(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ロボット支援手術システムのための操作デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20220715BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018025247
(22)【出願日】2018-02-15
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】10 2017 103 199.5
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515168857
【氏名又は名称】アヴァテラメディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・ツォーゲンシュペック
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・トロマー
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルフ・グデ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シュリンク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・カルグート
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06424885(US,B1)
【文献】国際公開第2016/201544(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0051753(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0228265(US,A1)
【文献】国際公開第2013/018861(WO,A1)
【文献】特開2012-139775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
A61B 34/30
B25J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット支援手術システムのための操作デバイス(42)であって、
使用者の1つの指を個々に収容するための2つのストラップ(132及び134)を含む手動で動かす事が出来る操作エレメント(124)と、
前記操作デバイス(42)を保持ユニット(50)に取り付けるためのインタフェース(100)と、
を備え、
前記操作エレメント(124)は、前記操作デバイス(42)が前記保持ユニット(50)に取り付けられた時に、前記インタフェース(100)に対し第1の回転軸(106)と第2の回転軸(114)と第3の回転軸(126)の廻りに回転可能であり、前記第1の回転軸(106)と前記第2の回転軸(114)と前記第3の回転軸(126)は、相互に対し個々に垂直であり、
前記第1の回転軸(106)と前記第2の回転軸(114)と前記第3の回転軸(126)は、
一つの交点(150)に於いて交差
し、
前記操作エレメント(124)は、ディスク状に形成され、前記操作エレメント(124)の中心は、前記第3の回転軸(126)である
事を特徴とする操作デバイス(42)。
【請求項2】
前記交点(150)は、前記操作エレメント(124)内に位置する
請求項1に記載の操作デバイス(42)。
【請求項3】
前記交点(150)は、2つの前記ストラップ(132及び134)の間、特に、2つの前記ストラップ(132及び134)の間の中央に位置する
請求項1又は2に記載の操作デバイス(42)。
【請求項4】
前記交点(150)は、前記操作エレメント(124)の中央と一致する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項5】
前記操作デバイス(42)は、前記インタフェース(100)を含むベースエレメント(102)と、前記ベースエレメント(102)に対し前記第1の回転軸(106)廻りに回転自在に前記ベースエレメント(102)に搭載されたピボットユニット(104)と、前記ピボットユニット(104)に対し前記第2の回転軸(114)廻りに回転自在に前記ピボットユニット(104)に搭載されたハウジング(112)と、を含み、前記操作エレメント(124)は、前記第3の回転軸(126)廻りに回転自在に前記ハウジング(112)に搭載される
