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▶ ブルーイン、バイオメトリクス、リミテッド、ライアビリティー、カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】糖尿病性足部潰瘍に対する感受性の測定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0531 20210101AFI20220715BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20220715BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61B5/0531
A61N1/36
A61B10/00 U
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019522652
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 US2018016741
(87)【国際公開番号】W WO2018144946
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2019-06-06
(31)【優先権主張番号】62/454,482
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/521,917
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512286037
【氏名又は名称】ブルーイン、バイオメトリクス、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRUIN BIOMETRICS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、エフ.バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】サラ、バーリントン
(72)【発明者】
【氏名】グラハム、オー.ロス
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0200486(US,A1)
【文献】国際公開第2009/144615(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0052678(US,A1)
【文献】特表2013-513648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0213700(US,A1)
【文献】特開2013-198639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338591(US,A1)
【文献】特表2016-519969(JP,A)
【文献】特表2013-528428(JP,A)
【文献】国際公開第2015/168720(WO,A1)
【文献】特表2015-509028(JP,A)
【文献】国際公開第2016/172264(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0288397(US,A1)
【文献】特表2015-519094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
A61B 5/00 - 5/01
A61B 5/06 - 5/22
A61B 9/00 -10/06
A61N 1/00 - 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖尿病性足部潰瘍の形成に対する足部組織の感受性を評価するための装置であって、前記装置が、
基板に埋め込まれた複数の電極であって、一対の前記電極が、静電容量センサであって、前記静電容量センサに近接した足部組織の第1の領域の第1の静電容量を測定するように構成された、静電容量センサ、を形成することができ、前記測定された第1の静電容量が、前記足部組織の第1の領域における皮膚の下の細胞外液(ECF)のレベルに相当する、複数の電極と、
前記電極に電気的に結合した駆動回路であって、前記基板が、足の一部に合うように構成される、駆動回路と、
前記駆動回路に電気的に結合したプロセッサと、
非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プロセッサに電気的に結合し、前記非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶された命令を含み、前記命令が、前記プロセッサ上で実行されたときに、
前記測定された第1の静電容量に関する情報を前記駆動回路から受信するステップと、
前記第1の静電容量を、前記足部組織の第1の領域から離れている足部組織の第2の領域の第2の静電容量と比較するステップであって、前記第2の静電容量が、前記足部組織の第2の領域における皮膚の下のECFのレベルに相当する、ステップと、
前記測定された第1の静電容量が、第1の所定の閾値を上回る量で前記第2の静電容量と異なる場合に、信号を提供するステップであって、前記第1の所定の閾値を上回る前記第1および第2の静電容量の間の差は、糖尿病性足部潰瘍の形成に対する前記足部組織の第1の領域の感受性を示す、ステップと、を行う、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える、装置。
【請求項2】
前記第2の静電容量が、左右対称の足部の場所からの測定値である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記足部組織の第2の領域は健常であることが分かっている、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の静電容量が、前記第1の静電容量とほぼ同時に測定される、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記足部組織の第1の領域の第1の温度と前記足部組織の第2の領域の第2の温度とを測定するように構成され、かつ前記プロセッサに結合した、1つ以上の温度センサを更に備え、
前記命令は、
前記測定された第1および第2の温度に関する情報を前記1つ以上の温度センサから受信することと、
前記第1の静電容量を前記第2の静電容量と比較することであって、前記信号を提供するステップ、前記第1の静電容量が、前記第1の所定の閾値を上回る量で前記第2の静電容量と異なり、かつ前記第1の温度が、第2の所定の閾値を上回る量で前記第2の温度と異なる場合に、前記信号を提供するよう修正され前記第2の所定の閾値を上回る前記第1および第2の温度の間の差は、糖尿病性足部潰瘍の形成に対する前記足部組織の第1の領域の感受性を示す、比較することと、を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、患者の足の裏面を前記患者が前記基板上に立っている間に撮像するように構成された、1つ以上の光センサを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、
少なくとも2つの刺激電極であって、一対の前記少なくとも2つの刺激電極の間を通過する電流の一部が前記足部組織の前記第1の領域の一部を通過することになるように、前記基板上に配設される、少なくとも2つの刺激電極と、
前記少なくとも2つの刺激電極に電気的に接続し、前記一対の前記少なくとも2つの刺激電極を配向させて前記電流の前記一部を前記足部組織の前記第1の領域に印加するように構成される、外部コントローラと、を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記外部コントローラが、前記一対の前記少なくとも2つの刺激電極を制御して、前記足部組織の前記第1の領域との導電性接触を検出し、前記足部組織の前記第1の領域に前記電流の前記一部を印加するように更に構成される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記足部組織の第1の領域は、患者のいずれかの足の指球、前記患者のいずれかの足の踵部、または前記患者のいずれかの足の踵部の下のエリアに位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記足部組織の第1の領域は、患者のいずれかの足の指球に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記足部組織の第2の領域は、患者のいずれかの足の指球、前記患者のいずれかの足の踵部、または前記患者のいずれかの足の踵部の下のエリアに位置する、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記足部組織の第2の領域は、患者のいずれかの足の指球に位置する、請求項に記載の装置。
【請求項13】
前記足部組織の第1および第2の領域は、患者の一方の足に位置する、請求項に記載の装置。
【請求項14】
