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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】発光ユニットおよび照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/69 20160101AFI20220715BHJP
   F21K 9/23 20160101ALI20220715BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20220715BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220715BHJP
   F21K 9/68 20160101ALI20220715BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20220715BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20220715BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220715BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220715BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220715BHJP
【FI】
F21K9/69
F21K9/23
F21V3/02 200
F21V5/00 600
F21V5/00 300
F21K9/68
F21S8/02 400
F21S8/04
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018092286
(22)【出願日】2018-05-11
(65)【公開番号】P2019197704
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】新井 克弘
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雅明
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-054429(JP,A)
【文献】特開2014-011029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/69
F21K 9/23
F21V 3/02
F21V 5/00
F21K 9/68
F21S 8/02
F21S 8/04
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光が照射される樹脂部材と、
前記光源から出射された光による前記樹脂部材の分解を抑制する分解抑制部と
を備え
前記樹脂部材には、前記光源が配置される凹部が設けられ、
前記分解抑制部は、前記樹脂部材のうち前記凹部に配置された前記光源から出射された光が照射される範囲の少なくとも一部を覆う、 発光ユニット。
【請求項2】
前記分解抑制部は、前記樹脂部材のうちの前記光が照射される位置で前記樹脂部材と重なる、請求項1に記載の発光ユニット。
【請求項3】
前記分解抑制部は、酸化防止剤を含む、請求項1または2に記載の発光ユニット。
【請求項4】
前記分解抑制部は、前記光源から出射された光を透過する、請求項1から3のいずれかに記載の発光ユニット。
【請求項5】
前記樹脂部材は、前記光源の光を透過する、請求項1から4のいずれかに記載の発光ユニット。
【請求項6】
前記樹脂部材は、前記光源の光を反射する、請求項1から4のいずれかに記載の発光ユニット。
【請求項7】
前記光源は、発光ダイオードを含む、請求項1から6のいずれかに記載の発光ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の発光ユニットと、
前記発光ユニットに電力を供給する電源ユニットと
を備える、照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ユニットおよび照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具の一種として、透光性の樹脂材料から形成された光源カバーでLEDを覆う照明器具が知られている(特許文献1)。特許文献1の照明器具では、光源カバーの端面をLEDの光出射方向に対して傾けることにより、LEDの光を効率的に取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-60737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の照明器具では、長期間使用する場合、光源カバーおよびLEDが変色してしまい、照明器具の光学特性が変動することがある。本願発明者は、鋭意研究の結果、光源カバーが光で長期間照射されると、光源カバーの樹脂が劣化して発生するガスが変色の原因になることを見出した。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学特性の変動を抑制する発光ユニットおよび照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による発光ユニットは、光源と、樹脂部材と、分解抑制部とを備える。前記樹脂部材には、前記光源から出射された光が照射される。前記分解抑制部は、前記光源から出射された光による前記樹脂部材の分解を抑制する。前記樹脂部材には、前記光源が配置される凹部が設けられる。前記分解抑制部は、前記樹脂部材のうち前記凹部に配置された前記光源から出射された光が照射される範囲の少なくとも一部を覆う。
【0007】
ある実施形態において、前記分解抑制部は、前記樹脂部材のうちの前記光が照射される位置で前記樹脂部材と重なる。
【0008】
ある実施形態において、前記分解抑制部は、酸化防止剤を含む。
【0009】
ある実施形態において、前記分解抑制部は、前記光源から出射された光を透過する。
【0010】
ある実施形態において、前記樹脂部材は、前記光源の光を透過する。
【0011】
ある実施形態において、前記樹脂部材は、前記光源の光を反射する。
【0012】
ある実施形態において、前記光源は、発光ダイオードを含む。
【0013】
本発明による照明器具は、上記のいずれかに記載の発光ユニットと、前記発光ユニットに電力を供給する電源ユニットとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光学特性の変動を抑制可能な発光ユニットおよび照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の発光ユニットを備える照明器具の模式図である。
図2】(a)および(b)は本実施形態の発光ユニットの模式図である。
図3】本実施形態の発光ユニットにおける光源の発光スペクトルを示すグラフである。
