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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/19 20060101AFI20220715BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
B41J2/19
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018215691
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020082395
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米原 翼
(72)【発明者】
【氏名】濱嵜 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲右
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-194966(JP,A)
【文献】特開2012-000775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に対して印刷動作を行う液体噴射記録装置であって、
1または複数のパルスを有する駆動信号に基づいて、前記被記録媒体へ向けて液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する収容部と、
前記印刷動作の制御を行う印刷制御部と
を備え、
前記印刷制御部は、
前記収容部内から前記液体噴射ヘッド内へ向けて供給される前記液体中の溶存気体量に応じて、前記被記録媒体上の1画素に対する前記印刷動作の際の前記駆動信号の周波数である、駆動周波数を制御することによって、前記駆動信号に含まれる単位時間当たりの前記パルスの個数である、単位時間パルス数を制御する 際に、
前記溶存気体量が第1の閾値未満である場合には、前記駆動周波数を規定値から変更しないで維持し、
前記溶存気体量が、前記第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、前記駆動周波数を、前記規定値から非ゼロ値(≠0)まで低下させ、
前記溶存気体量が前記第2の閾値以上である場合には、前記駆動周波数をゼロ値(=0)に設定する
液体噴射記録装置。
【請求項2】
所定の移動速度にて、前記液体噴射ヘッドと前記被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構を更に備え、
前記印刷制御部は、前記駆動周波数の制御に伴い、前記溶存気体量に応じて、前記移動機構における前記移動速度を制御する
請求項に記載の液体噴射記録装置。
【請求項3】
前記印刷制御部は、
前記溶存気体量が第1の閾値未満である場合には、前記移動速度を規定値から変更しないで維持し、
前記溶存気体量が、前記第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、前記移動速度を、前記規定値から非ゼロ値(≠0)まで低下させ、
前記溶存気体量が前記第2の閾値以上である場合には、前記移動速度をゼロ値(=0)に設定する
請求項に記載の液体噴射記録装置。
【請求項4】
被記録媒体に対して印刷動作を行う液体噴射記録装置であって、
1または複数のパルスを有する駆動信号に基づいて、前記被記録媒体へ向けて液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する収容部と、
前記印刷動作の制御を行う印刷制御部と、
所定の移動速度にて、前記液体噴射ヘッドと前記被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と
を備え、
前記印刷制御部は、
前記収容部内から前記液体噴射ヘッド内へ向けて供給される前記液体中の溶存気体量に応じて、前記被記録媒体上の1画素に対する前記印刷動作の際の前記駆動信号の周波数である、駆動周波数を制御することによって、前記駆動信号に含まれる単位時間当たりの前記パルスの個数である、単位時間パルス数を制御すると共に、
前記駆動周波数の制御に伴い、前記溶存気体量に応じて、前記移動機構における前記移動速度を制御する際に、
前記溶存気体量が第1の閾値未満である場合には、前記移動速度を規定値から変更しないで維持し、
前記溶存気体量が、前記第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、前記移動速度を、前記規定値から非ゼロ値(≠0)まで低下させ、
前記溶存気体量が前記第2の閾値以上である場合には、前記移動速度をゼロ値(=0)に設定する
液体噴射記録装置。
【請求項5】
前記移動機構が、前記被記録媒体を搬送する搬送機構を含んでおり、
前記移動速度が、前記搬送機構における前記被記録媒体の搬送速度である
請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の液体噴射記録装置。
【請求項6】
前記印刷制御部は、
前記搬送機構における前記搬送速度の検出信号を取得すると共に、
前記搬送速度の検出信号を確認しつつ、前記駆動周波数を制御する
請求項に記載の液体噴射記録装置。
【請求項7】
前記収容部内から前記液体噴射ヘッド内へと前記液体を供給する際に、前記液体に対する脱気処理を行う脱気装置と、
前記脱気装置による前記脱気処理が行われた後の前記液体中における前記溶存気体量を測定する測定部と
を更に備え、
前記印刷制御部は、前記測定部により測定された前記溶存気体量に応じて、前記単位時間パルス数を制御する
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置が様々な分野に利用されており、液体噴射ヘッドとしては、各種方式のものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-114068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液体噴射記録装置では、印刷動作の際の生産性を向上させることが求められている。印刷動作の際の生産性を向上させることが可能な、液体噴射記録装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る第1の液体噴射記録装置は、被記録媒体に対して印刷動作を行う装置であって、1または複数のパルスを有する駆動信号に基づいて、被記録媒体へ向けて液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体を収容する収容部と、印刷動作の制御を行う印刷制御部とを備えたものである。この印刷制御部は、収容部内から液体噴射ヘッド内へ向けて供給される液体中の溶存気体量に応じて、被記録媒体上の1画素に対する印刷動作の際の駆動信号の周波数である、駆動周波数を制御することによって、駆動信号に含まれる単位時間当たりのパルスの個数である、単位時間パルス数を制御する際に、溶存気体量が第1の閾値未満である場合には、駆動周波数を規定値から変更しないで維持し、溶存気体量が、上記第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、駆動周波数を、上記規定値から非ゼロ値(≠0)まで低下させ、溶存気体量が上記第2の閾値以上である場合には、駆動周波数をゼロ値(=0)に設定する
【0006】
