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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】搬出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/18 20060101AFI20220715BHJP
   B65H 1/02 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
B65B43/18
B65H1/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018082400
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019189265
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】相川 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大野 友美
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-240621(JP,A)
【文献】特開2004-075085(JP,A)
【文献】実開昭51-011570(JP,U)
【文献】実開昭60-001742(JP,U)
【文献】米国特許第05829742(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/12-43/18
B65H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状被搬送物の片側縁及び片端縁を夫々規制する片側縁規制上面及び片端縁規制内面を含み、多数の被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で支持する支持手段と、
最前端の被搬送物の前面片端縁部が当接される前面片端縁部規制手段と、
該支持手段上に支持されている多数の被搬送物の最前端の被搬送物に対向して配設され、最前端の被搬送物を該前面片端縁部規制手段から離脱し且つ次の被搬送物から分離して該支持手段から搬出する被搬送物搬出手段と、
最前端の被搬送物から後方に第一の所定距離離間した後退位置と該後退位置から該第一の所定距離よりも短い第二の所定距離前進した前進位置との間を移動自在であると共に、該所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在であるバックプレートと、
該所定経路に沿って該第二の距離と同一又はこれよりも長い第三の距離に対応した間隔をおいて配設された複数個の仕切片を備え、最前端の該仕切片が該バックプレートの該後退位置と対応する前進位置と該前進位置から該第三の距離後退した後退位置との間を移動自在であると共に、該所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である搬送スタンドと、
該所定経路に沿った方向に見て該バックプレートの該前進位置に対応して配設され、該所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である起立片とを具備し、
該起立片は該バックプレートが該作用位置において該前進位置に到達すると、該非作用位置から該作用位置に移動し、該バックプレート又は該搬送スタンドが前進して該起立片の後方に位置する被搬送物が該起立片を超えて前進すると、該作用位置から該非作用位置に移動する、
ことを特徴とする搬出装置。
【請求項2】
該起立片は該片側縁規制上面に後端縁部を回動可能な状態で軸支された板状部材であって、これには付勢手段によって該作用位置を維持するような復元力が付与されており、該起立片が該作用位置にあるときは、該起立片は該所定経路に沿った方向に向かって上方に傾斜する、請求項1に記載の搬出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状被搬送物、例えば液状洗剤或いはレトルト食品等を収容するためのスタンディングパウチと称されている包装袋、を1個毎順次に搬出するための搬出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンディングパウチと称されている包装袋の如き平板状被搬送物を1個毎順次に搬出するための従来の搬出装置として、下記特許文献1に開示されている形態の搬出装置及び下記特許文献2に開示されている形態の搬出装置を挙げることができる。
【0003】
下記特許文献1に開示されている搬出装置は、搬送方向に例えば8乃至10mm程度であるずれ寸法ずつずらして積層配列された多数の被搬送物を搬送する搬送コンベアと、最上位且つ搬送方向最下流に位置する1個の被搬送物を下方且つ搬送方向上流側に位置する他の被搬送物から分離する分離手段と、分離された1個の被搬送物を所要方向に移動する搬出手段とを具備する。
【0004】
下記特許文献2に開示されている搬出装置は、多数の被搬送物を積層状態で支持する支持手段と、支持手段の底壁に形成されている搬出開口を通して最下層の被搬送物を支持手段から下方に搬出する搬出手段とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5897999号公報
【文献】特開2015-221667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されている形態の搬出装置には、多数の被搬送物を搬送方向にずれ寸法ずつずらしてコンベア上に手動で積層配列することが必要であり、かかる作業が相当煩雑である、ずれ寸法に比較的大きな誤差が発生すると1個ずつ分離することができず2個又はそれ以上の被搬送物を同時に搬出してしまうという事態が発生する傾向がある、コンベア上に多数の被搬送物を積層配列するためにはコンベアの搬送方向長さを相当長くすることが必要である、という問題が存在する。
【0007】
他方、上記特許文献2に開示されている形態の搬出装置には、支持手段上に積層される被搬送物の数を増大せしめると、被搬送物全体の重量が増大し、従って最下層の被搬送物の下面と支持手段の底壁との摩擦抵抗が増大し、これに起因して搬出開口を通して被搬送物を搬出することが困難になる或いは2個又はそれ以上の被搬送物を同時に搬出してしまう虞がある、という問題が存在する。
【0008】