請求項1乃至4の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項6】
2つの前記ストラップ(132及び134)は、前記
操作エレメント(124)の両側(128及び130)に配置される
請求項
1乃至5の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項7】
前記ハウジング(112)は、前記操作エレメント(124)が間に配置された2つのリング(120及び122)を含み、前記操作エレメントは、薄いリングベアリングを通じ前記ハウジング(112)に回転自在に搭載される
請求項
1乃至6の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項8】
前記ハウジング(112)は、少なくとも1つのボールベアリング、特に、2つの薄いリングベアリング(116及び118)を通じ前記ピボットユニット(104)に回転自在に搭載される
請求項5乃至
7の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項9】
前記ピボットユニット(104)は、少なくとも1つのボールベアリング、特に、2つの薄いリングベアリング(108及び110)を通じ前記ベースエレメント(102)に回転自在に搭載される
請求項5乃至
8の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項10】
第1のアクター(160)、特に、第1のモータは、前記ピボットユニット(104)を前記第1の回転軸(106)廻りに回転させるために提供され、第2のアクター(162)、特に、第2のモータは、前記ハウジング(112)を第2の回転軸(114)廻りに回転させるために提供され、及び/又は第3のアクター(164)、特に、第3のモータは、前記操作エレメント(124)を第3の回転軸(126)廻りに回転させるために提供される
請求項5乃至
9の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項11】
前記第1のアクター(160)は、前記ベースエレメント(102)に配置され、前記第2のアクター(162)は、前記ピボットユニット(104)に配置され、及び/又は前記第3のアクター(164)は、前記操作エレメント(124)に配置される
請求項
10に記載の操作デバイス(42)。
【請求項12】
前記第3のアクター(164)は、前記操作エレメント(124)に回転自在に固定される様に、前記操作エレメント(124)の内側に配置される
請求項
10又は
11に記載の操作デバイス(42)。
【請求項13】
前記第3のアクター(164)は、ピニオン(170)とクラウンギヤ(172)とを通じ前記ハウジング(112)に接続される
請求項
12に記載の操作デバイス(42)。
【請求項14】
前記第1の回転軸(106)廻りの回転位置を決定するための第1のセンサと、前記第2の回転軸(114)廻りの回転位置を決定するための第2のセンサと、及び/又は、前記第3の回転軸(126)廻りの回転位置を決定するための第3のセンサと、が提供される
請求項1乃至
13の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項15】
前記操作エレメント(124)は、前記第2の回転軸(114)及び/又は前記第3の回転軸(126)の夫々の廻りに360°に亘って回転可能である
請求項1乃至
14の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項16】
前記操作エレメント(124)は、ボタン(138)、特に、スライドボタンを含む
請求項1乃至
15の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項17】
前記ボタン(138)は、前記操作エレメント(124)の
両側に配置された2つの前記ストラップ(132及び134)と共に回転可能である
請求項
16に記載の操作デバイス(42)。
【請求項18】
2つの前記ストラップ(132及び134)は、ピンサーグラスプが形成される様に、所定の角度で相互から離れて旋回可能である
請求項1乃至
17の何れか一項に記載の操作デバイス(42)。
【請求項19】
2つの前記ストラップ(132及び134)は、2つの前記ストラップ(132及び134)が常に零点に対し同一の角度で開かれる様に、相互に結合される
請求項