前記足部組織の第1および第2の領域は、患者の異なる足に位置する、請求項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置はさらに、前記第1の静電容量を第1の表皮下水分(SEM)値に変換し、前記第2の静電容量を第2のSEM値に変換するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月3日出願の米国仮出願第62/454,482号および2017年6月19日出願の米国仮出願第62/521,917号の優先権の利益を主張し、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、糖尿病性足部潰瘍を発症する危険がある患者の足を評価するための装置および方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病性足部潰瘍は、糖尿病の他のどの合併症よりも多い入院の原因である。血糖値の上昇によって誘導される非酵素的糖化により、靱帯が硬化し、コラーゲン中の架橋が増加する。これらの条件は、細胞壁および血管の損傷を招き得、これにより細胞外液(ECF)の量の初期増加が生じる。末梢神経障害は、保護知覚の喪失、ならびに足部および脚部における筋群の協応性の喪失を引き起こす。神経障害は、歩行中の足における機械的応力の増加を引き起こし得、糖尿病によって誘導された組織の弱化と併せて、その応力に耐えることにより、ストレスが低減されない場合、組織死に進行することになる。神経障害はまた、患者が応力および組織損傷と通常関連付けられる痛みを感知する能力を低下させるため、状態の進行が許容されてしまう。
【0004】
毎年、およそ5%の糖尿病患者が足部潰瘍を発症し、1%が足の指または何らかの部分の切断を必要とすることになる。長期的には、糖尿病に罹患した患者の15%が足部潰瘍を発症し、12~24%が切断を必要とすることになる。糖尿病は、米国内の非外傷性下肢切断の主因である。糖尿病治療の全費用の20~30%が、発生後の足部潰瘍の治療および治癒に関係する。
【0005】
糖尿病性足部潰瘍予防のための現行のアプローチは、患者教育、足の皮膚および足指の爪のケア、適切な履物の選択、ならびに予防的外科措置である。潰瘍前の状態を検出する手段により、負荷からの解放および衛生状態の改善などの予防的技法の実施が可能となり得る。
【発明の概要】
【0006】
ある態様では、本開示は、糖尿病性足部潰瘍の形成に対する組織の感受性を評価するための装置を提供し、また含み、本装置は、基板に埋め込まれた複数の電極であって、一対の電極が、静電容量センサであって、静電容量センサに近接した組織の第1の領域の第1の静電容量を測定するように構成された、静電容量センサ、を形成することができる、複数の電極と、電極に電気的に結合した回路と、回路に電気的に結合したプロセッサと、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、プロセッサに電気的に結合し、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶された命令を含み、命令が、プロセッサ上で実行されたときに、静電容量センサから測定された第1の静電容量に関する情報を回路から受信するステップと、測定された第1の静電容量を第1の基準値と比較するステップと、測定された第1の静電容量が、第1の所定の閾値を上回る量で第1の基準値と異なる場合に、信号を提供するステップと、を行う、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える。
【0007】
一態様では、本開示は、糖尿病性足部潰瘍の形成に対する組織の感受性を評価するための方法を提供し、また含み、本方法は、患者の皮膚の第1の場所における第1の静電容量値を得ることと、患者の皮膚の第1の場所における温度測定値を得ることと、第1の静電容量値が、第1の所定の閾値を上回る量で第1の基準値と異なり、かつ温度測定値が、第2の所定の閾値を上回る量で第2の基準値と異なるときに、患者の皮膚の第1の場所が糖尿病性足部潰瘍の形成に対して感受性であると決定することと、を含む。
【0008】
ある態様では、本開示は、糖尿病性足部潰瘍の形成に対する組織の感受性を評価するための方法を提供し、また含み、本方法は、患者の皮膚の第1の場所における第1の表皮下水分(SEM)値を得ることと、患者の皮膚の第1の場所における温度測定値を得ることと、第1のSEM値が、第1の所定の閾値を上回る量で第1の基準値と異なり、かつ温度測定値が、第2の所定の閾値を上回る量で第2の基準値と異なるときに、患者の皮膚の第1の場所が糖尿病性足部潰瘍の形成に対して感受性であると決定することと、を含む。
【0009】
一態様では、本開示は、糖尿病性足部潰瘍の治療を、それを必要とする患者において行うための統合装置を提供し、また含み、本装置は、可撓性基板上に配設された複数のセンサであって、複数のセンサが、表皮下水分(SEM)値を患者の皮膚のそれぞれの場所で測定するように構成される、複数のセンサと、可撓性基板上に配設された2つの電極と、2つの電極に電気的に接続した外部コントローラと、を備え、外部コントローラが、2つの電極を制御して、SEM測定期間の間に患者の皮膚との導電性接触を検出し、外部コントローラが、2つの電極を制御して、治療段階の間に患者に治療的刺激を適用する。
【0010】
ある態様では、本開示は、糖尿病性足部潰瘍の治療を、それを必要とする患者において行うための統合装置を提供し、また含み、本装置は、2つの電極であって、電極間を通過する電流が患者の皮膚の場所に近接した組織を通過することになるように可撓性基板上に配設された、2つの電極、を備える、センサと、2つの電極に電気的に接続した外部コントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の態様は、添付の図面を参照して、単に例として本明細書に記載される。これから図面を詳細にわたって具体的に参照するが、示される項目は、例であり、本開示の態様の図示による考察を目的とすることが強調される。この点で、説明および図面は、単独でまたは併せて、本開示の態様がどのように実施され得るのかを当業者に対して明らかにする。
【0012】
図1A】足の構造を描写する。
図1B図1AのエリアAの拡大図である。
図2A】時点0での初期の開放性潰瘍を描写する。
図2B図2Aの状態で創出された圧力プロファイルを描写する。
図2C】時点1での図2Aの組織の同じ領域を描写する。
図2D】時点2での図2Aおよび2Cの組織の同じ領域を描写する。
図3A】トロイダル生体インピーダンスセンサを開示する。
図3B】起動時に図3Aのトロイダルセンサによって創出された理想化された電場マップを開示する。
図3C図3Aのセンサを備えるSEMスキャナを開示する。
図4】第1の例示的な電極のアレイである。
図5】本開示による例示的な電極のアレイである。
図6A】本開示による、図5に開示される電極のアレイがどのように構成されて生体インピーダンスセンサを形成するかの第1の例を図解する。
図6B】本開示による、図5に開示される電極のアレイがどのように構成されて生体インピーダンスセンサを形成するかの第1の例を図解する。
図6C】本開示による、電極のアレイで形成された第1のセンサの例を図解する。
図6D】本開示による、第2のセンサがどのように形成されて図6Cの第1のセンサと重なり合うかの例を図解する。
図6E】本開示による、図6Aに示されるセンサがどのようにアレイに位置付けられている患者の皮膚の部分より大きい電極のアレイから形成されるかの例を示す。
図6F】本開示によるSEM測定のための左足および右足の位置を図解する。
図6G】本開示による、左右対称の場所を特定するための既知の相対的な場所と関連付けられるSEM値のプロットである。
図7A】本開示による、複数の生体インピーダンスセンサを組み込むマットアセンブリの第1の例を描写する。
図7B】マットアセンブリ上に立っている間に患者の、それぞれ、左足および右足の下にあるように配設された、本開示による、電気センサのアレイを備えるマットアセンブリの第2の例を描写する。
図7C】本開示による、輪郭の各々内に配設された1つ以上のセンサを備えるマットアセンブリの第3の例を描写する。
図8A】本開示による、生体インピーダンスセンサを組み込む足部カバーを開示する。
図8B】本開示による生体インピーダンスセンサの場所を示す、図8Aの足部カバーの断面図である。
図9】本開示による生体インピーダンスセンサを組み込むサンダルを開示する。
図10A】本開示による、センサの性能を変化させる図5のアドレス可能な電極の第1の例示的な構成を描写する。
図10B】本開示による、センサの性能を変化させる図5のアドレス可能な電極の第2の例示的な構成を描写する。
図10C】本開示による、センサの性能を変化させる図5のアドレス可能な電極の第3の例示的な構成を描写する。
図11A】本開示による、患者の皮膚の既知の位置に位置付けられるように成形された基板の例示的な構成を示す。
図11B】本開示による、図11Aの例示的な構成の正面図を示す。
図12】本開示による、SEM値の測定、評価、記憶、および伝達のための統合システムの概略図を描写する。
図13】本開示による感知バンドを描写する。
図14A】本開示による、褥瘡の治療に好適な統合センサおよび刺激装置アセンブリを描写する。
図14B】本開示による、褥瘡の治療に好適な統合センサおよび刺激装置アセンブリを描写する。
図14C】本開示による、褥瘡の治療に好適な統合センサおよび刺激装置アセンブリを描写する。
図14D】本開示による、褥瘡の治療に好適な包帯アセンブリを描写する。
図15A】本開示に従う、後部踵部で始まるSEM測定を行うための例示的な方法を図解する。
図15B】本開示に従う、側部踵部で始まるSEM測定を行うための例示的な方法を図解する。
図15C】本開示に従う、内側踵部で始まるSEM測定を行うための例示的な方法を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、様々な電気的特徴の測定およびECFの量の増加を示すSEM値の導出、ならびに糖尿病性足部潰瘍および潰瘍の治療に対する感受性の評価へのこの情報の適用を記載する。
【0014】
糖尿病性足部潰瘍は、反復的な中程度の負荷に曝されるエリアに、特に、足の骨ばった部分が、立っている間に隣接する組織に体重移動を加えるエリアに、生じることが分かっている。損傷は、初期には皮膚の下の組織に生じる可能性があるため、目視検査では検出できない。初期の損傷は、表皮下組織の電気的特性、例えば、組織の静電容量の測定を通して検出することができる、細胞外空間内に流体を放出するだろう。潜在的に危険なエリアにおけるECFの監視によって、確認されないまま放置されると、開放性潰瘍へと進行する、組織の悪化が検出されるだろう。
