(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】パターン転写装置
(51)【国際特許分類】
B29C 59/04 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
B29C59/04 C
(21)【出願番号】P 2018123316
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 光明
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0056858(US,A1)
【文献】特開2003-001706(JP,A)
【文献】国際公開第2007/040023(WO,A1)
【文献】特開平06-047806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00-59/18
H01L 21/027-21/033,21/30-21/326
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面と当該第一面とは反対側の第二面とを有し長手方向に搬送される基材の前記第一面に光硬化性樹脂を塗工する塗工機構と、
パターンが設けられた外周面を有し、当該外周面に前記光硬化性樹脂が接した状態で前記光硬化性樹脂が塗工された基材が巻き掛けられて回転し、当該光硬化性樹脂に前記パターンを転写する転写ロールと、
前記光硬化性樹脂が塗工された基材の前記第二面を前記転写ロールに向けて押圧する押圧ロールと、
前記パターンが転写された光硬化性樹脂に光を照射することにより当該光硬化性樹脂を硬化させる光照射機構と、
前記押圧ロールを前記転写ロールに向けて押圧するピストンと、当該ピストンを移動可能に収容するシリンダと、を有し、前記ピストンに面した圧力室が設けられ、当該圧力室内の流体圧により前記ピストンを加圧する押圧機構と、
前記圧力室内の圧力を一定に調整する圧力調整機構と、
前記押圧ロールを揺動可能に支持する揺動支持機構と、
を備えた、パターン転写装置。
【請求項2】
第一面と当該第一面とは反対側の第二面とを有し長手方向に搬送される基材の前記第一面に光硬化性樹脂を塗工する塗工機構と、
パターンが設けられた外周面を有し、当該外周面に前記光硬化性樹脂が接した状態で前記光硬化性樹脂が塗工された基材が巻き掛けられて回転し、当該光硬化性樹脂に前記パターンを転写する転写ロールと、
前記光硬化性樹脂が塗工された基材の前記第二面を前記転写ロールに向けて押圧する押圧ロールと、
前記パターンが転写された光硬化性樹脂に光を照射することにより当該光硬化性樹脂を硬化させる光照射機構と、
前記押圧ロールを前記転写ロールに向けて押圧するピストンと、当該ピストンを移動可能に収容するシリンダと、を有し、前記ピストンに面した圧力室が設けられ、当該圧力室内の流体圧により前記ピストンを加圧する押圧機構と、
前記圧力室内の圧力を一定に調整する圧力調整機構と、
を備え、
前記転写ロールは、前記光の透過領域を有した筒状の周壁を有し、
前記光照射機構は、前記周壁内に収容され、
前記光照射機構から出射された光は、前記透過領域を透過して前記光硬化性樹脂層に照射され、
前記光照射機構の前記転写ロールの軸方向の一端は、支持部材によって少なくとも前記転写ロールの周方向に回転不能に支持され、
前記光照射機構の前記転写ロールの軸方向の他端は、前記転写ロールに回転可能に支持された、
パターン転写装置。
【請求項3】
前記押圧機構は、前記押圧ロールの軸方向両端を押圧する、請求項1または2に記載のパターン転写装置。
【請求項4】
前記押圧機構は、
前記押圧ロールの軸方向の一端を押圧する前記ピストンと、当該ピストンを移動可能に収容した前記シリンダと、を有した第一押圧ユニットと、
前記押圧ロールの軸方向の他端を押圧する前記ピストンと、当該ピストンを移動可能に収容した前記シリンダと、を有した第二押圧ユニットと、を有した、請求項3に記載のパターン転写装置。
【請求項5】
前記転写ロールは、前記光の透過領域を有した筒状の周壁を有し、
前記光照射機構は、前記周壁内に収容され、
前記光照射機構から出射された光は、前記透過領域を透過して前記光硬化性樹脂層に照射され、
前記光照射機構の前記転写ロールの軸方向の一端は、支持部材によって少なくとも前記転写ロールの周方向に回転不能に支持され、
前記光照射機構の前記転写ロールの軸方向の他端は、前記転写ロールに回転可能に支持された、
請求項1
に記載のパターン転写装置。
【請求項6】
前記転写ロールの軸方向の一端には、前記光照射機構を前記軸方向に出入可能な開口が設けられ、
前記支持部材は、前記開口を開閉可能に覆う、
請求項2または5に記載のパターン転写装置。
【請求項7】
前記周壁内に、気体により前記光照射機構を冷却する空冷機構を備えた、
請求項2、5または6に記載のパターン転写装置。
【請求項8】
前記転写ロールは、
前記透過領域の一部としての第一透過領域を有した筒状の第一部材と、
前記パターンが形成され前記第一透過領域と前記転写ロールの径方向に重なり、前記透過領域の一部としての第二透過領域を有し、前記第一部材の周囲に巻き付けられた状態で前記第一部材に固定された第二部材と、
を有した、
