(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20220715BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H02K5/24 A
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2020202721
(22)【出願日】2020-12-07
(62)【分割の表示】P 2019132149の分割
【原出願日】2016-06-17
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】松村 行真
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-155417(JP,A)
【文献】特開平07-154940(JP,A)
【文献】特開平09-322469(JP,A)
【文献】特開平06-038469(JP,A)
【文献】特開2006-094625(JP,A)
【文献】特開2000-060059(JP,A)
【文献】特開昭60-035934(JP,A)
【文献】特開2007-192349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転を外部に出力するギアを含む、複数のギアと、
前記複数のギア及び前記モータを収容する筐体と、を備え、
前記複数のギアは、他のギアより大きいサイズのギアを備え、
前記筐体は、
前記他のギアより大きいサイズのギアを囲む壁部と、当該壁部に囲まれた開口部と、を有する第1面部と、
前記他のギアより大きいサイズのギアの回転軸方向において、前記第1面部に対向し、前記第1面部と離間して設けられた第2面部と、
前記第1面部と前記第2面部を支持する側壁部と、を備え、
前記第1面部と前記第2面部には、振動減衰部があり、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部から前記筐体の内側に突出した突出部を備え、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部の壁部に対して前記側壁部寄りにあり、
前記第2面部にある振動減衰部は、前記第2面部から前記筐体の内側に突出した突出部と、当該突出部に取り付けられた取付部材と、
複数のリブと、を備え、
前記複数のリブは、前記第2面部の内面に沿って、互いに交差する方向に延在し、
前記第2面部にある突出部は、前記第2面部から前記第1面部に向かう方向において、前記複数のリブより長く形成されている、回転装置。
【請求項2】
モータと、
前記モータの回転を外部に出力するギアを含む、複数のギアと、
前記複数のギア及び前記モータを収容する筐体と、を備え、
前記複数のギアは、他のギアより大きいサイズのギアを備え、
前記筐体は、
前記他のギアより大きいサイズのギアを囲む壁部と、当該壁部に囲まれた開口部と、を有する第1面部と、
前記他のギアより大きいサイズのギアの回転軸方向において、前記第1面部に対向し、前記第1面部と離間して設けられた第2面部と、
前記第1面部と前記第2面部を支持する側壁部と、を備え、
前記第1面部と前記第2面部には、振動減衰部があり、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部から前記筐体の内側に突出した突出部を備え、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部の壁部に対して前記側壁部寄りにあり、
前記第2面部にある振動減衰部は、前記第2面部から前記筐体の内側に突出した突出部と、当該突出部に取り付けられた取付部材と、を備え、
前記第1面部にある振動減衰部の突出部は、複数の凸部を備える
、回転装置。
【請求項3】
モータと、
前記モータの回転を外部に出力するギアを含む、複数のギアと、
前記複数のギア及び前記モータを収容する筐体と、を備え、
前記複数のギアは、他のギアより大きいサイズのギアを備え、
前記筐体は、
前記他のギアより大きいサイズのギアを囲む壁部と、当該壁部に囲まれた開口部と、を有する第1面部と、
前記他のギアより大きいサイズのギアの回転軸方向において、前記第1面部に対向し、前記第1面部と離間して設けられた第2面部と、
前記第1面部と前記第2面部を支持する側壁部と、を備え、
前記第1面部と前記第2面部には、振動減衰部があり、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部から前記筐体の内側に突出した突出部を備え、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部の壁部に対して前記側壁部寄りにあり、
前記第2面部にある振動減衰部は、前記第2面部から前記筐体の内側に突出した突出部と、当該突出部に取り付けられた取付部材と、を備え、
前記第2面部にある振動減衰部の突出部は、複数の凸部と、前記複数の凸部に取り付けられた複数の取付部材と、を備える
、回転装置。
【請求項4】
モータと、
前記モータの回転を外部に出力するギアを含む、複数のギアと、
前記複数のギア及び前記モータを収容する筐体と、を備え、
前記複数のギアは、他のギアより大きいサイズのギアを備え、
前記筐体は、
前記他のギアより大きいサイズのギアを囲む壁部と、当該壁部に囲まれた開口部と、を有する第1面部と、
前記他のギアより大きいサイズのギアの回転軸方向において、前記第1面部に対向し、前記第1面部と離間して設けられた第2面部と、
前記第1面部と前記第2面部を支持する側壁部と、を備え、
前記第1面部と前記第2面部には、振動減衰部があり、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部から前記筐体の内側に突出した突出部を備え、
