(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】低官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルを含む放射線硬化性混合物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20220715BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220715BHJP
G03F 7/095 20060101ALI20220715BHJP
G03F 7/00 20060101ALI20220715BHJP
B41C 1/00 20060101ALI20220715BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220715BHJP
C08F 8/12 20060101ALI20220715BHJP
C08F 8/14 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G03F7/038 501
G03F7/027 502
G03F7/095
G03F7/00 502
B41C1/00
B32B27/30 Z
C08F8/12
C08F8/14
(21)【出願番号】P 2019541329
(86)(22)【出願日】2018-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2018051949
(87)【国際公開番号】W WO2018141644
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-12-07
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508373925
【氏名又は名称】フリント グループ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ピーチュ
(72)【発明者】
【氏名】アーミン ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ クラウス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス テルザー
【審査官】倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-088742(JP,A)
【文献】特開2012-173368(JP,A)
【文献】特開2013-111827(JP,A)
【文献】特開昭64-029836(JP,A)
【文献】特開2000-128994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/038
G03F 7/027
G03F 7/095
G03F 7/00
B41C 1/00
B32B 27/30
C08F 8/12
C08F 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフ構造の作製のための放射線硬化性混合物であって、
a)成分Aとして、(i)ビニルアルコール単位、(ii)酢酸ビニル単位および(iii)アクリル酸ビニル単位を含む少なくとも1種の官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルであって、ここで、前記アクリル酸ビニル単位は、置換されていてもよく、かつ一般構造
【化1】
[式中、Rは、水素または1~12個の炭素原子を有する線状もしくは分枝状の脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基または3~12個の炭素原子を有する脂環式基、ヘテロ環式基もしくは芳香族基である]を有する、少なくとも1種の官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルと、
b)成分Bとして、少なくとも1種の開始剤と、
c)成分Cとして、成分Aとは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物と、
d)成分Dとして、1種以上の添加剤と
を含み、ここで、前記官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルa)のアクリル酸ビニル単位(iii)の含有量は、すべての単位(i)、(ii)および(iii)を基準として0.1~<3モル%であり、かつ前記成分Dは、前記成分A~Dの合計を基準として0.001~30重量%の量で水素結合形成能を持つ添加剤を含
み、かつ前記水素結合形成能を持つ添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマーからなる群から選択される、レリーフ構造の作製のための放射線硬化性混合物。
【請求項2】
前記式中、Rは、水素または1~12個の炭素原子を有する線状もしくは分枝状の脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基または3~12個の炭素原子を有する脂環式基、ヘテロ環式基もしくは芳香族基であり、ここで、前記Rが線状の脂肪族基である場合には、前記Rは、少なくとも1個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、エーテル基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、ウレタン基、アルデヒド基、ニトロ基、CF
3基またはシアノ基で置換されていてもよい線状のC
1~C
12-アルキルから選択されることを特徴とする、請求項1記載の放射線硬化性混合物。
【請求項3】
成分A中の酢酸ビニル単位(ii)の含有量は、すべての単位(i)、(ii)および(iii)を基準として5~35モル%であることを特徴とする、請求項1または2記載の放射線硬化性混合物。
【請求項4】
前記成分Aは、前記成分A~Dの合計を基準として5~75重量%の量で含まれていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の放射線硬化性混合物。
【請求項5】
前記成分Bは、前記成分A~Dの合計を基準として0.1~20重量%の量で含まれていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の放射線硬化性混合物。
【請求項6】
前記成分Cの前記エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1個のビニルエーテル基および/またはアクリレート基および/またはメタクリレート基を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の放射線硬化性混合物。
【請求項7】
前記成分Cは、前記成分A~Dの合計を基準として0.5~50重量%の量で含まれていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の放射線硬化性混合物。
【請求項8】
前記官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルa)中の、アクリル酸ビニル単位(iii)の含有量は、すべての単位(i)、(ii)および(iii)を基準として0.1~2.5モル%であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の放射線硬化性混合物。
【請求項9】
前記成分Dは、前記成分A~Dの合計を基準として1~50重量%の量で含まれていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の放射線硬化性混合物。
【請求項10】
請求項1から
9までのいずれか1項記載の放射線硬化性混合物からのレリーフ形成層を少なくとも支持体上に含む、放射線硬化性多層要素。
【請求項11】
前記レリーフ形成層の上または下に、保護層、剥離層、マスク層、バリア層、表面構造を作製するための層および接着層からなる群から選択される少なくとも1つの更なる層、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項
10記載の放射線硬化性多層要素。
【請求項12】
一体型であるか、あるいは塗布可能なマスク層を介して前記レリーフ形成層を照射し、前記レリーフ形成層の非硬化領域を除去することを含む、請求項
10または
11記載の放射線硬化性多層要素からレリーフ構造を有する多層要素を製造する方法。
【請求項13】
前記レリーフ形成層を照射し、前記レリーフ形成層の硬化領域にレリーフを彫刻することを含む、請求項
10または
11記載の放射線硬化性多層要素からレリーフ構造を有する多層要素を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必須成分として少なくとも1種の水溶性または水分散性の官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルと、少なくとも1種の光重合開始剤と、部分ケン化されたポリ酢酸ビニルと相溶性のある1種以上のエチレン性不飽和の光重合性低分子量化合物と、更なる添加剤とを含む放射線硬化性混合物に関する。本発明はさらに、放射線感受性混合物を含む放射線硬化性多層要素および該放射線硬化性多層要素の使用に関する。
