(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】配線回路基板、および、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20220715BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220715BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20220715BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
H05K3/34 507C
H01L23/12 F
H01L31/02 B
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2017191030
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2017090149
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】若木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 周作
(72)【発明者】
【氏名】河邨 良広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正樹
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-221388(JP,A)
【文献】特開2010-171275(JP,A)
【文献】特開2006-135174(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136222(WO,A1)
【文献】特開平02-241077(JP,A)
【文献】特開平04-241496(JP,A)
【文献】特開2005-210628(JP,A)
【文献】特開2014-011288(JP,A)
【文献】特開2009-188145(JP,A)
【文献】特開2013-070249(JP,A)
【文献】特開2014-187261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 1/02
H01L 23/12
H01L 31/02
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース絶縁層としての
第1絶縁層と、
端子と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方面上に配置された配線であって、厚み方向と交差する方向において前記端子と連続する配線と、
前記端子
および前記配線を被覆するように前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置されている
、第1カバー絶縁層としての第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の厚み方向一方面上に配置されているシールド層と、
前記シールド層を被覆するように前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されている、第2カバー絶縁層としての第3絶縁層と
を備え、
前記第1絶縁層は、厚み方向に貫通し、厚み方向一方側に向かうに従って開口断面積が広がる開口部を有し、
前記端子は、
前記開口部を形成する前記第1絶縁層の内側面に接触する周縁部と、
前記周縁部の内側に、前記周縁部と一体的に配置される中実部とを有し、
前記周縁部および前記中実部は、前記開口部の全部を充填していることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
前記端子の厚み方向他方面が、前記第1絶縁層の厚み方向他方面と略面一であることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記端子を厚み方向に投影したときに、前記端子と重複する配線回路基板の厚み方向一方面が、略平坦であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記端子は、前記周縁部および前記中実部の厚み方向一方側に、前記周縁部および前記中実部と一体的に配置される配線接続部とを備え、
前記配線の厚み方向一方面が、前記配線接続部の厚み方向一方面と略面一であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記端子は、
前記厚み方向に投影したときに、前記開口部に含まれる内側部と、
前記内側部から外側に延びる外側部と
を備え、
前記内側部の厚み方向一方面は、前記外側部の厚み方向一方面と略面一であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記端子の厚みが、30μm以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項7】
前記端子は、前記開口部内に配置され、前記開口部の厚み方向他方面から露出する金めっき層をさらに備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項8】
撮像素子を実装するために用いられることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の配線回路基板と、
前記配線回路基板に実装される撮像素子と
を備えることを特徴とする、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板、および、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話などに搭載されているカメラモジュールなどの撮像装置は、一般的に、光学レンズと、光学レンズを収容および保持するハウジングと、CMOSセンサやCCDセンサなどの撮像素子と、撮像素子を実装し、外部配線に電気的に接続するための撮像素子実装基板とを備えている。撮像素子実装基板の略中央部の上に、撮像素子が実装されており、撮像素子を取り囲むように撮像素子実装基板の周端部の上に、ハウジングが配置されている。特許文献1には、そのような基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話などに用いられる撮像装置は、携帯電話の小型化の要求に伴い、より一層の薄型化(低背化)が求められている。撮像装置の低背化の手段の一つとしては、撮像素子実装基板の薄型化が挙げられる。
【0005】
ところで、撮像素子実装基板には、一般的に、裏面全面に金属板などによって補強されたリジット型配線回路基板と、金属板で下面全体を補強されていない薄いフレキシブル型配線回路基板(FPC)との2種類が用いられている。
【0006】
FPCは、金属板で補強しないため、リジッド型配線回路基板よりも薄型化が可能である。しかしながら、FPCは、薄膜であるため、配線や端子などの導体パターンに起因する凹凸が、FPCの上面または下面に形成される。また、FPCは、可撓性を有する。したがって、撮像素子などの電子素子の複数の端子をFPCの各端子に実装する際に、一部の端子領域が、厚み方向に変形し、凹む場合がある。そうすると、撮像素子が傾くため、撮像素子の実装精度が低下する不具合が生じる。
【0007】
また、実装時には、端子に厚み方向の圧力がかかるため、端子が細かったり、薄かったりすると、端子が破損する場合がある。
【0008】
本発明は、電子素子の実装精度が良好であり、端子の破損を抑制することができる配線回路基板、および、撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、第1絶縁層と、端子と、前記端子の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と、前記端子と厚み方向と交差する方向に連続する配線とを備え、前記第1絶縁層は、厚み方向に貫通し、厚み方向一方側に向かうに従って開口断面積が広がる開口部を有し、前記端子は、前記開口部を形成する前記第1絶縁層の内側面に接触する周縁部と、前記周縁部の内側に、前記周縁部と一体的に配置される中実部とを有し、前記周縁部および前記中実部は、前記開口部の全部を充填している、配線回路基板を含んでいる。
【0010】
この配線回路基板によれば、端子が、第1絶縁層の開口部の全部を充填しているため、撮像素子などの電子素子が実装される端子領域が、中実部によって補強されている。したがって、配線回路基板に電子素子を実装する際に、配線回路基板の端子領域が厚み方向に変形することを抑制することができ、その結果、電子素子を配線回路基板に精度よく実装することができる。また、金属支持板などの支持基板を要しないため、薄型化が可能である。
【0011】
また、開口部は、厚み方向一方側に向かうに従って開口断面積が広がり、その開口部には、端子が充填されている。そのため、端子は、厚み方向一方側に向かうに従って断面積が広がる広幅形状を有し、十分な厚みを有している。そのため、端子は、実装時の厚み方向他方側からの応力を厚み方向一方側に向かうに従って分散しながら受け止めることができる。よって、端子の破損を抑制することができる。
