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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ガラス障子及び窓装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20220715BHJP
   E06B 3/54 20060101ALI20220715BHJP
   E06B 3/24 20060101ALI20220715BHJP
   E06B 3/263 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
E05D15/06 103
E06B3/54 B
E06B3/24
E06B3/263 F
E06B3/54 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018088706
(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公開番号】P2019194409
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 健太郎
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519246(JP,A)
【文献】特開2016-148220(JP,A)
【文献】特開2000-045638(JP,A)
【文献】特開平10-196225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0166494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00 - 15/58
E06B 3/04 - 3/46
3/50 - 3/52
3/54 - 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスパネルと、
前記ガラスパネルの下辺を支持する下框と、
前記下框に対して面外方向に互いに離隔した状態で取り付けられた室外側戸車及び室内側戸車と、を備え、
前記室外側戸車を構成する室外側車輪と前記室内側戸車を構成する室内側車輪とのうち、少なくとも一方の車輪は、全体が前記ガラスパネルから面外方向に外れた位置に配置されており、
前記室外側車輪は、全体が前記ガラスパネルから室外側に外れた位置に配置されているか、又は、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に配置されており、
前記室内側車輪は、全体が前記ガラスパネルから室内側に外れた位置に配置されているか、又は、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に配置されて おり、
前記室外側車輪と前記室内側車輪とのうち、全体が前記ガラスパネルから面外方向に外れるように配置された前記少なくとも一方の車輪が、面外方向に関して前記ガラスパネルの下端部と重畳している、
ガラス障子。
【請求項2】
ガラスパネルと、
前記ガラスパネルの下辺を支持する下框と、
前記下框に対して面外方向に互いに離隔した状態で取り付けられた室外側戸車及び室内側戸車と、を備え、
前記室外側戸車を構成する室外側車輪と前記室内側戸車を構成する室内側車輪とのうち、片方の車輪は、全体が前記ガラスパネルから面外方向に外れた位置に配置されており、 他方の車輪は、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に位置するように配置されており、
前記片方の車輪の直径は、前記他方の車輪の直径よりも大きい、
ガラス障子。
【請求項3】
前記下框が、室外側下框と室内側下框とを断熱材を介して面外方向に連結することにより構成されている、請求項1~のうちのいずれか1項に記載したガラス障子。
【請求項4】
前記下框のうちで、前記ガラスパネルの下辺が挿入されるガラス溝の底部の一部が、前記断熱材により構成されている、請求項に記載したガラス障子。
【請求項5】
ガラスパネルと、
前記ガラスパネルの下辺を支持する下框と、
前記下框に対して面外方向に互いに離隔した状態で取り付けられた室外側戸車及び室内側戸車と、を備え、
前記室外側戸車を構成する室外側車輪と前記室内側戸車を構成する室内側車輪とのうち、少なくとも一方の車輪は、全体が前記ガラスパネルから面外方向に外れた位置に配置されており、
前記室外側車輪は、全体が前記ガラスパネルから室外側に外れた位置に配置されているか、又は、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に配置されており、
前記室内側車輪は、全体が前記ガラスパネルから室内側に外れた位置に配置されているか、又は、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に配置されて おり、
前記下框は、室外側下框と室内側下框とを断熱材を介して面外方向に連結することにより構成されており、前記下框のうちで、前記ガラスパネルの下辺が挿入されるガラス溝の底部の一部が、前記断熱材により構成されており、
前記ガラス溝の底部を構成する前記断熱材の下方で、かつ、前記室外側下框と前記室内側下框との間部分に配置されるとともに、これら室外側下框と室内側下框とのうちの何れか一方に支持された補強部材により、前記ガラス溝の底部を構成する前記断熱材の下面が支承されている、
ガラス障子。
【請求項6】
前記ガラスパネルが、複数枚のガラス板を有する複層のガラスパネルであり、前記室外側車輪が、前記複数枚のガラス板のうちで最も室外側に存在するガラス板から室外側に外れた位置に配置されている、及び/又は、前記室内側車輪が、前記複数枚のガラス板のうちで最も室内側に存在するガラス板よりも室内側に外れた位置に配置されている、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載したガラス障子。
【請求項7】
前記ガラスパネルが、前記下框に設けられたガラス溝の底部にセッティングブロックを介して載置されており、前記室外側車輪及び前記室内側車輪は、面内方向に関して前記セッティングブロックと重なる位置に配置されている、請求項1~のうちのいずれか1項に記載したガラス障子。
【請求項8】
窓枠と、
該窓枠の内側に面内方向に関する移動可能に建て込まれた可動障子と、
