(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ブラインドの操作装置及びクラッチ装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20220715BHJP
A47H 5/02 20060101ALI20220715BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20220715BHJP
F16D 23/12 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
E06B9/322
A47H5/02
E06B9/68 Z
F16D23/12 L
(21)【出願番号】P 2018231758
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝明
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-220077(JP,A)
【文献】特開2009-297801(JP,A)
【文献】特開平09-047196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-99/00
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06- 9/50
E06B 9/56- 9/92
F16D 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインドの第1の動力伝達系と第2の動力伝達系を操作するための操作コードが巻き掛けられるプーリと、
前記プーリから回転が伝達される入力軸と、
前記入力軸と一体回転可能かつ前記入力軸の回転方向によって前記入力軸上を第1位置と第2位置との間で軸方向に摺動可能なクラッチと、
前記第1位置において前記クラッチと係合し、前記第1の動力伝達系に動力を伝達する第1クラッチ受けと、
前記第2位置において前記クラッチと係合し、前記第2の動力伝達系に動力を伝達する第2クラッチ受けと、
を備え、
前記入力軸には、前記クラッチが一方の前記クラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間を規制する規制部を設けたことを特徴とする、ブラインドの操作装置。
【請求項3】
前記入力軸は、前記入力軸と前記クラッチが一体回転を可能にするとともに前記入力軸の軸方向への移動を誘導する誘導片を有しており、
前記誘導片に前記第1、第2規制部を設けたことを特徴とする、請求項2に記載のブラインドの操作装置。
【請求項4】
前記第1、第2規制部は、前記誘導片の軸方向の端部に向かって傾斜していることを特徴とする、請求項3に記載のブラインドの操作装置。
【請求項5】
前記第1、第2規制部は、前記誘導片の軸方向に直交する方向に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のブラインドの操作装置。
【請求項6】
動力源から第1、第2の動力伝達系に伝達される動力を切り替えるクラッチ装置であって、
前記動力源から回転が伝達される入力軸と、
前記入力軸と一体回転可能かつ前記入力軸の回転方向によって前記入力軸上を第1位置と第2位置との間で軸方向に摺動可能なクラッチと、
前記第1位置において前記クラッチと係合し、前記第1の動力伝達系に動力を伝達する第1クラッチ受けと、
前記第2位置において前記クラッチと係合し、前記第2の動力伝達系に動力を伝達する第2クラッチ受けと、
を備え、
前記入力軸には、前記クラッチが一方のクラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間を規制する規制部を設けたことを特徴とする、クラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドの操作装置及びクラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインドの操作装置として、特開2011-220077号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に開示されるブラインドの操作装置は、操作力が伝達されて回転する操作軸と、操作軸と一体回転可能かつ操作軸上を軸方向に摺動可能なクラッチと、クラッチの軸方向両側にそれぞれ配置され、第1駆動軸に駆動力を伝達する第1伝達部材及び第2駆動軸に駆動力を伝達する第2伝達部材と、を有する。そして、操作軸の回転方向によってクラッチの摺動方向が決定され、操作軸上を摺動したクラッチが一方の伝達部材と係合することにより、操作軸の回転が一方の伝達部材を介していずれか一方の駆動軸に伝達される。
【0003】