図4】(a)~(c)は本実施形態の発光ユニットの模式図である。
図5】(a)は本実施形態の発光ユニットの斜視図であり、(b)は図5(a)の5B-5B線に沿った断面図である。
図6】本実施形態の発光ユニット内の光の進行経路を示す模式図である。
図7】本実施形態の発光ユニットを備える発光装置を示す断面図である。
図8】本実施形態の照明器具の斜視図である。
図9図8のX方向に沿った縦断面図である。
図10図8のY方向に沿った縦断面図である。
図11】本実施形態の発光ユニットおよび取付ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明による発光ユニットおよび照明器具の実施形態を説明する。図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を参照して説明することがある。例えば、X方向およびY方向は水平方向に平行であり、Z方向は鉛直方向に平行である。ただし、X方向およびY方向は水平方向以外の方向に平行であってもよく、Z方向は鉛直方向以外の方向に平行であってもよい。
【0017】
図1および図2(a)を参照して、本実施形態の発光ユニット100および照明器具200を説明する。図1は、発光ユニット100を備える照明器具200の模式図であり、図2(a)は、発光ユニット100の模式図である。ここでは、照明器具200は天井Cから吊り下げられる。
【0018】
照明器具200は、発光ユニット100と、電源ユニット210と、取付ユニット260とを備える。発光ユニット100は、電源ユニット210から供給される電力によって発光する。ここでは、発光ユニット100および電源ユニット210は一体化して設けられる。発光ユニット100および電源ユニット210は電球形状である。例えば、光源110がLEDを含む場合、一体化した発光ユニット100および電源ユニット210はLED電球とも呼ばれる。この場合、発光ユニット100は、LED電球の一部を構成する。電源ユニット210は、取付ユニット260に取り付けられる。
【0019】
発光ユニット100は、光源110と、樹脂部材120と、分解抑制部130とを備える。光源110は、光を出射する。光源110は、光とともに熱を発してもよい。樹脂部材120には、光源110から出射された光が照射される。分解抑制部130は、光源110から出射された光による樹脂部材120の分解を抑制する。
【0020】
光源110は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を含む。光源110のLEDは1つであってもよく、複数であってもよい。あるいは、光源110は、有機EL(Electro-Luminescence)素子またはレーザーダイオードを含んでもよい。
【0021】
光源110は、LEDチップを基板上に載置して蛍光体で封止したCOB(Chip on Board)構造であってもよい。あるいは、光源110は、LEDチップと蛍光体とを一体化したユニットを基板の実装面に載置して基板の導電体に電気的に接続したSMD(Surface Mount Device)構造であってもよい。
【0022】
光源110は、Z方向に向いている。光源110から出射された光は、光軸LAに向かって進行する。光源110の光軸LAはZ方向に平行である。
【0023】
樹脂部材120は、樹脂から形成される。例えば、樹脂部材120は、熱可塑性樹脂を含む。一例として、樹脂部材120は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、および、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)樹脂のいずれかを含む。
【0024】
樹脂部材120は、光源110から出射された光が照射される範囲に配置される。樹脂部材120は、光源110と対向する対向面120sを有する。光源110から出射された光は、樹脂部材120の対向面120sに照射される。
【0025】
ここでは、光源110から出射された光は、樹脂部材120に入射し、樹脂部材120を通過する。樹脂部材120は、透明または透光性であることが好ましい。樹脂部材120は、導光体として機能する。さらに、樹脂部材120は、通過する光の方向を制御するレンズ機能を有してもよい。また、樹脂部材120は、光源110からの光が直接的に照射される範囲に配置される。
【0026】
樹脂部材120は、光源110に埃などの異物が付着することを防止するモジュールカバーであってもよい。例えば、光源110がLEDを含む場合、樹脂部材120は、LEDモジュールカバーとして機能する。また、樹脂部材120は、通過する光を拡散する光拡散機能を有してもよい。
【0027】
樹脂部材120は、例えば窪んだ開口穴が上部に設けられた円柱形状であり、光源110は、樹脂部材120の開口内に配置される。樹脂部材120の対向面120sは、開口穴の側面および底面を含む。
【0028】
分解抑制部130は、光源110からの光によって樹脂部材120が分解されることを抑制する。分解抑制部130は、光源110と樹脂部材120との間に位置する。分解抑制部130は、樹脂部材120の対向面120sに接触し、樹脂部材120と重なる。このため、分解抑制部130の一部は樹脂部材120と接触し、分解抑制部130の他の一部は空気に触れる。ここでは、分解抑制部130の下面は樹脂部材120と接触し、分解抑制部130の上面は空気に触れる。
【0029】
光源110からの光は、分解抑制部130を通過する。この場合、分解抑制部130は、透明または透光性であることが好ましい。例えば、分解抑制部130は、樹脂から形成される。ただし、分解抑制部130の樹脂の耐候性は、樹脂部材120の樹脂の耐候性よりも高いことが好ましい。なお、分解抑制部130の樹脂の種類は、樹脂部材120の樹脂の種類と同じであってもよく、異なってもよい。例えば、分解抑制部130は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、および、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)樹脂のいずれかを含んでもよい。
【0030】
ここでは、分解抑制部130は、樹脂部材120の対向面120sの全面と重なる。このため、樹脂部材120の対向面120sの全面は、分解抑制部130で覆われており、空気に触れない。
【0031】
光源110は、樹脂部材120および分解抑制部130によって囲まれた空間内に配置される。光源110と分解抑制部130とは離れており、光源110と分解抑制部130との間には空気が存在する。一方で、分解抑制部130は、樹脂部材120と接触し、樹脂部材120の対向面120sを覆う。
【0032】
発光ユニット100において、光源110から出射された光は、分解抑制部130に入射し、分解抑制部130を通過した後、樹脂部材120に入射する。その後、光は、樹脂部材120を通過し、樹脂部材120から発光ユニット100の外部に進出する。なお、光が分解抑制部130を通過して樹脂部材120に進入する際に、光は、樹脂部材120の屈折率と分解抑制部130の屈折率との違いによって屈折してもよい。