前記第1面部にある振動減衰部は、前記第1面部の壁部に対して前記側壁部寄りにあり、
前記第2面部にある振動減衰部は、前記第2面部から前記筐体の内側に突出した突出部と、当該突出部に取り付けられた取付部材と、を備え、
前記第2面部にある振動減衰部の突出部は、複数の棒状突起を備え、
前記複数の棒状突起には、前記取付部材が取り付けられている
、回転装置。
【請求項5】
前記第1面部は、前記他のギアより大きいサイズのギアに対向している、請求項1
から4のいずれかに記載の回転装置。
【請求項6】
前記第2面部は、前記他のギアより大きいサイズのギアに対向している、請求項1から
5のいずれかに記載の回転装置。
【請求項7】
前記第2面部にある振動減衰部は、前記突出部に形成された螺合穴と、当該螺合穴に螺合されて取り付けられたネジと、を備える、請求項1から6のいずれかに記載の回転装置。
【請求項8】
前記第1面部にある振動減衰部の突出部は、前記他のギアより大きいサイズのギアに対応する前記第1面部の位置に対して前記側壁部寄りにある、請求項1から
7のいずれかに記載の回転装置。
【請求項9】
前記第2面部にある振動減衰部の突出部は、前記他のギアより大きいサイズのギアに対応する前記第2面部の位置に対して前記側壁部寄りにある、請求項1から
8のいずれかに記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両用空調システムの空気を流す空気通路の途中に設けられた複数のドア(ルーバー)の駆動を行うモータアクチュエータ(回転装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筐体が発生する騒音を抑制する。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、静音性を向上した回転装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の回転装置は、モータと、前記モータの回転を外部に出力する複数のギアと、複数の前記ギア及び前記モータを収容する筐体と、を備え、前記筐体は、第1面部と、前記第1面部に対向し、前記第1面部と離間して設けられた第2面部とを備え、前記第1面部又は前記第2面部の少なくとも一方の面部には、第1の振動減衰部と第2の振動減衰部があり、前記第1の振動減衰部は前記複数のギアのうち他のギアより大きいサイズのギアに対向しており、前記第1の振動減衰部は、前記少なくとも一方の面部から突出して設けられた突出部であり、前記第2の振動減衰部は、前記第1の振動減衰部に対して前記外周部寄りにあり、前記第2の振動減衰部は、前記少なくとも一方の面部に取り付けられた取付部材を備える。
【0007】
(2)上記(1)の構成において、前記少なくとも一方の面部には棒状突起が設けられ、前記取付部材は前記棒状突起を介して前記少なくとも一方の面部に取り付けられている。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、第3の振動減衰部を備え、前記第3の振動減衰部は、前記少なくとも一方の面部に形成された螺合穴に螺合されて取り付けられたネジを備える。
【0009】
(4)上記(2)の構成において、前記棒状突起を含む複数の棒状突起が前記少なくとも一方の面部に設けられている。
【0010】
(5)上記(3)の構成において、前記螺合穴を含む複数の螺合穴が前記少なくとも一方の面部に形成されており、前記ネジを含む複数のネジがそれぞれ前記複数の螺合穴に螺合されて取り付けられている。
【0011】
本発明によれば、静音性を向上した回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の回転装置の図であり、(a)は筐体の第1面部側を見た斜視図であり、(b)は筐体の第2面部側を見た斜視図である。
【
図2】本発明に係る第1実施形態の回転装置の第1筐体を取り外した斜視図である。
【
図3】本発明に係る第1実施形態の回転装置の分解斜視図である。
【
図4】本発明に係る第1実施形態の第1筐体の内側を見た斜視図である。
【
図5】本発明に係る第2実施形態を説明するための図であり、(a)は第1筐体の内側を見た斜視図であり、(b)は第1実施形態の第1の振動減衰部に変えた第2実施形態の振動減衰部を構成する取付部材を示す斜視図であり、(c)は第1筐体に取付部材を複数取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る実施形態の回転装置を備える空調システムを説明するための概略図である。
【
図7】
図6の空調システムを備えた車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0014】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る実施形態の回転装置10の図であり、(a)は筐体20の第1面部21側を見た斜視図であり、(b)は筐体20の第2面部25側を見た斜視図である。
図2は第1筐体23を取り外した回転装置10の斜視図であり、
図3は回転装置10の分解斜視図である。
【0015】
図1に示すように、回転装置10は、面部としての第1面部21と、第1面部21に対向し、第1面部21と離間して設けられた面部としての第2面部25と、第1面部21及び第2面部25の外周部に設けられ、第1面部21と第2面部25を離間させて連結又は支持する側壁部24と、を備えている。
【0016】
具体的には、
図2に示すように、筐体20は、第1面部21及び第1面部21の外周部に設けられた側壁部24(
図1参照)の一部を構成する第1側壁部22を有する第1筐体23と、第2面部25及び第2面部25の外周部に設けられた側壁部24(