【0002】
レリーフ構造の製造は、一般的に次の手順で達成される:放射線硬化性混合物を、流動性の形態で寸法安定性の支持体に適用し、固化し、(マスクの使用または光線の描画により)画像通りに露光する。露光により、露光領域は架橋され、その結果、不溶性または不融性になる。後続の現像工程では、非露光の非硬化領域を除去し、そのようにしてレリーフ構造を作製する。部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの場合、水または水性洗浄剤で洗い出すことにより、非露光領域の除去が達成される。引き続き、通常、乾燥工程が実施される。
【0003】
部分ケン化され官能化されたポリ酢酸ビニルの製造は知られており、例えば、米国再発行特許出願第2740号明細書(USRE 2740)、独国特許出願公開第3015419号明細書(DE 3015419)、欧州特許出願公開第0079514号明細書(EP 0079514)、独国特許出願公開第3322993号明細書(DE 3322993)、独国特許出願公開第3322994号明細書(DE 3322994)、欧州特許出願公開第849635号明細書(EP 849635)および欧州特許出願公開第962828号明細書(EP 962828)に記載されている。放射線硬化性混合物および該混合物から作製されたレリーフ構造も同様に知られており、例えば、独国特許出願公開第3015419号明細書(DE 3015419)、欧州特許出願公開第0079514号明細書(EP 0079514)、独国特許出願公開第3322993号明細書(DE 3322993)、独国特許出願公開第3322994号明細書(DE 3322994)、欧州特許出願公開第849635号明細書(EP 849635)および欧州特許出願公開第962828号明細書(EP 962828)に記載されている。独国特許出願公開第3015419号明細書(DE 3015419)は、基材と放射線感受性層との間の接着促進中間層における官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの使用を記載している。欧州特許出願公開第0079514号明細書(EP 0079514)、乾燥安定性を改善する目的で、レリーフ構造における過剰の官能化剤により得られた官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの使用を示している。独国特許出願公開第3322993号明細書(DE 3322993)および独国特許出願公開第3322994号明細書(DE 3322994)は、触媒の使用による官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの改善された製造方法を記載し、レリーフ構造の作製のための官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの使用を記載している。欧州特許出願公開第849635号明細書(EP 849635)は、2つの異なるバインダーを含む放射線硬化性混合物を記載しており、そのうちの1つは高い官能化度を有する官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルである。欧州特許出願公開第962828号明細書(EP 962828)は、官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの合成の更なる改善、およびレリーフ構造の作製のための放射線硬化性混合物中での該官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの使用を記載している。
【0004】
しかしながら、記載されているレリーフ構造には欠点がある。改善すべき特性として、レリーフ構造のカール、低い破断点伸びおよび低い弾性が挙げられる。カールは、現像後しばらくしてからレリーフ構造が基材から離れていく向きで端からロールアップし始めることから明らかであり、これにより更なる使用、特に印刷シリンダーへの取付けが困難になり、ひび割れにつながる可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、得られたレリーフ構造のカールが低減した放射線硬化性混合物を提供することである。本発明の課題は、特に、作製されたレリーフ構造の破断点伸びおよび弾性が増大した該放射線硬化性混合物を提供することである。この場合、放射線硬化性混合物の露光時間とレリーフ構造の現像に際しての洗い出し時間は、有利には同じであるか、または短縮されるべきである。本発明の更なる課題は、低いハーフトーン値(ハイライト)をより良好に維持し、それらを印刷物に描写するレリーフ構造を作製することである。
【0006】
そうして、放射線硬化性混合物中で低い割合(<3モル%)のアクリル酸ビニル単位を含む官能化され部分ケン化された酢酸ビニルポリマーを使用すると、レリーフ構造のカールを大幅に低減でき、該レリーフ構造の機械的特性を改善できることが判明した。
【0007】
したがって、この課題は、
a)成分Aとして、(i)ビニルアルコール単位、(ii)酢酸ビニル単位および(iii)アクリル酸ビニル単位を含む少なくとも1種の官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルであって、ここで、アクリル酸ビニル単位は、置換されていてもよく、かつ一般構造
【化1】
[式中、Rは、水素または1~12個の炭素原子を有する線状もしくは分枝状の脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基または3~12個の炭素原子を有する脂環式基、ヘテロ環式基もしくは芳香族基である]を有する、少なくとも1種の官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルと、
b)成分Bとして、少なくとも1種の開始剤と、
c)成分Cとして、成分Aとは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物と、
d)任意に、成分Dとして、1種以上の添加剤と
を含み、ここで、官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルa)のアクリル酸ビニル単位(iii)の含有量は、すべての単位(i)、(ii)および(iii)を基準として0.1~<3モル%であり、かつ成分Dは、成分A~Dの合計を基準として1~30重量%の量で水素結合形成能を持つ添加剤を含む、レリーフ構造の作製のための放射線硬化性混合物により解決される。
【0008】
好ましい脂肪族基Rは、少なくとも1個のハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、エーテル基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、ウレタン基、アルデヒド基、ニトロ基、CF3基またはシアノ基で置換されていてもよい線状または分枝状のC1~C12-アルキル、特に好ましくは置換されていてもよいC1~C4-アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルまたはN-アセチル、CH2-Br、特にメチル、エチルおよびCH2-COOH、特にメチルである。
【0009】
ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、エーテル基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、ウレタン基、アルデヒド基、ニトロ基、CF3基またはシアノ基を場合により有する好ましい脂環式基は、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロプロピル基、シクロペンタジエン基、デカリン基、アダマンタン基およびカンファー(樟脳)基である。
【0010】
ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、エーテル基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、ウレタン基、アルデヒド基、ニトロ基、CF3基またはシアノ基を場合により有する好ましいヘテロ環式基は、2-ピロリジン基、テトラヒドロフラン基、テトラヒドロチオペン基、ピラン基、チオピラン基、ピラゾール基、イミダゾール基、ピペリジン基およびモルホリン基である。
【0011】
ハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、エーテル基、アミン基、カルボン酸基、エステル基、ウレタン基、アルデヒド基、ニトロ基、CF3基またはシアノ基を場合により有する芳香族またはヘテロ芳香族基は、フェニル基、ベンジル基、ピリジン基、ナフチル基、ピロール基、フラン基、チオフェン基、ピリジン基、ピラゾール基、ベンズイミダゾール基、インドール基、イソキノリン基、プリン基、ピリミジン基、オキサゾール基、チアゾール基である。
【0012】
ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位およびアクリル酸ビニル単位は、当然のことながら、共重合された形態でポリマー中に存在する。ビニルモノマー単位の割合は、ポリマーのすべてのビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位および置換されていてもよいアクリル酸ビニル単位を基準としてモル%で示される。置換されていてもよいアクリル酸ビニル単位の割合は、一般的に0.2~<3モル%、例えば0.2~2.9モル%、好ましくは0.5~3モル%、例えば0.5~2.9モル%、特に好ましくは1~<3モル%、例えば1~2.9モル%、特に非常に好ましくは1~2.5モル%、あるいはまた好ましくは0.1~2.5モル%または0.2~2.5モル%または0.5~2.5モル%である。
【0013】
置換されていてもよい特に好ましいアクリル酸ビニル単位は、アクリル酸ビニル、ビニルメタクリレート、ビニル-2-エチルアクリレート、ビニル-2-プロピルアクリレート、ビニル-2-ブチルアクリレートおよびビニルイタコン酸(R=CH2-COOH)である。ビニル(メタ)アクリレートと略されるビニルアクリレート(R=H)およびビニルメタクリレート(R=CH3)が特に好ましい。
【0014】
ポリマー中のビニルアルコール単位の含有量は、すべての単位を基準として、一般的に65~95モル%、好ましくは70~90モル%、特に好ましくは80~85モル%である。
【0015】
ポリマー中の酢酸ビニル単位の含有量は、すべての単位を基準として、一般的に5~35モル%、特に好ましくは10~30モル%、特に好ましくは10~20モル%、特に好ましくは15~20モル%の範囲である。
【0016】
一般的に、ビニルアルコール単位と置換されていてもよいアクリル酸ビニル単位との比は、20:1~400:1、好ましくは10:1~100:1、特に好ましくは25:1~85:1である。一般的に、酢酸ビニル単位と置換されていてもよいアクリル酸ビニル単位との比は、5:1~50:1、好ましくは5:1~30:1、特に好ましくは5:1~20:1である。
【0017】
放射線硬化性混合物中に含まれる官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルは、一般的に、20℃の温度で落球式粘度計を用いて4%濃度水溶液として測定した0.5mPas~250mPasの範囲の粘度を有する。有利には、粘度は、2mPas~50mPas、特に好ましくは2mPas~40mPasである。
【0018】
一般的に、放射線硬化性混合物は、該放射線硬化性混合物のすべての成分A~Dの合計を基準として5~75重量%、好ましくは5~60重量%、特に好ましくは5~50重量%の量で官能化され部分ケン化されたポリ酢酸ビニルを含む。
【0019】
放射線硬化性混合物は、成分Bとして1種以上の重合開始剤をさらに含む。適切な開始剤または開始剤系は、重合および/または架橋を引き起こすラジカルを電磁波の照射時に生成する少なくとも2種の成分からなる。そのような開始剤は当業者に知られており、例えば以下の文献に記載されている:Bruce M.Monroe et al.,Chemical Review,93,435(1993)、R.S.Davidson,Journal of Photochemistry and Biology A: Chemistry,73,81(1993)、J.P.Faussier,Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications:Rapra Review,Vol.9,Report,RapraTechnology(1998)、M.Tsunooka et al.,25 Prog.Polym.Sci.,21,1(1996)、F.D.Saeva,Topics in Current Chemistry,1 56,59(1990)、G.G.Maslak,Topics in Current Chemistry,168,1(1993)、H.B.Shuster et al.,JAGS,112,6329(1990)およびI.D.F.Eaton et al.,JAGS,102,3298(1980)、P.Fouassier and J.F.Rabek,Radiation Curing in Polymer Science and Technology,pages 77-117(1993)またはK.K.Dietliker,Photoinitiators for free Radical and Cationic Polymerisation,Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks and Paints,Volume,3,Sita Technology LTD,London 1991;またはR.S.Davidson,Exploring the Science, Technology and Applications of U.V. and E.B.Curing,Sita Technology LTD,London 1999。更なる開始剤は、特開昭45-37377号公報(JP45-37377),特開昭44-86516号公報(JP44-86516),米国特許第3567453号明細書(US3567453)、米国特許第4343891号明細書(US4343891)、欧州特許出願公開第109772号明細書(EP109772)、欧州特許出願公開第109773号明細書(EP109773)、特開昭63-138345号公報(JP63138345)、特開昭63-142345号公報(JP63142345)、特開昭63-142346号公報(JP63142346)、特開昭63-143537号公報(JP63143537)、特許第4642363号公報(JP4642363),特開昭59-152396号公報(JP59152396)、特開昭61-151197号公報(JP61151197)、特開昭63-41484号公報(JP6341484)、特開平02-000249号公報(JP2249)および特開平02-004705号公報(JP24705)、JP626223、特許第6314340号公報(JPB6314340)、JP1559174831、特開平01-304453号公報(JP1304453)および特開平01-152109号公報(JP1152109)に記載されている。
【0020】
少なくとも2種の成分からなる好ましい開始剤または開始剤系は、H-引き抜きまたは電子移動に基づく一般的にノリッシュI型またはノリッシュII型としての開始剤のグループに由来するものである。ノリッシュI型開始剤として挙げられるものは、例えば、ベンゾイルラジカル形成開始剤、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、トリアジンおよびヘキサアリールビスイミダゾールであり、これらの開始剤は、さらに色素または増感剤と組み合わせて感度を高めることができる。ノリッシュII型開始剤の場合、特に、ケトンまたはアルデヒドと、例えばアミンまたはチオールなどのH-移動剤との組合せが挙げられる。開始剤は、好ましくは、ベンジルジメチルケタール、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,-1,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ミヒラーケトン、ベンゾフェノン単独ならびに/または増感剤、アミンもしくはチオールおよびそれらの任意の組合せと組み合わせたものからなる群から選択される。使用可能な更なる開始剤は、オニウム塩、有機過酸化物、チオ化合物、ケトオキシム、ボレート、アジニウム化合物およびアゾ化合物、メタロセンおよび炭素-ハロゲン基を有する化合物であり、これらも同様に組み合わせて使用することができるか、または増感剤、アミンもしくはチオールと一緒に使用することができる。使用可能な増感剤は、例えば、キサントン、チオキサントン、アントラセン、ペリレン、フェノチアジン、ベンゾフェノン、アセトフェノンおよび色素である。増感の要件は、増感剤の三重項エネルギーが増感すべき開始剤の三重項エネルギーよりも高いことであるか、または増感剤の励起状態からの電子移動が可能であることのいずれかである。
【0021】
照射される電磁放射線の波長は、200~2000nmの範囲、好ましくはUV範囲、特に好ましくは250~550nmの範囲、特に非常に好ましくは300~450nmの範囲である。電磁波の広帯域照射に加えて、対応するフィルター、レーザーまたは発光ダイオード(LED)を使用して生成することができる種類の狭帯域または単色光の波長範囲を使用することが有利であり得る。これらの場合、350、365、385、395、400、405、532、830および1064nmの範囲の波長が個別に(ならびに約5~10nm上方および/もしくは下方)または組合せとして好ましい。
【0022】
開始剤または開始剤の組合せは、これらの波長範囲に少なくとも1つの吸収極大を有し、ここで、吸収極大の位置は、電磁放射線の放射極大と一致する必要はないが、2つの極大が非常に高い水準で重なる場合に有利である。
【0023】
一般的に、放射線硬化性混合物は、全配合物を基準として0.1~20重量%の量で開始剤または開始剤系を含む。好ましくは、開始剤濃度は、すべての成分A~Dの合計を基準として、好ましくは0.1~10重量%、特に好ましくは0.1~5重量%、特に非常に好ましくは0.5~5重量%である。