【0012】
本発明[2]は、前記端子の厚み方向他方面が、前記第1絶縁層の厚み方向他方面と略面一である、[1]に記載の配線回路基板を備えている。
【0013】
この配線回路基板によれば、電子素子を厚み方向他方側から容易に実装することができ、実装性に優れる。
【0014】
本発明[3]は、前記端子を厚み方向に投影したときに、前記端子と重複する配線回路基板の厚み方向一方面が、略平坦である、[1]または2に記載の配線回路基板を含んでいる。
【0015】
この配線回路基板によれば、配線回路基板に電子素子を実装する際に、配線回路基板の端子領域が厚み方向に変形することをより確実に抑制することができる。
【0016】
本発明[4]は、前記端子は、前記周縁部および前記中実部の厚み方向一方側に、前記周縁部および前記中実部と一体的に配置される配線接続部とを備え、前記配線の厚み方向一方面が、前記配線接続部の厚み方向一方面と略面一である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の配線回路基板を含んでいる。
【0017】
この配線回路基板によれば、端子は、配線の厚み方向一方面と面一となる端子接続部を備えているため、端子領域は、端子接続部によって、より一層補強されている。よって、端子領域が厚み方向に変形することをより一層抑制することができる。また、配線と配線接続部の厚み方向一方面が略面一であるため、配線回路基板の厚み方向一方面をより一層平坦にすることができる。よって、配線回路基板の変形をより一層抑制することができる。
【0018】
本発明[5]は、前記端子は、前記厚み方向に投影したときに、前記開口部に含まれる内側部と、前記内側部から外側に延びる外側部とを備え、前記内側部の厚み方向一方面は、前記外側部の厚み方向一方面と略面一である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の配線回路基板を含んでいる。
【0019】
この配線回路基板によれば、端子の内側部は、外側部と略面一であるため、配線回路基板の厚み方向一方面をより一層平坦にすることができる。よって、配線回路基板の変形をより一層抑制することができる。
【0020】
本発明[6]は、前記端子の厚みが、30μm以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の配線回路基板を含んでいる。
【0021】
この配線回路基板によれば、端子の薄膜化、ひいては、配線回路基板の薄膜化を図ることができる。
【0022】
本発明[7]は、前記端子は、前記開口部内に配置され、前記開口部の厚み方向他方面から露出する金めっき層をさらに備える、[1]~[6]のいずれか一項に記載の配線回路基板を含んでいる。
【0023】
この配線回路基板によれば、厚み方向他方面に金めっき層を備えているため、端子の耐久性が良好となる。また、金めっき層は、良好なエッチング耐性を備えているため、端子の他方面をエッチングなどにより露出する工程において、中実部内部へのエッチング侵入を抑制できる。このため、端子の破損を抑制することができる。さらに、金めっき層が、開口部内に配置されているため、金めっき層が配線回路基板の厚み方向他方面から突出することを抑制でき、電子素子の実装性に優れる。
【0024】
本発明[8]は、前記第2絶縁層の厚み方向一方側に配置されるシールド層と、前記シールド層の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層とをさらに備える、[1]~[7]のいずれか一項に記載の配線回路基板を含んでいる。
【0025】
この配線回路基板によれば、外部から生じる電磁波をシールド層で遮蔽することができるため、撮像装置の信頼性を向上させることができる。
【0026】
本発明[9]は、撮像素子を実装するために用いられる、[1]~[8]のいずれか一項に記載の配線回路基板を含んでいる。
【0027】
この配線回路基板によれば、撮像素子実装用の配線回路基板として用いることができる。
【0028】
本発明[10]は、[1]~[9]のいずれか一項に記載の配線回路基板と、前記配線回路基板に実装される撮像素子とを備える撮像装置を含んでいる。
【0029】
この撮像装置によれば、上記配線回路基板と撮像素子とを備えるため、配線回路基板の端子領域において厚み方向の変形が抑制されている。このため、撮像素子が配線回路基板に精度よく実装されており、接続信頼性に優れる。また、金属支持板などの支持基板を要しないため、薄型化が可能である。さらに、端子の破損が抑制されている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の配線回路基板および撮像装置は、電子素子の実装精度が良好であり、端子の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の撮像素子実装基板の第1実施形態の底面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す撮像素子実装基板におけるA-A断面図を示す。
【
図3】
図3A~
図3Bは、
図2に示す撮像素子実装基板の撮像素子接続端子のみの断面図を示し、
図3Aは、撮像素子接続端子の端子接続部において、周縁部および中実部を仮想線で示した図、
図3Bは、撮像素子接続端子において、内側部および外側部を仮想線で示した図を示す。
【
図5】
図5F~
図5Jは、
図4に引き続き、
図1に示す撮像素子実装基板の製造工程図を示し、
図5Fは、フォトレジスト・金属薄膜除去工程、
図5Gは、第1カバー絶縁層形成工程、
図5Hは、シールド層形成工程、
図5Iは、第2カバー絶縁層形成工程、
図5Jは、金属支持板除去工程を示す。
【
図6】
図6は、
図1に示す撮像素子実装基板を備える撮像装置を示す。
【
図7】
図7は、
図1に示す撮像素子実装基板に撮像素子を実装したときの模式図を示す。
【
図8】
図8A~
図8Bは、撮像素子開口部に中実部が充填されていない撮像素子実装基板に撮像素子を実装するときの模式図を示し、
図8Aは、実装前の撮像素子実装基板、
図8Bは、実装後の撮像装置を示す。
【
図9】
図9A~
図9Bは、カバーレイ接着型の撮像素子実装基板に撮像素子を実装するときの模式図を示し、
図9Aは、実装前の撮像素子実装基板、
図9Bは、実装後の撮像装置を示す。
【
図10】
図10は、本発明の撮像素子実装基板の第1実施形態の変形例(上面に微小凹部が形成されている形態)の断面図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の撮像素子実装基板の第1実施形態の変形例(シールド層および第2カバー絶縁層を備えない形態)の断面図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の撮像素子実装基板の第2実施形態の側断面図を示す。
【
図13】
図13A~
図13Bは、
図12に示す撮像素子実装基板の撮像素子接続端子のみの断面図を示し、
図13Aは、撮像素子接続端子の端子接続部において、周縁部および中実部を仮想線で示した図、
図13Bは、撮像素子接続端子において、内側部および外側部を仮想線で示した図を示す。
【
図16】
図16は、本発明の撮像素子実装基板の第2実施形態の変形例(シールド層および第2カバー絶縁層を備えない形態)の断面図を示す。
【
図17】
図17は、本発明の撮像素子実装基板の第2実施形態の変形例(シールド層および第2カバー絶縁層を備えない形態)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向)であって、紙面上側が前側(第1方向一方側)、紙面下側が後側(第1方向他方側)である。紙面左右方向は、左右方向(第1方向と直交する第2方向)であって、紙面左側が左側(第2方向一方側)、紙面右側が右側(第2方向他方側)である。紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第1方向および第2方向と直交する第3方向)であって、紙面奥側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面手前側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0033】
<第1実施形態>
1.撮像素子実装基板
図1~
図3Bを参照して、本発明の配線回路基板の一実施形態として、撮像素子実装基板(以下、単に実装基板とも略する。)の第1実施形態を説明する。
【0034】
第1実施形態の実装基板1は、撮像素子21(後述)を実装するためのフレキシブル配線回路基板(FPC)であって、撮像素子21を未だ備えていない。実装基板1は、
図1に示すように、前後方向および左右方向(面方向)に延びる平面視略矩形(長方形状)の平板形状(シート形状)を有する。
【0035】
実装基板1は、
図1に示すように、ハウジング配置部2、および、外部部品接続部3を備える。
【0036】