【0015】
この説明は、本開示が実施され得る全ての異なる方法、または本開示に加えられ得る全ての特徴の詳細な列挙であることを意図していない。例えば、一実施形態に関して図解された特徴が、他の実施形態に組み込まれる場合があり、特定の実施形態に関して図解された特徴が、その実施形態から削除される場合がある。よって、本開示は、本開示のいくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の特徴もしくは特徴の組み合わせが除外または省略され得ることを企図している。更に、本明細書に提案される様々な実施形態に対する多数の変形および追加は、本開示に照らして当業者に明らかであり、これは本開示から逸脱しない。他の例では、よく知られている構造、インターフェース、およびプロセスは、本発明を不必要に曖昧にしないために、詳細には示されていない。この明細書のいかなる部分も、本発明の全範囲のいずれかの部分を否定するように解釈されないことを意図している。これゆえ、以下の説明は、本開示のいくつかの特定の実施形態を図解することを意図しており、それらの全ての置換、組み合わせ、および変形を網羅的に特定することを意図していない。
【0016】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、この開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の開示の説明において使用される専門用語は、特定の態様または実施形態のみを記載するためのものであり、本開示を限定することを意図していない。
【0017】
本明細書に引用される、全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参考文献が提示される、文章および/または段落に関連する教示について、それらの全体が参照によって組み込まれる。本明細書に用いられる技術に対する参照は、当業者に明らかであろう、これらの技術に対する変形または等価の技術の置換を含む、当該技術分野で一般的に理解されるような技術を指すことを意図している。
【0018】
米国特許出願第14/827,375号は、表皮下静電容量が患者の皮膚の標的領域の水分含有量に対応している、図3Aに示されるセンサ90と同様の両極センサを使用して、表皮下静電容量を測定するために無線周波数(RF)エネルギーを使用する装置を開示する。‘375出願はまた、様々なサイズのこれらの両極センサのアレイを開示する。
【0019】
米国特許出願第15/134,110号は、デバイスが、単一の同軸センサを通して32kHzの周波数でRF信号を放出および受信し、生体インピーダンス信号を生産し、次に、この信号をSEM値に変換する、図3Cに示されるデバイスと同様の表皮下水分(SEM)を測定するための装置を開示する。
【0020】
米国特許出願第14/827,375号および同第15/134,110号の両方は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0021】
内容が別段示さない限り、本明細書に記載される本開示の様々な特徴を、任意の組み合わせで使用することができることが明確に意図されている。更に、本開示はまた、本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の特徴もしくは特徴の組み合わせが、除外または省略され得ることも企図している。
【0022】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップまたは動作を含み、かつ備える。方法のステップおよび/または動作は、本発明の範囲から逸脱することなく、互いに置き換え可能である。換言すると、実施形態の正しい操作のためにステップまたは動作の具体的な順序が必要とされない限り、具体的なステップおよび/または動作の順序および/または使用は、本発明の範囲から逸脱することなく、改変され得る。
【0023】
本開示および添付の特許請求の範囲の説明において使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかに別段示さない限り、複数形を同様に含むことを意図している。
【0024】
本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連付けられる列挙された項目のうちの1つ以上の任意および全ての可能な組み合わせ、ならびに別の方法(「または」)で解釈されたときの組み合わせの欠如を指し、かつ包含する。
【0025】
長さ、周波数、またはSEM値などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用されるような、「約」および「およそ」という用語は、特定の量の、±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または更には±0.1%の変形を包含することを意味している。
【0026】
本明細書で使用される場合、「XとYとの間」および「約XとYとの間」などの語句は、XおよびYを含むものと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「約XとYとの間」などの語句は、「約Xと約Yとの間」を意味し、「約X~Y」などの語句は、「約X~約Y」を意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「表皮下水分」または「SEM」という用語は、組織液の増加、および血管漏出ならびに組織に対する連続的圧力、アポトーシス、壊死、および炎症プロセスの存在下で損傷組織の下部構造を改変する他の変化によって引き起こされる局所浮腫を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「システム」は、互いに有線または無線通信するデバイスの集合体であり得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「調べる」とは、患者の皮膚に貫通する無線周波数エネルギーの使用を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「患者」は、人または動物の対象であり得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「健常である」とは、細胞壁または血管に対する損傷の症状を示さない組織を記載し得、ここで、ECFの増加量の存在が、そのような損傷の指標である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「細胞外液」または「ECF」は、血漿、間質液、および細胞間液を含む細胞の外側に含有される体液を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「糖尿病性足部潰瘍の形成に対して感受性である」とは、浮腫もしくはECFの増加量などの細胞壁もしくは血管に対する損傷の症状を示すが、開放性潰瘍は存在しない組織を記載し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「時点_0」は、初期の時点、例えば、開放性潰瘍が最初に検出されたときを指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「時点_1」は、時点_0よりも遅い時点を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「時点_2」は、時点_1よりも遅い時点を指す。
【0037】
図1Aは、足20の構造の一部分の側面図である。糖尿病性足部潰瘍を発症する可能性の最も高い足のエリアは、踵骨21の下に位置する踵部、および中足骨22の下に位置する足の指球である。
【0038】
図1Bは、図1Aのエリア「A」の拡大図である。中足骨22および隣接する指骨23の端は、足20の裏の皮膚24に近接して示される。患者の体重の一部分が、領域40内の組織に中足骨22によって適用される圧縮力30を創出する。力30は、患者を支持するために領域40下で皮膚24に床によって適用される抵抗力36によって対抗される。立っている間に患者の足で歩いているか、または単にバランスを取っている患者による筋肉活動が、中足骨22と組織40との間の剪断力32、ならびに床と皮膚24との間の抵抗剪断力38を創出する。よって、領域40内の組織は、同時に、圧縮力および剪断力の両方に曝される。
【0039】
健常な患者は、静止して立っている間に、足から足へとその体重をシフトさせ、ならびに患者の足に対するその質量の中心をシフトさせると観察されている。これにより、組織の任意の特定の領域に力が適用される持続時間が制限される。しかしながら、末梢神経障害は、患者の体重によって創出された組織内の知覚を低下させ、したがって、患者の体重の無意識のシフトを減少させ、末梢神経障害を罹患している患者は、立っている間の正常な運動を欠落していると観察される。これが、領域40などの組織の局所エリアに適用されている継続的な圧縮力の時間の長期化をもたらす。このように中程度のレベルの力に長期間曝されることが、これらのエリアにおける潰瘍の形成の原因になっていると考えられる。
【0040】
図2A、2B、2C、および2Dは、開放性潰瘍の状態および進行を描写する。図2Aは、時点_0での初期の開放性潰瘍50Aを描写する。潰瘍50Aは、増加された圧力52Aの輪によって囲まれている。
【0041】