【0033】
本実施形態の発光ユニット100では、樹脂部材120の対向面120sに分解抑制部130が配置されるため、樹脂部材120の対向面120sは直接空気に触れない。したがって、光源110からの光によって樹脂部材120が劣化しても、樹脂部材120内への酸素の侵入が抑制されるため、樹脂部材120内の樹脂は酸化しにくい。このため、樹脂部材120内の樹脂が酸素と反応して揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound:VOC)がガスとして発生することを抑制できる。
【0034】
発光ユニットにおいてVOCガスが発生すると、発光ユニット内の光源および樹脂部材が変色することがある。例えば、発光ユニット内の樹脂部材がVOCガスを吸収すると、樹脂部材が変色し、樹脂部材を通過する光の波長が変化したり光強度が弱くなることがある。一例としては、当初透明または乳白色だった樹脂が、VOCガスを吸収すると、薄黄色に変色してしまい、樹脂部材を通過する光の波長または強度が変化する。あるいは、光源に含まれるLEDパッケージが蛍光体を有する場合、蛍光体は、VOCガスを吸収すると変色して、蛍光体の発光波長がVOCガス吸収前に比べて変化する。
【0035】
本実施形態の発光ユニット100では、VOCガスの発生を抑制するとともに、VOCガスに起因する光源110および樹脂部材120の変色を抑制でき、発光ユニット100の光学特性の変動を抑制できる。さらに、本実施形態の発光ユニット100では、樹脂部材120の対向面120sに分解抑制部130が配置されるため、光源110からの光が多く照射されても樹脂部材120の劣化を低減できる。
【0036】
なお、分解抑制部130は、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤は周囲の酸素を吸収する。分解抑制部130が酸化防止剤を含有することにより、酸素と樹脂部材120内の樹脂との反応が抑制され、樹脂部材120の酸化によってVOCガスが発生することを抑制できる。分解抑制部130は、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0037】
上述したように、分解抑制部130は、樹脂から形成されてもよい。この場合、分解抑制部130は、樹脂部材120の樹脂よりも耐候性の高い樹脂を含有することが好ましい。例えば、分解抑制部130は、アクリル樹脂を含むことが好ましい。アクリル樹脂は、青色成分(波長380nm以上470nm以下)の光を吸収するため、樹脂部材120の樹脂の劣化を抑制できる。一方、アクリル樹脂は、青色以外の成分の光(例えば波長470nm以上750nmの可視光)を透過するため、光源110からの光を充分に透過できる。
【0038】
図3は、発光ユニット100における光源110の発光スペクトルを示すグラフである。ここでは、光源110は青色LEDおよび蛍光体を含む。図3に示すように、青色LEDは、ピーク465nmの青色成分(波長380nm以上470nm以下)の光を出射し、蛍光体は、青色LEDからの青色成分の光を吸収してピーク560nmの緑色・赤色成分の光を出射する。このため、光源110からは白色光が出射されるように見える一方で、青色LEDから出射された波長450~470nmの青色成分の光は比較的高いエネルギーを有する。
【0039】
図3に示すように青色成分が含まれる光を樹脂に照射すると、照射時間の経過とともに樹脂が変色することが知られている(例えば特開2006-100472号公報)。本実施形態では、分解抑制部130がアクリル樹脂を含むことで、分解抑制部130が青色成分の光を吸収するため、樹脂部材120には青色成分が低下した光が到達する。よって、樹脂部材120の変色を抑制できる。
【0040】
特に、樹脂部材120がポリカーボネート樹脂から形成される場合、分解抑制部130はアクリル樹脂から形成されることが好ましい。アクリル樹脂の透過率はポリカーボネート樹脂の透過率よりも高く、アクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂の両方に同じ強度の光を照射すると、ポリカーボネート樹脂は、アクリル樹脂よりも著しく劣化する。このため、分解抑制部130としてのアクリル樹脂が、樹脂部材120としてのポリカーボネート樹脂と重なることにより、アクリル樹脂が青色成分の光を吸収しポリカーボネート樹脂に青色成分の光があまり到達しないため、ポリカーボネート樹脂の分解を抑制できる。
【0041】
ポリカーボネート樹脂は、高い耐熱温度を示す一方で、耐候性はそれほど高くない。また、一般に、LEDは、理論値40%もの高い発光効率を示すものの、LEDに供給される電気エネルギーの多くは熱エネルギーに変換される。このため、樹脂部材120の樹脂の耐熱温度が高いと、樹脂部材120が光源110からの熱による影響を受けにくいため、光源110と樹脂部材120との距離を近くでき、照明器具200を小型化できる。耐熱温度の観点から、樹脂部材120としてポリカーボネート樹脂は好適に用いられる。本実施形態の発光ユニット100では、分解抑制部130が樹脂部材120の分解を抑制するため、樹脂部材120として、耐候性の高くないポリカーボネート樹脂も好適に用いられる。
【0042】
図1に示すように、発光ユニット100は、カバー140をさらに備えることが好ましい。カバー140は、中空穴の設けられた半球形状である。光源110、樹脂部材120および分解抑制部130は、カバー140の中空穴内に配置される。カバー140は、樹脂部材120の外周を囲む。
【0043】
カバー140は、透明または透光性を有する。カバー140は、樹脂から形成されてもよい。あるいは、カバー140は、ガラスから形成されてもよい。
【0044】
電源ユニット210は、筐体212と、点灯回路214とを備える。筐体212は中空形状であり、点灯回路214は筐体212の中空内に収納される。点灯回路214は、光源110と電気的に接続し、光源110を点灯させる。
【0045】
筐体212には発光ユニット100が装着される。発光ユニット100の光源110および樹脂部材120は、筐体212の表面に取り付けられる。また、発光ユニット100のカバー140は、筐体212の表面に取り付けられる。
【0046】
電源ユニット210は、取付ユニット260に取り付けられる。取付ユニット260は、天井Cに固定される。
【0047】
取付ユニット260は、基体部261と、コード262と、ソケット263と、セード264とを含む。基体部261は、天井Cに固定される。コード262は、基体部261から下方に吊り下げられる。
【0048】
基体部261にはコード262の一部が収納される。基体部261からコード262を引き出すことにより、基体部261とセード264との間の距離を調整できる。
【0049】
ソケット263は、セード264の内部上方に配置される。ソケット263は、コード262と電気的に接続する。ソケット263には、電源ユニット210が取り付けられる。
【0050】
セード264は、電源ユニット210の上部および側部を覆う。また、セード264は、発光ユニット100の側部を覆う。
【0051】