ハウジング配置部2は、ハウジング22(後述)や撮像素子21が配置される部分である。具体的には、ハウジング22が実装基板1に配置された場合において、厚み方向に投影したときに、ハウジング22と重複する部分である。ハウジング配置部2の略中央部には、撮像素子21と電気的に接続するための撮像素子接続端子9(後述)が複数配置されている。なお、ハウジング配置部2は、後述する金属支持板を有しない。
【0037】
外部部品接続部3は、ハウジング配置部2以外の領域であって、外部部品と接続するための部分である。外部部品接続部3は、外部部品接続部3の前端縁がハウジング配置部2の後端縁と連続するように、ハウジング配置部2の後側に配置されている。外部部品接続部3の後端縁には、外部部品と電気的に接続するための外部部品接続端子10(後述)が複数配置されている。
【0038】
実装基板1は、
図2に示すように、第1絶縁層としてのベース絶縁層4と、導体パターン5と、第2絶縁層としての第1カバー絶縁層6と、シールド層7と、第3絶縁層としての第2カバー絶縁層8とを備える。好ましくは、実装基板1は、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、シールド層7および第2カバー絶縁層8のみからなる。
【0039】
ベース絶縁層4は、実装基板1の外形をなし、底面視略矩形状に形成されている。ベース絶縁層4の下面(厚み方向他方面)は、略平坦となるように形成されている。ベース絶縁層4には、複数の撮像素子開口部41(開口部)、および、複数の外部部品開口部42が形成されている。
【0040】
複数の撮像素子開口部41は、撮像素子接続端子9を下面から露出するための開口部である。複数の撮像素子開口部41は、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。撮像素子開口部41は、ベース絶縁層4を厚み方向に貫通し、底面視略円形状を有する。撮像素子開口部41は、上側に向かうに従って開口断面積が広がる形状を有する。すなわち、撮像素子開口部41は、側断面視において、上側に向かうに従って広幅になる(下側に向かうに従って幅狭になる)テーパ形状を有する。撮像素子開口部41は、ベース絶縁層4の内側面43から区画されており、ベース絶縁層4の内側面43と、撮像素子開口部41の下面とがなす角度は、側断面視において、例えば、100°以上、好ましくは、120°以上であり、また、例えば、170°以下、好ましくは、160°以下である。これにより、後述する製造方法において、撮像素子開口部41内に均一に金属薄膜17を形成し、テーパ形状の撮像素子接続端子9を確実に形成することができる。
【0041】
複数の外部部品開口部42は、外部部品接続端子10を下面から露出するための開口部である。外部部品開口部42は、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。外部部品開口部42は、ベース絶縁層4を厚み方向に貫通し、底面視略矩形状(長方形状)を有する。外部部品開口部42は、底面視において、外部部品接続部3の後端縁から前側に向かって延びるように、形成されている。
【0042】
ベース絶縁層4は、絶縁性材料から形成されている。絶縁性材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。好ましくは、ベース絶縁層4は、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0043】
ベース絶縁層4の厚みT1は、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上、より好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。
【0044】
導体パターン5は、ベース絶縁層4の上面(厚み方向一方面)と接触するように、ベース絶縁層4の上側に設けられている。導体パターン5は、複数の撮像素子接続端子9(端子)、複数の外部部品接続端子10、および、複数の配線11を備える。
【0045】
複数の撮像素子接続端子9は、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数の撮像素子接続端子9は、実装される撮像素子21の複数の端子25(後述)に対応するように、設けられている。また、複数の撮像素子接続端子9は、複数の撮像素子開口部41に対応して設けられている。
【0046】
撮像素子接続端子9は、断面視略逆ハット形状を有し、端子接続部51と、その上に配置される配線接続部52とを一体的に備える。
【0047】
端子接続部51は、ソルダーバンプ26(後述)と接続する部分であり、撮像素子接続端子9の下部を形成する。端子接続部51は、撮像素子開口部41の内部に配置されている。
【0048】
端子接続部51は、上側に向かうに従って開口断面積が広がる形状を有する。すなわち、端子接続部51は、側断面視において、上側に向かうに従って広幅になる(下側に向かうに従って幅狭になる)テーパ形状を有する。具体的には、端子接続部51は、底面視略円形状を有し、上側に向かって拡径する(下側に向かって縮径する)略円錐台形状を有する。端子接続部51は、
図3Aの仮想線に参照されるように、周縁部53と、その内側に配置される中実部54とを一体的に備える。
【0049】
周縁部53は、ベース絶縁層4の撮像素子開口部41を形成する内側面43に接触しており、端子接続部51の面方向における外形をなしている。すなわち、周縁部53は、中空の略円錐台形状を有する。
【0050】
中実部54は、周縁部53の内側に、周縁部53と一体的に形成されている。すなわち、中実部54の外周縁は、周縁部53の内周縁と連続している。中実部54は、中実の略円錐台形状を有する。
【0051】
周縁部53および中実部54は、
図2に示すように、撮像素子開口部41の全部を充填している(満たしている)。すなわち、周縁部53および中実部54からなる端子接続部51の形状は、撮像素子開口部41の形状と一致し、その厚みは、ベース絶縁層4の厚みと同一である。
【0052】
また、端子接続部51の下面(露出面)は、撮像素子開口部41から露出しており、略平坦となるように形成されている。具体的には、端子接続部51の下面は、ベース絶縁層4の下面と略面一である。すなわち、端子接続部51の下面とベース絶縁層4の下面とにおいて、上下方向ずれ(段差)が完全に生じないか、または、その段差が、上下方向において、例えば、2.0μm以下、好ましくは、1.0μm以下、より好ましくは、0.5μm以下である。
【0053】
配線接続部52は、接続配線12と面方向に連続する部分であり、撮像素子接続端子9の上部を形成する。
【0054】
配線接続部52は、底面視略円形状の平板形状を有し、厚み方向に投影したときに、端子接続部51を含んでいる。すなわち、配線接続部52の周端縁は、端子接続部51の周端縁に対して、面方向(前後方向および左右方向)において外側に位置している。配線接続部52の内周部の下面は、端子接続部51の上面と、上下方向において一体的に連続している。配線接続部52の外周部の下面は、ベース絶縁層4の上面と接触している。
【0055】
撮像素子接続端子9は、
図3Bの仮想線に参照されるように、上下方向に投影したときに、撮像素子開口部41の最外形に含まれる内側部55と、内側部55から外側に延びる外側部56(鍔部)とを一体的に備えている。すなわち、撮像素子接続端子9において、端子接続部51と、端子接続部51と上下方向に連続する配線接続部52の内周部とが、内側部55に対応し、ベース絶縁層4の上面と接触している配線接続部52の周縁部が、外側部56に対応する。
【0056】
撮像素子接続端子9の上面(すなわち、配線接続部52の上面)は、略平坦となるように形成されている。具体的には、内側部55の上面は、外側部56の上面と略面一である。すなわち、内側部55の上面と、外側部56の上面とにおいて、上下方向ずれ(段差)が完全に生じないか、または、その段差が、上下方向において、例えば、2.0μm以下、好ましくは、1.0μm以下、より好ましくは、0.5μm以下である。
【0057】
なお、実装基板1を厚み方向に投影したときに、撮像素子接続端子9と重複する平面視または底面視の領域を、端子領域14とする。
【0058】
複数の外部部品接続端子10は、
図1に示すように、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、外部部品の複数の端子(図示せず)と対応するように設けられている。また、複数の外部部品接続端子10は、複数の外部部品開口部42に対応して設けられている。外部部品接続端子10は、平面視略矩形状(長方形状)を有する。外部部品接続端子10は、外部部品開口部42内に配置され、その下面は、外部部品開口部42から露出している。
【0059】
複数の配線11は、
図2に示すように、複数の接続配線12および複数のグランド配線13を備える。
【0060】
複数の接続配線12は、複数の撮像素子接続端子9および複数の外部部品接続端子10に対応するように設けられている。具体的には、接続配線12は、撮像素子接続端子9と外部部品接続端子10とを接続するように、これらと一体的に形成されている。すなわち、接続配線12の一端は、撮像素子接続端子9の配線接続部52と面方向に連続し、接続配線12の他端は、外部部品接続端子10と面方向に連続して、これらを電気的に接続している。