本開示の一実施の形態に係る第2の液体噴射記録装置は、被記録媒体に対して印刷動作を行う装置であって、1または複数のパルスを有する駆動信号に基づいて、被記録媒体へ向けて液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体を収容する収容部と、印刷動作の制御を行う印刷制御部と、所定の移動速度にて、液体噴射ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、を備えたものである。上記印刷制御部は、収容部内から液体噴射ヘッド内へ向けて供給される液体中の溶存気体量に応じて、被記録媒体上の1画素に対する印刷動作の際の前記駆動信号の周波数である、駆動周波数を制御することによって、駆動信号に含まれる単位時間当たりのパルスの個数である、単位時間パルス数を制御すると共に、駆動周波数の制御に伴い、溶存気体量に応じて、移動機構における移動速度を制御する際に、溶存気体量が第1の閾値未満である場合には、移動速度を規定値から変更しないで維持し、溶存気体量が、上記第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、移動速度を、上記規定値から非ゼロ値(≠0)まで低下させ、溶存気体量が上記第2の閾値以上である場合には、移動速度をゼロ値(=0)に設定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施の形態に係る第1および第2の液体噴射記録装置によれば、印刷動作の際の生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置の概略構成例を表す模式斜視図である。
図2図1に示した液体噴射ヘッドの概略構成例を表す模式図である。
図3図2に示したノズルプレートおよびアクチュエータプレート等の断面構成例を表す模式図である。
図4図3に示したIV部を拡大して表す模式断面図である。
図5】駆動信号の波形例を模式的に表すタイミング図である。
図6図2図5に示した液体噴射ヘッドを含む液体噴射記録装置の詳細構成例を表すブロック図である。
図7】実施の形態に係る液体噴射記録装置における印刷動作の際の制御処理の一例を表す流れ図である。
図8】実験例1,2に係る実験結果を表す図である。
図9】変形例に係る液体噴射記録装置の構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(溶存気体量に応じて駆動周波数等を制御する液体噴射記録装置の例)
2.変形例(液体噴射ヘッド内で溶存気体量に応じた駆動周波数等の制御を行う例)
3.その他の変形例
【0010】
<1.実施の形態>
[A.プリンタ1の全体構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ1の概略構成例を、模式的に斜視図にて表したものである。プリンタ1は、後述するインク9を利用して、被記録媒体としての記録紙Pに対して、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。
【0011】
プリンタ1は、図1に示したように、一対の搬送機構2a,2bと、インクタンク3と、インクジェットヘッド4と、インク供給管50と、走査機構6とを備えている。これらの各部材は、所定形状を有する筺体10内に収容されている。なお、本明細書の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0012】
ここで、プリンタ1は、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例に対応し、インクジェットヘッド4(後述するインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4K)は、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。また、インクタンク3(後述するインクタンク3Y,3M,3C,3K)は、本開示における「収容部」の一具体例に対応し、インク9は、本開示における「液体」の一具体例に対応している。
【0013】
搬送機構2a,2bはそれぞれ、図1に示したように、記録紙Pを搬送方向d(X軸方向)に沿って搬送する機構である。これらの搬送機構2a,2bはそれぞれ、グリッドローラ21、ピンチローラ22および駆動機構(不図示)を有している。この駆動機構は、グリッドローラ21を軸周りに回転させる(Z-X面内で回転させる)機構であり、例えばモータ等によって構成されている。
【0014】
(インクタンク3)
インクタンク3は、インク9を内部に収容するタンクである。このインクタンク3としては、この例では図1に示したように、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色のインク9を個別に収容する、4種類のタンクが設けられている。すなわち、イエローのインク9を収容するインクタンク3Yと、マゼンダのインク9を収容するインクタンク3Mと、シアンのインク9を収容するインクタンク3Cと、ブラックのインク9を収容するインクタンク3Kとが設けられている。これらのインクタンク3Y,3M,3C,3Kは、筺体10内において、X軸方向に沿って並んで配置されている。
【0015】
なお、インクタンク3Y,3M,3C,3Kはそれぞれ、収容するインク9の色以外については同一の構成であるため、以下ではインクタンク3と総称して説明する。
【0016】
(インクジェットヘッド4)
インクジェットヘッド4は、後述する複数のノズル(ノズル孔Hn)から記録紙Pに対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録(印刷)を行うヘッドである。このインクジェットヘッド4としても、この例では図1に示したように、上記したインクタンク3Y,3M,3C,3Kにそれぞれ収容されている4色のインク9を個別に噴射する、4種類のヘッドが設けられている。すなわち、イエローのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Yと、マゼンダのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Mと、シアンのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Cと、ブラックのインク9を噴射するインクジェットヘッド4Kとが設けられている。これらのインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Kは、筺体10内において、Y軸方向に沿って並んで配置されている。
【0017】
なお、インクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Kはそれぞれ、利用するインク9の色以外については同一の構成であるため、以下ではインクジェットヘッド4と総称して説明する。また、このインクジェットヘッド4の詳細構成例については、後述する(図2図5)。
【0018】
インク供給管50は、インクタンク3内からインクジェットヘッド4内へ向けて、インク9が供給される管である。このインク供給管50は、例えば、以下説明する走査機構6の動作に追従可能な程度の可撓性を有する、フレキシブルホースにより構成されている。
【0019】
(走査機構6)
走査機構6は、記録紙Pの幅方向(Y軸方向)に沿って、インクジェットヘッド4を走査させる機構である。この走査機構6は、図1に示したように、Y軸方向に沿って延設された一対のガイドレール61a,61bと、これらのガイドレール61a,61bに移動可能に支持されたキャリッジ62と、このキャリッジ62をY軸方向に沿って移動させる駆動機構63と、を有している。
