(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】圧力スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 35/34 20060101AFI20220715BHJP
H01H 35/26 20060101ALN20220715BHJP
【FI】
H01H35/34 A
H01H35/26 A
(21)【出願番号】P 2019141049
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】湯口 史章
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍介
(72)【発明者】
【氏名】浅田 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 友和
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-002221(JP,A)
【文献】実開昭52-037270(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/34
H01H 35/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧室と高圧室とを仕切り当該高圧室の圧力変動により変位する感圧部材と、前記低圧室に設けられて前記感圧部材の変位に伴って移動する作動部材と、前記作動部材の移動に伴ってスイッチを切り替える切替手段と、前記作動部材の移動を前記切替手段に伝達する伝達部材と、前記感圧部材を前記高圧室に向かって付勢することで初期圧縮力を付加する付勢手段と、を備えた圧力スイッチであって、
前記付勢手段は、前記作動部材の移動方向と交差する交差面に沿うとともに前記作動部材に対して第1位置において付勢力を作用させる板ばねを有し、前記作動部材を介して前記板ばねの付勢力を前記感圧部材に作用させ、
前記伝達部材は、前記第1位置から離隔した第2位置にて前記作動部材の移動が伝達され
、
前記付勢手段は、前記板ばねの一端側が固定されるとともに他端側が移動自在に支持されることを特徴とする圧力スイッチ。
【請求項2】
前記板ばねの他端側には、前記感圧部材への付勢力を調節する調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項3】
前記板ばねは、前記作動部材を挿通させる挿通孔を有し、
前記作動部材は、前記挿通孔を貫通する軸部と、前記軸部よりも前記感圧部材側にて拡径された拡径部と、を有し、
前記第1位置は、前記板ばねにおける前記挿通孔の周辺部に対して前記作動部材の前記拡径部が当接する位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力スイッチ。
【請求項4】
前記板ばねの前記挿通孔の周辺部は、球面凹状に形成され、前記作動部材の拡径部は、球面凸状に形成され、前記周辺部と前記拡径部とが面接触または線接触で当接可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の圧力スイッチ。
【請求項5】
前記第1位置と前記第2位置とは、前記作動部材の移動方向に沿った直線上に設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の圧力スイッチ。
【請求項6】
前記伝達部材は、支点を中心に回動可能に設けられ、前記作動部材に対する作用点から前記支点までの第1作用距離よりも、前記切替手段に対する作用点から前記支点までの第2作用距離の方が大きく設定されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の圧力スイッチ。
【請求項7】
前記第1作用距離と前記第2作用距離との比が変更可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の圧力スイッチ。
【請求項8】
前記感圧部材は、金属製の薄板材から全体円板状に形成されるとともに、前記低圧室に向かって凸となるドーム状の凸状部を有したダイアフラムによって構成され、
前記作動部材は、前記凸状部に当接し前記ダイアフラムの変位に追従して移動可能に設けられ、
前記付勢手段によって前記凸状部を自然状態よりも前記高圧室の側に付勢した初期圧縮状態において、前記凸状部の前記低圧室の側への凸形状が維持されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の圧力スイッチ。
【請求項9】
