(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】決済端末、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20220715BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G07G1/12 331F
H02J7/00 X
(21)【出願番号】P 2018047145
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】押之見 浩
(72)【発明者】
【氏名】倉又 嘉光
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-140785(JP,A)
【文献】特開2017-167634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0096405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/12
G06Q 10/00-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式のバッテリにより駆動し、金額の決済に関する処理を行う決済端末であって、
前記処理を実行するにあたり前記バッテリのバッテリ残量
、及び充電履歴を取得し、前記バッテリの充電履歴の基準値、及び前記バッテリ残量の基準値に対する前記処理が可能な残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、前記処理を実行するにあたり取得した前記充電履歴、及び前記バッテリ残量に対応する、前記残り決済可能回数を決定する制御部と、
前記残り決済可能回数を表示する表示部と、
を備える決済端末。
【請求項2】
充電式のバッテリにより駆動し、金額の決済に関する処理を行う決済端末であって、
前記処理を実行するにあたり前記バッテリのバッテリ残量
、及び温度を取得し、前記バッテリの温度の基準値、及び前記バッテリ残量の基準値に対する前記処理が可能な残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、前記処理を実行するにあたり取得した前記温度、及び前記バッテリ残量に対応する、前記残り決済可能回数を決定する制御部と、
前記残り決済可能回数を表示する表示部と、
を備える決済端末。
【請求項3】
充電式のバッテリにより駆動し、金額の決済に関する処理を行う決済端末であって、
前記処理を実行するにあたり前記バッテリのバッテリ残量
、温度、及び前記バッテリの充電履歴を取得し、前記バッテリの温度の基準値、前記バッテリの充電履歴の基準値、及び前記バッテリ残量の基準値に対する前記処理が可能な残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、前記処理を実行するにあたり取得した前記温度、前記充電履歴、及び前記バッテリ残量に対応する、前記残り決済可能回数を決定する制御部と、
前記残り決済可能回数を表示する表示部と、
を備える決済端末。
【請求項4】
前記充電履歴は、前記バッテリの使用を開始してからの充電された回数である充電回数とする請求項
1又は請求項
3に記載の決済端末。
【請求項5】
前記バッテリの温度の基準値は、異なる2以上の温度の基準値を含む請求項
2又は請求項
3に記載の決済端末。
【請求項6】
前記制御部は、前記処理を実行するにあたり取得した前記バッテリ残量が、所定の閾値未満であるかを判断し、
前記表示部は、前記バッテリ残量が閾値未満となった場合に、前記バッテリの充電を促す情報を表示する請求項1~請求項
5の何れか1項に記載の決済端末。
【請求項7】
前記制御部は、前記残り決済可能回数が閾値未満となった場合に、前記決済に関する処理を実行できないように制御する請求項
6に記載の決済端末。
【請求項8】
前記表示部は、前記残り決済可能回数を示す表示を、前記バッテリの充電がなされるまで、又は、前記制御部によって次に前記残り決済可能回数が決定されるまで継続する、請求項1~請求項
7の何れか1項に記載の決済端末。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1~請求項