請求項2、5~7のうちいずれか一つに記載のパターン転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、パターン転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光硬化性樹脂を塗工した基材を、外周面にパターンが形成された転写ロールに、光硬化性樹脂がパターンを覆う状態で巻き掛けることにより、当該光硬化性樹脂にパターンを転写し、当該転写されたパターンに光を当てて硬化するパターン転写装置が、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、光硬化性樹脂に転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきを抑制することができるなど、より不都合の少ない新規な構成のパターン転写装置が得られれば、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のパターン転写装置は、例えば、第一面と当該第一面とは反対側の第二面とを有し長手方向に搬送される基材の第一面に光硬化性樹脂を塗工する塗工機構と、パターンが設けられた外周面を有し、当該外周面に光硬化性樹脂が接した状態で光硬化性樹脂が塗工された基材が巻き掛けられて回転し、当該光硬化性樹脂にパターンを転写する転写ロールと、光硬化性樹脂が塗工された基材の第二面を転写ロールに向けて押圧する押圧ロールと、パターンが転写された光硬化性樹脂に光を照射することにより当該光硬化性樹脂を硬化させる光照射機構と、押圧ロールを転写ロールに向けて押圧するピストンと、当該ピストンを移動可能に収容するシリンダと、を有し、ピストンに面した圧力室が設けられ、当該圧力室内の流体圧によりピストンを加圧する押圧機構と、圧力室内の圧力を一定に調整する圧力調整機構と、前記押圧ロールを揺動可能に支持する揺動支持機構と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態のパターン転写装置の例示的かつ模式的な構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態のパターン転写装置に含まれる転写ロールの例示的かつ模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態のパターン転写装置に含まれる転写ロールの
図2のIII-III位置における例示的かつ模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のパターン転写装置に含まれる揺動支持機構および押圧機構の例示的かつ模式的な構成図である。
【
図5】
図5は、実施形態のパターン転写装置に含まれる揺動支持機構および押圧機構の
図4のV方向に見た場合の例示的かつ模式的な構成図である。
【
図6】
図6は、実施形態の変形例のパターン転写装置の例示的かつ模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0008】
また、以下の実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0009】
[実施形態]
図1は、パターン転写装置1の構成図である。パターン転写装置1の処理対象物は、略一定の幅を有した長尺状の帯状フィルム100である。帯状フィルム100は、第一面100aと当該第一面100aとは反対側の第二面100bとを有している。帯状フィルム100は、例えば、合成樹脂材料によって構成されるが、これには限定されない。帯状フィルム100は、ウエブとも称されうる。帯状フィルム100は、基材の一例である。
【0010】
パターン転写装置1は、帯状フィルム100をその長手方向に連続的にあるいは断続的に搬送しながら、第一面100aに所定の処理を施すことにより、第一面100a上に、その長手方向に渡って、凹凸形状を有した成形層100cを形成する。帯状フィルム100の第一面100aは、処理面や、表面とも称され、第二面100bは、非処理面や、裏面とも称されうる。
【0011】
パターン転写装置1は、繰出機構10、巻取機構20、塗工機構30、転写機構40、および光照射機構50を備えている。
【0012】
帯状フィルム100は、繰出機構10と巻取機構20との間で、当該繰出機構10および巻取機構20によって搬送される。よって、繰出機構10および巻取機構20は、搬送機構とも称されうる。
【0013】
繰出機構10は、帯状フィルム100の搬送方向の上流端(後端)に位置されている。繰出機構10は、繰出軸11を有している。繰出軸11は、円柱状または円筒状の形状を有している。繰出軸11には、未処理の帯状フィルム100が巻き付けられている。制御装置(不図示)によって制御されたモータ(不図示)が繰出軸11を中心軸C1回りに回転させるのに伴い、繰出軸11に巻き付けられた帯状フィルム100が、搬送方向の下流(前方)(
図1では右方)に繰り出される。
【0014】