図1参照)の一部を構成する第2側壁部26を有する第2筐体27と、を合わせることで構成されるようになっている。
また、筐体20は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS等の樹脂材料で形成されている。
【0017】
そして、回転装置10は、
図2及び
図3に示すように、筐体20(
図1参照)内に収容される各種の部品として、モータ30と、モータ30の回転を外部に機械的に出力する出力ギア50を含む複数のギア60を備えている。
【0018】
また、回転装置10は、
図2及び
図3に示すように、筐体20(
図1参照)内に収容される各種の部品として、出力ギア50の回転角を検出するセンサー70と、センサー70のベース部71上に設けられた回転角に応じた回転角信号を得るための3つの第1接続端子72と、センサー70のベース部71上に設けられモータ30に電気的に接続される2つの第2接続端子35と、モータ30の2つのモータ端子(図示せず)と第2接続端子35との電気接続を行うフレキシブル配線基板80(
図3参照)と、を備えている。
【0019】
(モータ)
モータ30は出力ギア50を回転させるための駆動装置であり、本実施形態ではDCモータを用いている。
モータ30は、
図3に示すように、角部が湾曲した四角柱状の外形を有する本体部31と、本体部31の第1端面31aから導出され、ウォームギア41が固定される回転軸(図示せず)と、本体部31の第1端面31aの反対側に位置し、第1端面31aに対向する第2端面31bから外側に突出するように設けられた電源用の一対のモータ端子(図示せず)と、を備えている。
ロータには回転軸が固定されている。
【0020】
(伝達ギア)
図2及び
図3に示すように、複数のギア60には、伝達ギア40が含まれており、この伝達ギア40は、所定のギア比でモータ30の回転軸(図示せず)の回転を出力ギア50に伝達させるためのギアであり、本実施形態では、伝達ギア40として3つのギア(ウォームギア41、第1二段ギア42及び第2二段ギア43)を用いている。
【0021】
具体的には、
図2に示すように、伝達ギア40は、モータ30の回転軸(図示せず)に固定されるウォームギア41と、ウォームギア41に接続される直径の大きいギア42a及び直径の小さいギア42bを有する第1二段ギア42と、第1二段ギア42における直径の小さいギア42bに接続される直径の大きいギア43a及び出力ギア50に接続される直径の小さいギア43b(
図3参照)を有する第2二段ギア43と、を備えている。
【0022】
なお、本実施形態では、少ないスペースを利用してギア比を調節しつつ、モータ30の回転軸(図示せず)の回転を出力ギア50に伝達するように、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を用いているが、例えば、第2二段ギア43を省略して第1二段ギア42の直径が小さいギア42bに出力ギア50を接続する設計としてもよく、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を省略してウォームギア41に、直接、出力ギア50を接続する設計としてもよい。
【0023】
(出力ギア)
出力ギア50は、図示しない自動車等の車両の空調システムのルーバーの駆動軸が接続され、モータ30の回転軸(図示せず)の回転を、ルーバーの駆動軸を制御する駆動力として出力するためのギアである。
【0024】
このため、
図3に示すように、第2筐体27の第2面部25には、出力ギア50の中央側に対応する部分に外部から出力ギア50にアクセスする開口部25aが設けられており、
図1(b)に示すように、この開口部25aを通じて出力ギア50の係合部51に図示しないルーバーの駆動軸が接続できるようになっている。
【0025】
なお、出力ギア50に図示しないルーバーの駆動軸を直結させる態様に限られるものではなく、回転装置10と図示しないルーバーの駆動軸との間に介在するギアを設けるようにしてもよく、この場合、その介在するギアの回転軸が出力ギア50に接続される。
【0026】
(センサー)
例えば自動車に搭載された空調機などには、ルーバーを備えている。
この図示しないルーバーを所定の状態に駆動制御を行うために、出力ギア50の回転角を制御する必要があり、センサー70は、出力ギア50の回転角を制御するために、その出力ギア50の回転角の検出を行うためのセンサーである。
【0027】
そして、センサー70によって検出した出力ギア50の回転角に基づいて、モータ30の回転制御を行うことで、図示しないルーバーが所定の状態になるように、出力ギア50の回転が行われる。
【0028】
本実施形態では、センサー70にロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いており、
図2及び
図3に示すように、センサー70は、出力ギア50の回転角に応じた回転角信号を得るための入出力用の3つの第1接続端子72と、第1接続端子72が電気的に接続される抵抗体が印刷されたセンサー基板73と、抵抗体に接触する図示しない導電性ブラシを有し、回転角を検出する出力ギア50と一体に回転する回転体(図示せず)と、それらを配置するためのベース部71と、図示しない回転体に対応する位置に設けられ、ベース部71とでセンサー筐体を形成する覆い部74と、を備えている。
【0029】
そして、ベース部71には、回転角信号を得るためのセンサー70用の3つの第1接続端子72に加えて、さらに、モータ30の2つのモータ端子(図示せず)のそれぞれにフレキシブル配線基板80(
図3参照)を介して電気的に接続される2つの第2接続端子35も配置固定されるようになっている。
【0030】
このように、第1接続端子72及び第2接続端子35をセンサー70のベース部71に集約して配置固定すると、スペースの有効利用ができるため回転装置10を小型化することができる。