前記ダイアフラムが前記初期圧縮状態を超えて前記高圧室の側に変位することを規制する変位規制手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の圧力スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧室と高圧室とを仕切り高圧室の圧力変動により変位するダイアフラムやベローズ等の感圧部材を備えた圧力スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルの圧縮機において冷媒等の流体の圧力を検出する圧力応動スイッチ(圧力スイッチ)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された圧力応動スイッチは、ベローズ(感圧部材)を有する継手ユニットと、コイルばね状の作動圧力調整ばね(付勢手段)及び作動レバー(切替手段)を有する作動部と、を備え、圧力変化によってベローズが変形した際に、作動レバーが作動圧力調整ばねのばね力に抗して回動し、スイッチのオンオフが切り換えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の圧力スイッチでは、付勢手段としてコイルばねを用いているため、コイルばねの軸方向においてスイッチ全体が大型化しやすいという不都合があった。また、単に付勢手段を小型化しようとすると、圧力スイッチを構成する各部材や、各部材間の当接部に対して局所的に大きな力が加わる可能性がある。この場合、大きな力が加わった部材が摩耗してスイッチの切替特性が変化してしまうおそれがある。このように、圧力スイッチを小型化しつつスイッチの切替特性の変化を低減することは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、小型化するとともにスイッチの切替特性の変化を低減することができる圧力スイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圧力スイッチは、低圧室と高圧室とを仕切り当該高圧室の圧力変動により変位する感圧部材と、前記低圧室に設けられて前記感圧部材の変位に伴って移動する作動部材と、前記作動部材の移動に伴ってスイッチを切り替える切替手段と、前記作動部材の移動を前記切替手段に伝達する伝達部材と、前記感圧部材を前記高圧室に向かって付勢することで初期圧縮力を付加する付勢手段と、を備えた圧力スイッチであって、前記付勢手段は、前記作動部材の移動方向と交差する交差面に沿うとともに前記作動部材に対して第1位置において付勢力を作用させる板ばねを有し、前記作動部材を介して前記板ばねの付勢力を前記感圧部材に作用させ、前記伝達部材は、前記第1位置から離隔した第2位置にて前記作動部材の移動が伝達され、前記付勢手段は、前記板ばねの一端側が固定されるとともに他端側が移動自在に支持されることを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、付勢手段が板ばねを有することにより圧力スイッチ全体の小型化を図ることができる。また、感圧部材の変位に伴って作動部材が移動するとともに、この移動が伝達部材によって切替手段に伝達され、このとき板ばねが作動部材に対して付勢力を作用させることで、伝達部材には付勢力が直接的に作用しない。これにより、板ばねによって作動部材に対して大きな付勢力が作用しても、伝達部材や伝達部材に当接する部材の摩耗を抑制することができ、スイッチの切替特性の変化を低減することができる。
【0008】
この際、前記板ばねの他端側には、前記感圧部材への付勢力を調節する調節手段が設けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、調節手段によって付勢手段の付勢力を調節することで、感圧部材の押圧力を調節することができ、検知する圧力値の範囲を調整することができる。従って、感圧部材の仕様が同一であっても、低圧から高圧までの広い圧力検知範囲に対応可能な圧力スイッチを構成することができる。また、感圧部材の加工精度等による剛性のばらつきがある場合であっても、調節手段によって付勢手段の付勢力を調節することで、所定の圧力値に合わせて感圧部材の押圧力を調節することができ、検知精度を向上させることができる。
【0010】
また、前記板ばねは、前記作動部材を挿通させる挿通孔を有し、前記作動部材は、前記挿通孔を貫通する軸部と、前記軸部よりも前記感圧部材側にて拡径された拡径部と、を有し、前記第1位置は、前記板ばねにおける前記挿通孔の周辺部に対して前記作動部材の前記拡径部が当接する位置であることが好ましい。この構成によれば、板ばねによって作動部材に付勢力を作用させやすくすることができる。
【0011】
さらに、前記板ばねの前記挿通孔の周辺部は、球面凹状に形成され、前記作動部材の拡径部は、球面凸状に形成され、前記周辺部と前記拡径部とが面接触または線接触で当接可能に構成されていることが好ましい。この構成によれば、板ばねの挿通孔の周辺部と作動部材の拡径部とを安定して当接させることができ、板ばねの付勢力を作動部材に作用させやすくすることができる。