これによれば、1本の操作コードで操作軸をいずれか一方に回転するように操作することにより、回転方向に応じて決定するクラッチの摺動方向によって、回転が伝達される伝達部材が切替わり、一方の駆動軸へ回転が伝達させることを1つのクラッチユニットで行うことができる。このため、操作装置の部品点数を削減でき、納まりも小さくすることができるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されるような従来のブラインドの操作装置では、クラッチと第1伝達部材又は第2伝達部材とが係合する位置で保持させるために、クラッチの外周面に形成される第1及び第2溝部に係合子が係合するように板バネで常時押圧させている。しかし、クラッチと伝達部材の係合に所定量以上の負荷がかかると、クラッチと伝達部材は離間する方向に動き、係合子は板バネの押圧力に抗して、溝部と係合子の係合が外れてしまい、クラッチの位置決めが解除されるおそれがあるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、クラッチの部分に所定量以上の負荷がかかってもクラッチの位置決めが解除されるおそれを低減させることの可能なブラインドの操作装置及びクラッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、ブラインドの第1の動力伝達系と第2の動力伝達系を操作するための操作コードが巻き掛けられるプーリと、前記プーリから回転が伝達される入力軸と、前記入力軸と一体回転可能かつ前記入力軸の回転方向によって前記入力軸上を第1位置と第2位置との間で軸方向に摺動可能なクラッチと、前記第1位置において前記クラッチと係合し、前記第1の動力伝達系に動力を伝達する第1クラッチ受けと、前記第2位置において前記クラッチと係合し、前記第2の動力伝達系に動力を伝達する第2クラッチ受けと、を備え、前記入力軸には、前記クラッチが一方の前記クラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間を規制する規制部を設けたことを特徴とする、ブラインドの操作装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、入力軸に、クラッチが一方のクラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間を規制する規制部を設けることで、クラッチとクラッチ受けが離間するのを防ぐことができ、確実にクラッチとクラッチ受けとが係合する位置で保持することができる。このようにして、クラッチの部分に所定量以上の負荷がかかってもクラッチの位置決めが解除されるおそれを低減させることが可能である。
【0009】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記クラッチは、前記規制部と係合する溝部を有しており、前記規制部には、前記クラッチと前記第1クラッチ受けとの離間を規制するために前記溝部と係合する第1規制部と、前記クラッチと前記第2クラッチ受けとの離間を規制するために前記溝部と係合する第2規制部と、を設けるようにしてもよい。かかる構成によれば、規制部に、クラッチと第1クラッチ受けとの離間を規制するために溝部と係合する第1規制部と、クラッチと第2クラッチ受けとの離間を規制するために溝部と係合する第2規制部を設けることで、クラッチが入力軸上をどちらの方向に移動しても、溝部と規制部が容易に係合することができる。
【0010】
また、前記入力軸は、前記入力軸と前記クラッチが一体回転を可能にするとともに前記入力軸の軸方向への移動を誘導する誘導片を有しており、前記誘導片に前記第1、第2規制部を設けるようにしてもよい。かかる構成によれば、入力軸に形成される誘導片に規制部を設けることで、部品点数を削減することができる。
【0011】
また、前記第1、第2規制部は、前記誘導片の軸方向の端部に向かって傾斜しているようにしてもよい。かかる構成によれば、クラッチを第1、第2規制部と係合する方向に誘導しやすく、更に第1、第2クラッチ受けの方向に誘導しやすい。
【0012】
また、前記第1、第2規制部は、前記誘導片の軸方向に直交する方向に形成されているようにしてもよい。かかる構成によれば、クラッチの案内溝が第1、第2規制部に面で接触するため、軸方向への移動を確実に規制できる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によれば、動力源から第1、第2の動力伝達系に伝達される動力を切り替えるクラッチ装置であって、前記動力源から回転が伝達される入力軸と、前記入力軸と一体回転可能かつ前記入力軸の回転方向によって前記入力軸上を第1位置と第2位置との間で軸方向に摺動可能なクラッチと、前記第1位置において前記クラッチと係合し、前記第1の動力伝達系に動力を伝達する第1クラッチ受けと、前記第2位置において前記クラッチと係合し、前記第2の動力伝達系に動力を伝達する第2クラッチ受けと、を備え、前記入力軸には、前記クラッチが一方のクラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間を規制する規制部を設けたことを特徴とする、クラッチ装置が提供される。
【0014】
かかる構成によれば、入力軸に、クラッチが一方のクラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間を規制する規制部を設けることで、クラッチとクラッチ受けが離間するのを防ぐことができ、確実にクラッチとクラッチ受けとが係合する位置で保持することができる。このようにして、クラッチの部分に所定量以上の負荷がかかってもクラッチの位置決めが解除されるおそれを低減させることが可能である。
【0015】
