(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】袋体処理機
(51)【国際特許分類】
B65B 43/52 20060101AFI20220715BHJP
B65B 43/46 20060101ALI20220715BHJP
B65B 3/04 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
B65B43/52 A
B65B43/46 A
B65B3/04
(21)【出願番号】P 2018015890
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】中 本 格 衛
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0152516(US,A1)
【文献】特開2001-072004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00-43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面上に無端状の移送経路を定めるレール部材と、前記レール部材に保持され且つ前記移送経路に沿って移動可能な複数の保持部材とを有し、前記保持部材が袋又はスパウトを把持しつつ前記移送経路に沿って移送される移送装置と、
前記保持部材に前記袋又は前記スパウトを渡す供給装置と、
前記移送経路上に配置され、前記供給装置よりも前記袋又は前記スパウトの移送方向で下流側に位置し、
袋体処理領域に順次移送されてくる前記袋、前記スパウト又は前記供給装置から前記スパウトが前記保持部材に渡された後、前記スパウトに袋が結合されたスパウト付きの袋に対し袋体処理を繰り返し行う少なくとも2つの袋体処理装置と、を備え、
前記レール部材には、前記移送経路に沿って並んだ複数の電磁石が設けられるとともに、前記保持部材には永久磁石が設けられ、前記保持部材はそれぞれリニアモータ駆動により移送され、前記電磁石に供給される電流に応じて移送速度を調節されるようになっており、
前記袋体処理装置には、第1袋体処理装置と、前記第1袋体処理装置よりも前記移送方向において下流側に配置される第2袋体処理装置とが含まれ、
前記保持部材は、前記第1袋体処理装置の袋体処理後の前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋を、前記第1袋体処理装置の袋体処理領域から前記第2袋体処理装置の袋体処理領域まで移送し、
前記第1袋体処理装置の袋体処理1回当たりの単位処理時間は、前記第2袋体処理装置の袋体処理1回当たりの単位処理時間と異なるとともに、前記第1袋体処理装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数は、前記第2袋体処理装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数と異なっており、
前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置のうちの単位処理時間が長い方の装置の単位処理時間において単位処理時間が短い方の装置が袋体処理する前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数が、単位処理時間が長い方の装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数と同一となり、且つ、前記第2袋体処理装置が袋体処理を行っている間に、前記第2袋体処理装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数以上の前記第1袋体処理装置による袋体処理済みの前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋が前記第2袋体処理装置の上流側にストックされるように、前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置を制御するとともに、前記移送装置によって前記保持部材の移送状態を制御する、袋体処理機。
【請求項2】
前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置は、それぞれに対応して定められた袋体処理領域内で袋体処理を行うようになっており、
前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置のうちの単位処理時間が短い方の装置が、自身に設定される前記袋体処理領域において前記保持部材によって移送されている前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の移送速度と同調した追従速度で自身の単位処理時間の間、前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に追従して袋体処理を行うようになっており、
前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置のうちの単位処理時間が長い方の装置は、単位処理時間が短い方の装置を前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋が通過する際の移送速度に自身の単位処理時間を乗算して定まる距離未満の範囲に設定される前記袋体処理領域において、前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に追従して袋体処理を行うようになっているか、又は、停止された状態の前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に対して袋体処理を行うようになっている、請求項1に記載の袋体処理機。
【請求項3】