上記事実に鑑み、本発明者等は、先に、特願2016-211652の明細書及び図面において、従来の搬出装置に存在する上述したとおりの問題を解決する搬出装置として、支持手段上に多数の被搬送物を所定搬送経路に沿って起立並列配置し、最先端の被搬送物を順次に搬出すると共に1個又は複数個の被搬送物の搬出に応じて並列配置された多数の被搬送物を適宜に搬送方向下流側に移動することができる独特な形態の搬出装置を提案した(以下「先行搬出装置」という)。この先行搬出装置は、平板状被搬送物の片側縁及び片端縁を夫々規制する片側縁規制上面及び片端縁規制内面を含み、多数の被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で支持する支持手段と、最前端の被搬送物の前面片端縁部が当接される前面片端縁部規制手段と、支持手段上に支持されている多数の被搬送物の最前端の被搬送物に対向して配設され、最前端の被搬送物を該前面片端縁部規制手段から離脱し且つ次の被搬送物から分離して該支持手段から搬出する被搬送物搬出手段と、最前端の被搬送物から後方に第一の所定距離離間した後退位置とこの後退位置から第一の所定距離よりも短い第二の所定距離前進した前進位置との間を移動自在であると共に、所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在であるバックプレートと、所定経路に沿ってバックプレートの後退位置と前進位置との間隔に対応した間隔をおいて配設された複数個の仕切片を備え、所定経路に沿った方向に見て最前端の仕切片がバックプレートの後退位置と整合する前進位置と前進位置から第二の距離後退した後退位置との間を移動自在であると共に、所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である搬送スタンドとを具備している。
【0009】
上記先行装置は連続して被搬送物を搬送するため、バックプレート及び搬送スタンドは前進位置に到達した後に再度後退位置へ戻る必要がある。そのため、バックプレート及び搬送スタンドは各々、前進位置において作用位置から非作用位置へ移動し、次いで非作用位置において前進位置から後退位置へ後退し、その後に後退位置において非作用位置から作用位置へ移動する。このとき、バックプレートの後退位置から前進位置までの距離(第二の距離)が最前端の被搬送物からバックプレートの後退位置までの距離(第一の距離)よりも短いことから、バックプレートが作用位置において前進位置に到達した際にはバックプレートと前面片端縁部規制手段との間には被搬送物が幾つか残留せしめられる。そのため、バックプレートが前進位置において作用位置から非作用位置へ移動すると、上記残留せしめられた被搬送物はバックプレートによる後方の支持を失い、片側縁が後退して全体的に前方に傾斜した状態、つまり転倒してしまう。かかる状態からバックプレート又は搬送スタンドが作用位置において前進すると、バックプレートが前進位置において作用位置から非作用位置へ移動した際にバックプレートの後方にあった被搬送物と、バックプレートの前方にあった被搬送物(つまり上記残留せしめられた被搬送物)とが一体化せしめられる。
【0010】
而して、上記先行搬送装置も充分に満足し得るものではなく、次のとおりの解決すべき問題を有する。即ち、バックプレートが前進位置において作用位置から非作用位置へ移動して上記残留せしめられた被搬送物が転倒してしまう際には、装置の振動等によって片側縁が後退すると同時に前後に位置する被搬送物の前面及び後面に沿って幅方向にも移動してしまう場合がある。この場合には、被搬送物搬出手段が幅方向に移動してしまった被搬送物を支持手段から適切に排出することが不可能となって装置全体が停止し作業効率が低下してしまう虞がある。
【0011】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、バックプレートが前進位置から後退位置へ戻る動作をする間、バックプレートの前進位置と前面片端縁部規制手段との間に残留せしめられた被搬送物が転倒してしまうことが防止される、新規且つ改良された搬出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、更に鋭意検討及び実験を続け、隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である起立片をバックプレートの前進位置に対応して配置し、起立片を、バックプレートが作用位置において前進位置に到達したときに、非作用位置から作用位置に移動させ、バックプレート又は搬送スタンドが前進して起立片の後方に位置する被搬送物が起立片を超えて前進したときに、作用位置から非作用位置に移動させることによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0013】
即ち、本発明によれば、上記主たる課題を達成する搬出装置として、平板状被搬送物の片側縁及び片端縁を夫々規制する片側縁規制上面及び片端縁規制内面を含み、多数の被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で支持する支持手段と、
最前端の被搬送物の前面片端縁部が当接される前面片端縁部規制手段と、
該支持手段上に支持されている多数の被搬送物の最前端の被搬送物に対向して配設され、最前端の被搬送物を該前面片端縁部規制手段から離脱し且つ次の被搬送物から分離して該支持手段から搬出する被搬送物搬出手段と、
最前端の被搬送物から後方に第一の所定距離離間した後退位置と該後退位置から該第一の所定距離よりも短い第二の所定距離前進した前進位置との間を移動自在であると共に、該所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在であるバックプレートと、
該所定経路に沿って該第二の距離と同一又はこれよりも長い第三の距離に対応した間隔をおいて配設された複数個の仕切片を備え、最前端の該仕切片が該バックプレートの該後退位置と対応する前進位置と該前進位置から該第三の距離後退した後退位置との間を移動自在であると共に、該所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である搬送スタンドと、
該所定経路に沿った方向に見て該バックプレートの該前進位置に対応して配設され、該所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である起立片とを具備し、
該起立片は該バックプレートが該作用位置において該前進位置に到達すると、該非作用位置から該作用位置に移動し、該バックプレート又は該搬送スタンドが前進して該起立片の後方に位置する被搬送物が該起立片を超えて前進すると、該作用位置から該非作用位置に移動する、
ことを特徴とする搬出装置が提供される。
【0014】