【0020】
駆動機構63は、ガイドレール61a,61bの間に配置された一対のプーリ631a,631bと、これらのプーリ631a,631b間に巻回された無端ベルト632と、プーリ631aを回転駆動させる駆動モータ633と、を有している。また、キャリッジ62上には、前述した4種類のインクジェットヘッド4Y,4M,4C,4Kが、Y軸方向に沿って並んで配置されている。
【0021】
なお、このような走査機構6と前述した搬送機構2a,2bとにより、所定の移動速度(例えば後述する搬送速度Vt)にてインクジェットヘッド4と記録紙Pとを相対的に移動させる、移動機構が構成されるようになっている。つまり、これらの走査機構6および搬送機構2a,2bは、本開示における「移動機構」の一具体例に対応している。
【0022】
[B.インクジェットヘッド4の詳細構成]
続いて、図2図5を参照して、インクジェットヘッド4の詳細構成例について説明する。
【0023】
図2は、インクジェットヘッド4の概略構成例を、模式的に表したものである。図3は、図2に示したノズルプレート41およびアクチュエータプレート42等の断面構成例(Z-X断面構成例)を、模式的に表したものである。図4は、図3に示したIV部を拡大して、模式的に断面図(Z-X断面図)で表したものである。
【0024】
インクジェットヘッド4は、後述する複数のチャネル(チャネルC1)における延在方向(Y軸方向)の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドである。このインクジェットヘッド4は、図2図4に示したように、ノズルプレート41、アクチュエータプレート42、カバープレート43および駆動部49を有している。
【0025】
ここで、ノズルプレート41およびアクチュエータプレート42は、本開示における「噴射部」の一具体例に対応している。
【0026】
なお、ノズルプレート41、アクチュエータプレート42およびカバープレート43は、例えば接着剤等を用いて互いに貼り合わされており、Z軸方向に沿ってこの順に積層されている(図3図4参照)。また、カバープレート43の上面に、所定の流路を有する流路プレート(不図示)が設けられているようにしてもよい。
【0027】
(ノズルプレート41)
ノズルプレート41は、ポリイミド等のフィルム材または金属材料により構成されたプレートであり、インク9を噴射する複数のノズル孔Hnを有している(図2図4中の破線の矢印参照)。これらのノズル孔Hnはそれぞれ、所定の間隔をおいて一直線上に(この例ではX軸方向に沿って)並んで形成されている。なお、各ノズル孔Hnは、下方に向かうに従って漸次縮径するテーパ状の貫通孔となっている(図2図4参照)。
【0028】
(アクチュエータプレート42)
アクチュエータプレート42は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートである。このアクチュエータプレート42は、その分極方向が厚み方向(Z軸方向)に沿って一方向に設定されている1つ(単一)の圧電基板によって、構成されている(いわゆる、カンチレバータイプ)。ただし、アクチュエータプレート42の構成としては、このカンチレバータイプには限られない。すなわち、例えば、分極方向が互いに異なる2つの圧電基板を厚み方向(Z軸方向)に沿って積層することによって、アクチュエータプレート42を構成するようにしてもよい(いわゆる、シェブロンタイプ)。
【0029】
このアクチュエータプレート42には、図3に示したように、複数のチャネルC1が設けられている。これらのチャネルC1は、所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、X軸方向に沿って並んで配置されている。各チャネルC1は、圧電体からなる駆動壁Wdによってそれぞれ画成されており、断面視にて凹状の溝部となっている(図3図4参照)。各駆動壁Wdは、詳細は後述するが、各チャネルC1(後述する各吐出チャネルC1e)内を個別に加圧するための素子(圧電素子)として機能するようになっている。
【0030】
このようなチャネルC1には、図3図4に示したように、インク9を吐出させるための吐出チャネルC1eと、インク9を吐出させないダミーチャネル(非吐出チャネル)C1dとが、存在している。言い換えると、吐出チャネルC1eにはインク9が充填される一方、ダミーチャネルC1dにはインク9が充填されないようになっている。また、各吐出チャネルC1eは、ノズルプレート41におけるノズル孔Hnと連通している一方、各ダミーチャネルC1dは、ノズル孔Hnには連通しないようになっている。これらの吐出チャネルC1eとダミーチャネルC1dとは、上記した駆動壁Wdを介して、アクチュエータプレート42内で所定の方向(この例ではX軸方向)に沿って、交互に並んで配置されている(図3参照)。
【0031】
上記した駆動壁Wdにおける対向する内側面にはそれぞれ、図3に示したように、駆動電極Edが設けられている。つまり、各駆動壁Wdを挟んで、一対の駆動電極Edが互いに対向配置されている。この駆動電極Edには、吐出チャネルC1eに面する内側面に設けられた共通電極Edc(コモン電極)と、ダミーチャネルC1dに面する内側面に設けられた個別電極Eda(アクティブ電極)とが、存在している(図3図4参照)。言い換えると、各吐出チャネルC1eには、駆動電極Edとしての共通電極Edcが個別に内部形成されており、各ダミーチャネルC1dには、駆動電極Edとしての個別電極Edaが個別に内部形成されている。
【0032】
このような駆動電極Edと、駆動基板(不図示)における駆動回路との間は、フレキシブル基板(不図示)に形成された複数の引き出し電極を介して、電気的に接続されている。これにより、このフレキシブル基板を介して、後述する駆動部49を含む駆動回路から各駆動電極Edに対し、後述する駆動電圧Vd(駆動信号Sd)が印加されるようになっている。
【0033】
(カバープレート43)
カバープレート43は、図3図4に示したように、アクチュエータプレート42における各チャネルC1を閉塞するように配置されている。具体的には、このカバープレート43は、アクチュエータプレート42の上面に接着されており、板状構造となっている。
【0034】
(駆動部49)
駆動部49は、前述した吐出チャネルC1eに充填されているインク9がノズル孔Hnから吐出されるように、アクチュエータプレート42を駆動して吐出駆動を行うものである(図2図4参照)。具体的には、駆動部49は、アクチュエータプレート42に対して上記した駆動電圧Vd(駆動信号Sd)を印加して、吐出チャネルC1eを膨張または収縮させることで、各ノズル孔Hnからインク9を噴射させる(噴射動作を行わせる)ようになっている。
【0035】
ここで、図5(A)~図5(C)はそれぞれ、このような駆動信号Sdの波形例を、模式的にタイミング図で表したものである。以下説明するように、この駆動信号Sdは、1または複数のパルスを有する信号となっている。なお、これらの図5(A)~図5(C)において、横軸は時間tを、縦軸は、駆動信号Sdにおける駆動電圧Vd(この例では正電圧)を、それぞれ示している。
【0036】
まず、図5(A)に示した駆動信号Sdは、1つのパルスを有しており、いわゆる「1ドロップ」の場合の例となっている。このパルスは、立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングとの間に設けられた、ON期間(「ON」のパルス幅)となっている。
【0037】