【0012】
また、前記第1位置と前記第2位置とは、前記作動部材の移動方向に沿った直線上に設けられていることが好ましい。この構成によれば、移動方向との直交平面内において第1位置と第2位置とがずれることによって作動部材に作用するせん断応力を低減することができる。
【0013】
また、前記伝達部材は、支点を中心に回動可能に設けられ、前記作動部材に対する作用点から前記支点までの第1作用距離よりも、前記切替手段に対する作用点から前記支点までの第2作用距離の方が大きく設定されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、支点を中心に回動可能な伝達部材によって作動部材の移動を切替手段に伝達するとともに、第1作用距離よりも第2作用距離の方が大きく設定されていることで、作動部材の移動量を増幅して切替手段に伝達することができる。従って、伝達部材を介して移動量が拡大されることで、切替手段で検知する圧力値の範囲を拡大することができるとともに、より一層検知精度を向上させることができる。なお、第1作用距離および第2作用距離は、それぞれ梃子における力点またな作用点と支点との間のモーメント・アーム(支点から力のベクトルに直交する垂線の距離)を意味し、梃子の原理によって、作動部材の移動(または、作動部材からの力)が伝達部材を介して切替手段に増幅された移動量として(力は減縮されて)伝達される構成となっている。
【0015】
さらに、前記第1作用距離と前記第2作用距離との比が変更可能に構成されていることが好ましい。この構成によれば、検知しようとする圧力値に応じて移動量の増幅率を変更することができ、圧力検知範囲を広くすることができる。
【0016】
また、前記感圧部材は、金属製の薄板材から全体円板状に形成されるとともに、前記低圧室に向かって凸となるドーム状の凸状部を有したダイアフラムによって構成され、前記作動部材は、前記凸状部に当接し前記ダイアフラムの変位に追従して移動可能に設けられ、前記付勢手段によって前記凸状部を自然状態よりも前記高圧室の側に付勢した初期圧縮状態において、前記凸状部の前記低圧室の側への凸形状が維持されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、感圧部材が低圧室に向かって凸となるドーム状の凸状部を有したダイアフラムによって構成され、初期圧縮状態において凸状部が低圧室の側への凸形状を維持していることで、ダイアフラムは反転動作を起こさず、ダイアフラムは、常に低圧室の側に凸な形状のままで変位することができる。従って、反転動作による大きな入切差が生じないことで、切り替え時の圧力値の検知精度を高めることができるとともに、ダイアフラムにおける局部的な変形や応力集中が生じにくくなり、製品の高圧対応化や長寿命化を図ることができる。
【0018】
また、前記ダイアフラムが前記初期圧縮状態を超えて前記高圧室の側に変位することを規制する変位規制手段を備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、変位規制手段によってダイアフラムの変位を規制することで、初期圧縮状態を超えて高圧室の側に大きく変位すること防ぎ、ダイアフラムの凸状部が反転動作することが防止できる。さらに、初期圧縮状態で変位が規制されたダイアフラムに対して付勢手段の付勢力をさらに加え、この追加付勢力を変位規制手段に支持させるようにすることで、変位規制手段に作用する追加付勢力の分だけダイアフラムの変位開始圧力を高めることができる。従って、同一仕様のダイアフラムを用いた場合であっても、より高圧領域の圧力検知に対応させることができ、圧力スイッチの適応範囲を拡大することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の圧力スイッチによれば、付勢手段が板ばねによって作動部材に付勢力を作用させることにより、小型化するとともにスイッチの切替特性の変化を低減することができる
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る圧力スイッチを示す断面図である。
【
図2】前記圧力スイッチの動作を示す断面図である。
【
図3】前記圧力スイッチの作動部材および付勢手段を示す斜視図である。
【
図4】前記圧力スイッチの前記作動部材、前記付勢手段および伝達部材を示す斜視図である。
【
図5】前記作動部材と前記付勢手段との当接態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る圧力スイッチについて、
図1~
図6を参照して説明する。本実施形態の圧力スイッチ1は、
