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特許7105545赤色感光性樹脂組成物、これを含むカラーフィルターおよび表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】赤色感光性樹脂組成物、これを含むカラーフィルターおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220715BHJP
   C09B 1/22 20060101ALI20220715BHJP
   C09B 57/00 20060101ALI20220715BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220715BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20220715BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G03F7/004 505
C09B1/22
C09B57/00 Z
G02B5/20 101
G03F7/031
G03F7/004 501
C08F2/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017109276
(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公開番号】P2017223942
(43)【公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2016-0073587
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ジンチュル・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ボンイル・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ウテ・キム
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-195941(JP,A)
【文献】特表2014-500852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
C09B 1/22
C09B 57/00
G02B 5/20
G03F 7/031
C08F 2/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントレッド177、下記の化学式1で表示される化合物および下記の化学式2で表示される化合物を含む着色剤;および
下記の化学式3で表示される化合物を含む光重合開始剤;
を含み、
下記の化学式1で表示される化合物と下記の化学式2で表示される化合物は2:8~8:2の重量比で含まれるものであり、
前記着色剤の全体100重量%に対して、前記C.I.ピグメントレッド177 1000/30~70重量%、前記化学式1で表示される化合物5~60重量%および前記化学式2で表示される化合物5~60重量%を含むものである、赤色感光性樹脂組成物:
【化1】
[化学式1]
【化2】
[化学式2]
【化3】
[化学式3]
前記化学式3において、
およびはそれぞれ独立的に水素または-C20アルキルであり;

【化4】
であり、
およびR、RおよびR
【化5】
であり;
はCOR16であり;
~R12はそれぞれ独立的に水素または-C20アルキルであり;
は直接結合であり;
13 はC -C20アルキルまたは-C10シクロアルキルであり;
14は水素、C-Cシクロアルキルまたは-C20アルキルであり;
151個以上のOR 17 によって置換された-C20アリールでり;
16は非置換されるかまたは1個以上のC -C20アルキルによって置換されたC-C20アリールであり;
17はC-Cハロアルキルである。
【請求項2】
アルカリ可溶性バインダー樹脂、光重合性化合物、溶剤および添加剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むものである、請求項1に記載の赤色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して、
前記着色剤は5~50重量部で含まれるものである、請求項1に記載の赤色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して、
前記光重合開始剤は0.1~15重量部で含まれるものである、請求項1に記載の赤色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された赤色感光性樹脂組成物の硬化物を含む、カラーフィルター。
【請求項6】
請求項5に記載されたカラーフィルターを含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤色感光性樹脂組成物、これを含むカラーフィルターおよび表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルター(color filter)は相補性金属酸化膜半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)、電荷結合素子(charge coupled device、CCD)などのようなイメージセンサーのカラー撮影装置内に内蔵されて実際にカラー画像を得ることに利用され得る。この他にもカラーフィルターは撮影素子、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、電界放出ディスプレイ(FEL)、発光ディスプレイ(LED)などに広く利用されるもので、その応用範囲が急速に拡大されている。
【0003】
このようなカラーフィルターは通常、基板上部に赤色、緑色および青色の各色に相当する顔料を着色剤を含む着色感光性樹脂組成物を均一にコーティングした後、露光および現像し、必要に応じて加熱して熱硬化させる一連の過程を各色によって繰り返して各色による画素を形成することによって製造される。
【0004】
一方、液晶を配向させる通常の方法として、ガラスなどの基板にポリイミドのような高分子膜を塗布し、この表面をナイロンやポリエステルのような繊維を利用して一定の方向に擦る接触式ラビング方法を利用している。しかし、前記のような接触式ラビング方法による液晶配向は簡単でありながらも安定した液晶の配向性能を得ることができる長所があるが、繊維質と高分子膜が摩擦される時に微細な塵埃や静電気(electrostatic discharge;ESD)が発生して基板が損傷する恐れがあり、工程時間の増加およびガラスの大型化によってロール(roll)が大型化されることによって、ラビング強度(rubbing strength)の不均一などの工程上の困難が発生し、液晶パネル製造時に深刻な問題点を惹き起こすこともある。
【0005】
前記のような接触式ラビング方法の問題点を解決するために、線偏光されたUVによって光反応性高分子に結合された光反応物質が光反応(光異性化、光二量化、光分解)を起こして一定の配列をなすことによって液晶が配向されるメカニズムによる光配向法が提示された。
【0006】
しかし、光配向法は外部の熱、光、物理的な衝撃および化学的な衝撃などの側面で安定した配向特性を維持または提供できないため、ラビング方法に比べて生産性または信頼性が低い問題点がある。したがって、光配向モデルの適用時にRed photo resistの信頼性低下を抑制できる赤色感光性樹脂組成物の開発が要求されている。
【0007】
大韓民国公開特許第10-2011-0068861号は着色組成物、カラーフィルターおよびカラー液晶表示素子に関するもので、(A)着色剤、(B)結合剤樹脂、(C)多官能性単量体および(D)スルホニル基および重合性不飽和基からなる群から選択される1種以上を有するカゴ型シルセスキオキサンを含有することを特徴とする着色組成物に関する内容を開示している。
【0008】
しかし、前記文献の着色組成物は光配向モデルに適用する際に信頼性低下抑制性能が少々劣る問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】大韓民国公開特許第10-2011-0068861号(2011.06.22.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は光配向モデルに適用する際、Red photo resistの信頼性低下を抑制できる赤色感光性樹脂組成物を提供するところにある。
【0011】
また、本発明はRed photo resistの信頼性が優秀なカラーフィルターおよびこれを含む画像装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した問題を解決するための本発明の赤色感光性樹脂組成物は、C.I.ピグメントレッド177、下記の化学式1で表示される化合物および下記の化学式2で表示される化合物を含む着色剤;および下記の化学式3で表示される化合物を含む光重合開始剤;を含み、下記の化学式1で表示される化合物と下記の化学式2で表示される化合物は2:8~8:2の重量比で含まれることを特徴とする。
【0013】
【化1】
[化学式1]
【0014】
【化2】
[化学式2]
【0015】
【化3】
[化学式3]
前記化学式3において、
~Rはそれぞれ独立的に水素、C-C20アルキル、
【化4】
、COR16またはNOであり;
ただし、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびRまたはRおよびRのうち少なくとも一対は
【化5】
であり;
~R12はそれぞれ独立的に水素、任意に置換されたC-C20アルキルであるか;または置換または非置換されたフェニルであり;
XはCOまたは直接結合であり;
13は任意に置換されたC-C20アルキル、C-C12アルケニル、C-Cシクロアルケニル、C-C12アルキニル、C-C10シクロアルキル、フェニルまたはナフチル(これらは両方とも任意に置換される)であり;
14は水素、C-Cシクロアルキル、C-Cアルケニル、C-C20アルコキシ、C-C20アルキル、フェニルまたはナフチルであり;
15はC-C20アリールまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のフェニル、ハロゲン、C-Cハロアルキル、CN、NO、OR17、SR18、NR1920、PO(OC2k+1、SO-C-C10アルキル、SO-C-C10アルキルによって、1個以上のO、SまたはNR26が介在されたC-C20アルキルによって置換されるか、またはこれらのそれぞれは、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、COOR17、CONR1920、フェニル、C-Cシクロアルキル、C-C20ヘテロアリール、C-C20アリルオキシカルボニル、C-C20ヘテロアリルオキシカルボニル、OR17、SR18またはNR1920によって置換されたC-C20アルキルによって置換され;
kは整数1-10であり;
16は非置換されるかまたは1個以上のC-C20アルコキシまたはC-C20アルキルによって置換されたC-C20アリールであり;
17はC-Cハロアルキルであり;
18は水素、C-C12アルケニル、C-C20シクロアルキルまたはフェニル-C-Cアルキルであり、ここでC-C12アルケニル、C-C20シクロアルキルまたはフェニル-C-Cアルキルは非介在されるかまたは1個以上のO、S、CO、NR26またはCOOR17が介在されるか;
またはR18は非置換されるかまたは1個以上のOH、SH、CN、C-Cアルケンオキシ、OCHCHCN、OCHCH(CO)O(C-Cアルキル)、O(CO)-(C-C)アルケニル、O(CO)-(C-Cアルキル)、O(CO)-フェニルまたは(CO)OR17によって置換されたC-C20アルキルであるか;
またはR18は1個以上のO、S、CO、NR26またはCOOR17が介在されたC-C20アルキルであるか;
またはR18は(CHCHO)H、(CHCHO)(CO)-(C-Cアルキル)、C-CアルカノイルまたはC-Cアルケノイルであるか;