備えた窓装置であって、
前記可動障子が、請求項1~のうちのいずれか1項に記載したガラス障子であり、
前記窓枠を構成する下枠に、前記室外側車輪及び前記室内側車輪がそれぞれ走行する1対の下部案内レールが設けられている、
ことを特徴とする窓装置。
【請求項9】
前記窓枠の内側に、前記可動障子とは別に、面内方向に関する移動不能に固定障子が固定されている、請求項に記載した窓装置。
【請求項10】
前記可動障子が外障子であり、前記固定障子が内障子である、請求項に記載した窓装置。
【請求項11】
前記下枠の上面に、前記1対の下部案内レールと平行でかつ上端縁の高さ位置が同じである、補助突条が設けられている、請求項10のうちのいずれか1項に記載した窓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスパネルと該ガラスパネルの下辺を支持する下框と戸車とを備えたガラス障子、及び、該ガラス障子を備えた窓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建物躯体の開口部には、採光や換気などを目的として、窓装置を設けることが行われている。
【0003】
近年、高層階に設置される窓装置などには、眺望をより広く確保したいなどの理由から、大型のガラスパネルを備えた窓装置を使用することへの要望がある。ただし、高層階に設置される窓装置や大型のガラスパネルを備えた窓装置に対しては、耐風圧強度の要求水準が高くなるため、耐風圧強度を確保するために、ガラス障子を構成する框材の断面積を大きくしたり、ガラスパネルの厚さ寸法を大きくしたりする必要がある。このため、ガラス障子の重量が増大しやすくなる。
【0004】
また、窓装置には、高断熱性能も求められる。このため、断熱性能を確保するべく、ガラス障子を構成するガラスパネルとして、例えば特開2016-132875号公報に記載されているような、複数枚のガラス板を備えた複層のガラスパネルを使用するケースも増えてきている。そして、このように、複層のガラスパネルを使用する場合にも、ガラス障子の重量が増大しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-132875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ガラス障子に求められる耐風圧強度や断熱性能などの各種性能を満足するためには、ガラス障子の重量は増大する傾向になる。ガラス障子(1枚)は、下枠に対して、通常2個の戸車によって水平移動可能に支持されているが、ガラス障子の重量が増大すると、戸車に加わる力が大きくなる。このため、ガラス障子の重量が増大する場合には、戸車を構成する車輪の直径を大きくして、耐荷重を大きくしたり、ガラス障子の水平移動に要する力を低減したりすることが行われている。
【0007】
ところが、戸車を構成する車輪の直径を大きくした場合には、これにともなって、ガラス障子を構成する下框の上下寸法(見付け寸法)が大きくなる。このため、ガラスパネルの高さ寸法を十分に確保することが難しくなったり、下框の露出面積が増大して、断熱性能を確保する面から不利になったりする可能性がある。
【0008】
本発明は、上述のような事情に鑑み、大型や複層のガラスパネルを使用した場合にも、下框の上下寸法を小さく抑えることができる、ガラス障子及び窓装置の構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガラス障子は、ガラスパネルと、該ガラスパネルの下辺を支持する下框と、戸車を備えた、ガラス付の引戸障子である。
本発明では、前記戸車として、前記下框に対して面外方向(室内外方向)に互いに離隔した状態で取り付けられた、少なくとも1組(好ましくは2組)の室外側戸車及び室内側戸車を備えている。
前記室外側戸車を構成する室外側車輪と前記室内側戸車を構成する室内側車輪とのうち、少なくとも一方の車輪は、全体が前記ガラスパネルから面外方向に外れた位置に配置されている。
また、前記室外側車輪は、全体が前記ガラスパネルから室外側に外れた位置に配置されているか、又は、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に配置されている。
また、前記室内側車輪は、全体が前記ガラスパネルから室内側に外れた位置に配置されているか、又は、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に配置されている。
【0010】
本発明のガラス障子では、前記ガラスパネルを、複数枚のガラス板を有する複層のガラスパネルとし、前記室外側車輪を、前記複数枚のガラス板のうちで最も室外側に存在するガラス板から室外側に外れた位置に配置する、及び/又は、前記室内側車輪を、前記複数枚のガラス板のうちで最も室内側に存在するガラス板よりも室内側に外れた位置に配置することができる。
【0011】
本発明のガラス障子では、前記ガラスパネルを、前記下框に設けられたガラス溝の底部にセッティングブロックを介して載置し、前記室外側車輪及び前記室内側車輪を、面内方向に関して前記セッティングブロックと重なる位置、換言すれば、前記セッティングブロックと上下方向に重畳する位置に配置することができる。
【0012】
本発明のガラス障子の第1態様では、前記室外側車輪と前記室内側車輪とのうち、全体が前記ガラスパネルから面外方向に外れるように配置された前記少なくとも一方の車輪を、面外方向に関して前記ガラスパネルの下端部と重畳させることができる。つまり、前記少なくとも一方の車輪の上端部を、前記ガラスパネルの下端部よりも上方に位置させることができる。
【0013】
本発明のガラス障子の第2態様では、前記室外側車輪と前記室内側車輪とのうち、片方の車輪を、全体が前記ガラスパネルから面外方向に外れるように配置し、他方の車輪を、少なくとも一部が前記ガラスパネルの下方に位置するように配置することができ、さらに、前記片方の車輪の直径を、前記他方の車輪の直径よりも大きくすることができる。
【0014】
本発明のガラス障子では、前記下框を、室外側下框と室内側下框とを断熱材を介して面外方向に連結することにより構成することができる。
この場合には、前記下框のうちで、前記ガラスパネルの下辺が挿入されるガラス溝の底部の一部を、前記断熱材により構成することもできる。
本発明のガラス障子の第3態様では、さらに、前記ガラス溝の底部を構成する前記断熱材の下方でかつ前記室外側下框と前記室内側下框との間部分に配置されるとともに、これら室外側下框と室内側下框とのうちの何れか一方に支持された補強部材により、前記ガラス溝の底部を構成する前記断熱材の下面を支承することもできる。