本実施形態の発光ユニット100では、樹脂部材120のうち光源110からの光が照射される範囲(対向面120s)に分解抑制部130が配置される。樹脂部材120のうちの光源110からの光が照射される部分は直接空気に触れないため、樹脂部材120の分解を抑制でき、VOCガスの発生を抑え、発光ユニット100の光学特性の変動を抑制できる。
【0052】
図1および図2(a)に示した発光ユニット100では、分解抑制部130は、樹脂部材120の対向面120sの全面と重なっていたが、本発明はこれに限定されない。分解抑制部130は、樹脂部材120の対向面120sの一部と重なってもよい。例えば、分解抑制部130は、樹脂部材120のうちの光源110の光軸方向に配置されてもよい。
【0053】
次に、図2(b)を参照して、本実施形態の発光ユニット100を説明する。図2(b)は、本実施形態の発光ユニット100の模式図である。発光ユニット100は、分解抑制部130の配置を除いて、図1および図2(a)を参照して上述した発光ユニット100と同様の構成を有する。このため、冗長な説明を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0054】
本実施形態の発光ユニット100において、分解抑制部130は、樹脂部材120の対向面120sの一部と重なる。ここでは、分解抑制部130は、樹脂部材120の対向面120sのうちの光源110から出射される光の強度の高い領域に配置される。
【0055】
樹脂部材120の上面には、円柱形状に窪んだ開口穴が設けられる。光源110は、樹脂部材120の開口穴内に配置される。光源110は、樹脂部材120の対向面120sに対向する。対向面120sには、光源110からの光が照射される。
【0056】
対向面120sは、側部120tと、底部120uとを有する。側部120tは、樹脂部材120の開口穴の側面に位置し、底部120uは、樹脂部材120の開口穴の底面に位置する。側部120tは、底部120uの周囲に位置する。光源110の光軸LAは底部120uを通過する。光源110の発光面が図中下向きになるように配置され、光源110がLEDなどのように直進性が強い光を出力する場合、光源110の光軸LAはZ方向に平行であり、光源110が底部120uを照射する光の照度は、光源110が側部120tを照射する光の照度よりも高い。
【0057】
分解抑制部130は、側部120tと重なることなく底部120uと重なる。例えば、分解抑制部130は、底部120uに対応する円形状の薄膜である。
【0058】
本実施形態の発光ユニット100では、光源110から出射された光の多くは、分解抑制部130に一部(例えば主に青色成分)が吸収されて分解抑制部130を通過し、樹脂部材120の底部120uに進入し、樹脂部材120を通過する。このため、底部120u近傍の樹脂が劣化しても、樹脂部材120の樹脂の近傍には樹脂と反応する酸素が少ないため、VOCガスの発生が抑制され、光学特性の変動を抑制できる。
【0059】
一方、光源110から出射された光の残りの成分(例えば主に可視光領域の成分)は分解抑制部130を通過することなく側部120tに到達し、側部120tから樹脂部材120内部に進入する。しかしながら、側部120tに到達する光の強度は比較的低いため、側部120t近傍の樹脂はそれほど劣化せず、VOCガスはほとんど発生しない。以上により、本実施形態の発光ユニット100では、光学特性の変動を抑制できる。
【0060】
なお、図2(b)に示した発光ユニット100では、分解抑制部130は、樹脂部材120の底部120u全面に配置されたが、本発明はこれに限定されない。分解抑制部130は、樹脂部材120の底部120uの一部に配置されてもよい。例えば、分解抑制部130は、樹脂部材120の底部120uのうち光軸LAと交わる領域の近傍のみに配置されてもよい。
【0061】
なお、図1から図2(b)に示した発光ユニット100では、樹脂部材120は、光源110から出射された光が直接的に照射される範囲に配置され、結果として、樹脂部材120は、光を透過する導光体として機能したが、本発明はこれに限定されない。樹脂部材120は、光源110から出射された後で反射された光が照射される範囲に配置されてもよい。
【0062】
次に、図4(a)を参照して、本実施形態の発光ユニット100を説明する。図4(a)は、本実施形態の発光ユニット100の模式図である。本実施形態の発光ユニット100は、導光体102の追加、樹脂部材120の機能、および分解抑制部130の配置を除いて、図1から図2(b)を参照して上述した発光ユニット100と同様の構成を有する。このため、冗長な説明を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0063】
ここでは、発光ユニット100は、光源110、樹脂部材120および分解抑制部130に加えて、導光体102を備える。導光体102は、光源110から出射された光が直接的に照射される範囲に配置されている。導光体102は、透明または透光性を有する。光源110から出射された光は導光体102を通過する。なお、導光体102は、樹脂から形成されてもよく、ガラスから形成されてもよい。
【0064】
樹脂部材120は、光源110を保持する。樹脂部材120は、環状構造を有する。光源110は、樹脂部材120の内周に保持される。光源110がLEDを含む場合、樹脂部材120は、LEDモジュールホルダーまたはLEDモジュールソケットとして機能する。
【0065】
光源110から出射された光L1は、樹脂部材120に向かって進行する。一般に、導光体102の透過率は高いため、光源110から出射された光L1のうちの大部分の光L1aは、導光体102に入射し、導光体102を通過して、導光体102から外部に進出する。
【0066】
しかしながら、光が導光体102に入射する際に、光は、ある程度の割合で反射する。光源110から出射された光L1のうちの一部の光L1bは導光体102によって反射され、樹脂部材120に向かって進行する。このため、導光体102に反射された光は、樹脂部材120の対向面120sを照射する。
【0067】
分解抑制部130は、導光体102と樹脂部材120との間に位置する。分解抑制部130は、光源110からの光によって樹脂部材120が分解されることを抑制する。分解抑制部130は、樹脂部材120のうち、光源110から出射された後で反射された光が照射される範囲内で樹脂部材120と重なるように配置される。分解抑制部130は、樹脂部材120に接触して設けられ、樹脂部材120と重なる。このため、分解抑制部130の一部は樹脂部材120と接触し、分解抑制部130の他の一部は空気に触れる。
【0068】
ここでは、分解抑制部130は、樹脂部材120のうち光源110からの光によって照射される範囲の全面と重なる。また、分解抑制部130の上面は樹脂部材120と接触し、分解抑制部130の下面は空気に触れる。
【0069】