またはR18は非置換されるかまたは1個以上のC-Cアルキル、ハロゲン、OH、C-CアルコキシまたはC-Cアルキルスルファニルにより置換されたベンゾイルであるか;
またはR18はフェニル、ナフチルまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、C-C12アルキル、C-Cハロアルキル、C-C12アルコキシ、CN、NO、フェニル-C-Cアルキルオキシ、フェノキシ、C-C12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、N(C-C12アルキル)、ジフェニルアミノ、(CO)O(C-Cアルキル)、(CO)-C-Cアルキル、(CO)N(C-Cアルキル)または
【化6】
によって置換され;
nは1~20の整数であり;
はO、CO、Sまたは直接結合であり;
19およびR20はそれぞれ独立的に水素、C-C20アルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-C10アルコキシアルキル、C-Cアルケニル、C-C20シクロアルキル、フェニル-C-Cアルキル、C-Cアルカノイル、C-Cアルカノイルオキシ、C-C12アルケノイル、SO-(C-Cハロアルキル)またはベンゾイルであるか;
またはR19およびR20はフェニル、ナフチルまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、C-Cハロアルキル、C-C20アルコキシ、C-C12アルキル、ベンゾイルまたはC-C12アルコキシによって置換されるか;
またはR19およびR20はこれらが付着されているN-原子とともに、非介在されるかまたはO、SまたはNR17が介在された5-または6-員飽和または不飽和環を形成し、前記5-または6-員飽和または不飽和環は非置換されるかまたは1個以上のC-C20アルキル、C-C20アルコキシ、=O、OR17、SR18、NR2122、(CO)R23、NO、ハロゲン、C-C-ハロアルキル、CN、フェニル、
【化7】
によってまたは非介在されるかまたは1個以上のO、S、COまたはNR17が介在されたC-C20シクロアルキルによって置換されるか; またはR19およびR20はこれらが付着されているN-原子とともに、非置換されるかまたは1個以上のC-C20アルキル、C-Cハロアルキル、C-C20アルコキシ、=O、OR17、SR18、NR2122、(CO)R23
【化8】
、ハロゲン、NO、CN、フェニルによりまたは非介在されるかまたは1個以上のO、S、COまたはNR17が介在されたC-C20シクロアルキルによって置換されたヘテロ芳香族環系を形成し;
21およびR22はそれぞれ独立的に水素、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、C-C10シクロアルキルまたはフェニルであるか;
またはR21およびR22はこれらが付着されているN-原子とともに、非介在されるかまたはO、SまたはNR26が介在された5-または6-員飽和または不飽和環を形成し、前記5-または6-員飽和または不飽和環は縮合されないかまたは前記5-または6-員飽和または不飽和環にベンゼン環が縮合され;
23は水素、OH、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、非介在されるかまたは1個以上のO、COまたはNR26が介在されたC-C20アルキル、非介在されるかまたはO、S、COまたはNR26が介在されたC-C20シクロアルキルであるか、またはR23はフェニル、ナフチル、フェニル-C-Cアルキル、OR17、SR18またはNR2122であり;
26は水素、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、1個以上のOまたはCOが介在されたC-C20アルキルであるか、またはフェニル-C-Cアルキル、非介在されるかまたは1個以上のOまたはCOが介在されたC-Cシクロアルキルであるか、または(CO)R19であるか、または非置換されるかまたは1個以上のC-C20アルキル、ハロゲン、C-Cハロアルキル、OR17、SR18、NR1920または
【化9】
によって置換されたフェニルであり;
ただし、少なくとも一つの基
【化10】
または
【化11】
が分子内に存在する。
【0016】
また、本発明は前述した赤色感光性樹脂組成物の硬化物を含むカラーフィルターを提供する。
【0017】
また、本発明は前述したカラーフィルターを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る赤色感光性樹脂組成物は、信頼性低下、特に光配向モデルに適用する際にRed photo resistの信頼性の低下を抑制できる利点がある。
【0019】
また、本発明に係る赤色感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターおよびこれを含む画像表示装置は信頼性の低下が抑制されて優秀な信頼性を有する利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0021】
本発明において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0022】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
<赤色感光性樹脂組成物>
本発明に係る赤色感光性樹脂組成物は、C.I.ピグメントレッド177、下記の化学式1で表示される化合物および下記の化学式2で表示される化合物を含む着色剤;および下記の化学式3で表示される化合物を含む光重合開始剤;を含み、下記の化学式1で表示される化合物と下記の化学式2で表示される化合物は2:8~8:2の重量比で含まれることを特徴とする。
【0024】
着色剤
本発明に係る着色剤はC.I.ピグメントレッド177、下記の化学式1で表示される化合物および下記の化学式2で表示される化合物を含み、下記の化学式1で表示される化合物と下記の化学式2で表示される化合物は2:8~8:2の重量比で含まれる。
【0025】
【化12】
[化学式1]
【0026】
【化13】
[化学式2]
【0027】
本発明に係る着色剤は前記三つの顔料をすべて含み、化学式1と化学式2で表示される化合物が特定含量で含まれることによって、赤色感光性樹脂組成物の信頼性を増加させることができるため、カラーフィルター製造工程中の紫外線照射時、顔料の分解、異物発生および色度低下などの問題点を解決することができる。また、密着性が非常に優秀な赤色感光性樹脂組成物を提供することができ、特に光配向モデルに適用する際にも信頼性低下を抑制できる利点がある。
【0028】
具体的には、前記化学式1で表示される化合物と下記の化学式2で表示される化合物は2:8~8:2の重量比で含まれ、前記2:8~8:2の重量比とは、その間のすべての重量比を含むことができる。
【0029】
前記化学式1で表示される化合物と前記化学式2で表示される化合物が前記重量比内で含まれる場合、NMP耐溶剤性が優秀であるため好ましい。前記化学式1で表示される化合物と前記化学式2で表示される化合物が前記重量比から外れて含まれる場合、光配向(UV照射)後の耐化学特性が少々低下してNMP耐溶剤性が低下する恐れがあるため、前記重量比内で含まれることが好ましい。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記着色剤は本発明に係る赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して5~50重量部、好ましくは5~30重量部、さらに好ましくは5~10重量部で含まれ得る。
【0031】
前記着色剤が前記範囲内で含まれる場合、着色力、耐溶剤性または密着力が優秀な利点がある。
【0032】
前記着色剤が前記範囲未満で含まれる場合、着色力低下が発生する可能性があり、前記範囲を超過して含まれる場合、耐溶剤性または密着力が低下する可能性があるため、前記範囲内で含むことが好ましい。
【0033】
前記化学式1で表示される化合物または前記化学式2で表示される化合物は直接合成して使ってもよく、市販されている形態を購入して使ってもよい。前記化学式1で表示される化合物はC.I.ピグメントレッド254であり得、前記化学式2で表示される化合物の製品としてはBASF社のIrgaphor Red S 3620 CFが好ましい。
【0034】
本発明の一実施形態において、前記着色剤の全体100重量%に対して、前記C.I.ピグメントレッド177 5~70重量%、前記化学式1で表示される化合物5~60重量%および前記化学式2で表示される化合物5~60重量%で含まれ得る。
【0035】
前記C.I.ピグメントレッド177、前記化学式1で表示される化合物、前記化学式2で表示される化合物がそれぞれ前記範囲未満で含まれる場合、着色力が少々低下する可能性があり、前記範囲を超過する場合、パターン形成が少々困難となる可能性があるため、密着力低下の原因となる可能性がある。
【0036】
前記C.I.ピグメントレッド177、前記化学式1で表示される化合物および前記化学式2で表示される化合物が前記した含量範囲を満足しながらともに含まれる場合、密着力低下を防止することができ、信頼性を増加させることができるため、好ましい利点がある。
【0037】
前記着色剤は前記C.I.ピグメントレッド177、前記化学式1で表示される化合物、前記化学式2で表示される化合物のような赤色顔料以外にもさらに他の顔料を含むことができる。
【0038】
前記顔料は当該分野で一般的に使われる有機顔料または無機顔料を使うことができる。また、前記顔料は必要に応じてレジン処理、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体などを利用した表面処理、高分子化合物などによる顔料表面のグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理またはイオン交換法などによるイオン性不純物の除去処理などを実施することもできる。
【0039】
前記有機顔料は印刷インク、インクジェットインクなどに使われる各種顔料を使うことができ、具体的には水溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアントラキノニル顔料、アントラピリミジン顔料、アンタントロン顔料、インダントロン顔料、フラバントロン顔料、ピラントロン顔料、ジケトピロロピロール顔料などが挙げられる。
【0040】
また、前記無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩などの金属化合物を使用することができ、具体的には鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン、カーボンブラック、有機ブラック顔料、チタニウムブラックおよび赤色、緑色および青色を混合して黒色を帯びる顔料などの金属酸化物または複合金属酸化物などが挙げられる。
【0041】
前記顔料はその粒径が均一に分散された顔料分散液を使うことが好ましい。前記顔料の粒径を均一に分散させるための方法の一例として、顔料分散剤を含有させて分散処理する方法などが挙げられ、この方法によれば、顔料が溶液中に均一に分散された状態の顔料分散液を得ることができるため好ましい。
【0042】
前記顔料分散剤は例えば、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、陽性、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使うことができるが、これに限定されない。
【0043】
前記顔料の含量は前記顔料分散液中の全体固形分に対して重量分率で20~90重量%、好ましくは30~80重量%の範囲である。前記顔料の含量が前記の基準で20~90重量%の範囲であれば粘度が低く、保存安定性が優秀であり、分散効率が高くて明暗比の上昇に効果的であるため、好ましい。
【0044】