前記補強部材は、前記室外側下框と前記室内側下框とのうち、車輪の直径がより大きい戸車を備えた下框に支持することができる。
【0015】
本発明の窓装置は、窓枠と、該窓枠の内側に面内方向に関する移動可能に建て込まれた可動障子とを備えている。
そして、前記可動障子として、本発明のガラス障子を用いており、前記窓枠を構成する下枠に、前記室外側車輪及び前記室内側車輪がそれぞれ走行する1対の下部案内レールを設けている。
【0016】
本発明の窓装置では、前記窓枠の内側に、前記可動障子とは別に、面内方向に関する移動不能に固定障子を固定することもできる。
この場合には、前記可動障子を外障子とし、前記固定障子を内障子とすることができるし、あるいは、前記可動障子を内障子とし、前記固定障子を外障子とすることもできる。
【0017】
本発明の窓装置では、前記下枠の上面に、前記1対の下部案内レールと平行でかつ上端縁の高さ位置が同じである、1乃至複数本の補助突条を設けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、大型や複層のガラスパネルを使用した場合にも、下框の上下寸法を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、参考例の第1例にかかる窓装置を建造物の室外側から見た正面図である。
図2図2は、図1のA-A縦断面図である。
図3図3は、図2の下方部分の拡大図である。
図4図4は、図1のB-B縦断面図である。
図5図5は、図1のC-C横断面図である。
図6図6は、図3のD矢視図に相当する側面図である。
図7図7は、室外側戸車(室内側戸車)を取り出して示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は平面図であり、(C)は底面図であり、(D)は左側面図である。
図8図8は、実施の形態の第例を示す、図3に相当する図である。
図9図9は、実施の形態の第例を示す、外障子の下方部分の断面図である。
図10図10は、参考例の第例を示す、図6に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
参考例の第1例]
本発明に関する参考例の第1例について、図1~7を参照して説明する。本参考例は、外動片引き式の窓装置1に、本発明を適用した例を示している。窓装置1は、矩形枠状の窓枠2と、窓枠2の内側に面内方向(窓枠2の長手方向、水平方向)に関する移動可能に建て込まれた可動障子である1対の外障子3と、窓枠2の内側に面内方向に関する移動不能に固定された固定障子である連窓構造の内障子4を備えている。
なお、本明細書中で、面内方向に関して内側とは、窓枠2の長手方向中央側をいい、面内方向に関して外側とは、窓枠2の長手方向外側をいう。
【0021】
窓枠2は、面内方向に配置されて上辺を構成する上枠5と、同じく面内方向に配置されて下辺を構成する下枠6と、鉛直方向に配置されて左右の縦辺を構成する1対の竪枠7と、面内方向中間部に鉛直方向に配置された1対の中間方立8を備えている。そして、上枠5及び下枠6の面内方向両端部と1対の竪枠7の上下方向両端部とを、それぞれタッピングねじなどを用いて連結することにより、窓枠2を矩形枠(角部が直角状である四角枠)状に構成している。
【0022】
参考例では、窓装置1の断熱性能を高めるべく、上枠5、下枠6、及び、1対の竪枠7のそれぞれを、アルミニウム合金製の室外側フレーム(室外側枠材)及び室内側フレーム(室内側枠材)を、合成樹脂製の断熱材9a1(9a2)~9c1(9c2)によって面外方向に連結した連結構造としている。
【0023】
アルミニウム合金としては、例えば、A6063S-T5材(JIS H 4100)、すなわち、0.20~0.6重量%のSiと、0.35重量%以下のFeと、0.10重量%以下のCuと、0.10重量%以下のMnと、0.45~0.9重量%のMgと、0.10重量%以下のCrと、0.10重量%以下のZnと、0.10重量%以下のTiと、個々が0.05重量%以下で合計が0.15重量%以下の不可避不純物とを含み、残りをAlとしたものを、好ましく使用できる。また、断熱材9a1(9a2)~9c1(9c2)を構成する合成樹脂としては、ポリアミド6(ナイロン6)や、これにガラス繊維を含有したものなどを利用できる。なお、外障子3及び内障子4を構成する材料(アルミニウム合金及び合成樹脂)に関しても、窓枠2と同様のものを使用できる。
【0024】
次に、窓枠2を構成する枠材ごとに、構造を具体的に説明する。
[上枠5の構造]
上枠5は、窓枠2の上辺を構成し、面内方向(図1、5の左右方向、図2~4の表裏方向)に配置されている。上枠5は、図2、4に示したように、それぞれがアルミニウム合金製である、室外側に配置された室外側上枠10及び室内側に配置された室内側上枠11を、上下方向に離隔する状態で互いに平行に配置された、合成樹脂製で帯状(板状)の1対の断熱材9a1、9a2により、面外方向(図1の表裏方向、図2~4の左右方向、図5の上下方向)に連結することにより構成されている。このために、室外側上枠10の室内側側面及び室内側上枠11の室外側側面にそれぞれ形成した係止凹溝12aにより、1対の断熱材9a1、9a2の幅方向(面外方向)両端部をかしめ固定している。また、室外側上枠10には、外障子3の上辺を案内するための1対の上部案内レール13a、13bが、室外側上枠10の全長にわたり設けられている。上部案内レール13a、13bは、室外側上枠10の下面から垂下するように設けられており、面外方向に離隔し、かつ、互いに平行に配置されている。これに対し、室内側上枠11には、このような上部案内レールは設けられていない。また、室外側上枠10の下面には、外障子3の上端部と接触して断熱層を形成することで断熱性能を確保するための断熱用シール材62が支持されている。さらに、1対の断熱材9a1、9a2同士の間には、スポンジ状の発泡ポリエチレン63が設けられている。このような発泡ポリエチレン63は、上枠5を構成する断熱材9a1、9a2同士の間だけでなく、その他の断熱材同士の間にも配置されている。
【0025】
[下枠6の構造]