巻取機構20は、帯状フィルム100の搬送方向の下流端(前端)に位置されている。巻取機構20は、巻取軸21を有している。巻取軸21は、円柱状または円筒状の形状を有している。制御装置によって制御されたモータ(不図示)が巻取軸21を中心軸C2回りに回転させるのに伴い、処理済の帯状フィルム100が、すなわち第一面100a上に処理済みの成形層100cを有した帯状フィルム100が、巻取軸21に巻き取られる。制御装置が繰出軸11および巻取軸21を回転させるモータを制御することにより、帯状フィルム100に所要の張力が与えられるとともに、帯状フィルム100が所要の速度で搬送される。所要の速度は帯状フィルム100や成形層100cその他の仕様等に応じて任意に設定可能であるが、例えば、0.5~30メートル/分などである。
【0015】
塗工機構30は、繰出機構10に対して帯状フィルム100の搬送方向の下流に位置され、帯状フィルム100の第一面100a上に、例えば、略一定の厚さの成形層100cを塗工する。成形層100cは、例えば紫外線のような光の照射によって硬化する光硬化性を有した合成樹脂材料である。成形層100cは、感光する前は比較的柔軟である。成形層100cは、光硬化性樹脂の一例である。成形層100cは、光硬化性樹脂層や、感光性樹脂とも称されうる。
【0016】
転写機構40は、塗工機構30に対して帯状フィルム100の搬送方向の下流に位置されている。転写機構40は、転写ロール41、押圧ロール42、および剥離ロール43を有している。転写ロール41、押圧ロール42、および剥離ロール43は、互いに略平行に配置されている。転写ロール41は円筒状の形状を有し、押圧ロール42および剥離ロール43は、それぞれ円柱状または円筒状の形状を有している。押圧ロール42および剥離ロール43は、それぞれ、転写ロール41と隙間g1,g2をあけて配置されている。隙間g2は隙間g1よりも搬送方向の下流に位置されている。帯状フィルム100は、繰出軸11と押圧ロール42との間において所要の張力が与えられた状態で架け渡され、押圧ロール42と剥離ロール43との間で転写ロール41の外周面41aの回りに巻き掛けられるとともに、剥離ロール43と巻取軸21との間においても所要の張力が与えられた状態で架け渡されている。帯状フィルム100の搬送に伴い、当該帯状フィルム100のうち塗工機構30によって成形層100cが塗工された部位は、押圧ロール42に近付き、押圧ロール42の外周に沿って移動し、隙間g1を通り、転写ロール41の外周面41aに沿って移動し、隙間g2を通り、剥離ロール43の外周に沿って移動し、剥離ロール43から離間して、巻取軸21に移動し、当該巻取軸21に巻き取られる。
【0017】
転写ロール41は、制御装置によって制御されたモータ(不図示)によって中心軸C3回りに回転可能に設けられる。パターン転写装置1において、制御装置は、転写ロール41が例えば回転速度が一定のような所定の回転状態で回転するよう、当該転写ロール41を回転させるモータを制御するとともに、帯状フィルム100が外周面41aに対して相対的に移動しないよう、すなわち滑らないよう、繰出軸11や巻取軸21を回転させるモータを制御する。
【0018】
押圧ロール42および剥離ロール43は、モータにより回転される主動ロールではなく、帯状フィルム100の移動に伴って回転する従動ロールである。ただし、剥離ロール43は、主動ロールであってもよい。
【0019】
転写ロール41の外周面41aには、凹凸形状のパターン41bが設けられている。第一面100a上に成形層100cが塗工された帯状フィルム100は、押圧ロール42と剥離ロール43との間において、成形層100cが外周面41aに接する姿勢で転写ロール41に巻き掛けられる。このため、押圧ロール42の外周は、帯状フィルム100の第二面100bと接する。成形層100cが塗工された帯状フィルム100が隙間g1を通る際、押圧機構80の作動により、押圧ロール42は、回転しながら帯状フィルム100の第二面100bを転写ロール41の外周面41aに押圧する。成形層100cは、外周面41aのパターン41bに倣って変形し、成形層100cにパターン41bが転写される。なお、押圧ロール42のロール部分は、例えば、エラストマによって構成されうるが、これには限定されない。
【0020】
また、上述したように、帯状フィルム100は、剥離ロール43と巻取軸21との間において所要の張力が与えられた状態で架け渡され、剥離ロール43に巻き掛けられており、このため、剥離ロール43にその径方向内方に押し付けられている。よって、帯状フィルム100は、隙間g2よりも下流において、剥離ロール43に沿って移動し、これにより、転写ロール41から離間する。
【0021】
光照射機構50は、転写ロール41内に位置されている。転写ロール41の周壁410は、成形層100cを硬化させる光を透過する。よって、光照射機構50から出射された光は転写ロール41の周壁410を透過し、転写ロール41の外周面41a回りに巻き掛けられている成形層100cを硬化させる。光硬化性樹脂は、例えば、紫外線硬化性樹脂であり、その場合、光照射機構50から照射される光は、例えば紫外光である。未露光の成形層100cが塗工された帯状フィルム100、および露光されることにより硬化した成形層100cを有した帯状フィルム100は、可撓性を有しており、転写ロール41、剥離ロール43、および巻取軸21のそれぞれの外周に沿って曲がることができる。
【0022】
図2は、転写ロール41の中心軸C3に沿った断面における断面図である。
図2に示されるように、転写ロール41は円筒状の周壁410と、周壁410の軸方向の両端に固定された端部41c,41dと、を有している。
【0023】