【0061】
接続配線12の上面は、配線接続部52の上面と略面一となるように形成されている。すなわち、接続配線12の上面と、配線接続部52の上面とにおいて、上下方向ずれ(段差)が完全に生じないか、または、その段差が、上下方向において、例えば、2.0μm以下、好ましくは、1.0μm以下、より好ましくは、0.5μm以下である。
【0062】
複数のグランド配線13は、複数の接続配線12に対応するように設けられている。具体的には、複数のグランド配線13は、複数の接続配線12に沿うように設けられている。また、グランド配線13の上面は、接続配線12の上面と同一の上下方向位置であり、グランド配線13の下面は、接続配線12の下面と同一の上下方向位置である。グランド配線13の一端には、図示しないグランド端子が一体的に接続されている。
【0063】
導体パターン5(撮像素子接続端子9、外部部品接続端子、配線11)の材料としては、例えば、銅、銀、金、ニッケルまたはそれらを含む合金、半田などの金属材料が挙げられる。好ましくは、銅が挙げられる。
【0064】
撮像素子接続端子9(端子接続部51および配線接続部52)および外部部品接続端子10の厚みT2は、それぞれ、例えば、2μm以上、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、7μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、15μm以下である。厚みT2を上記上限以下とすることにより、実装基板1の薄膜化が図ることができる。すなわち、実装基板1は、薄膜でありながら、端子の破損を抑制することができる。
【0065】
配線11の厚みT3は、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下、さらに好ましくは、5μm以下である。
【0066】
撮像素子接続端子9の幅、すなわち、端子領域14の面方向長さL(直径)は、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。
【0067】
配線11の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0068】
第1カバー絶縁層6は、導体パターン5を被覆するように、ベース絶縁層4および導体パターン5の上側に設けられている。すなわち、第1カバー絶縁層6は、導体パターン5の上面および側面、および、導体パターン5から露出するベース絶縁層4の上面と接触するように、配置されている。第1カバー絶縁層6の下面の上下方向位置は、配線11の下面の上下方向位置とベース絶縁層4の上面の上下方向位置とそれぞれ一致する。第1カバー絶縁層6の平面視外形は、外部部品接続端子10の形成部分を除いて、ベース絶縁層4と同一となるように形成されている。
【0069】
第1カバー絶縁層6は、グランド開口部61を有する。グランド開口部61は、グランド配線13の上面を露出するための開口部である。グランド開口部61は、厚み方向に投影したときに、グランド配線13と重複するように形成されている。グランド開口部61は、第1カバー絶縁層6を厚み方向に貫通し、底面視略円形状を有する。グランド開口部61は、側断面視において、下側に向かうに従って幅狭となるテーパ形状を有する。
【0070】
第1カバー絶縁層6は、ベース絶縁層4で上記した絶縁性材料と同様の絶縁性材料から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0071】
第1カバー絶縁層6の厚みT4は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下である。
【0072】
シールド層7は、第1カバー絶縁層6の上面と接触するように、第1カバー絶縁層6の上側に配置されている。シールド層7は、外部からの電磁波を遮蔽する層であって、面方向(前後方向および左右方向)に延びるシート状に形成されている。
【0073】
シールド層7は、グランド配線13と電気的に接続されている。すなわち、シールド層7は、グランド開口部61において、グランド配線13と連続している。具体的には、シールド層7は、グランド配線13と対向する部分において、下側に凸形状を有し、グランド配線13の上面に接触する接触部71を備える。
【0074】
接触部71は、グランド配線13に直接接触する平坦部72と、平坦部72の周囲に連続するように一体的に配置される傾斜部73とを備える。
【0075】
平坦部72は、面方向に延びる平板状に形成されている。
【0076】
傾斜部73は、上下方向および面方向に交差(傾斜)する傾斜方向に延びている。
【0077】
側断面視において、平坦部72と傾斜部73との角度は、例えば、100°以上、好ましくは、120°以上であり、また、例えば、170°以下、好ましくは、160°以下である。これにより、断線することなくグランド配線13に接地できるシールド層40をスパッタリングなどの方法で形成することができるため、シールド層40を薄膜化できる。
【0078】
これによって、シールド層7は、グランド配線13を介して、接地されている。
【0079】
シールド層7は、導体からなり、例えば、銅、クロム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、チタン、タンタル、はんだ、またはこれらの合金などの金属材料が用いられる。好ましくは、銅が挙げられる。
【0080】
シールド層7の厚みT5は、例えば、0.05μm以上、好ましくは、0.1μm以上であり、また、例えば、3μm以下、好ましくは、1μm以下である。
【0081】
第2カバー絶縁層8は、シールド層7の全面を被覆するように、シールド層7の上側に設けられている。第2カバー絶縁層8の外形は、第1カバー絶縁層6と同一となるように形成されている。
【0082】
第2カバー絶縁層8の厚みT6は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下である。
【0083】
実装基板1(特に端子領域14における実装基板1)の総厚みT7は、例えば、7μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0084】
また、実装基板1において、端子領域14の上面14aは、その全面が略平坦となるように形成されている。具体的には、端子領域14の上面14aの両端(
図2の点A、B)を結ぶ線に対して、端子領域14の上面14aの上下方向のずれが、例えば、3.0μm以下、好ましくは、2.0μm以下、より好ましくは、1.0μm以下、さら好ましくは、0.5μm以下である。特に、端子領域14の上面14aの両端(
図2の点A、B)を結ぶ線と、中実部54の面方向中心の下面(点C)との上下方向距離が、例えば、3.0μm以下、好ましくは、2.0μm以下、より好ましくは、1.0μm以下、さら好ましくは、0.5μm以下である。
【0085】
端子領域14における実装基板1の総厚みの変化量は、例えば、3.0μm以下、好ましくは、2.0μm以下、より好ましくは、1.0μm以下、さらに好ましくは、0.5μm以下である。なお、変化量は、端子領域14の面方向端縁(
図2の点A、B)の厚みを基準とする。例えば、両端縁と、その面方向中心点(
図2の点C)との厚みの差が、上記範囲となる。
【0086】
2.撮像素子実装基板の製造方法
第1実施形態の実装基板1は、
図4A~
図5Gに示すように、例えば、金属支持板用意工程、ベース絶縁層形成工程、金属薄膜形成工程、フォトレジスト形成工程、導体パターン形成工程、フォトレジスト・金属薄膜除去工程、第1カバー絶縁層形成工程、シールド層形成工程、第2カバー絶縁層形成工程、および、金属支持板除去工程を順次実施することにより、得られる。
【0087】
金属支持板用意工程では、
図4Aに示すように、金属支持板16を用意する。
【0088】
金属支持板16は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅合金などの金属材料から形成されている。好ましくは、金属支持板16は、ステンレスから形成されている。
【0089】
金属支持板16の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0090】
金属支持板16の上面は、平坦(平滑)となるように形成されている。
【0091】
ベース絶縁層形成工程では、
図4Bに示すように、ベース絶縁層4を、金属支持板16の上面に形成する。すなわち、開口部(撮像素子開口部41および外部部品開口部42)を有するベース絶縁層4を、金属支持板16の上面に形成する。
【0092】
具体的には、感光性の絶縁性材料のワニス(例えば、感光性ポリイミド)を金属支持板16の上面全面に塗布して乾燥させて、ベース皮膜(ベース絶縁層)を形成する。その後、ベース皮膜を、開口部(撮像素子開口部41および外部部品開口部42)に対応するパターンを有するフォトマスクを介して露光する。テーパ形状は、露光時の露光ギャップなどで光の平行度を調整することにより形成することができる。その後、ベース皮膜を現像し、必要により加熱硬化させる。
【0093】
金属薄膜形成工程では、