【0031】
また、ベース部71上に第1接続端子72及び第2接続端子35を配置することで筐体20(
図1参照)内に収容される他の部品類と第1接続端子72及び第2接続端子35とが接触することも回避でき、一層信頼性を向上させることができる。
【0032】
さらに、ベース部71は形状的にシンプルであるため、第1接続端子72及び第2接続端子35を配置固定する構造を設けるようにしても、ベース部71を成形するための金型等の費用が高くなることがない。
【0033】
一方、筐体20は、各種の部品を配置するための構造が形成されているため、さらに、第1接続端子72及び第2接続端子35を配置固定する構造を設けるようにすると、筐体20(第1筐体23や第2筐体27)を成形する金型等が複雑なものとなり、金型等の費用が上昇するため、筐体20の製作コストが高くなる。
【0034】
したがって、本実施形態のように、センサー70のベース部71に第1接続端子72及び第2接続端子35を配置固定できるようにすることで製作コストを低減することも可能である。
【0035】
また、本実施形態では、
図2に示すように、第2接続端子35が、第1接続端子72よりもモータ30側に位置するように、ベース部71に配置するようにしているので、第2接続端子35とモータ30のモータ端子(図示せず)との間の配線距離が短くでき、第2接続端子35とモータ30のモータ端子(図示せず)との間の電気配線をコンパクトなものとすることができる。
【0036】
(第1接続端子及び第2接続端子)
第1接続端子72及び第2接続端子35は、回転装置10に接続される外部コネクタに接続される接続端子である。
3つの第1接続端子72は、出力ギア50の回転角を検出するための、センサー基板73の図示しない導電部に電気接続されており、2つの第2接続端子35は、後述するフレキシブル配線基板80を介してモータ30の電源端子である2つのモータ端子(図示せず)に電気接続されている。
【0037】
そして、
図2及び
図3に示すように、第2接続端子35は、外部コネクタに接続される先端側と反対側になる一端側がベース部71から離れる方向に屈曲された屈曲部とされ、ベース部71から離れる方向に延びる接続部35aを有するものになっており、このような接続部35aを設けるようにすることで、後述するように、フレキシブル配線基板80との電気接続の信頼性を向上させることができる。
【0038】
(フレキシブル配線基板)
図3に示すように、フレキシブル配線基板80は、大きく分けて3つの面を有しており、具体的には、第2接続端子35と接続される一端側の第1面部81と、モータ30のモータ端子(図示せず)に接続される他端側の第2面部82と、その第1面部81と第2面部82とを繋ぐ中間面部83と、を備えている。
【0039】
そして、第1面部81には、2つの第2接続端子35の接続部35aに、それぞれ係合する2つの第1係合孔81aが形成されており、第2面部82には、モータ30の一対のモータ端子(図示せず)のそれぞれに係合する2つの第2係合孔82aが形成されている。
【0040】
したがって、2つの第2接続端子35の接続部35aに、第1面部81の2つの第1係合孔81aを係合させるようにして半田付けを行うようにすることでしっかりとした電気接続が行えるため、接続不良を抑制することができる。
また、同様に、モータ30の一対のモータ端子(図示せず)に、第2面部82の第2係合孔82aを係合させるようにして半田付けを行うようにすることでしっかりとした電気接続が行えるため、接続不良を抑制することができる。
【0041】
なお、第2接続端子35とモータ30のモータ端子(図示せず)との間をリード線で接続することも可能である。
なお、フレキシブル配線基板の方がリード線より取り扱い性が良く、また、破損しにくいため、接続作業性がよい点で好ましい。
一方、本実施形態のように、フレキシブル配線基板80を用いるようにすると配線作業性がよくなるため、製造コストを低減することが可能である。
【0042】
また、本実施形態では、
図3に示すように、フレキシブル配線基板80の第1面部81と第2面部82との間を繋ぐ中間面部83に、第1面部81と第2面部82をほぼ直交するように配置する折曲部83aを設けている。
この折曲部83aも折り返し構造が設けられた形状となっている。
【0043】
例えば、直線的に第2接続端子35とモータ30のモータ端子(図示せず)をフレキシブル配線基板80で接続するようにしていると、車両の振動によってモータ30や第2接続端子35が振動すると、フレキシブル配線基板80と第2接続端子35との接続部分やモータ端子(図示せず)とフレキシブル配線基板80との接続部分に引っ張り応力等が加わり易くなり、接続不良が発生したり、フレキシブル配線基板80の断線等が発生し易くなる。
【0044】
そこで、本実施形態では、第2接続端子35からモータ30のモータ端子(図示せず)に至る途中に、振動等に応じて第1面部81と第2面部82とが成す角度(折曲角度)を変えるとともにバネ性を示す折り返し構造が設けられた折曲部83aを介在させるようにしている。
【0045】
このようにしておけば、折り返し構造が設けられた折曲部83aが振動等に応じて折曲角度が変わるように変形するとともにバネ性を示すため、第2接続端子35とフレキシブル配線基板80との接続部分やモータ端子(図示せず)とフレキシブル配線基板80との接続部分に引っ張り応力等が加わることが回避でき、接続不良の発生を抑制することができるとともに、フレキシブル配線基板80自体の断線等の発生を抑制することができる。
【0046】
ただし、折曲部83aを折り返し構造がない一回の折り曲げだけで構成するようにしても、直線的に配線する場合と比較して余長となる部分ができるようになり、引っ張り応力等の影響を低減できるため、そのような折曲部としてもよい。