端部41cは、ベース41c1とシャフト41c2とを有している。ベース41c1は、円板状の形状を有し、周壁410の一つの(
図2では右側の)開口端411aに、例えば圧入や接着によって固定されている。シャフト41c2は、円柱状の形状を有し、ベース41c1から中心軸C3に沿って端部41dとは反対側に突出している。端部41cは、ベアリング40aを介して支持部材40bに回転可能に支持されている。
【0024】
端部41dは、ベース41d1とシャフト41d2とを有している。ベース41d1は、円柱状の形状を有し、周壁410のもう一つの(
図2では左側の)開口端411bに、例えば圧入や接着によって固定されている。シャフト41d2は、円筒状の形状を有し、ベース41d1から中心軸C3に沿って端部41cとは反対側に突出している。端部41dは、ベアリング40aを介して支持部材40cに回転可能に支持されている。
【0025】
このように周壁410と端部41c,41dとを別の部材によって構成することにより、例えば、転写ロール41を部位に応じた好適な材質によって構成できたり、製造の手間やコストを低減できたりといった効果が得られる。
【0026】
制御装置(不図示)によって制御されたモータ(不図示)が端部41cを回転することにより、転写ロール41が略一定の回転速度で中心軸C3回りに回転する。転写ロール41においてモータによって駆動される端部41cとは反対側の端部41dには、略円筒状の開口41eが設けられている。開口41eは、支持部材40cに着脱可能に取り付けられた蓋44によって覆われている。蓋44は、中心軸C3と交差した略円板状のプレート44aと、当該プレート44aの周縁部から中心軸C3の軸方向に突出したピン44bとを有している。蓋44が例えばボルトのような結合具(不図示)によって支持部材40cに取り付けられた状態で、ピン44bは、支持部材40cに設けられた収容孔40dに収容されている。収容孔40dおよびピン44bは、蓋44の位置決めに用いられうる。端部41dは、転写ロール41の軸方向の一端の一例である。
【0027】
光照射機構50は、中心軸C3の軸方向に沿って延びた光源ユニット51と、当該軸方向に沿って延びるとともに光源ユニット51と固定的に結合されたシャフト52と、を有している。シャフト52の一つの端部52bは、蓋44と固定され、シャフト52のもう一つの端部52aは、ベアリング50aを介して転写ロール41の端部41cに回転可能に支持されている。このような構成にあっては、転写ロール41が回転した場合にも、シャフト52の端部52aは転写ロール41とは相対的に回転し、かつシャフト52の端部52bは蓋44ひいては支持部材40cと固定されているため、光源ユニット51は回転することなく静止する。よって、光源ユニット51は、転写ロール41の回転によらず、一定方向に光を照射することができる。端部52aは、光照射機構50の転写ロール41の軸方向の他端の一例であり、端部52bは、光照射機構50の転写ロール41の軸方向の一端の一例である。蓋44は、光照射機構50の端部52bを固定的に支持する支持部材の一例である。なお、端部52bは、蓋44あるいは支持部材40cと、リジッドに固定される必要は無く、少なくとも中心軸C3の周方向に回転不能に蓋44または支持部材40cに支持されればよい、言い換えると、蓋44あるいは支持部材40cによって、端部52bひいては光源ユニット51の中心軸C3回りの回転が制限されればよい。また、端部52aが蓋44あるいは支持部材40bに固定的に支持され、端部52bが転写ロール41に回転可能に支持されてもよい。その場合、開口41eは、転写ロール41の端部41cに設けられる。
【0028】
ここで、開口41eは、転写ロール41の端部41dにおいて、光照射機構50を中心軸C3の軸方向に通すことができるよう、言い換えると、転写ロール41の内部空間Sに対して当該開口41eを介して光照射機構50を軸方向に出し入れできるように、開口されている。また、上述したように、蓋44は、開口41eを中心軸C3の軸方向に開閉可能に(着脱可能に)覆っている。よって、このような構成によれば、蓋44を開く(取り外す)ことにより、パターン転写装置1に転写ロール41が設置されている状態で転写ロール41内から光照射機構50を取り出すことができるとともに、転写ロール41内に光照射機構50を挿入して所定位置および所定姿勢にセットすることができる。
【0029】
また、転写ロール41には、開口41fが設けられている。開口41fは、転写ロール41の端部41cを中心軸C3の軸方向に貫通している。開口41fにおいて、空気は、転写ロール41の内側から外側へまたは外側から内側へ流れることができる。他方、蓋44には、転写ロール41の端部41dに設けられた開口41eと繋がる開口44cが設けられている。開口44cは、蓋44を中心軸C3の軸方向に貫通している。開口41eおよび開口44cにおいて、空気は、転写ロール41の内側から外側へまたは外側から内側へ流れることができる。
【0030】
パターン転写装置1には、これら開口41f,41e,44cを利用した光照射機構50の空冷機構60が設けられている。光硬化性樹脂の重合熱や光照射機構50の発熱に伴って成形層100cの粘度が低下すると、成形層100cに転写されたパターンの形状や寸法が経時的に変化し、経時的なばらつきの一因となる虞がある。空冷機構60により、そのような形状や寸法の経時的なばらつきが生じるのを抑制することができる。