【0024】
放射線硬化性混合物は、成分Cとして、成分Aとは異なる、少なくとも1種のエチレン性不飽和基を有する低分子量エチレン性不飽和化合物を含む。エチレン性不飽和化合物として、成分Aのポリマーバインダーと相溶性のあるものが対象とされる。好ましくは、エチレン性不飽和化合物は、少なくとも2個のエチレン性不飽和基、特に好ましくは2~6個のエチレン性不飽和基、特に非常に好ましくはちょうど2個のエチレン性不飽和基を含む。C-C三重結合を有する化合物も放射線硬化性混合物中で使用することができる。有利には、少なくとも1個のエチレン性不飽和基は、好ましくはアクリレート基および/またはメタクリレート基であるが、アクリルアミド、ビニルエーテルまたはスチレン誘導体もエチレン性不飽和化合物として使用することができる。エチレン性不飽和化合物は、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのエチレン性不飽和化合物であってもよく、線状、分枝状、星状または樹状構造を有していてもよい。成分Cの低分子量エチレン性不飽和化合物は、5000g/モルmol未満の分子量を有する。好ましくは、分子量は、3000g/モル未満、特に好ましくは1000g/モル未満、特に非常に好ましくは500g/モル未満であり、300g/モル未満であってもよい。一般的に、低分子量エチレン性不飽和化合物の分子量は少なくとも86である。
【0025】
好ましいのは、アクリル酸および/またはメタクリル酸の誘導体、例えば一価もしくは多価アルコールとのそれらのエステル、例えば、1~20個の炭素原子を有するアルカノールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2~20個の炭素原子を有する多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオール-1,4-ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、さらにポリ(エチレンオキシド)ジ(メタ)アクリレート、m-メチルポリ(エチレンオキシド)-イル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、グリセロール1モル、エピクロロヒドリン1モルおよびアクリル酸3モルからなる反応生成物ならびにグリシジルメタクリレートおよびビスフェノール―A-ジグリシジルエーテルアクリレートである。カルボン酸基および/またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸誘導体。
【0026】
同様に、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの誘導体、例えば、それらのN-メチ溶媒誘導体と一価および多価アルコールとのエーテル、例えばエチレングリコール、グリセ溶媒、1,1,1-トリメチ溶媒プロパン、オリゴマーまたはポリマーのエチレンオキシド誘導体も適している。これらは、ポリアミドまたはポリビニルアルコールがバインダーとして使用される場合に特に適している。
【0027】
例えば、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応によるか、またはジイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートもしくはヒドロキシ基含有ポリエステルもしくはポリエーテルとの反応により得られることができる種類のいわゆるエポキシ(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートも適している。さらに使用可能なオレフィン性不飽和化合物は、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、特に蒸気圧が低いもの、および相溶化剤、例えばヒドロキシ基、アミド基、スルホエステル基またはスルホンアミド基で修飾されているものである。上記の共重合可能なエチレン性不飽和有機化合物の混合物も使用することができる。
【0028】
好ましくは低分子量のエチレン性不飽和化合物は、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,4-ブタンジイルビス[オキシ(2-ヒドロキシ-3,1-プロパンジイル)]ジアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3-エポキシプロピルメタクリレート、エチルジグリコールアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、tert-ブチルアミノエチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシメチルメタクリレート、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルならびに対応するメタクリレートである。
【0029】
特に好ましいのは、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、グリセロールジアクリレート、1,4-ブタンジイルビス[オキシ(2-ヒドロキシ-3,1-プロパンジイル)]ジアクリレート、エチレンジアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートおよび対応するメタクリレートである。
【0030】
一実施形態において、成分Cは、フェニルグリシジルエーテルアクリレートを含む。
【0031】
一般的に、エチレン性不飽和化合物は、配合物の成分A~Dの合計を基準として、0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、特に好ましくは5~40重量%、特に非常に好ましくは10~40重量%の範囲の量である。
【0032】
一般的に、放射線硬化性混合物は、可塑剤、溶媒、更なるポリマーバインダー、着色剤、安定剤(阻害剤)、調節剤(Reglern)、UV吸収剤、分散助剤、有機または無機充填剤、更なる非ラジカル架橋剤、粘度調整剤および水素結合を受容する添加剤からなる群から選択される1種以上の添加物を含む。これらの添加物は、全配合物を基準として0.001~50重量%の範囲の総量で放射線硬化性混合物中に含まれる。好ましくは、添加物は、成分A~Dの合計を基準として、合計で0.01~40重量%、特に好ましくは0.1~30重量%、特に非常に好ましくは1~20重量%の量で含まれる。個々の添加剤は、全配合物を基準として、0.001~30重量%、好ましくは0.001~20重量%の範囲、特に好ましくは0.001~10重量%の範囲、特に非常に好ましくは0.001~5重量%の範囲の濃度で含まれる。
【0033】
一実施形態において、放射線硬化性混合物中に、可塑剤、例えばポリエチレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、N-アルキルベンゼンスルホンアミド、フタレートおよびそれらの任意の混合物が含まれていてもよい。適切な可塑剤の例は、フタル酸エステル(aliphthalische Saeureester)、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸オクチルカプリル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシルまたはフタル酸ジアリル;グリコールエステル、例えばフタル酸ジメチルグリコール、グリコール酸フタルエチルフタリルエチル、グリコール酸メチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルまたはトリエチレングリコールジカプリル酸エステル;リン酸エステル、例えばリン酸トリクレシルまたはリン酸トリフェニル;脂肪族ジエステル、例えばアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、ジメチルセバセテート(Dimethylsebacetat)、ジブチルセバセテート(Dibuthylsebacetat)、アゼライン酸ジオクチルまたはマレイン酸ジブチル;ペンタエリスリトールポリオキシエチレンエーテル;ポリグリシジルメタクリレート;クエン酸トリエチル;グリセロールトリアセチルエステルおよびラウリン酸ブチルである。可塑剤含有量は、全配合物の質量を基準として、一般的に1~30重量%、好ましくは1~20重量%、特に好ましくは1~10重量%、特に非常に好ましくは3~10重量%である。
【0034】
成分Aとは異なる更なるバインダーとして、完全ケン化または部分ケン化されたポリビニルエステル、例えば、部分ケン化されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール誘導体、例えば部分ケン化された酢酸ビニル/アルキレンオキシドグラフトコポリマーならびにそれらの混合物が対象とされる。同様に、ポリマーバインダーとして適切なのは、例えば欧州特許出願公開第0085472号明細書(EP 0 085 472)または独国特許出願公開第1522444号明細書(DE 1522444)に記載されている種類の水または水/アルコール混合物に可溶性のポリアミドである。更なるバインダーの濃度は、含まれている場合、全配合物を基準として、一般的に1~50重量%の範囲、好ましくは1~40重量%の範囲、特に好ましくは1~35重量%の範囲、特に非常に好ましくは1~30重量%の範囲である。