本発明の第2の観点においても、上記本発明の第1の観点と同様の応用が可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、クラッチの部分に所定量以上の負荷がかかってもクラッチの位置決めが解除されるおそれを低減させることの可能なブラインドの操作装置及びクラッチ装置を提供することができる。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ブラインド100の全体構成を示す正面図である。
【
図5】入力軸230を説明するための図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図6】入力軸230とクラッチ240の構成を説明するための図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-B断面図であり、(c)は(a)のB-B断面図において、クラッチ240が若干回転した状態である。
【
図7】操作装置200の動作を説明するための図であり、(a)はクラッチ240が第1クラッチ受け250と係合している状態を示し、(b)は案内溝240aと第1規制部230bが係合している状態を示す。
【
図8】操作装置200の動作を説明するための図であり、(a)はクラッチ240が第1クラッチ受け250から第2クラッチ受け260に移動途中の状態を示し、(b)は案内溝240aと第1、第2規制部230b、230cが係合していない状態を示す。
【
図9】操作装置200の動作を説明するための図であり、(a)はクラッチ240が第2クラッチ受け260と係合している状態を示し、(b)は案内溝240aと第2規制部230cが係合している状態を示す。
【
図10】ブラインド300を説明するための図であり、(a)はクラッチ340が第1クラッチ受け350に係合している状態を示し、(b)は案内溝340aと第1規制部330bが係合している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。まず、ブラインド100の構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のブラインド100の全体構成を示す正面図である。
図2は、ブラインド100の平面図である。
【0020】
ブラインド100は、
図1に示したように、ヘッドボックス110と、ヘッドボックス110に上端が連結される第1プリーツスクリーン120と、第1プリーツスクリーン120の下端に設けられる中間バー130と、中間バー130に上端が連結される第2プリーツスクリーン140と、第2プリーツスクリーン140の下端に設けられるボトムレール150と、中間バー130を昇降させる調光コード160と、ボトムレール150を昇降させる昇降コード170と、を主に備えて構成される。以下、各構成要素について説明する。
【0021】
(ヘッドボックス110)
ヘッドボックス110は、
図1に示したように、ブラケット111を介して図示していない窓枠や天井等に固定される。ヘッドボックス110内には、
図2に示したように、ボトムレール150を移動させる第1駆動軸180と、第1駆動軸180の前方に平行に配置され、中間バー130を移動させる第2駆動軸190と、が設けられる。ヘッドボックス110の右端部には、第1駆動軸180と第2駆動軸190とを操作可能な操作装置200が配置される。
【0022】
第1及び第2駆動軸180、190は、
図2に示したように、ヘッドボックス110の長手方向ほぼ全長にわたって設けられており、第1駆動軸180が後方に第2駆動軸190が前方になるように並設されている。第1及び第2駆動軸180、190は、第1及び第2巻取ドラム112、113を一体に回転するように挿通している。第1巻取ドラム112は、昇降コード170の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されている。よって、第1巻取ドラム112の回転により、ボトムレール150が昇降して第2プリーツスクリーン140が畳上げられたり展開したりする。第2巻取ドラム113は、調光コード160の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されている。よって、第2巻取ドラム113の回転により、中間バー130が昇降して第1プリーツスクリーン120が畳上げられたり展開したりする。
【0023】
さらに、第1及び第2駆動軸180、190には、
図2に示したように、第1及び第2駆動軸180、190の回転を拘束する第1及び第2ストッパ114、115と、第1及び第2駆動軸180、190の回転速度を減速させる第1及び第2ブレーキ116、117と、昇降コード170の巻解き量を規制することでボトムレール150の下限位置を決定する下限リミット118と、がさらに設けられる。
【0024】
(操作装置200)
操作装置200について、
図3~
図6を参照しながら説明する。
図3は、操作装置200の分解斜視図である。
図4は、操作装置200の分解平面図である。
図5は、入力軸230を説明するための図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA-A断面図である。