前記顔料分散剤は顔料の脱凝集および安定性維持のために添加されるもので、当該分野で一般的に用いられるものを制限なく使うことができる。具体的には、BMA(ブチルメタアクリレート)またはDMAEMA(N、N-ジメチルアミノエチルメタアクリレート)を含むアクリレート系分散剤を含有することが好ましい。この時、前記アクリレート系分散剤は韓国公開特許2004-0014311号で提示された通り、リビング制御方法によって製造されたものを適用することが好ましいが、前記リビング制御方法を通じて製造されたアクリレート系分散剤の市販品としてはDISPER BYK-2000、DISPER BYK-2001、DISPER BYK-2070、DISPER BYK-2150などが挙げられる。
【0045】
前記例示されたアクリル分散剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使うことができる。
【0046】
前記顔料分散剤は前記したアクリル分散剤の他に他の樹脂タイプの顔料分散剤を使うこともできる。前記他の樹脂タイプの顔料分散剤としては公知された樹脂タイプの顔料分散剤、特にポリウレタン、ポリアクリレートで代表されるポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の(部分的)アミン塩、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアミドホスフェート塩、ヒドロキシル基を含むポリカルボン酸のエステルおよびこれらの改質生成物、またはフリー(free)カルボキシル基を有するポリエステルとポリ(低級アルキレンイミン)の反応によって形成されたアミドまたはこれらの塩のような油質の分散剤;(メト)アクリル酸-スチレンコポリマー、(メト)アクリル酸-(メト)アクリレートエステルコポリマー、スチレン-マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンのような水溶性樹脂または水溶性ポリマー化合物;ポリエステル;改質ポリアクリレート;エチレンオキシド/プロピレンオキシドの付加生成物およびホスフェートエステルなどが挙げられる。
【0047】
前記した樹脂タイプ分散剤の市販品としては陽イオン系樹脂分散剤としては、例えば、BYK(ビッグ)ケミー社の商品名:DISPER BYK-160、DISPER BYK-161、DISPER BYK-162、DISPER BYK-163、DISPER BYK-164、DISPER BYK-166、DISPER BYK-171、DISPER BYK-182、DISPER BYK-184;BASF社の商品名:EFKA-44、EFKA-46、EFKA-47、EFKA-48、EFKA-4010、EFKA-4050、EFKA-4055、EFKA-4020、EFKA-4015、EFKA-4060、EFKA-4300、EFKA-4330、EFKA-4400、EFKA-4406、EFKA-4510、EFKA-4800;Lubirzol社の商品名:SOLSPERS-24000、SOLSPERS-32550、NBZ-4204/10;川研ファインケミカル社の商品名:ヒノアクト(HINOACT)T-6000、ヒノアクトT-7000、ヒノアクトT-8000;味の素社の商品名:アジスパー(AJISPUR)PB-821、アジスパーPB-822、アジスパーPB-823;共栄社化学社の商品名:フローレン(FLORENE)DOPA-17HF、フローレンDOPA-15BHF、フローレンDOPA-33、フローレンDOPA-44などが挙げられる。前記したアクリル分散剤の他に他の樹脂タイプの顔料分散剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使うことができ、アクリル分散剤と併用して使うこともできる。
【0048】
前記分散剤の含量は前記顔料の固形分100重量部に対して5~60重量部、さらに好ましくは15~50重量部で含まれ得るが、これに限定されない。ただし、前記分散剤の含量が前記基準で含まれる場合、分散後ゲル化のような現像を防止できるため、好ましい。前記分散剤の含量が5重量部未満の場合、顔料の微粒化が困難となる可能性があり、または分散後ゲル化現像が発生する可能性があり、前記分散剤の含量が50重量部を超過する場合、粘度が少々高くなる問題が発生する可能性がある。
【0049】
光重合開始剤
本発明に係る赤色感光性樹脂組成物は、下記の化学式3で表示される化合物を含む光重合開始剤を含む。下記の化学式3で表示される化合物は大韓民国公開特許10-2013-0115272号に記載されたベンゾカルバゾール化合物のオキシムエステル誘導体を利用することもできるが、これに限定されない。
【0050】
【化14】
[化学式3]
前記化学式3において、
~Rはそれぞれ独立的に水素、C-C20アルキル、
【化15】
、COR16、OR17、ハロゲン、NOまたは
【化16】
であるか;
またはRおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRはそれぞれ独立的に
【化17】
によって置換されたC-C10アルケニルであるか;
またはRおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRはそれぞれ独立的にともに-(CHp-Y-(CHq-であるか;
またはRおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRはそれぞれ独立的にともに
【化18】
であり;
ただし、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRのうち少なくとも一対は
【化19】
であり;
~R12はそれぞれ独立的に水素、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、フェニル、CN、OH、SH、C-C-アルコキシ、(CO)OHによって、または(CO)O(C-Cアルキル)により置換されたC-C20アルキルであるか;
またはR~R12はそれぞれ独立的に非置換されたフェニルまたは1個以上のC-Cアルキル、ハロゲン、CN、OR17、SR18によって、またはNR1920によって置換されたフェニルであるか;
またはR~R12はそれぞれ独立的にハロゲン、CN、OR17、SR18、SOR18、SO18またはNR1920であり、ここで置換基OR17、SR18またはNR1920は任意にナフチル環の炭素原子のうち1個とともにラジカルR17、R18、R19および/またはR20を通じて5-または6-員環を形成するか;
またはR~R12はそれぞれ独立的に
【化20】
、COR16またはNOであり;
YはO、S、NR26または直接結合であり;
pは整数0、1,2または3であり;
qは整数1,2または3であり;
XはCOまたは直接結合であり;
13は、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、R17、COOR17、OR17、SR18、CONR1920、NR1920、PO(OC2k+1によって、または
【化21】
によって置換されたC-C20アルキルであるか;
またはR13は1個以上のO、S、SO、SO、NR26またはCOが介在されたC-C20アルキルであるか;
または非介在されるかまたは1個以上のO、COまたはNR26が介在されたC-C12アルケニルであり、
ここで介在されたC-C20アルキルおよび非介在または介在されたC-C12アルケニルは非置換されるかまたは1個以上のハロゲンによって置換されるか;
またはR13はC-Cシクロアルケニル、C-C12アルキニル、または非介在されるかまたは1個以上のO、S、COまたはNR26が介在されたC-C10シクロアルキルであるか;
またはR13はフェニルまたはナフチルであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のOR17、SR18、NR1920
【化22】
、COR16、CN、NO、ハロゲン、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、1個以上のO、S、COまたはNR26が介在されたC-C20アルキルによって置換されるか、またはこれらのそれぞれはC-C10シクロアルキルによって、または1個以上のO、S、COまたはNR26が介在されたC-C10シクロアルキルによって置換され;
kは整数1-10であり;
14は水素、C-Cシクロアルキル、C-Cアルケニル、C-C20アルコキシ、または非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、フェニル、C-C20アルキルフェニルまたはCNによって置換されたC-C20アルキルであるか;
またはR14はフェニルまたはナフチルであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のC-Cアルキル、C-Cハロアルキル、ハロゲン、CN、OR17、SR18および/またはNR1920によって置換されるか;
またはR14はC-C20ヘテロアリール、C-Cアルコキシ、ベンジルオキシまたはフェノキシであり、前記ベンジルオキシおよびフェノキシは非置換されるかまたは1個以上のC-Cアルキル、C-Cハロアルキルおよび/またはハロゲンによって置換され;
15はC-C20アリールまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のフェニル、ハロゲン、C-Cハロアルキル、CN、NO、OR17、SR18、NR1920、PO(OC2k+1、SO-C-C10アルキル、SO-C-C10アルキルによって、1個以上のO、SまたはNR26が介在されたC-C20アルキルによって置換されるか、またはこれらのそれぞれは、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、COOR17、CONR1920、フェニル、C-Cシクロアルキル、C-C20ヘテロアリール、C-C20アリルオキシカルボニル、C-C20ヘテロアリルオキシカルボニル、OR17、SR18またはNR1920によって置換されたC-C20アルキルによって置換されるか;
またはR15は水素、C-C12アルケニル、非介在されるかまたは1個以上のO、COまたはNR26が介在されたC-Cシクロアルキルであるか;
またはR15は、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OR17、SR18、C-Cシクロアルキル、C-C20ヘテロアリール、C-C20アリルオキシカルボニル、C-C20ヘテロアリルオキシカルボニル、NR1920、COOR17、CONR1920、PO(OC2k+1
【化23】

【化24】
フェニルにより置換されたC-C20アルキルであり、前記C-C20アルキルはハロゲン、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、OR17、SR18またはNR1920によって置換されたフェニルにより置換されるか;
またはR15は1個以上のO、SOまたはSOが介在されたC-C20アルキルであり、前記介在されたC-C20アルキルは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OR17、COOR17、CONR1920、フェニルによりまたはOR17、SR18またはNR1920によって置換されたフェニルにより置換されるか;
またはR15はC-C20アルカノイル、または非置換されるかまたは1個以上のC-Cアルキル、ハロゲン、フェニル、OR17、SR18またはNR1920によって置換されたベンゾイルであり;
またはR15は非置換されるかまたは1個以上のOR17によって置換されたナフトイルであるか、またはC-C14ヘテロアリールカルボニルであるか;
またはR15は非介在されるかまたは1個以上のOが介在されたC-C12アルコキシカルボニルであり、前記非介在または介在されたC-C12アルコキシカルボニルは非置換されるかまたは1個以上のヒドロキシル基によって置換されるか;
またはR15は非置換されるかまたは1個以上のC-Cアルキル、ハロゲン、C-Cハロアルキル、フェニル、OR17、SR18またはNR1920によって置換されたフェノキシカルボニルであるか;
またはR15はCN、CONR1920、NO、C-Cハロアルキル、S(O)-C-Cアルキル;非置換されるかまたはC-C12アルキルまたはSO-C-Cアルキルによって置換されたS(O)-フェニルであるか;