図1に示すように、全体箱状のケース2と、ケース2の上部に設けられる切替手段としてのマイクロスイッチ3と、ケース2の下部に固定されるダイアフラムアッセンブリ4と、を備える。さらに、圧力スイッチ1は、ダイアフラムアッセンブリ4に対して上下方向に進退自在に支持された作動部材5と、作動部材5の移動をマイクロスイッチ3に伝達する伝達部材6と、ダイアフラムアッセンブリ4のダイアフラム(感圧部材)44を付勢して初期圧縮力を付加する付勢手段としての板ばね7と、板ばね7の付勢力を調節する調節手段8と、を備える。
【0023】
ケース2は、金属製のベース体21と、ベース体21を内部に保持する箱体22と、箱体22の上部開口を塞いで取り付けられる蓋体23と、を備えている。ベース体21は、
図3、4にも示すように、有底円筒状の筒状部21aと、筒状部21aの上端に連続して水平方向外方に延びる平板部21bと、平板部21bの両端縁から上方に立設された一対の立設板部21cと、を有して一体に形成されている。筒状部21aの内部にはダイアフラムアッセンブリ4が支持されるとともに、筒状部21aの底面中央に設けられた開口を通してダイアフラムアッセンブリ4に継手部材Pが接続されている。
【0024】
箱体22は、全体角筒状に形成されるとともに、その底面部22aに設けられた円形の開口に筒状部21aが挿通されてベース体21が保持されている。箱体22の側面部22bには、複数の係止部22cが形成されている。蓋体23は、天板部23aと、側面部22bに沿って箱体22に挿入される四角環状の環状部23bと、環状部23bの四隅から下方に延びてベース体21の平板部21bに当接する垂下片部23cと、を有して形成されている。環状部23bには、箱体22の係止部22cに係止する係止爪23dが設けられている。箱体22の側面部22bの内面には、環状部23bと密接する環状の止水部23eが設けられている。
【0025】
マイクロスイッチ3は、ケース2の蓋体23内部に設けられ、蓋体23の内部にて上下に対向して設けられる一対の固定電極31,32と、上下の固定電極31,32間を移動自在に設けられる可動電極33と、を備える。さらに、マイクロスイッチ3は、一対の固定電極31,32に接続されて蓋体23の外部に延びる一対の第1端子34、34´と、可動電極33が接合される板ばねからなる導通部材35と、導通部材35に接続されて蓋体23の外部に延びる第2端子36と、上側の固定電極31の位置を調節するための調節ねじ37と、を備える。導通部材35は、第2端子36から延びて先端に可動電極33が固定される導通片35aと、第2端子36から延びて中間部に伝達部材6が接続される可動片35bと、可動電極33を固定電極31,32のいずれかに向けて付勢するスナップ片35cと、を有している。このマイクロスイッチ3は、上側の固定電極31に可動電極33が当接してこれらが導通される低圧状態と、下側の固定電極32に可動電極33が当接してこれらが導通される高圧状態と、を検出し、この導通状態の違いによってスイッチを切り替えるように構成されている。
【0026】
ダイアフラムアッセンブリ4は、ベース体21の筒状部21aに支持される上保持板41および下保持板42と、上保持板41と下保持板42との間に保持されるスペーサ43、ダイアフラム44および底板部材45と、を備える。上保持板41は、全体円盤状に形成されるとともに、その中心部を上下に貫通して作動部材5を挿通させて上下に案内する挿通孔41aを有して形成されている。下保持板42は、全体円筒状に形成されるとともに、スペーサ43、ダイアフラム44および底板部材45を保持するための段部42aと、上向きに延びて上保持板41を加締め固定するためのかしめ片42bと、を有して形成されている。ダイアフラムアッセンブリ4は、上保持板41と下保持板42の段部42aとの間にスペーサ43、ダイアフラム44および底板部材45を挟み、かしめ片42bを内側に向かって加締めることで、ダイアフラム44および底板部材45の周縁部が上保持板41と下保持板42の間に保持されている。
【0027】
ダイアフラム44は、複数枚の金属製薄板材を重ねて全体円板状に形成されるとともに、自然状態において上方に向かって凸となるドーム状の凸状部44aを有して構成されている。底板部材45は、全体円板状の金属板材から中央部が下方に向かって膨らんだ皿状に形成され、その中央部には継手部材Pが固定される貫通孔45aが形成されている。ダイアフラム44と底板部材45は気密性および耐圧性を確保できるように溶接等により互いに接合されている。このダイアフラムアッセンブリ4では、ダイアフラム44と底板部材45とによって囲まれた空間によって高圧室46が形成され、この高圧室46に継手部材Pを介して高圧流体が流入するようになっている。また、ダイアフラム44とスペーサ43と上保持板41とによって囲まれた空間によって低圧室47が形成され、この低圧室47は、挿通孔41aを通して箱体22の内部空間に連通されることで、大気圧と同等の内圧になっている。従って、高圧室46に流入した高圧流体の圧力変動に応じて感圧部材であるダイアフラム44が上下に変位するように構成されている。