18に記載の操作デバイス(42)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の1つの指を個々に収容するための、特に、使用者の親指及び中指を収容するための2つのストラップを含む手動で動作させる事が出来る操作エレメントを含むロボット支援手術システムのための操作デバイスに関する。更に、操作デバイスは、保持ユニットに取り付けるためのインタフェースを有し、操作デバイスは、このインタフェースを通じ保持ユニットに取り付けられた時に、インタフェースに対し第1、第2及び第3の回転軸廻りに回転させる事が出来、これらの3つの回転軸は、相互に垂直である。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術では、ロボット支援手術のためのロボット支援システム又は通常は装置とも指称される、いわゆるテレマニピュレータシステムが漸増的に使用される。ロボット支援手術のための装置によって、手術器具は、使用者入力を基にそれらの位置と方向とが制御される。手術器具は、手術器具の所望の動作に加え、手術器具の積極的な位置調整と方向調整とを実現する事が出来る様に、機械的、電気的及び/又は光学的にテレマニピュレータシステムに連結される。このために、エンドエフェクタを有する器具に加え、操作されるべき内視鏡と医療装置とを含む手術器具は、連結ユニットとして設計され、ステリルユニットとも指称される連結インタフェースを有する。ロボット支援手術のための装置は、更に、連結ユニットが提供される近位端に、少なくとも1つのマニピュレータアームを有し、ステリルユニットは、マニピュレータアームと手術器具との間の機械的、電気的及び/又は光学的な連結を可能とするために、マニピュレータアームに接続する事が出来る。
【0003】
テレマニピュレータシステムを制御するために、中央制御ユニットに配置された操作デバイスが使用され、操作デバイスによって、外科医は、ロボットアームに取り付けられた手術器具を可能な限り正確に制御する事が出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の操作デバイスが有する問題は、特に、これらが手術器具の直観的な動きをしばしば許容せず、特に、その動きは、外科医が実際に自身の手で手術器具を直接に保持する場合に行われない事である。通常、この原因は、手と異なる動きが行われる様に、操作デバイスの個々の動きと回転軸とが人間の手と明らかに異なるからである。これは、外科医が常に入力デバイスに慣れなければならず、十分な訓練をせず、手術器具の必要な正確な制御を保証する事が出来ないという結果を有する。
【0006】
本発明は、ロボット支援手術システムのための操作デバイスを明示する事を目的とし、操作デバイスによって、ロボット支援手術システムを可能な限り正確に制御する事が出来る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する操作デバイスによって解決される。有利な実施の形態は、従属項で明示される。
【0008】
本発明に従って、操作デバイスは、操作エレメントを回転させる事が出来る3つの回転軸が共通の交点で交差する様に設計される。
【0009】
ここで、この交点は、特に、操作エレメント内に位置し、交点は、特に、指が通される2つのストラップの間に配置される。特に、交点は、好ましくは、操作エレメントの中央と一致する様に、2つのストラップの間の中央に配置される。
【0010】
回転軸が共通点で交差する様に、それらを配置する事によって、特に、この点は、ストラップの間に、従って、外科医の指の間に配置されるという事が分かる。外科医は、あたかも、直接にストラップを通じ自身の2つの指で手術器具を保持しているかの様に、それらと直観的に対応された把持と操作デバイスによって感知された動きとをもたらすので、それらは、とりわけ直観的且つ容易な制御をもたらす。
【0011】
ストラップは、特に、指を通す事が出来るあらゆる種類のループ又は他のエレメントを意味する。特に、操作エレメントは、外科医の親指をストラップに通す事が出来ると共に中指を他のストラップに通す事が出来る様に、設計される。特に、ストラップは、フレキシブルエレメント、特に、バンドによって形成される。
【0012】
更に、3つの回転軸が1点で交差し、この点が操作エレメント内に位置する様なそれらの配置は、これによって、慣性モーメントが補正され、寄生力が最小化されるという利点を有し、結果的に、いっそう容易で直観的な制御が達成される。
【0013】
操作デバイスは、特に、インタフェースを含むベースエレメントを含み、このベースエレメントを通じ操作デバイスを保持ユニットに取り付ける事が出来、このベースエレメントは、保持ユニットに配置され、特に、回転する事が出来る様に固定される。保持ユニットは、特に、スタンドのアームであり、このアームは、特に、3つまでの方向に入れ替わりに平行に移動する事が出来、更に、ジョイント廻りに3つまでの方向に回転する事が出来る。従って、実質的に空間内のあらゆる位置での方向調整が可能と成る。