好ましくは、該起立片は該片側縁規制上面に後端縁部を回動可能な状態で軸支された板状部材であって、これには付勢手段によって該作用位置を維持するような復元力が付与されており、該起立片が該作用位置にあるときは、該起立片は該所定経路に沿った方向に向かって上方に傾斜する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の搬出装置においては、隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である起立片をバックプレートの前進位置に対応して配置し、起立片を、バックプレートが作用位置において前進位置に到達したときに、非作用位置から作用位置に移動させ、バックプレート又は搬送スタンドが前進して起立片の後方に位置する被搬送物が起立片を超えて前進したときに、作用位置から非作用位置に移動させることで、バックプレートが前進位置から後退位置へ戻る動作をする間、バックプレートの前進位置と前面片端縁部規制手段との間に残留せしめられた被搬送物は前面片端縁部規制手段と起立片とによって支持され転倒することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態を示す簡略斜視図。
図2図1に示す搬出装置の簡略正面図。
図3図1に示す搬出装置のA-A断面図(簡略平面図)。
図4図1に示す搬出装置の簡略左側面図
図5】被搬送物搬出手段単体の作動を説明するための簡略模式図。
図6】起立片の作動を説明するための図。
図7図1に示す搬出装置によって搬出される被搬送物の一例であるスタンディングパウチを示す。
図8-1】図1に示す搬出装置全体の作動を説明するための簡略模式図。
図8-2】図1に示す搬出装置全体の作動を説明するための簡略模式図。
図8-3】図1に示す搬出装置全体の作動を説明するための簡略模式図。
図9-1】図1に示す搬出装置全体の作動の変形例を説明するための簡略模式図。
図9-2】図1に示す搬出装置全体の作動の変形例を説明するための簡略模式図。
図9-3】図1に示す搬出装置全体の作動の変形例を説明するための簡略模式図。
図9-4】図1に示す搬出装置全体の作動の変形例を説明するための簡略模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態について、更に詳述する。
【0018】
図1には、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態の全体が簡略的に図示されている。かかる搬出装置は、多数の被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で支持する支持手段2と、最前端の被搬送物の前面片端縁部が当接される前面片端縁部規制手段4と、最前端の被搬送物を前面片端縁部規制手段4から離脱し且つ次の被搬送物から分離して支持手段2から搬出する被搬送物搬出手段6と、支持手段2上に支持されている被搬送物を所定経路に沿って移動させるバックプレート8及び搬送スタンド10と、バックプレート8及び搬送スタンド10が支持手段2上に支持されている被搬送物を移動させる過程において被搬送物の姿勢を一時的に保持する保持片12及び起立片14とを具備している。
【0019】
支持手段2は共に矩形形状の板状部材である第一の支持部材18及び第二の支持部材20を備えている。第一の支持部材18は、長手方向に延びる一方側縁22及び他方側縁24が共に実質上水平であって且つ短手方向、更に詳しくは一方側縁22から他方側縁24に向かう方向に上方に傾斜角度αで傾斜した状態で、4隅を脚26によって支持されている(図5(a)も参照されたい)。ここで、短手方向において一方側縁22から他方側縁24に向かう方向を幅方向といい(以下では左右方向ということもある)、一方側縁22が規定されている側を内側、他方側縁24が規定されている側を外側とし、図3等において矢印Wで示す。傾斜角度αは10乃至45度であるのが好ましく、図示の実施形態においては20度である。第一の支持部材18には、多数の平板状被搬送物の片側縁RL(図7を参照されたい)を規制する片側縁規制上面28が設けられ(片側縁規制上面28も幅方向外方に向かって上方に傾斜している)、長手方向即ち図2及び図3において矢印Lで示す方向(これを搬送方向といい、以下では前後方向ということもある)に沿って搬送経路が規定されている。搬送経路は後述するとおりにして被搬送物が搬送される経路であり、搬送方向に向かって水平且つ直線である。図1及び図3を参照することによって明確に理解されるとおり、第一の支持部材18には、搬送方向の上流端部から下流端部まで搬送方向に沿って直線状に延びる溝30が複数形成されている。図示の実施形態においては、溝30は3本形成されており、夫々について幅方向外方に向かってa乃至cを付して示す。溝30a乃至cは相互に平行であって、第一の支持部材18の上面から下面にかけて貫通している。搬送方向に見てバックプレート8の後述する前進位置であって且つ幅方向に見て溝30aと対応する位置における片側縁規制上面28には、起立片14が配設される矩形状の凹部32が形成されている。凹部32については後に説明する。
【0020】
第一の支持部材18には、片側縁規制上面28から上方に向かってこれに対して垂直に起立した平板状側壁34が設けられている(従って、側壁34は上方に向かって幅方向内方に傾斜している)。側壁34は片側縁規制上面28の幅方向内側縁部において搬送方向略全域に亘って延在している。側壁34には被搬送物の片端縁UL(図7を参照されたい)を規制する片端縁規制内面36が規定されている。片端縁規制内面36は下方に向かって幅方向外方に傾斜しており、片側縁規制上面28に対して垂直である(図5も参照されたい)。
【0021】
前面片端縁部規制手段4は側壁34の搬送方向下流端に固定され、バックプレート8によって最前端の被搬送物が搬送方向に見た所定位置より前進しないように被搬送物の前面片端縁部を規制する。図示の実施形態においては、前面片端縁部規制手段4は、側壁34の搬送方向下流端面に固着されて片端縁規制内面36に対して垂直に幅方向外方に向かって延びる板状部材である。前面片端縁部規制手段4は、図5を参照することによって理解されるとおり、片端縁規制内面36から離隔するにつれて先細りする台形形状である。前面片端縁部規制手段4は上下方向に見て側壁34の中央部分に設けられており、前面片端縁部規制手段4の下端は片側縁規制上面28よりも幾分上方に離隔して位置すると共に、前面片端縁部規制手段4の上端は側壁34の上端よりも幾分下方に位置している。前面片端縁部規制手段4の搬送方向上流面(つまり後面)には、最前端の被搬送物が当接することによって閉成される検出スイッチ38が配設されており、この検出スイッチ38が閉成されている間は後述するとおりバックプレート8及び搬送スタンド10は停止すると共に被搬送物搬出手段6は作動し、検出スイッチ38が開成されるとバックプレート8及び搬送スタンド10は前進すると共に被搬送物搬出手段6は停止する。図示の実施形態においては更に、バックプレート8を設置するための設置台の脚の搬送方向上流側面に、最前端の被搬送物の前面が当接する前面規制手段40が配設されている。この前面規制手段40は上下方向に延びる断面矩形の柱状部材であって、搬送方向上流面が前面片端縁部規制手段4の搬送方向上流面(後面)と幅方向において合致し、前面片端縁部規制手段4と共働して最前端の被搬送物が上記所定位置より前進することを規制している。