【0028】
作動部材5は、上下に延びて上保持板41の挿通孔41aに挿通される第1軸部51と、上保持板41の上面に沿って水平方向に拡径された拡径部52と、拡径部52から上方に延びる第2軸部53と、を有して形成されている。作動部材5は、第1軸部51が挿通孔41aに案内されることで上下方向に進退自在に支持され、第1軸部51の下端がダイアフラム44の凸状部44aの中心に当接するように設けられている。従って、ダイアフラム44の変位に伴って作動部材5が上下移動するとともに、板ばね7の付勢力を受けた作動部材5によってダイアフラム44を高圧室46に向かって付勢することで、ダイアフラム44に初期圧縮力を付加するように構成されている。
【0029】
拡径部52は、その下面が上保持板41の上面に当接可能に設けられ、この当接位置よりも下方への作動部材5の移動を規制するために設けられる。従って、ダイアフラム44が初期圧縮状態を超えて高圧室46の側に変位することが規制されている。すなわち、拡径部52によって変位規制手段が構成されている。拡径部52の上面には、
図5にも示すように、上方に球面凸状な球状部52aが設けられ、この球状部52aが板ばね7に当接するようになっている。すなわち、球状部52aと板ばね7とが当接して付勢力が作用する位置が第1位置となる。また、第2軸部53は、その上端が球面状に面取りされており、この上端が後述の伝達部材6の被当接部61cに当接するようになっている。すなわち、第2軸部53の上端と伝達部材6の被当接部61cとが当接して移動が伝達される位置が第2位置となる。
【0030】
上記のように付勢力が作用する第1位置と移動が伝達される第2位置とは、互いに離隔するとともに、第1軸部51および第2軸部53の軸方向において並んでいる。即ち作動部材5の移動方向に沿った直線上に設けられている。
【0031】
伝達部材6は、金属板材から形成された第1伝達部材61と、第2伝達部材62と、第1伝達部材61を回動自在に支持する軸部材63と、を有して構成されている。第1伝達部材61は、板ばね7を挟んでダイアフラムアッセンブリ4の上方に対向する対向板部61aと、対向板部61aの両側端縁から上下に延びる左右一対の支持板部61bと、を有して形成されている。対向板部61aには、作動部材5の第2軸部53が下方から当接する被当接部61cと、第2伝達部材62が接続される接続部61dと、が設けられている。一対の支持板部61bには、それぞれ軸部材63が挿通可能な2つの軸支孔61e、61fが設けられている。軸部材63は、軸支孔61eまたは軸支孔61fに挿通された両端部の先端がベース体21の立設板部21cに連結され、この軸部材63によって第1伝達部材61がベース体21に対して回動自在に支持されている。第2伝達部材62は、接続部61dから上方に延び、その上端部がマイクロスイッチ3の導通部材35の可動片35bに係合している。
【0032】
板ばね7は、
図3に示すように、平面視三角形状に形成され、その一辺と両端角を含んだ部分からなる一端部71がベース体21の立設板部21cに固定され、他の一角を含んだ部分からなる他端部72が調節手段8に連結されている。板ばね7の平面視略中央部には、作動部材5の第2軸部53を挿通させる挿通孔73が設けられ、この挿通孔73の周辺部下面73aに対して作動部材5の球状部52aが当接するようになっている。このとき、周辺部下面73aは球面凹状に形成され、周辺部下面73aと球状部52aとが面接触または線接触で当接する。
【0033】
調節手段8は、ベース体21の平坦部21bを貫通する調節ねじ81と、板ばね7の上面に当接して設けられて板ばね7を貫通した調節ねじ81に螺合するスライダ82と、を有して構成されている。調節ねじ81は、箱体22とベース体21とを組み付ける前に、平板部21bの下側から回転操作可能であり、スライダ82は、ケース2の内部に回転不能かつ上下スライド可能に支持されている。調整ねじ81を回転させることで、スライダ82が上下移動するように構成されている。従って、調節ねじ81を締め込んでスライダ82を下方に移動させると、板ばね7の他端部72を下降させ、調節ねじ81を緩めてスライダ82を上方に移動させると、板ばね7の他端部72を上昇させ、これにより板ばね7の付勢力が調整されるようになっている。このような板ばね7の付勢力は、作動部材5を介してダイアフラム44に伝達され、ダイアフラム44の凸状部44aが下方に押圧されることで初期圧縮力が付加される。
【0034】
以上の圧力スイッチ1の動作について
図1、2を参照しつつ説明する。尚、
図1は、高圧室46の冷媒圧が第1閾値よりも低い低圧状態における圧力スイッチ1を示す図であり、
図2は、高圧室46の冷媒圧が第2閾値よりも高い高圧状態における圧力スイッチ1を示す図である。
【0035】