【0014】
ベースエレメントは、特に、ピボットユニットが回転する事が出来る様に搭載され、ピボットユニットがベースエレメントに対し第1の回転軸廻りに回転する事が出来る様に搭載される。ピボットユニットと同様に、ハウジングは、ピボットユニットに対し第2の回転軸廻りに回転する事が出来る様に搭載され、このハウジングと同様に、操作エレメントは、第3の回転軸廻りに回転する事が出来る様に取り付けられる。回転する事が出来る様に搭載されたこの連鎖を通じ、外科医が動作のために自身の手に保持する操作エレメントをインタフェースに対し3つの回転軸の全ての廻りで回転させる事が出来る。
【0015】
操作エレメントに於いて外科医によって行われた動きは、特に、センサによって測定され、その結果、ロボット支援手術システムは、ロボット支援手術システムによって保持された手術器具が以前に測定された動きを行う様に制御される。
【0016】
本発明の特に好ましい実施の形態では、操作エレメントは、ディスク形状に形成され、ディスク形状は、特に、径が厚さよりも大きい略円筒形状エレメントを意味する。
【0017】
2つのストラップは、特に、ディスクの両側に相互に反対に配置される。
【0018】
その様なディスク形状エレメントは、とりわけ容易で人間工学的に好ましい方法で外科医の手で支える事が出来、特に、手の内面は、操作エレメントの周面に載せる。
【0019】
ハウジングは、特に、2つのリングを含み、2つのリングの間にディスク形状操作エレメントが配置され、操作エレメントは、ハウジングに対し第3の回転軸廻りに操作エレメントが回転する事が出来る様に、ベアリング、特に、薄いリングベアリングを通じハウジングに取り付けられる。特に、360度に亘って回転する事が出来る様に搭載される。
【0020】
ハウジングは、同様に、別のベアリング、特に、ボールベアリング、好ましくは、2つの薄いリングベアリングを通じ回転する事が出来る様にピボットユニットに搭載される。従って、これによって、ピボットユニットに対する360度に亘る回転が達成され、ピボットユニットに対する操作エレメントの搭載は、操作エレメントがピボットユニットに対し360度に亘って回転し、従って、インタフェースに対し第2及び第3の回転軸廻りに回転する事を可能とする。
【0021】
ピボットユニットは、同様に、少なくとも1つのボールベアリング、好ましくは、2つの薄いリングベアリングを通じベースエレメントに回転する事が出来る様に搭載される。
【0022】
更に、操作デバイスがピボットユニットを第1の回転軸廻りに回転させるための第1のアクター、ハウジングを第2の回転軸廻りに回転させるための第2のアクター、及び/又は操作エレメントを第3の回転軸廻りに回転させるための第3のアクターを含む場合に有利である。これらのアクターによって、一方では、操作エレメントが以前に事前設定零位置から動かされた時に、操作エレメントをこの零位置に方向調整する事が出来る。他方では、これらのアクターを通じ、操作エレメントのいわゆるフォースフィードバックを実現する事が出来る。このために、手術中に手術器具に作用する力及び/又はトルクは、特に、外科医が手術器具の手ごたえと力とを感じる事が出来る様に、センサによって測定され、アクターを通じ操作エレメントにフィードバックされ、従って、あたかも、彼が直接に手術器具を保持しているかの様な感覚を得る。
【0023】
アクターは、特に、モータ(好ましくは、電気モータ)である。これは、単純構造と正確な制御とを可能とする。
【0024】
第1のアクターは、特に、ベースエレメントに配置され、好ましくは、ベースエレメントが第1の回転軸廻りに回転する事が出来る様に、ピボットユニットと歯付ベルトドライブを通じ連結される。
【0025】
第2のアクターは、特に、ピボットユニットに配置され、好ましくは、ハウジングが第2のアクターを通じピボットユニットに対し第2の回転軸廻りに回転する事が出来る様に、別の歯付ベルトドライブを通じハウジングに連結される。
【0026】
第3のアクターは、他方では、特に、ハウジングに配置されず、操作エレメントに配置され、この操作エレメントによって都度回転される。この様に、操作エレメントがハウジングに対し360°に亘って任意に回転する事が出来る。
【0027】
第3のアクターは、特に、ハウジングに対し第3の回転軸廻りに回転する事が出来る様に、ピニオンギヤとクラウンギヤを通じハウジングに接続される。