下枠6は、窓枠2の下辺を構成し、面内方向に配置されている。下枠6は、図2~4に示すように、それぞれがアルミニウム合金製である、室外側に配置された室外側下枠14及び室内側に配置された室内側下枠15を、上下方向に互いに離隔した状態で配置された、合成樹脂製で帯状の1対の断熱材9b1、9b2により、面外方向に連結することにより構成されている。このために、室外側下枠14の室内側側面及び室内側下枠15の室外側側面にそれぞれ形成した係止凹溝12bにより、1対の断熱材9b1、9b2の幅方向(面外方向)両端部をかしめ固定している。また、室外側下枠14の平坦面状の上面には、外障子3の下辺を案内するための1対の下部案内レール16a、16bが、室外側下枠14の全長にわたり設けられている。下部案内レール16a、16bは、室外側下枠14の上面に対して垂直に立設されており、面外方向に離隔し、かつ、互いに平行に配置されている。これに対し、室内側下枠15には、このような上部案内レールは設けられていない。
【0026】
参考例では、室外側下枠14の上面のうちで、1対の下部案内レール16a、16bに隣接する部分に、複数本(図示の例では3本)の補助突条17を設けている。補助突条17は、下部案内レール16a、16bと互いに平行に配置されており、かつ、それぞれの上端縁の高さ位置が下部案内レール16a、16bの上端縁の高さ位置と同じになっている。また、室外側下枠14の上面の室外側端部には、室外側壁部18を設けている。室外側壁部18の上端縁の高さ位置も、下部案内レール16a、16bの上端縁の高さ位置と同じである。このように本参考例では、1対の下部案内レール16a、16b、複数本の補助突条17及び室外側壁部18の上端縁の高さ位置をいずれも同じとして、窓装置1の開口部を車椅子で通行する際などに、1対の下部案内レール16a、16b同士の間に車輪が深く入り込んだりすることを防止できるようにしている。
【0027】
また、下枠6の室内側半部の上面のうちで、内障子4によって覆われていない面内方向両側部分を、下枠カバー19により上方から覆っている。これにより、下枠6を構成する断熱材9b1が外部に露出しないようにしている。また、下枠カバー19の幅方向(面外方向)両端部は、室外側下枠14の上面の室内寄り部分に設けられた仕切り壁部20、及び、室内側下枠15の上面の室内側端部に設けられた室内側壁部21に対し、それぞれ支持している。下枠カバー19の上面は、建造物の床面と実質的に同じ高さ位置に存在しており、図示の例では下部案内レール16a、16bの上端縁の高さ位置よりも僅かに低いが、同じにすることもできる。仕切り壁部20の室内側側面には、気密片22が係止されており、気密片22の一部は、外障子3の下端部の室内側側面に接触する。
【0028】
[竪枠7の構造]
左右の竪枠7は、図5に示すように、それぞれがアルミニウム合金製である室外側に配置された室外側竪枠23及び室内側に配置された室内側竪枠24を、面内方向に離隔する状態で互いに平行に配置された、合成樹脂製で帯状の1対の断熱材9c1、9c2により、面外方向に連結することにより構成されている。このために、室外側竪枠23の室内側側面及び室内側竪枠24の室外側側面にそれぞれ形成した係止凹溝12cにより、1対の断熱材9c1、9c2の幅方向(面外方向)両端部をかしめ固定している。室内側竪枠24の室内側端部には、面内方向内側に向けて伸長する目隠し板25が設けられている。これにより、外障子3を閉鎖位置に移動させた状態で、外障子3を構成する外戸先框29が、目隠し板25によって室内側から隠されて外戸先框29の室内側面が露出しないようにして、外戸先框29を隠し框にしている。本参考例では、左右の竪枠7は、面内方向に関して対称形状になっている。
【0029】
[中間方立8の構造]
1対の中間方立8は、面内方向に互いに離隔した状態で、互いに平行に鉛直方向に配置されている。中間方立8は、上端部が上枠5の面内方向中間部に連結されており、下端部が下枠6の面内方向中間部に連結されている。このような中間方立8は、固定障子である内障子4の左右両側辺を構成する。
【0030】
参考例の窓装置1では、上述のような窓枠2の内側に、ガラス障子に相当する1対の外障子3を面内方向に関する移動可能に建て込むとともに、内障子4を面内方向に関する移動不能に固定する。次に、外障子3及び内障子4の構造について具体的に説明する。
【0031】
[外障子3の全体構造]
1対の外障子3はそれぞれ、上辺を構成する外上框26と、下辺を構成する外下框27と、それぞれが左右の縦辺を構成する縦框である外召し合わせ框28及び外戸先框29とにより、矩形板状のガラスパネル30の四辺を囲むことにより構成されている。また、外上框26、外下框27及び外戸先框29のそれぞれを、アルミニウム合金製の室外側フレーム(室外側框材)及び室内側フレーム(室内側框材)を、合成樹脂製の断熱材31a1(31a2)~31c1(31c2)によって面外方向に連結した断熱框としている。これに対し、外召し合わせ框28に関しては、断熱材を備えない非断熱框としている。
【0032】
ガラスパネル30は、複数枚(図示の例では2枚)のガラス板32a、32bを備えた複層のガラスパネルである。室外側のガラス板32aと室内側のガラス板32bとの間には、スペーサ33が配置されており、室外側のガラス板32aと室内側のガラス板32bとの間には、中間層(空気層)が設けられている。本参考例では、ガラスパネル30として、高さが2600mm~3000mm程度、重さが150kg~200kg程度の大型のガラスパネルを使用する例を示している。なお、ガラスパネルとしては、3枚以上のガラス板を備えた複層ガラスパネルを使用しても良いし、1枚のみガラス板を備えた単層ガラスパネルを使用しても良い。
【0033】
[外障子3を構成する外上框26の構造]
外上框26は、図2に示すように、それぞれがアルミニウム合金製である、室外側に配置された室外側外上框34及び室内側に配置された室内側外上框35を、上下方向に離隔する状態で互いに平行に配置された合成樹脂製で帯状の1対の断熱材31a1、31a2により、面外方向に連結することにより構成されている。このために、室外側外上框34の室内側側面及び室内側外上框35の室外側側面にそれぞれ形成した係止凹溝36aにより、1対の断熱材31a1、31a2の幅方向(面外方向)両端部をかしめ固定している。外上框26の下部には、ガラスパネル30の上辺が挿入されるガラス溝37aが設けられている。また、断熱材31a1、31a2は、ガラスパネル30の上方(面外方向に関してガラスパネル30と整合する部分)に配置されており、下方に配置された断熱材31a1は、ガラス溝37aの底部の一部(室内側半部)を構成している。また、外上框26の上面には、1対の上部案内レール13a、13bとそれぞれ係合可能な1対の上部案内溝38a、38bが、面外方向に離隔して設けられている。