図6は、入力軸とクラッチの構成を説明するための図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-B断面図であり、(c)は(a)のB-B断面図において、クラッチ240が若干回転した状態である。
【0025】
操作装置200は、プーリ220から第1駆動軸180と第2駆動軸190に伝達される動力を切り替えるものである。操作装置200は、プーリ220から回転が伝達される入力軸230と、入力軸230と一体回転可能かつ入力軸230の回転方向によって入力軸230上を第1位置と第2位置との間で軸方向に摺動可能なクラッチ240と、第1位置においてクラッチ240と係合可能な第1クラッチ受け250と、第2位置においてクラッチ240と係合可能な第2クラッチ受け260と、を有する。
【0026】
(操作コード210)
操作コード210は、ブラインド100を操作するものである。操作コード210は、
図3及び
図4に示したように、無端状であり、プーリ220に巻き掛けられている。操作コード210は、プーリ220から垂下する一方を引き下げることによって中間バー130の昇降を操作し、他方を引き下げることによってボトムレール150の昇降を操作するものである。
【0027】
(プーリ220)
プーリ220は、操作コード210によって回転し入力軸230に回転を伝達するものである。プーリ220は、
図3及び
図4に示したように、中間ギア222を介して入力ギア224に回転を伝達可能である。入力ギア224は、入力軸230と一体に回転するように連結されている。
【0028】
(入力軸230)
入力軸230は、プーリ220からの回転が伝達されるものである。入力軸230は、
図3及び
図4に示したように、入力ギア224に一体回転するように連結されている。入力軸230には、入力ギア224側から順番に、第2クラッチ受け260、クラッチ240、第1クラッチ受け250が配設される。入力軸230は、第2クラッチ受け260及び第1クラッチ受け250に対して相対回転可能に貫通しているのに対して、クラッチ240に対して相対回転不能に貫通する。
【0029】
入力軸230は、
図5に示したように、円筒状の形状をしており、円周方向に3か所に径方向に突出する誘導片230aが設けられている。誘導片230aは軸方向に伸びており、クラッチ240の軸方向への移動を案内する。誘導片230aには、クラッチ240が第1クラッチ受け250及び第2クラッチ受け260のいずれか一方と係合しているときに、軸方向への離間を規制する第1規制部230b及び第2規制部230cが形成されている。第1規制部230b及び第2規制部230cは、誘導片230aの両端部において円周方向に突出するようにそれぞれ設けられている。第1規制部230b及び第2規制部230cは、誘導片230aの軸方向端部に向かって傾斜しており、クラッチ240を第1、第2規制部230b、230cと係合する方向に誘導しやすく、更に第1、第2クラッチ受け250、260の方向に誘導しやすくなっている。
【0030】
(クラッチ240)
クラッチ240は、入力軸230を第1位置と第2位置との間で摺動して、第1クラッチ受け250と第2クラッチ受け260と係合するものである。クラッチ240は、第1位置において第1規制部230bによって移動が規制され、第2位置において第2規制部230cによって移動が規制される。クラッチ240は、
図3及び
図4に示したように、軸方向両側面に、それぞれ円周方向に等間隔を空けて3個所に軸方向に突出する突起240b及び240cが形成される。各突起240b及び各突起240cは、それぞれ軸方向に直交する面に垂直な平面240d及び240eと、軸方向に直交する面に対して傾斜するテーパ面240f及び240gとを有している。
【0031】
また、クラッチ240の内周面には、円周方向に等間隔を空けて3個所に軸方向に伸びる案内溝240aが形成されている。案内溝240aは、
図6に示したように、入力軸230の誘導片230aにそれぞれ係合する。
【0032】
(第1クラッチ受け250)
第1クラッチ受け250は、第1駆動軸180に動力を伝達するものである。第1クラッチ受け250は、
図3及び
図4に示したように、クラッチ240との対向面に、軸方向に突出する突起250aが円周方向に等間隔を空けて3個所に形成されている。突起250aは、クラッチ240の回転方向に対応してクラッチ240の突起240bとそれぞれ係合する。各突起250aは、それぞれ軸方向に直交する面に垂直な平面250bと、軸方向に直交する面に対して傾斜するテーパ面250cとを有している。
【0033】
第1クラッチ受け250は、
図3及び
図4に示したように、ばね270を介して第1出力軸280と一体回転するように連結されている。第1クラッチ受け250と第1出力軸280とは、ばね270によって間隔が可変である。第1出力軸280には、第1駆動軸180が一体回転するように連結されている。
【0034】
(第2クラッチ受け260)
第2クラッチ受け260は、第2駆動軸190に動力を伝達するものである。第2クラッチ受け260は、
図3及び
図4に示したように、クラッチ240との対向面に、軸方向に突出する突起260aが円周方向に等間隔を空けて3個所に形成されている。突起260aは、クラッチ240の回転方向に対応してクラッチ240の突起240cとそれぞれ係合する。各突起260aは、それぞれ軸方向に直交する面に垂直な平面260bと、軸方向に直交する面に対して傾斜するテーパ面260cとを有している。