【0022】
第二の支持部材20は第一の支持部材18の搬送方向下流側においてこれと隣接して設けられている。第二の支持部材20は実質上水平な状態で4隅を脚42によって支持されている。第二の支持部材20には、被搬送物搬出手段6及びバックプレート8が設置される。
【0023】
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、バックプレート8は、搬送方向に見て溝30の下流端部と前面片端縁部規制手段4との間に配置され、上下方向に延びる複数のプレート片44を有する。図示の実施形態においては、プレート片44は幅方向に間隔をおいて平行に5つ設けられ、夫々幅方向外側に向かってa乃至eを付して示す。プレート片44a乃至eの断面形状は何れも下端部を除いて正方形である(下端部は下方に向かって搬送方向長さが漸次低減せしめられている)。プレート片44a乃至eはプレート片固定部材46に固定される。図3を参照することによって明確に理解されるとおり、プレート片44aは幅方向に見て側壁34と溝30aとの中間であって且つ搬送方向に見て前面片端縁部規制手段4と対向し、プレート片44b及びcは幅方向に見て溝30aと溝30bとの間で等間隔に、プレート片44d及びeは幅方向に見て溝30bと溝30cとの間で等間隔に夫々配置されている。
【0024】
プレート片固定部材46は幅方向に直線状に延びる断面矩形の部材である。プレート片固定部材46は、プレート片44a乃至e夫々の上端部が固定された状態で、L字形状の共通支持部材48の起立部48aに設置される。このとき、共通支持部材48の起立部48aの搬送方向上流側面には上下方向に直線状に延びるレール50が配設されており、プレート片固定部材46はレール50に図示しないアクチュエータを介して設置され上下方向に移動自在となる。従って、プレート片固定部材46に固定されたバックプレート8も上下方向に移動自在となる。共通支持部材48は第二の支持部材20上に設けられた設置台52に設置される。設置台52は、上下方向に見て片側縁規制上面28の上方に離隔して位置し且つ実質上水平な矩形形状の天板54と、この天板54を支持する複数、図示の実施形態においては5つ、の脚56とを備えている。天板54の上面には搬送方向に直線状に延びるレール58が形成されており、共通支持部材48の水平部48bが図示しないアクチュエータを介してレール58に連結され、共通支持部材48は搬送方向に移動自在となる。従って、共通支持部材48にプレート片固定部材46を介して配設されたバックプレート8も搬送方向に移動自在となる。上記アクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
【0025】
図8-1乃至図8-3を参照して説明すると、バックプレート8は上記アクチュエータによって、搬送方向及び上下方向に移動自在となる。このとき、バックプレート8は、搬送方向においては、最前端の被搬送物から後方に第一の所定距離D1離間した後退位置とこの後退位置から第一の所定距離D1よりも短い第二の所定距離D2前進した前進位置との間を移動自在であり、上下方向においては、後述するとおり搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である。バックプレート8が非作用位置にあるときは、バックプレート8の下端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも上方に位置し、バックプレート8が作用位置にあるときには、バックプレート8の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁LL(図7を参照されたい))よりも下方であって第一の支持部材18の片側縁規制上面28と対向しこれよりも僅かに上方に位置する。然るに、バックプレート8は以下のような経路で周期的に移動する。即ち、バックプレート8は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図8-1(a)及び図8-2(e)乃至図8-3(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図8-1(b))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図8-1(c))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図8-2(d))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図8-1(a)及び図8-2(e)乃至図8-3(i))へ移動する。
【0026】
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、搬送スタンド10は搬送方向に見て溝30の内側に配置され、搬送方向及び幅方向に夫々複数配列された仕切片60と、全ての仕切片60を共通して支持固定する共通支持部材62とを有している。図示の実施形態においては、仕切片60は搬送方向に等間隔をおいて7個、幅方向に等間隔をおいて3個ずつ格子状に配列されている(従って仕切片60は全部で21個配設されている)。仕切片60は何れも上下方向に延びる棒状部材であり、上端部の搬送方向幅は上方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、仕切片60の断面(上端部を除く)は正方形である。また、図4を参照することによって理解されるとおり、仕切片60の上下方向長さは幅方向外方に向かって順に長く設定されており、夫々の上端位置を結ぶ直線m(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面28と平行となっている。仕切片60の搬送方向の間隔は第三の距離D3であって、これは、図示の実施形態においては、上述したバックプレート8の前進位置と後退位置との間隔(つまり第二の距離D2)と同一である(D3=D2)。仕切片60の幅方向の間隔は第一の支持部材18に形成された溝30の幅方向の間隔に対応する。
【0027】