一方、本実施形態のように、折り返し構造が設けられた折曲部83aとするほうがより引っ張り応力等の影響を受け難くすることができる点で、折り返し構造を有する折曲部の使用が好適である。
【0047】
したがって、本実施形態のように、フレキシブル配線基板80に折り返し構造が設けられた折曲部83aを設けるようにすることで回転装置10の信頼性を高めることができる。
【0048】
なお、本実施形態のように、中間面部83に折り返し構造が設けられた折曲部83aを設けた態様とすると、
図2を見るとわかるように、フレキシブル配線基板80上に形成される導電パターンが第2接続端子35の接続部35aを第1係合孔81aに通したときに接続部35aが突出する側に設けられるとともに、第2係合孔82a(
図3参照)にモータ端子(図示せず)を通したときにモータ端子(図示せず)が突出する側に設けられることになるため、半田付けを行うときの作業性がよくなるという効果もある。
【0049】
(筐体)
筐体20は、上述したように、第1筐体23と第2筐体27を合わせるようにして構成されている。
そして、筐体20の各所について、騒音の状態を調べたところ、出力ギア50に対応する第1面部21及び第2面部25の位置の振動が他の箇所よりも大きく騒音の原因になっていることを発見した。
【0050】
この出力ギア50に対向する第1面部21及び第2面部25の位置は、他の部材との接触ができない大きなサイズの出力ギア50が配置されているため、振動を抑制するような構造がなく、騒音に繋がる振動が起きやすい位置になっているものと考えられる。
【0051】
そこで、出力ギア50に対応する第1面部21及び第2面部25の位置に、出力ギア50の回転を阻害しないように複数の振動減衰部90を設けることで、筐体20が発生する騒音を抑制するようにしており、以下、具体的に、振動減衰部90について、説明を行う。
【0052】
図4は、第1筐体23の内側を見た斜視図である。
なお、
図4では、出力ギア50が位置する領域を模式的に点線枠Bで示している。
【0053】
(第1の振動減衰部)
図4に示すように、筐体20(
図1参照)の一方の面部となる第1面部21の出力ギア50(点線枠B周辺)に対応する位置には、一方の面部となる第1面部21から筐体20の内側に突出して形成され第1面部21に片持ちされた複数の凸部91で構成される突出部としての第1の振動減衰部90が設けられている。
複数の凸部91は、モータ30の回転軸の方向又は回転軸に交差する方向にて並べて配置されている。
筐体20の厚さ方向において、凸部91は筐体20に形成されたリブ96より長く形成され、棒状の外形に形成されている。
なお、第2面部25に対面する第1面部21の内面には、モータ30の回転軸の方向又は回転軸に交差する方向に延在する複数のリブが形成されている。
【0054】
このように、複数の凸部91で構成される突出部を筐体20の第1面部21に設けることで、出力ギア50(点線枠B周辺)に対応する筐体20(
図1参照)の一方の面部となる第1面部21の一部分の重量を増加させている。
このため、筐体20の第1面部21が振動してもその振動の振幅が時間の経過とともに速やかに減衰するため、筐体20から発せられる騒音の発生を抑止でき、或いは第1面部21以外の筐体20の他の部分における振動との共振等の発生を抑止して騒音を低減することができる。
【0055】
この複数の凸部91で構成される突出部は、点線枠Bを見るとわかるように、出力ギア50の内側に位置している。
そこで、
図2及び
図3に示すように、出力ギア50には、第1面部21に対向する面に凹部52が形成されている。
この凹部52は、複数の凸部91で構成される突出部との接触を回避して突出部を収容する。
複数の凸部91で構成される突出部は、この凹部52内に複数の凸部91で構成される突出部の先端側の一部が位置するように、第1面部21から突出するように形成されている。
なお、凹部52と突出部との間には所定の間隙が設けられており、凹部52が凹んだ形状を有すること、及び間隙を設けることにより凹部52と突出部とが接触することを回避している。
【0056】
なお、突出部を複数の凸部91とせず、それらが一体につながった1つの凸部として形成することも可能である。
このような一体につながった1つの凸部である突出部は、筐体20(より具体的には、第1筐体23)の成形時に変形が発生しやすくなるため、本実施形態のように、筐体20(より具体的には、第1筐体23)に一体に形成する場合には、複数の凸部91として突出部を設けるようにすることが好ましい。
【0057】
(第2の振動減衰部)
本実施形態では、上述した第1の振動減衰部90に加えて、その第1の振動減衰部90の近傍に第2の振動減衰部90も設けるようにしている。
【0058】
具体的には、
図4に示すように、複数の凸部91で構成される突出部を有する第1の振動減衰部90に近接する第1側壁部22寄りの位置には、筐体20(
図1参照)の一方の面部となる第1面部21に形成された複数の螺合穴21aが形成されている。
この螺合穴21aに螺合させて取り付けられた複数の金属製のネジ92は、筐体20の第1面部21に取り付けられた取付部材となっている。
この取付部材により構成される第2の振動減衰部90が筐体20の第1面部21に設けられている。
これら複数の螺合穴21a及びネジ92は面部の内面又は外面に設けられている。
ここで、内面とは筐体20の内側に面する面をいい、外面とは筐体20の外部に面する面をいう。
ネジ92は、鉄、アルミニウム等の金属材料で形成されている。
【0059】
このように取り付けられた複数の金属製のネジ92で構成される第2の振動減衰部90は、樹脂材料からなる筐体20よりも材料としての単位質量が大きいため、重量を増加させることになり、上述した第1の振動減衰部90と同様に騒音を低減するものとなる。
【0060】