図2Bは、図2Aの状態で創出された圧力プロファイルを示す。床によって、または患者が着用している靴によって適用される力は、足20の皮膚24に局所的に均一の圧力56として適用される。適用される圧力56は、力53によって内部で対抗される。組織が剥がれたとき、潰瘍50上に圧力を適用することはできない。よって、トロイダル領域52Aにおける内部の力が、ピーク54まで増加し、潰瘍50に適用されたであろう力を得る。このピーク力54は、輪52Aにおいて更なる組織損傷を引き起こすのに十分高い。体が増加圧力からそれ自体を保護しようとするときに、領域52Aにわたって仮骨が一般に形成されるだろう。しかしながら、仮骨の下の組織は、依然として損傷されており、ECFの増加を示すだろう。
【0042】
図2Cは、時点_0に続く時点_1での組織の同じ領域を描写する。領域52Aの圧力レベルの増加が、領域52Aの組織死をもたらし、領域52の組織が剥がれ、そのため、潰瘍50Bは、前の潰瘍50Aよりも大きくなる。適用される圧力56は、変化していないが、そのためこれより、より大きい潰瘍50Bの周りの領域52Bにおける組織が、よりいっそう大きい力を得る必要がある。これにより、領域52Bにおける組織がより大きい適用負荷の下でより急速に死滅するため、潰瘍50の拡張が加速される。
【0043】
図2Dは、時点_1に続く、これより時点_2での図2Aおよび2Cと同じ組織の領域を描写する。潰瘍50は、前の領域52A、52Bよりも大きい増加圧力のサイズ50Cおよび領域52Cまで増大した。
【0044】
潰瘍が形成された図2Aに示される状況では、潰瘍50の増大を防止し、体が開放性潰瘍50を治癒することを可能にするために、措置的治療が導入されるだろう。治療は、健常な組織のより大きい領域にわたって圧力56を拡散し、更なる損傷を引き起こすピーク54をなくすために、潰瘍の周りに圧力軽減パッドを配置することを伴う場合がある。しかしながら、治療が機能しているかどうかの決定は、潰瘍が進行していないという経時的な観察によってのみ可能である。
【0045】
図3Aは、トロイダル生体インピーダンスセンサ90を開示する。この例示的な構成では、中心電極110は、輪電極120によって囲まれている。特定の理論に限定されないが、2つの電極の間の間隙は、センサ90の下の基板への電場の貫通の深さに影響を及ぼす。一態様では、接地板(図3Aでは見えない)は、電極面に対して平行であり、そこから離れており、ある態様では、輪電極120の外径を越えて延在している。特定の理論に限定されないが、接地板は、電極110と120との間の電場を、接地板から電極110および120の面の反対側にある電極110および120の面の単一の側に限定し得る。
【0046】
図3Bは、駆動回路(図3Bに図示せず)によって起動されたときに、図3Aのトロイダルセンサによって創出された理想化された電場マップを開示する。電圧が電極110および120にわたって適用されると、電極110および120の面から電場150の深さまで外方に延在する、電極110と120との間に、電場140が生産される。中心電極110の直径、輪電極120の内径および外径、および電極110と120との間の間隙は、電場140の特徴、例えば、電場150の深さを変更するように変化され得る。
【0047】
使用時、駆動回路は、抵抗、静電容量、インダクタンス、インピーダンス、磁気抵抗、および電場140によって感知されるような他の電気的特徴からなる群から選択される1つ以上の電気的特徴を含む、電気的特性またはパラメータを測定することができる。装置に用いられる駆動回路の種類に応じて、装置のセンサは、両極無線周波数センサ、生体インピーダンスセンサ、静電容量センサ、またはSEMセンサであり得る。ある態様では、測定された電気的パラメータは、電極110および120の配置、電場140の周波数および強度、ならびに装置の駆動回路の他の動作特徴によって決定される深さでの患者の表皮の水分含有量に関連している。一態様では、測定された水分含有量は、所定の規模でのある値を有するSEM含有量と等価である。ある態様では、所定の規模は、0~1、0~2、0~3、0~4、0~5、0~6、0~7、0~8、0~9、0~10、0~11、0~12、0~13、0~14、0~15、0~16、0~17、0~18、0~19など、0~20の範囲であり得る。一態様では、所定の規模は、本明細書に提供される値に基づいて、1つの要因または複数の要因によって規模が決められ得る。ある態様では、読み取りの間のこれらの動作特徴のうちの1つ以上を変化させながら、複数の測定を行い、それによって皮膚の様々な深さでの水分含有量に関連する情報を提供する。
【0048】
1つ以上の領域が、体上に画定され得る。ある態様では、領域内で作成された測定値は、互いに比較可能であるものとみなされる。領域は、測定がエリア内の任意のポイントで行われ得る、体の皮膚上のエリアとして画定され得る。ある態様では、領域は、解剖学的領域(例えば、踵、足首、腰)に対応している。ある態様では、領域は、具体的なポイントでのみ測定が行われる、解剖学的特徴に関する2つ以上の具体的なポイントのセットとして画定され得る。ある態様では、領域は、体上の複数の非連続的なエリアを含み得る。ある態様では、具体的な場所のセットは、複数の非連続的なエリア内のポイントを含み得る。
【0049】
ある態様では、領域は、表面エリアによって画定される。ある態様では、領域は、例えば、5~200cm、5~100cm、5~50cm、または10~50cm、10~25cm、または5~25cmであり得る。
【0050】
ある態様では、測定値は、具体的なパターンまたはその一部分において作製され得る。ある態様では、読み取りのパターンは、中心の対象となる標的エリアを含むあるパターンで作製される。ある態様では、測定値は、増加もしくは減少サイズの1つ以上の円形パターン、T字形状のパターン、具体的な場所のセットで、または組織もしくは領域にわたってランダムに、作製される。ある態様では、パターンは、第1の測定値位置からのオフセットとして画定されるパターンの残りの測定場所を含む、解剖学的特徴に関するパターンの第1の測定場所を画定することによって、体上に配置され得る。
【0051】
ある態様では、ある組織または領域にわたって複数の測定を行い、複数の測定の最低測定値と最高測定値との間の差が、その複数の測定のデルタ値として記録される。ある態様では、ある組織もしくは領域にわたって、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上の測定を行う。
【0052】
ある態様では、閾値は、少なくとも1つの領域について確立され得る。ある態様では、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または他の値の閾値が、少なくとも1つの領域について確立され得る。ある態様では、デルタ値は、領域内の複数の測定のデルタ値が、その領域と関連付けられる閾値を満たすか、または超えたときに有意であるものとして特定される。ある態様では、複数の領域の各々が、異なる閾値を有する。ある態様では、2つ以上の領域が、共通の閾値を有し得る。
【0053】
ある態様では、閾値は、デルタ値成分および経時的成分の両方を有し、ここで、デルタ値は、デルタ値が時間間隔の所定の部分についての所定の数値を上回るときに有意であるものとして特定される。ある態様では、時間間隔の所定の部分は、その日に行われた複数の測定が、測定の合計連続Y日間内の所定の数値以上のデルタ値を生成する、X日の最小値として定義される。ある態様では、時間間隔の所定の部分は、その日に行われた複数の測定が、所定の数値以上のデルタ値を生成する、1、2、3、4、または5連続日として定義され得る。ある態様では、時間間隔の所定の部分は、異なる具体的な期間(週、月、時間など)のある部分として定義され得る。
【0054】
ある態様では、閾値は、連続した複数の測定のデルタ値の変化が互いに比較される、傾向の態様を有する。ある態様では、傾向閾値は、所定の長さの時間を超えるデルタ値の所定の変化として定義され、ここで、閾値が満たされているか、または超えているとの決定は、有意である。ある態様では、有意との決定により、警告が発せられるだろう。ある態様では、連続した複数の測定の個々の測定値の一部分から、傾向線が算出され得る。ある態様では、連続した複数の測定のデルタ値の一部分から、傾向線が算出され得る。
【0055】
ある態様では、単一の領域内で行われた測定数が、あるパターンとして定義される測定場所の数を下回る場合がある。ある態様では、デルタ値は、あるパターンで定義された測定場所の数を下回る所定の初期の数の読み取りが、ある領域で行われた後に、かつ同じ領域における各追加の読み取り後に計算され、いったんデルタ値がその領域に関連付けられる閾値を満たすか、または超えると、追加の読み取りは行われない。
【0056】
ある態様では、単一の領域内で行われた測定の数が、あるパターンで定義された測定場所の数を超える場合がある。ある態様では、デルタ値は、各追加の読み取り後に計算されるだろう。
【0057】
ある態様では、品質測定基準が、各複数の測定について生成され得る。ある態様では、この品質測定基準は、測定の反復性を評価するために選択される。ある態様では、この品質測定基準は、測定を行った臨床医の技術を評価するために選択される。ある態様では、品質測定基準は、1つ以上の統計パラメータ、例えば、平均、平均値、または標準偏差を含み得る。ある態様では、品質測定基準は、個々の測定値と既定の範囲との比較の1つ以上を含み得る。ある態様では、品質測定基準は、個々の測定値と値のパターンとの比較、例えば、既定の場所での測定値と各既定の場所に関連付けられる範囲との比較を含み得る。ある態様では、品質測定基準は、健常な組織にわたってどの測定値が作製されたかについての決定、および「健常である」測定値のこのサブセット、例えば、範囲、標準偏差、または他のパラメータ内の整合性の1つ以上の評価を含み得る。
【0058】
一態様では、測定値、例えば、閾値値は、SEMスキャナモデル200(Bruin Biometrics、LLC、Los Angeles、CA)によって決定される。別の態様では、測定値は、別のSEMスキャナによって決定される。
【0059】