8のいずれか1項に記載の決済端末の各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済端末、及びプログラムに係り、特に、上位端末と無線により連動した決済端末で決済するための決済端末、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バッテリにより駆動し、決済に関する処理を行う決済端末がある。バッテリにより駆動する決済端末では、決済に関する処理を行っている最中に電断が発生すると、不具合が発生したり、決済をスムーズに行えない、といった問題が生じる。そのため、従来より、バッテリにより駆動する決済端末において、決済に係る一連のトランザクションを完了できない充電レベルまで使用をすることを防止するため、バッテリ残量が表示されている。また、決済端末では、バッテリ残量に応じて処理の実行可能な範囲を変えることで、決済中に電断が生じないようにする仕組みも考えられている。
【0003】
例えば、バッテリのバッテリ残量が警告レベルまで低下した際、特定の情報処理を確実に禁止して、電断による特定の情報処理で不具合が発生するのを未然に防止する技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
もっとも、上記の従来技術のように決済端末内の処理の実行可能な範囲を変える等して決済中の電断を避けるようにしたとしても、最終的には適当なタイミングで充電を行う必要がある。充電のタイミングを知らせるため、バッテリ残量の低下に伴い、充電を促す警告を行う仕組みもある。
【0006】
しかし、充電を促す警告や、バッテリのバッテリ残量を表示したとしても、決済端末の操作者には「まだ使えるかもしれない」という心理が働いて、警告が出ていても充電しないまま使用を継続して、結局、決済に係る一連のトランザクションを完了できない充電レベルまで使用をしてしまう場合がある。また、作業が多忙な時期であれば充電すること忘れてしまい、適切なタイミングで充電を行えないまま、決済に係る一連のトランザクションを完了できない充電レベルまで使用をしてしまうということも考え得る。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングでの充電を促し、電断による決済の中断を抑制できる決済端末、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る決済端末は、充電式のバッテリにより駆動し、金額の決済に関する処理を行う決済端末であって、前記処理を実行するにあたり前記バッテリのバッテリ残量を取得し、前記バッテリ残量の基準値を予め規定したテーブルを参照して、前記処理を実行するにあたり取得した前記バッテリ残量に対応する、前記処理が可能な残り決済可能回数を決定する制御部と、前記残り決済可能回数を表示する表示部と、を備える。
【0009】
この発明によれば、バッテリ残量を取得して、バッテリ残量の基準値に対する残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、決済に関する処理が可能な残り決済可能回数を決定して表示することで、バッテリ残量に応じて、残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングでの充電を促し、電断による決済の中断を抑制できる。
【0010】
また、前記決済端末において、前記制御部は、前記処理を実行するにあたり前記バッテリの充電履歴を取得し、前記バッテリの充電履歴の基準値、及び前記バッテリ残量の基準値に対する前記残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、前記処理を実行するにあたり取得した前記充電履歴、及び前記バッテリ残量に対応する前記残り決済可能回数を決定するようにしてもよい。
【0011】
この発明によれば、バッテリ残量、及び充電履歴を取得して、充電履歴の基準値、及びバッテリ残量の基準値に対する残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、決済に関する処理が可能な残り決済可能回数を決定して表示することで、バッテリ残量に加えて充電状況に応じて、残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングでの充電を促し、電断による決済の中断を抑制できる。
【0012】
また、前記決済端末において、前記制御部は、前記処理を実行するにあたり前記バッテリの温度を取得し、前記バッテリの温度の基準値、及び前記バッテリ残量の基準値に対する前記残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、前記処理を実行するにあたり取得した前記温度、及び前記バッテリ残量に対応する前記残り決済可能回数を決定するようにしてもよい。
【0013】