前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置がともに、停止された状態の前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に対して袋体処理を行うようになっている、請求項1に記載の袋体処理機。
【請求項4】
前記保持部材は、前記レール部材に別々に保持され且つ前記移送経路に沿って別々に移動可能な隣り合う一対のグリッパーからなるグリッパー対であり、その一対のグリッパーで前記袋を把持するように構成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載の袋体処理機。
【請求項5】
前記袋は、その口部をシールされることで内容物を封止するタイプの袋であり、
前記第1袋体処理装置は、前記袋に内容物を充填する充填装置であり、
前記第2袋体処理装置は、前記袋の口部をシールする第1袋口シール装置である、請求項1乃至4のいずれかに記載の袋体処理機。
【請求項6】
前記移送経路は、一対の直線レーンと、前記一対の直線レーンの一方側の端部の間および他方側の端部の間を接続する一対の半円状の湾曲レーンとでループ状を形成するレーストラック型であり、
前記供給装置は、前記一対の直線レーンのうちの一方側に配置され、前記第1袋口シール装置は、前記一対の直線レーンのうちの他方側に配置される、請求項5に記載の袋体処理機。
【請求項7】
前記充填装置は液体充填装置であり、前記一対の直線レーンのうちのいずれかに配置される、請求項6に記載の袋体処理機。
【請求項8】
前記充填装置が前記一対の直線レーンのうちの他方側に配置される、請求項7に記載の袋体処理機。
【請求項9】
前記袋体処理装置には、前記第2袋体処理装置としての前記第1袋口シール装置よりも下流側に配置される袋口冷却装置がさらに含まれ、
前記袋口冷却装置が、前記一対の直線レーンのうちの一方側に配置される、請求項8に記載の袋体処理機。
【請求項10】
前記袋体処理装置には、前記第2袋体処理装置としての前記第1袋口シール装置よりも下流側に配置され、前記袋の口部をシールする第2袋口シール装置がさらに含まれ、
前記第2袋口シール装置は、前記一対の直線レーンのうちの一方側に配置される、請求項9に記載の袋体処理機。
【請求項11】
前記保持部材は、前記スパウトを把持するスパウト把持爪である、請求項1乃至3のいずれかに記載の袋体処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば袋の両側縁部を左右一対のグリッパーで挟持し、袋を移送しながら所定の位置で袋体処理(開口、充填、シール等)を行う袋体処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の袋体処理機の代表例として、袋詰め包装機が挙げられる。袋詰め包装機は一般に、袋の口部を上方に向けた状態で袋の両側縁部を左右一対のグリッパーで挟持し、グリッパーを移送経路に沿って移送しながら複数の袋体処理装置によって種々の袋体処理を行う。
【0003】
上述の袋体処理装置は、例えば袋の口部を開口させるための袋開口装置、袋の内部に内容物を充填する充填装置、袋の口部をシールするシール装置などのことを意味する。ここで挙げた袋体処理装置が移送経路上に配置される場合、例えば袋開口装置によって袋の口部を開口した後、充填装置から内容物を充填し、次いでシール装置によって口部をシールすることで、袋詰め製品を生産することが可能となる。
【0004】
上述のような袋詰め包装機は、多くの場合に円形型またはレーストラック型の移送経路を採用しており、例えば特許文献1及び特許文献2には、レーストラック型の移送経路を有する袋詰め包装機が開示されている。ここで言うレーストラック型の移送経路は典型的には、互いに対向する一対の直線レーンと、一対の直線レーンの一方側の端部の間および他方側の端部の間を接続する一対の半円状の湾曲レーンとを有するループ状の移送経路のことであるが、広義には、非円形でループ状をなす移送経路のことを意味する。
【0005】
特許文献1の袋詰め包装機では、移送経路上の袋体処理装置が袋に追従して袋体処理を行うことで袋を停止させることなく連続的に袋体処理を行うことができる。そのため、高い生産能力を確保することができる。また、例えば袋開口装置が複数の袋をまとめて開口させたり、シール装置が複数の装置をまとめてシールしたりすることが可能となっており、生産能力のさらなる向上が図られている。
【0006】
一方で、特許文献2の袋詰め包装機では移送経路を形成するレール部材に電磁石が配列されるとともにグリッパーに永久磁石が設けられ、グリッパーをリニアモータ駆動により移送するようになっている。これにより、電磁石の励磁を調節することでグリッパーの移送速度及び隣り合うグリッパーの間の距離を調節することができる。
【0007】
一般的なグリッパーは、一対で1つのユニットとして扱われ、一対のグリッパー間の距離を離接させるための駆動機構が1つのユニット毎に設けられる。この駆動機構は、一対のグリッパーを上述した袋開口装置の開口処理と同時に互いに接近させたり、シール装置によるシール処理がなされる前に互いに離間させたりするために設けられている。これに対し、特許文献2の装置では、移送のためのリニアモータを利用して隣り合う一対のグリッパーを離接可能なため、上述のような駆動機構が不要となる点で有用である。
【0008】
また、特許文献2の袋詰め包装機の移送経路では一対の直線レーンのうちの一方に複数の袋体処理装置が配置され、他方には袋体処理装置が配置されていない。そして、他方のレーンにおけるグリッパーの移送速度が一方のレーンにおける移送速度よりも速くなるようにグリッパーを移送して、他方のレーンから一方のレーンにグリッパーを戻す。これにより、一定の移送速度でグリッパーを循環させる方式の袋詰め包装機よりもグリッパーの数を減らししつつ、高い生産能力を確保することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第4290290号公報