ある態様では、測定値は、基準デバイスを参照することによる静電容量測定値に基づいている。ある態様では、静電容量測定値は、デバイスの任意の電極の場所および他の態様に依存し得る。そのような変形は、SEMスキャナモデル200(Bruin Biometrics、LLC、Los Angeles、CA)などの基準SEMデバイスと比較され得る。当業者は、本明細書に記載される測定値を、基準デバイスを参照することによる差分静電容量範囲に合わせるように調節することができることを理解している。
【0060】
図3Cは、図3Aのセンサ90と同様のセンサ174を駆動させ、電極110と120との間の静電容量を測定する、電子機器を含むSEMスキャナ170の上面図および底面図を提供する。この静電容量は、表示装置176上に表示されるSEM値に変換され得る。
【0061】
センサ90およびSEMスキャナ170の態様は、米国特許出願第15/134,110号が国内段階移行として出願された、WO2016/172263に開示されており、それらの全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
図4は、本開示による例示的な電極アレイ290を描写する。アレイ290は、この例では、基板292にわたる規則的なパターンで配設される、個々の電極300から構成される。ある態様では、各電極300は、電気的パラメータを測定するように構成された回路(図4に図示せず)に離れて結合される(図4に図示されない導電性要素を通して)。一態様では、「仮想センサ」は、電極300の所定のサブセットの回路の共通の要素への選択的な接続によって創出される。この例では、特定の電極310は、図3Aの電極110と同様の中心電極として接続され、6つの電極320A~320Fは、図3Aの電極120と同様の「仮想輪」電極として合わせて接続される。ある態様では、2つの個々の電極は、仮想センサを形成するように回路に個別に接続され、例えば、電極310および320Aは、センサの2つの電極としてそれぞれ接続される。一態様では、1つ以上の電極300は、2電極センサの電極の一方または他方を形成するように合わせて接続される。
【0063】
任意の一対の電極は、仮想電極を形成するように単一の電極もしくは合わせて結合された電極のセットから構成されるかにかかわらず、抵抗、静電容量、インダクタンス、インピーダンス、磁気抵抗、またはセンサ90、174、290、430、440のうちの1つ以上、もしくは他の2電極センサを含む他の電気的特徴のうちの1つ以上を含む、電気的特性もしくはパラメータを測定するように構成された電子機器(図4に図示せず)に結合される。本開示の電子機器は、測定された第1の静電容量を基準値と比較して、測定された静電容量が閾値を上回る量で基準値とは異なる場合に信号を提供するように更に構成され得る。ある態様では、基準値および閾値の一方または両方が、予め決定されている。
【0064】
図5は、本開示による、電極410の別の例示的なアレイ400を描写する。この非制限的な例では、電極410の各々は、間隙420によって周囲の電極410の各々から離れているほぼ六角形である。一態様では、電極410は、円形、正方形、五角形、または他の規則的もしくは不規則な形状のうちの1つである。ある態様では、間隙420は、全ての電極410間で均一である。一態様では、間隙420は、様々な電極間で異なる。一態様では、間隙420は、電極410の各々の断面よりも狭い幅を有する。電極410は、図6A~6Bおよび10A~10Cに関して以下に記載されるような仮想センサを形成するように相互接続され得る。
【0065】
図6Aは、本開示による、例示的なセンサ430を形成するように構成される、例えば、測定回路に接続される、電極410のアレイ400を描写する。「1」と標識された単一の六角形の電極410は、中心電極を形成し、「2」と印の付いた電極410の輪は、輪電極を形成するように相互接続される。ある態様では、中心電極と輪電極との間の電極410は、電気的に「浮遊して」いる。一態様では、中心電極と輪電極との間の電極410は、接地されているか、または浮遊接地に接続される。ある態様では、輪電極の外側にある電極410は、電気的に「浮遊して」いる。一態様では、仮想輪電極の外側にある電極410は、接地されているか、または浮遊接地に接続される。
【0066】
図6Bは、本開示による、電極410のアレイ400が仮想センサ440を形成するように構成されている、代替的な態様を描写する。ある態様では、「1」で示される複数の電極410は、中心電極を形成するように相互接続され、「2」で示される二倍の幅の輪の電極は、輪電極を形成するように相互接続される。一態様では、様々な数および位置の電極410が、様々なサイズおよび形状の仮想電極を形成するように相互接続される。
【0067】
図6Aおよび6Bは、本開示による、複数の重なり合う場所にセンサ430を形成することができる電極アレイ400の例示的な構成を描写する。図6Aでは、仮想センサ430Aは、「1」で示される単一の電極410によって形成される中心電極432、および「2」で示される複数の電極410によって形成される輪電極434により形成されている。この同じアレイ400が、図6Bに示されており、ここで、新たな仮想センサ430Bは、「3」で示される中心電極436、および「4」で示される輪電極438により形成される。仮想センサ430Aの位置は、黒い輪郭で示される。仮想センサ430Bが、仮想センサ430Aの位置と重なり合っていることが分かり、これが、センサ430の直径よりも細かい解像度で測定値を作製することを可能にする。
【0068】
図6Eは、本開示による、アレイに対して位置付けられる患者の皮膚の一部分よりも大きい電極400のアレイから、センサ430が形成され得る方法を示す。この例では、足の真下から見られるような、患者の右足の裏22Rの接触エリア450の輪郭を、アレイ400上に重ね合わせた状態で示す。この例では、センサ430Cは、センサ430Cの一部分が接触エリア450の縁を越えて延在する場所に形成されている。そのような位置では、センサ430Cによって測定される静電容量または他の電気的パラメータは、接触エリア450内に完全に位置付けられるセンサ430Dによって測定される静電容量を下回る。センサ430は、アレイ400内の任意のポイントに形成され得、センサ430の位置に応じて、0~100%の範囲内の任意のレベルで接触エリアと部分的に重なり合い得ることが分かる。
【0069】
ある態様では、2つのセンサは、0~10%、5~15%、10~20%、15~25%、20~30%、25~35%、30~40%、35%~45%、40~50%、0~25%、15~35%、または25~50%など、0~50%重なり合い得る。一態様では、2つのセンサは、25~35%、30~40%、35%~45%、40~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、25~50%、40~55%、または50~75%など、25~75%重なり合い得る。一態様では、2つのセンサは、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、70~80%、75%~85%、80~90%、85~95%、90~100%、50~75%、65~85%、または75~100%など、50~100%重なり合い得る。
【0070】
一態様では、センサ400のアレイは、1つ以上の仮想センサの皮膚表面への完全な接触を確実にするように、電極の各々と同じ平坦な表面上に、かつそれらを囲む、複数の接触センサ(図6Eに図示せず)を更に備え得る。複数の接触センサは、複数の圧力センサ、複数の光センサ、複数の温度センサ、複数のpHセンサ、複数の発汗センサ、複数の超音波センサ、複数の骨成長刺激装置センサ、またはこれらのセンサの複数の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、複数の接触センサは、各電極を囲む、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10以上の接触センサを備え得る。
【0071】
図6Fおよび6Gは、本開示による、既知の関連する場所におけるセンサと関連付けられたSEM値の比較が左右対称の場所を特定し得る方法についての例を描写する。この例では、センサ430は、重なり合わない場所に形成され、右足20Rの接触エリア450Rにわたって、図6Fで「A」~「H」の印がついている。各場所で測定されたSEM値は、図6Gのグラフにプロットされる。この例では、場所「A」および「H」のSEM値は、低いか、またはゼロであり、これらの場所における接触エリア450を含む、重なり合わないセンサ430を反映する。場所「B」および「G」と関連付けられたSEM値は、センサ430が、これらの位置における接触エリア450の一部分と重なり合うため、より高い。場所C~D~E~FについてのSEM値は、より高く、この例では、ほぼ同じであり、センサ430がこれらの場所で完全に接触エリア450内にあることを示している。ある態様では、装置180などのSEM測定装置は、一定の場所、例えば、場所「C」および「F」が、右足20Rの中心線452Rに関して左右対称であると決定し得る。測定値の同様のセットが左足20L上の場所A’~H’で作製される、一態様では、各足20Lおよび20R上の場所、例えば、場所EおよびE’は、ほぼ左右対称になるように決定され得る。
【0072】
図7Aは、本開示による、複数の生体インピーダンスセンサ520を組み込む、例示的なマットアセンブリ500を描写する。センサ520は、図3Aに描写されたセンサ90と同様のトロイダルセンサとして示されているが、センサ520は、図4、5、および6A~6Bに示される構成を含む、電気測定センサの任意の構成であり得る。センサ520は、基板510にわたって分布される。ある態様では、基板510の一部分は、可撓性である。一態様では、基板510の一部分は、剛性である。ある態様では、センサ520の電極は、電気的に裸であり、それによって患者がマットアセンブリ500上に立っているときに、患者の足との導電性電気接触を可能にする。一態様では、センサ520の電極は、例えば、絶縁カバー層(図7Aに図示せず)によって電気的に絶縁されており、それによって患者がマットアセンブリ500上に立っているときに、患者の足との静電容量電気接触のみを可能にする。