図4Cに示すように、ベース絶縁層4の上面、ならびに、撮像素子開口部41および外部部品開口部42から露出する金属支持板16の上面に、金属薄膜17(種膜)を形成する。
【0094】
金属薄膜17としては、例えば、銅、クロム、ニッケル、チタンおよびそれらの合金などの金属材料が用いられる。好ましくは、ベース絶縁層4との密着性の観点から、クロムが挙げられる。
【0095】
金属薄膜17は、例えば、金属支持板16の上に形成されたベース絶縁層4に対して、スパッタリング、めっきなどの薄膜形成方法を実施することにより、形成する。好ましくは、密着性の観点から、スパッタリングにより金属薄膜17(スパッタ膜)を形成する。
【0096】
金属薄膜17の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、300nm以下、好ましくは、150nm以下である。
【0097】
フォトレジスト形成工程では、
図4Dに示すように、金属薄膜17にフォトレジスト18を形成する。すなわち、導体パターン5に対応する開口部を有するフォトレジスト18を形成する。
【0098】
具体的には、ドライフィルムレジストを金属薄膜17の上面全面に配置する。その後、ドライフィルムレジストを、導体パターン5に対応するパターンを有するフォトマスクを介して露光する。その後、ドライフィルムレジストを現像し、必要により加熱硬化させることにより、フォトレジスト18をめっきレジストとして形成する。
【0099】
これにより、導体パターン5に対応する部分の金属薄膜17をフォトレジスト18から露出させる。
【0100】
導体パターン形成工程では、
図4Eに示すように、フォトレジスト18から露出した金属薄膜17の表面に、導体パターン5を形成する。
【0101】
具体的には、例えば、金属薄膜17から給電する電解めっきを実施する。
【0102】
このとき、ビアフィルめっき法を採用する。具体的には、例えば、めっき成長を抑制する抑制剤と、めっき成長を促進する促進剤とを含有するめっき浴(好ましくは、硫酸銅めっき浴)を用いる。
【0103】
これにより、ベース絶縁層4の上面に位置する金属薄膜17(配線11に成長する金属薄膜17)からのめっき層19の成長が抑制されるとともに、撮像素子開口部41内部に位置する金属薄膜17(撮像素子接続端子9に成長する金属薄膜17)のめっき層19の成長が促進される。このため、撮像素子開口部41の全てを充填するようにめっき層19が形成される。すなわち、撮像素子開口部41において、周縁部53および中実部54を一体的に備える端子接続部51が形成され、さらに、その上部に配線接続部52が一体的に形成される。また、配線接続部52の上面は、配線11の上面と面一となるように、形成される。その結果、撮像素子接続端子9、外部部品接続端子10および配線11を有する導体パターン5が形成される。
【0104】
なお、導体パターン5に対応する金属薄膜17は、電解めっきによるめっき層19と一体化されて、めっき層19とともに導体パターン5を形成する。すなわち、
図4D~
図5Hにおいて、撮像素子接続端子9および配線11は、それぞれ、めっき層19と金属薄膜17との2層となるように図示されているが、これらは、めっき層19の材料と金属薄膜17の材料とが同一である場合、完全に一体化されて、一層となっていてもよい(
図2参照)。
【0105】
フォトレジスト・金属薄膜除去工程では、
図5Fに示すように、フォトレジスト18および金属薄膜17を除去する。
【0106】
具体的には、まず、残存するフォトレジスト18を除去する。例えば、ウェットエッチングにより除去する。その後、残存するフォトレジスト18に対向した金属薄膜17を除去する。例えば、剥離またはウェットエッチングにより除去する。
【0107】
第1カバー絶縁層形成工程は、
図5Gに示すように、導体パターン5およびベース絶縁層4の上面に、第1カバー絶縁層6を配置する。
【0108】
このとき、導体パターン5のグランド配線13の上面が露出するように、グランド開口部61を有する第1カバー絶縁層6を形成する。また、グランド開口部61が、側断面視において、下側に向かうに従って幅狭になるテーパ形状となるように、第1カバー絶縁層6を形成する。
【0109】
具体的には、例えば、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0110】
シールド層形成工程では、
図5Hに示すように、第1カバー絶縁層6の上に、シールド層7を形成する。
【0111】
シールド層7の形成には、例えば、電解めっき、無電解めっきなどのめっき法、例えば、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、例えば、導電ペーストによる塗布法が挙げられる。好ましくは、薄膜化の観点から、スパッタリング、蒸着法が挙げられ、より好ましくは、スパッタリングが挙げられる。
【0112】
第2カバー絶縁層形成工程は、
図5Iに示すように、シールド層7の上面に、第2カバー絶縁層8を配置する。
【0113】
具体的には、シールド層7の上面全面に、第2カバー絶縁層8を形成する。
【0114】
具体的には、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0115】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層7と、第2カバー絶縁層8とを備える実装基板1を、金属支持板16に支持された状態で得る。
【0116】
金属支持板除去工程では、
図5Jに示すように、金属支持板16を除去する。
【0117】
除去方法としては、例えば、金属支持板16を実装基板1の下面から剥離する方法、金属支持板16をウェットエッチングにて処理する方法などが挙げられる。
【0118】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層7と、第2カバー絶縁層8とを備える実装基板1を得る。
【0119】
このような実装基板1は、例えば、撮像素子を実装するための配線回路基板に用いられる。すなわち、実装基板1は、カメラモジュールなどの撮像装置に用いられる。
【0120】
3.撮像装置
図6を参照して、第1実施形態の実装基板1を備える撮像装置20を説明する。
【0121】
撮像装置20は、実装基板1、撮像素子21、ハウジング22、光学レンズ23、および、フィルター24を備える。
【0122】
実装基板1は、
図2の状態と上下反転して用いる。すなわち、実装基板1は、ベース絶縁層4を上側とし、第2カバー絶縁層8を下側となるように、配置される。
【0123】
撮像素子21は、光を電気信号に変換する半導体素子であって、例えば、CMOSセンサ、CCDセンサなどの固体撮像素子が挙げられる。
【0124】
撮像素子21は、平面視略矩形の平板形状に形成されており、図示しないが、Si基板などのシリコンと、その上に配置されるフォトダイオード(光電変換素子)およびカラーフィルターとを備える。撮像素子21の下面には、実装基板1の撮像素子接続端子9と対応する端子25が複数設けられている。
【0125】
撮像素子21の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0126】
撮像素子21は、実装基板1に実装されている。すなわち、撮像素子21の端子25は、対応する実装基板1の撮像素子接続端子9と、ソルダーバンプ26などを介して、フリップチップ実装されている。これにより、撮像素子21は、実装基板1のハウジング配置部2の中央部に配置され、実装基板1の撮像素子接続端子9および外部部品接続端子10と電気的に接続されている。
【0127】
撮像素子21は、実装基板1に実装されることにより、撮像ユニット27を構成する。すなわち、撮像ユニット27は、実装基板1と、それに実装される撮像素子21とを備える。
【0128】
ハウジング22は、実装基板1のハウジング配置部2に、撮像素子21と間隔を隔てて囲むように、配置されている。ハウジング22は、平面視略矩形状の筒状を有する。ハウジング22の上端には、光学レンズ23を固定するための固定部が設けられている。
【0129】
光学レンズ23は、実装基板1の上側に、実装基板1および撮像素子21と間隔を隔てて配置されている。光学レンズ23は、平面視略円形状に形成され、外部からの光が、撮像素子21に到達するように、固定部によって固定されている。
【0130】
フィルター24は、撮像素子21および光学レンズ23の上下方向中央に、これらと間隔を隔てて配置され、ハウジング22に固定されている。
【0131】
そして、この実装基板1は、ベース絶縁層4と、撮像素子接続端子9と、第1カバー絶縁層6と、接続配線12とを備える。ベース絶縁層4は、上下方向に貫通し、上側に向かうに従って開口断面積が広がる撮像素子開口部41を有している。撮像素子接続端子9は、撮像素子開口部41の内側面43に接触する周縁部53と、周縁部53の内側に、周縁部53と一体的に配置される中実部54とを有する。また、周縁部53および中実部54は、撮像素子開口部41の全部を充填している。
【0132】
このため、撮像素子21が実装される端子領域14が、中実部54によって補強されている。したがって、実装基板1を上下反転して、実装基板1に撮像素子21を上から実装する際に、実装基板1の端子領域14が下側に変形することを抑制することができる(