【文献】欧州特許2788260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の袋詰め包装機では、グリッパーが常に一定の移送速度で移送されるため、例えば袋体処理に時間のかかる充填装置を袋に追従させる追従距離を、袋体処理に時間のかからない袋開口装置の袋に対する追従距離よりも長く設定することで、連続的に袋体処理を行うことが可能となる。これに対し、このような充填装置の追従距離を袋開口装置の追従距離と同等にするとともに移送経路上に複数の充填装置を設けて、同一の袋に対し段階的に充填処理を行ってもよい。
【0011】
しかしながら、前者のように充填装置の追従距離を長くする場合には、充填装置の追従機構などが複雑化あるいは大型化し、後者の場合であっても、充填装置の数が増加するため、いずれの場合もコスト負担が大きくなる。
【0012】
これに対し、本件発明者は、特許文献2のようなリニアモータ駆動の移送方式を採用してグリッパーの移送状態などを工夫すれば、上記のような連続移送式の包装機で生じる問題が解消され得ることを見出した。しかしながら、特許文献2の袋詰め包装機では、開口、充填、シールといった袋体処理が行われるが、各袋体処理における袋の移送状態の詳細は開示されていない。そのため、本件発明者が見出したような知見はなく、機器全体の簡素化や小型化、及び袋体処理装置の数の抑制を目的とした工夫が十分になされているは言い難い。
【0013】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、グリッパー等の袋の保持部材をリニアモータ駆動により移送する袋体処理機であって、機器全体の簡素化または小型化、あるいは袋体処理装置の数を抑制しながら、効率的に袋詰め製品を生産することができる袋体処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る袋体処理機は、水平面上に無端状の移送経路を定めるレール部材と、前記レール部材に保持され且つ前記移送経路に沿って移動可能な複数の保持部材とを有し、前記保持部材が袋又はスパウトを把持しつつ前記移送経路に沿って移送される移送装置と、前記保持部材に前記袋又は前記スパウトを渡す供給装置と、前記移送経路上に配置され、前記供給装置よりも前記袋又は前記スパウトの移送方向で下流側に位置し、順次移送されてくる前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に対し袋体処理を繰り返し行う少なくとも2つの袋体処理装置と、を備え、前記レール部材には、前記移送経路に沿って並んだ複数の電磁石が設けられるとともに、前記保持部材には永久磁石が設けられ、前記保持部材はそれぞれリニアモータ駆動により移送され、前記電磁石に供給される電流に応じて移送速度を調節されるようになっており、前記袋体処理装置には、第1袋体処理装置と、前記第1袋体処理装置よりも前記移送方向において下流側に配置される第2袋体処理装置とが含まれ、前記第1袋体処理装置の袋体処理1回当たりの単位処理時間は、前記第2袋体処理装置の袋体処理1回当たりの単位処理時間と異なるとともに、前記第1袋体処理装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数は、前記第2袋体処理装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数と異なっており、前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置のうちの単位処理時間が長い方の装置の単位処理時間において単位処理時間が短い方の装置が袋体処理する前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数が、単位処理時間が長い方の装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数と同一となり、且つ、前記第2袋体処理装置が袋体処理を行っている間に、前記第2袋体処理装置の1回の袋体処理における前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の処理個数以上の前記第1袋体処理装置による袋体処理済みの前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋が前記第2袋体処理装置の上流側にストックされるように、前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置を制御するとともに、前記移送装置によって前記保持部材の移送状態を制御する、袋体処理機である。
【0015】
本発明に係る袋体処理機において、前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置は、それぞれに対応して定められた袋体処理領域内で袋体処理を行うようになっており、前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置のうちの単位処理時間が短い方の装置が、自身に設定される前記袋体処理領域において前記保持部材によって移送されている前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋の移送速度と同調した追従速度で自身の単位処理時間の間、前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に追従して袋体処理を行うようになっており、前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置のうちの単位処理時間が長い方の装置は、単位処理時間が短い方の装置を前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋が通過する際の移送速度に自身の単位処理時間を乗算して定まる距離未満の範囲に設定される前記袋体処理領域において、前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に追従して袋体処理を行うようになっているか、又は、停止された状態の前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に対して袋体処理を行うようになっていてもよい。