【0073】
ある態様では、マットアセンブリ500は、足上の1つ以上の場所の温度を検出する、1つ以上の温度センサ(図7Aに図示せず)を備える。一態様では、温度センサは、共通の場所の温度およびSEM測定値を提供するように、SEMセンサ520と一緒に設置される。
【0074】
マットアセンブリ500の一態様では、信号は、測定された静電容量が第1の閾値を上回る量で基準静電容量値と異なり、測定された温度が第2の閾値を上回る量で温度基準値とは異なるときに提供される。ある態様では、閾値のうちの一方または両方が、予め決定されている。一態様では、第1の閾値は、対応する基準静電容量値+少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%など、少なくとも5%に設定される。一態様では、第2の閾値は、対応する基準温度値+少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%など、少なくとも5%に設定される。一態様では、静電容量および温度基準値の1つまたは両方が、前の測定値、例えば、より早い期間、例えば一か月前に作製された複数の測定値の平均によって過去5回の順次の測定値のローリング平均から決定される。
【0075】
一態様では、静電容量および温度基準値の一方または両方が、既知の健常な状態にあったときに、例えば、臨床医が組織の検査を行い、組織が健常である、すなわち、糖尿病性足部潰瘍の形成に感受性でないと決定したときに医師の診察室にいる間に作製される測定値から決定される。
【0076】
図7Bは、電気センサ520のアレイ530Lおよび530Rを備える別の例示的なマットアセンブリ502を描写し、ここで、アレイ530Lおよび530Rは、マットアセンブリ502上に立っている間に患者の、それぞれ、左足および右足の下にあるように配設される。ある態様では、左足および右足の輪郭540Lおよび540Rは、正しい場所に立っている患者を導くように、アレイ530Lおよび530Rにわたって描かれる。
【0077】
図7Cは、輪郭540Lおよび540Rの各々内に配設された1つ以上のセンサ520を有するマットアセンブリ504の態様を描写する。ある態様では、センサ520Aは、潰瘍を発症する可能性が最も高い足の部分、例えば、足の指球に対応する位置に設置される。一態様では、センサ520Bは、踵部または足の他の場所の下に設置され得る。
【0078】
一態様では、基板510は、部分的に透明であり、マット504は、1つ以上の光センサ550が装着される第2の基板512を備える。ある態様では、光センサ550は、マット504上に立っている患者の足の裏面を撮像することができるカメラである。一態様では、光センサ550は、可視光に対して感受性である。ある態様では、光センサ550は、赤外線に対して感受性である。
【0079】
患者による定期的なマットアセンブリ500、502、504などの使用は、患者の足の健康状態の変化を検出する機能を果たすことができる。例えば、患者に潰瘍の形成をもたらすであろう潰瘍または損傷の指標がないと検証する臨床医による検査の時点で、各足の静電容量などの電気的特徴の測定によって、基線が確立されるだろう。次に、患者は、患者の家の中の容易にアクセス可能な場所に、例えば、浴室のシンクの前に、マット500、502、504を配置する。毎日歯を磨いている間など定期的に、患者は、センサ520によって自身の足の測定をトリガする。患者が同じ場所に立っている場合、例えば、輪郭540Lおよび540Rによって導かれている場合、各センサ520および550は、各繰り返しの測定のために同じ位置を測定している。ある態様では、温度測定値は、マットアセンブリ500、502、504において、赤外線センサ550または1つ以上の温度センサ(図7Cに図示せず)によって作製される。一態様では、画像は、マットアセンブリ504において、光センサ550によって捕捉される。この情報は、局所メモリ内に記憶されるか、または医師の診察室などの遠隔記憶場所に送信される。各毎日の測定値を、以前の測定値、例えば、臨床医の診察室で作製された測定値、または先週の測定値の平均から導出された基準値と比較する。最新の測定値が基準値から偏位している場合、患者は、その偏差について報告される。次に、患者は、更なる評価および可能な措置について臨床医に助言を求めることができる。ある態様では、閾値よりも大きい測定されたSEM値の変化が、通知をトリガする。一態様では、第1の閾値よりも大きい測定されたSEM値の変化および第2の閾値よりも大きい測定された温度の変化が共に通知をトリガする。ある態様では、第1の閾値よりも大きい測定されたSEM値の変化または第2の閾値より大きい測定された温度の変化のいずれかが、通知をトリガする。一態様では、第1の閾値は、対応する基準SEM値+少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%など、少なくとも5%に設定される。一態様では、第2の閾値は、対応する基準温度値+少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%、または少なくとも500%など、少なくとも5%に設定される。ある態様では、患者足の裏面の画像などの情報は、見直しのために常に臨床医に送られる。
【0080】
ある態様では、左足および右足の測定値を、互いに比較する。例えば、図6Fおよび6Gを参照すると、場所EおよびE’を、互いに比較する。一態様では、左の測定値と右の測定値との差を、基準値と比較し、差が閾値を超えている場合、患者に通知する。
【0081】
図8Aは、本開示による、図8Bの断面図に示されるような生体インピーダンスセンサ520を組み込む足部カバー600を開示する。ある態様では、足部カバー600は、足が挿入され得る、靴下または他の可撓性のぴったり合う衣服610を備える。一態様では、可撓性のぴったり合う衣服610は、ゴムなどの可撓性弾性材料から作製される「ウォーターシューズ」と同様の可撓性靴であってもよい。ある態様では、可撓性のぴったり合う衣服610は、従来の靴、例えば、革靴またはスニーカーであってもよい。センサ520は、潰瘍の発症について対象となるエリアに対応する1つ以上の場所に設置される。一態様では、センサ520は、可撓性のぴったり合う衣服610の踵部の下または周りに設置される。ある態様では、センサ520は、可撓性のぴったり合う衣服610の裏に設置される。一態様では、センサ520は、可撓性のぴったり合う衣服610の足指(図8Bでは見えない)の周りのエリアに設置される。
【0082】
図9は、本開示による、生体インピーダンスセンサ520を組み込むサンダル650を開示する。1つ以上のセンサ520は、潜在的な潰瘍の発症のエリアに対応する場所においてサンダル上に配設される。
【0083】
図10A、10B、および10Cは、本開示による、センサの性能を変化させる図5のアドレス可能な電極の構成を描写する。図10Aは、電極710が図6Aおよび6Bの電極と同様の中心電極720および輪電極730を形成するように接続される、例示的な第1の構成700を描写する。センサ構成700は、図3Bを参照すると、第1の電場深さ150を生じる単一列の電極710の間隙740を有する。
【0084】
図10Bは、1つの電極が、中心電極722を形成するように接続され、複数の電極710が、輪電極730よりも直径が大きく、間隙740よりも大きい間隙742を有する、輪電極732を形成するように接続される、センサ710の同じアレイの第2の例示的な構成702を描写する。センサ構成702は、センサ構成700の深さよりも大きい第2の電場深さ150を有するだろう。
【0085】
図10Cは、1つの電極が、中心電極724を形成するように接続され、複数の電極710が、輪電極730および732よりも直径が大きく、間隙740および742よりも大きい間隙744を有する、輪電極734を形成するように接続される、センサ710の同じアレイの第3の例示的な構成704を描写する。センサ構成704は、センサ構成700または702のいずれかよりも大きい第3の電場深さ150を有するだろう。
【0086】
ある態様では、マットアセンブリ500は、基板510の一部分にわたって分布される電極710のアレイを備える。患者足上の対象となるエリアに対応するアレイの場所で、マットアセンブリ500は、センサ構成700を形成し、第1の測定値を作製し、次に、センサ構成702を形成し、第2の測定値を作製するように電極710を再構成するように構成される。第1および第2の測定値は、足の皮膚の下の異なる深さでのECFの差についての情報を提供し、それによって足内の組織状態の改善された知識を提供する。一態様では、マットアセンブリ500は、次にセンサ構成704を形成し、第3の測定を行うように構成される。3つの測定値の比較が、内部組織状態のいっそう大きい分解能を提供する。
【0087】
図11Aおよび11Bは、本開示による、患者の皮膚の既知の位置に配置されるように構成されたセンサアセンブリ500の例示的な態様を描写する。この例では、センサアセンブリ500は、足20の踵部の後部および底表面にぴったり合うように構成された成形された基板510を有する。一態様では、成形された基板510は、左足20Lおよび右足20Rの両方と共に使用するのに好適である。センサアセンブリ500は、成形された基板510の内部表面上に配設された1つ以上のセンサ520を備える。この例では、センサ520は、図1Aに示されるようなトロイダルセンサとして構成される。ある態様では、成形された基板510の内部表面は、図5を参照すると、仮想センサが任意の場所に形成され得るように、電極410のアレイ400と並んでいる。一態様では、他の形状および構成のセンサが、成形された基板510の内部表面上に提供される。ある態様では、成形された基板510は、患者の皮膚にぴったり合わされ得る、例えば、足首の後部の周りに巻かれ得る、可撓性パネル(図11Aに図示せず)である。一態様では、センサアセンブリ500は、電源、静電容量もしくは他の電気的特性のうちの1つ以上を測定するように構成された回路、プロセッサ、通信サブシステム、または他の種類の電子アセンブリ(図11Aに図示せず)のうちの1つ以上にセンサ520を接続するためのケーブル530を備える。