なお、上記では、第1の振動減衰部90を一方の面部となる第1面部21から筐体20の内側に突出して形成した複数の凸部91で構成された突出部とした場合について示しているが、第2の振動減衰部90と同様に螺合接続によって複数の凸部91を設けるようにして、第1の振動減衰部90も取付部材として構成されるものにしてもよい。
また、第1面部21に第1の振動減衰部90と、第2の振動減衰部90を設けているが、第2面部25に第1の振動減衰部90、第2の振動減衰部90を設けても構わなく、第1、第2面部双方に、第1、2の振動減衰部90を設けても構わない。
【0061】
このように、取付部材として振動減衰部90を構成しておくことで材料の選択幅を広げることができるため、必要な重さを得るための振動減衰部90のサイズを小さく留めることが可能であるとともに、騒音の状況を確認しながら一部の取付部材を省略して重量の増加を最小限に抑えつつ騒音を抑制するようにすることも可能となる。
【0062】
(第3の振動減衰部)
さらに、本実施形態では、上述した第1及び第2の振動減衰部90に加えて、第3の振動減衰部90を設けるようにしている。
具体的には、第3の振動減衰部90は、
図3に示すように、筐体20(
図1参照)のもう一方の面部となる第2面部25に設けられている。
【0063】
上述したように、第2面部25には、出力ギア50に外部からアクセスすることを可能にする開口部25aが設けられており、
図3に示すように、その開口部25aは、後述する筒状の第1の壁部としての円筒壁部93と、筐体20(
図1参照)の内側に設けられ、開口部25aの外周に沿って形成された筒状の第2の壁部(以下、開口壁部と呼称)25aaを有している。
また、開口部25aは出力ギア50に対向する位置に設けられており、この開口部25aを通じて外部と出力ギア50が接触できる。
【0064】
そして、第3の振動減衰部90は、その開口部25aの外周に沿って開口部25aを囲んでいる。
この第3の振動減衰部90は、開口壁部25aaから離間する位置に設けられた円筒壁部93として、第2面部25から筐体20(
図1参照)の内側に突出して形成されている。
円筒壁部93は、開口壁部25aaを囲んでいる。
【0065】
このようにして形成された円筒壁部93で構成される第3の振動減衰部90も、第1及び第2の振動減衰部90と同様に、出力ギア50に対応する筐体20(
図1参照)のもう一方の面部となる第2面部25の位置の重量を増加させることになるため、振動が発生してもその振動が速やかに減衰し、共振等が発生し難く騒音を低減することができる。
【0066】
また、本実施形態では、
図3に示すように、開口壁部25aaと円筒壁部93の間に、周方向に延在する環状の開口壁部25aaと周方向に延在する環状の円筒壁部93を繋ぐ複数のリブ93aを形成するようにしている。
【0067】
このようなリブ93aを設けるようにすることで重量を増加させ、共振等が発生し難く騒音を低減することができる。
また、リブ93aを設けることで、例えば筐体20の曲げ剛性が高くなるなど、筐体20が構造的に強固となるため、この点からしても振動を減衰でき、騒音を低減することができる。
【0068】
(第4の振動減衰部及び第5の振動減衰部)
上記第1から第3の振動減衰部90は、筐体20(
図1参照)の内側に設けた振動減衰部90であるが、本実施形態では、筐体20の外側にも振動減衰部90を設けるようにしており、以下、第4の振動減衰部90、第5の振動減衰部90の順で具体的に説明する。
【0069】
図1(a)に示すように、筐体20の一方の面部となる第1面部21の出力ギア50に対応する位置には、第4の振動減衰部90(ハッチング部分参照)が設けられている。
【0070】
この第4の振動減衰部90は、第1面部21の基本肉厚よりも筐体20の外側に向かって肉厚を厚くするように形成した肉厚増加部94として構成されており、重量の増加と構造的強化が行われ、騒音を低減するようにしたものである。
【0071】
なお、肉厚増加部94は、筐体20内に配置された出力ギア50の範囲を第1面部21側に投影した領域に、少なくとも肉厚増加部94の一部が含まれるように構成されていればよいが、本実施形態のように、側壁部24に至るまで設けるようにすることでより一層騒音を低減することができる。
【0072】
同様に、
図1(b)に示すように、筐体20のもう一方の面部となる第2面部25においても出力ギア50に対応する位置に第5の振動減衰部90(ハッチング部分参照)が設けられている。
【0073】
この第5の振動減衰部90も、第4の振動減衰部90と同様に、第2面部25の基本肉厚よりも筐体20の外側に向かって肉厚を厚くするように形成した肉厚増加部95として構成されており、重量の増加と構造的強化が行われ、騒音を低減するようにしたものである。
【0074】
なお、肉厚増加部95も肉厚増加部94と同様に、筐体20内に配置された出力ギア50の範囲を第2面部25側に投影した領域に、少なくとも肉厚増加部95の一部が含まれるように構成されていればよいが、本実施形態のように、側壁部24に至るまで設けるようにすることでより一層騒音を低減することができる。
【0075】
肉厚増加部94及び肉厚増加部95は、騒音の低減の度合いを考慮しながら、基本肉厚に対して、どの程度、肉厚を増加させるのかを決めることになるが、例えば、基本肉厚に対して20%以上肉厚が厚くなるようにすることが好ましい。
【0076】
そして、以上のような第1から第5の振動減衰部90を設けたものと設けていないものとの騒音の状態を比較したところ、最も音量の大きい周波数の音で1dB以上の音圧低下を確認することができた。
【0077】
なお、本実施形態では、第1から第5の5つの振動減衰部90を設けるようにしているが、必ずしも、それら5つの振動減衰部90を全て設けなければならないわけではない。
【0078】