共通支持部材62は、幅方向に延びる複数(図示の実施形態においては7本)の幅方向支持部64と、搬送方向に延びる一対の搬送方向支持部66とを有する。仕切片60はその下端部が幅方向支持部64の搬送方向下流側面に夫々固定され、仕切片60が固定された幅方向支持部64は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて一対の搬送方向支持部66の上面に固定される(図8-1(a)も参照されたい)。一対の搬送方向支持部66の各々の下面には搬送方向に延びる一対のレール68が各々形成されており、このレール68は図示しないアクチュエータを介して底板70に連結されている。従って、搬送スタンド10は搬送方向(前後方向)に移動自在となる。更に、底板70の下面にはこれを上下方向に移動自在な昇降用のアクチュエータ72も設けられており、これによって、搬送スタンド10は上下方向にも移動自在である。上記のアクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
【0028】
図8-1乃至図8-3を参照して説明すると、搬送スタンド10は上記アクチュエータによって、搬送方向においては、搬送方向下流端(最前端)の仕切片60が搬送方向に見てバックプレート8の後退位置に対応する前進位置と、この前進位置から第三の距離D3(上述したとおり、図示の実施形態においては、第三の距離D3は第二の距離D2と同一である)後退した後退位置と、の間を移動自在であり、上下方向においては、仕切片60の夫々が、後述するとおり、搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と、被搬送物間から離隔する非作用位置と、の間を移動自在である。搬送スタンド10が作用位置にあるときは、仕切片60の上端は片側縁規制上面28を超えて上方に位置し、搬送スタンド10が非作用位置にあるときは、仕切片60の上端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも下方に位置する。然るに、搬送スタンド10は上記アクチュエータによって以下のような経路で周期的に移動する。即ち、搬送スタンド10は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図8-1(a)、図8-3(h)及び(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図8-1(b)乃至図8-2(e))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図8-2(f))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図8-3(g))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図8-1(a)、図8-3(h)及び(i))へ移動する。
【0029】
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、保持片12は搬送方向及び幅方向に夫々複数配列された状態で、共通支持部材76に支持固定されている。図示の実施形態においては、保持片74は搬送方向に等間隔をおいて6個、幅方向に等間隔をおいて4個ずつ格子状に配列されている(従って保持片は全部で24個配設されている)。保持片74は何れも上下方向に延びる棒状部材であり、下端部の搬送方向幅は下方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、保持片74の断面(下端部を除く)は仕切片60の断面(上端部を除く)と同一形状の正方形である。また、図4を参照することによって理解されるとおり、保持片74の上下方向長さは幅方向外方に向かって順に長く設定されており、夫々の下端位置を結ぶ直線n(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面28と平行となっている。図3に示すとおり、最前端の保持片74は、搬送方向に見てバックプレート8の後退位置から第二の距離D2後退した位置において、幅方向に見て溝30aと溝30bの間及び溝30bと溝30cの間に夫々2個ずつ等間隔に配置されている。保持片74の搬送方向の間隔は仕切片60の搬送方向の間隔と等しく第三の距離D3である。
【0030】
共通支持部材76は、幅方向に延びる複数(図示の実施形態においては6本)の幅方向支持部78と、搬送方向に延びる1つの搬送方向支持部80とを有する。保持片74の夫々は上端部が幅方向支持部78の搬送方向上流側面に固定され、保持片74が固定された幅方向支持部78は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて搬送方向支持部80に固定される(図8-1(a)を参照されたい)。共通支持部材76は第一の支持部材18の片側縁規制上面28の上方において支持フレーム82によって上下方向に移動自在に支持される。支持フレーム82は、第一の支持部材18の搬送方向上流端に隣接して配設され下方が開放されたコの字形状である上流フレーム部84と、上流フレーム部84の上辺の幅方向外側端部から搬送方向下流に向かって実質上水平に延びて設置台52に接続固定される直線状の中間フレーム部86と、中間フレーム部86の搬送方向略中間部の上面に固定され下方が開放されたコの字形状の上側フレーム部88とを有する。上側フレーム部88において搬送方向に見て相互に対向する一対の辺の幅方向内側面には、上下方向に直線状に延びる一対のレール89が形成されており、共通支持部材76が図示しないアクチュエータを介してレール89に上下方向に移動自在に連結されている。従って、共通支持部材76に固定された保持片74は上下方向に移動自在である。
【0031】
図8-1乃至図8-3を参照して説明すると、保持片74はこれを作動させるアクチュエータによって、後述するとおり、搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置(図8-2(e)乃至図8-3(h))と被搬送物間から離隔する非作用位置(図8-1(a)乃至図8-2(d)、及び図8-3(i))との間を上下方向に移動自在である。保持片74が非作用位置にあるときは、保持片74の下端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも上方に離隔して位置し、保持片74が作用位置にあるときは、保持片74の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁LL(図7を参照されたい))よりも下方であって第一の支持部材18の片側縁規制上面28と対向しこれよりも幾分上方に位置する。
【0032】