【0035】
さらに、光開始剤が吸収される化学線範囲で顕著な固有吸収を示さない阻害剤を熱重合に加えることができ、例として、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、β-ナフトール、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼンまたはクロラニル;チアジン色素、例えばチオニンブルーG(C.I.52025)、メチレンブルーB(C.I.52015)またはトルイジンブルー(C.I.52040);またはN-ニトロソアミン、例えばN-ニトロソジフェニルアミン、またはN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミンの塩、例えばカリウム塩、カルシウム塩もしくはアルミニウム塩が含まれる。更なる適切な阻害剤および安定剤は、例えば、A.Valet,Lichtschutzmittel fuer Lacke,33ff,Vincentz Verlag Hannover 1996に記載されている。特に好ましいのは、立体障害フェノールおよびアミンである。
【0036】
着色剤として、色素、顔料またはフォトクロミック添加剤が、混合物を基準として0.0001~2重量%の量で放射線硬化性混合物に加えられていてもよい。それらは、調節剤として露光特性の制御、識別、露光結果の直接管理または審美目的に用いられる。例えば、可溶性フェナジニウム色素、フェノキサジニウム色素、アクリジニウム色素およびフェノチアジニウム色素、例えばニュートラルレッド(C.I.50040)、サフラニンT(C.I.50240)、ローダニルブルー、ローダミンDの塩またはアミド(ベーシックバイオレット10、C.I.45170)、メチレンブルーB(C.I.52015)、チオニンブルーG(C.I.52025)、アクリフラビン(C.I.46000)、アクリジンオレンジ(C.I.46005)またはソルベントブラック3(C.I.26150)が適している。これらの色素は、化学線(aktinisches Licht)の非存在下では色素を還元しないが、露光されると励起電子状態の色素を還元することができる還元剤と一緒に使用することもできる。そのような穏やかな還元剤の例は、アスコルビン酸、アネトール、チオ尿素、例えばジエチルアリルチオ尿素、特にN-アリルチオ尿素、ならびにヒドロキシルアミン誘導体、特にN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミンの塩、有利にはカリウム塩、カルシウム塩およびアルミニウム塩である。後者は、前述のように、熱開始重合の阻害剤としても用いられることができる。還元剤は、一般的に、混合物を基準として0.005~5重量%の量で加えることができ、多くの場合、併用される色素の量の3~10倍の添加が有効であることがわかった。
【0037】
調節剤として適しているのは、例えば、ヒドロキシルアミン誘導体、特にN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミンの塩、有利にはカリウム塩、カルシウム塩およびアルミニウム塩、または-SH含有化合物、例えばメルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、チオフェノール、チオグリセロール、チオグリコール酸エチルエステル、チオグリコール酸メチルエステル、ドデシルメルカプタンまたはメルカプト酢酸、ハロゲン有機化合物、例えばテトラクロロメタンである。
【0038】
放射線硬化性混合物へのUV吸収剤の添加も同様に利点を有し、レリーフ形成に好影響を与えることができる。使用されるUV吸収剤は、A.Valet,Lichtschutzmittel fuer Lacke,20ff,Vincentz Verlag Hannover 1996に記載されているように、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニル-s-トリアジン、オキサラニリド、ヒドロキシフェニルピリミジン、サリチル酸誘導体およびシアノアクリレートなどの化合物、ならびにそれらの任意の組合せである。
【0039】
さらに、例えば単官能性および多官能性のカルボン酸もしくはスルホン酸、アルコールもしくはアミンなどの顔料、色素、ナノ粒子または無機充填剤に対する分散特性を有する分散助剤が含まれていてもよい。追加の非ラジカル架橋性架橋剤として、放射線硬化性混合物中で、単官能性および多官能性アルデヒド、多官能性エポキシド、多官能性カルボン酸および多官能性カルボン酸無水物ならびに任意の組合せを併用することができる。これらには、特に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ピバルアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド(1,5-ペンタンジアール)、スクシンアルデヒド(ブタンジアール)、テレフタルアルデヒド、1,2,3,4-ジエポキシブタン、1,2:5,6-ジエポキシヘキサン、1,2:7,8-ジエポキシオクタン、エポキシ樹脂、例えばビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルおよびエポキシフェノール-ノボラック、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、酒石酸、クエン酸、テレフタル酸、フタル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、無水マレイン酸、無水コハク酸および無水フタル酸が含まれる。
【0040】
粘度調整剤として、放射線感受性混合物中で、水溶性または分散性ポリマーに加えて界面活性剤または界面活性物質も使用される。
【0041】
一実施形態において、放射線感受性混合物は、水素結合を形成することができる低分子量または高分子量の少なくとも1種の添加剤を含む。これは、成分Aと水素結合を形成する化合物であり、アルコール、ケトン、アルデヒド、アミン、アミド、アミノ酸、カルボン酸、チオエーテル、チオール、ウレタン、エステル、ラクトン、ラクタムおよびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。水素結合を形成する添加剤は、好ましくは、ポリオール、ポリアミン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミドおよびイオン性ポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのアニオン性ポリマーからなる群から選択される。水素結合を受容する添加剤として特に好ましいのは、ポリエチレンイミン、エチレングリコール単位を有するポリウレタン(例えばBASF社製ポリウレタンアクリレートPUA BIN 200)、ポリエチレングリコール、例えばPEG-400およびPEG-2000、ならびにポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、例えばAlcotex 97-5およびそれらの任意の組合せである。本発明の特定の一実施形態において、水素結合を形成する添加剤は、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである。
【0042】
水素結合を形成することができる添加剤は、一般的に、全配合物を基準として、1~30重量%、好ましくは1~25重量%、特に好ましくは5~20重量%、特に非常に好ましくは10~20重量%の量で存在する。
【0043】
好ましい放射線硬化性混合物は、
a)5~75重量%の成分A
b)0.1~20重量%の成分B、
c)0.5~50重量%の成分C
d)0.001~50重量%の成分D
を含む。
【0044】
一実施形態において、放射線硬化性混合物は1~50重量%の成分Dを含み、そのうちの1~30重量%を占めるのは水素結合を形成することができる添加剤である。
【0045】
特に好ましい実施形態において、放射線硬化性混合物は、
a)5~60重量%の成分A
b)0.1~10重量%の成分B、
c)1~40重量%の成分C
d)0.01~40重量%の成分D
を含む。
【0046】
一実施形態において、放射線硬化性混合物は1~40重量%の成分Dを含み、そのうちの1~25重量%を占めるのは水素結合を形成することができる添加剤である。
【0047】