【0088】
図11Bは、例えば、センサアセンブリ500が右踵部中心の後部、側部、および底部の周りの患者の皮膚に対して配置されたときなど、複数のセンサ520が成形された基板510上に配設されたセンサアセンブリ500の例示的な構成を描写する。これにより、単一の位置にセンサアセンブリ500を有する踵部上の繰り返し可能な場所で、複数のSEM測定を行うことが可能になる。一態様では(図11Aおよび11Bに図示せず)、センサアセンブリ500は、患者の後部の一部分上に配置されるように構成され、よって後部上の左右対称の場所で測定値を作製する能力を提供する。ある態様では、成形された基板510は、患者の標的エリアの解剖学的特徴に合致するように構成される。一態様では、成形された基板510は、数時間~数週間の一般的な範囲内のある期間にわたる時間間隔で同じ場所で測定を行うことを可能にするように、患者の体の特徴と一致し得る印または他の指標を含む。一態様では、センサアセンブリ500は、衣服もしくは靴または他の衣類の裏当てに統合される。ある態様では、センサアセンブリ500は、シーツ、ブランケット、ライナー、または他の種類の寝具に統合される。一態様では、センサアセンブリ500は、無線通信能力、例えば、受動型無線周波数識別(RFID)または誘導結合を備え、センサアセンブリ500への物理的な接続を伴わずに、センサ520の作動を可能にする。
【0089】
ある態様では、センサ520は、現在の測定値のセットを、互いに、かつ同じ場所で作製された過去の測定値と比較するように構成された電子機器(図11Bに図示せず)に結合される。ある態様では、本開示の電子機器は、一定の状態のうちの1つ以上を満たした場合に信号を提供し得る。そのような状態は、限定されないが、以前の時点での同じ2つの場所で作製された測定値の差と比較されたときの2つの場所で作製された測定値の差の変化、および閾値量を上回る同じ場所での前の測定値からの特定の場所で測定された値の変化を含み得る。
【0090】
図12は、本開示による、SEM値の測定、評価、記憶、および伝達のための統合システム800の概略図を描写する。この例では、システム800は、WiFiアクセスポイント820と無線通信する能力を含む、SEM測定値装置810、例えば、SEMスキャナ170を備える。装置810は、サーバー850上で稼働するSEMアプリケーション、ラップトップコンピュータ840、「スマートフォン」830、または他のデジタルデバイス上で稼働するアプリケーションのうちの1つ以上と通信する。ある態様では、ラップトップコンピュータ840およびスマートフォン830は、装置810のユーザ、例えば、看護師によって持ち運ばれ、アプリケーションは、ユーザにフィードバックおよび情報を提供する。ある態様では、装置180から受信された患者についての情報は、データベース850内に記憶される。一態様では、装置810から受信された患者についての情報は、データベース860内に記憶される。ある態様では、装置810から受信された情報は、ネットワーク855を介して、患者の電子カルテ(EMR)870内の情報の一部分を記憶する別のサーバー880に転送される。一態様では、装置810からの、またはデータベース860もしくはEMR870から検索された情報は、外部サーバー890に、次にコンピュータ895に、例えば、患者に治療を行っている医師の診察室のコンピュータに転送される。
【0091】
ある態様では、装置810は、マットアセンブリ500、足部カバー600、または他の測定デバイスのうちの1つであり、スマートフォン830およびラップトップ840の一方または両方を患者が使用して、マットアセンブリ500によって作製された測定値に関連する情報および通知を受信する。
【0092】
図13は、本開示による、感知バンド550を描写する。一態様では、本明細書に記載されるようなSEMセンサ、例えば、センサ90またはセンサ400は、図13に示されるようなふくらはぎ60の周りに巻かれ得るバンド554内に埋め込まれる。ある態様では、バンド554は、酸素ヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンの一方または両方、皮膚上の1つ以上のポイントの温度、脈拍数、血液量、および血圧の測定値を含み得る、組織の酸素供給の1つ以上を測定するように構成されたセンサを備える。一態様では、バンド554によって作製された測定値の組み合わせは、足への血流に関する情報を提供し、ここで、血流の低下は、DFUの形成に対する感受性の可能な指標である。ある態様では、この情報は、バンド554に近接するふくらはぎ60の一部分上の血液量の測定値および補充時間を含む。
【0093】
図14Aは、本開示による、褥瘡の治療に好適な統合センサおよび刺激装置アセンブリ201を描写する。ある態様では、統合センサおよび刺激装置アセンブリ201は、それを必要とする患者に提供される。アセンブリ201は、第1の表面上に配設された複数のセンサ90を有する基板210を有する。センサ90は、それぞれのセンサ90の場所で組織の健康状態の指標として表皮下水分(SEM)を測定するように構成される。ある態様では、アセンブリ201が皮膚上に配置されたときに患者(図14Aに図示せず)の皮膚と導電性接触にある、2つの電極212Aおよび212Bが存在する。これらの電極212A、212Bは、ある持続時間および期間の間の時間間隔を有する期間適用される刺激により、電極212A、212Bの間の組織に治療的電気刺激を適用するように構成された外部コントローラ(図14Aに図示せず)に接続される。ある態様では、低レベル電圧および/または電流が、褥瘡の治癒を向上させ得る。センサ90は、それぞれのセンサ90の静電容量を測定するように構成された外部コントローラ(図14Aに図示せず)に個別に接続される。ある態様では、静電容量は、刺激期間の間のある時間間隔で測定される。一態様では、時間間隔は、数時間~数週間の一般的な範囲であり得る。ある態様では、アセンブリ201は、センサ90および電極212A、212B上に重ね合わされた吸収パッドおよび非接着層(図14Aに図示せず)を備える。ある態様では、アセンブリ201は、アセンブリ201を患者の皮膚に接着して取り付けることを可能にするように、基板210の一部分上に重ね合わされた接着剤の層(図14Aに図示せず)を備える。ある態様では、基板201は、気体に透過性であるが、液体に不透過性である場合がある。
【0094】
標準包帯(吸収パッド、非接着層、および被覆基板)と電極212A、212Bおよび1つ以上のセンサ90と関連付けられた外部コントローラなどの治療的器具との組み合わせは、アセンブリ201を妨げることなく、創傷を保護し、治癒プロセスを改善し、かつ治癒を監視する手段を提供する。
【0095】
図14Bは、褥瘡205を有する患者の足20の裏を描写する。
【0096】
図14Cは、褥瘡205にわたって足20の裏に接着されたアセンブリ201を描写する。ある態様では、アセンブリ201は、潰瘍205上に配置され、数日間適所に残される。ある態様では、アセンブリ201は、褥瘡205上の圧力を軽減するトロイダルパッドを備える。電極212A、212Bの外部コントローラは、電極212A、212Bに周期的に取り付けられ、治療的刺激を適用する。これらの刺激の間の間隔中、センサ90の外部コントローラは、センサ90のうちの1つ以上に取り付けられて、SEM測定値を作製する。
【0097】
ある態様では、アセンブリ201は、外部コントローラに、アセンブリへの有線接続を伴わずに、電極212A、212Bを通して刺激を適用させることを可能にする、バッテリおよび無線通信能力を含む。同様に、アセンブリは、外部コントローラがセンサ90と通信して、有線接続を伴わずに、SEM測定値を作製および受信することを可能にするように構成され得る。ある態様では、アセンブリ201は、治療的刺激を適用して、SEM測定値を作製し、SEM値などの情報を無線送信するように構成されたマイクロコントローラを備える。
【0098】
治療的器具およびSEMセンサを組み合わせる概念を、他の種類の創傷に、かつ足首、または骨ばった隆起などの足の裏を除いた体上の他の場所に適用することができることは、当業者であれば明らかであろう。
【0099】
図14Dは、包帯アセンブリ202であって、それを必要とする患者の仙骨上の褥瘡にわたって配置するように適合された包帯アセンブリ202を描写する。アセンブリ202は、気体に多孔質であるが液体に不透過性である基板220を備える。アセンブリ202は、保護的パッディングおよび吸収の両方を提供するパッド222(図14Dの外側から見られる)を備える。この例では、単一のセンサ90は、アセンブリが破壊されていない皮膚を含む初期段階の褥瘡上に適用されたときにセンサが褥瘡のすぐ上にあるように、パッド222の裏面上に位置付けられる。電極214A、214Bは、患者の皮膚と接触するように、センサ90に隣接して、同じ裏面上に設置される。この構成では、アセンブリ202は、初期段階の潰瘍上に配置され、治癒プロセスを保護、改善し、アセンブリ202の除去または創傷の妨げによる治癒の進行を監視することができる。
【0100】
本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例の参照を通して、より容易に理解され、該実施例は、図解によって提供されており、特記しない限り本開示を限定することを意図していない。