本実施形態の発光ユニット100では、樹脂部材120のうち光源110からの光が照射される範囲に分解抑制部130が配置されるため、樹脂部材120は直接空気に触れない。したがって、光によって樹脂部材120が劣化しても、樹脂部材120内への酸素の侵入が抑制されるため、樹脂部材120内の樹脂は酸化しにくい。このため、樹脂部材120内の樹脂が酸素と反応してVOCガスが発生することを抑制できる。したがって、VOCガスに起因する光源110および樹脂部材120の変色を抑制でき、発光ユニット100の光学特性の変動を抑制できる。さらに、本実施形態の発光ユニット100では、分解抑制部130が、樹脂部材120と重なるため、樹脂部材120の劣化を低減できる。
【0070】
なお、本実施形態の発光ユニット100では、樹脂部材120および分解抑制部130の一方が光を反射することが好ましい。例えば、分解抑制部130は、導光体102によって反射された光を再度反射してもよい。
【0071】
この場合、分解抑制部130は、金属を含んでもよい。例えば、分解抑制部130は、金属薄膜であってもよい。一例として、分解抑制部130は、メッキ、蒸着、塗装およびスパッタのいずれかの手法で樹脂部材120上に形成できる。
【0072】
なお、分解抑制部130が金属を含む場合は、金属を含まない分解抑制部130に比べて光透過率が低下することが多いため、光学的に影響が小さい位置に分解抑制部130を設けることが好ましい。光学的に影響が小さい位置とは、例えば、光源110からの光が照射されるものの光源110からの光が到達しにくい位置(一例では、光源110からの光が間接的に照射される位置)、樹脂部材120において光を透過させる必要が無い位置、または光透過率の低下を許容できる位置などである。例えば、図4(a)に示す分解抑制部130は、光源110の光軸LAから離れた位置に設けられ、光学的影響が小さいため、金属を含む構成とすることができる。
【0073】
あるいは、分解抑制部130は、樹脂体の表面を反射加工して形成されてもよい。反射加工は、メッキ、蒸着、塗装およびスパッタのいずれかの手法で行われてもよい。一例として、反射加工は、白色塗装、銀色塗装または光沢のある金属メッキを含む。あるいは、分解抑制部130の色は、白色または銀色のような光反射率の高い色であってもよい。
【0074】
なお、分解抑制部130の表面を反射加工する場合は、反射加工しない分解抑制部130に比べて光透過率が低下することが多いため、光学的に影響が小さい位置に分解抑制部130を設けることが好ましい。光学的に影響が小さい位置とは、例えば、光源110からの光が照射されるものの光源110からの光が到達しにくい位置(一例では、光源110からの光が間接的に照射される位置)、樹脂部材120において光を透過させる必要が無い位置、または光透過率の低下を許容できる位置などである。例えば、図4(a)に示す分解抑制部130は、光源110の光軸LAから離れた位置に設けられ、光学的影響が小さいため、表面を反射加工する構成とすることができる。
【0075】
図4(a)に示した発光ユニット100では、分解抑制部130は、樹脂部材120のうち光源110からの光によって照射される範囲の全面と重なったが、本発明はこれに限定されない。分解抑制部130は、樹脂部材120のうち光源110からの光によって照射される範囲の一部と重なってもよい。
【0076】
また、図4(a)を参照して上述したように、分解抑制部130は、光を反射してもよい。なお、図4(a)に示した発光ユニット100では、分解抑制部130は、光源110を保持する樹脂部材120と重なるように配置されたが、本発明はこれに限定されない。
【0077】
次に、図4(b)を参照して、本実施形態の発光ユニット100を説明する。図4(b)は、本実施形態の発光ユニット100の模式図である。本実施形態の発光ユニット100は、分解抑制部130の配置を除いて、図1から図2を参照して上述した発光ユニット100と同様の構成を有する。このため、冗長な説明を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0078】
発光ユニット100は、光源110と、樹脂部材120と、分解抑制部130とを備える。樹脂部材120には、光源110から出射された光が直接的に照射される。光源110から出射された光は、樹脂部材120に入射し、樹脂部材120通過し、樹脂部材120から外部に進出する。
【0079】
光源110の光は、樹脂部材120の対向面120sを照射する。対向面120sは、側部120tと、底部120uとを有する。ここでは、分解抑制部130は、光源110から照射された光を反射する。分解抑制部130は、樹脂部材120の底部120uと重なることなく側部120tと重なる。
【0080】
光源110から出射された光の主成分は、分解抑制部130を通過することなく、樹脂部材120の底部120uから入射し、樹脂部材120を通過する。
【0081】
一方、光源110から出射された光の残りの成分は樹脂部材120の側部120tに向かう。側部120tの表面には分解抑制部130が設けられており、分解抑制部130が光を反射する。分解抑制部130によって反射された光は、最終的には、樹脂部材120の底部120uから入射し、樹脂部材120を通過する。このため、発光ユニット100は、光軸LAの方向に高強度で発光する。
【0082】
なお、分解抑制部130は、金属を含んでもよい。例えば、分解抑制部130は、金属薄膜であってもよい。一例として、分解抑制部130は、メッキ、蒸着、塗装およびスパッタのいずれかの手法で樹脂部材120上に形成されてもよい。
【0083】
なお、分解抑制部130が金属を含む場合は、金属を含まない分解抑制部130に比べて光透過率が低下することが多いため、光学的に影響が小さい位置に分解抑制部130を設けることが好ましい。光学的に影響が小さい位置とは、例えば、光源110からの光が照射されるものの光源110からの光が到達しにくい位置(一例では、光源110からの光が間接的に照射される位置)、樹脂部材120において光を透過させる必要が無い位置、または光透過率の低下を許容できる位置などである。例えば、図4(b)に示す分解抑制部130は、光源110の光軸LAから離れた位置に設けられ、光学的影響が小さいため、金属を含む構成とすることができる。
【0084】
あるいは、分解抑制部130は、樹脂から形成され、樹脂の表面が反射加工されてもよい。反射加工は、メッキ、蒸着、塗装およびスパッタのいずれかの手法で行われてもよい。一例として、反射加工は、白色塗装、銀色塗装または光沢のある金属メッキを含む。あるいは、分解抑制部130の色は、白色または銀色のような光反射率の高い色であってもよい。
【0085】
なお、分解抑制部130の表面を反射加工する場合は、反射加工しない分解抑制部130に比べて光透過率が低下することが多いため、光学的に影響が小さい位置に分解抑制部130を設けることが好ましい。光学的に影響が小さい位置とは、例えば、光源110からの光が照射されるものの光源110からの光が到達しにくい位置(一例では、光源110からの光が間接的に照射される位置)、樹脂部材120において光を透過させる必要が無い位置、または光透過率の低下を許容できる位置などである。例えば、図4(b)に示す分解抑制部130は、光源110の光軸LAから離れた位置に設けられ、光学的影響が小さいため、表面を反射加工する構成とすることができる。
【0086】