図7参照)。その結果、実装基板1に対する撮像素子21の傾きを抑制することができ、撮像素子21を精度よく実装することができる。また、金属支持板16などの支持基板を要しないため、薄型化が可能である。
【0133】
なお、例えば、
図8Aに示すように、周縁部53を備えるが中実部54を備えない実装基板、より具体的には、中実部54がなく、周縁部53が下端部において撮像素子開口部41を閉鎖するように連続するような実装基板では、端子領域14の上面14aに凹部15が形成される。
図8Bに示すように、この実装基板を上下反転して、撮像素子21を上側から実装基板に実装すると、その実装時の下側への応力および凹部15の存在によって、端子領域14が部分的に下側に変形する。その結果、撮像素子21が傾き、実装精度が低下する。
【0134】
また、
図9Aに示すように、従来のカバーレイ接着型の実装基板、すなわち、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、接着剤層30と、第1カバー絶縁層6とを有する実装基板では、撮像素子接続端子9は、撮像素子開口部41内部に配置されており、第1カバー絶縁層6の上面よりも下側に位置する。
図9Bに示すように、この実装基板に撮像素子21を実装しようとすると、撮像素子開口部41の内部にソルダーバンプ26を配置するため、ソルダーバンプ26の体積(量)を大きくする必要があり、そのため、各ソルダーバンプ26の形状や大きさのバラつきが大きくなってしまう。その結果、撮像素子21が傾き、実装精度が低下する場合が生じる。
【0135】
なお、
図7~
図9Bでは、作用効果を分かり易くするために、撮像素子21の大きさ、各端子の数や大きさなどを変更している。
【0136】
また、撮像素子開口部41は、上側に向かうに従って開口断面積が広がり、その撮像素子開口部41には、撮像素子接続端子9が充填されている。そのため、撮像素子接続端子9は、上側に向かうに従って断面積が広がる広幅形状を有し、十分な厚みを有している。そのため、実装基板1を上下反転して、実装基板1に撮像素子21を上から実装する際に、撮像素子接続端子9は、上側から下側に向かう応力を下側に向かうに従って分散しながら受け止めることができる(
図7参照)。よって、撮像素子接続端子9の破損を抑制することができる。
【0137】
また、撮像素子開口部41は、
図2に示すように、上側に向かうに従って開口面積が広がっている、すなわち、下側に向かうに従って開口面積が小さくなっている。そのため、撮像素子開口部41から露出する端子接続部51の面積(露出面積)を小さくすることができる。よって、複数の撮像素子接続端子9が形成される場合において、各撮像素子接続端子9間の露出面積の絶対値のばらつきの差を低減することができる。その結果、撮像素子21の端子25との接触面積のばらつきによる導通性のばらつきを低減することができる。
【0138】
また、実装基板1では、
図2に示すように、撮像素子接続端子9の下面、すなわち、端子接続部51の下面が、ベース絶縁層4の下面と略面一である。このため、
図7に示すように、実装基板1を上下反転して、撮像素子21を実装基板1の上側から実装する際に、撮像素子21やソルダーバンプ26が、端子領域14の下面14b(実装時では、上側)の周辺のベース絶縁層4に衝突することを抑制することができる。したがって、撮像素子21を容易に実装基板1に実装することができる。
【0139】
また、実装基板1では、
図2に示すように、端子領域14の上面14aが、略平坦である。したがって、
図7に示すように、実装時において、端子領域14の上面14a(
図7では、下面に相当)が全体的に載置台(図示せず)に容易に接触でき、上面14aで端子領域14を支持することができる。その結果、端子領域14内で上下方向に変形することをより確実に抑制することができる。
【0140】
なお、実装基板1の上面において、端子領域14以外の領域として、複数の端子領域14の間に、領域外凹部(
図2で示す符号80)が存在するが、特に、端子領域14の上面14aが略平坦であることが重要である。これは、
図7に示すように、撮像素子21を実装する際に、撮像素子21からの圧力が働く領域は、実質的に端子領域14のみであるからである。すなわち、領域外凹部80に、圧力がほとんど働かないため、領域外凹部80が存在していても、実装基板1の端子領域14、ひいては、実装基板1全体が、上下方向に変形することの影響は、実質的にないと考えられる。
【0141】
また、実装基板1では、
図2に示すように、撮像素子接続端子9が、周縁部53および中実部54の上側に、周縁部53および中実部54と一体的に配置される配線接続部52とを備える。また、実装基板1は、接続配線12を備えており、接続配線12の上面が、配線接続部52の上面と略面一である。
【0142】
このため、端子領域14を配線接続部52によって、より一層補強することができる。よって、端子領域14が上下方向に変形することをより一層抑制することができる。また、接続配線12と配線接続部52の上面が略面一であるため、実装基板1の上面(接続配線12に対応する領域および配線接続52に対応する領域)をより一層平坦にすることができる。よって、実装基板1全体が上下方向に変形することをより一層抑制することができる。
【0143】
また、実装基板1では、撮像素子接続端子9は、上下方向に投影したときに、内側部55と、外側部56とを備えている。また、内側部55の上面は、外側部56の上面と略面一である。
【0144】
このため、端子領域14の上面14aをより一層平坦にすることができる。よって、端子領域14内での上下方向の変形をより一層抑制することができる。
【0145】
また、実装基板1は、第1カバー絶縁層6の上面に配置されるシールド層7と、シールド層7の上面に配置される第2カバー絶縁層8とをさらに備える。そのため、外部から生じる電磁波をシールド層7で遮蔽することができるため、撮像装置20の信頼性を向上させることができる。
【0146】
また、配線11が、接続配線12およびグランド配線13を備え、シールド層7が、グランド配線13に電気的に接続されている。このため、ベース絶縁層4の上面に、すなわち、接続配線12と同一の上下方向位置で、グランド配線13が配置されている。よって、別途、グランド配線13を設けるための層を設ける必要がない。その結果、実装基板1の薄膜化を図ることができる。
【0147】
また、実装基板1は、各層(ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、シールド層7および第2カバー絶縁層8)が直接接触する接着剤レスの実装基板である。そのため、薄型化(低背化)を図ることができる。それとともに、アクリル接着剤などの接着剤層30を要しないため、湿熱による接着剤層30の劣化を抑制することでき、耐湿熱性に優れる。
【0148】
この実装基板1の製造方法によれば、実装精度が良好な実装基板1を製造することができる。
【0149】
また、この製造方法は、金属支持板用意工程、ベース絶縁層形成工程、金属薄膜形成工程、フォトレジスト形成工程、導体パターン形成工程、フォトレジスト・金属薄膜除去工程、第1カバー絶縁層形成工程、シールド層形成工程、第2カバー絶縁層形成工程、および、金属支持板除去工程を備えている。
【0150】
そのため、硬い金属支持板16の上で実装基板1を製造するため、ハンドリングが容易である。また、ベース絶縁層4の厚みを薄くしても、金属支持板16がベース絶縁層4を支持するため、ベース絶縁層4の上に配線11や第1カバー絶縁層6などを確実に配置できる。その結果、ベース絶縁層4の薄膜化、ひいては、実装基板1の薄型化を図ることができる。
【0151】
また、ベース絶縁層4、第1カバー絶縁層6および第2カバー絶縁層8を感光性の絶縁性材料を用いて形成すれば、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、シールド層7および第2カバー絶縁層8のそれぞれの間に、接着剤層30を要せず、これらを積層できる。そのため、耐熱性の向上、および、より一層の薄膜化を図ることができる。
【0152】
この撮像装置20によれば、実装基板1の端子領域14において下側への変形が抑制されている。そのため、撮像素子21が実装基板1に精度よく実装されており、接続信頼性に優れる。また、金属支持板16などの支持基板を要しないため、薄型化が可能である。
【0153】
4.変形例
図10~
図11を参照して、第1実施形態の実装基板1の変形例について説明する。なお、変形例において、上記した
図2に示す実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0154】
(1)
図2に示す実施形態では、端子領域14の上面14aは、その全面が略平坦となるように形成されているが、例えば、
図10に示すように、端子領域14の上面14aの一部が、微小凹部81を形成して、略平坦となっていなくてもよい。
【0155】
この場合、内側部55の上面は、外側部56の上面と略面一とならず、外側部56の上面よりも下側に位置する。微小凹部81の深さは、領域外凹部80の深さよりも浅い。すなわち、微小凹部81の底部は、領域外凹部80の底部よりも上側に位置する。