またはR15は非置換されるかまたはC-C12アルキルによって置換されたSOO-フェニルであるか;またはジフェニルホスフィノイルまたはジ-(C-Cアルコキシ)-ホスフィノイルであり;
mは1または2であり;
R’14はR14と同じ意味を有し;
R’15はR15と同じ意味を有し;
はO、S、SOまたはSOであり;
はO、CO、Sまたは直接結合であり;
16はC-C20アリールまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のフェニル、ハロゲン、C-Cハロアルキル、CN、NO、OR17、SR18、NR1920によって、または1個以上のO、SまたはNR26が介在されたC-C20アルキルによって置換されるか、またはこれらのそれぞれは、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、COOR17、CONR1920、フェニル、C-Cシクロアルキル、C-C20ヘテロアリール、C-C20アリルオキシカルボニル、C-C20ヘテロアリルオキシカルボニル、OR17、SR18またはNR1920によって置換された1個以上のC-C20アルキルによって置換されるか;
またはR16は水素、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、フェニル、OH、SH、CN、C-Cアルケンオキシ、OCHCHCN、OCHCH(CO)O(C-Cアルキル)、O(CO)-(C-Cアルキル)、O(CO)-フェニル、(CO)OHまたは(CO)O(C-Cアルキル)により置換されたC-C20アルキルであるか;
またはR16は1個以上のO、SまたはNR26が介在されたC-C12アルキルであるか;
またはR16は(CHCHO)n+1H、(CHCHO)(CO)-(C-Cアルキル)、C-C12アルケニルまたはC-Cシクロアルキルであるか;
またはR16はSR18によって置換されたフェニルであり、ここでラジカルR18はCOR16基が付着されているカルバゾールモイエティーのフェニルまたはナフチル環に対する直接結合を現わし;
nは1~20の整数であり;
17は水素、フェニル-C-Cアルキル、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OH、SH、CN、C-Cアルケンオキシ、OCHCHCN、OCHCH(CO)O(C-Cアルキル)、O(CO)-(C-Cアルキル)、O(CO)-(C-C)アルケニル、O(CO)-フェニル、(CO)OH、(CO)O(C-Cアルキル)、C-C20シクロアルキル、SO-(C-Cハロアルキル)、O(C-Cハロアルキル)によりまたは1個以上のOが介在されたC-C20シクロアルキルによって置換されたC-C20アルキルであるか;
またはR17は1個以上のO、SまたはNR26が介在されたC-C20アルキルであるか;
またはR17はC-Cハロアルキルであるか;
またはR17は(CHCHO)n+1H、(CHCHO)(CO)-(C-Cアルキル)、C-Cアルカノイル、C-C12アルケニル、C-Cアルケノイル、または非介在されるかまたは1個以上のO、S、COまたはNR26が介在されたC-C20シクロアルキルであるか;
またはR17は非介在されるかまたは1個以上のOが介在されたC-Cアルキル-C-C10シクロアルキルであるか;
またはR17は非置換されるかまたは1個以上のC-Cアルキル、ハロゲン、OHまたはC-Cアルコキシによって置換されたベンゾイルであり;
またはR17はフェニル、ナフチルまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OH、C-C12アルキル、C-C12アルコキシ、CN、NO、フェニル-C-Cアルキルオキシ、フェノキシ、C-C12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、N(C-C12アルキル)、ジフェニルアミノまたは
【化25】
によって置換されるか;
またはR17は基
【化26】
または
【化27】
が位置したフェニルまたはナフチル環の炭素原子のうち1個に対する直接結合を形成し;
18は水素、C-C12アルケニル、C-C20シクロアルキルまたはフェニル-C-Cアルキルであり、ここでC-C12アルケニル、C-C20シクロアルキルまたはフェニル-C-Cアルキルは非介在されるかまたは1個以上のO、S、CO、NR26またはCOOR17が介在されるか;
またはR18は、非置換されるかまたは1個以上のOH、SH、CN、C-Cアルケンオキシ、OCHCHCN、OCHCH(CO)O(C-Cアルキル)、O(CO)-(C-C)アルケニル、O(CO)-(C-Cアルキル)、O(CO)-フェニルまたは(CO)OR17によって置換されたC-C20アルキルであるか;
またはR18は1個以上のO、S、CO、NR26またはCOOR17が介在されたC-C20アルキルであるか;
またはR18は(CHCHO)H、(CHCHO)(CO)-(C-Cアルキル)、C-CアルカノイルまたはC-Cアルケノイルであるか;
またはR18は非置換されるかまたは1個以上のC-Cアルキル、ハロゲン、OH、C-CアルコキシまたはC-Cアルキルスルファニルにより置換されたベンゾイルでるか;
またはR18はフェニル、ナフチルまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、C-C12アルキル、C-Cハロアルキル、C-C12アルコキシ、CN、NO、フェニル-C-Cアルキルオキシ、フェノキシ、C-C12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、N(C-C12アルキル)、ジフェニルアミノ、(CO)O(C-Cアルキル)、(CO)-C-Cアルキル、(CO)N(C-Cアルキル)または
【化28】
によって置換され;
19およびR20はそれぞれ独立的に水素、C-C20アルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-C10アルコキシアルキル、C-Cアルケニル、C-C20シクロアルキル、フェニル-C-Cアルキル、C-Cアルカノイル、C-Cアルカノイルオキシ、C-C12アルケノイル、SO-(C-Cハロアルキル)またはベンゾイルであるか;
またはR19およびR20はフェニル、ナフチルまたはC-C20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、C-Cハロアルキル、C-C20アルコキシ、C-C12アルキル、ベンゾイルまたはC-C12アルコキシによって置換されるか;
またはR19およびR20はこれらが付着されているN-原子とともに、非介在されるかまたはO、SまたはNR17が介在された5-または6-員飽和または不飽和環を形成し、前記5-または6-員飽和または不飽和環は非置換されるかまたは1個以上のC-C20アルキル、C-C20アルコキシ、=O、OR17、SR18、NR2122、(CO)R23、NO、ハロゲン、C-C-ハロアルキル、CN、フェニル、
【化29】
によって介在または非介在されるかまたは1個以上のO、S、COまたはNR17が介在されたC-C20シクロアルキルによって置換されるか;
またはR19およびR20はこれらが付着されているN-原子とともに、非置換されるかまたは1個以上のC-C20アルキル、C-Cハロアルキル、C-C20アルコキシ、=O、OR17、SR18、NR2122、(CO)R23
【化30】
、ハロゲン、NO、CN、フェニルによりまたは非介在されるかまたは1個以上のO、S、COまたはNR17が介在されたC-C20シクロアルキルによって置換されたヘテロ芳香族環系を形成し;
21およびR22はそれぞれ独立的に水素、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、C-C10シクロアルキルまたはフェニルであるか;
またはR21およびR22はこれらが付着されているN-原子とともに、非介在されるかまたはO、SまたはNR26が介在された5-または6-員飽和または不飽和環を形成し、前記5-または6-員飽和または不飽和環は縮合されないかまたは前記5-または6-員飽和または不飽和環にベンゼン環が縮合され;
23は水素、OH、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、非介在されるかまたは1個以上のO、COまたはNR26が介在されたC-C20アルキル、非介在されるかまたはO、S、COまたはNR26が介在されたC-C20シクロアルキルであるか、またはR23はフェニル、ナフチル、フェニル-C-Cアルキル、OR17、SR18またはNR2122であり;
24は(CO)OR17、CONR1920、(CO)R17であるか;またはR24はR19およびR20と同じ意味を有し;
25はCOOR17、CONR1920、(CO)R17であるか;またはR25はR17と同じ意味を有し;
26は水素、C-C20アルキル、C-Cハロアルキル、1個以上のOまたはCOが介在されたC-C20アルキルであるか、またはフェニル-C-Cアルキル、非介在されるかまたは1個以上のOまたはCOが介在されたC-Cシクロアルキルであるか、または(CO)R19であるか、または非置換されるかまたは1個以上のC-C20アルキル、ハロゲン、C-Cハロアルキル、OR17、SR18、NR1920または
【化31】
によって置換されたフェニルであり;
ただし、少なくとも一つの基
【化32】
または
【化33】
が分子内に存在する。
【0051】
化学式3の化合物はこれらがカルバゾールモイエティーで一つ以上のアネレートされた不飽和環(ら)を含むことを特徴とする。すなわち、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRのうち少なくとも一対は
【化34】
である。
【0052】
本発明に記載されたアルキル、アルコキシおよびその他にアルキル部分を含む置換体は直鎖または分枝鎖形態をすべて含み、シクロアルキルは単一環系だけでなく様々な環系炭化水素も含む。本発明に記載されたアリールは一つの水素除去によって芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、各環に適切には4~7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単一または融合環系を含み、多数個のアリールが単一結合で連結されている形態まで含む。ヒドロキシアルキルは前記で定義されたアルキルにヒドロキシ基が結合されたOH-アルキルを意味し、ヒドロキシアルコキシアルキルは前記ヒドロキシアルキルにアルコキシが結合されたヒドロキシアルキル-O-アルキルを意味する。
【0053】
本発明に記載されたアルキルはすべて炭素および水素原子のみからなり、不飽和度がなく、単一結合によって分子の残りに結合される直鎖または測鎖型の炭化水素鎖ラジカルを意味する。
【0054】
-C20アルキルは線形または分枝型であり、例えばC-C18-、C-C14-、C-C12-、C-C-、C-C-またはC-CアルキルまたはC-C12-またはC-Cアルキルである。例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4-トリメチルペンチル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびイコシルである。C-CアルキルはC-原子の相応する数までC-C20アルキルに対して前記提供された内容と同じ意味を有する。
【0055】
1個以上のC-C多重結合を含有する非置換または置換されたC-C20アルキルは下記に説明されたようなアルケニルを指し示す。
【0056】
-Cハロアルキルは下記定義されたようなハロゲンによって置換された前記定義されたようなC-Cアルキルである。アルキルラジカルは例えば単一-または多重-ハロゲン化(すべてのH-原子がハロゲンに取り替えられるまで)される。これは例えば、CHal(ここで、x+y=2n+1であり、Halはハロゲン、好ましくはFである)である。具体的な例はクロロメチル、トリクルロロメチル、トリフルオロメチルまたは2-ブロモプロピル、特にトリフルオロメチルまたはトリクルロロメチルである。
【0057】