図1乃至図4と共に図6を参照して説明すると、起立片14は搬送方向に見てバックプレート8の前進位置に対応して配設され、所定経路に沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である。図示の実施形態においては、起立片14は片側縁規制上面28に形成された凹部32に収容可能な矩形の板状部材であり、起立片14の後端縁部には凹部32において幅方向に実質上水平に直線状に延びる中心軸90が挿通されると共に起立片14の下面には一端が凹部32の底面に接続されたばね91(付勢手段)の他端が接続されている。これにより、起立片14は、その後端縁部に挿通せしめられた中心軸90を中心に回動可能であり、ばね91によって片側縁規制上面28から上方に向かって図6において反時計方向に回動せしめられた作用位置と、ばね91による付勢に抗して図6において時計方向に回動せしめられた非作用位置との間を移動自在となる。そして、起立片14が作用位置にあるときは、起立片14は搬送方向に向かって上方に傾斜して延び、起立片14が非作用位置にあるときは、起立片14は片側縁規制上面28と実質上面一となる。然るに、起立片14にはばね91によって作用位置を維持するような復元力が付与される。
【0033】
所望ならば、起立片を以下のように構成してもよい。例えば、起立片を片側縁規制上面から上方に向かって突出自在な棒状部材とし、これを適宜のアクチュエータと組み合わせて、外部から電気信号を加えることにより所定のタイミングで作用位置と非作用位置との間を移動させるようにしてもよい。また、起立片を幅方向に複数個配置してもよい。更にまた、起立片を片端縁規制内面に設け、起立片が作用位置にあるときは、起立片は搬送方向に向かって幅方向外方に傾斜するようにしてもよい。
【0034】
図1乃至図4と共に図5も参照して説明すると、被搬送物搬出手段6は、最前端の被搬送物の前面に対向して配設され、上下方向に間隔をおいて直線状に配設された複数個の吸引具92と、全ての吸引具92を共通して支持する共通支持部材94とを備えている。図示の実施形態においては、吸引具92は4個配設され、夫々について下方に向かってa乃至dを付して示す。吸引具92a乃至dはエラストマー材の如き可撓性を有する適宜の軟質合成樹脂から形成された椀状であり、図4に明確に示されるとおり、その中央頂部には吸引孔96が形成されている。共通支持部材94は上下方向に長い略角柱部材であり、その搬送方向上流側面には複数の図示しない接続バルブが設置されている。夫々の接続バルブは2つの口を有し、一方の口には吸引具92の吸引孔96が接続され、他方の口には図示しないホースを介して図示しない真空ポンプに接続される。吸引具92が接続バルブに接続された状態にあっては、吸引孔96は搬送方向上流側を向き、上記真空ポンプによって吸引具92の内側領域(即ち、椀の内側領域)に負圧を発生させることが可能となる。上記真空ポンプは作動状態と吸引非作動状態とを適宜に切り替え自在であり、真空ポンプの作動を切り替えることで吸引具92を上記負圧が生じる吸引作動状態と生じない吸引非作動状態とに切り替え自在である。吸引具92aと吸引具92dは共通支持部材94の上端部と下端部に各々配置され、吸引具92b及び吸引具92cは共通支持部材94の下側において吸引具92b乃至dが上下方向に等間隔をなすように夫々配置されている。吸引具92aと吸引具92bとの間隔は吸引具92bと吸引具92cとの間隔(吸引具92cと吸引具92dとの間隔)よりも大きい。共通支持部材94の搬送方向下流側面にはこれを作動させるアクチュエータ98が設置されている。アクチュエータ98は、吸引具92aと吸引具92bとの間に規定されている軸線Rを中心として、共通支持部材94を旋回駆動自在に支持している。アクチュエータ98はまた、幅方向に延在するレール100及び搬送方向に延在する図示しないレールとも連結されており、幅方向及び搬送方向にも移動自在である。これにより、吸引具92a乃至dは一体となって軸線Rを中心に旋回自在であると共に幅方向及び搬送方向に移動自在である。アクチュエータ98は図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
【0035】
図5を参照して説明すると、吸引具92a乃至dは、これらが装着された共通支持部材94がアクチュエータ98によって作動されることによって、後述する最前端の被搬送物の前面と当接する前進位置と最前端の被搬送物の前面から離隔する方向に後退した後退位置との間で搬送方向に移動自在(即ち前進後退移動自在)となると共に、最前端の被搬送物を保持する保持位置と被搬送物を放出する放出位置との間で横方向に移動自在(即ち左右方向に移動自在)となり、さらに、吸引具92aが片側縁規制上面28から離隔して片端縁規制内面36に接近する接近位置と片端縁規制内面36から離隔して片側縁規制上面28に接近する分離位置との間で軸線Rを中心として旋回自在となる(軸線Rを中心とした回転方向を分離方向という)。このことから、図示の実施形態においては、吸引具92a乃至dは以下のように周期的に移動する。即ち、吸引具92は、図5(a)に示す基準状態(前後方向において後退位置、分離方向において接近位置、左右方向において保持位置)から前進位置に前後移動し(図5(b))、次いで、分離方向において接近位置から分離位置まで旋回し(図5(c))、その後に前進位置から後退位置まで前後移動し(図5(d))、次いで分離方向において分離位置を維持したまま左右方向において保持位置から放出位置まで横移動し(図5(e))、しかる後に分離方向において分離位置から接近位置まで旋回しながら左右方向において放出位置から保持位置まで横移動して再び図5(a)に示す基準状態となる。
【0036】
続いて、図8-1乃至図8-3と共に、図5を参照して本発明に従って構成された搬出装置の作動について説明する。
先ず、搬出装置を作動させるのに先立って、作業者は手動で多数の被搬送物Cを第一の支持部材18上に搬送経路Lに沿って順次に起立並列した状態で配置せしめる。図8-1(a)に示すように、被搬送物Cは搬送方向に隣接する仕切片60の間だけでなく、搬送方向下流端の仕切片60とバックプレート8との間、及び、バックプレート8と吸引具92との間にも配置する。かかる作業を行う際には、被搬送物搬出手段6の吸引具92は吸引非作動状態であると共に、バックプレート8は後退作用位置に、搬送スタンド10は後退作用位置に、保持手段12は非作用位置に、起立片14は非作用位置に、夫々位置させる。
【0037】