【0034】
[外障子3を構成する外下框27の構造]
外下框27は、図2、3に示すように、それぞれがアルミニウム合金製である、室外側に配置された室外側外下框39及び室内側に配置された室内側外下框40を、上下方向に離隔する状態で互いに平行に配置された合成樹脂製で帯状の1対の断熱材31b1、31b2により、面外方向に連結することにより構成されている。このために、室外側外下框39の室内側側面及び室内側外下框40の室外側側面にそれぞれ形成した係止凹溝36bにより、1対の断熱材31b1、31b2の幅方向(面外方向)両端部をかしめ固定している。外下框27の上部には、ガラスパネル30の下辺が挿入されるガラス溝37bが設けられている。また、ガラス溝37bの底部を構成する仕切り部41を挟んで下方には、後述する室外側戸車44及び室内側戸車45を取り付けるための収納部42が設けられている。具体的には、室外側外下框39の下部に、室外側戸車44を取り付けるための室外側収納部42aを設けており、室内側外下框40の下部に、室内側戸車45を取り付けるための室内側収納部42bを設けている。1対の断熱材31b1、31b2は、面外方向に関して室外側収納部42aと室内側収納部42bとの間部分に設けられており、かつ、ガラスパネル30の下方(面外方向に関してガラスパネル30と整合する部分)に配置されている。また、上方に配置された断熱材31b1は、仕切り部41の一部(面外方向中間部)を構成している。
【0035】
ガラス溝37bの面内方向両側部分には、1対のセッティングブロック43が設けられている。具体的には、外障子3の面内方向両端部から例えば80mm~120mm程度離れた位置にセッティングブロック43の中心が配置される。セッティングブロック43は、エチレンプロピレンゴムやクロロプレンゴムなどのゴム製又は塩化ビニル製であり、断面矩形状で、面外方向に関する幅寸法が少なくともガラスパネル30の厚さ寸法と同じである。このようなセッティングブロック43は、仕切り部41の上面に載置されている。具体的には、セッティングブロック43の幅方向(面外方向)両端部を、室外側外下框39の上面及び室内側外下框40の上面にそれぞれ載置しており、セッティングブロック43の幅方向中間部を断熱材31b1の上面に載置している。このため、ガラスパネル30の重量は、2つのセッティングブロック43を介して、室外側外下框39及び室内側外下框40並びに断熱材31b1にそれぞれ加わる。
【0036】
参考例では、外障子3を下枠6に対して面内方向に移動可能に支持するために、外下框27の下部の面内方向両側部分にそれぞれ、1組の室外側戸車44及び室内側戸車45を互いに面外方向に離隔した状態で取り付けている。このため、外障子3は、合計4個の戸車(2個の室外側戸車44と2個の室内側戸車45)により、下枠6上に水平移動可能に支持されている。本参考例では、室外側戸車44と室内側戸車45とで互いに同じものを使用している。
【0037】
室外側戸車44は、矩形筐状の室外側ケース46と、室外側車輪47を備えている。室外側ケース46は、外ケース46aと、内ケース46bと、調整ねじ46cを備えており、このうちの外ケース46aは、室外側外下框39に形成された下方が開口した室外側収納部42aの内側に、例えば圧入やねじ止めなどの固定手段により固定されている。内ケース46bは、外ケース46aの内側に配置されており、調整ねじ46cによって外ケース46aに対する上下位置の調整が可能である。具体的には、調整ねじ46cは、外障子3を構成する外召し合わせ框28及び外戸先框29側からそれぞれドライバー等の工具を用いて操作する(建て付け調整を行う)ことができる。室外側車輪47は、このような内ケース46bに対して水平方向(面外方向)に配置された中心軸回りに回転自在に支持されている。また、室外側車輪47は、外周面に形成された周方向凹溝を下部案内レール16aの上端縁に係合させており、下部案内レール16a上を走行可能である。
【0038】
室内側戸車45は、室内側ケース48と、室内側車輪49を備えている。室内側ケース48は、外ケース48aと、内ケース48bと、調整ねじ48cを備えており、このうちの外ケース48aは、室内側外下框40に形成された下方が開口した室内側収納部42bの内側に、例えば圧入やねじ止めなどの固定手段により固定されている。内ケース48bは、外ケース48aの内側に配置されており、調整ねじ48cによって外ケース48aに対する上下位置の調整が可能である。具体的には、調整ねじ48cは、外障子3を構成する外召し合わせ框28及び外戸先框29側からそれぞれドライバー等の工具を用いて操作することができる。室内側車輪49は、このような内ケース48bに対して水平方向に配置された中心軸回りに回転自在に支持されている。また、室内側車輪49は、外周面に形成された周方向凹溝を下部案内レール16bの上端縁に係合させており、下部案内レール16b上を走行可能である。
【0039】
参考例では、室外側戸車44を室外側収納部42aの内側に取り付けた状態で、室外側車輪47全体を、面外方向に関してガラスパネル30から室外側に外れた位置に配置している。かつ、室内側戸車45を室内側収納部42bの内側に取り付けた状態で、室内側車輪49全体を、面外方向に関してガラスパネル30から室内側に外れた位置に配置している。具体的には、室外側車輪47を、室外側のガラス板32aの室外側面Loよりも室外側に配置しており、室内側車輪49を、室内側のガラス板32bの室内側面Liよりも室内側に配置している。このため、室外側車輪47及び室内側車輪49の両方が、ガラスパネル30の下方には配置されておらず(ガラスパネル30とは上下方向に重畳せず)、ガラスパネル30から面外方向に外れた位置に設けられている。図示の例では、室外側車輪47及び室内側車輪49は、ガラスパネル30の幅方向両側に配置された後述するバックアップ材53及びシーリング材54の下方に設けられている。なお、ガラスパネル30の中心線(面外方向中央部)から室外側車輪47の中心線(面外方向中央部)までの距離は、ガラスパネル30の中心線から室内側車輪49の中心線(面外方向中央部)までの距離よりも短くなっている。
【0040】
室外側車輪47の直径と室内側車輪49の直径は互いに同じである。また、室外側車輪47の直径及び室内側車輪49の直径は、ガラスパネル30の重量を合計2個(外下框27の面内方向両側部分に1個ずつ)の戸車で支承すると仮定した場合の車輪の直径に比べて十分に小さい。
【0041】