図1に示す低圧状態においては、板ばね7の付勢力が作動部材5に作用することにより、この付勢力が作動部材5を介してダイアフラム44に作用し、凸状部44aが下方に押圧されてダイアフラム44が下方に変位する。このとき、第2伝達部材62が下方に位置することから、マイクロスイッチ3の導通片35aがスナップ片35cによって上向きに付勢され、導通片35aに固定されている可動電極33が上側の固定電極31に当接する。これにより低圧状態であることが検出される。一方、ダイアフラム44は、自然状態から下方に所定の初期変位量だけ変位し、この変位量に応じた初期圧縮力が付加される。このような初期圧縮状態において、ダイアフラム44の凸状部44aは、高圧室46の側に反転することなく、低圧室46の側への凸形状が維持されている。また、低圧状態においては、作動部材5の拡径部52の下面が上保持板41の上面に当接する。
【0036】
次に、高圧室46の冷媒圧が上昇してダイアフラム44に圧力が作用すると、ダイアフラム44の変位に伴って作動部材5が板ばね7の付勢力に逆らいつつ上方に移動し、第1伝達部材61が軸部材63を中心に回動し、この第1伝達部材61を介して第2伝達部材62が上方に移動する。第2伝達部材62が上方に移動しても、マイクロスイッチ3のスナップ片35cの変形量が一定量に達するまでは、スナップ片35cによって上向きに付勢された導通片35aに固定された可動電極33が上側の固定電極31に当接し、これにより低圧状態であることが検出され続ける。
【0037】
さらに、高圧室46の冷媒圧が上昇して第2閾値を超えると、
図2に示すように、ダイアフラム44の変位の増大に伴って第2伝達部材62がさらに上方に移動し、変形量が一定量を超えたスナップ片35cが反転して下向きの付勢力が導通片35aに作用し、導通片35aに固定された可動電極33が下側の固定電極32に当接する。可動電極33と下側の固定電極32とが導通されることで、冷媒圧が第2閾値を超えて高圧状態に切り替わったことがマイクロスイッチ3によって検出される。ここで、高圧室46の冷媒圧が第2閾値よりも低下して第2伝達部材62が下方に移動し始めたとしても、スナップ片35cは即座に逆反転せず若干の遅れをもって逆反転する。すなわち、圧力上昇時の作動位置(スナップ片35cの反転位置)の変位および圧力は、圧力下降時の作動位置(スナップ片35cの逆反転位置)の変位および圧力よりも若干大きくなるように、スナップ片35cの形状および付勢力が設定されている。
【0038】
以上のような圧力スイッチ1の動作における板ばね7の変形態様について説明する。まず、
図1に示す低圧状態においては、作動部材5の第1軸部51および第2軸部53の軸方向に略直交する平面に沿って延在している。即ち、板ばね7は、作動部材5の移動方向と略直交する直交面(交差面)に沿っている。低圧状態から作動部材5が移動する際、板ばね7は、両側の端部71、72が保持されて移動不能となっていることから、受圧位置である第1位置を中心として上方に凸となるように撓み変形する。尚、低圧状態において、板ばね7は平板状態から多少上方に凸に変形していてもよい。
【0039】
以上のような圧力スイッチ1の動作における伝達部材6による伝達機構を
図6(A)、(B)に基づいて説明する。
図6(A)は、支持板部61bにおける2つの軸支孔61e、61fのうち右側の軸支孔61eに軸部材63を挿通した様子を示している。対向板部61aは、軸部材63の中心を支点として回動可能に設けられており、第2軸部53との当接位置である第2位置が作動部材5に対する作用点となり、支点から作動部材5に対する作用点までの距離を第1作用距離L1とする。
【0040】
対向板部61aのうち第2伝達部材62との接続部分が、切替手段としてのマイクロスイッチ3に対する作用点となり、支点からマイクロスイッチ3に対する作用点までの距離を第2作用距離L2とする。尚、作用距離L1、L2は、支点から各作用点の中心までの距離を指し、梃子における力点や作用点と支点との間のモーメント・アーム(支点から力のベクトルに直交する垂線の距離)を意味する。
【0041】
第2作用距離L2は、第1作用距離L1よりも大きく(L1<L2)設定されている。従って、ダイアフラム44の変位によって作動部材5が上下移動する移動量よりも、第2伝達部材62の移動量が大きくなり、ダイアフラム44の変位が第1伝達部材61により増幅されてマイクロスイッチ3に伝達されるようになっている。
【0042】
図6(B)は、支持板部61bにおける2つの軸支孔61e、61fのうち左側の軸支孔61fに軸部材63を挿通した様子を示している。左側の軸支孔61fを用いた場合の第1作用距離L3は、右側の軸支孔61eを用いた場合の第1作用距離L1よりも、軸支孔61e、61f間の中心間距離だけ大きい。また、左側の軸支孔61fを用いた場合の第2作用距離L4は、右側の軸支孔61eを用いた場合の第2作用距離L2よりも、軸支孔61e、61f間の中心間距離だけ大きい。
【0043】