この発明によれば、バッテリ残量、及び温度を取得して、温度の基準値、及びバッテリ残量の基準値に対する残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、決済に関する処理が可能な残り決済可能回数を決定して表示することで、バッテリ残量に加えて使用環境の温度に応じて、残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングでの充電を促し、電断による決済の中断を抑制できる。
【0014】
また、前記決済端末において、前記制御部は、前記処理を実行するにあたり前記バッテリの温度、及び前記バッテリの充電履歴を取得し、前記バッテリの温度の基準値、前記バッテリの充電履歴の基準値、及び前記バッテリ残量の基準値に対する前記残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、前記処理を実行するにあたり取得した前記温度、前記充電履歴、及び前記バッテリ残量に対応する前記残り決済可能回数を決定するようにしてもよい。
【0015】
この発明によれば、バッテリ残量、温度、及び充電履歴を取得して、温度の基準値、充電履歴の基準値、及びバッテリ残量の基準値に対する残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、決済に関する処理が可能な残り決済可能回数を決定して表示することで、バッテリ残量に加えて使用環境の温度や充電状況といった使用状況に応じて、残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングでの充電を促し、電断による決済の中断を抑制できる。
【0016】
また、前記決済端末において、前記バッテリの充電履歴は、前記バッテリの使用を開始してからの充電された回数である充電回数とするようにしてもよい。
【0017】
この発明によれば、充電履歴として充電回数の基準値に応じて、残り充電可能回数を特定することにより、バッテリの劣化の度合いに応じて残り決済可能回数を決定することで、適切なタイミングでの充電を促すことができるため、電断による決済の中断を抑制できる。
【0018】
また、前記決済端末において、前記バッテリの温度の基準値は、異なる2以上の温度の基準値を含むようにしてもよい。
【0019】
この発明によれば、バッテリの温度について設定した異なる2以上の温度の基準値に応じて、残り充電可能回数を特定することにより、使用環境に応じて残り決済可能回数を決定することで、適切なタイミングでの充電を促すことができるため、電断による決済の中断を抑制できる。
【0020】
また、前記決済端末において、前記制御部は、前記処理を実行するにあたり取得した前記バッテリ残量が、所定の閾値未満であるかを判断し、前記表示部は、前記バッテリ残量が閾値未満となった場合に、前記バッテリの充電を促す情報を表示するようにしてもよい。
【0021】
この発明によれば、バッテリ残量が閾値未満であるかを判断し、閾値未満の場合に充電を速やかな促すため、決済端末の操作者が現在の充電状況では決済が行えないことを認識できるため、電断による決済の中断を抑制できる。
【0022】
また、前記決済端末において、前記制御部は、前記バッテリ残量が閾値未満となった場合に、前記決済に関する処理を実行できないように制御するようにしてもよい。
【0023】
この発明によれば、バッテリ残量が閾値未満である場合に決済の処理を実行できないようにするため、決済端末の操作者が誤って決済を行おうとしたとしても決済を行えないため、電断による決済の中断を抑制できる。
【0024】
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、本発明の決済端末の各部として機能させるためのプログラムである。
【0025】
この発明によれば、バッテリの状況を監視して決済に関する処理が可能な残り決済可能回数を決定して表示することで、残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングでの充電を促し、電断による決済の中断を抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングでの充電を促し、電断による決済の中断を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態に係る決済処理システムの一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る決済端末を上にした斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る決済端末を下にした斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る決済端末の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るバッテリ監視部の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る記憶部の構成を示すブロック図である。