【0031】
空冷機構60は、送風機61と、通路構成部材62とを有している。通路構成部材62は、転写ロール41の回転によらず静止している開口44cと繋がる空気通路を構成し、例えば、ダクトや、チューブ、穴が設けられたブロック等である。送風機61は、空気通路を通る空気流を生じるものであり、例えば、ファンや、ブロワである。送風機61は、転写ロール41の内部空間Sから空気を排出することができる。その場合、転写ロール41外から、開口41f、内部空間S、開口41e、開口44c、および通路構成部材62内の空気通路を経由する空気流が形成される。また、送風機61は、内部空間S内に空気を供給してもよい。その場合、通路構成部材62内の空気通路、開口44c、開口41e、内部空間S、および開口41fを経由する空気流が形成される。なお、空冷機構60の冷却媒体は、室内空気であってもよいし、タンク等に収容された空気であってもよいし、窒素のような、空気以外の気体であってもよい。
【0032】
本実施形態では、転写ロール41の周壁410は、全体的に、光照射機構50から出射される光を透過する。周壁410は、透過領域の一例である。なお、周壁410は、全体的に光照射機構50から出射される光を透過しなくてもよく、周壁410の一部に透過領域が設けられてもよい。
【0033】
図3は、
図2のIII-III位置における転写ロール41の断面図である。
図3に示されるように、周壁410は、中心軸C3の径方向に重なったパイプ411、接着層412、および囲繞層413を有している。
【0034】
パイプ411の形状は、略円筒状である。パイプ411の中心は、転写ロール41の中心軸C3と略一致している。パイプ411の材質は、例えば、ホウケイ酸ガラスである。ただし、パイプ411の材質はホウケイ酸ガラスには限定されず、光照射機構50から出射される光を透過する透明材料であればよい。パイプ411をホウケイ酸ガラスや合成樹脂材料によって構成した場合、パイプ411を石英ガラスによって構成した場合に比べて、パイプ411ひいては転写ロール41をより安価に構成することができる。パイプ411は、全体的に、光照射機構50から出射される光を透過する。パイプ411は、透過領域の一部である第一透過領域を有した第一部材の一例である。なお、パイプ411は、全体的に光照射機構50から出射される光を透過しなくてもよく、パイプ411の一部に第一透過領域が設けられてもよい。
【0035】
囲繞層413は、中心軸C3の周方向の端部413a,413bが突き合わされるようにパイプ411の外周に巻き付けられた状態で、接着層412によってパイプ411の外周に接着されている。中心軸C3の軸方向に延びた端部413a,413bが突き合わされた部分は、継ぎ目PLが構成されている。囲繞層413は、可撓性を有し、パイプ411の外周面すなわち円筒外面に沿って湾曲している。
【0036】
囲繞層413は、ベース層414と押型層415とを有している。ベース層414は、接着層412の径方向外側に接し、略一定の厚さを有している。押型層415は、ベース層414の径方向外側に接している。転写ロール41の外周面41aとしての押型層415の外周(外面)には、凹凸形状のパターン41bが設けられている。ベース層414および押型層415は、いずれも、全体的に、光照射機構50から出射される光を透過する。よって、囲繞層413も、全体的に、光照射機構50から出射される光を透過する。囲繞層413は、透過領域の一部である第二透過領域を有した第二部材の一例である。なお、囲繞層413は、全体的に光照射機構50から出射される光を透過しなくてもよく、囲繞層413の一部に第二透過領域が設けられてもよい。
【0037】
囲繞層413は、パターン転写装置1による製造物であってもよい。この場合、帯状フィルム100がベース層414となり、硬化された成形層100cが押型層415となる。
【0038】
接着層412は、パイプ411と囲繞層413との間に気体が存在しない状態で、当該パイプ411と囲繞層413とを接着している。接着層412は、例えばベース層(不図示)の両面に接着剤が塗布された両面テープであってもよいし、接着剤の層であってもよい。接着層412も透過領域の一部を構成している。接着層412も、全体的に、光照射機構50から出射される光を透過する。なお、接着層412は、全体的に光照射機構50から出射される光を透過しなくてもよく、接着層412の一部に透過領域が設けられてもよい。
【0039】
このように、転写ロール41の周壁410は、パイプ411と外周にパターン41bが成形され当該パイプ411を取り囲む囲繞層413とを有するため、パイプ411の外周に直接パターン41bを成形する場合に比べて、製造の手間やコストを低減することができる。また、パイプ411として汎用品を用いることで、製造のコストをさらに低減することが可能となる。
【0040】
図4は、揺動支持機構70および押圧機構80の構成図であり、
図5は、揺動支持機構70および押圧機構80の
図4のV方向に見た場合の構成図である。
【0041】
押圧ロール42は、転写ロール41の凹凸や変形に応じた当該転写ロール41の外周面41aの傾斜に追従できるよう、揺動支持機構70によって揺動可能に支持されている。揺動支持機構70は、二つのレール70a、二つのスライダ70b、二つのハウジング70c、および二つのベアリング70dを有している。