一方、図5(B)に示した駆動信号Sdは、いわゆる「マルチパルス方式」が適用されるパルスとして、以下の2つのパルスを有している(いわゆる「2ドロップ」の場合の例)。すなわち、そのようなパルスとして、1つ目のON期間(「ON1」のパルス幅)と、2つ目のON期間(「ON2」のパルス幅)と、の2つが設けられている。
【0038】
同様に、図5(C)に示した駆動信号Sdは、上記した「マルチパルス方式」が適用されるパルスとして、以下の3つのパルスを有している(いわゆる「3ドロップ」の場合の例)。すなわち、そのようなパルスとして、1つ目のON期間(「ON1」のパルス幅)と、2つ目のON期間(「ON2」のパルス幅)と、3つ目のON期間(「ON3」のパルス幅)と、の3つが設けられている。
【0039】
なお、これらの駆動信号Sdにおける各パルスは、ハイ(High)状態の期間において前述した吐出チャネルC1eを膨張させると共に、ロウ(Low)状態の期間において吐出チャネルC1eを収縮させる、ポジティブパルスとなっている。
【0040】
ここで、これら図5(A)~図5(C)に示した駆動信号Sdでは、インク9の吐出に寄与する駆動周期Tdは、上記した「ON」の期間や「ON2」の期間、「ON3」の期間等の周波数となっている。したがって、駆動信号Sdにおける駆動周波数fdは、この駆動周期Tdの逆数(fd=1/Td)となっている。このような駆動信号Sdに含まれる単位時間当たりのパルス数(図5(A)~図5(C)参照)を、以下、単位時間パルス数Npと称する。また、上記した駆動周波数fdは、換言すると、被記録媒体(記録紙P)上の1画素に対する印刷動作の際の、駆動信号Sdの周波数に相当する。なお、この「1画素に対する印刷動作の際の駆動信号Sd」は、上記した図5(A)~図5(C)に示したように、「1ドロップ」の場合の波形だけでなく、「2ドロップ」や「3ドロップ」等の「マルチドロップ」の場合の波形も含む、1つの駆動信号を意味している。
【0041】
[C.プリンタ1の詳細構成]
続いて、図6を参照して、プリンタ1の詳細構成例について説明する。図6は、図2図4に示したインクジェットヘッド4を含むプリンタ1の詳細構成例を、ブロック図で表したものである。
【0042】
本実施の形態のプリンタ1は、これまでに説明した各部材(図1図4参照)に加え、図6に示したように、脱気装置11、溶存酸素量測定部12および印刷制御部13(ヘッド制御部)を備えている。なお、この図6の例では、これらの脱気装置11、溶存酸素量測定部12および印刷制御部13とともに、前述した搬送機構2a,2b、インクタンク3およびインクジェットヘッド4を図示している。
【0043】
(脱気装置11)
脱気装置11は、図6に示したように、インクタンク3内からインクジェットヘッド4内へとインク9を供給する際に(前述したインク供給管50の経路上において)、そのインク9に対する脱気処理を行う装置である。具体的には、この脱気装置11では、インク9中に溶存している気体(例えば酸素(O)など)を取り除く(脱気する)ようになっている。
【0044】
(溶存酸素量測定部12)
溶存酸素量測定部12は、図6に示したように、脱気装置11による脱気処理が行われた後のインク9中に溶存している、酸素の量(溶存酸素量DO)を測定するものである。このようにして溶存酸素量測定部12において測定された溶存酸素量DOの情報は、本実施の形態のプリンタ1では、後述する印刷制御部13へと出力されるようになっている。
【0045】
ここで、この溶存酸素量測定部12は、本開示における「測定部」の一具体例に対応している。また、溶存酸素量DOは、本開示における「溶存気体量」の一具体例に対応している。
【0046】
(印刷制御部13)
印刷制御部13は、プリンタ1における印刷動作の制御を行うものであり、プリンタ1における各種部材の制御を行うようになっている。具体的には、図6に示したように、印刷制御部13は、インクジェットヘッド4(後述する駆動部49)に対し、印刷データDpと、前述した単位時間パルス数Npおよび駆動周波数fdの情報とを、それぞれ供給する。また、印刷制御部13は、搬送機構2a,2bにおける記録紙Pの搬送速度Vtを制御する信号(搬送速度制御信号Sc)を、これら搬送機構2a,2bに対して供給する(図6参照)。それとともに、印刷制御部13は、搬送機構2a,2bにおける実際の搬送速度Vtの検出信号(搬送速度検出信号Svt)を、これら搬送機構2a,2bから取得するようになっている(図6参照)。
【0047】
ここで本実施の形態では、印刷制御部13は、インクタンク3内からインクジェットヘッド4内へ向けて供給されるインク9中の溶存酸素量DOに応じて、駆動信号Sdにおける単位時間パルス数Npを制御するようになっている。具体的には、図6に示したように、印刷制御部13は、上記した溶存酸素量測定部12により測定された溶存酸素量DOに応じて、単位時間パルス数Npを制御する。この際に印刷制御部13は、溶存酸素量DOに応じて駆動周波数fdを制御することによって、単位時間パルス数Npを制御するようになっている。
【0048】
また、印刷制御部13は、そのような駆動周波数fdの制御に伴い、溶存酸素量DOに応じて、前述した移動機構における移動速度(インクジェットヘッド4と記録紙Pとの相対的な移動速度)を制御する。具体的には、この例では図6に示したように、印刷制御部13は、上記した搬送速度制御信号Scを用いて、搬送機構2a,2bにおける搬送速度Vtを制御するようになっている。
【0049】
更に、印刷制御部13は、上記した搬送速度検出信号Svtを取得して、この搬送速度検出信号Svt(搬送機構2a,2bにおける実際の搬送速度Vt)を確認しつつ、駆動周波数fdを制御するようになっている(図6参照)。
【0050】
なお、このような印刷制御部13における各種制御の詳細は、後述する(図7)。
【0051】
ここで、上記した搬送速度Vtは、本開示における「移動速度」の一具体例に対応している。また、上記した搬送速度検出信号Svtは、本開示における「搬送速度の検出信号」の一具体例に対応している。
【0052】
[動作および作用・効果]
(A.プリンタ1の基本動作)
このプリンタ1では、以下のようにして、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。なお、初期状態として、図1に示した4種類のインクタンク3(3Y,3M,3C,3K)にはそれぞれ、対応する色(4色)のインク9が十分に封入されているものとする。また、インクタンク3内のインク9は、インク供給管50を介して、インクジェットヘッド4内に充填された状態となっている。
【0053】
このような初期状態において、プリンタ1を作動させると、搬送機構2a,2bにおけるグリッドローラ21がそれぞれ回転することで、グリッドローラ21とピンチローラ22と間に、記録紙Pが搬送方向d(X軸方向)に沿って搬送される。また、このような搬送動作と同時に、駆動機構63における駆動モータ633が、プーリ631a,631bをそれぞれ回転させることで、無端ベルト632を動作させる。これにより、キャリッジ62がガイドレール61a,61bにガイドされながら、記録紙Pの幅方向(Y軸方向)に沿って往復移動する。そしてこの際に、各インクジェットヘッド4(4Y,4M,4C,4K)によって、4色のインク9を記録紙Pに適宜吐出させることで、この記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作がなされる。
【0054】
(B.インクジェットヘッド4における詳細動作)
続いて、インクジェットヘッド4における詳細動作(インク9の噴射動作)について説明する。すなわち、このインクジェットヘッド4では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