【0016】
また、本発明に係る袋体処理機においては、前記第1袋体処理装置及び前記第2袋体処理装置がともに、停止された状態の前記袋、前記スパウト又は前記スパウト付きの袋に対して袋体処理を行うようになっていてもよい。
【0017】
また、本発明に係る袋体処理機において、前記保持部材は、前記レール部材に別々に保持され且つ前記移送経路に沿って別々に移動可能な隣り合う一対のグリッパーからなるグリッパー対であり、その一対のグリッパーで前記袋を把持するように構成されていてもよい。
【0018】
また、本発明に係る袋体処理機において、前記袋は、その口部をシールされることで内容物を封止するタイプの袋であり、前記第1袋体処理装置は、前記袋に内容物を充填する充填装置であり、前記第2袋体処理装置は、前記袋の口部をシールする第1袋口シール装置であってもよい。
【0019】
また、本発明に係る袋体処理機において、前記移送経路は、一対の直線レーンと、前記一対の直線レーンの一方側の端部の間および他方側の端部の間を接続する一対の半円状の湾曲レーンとでループ状を形成するレーストラック型であり、前記供給装置は、前記一対の直線レーンのうちの一方側に配置され、前記第1袋口シール装置は、前記一対の直線レーンのうちの他方側に配置されてもよい。
【0020】
また、本発明に係る袋体処理機において、前記充填装置は液体充填装置であり、前記一対の直線レーンのうちのいずれかに配置されてもよい。
【0021】
また、本発明に係る袋体処理機においては、前記充填装置が前記一対の直線レーンのうちの他方側に配置されてもよい。
【0022】
また、本発明に係る袋体処理機において、前記袋体処理装置には、前記第2袋体処理装置としての前記第1袋口シール装置よりも下流側に配置される袋口冷却装置がさらに含まれ、前記袋口冷却装置が、前記一対の直線レーンのうちの一方側に配置されてもよい。
【0023】
また、本発明に係る袋体処理機において、前記袋体処理装置には、前記第2袋体処理装置としての前記第1袋口シール装置よりも下流側に配置され、前記袋の口部をシールする第2袋口シール装置がさらに含まれ、前記第2袋口シール装置は、前記一対の直線レーンのうちの一方側に配置されてもよい。
【0024】
また、本発明に係る袋体処理機において、前記保持部材は、前記スパウトを把持するスパウト把持爪であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、機器全体の簡素化または小型化、あるいは袋体処理装置の数を抑制しながら、効率的に袋詰め製品を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る袋体処理機としての袋詰め包装機の平面図である。
【
図2】
図1に示す袋詰め包装機の平面図であって、当該袋詰め包装機の袋体処理を説明するための図である。
【
図3】
図1に示す袋詰め包装機の平面図であって、当該袋詰め包装機の袋体処理を説明するための図である。
【
図4】
図1に示す袋詰め包装機で移送する一対のグリッパーからなるグリッパー対の平面図である。
【
図5】
図4の矢印Vの方向にグリッパーを見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。
【0028】
(袋体処理機)
図1は、本発明の一実施の形態に係る袋体処理機としての袋詰め包装機10の平面図である。
図1に示される袋詰め包装機10は、移送装置11と、供給装置としての袋供給装置21と、複数の袋体処理装置22~28と、放出用コンベア装置29とを備えている。移送装置11は、水平面上に無端状の移送経路Rを定めるレール部材12と、レール部材12に別々に保持され且つ移送経路Rに沿って別々に移動可能な隣り合う一対のグリッパー13,13からなる保持部材としての複数のグリッパー対14とを有している。各グリッパー対14は、その一対のグリッパー13,13で袋100の両側縁部を把持(詳しくは、挟持)しつつ移送経路Rに沿って移送されるようになっている。
【0029】
移送経路Rは、一対の直線レーンと、一対の直線レーンの一方側の端部の間および他方側の端部の間を接続する一対の半円状の湾曲レーンとでループ状を形成するレーストラック型となっている。このような移送経路Rを形成するべく、レール部材12は、一対の直線レーンのうちの一方を形成する第1直線部12A1と、一対の直線レーンのうちの他方を形成する第2直線部12A2と、一対の湾曲レーンのうちの一方を形成する第1湾曲部12B1と、一対の湾曲レーンのうちの他方を形成する第2湾曲部12B2とを有している。
【0030】
レール部材12には、移送経路Rに沿って並んだ複数の電磁石15(
図4及び
図5参照)が設けられるとともに、グリッパー13のそれぞれには永久磁石16(
図4及び
図5参照)が設けられ、グリッパー13はそれぞれリニアモータ駆動により移送され、電磁石15に供給される電流に応じて移送速度を調整されるようになっている。すなわち、グリッパー13は、電磁石15からの磁力を永久磁石16で受けて移送方向における推進力を発生させ、磁力の強弱によって移送速度を調節されるようになっている。
【0031】
図4はグリッパー対14の平面図であり、
図5は
図4の矢印Vの方向にグリッパー13を見た図である。
図4及び
図5に示されるように、電磁石15は、レール部材12において水平方向で対向する外周面及び内周面のうちの外周面の全域に設けられている。図示しないが、電磁石15は鉄心及び鉄心の周囲に巻き付けられたコイルを有しており、駆動制御装置からコイルに電流を供給されて鉄心から磁力を発生するように構成される。
【0032】