【
図8】バッテリの充電が必要なタイミングに関する情報の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る決済端末の監視処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
まず、本発明の実施の形態の概要を説明する。
【0030】
本発明の実施の形態では、「少なくとも、ある所定の回数までは決済処理を行ってもよいが、所定の回数だけ決済を行った後は充電することを勧める」という、決済端末における残り決済可能回数の見える化(可視化)をすることを提案する。残り決済可能回数を可視化した上で、充電の指示が出せれば、前述した、決済に係る一連のトランザクションを完了できない充電レベルまで使用をしてしまうという問題の発生を抑制できると考えられる。また、充電の指示における決済処理を許容しうる決済可能回数が厳密に正確なものでなくても、少なくとも決済処理中に電源が落ちない程度のバッテリ残量において、決済可能回数の指示が出せれば、電断により決済処理の情報等が喪失する、といった大きな問題は発生しないと考えられる。
【0031】
本発明の実施の形態では、下記のバッテリ状況の各条件についての基準値の組み合わせに対する残り決済可能回数を規定したテーブルを持ち、テーブルに合致する所定のバッテリ状況になった場合に、決済可能回数を報知し、充電処理を促す。本発明の実施の形態では、残り決済可能回数の最終5回分をテーブルとして持つ。
【0032】
・バッテリの温度
・バッテリの充電履歴(充電回数)
・バッテリのバッテリ残量
【0033】
例えば、テーブルに対応するバッテリ状況の基準値に応じて「あと〇回」といったアナウンスを表示する。また、テーブルに対応するバッテリ残量の基準値を下回った場合に、速やかな充電を促し、決済処理などの動作をできないように制御する。なお、充電回数は、バッテリの使用を開始してからの充電された回数である。また、バッテリの充電回数の基準値、及びバッテリの温度の基準値に応じた最終5回分の決済可能な状態の電池容量に対するバッテリ残量の基準値は、予め実験等をして定めておくものとする。
【0034】
<本発明の実施の形態>
本発明の実施の形態に係る決済処理システムの構成について説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る決済処理システム100は、機能的には
図1に示すように、決済端末10がLTEなどの無線通信によりインターネット等のネットワーク3を介してセンター16と接続される。ネットワーク3には、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)といった店舗内のルータを介して接続してもよい。また、図示しないが、決済端末10は、無線通信により上位端末と接続されている。上位端末は、クレジットやデビッドの売上、取消といった業務内容の選択や、顧客の購入商品の金額等の取引内容を入力するPOS端末等の装置である。
【0035】
決済端末10は、充電式のバッテリにより駆動し、決済に関する処理を行う装置である。また、決済端末10においては、バッテリの充電の監視が行われる。なお、本実施の形態では、決済に関する処理について具体的な態様についての説明は省略するが、決済端末10は、決済に関する処理として、例えば、クレジットカードやデビットカード、電子マネーに対応したICカードなどのカード情報を読み取って決済に関する決済情報を取得する。また、センター16と通信し、決済情報を元に決済を実行する。また、決済された伝票の印字を行う。
【0036】
センター16は、決済端末10から決済要求を受け付け、決済を実行するサーバ装置である。センター16の具体的な態様についての説明は省略するが、センター16は、例えば、IDやパスワード等を用いて決済端末10を認証したり、決済端末10から受信したカード情報に基づいて、クレジットカード会社等のサーバ装置と接続してクレジットカードによる決済処理を実行する。
【0037】
図2及び
図3に、本実施の形態における決済端末10の外観図の一例を示す。
図2は決済端末10の表示部24を上にした斜視図であり、
図3は、決済端末10の表示部24を下にした斜視図である。
図2に示すように、決済端末10は、表示部24を備える。