【0055】
まず、駆動部49は、アクチュエータプレート42内の駆動電極Ed(共通電極Edcおよび個別電極Eda)に対し、駆動電圧Vd(駆動信号Sd)を印加する(図2図6参照)。具体的には、駆動部49は、吐出チャネルC1eを画成する一対の駆動壁Wdに配置された各駆動電極Ed(共通電極Edcおよび個別電極Eda)に対し、駆動電圧Vdを印加する。これにより、これら一対の駆動壁Wdがそれぞれ、その吐出チャネルC1eに隣接するダミーチャネルC1d側へ、突出するように変形する。
【0056】
このとき、駆動壁Wdにおける深さ方向の中間位置を中心として、駆動壁WdがV字状に屈曲変形することになる。そして、このような駆動壁Wdの屈曲変形により、吐出チャネルC1eがあたかも膨らむように変形する(図4中に示した膨張方向da参照)。このように、一対の駆動壁Wdでの圧電厚み滑り効果による屈曲変形によって、吐出チャネルC1eの容積が増大する。そして、吐出チャネルC1eの容積が増大することにより、インク9が吐出チャネルC1e内へ誘導されることになる。
【0057】
次いで、このようにして吐出チャネルC1e内へ誘導されたインク9は、圧力波となって吐出チャネルC1eの内部に伝播する。そして、ノズルプレート41のノズル孔Hnにこの圧力波が到達したタイミング(またはその近傍のタイミング)で、駆動電極Edに印加される駆動電圧Vdが、0(ゼロ)Vとなる。これにより、上記した屈曲変形の状態から駆動壁Wdが復元する結果、一旦増大した吐出チャネルC1eの容積が、再び元に戻ることになる(図4中に示した収縮方向db参照)。
【0058】
このようにして、吐出チャネルC1eの容積が元に戻る過程で、吐出チャネルC1e内部の圧力が増加し、吐出チャネルC1e内のインク9が加圧される。その結果、液滴状のインク9が、ノズル孔Hnを通って外部へと(記録紙P等へ向けて)吐出される(図2図4図6参照)。このようにしてインクジェットヘッド4におけるインク9の噴射動作(吐出動作)がなされ、その結果、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われることになる。
【0059】
(C.インク9中の溶存酸素量DOに応じた印刷動作の制御処理)
次に、図1図6に加えて図7を参照して、上記したインク9中の溶存酸素量DOに応じた、プリンタ1における印刷動作の際の制御処理(前述した単位時間パルス数Np,駆動周波数fd,搬送速度Vtの制御処理等)について、詳細に説明する。
【0060】
図7は、本実施の形態のプリンタ1における印刷動作の際の制御処理の一例を、流れ図で表したものである。
【0061】
この図7に示した一連の処理では、まず、溶存酸素量測定部12において、脱気装置11における脱気処理後のインク9中における溶存酸素量DOが、測定される(ステップS101)。次いで、印刷制御部13は、このようにして測定された溶存酸素量DOが、所定の閾値Dth1未満である(DO<Dth1)のか否かを、判定する(ステップS102)。
【0062】
ここで、溶存酸素量DOが閾値Dth1未満であると判定された場合には(ステップS102:Y)、インク9中の溶存酸素量DOが相対的に少量であることに相当し、印刷制御部13は、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtをそれぞれ、以下のように設定する。すなわち、印刷制御部13は、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtをそれぞれ、所定の規定値fdH,VtH(本来の値)のまま(変更しないで)、維持するようにする(ステップS103)。なお、その後は、後述するステップS107へと進むことになる。
【0063】
一方、溶存酸素量DOが閾値Dth1以上である(DO≧Dth1)と判定された場合には(ステップS102:N)、次に印刷制御部13は、以下のような判定を行う。すなわち、印刷制御部13は、この溶存酸素量DOが、閾値Dth1よりも大きい閾値Dth2(>Dth1)未満である(DO<Dth2)のか否かを、判定する(ステップS104)。
【0064】
なお、上記した閾値Dth1,Dth2はそれぞれ、本開示における「第1の閾値」および「第2の閾値」の一具体例に対応している。また、閾値Dth1は、一例として1.0~3.0[mg/L]程度であり、閾値Dth2は、一例として3.0~5.0[mg/L]程度である。
【0065】
ここで、溶存酸素量DOが閾値Dth2未満である(Dth1≦DO<Dth2)と判定された場合には(ステップS104:Y)、インク9中の溶存酸素量DOが相対的に中量であることに相当し、印刷制御部13は、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtをそれぞれ、以下のように制御する。すなわち、印刷制御部13は、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtをそれぞれ、上記した規定値fdH,VtHから非ゼロ値fdL,VtL(≠0)まで、低下させる(ステップS105)。なお、その後は、後述するステップS107へと進むことになる。
【0066】
一方、溶存酸素量DOが閾値Dth2以上である(DO≧Dth2)と判定された場合には(ステップS104:N)、インク9中の溶存酸素量DOが相対的に多量であることに相当し、印刷制御部13は、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtをそれぞれ、以下のように制御する。すなわち、印刷制御部13は、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtをそれぞれ、上記した規定値fdH,VtHからゼロ値(=0)まで、低下させる(ステップS106)。言い換えると、印刷制御部13は、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtをそれぞれ「0」に設定することで、プリンタ1における印刷動作(インクジェットヘッド4におけるインク9の噴射動作、および、搬送機構2a,2bにおける記録紙Pの搬送動作)を停止させる。なお、この場合、図7に示した一連の処理(印刷動作の際の制御処理)が終了となる。
【0067】
ここで、上記したステップS103,S105の後においては、印刷制御部13が搬送機構2a,2bから、前述した搬送速度検出信号Svt(実際の搬送速度Vtの検出信号)を取得する(ステップS107)。そして印刷制御部13は、この搬送速度検出信号Svtを確認しつつ、前述したプリンタ1における印刷動作の際の制御処理(単位時間パルス数Np,駆動周波数fd,搬送速度Vtの制御処理)を行う。言い換えると、印刷制御部13は、印刷データDp、単位時間パルス数Npおよび駆動周波数fdをそれぞれ駆動部49へ供給して、インクジェットヘッド4におけるインク9の噴射動作を制御する(図6参照)。それとともに、印刷制御部13は、搬送速度制御信号Scを搬送機構2a,2bへ供給して、搬送機構2a,2bにおける記録紙Pの搬送動作を制御する。このようにして印刷制御部13は、プリンタ1における印刷動作を実行させる(ステップS108)。
【0068】
以上で、図7に示した一連の処理(印刷動作の際の制御処理)が終了となる。
【0069】
(D.作用・効果)
このようにして本実施の形態のプリンタ1では、インク9中の溶存酸素量DOに応じて単位時間パルス数Npが制御されることで、インク9の噴射動作(印刷動作)が、溶存酸素量DOに応じて適切に制御されるようになる。
【0070】