本実施の形態ではレール部材12の外周面の全周にわたって電磁石15が設けられるが、電磁石15の配置はこのような態様に限られるものではない。例えばレール部材12の一部分に電磁石15が設けられ、その他の部分には電磁石15が設けられず、当該他の部分においてはグリッパー13を他の駆動方式で移送するようになっていてもよい。
【0033】
図4に示されるようにグリッパー対14では、移送方向において上流側のグリッパー13と下流側のグリッパー13とが、把持する袋100を挟んで対称となる。
図5には一対のグリッパー13のうちの下流側のグリッパー13が示されており、以下では、下流側のグリッパー13を参照しつつグリッパー13の詳細な構成について説明するが、上流側のグリッパー13と下流側のグリッパー13との相違点は袋100に対する向きだけである。
【0034】
本実施の形態におけるグリッパー13は、レール部材12に対して移動自在に保持される保持ブロック131と、保持ブロック131に固定されたグリップ部132とを有している。レール部材12は縦断面視で上下方向に長尺な矩形状となっており、保持ブロック131は、レール部材12の外周面、上面及び下面を囲い込むように位置するコの字形状或いは略U字形状のブラケット部131Aと、ブラケット部131Aの上部側に配置される第1ローラ群131Bと、ブラケット部131Aの下部側に配置される第2ローラ群131Cとを有している。
【0035】
ブラケット部131Aは、上下に延びる側壁部131A1と、側壁部131A1の上端から延びてレール部材12の上面と向き合う上壁部131A2と、側壁部131A1の下端から延びてレール部材12の下面と向き合う下壁部131A3とで構成されており、第1ローラ群131Bはレール部材12の側を向く上壁部131A2の内面に設けられ、第2ローラ群131Cはレール部材12の側を向く下壁部131A3の内面に設けられている。
【0036】
第1ローラ群131Bにはレール部材12の上面を転動するローラと、水平方向で互いに対向するレール部材12の外周面及び内周面を上部側で挟み込んで転動するローラ対とが含まれ、第2ローラ群131Cにはレール部材12の下面を転動するローラと、水平方向で互いに対向するレール部材12の外周面及び内周面を下部側で挟み込んで転動するローラ対とが含まれている。第1ローラ群131B及び第2ローラ群131Cにおいては、レール部材12の上面を転動するローラとレール部材12の下面を転動するローラとがレール部材12を上下から挟み込む一方、第1ローラ群131Bのローラ対及び第2ローラ群131Cのローラ対がレール部材12を水平方向の両側から挟み込んでいる。これにより、保持ブロック131は移動時における上下方向及び水平方向における揺動が抑制され、安定した状態で走行する。
【0037】
側壁部131A1においてレール部材12の側を向くその内面には上述の永久磁石16が設けられ、内面とは反対側を向く外面には上述のグリップ部132が固定されている。グリップ部132は側壁部131A1の外面から水平方向に沿って突出し、その先端で袋100の側縁部を挟み込むようになっている。ここで、
図4に示されるように、上流側のグリッパー13と下流側のグリッパー13とは袋100の互い異なる側縁部を袋100の互い異なる側方両側から把持するように構成される。そのため、上流側のグリッパー13と下流側のグリッパー13とは把持する袋100を挟んで対称となり、その違いは袋100に対する向きだけとなる。
【0038】
以上のような一対のグリッパー13からなるグリッパー対14では、一対のグリッパー13がリニアモータ駆動により基本的に同期状態で移送されるが、リニアモータ駆動を採用することにより、移送中或いは停止された後において一対のグリッパー13の間の距離を接近又は離間させることが可能となっている。具体的に本実施の形態では、後述するように袋100の口部が開口される際に、袋100の側縁部が近づくように一対のグリッパー13が互いに接近されるようになっており、その後、袋100の口部を閉じる際に、袋100の側縁部が離れるように一対のグリッパー13が互いに離間されるようになっている。なお、一対のグリッパー13の間の距離を調節可能である場合には、袋100が異なるサイズの袋に変更された場合においても変更後の袋を適正に把持できるため、非常に有用である。
【0039】
図1に戻り、本実施の形態における移送経路Rには袋体処理を実施するための複数のステーションS1~S9が設定され、この複数のステーションは、第1ステーションS1~第9ステーションS9を含む。ステーションS1には袋供給装置21が配置され、第2~第8ステーションS2~S8にはそれぞれ袋体処理装置22~28が配置され、第9ステーションS9には放出用コンベア装置29が配置される。袋詰め包装機10では、移送装置11がグリッパー対14を移動させて複数のステーションS1~S9に袋100を順次移送し、各袋体処理装置22~28が順次移送されてくる袋100に対し袋体処理を繰り返し行うようになっている。そして、一連の袋体処理が全て完了することで、袋詰め製品100’が生産される。なお、上述の各ステーションは、本発明でいう袋体処理領域に対応するものである。また、本実施の形態では、袋100が、その口部をシールされることで内容物を封止するタイプの袋となっている。
【0040】
本実施の形態における袋体処理装置22~28には、印字装置22、印字検査装置23、袋開口装置24,液体充填装置25、第1袋口シール装置26、第2袋口シール装置27及び袋口冷却装置28が含まれている。袋供給装置21、各袋体処理装置22~28及び放出用コンベア装置29はそれぞれ、移送経路R上、言い換える移送経路Rに定められた所定位置の近傍領域(ステーション)に配置され、移送経路Rに沿って並ぶように配置されている。
【0041】
第1ステーションS1に配置される袋供給装置21は、移送経路Rの一対の直線レーンのうちの一方の側、すなわち第1直線部12A1の側に配置され、移送経路Rの上流端部を定めている。第1ステーションS1では、袋供給装置21が有する例えば吸盤により、連続的に袋100を搬送するコンベアマガジンから袋100が1枚ずつ取り出されて、グリッパー対14に渡され、この際、グリッパー対14は一対のグリッパー13によって袋100を把持する。本実施の形態における袋供給装置21は停止された状態の一つのグリッパー対14に対して袋の供給処理を行うが、袋供給装置21は移送されているグリッパー対14に追従して袋の供給処理を行うようになっていてもよい。