図3に示すように、決済端末10は、ACアダプタ接続部26と、バッテリ30とを備える。
【0038】
図4は、本実施の形態における決済端末10の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、決済端末10は、CPU(Central Processing Unit)20と、入力部22と、表示部24と、ACアダプタ接続部26と、電源部28と、バッテリ30と、記憶部34と、バッテリ監視部36と、通信部38と、カメラ部40と、印字部42と、スピーカ部44と、決済部46とを含んで構成される。なお、CPU20又はバッテリ監視部36が制御部の一例であり、以下の説明ではバッテリ監視部36が制御部の処理を担うものとして説明する。
【0039】
CPU20は、決済端末10全体を制御する。入力部22は、数字や記号を表すボタンなどを入力するキーパッドである。表示部24は、LCDであり、種々の情報を表示する。また、表示部24はタッチパネルとして機能する。表示部24が表示する情報は、バッテリの充電に関する情報であれば、例えば、バッテリの残り決済可能回数や、バッテリの充電を促す表示などである。ACアダプタ接続部26は、外部の電源を供給するACアダプタ12と接続し、電源部28に電源を供給する。電源部28は、ACアダプタ接続部26を介してACアダプタ12からの給電を受け、バッテリ30を充電する電源回路である。バッテリ30は、充電式の電源供給が可能なバッテリである。記憶部34は、決済に関するデータや、バッテリ30の充電回数、バッテリ残量監視のためのバッテリテーブルを記憶する不揮発性のメモリである。バッテリテーブルの詳細は後述する。バッテリ監視部36は、測定したバッテリ30の温度、記録したバッテリ30の充電履歴、及びバッテリ30のバッテリ残量に基づいて、バッテリ状況を監視し、決済に関する処理が可能な残り決済可能回数を決定する。決済に関する処理に対するバッテリ状況の監視の詳細は後述する。通信部38は、Wi-Fi等の無線通信により、上位端末やセンター16と通信する。カメラ部40は、バーコードなどを撮影するカメラである。印字部42は、購入商品に係る伝票を印字するプリンタである。スピーカ部44は、通知などの音やアナウンスなどの音声を出力するスピーカである。決済部46は、磁気、接触IC、非接触ICの各種カードの読み取り機能を持ち、カード暗証番号の入力など決済に関する処理行うPINPADである。決済部46は図示しないが、必要に応じて取り外して利用可能な構成となっており、取得したカード情報等の機密情報を暗号化して送受信が可能である。決済端末14において、決済に係る一連のトランザクションにおける消費電力は大きいため、本発明の実施の形態における手法によってバッテリ状況の監視を行う必要性が生じてくる。
【0040】
次に、バッテリ監視部36の詳細な構成について説明する。
図5に示すように、バッテリ監視部36は、充電回路36Aと、残量監視回路36Bと、サーミスタ36Cとを含んで構成される。充電回路36Aは、電源部28からバッテリ30への充電の制御を行い、う。残量監視回路36Bは、電源部28からバッテリ30への充電状況を監視し、バッテリの充電履歴として充電回数をカウントして記憶部34に記録する。また、残量監視回路36Bは、サーミスタ36Cで測定されたバッテリ30の温度を検出する。また、バッテリ30の電圧からバッテリ30のバッテリ残量を測定する。また、残量監視回路36Bは、後述するバッテリテーブルを参照して、決済に関する処理に対するバッテリ状況を監視する。サーミスタ36Cは、バッテリ30の温度を測定するための検出器である。
【0041】
次に、記憶部34の構成について説明する。
図6に示すように、記憶部34は、充電回数格納部34Aと、バッテリテーブル格納部34Bと、データ格納部34Cとを含んで構成されている。充電回数格納部34Aには、充電回路36Aにより記録されたバッテリ30の充電回数が格納される。バッテリテーブル格納部34Bには、バッテリ残量監視のためのバッテリテーブルが格納される。データ格納部34Cには、決済に関する種々のデータが格納される。
【0042】
バッテリテーブル格納部34Bに格納されているバッテリテーブルを