ここで、プリンタ(液体噴射記録装置)では一般に、単位時間パルス数Npが高くなる(インクジェットヘッド内の複数のノズル孔ごとの駆動壁の駆動回数が増加する)のに従って、インクがより高頻度に撹拌されるため、インク中の溶存気体(例えば溶存酸素)が、気泡に変化し易くなってしまう。特に、水性インクに対応したインクジェットプリンタにおいては、水性インクに含まれる界面活性剤などの影響により、溶剤系のインクに比べて、気泡が発生する確率が高くなる傾向にある。このようにしてインク中に発生する気泡が多くなると、インクの噴射動作が不安定となり、印刷画質が低下してしまうおそれがある。ただし、インク中に発生する気泡が多くなった場合に、印刷動作自体を停止してしまうと、生産性が低下してしまうことになる。
【0071】
これに対して本実施の形態では、例えば、上記した単位時間パルス数Npが低下するように制御することで、インク9中の溶存酸素量DOが多い場合においても、インク9中の気泡の発生を抑制しつつ、インクジェットヘッド4を動作させることができる。すなわち、インク9中での気泡の発生を抑制できる範囲内で、印刷動作が停止せずに継続できるようになる。その結果、本実施の形態では、印刷動作の際の生産性を向上させることが可能となる。
【0072】
(実験例1,2)
ここで、図8は、本実施の形態の実験例1,2に係る実験結果を、表したものである。具体的には、この図8では、溶存酸素量DOの各測定値(=0.9,1.3,1.8,2.2,2.5,3.0,3.3,3.5,3.7[mg/L])の場合について、実験例1,2における印刷画質の判定結果を、それぞれ示している。実験例1では、駆動周波数fd=5[kHz](低周波数)に設定され、実験例2では、駆動周波数fd=10[kHz](高周波数)に設定されている。なお、これらの実験例1,2では、環境温度を25[℃]に設定し、一般的な水性顔料インクを使用した。
【0073】
ここで、実験例1,2では、詳細には以下の(1)~(4)の手順にて実施した。
(1)脱気装置を使用してインクに対する脱気処理を行い、脱気処理後のインクを、所定の容器(500[mL]の容器)内に収容する。
(2)この容器内のインク(脱気処理後のインク)を、インクジェットヘッド(「エスアイアイ・プリンテック製508GS」)へと供給し、このインクジェットヘッドからインクを、連続的に吐出させる。
(3)そのようなインクの吐出動作(噴射動作)の際に、2分ごとにノズル孔全体を観察し、「ノズル抜け」の発生状況を確認する。
(4)「ノズル抜け」の個数に応じて、印刷画質の判定結果を、3段階(○(A),△(B),×(C))で判定する。なお、インクの液滴が垂れるなど、明らかに測定できなくなった場合には、上記した「ノズル抜け」の発生状況の確認作業を、途中で終了する(測定の最長時間は、20分に設定した)。
【0074】
また、上記した印刷画質における3段階の判定内容は、具体的には以下の通りである。なお、図8中に示した実験例2における判定結果の一部は、上記した明らかに測定できない場合(確認作業を途中で終了した場合)に相当し、「-」で示している。
・「○(A)」…「ノズル抜け」の発生が無し(通常通りの印刷動作が可能な状況)
・「△(B)」…「ノズル抜け」が数個程度で発生(状況に応じて印刷動作が可能な状況)
・「×(C)」…「ノズル抜け」が多数(ブロック単位)で発生(印刷動作が不可能な状況)
【0075】
図8に示した実験例1,2では、実験例1,2の双方とも、溶存酸素量DOが増加していくのに従って、○(A),△(B),×(C)の順に判定結果が変化し、印刷画質が徐々に悪化していることが分かる。つまり、前述したように、インク中の溶存酸素量DO(インク中に発生する気泡)が多くなると、インクの噴射動作が不安定となり、印刷画質が低下してしまうことが確認された。また、実験例1,2同士を比較すると、駆動周波数fdが相対的に低く設定されている実験例1では、駆動周波数fdが相対的に高く設定されている実験例2と比べ、印刷画質の悪化の度合いが、緩やかに抑えられていることが分かる。つまり、前述したように、単位時間パルス数Npとしての駆動周波数fdが低下するように制御することで、インク中の溶存酸素量DOが多い場合においても、インク中の気泡の発生を抑制しつつ、印刷動作を継続させることが可能となることが確認された。
【0076】
本実施の形態ではまた、駆動周波数fdを制御することによって、上記した単位時間パルス数Npが制御されるようにしたので、この単位時間パルス数Npを容易に調整できるようになる。その結果、印刷動作の際の生産性を、簡易に向上させることが可能となる。
【0077】
更に、本実施の形態では、そのような駆動周波数fdの制御に伴い、インクジェットヘッド4と記録紙Pとの相対的な移動速度(搬送速度Vt)も、溶存酸素量DOに応じて制御されるようにしたので、インク9の噴射動作(印刷動作)が、より適切に制御されることになる。具体的には、例えば上記したようにして、駆動周波数fdが低下するように制御された場合に、それに伴って移動速度も低下するように制御されることで、印刷解像度の低下が抑えられる(望ましくは回避される)。その結果、印刷動作の際の生産性を向上させつつ、印刷画質の低下を抑えることが可能となる。
【0078】
加えて、本実施の形態では、溶存酸素量DOが閾値Dth1未満(相対的に少量)である場合には、駆動周波数fdおよび移動速度(搬送速度Vt)がそれぞれ、規定値fdH,VtH(本来の値)のまま維持されたうえで、印刷動作が行われることから、本来の印刷画質が担保されることになる。また、溶存酸素量DOが、閾値Dth1以上かつ閾値Dth2未満(相対的に中量)である場合には、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtそれぞれ、規定値fdH,VtHから非ゼロ値fdL,VtL低下したうえで、印刷動作が行われることから、以下のようになる。すなわち、上記したインク9中の気泡に起因したノズル抜けが発生しない程度に印刷速度を低下させて、印刷動作が停止せずに継続できるようになる。一方、溶存酸素量DOが閾値Dth2以上(相対的に多量)である場合には、駆動周波数fdおよび搬送速度Vtがそれぞれ、ゼロ値(「0」)に設定されて印刷動作が停止されることから、以下のようになる。すなわち、インク9中の気泡に起因したノズル抜けによって、印刷画質が大幅に低下する場合には、不要な印刷動作による無駄が回避され、生産性の低下が防止される。以上のことから、印刷動作の際の生産性を向上させつつ、印刷画質の低下を抑えることが可能となる。
【0079】
また、本実施の形態では、インクジェットヘッド4と記録紙Pとを相対的に移動させる移動機構として、記録紙Pを搬送する搬送機構2a,2bを含むようにすると共に、上記した移動速度を、搬送機構2a,2bにおける記録紙Pの搬送速度Vtとしたので、以下のようになる。すなわち、少なくとも記録紙P側を移動させて印刷動作を行うタイプのプリンタ(液体噴射記録装置)において、印刷動作の際の生産性を向上させることが可能となる。
【0080】
更に、本実施の形態では、搬送速度Vtの検出信号(搬送速度検出信号Svt)を確認しつつ、駆動周波数fdを制御するようにしたので、搬送機構2a,2bにおける実際の搬送速度Vtを考慮したうえで、駆動周波数fdを精度良く制御することができる。その結果、印刷動作の際の生産性を、更に向上させることが可能となる。
【0081】
加えて、本実施の形態では、脱気装置11による脱気処理が行われた後のインク9中における溶存酸素量DOを測定すると共に、そのようにして測定された溶存酸素量DOに応じて、単位時間パルス数Npを制御するようにしたので、以下のようになる。すなわち、インク9の噴射動作(印刷動作)が、その時々での溶存酸素量DOに応じて、より適切(タイムリー)に制御されることになる。その結果、印刷動作の際の生産性を、更に向上させることが可能となる。