-Cヒドロキシアルキルは1または2個のO-原子によって置換されたC-Cアルキルを意味する。アルキルラジカルは線形または分枝型である。例としては2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、2,3-ジヒドロキシプロピルまたは2,4-ジヒドロキシブチルである。
【0058】
-C10アルコキシアルキルは1個のO-原子が介在されたC-C10アルキルである。C-C10アルキルはC-原子の相応する数までC-C20アルキルに対して前記提供された内容と同じ意味を有する。例としてはメトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピルである。
【0059】
1個以上のO、S、NR26またはCOが介在されたC-C20アルキルは例えばO、S、NR26またはCOが1-9、1-5、1-3または1または2回介在される。1個超過の介在ラジカルが存在する場合に、これらは同じ種類であるかまたは異なる。2個のO-原子は1個以上のメチレン基、好ましくは2個以上のメチレン基、すなわちエチレンによって分離される。アルキル基は線形または分枝型である。例えば、下記の構造単位-CH-CH-O-CHCH、-[CHCHO]-CH(ここで、y=1-9である)、-(CH-CHO)-CHCH、-CH-CH(CH)-O-CH-CHCH、-CH-CH(CH)-O-CH-CH、-CH-CH-S-CHCH、-CH-CH(CH)-NR26-CH-CH、-CH-CH-COO-CHCHまたは-CH-CH(CH)-OCO-CH-CHCHが発生するであろう。
【0060】
本発明でC-C10シクロアルキル、C-Cシクロアルキルは1個以上の環を含むアルキルとして理解されるべきである。これは例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、特にシクロペンチルおよびシクロヘキシルである。本発明の文脈でC-C10シクロアルキルはまたビサイクリック環、すなわち架橋された環、例えば、
【化35】

【化36】

【化37】
および相応する環を含むものと意図される。追加の例は
【化38】

【化39】

【化40】
であり、より詳細には
【化41】
、または
【化42】
のような構造であるだけでなく架橋または融合された環系、例えば
【化43】

【化44】
などがまた前記用語によって含まれるものと意図される。
【0061】
O、S、CO、NR26が介在されたC-C20シクロアルキルは、アルキルの1個以上のCH-基がO、S、COまたはNR26で取り替えられた、前記提供された意味を有する。
【0062】
-Cアルキル-C-C10シクロアルキルは8個以下の炭素原子を有する1個以上のアルキル基によって置換された前記定義されたようなC-C10シクロアルキルである。1個以上のOが介在されたC-Cアルキル-C-C10シクロアルキルは8個以下の炭素原子を有する1個以上のアルキル基によって置換された前記定義されたようなO-介在されたC-C10シクロアルキルである。
【0063】
-C12アルコキシは1個のO-原子によって置換されたC-C12アルキルである。C-C12アルキルはC-原子の相応する数までC-C20アルキルに対して前記提供された内容と同じ意味を有する。C-Cアルコキシは線形または分枝型であり、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert-ブチルオキシである。C-CアルコキシおよびC-CアルコキシはC-原子の相応する数まで前記と同じ意味を有する。
【0064】
-C12アルキルスルファニルは1個のS-原子によって置換されたC-C12アルキルである。C-C12アルキルはC-原子の相応する数までC-C20アルキルに対して前記提供された内容と同じ意味を有する。C-Cアルキルスルファニルは線形または分枝型であり、例えばメチルスルファニル、エチルスルファニル、プロピルスルファニル、イソプロピルスルファニル、n-ブチルスルファニル、sec-ブチルスルファニル、イソブチルスルファニル、tert-ブチルスルファニルである。
【0065】
フェニル-C-Cアルキルは例えばベンジル、フェニルエチル、α-メチルベンジルまたはα,α-ジメチルベンジル、特にベンジルである。
【0066】
フェニル-C-Cアルコキシルは例えばベンジルオキシ、フェニルエチルオキシ、α-メチルベンジルオキシまたはα,α-ジメチルベンジルオキシ、特にベンジルオキシである。
【0067】
-C12アルケニルラジカルは単一-または多重不飽和され、例えばC-C10-、C-C-、C-C-アルケニル、例えばビニル、アリル、メトアリル、1,1-ジメチルアリル、1-ブテニル、3-ブテニル、2-ブテニル、1,3-ペンタジエニル、5-ヘキセニル、7-オクテニルまたはトデセニル、特にアリルである。C-CアルケニルラジカルはC-原子の相応する数までC-C12アルケニルラジカルに対して前記提供された内容と同じ意味を有する。
【0068】
1個以上のO、COまたはNR26が介在されたC-C12アルケニルは例えばO、S、NR26またはCOが1-9、1-5、1-3または1または2回介在される。1個超過の介在ラジカルが存在する場合に、これらは同じ種類であるかまたは異なる。2個のO-原子は1個以上のメチレン基、好ましくは2個以上のメチレン基、すなわちエチレンによって分離される。アルケニル基は線形または分枝型であり、前記の通りに定義される。例えば下記の構造単位-CH=CH-O-CHCH、-CH=CH-OCH=CHなどが形成され得る。
【0069】
-Cシクロアルケニルは1個以上の二重結合を有し、例えばC-CシクロアルケニルまたはC-Cシクロアルケニルである。例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニまたはシクロオクテニル、特にシクロペンテニルおよびシクロヘキセニル、好ましくはシクロヘキセニルである。
【0070】
-Cアルケンオキシは単一または多重不飽和であり、C-原子の相応する数まで付着されたオキシ基を有する前記アルケニルと同じ意味を有する。例えば、アリルオキシ、メトアリルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテンオキシ、1,3-ペンタジエニルオキシ、5-ヘキセニルオキシである。
【0071】
-C12アルキニルは単一または多重不飽和され、線形または分枝型であり、例えばC-C-、C-C-またはC-Cアルキニルである。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、1-ブチニル、3-ブチニル、2-ブチニル、ペンチニル、へキシニル、2-へキシニル、5-へキシニル、オクチニルなどである。
【0072】
-C20アルカノイルは線形または分枝型であり、例えばC-C18-、C-C14-、C-C12-、C-C-、C-C-またはC-CアルカノイルまたはC-C12-またはC-Cアルカノイルである。例としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、イソブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、トデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、イコサノイル、好ましくはアセチルである。C-CアルカノイルはC-原子の相応する数までC-C20アルカノイルに対して前記提供された内容と同じ意味を有する。
【0073】
-C12アルコキシカルボニルは線形または分枝型であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、n-ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、1,1-ジメチルプロポキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘブチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニルまたはドデシルオキシカルボニル、特にメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、n-ブチルオキシカルボニルまたはイソ-ブチルオキシカルボニル、好ましくはメトキシカルボニルである。
【0074】
1個以上のOが介在されたC-C12アルコキシカルボニルは線形または分枝型である。2個のO-原子は2個以上のメチレン基、すなわちエチレンによって分離される。前記介在されたアルコキシカルボニルは非置換されるかまたは1個以上のヒドロキシル基によって置換される。
【0075】
-C20アリルオキシカルボニルは例えばフェニルオキシカルボニル[=フェニル-O-(CO)-]、ナブチルオキシカルボニル、アントリルオキシカルボニルなどである。
【0076】
-C20ヘテロアリルオキシカルボニルはC-C20ヘテロアリール-O-CO-である。
【0077】
-C10シクロアルキルカルボニルはC-C10シクロアルキル-CO-であり、ここでシクロアルキルはC-原子の相応する数まで前記示した意味のうち一つを有する。
【0078】
1個以上のO、S、CO、NR26が介在されたC-C10シクロアルキルカルボニルは介在されたシクロアルキル-CO-を指し示し、ここで介在されたシクロアルキルは前記記載された通り定義される。
【0079】
-C10シクロアルキルオキシカルボニルはC-C10シクロアルキル-O-(CO)-であり、ここでシクロアルキルはC-原子の相応する数まで前記示した意味のうち一つを有する。
【0080】
1個以上のO、S、CO、NR26が介在されたC-C10シクロアルキルオキシカルボニルは介在されたシクロアルキル-O-(CO)-を指し示し、ここで介在されたシクロアルキルは前記記載された通り定義される。
【0081】
-C20アルキルフェニルは1個以上のアルキル基によって置換されたフェニルを指し示し、ここでC原子の合計は20個以下である。
【0082】
-C20アリールは例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレンなど、特にフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルである。
【0083】
ナフチルは1-ナフチルまたは2-ナフチルである。
【0084】
本発明の文脈でC-C20ヘテロアリールは1個の環または多重環系、例えば、融合された環系を含むものと意図される。