【0042】
図4に示されるように、二つのレール70aは、互いに平行であり、それぞれ、スライダ70bを、その長手方向に往復移動可能に支持している。スライダ70bは、それぞれ、ハウジング70cおよびベアリング70dを介して、押圧ロール42の端部42a,42bを支持している。すなわち、揺動支持機構70は、押圧ロール42を二つのレール70aの長手方向に沿ってスライド可能に支持している。よって、揺動支持機構70は、スライド支持機構や、支持機構とも称されうる。
【0043】
図5の視線では、二つのレール70aは互いに重なっている。一つのレール70aと押圧ロール42の中心軸C4との距離、およびもう一つのレール70aと中心軸C4との距離は、同じ距離(=D)である。よって、中心軸C4は、二つのレール70aと平行であるとともに
図5の紙面と垂直な方向に平行でありかつ二つのレール70aから同一方向(
図5では上方)に距離Dだけ離間した仮想平面Pvに沿って移動することができる。仮想平面Pvは、中心軸C4を含む平面である。また、仮想平面Pvは、所期位置の中心軸C3も含んでいる。仮想平面Pvは、
図4の紙面に沿っている。また、仮想平面Pvは、スライド面とも称されうる。
【0044】
このような構成より、押圧ロール42は、レール70aの長手方向に沿って、言い換えると、二つのレール70aと平行な仮想平面Pvに沿って移動し、転写ロール41を押圧することができる。押圧機構80による押圧ロール42の押圧方向、すなわち、押圧ロール42による帯状フィルム100の転写ロール41への押圧方向は、レール70aの長手方向である。
【0045】
また、上述したように、ハウジング70cは、それぞれ、ベアリング70dを介して、押圧ロール42の端部42a,42bを中心軸C4回りに回転可能に支持している。ここで、ベアリング70dは、外輪70d1と、当該外輪70d1に対して揺動可能に支持された内輪70d2と、を有した自動調心ベアリングである。内輪70d2は、それぞれ、外輪70d1に、仮想平面Pvと直交する揺動軸AxS回りに揺動可能に支持されている。なお、二つのベアリング70dのうち一方の外輪70d1は一つのハウジング70cと当該外輪70d1の軸方向に固定され、他方の外輪70d1はもう一つのハウジング70cに当該外輪70d1の軸方向に移動可能に支持されている。
【0046】
このような構成により、押圧ロール42は、中心軸C4を含み二つのレール70aと略平行な仮想平面Pv内で揺動することができる。仮想平面Pvは、揺動面とも称されうる。
【0047】
図4に示されるように、押圧機構80は、作動流体の圧力によって押圧ロール42を転写ロール41に近付くように押圧する二つの押圧ユニット81A,81Bを有している。押圧ユニット81Aは、押圧ロール42の軸方向の一つの端部42aを転写ロール41に向けて押圧し、押圧ユニット81Bは、押圧ロール42の軸方向のもう一つの端部42bを転写ロール41に向けて押圧する。押圧ユニット81Aは、シリンダ82と当該シリンダ82に移動可能に収容されたピストン83と、を有している。シリンダ82とピストン83との間には、圧力室Rが構成されており、当該圧力室Rの圧力を受けたピストン83が、ロッド84を介して端部42aを押圧する。押圧ユニット81Bは、押圧ユニット81Aと同様の構成を有している。押圧ユニット81A,81Bによる押圧ロール42の押圧方向は、レール70aの長手方向と略平行である。二つの押圧ユニット81A,81Bは、流体シリンダである。流体シリンダとしては、例えばベロフラムシリンダのような摺動抵抗の小さいシリンダが用いられうる。作動流体は、例えば、空気のような気体である。その場合、二つの押圧ユニット81A,81Bは、空気圧シリンダである。押圧ユニット81Aは、第一押圧ユニットの一例であり、押圧ユニット81Bは、第二押圧ユニットの一例であり、端部42aは、押圧ロール42の軸方向の一端の一例であり、端部42bは、押圧ロール42の軸方向の他端の一例である。また、端部42a,42bは、押圧ロール42の軸方向の両端の一例である。
【0048】
圧力室R内の作動流体の圧力は、圧力調整機構85によって、一定の圧力に維持される。ここで、一定の圧力とは、略一定の圧力であって、例えば、圧力調整機構85の調圧範囲(圧力オーバーライド特性)内の圧力であることを意味する。一例として
図5に例示される圧力調整機構85は、流体回路である。作動流体が空気のような気体である場合、圧力調整機構85は、空気圧回路である。圧力調整機構85は、レギュレータ85aを有している。レギュレータ85aの圧力調整値は、所期の形状や寸法が得られるようパターン41bや成形層100cの仕様等に応じて適宜に設定される。また、レギュレータ85aは、外部パイロット式レギュレータであり、圧力設定弁85bからの信号圧力の入力により、レギュレータ85aの圧力調整値を可変設定することができる。圧力設定弁85bは、電磁式であってもよいし手動式であってもよい。なお、レギュレータ85aは、例えば、内部パイロット式レギュレータや、直動式レギュレータのような、他のレギュレータであってもよい。圧力調整機構85は、押圧ユニット81A,81Bのそれぞれに設けられてもよいし、二つの押圧ユニット81A,81Bで共用されてもよい。