【0082】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例について説明する。なお、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0083】
[A.構成]
図9は、変形例に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ1Aの構成例を、ブロック図で表したものである。この変形例のプリンタ1Aは、実施の形態のプリンタ1(図6参照)において、インクジェットヘッド4の代わりにインクジェットヘッド4Aを設けると共に、印刷制御部13の代わりに印刷制御部13Aを設けるようにしたものに対応している。
【0084】
なお、このインクジェットヘッド4Aは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0085】
この変形例のインクジェットヘッド4Aでは、図9に示したように、実施の形態のインクジェットヘッド4(図6参照)において、ヘッド制御部48を更に設けるようにしたものに対応している。
【0086】
ここで、本変形例のプリンタ1Aでは、実施の形態のプリンタ1(図6参照)とは異なり、溶存酸素量測定部12において測定された溶存酸素量DOが、印刷制御部13Aではなく、インクジェットヘッド4A内(上記したヘッド制御部48)へと供給されるようになっている(図9参照)。
【0087】
(ヘッド制御部48)
ヘッド制御部48は、インクジェットヘッド4A(駆動部49)の動作を制御するものである。具体的には図9に示したように、ヘッド制御部48は、インクタンク3内からインクジェットヘッド4A内へ向けて供給されるインク9中の溶存酸素量DO(溶存酸素量測定部12において測定された溶存酸素量DO)に応じて、単位時間パルス数Npを制御する。なお、このようにしてヘッド制御部48によって制御された単位時間パルス数Npの情報は、インクジェットヘッド4A内の駆動部49と、印刷制御部13Aとに、それぞれ出力されるようになっている(図9参照)。
【0088】
(印刷制御部13A)
印刷制御部13Aは、基本的には実施の形態の印刷制御部13と同様にして、印刷データDpを駆動部49に供給したり、プリンタ1Aにおける印刷動作の際の制御処理(駆動周波数fd,搬送速度Vtの制御処理等)を行うようになっている。ただし、この印刷制御部13Aは印刷制御部13とは異なり、上記したように、ヘッド制御部48から単位時間パルス数Npを取得するようになっており、駆動部49へは供給しない(単位時間パルス数Npの制御は行わない)ようになっている(図9参照)。なお、本変形例では駆動部49は、上記したように、ヘッド制御部48から単位時間パルス数Npを取得するようになっている。
【0089】
[B.作用・効果]
このような構成の変形例においても、基本的には実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。
【0090】
すなわち、本変形例のプリンタ1Aにおいても、実施の形態のプリンタ1と同様に、インク9中の溶存酸素量DOに応じて単位時間パルス数Npが制御されることで、インク9の噴射動作(印刷動作)が、溶存酸素量DOに応じて適切に制御されるようになる。これにより、本変形例においても実施の形態と同様に、インク9中での気泡の発生を抑制できる範囲内で、印刷動作が停止せずに継続できるようになる結果、印刷動作の際の生産性を向上させることが可能となる。
【0091】
また、特に本変形例では、インクジェットヘッド4A内のヘッド制御部48において、上記した制御(溶存酸素量DOに応じた単位時間パルス数Np等の制御)を行うようにしたので、以下のようになる。すなわち、実施の形態の場合(インクジェットヘッド4の外部の印刷制御部13において、上記した制御を行う場合)とは異なり、インクジェットヘッド4A内でそのような制御を実施できることから、印刷制御部13Aの構成を簡易なものとすることが可能となる。また、ヘッド制御部48において単位時間パルス数Npを制御できることから、例えば、複数種類の製品(インクジェットヘッドヘッド4Aの製品)同士で、上記した閾値(閾値Dth1や閾値Dth2)が異なるような場合であっても、以下のようになる。すなわち、そのような複数種類の製品同士での閾値の相違を、ユーザ(インクジェットヘッド4Aのユーザ)が認識しなくても済むようになる結果、ユーザの利便性を向上させることも可能となる。
【0092】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0093】
例えば、上記実施の形態等では、プリンタおよびインクジェットヘッドにおける各部材の構成例(形状、配置、材料、個数等)を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の形状や配置、材料、個数等であってもよい。また、上記実施の形態等で説明した各種パラメータの値や範囲、大小関係等についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の値や範囲、大小関係等であってもよい。
【0094】
具体的には、例えば、上記実施の形態等では、1列タイプ(複数のノズル孔Hnが1列に沿って配列されているタイプ)のインクジェットヘッドを例に挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、2列以上の複数列タイプのインクジェットヘッドであってもよい。また、ノズル孔Hnの形状についても、上記実施の形態等で説明したような円形状には限られず、例えば、三角形状等の多角形状や、楕円形状や星型形状などであってもよい。更に、上記実施の形態等では、本開示における「溶存気体量」の一例として、溶存酸素量DOを挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、インク9中における、酸素以外の他の気体の溶存量に応じて、上記実施の形態等で説明した各種の制御処理を行うようにしてもよい。
【0095】
また、インクジェットヘッドの構造としては、各タイプのものを適用することが可能である。すなわち、例えば、アクチュエータプレートにおける各吐出チャネルの延在方向の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。あるいは、例えば、各吐出チャネルの延在方向に沿ってインク9を吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。
【0096】
更には、プリンタの方式としても、上記実施の形態等で説明した方式には限られず、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)方式などの各種の方式を適用することが可能である。
【0097】
また、上記実施の形態等では、インクタンクとインクジェットヘッドとの間でインク9を循環させずに利用する、非循環式のインクジェットヘッドを例に挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、インクタンクとインクジェットヘッドとの間でインク9を循環させて利用する、循環式のインクジェットヘッドにおいても、本開示を適用することが可能である。
【0098】