【0028】
更に、操作デバイスは、特に、第1の回転軸廻りの回転位置を測定するための第1のセンサ、第2の回転軸廻りの回転位置を測定するための第2のセンサ、及び/又は第3の回転軸廻りの回転位置を測定するための第3のセンサを含み、その結果得られた情報は、特に、ロボットシステムを制御するために使用される。特に、センサが各アクターに夫々統合されるか、又はアクターに提供されたセンサが何れにしてもこのために使用される。
【0029】
更に、幾つかの軸廻りの回転位置を測定するために、代わりに、1つのセンサを使用する事も出来る。
【0030】
操作デバイスは、特に、操作エレメントが第2及び第3の回転軸の両方の廻りに360°に亘って回転する事が出来る様に設計される。この様に、可能な限り大きな調整範囲が保証される。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態では、操作エレメントは、ボタンを有し、使用者は、ボタンを通じてロボット支援外科システムの別の機能を制御する事が出来る。この操作エレメントは、特に、スライドボタンとして設計する事が出来、特に、ディスク形状操作エレメントの周面に配置される。
【0032】
特に、スライドボタンは、弾性エレメント、例えば、圧縮ばねによって所定の位置にバイアスされ、使用者によってマイクロスイッチの動作のためのばね力に対抗し移動させる事が出来る。復元力によって、ボタンは、リリース後に初期位置に再び動かされる。
【0033】
代わりに、ボタンに代え、例えば、スイッチ又は押しボタンを制御のために提供する事が出来る。
【0034】
ボタン、スイッチ又は押しボタンは、好ましくは、外科医が届き、ストラップの位置と無関係にいかなる時も容易に動かす事が出来る様に、操作エレメントの基体の両側に配置されたストラップと共に回転する事が出来る。
【0035】
特に好ましい実施の形態では、2つのストラップは、それらによって幾つかの種類のピンサーグラスプが形成される様に、操作エレメントのディスク形状基体に取り付けられ、それによって外科医は、ストラップを通じ通された自身の2つの指を広げたり閉じたりする事が出来、この動きは、対応するセンサによって感知され、ロボット支援手術システムの手術器具を制御する時に考慮される。
【0036】
このために、2つのストラップは、特に、所定の回転点廻りに所定の角度で相互から離れて旋回する事が出来、2つのストラップは、特に、それらが両者とも零位置に対し常に同様な角度で開かれる様に連結される。この零位置は、特に、ストラップが取り付けられたディスク形状操作エレメントの2つの表面が相互に平行に方向調整される様な位置である。
【0037】
別の特徴及び利点は、添付された図面に関連する実施の形態を基に本発明に関し詳細に説明する以下の明細書によってもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、1つの器具ユニットを個々に接続する事が出来る4つのマニピュレータアームを有するマニピュレータを含むロボット支援手術のためのシステムの概略側面図を示す。
【
図2】
図2は、
図2に従ったマニピュレータを制御するための操作デバイスと操作デバイスが取り付けられた保持ユニットの概略図を示す。
【
図3】
図3は、
図2に従った操作デバイスの概略透視図を示す。
【
図4】
図4は、開かれたピンサーグラスプを有する
図2及び3に従った操作デバイスの平面図を示す。
【
図5】
図5は、
図2乃至4に従った操作デバイスの断面図を示す。
【
図6】
図6は、
図2乃至5に従った操作デバイスの操作エレメントの詳細断面図を示す。
【
図7】
図7は、操作エレメントの詳細概略図を示す。
【
図8】
図8は、操作エレメントの詳細概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、スタンド14と4つのマニピュレータアーム16a乃至16dを有するマニピュレータ12を有するロボット支援手術のためのシステム10の概略側面図を示す。マニピュレータ12は、通常、ロボット支援手術のための装置とも指称される。システム10は、手術台34に配置された患者18に手術を行う役割を果たす。患者18の解剖と行われるべき手術とに応じ、目標手術領域30の座標が決定され、事前に格納される。スタンド14は、L形状スタンドアーム28を有し、L形状スタンドアーム28の端、即ち、スタンドベース24から遠い端に、スタンドヘッド20を通じマニピュレータアーム16a乃至16dが接続される。
【0040】