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態では、パターン転写装置1は、押圧機構80と、圧力調整機構85と、を備えている。押圧機構80のピストン83は、押圧ロール42が転写ロール41に向けて押圧されるよう押圧ロール42を押圧し、押圧機構80のシリンダ82は、対応するピストン83を移動可能に収容し、ピストン83は、圧力室R内の流体圧によって加圧される。圧力調整機構85は、圧力室R内の圧力を一定の圧力に調整する。このような構成によれば、例えば、押圧機構80は、押圧ロール42を転写ロール41に追従させながら、押圧ロール42を転写ロール41に向けて一定の力で押圧することができるため、成形層100c(光硬化性樹脂)に転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきを抑制することができる。仮に、パターン転写装置1が押圧機構80および圧力調整機構85を有しない場合において、例えば、転写ロール41の真円度が低いような場合にあっては、押圧ロール42が転写ロール41のうち半径が相対的に大きい部位を押圧する場合の押圧力が、押圧ロール42が転写ロール41のうち半径が相対的に小さい部位を押圧する場合の押圧力よりも大きくなってしまい、成形層100cに転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきが大きくなる虞がある。この点、本実施形態のパターン転写装置1は、押圧機構80と、圧力調整機構85と、を備えているため、転写ロール41の真円度が大きいような場合、言い換えると、転写ロール41の外周面41aのうち押圧ロール42と接する部位(以下、接触部位Pcと称する)の位置が転写ロール41の回転に伴って変化するような場合にあっても、押圧ロール42は、接触部位Pcの位置の変化に追従して一定の力で転写ロール41を押圧することができる。したがって、パターン転写装置1によれば、成形層100cに転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、パターン転写装置1は、押圧ロール42を揺動可能に支持する揺動支持機構70を備えている。このような構成によれば、例えば、転写ロール41の接触部位Pcの位置や姿勢(傾斜)によらず、当該接触部位Pcを全体的に略一定の力で押圧することができる。したがって、パターン転写装置1によれば、成形層100cに転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきをより一層抑制することができる。これにより、例えば、転写ロール41の端部41c,41d間の同軸度が大きいような場合や、押圧ロール42に対して転写ロール41が傾斜しているような場合にあっても、転写ロール41(の接触部位Pc)の傾斜角度の変化に追従して押圧ロール42の姿勢が変化するため、成形層100cに転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、押圧機構80は、押圧ロール42の端部42a,42b(両端)を押圧する。このような構成によれば、接触部位Pcの場所による押圧力のばらつきを抑制し、成形層100cに転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、押圧機構80は、押圧ロール42の端部42a(一端)を押圧するピストン83と、当該ピストン83を移動可能に収容したシリンダ82とを有した押圧ユニット81A(第一押圧ユニット)と、押圧ロール42の端部42b(他端)を押圧するピストン83と、当該ピストン83を移動可能に収容したシリンダ82とを有した押圧ユニット81B(第二押圧ユニット)と、を有している。仮に、一つの押圧ユニットが二股のアーム等を介して押圧ロール42の軸方向両側の端部42a,42bを押圧する場合、当該一つの押圧ユニットが大型化したり、当該アームの所要の剛性や強度の確保のために当該アームひいてはパターン転写装置1が大型化したりする虞がある。この点、本実施形態によれば、二つの押圧ユニット81A,81Bのピストン83がそれぞれ押圧ロール42の端部42a,42bを押圧するため、そのような不都合な事象を回避することができ、パターン転写装置1をより小型に構成することができる。
【0053】
また、本実施形態では、転写ロール41は、照射される光を透過する筒状の周壁410を有し、光照射機構50は、周壁410内に収容され、光照射機構50から出射された光は、周壁410を透過して光硬化性樹脂層に照射される。光照射機構50の軸方向の端部52b(一端)は、蓋44(支持部材)によって少なくとも転写ロール41の周方向に回転不能に支持され、光照射機構50の軸方向の端部52a(他端)は、転写ロール41に回転可能に支持されている。仮に、端部52aが転写ロール41ではなく支持部材40bによって回転可能に支持される構成である場合、端部52aが転写ロール41の端部41cを軸方向に貫通する必要があり、端部41cの貫通孔内に端部52aが存在する分、端部41cが太くなる。また、その場合、中心軸C3の近くに静止部分である光照射機構50の端部52aが位置するため、端部41cを回転駆動するモータを当該中心軸C3の近くに配置できなくなり、例えば、中心軸C3に対して偏心して配置されたモータの回転を端部41cの外周にギヤやベルト等の回転伝達機構を介して伝達するような、より複雑な機構が必要となる。また、ギヤやベルトを介すると転写ロール41の回転速度変動ひいては帯状フィルム100の速度変動が大きくなり、成型品の品質が低下する虞がある。この点、本実施形態のパターン転写装置1は、端部52aが転写ロール41に回転可能に支持されており、端部41cを貫通せずに済むため、端部41cを径方向により小型に構成することができる。また、中心軸C3と軸方向に並んだモータによって端部41cを回転駆動することができる分、転写ロール41を回転駆動する構成をより小型にかつより簡素に構成することができるとともに、部品点数が減る分、パターン転写装置1の製造の手間やコストが低減されうる。