また、外下框27の面内方向両側に配置された2組の室外側戸車44及び室内側戸車45は、面内方向に関してそれぞれセッティングブロック43と重なる(整合する)位置に、室外側車輪47及び室内側車輪49を設けている。また、面内方向内側及び面内方向外側にそれぞれ配置された室外側車輪47及び室内側車輪49のそれぞれの回転中心軸は、面内方向及び上下方向に関して互いに同じ位置に存在している。つまり、室外側車輪47の回転中心軸と室内側車輪49の回転中心軸は、面外方向に水平に配置された同一の仮想直線上に存在している。
【0042】
[外障子3を構成する外召し合わせ框28の構造]
外召し合わせ框28は、図5に示すように、全体がアルミニウム合金製で、外障子3を構成するその他の框枠材26、27、29とは異なり、断熱材を備えない非断熱框である。外召し合わせ框28の室外側部分の面内方向外側部には、ガラスパネル30の側辺を挿入するためのガラス溝37cが設けられている。
【0043】
[外障子3を構成する外戸先框29の構造]
外戸先框29は、図5に示すように、それぞれがアルミニウム合金製である、室外側に配置された室外側外戸先框50及び室内側に配置された室内側外戸先框51を、面内方向に離隔する状態で互いに平行に配置された、合成樹脂製で帯状の1対の断熱材31c1、31c2により、面外方向に連結することにより構成されている。このために、室外側外戸先框50の室内側側面及び室内側外戸先框51の室外側側面にそれぞれ形成した係止凹溝36cにより、1対の断熱材31c1、31c2の幅方向(面外方向)両端部をかしめ固定している。外戸先框29の室外側部分の面内方向内側部には、ガラスパネル30の側辺が挿入されるガラス溝37dが設けられている。また、断熱材31c1、31c2は、ガラスパネル30の側方(面外方向に関してガラスパネル30と整合する部分)に配置されており、面内方向内側に配置された断熱材31c1は、ガラス溝37dの底部の一部を構成している。室内側外戸先框51には、面内方向に関して内障子4と対向する位置まで室内側に張り出した張出部52が設けられている。張出部52は、外障子3の閉鎖状態で、竪枠7の室内側部分の面内方向内側面に対向配置され、その室内側面が竪枠7の室内側端部に設けられた目隠し板25によって室内側から覆われた状態になる。
【0044】
外障子3を構成する各框26~29に設けられたガラス溝37a~37dの開口部と、ガラスパネル30の各辺との間には、バックアップ材53及びシーリング材54を設けている。これにより、ガラスパネル30の各辺をガラス溝37a~37dの内側に支持している。
【0045】
図示の例では、外障子3の閉鎖時に、外戸先框29が竪枠7と勢い良く衝突することを防止するため、外障子3に制動装置55を設けている。制動装置55は、室外側上枠10の下面に面内方向に沿って支持されたラック56と、室内側外上框35の室内側面に支持された制動装置本体57とから構成されている。制動装置本体57は、ラック56と噛合自在なピニオン58と、ピニオン58が外障子3の閉鎖方向への移動に伴い回転した場合にのみ、ピニオン58の回転抵抗を大きくする抵抗付与手段とを備えている。
【0046】
また、外戸先框29と竪枠7との間には、ロール式網戸装置59を設けている。ロール式網戸装置59は、外障子3の開閉動作にあわせて、巻き取り軸60からネットを引き出したり、巻き取り軸60にネットを巻き取ったりする。また、ネットの上端部は、室外側上枠10に設けられた網戸用シール材(虫除け材)61と接触する。
【0047】
[内障子4の構造]
内障子4は、複数枚(図示の例では3枚)のガラスパネル64を備えた連窓構造であり、上辺を構成する内上框65と、下辺を構成する内下框66と、それぞれが左右の縦辺を構成する1対の中間方立8と、1対の中間方立8同士の間に鉛直方向に配置された1対の連窓方立67とにより、矩形板状のガラスパネル64の四辺をそれぞれ囲むことにより構成されている。
【0048】
内上框65及び内下框66は、図4に示すように、アルミニウム合金製の室外側フレーム(室外側框材)及び室内側フレーム(室内側框材)を、合成樹脂製の断熱材68a1、68a2、68b1、68b2によって面外方向に連結した断熱框としている。また、内上框65は、室内側上枠11に対して固定ねじ69を用いて固定されている。内下框66についても、室内側下枠15に対して固定ねじ(図示省略)を用いて固定されている。一方、中間方立8及び連窓方立67は、断熱材を備えない非断熱構造であり、それぞれの上端部及び下端部が上枠5(室内側上枠11)及び下枠6(室内側下枠15)に対して固定されている。
【0049】
ガラスパネル64は、外障子3を構成するガラスパネル30と同様に、複数枚(図示の例では2枚)のガラス板70a、70bを備えた複層のガラスパネルである。室外側のガラス板70aと室内側のガラス板70bとの間には、スペーサ71が配置されており、室外側のガラス板70aと室内側のガラス板70bとの間には、中間層(空気層)が設けられている。
【0050】
ガラスパネル64の上辺は、内上框65に設けられたガラス溝72aの内側に挿入されており、ガラスパネル64の下辺は、内下框66に設けられたガラス溝72bの内側に挿入されている。また、ガラスパネル64の側辺は、中間方立8の面内方向内側部に設けられたガラス溝72cの内側、及び、連窓方立67の面内方向両側部に設けられたガラス溝72dの内側にそれぞれ挿入されている。また、ガラス溝72a~72dの開口部と、ガラスパネル64の各辺との間には、バックアップ材53及びシーリング材54を設けている。これにより、ガラスパネル64の各辺をガラス溝72a~72dの内側に支持している。また、内下框66に設けられたガラス溝72bの面内方向両外側部分には、1対のセッティングブロック43を設けている。
【0051】
以上のような構成を有する窓装置1によれば、外障子3に関して、大型や複層のガラスパネル30を使用した場合にも、外下框27の上下寸法(見付け寸法)を小さく抑えることができる。
すなわち本参考例では、外障子3を下枠6に対して水平移動可能に支持するために、これまで合計2個の戸車を使用していたところ、合計4個の戸車(2個の室外側戸車44と2個の室内側戸車45)を使用している。このため、室外側戸車44を構成する室外側車輪47及び室内側戸車45を構成する室内側車輪49のそれぞれの直径を、ガラスパネル30の重量を合計2個の戸車を使用すると仮定した場合の車輪の直径に比べて十分に小さくできる。したがって、外下框27の上下寸法を小さく抑えることができる。この結果、ガラスパネル30の高さ寸法を確保しやすくなり、眺望の確保に寄与することができる。また、アルミニウム合金製である外下框27の露出面積を抑えることもできるため、断熱性能を確保する面からも有利になる。