例えば、自動車等の車両に用いられる部品類においては、省エネ等の観点でグラム単位の重量削減が求められる場合があるため、消音の度合いと重量増加の兼ね合いを考慮して、いくつかの振動減衰部90を省略するようにしてもよい。
【0079】
(第2実施形態)
図5は第2実施形態を説明するための図であり、以下、
図5を参照しながら第2実施形態について説明する。
第2実施形態も第1実施形態と基本的な構成は同様であり、第1の振動減衰部90の構成が異なるだけである。
したがって、以下では、主に第1実施形態と異なる部分について説明を行い、第1実施形態と同様の部分については説明を省略する場合がある。
【0080】
図5(a)は第1筐体23の内側を見た斜視図であり、
図5(b)は第1実施形態の第1の振動減衰部90に変えた第2実施形態の振動減衰部90を構成する取付部材91’を示す斜視図であり、
図5(c)は第1筐体23に取付部材91’を複数取り付けた状態を示す斜視図である。
【0081】
図5(a)に示すように、第1筐体23の第1面部21には、筐体20(
図1参照)の内側に向かって突出するように形成された複数の棒状突起21bが設けられている。
【0082】
そして、
図5(b)に示すように、振動減衰部90を構成する金属材料からなる三日月状の取付部材91’には、その棒状突起21bが圧入される複数の圧入孔91a’が設けられている。
【0083】
したがって、この取付部材91’の圧入孔91a’に棒状突起21bを圧入するようにして、取付部材91’を第1面部21に取り付けることで第1実施形態の第1の振動減衰部90(
図4参照)と同様に、第1面部21に片持ちされた突出部として構成された振動減衰部90を実現することができる。
【0084】
そして、
図5(c)に示すように、取付部材91’の取り付け枚数を複数設けるようにしたり、
図5(a)に示すように、取付部材91‘の取り付け枚数を少なくすることで付加する重量を調節することができるようになっている。
したがって、消音効果と重量増加の兼ね合いを考慮した適切な重量の付加を行うことができる。
なお、取付部材91’の外形形状は、第1実施形態の複数の凸部91を連結した外形形状に近いものとしているため、取付部材91’は、第1実施形態で説明した出力ギア50の凹部52(
図2参照)内に出力ギア50に接触しないように収容できるようになっている。
【0085】
以上のような回転装置10は、例えば、自動車等の車両の空調システムに用いられ、以下、簡単に車両の空調システムに用いられる場合について説明する。
図6は実施形態の回転装置10を備える空調システム100を説明するための概略図であり、
図7は
図6の空調システム100を備えた車両を示す図である。
【0086】
図6に示すように、空調システム100は、車両のフロント部分FR(
図7参照)に配置される、ブロアファン101と、エバポレータ102と、ヒータ103と、ルーバー104と、を備えている。
【0087】
より具体的には、空調システム100の吸引口100a側にブロアファン101が配置され、ブロアファン101から送り出される空気を冷却するエバポレータ102が空気の流れ方向の下流側に配置されている。
【0088】
さらに、エバポレータ102よりも空気の流れ方向の下流側にヒータ103が配置され、エバポレータ102とヒータ103との間にルーバー104が配置されており、ルーバー104が、エバポレータ102側からヒータ103側に流れる空気の供給量を制御することで、空気の温度が適切な温度に調節される。
【0089】
そして、適切な温度に調整された空気は、さらに、ダクト等を経由して車室内に設けられた吹出口から車室内に供給されるようになっており、上述の空調システム100において、例えば、ルーバー104の回転軸104aが、上述した回転装置10の出力ギア50の係合部51(
図1参照)に接続されている。
したがって、上述したように、回転装置10によって、ルーバー104が回動制御(
図8の両矢印参照)され、所定の状態となるようにされる。
【0090】
なお、上記は、空調システム100における回転装置10の一例を示しただけであり、例えば、空調システム100は、車室内の空気を循環させる場合と、車外の空気を車室内に取り込む場合とで空気流路(ダクト経路)の切り替えを行う場合もあり、その切り替え部分にもルーバーが設けられている。
このため、この切り替え部分に設けられたルーバーを制御するのにも回転装置10は好適に用いることができる。
【0091】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、センサー70が出力ギア50の回転角を検出するように配置されている場合について示したが、回転角の検出は、出力ギア50に限定されるものではない。
【0092】
例えば、複数の伝達ギア40のうちの1つのギアの回転角と図示しないルーバーの駆動状態との関係を求めておけば、そのギアの回転角を検出するようにして、その回転角に基づいてモータ30の回転制御を行うことで図示しないルーバーの駆動制御が行える。
したがって、回転角を検出するセンサー70は、伝達ギア40のうちのいずれかのギアの回転角を検出するように配置されていてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、センサー70にロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いていたが、必ずしも、センサー70がロータリ型の抵抗式ポジションセンサーである必要はなく、非接触式のロータリ型のポジションセンサーであってもよい。
【0094】
ただし、抵抗式ポジションセンサーは導電性ブラシが物理的に抵抗体にしっかり接触する構造であるため、車両の振動の影響による検出不良等が起き難いため、センサー70にはロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いるのが好適である。