本実施形態の発光ユニット100では、樹脂部材120のうち光の通過にそれほど寄与しない側部120tが分解抑制部130で覆われる。このため、光強度を犠牲にすることなく樹脂部材120の側部120tからVOCガスが発生することを抑制できる。
【0087】
なお、図1から図4(b)に示した発光ユニット100では、分解抑制部130は、樹脂部材120のうちの光源110から出射された光が直接的に照射される範囲、および、樹脂部材120のうちの光源110から出射された後で反射された光が照射される範囲のいずれかと重なるように配置されていたが、本発明はこれに限定されない。分解抑制部130は、光源110から出射された光が直接的に照射される範囲の樹脂部材、および、光源110から出射された後で反射された光が照射される範囲の樹脂部材とそれぞれ重なってもよい。
【0088】
次に、図4(c)を参照して、本実施形態の発光ユニット100を説明する。図4(c)は、本実施形態の発光ユニット100の模式図である。本実施形態の発光ユニット100は、樹脂部材120および分解抑制部130の配置を除いて、図1から図4(a)を参照して上述した発光ユニット100と同様の構成を有する。このため、冗長な説明を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0089】
本実施形態の発光ユニット100は、光源110と、樹脂部材120Aと、樹脂部材120Bと、分解抑制部130Aと、分解抑制部130Bとを備える。
【0090】
樹脂部材120Aは、光源110から出射された光が直接的に照射される範囲に配置される。光源110から出射された光は、樹脂部材120Aに入射し、樹脂部材120Aを通過し、樹脂部材120Aから出射される。分解抑制部130Aは、樹脂部材120のうちの光源110から出射された光が直接的に照射される範囲に配置される。
【0091】
樹脂部材120Bは、光源110から出射された後で、樹脂部材120Aおよび/または分解抑制部130Aによって反射された光に照射される。分解抑制部130Bは、反射された光が照射される範囲に配置される。
【0092】
本実施形態の発光ユニット100では、光源110の照射範囲に位置する樹脂部材120Aおよび樹脂部材120Bに対して、分解抑制部130Aおよび分解抑制部130Bがそれぞれ設けられる。したがって、樹脂部材120Aおよび樹脂部材120BのそれぞれからVOCガスが発生することを抑制でき、発光ユニット100の光学特性の変動を抑制できる。
【0093】
なお、上述した説明では、導光体として機能する樹脂部材120、120Aは、開口穴が上部に設けられた円柱形状であったが、本発明はこれに限定されない。樹脂部材120、120Aは、照度ムラを抑制するための特有の形状を有してもよい。
【0094】
以下、図5から図7を参照して、本実施形態の発光ユニット100を説明する。図5(a)は、本実施形態の発光ユニット100の斜視図である。図5(b)は、図5(a)の5B-5B線に沿った断面図である。
【0095】
発光ユニット100は、光源110と、樹脂部材120と、分解抑制部130とを備える。樹脂部材120は、本体部122と、筒部124とを備える。本体部122は円筒形状である。本体部122の中心は、光源110の光軸LAを通る。
【0096】
樹脂部材120には、光軸LAに沿った一方の端部において凹部120wが設けられ、他方の端部において凹部120vが設けられる。凹部120wは、本体部122および筒部124によって規定され、凹部120vは、本体部122によって規定される。
【0097】
本体部122は、入射面122aと、第1出射面122hと、第2出射面122sとを有する。入射面122aは光源110と対向する。分解抑制部130は、入射面122aと重なるように配置される。分解抑制部130により、入射面122aは、直接空気と接触しない。第1出射面122hは、凹部120vを規定する。第2出射面122sは、本体部122の側部を規定する。
【0098】
なお、筒部124は、入射面122aの外縁に沿って形成され、光源110の光軸LAに沿って延びる。図5(a)では、本体部122と筒部124とを区別するため、一点鎖線を付している。
【0099】
光源110から出射された光は、入射面122aから本体部122に入射する。本体部122に入射した光の一部は、第1出射面122hから本体部122の外部に進出し、光の別の一部は、第2出射面122sから本体部122の外部に進出する。
【0100】
入射面122aは、第1入射曲面122bと、第2入射曲面122cとを有する。図5(b)では、理解を容易にするため、第1入射曲面122bを破線で囲み、第2入射曲面122cを一点鎖線で囲んでいる。
【0101】
第1出射面122hは、第1出射曲面122iと、第2出射曲面122jとを有する。図5(b)では、理解を容易にするため、第1出射曲面122iを破線で囲み、第2出射曲面122jを一点鎖線で囲んでいる。
【0102】
光源110の光軸LAは、第1入射曲面122bの中央を通過する。第1入射曲面122bは、光源110に向かって凸状に湾曲している。第1入射曲面122bの曲率半径は、第1出射曲面122iの曲率半径よりも大きい。第1入射曲面122bは、底面視において略円形である。
【0103】
第2入射曲面122cは、光軸LAを中心として第1入射曲面122bを囲むように形成される。第2入射曲面122cは、底面視において略円環状である。第2入射曲面122cは、本体部122の径方向における第2入射曲面122cと第2出射面122sとの間の距離が第1出射面122hに向かって拡大するように形成される。その結果、本体部122には、光軸LAの周りに、略円環状の肉厚部122dが形成される。なお、本体部122の径方向とは、光軸LAに直交する方向である。
【0104】
入射面122aに入射した光の少なくとも一部は、第1出射面122hから出射される。第1出射面122hは、入射面122aに対向し、入射面122aに向かって凹状に湾曲している。
【0105】
第1出射曲面122iの中央を光源110の光軸LAが通る。第1出射曲面122iは、平面視において略円形である。第2出射曲面122jは、第1出射曲面122iの周囲に形成され、平面視において略円環状である。第2出射曲面122jの曲率半径は、第1出射曲面122iの曲率半径よりも大きい。
【0106】
入射面122aに入射した光の少なくとも一部は、第2出射面122sから出射される。第2出射面122sは、第1出射面122hと入射面122aとを囲むように、光源110の光軸LAの周りに形成される。第2出射面122sは略円筒状である。
【0107】
筒部124の内壁面124aと入射面122aとは凹部120wを形成する。具体的には、内壁面124aは、凹部120wの側面を形成し、入射面122aは、光源110に対する天面を形成する。従って、第2入射曲面122cは、凹部120wの側面を形成しない。
【0108】
次に、図6を参照して、発光ユニット100内の光の進行経路について説明する。図6は、発光ユニット100内の光の進行経路を示す模式図である。光源110から出射された光は、第1入射曲面122bから本体部122に入射する。第1入射曲面122bは、入射した光を第1出射面122hに向けて屈折させる。ここでは、第1入射曲面122bは、入射した光を屈折させて光軸LAと平行にし、第1出射面122hに向けて進行させる。