図7に示す。バッテリテーブルには、バッテリの温度の基準値、充電回数の基準値、及びバッテリ残量の基準値に対する残り決済可能回数が格納されている。例えば、温度の基準値としては10℃以上時、及び10℃未満時がある。また、充電回数の基準値としては、1~199回、200~399回、400~599回、600~799回、及び800回超がある。また、バッテリ残量の基準値としては、温度の基準値、及び充電回数の基準値の組み合わせに対して、残り決済可能回数に応じたバッテリ残量の基準値がB1~B5の範囲で定められている。B5は残り決済可能回数が5回に相当し、B1は残り決済可能回数が1回に相当する。例えば、バッテリ残量の基準値B5については、温度が10℃以上時に、充電回数が、1~199回で15%、200~399回で20%、400~599回で25%、600~799回で30%、800回超で35%と定められている。また、バッテリ残量の基準値B1~B5の範囲は、1決済あたりのバッテリの消耗量を2%とし、2%ごとの区切りで定められている。バッテリテーブルのこれらの各基準値を参照して、バッテリ状況に対する残り決済可能回数を決定することができる。
【0043】
バッテリ監視部36は、測定したバッテリ30の温度、記録したバッテリ30の充電回数、及び測定したバッテリ30のバッテリ残量について、バッテリテーブルの各基準値を参照して、残り決済可能回数を決定する。また、バッテリ残量がB5以上であれば残り決済可能回数を表示する段階にない程度に充電がある状況と判定する。B5~B1に該当するバッテリ残量である場合には、あと何回決済が可能であるかを表示部24に表示する。例えば、残り決済可能回数が5回であれば、
図8(A)に示すように、「あと5回決済したら充電が必要です!」といった残り決済可能回数を提示する内容を表示部24に表示する。また、バッテリ残量がB1未満であれば、
図8(B)に示すように、「!充電してください!」といった速やかな充電を促す内容を表示部24に表示する。また、このような決済回数や充電を促す表示は、バッテリ監視部36により残り決済可能回数を決定した際、決定した情報を元に表示されるものであるが、その後、充電が行われるまで、又は、次にバッテリ監視部36が残り決済可能回数を決定するまで、決済端末の表示部24のどこかの表示箇所に決定した情報の内容を示唆可能な表示を継続させるようにしてもよい。
例えば、バッテリ監視部36が、残り決済可能回数が5回であると決定し、画面中央に
図8(A)のような表示がされる。その後、決済処理等を行うために画面表示が変更される際、上端に赤字で小さく「あと5回!」といった表示を継続させる、又は、あと5回であることを示唆するマークの表示を継続させる、等してもよい。このようにすることで、決済端末14における残り決済可能回数の見える化をより強く推進することができる。なお、B1に規定されたバッテリ残量が閾値の一例である。
【0044】
次に、
図7に示すバッテリテーブルを用いたバッテリ残量監視の例を説明する。なお、バッテリ残量bがバッテリ残量の基準値B5~B1のいずれに該当するかは、Bn=B5~B2についてはBn≧b>Bn-1の範囲にbがある場合にBnと特定する。Bn=B1の場合についてはB1=bでB1と特定し、B1未満は速やかな充電が必要なものと特定する。
【0045】
例えば、バッテリ30の温度が12℃である場合には、(1)10℃以上時のバッテリテーブルを用いる。(1)のテーブルでは、例えば、バッテリ30の充電回数が150回、バッテリ30のバッテリ残量bが14%である場合には、充電回数1~199回で、バッテリ残量bがB5≧b>B4に該当し、残り決済可能回数を5と特定する。また、バッテリ30の充電回数が500回、バッテリ30のバッテリ残量bが21%である場合には、充電回数400~599回で、バッテリ残量bがB3≧b>B2に該当し、残り決済可能回数を3と特定する。また、バッテリ30の充電回数が850回、バッテリ30のバッテリ残量bが27%である場合には、充電回数800回超で、バッテリ残量bがB1=bに該当し、残り決済可能回数を1と特定する。また、充電回数が500回、バッテリ残量bが30%である場合には、バッテリテーブルのB5より大きいため、バッテリ残量に余裕があるものと特定する。また、充電回数が500回、バッテリ残量bが13%である場合には、B1=17%未満であるため、すぐに充電が必要なものと特定する。
【0046】
また、バッテリ30の温度が8℃である場合には、(2)10℃未満時のバッテリテーブルを用いる。(2)のテーブルでは、例えば、バッテリ30の充電回数が150回、バッテリ30のバッテリ残量bが19%である場合には、充電回数1~199回で、バッテリ残量bがB5≧b>B4に該当し、残り決済可能回数を5と特定する。また、バッテリ30の充電回数が500回、バッテリ30のバッテリ残量bが26%である場合には、充電回数400~599回で、バッテリ残量bがB3≧b>B2に該当し、残り決済可能回数を3と特定する。また、バッテリ30の充電回数が850回、バッテリ30のバッテリ残量bが32%である場合には、充電回数800回超で、バッテリ残量bがB1=bに該当し、残り決済可能回数を1と特定する。また、充電回数が500回、バッテリ残量bが33%である場合には、バッテリテーブルのB5より大きいため、バッテリ残量に余裕があるものと特定する。また、充電回数が500回、バッテリ残量bが18%である場合には、B1=22%未満であるため、すぐに充電が必要なものと特定する。