【実施例
【0101】
実施例1:足の複数の場所でのSEM測定の実施
人の患者の皮膚との電極の完全な接触を確実にするために、以下の3つの方法のうちの1つを使用して、足でSEM測定を行った。
【0102】
図15Aは、本開示による装置を使用する後部踵部で始まるSEM測定を行うために使用される方法を図解する。第1に、足指が脛に向かって指しているように、前足を背屈させた。第2に、生体インピーダンスセンサ1520を、踵部1530の基部に位置付けた。踵部と完全に接触するように電極を調節し、足1540の指球を含む、足指に向かって直線で複数のSEM測定を行った。足の指球は、糖尿病性足部潰瘍の主要な場所のうちの1つである。
【0103】
図15Bは、本開示による装置を使用する側部踵部で始まるSEM測定を行うために使用される方法を図解する。第1に、足指を体から離れるように向けて、体の内側に向かって内方に回転させた。第2に、踵部1550の横側上に電極を配置した。踵部と完全に接触するように、生体インピーダンスセンサ1520を調節し、足の底部に向かって直線で複数のSEM測定を行った。足1540の指球も、図15Bに示す。
【0104】
図15Cは、本開示による装置を使用する内側踵部で始まるSEM測定を行うために使用される方法を図解する。第1に、足指を体から離れるように向けて、体の横側に向かって外方に回転させた。第2に、踵部1560の内側上に電極を配置した。踵部と完全に接触するように、生体インピーダンスセンサ1520を調節し、踵部の後部の周りで曲線で複数の測定を行った。
【0105】
前述のことから、本発明は、様々な方法で具現化され得ることが理解され、これらの方法には、以下が含まれるがこれらに限定されない。
【0106】
実施形態1.糖尿病性足部潰瘍の形成に対する組織の感受性を評価するための装置であって、装置が、基板に埋め込まれた複数の電極であって、一対の電極が、静電容量センサであって、静電容量センサに近接した組織の第1の領域の第1の静電容量を測定するように構成された、静電容量センサ、を形成することができる、複数の電極と、電極に電気的に結合した駆動回路と、駆動回路に電気的に結合したプロセッサと、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、プロセッサに電気的に結合し、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶された命令を含み、命令が、プロセッサ上で実行されたときに、測定された第1の静電容量に関する情報を駆動回路から受信するステップと、測定された第1の静電容量を第1の基準値と比較するステップと、測定された第1の静電容量が、第1の所定の閾値を上回る量で第1の基準値と異なる場合に、信号を提供するステップと、を行う、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える、装置。
【0107】
実施形態2.第1の基準値が予め決定されている、実施形態1に記載の装置。
【0108】
実施形態3.第1の基準値は、組織の第1の領域が健常であるときの第1の静電容量の測定値によって決定される、実施形態1に記載の装置。
【0109】
実施形態4.第1の基準値が、第1の静電容量の最新の測定の前の1つ以上の時点での組織の第1の領域における第1の静電容量の測定値から決定される、実施形態1に記載の装置。
【0110】
実施形態5.第1の基準値が、左右対称の場所からの測定値によって決定される、実施形態1に記載の装置。
【0111】
実施形態6.第1の基準値が、組織の第1の領域から離れている組織の第2の領域の第2の静電容量の測定値である、実施形態1に記載の装置。
【0112】
実施形態7.組織の第2の領域は健常であることが分かっている、実施形態6に記載の装置。
【0113】
実施形態8.第2の静電容量が、第1の静電容量とほぼ同時に測定される、実施形態6に記載の装置。
【0114】
実施形態9.装置は、組織の第1の領域の温度を測定するように構成され、かつプロセッサに結合した、1つ以上の温度センサを更に備え、命令は、測定された温度に関する情報を1つ以上の温度センサから受信するステップと、測定された温度を第2の基準値と比較するステップと、信号を提供するステップであって、測定された第1の静電容量が、所定の第1の閾値を上回る量で第1の基準値と異なり、かつ測定された温度が、所定の第2の閾値を上回る量で第2の基準値と異なる場合に、信号を提供する、ステップと、を更に含む、実施形態1に記載の装置。
【0115】
実施形態10.装置は、患者の足の裏面を患者が基板上に立っている間に撮像するように構成された、1つ以上の光センサを更に備える、実施形態1に記載の装置。
【0116】
実施形態11.糖尿病性足部潰瘍の形成に対する組織の感受性を評価するための方法であって、方法が、患者の皮膚の第1の場所における第1の静電容量値を得ることと、患者の皮膚の第1の場所における温度測定値を得ることと、第1の静電容量値が、第1の所定の閾値を上回る量で第1の基準値と異なり、かつ温度測定値が、第2の所定の閾値を上回る量で第2の基準値と異なるときに、患者の皮膚の第1の場所が糖尿病性足部潰瘍の形成に対して感受性であると決定することと、を含む、方法。
【0117】
実施形態12.第1の基準値が予め決定されている、実施形態11に記載の方法。
【0118】
実施形態13.第1の基準値は、患者の皮膚の第1の場所が健常であるときの第1の静電容量の測定値によって決定される、実施形態11に記載の方法。
【0119】
実施形態14.第1の基準値が、第1の静電容量の最新の測定の前の1つ以上の時点での患者の皮膚の第1の場所における第1の静電容量の測定値から決定される、実施形態11に記載の方法。
【0120】
実施形態15.第1の基準値が、患者の皮膚の第1の場所から離れている患者の皮膚の第2の場所の第2の静電容量の測定値である、実施形態11に記載の方法。
【0121】
実施形態16.患者の皮膚の第2の領域は健常であることが分かっている、実施形態15に記載の方法。
【0122】
実施形態17.第2の静電容量が、第1の静電容量とほぼ同時に測定される、実施形態15に記載の方法。
【0123】
実施形態18.糖尿病性足部潰瘍の形成に対する組織の感受性を評価するための方法であって、方法が、患者の皮膚の第1の場所における第1の表皮下水分(SEM)値を得ることと、患者の皮膚の第1の場所における温度測定値を得ることと、第1のSEM値が、第1の所定の閾値を上回る量で第1の基準値と異なり、かつ温度測定値が、第2の所定の閾値を上回る量で第2の基準値と異なるときに、患者の皮膚の第1の場所が糖尿病性足部潰瘍の形成に対して感受性であると決定することと、を含む、方法。
【0124】
実施形態19.第1の基準値が予め決定されている、実施形態18に記載の方法。
【0125】
実施形態20.第1の基準値は、患者の皮膚の第1の場所が健常であるときの第1のSEM値の測定値によって決定される、実施形態18に記載の方法。
【0126】
実施形態21.第1の基準値が、第1のSEM値の最新の測定の前の1つ以上の時点での患者の皮膚の第1の場所における第1のSEM値の測定値から決定される、実施形態18に記載の方法。
【0127】
実施形態22.第1の基準値が、患者の皮膚の第1の場所から離れている患者の皮膚の第2の場所の第2のSEM値の測定値である、実施形態18に記載の方法。
【0128】
実施形態23.患者の皮膚の第2の場所は健常であることが分かっている、実施形態22に記載の方法。
【0129】
実施形態24.第2のSEM値が、第1のSEM値とほぼ同時に測定される、実施形態22に記載の方法。
【0130】
実施形態25.糖尿病性足部潰瘍の治療を、それを必要とする患者において行うための統合装置であって、装置が、可撓性基板上に配設された複数のセンサであって、複数のセンサが、表皮下水分(SEM)値を患者の皮膚のそれぞれの場所で測定するように構成される、複数のセンサと、可撓性基板上に配設された2つの電極と、2つの電極に電気的に接続した外部コントローラと、を備え、外部コントローラが、2つの電極を制御して、SEM測定期間の間に患者の皮膚との導電性接触を検出し、外部コントローラが、2つの電極を制御して、治療段階の間に患者に治療的刺激を適用する、装置。
【0131】
実施形態26.吸収パッドを更に備える、実施形態25に記載の装置。
【0132】
実施形態27.接着剤の層を更に備える、実施形態25に記載の装置。
【0133】
実施形態28.可撓性基板が、気体に透過性であるが、液体に不透過性である、実施形態25に記載の装置。
【0134】
実施形態29.糖尿病性足部潰瘍の治療を、それを必要とする患者において行うための統合装置であって、装置が、2つの電極であって、電極間を通過する電流が患者の皮膚の場所に近接した組織を通過することになるように可撓性基板上に配設された、2つの電極、を備える、センサと、2つの電極に電気的に接続した外部コントローラと、を備える、装置。
【0135】
実施形態30.外部コントローラが、2つの電極を制御して、SEM測定期間の間に患者の皮膚との導電性接触を検出し、外部コントローラが、2つの電極を制御して、治療段階の間に患者に治療的刺激を適用する、実施形態29に記載の統合装置。
【0136】
特定の態様を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよく、また等価物でその要素を置き換えてもよいことを理解するであろう。加えて、多くの改変が、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対する特定の状況または材料に行われ得る。したがって、本発明は、開示される特定の態様に限定されず、添付の特許請求の範囲および趣旨に入る全ての態様を含むことが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C