第2筐体27へのモータ30の取り付けのための圧入自体が難しくなっていき、逆に、取り外しも困難になっていく。
このため、第1規制部91と第2規制部92に対するモータ30の圧入力を、第2筐体27へのモータ30の取り付けや取り外しが可能な大きさに設定することが好ましい。
【0110】
しかしながら、第2筐体27へのモータ30の取り付けや取り外しを考慮した圧入力にすると、モータ30の回転軸32方向(図2のZ軸方向)への振動が十分に低減できない場合がある。
【0111】
一方で、本実施形態の構成であれば、第1規制部91と第2規制部92に対するモータ30の圧入力を、第2筐体27へのモータ30の取り付けや取り外しが可能な大きさに設定しておいても、第1筐体23と第2筐体27が合わさったときには、モータ30に対して突出部97による付勢力が働くため、モータ30の回転軸32方向(図2のZ軸方向)への振動を確実に抑制することができる。
したがって、第2筐体27へのモータ30の取り付けや取り外し性のよさと、振動抑制による静音性と、を簡単に両立することができる。
【0112】
なお、上記では、第2筐体27の第2側壁部26よりも内側に、第1筐体23側に向かって突出する受け部95を設けるようにしていたが、第2側壁部26自体を受け部95に活用してもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、第1筐体23が第2筐体27から分離されている状態でも、モータ30が第1規制部91と第2規制部92との間に圧入されるように第1規制部91と第2規制部92を設けていたが、突出部97の回転軸32方向(図2のZ軸方向)の幅が十分にモータ30を第1規制部91側に付勢できる幅であれば、第1規制部91と第2規制部92の間でのモータ30の圧入の如何によらず、突出部97によって十分にモータ30は第1規制部91側に押圧されることになる。
【0114】
このため、必ずしも、第1規制部91と第2規制部92は、第1筐体23が第2筐体27から分離されている状態でモータ30が圧入されていなくてもよく、第1規制部91と第2規制部92は、ほぼ所定の位置にモータ30が載置されるようにモータ30の位置を規制するものであってもよい。
具体的には、回転軸32方向において、モータ30の幅が第1規制部91と第2規制部92の距離と同じ又は小さいことが挙げられる。
【0115】
ただし、第1筐体23が第2筐体27から分離されている状態でも、モータ30が第1規制部91と第2規制部92の間に圧入されているほうが、回転装置10を組み立てるときに、第2筐体27にモータ30を配置するときにモータ30の位置合わせが確実に行えるため、作業性がよい。
【0116】
上記実施形態では、モータ30を第1規制部91側に押圧するようにするために、受け部95や突出部97が第2規制部92側に設けられていたが、逆に、第2規制部92側にモータ30を押圧するようにしてもよい。
【0117】
この場合、モータ30の第1端部31aから、回転軸32が導出されているため、第1端部31aに接触する面を形成できる第2筐体27の位置で、かつ、導出した回転軸32を回避した位置に、上記実施形態と同様に受け部を設ければよい。
例えば、受け部が、第1端部31aの第1軸受部31aaよりも外側の第1端部31aに対向する位置に位置するように、第2筐体27に設けるようにすればよい。
【0118】
そして、受け部に接触するように、受け部とモータ30の第1端部31a(例えば、第1端部31aの第1軸受部31aaよりも外側の第1端部31a)の間の位置に挿入される突出部を第1筐体23に設ければよい。
【0119】
(第2実施形態)
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明に係る第2実施形態の回転装置10について説明する。
第2実施形態においても、基本的な構成は、第1実施形態と同様であるため、以下では、主に、第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と同様の部分については、説明を省略する場合がある。
【0120】
図8は、第2実施形態の筐体20を示す斜視図である。
なお、図8は、図5に対応した図になっており、第1筐体23と第2筐体27を分離して、筐体20内に収容される各種の部品を省略し、筐体20の内側が見えるようにした斜視図である。
【0121】
また、以下の説明において、同様の構成を指摘する場合には、第1実施形態で用いた図を参照する場合がある。
【0122】
図8に示すように、第2実施形態の第2筐体27の第2規制部92も、第1実施形態と同様に、第2筐体27の第2面部25から第1筐体23側に突出するように、モータ30(図2参照)の第2端部31b(図2参照)が有する第2軸受部31bb(図2参照)を挟んで設けられた、モータ30(図2参照)の回転軸32方向(図2のZ軸方向)に交差する方向(図示の例ではほぼ直交する方向)に配置される一対の側部92a,92bと、第2軸受部31bbの端部側に設けられ、一対の側部92a,92bの間を繋ぐ壁部92cと、を備えている点は同じである。
【0123】
一方、図8に示すように、第2実施形態の第2筐体27では、第2規制部92の壁部92cが、第1筐体23の備える突出部97を挿入する第1筐体23側に開口した切欠部92dを有している点が第1実施形態と異なっている。
【0124】
また、これに対応して、第2実施形態の突出部97は、図5に示される第1実施形態の突出部97と比較して、回転軸32方向(図2のZ軸方向)の幅がモータ30側に大きく設計されている。
【0125】
より具体的には、第1筐体23が第2筐体27から分離している状態で、かつ、第2筐体27にモータ30が設けられている状態のときに、受け部95は、回転軸32方向(図2のZ軸方向)において、第2軸受部31bbから第1距離(以下、第1離間距離と呼称する)だけ離間するように設けられている。