【0042】
本実施の形態で移送される袋100は、正面視で矩形状の袋であり、互いに対向する一対の矩形状のフィルムの周縁を直接的に又は他の部材を介して間接的に接合することで袋状に形成されている。コンベアマガジンからグリッパー対14に渡された直後の袋100は、その一辺部が接合されておらず、外部に開放する口部が形成された状態となっている。
【0043】
図示の例では、口部が上方を向くようにグリッパー13によって袋100が把持され、この際、一対のグリッパー13は、袋100において口部側から下方に延び且つ水平方向で互いに対向する袋100の一対の側縁部を各別に把持する。なお、袋100の形状は特に限定されるものではなく、袋100は、例えば円形状や三角形状や台形状等であってもよい。
【0044】
第2ステーションS2には印字装置22が設けられ、印字装置22は移送経路Rの一対の直線レーンのうちの一方の側、すなわち第1直線部12A1の側に配置されている。第2ステーションS2では、グリッパー対14によって保持されている袋100に対し印字装置22により製造日等の情報が印字される。本実施の形態における印字装置22は停止された状態の袋100に対して印字処理を行うが、印字装置22は移送されている袋100に追従して印字処理を行うようになっていてもよい。
【0045】
第3ステーションS3には印字検査装置23が設けられ、印字検査装置23は移送経路Rの一対の直線レーンのうちの一方の側、すなわち第1直線部12A1の側に配置されている。第3ステーションS3では、印字検査装置23によって、印字装置22が印字した情報が袋100に適正に印字されているか否かが検出される。本実施の形態における印字検査装置23は停止された状態の袋100に対して印字検査処理を行うが、印字検査装置23は移送されている袋100に追従して袋の印字検査処理を行うようになっていてもよい。なお、印字検査装置23が印字された情報が不適正と判定した際には、グリッパー対14が不適正と判定された袋100を落下させるようになっていてもよい。
【0046】
第4ステーションS4には袋開口装置24が設けられ、袋開口装置24は移送経路Rの一対の直線レーンのうちの一方の側、すなわち第1直線部12A1の側に配置されている。第4ステーションS4では、袋開口装置24によって袋100の口部が開かれる。本実施の形態における袋開口装置24は、2組の開口吸盤対24Aによって2つの袋100の口部を同時に開くようになっている。また、本実施の形態では袋開口装置24が袋100の口部を開くのと同じに、一対のグリッパー13がリニアモータ駆動により互いに接近されるようになっている。これにより、袋100の口部が適正に開口し且つ開口状態が維持されることになる。
【0047】
なお、本実施の形態における袋開口装置24は停止された状態の袋100に対して開口処理を行うが、袋開口装置24は移送されている袋100に追従して開口処理を行うようになっていてもよい。
【0048】
第5ステーションS5には液体充填装置25が設けられ、液体充填装置25は移送経路Rの一対の直線レーンのうちの他方の側、すなわち第2直線部12A2の側に配置されている。したがって、第4ステーションS4において開口処理が行われた袋100は、第1湾曲部12B1を経由して第2直線部12A2に移送される。
【0049】
第5ステーションS5では、液体充填装置25によって袋100の口部を介して液体の内容物が袋100の内部に充填される。本実施の形態における液体充填装置25は、6つの液体充填ユニット25Aを有し、6つの袋100に対して同時に内容物を充填するようになっている。なお、本実施の形態における液体充填装置25は停止された状態の袋100に対して充填処理を行うが、液体充填装置25は移送されている袋100に追従して袋の充填処理を行うようになっていてもよい。また、袋100に充填される内容物は液体に限られるものではない。
【0050】
第6ステーションS6には第1袋口シール装置26が設けられ、第1袋口シール装置26は移送経路Rの一対の直線レーンのうちの他方の側、すなわち第2直線部12A2の側に配置されている。本実施の形態では、充填処理が完了した袋100が第6ステーションS6に到達する前に一対のグリッパー13がリニアモータ駆動により互いに離間され、これにより袋100の口部が閉じられる。その後、第1袋口シール装置26が、閉じられた口部を第1熱板26Aによって挟んで第1の熱圧着処理(シール処理)を行う。
【0051】
本実施の形態における第1袋口シール装置26は、3つの袋100の口部を同時に閉じるようになっている。また、本実施の形態における第1袋口シール装置26は移送されている袋100に追従して袋100に対して第1の熱圧着処理を行うようになっている。この例では、第1熱板26Aが処理開始位置(
図1の第1熱板26Aの位置)から袋100に追従して移送方向に移動し、所定の位置まで(
図2の第1熱板26Aの位置)まで移動した後、処理開始位置に復帰する。なお、第1袋口シール装置26は停止された状態の袋100に対して第1の熱圧着処理を行うようになっていてもよい。
【0052】
第7ステーションS7には第2袋口シール装置27が設けられ、第2袋口シール装置27は移送経路Rの一対の直線レーンのうちの一方の側、すなわち第1直線部12A1の側に配置されている。したがって、第6ステーションS6において第1の熱圧着処理が行われた袋100は、第2湾曲部12B2を経由して第2直線部12A2に移送される。
【0053】
第7ステーションS7では、第2袋口シール装置27が口部を第2熱板27Aにより挟んで第2の熱圧着処理(シール処理)を行う。本実施の形態における第2袋口シール装置27は、2つの袋100の口部を同時に閉じるようになっている。また、本実施の形態における第2袋口シール装置27は停止された状態の袋100に対して第2の熱圧着処理を行うが、第2袋口シール装置27は移送されている袋100に追従して袋100に対し第2の熱圧着処理を行うようになっていてもよい。