ここで、平板状被搬送物とは、例えば液体状洗剤或いはレトルト食品等を収容するためのパウチと称される周知の包装体であり、図7に示すとおりの所謂スタンディングパウチと称する片端縁部UP(図7における上端縁部)が他端縁部BP(図7における下端縁部)に比べて薄く、片端縁ULが両側縁(片側縁RL及び他側縁LL、即ち片端縁ULと他端縁BLとを接続する一対の縁であって図7において上下方向に延びる一対の縁)よりも短い形式のものも含む。本発明は上記スタンディングパウチを搬送するのに好適である。スタンディングパウチは、本発明の搬出装置によって搬送されている間においては片端縁部UPが開放せしめられているが、本発明の搬出装置によって搬送され内容物が充填された後には片端縁部UPが閉塞せしめられる。被搬送物Cの夫々は、片側縁RL及び片端縁ULが支持手段2の片側縁規制上面28及び片端縁規制内面36によって規制されると共に搬送方向において隣接する被搬送物同士が相互に面接触した状態で、実質上鉛直に起立した直立並列配置で支持される(図5(a)及び図8-1(a)を参照されたい)。
【0038】
搬出装置の作動を開始させると、被搬送物搬出手段6と、バックプレート8と、搬送スタンド10とが作動して、第一の支持部材18に支持された被搬送物Cの搬送を開始する。被搬送物搬出手段6は前面片端縁部規制手段3の搬送方向上流面に配設された検出スイッチ38が最前端の被搬送物C1によって押されて閉成されると作動する。被搬送物搬出手段6の作動について図5を参照して説明する。なお、本図においては、搬送方向下流側から上流側を見たときの模式図を左側に上方から見た模式図を右側に夫々配列し、右側に配列された図においては、図の簡略化のために吸引具92は吸引具92a及びdについてのみ示して他を省略し、さらに吸引具92aと吸引具92dとを区別するため前者には薄墨を付して示してある。
【0039】
被搬送物搬出手段6の吸引具92a乃至dは以下のように作動する。即ち、最初に、吸引具92a乃至dは図5(a)に示す基準状態にある。このとき、吸引具92a乃至dは吸引作動状態と吸引非作動状態とはどちらであってもよい。次いで、吸引具92a乃至dは前進位置に前後移動せしめられて最前端の被搬送物C1の前面に当接すると共に吸引作動状態にせしめられる(図5(b))。このとき、吸引具92a乃至dは最前端の被搬送物C1の前面片端縁部よりも幅方向内側の表面に当接せしめられ、吸引具92a乃至dの椀状部位が被搬送物C1と密着して変形せしめられる。そして、吸引具92a乃至dは、図示しない真空ポンプによって生じた負圧により最前端の被搬送部C1の前面を吸引してこれを保持する。次いで、吸引具92aは分離方向において接近位置から分離位置に旋回せしめられる(図5(c))。かくすると、吸引具92aと第一の支持部材18の片側縁規制上面28との距離が短くなり、これによって上記被搬送物C1において吸引具92aが吸引保持する部位と第一の支持部材18の片側縁規制上面28によって規制される片側縁RLとの距離が短くなることで、被搬送物C1は圧縮されてその一部が前方に湾曲突出せしめられ、最前端の被搬送物C1と、これの直後(即ち前から2番目)に位置する被搬送物C2とが分離せしめられる。その後に、吸引具92a乃至dは分離方向において分離位置の状態を維持したまま前進位置から後退位置に前後移動される(図5(d))。この際には、図5(c)に示す状態において被搬送物C1と被搬送物C2とが確実に分離せしめられている故に、吸引具92a乃至dは最前端の被搬送物C1のみを確実に前面片端縁部規制手段3から離脱、即ち支持手段2から搬出することができる。しかる後に、吸引具92a乃至dは、図5(e)に示すとおり、分離方向において分離位置の状態を維持したまま左右方向において保持位置から放出位置まで横移動し、かかる位置にて吸引作動状態から吸引非作動状態に切り換えられる。かくすると、吸引具92a乃至dが吸引していた被搬送物C1は二点鎖線で示されるニップローラーの如き適宜の送り手段102に受け渡され、被搬送物C1が放出される。被搬送物C1を放出した後は、吸引具92a乃至dは、分離方向において分離位置から接近位置に旋回されながら左右方向において放出位置から保持位置まで横移動して、再び図5(a)に示す基準状態となる。
【0040】
バックプレート8及び搬送スタンド10は、前面片端縁部規制手段3の搬送方向上流面に配設された検出スイッチ38が開成されると一体で前進して被搬送物Cを前方に搬送せしめ、検出スイッチ38が閉成されると停止する。検出スイッチ38は最前端の被搬送物C1と当接してこれによって所定の押圧力で押圧されることにより閉成される。然るに、バックプレート8及び搬送スタンド10は、バックプレート8によってこれと前面片端縁部規制手段3との間の被搬送物Cに所定の押圧力が付加されているときは検出スイッチ38が閉成されて停止し、被搬送物搬出手段6の上記作動によって被搬送物Cが1個乃至複数個搬出されてバックプレート8と前面片端縁部規制手段3との間の被搬送物Cが減少すると上記押圧力が減少して検出スイッチ38が開成され再度前進する。そして、バックプレート8及び搬送スタンド10が前進し、バックプレート8と前面片端縁部規制手段3との間の被搬送物Cに所定の押圧力が付加されると検出スイッチ38が閉成されて再び停止することとなる。
【0041】
バックプレート8及び搬送スタンド10は図8-1(a)に示す各々の後退作用位置から前進して、支持手段2に支持された被搬送物Cを前進せしめる。この際、起立片14は被搬送物Cの自重によって非作動位置に位置せしめられている。そして、バックプレート8及び搬送スタンド10が図8-1(b)に示す各々の前進作用位置に到達すると、搬送方向に見てバックプレート8が位置する部位には被搬送物Cが存在しないことから、起立片14はばね91によって図6において二点鎖線で示される非作用位置から同図において実線で示される作用位置に移動せしめられてバックプレート8より前方に位置する被搬送物Cを支持する。図3を参照することによって理解されるとおり、起立片14とバックプレート8のプレート片44とは幅方向において位置が異なるため、バックプレート8が前進作用位置に到達すると同時に起立片14が非作用位置から作用位置へ移動することとなる(起立片14とプレート片44とが幅方向において位置が合致している場合には、バックプレート8が前進作用位置から前進非作用位置へ移動を開始した後に、起立片14は非作用位置から作用位置へ移動する)。その後に、バックプレート8は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図8-1(c))、次いで後退非作用位置に移動し(図8-2(d))、しかる後に後退作用位置に移動する。それ故に、本発明の搬出装置にあっては、バックプレート8が前進位置から後退位置へ戻る動作をする間、バックプレート8の前進位置と前面片端縁部規制手段4との間に残留せしめられた被搬送物は前面片端縁部規制手段4と起立片14とによって支持され転倒することが防止される。
【0042】