【0109】
第1出射面122hは、第1出射面122hに到達した光の一部を屈折させて出射する。具体的には、第1出射面122hは、第1出射面122hに対する光の入射角度と本体部122の屈折率と空気の屈折率とで定まる屈折角で、光を屈折させて出射する。
【0110】
例えば、光源110から出射された光のうちの光L1は、第1入射曲面122bから本体部122に入射する。光L1は、第1入射曲面122bのうち光軸LAの近傍の領域に入射する。第1入射曲面122bは、第1出射曲面122iに向けて光L1を屈折させる。第1出射曲面122iは、光L1の大部分を光軸LAに沿って出射する。
【0111】
また、第1出射面122hは、第1出射面122hに到達した光の他の一部を、第2出射面122sに向けて反射する。具体的には、第1出射面122hは、第1出射面122hに対する光の入射角度で定まる反射角で、光を第2出射面122sに向けて反射する。本実施形態では、第1出射面122hは、光軸LAに交差する方向Dに沿って、光軸LAから離れるように、光を第2出射面122sに向けて反射する。
【0112】
例えば、光源110から出射された光のうちの光L2は、第1入射曲面122bから本体部122に入射する。光L2は、第1入射曲面122bのうち光軸LAのからやや離れた領域に入射した光を示す。第1入射曲面122bは、第2出射曲面122jに向けて光L2を屈折させる。第2出射曲面122jは、光L2の一部を、光軸LAの側に向かうように屈折させ、出射光L2aとして出射する。また、第2出射曲面122jは、光L2の他の一部を、光軸LAに交差する方向Dに沿って、第2出射面122sに向けて反射する。第2出射面122sは、第2出射曲面122jに反射された光を、光L2bとして光軸LAに交差する方向Dに沿って出射する。
【0113】
第2出射面122sは、光を屈折させて出射する。具体的には、第2出射面122sは、第2出射面122sに対する光の入射角度と本体部122の屈折率と空気の屈折率とで定まる屈折角で、光を屈折させて出射する。本実施形態では、第2出射面122sは、光軸LAに交差する方向Dに沿って、光軸LAから離れるように光を出射する。
【0114】
光軸LAに交差する方向Dは、光軸LAに直交する方向である。また、図6では、肉厚部122dが破線と第2入射曲面122cとで囲まれた領域で示され、図面の簡略化のため、断面を示す斜線を省略している。
【0115】
以上のように、図5および図6に示した発光ユニット100では、照度ムラを抑制して光を出射できる。
【0116】
なお、図5および図6では、分解抑制部130が、光を透過させる樹脂部材120における入射面122aと重なるように配置されたが、本実施形態はこれに限定されない。分解抑制部130は、光源110を保持する樹脂部材120と重なるように配置されてもよい。
【0117】
次に、図7を参照して、発光ユニット100を説明する。図7は、発光ユニット100の断面図である。図7に示すように、発光ユニット100は、光源110と、樹脂部材120Aと、樹脂部材120Bと、分解抑制部130Aと、分解抑制部130Bとを備える。
【0118】
光源110は、発光素子110aと、基板110bとを含む。発光素子110aは基板110bに実装される。ここでは、光源110は、COB(Chip on Board)構造である。
【0119】
樹脂部材120Aは、筒部124に位置決め部124vが設けられている点を除き、図5および図6に示した発光ユニット100における樹脂部材120と同様の構成を有している。樹脂部材120Aの筒部124には、互いに対向する2つの位置決め部124vが設けられる。位置決め部124vは、樹脂部材120に対して光源110を位置決めする。ここでは、位置決め部124vは、筒部124に形成された貫通孔である。なお、位置決め部124vは、筒部124を貫通せず、筒部124の内面に凹状に形成されてもよい。
【0120】
分解抑制部130Aは、樹脂部材120Aの入射面122aと重なるように配置される。分解抑制部130Aにより、入射面122aは、直接空気と接触しない。このため、樹脂部材120AからVOCガスが発生することを抑制できる。
【0121】
樹脂部材120Bは、光源110を保持する光源ホルダーまたはソケットとして機能する。樹脂部材120Bは、樹脂部材120Aの凹部120wに装着される。具体的には、樹脂部材120Bは、互いに対向する2つの爪部126aを含む。爪部126aは、発光ユニット100の筒部124に形成された位置決め部124vに係合する。その結果、樹脂部材120Bが凹部120wに装着され、樹脂部材120Aの本体部122に対して、光源110が位置決めされる。そして、光源110から出射された光が本体部122の入射面122aに入射する。
【0122】
分解抑制部130Bは、樹脂部材120Bと重なるように配置される。分解抑制部130Bにより、樹脂部材120Bは、光源110の照射範囲内で直接空気と接触しない。このため、樹脂部材120BからVOCガスが発生することを抑制できる。
【0123】
なお、図1を参照して上述した説明では、照明器具200は天井Cから吊り下げられていたが、本発明はこれに限定されない。照明器具200は、任意の態様で配置されてもよい。例えば、照明器具200は天井Cに取り付けられてもよい。
【0124】
また、図1を参照して上述した説明では、発光ユニット100は電源ユニット210と一体化された電球の一部として構成されていたが、本発明はこれに限定されない。発光ユニット100は、電源ユニット210とは別個に設けられてもよい。
【0125】
以下に、図8から図11を参照して、本実施形態の発光ユニット100を備える照明器具200を説明する。図8は、本実施形態の発光ユニット100を備える照明器具200の斜視図である。ここでは、照明器具200は、天井の取付面に形成された埋込穴に挿入されて固定される。照明器具200は、ダウンライトとして用いられる。
【0126】
照明器具200は、XY平面に平行な取付面に取り付けられる。照明器具200は、発光ユニット100と、電源ユニット210と、取付ユニット260とを備える。
【0127】
電源ユニット210は、発光ユニット100に電力を供給する。発光ユニット100の光軸LAはZ方向に平行である。電源ユニット210は、取付面に直交する方向(Z方向)に発光ユニット100と重なるように配置される。
【0128】
電源ユニット210は、発光ユニット100に対してZ方向に位置し、X方向に延びる。電源ユニット210が、取付面に直交する方向(Z方向)に発光ユニット100と重なるように配置されることで、電源ユニット210が発光ユニット100からX方向に突出する長さを短くできる。したがって、照明器具200の取付箇所におけるX方向の取付スペースが小さくてもよく、さらに、照明器具200を埋込穴に容易に挿入できる。さらに、運搬時などに照明器具200を収容する梱包箱を小さくすることができる。
【0129】