例えば、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ジベンゾフリル、クロメニル、クサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ピュリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ぺリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、7-フェナントリル、アントラキノン-2-イル(=9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-イル)、3-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、2-ベンゾ[b]チエニル、4-ジベンゾフリル、4,7-ジベンゾフリル、4-メチル-7-ジベンゾフリル、2-クサンテニル、8-メチル-2-クサンテニル、3-クサンテニル、2-フェノキシアチイニル、2,7-フェノキサチイニル、2-ピロリル、3-ピロリル、5-メチル-3-ピロリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、2-メチル-4-イミダゾリル、2-エチル-4-イミダゾリル、2-エチル-5-イミダゾリル、1H-テトラゾール-5-イル、3-ピラゾリル、1-メチル-3-ピラゾリル、1-プロピル-4-ピラゾリル、2-ピラジニル、5、6-ジメチル-2-ピラジニル、2-インドリジニル、2-メチル-3-イソインドリル、2-メチル-1-イソインドリル、1-メチル-2-インドリル、1-メチル-3-インドリル、1,5-ジメチル-2-インドリル、1-メチル-3-インダゾリル、2,7-ジメチル-8-ピュリニル、2-メトキシ-7-メチル-8-ピュリニル、2-キノリジニル、3-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、3-メトキシ-6-イソキノリル、2-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、2-メトキシ-3-キノリル、2-メトキシ-6-キノリル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、1-メトキシ-6-フタラジニル、1,4-ジメトキシ-6-フタラジニル、1,8-ナフチリジン-2-イル、2-キノキサリニル、6-キノキサリニル、2,3-ジメチル-6-キノキサリニル、2,3-ジメトキシ-6-キノキサリニル、2-キナゾリニル、7-キナゾリニル、2-ジメチルアミノ-6-キナゾリニル、3-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、3-メトキシ-7-シンノリニル、2-プテリジニル、6-プテリジニル、7-プテリジニル、6,7-ジメトキシ-2-プテリジニル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、9-メチル-2-カルバゾリル、9-メチル-3-カルバゾリル、β-カルボリン-3-イル、1-メチル-β-カルボリン-3-イル、1-メチル-β-カルボリン-6-イル、3-フェナントリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、2-ぺリミジニル、1-メチル-5-ぺリミジニル、5-フェナントロリニル、6-フェナントロリニル、1-フェナジニル、2-フェナジニル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、2-フェノチアジニル、3-フェノチアジニル、10-メチル-3-フェノチアジニル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、4-メチル-3-フラザニル、2-フェノキサジニル、10-メチル-2-フェノキサジニルなどである。
【0085】
-C20ヘテロアリールは特にチエニル、ベンゾ[b]チエニル、チアントレニル、チオキサンチル、1-メチル-2-インドリルまたは1-メチル-3-インドリル;特にチエニルである。
【0086】
-C20ヘテロアリールカルボニルはCO基を通じて分子の残りに連結される前記定義されたようなC-C20ヘテロアリール基である。
【0087】
置換されたアリールラジカルフェニル、ナフチル、C-C20アリールまたはC-C20ヘテロアリールはそれぞれ1~7回、1~6回または1~4回、特に1,2または3回置換される。定義されたアリールラジカルがアリール環での自由位置より多くの置換基を有することができないことが明らかである。
【0088】
フェニル環上の置換基は好ましくは、フェニル環上で位置4でまたは3,4-、3,4,5-、2,6-、2,4-または2,4,6-配位で存在する。
【0089】
一回以上介在されるラジカルは例えば1-19、1-15、1-12、1-9、1-7、1-5、1-4、1-3または1または2回介在される(介在原子の数が介在されるC-原子の数により変わることが明らかである)。
【0090】
一回以上置換される、置換されたラジカルは例えば1-7、1-5、1-4、1-3または1または2個の同一であるか異なる置換基を有する。
【0091】
1個以上の定義された置換基によって置換されたラジカルは提供されたような同一であるか異なる定義の1個の置換基であるか、より多くの置換基を有するものと意図される。
【0092】
ハロゲンはフルオリン、塩素、ブロミンおよびアイオダイン、特にフルオリン、塩素およびブロミン、好ましくはフルオリンおよび塩素である。
【0093】
およびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびR、RおよびR、RおよびRがそれぞれ独立的に一緒の場合に例えば下記の構造Ia-Iiが形成される:
【化45】
【化46】
または
【化47】
【化48】
【化49】
のような構造が好ましい。
【0094】
化学式3の化合物に対して特性化することは1個以上のフェニル環がカルバゾールモイエティーに縮合されて「ナフチル」環を形成することである。これは前記構造の中の一つが化学式3で提供されるということである。
【0095】
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRがそれぞれ独立的にともに-(CHp-Y-(CHq-である場合に、例えば
【化50】

【化51】
のような構造などが形成される。
【0096】
フェニルまたはナフチル環上の置換基OR17、SR18、SOR18、SO18またはNR1920がナフチル環の炭素原子のうち1個を有するラジカルR17、R18、R19および/またはR20を通じて5-または6-員環を形成する場合に、3個以上の環(ナフチル環を含む)を含む構造が収得される。
【0097】
17
【化52】
または
【化53】
が位置するフェニルまたはナフチル環の炭素原子のうち1個に対する直接結合を形成する場合に、例えば
【化54】

【化55】
などのような構造が形成される。
【0098】
16がSR18(ここで、ラジカルR18はCOR16基が付着されているカルバゾールモイエティーのフェニルまたはナフチル環に対する直接結合を現わす)により置換されたフェニルである場合に、例えば
【化56】

【化57】

【化58】

【化59】
などのような構造が形成される。すなわち、R16がSR18(ここで、ラジカルR18はCOR16基が付着されているカルバゾールモイエティーのフェニルまたはナフチル環に対する直接結合を現わす。)により置換されたフェニルである場合に、カルバゾールモイエティーのフェニル環またはナフチル環の中の一つとともにチオキサンチルモイエティーが形成される。
【0099】
19およびR20がこれらが付着されたN原子とともに任意にO、SまたはNR17が介在された5-または6-員飽和または不飽和環を形成する場合に、飽和または不飽和環、例えばアジリジン、ピロール、チアゾール、ピロリジン、オキサソール、ピリジン、1,3-ダイアジン、1,2-ダイアジン、ピペリジンまたはモルホリンが形成される。
【0100】
好ましくは、R19およびR20がこれらが付着されているN-原子とともに任意にO、SまたはNR17が介在された5-または6-員飽和または不飽和環を形成する場合に、介在されないかOまたはNR17、特にOが介在された5-または6-員飽和環が形成される。
【0101】
21およびR22がこれらが付着されたN-原子とともに任意にO、SまたはNR26が介在して飽和または不飽和環に任意にベンゼン環が縮合された5-または6-員飽和または不飽和環を形成する場合に、飽和または不飽和環、例えばアジリジン、ピロール、チアゾール、ピロリジン、オキサソール、ピリジン、1,3-ダイアジン、1,2-ダイアジン、ピペリジンまたはモルホリン、または相応するアネレートされた環、例えば
【化60】
などが形成される。
【0102】
19およびR20がこれらが付着されているN-原子とともにヘテロ芳香族環系を形成する場合に、前記環系は1個超過の環、例えば2個または3個の環、また、1個または同じ種類または相異する種類の1個超過のヘテロ原子を含むものと意図される。適合したヘテロ原子は、例えばN、S、OまたはP、特にN、SまたはOである。
【0103】
例えば、カルバゾール、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、カルボリンまたはフェノチアジンなどである。
【0104】
本発明のさらに他の実施形態において、前記赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して、前記光重合開始剤が0.1~15重量部で含まれ得る。前記光重合開始剤を好ましくは0.1~10重量部、さらに好ましくは0.5~5重量部で含まれ得る。
【0105】
前記光重合開始剤が前記範囲内で含まれる場合、前記赤色感光性樹脂組成物が高感度化されて前記赤色感光性樹脂組成物を使って形成した画素部の強度や前記画素部の表面での平滑性が良好になる傾向があるため、好ましい。
【0106】
前記光重合開始剤が前記範囲未満で含まれる場合、画素部の形成が少々困難であり得、前記光重合開始剤が前記範囲を超過して含まれる場合、前記画素部の表面での平滑性が少々低下する恐れがある問題点がある。
【0107】
本発明のさらに他の実施状態において、前記赤色感光性樹脂組成物はアルカリ可溶性バインダー樹脂、光重合性化合物、溶剤および添加剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0108】
アルカリ可溶性バインダー樹脂
本発明に係る赤色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性バインダー樹脂を含むことができる。
【0109】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂はパターンを形成する時の現像処理工程で利用されるアルカリ現像液に対して可溶性を有するためにカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を必須成分として共重合して製造することができる。
【0110】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂は染料との相溶性および赤色感光性樹脂組成物の保存安定性を確保するために30~150mgKOH/gの酸価を有することが好ましい。
【0111】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂の酸価が30mgKOH/g未満である場合、赤色感光性樹脂組成物が十分な現像速度を確保することが困難であり、150mgKOH/gを超過する場合、基板との密着性が減少してパターンの短絡が発生しやすくなり、染料との相溶性が問題が発生して青色感光性樹脂組成物内の染料が析出されるか赤色感光性樹脂組成物の保存安定性が低下して粘度が上昇しやすくなる。
【0112】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂の追加的な現像性を確保するために水酸基を付与することができる。水酸基を付与する場合、現像速度が改善される効果があるがアルカリ可溶性バインダー樹脂と光重合性化合物の水酸化基値の合計が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下に限定される。水酸化基の合計が50mgKOH/g未満である場合、十分な現像速度を確保することができず、250mgKOH/gを超過する場合、形成されるパターンの寸法安定性が低下してパターンの直進性が不良となりやすく、染料との相溶性が低下して保存安定性の問題が発生しやすい。
【0113】
前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体は、具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸などのモノカルボキシル酸類;フマル酸、メサコン酸、イタコン酸などのジカルボキシル酸類;およびこれらジカルボキシル酸の無水物;ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどの両末端にカルボキシル基と水酸基を有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類などが挙げられ、アクリル酸、メタアクリル酸が好ましい。
【0114】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂に水酸基を付与するためにはカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合して製造することができ、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の共重合体にグリシジル基を有する化合物を追加で反応させて製造することができる。またカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の共重合体に追加でグリシジル基を有する化合物を反応させて製造することができる。