手術台34は、手術台支柱32を有し、手術台支柱32には、手術台34の制御ユニット36が配置され、手術台支柱32に、幾つかの部分を含む患者サポート面38が配置される。制御ユニット36は、手術台34のエレメントの動きを制御する、特に、手術台支柱32の長さを調整し、従って、患者サポート面38の高さを調整し、患者サポート面38のチルトとスイングに加え個々の部分を調整する役割を果たす。好ましくは、然し乍ら、マニピュレータ12による手術中は、手術台34の部分の調整が阻止される。システム10は、更に、中央制御ユニット40に加えマニピュレータ12の制御ユニット46を含み、中央制御ユニット40は、データラインを通じディスプレイユニット44を有する制御パネル42に加えマニピュレータ12の制御ユニット46と手術台34の制御ユニット36とに接続される。制御ユニット40は、出力ユニット41を有し、制御ユニット46は、出力ユニット47を有し、その夫々によって光学及び/又は音響信号を出力する事が出来る。
【0041】
患者サポート面38の表面は、患者18の背が配置される前面を形成する。
【0042】
図2では、操作デバイス42が操作デバイス42のインタフェース100を通じ取り付けられた保持アーム50に加え、操作デバイス42の概略図が示される。
【0043】
保持アーム50は、矢印P1乃至P3によって示された様な3つの軸廻りに、回転点52の周囲で回転する事が出来る。更に、保持アーム50は、矢印P4乃至P6によって示された様に、相互に垂直な3つの方向に平行に移動する事が出来る。従って、操作デバイス42は、使用者のための人間工学的に好ましい位置に方向調整する事が出来る。
【0044】
図3では、操作デバイス42の概略斜視図が示される。
図4は、操作デバイスの平面図を示し、
図5は、
図4の線B-Bに沿って得られた操作デバイス42の断面図を示す。
【0045】
操作デバイス42は、インタフェース100が提供されたベースエレメント102を含み、それを通じ操作デバイス42が保持アーム50に取り付けられる。ベースエレメント102には、ピボットユニット104が第1の回転軸106廻りに回転自在に搭載される。ここで、搭載は、特に、2つの薄いリングベアリング108及び110を通じ行われる。
【0046】
ベースエレメント102から見て外方に向くピボットユニット104の端に、ピボットユニット104に対し第2の回転軸114廻りに回転自在に搭載されたハウジング112が配置される。回転自在は、2つの薄いリングベアリング116及び118を通じたハウジングの搭載によって再び達成される。
【0047】
ハウジング112は、ディスク形状操作エレメント124が配置された2つのリング120及び122を含み、この操作エレメント124は、ハウジング112に対し、従って、2つのリング120及び122に対し第3の回転軸126廻りに回転自在に取り付けられる。
【0048】
操作エレメント124のディスク形状基体の両側面128及び130に、使用者が2つの指を通す事が出来る2つのストラップ132及び134が配置される。特に、ストラップ132及び134は、親指と中指とを収容する役割を果たす。ストラップ132及び134は、ピボッタブルピンサーアーム133及び135を通じ操作エレメント124のディスク形状基体の各側面128及び130に接続される。操作エレメント124の周面136に、スライドボタン138が提供され、操作エレメント124が意図された様に掴まれた時に、その上に載る人差し指によって動かす事が出来る。
図2と
図3又は
図5との比較がもたらす様に、スライドボタン138は、ピンサーアーム133及び135とスライドボタン138との空間的関係が固定され、回転軸126廻りの操作エレメント124の回転がスライドボタン138の周面136に沿った同様な角度での回転をもたらす様に、操作エレメント124に接続する事が出来る。
【0049】
図6に示された様に、スライドボタン138は、圧縮ばね140を通じ第1の位置にバイアスされ、圧縮ばね140のばね力に対抗し矢印P7の方向に移動させる事が出来る。これによって、小型スイッチ142が動かされ、その結果、マニピュレータの関連付けられた機能が引き起こされる。スライドボタン138のリリース後に、このボタンは、圧縮ばね140によって第1の位置に戻る。
【0050】
従って、操作エレメント140は、3つの回転軸106、114及び126廻りに回転可能する事が出来、3つの回転軸106、114及び126は、相互に個々に垂直に方向調整され、共通の交点150で交差する。3つの軸106、114及び126の夫々の廻りの操作エレメント140の回転範囲は、好ましくは、360度である。他の実施の形態では、回転範囲は、例えば、90度に制限される。この制限は、例えば、ストッパ107によって達成される。
【0051】