【0054】
続いて第8ステーションS8には袋口冷却装置28が設けられ、袋口冷却装置28は移送経路Rの一対の直線レーンのうちの一方の側、すなわち第1直線部12A1の側に配置されている。第8ステーションS8では、袋100のうち熱圧着された箇所が冷却板28Aにより挟まれて冷却され、口部が気密にシールされる。本実施の形態における袋口冷却装置28は、2つの袋100の口部を同時に冷却するようになっている。また、本実施の形態における袋口冷却装置28は停止された状態の袋100に対して冷却処理を行うが、袋口冷却装置28は移送されている袋100に追従して袋100に対して冷却処理を行うようになっていてもよい。
【0055】
第8ステーションS8までの袋体処理が完了すると、袋詰め製品100’が製造される。第9ステーションS9に配置される放出用コンベア装置29は、移送経路Rの一対の直線レーンのうちの一方の側、すなわち第1直線部12A1の側に配置され、移送経路Rの下流端部を定めている。第9ステーションS9では、グリッパー対14から袋詰め製品100’が解放され、袋詰め製品100’が放出用コンベア装置29に落下して放出されるようになっている。また、第9ステーションS9を通過したグリッパー対14は、第1ステーションS1に戻り、袋供給装置21から袋100を再度供給されることになる。
【0056】
(袋の移送態様)
次に、袋100の移送態様について説明する。上述した複数の袋体処理装置22~28においては互いに隣り合う2つの装置の組合せの中において、一方の装置(第1袋体処理装置)の袋体処理1回当たりの単位処理時間が、他方の装置(第2袋体処理装置)の袋体処理1回当たりの単位処理時間と異なり、且つ、一方の装置の1回の袋体処理における袋100の処理個数が、他方の装置の1回の袋体処理における袋100の処理個数と異なる関係を有する組合せが存在する。
【0057】
例えば袋開口装置24の単位処理時間は、液体充填装置25の単位処理時間よりも短く、且つ、袋開口装置24の1回の袋体処理における袋100の処理個数は2個であって、液体充填装置25の1回の袋体処理における袋100の処理個数(6個)よりも小さい。また、第1袋口シール装置26の単位処理時間は、液体充填装置25の単位処理時間よりも短く、且つ、第1袋口シール装置26の1回の袋体処理における袋100の処理個数は3個であって、液体充填装置25の1回の袋体処理における袋100の処理個数(6個)よりも小さい。
【0058】
本実施の形態では、機器全体の小型化や複雑化を抑制しつつ、効率的に袋詰め製品100’を生産できるようにするために、このような装置の組合せにおいて、単位処理時間が長い方の装置の単位処理時間において単位処理時間が短い方の装置が袋体処理する袋100の処理個数が、単位処理時間が長い方の装置の1回の袋体処理における袋100の処理個数と同一となり、且つ、下流側の装置が袋体処理を行っている間に、下流側の装置の1回の袋体処理における袋の処理個数以上の上流側の装置による袋体処理済みの袋100が下流側の装置の上流側にストックされる関係が成り立つように、各袋体処理装置を制御するとともに、移送装置11がリニアモータ駆動を活用してグリッパー対14の移送状態を制御するようになっている。
【0059】
具体的には、単位処理時間が長い方の装置の単位処理時間において単位処理時間が短い方の装置が袋体処理する袋100の処理個数を、単位処理時間が長い方の装置の1回の袋体処理における袋100の処理個数と同一にするべく、単位処理時間が短い方の装置が長い方の装置の単位処理時間の間に1回又は複数回(本例では、複数回)の袋体処理を行うようになっている。これにより、下流側の装置が袋体処理を行っている間に、下流側の装置の1回の袋体処理における処理個数以上の「上流側の装置による処理済み」の袋100が下流側の装置の上流側にストックされるようにしている。
【0060】
より具体的には、液体充填装置25の単位処理時間において袋開口装置24が袋体処理する袋100の処理個数が、液体充填装置25の1回の充填処理における袋100の処理個数(6個)と同一となるように、袋開口装置24、液体充填装置25及び移送装置11が制御される。また、液体充填装置25と第1袋口シール装置26との間では、液体充填装置25の単位処理時間において第1袋口シール装置26がシール処理する袋100の処理個数が、液体充填装置25の1回の充填処理における袋100の処理個数(6個)と同一となるように、液体充填装置25、第1袋口シール装置26及び移送装置11が制御される。
【0061】
図1では液体充填装置25が6個の袋100に内容物を充填している途中であり、
図3では液体充填装置25が充填処理を完了し、
図2では、液体充填装置25が
図1の状態と
図3の状態との間の状態となっている。
【0062】
上述のような移送態様でグリッパー対14によって袋100が移送される場合、
図1乃至
図3の二点鎖線で囲む領域から明らかなように、液体充填装置25が6個の袋100に内容物を充填する間に、袋開口装置24が3回の処理を繰り返して6個の袋100の開口処理を行う。これにより、液体充填装置25が充填処理を終了するまでの間に、液体充填装置25の上流側に開口処理済みの6個の袋100がストックされることになる。また、第1袋口シール装置26が2回の処理を繰り返して6個の袋100にシール処理をする間に、液体充填装置25が1回の処理で6個の袋100の充填処理を行う。これにより、第1袋口シール装置26が1回のシール処理を終了するまでの間に、第1袋口シール装置26の上流側に充填処理済みの3個の袋100がストックされるか、又は充填処理済みの6個の袋100がストックされることになる。
【0063】