【0052】
また、室外側車輪47及び室内側車輪49を、面内方向に関してセッティングブロック43と重なる部分に設けているため、室外側車輪47及び室内側車輪49は、ガラスパネル30の重量をセッティングブロック43を介して効率良く受けることができる。したがって、室外側車輪47及び室内側車輪49と下部案内レール16a、16bとの係合を安定させることができ、いずれかの車輪(室外側戸車47又は室内側車輪49)が、下部案内レール16a、16bから浮き上がることなどを防止できる。
【0053】
[実施の形態の第例]
実施の形態の第例について、図8を用いて説明する。本例では、外障子3aを構成するガラスパネル30aの上下寸法を大きく確保するために、参考例の第1例の構造に対して、外下框27aの構造を変更するとともに、室外側戸車44a及び室内側戸車45aの構造を変更している。
【0054】
本例の場合にも、外下框27aを、室外側に配置された室外側外下框39aと室内側に配置された室内側外下框40aとを、1対の断熱材31b1、31b2により、面外方向に連結した構成を採用しているが、参考例の第1例に比べて、室外側外下框39aの上下寸法(見付け寸法)を小さくするとともに、室内側外下框40aを室内側に大きくずらして配置している。図示の例では、室内側外下框40a全体を、ガラスパネル30aから室内側に外れた位置に設けている。このため、ガラス溝37bの底部である仕切り部41aは、室外側外下框39aの上面及び断熱材31b1によって構成されている。そして、このような仕切り部41aの上面に、セッティングブロック43を載置している。また、室内側外下框40aの上部側に設けられた中空部の室外側側面は、ガラス溝37bの側部として機能する。
【0055】
本例では、長期間にわたる使用によって、断熱材31b1に変形などが生じることを防止するため、断熱材31b1の下方で、かつ、面外方向に関して室外側外下框39aと室内側外下框40aとの間部分に、補強部材74を設けている。補強部材74は、中空状に構成されており、セッティングブロック43の下方に1つずつ設けられている。また、補強部材74には、上端面に平坦面状の支承面75が設けられているとともに、室内側側面に上下方向両側に突出した係合突条76が設けられている。そして、支承面75を断熱材31b1の下面に対して当接させた(断熱材31b1を支承面75に載置した)状態で、係合突条76を、室内側外下框40aの室外側側面に開口したあり溝状の係合溝77に係合(スライド嵌合)させて、補強部材74を室内側外下框40aに支持している。なお、補強部材は、室外側外下框に対して支持することも可能である。
【0056】
室外側外下框39aの下部には、下方が開口した室外側収納部42aを設けている。本例では、室外側収納部42aを、仕切り部41aの直ぐ下方には設けておらず、仕切り部41aと室外側収納部42aとの間に中空部78を設けている。そして、このような室外側収納部42aの内側に、室外側戸車44aを取り付けている。
【0057】
また、室内側外下框40aの上部側の中空部の下側に、下方が開口した室内側収納部42bを設けている。本例では、室内側収納部42bの上端部が、ガラスパネル30aの下端部と面外方向に関して重畳している。そして、このような室内側収納部42bの内側に、室内側戸車45aを取り付けている。
【0058】
本例では、室外側戸車44aを室外側収納部42aの内側に取り付けた状態で、室外側戸車44aを構成する室外側車輪47aの一部である室内側部を、ガラスパネル30aの下方に配置している。かつ、室内側戸車45aを室内側収納部42bの内側に取り付けた状態で、室内側戸車45aを構成する室内側車輪49a全体を、面外方向に関してガラスパネル30aから室内側に大きく外れた位置に配置している。具体的には、室外側車輪47aを、室外側のガラス板32aの下方に配置しており、室内側車輪49aを、室内側のガラス板32bよりも室内側に配置している。
【0059】
さらに、ガラスパネル30aから室内側に外れた位置に配置された室内側車輪49aの直径を、ガラスパネル30aの下方に配置された室外側車輪47aの直径よりも、十分に(図示の例では2倍以上)大きくしている。このため、ガラスパネル30aの重量の大部分は耐荷重の大きい室内側車輪49aが支承し、室外側車輪47aはガラスパネル30aの重量の残部を支承する。また、室外側車輪47aは、室内側車輪49aがガラスパネル30aの重量を支承することにより室外側に向かって生じるモーメント(図8において反時計回りのモーメント)を支承する。また、室内側車輪49aの上端部は、ガラスパネル30aの下端部と面外方向に関して重畳している。
【0060】
また、室外側車輪47aの回転中心軸は、室内側車輪49aの回転中心軸よりも下方に位置している。本例では、室内側車輪49aの回転中心軸は、室外側車輪47aの上端部よりも上方に位置している。
【0061】
以上のような構成を有する本例では、外障子3aを下枠6に対して、合計4個の戸車(2個の室外側戸車44aと2個の室内側戸車45a)を使用して支承するだけでなく、室内側車輪49aを、ガラスパネル30aから室内側に大きくずらして配置するとともに、室内側車輪49aの直径を大きくすることで、ガラスパネル30aの下方に配置する室外側車輪47aの直径を小さく抑えることができる。このため、外下框27aの上下寸法を十分に小さく抑えることができる。したがって、実施の形態の第1例に比べて、ガラスパネル30aの高さ寸法を確保しやすくできるとともに、外下框27aの露出面積を抑えることもできる。
【0062】
また、セッティングブロック43から断熱材31b1に加わる力を、補強部材74を介して、直径の大きい室内側車輪49aに支承させることができる。このため、断熱材31b1に変形などが生じることを防止できるとともに、耐荷重の面などから有利になる。
その他の構成及び作用効果については、参考例の第1例と同じである。
【0063】
[実施の形態の第例]
実施の形態の第例について、図9を用いて説明する。本例では、外障子3bを構成するガラスパネル30bの上下寸法を大きく確保するために、参考例の第1例の構造に対して、外下框27bの構造を変更するとともに、室外側戸車44b及び室内側戸車45bの構造を変更している。
【0064】