センサによって、3つの軸106、114及び126に対する操作エレメント124の個々の回転位置が決定され、マニピュレータが制御され、それに応じ手術器具が移動される。
【0052】
3つの回転軸106、114及び126が共通の交点150で交差する様なそれらの配置によって、あたかも自身の手で手術器具を直接保持するかの様に、外科医に感覚を与えるとりわけ直観的な制御が可能になる。この感覚は、更に、この交点150が2つのストラップ132及び134の間の操作エレメント124内に位置する、特に、操作エレメント124の中央と一致するという事実によって支援される。更に、このように、補正されるべき慣性モーメントが最小化される。
【0053】
ピボットユニット104が第1のアクター160を通じ第1の回転軸106廻りに回転することができる様に、ベースエレメント102に、第1の歯付ベルトドライブ166を通じピボットユニット104と連結された第1のアクターが提供される。
【0054】
ハウジング112がピボットユニット104に対し第2の回転軸114廻りに回転する事が出来る様に、ピボットユニット104に、第2の歯付ベルトドライブ168を通じハウジング112と連結された第2のアクター162が提供される。
【0055】
操作エレメント124内に第3のアクター164が提供され、第3のアクター164は、操作エレメント124に回転自在に固定して接続され、常に相互に共に動かされる。ピニオン170を通じ、第3のアクター164は、ハウジング112に固く接続されたクラウンギヤ172と係合される。これを通じ、操作エレメント124は、ハウジング112に対し第3の回転軸126廻りに回転する事が出来る。
【0056】
これらの3つのアクター160乃至164を通じ、従って、一方では、操作エレメント124は、都度、事前設定零点に再び方向調整する事が出来る。他方では、フォースフィードバックを提供する事が出来、これによって、マニピュレータの手術器具に作用する力及び/又はトルクが決定されると共に外科医が為された操作に関するフィードバックを受け取る様にアクター160乃至164を通じ操作エレメントに伝達され、従って、あたかも外科医が直接に手術器具を保持するかの様に現実の手術状態がモデル化される。
【0057】
図4に示された様に、ストラップ132及び134が取り付けられた2つの面133及び135は、操作ユニット124とハウジング112の他のエレメントに対し横下にヒンジで動く事が出来る。その際に、ピンサーグラスプが形成され、その位置がセンサを通じ決定され、マニピュレータを通じ手術器具の制御装置に送信される。
【0058】
図7及び
図8では、2つの面133及び135と2つのストラップ132及び134が示され、
図8では、2つの面133及び135が相互に平行に方向調整された零点が示され、
図7では、2つの面133及び135の夫々が零点に対し特に17度の最大角度で旋回されたピンサーグラスプの最大開度が示される。
【0059】
2つのストラップ132及び134の夫々は、回転する事が出来るディスク174にロッド176及び178を通じ結合され、結果的に、2つのストラップ132及び134が零点に対し同様な角度で常に開かれる。ピンサーグラスプの開閉に際し、ディスク174に連結されたホールセンサの磁石が回転し、それによってピンサーグラスプの個々の角度位置が決定され、マニピュレータを制御する基礎とする事ができる。
【符号の説明】
【0060】
10 システム
12 マニピュレータ
14 スタンド
16、16a乃至16d マニピュレータアーム
18 患者
20 スタンドヘッド
24 スタンドベース
28 スタンドアーム
30 目標手術領域
31 目標手術領域の中央
32 手術台支柱
34 手術台
36 手術台の制御ユニット
38 患者サポート面
40 装置の中央制御ユニット
41 出力ユニット
42 操作デバイス
46 マニピュレータの制御ユニット
47 出力ユニット
50 保持アーム
52 回転点
100 インタフェース
102 ベースエレメント
104 ピボットユニット
106、114及び126 回転軸
107 ストッパ
108、110、116及び118 薄いリングベアリング
112 ハウジング
120及び122 リング
124 操作エレメント
128及び130 外面
132及び134 ストラップ
133及び135 ピンサーアーム
136 周面
138 スライドボタン
140 圧縮ばね
142 小型スイッチ
150 交点
160、162及び164 アクター
166及び168 歯付ベルトドライブ
170 ピニオン
172 クラウンギヤ
174 ディスク
176及び178 ロッド
P1乃至P7 方向