放射線感受性混合物は、当業者によく知られているすべての方法を用いて、混合、溶解、分散、乳化またはそれらの任意の組合せによって製造することができる。個々の成分を添加する順序は重要ではないが、特定の成分を部分混合物として一つにまとめてから、これらの部分混合物を一つまとめて完成した混合物を形成することが有利であり得る。これらの工程では、溶媒を使用することも可能であるが、少なくとも一部の工程で、少なくとも部分的に、好ましくは大部分が再び除去されるため、放射線感受性混合物は、乾燥した、場合により固体の、有利にはフィルム状または層状の形態で存在することになる。この場合、放射線硬化性混合物中に少量または微量で残る可能性がある。放射線感受性混合物は、通常の方法(例えば、流し込み、ナイフ塗布、噴霧、浸漬)によって基材または層に適用することができ、更なる工程(乾燥、蒸発、押出、カレンダー加工、積層、ライニング)にかけることができる。溶媒を既知の方法(例えば乾燥、蒸留、回転蒸発器での除去、前述の方法は、標準圧力および/または加圧もしくは減圧下で実施することができる、傾瀉)で除去し、場合により再使用することができる。一実施形態において、放射線硬化性混合物を支持体シートまたは保護シートに適用、例えば流し込み、乾燥し、引き続き金属またはポリマー支持体上にライニングすることができ、この場合、溶媒も使用することができる。使用することができる溶媒は、極性溶媒、特に水および水溶液、アルコール、ケトンおよびアルデヒドならびにそれらの任意の混合物である。
【0048】
本発明はさらに、支持体上のレリーフ形成層として放射線硬化性混合物の層を少なくとも含む放射線硬化性多層要素に関する。放射線硬化性多層要素は、更なる層を含んでいてもよい。
【0049】
放射線硬化性層の厚さは、一般的に0.01~5mm、好ましくは0.01~4mm、特に好ましくは0.02~3mm、特に非常に好ましくは0.03mm~3mmである。
【0050】
寸法安定性の支持体材料からなる支持体は、任意に、寸法安定性の支持体と放射線硬化性レリーフ形成層との間に位置する更なる層、例えば接着コーティング層、トップコーティング層、またはバリア層を含んでいてもよく、1つの層に2つ以上の前述の機能を持たせることもできる。適切な寸法安定性の支持体の例は、鋼、アルミニウム、銅もしくはニッケルなどの金属、またはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドもしくはポリカーボネートなどのプラスチック、ガラス繊維織布などの織布または不織布、またはガラス繊維とプラスチックからなる複合材料からなる版(plates)、シートならびに円錐形および円筒形のチューブ、いわゆるスリーブである。寸法安定性の支持体として、特に、寸法安定性の支持体シートまたは金属板、例えばポリエチレンシートもしくはポリエステルシートまたは鋼板またはアルミニウム板が対象とされる。これらの支持体シートまたは金属板の厚さは、一般的に50~1500μm、有利には75~400μm、例えば約250μmである。鋼が支持体材料として使用される場合、0.05~0.3mmの厚さを有する鋼板が好ましい。腐食から保護するために、錫メッキ鋼板が好ましくは使用される。これらの支持体シートまたは支持体板は、放射線硬化性レリーフ形成層の方を向く支持体シート面に、薄い接着促進層、例えば厚さ0.1μm~2μmの層がコーティングされていてもよい。
【0051】
寸法安定性のある支持体上には、接着コーティング層と、場合によりトップコーティング層とが配置されていてもよい。接着コーティング層として機能し得るのは、例えば、ポリイソシアネート架橋ポリエーテルまたはポリエステルコーティング材料に基づく、層厚が0.5~50μm、特に2~30μmの、例えば独国特許出願公開第3045516号明細書(DE3045516)に記載のポリウレタン接着コーティングからなる層である。
【0052】
トップコーティング層は、接着剤コーティング層の支持体層とは反対側に配置されていてもよく、一般的に0.1~50、特に1~10μmの層厚を有し、例えば、部分ケン化(例えば80%程度までケン化)されたポリビニルエステル、フェニルグリセロールエーテルモノアクリレート(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート)およびグリオキサールの希薄水性アルコール溶液の塗布、トップコーティング層の乾燥および焼成によって得られることができる。
【0053】
寸法安定性の支持体と基材層との間の露光または非露光状態での接着力は、剥離角90°および剥離速度30mm/分とする剥離試験の測定で0.5N/cmを超えることが望ましい。
【0054】
放射線硬化性レリーフ形成層を、例えば、光、水分、酸素またはオゾンなどの環境の影響から保護するために、バリア層または保護層が存在していてもよい。しかしながら、異なるバリア特性を1つの層にまとめることも可能である。バリア層は、別個のバリア層であってもよいか、または対応するバリア特性を有する支持体層であってもよい。
【0055】
光に対するバリア層は、対応する波長をそれ自体が吸収または反射するプラスチック、例えばUV領域で吸収するポリエチレンナフタレートからなるか、例えば欧州特許出願公開第0504824号明細書(EP0504824)または欧州特許出願公開第0767406号明細書(EP0767406)に記載されているように、対応する波長を吸収または反射する材料を含んでいてもよい。
【0056】
水分に対するバリア層は、水の拡散係数が低いポリマーからなっていてもよい。例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルおよびポリビニルアルコールである。
【0057】
酸素に対するバリア層は、ラジカル的に進行する反応が酸素の影響を大いに受けて抑制されるため、その後の電磁波露光で大きな役割を果たし得る。バリア層に提案される材料には、水溶性バインダーと有機溶媒に可溶性のバインダーの両方が含まれ、これらのバインダーは、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、両性コポリマー(amphotere Interpolymere)、酢酸酪酸セルロース、アルキルセルロース、ブチラール、環状ゴムおよびそれらの組合せである。好ましくは、ポリビニルアルコール、部分ケン化および高度にケン化されたポリビニルカルボキシレート、ポリ(エチレンオキシド-ビニルアルコール)グラフトコポリマーまたはポリ(エチレンビニルアルコール)コポリマーが用いられる。バリア層の厚さは、一般的に0.2μm~10μm、好ましくは0.3~8μmである。
【0058】
有利には、放射線硬化性レリーフ形成層上の放射線硬化性多層要素は、1つ以上の更なる層を有する。これらの更なる層は、保護層、バリア層、マスク層、接着層、剥離層(粘着防止層(Entklebungsschicht))または表面構造を作製するための層であってよく、1つの層に2つ以上の前述の機能を持たせることもでき、これらの層は任意の順序と組合せで存在することができる。例えば、引き剥がすことによって機械的に除去されない層は、一般的に、少なくとも部分的に水溶性または水分散性である。
【0059】
最外層として、放射線硬化性多層要素は、一般的に、保護層、有利には保護シートを有し、これは、例えば、引掻傷、汚れまたは塵埃によって引き起こされる機械的損傷から放射線硬化性層を保護する。この保護層は、通常、更なる処理工程の前に除去される。保護層は、一般的に、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエチレンからなる薄くて、有利には同様に寸法安定性のポリマーシートである。放射線硬化性層を光から保護するために、保護層は光吸収材料を含んでいてもよく、したがって、放射線硬化性層での早期の望ましくない重合を防止することができる。
【0060】
バリア層は、一般的に、放射線硬化性層と直接接触して配置され、環境(水分、酸素、オゾンもしくはそれらの組合せ)もしくは他の層(色素、UV吸収剤など)からの望ましくない低分子量物質が放射線硬化性層に拡散することを防ぐか、または該バリア層は、低分子量物質が放射線硬化性層(例えば開始剤、モノマー)からその上にある層に拡散することを防ぐ。バリア層が他の箇所に位置決めされているか、または複数のバリア層が使用される他の配置も同様に可能である。水分、光および酸素に対する適切なバリア層は、上記のバリア層である。
【0061】
放射線硬化性層および/またはバリア層の上に位置する層の構成成分に対するバリア層は、移動物質に対して高い拡散抵抗を有する。一般的に、バリア層は、少なくとも部分的に水溶性または水分散性である。
【0062】
接着層は、個々の層間の接着力を高め、層構造を安定させる。そのような層は、両方の境界層と相互作用を示す物質を含み、これらの物質は、一般的に、界面活性剤、疎水性および親水性領域を有する両親媒性分子、ならびにブロックコポリマー、および2つの層または境界層のポリマーと相溶性のあるブロックを含むオリゴマーである。
【0063】
剥離層は、個々の層間の接着力を低下させ、例えば、保護シートなどの別の層を引き剥し易くする。これらの層は、層構造の非常に多岐にわたった位置に設けられていてもよく、1つ以上の層の単純な除去に使用することができる。
【0064】
放射線硬化性層上に表面構造を作製するための層は、一般的に、放射線硬化性層と直接接触して配置され、処理工程の終わりに構造または粗さを有する表面が存在するように作用する。これは、層状アセンブリの製造中にエンボス加工または成形加工によって行うことができる。
【0065】