左側の軸支孔61fを用いた場合においても、第2作用距離L4が第1作用距離L3よりも大きく(L3<L4)設定されている。左側の軸支孔61fを用いた場合の移動量の増幅率(L4/L3)は、右側の軸支孔61eを用いた場合の移動量の増幅率(L2/L1)よりも小さい。このように、左側の軸支孔61fを用いた場合と右側の軸支孔61eを用いた場合とで第1作用距離と第2作用距離との比が異なり、いずれを用いるかによってこの比が変更可能となっている。
【0044】
以上の本実施形態によれば、付勢手段として板ばね7を用いることにより、圧力スイッチ1全体の小型化を図ることができ、特に作動部材5の移動方向において小型化しやすい。また、板ばね7が作動部材5に対して付勢力を作用させ、伝達部材6には付勢力が直接的に作用しないことで、板ばね7によって作動部材5に対して大きな付勢力が作用しても、伝達部材6の被当接部61cと作動部材5の第2軸部53とが当接する部分における摩耗を抑制することができる。また、軸部材63と2つの軸支孔61e、61fとの摩耗も同時に抑制することができる。これにより、マイクロスイッチ3の切替特性の変化を低減することができる。
【0045】
また、板ばね7の一端部71が固定されるとともに他端部72に調節手段8が設けられていることで、板ばね7の付勢力を調節することによりダイアフラム44の押圧力を調節することができ、検知する圧力値の範囲を調整することができる。従って、ダイアフラム44の仕様が同一であっても、低圧から高圧までの広い圧力検知範囲に対応可能な圧力スイッチ1を構成することができる。また、ダイアフラム44の加工精度等による剛性のばらつきがある場合であっても、調節手段8によって付勢手段の付勢力を調節することで、所定の圧力値に合わせてダイアフラム44の押圧力を調節することができ、検知精度を向上させることができる。
【0046】
また、板ばね7が挿通孔73を有するとともに作動部材5が第2軸部53および拡径部52を有し、挿通孔73の周辺部下面73aに対して拡径部52が当接することで、板ばね7によって作動部材5に付勢力を作用させやすくすることができる。
【0047】
さらに、板ばね7の挿通孔73の周辺部下面73aが球面凹状に形成されるとともに拡径部52の上面に球面凸状の球状部52aが形成され、周辺部下面73aと球状部52aとが面接触または線接触で当接可能となっていることで、周辺部下面73aと球状部52aとを安定して当接させることができ、板ばね7の付勢力を作動部材5に作用させやすくすることができる。
【0048】
また、板ばね7が作動部材5に対して付勢力を作用させる第1位置と、作動部材5の移動が伝達部材6に伝達される第2位置と、が作動部材5の移動方向に沿った直線上に設けられていることで、移動方向との直交平面内において第1位置と第2位置とがずれることによって作動部材5に作用するせん断応力を低減することができる。
【0049】
また、伝達部材6が軸部材63を中心に回動可能に設けられ、作動部材5に対する作用点から軸部材63までの第1作用距離L1(L3)よりも、マイクロスイッチ3に対する作用点から軸部材63までの第2作用距離L2(L4)の方が大きく設定されていることで、作動部材5の移動量を増幅してマイクロスイッチ3に伝達することができる。従って、伝達部材6を介して移動量が拡大されることで、マイクロスイッチ3で検知する圧力値の範囲を拡大することができるとともに、より一層検知精度を向上させることができる。
【0050】
さらに、第1作用距離L1、L3と第2作用距離L2、L4との比が変更可能に構成されていることで、検知しようとする圧力値に応じて移動量の増幅率を変更することができ、圧力検知範囲を広くすることができる。
【0051】
また、ダイアフラム44が低圧室47に向かって凸となるドーム状の凸状部44aを有し、初期圧縮状態において凸状部44aが低圧室47の側への凸形状を維持していることで、ダイアフラム44は反転動作を起こさず、ダイアフラム44は、常に低圧室47の側に凸な形状のままで変位することができる。従って、反転動作による大きな入切差が生じないことで、スイッチ切り替え時の圧力値の検知精度を高めることができるとともに、ダイアフラム44における局部的な変形や応力集中が生じにくくなり、製品の高圧対応化や長寿命化を図ることができる。
【0052】
また、ダイアフラム44が初期圧縮状態を超えて高圧室46の側に変位することを規制する変位規制手段として拡径部52が設けられていることで、ダイアフラム44が初期圧縮状態を超えて高圧室46の側に大きく変位すること防ぎ、ダイアフラムの凸状部44aが反転動作することが防止できる。さらに、初期圧縮状態で変位が規制されたダイアフラム44に対して板ばね7の付勢力をさらに加え、この追加付勢力を拡径部52に支持させるようにすることで、拡径部52に作用する追加付勢力の分だけダイアフラム44の変位開始圧力を高めることができる。従って、同一仕様のダイアフラム44を用いた場合であっても、より高圧領域の圧力検知に対応させることができ、圧力スイッチ1の適応範囲を拡大することができる。