【0047】
次に、本発明の実施の形態の決済端末10の決済に関する処理に対するバッテリ状況の監視処理の処理フローについて
図9を参照して説明する。決済端末10は電源がONになると、
図9に示す監視処理を実行し、電源がOFFになるまで監視処理を継続する。なお、以下の監視処理は、バッテリ30による電池駆動状態時のみの処理であり、ACアダプタ12を接続して駆動している時は処理しないものとする。
【0048】
まず、ステップS100で、バッテリ監視部36は、バッテリ30の温度を測定し、記憶部34に記憶されている充電回数を読み出し、バッテリ30のバッテリ残量bを測定する。そして、温度の測定値、充電回数、及びバッテリ残量bの測定値に対する、記憶部34に記憶されているバッテリテーブルの各基準値を参照する。
【0049】
ステップS102で、バッテリ監視部36は、バッテリテーブルの各基準値の参照結果に基づいて、バッテリ残量bが、b≧B1であるかを判定し、b≧B1であればステップS104へ移行し、b≧B1でなければステップS118へ移行する。
【0050】
ステップS104で、バッテリ監視部36は、決済端末10が操作されたかを判定し、操作された場合にはステップS106へ移行し、操作されていなければ操作待ちの状態として、操作されたかの判定を繰り返し、操作を受け付けるのを待つ。
【0051】
ステップS106で、バッテリ監視部36は、受け付けた操作が決済処理であるかを判定し、決済処理であればステップS110へ移行し、決済以外の処理であればステップS108へ移行する。
【0052】
ステップS108で、決済端末10は、決済以外の処理を実行し、ステップS100に戻る。決済以外の処理とは、例えば、決済端末10に記録されているIDの確認や充電回数の確認などである。
【0053】
ステップS110で、バッテリ監視部36は、バッテリ30の温度を測定し、記憶部34に記憶されている充電回数を読み出し、バッテリ30のバッテリ残量bを測定する。そして、温度の測定値、充電回数、及びバッテリ残量bの測定値に対する、記憶部34に記憶されているバッテリテーブルの各基準値を参照する。
【0054】
ステップS112で、バッテリ監視部36は、バッテリテーブルの各基準値の参照結果に基づいて、バッテリ残量bが、b>B5、B5≧b≧B1、b<B1のいずれの状態であるかを判定する、b>B5であればステップS114へ移行する。B5≧b≧B1であればステップS116へ移行する。b<B1であればステップS118へ移行する。
【0055】
ステップS114で、決済端末10は、決済処理を実行し、ステップS104へ移行する。
【0056】
ステップS116で、バッテリ監視部36は、バッテリテーブルの各基準値の参照結果に基づいて、あと何回決済が可能であるか残り決済可能回数を表示部24に表示する。
【0057】
ステップS118で、バッテリ監視部36は、速やかな充電を促す内容を表示部24に表示し、決済処理を実行できないように制御すると共に監視処理を終了する。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る決済端末によれば、バッテリの温度の基準値、バッテリの充電履歴の基準値、及びバッテリ残量の基準値に対する残り決済可能回数を予め規定したテーブルを参照して、取得した温度、充電履歴、及びバッテリ残量に対応する残り決済可能回数を決定する。これにより、使用環境やバッテリの劣化度合いといったバッテリの使用状況に応じて残り決済可能回数を決定することができる。また残り決済可能回数を表示するか、バッテリ残量が閾値未満の場合には速やかな充電を促す内容を表示する。このように残り決済可能回数を可視化することにより適切なタイミングで充電を促すことができるため、電断による決済の中断を抑制できる。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0060】