【0095】
また、筐体20の第1面部21又は第2面部25における重心が、第1面部21又は第2面部25の中央に対して振動減衰部寄りに位置するように、筐体に振動減衰部を設けても構わない。
ここで、第1面部21又は第2面部25の中央を、筐体20の厚さ方向において、筐体20の4つの取付部A、B、C、Dの対角線の交点に対応する第1面部21又は第2面部25の位置とする。
重心を振動減衰部寄りにするために、振動減衰部として上記実施形態を適宜適用することができる。
【0096】
また、第1の振動減衰部90を第2面部25に設けても構わない。
【0097】
また、おもりとしての第1の振動減衰部90を第1面部21かつ又は第2面部25に設けることで、第1の振動減衰部90が設けられた第1面部21、第2面部25の一部分が他の部分より重たくなっても構わない。
【0098】
また、第1の振動減衰部90を第1面部21かつ又は第2面部25に設けることで、第1の振動減衰部90が設けられた第1面部21、第2面部25の一部分における曲げ剛性(ヤング率)が他の部分における曲げ剛性(ヤング率)より大きくなっても構わない。
【0099】
また、筐体20の中央に対して、第1の振動減衰部90を嵌合部E又は被嵌合部F寄り、或いは嵌合部E又は被嵌合部Fに隣接する位置に設けても構わない。
ここで、筐体20の中央とは、筐体20の厚さ方向において、筐体20の4つの取付部A、B、C、Dの対角線の交点とする。
【0100】
モータは、例えば、図示しない、ステータ、ロータ、整流子、ブラシ、ブラシが設けられたブラケットを備えていても構わない。
【0101】
このように、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもなく、そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0102】
以下に、この出願の優先基礎となる出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲のとおりである。
<請求項1>
モータと、
前記モータの回転を外部に出力する出力ギアを含む複数のギアと、
複数の前記ギア及び前記モータを収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、
第1面部と、
前記第1面部に対向し、前記第1面部と離間して設けられた第2面部と、
前記第1面部及び前記第2面部の外周部に設けられ、前記第1面部と前記第2面部を離間させて支持する側壁部と、を備え、
前記第1面部又は前記第2面部の少なくとも一方の面部には、振動減衰部が前記出力ギアに対応する位置に設けられている回転装置。
<請求項2>
前記振動減衰部は、前記面部から前記筐体の内側に突出して設けられ、前記面部の重量を増加させる突出部である請求項1に記載の回転装置。
<請求項3>
前記突出部は、前記面部から前記筐体の内側に突出して形成された、複数の凸部である請求項2に記載の回転装置。
<請求項4>
前記突出部は、前記面部から前記筐体の内側に突出して取り付けられた、取付部材である請求項2に記載の回転装置。
<請求項5>
前記筐体は樹脂材料であり、
前記取付部材は金属材料である請求項4に記載の回転装置。
<請求項6>
前記出力ギアは、凹部を有しており、
前記突出部の一部は、前記出力ギアの前記凹部に収容されている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の回転装置。
<請求項7>
前記面部には、前記出力ギアに対向する位置に開口部が設けられており、
前記振動減衰部は、前記面部の重量を増加させる筒状の壁部であり、当該筒状の壁部は当該面部から前記筐体の内側に突出して形成されており、
前記筒状の壁部は、前記開口部を囲んでいる請求項1に記載の回転装置。
<請求項8>
前記筒状の壁部を第1の壁部として、
前記開口部を囲む、筒状の第2の壁部が前記面部に設けられ、
前記第2の壁部は、前記第1の壁部に囲まれており、
前記第1の壁部と前記第2の壁部を繋ぐ複数のリブが前記面部に形成されている請求項7に記載の回転装置。
<請求項9>
前記振動減衰部は、前記面部の基本肉厚よりも肉厚を厚く形成して重量を増加させた肉厚増加部である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転装置。
<請求項10>
前記肉厚増加部は、前記面部から前記筐体の外側に向かって肉厚を厚くするように形成されている請求項9に記載の回転装置。
【符号の説明】
【0103】
10…回転装置、20…筐体、21…第1面部、21a…螺合穴、21b…棒状突起、22…第1側壁部、23…第1筐体、24…側壁部、25…第2面部、25a…開口部、25aa…開口壁部、26…第2側壁部、27…第2筐体、30…モータ、31…本体部、31a…第1端面、31b…第2端面、35…第2接続端子、35a…接続部、40…伝達ギア、41…ウォームギア、42…第1二段ギア、42a…直径の大きいギア、42b…直径の小さいギア、43…第2二段ギア、43a…直径の大きいギア、43b…直径の小さいギア、50…出力ギア、51…係合部、52…凹部、60…ギア、70…センサー、71…ベース部、72…第1接続端子、73…センサー基板、74…覆い部、80…フレキシブル配線基板、81…第1平面部、81a…第1係合孔、82…第2平面部、82a…第2係合孔、83…中間平面部、83a…折曲部、90…振動減衰部、91…凸部、91’…取付部材、91a’…圧入孔、92…ネジ、93…円筒壁部、93a…リブ、94…肉厚増加部、95…肉厚増加部、96…リブ、100…空調システム、101…ブロアファン、102…エバポレータ、103…ヒータ、104…ルーバー、104a…回転軸、A,B,C,D…取付部、E…嵌合部、F…被嵌合部、FR…フロント部分