【0126】
ただし、第2実施形態の第1距離は第2軸受部31bbからの距離のため、定量的な距離でいえば、第1実施形態の第1距離よりも少し長くなっている。
しかし、受け部95を設ける位置を第2軸受部31bb側に近づけるようにして、第2実施形態の第1距離を、定量的な距離で第1実施形態の第1距離と同じ距離となるようにしてもよい。
【0127】
そして、回転軸32方向において、第1筐体23に設けた突出部97のうち、受け部95と壁部92cの間に挿入される部分の幅は第1離間距離よりも大きい幅となっている。
また、突出部97は、受け部95と第2軸受部31bbの間への挿入がスムーズに行えるように、突出部97の先端部は第1距離よりも小さく先細りする楔状の形状となっている。
【0128】
図9は、筐体20内にモータ30が設けられている状態を説明するための回転軸32に沿って切断した断面図である。
なお、図9では、モータ30の内部の構造及び筐体20内に設けられるウォームギア41等の図示を省略している。
【0129】
そして、図9に示すように、第2実施形態では、突出部97が、直接、第2軸受部31bbを第1規制部91(図2参照)側に付勢している。
突出部97は、受け部95と第2軸受部31bbの間に圧入され、直接、突出部97がモータ30を強く第1規制部91に押圧する。
【0130】
このような第2実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様にモータ30の回転軸32方向(図2のZ軸方向)への振動を確実に抑制することが可能であり、騒音を抑制することができる。
【0131】
なお、第2実施形態でも、第1筐体23が第2筐体27から分離されている状態で、モータ30が第1規制部91と第2規制部92との間に圧入されるようにするために、第2規制部92に第2軸受部31bbが接触する壁部92cを設けるようにしているが、第1筐体23が第2筐体27から分離されている状態のときに、モータ30を第1規制部91と第2規制部92との間に圧入しない場合には、壁部92cを省略して、一対の側部92a,92bだけにしてもよい。
【0132】
本実施形態では、図2及び図5に示すような、突出部97を受け部95とモータ30の第2端部31bの間の位置に挿入して、モータ30の第2端部31bを第1規制部91側に付勢したが、これに限定されない。
例えば、突出部97を受け部95とモータ30の第2端部31bの間の位置に挿入することで、受け部95を変形させても構わない。
変形した第2規制部92の反力を突出部97に作用させて、モータ30の本体部31自体の振動を抑制できる。
【0133】
また、突出部97を受け部95とモータ30の第2端部31bの間の位置に挿入することで、第2端部31b、突出部97、受け部95の間で摩擦を生じさせることで、モータ30の本体部31自体の振動を減衰させて、外部に振動が伝搬することを抑制できる。
【0134】
また、突出部97を受け部95とモータ30の第2端部31bの間の位置に挿入することで、突出部97及び受け部95全体の曲げ剛性を向上させても構わない。
曲げ剛性を向上させることで、突出部97及び受け部95全体がモータ30の本体部31自体の振動により変形しにくくなり、部材が外部へと伝搬する振動の大きさ(振幅)を低減できる。
【0135】
上記、第1実施形態、第2実施形態には、下記の概念が記載されている。第1筐体23と、第2筐体27と、モータ30と、を備える。
モータ30は第1筐体23と第2筐体27との間に配置されている。
第1筐体23の内側には、第2筐体27に向かって突出する第1突出部(突出部97に相当)が設けられている。
第2筐体27は、回転軸32方向において、モータ30の両面のうち一方の面に接触する接触部を備える。
【0136】
ここでモータ30の両面は、第1、第2実施形態において、第1端部31a、第2端部31bに相当する。
また、一方の面は、第1端部31a又は第2端部31bに相当する。
【0137】
第1突出部(突出部97に相当)は、接触部に向けて他方の面を直接又は他の部材を介して付勢している。
他の部材とは、例えば、第1、第2実施形態において、モータ30の第2規制部92の壁部92cに相当する。
【0138】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。
したがって、そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0139】
10…回転装置、20…筐体、21…第1面部、22…第1側壁部、22a…凹部、22b…係合部、22c…係合部、22ca…孔、22d…一部分、23…第1筐体、25…第2面部、25a…開口部、26…第2側壁部、26a…突起、26b…一部分、27…第2筐体、30…モータ、31…本体部、31a…第1端部、31aa…第1軸受部、31b…第2端部、31bb…第2軸受部、32…回転軸、33…モータ端子、35…第2接続端子、35a…接続部、40…伝達ギア、41…ウォームギア、42…第1二段ギア、42a…直径の大きいギア、42b…直径の小さいギア、43…第2二段ギア、43a…直径の大きいギア、43b…直径の小さいギア、50…出力ギア、51…係合部、60…ギア、70…センサー、71…第1接続端子、72…抵抗体基板、73…ベース部、74…覆い部、80…フレキシブル配線基板、81…孔、82…孔、83…折曲部、91…第1規制部、91a,91b…突出部、91c…面、92…第2規制部、92a,92b…側部、92c…壁部、92ca…線条突出部、92d…切欠部、93…支持部、95…受け部、97…突出部、A,B,C,D…取付部、X…領域
図1
図2
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図7
図8
図9