【0054】
また、本実施形態では、転写ロール41の軸方向の端部41d(一端)には、光照射機構50を軸方向に出入可能な開口41eが設けられ、蓋44(支持部材)は、開口41eを開閉可能に覆う。このような構成によれば、例えば、光照射機構50を転写ロール41内に対して出し入れすることができる構成を、比較的簡素な構成によって実現することができる。また、蓋44が支持部材として構成されることにより、蓋44と支持部材とが別個に構成された場合に比べて部品点数が減り、パターン転写装置1の製造の手間やコストが低減されうる。
【0055】
また、本実施形態では、転写ロール41内に、気体により光照射機構50を冷却する空冷機構60が設けられている。このような構成によれば、例えば、光照射機構50の冷却機構を、油冷機構のような液冷機構が設けられた構成に比べて、比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0056】
また、本実施形態では、転写ロール41は、パイプ411(第一透過領域、第一部材)と、囲繞層413(第二透過領域、第二部材)と、を有し、囲繞層413は、パイプ411と転写ロール41の径方向に重なり、パイプ411の周囲に巻き付けられた状態でパイプ411に固定されている。このような構成によれば、例えば、パターン41bが形成された囲繞層413をパイプ411に巻き付けることにより、転写ロール41を得ることができる。よって、パイプ411の外周に直接パターン41bを形成する場合に比べて、転写ロール41ひいてはパターン転写装置1の製造の手間やコストが低減されうる。
【0057】
また、本実施形態では、囲繞層413は、パターン転写装置1によって製造してもよい。この場合、囲繞層413は、比較的弾性的に変形しやすくなるとともに、転写ロール41の外周面41aにおいて凹凸が生じやすくなる。しかしながら、本実施形態のパターン転写装置1は、押圧機構80や、圧力調整機構85、揺動支持機構70を備えているため、囲繞層413の特性によって成形層100c(光硬化性樹脂)に転写されたパターンの場所による形状や寸法のばらつきが生じるのを、抑制することができる。すなわち、本実施形態のパターン転写装置1は、転写ロール41の囲繞層413をパターン転写装置1によって製造する場合に、より一層効果的である。
【0058】
[変形例]
図6は、実施形態の変形例のパターン転写装置1Aの構成図である。パターン転写装置1Aは、光照射機構50が転写ロール41の外側から光を照射している点が上記実施形態と相違している。この場合、帯状フィルム100は、光を透過する必要がある。このような変形例にあっても、上記実施形態と同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、実施形態の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、角度、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0060】
例えば、押圧ロールを揺動可能に支持する揺動支持機構は、自動調心ベアリングを有するものには限定されず、ボールジョイントや、軸受、スライダ等を有した上記実施形態とは構成であってもよい。また、圧力調整機構の回路構成は、上記実施形態には限定されない。
【0061】
また、上記実施形態では、基材の片面にパターンを転写するパターン転写装置が開示されたが、本発明は、これには限定されず、基材の両面にパターンを転写する転写装置や、既に一面にパターンが転写された基材の他面にパターンを転写する装置、同一面に繰り返し転写する装置などとしても構成することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…パターン転写装置、30…塗工機構、41…転写ロール、41a…外周面、41b…パターン、41d…端部(一端)、41e…開口、42…押圧ロール、42a…端部(押圧ロールの一端)、42b…端部(押圧ロールの他端)、44…蓋(支持部材)、50…光照射機構、52a…端部(光照射機構の他端)、52b…端部(光照射機構の一端)、60…空冷機構、80…押圧機構、81A…押圧ユニット(第一押圧ユニット)、81B…押圧ユニット(第二押圧ユニット)、82…シリンダ、83…ピストン、85…圧力調整機構、100…帯状フィルム(基材)、100a…第一面、100b…第二面、100c…成形層(光硬化性樹脂)、410…周壁、411…パイプ(第一透過領域、透過領域、第一部材)、412…接着層(透過領域)、413…囲繞層(第二透過領域、透過領域、第二部材)、R…圧力室。