加えて、上記実施の形態等では、インク9中の溶存酸素量DOに応じた印刷動作の際の制御処理(単位時間パルス数Np,駆動周波数fd,搬送速度Vtの制御処理等)について、具体例を挙げて説明したが、上記実施の形態等で挙げた手法には限られない。すなわち、他の手法を用いて、そのような溶存酸素量DO(溶存気体量)に応じた印刷動作の際の制御処理を行うようにしてもよい。具体的には、例えば、上記実施の形態等では、溶存酸素量DOに応じて駆動周波数fdを制御する手法を例に挙げて説明したが、この手法には限られず、溶存酸素量DOに応じて単位時間パルス数自体を(直接的に)制御するようにしてもよい。また、上記実施の形態等で説明した手法とは異なり、例えば、駆動周波数fdの制御に伴い、溶存酸素量DOに応じて移動速度(搬送速度Vt)を制御しないようにしてもよい。更に、上記実施の形態等で説明した手法とは異なり、例えば、搬送機構2a,2bにおける搬送速度Vtに加えて(あるいは代えて)、走査機構6における(インクジェットヘッド4の)走査速度を考慮して、移動速度を制御するようにしてもよい。加えて、上記実施の形態等で説明した手法とは異なり、例えば、搬送機構2a,2bおよび走査機構6のうちの一方のみで、移動機構を構成するようにしてもよい。また、上記実施の形態等で説明した手法とは異なり、例えば、搬送速度Vtの検出信号(搬送速度検出信号Svt)を確認しないで、駆動周波数fdを制御するようにしてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0100】
更に、上記実施の形態等では、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例として、プリンタ1(インクジェットプリンタ)を挙げて説明したが、この例には限られず、インクジェットプリンタ以外の他の装置にも、本開示を適用することが可能である。換言すると、本開示の「液体噴射ヘッド」(インクジェットヘッド)を、インクジェットプリンタ以外の他の装置に適用するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファクシミリやオンデマンド印刷機などの装置に、本開示の「液体噴射ヘッド」を適用するようにしてもよい。
【0101】
加えて、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0102】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0103】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
被記録媒体に対して印刷動作を行う液体噴射記録装置であって、
1または複数のパルスを有する駆動信号に基づいて、前記被記録媒体へ向けて液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する収容部と、
前記印刷動作の制御を行う印刷制御部と
を備え、
前記印刷制御部は、
前記収容部内から前記液体噴射ヘッド内へ向けて供給される前記液体中の溶存気体量に応じて、
前記駆動信号に含まれる単位時間当たりの前記パルスの個数である、単位時間パルス数を制御する
液体噴射記録装置。
(2)
前記印刷制御部は、
前記溶存気体量に応じて、前記被記録媒体上の1画素に対する前記印刷動作の際の前記駆動信号の周波数である、駆動周波数を制御することによって、
前記単位時間パルス数を制御する
上記(1)に記載の液体噴射記録装置。
(3)
前記印刷制御部は、
前記溶存気体量が第1の閾値未満である場合には、前記駆動周波数を規定値から変更しないで維持し、
前記溶存気体量が、前記第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、前記駆動周波数を、前記規定値から非ゼロ値(≠0)まで低下させ、
前記溶存気体量が前記第2の閾値以上である場合には、前記駆動周波数をゼロ値(=0)に設定する
上記(2)に記載の液体噴射記録装置。
(4)
所定の移動速度にて、前記液体噴射ヘッドと前記被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構を更に備え、
前記印刷制御部は、前記駆動周波数の制御に伴い、前記溶存気体量に応じて、前記移動機構における前記移動速度を制御する
上記(2)または(3)に記載の液体噴射記録装置。
(5)
前記印刷制御部は、
前記溶存気体量が第1の閾値未満である場合には、前記移動速度を規定値から変更しないで維持し、
前記溶存気体量が、前記第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、前記移動速度を、前記規定値から非ゼロ値(≠0)まで低下させ、
前記溶存気体量が前記第2の閾値以上である場合には、前記移動速度をゼロ値(=0)に設定する
上記(4)に記載の液体噴射記録装置。
(6)
前記移動機構が、前記被記録媒体を搬送する搬送機構を含んでおり、
前記移動速度が、前記搬送機構における前記被記録媒体の搬送速度である
上記(4)または(5)に記載の液体噴射記録装置。
(7)
前記印刷制御部は、
前記搬送機構における前記搬送速度の検出信号を取得すると共に、
前記搬送速度の検出信号を確認しつつ、前記駆動周波数を制御する
上記(6)に記載の液体噴射記録装置。
(8)
前記収容部内から前記液体噴射ヘッド内へと前記液体を供給する際に、前記液体に対する脱気処理を行う脱気装置と、
前記脱気装置による前記脱気処理が行われた後の前記液体中における前記溶存気体量を測定する測定部と
を更に備え、
前記印刷制御部は、前記測定部により測定された前記溶存気体量に応じて、前記単位時間パルス数を制御する
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の液体噴射記録装置。
(9)
液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
被記録媒体へ向けて前記液体を噴射する噴射部と、
1または複数のパルスを有する駆動信号に基づいて、前記噴射部から前記液体を噴射させる駆動部と、
前記液体噴射ヘッドの動作を制御するヘッド制御部と
を備え、
前記ヘッド制御部は、
前記液体を収容する収容部内から前記液体噴射ヘッド内へ向けて供給される前記液体中の溶存気体量に応じて、
前記駆動信号に含まれる単位時間当たりの前記パルスの個数である、単位時間パルス数を制御する
液体噴射ヘッド。
【符号の説明】
【0104】
1,1A…プリンタ、10…筺体、11…脱気装置、12…溶存酸素量測定部、13,13A…印刷制御部、2a,2b…搬送機構、21…グリッドローラ、22…ピンチローラ、3(3Y,3M,3C,3K)…インクタンク、4(4Y,4M,4C,4K),4A…インクジェットヘッド、41…ノズルプレート、42…アクチュエータプレート、43…カバープレート、48…ヘッド制御部、49…駆動部、50…インク供給管、6…走査機構、61a,61b…ガイドレール、62…キャリッジ、63…駆動機構、631a,631b…プーリ、632…無端ベルト、633…駆動モータ、9…インク、P…記録紙、d…搬送方向、Hn…ノズル孔、Sd…駆動信号、Vd…駆動電圧、C1…チャネル、C1e…吐出チャネル、C1d…ダミーチャネル(非吐出チャネル)、Wd…駆動壁、Ed…駆動電極、Eda…個別電極(アクティブ電極)、Edc…共通電極(コモン電極)、da…膨張方向、db…収縮方向、Dp…印刷データ、Np…単位時間パルス数、Td…駆動周期、fd…駆動周波数、Vt…搬送速度、fdH,VtH…規定値、fdL,VtL…非ゼロ値、Sc…搬送速度制御信号、Svt…搬送速度検出信号、DO…溶存酸素量、Dth1,Dth2…閾値、t…時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9