マスク層は、放射線硬化性層の画像通りの露光を可能にし、露光に使用される電磁放射線を吸収および/または反射する少なくとも1種の材料、ならびにマスク層が画像化によって局所的に除去し、かつ/またはその吸収または反射特性を変更して、画像化に使用される波長範囲で層が少なくとも部分的に透明になるようにする材料を含む。そのうえマスク層は、良好な加工性、皮膜形成および現像をもたらすバインダーおよび添加剤などの更なる構成成分を含む。マスク層は、有利にはレーザーアブレーション型マスク層である。この場合、高エネルギー入力の結果、マスク層はレーザー放射によって除去され、より具体的には、レーザービームがマスク層に衝突する場所でのみ除去される。このようにして、マスク層に作製されるレリーフ構造のネガ像が生じる。放射線感受性層の露光領域でのその後の電磁波露光は、架橋および/または重合をもたらす。非露光材料の除去後に露光領域がレリーフ構造として残る。マスク層は、好ましくはIRレーザーを使用してアブレーションされる。一般的に、露光はUV範囲の電磁放射線で実施される。そのようなレーザーアブレーションマスク層は、例えば、国際公開第94/03839号(WO 94/03839)、米国特許第5262275号明細書(US 5,262,275)、国際公開第94/03838号(WO 94/03838)および欧州特許出願公開第0767406号明細書(EP 0 767 406)に記載されている。
【0066】
レーザーアブレーションマスク層は、一般的に、1種以上の水溶性または水分散性バインダーまたは水性/アルコール溶媒混合物に可溶性または分散性のバインダーと、IR光を吸収し、750~20000nm、好ましくは750~5000nmの波長範囲で強力な吸収を有する微細に分割された材料と、場合により可塑剤とを含む。IR感光マスク層は、化学線に対して2.5以上、好ましくは3~5の光学密度を有する。そのようなバインダーの例は、部分ケン化されたポリビニルエステル、例えば、部分ケン化されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール誘導体、例えば部分ケン化された酢酸ビニル/アルキレンオキシドグラフトコポリマー、無水マレイン酸コポリマー、例えば無水マレイン酸とイソブテンまたは無水マレイン酸とビニルメチルエーテルのコポリマー、水溶性ポリエステル、水溶性ポリエーテル、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、酢酸ビニル、アクリルアミド、水溶性ポリウレタン、水溶性もしくは水/アルコール混合物に可溶性のポリアミドまたはこれらのポリマーの混合物のホモポリマーおよびコポリマーである。
【0067】
IR吸収材料として、色素および/または顔料を使用することができる。色素として、例えば、フタロシアニンおよび置換フタロシアニン誘導体、シアニン色素およびメロシアニン色素、あるいはまたポリメチン色素を使用することができる。顔料として、例えば、カーボンブラック、グラファイト、酸化クロムまたは酸化鉄を使用することができる。
【0068】
IR吸収材料は、本発明に従って使用するのに効果的な濃度で使用される。一般的に、IR放射に敏感なマスク層の総質量を基準として1~60重量%が必要とされる。IR感光マスク層を化学線に対して不透過性にするために、UV光を吸収するすべての化合物を使用することができる。例は、前述の色素および顔料である。感光層の開始剤の大部分は、UV光に敏感である。その結果、カーボンブラックは、IR感光層の顔料として頻繁に使用される。カーボンブラックがIR感光層の顔料として使用される場合、更なるIR吸収材料の使用は省くことができる。化学線に対して不透過性の材料の濃度は、必要な光学密度が達成されるように選択される。一般的に、必要な光学密度は2.5よりも高い。カーボンブラックがIR感光層の顔料として使用される場合、使用される量は、IR感光性マスク層の総質量を基準として、約1~60重量%、好ましくは1~40重量%である。
【0069】
本発明の別の対象はまた、放射線硬化性混合物の層を支持体に適用することを含む、放射線硬化性多層要素の製造方法である。この方法は、非常に一般的に、a)~g)の順序で、
a)支持体を準備する工程
b)任意に支持体を洗浄する工程
c)任意に1つ以上の更なる層を適用する工程、
d)放射線硬化性混合物の少なくとも1つの層を適用する工程、
e)任意に層状アセンブリを、有利には乾燥によってさらに処理する工程、
f)任意に1つ以上の更なる層を適用する工程、
g)任意に層構造をさらに処理する工程
を含む。
【0070】
工程a)では、更なる層(例えば、接着促進剤層、バリア層、コーティング層)がさらに備わっていてもよい寸法安定性の支持体が準備される。
【0071】
任意の工程b)では、場合により更なる層または放射線硬化性混合物で直接被覆される支持体の表面の洗浄が行われる。この場合、特に塵埃や異物だけでなく、付着力を損ねる表面の汚れ(例えば指紋)も除去される。この場合、例えば、ブラッシング、吹き飛ばし、拭き取り(溶媒の有りと無し両方で)、すすぎ落とし、およびそれらの任意の組合せなど、当業者によく知られているすべての方法を使用することができる。一般的に、そのような洗浄が実施される。
【0072】
任意の工程c)では、1つ以上の更なる層、例えば接着促進剤層または中間層、バリア層またはコーティング層、およびこれらの層の適切な組合せを適用することができる。更なる層は、例えば、カレンダー加工、積層、押出、流し込み、浸漬、噴霧、コーティングまたはライニング、およびそれらの適切な組合せなど、当業者によく知られているすべての方法を用いて適用することができる。有利には、工程c)では、支持体シートまたは支持体板が接着層で被覆され、これは焼成または乾燥される。接着促進剤層で被覆されている支持体シート、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよび/またはポリカーボネートの支持体シートを使用することもできる。
【0073】
工程d)では、放射線硬化性混合物の少なくとも1つの層が塗布され、ここで、複数の層の塗布の間に、例えば、乾燥、照射または噴霧およびそれらの適切な組合せなどの更なるプロセス工程が実施され得る。放射線硬化性混合物は、例えば、積層、ライニング、流し込み、浸漬、噴霧およびそれらの適切な組合せなど、当業者によく知られているすべての方法を用いて適用することができる。ここで、放射線硬化性混合物および/または層を加熱または冷却する必要がある場合もある。
【0074】
工程d)の塗布方法に応じて、工程e)で層構造の更なる処理を実施する必要がある場合もある。特に、液体のまたは溶媒を含む混合物が塗布される場合、層状アセンブリの加熱または減圧下での溶媒の蒸発による乾燥工程を実施する必要がある場合もある。さらに、例えばロールまたはプレスを用いて、層構造に機械的処理を施す必要がある場合もある。さらに、この段階で、少なくとも一つの面から相応して透明な電磁波を層構造に照射することが有利であり得る。
【0075】
有利には、放射線感受性混合物は、例えば、部分ケン化されたポリビニルエステル、フェニルグリセロールエーテルモノアクリレート、およびグリオキサールの希釈水溶液/アルコール溶液からのトップコーティング層、またはポリイソシアネート架橋ポリエーテルコーティングもしくはポリエステルコーティングに基づく、独国特許出願公開第3045516号明細書(DE 3045516 A1)に記載のポリウレタン接着コーティングからなる接着層を有する、有利にはPETからの寸法安定性シートを有する寸法安定性の板、特にアルミニウム板または鋼板上に、流し込みによって塗布され、乾燥トンネルで50~200℃に加熱することによって乾燥される。
【0076】
塗布および場合により処理された放射線硬化性層の厚さは、一般に0.01~5mm、好ましくは0.01~4mm、特に好ましくは0.02~3mm、特に非常に好ましくは0.03mm~3mmである。
【0077】
任意の工程f)では、1つ以上の更なる層を放射線硬化性レリーフ形成層に適用することができる。このような層は、保護層、バリア層、マスク層、接着層、剥離層、表面構造を作製するための層、およびこれらの層の適切な組合せであり得る。更なる層の適用は、は、例えば、カレンダー加工、ライニング、積層、圧延、押出、流し込み、浸漬、噴霧およびそれらの適切な組合せなど、当業者によく知られているすべての方法を用いて適用することができる。ここでも、層構造の更なる処理を実施する必要がある場合もある。特に、液体のまたは溶媒を含む混合物が適用される場合、層状アセンブリの加熱または減圧下での溶媒の蒸発による乾燥工程を実施する必要がある場合もある。一般的に、少なくとも1つの保護層、有利には保護シートが塗布され、これは、有利には積層またはライニングによって行われる。
【0078】
一実施形態では、放射線硬化性混合物を、支持体シートまたは保護シートに適用し、例えば流し込み、乾燥し、引き続き金属またはポリマー支持体上にライニングしてもよく、この場合、溶媒も使用することができる。放射線硬化性混合物を支持体に施与し、更なる層をシートに塗布し、引き続き更なる層を有するシートを放射線感受性混合物上に積層することも可能である。前の工程で層または放射線硬化性混合物を加熱した場合、形成された層構造の能動冷却を実施することが有利であり得る。
【0079】
任意に、工程g)の層構造は、更なる加工のために有利な更なる処理にかけてもよい。これらには、例えば、層構造の両側のうちの少なくとも一方の電磁波露光(相応して透明)、欠陥および/または不純物の光学品質管理、所定の型への切断、熱処理、梱包、貯蔵およびそれらの任意の組合せが含まれる。
【0080】