電源ユニット210は、筐体212を有する。筐体212は箱状である。電源ユニット210は、筐体212の一端側が発光ユニット100上に位置するように配置されている。
【0130】
取付ユニット260は、照明器具200の取り付けに用いられる。取付ユニット260は、放熱部材265と、一対の取付バネ266とを有する。放熱部材265は板状である。取付バネ266は、放熱部材265に取り付けられる。
【0131】
放熱部材265は、発光ユニット100と電源ユニット210との間に位置する。発光ユニット100と電源ユニット210とは、放熱部材265を介して放熱部材265の厚さ方向に重なるように配置されている。放熱部材265が板状であるため、照明器具200のZ方向のサイズを小さくできる。
【0132】
取付バネ266は、埋込穴に係脱自在に係合する。取付バネ266は、発光ユニット100が埋込穴に挿入された状態で埋込穴の縁に当接して弾性変形し、発光ユニット100を埋込穴に固定する。取付バネ266は、ステンレスのような弾性を有する帯状の板材を中間部で折曲することにより形成され、略V字形を呈している。
【0133】
図9は、図8のX方向に沿った縦断面図であり、図10は、図8のY方向に沿った縦断面図である。発光ユニット100は、光源110と、樹脂部材120Aと、樹脂部材120Bと、樹脂部材120Cと、分解抑制部130Aと、分解抑制部130Bと、分解抑制部130Cと、リフレクター150と、パッキン160と、Oリング162とを備える。
【0134】
光源110はLEDを含む。LEDは基板に実装される。光源110はCOB構造である。
【0135】
樹脂部材120Aは樹脂を含む。樹脂部材120Aは透明または透光性を有する。樹脂部材120Aはドーム形状である。樹脂部材120Aは、光源110から出射された光、および/または、樹脂部材120Bによって反射された光を拡散させて透過させる。樹脂部材120Aは、いわゆるセードとして機能する。
【0136】
分解抑制部130Aは、樹脂部材120Aの表面に配置される。分解抑制部130Aは、樹脂部材120Aのうち光源110から照射される範囲と重なる。例えば、分解抑制部130Aは、樹脂部材120Aに対して一体的に設けられる。分解抑制部130Aは、透明または透光性を有する。
【0137】
樹脂部材120Bは樹脂を含む。樹脂部材120Bは円錐形状である。分解抑制部130Bは、樹脂部材120Bの表面に配置される。分解抑制部130Bは、樹脂部材120Bのうち光源110から照射される範囲と重なる。例えば、分解抑制部130Bは、樹脂部材120Bに対して一体的に設けられる。樹脂部材120Bおよび分解抑制部130Bの一方は、光源110から出された光を下方に反射する。
【0138】
樹脂部材120Cは樹脂を含む。光源110は、樹脂部材120Cの凹部に嵌め込まれる。
【0139】
分解抑制部130Cは、樹脂部材120Cのうち光源110から照射される範囲と重なる。分解抑制部130Cは、樹脂部材120Cのうち光源110から照射される範囲と重なる。例えば、分解抑制部130Cは、樹脂部材120Cに対して一体的に設けられる。樹脂部材120Cおよび分解抑制部130Cの一方は、光源110から出された光を下方に反射する。
【0140】
リフレクター150は、樹脂部材120Aを透過した光を下方に反射する。リフレクター150は、樹脂から形成されてもよい。
【0141】
パッキン160は、照明器具200を取り付ける際に、埋込穴の開口部の周囲に圧接される。パッキン160は、円環状である。照明器具200が天井に取り付けられる場合、パッキン160は、室内空間と天井裏空間との間の空気の流通を抑制するとともに2つの空間を断熱する。
【0142】
Oリング162は、合成ゴムで形成される。Oリング162は、樹脂部材120Aの周縁部とリフレクター150の内側周縁部との間に介在するように配置される。Oリング162は、樹脂部材120Aとリフレクター150との間の空気流通を抑制することができ、室内空間の気密性を確保する。
【0143】
発光ユニット100と電源ユニット210とは空隙を介して重なるように配置される。その結果、光源110および/または電源ユニット210から発する熱の放熱性が向上する。
【0144】
次に、図11を参照して、発光ユニット100および取付ユニット260を説明する。図11は、発光ユニット100および取付ユニット260の分解斜視図である。
【0145】
樹脂部材120Cの上面には矩形状の凹部120pが設けられる。光源110は、矩形状の凹部120pに嵌められる。樹脂部材120Cは、光源110が嵌められた状態で、一対のビスB3によって放熱部材265に固定される。
【0146】
リフレクター150は、小径部151と大径部152とを有する。リフレクター150の大径部152上には、パッキン160が装着される。
【0147】
リフレクター150の小径部151上に、Oリング162、リフレクター150、樹脂部材120Aおよび樹脂部材120Bが配置される。次に、樹脂部材120Cの固定された放熱部材265がリフレクター150上に配置される。
【0148】
その後、取付バネ266の一端側の先端部は、ビスB2によってリフレクター150に固定される。取付バネ266がリフレクター150に固定された状態で、取付バネ266の他端側がリフレクター150から斜め上方に向けて延出するとともに、取付バネ266の折曲部がパッキン160上に位置する。小径部151から径方向に突出した突起部にはねじ穴が設けられており、ねじ穴には取付バネ266をリフレクター150に固定するビスB2がねじ込まれる。以上のようにして、発光ユニット100および取付ユニット260を装着できる。
【0149】
以上、図1から図11を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施形態として実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果を実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0150】
例えば、図1から図11に示した発光ユニット100では、分解抑制部130は、樹脂部材120とは別に、樹脂部材120に重なるように配置されたが、本発明はこれに限定されない。分解抑制部130は、樹脂部材120内の樹脂に分散されてもよい。例えば、分解抑制部130は酸化防止剤を含み、分解抑制部130は樹脂部材120の樹脂内に分散される。一例として、樹脂部材120は、ポリカーボネート樹脂、PET樹脂およびアクリル樹脂のいずれかの樹脂を含み、樹脂内に、分解抑制部130の酸化防止剤が分散されてもよい。
【0151】
なお、図1から図11に示した発光ユニット100では、光源110としてLEDを説明したが、本発明はこれに限定されない。光源110は、白熱電球であってもよく、蛍光灯であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、発光ユニットおよび/または照明器具の分野に有用である。
【符号の説明】
【0153】
100 発光ユニット
110 光源
120 樹脂部材
130 分解抑制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11