【0053】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、板ばね7の一端部71が固定されるとともに他端部72に調節手段8が設けられるものとしたが、両端部に調節手段を設けることで付勢力を調節可能としてもよい。また、広い圧力検知範囲が要求されないような場合には、板ばねの両端部を固定し、付勢力を調節不能な構成としてもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、板ばね7における球面凹状の周辺部下面73aと作動部材5における球面凸状の球状部52aとが面接触または線接触で当接するものとしたが、このような構成に限定されない。例えば、板ばねにおける挿通孔の周辺部を凸状に形成するとともに拡径部の上面を凹状に形成することで、凸状部と凹状部とを面接触または線接触で当接させてもよい。また、更なる耐摩耗性向上を目的として、板ばねと作動部材との間に、耐摩耗性に優れた材質で形成された受け部材を介在させ、面接触又は線接触で当接するものとしてもよい。また、挿通孔とは異なる位置において、板ばねと拡径部とに互いに嵌合する凹凸を形成することにより、板ばねと作動部材との当接を安定化させてもよい。また、板ばねの変形量が小さく板ばねと作動部材との当接位置がずれにくい場合には、挿通孔の周辺部と拡径部の上面とが点状に接触したり、平面同士が接触したりする構成としてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、板ばね7が挿通孔73を有するとともに作動部材5が第2軸部53および拡径部52を有し、挿通孔73の周辺部下面73aに対して拡径部52が当接するものとしたが、板ばねと作動部材との当接態様はこれに限定されない。例えば、板ばねに切欠きが形成され、この切欠きの周辺部と作動部材とが当接するようにしてもよいし、板ばねの端縁部が作動部材に当接するようにしてもよい。また、板ばねの一部を作動部材に対して固定することで付勢力が作用するようにしてもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、板ばね7が作動部材5に対して付勢力を作用させる第1位置と、作動部材5の移動が伝達部材6に伝達される第2位置と、が作動部材5の移動方向に沿った直線上に設けられているものとしたが、第1位置と第2位置との関係は、圧力スイッチの各部の寸法や形状、配置等に応じて適宜に設定されればよく、作動部材の移動方向に沿った直線上に設けられていなくてもよい。
【0057】
また、前記実施形態では、第1作用距離L1、L3と第2作用距離L2、L4との比が2段階で変更可能に構成されているものとしたが、3段階以上で変更可能な構成としてもよいし、例えば軸支孔を長孔とすることにより無段階で変更可能な構成としてもよい。また、広い圧力検知範囲が要求されないような場合には、作用距離同士の比が変更不能であってもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、第1作用距離L1(L3)よりも第2作用距離L2(L4)の方が大きく設定され、作動部材5の移動量が増幅されるものとしたが、広い圧力検知範囲が要求されないような場合には、移動量が増幅されない構成としてもよく、即ち作用距離同士の比を略等しくしたり、第1作用距離よりも第2作用距離を小さくしたりしてもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、ダイアフラム44として、複数枚の金属製薄板材を重ねて構成されたものを採用したが、これに限らず、ダイアフラムは、1枚の金属製薄板材によって構成されたものであってもよい。1枚の金属製薄板材によって構成されたダイアフラムによれば、構造が簡単化できるとともに、ヒステリシスによる入切差を小さくすることができる。また、前記実施形態のダイアフラム44は、その周縁部が上保持板41と下保持板42の間に保持されていたが、これに限らず、ダイアフラムの周縁部と底板部材45等のケースとが溶接によって一体に接合されたものであってもよい。
【0060】
また、低圧室と高圧室とを仕切り圧力変動によって変位する感圧部材は、ダイアフラムに限定されず、ベローズ等であってもよく、これらが適宜に組み合わされていてもよい。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 圧力スイッチ
3 マイクロスイッチ(切替手段)
44 ダイアフラム(感圧部材)
44a 凸状部
46 高圧室
47 低圧室
5 作動部材
52 拡径部(変位規制手段)
52a 球状部
53 第2軸部
6 伝達部材
63 軸部材
7 板ばね(付勢手段)
71 一端部
72 他端部
73 挿通孔
73a 周辺部下面
8 調節手段