【0156】
図10に示す実施形態についても
図2に示す実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0157】
実装基板1の端子領域14の変形をより確実に抑制できる観点から、
図2に示す実施形態が挙げられる。
【0158】
(2)
図2に示す実施形態では、実装基板1は、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層7と、第2カバー絶縁層8とを備えているが、例えば、
図11に示すように、実装基板1は、シールド層7、および、第2カバー絶縁層8とを備えなくてもよい。
【0159】
図11に示す実装基板1は、好ましくは、ベース絶縁層4、導体パターン5および第1カバー絶縁層6のみからなる。このとき、第1カバー絶縁層6は、導体パターン5の上面全面、および、導体パターン5から露出するベース絶縁層4の上面全面に配置される。
【0160】
図11に示す実施形態についても
図2に示す実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0161】
外部から生じる電磁波をシールド層7で遮蔽することができ、撮像装置としての信頼性を向上させる観点から、好ましくは、
図2に示す実施形態が挙げられる。
【0162】
(3)
図2に示す実装基板1では、導体パターン5(撮像素子接続端子9、外部部品接続端子10、配線11)は、それぞれ、めっき層19の材料と金属薄膜17の材料とが一体化されて、一層をなしているが、例えば、
図5Jに示すように、めっき層19の材料と金属薄膜17の材料とが別々であり、導体パターン5は、めっき層19と金属薄膜17との2層構造を備えていてもよい。好ましくは、めっき層19が、銅から構成され、金属薄膜17は、クロムから構成されている。この場合、撮像素子接続端子9において、周縁部53は、面方向外側に配置されるクロム金属薄膜と、その内側に配置される銅金属部とを備える。中実部54は、下側に配置されるクロム金属薄膜と、その上側に配置される銅金属部とを備える。
【0163】
(4)
図2に示す実施形態では、シールド層17を備えているが、例えば、図示しないが、シールド層17は、配線および端子などの第2導体層であってもよい。第2導体層の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下、さらに好ましくは、5μm以下である。グランド配線13と電気的に接続されていなくてもよい。第2導体層は、好ましくは、電解めっきなどのめっき法で形成することができる。
【0164】
(5)
図2に示す実施形態では、配線11は、グランド配線13を備えるが、例えば、図示しないが、グランド配線13を備えなくてもよい。すなわち、配線11は、接続配線12のみから構成することもできる。
【0165】
(6)
図2に示す実装基板1を備える撮像装置20では、撮像素子21は、実装基板1にフリップチップ実装されているが、例えば、図示しないが、撮像素子21は、実装基板1にワイヤボンディングによって実装することもできる。
【0166】
<第2実施形態>
1.撮像素子実装基板
図12を参照して、本発明の配線回路基板の一実施形態として、実装基板の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の実装基板1において、上記した
図2に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0167】
第1実施形態では、撮像素子接続端子9は、金めっき層を備えていないが、例えば、第2実施形態では、
図12に示すように、撮像素子接続端子9は、金めっき層57を備えている。
【0168】
第2実施形態の実装基板1では、撮像素子接続端子9は、端子接続部51と、その上に配置される配線接続部52を備えている。
【0169】
端子接続部51は、金めっき層57と、金めっき層57の上側に配置される充填部58とを備えている。
【0170】
金めっき層57は、撮像素子開口部41内に配置されており、端子接続部51の最下部を形成している。金めっき層57の下面(露出面)は、撮像素子開口部41から露出しており、ベース絶縁層4の下面と略面一となっている。
【0171】
金めっき層57の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、500nm以下、好ましくは、300nm以下、より好ましくは、150nm以下である。
【0172】
充填部58は、金めっき層57の上面と接触するように、金めっき層57の上側に設けられている。充填部58の上面は、ベース絶縁層4の上面と略面一である。すなわち、充填部58の上面と、ベース絶縁層4の上面とにおいて、上下方向ずれ(段差)が完全に生じないか、または、その段差が、上下方向において、例えば、2.0μm以下、好ましくは、1.0μm以下、より好ましくは、0.5μm以下である。
【0173】
充填部58の材料は、好ましくは、銅、ニッケルが挙げられる。充填部58の材料が銅である場合、撮像素子接続端子9の導電性に優れる。充填部58の材料がニッケルである場合、撮像素子接続端子9の硬さに優れ、撮像素子接続端子9の破損をより一層抑制することができる。
【0174】
充填部58の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0175】
金めっき層57および充填部58は、撮像素子開口部41の全てを充填している。
【0176】
なお、第2実施形態においても、端子接続部51において、
図13Aの仮想線に参照されるように、周縁部53と、その内側に配置される中実部54とを備えており、周縁部53および中実部54は、撮像素子開口部41の全部を充填している。具体的には、撮像素子開口部41を充填する周縁部53および中実部54は、金めっき層57および充填部58から構成されており、金めっき層57の面方向周縁部および充填部58の面方向周縁部が、端子接続部51の周縁部53に対応し、金めっき層57の面方向内側部および充填部58の面方向内側部が、端子接続部51の中実部54に対応する。
【0177】
配線接続部52は、金属薄膜17と、その上側に配置される配線接続本体部59とを備えている。
【0178】
金属薄膜17は、第1実施形態で上記した金属薄膜17である。
【0179】
金属薄膜17の内周部の下面は、端子接続部51(充填部58)の上面と、上下方向において連続し、金属薄膜17の外周部の下面は、ベース絶縁層4の上面と接触している。
【0180】
配線接続本体部59は、厚み方向に投影したときに、金属薄膜17と一致する。
【0181】
配線接続本体部59の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。
【0182】
配線接続本体部59の材料は、導体パターン5の材料が挙げられ、好ましくは、導電性の観点から、銅が挙げられる。
【0183】
撮像素子接続端子9は、金めっき層57、充填部58、金属薄膜17および配線接続本体部59を下から順に備える。
【0184】
なお、第1実施形態と同様に、撮像素子接続端子9は、
図13Bの仮想線に参照されるように、上下方向に投影したときに、撮像素子開口部41の最外形に含まれる内側部55と、内側部55から外側に延びる外側部56(鍔部)とを一体的に備えている。すなわち、撮像素子接続端子9において、端子接続部51(金めっき層57および充填部58)と、端子接続部51と上下方向に連続する配線接続部52(金属薄膜17および配線接続本体部59)の内周部とが、内側部55に対応し、ベース絶縁層4の上面と接触している配線接続部52の周縁部が、外側部56に対応する。
【0185】
また、第1実施形態と同様に、端子接続部51の下面(露出面)、すなわち、金めっき層57の下面は、ベース絶縁層4の下面と略面一であり、撮像素子接続端子9において、内側部55の上面は、外側部56の上面と略面一である。
【0186】
複数の配線11は、
図12に示すように、複数の接続配線12および複数のグランド配線13を備える。これらの複数の配線11は、それぞれ、その最下部に、金属薄膜17を備えている。すなわち、複数の配線11(接続配線12、グランド配線13)は、金属薄膜17と、その上側に配置される配線本体部60とを備えている。
【0187】
配線本体部60の厚みは、配線接続本体部59の厚みと同一であり、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。
【0188】
なお、第1実施形態と同様に、接続配線12の上面は、配線接続部52の上面と面一である。また、端子領域14の上面14aは、略平坦である。
【0189】
2.撮像素子実装基板の製造方法
第2実施形態の実装基板1は、
図14A~
図15Jに示すように、例えば、金属支持板用意工程、ベース絶縁層形成工程、金めっき層形成工程、充填部形成工程、金属薄膜形成工程、フォトレジスト形成工程、導体パターン形成工程、フォトレジスト・金属薄膜除去工程、第1カバー絶縁層形成工程、シールド層形成工程、第2カバー絶縁層形成工程、および、金属支持板除去工程を順次実施することにより、得られる。第1実施形態と同様の工程については、省略する。
【0190】