【0115】
前記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチルアクリルアマイドなどがあり、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、2種以上を組み合わせて使うことができる。
【0116】
前記グリシジル基を有する化合物の具体的な例としては、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルプロピルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、グリシジルブチレート、グリシジルメチルエーテル、エチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジル4-t-ブチルベンゾエート、グリシジルステアレート、アリールグリシジルエーテル、メタアクリル酸グリシジルエーテルなどがあり、ブチルグリシジルエーテル、アリールグリシジルエーテル、メタアクリル酸グリシジルエーテルが好ましく、2種以上を組み合わせて使うことができる。
【0117】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂の製造時に共重合可能な不飽和単量体は下記に例示されるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0118】
共重合可能な不飽和結合を有する重合単量体の具体的な例としては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;N-シクロヘキシルマレイミド、N-ペンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-o-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-m-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-p-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-o-メチルフェニルマレイミド、N-m-メチルフェニルマレイミド、N-p-メチルフェニルマレイミド、N-o-メトキシフェニルマレイミド、N-m-メトキシフェニルマレイミド、N-p-メトキシフェニルマレイミドなどのN-置換マレイミド系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0 2、6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、2-ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環族(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート類;3-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-トリフルオロメチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)-2-フェニルオキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2-(メタクリロイルオキシメチル)-4-トリフルオロメチルオキセタンなどの不飽和オキセタン化合物などがある。
【0119】
前記不飽和単量体はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使うことができる。
【0120】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂は直接合成して使ってもよく、市販されている形態を購入して使ってもよい。前記アルカリ可溶性バインダー樹脂の市販品は、例えば、昭和電工社のSPCY-1Lなどがあるがこれに限定されない。
【0121】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂の含量はアルカリ可溶性バインダー樹脂と光重合性化合物の水酸化基値の合計が50mgKOH/g~250mgKOH/gである条件を満足しなければならず、赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して1~40重量部、好ましくは5~30重量部、さらに好ましくは9~20重量部で含まれることが好ましい。
【0122】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂が前記範囲内で含まれる場合、現像液での溶解性が充分となってパターン形成が容易であり、現像時に露光部の画素の部分の膜減少が防止されて非画素部分の脱落性が良好となるため好ましい。
【0123】
前記アルカリ可溶性バインダー樹脂が前記範囲未満で含まれる場合、非画素部分が少々脱落される可能性があり、前記アルカリ可溶性バインダー樹脂が前記範囲を超過して含まれる場合、現像液での溶解性が少々低下してパターン形成が少々困難となり得る。
【0124】
光重合性化合物
本発明の赤色感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物は、光および後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0125】
前記単官能単量体の種類は特に限定されず、例えばノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0126】
前記2官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0127】
前記多官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレイテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシレイテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0128】
前記光重合性化合物の市販される例としては、新中村社のA9550などがあるが、これに限定されない。
【0129】
前記光重合性化合物は前記赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して1~20重量部、好ましくは1~15重量部、さらに好ましくは3~10重量部で含まれ得、前記範囲内で含まれる場合、画素部の強度や平滑性の側面で好ましい利点がある。
【0130】
前記光重合性化合物が前記範囲未満で含まれる場合、画素部の強度が少々低下する可能性があり、前記光重合性化合物が前記範囲を超過して含まれる場合、平滑性が少々低下する可能性があるため、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0131】
溶剤
本発明の赤色感光性樹脂組成物に含まれる溶剤は特に制限されず、赤色感光性樹脂組成物の分野で使われている各種有機溶剤を使うことができる。
【0132】
前記溶剤は具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、などのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0133】
前記の溶剤は塗布性および乾燥性の面で、好ましくは前記溶剤のうち沸点が100℃~200℃である有機溶剤が挙げられ、より好ましくはアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ単独でまたは二種類以上混合して使うことができる。
【0134】
本発明の赤色感光性樹脂組成物中の溶剤の含量はそれを含む赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して20~85重量部で含まれ得、30~80重量部で含まれることが好ましく、40~78重量部で含まれることがより好ましい。
【0135】
前記溶剤の含量が前記範囲以内で含まれる場合にはロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時に塗布性が良好となり得るため、好ましい。前記溶剤の含量が前記範囲未満で含まれる場合、塗布性が少々低下することによって工程が困難となる可能性があり、前記範囲を超過する場合、前記赤色感光性樹脂組成物で形成されたカラーフィルターの性能が少々低下する問題が発生する可能性がある。
【0136】
本発明に係る赤色感光性樹脂組成物は、この他にも、他の高分子化合物、硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤のような添加剤をさらに含むこともでき、前記添加剤は本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適切に追加して使用することもできるが、好ましくは前記赤色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して0.05~1重量部、好ましくは0.09~0.5重量部で含まれ得る。
【0137】
例えば、本発明に係る赤色感光性樹脂組成物は、シリコン系レベリング剤であるSH-8400などをさらに含むことができる。
【0138】
<カラーフィルター>
本発明のさらに他の様態は前述した赤色感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターに関するものである。
【0139】
前記カラーフィルターは基板および前記基板の上部に形成されたパターン層を含む。
【0140】
前記基板は前記カラーフィルター自体基板であり得、またはディスプレイ装置などにカラーフィルターが位置する部位でもあり得るものであって、特に制限されない。前記基板はガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)または高分子基板であり得、前記高分子基板はポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであり得る。
【0141】
前記パターン層は本発明の赤色感光性樹脂組成物を含む層であって、前記赤色感光性樹脂組成物を塗布して所定のパターンに露光、現像および熱硬化して形成された層であり得る。前記パターン層は当業界で通常的に知られた方法を遂行することによって形成することができる。
【0142】
前記のような基板およびパターン層を含むカラーフィルターは各パターン間に形成された隔壁をさらに含むことができ、ブラックマトリックスをさらに含むことができるがこれに限定されない。
【0143】
また、前記カラーフィルターのパターン層の上部に形成された保護膜をさらに含むこともできる。
【0144】
<画像表示装置>
また、本発明の他の様態は前述したカラーフィルターを含む画像表示装置に関するものである。
【0145】
本発明のカラーフィルターは、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種画像表示装置に適用可能である。
【0146】
本発明の画像表示装置は光効率が優秀で高い輝度を現わし、色再現性が優秀で、高いコントラストを現わすことができる。
【実施例
【0147】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は多様な他の形態に変形することができ、本明細書の範囲は下記の実施例に限定されない。本明細書の実施例は当業界で平均的な知識を有した者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下で含量を表わす「%」および「部」は特に言及しない限り重量基準である。
【0148】
合成例:光重合開始剤(C-1)合成
下記のstep1~4に開示された手続きにより光重合開始剤C-1を合成した。
【0149】