バックプレート8が後退非作用位置(図8-2(d))から後退作用位置(図8-2(e))へ移動すると同時に、保持部材16(即ち、保持片74)は非作用位置から作用位置に移動する。保持部材16のこの移動は、バックプレート8が前進作用位置から後退作用位置まで移動する間乃至同移動の完了後であってもよい。図8-2(e)に示す状態にあっては、バックプレート8と搬送スタンド10の最前端の仕切片60とは搬送方向において合致するが、図3を参照することによって理解されるとおり、バックプレート8を構成するプレート片50a乃至eと搬送スタンド10の最前端に位置する仕切片60a乃至cとは幅方向において夫々位置が異なるためプレート片50a乃至eと仕切片60a乃至cとが相互に干渉することはない。同様に、保持片74a乃至dと搬送スタンド10の仕切片60a乃至cとは搬送方向において合致するが、保持片74a乃至dと搬送スタンド10の仕切片60a乃至cとは幅方向において夫々位置が異なるため保持片74a乃至dと仕切片60a乃至cとが相互に干渉することはない。保持部材16が非作用位置から作用位置に移動した後に、搬送スタンド10は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図8-2(f))、次いで後退非作用位置に移動し(図8-3(g))、しかる後に後退作用位置に移動する(図8-3(h))。そして、搬送スタンド10が後退作用位置まで移動した後に、保持部材16は作用位置から非作用位置に移動する(図8-3(i))。バックプレート8及び搬送スタンド10並びに保持部材16の上記移動の間も被搬送物搬出手段6は第一の支持部材18に支持された被搬送物Cを継続して搬送し続ける。
【0043】
図8-3(i)に示す状態と図8-1(a)に示す状態とでは、搬送スタンド14の搬送方向最後端に位置する仕切片60とこれの前方に隣接して位置する仕切片60との間の領域における被搬送物Cの有無、及び起立片14の位置が相違するが、その他は同じ状態である。起立片14については、図8-3(i)に示す状態からバックプレート8及び搬送スタンド10が僅かに前方に移動すれば、起立片14はこれの後方に位置する被搬送物によって前方に押し倒されて作用位置から非作用位置に移動せしめられ、図8-1(a)と同じ状態となる。換言すると、起立片14は、バックプレート8が前進して起立片14の後方に位置する被搬送物が起立片14を超えて前進すると、作用位置から非作用位置へ移動する。以上のことから、被搬送物Cの空いた上記領域に作業者が新たな被搬送物を補充することで被搬送物を長時間連続して搬送し続けることが可能となる。
【0044】
上述した実施形態においては、搬送スタンドの仕切片の搬送方向の間隔及び搬送スタンドの前後方向の移動距離である第三の距離D3はバックプレートの前後方向の移動距離である第二の距離D2と同一であり(D3=D2)、バックプレートが前進して起立片の後方に位置する被搬送物が起立片を超えて前進することで起立片は作用位置から非作用位置に移動せしめられたが、これに替えて、第三の距離D3を第二の距離D2よりも大きくする(D3>D2)と共に、搬送スタンドが前進して起立片の後方に位置する被搬送物が起立片を超えて前進することで起立片が作用位置から非作用位置に移動せしめられるようにしてもよい。これについて図9を参照して説明する。
【0045】
図9-1(a)は図8-1(a)と同じ状態、即ち、バックプレート8は後退作用位置、搬送スタンド10は後退作用位置、保持手段12は非作用位置、起立片14は非作用位置に位置せしめられている。このとき、バックプレート8は最前端の被搬送物C1から第一の距離D1後方に位置する。また、搬送スタンド10における搬送方向下流端(最前端)の仕切片60は、バックプレート8から第三の距離D3後方に位置し、搬送スタンド10の仕切片60の搬送方向の間隔は第三の距離D3と同一の間隔である。
【0046】
図9-1(a)に示す状態からバックプレート8及び搬送スタンド10が第三の距離D3よりも小さい第二の距離D2前進すると、バックプレート8は前進作用位置に到達し、起立片14は非作用位置から作用位置に移動せしめられてバックプレート8より前方に位置する被搬送物Cを支持する(図9-1(b))。その後に、バックプレート8は、前進作用位置から前進非作用位置へ移動し(図9-2(c))、次いで、後退非作用位置に移動する(図9-2(d))。それ故に、本実施形態の搬出装置にあっても、バックプレート8が前進位置から後退位置へ戻る動作をする間、バックプレート8の前進位置と前面片端縁部規制手段4との間に残留せしめられた被搬送物は前面片端縁部規制手段4と起立片14とによって支持され転倒することが防止される。バックプレート8が後退非作用位置に移動した後に、搬送スタンド10は第三の距離D3と第二の距離D2との差分(D3-D2)だけ一気に前進して前進作用位置に移動する(図9-2(e))。このとき、搬送スタンド10が前進して起立片14の後方に位置する被搬送物が起立片14を超えて前進することで起立片14は作用位置から非作用位置に移動せしめられる。その後に、バックプレート8が後退非作用位置から後退作用位置へ移動すると共に及び保持手段12が非作用位置から作用位置へ移動する(図9-2(f))。次いで、搬送スタンド10は前進作用位置から前進非作用位置へ移動し(図9-3(g))、後退非作用位置に移動し(図9-3(h))、しかる後に後退作用位置に移動する(図9-3(i))。そして、搬送スタンド10が後退作用位置まで移動した後に、保持部材16は作用位置から非作用位置に移動する(図9-3(j))。本実施形態においては、被搬送物搬出手段6は、バックプレート8が前進非作用位置(図9-1(c))に移動したときから搬送スタンド10が前進作用位置(図9-2(e))に移動したときまでは、検出スイッチ38が開成されて停止しているが、それ以外は閉成されて作動している。
【0047】
以上本発明の搬出装置について添付図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、本実施形態においては、第一の支持部材が幅方向に傾斜せしめられていることよって片側縁規制上面は傾斜せしめられていたが、これに替えて、第一の支持部材を水平として片側縁規制上面も実質上水平にしてもよい。さらに、本実施形態においては、第一の支持部材は1つの平板により構成されこの平板に溝が形成されているが、これに替えて、支持基板を搬送方向に延びる複数の平板を幅方向に間隔をおいて配置せしめ、幅方向に隣接する平板の間に溝が規定されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
2:支持手段
4:前面片端縁部規制手段
6:被搬送物搬出手段
8:バックプレート
10:搬送スタンド
12:保持手段
14:起立片
28:片側縁規制上面
36:片端縁規制内面
90:中心軸
91:付勢手段(ばね)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】