【0035】
第2クラッチ受け260には、
図3及び
図4に示したように、外周面にギヤ260dが形成されており、ギヤ260dは、第2出力軸290の外周面に形成されたギヤ290aに噛み合っている。第2出力軸290には、第2駆動軸190が一体に回転するように連結されている。
【0036】
以上、本実施形態のブラインド100の構成について説明した。以下、ブラインド100の動作について、
図7~
図9を参照しながら説明する。
【0037】
まず、第1駆動軸180を回転させて、昇降コード170を巻き取る場合について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、操作装置200の動作を説明するための図であり、(a)はクラッチ240が第1クラッチ受け250と係合している状態を示し、(b)は案内溝240aと第1規制部230bが係合している状態を示す。
【0038】
図7(a)に示したように、操作コード210の室内側(手前側)を引き下げる(
図7(a)の矢印Aの方向)操作をする。すると、プーリ220が回転し(
図7(a)の矢印Bの方向)、プーリ220に噛み合う中間ギア222がプーリ220とは逆方向(
図7(a)の矢印Cの方向)に回転する。中間ギア222と噛み合う入力ギア224は、プーリ220と同じ方向(
図9(a)の矢印Bの方向)に回転し、入力ギア224と一体に入力軸230、クラッチ240が回転する。
【0039】
このとき、クラッチ240は、
図7(a)に示したように、クラッチ240の平面240dが第1クラッチ受け250の平面250bと係合している。また、同時に、クラッチ240は、
図7(b)に示したように、第1規制部230bに当接している。よって、クラッチ240は、軸方向に移動することなく入力軸230と一体に回転する。クラッチ240と一体に第1出力軸280及び第1駆動軸180が回転し(
図7(a)のBの方向)、第1巻取ドラム112が昇降コード170を巻き取る。よって、第2プリーツスクリーン140が畳上げられる。クラッチ240と第2クラッチ受け260は離間しているため、第2クラッチ受け260には動力は伝達されない。
【0040】
操作コード210の操作を停止すると、第1ストッパ114により、第1駆動軸180の昇降コード170の巻解き方向への回転が規制される。第1ストッパ114によって第1駆動軸180の昇降コード170の巻解き方向の回転を許容させる場合には、操作コード210の室内側(手前側)を下方に少し引いて、第1駆動軸180を昇降コード170の巻取り方向に若干回転させ、第1ストッパ114を解除する。こうして、昇降コード170が第1巻取ドラム112から巻き解かれ、自重により第2プリーツスクリーン140を下降させていくことができる。
【0041】
下降時に、第1駆動軸180の回転は、第1出力軸280、第1クラッチ受け250、クラッチ240、入力軸230を介してプーリ220に伝達して、操作コード210が室内側において上方に移動する。このときの第1駆動軸180の回転方向は、
図7において、第1クラッチ受け250の突起250aの平面250bがクラッチ240の突起240bの平面240dに当接する方向となる。このため、クラッチ240と第1クラッチ受け250が係合した状態を保ちながら、第1駆動軸180からプーリ220へ回転が伝達され、操作コード210が移動する。下降を停止したいときに、操作者は、この操作コード210の移動に反する方向に操作コード210を引くことで、必然的に操作コード210は室内側が下方に引かれることになる。これによって、第1ストッパ114が係止状態に切り替わって、第1駆動軸180の回転を規制するので、第2プリーツスクリーン140は停止する。
【0042】
次に、第2駆動軸190を回転させて、調光コード160を動作させるために、クラッチ240を第1クラッチ受け250からの第2クラッチ受け260に係合させる動作について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、操作装置200の動作を説明するための図であり、(a)はクラッチ240が第1クラッチ受け250から第2クラッチ受け260に移動途中の状態を示し、(b)は案内溝240aと第1、第2規制部230b、230cが係合していない状態を示す。
【0043】
操作コード210の室外側(奥側)を引き下げる操作をすると、上記と反対のプーリ220の回転が入力軸230及びクラッチ240に伝達される。このとき、第1クラッチ受け250は第1ストッパ114の作用により、クラッチ240と同じ方向には回転できない。このため、クラッチ240は、
図8に示したように、テーパ面240fが第1クラッチ受け250のテーパ面250cによって第2クラッチ受け260方向に押し出されていく。
【0044】
クラッチ240の突起240bの先端が第1クラッチ受け250の次の突起250aの先端を乗り越える際に、第1クラッチ受け250がばね270の付勢力に抗して一時的にクラッチ240から離反してから、第1クラッチ受け250がクラッチ240に接近する方向へ摺動可能となっている。このため、クラッチ240の突起240bと第1クラッチ受け250の突起250aの先端同士が噛み合ってロックしてしまうことが阻止され、クラッチ240の回転と軸方向への摺動が確実に行われる。クラッチ240は、案内溝(溝部)240aが入力軸230の誘導片230aに案内されて第2クラッチ受け260と係合する位置まで軸方向(