例えば、上述した実施の形態では、残り決済可能回数を5回からとする場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、4回や6回、10回などバッテリ残量が少なくなってきた状況に応じた任意の残り決済可能回数にしてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態では、残り決済可能回数を表示する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、残り決済可能回数の表示と共に、アラート音を報知したり、表示内容を音声により報知するようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態では、決済端末は、充電履歴として充電回数を使用する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば充電履歴として、バッテリの電圧の推移を監視し、電圧の推移から推定可能な劣化度合いを充電履歴として使用するようにしてもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、バッテリテーブルのバッテリ残量の基準値は、1決済あたりのバッテリの消耗量を2%とする基準を元にB5~B1を規定していたが、これに限定されるものではない。例えば、充電回数が大きくなった場合には、3%以上の区切りにしてB5~B1の基準値を定めるようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態では、決済端末は、バッテリの温度の基準値として、10℃以上時と10℃未満時との2つの基準値を用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、5℃未満時、10℃未満時、及び10度以上時といった3つ以上に細分化した温度の基準値を用いるようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態では、決済端末は、残り決済可能回数を一意に特定して表示する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、残り決済可能回数を一意に明示的に表示するのではなく、数回、1~2回、5~6回などある程度幅を持たせて残り決済可能回数を決定して、ある程度幅を持たせた残り決済可能回数を表示するようにしてもよい。また、残り決済可能回数の表示に加えて、「もう少しで充電が必要です」、「この決済が終わったら充電しましょう!」といったファジーな表現により決済に関する処理に対するバッテリ残量の目安を提示するようにしてもよい。これにより、操作者はあとどのくらい決済をして充電が必要であるかを段階的に認識することができる。
【0066】
なお、上述した実施の形態では、バッテリの温度の基準値、バッテリの充電履歴の基準値、及びバッテリ残量の基準値に対する残り決済可能回数を予め規定したバッテリテーブルを参照して、取得した温度、充電履歴、及びバッテリ残量に対応する残り決済可能回数を決定する例を示した。しかし、バッテリ残量と充電履歴、バッテリ残量と温度、バッテリ残量のみ、のように、1種類もしくは2種類の基準値に対応したバッテリテーブルを用意することで、バッテリ残量、充電履歴、温度の全3種類の値を使用することはせずに、残り決済可能回数を決定するようにしてもよい。
【0067】
例えば、使用環境が常に温暖な場所であれば、
図7(1)の10℃以上の時のバッテリテーブルのみを所有し、バッテリ残量と充電回数のみで、残り決済可能回数を決定するようにしてもよい。
【0068】
また例えば、充電回数が不明の装置の場合には、安全を見越して充電回数が多い状態を想定する。例えば、
図7の充電回数が一番多い時(充電回数800回以上)のバッテリ残量の基準値を温度毎に記憶したバッテリテーブル(図示省略)を用意し、このバッテリテーブルを用いて温度とバッテリ残量に応じて残り決済可能回数を決定するようにしてもよい。
【0069】
また例えば、バッテリ残量しかわからない決済端末の場合には、
図7における一番厳しい条件((2)の10℃未満時の、充電回数800回以上)のみのバッテリ残量の基準値のバッテリテーブルを記憶しておき、この条件を用いて、バッテリ残量に応じて残り決済可能回数を決定するようにしてもよい。
【0070】
このようにすることで、温度、充電履歴、及びバッテリ残量の全情報が入手できない決済端末であっても、少なくともバッテリ残量を入手することで、(実際にはもう少し多い回数、決済は可能かもしれないが)決済に係る一連のトランザクションを完了できない充電レベルまで使用をしてしまうという問題の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0071】
3 ネットワーク
10 決済端末
12 ACアダプタ
16 センター
22 入力部
24 表示部
26 アダプタ接続部
28 電源部
30 バッテリ
34 記憶部
36 バッテリ監視部
38 通信部
40 カメラ部
42 印字部
44 スピーカ部
46 決済部
100 決済処理システム