本例の場合にも、外下框27bを、室外側に配置された室外側外下框39bと室内側に配置された室内側外下框40bとを、1対の断熱材31b1、31b2により、面外方向に連結した構成を採用しているが、参考例の第1例に比べて、室外側外下框39bを室外側にずらして配置するとともに、室内側外下框40bを室内側にずらして配置している。図示の例では、室外側外下框39b全体を、ガラスパネル30bから室外側に外れた位置に設けており、かつ、室内側外下框40b全体を、ガラスパネル30bから室内側に外れた位置に設けている。このため、ガラス溝37bの底部である仕切り部41bは、断熱材31b1のみによって構成されている。そして、このような仕切り部41bの上面に、セッティングブロック43を載置している。また、室外側外下框39bの上部側に設けられた中空部の室内側側面及び室内側外下框40bの上部側に設けられた中空部の室外側側面はそれぞれ、ガラス溝37bの側部として機能する。
【0065】
室外側外下框39bの上部側の中空部の下側に、下方が開口した室外側収納部42aを設けている。室外側収納部42aの上端部は、ガラスパネル30bの下端部と面外方向に関して重畳している。そして、このような室外側収納部42aの内側に、室外側戸車44bを取り付けている。また、室内側外下框40bの上部側の中空部の下側に、下方が開口した室内側収納部42bを設けている。室内側収納部42bの上端部は、ガラスパネル30bの下端部と面外方向に関して重畳している。そして、このような室内側収納部42bの内側に、室内側戸車45bを取り付けている。
【0066】
本例では、室外側戸車44bを室外側収納部42aの内側に取り付けた状態で、室外側戸車44bを構成する室外側車輪47b全体を、面外方向に関してガラスパネル30bから室外側に大きく外れた位置に配置している。かつ、室内側戸車45bを室内側収納部42bの内側に取り付けた状態で、室内側戸車45bを構成する室内側車輪49b全体を、面外方向に関してガラスパネル30bから室内側に大きく外れた位置に配置している。
【0067】
また、室外側車輪47bの直径と室内側車輪49bの直径とを互いに同じとしており、室外側車輪47bの回転中心軸と室内側車輪49bの回転中心軸とを、同一仮想直線上に配置している。
【0068】
以上のような構成を有する本例では、外障子3bを下枠6に対して、合計4個の戸車(2個の室外側戸車44bと2個の室内側戸車45b)を使用して支承するだけでなく、室外側戸車44b及び室内側戸車45bを、ガラスパネル30bの下方に設けずに、ガラスパネル30bから面外方向両側に外れた位置に配置しているため、ガラスパネル30bを下方に延長できる。したがって、ガラスパネル30bの高さ寸法を大きくでき、外下框27bの上下寸法を十分に小さく抑えることができる。なお、補強部材74についても、実施の形態の第2例で使用したものよりも、上下寸法を小さくできる。
その他の構成及び作用効果については、参考例の第1例と同じである。
【0069】
参考例の第例]
本発明に関する参考例の第例について、図10を用いて説明する。本参考例では、室内側戸車45cとして、室内側ケース48と、2個の室内側車輪49を備えたものを使用している。2個の室内側車輪49は、室内側ケース48を構成する内ケース48bに対して、面内方向に離隔した状態で、水平方向に配置された中心軸回りにそれぞれ回転自在に支持されている。
【0070】
以上のような構成を有する本参考例では、室内側車輪49を1個のみ設ける場合に比べて、室内側車輪49の直径を小さくすることができる。このため、室内側戸車45cをガラスパネル30の下方に配置する場合にも、外下框27の上下寸法を抑えることができる。
なお、2個の車輪を備えた戸車は、室内側戸車に限らず、室外側戸車で実施することもできる。また、参考例の第1例の室内側戸車及び室外側戸車の両方に適用する(車輪の直径は変更しない)ことで、例えば重量が200kgになるなどガラスの重量が増大した場合でも、外下框27の上下寸法を大きくすることなく、耐荷重を確保することができる。その他の構成及び作用効果については、参考例の第1例と同じである。
【0071】
本発明は、外動片引き式の窓装置に限らず、内動片引き式の窓装置、引き違い式の窓装置、両引き式の窓装置など、窓枠に対して水平移動可能に支持されるガラス障子を備えた窓装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 窓装置
2 窓枠
3、3a、3b 外障子
4 内障子
5 上枠
6 下枠
7 竪枠
8 中間方立
9a1(9a2)~9c1(9c2) 断熱材
10 室外側上枠
11 室内側上枠
12a~12c 係止凹溝
13a、13b 上部案内レール
14 室外側下枠
15 室内側下枠
16a、16b 下部案内レール
17 補助突条
18 室外側壁部
19 下枠カバー
20 仕切り壁部
21 室内側壁部
22 気密片
23 室外側竪枠
24 室内側竪枠
25 目隠し板
26 外上框
27、27a、27b 外下框
28 外召し合わせ框
29 外戸先框
30、30a、30b ガラスパネル
31a1(31a2)~31c1(31c2) 断熱材
32a、32b ガラス板
33 スペーサ
34 室外側外上框
35 室内側外上框
36a~36d 係止凹溝
37a~37d ガラス溝
38a、38b 上部案内溝
39、39a、39b 室外側外下框
40、40a、40b 室内側外下框
41、41a、41b 仕切り部
42 収納部
42a 室外側収納部
42b 室内側収納部
43 セッティングブロック
44、44a、44b 室外側戸車
45、45a、45b、45c 室内側戸車
46 室外側ケース
46a 外ケース
46b 内ケース
46c 調整ねじ
47、47a、47b 室外側車輪
48 室内側ケース
48a 外ケース
48b 内ケース
48c 調整ねじ
49、49a、49b 室内側車輪
50 室外側外戸先框
51 室内側外戸先框
52 張出部
53 バックアップ材
54 シーリング材
55 制動装置
56 ラック
57 制動装置本体
58 ピニオン
59 ロール式網戸装置
60 巻き取り軸
61 網戸用シール材
62 断熱用シール材
63 発泡ポリエチレン
64 ガラスパネル
65 内上框
66 内下框
67 連窓方立
68a1(68a2)~68b1(68b2) 断熱材
69 固定ねじ
70a、70b ガラス板
71 スペーサ
72a~72d ガラス溝
74 補強部材
75 支承面
76 係合突条
77 係合溝
78 中空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10