図8(a)の矢印Dの方向)に摺動する。
【0045】
次に、第2駆動軸190を回転させて、調光コード160を巻き取る場合について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、操作装置200の動作を説明するための図であり、(a)はクラッチ240が第2クラッチ受け260と係合している状態を示し、(b)は案内溝240aと第2規制部230cが係合している状態を示す。
【0046】
引き続き、操作コード210の室外側を引き下げる(
図9(a)の矢印Aの方向)操作をする。すると、プーリ220が回転し(
図9(a)の矢印Cの方向)、プーリ220に噛み合う中間ギア222がプーリ220とは逆方向(
図9(a)の矢印Bの方向)に回転する。中間ギア222と噛み合う入力ギア224は、プーリ220と同じ方向(
図9(a)の矢印Cの方向)に回転し、入力ギア224と一体に入力軸230、クラッチ240、第2クラッチ受け260が回転する。第2クラッチ受け260に噛み合う第2出力軸290及び第2駆動軸190は、プーリ220とは逆方向(
図9(a)の矢印Bの方向)に回転する。
【0047】
クラッチ240の回転力は第2クラッチ受け260に伝達され、第1クラッチ受け250には伝達されず、プーリ220の回転が入力軸230、クラッチ240、第2クラッチ受け260、第2出力軸290を介して第2駆動軸190に伝達される。このときのプーリ220及び入力軸230の回転方向は、
図9(a)において、クラッチ240の平面240eが第2クラッチ受け260の平面260bに当接する方向となっているため、クラッチ240と第2クラッチ受け260が係合する。また、同時に、クラッチ240は、
図9(b)に示したように、第2規制部230cに当接している。よって、クラッチ240と第2クラッチ受け260が係合した状態を保ちながら、クラッチ240から第2クラッチ受け260、第2出力軸290及び第2駆動軸190へと回転が伝達される。
【0048】
こうして第2駆動軸190に伝達される回転により、調光コード160は第2巻取ドラム113に巻き取られ、第2プリーツスクリーン140を上昇させていくことができる。また、操作コード210の操作を停止すれば、第2ストッパ115により、第2駆動軸190の調光コード160の巻解き方向への回転が規制される。第2ストッパ115によって第2駆動軸190の調光コード160の巻解き方向の回転を許容させる場合には、操作コード210の室外側(奥側)を下方に少し引くことで、第2駆動軸190が少し調光コード160の巻取り方向に回転するので、第2ストッパ115が解除される。こうして、調光コード160が第1巻取ドラム112から巻き解かれ、自重により第2プリーツスクリーン140を下降させていくことができる。
【0049】
下降時に、第2駆動軸190の回転は、第2出力軸290、第2クラッチ受け260、クラッチ240、入力軸230を介してプーリ220に伝達して、操作コード210が室内側において下方に移動する。このときの第2駆動軸190の回転方向は、
図9(a)において、第2クラッチ受け260の突起260aの平面260bがクラッチ240の突起240bの平面240eに当接する方向となる。このため、クラッチ240と第2クラッチ受け260が係合した状態を保ちながら、第2駆動軸190からプーリ220へ回転が伝達され、操作コード210が移動する。下降を停止したいときに、操作者は、この操作コード210の移動に反する方向に操作コード210を引くことで、必然的に操作コード210は室外側が下方に引かれることになる。これによって、第2ストッパ115が係止状態に切り替わって、第2駆動軸190の調光コード160の巻解き方向の回転を規制するので、第2プリーツスクリーン140は停止する。
【0050】
以上の例は、ブラインドとしてプリーツスクリーンを例にとったが、これに限るものではなく、任意のブラインドに適用することができる。
【0051】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、入力軸230に、クラッチ240が第1クラッチ受け250及び第2クラッチ受け260のいずれか一方と係合しているときに、軸方向への離間を規制する第1規制部230b及び第2規制部230cを設けることで、クラッチ240と第1、第2クラッチ受け250、260が離間するのを防ぐことができる。よって、クラッチ240と第1、第2クラッチ受け250、260とが係合する位置でクラッチ240を確実に保持することができる。
【0052】
また、クラッチ240と第1クラッチ受け250との離間を規制するために案内溝240aと係合する第1規制部230bと、クラッチ240と第2クラッチ受け260との離間を規制するために案内溝240aと係合する第2規制部230cを設けることで、クラッチ240が入力軸230上をどちらの方向に移動しても、案内溝240aと第1、第2規制部230b、230cが容易に係合することができる。
【0053】
また、入力軸230に形成される誘導片230aに第1規制部230b及び第2規制部230cを設けることで、部品点数を削減することができる。
【0054】