金属支持板用意工程では、
図4Aに参照されるように、金属支持板16を用意する。また、ベース絶縁層形成工程では、
図4Bに参照されるように、ベース絶縁層4を、金属支持板16の上面に形成する。これらの工程は、第1実施形態と同様である。
【0191】
金めっき層形成工程では、
図14Aに示すように、撮像素子開口部41から露出する金属支持板16の上面に、金めっき層57を形成する。
【0192】
金めっき層形成工程では、例えば、電解めっき、無電解めっきなどのめっき法を用いる。好ましくは、電解めっきが挙げられる。この場合、金めっき浴に、ベース絶縁層4が形成された金属支持板16を浸漬し、次いで、図示しない給電部を用いて、金属支持板16を介して、ベース絶縁層4の撮像素子開口部41から露出する金属支持板16の上面に給電する。
【0193】
充填部形成工程では、
図14Bに示すように、金めっき層57の上面に、充填部58を形成する。
【0194】
充填部形成工程では、例えば、電解めっき、無電解めっきなどのめっき法を用いる。好ましくは、電解めっきが挙げられる。例えば、所望のめっき浴(例えば、銅めっき浴、ニッケルめっき浴)に、金めっき層57が形成された金属支持板16を浸漬し、次いで、図示しない給電部を用いて、金属支持板16および金めっき層57を介して、金めっき層57の上面に給電する。充填部形成工程では、充填部58の上面は、ベース絶縁層4の上面と略面一となるまで、給電を実施する。
【0195】
これにより、撮像素子開口部41において、金めっき層57および充填部58(すなわち、周縁部53および中実部54)を備える端子接続部51が形成される。
【0196】
金属薄膜形成工程では、
図14Cに示すように、ベース絶縁層4の上面、充填部58の上面、および、外部部品開口部42から露出する金属支持板16の上面に、金属薄膜17(種膜)を形成する。
【0197】
金属薄膜形成工程は、第1実施形態と同様である。金属薄膜17としては、好ましくは、ベース絶縁層4との密着性から、クロムが挙げられる。また、好ましくは、スパッタリングにより金属薄膜17(スパッタ膜)を形成する。
【0198】
フォトレジスト形成工程では、
図14Dに示すように、金属薄膜17にフォトレジスト18を形成する。この工程は、第1実施形態と同様である。
【0199】
導体パターン形成工程では、
図14Eに示すように、フォトレジスト18から露出した金属薄膜17の上面に、導体パターン5を形成する。
【0200】
導体パターン形成工程は、具体的には、例えば、金属薄膜17から給電する電解めっきを実施する。第2実施形態では、電解めっきは、ビアフィルめっき法でない一般的なめっき法を採用する。
【0201】
これにより、金属薄膜17からめっき層19(配線接続本体部59および配線本体部60)が成長して、配線接続部52および配線11が形成される。このとき、配線接続本体部59の上面は、配線本体部60の上面と面一となるように、形成される。
【0202】
その結果、撮像素子接続端子9、外部部品接続端子10および配線11を有する導体パターン5が形成される。
【0203】
フォトレジスト・金属薄膜除去工程では、
図15Fに示すように、フォトレジスト18および金属薄膜17を除去する。
【0204】
第1カバー絶縁層形成工程は、
図15Gに示すように、導体パターン5およびベース絶縁層4の上面に、第1カバー絶縁層6を配置する。
【0205】
シールド層形成工程では、
図15Hに示すように、第1カバー絶縁層6の上に、シールド層7を形成する。
【0206】
第2カバー絶縁層形成工程は、
図15Iに示すように、シールド層7の上面に、第2カバー絶縁層8を配置する。
【0207】
金属支持板除去工程では、
図15Jに示すように、金属支持板16を除去する。
【0208】
【0209】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層7と、第2カバー絶縁層8とを備える実装基板1を得る。
【0210】
3.撮像装置
第2実施形態の実装基板1を備える撮像装置20は、
図6が参照されるように、第1実施形態の実装基板1を備える撮像装置20と同様である。
【0211】
そして、第2実施形態の実装基板1についても、第1実施形態の実装基板1と同様の作用効果を奏する。
【0212】
また、第2実施形態では、撮像素子接続端子9は、撮像素子開口部41内に配置され、その下面から露出する金めっき層57をさらに備えている。
【0213】
このため、撮像素子接続端子9の耐久性が良好となる。また、金めっき層57が良好なエッチング耐性を備えるため、撮像素子接続端子9を確実に形成することができる。具体的には、金属支持板除去工程において、すなわち、金属支持板16をエッチングして撮像素子接続端子9の下面を露出する工程において、充填部58(中実部54)内部までエッチングされることを抑制でき、充填部58の侵食を抑制できる。
【0214】
さらに、金めっき層57が、撮像素子開口部41内に配置されているため、金めっき層57は、実装基板1の下面において、突出することを抑制できる。具体的には、金めっき層57が、ベース絶縁層4の下面と略面一となり、実装基板1の端子領域14の下面14bを平坦にできる。よって、撮像素子21の実装性に優れる。
【0215】
4.変形例
図16~
図17を参照して、第2実施形態の実装基板1の変形例について説明する。なお、変形例において、上記した
図2、
図12などに示す実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0216】
(1)
図12に示す実施形態では、端子領域14の上面14aは、その全面が略平坦となるように形成されているが、例えば、
図16に示すように、端子領域14の上面14aの一部が、微小凹部81を形成して、略平坦となっていなくてもよい。
【0217】
この場合、内側部55の上面は、外側部56の上面と略面一とならず、外側部56の上面よりも下側に位置する。微小凹部81の深さは、領域外凹部80の深さよりも浅い。すなわち、微小凹部81の底部は、領域外凹部80の底部よりも上側に位置する。
【0218】
なお、撮像素子開口部41を充填する周縁部53および中実部54は、金めっき層57と、充填部58と、金属薄膜17と、配線接続部52の下部とから構成される。
【0219】
図16に示す実施形態についても
図12に示す実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0220】
実装基板1の端子領域14の変形をより確実に抑制できる観点から、
図12に示す実施形態が挙げられる。
【0221】
(2)
図12に示す実施形態では、実装基板1は、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6と、シールド層7と、第2カバー絶縁層8とを備えているが、例えば、
図17に示すように、実装基板1は、シールド層7、および、第2カバー絶縁層8とを備えなくてもよい。
【0222】
図17に示す実施形態についても
図12に示す実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0223】
外部から生じる電磁波をシールド層7で遮蔽することができ、撮像装置20としての信頼性を向上させる観点から、好ましくは、
図12に示す実施形態が挙げられる。
【0224】
(3)
図12に示す実装基板1では、導体パターン5(撮像素子接続端子9、外部部品接続端子10、配線11)は、それぞれ、めっき層19の材料と金属薄膜17の材料とが別々であり、めっき層19と金属薄膜17との2層構造(具体的には、金属薄膜17と配線接続本体部59との2層構造、金属薄膜17と配線本体部60との2層構造)を備えているが、例えば、図示しないが、導体パターン5は、めっき層19の材料と金属薄膜17の材料とが同一(例えば、銅)であり、完全に一体化され、一層となっていてもよい。
【0225】
また、撮像素子接続端子9において、充填部58、金属薄膜17、および、配線接続本体部59が、同一の材料(例えば、銅)からなり、これらからなる部分は、完全に一体化され、一層となっていてもよい。
【0226】
(4)
図12に示す実施形態では、シールド層17を備えているが、例えば、図示しないが、シールド層17は、配線、端子などの第2導体層(上記)であってもよい。
【0227】
(5)
図12に示す実装基板1では、配線11は、グランド配線13を備えるが、例えば、図示しないが、グランド配線13を備えなくてもよい。
【0228】
<配線回路基板の他の実施形態>
図1~
図17に示す実施形態では、配線回路基板として、撮像素子に実装するための撮像素子実装基板1を例示したが、この用途に限定されず、本発明の配線回路基板は、撮像素子以外の電子素子(例えば、圧電素子、発光素子)を実装するための配線回路基板として使用することができる。
【符号の説明】
【0229】
1 実装基板
4 ベース絶縁層
5 導体パターン
6 第1カバー絶縁層
7 シールド層
8 第2カバー絶縁層
9 撮像素子接続端子
12 接続配線
14 端子領域
14a 端子領域の上面
20 撮像装置
21 撮像素子
41 撮像素子開口部
43 内側面
51 端子接続部
52 配線接続部
53 周縁部
54 中実部
55 内側部
56 外側部
57 金めっき層