以上のように、液体充填装置25が充填処理を終了するまでの間に液体充填装置25の上流側に6個の袋100がストックされると、液体充填装置25は充填処理を完了した後、直ちに次の充填処理を行うことができる。また、第1袋口シール装置26がシール処理を終了するまでの間に第1袋口シール装置26の上流側に少なくとも3個の袋100がストックされる場合には、第1袋口シール装置26がシール処理を完了した後、直ちに次のシール処理を行うことができる。これにより、本実施の形態に係る袋詰め包装機10は、効率的な袋体処理を行うことが可能となっている。
【0064】
また従来の連続移送式の包装機では、グリッパーが常に一定の移送速度で移送されているため、例えば袋体処理に時間のかかる充填装置の袋に対する追従距離を、袋体処理に時間のかからない袋開口装置を袋に追従させる追従距離よりも長く設定しており、その結果、機器全体が大型化及び煩雑化していた。これに対して、本実施の形態では、袋100を任意に速度調節することができ、例えば第1袋口シール装置26が第6ステーションS6において袋100に追従して移動する方式が採用される場合であっても、液体充填装置25を袋100に追従させる必要もなく、液体充填装置25及び第1袋口シール装置26の速度及びこれらを通過する袋の速度を互いに合わせる必要もない。これにより、従来の連続移送式の包装機よりも液体充填装置25の占有面積を抑えることが可能となっている。
【0065】
具体的に本実施の形態では、第1袋口シール装置26が袋100に追従してシール処理を行う一方で、液体充填装置25は停止した袋100に対して充填処理を行うようになっており、液体充填装置25を袋100に追従させずに充填処理が完了する。これにより、袋100が液体充填装置25を停止することなく通過し且つ液体充填装置25を袋100の一定の移送速度に合わせて移動させる場合に比較して、移送経路長を大幅に抑制することが可能となっている。
【0066】
したがって、本実施の形態に係る袋詰め包装機10によれば、機器全体の簡素化または小型化、あるいは袋体処理装置の数を抑制しながら、効率的に袋詰め製品を生産することができる。
【0067】
また、本実施の形態では袋供給装置21が移送経路Rにおける一対の直線レーンのうちの一方側に配置され、第1袋口シール装置26が一対の直線レーンのうちの他方側に配置される。これにより、一方の直線レーンに袋供給装置21及び全ての袋体処理装置を設ける場合に比べて機器全体を小型にすることができる。特に本実施の形態では、第2袋口シール装置27及び袋口冷却装置28が一対の直線レーンのうちの一方側に配置され、液体充填装置25が一対の直線レーンのうちの他方側に配置される。これにより、液体充填装置25及び第1袋口シール装置26と、袋供給装置21、第2袋口シール装置27及び袋口冷却装置28とが異なる直線レーンに振り分けて配置されることで、機器全体のサイズの抑制が図られている。
【0068】
また、上述のように液体充填装置25は直線レーンの側に配置されるが、この場合、袋100の移動の際の袋100の揺動が湾曲部を通過する場合よりも抑制されるため、内容物の飛散を抑制することができる。しかも、液体充填装置25の下流側には第1袋口シール装置26が位置するため、第1袋口シール装置26によってシール処理された後の袋100が湾曲部を通過した場合であっても内容物が飛散しない。そのため、このような液体充填装置25ないし第1袋口シール装置26のレイアウトによれば、衛生面における信頼性も向上させることができる。
【0069】
以上、本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施の形態には各種の変更が加えられてもよい。
【0070】
例えば上記の実施の形態では、第1袋口シール装置26が袋100に追従してシール処理を行う一方で、液体充填装置25が停止した袋100に対して充填処理を行う構成を採用することにより、従来の連続移送式の包装機に対して移送経路長を抑制することで、機器全体の小型化を実現している。しかしながら、液体充填装置25が袋100に追従しながら充填処理を行ってもよい。この場合にあっても液体充填装置25の追従速度を他の袋体処理装置の追従速度或いは袋100の移送速度に合わせる必要がないため、例えば第1袋口シール装置26を袋100が通過する際の移送速度に自身(液体充填装置25自身)の単位処理時間を乗算して定まる距離未満の範囲に設定される袋体処理領域(S5)において、液体充填装置25が袋100に追従して充填処理を行うようにすれば、従来の連続移送式の包装機よりも移送経路長を短く抑えることができる。この際、液体充填装置25の追従距離(袋体処理領域(S5)の範囲)は、第1袋口シール装置26を袋100が通過する際の移送速度に自身(液体充填装置25自身)の単位処理時間を乗算して定まる距離の、例えば4/5とすることが好ましく、1/2以下とすることがより好ましい。
【0071】
また、上述の実施の形態では、グリッパー対14が、その口部をシールされることで内容物を封止するタイプの袋100を把持して移送するようになっている。これに代えて、スパウトを把持するスパウト把持爪を保持部材として採用し、これをレール部材12上でリニアモータ駆動により移送してもよい。この場合、例えば、まずスパウト供給装置からスパウト把持爪にスパウトが渡され、次に、スパウトに袋が結合される袋体処理が行われ、その後、スパウト付きの袋に充填や、封止といった袋体処理が行われる。すなわち、この場合における袋体処理装置には、スパウトに対して袋体処理を行う装置と、スパウト付きの袋に対して袋体処理を行う装置とが含まれることになる。
【符号の説明】
【0072】
10…袋詰め包装機(袋体処理機)、11…移送装置、12…レール部材、12A1…第1直線部、12A2…第2直線部、12B1…第1湾曲部、12B2…第2湾曲部、13…グリッパー、14…グリッパー対、15…電磁石、16…永久磁石、21…袋供給装置、22…印字装置、23…印字検査装置、24…袋開口装置、25…液体充填装置、26…第1袋口シール装置、26A…第1熱板、27…第2袋口シール装置、28…袋口冷却装置、29…放出用コンベア装置、22~28…袋体処理装置、100…袋、100’…袋詰め製品、101…口部、R…移送経路