また、第1規制部230b及び第2規制部230cは、誘導片230aの軸方向の端部に向かって傾斜しているように形成されているため、クラッチ240を第1規制部230b、第2規制部230cと係合する方向に誘導しやすく、更に第1クラッチ受け250、第2クラッチ受け260の方向に誘導しやすい。
【0055】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。まず、ブラインド300について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、第2の実施形態のブラインド300を説明するための図であり、(a)はクラッチ340が第1クラッチ受け350に係合している状態を示し、(b)は案内溝340aと第1規制部330bが係合している状態を示す。本実施形態は、第1、第2規制部330b、330cの構成が第1の実施形態と異なるものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0056】
本実施形態のクラッチ340、第1クラッチ受け350、第2クラッチ受け360は、第1の実施形態のクラッチ240、第1クラッチ受け250、第2クラッチ受け260に対応するため、説明を省略する。
【0057】
本実施形態の第1、第2規制部330b、330cについて、
図10を参照しながら説明する。なお
図10では、クラッチ340が第1クラッチ350に係合した状態を示すが、クラッチ340が第2クラッチ360に係合した状態も同様である。第1、第2規制部330b、330cは、
図10(b)に示したように、誘導片330aの軸方向に直交するように形成されている。よって、クラッチ340が、
図10(a)に示したように、第1クラッチ受け350に係合したときには、案内溝340aが第1規制部330bに面で接触して軸方向の移動が規制される。
【0058】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1、第2規制部330b、330cは、誘導片330aの軸方向に直交するように形成されている。このため、クラッチ340の案内溝340aが第1、第2規制部330b、330cに面で接触するため、軸方向への移動を確実に規制できる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
例えば、上記第1の実施形態では、クラッチ240は、規制部230b、230cと係合する案内溝240aを有しており、規制部230b、230cには、クラッチ240と第1クラッチ受け250との離間を規制するために案内溝240aと係合する第1規制部230bと、クラッチ240と第2クラッチ受け260との離間を規制するために案内溝240aと係合する第2規制部230cと、を設けたが、本発明はこの例に限定されない。クラッチが一方のクラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間が規制される構成であれば任意の設計とすることができる。第2の実施形態も同様である。
【0061】
また、上記第1の実施形態では、入力軸230は、入力軸230とクラッチ240が一体回転を可能にするとともに入力軸230の軸方向への移動を誘導する誘導片230aを有しており、誘導片230aに第1、第2規制部230b、230cを設けたが、本発明はこの例に限定されない。クラッチが入力軸と一体回転可能かつ入力軸の回転方向によって入力軸上を移動し、一方のクラッチ受けと係合しているときに、軸方向への離間が規制される構成であれば、任意の設計とすることができる。第2の実施形態も同様である。
【0062】
また、上記第1の実施形態では、第1、第2規制部230b、230cは、誘導片230aの軸方向の端部に向かって傾斜しており、上記第2の実施形態では、第1、第2規制部330b、330cは、誘導片330aの軸方向に直交する方向に形成されているが、本発明はこの例に限定されない。第1、第2規制部は、クラッチの軸方向への離間を規制する構成であれば、任意の設計とすることができる。
【0063】
以上説明した実施形態・応用例・変形例等は、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
100 ブラインド
110 ヘッドボックス
111 ブラケット
112 第1巻取ドラム
113 第2巻取ドラム
114 第1ストッパ
115 第2ストッパ
116 第1ブレーキ
117 第2ブレーキ
118 下限リミット
120 第1プリーツスクリーン
130 中間バー
140 第2プリーツスクリーン
150 ボトムレール
160 調光コード
170 昇降コード
180 第1駆動軸
190 第2駆動軸
200 操作装置
210 操作コード
220 プーリ
222 中間ギア
224 入力ギア
230、330 入力軸
230a、330a 誘導片
230b、330b 第1規制部
230c、330c 第2規制部
240、340 クラッチ
240a、340a 案内溝(溝部)
240b、240c 突起
240d、240e 平面
240f、240g テーパ面
250、350 第1クラッチ受け
250a 突起
250b 平面
250c テーパ面
260、360 第2クラッチ受け
260a 突起
260b 平面
260c テーパ面
260d ギヤ
270 ばね
280 第1出力軸
290 第2出力軸
290a ギヤ