step1:13-(2-エチルヘキシル)-13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール
13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾールは特定手続き、例えば、文献[SYNLETT、2006、7、1021]に記載された手続きにより製造することができる。
【0150】
DMF(3ml)中の13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール(0.70g;3.22mol)に0℃で水素化ナトリウム(0.19g;4.67mmol)を添加した。0℃で1時間の間撹はんした後、1-ナフチルヒドラジンヒドロクロライド(1.24g;6.44mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で一晩撹はんした。反応混合物を氷水に注ぎ、粗生成物を酢酸エチルエステルで2回抽出した。混合した有機層をHOおよび塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、濃縮させ、真空下で乾燥させて黄色液体を粗生成物(1.08g)として収得した。生成物を後続反応に追加の精製なく使用した。
【0151】
step2:(13-(2-エチルヘキシル)-5-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール-8-イル]-[4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)-フェニル]-メタノンの合成
塩化メチレン(400mL)中の13-(2-エチルヘキシル)-13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール(47.16g;143.0mmol)に0℃で2,4,6-トリメチルベンゾイルクロライド(27.45g;150.0mol)および塩化アルミニウム(20.00g;150.0mol)を添加した。室温で2時間の間撹はんした後、塩化アルミニウム(22.93g;172.0mol)を0℃で添加し、2,4,6-トリメチルベンゾイルクロライド(23.78g;150.0mol)を滴加した後、混合物を室温で3時間の間撹はんした。反応混合物を氷水に注ぎ、粗生成物を塩化メチレンで2回抽出した。混合した有機層を水および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。n-ヘキサン230mlをこれに添加した後、塩化メチレンを濃縮によって除去してベージュ色の固体を収得した。これを濾過によって収集し、n-ヘキサンで洗浄した後、これを乾燥させてベージュ色の固体(81.81g;95.7%)を収得した。
【0152】
step3:(13-(2-エチルヘキシル)-5-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール-8-イル]-[4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)-フェニル]-メタノンオキシムの合成
ピリジン(10mL)中の(13-(2-エチルヘキシル)-5-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール-8-イル]-[4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)-フェニル]-メタノン(5.98g;10.0mol)に室温で2-メトキシエタノール(2.28g;30.00mol)およびカリウムtert-ブトキシド(1.68g;15.00mol)を添加した。混合物を80℃で加熱し、これを3.5時間の間撹はんした。反応混合物にヒドロキシルアンモニウムクロライド(2.08g;30.00mol)を添加した後、混合物を100℃で一晩撹はんした。これを室温で冷却させた後、反応混合物を水200mlに注いだ。沈殿した固体を濾過によって収集した後、これをメタノールで洗浄した。目的化合物を白色の固体で71%歩留まり(4.73g)で収得した。
【0153】
step4:(13-(2-エチルヘキシル)-5-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール-8-イル]-[4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)-フェニル]-メタノンオキシムO-アセテートの合成
アセトン(20ml)中の(13-(2-エチルヘキシル)-5-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-13H-ジベンゾ[a、i]カルバゾール-8-イル]-[4-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)-フェニル]-メタノン(2.59g;3.87mol)に0℃でトリエチルアミン(0.78g;7.74mol)およびアセチルクロライド(0.61g;7.74mol)を添加した。混合物を2時間の間撹はんした。反応が完結した後、反応混合物を水に添加した。引き続き、粗生成物をtert-ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を水および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮させて残留物を収得した。この残留物をtert-ブチルメチルエーテルで再結晶化させて白色の固体(2.00g;73%)を収得した。生成物は異性体混合物で構成された。
【0154】
製造例1.赤色顔料液相組成物(D-1)
顔料として<化学式1>で表示されるC.I.ピグメントレッド254(Cl-DPP)の40重量部、分散剤としてBYK2001(ディスパビック:ビックケミー(BYK)社製造、固形分濃度45.1重量%)24重量部(固形分換算約10.8重量部)および溶剤としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート136重量部を含む混合液をビーズミルにより12時間の間混合・分散して、赤色顔料液相組成物(D-1)を製造した。
【0155】
製造例2.赤色顔料液相組成物(D-2)
顔料として<化学式2>で表示されるブロム化ジケトピロロピロール(Br-DPP、BASF社のIrgaphor Red S 3620 CF)の40重量部、分散剤としてBYK2001(ディスパビック:ビックケミー(BYK)社製造、固形分濃度45.1重量%)24重量部(固形分換算約10.8重量部)および溶剤としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート136重量部を含む混合液をビーズミルにより12時間の間混合・分散して、赤色顔料液相組成物(D-2)を製造した。
【0156】
製造例3.赤色顔料液相組成物(D-3)
顔料としてC.I.ピグメントレッド177の40重量部、分散剤としてBYK2001(ディスパビック:ビックケミー(BYK)社製造、固形分濃度45.1重量%)24重量部(固形分換算約10.8重量部)および溶剤としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート136重量部を含む混合液をビーズミルにより12時間の間混合・分散して、赤色顔料液相組成物(D-3)を製造した。
【0157】
実施例および比較例
【0158】
下記の表1に記載されている組成により実施例および比較例に係る赤色感光性樹脂組成物を製造した。
【0159】
【表1】
アルカリ可溶性バインダー樹脂(A):SPCY-1L(昭和電工社)
光重合性化合物(B):A9550(新中村社)
光重合開始剤(C)
C-1:合成例1の光重合開始剤
C-2:I-369(バスフ)
C-3:OXE-01(バスフ)
顔料分散液(D)
D-1:製造例1の赤色顔料液相組成物
D-2:製造例2の赤色顔料液相組成物
D-3:製造例3の赤色顔料液相組成物
添加剤(E):シリコン系レベリング剤SH-8400(Dow Corning Toray社)
溶剤(F):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0160】
(1)カラーフィルターの製造
製造された赤色感光性樹脂組成物をガラス基板の上部にスピンコート法で塗布した後、加熱板上に置いて100℃の温度で3分の間維持してカラー層薄膜を形成させた。引き続き、1~50μmのライン/スペースパターンを有する試験フォトマスクを載置して試験フォトマスクとの間隔を250μmにして紫外線を照射した。この時、紫外線の光源はg、h、i線をすべて含有する1Kwの高圧水銀灯を使って50mJ/cmの照度で照射し、特別な光学フィルターは使わなかった。紫外線が照射されたカラー層薄膜をpH10.5のKOH水溶液現像溶液に2分の間浸漬させて現像した。現像されたカラー層薄膜が形成されているガラス基板を蒸留水を使用して洗浄した後、窒素ガスの雰囲気下で乾燥し、200℃の加熱オーブンで1時間の間加熱して熱硬化することによってカラーフィルターを製造した。
【0161】
(2)初期耐化学性評価
実施例および比較例の赤色感光性樹脂組成物を利用して前記カラーフィルター製造方法のうちパターンが形成された塗膜を1枚収得後、NMP溶出評価を進行し、他の一枚はUVを照射せずにNMP溶出評価を進行させて、実施例、比較例で最も低い測定値と比較した。
(結果値(%):実施例、比較例で最も低い測定値/UV照射されていない基板測定値*100)
評価基準は下記の通りであり、初期耐化学性評価結果を下記の表2に表示した。
〔評価基準〕
100%以上150%未満:◎
150%以上200%未満:○
200%以上250%未満:△
250%以上500%未満:×
【0162】
(3)光配向後耐化学性評価
実施例および比較例の赤色感光性樹脂組成物を利用して前記カラーフィルター製造方法のうちパターンが形成された塗膜をそれぞれ2枚収得後、1枚は500mJ/cm以上のUVを照射した後UV/VIS(UV-2550)を利用してNMP溶出評価を進行し、他の一枚はUVを照射せずにNMP溶出評価を進行した。
各評価結果でUV照射の有無に対する結果の差を確認し、その結果を下記の表2に現わした。
(結果値(%):UV照射された基板測定値/UV照射されていない基板測定値*100)
光配向(UV照射)後NMP耐溶剤性
〔評価基準〕
100%以上120%未満:◎
120%以上150%未満:○
150%以上250%未満:△
250%以上500%未満:×
【0163】
【表2】
【0164】
前記表2から分かるように、本発明に係る赤色感光性樹脂組成物を使った実施例の場合、光配向(UV照射)後の耐化学特性で優秀であり、光配向(UV照射)前の初期耐化学特性も優秀なカラーフィルターを具現できることを確認することができた。
【0165】
また、本発明の化学式3で表示されるオキシムエステルを使った実施例1~5の場合、既存の光開始剤またはオキシムエステル系光開始剤を使った比較例1~10の場合よりNMP耐溶剤特性が優秀であることを確認することができた。
【0166】
特に、赤色顔料が2元系、3元系適用された比較例1、2、7および8で光配向(UV照射)後NMP耐溶剤特性の有意差が大きく確認された。同様に2元系、3元系適用された比較例11~14の赤色顔料に本発明に係る化学式3で表示されるオキシムエステル化合物の組合わせもよくない結果を確認することができた。これは化学式2で表示される化合物が適用された赤色顔料比が大きいほど光配向(UV照射)前の初期耐化学特性が低下する結果であり、化学式1で表示される化合物が適用された赤色顔料比が大きいほど光配向(UV照射)後の耐化学特性が低下する結果であり、C.I.ピグメントレッド177顔料を除いた赤色顔料の比が2:8、8:2間で光配向(UV照射)前後の耐化学特性が向上することを確認することができた。
【0167】
前記実施例1~5の場合、化学式3で表示されるオキシムエステル化合物を含む光重合開始剤と化学式1で表示される化合物および化学式2で表示される化合物の多様な重量比(2:8~8:2)を満足する3元系赤色顔料を使うことによって光配向(UV照射)前後のNMP耐溶剤特性が優秀であることを確認することができた。