本発明はまた、マスク層を介してレリーフ形成層を照射し、レリーフ形成層の非照射の非硬化領域を除去することを含む、放射線硬化性多層要素からレリーフ構造を製造する方法に関する。
【0081】
非常に一般的に、この方法は次の工程を含む:
a)放射線硬化性多層要素を準備する工程、
b)任意に放射線硬化性多層要素を洗浄する工程、
c)任意に第1の面から電磁放射線を照射する工程、
d)任意に保護層を除去する工程、
e)任意にマスク層を適用する工程、
f)マスク層を画像化する工程、
g)マスク層を介して電磁放射線を照射する工程、
h)任意にマスク層を除去する工程、
i)非露光領域を除去する工程、
j)任意にさらに処理する工程。
【0082】
第1の工程a)では、記載された放射線硬化性多層要素を準備する。これは、任意に工程b)で洗浄することができ、この場合、例えば、ブラッシング、吹き飛ばし、拭き取り(溶媒の有り無し両方で)、すすぎ落とし、およびそれらの任意の組合せなど、当業者によく知られているすべての方法を使用することができる。
【0083】
任意の工程c)では、放射線硬化性多層要素に、少なくとも一方の面から電磁放射線を広範囲に照射することができる(上記参照)。この露光は、有利には、作製すべきレリーフ構造の固定を達成するために、マスク層と反対側の放射線硬化性層の面から行われる(裏面露光)。この裏面露光は、有利には、支持体材料としての、例えばポリマーフィルム、特にポリエステルフィルムなどの透明な寸法安定性材料を介して行われる。
【0084】
保護層が存在する場合、これは任意の工程d)で除去することができ、除去は、機械的に可能なだけでなく、溶媒、水または水溶液で処理することにより化学的にも可能である。保護層は、有利には保護シートであり、引き剥がされる。
【0085】
放射線硬化性多層要素がマスク層を含まない場合、このマスク層は、任意の工程e)で適用することができる。ここで、マスク層はすでに画像化されていてもよく、その場合は工程f)が省かれる。マスク層は、例えば、載置、カレンダー加工、積層、圧延、押出、流し込み、浸漬、噴霧、ライニングおよびそれらの適切な組合せなど、当業者に知られているすべての方法を用いて適用することができる。場合により、特に液体配合物を塗布する場合、例えば、乾燥、圧延および/または冷却などの更なる処理工程が必要となり得る。マスク層は、有利には載置または積層される。
【0086】
ここで、工程b)、c)、d)およびe)の順序は、適切に変更することができる。
【0087】
工程f)ではマスク層が画像化され、この工程は、工程e)で画像化されるマスク層が適用されるか、例えば、誘導レーザービームまたは電磁放射線の位置分解投影によって、放射線感受性層が直接露光される場合にのみ任意に行われる。マスク層の画像化は、層の除去および/または吸収特性および/または反射特性の位置分解変化により画像化されることから、マスク層は、画像化に使用される波長範囲で少なくとも部分的に透明になる。IRレーザーによってアブレーションされ得るマスク層を使用することが有利である。
【0088】
工程g)では、寸法安定材料の反対側の放射線感受性層の面から多層要素に電磁放射線が照射され、放射線で誘起される重合反応および架橋反応を起こす。画像化されたマスクが存在する場合、照射は広範囲に行うことができるか、またはマスク層無しで操作される場合、誘導レーザービームまたは電磁放射線の位置分解投影によって、小さな領域(ほぼ点状)で画像化しながら行うことができる。この場合に照射される電磁波の波長は、すでに上で説明したように、200~2000nmの範囲である。
【0089】
ここでの照射は、連続的にまたはパルス状でまたは連続的な放射で複数の短期間で行われてもよい。ここでの放射線の強度は、幅広い範囲にわたって変化してよく、後の現像プロセスのために放射線硬化性層を十分に硬化させるのに十分な線量が使用されることを保証する。放射線で誘起される反応は、場合により更なる熱処理後に、放射線感受性層の露光領域が少なくとも部分的に不溶性となり、ひいては現像工程で除去することができないように十分に進められなければならない。放射線の強度と線量は、配合物の反応性および現像の期間と効率に依存する。放射線の強度は、1~15000mW/cm2の範囲、好ましくは5~5000mW/cm2の範囲、特に好ましくは10~1000mW/cm2の範囲である。放射線の線量は、0.3~6000J/cm2の範囲、好ましくは3~100J/cm2の範囲、特に好ましくは6~20J/cm2の範囲である。エネルギー源への暴露は、例えば希ガス、CO2および/もしくは窒素などの不活性雰囲気、または多層要素を損傷しない液体下で実施することもできる。
【0090】
工程h)では、任意にマスク層を除去することができ、除去は、機械的に可能なだけでなく、溶媒、水または水溶液で処理することにより化学的にも可能である。マスク層を個別に除去することは、特に、層全体を機械的に引き剥がすことができる場合、またはマスク層を単に載置または積層しただけの場合に適している。マスク層無しで操作される場合、この手順は省かれる。
【0091】
レリーフ構造を作製するために、工程i)で、工程g)で露光されなかった放射線硬化性層の領域が除去される。この現像工程では、当業者によく知られているすべての方法を使用することができる。照射は、放射線硬化性層の重合および/または架橋を引き起こし、その結果、層の可溶性がより低下することになる。したがって、非露光領域を除去するには、溶媒、水および/または水溶液が現像媒体として使用される。溶媒および水溶液は、配合物を安定化させ、かつ/または放射線硬化性層の成分の溶解度を高める助剤を含んでいてもよい。そのような助剤の例は、乳化剤、界面活性剤、塩、酸、塩基、安定剤、腐食防止剤およびそれらの適切な組合せである。これらの溶液を用いた現像のために、例えば、現像媒体による浸漬、洗浄または噴霧、現像媒体の存在下でのブラッシングおよびそれらの適切な組合せなど、当業者に知られているすべての方法を使用することができる。現像は、好ましくは中性の水溶液または水を使用して行われ、除去は、回転ブラシまたはプラッシュウェブ(Plueschflor)によって支援される。現像に影響を与えるもう1つの方法は、現像媒体の温度を制御し、例えば温度を高めることにより現像を加速させることである。この工程では、放射線感受性層上にまだ存在する更なる層も、現像中にこれらの層を剥離し、現像媒体に十分に溶解および/または分散できる場合、除去が可能である。
【0092】
任意に、先行する工程の後に、更なる処理工程を実施することができる(工程j)。これらには、例えば、熱処理、乾燥、電磁放射線による処理、識別機能の取付け、切断、被覆およびそれらの任意の組合せが含まれる。例えば、反応を開始および/または完了させるために、レリーフ構造の機械的および/または熱的安定性を高めるために、ならびに揮発性成分を除去するために、熱処理を利用してもよい。熱処理のために、例えば、加熱された気体または液体による加熱、IR放射、およびそれらの任意の組合せなどの既知の方法を使用することができる。この場合、オーブン、ファン、ランプおよびそれらの任意の組合せを使用することができる。
【0093】
例えば、レリーフ構造の表面を非粘着性にするために、重合反応および/または架橋反応を誘発および/または完了させるために、電磁放射線による処理を使用してもよい。この場合、照射された電磁波の波長は、すでに上で説明したように、200~2000nmの範囲である。
【0094】
一実施形態では、放射線硬化性多層要素からレリーフ構造を有する多層要素を製造する方法は、レリーフ形成層を照射し、レリーフ形成層の照射硬化領域にレリーフを彫刻することを含む。非常に一般的に、この方法は次の工程を含む:
a)放射線感受性多層要素を準備する工程、
b)任意に放射線感受性多層要素を洗浄する工程、
c)任意に裏面から電磁放射線を照射する工程、
d)任意に保護層を除去する工程、
e)任意に放射線硬化性層に電磁放射線を照射する工程、
f)放射線硬化性層の少なくとも一部を像様にアブレーションする工程、
g)任意にさらに処理する工程。
【0095】
第1の工程a)では、放射線硬化可能な多層要素が準備される。任意に、これは工程b)で洗浄することができ、例えば、ブラッシング、吹き飛ばし、拭き取り(溶媒の有り無し両方で)、すすぎ落とし、およびそれらの任意の組合せなど、当業者によく知られているすべての方法を使用することができる。
【0096】
任意の工程c)では、放射線硬化性多層要素に、裏面から、放射線硬化性多層要素のこの面が使用波長に対して透明である場合、電磁放射線を広範囲に照射することができる。この照射は、有利には、作製すべきレリーフ構造の固定を達成するために、マスク層と反対側の放射線硬化性層の面から行われる(裏面照射)。この裏面照射は、有利には、例えばポリマーフィルム、特にポリエステルフィルムなどの透明な寸法安定性材料を介して行われる。
【0097】
ここで照射される電磁波の波長は、すでに上で説明したように、200~2000nmの範囲である。
【0098】
保護層が存在する場合、これは任意の工程d)で除去することができ、除去は、機械的に可能なだけでなく、溶媒、水または水溶液で処理することにより化学的にも可能である。保護層は、有利には引き剥がされる。
【0099】
ここで、工程b)、c)およびd)の順序は、適切に変更することができる。工程e)では、寸法安定材料の反対側の放射線感受性層の面から層構造に電磁波が照射され、放射線で誘起される反応を起こす。照射は広範囲に行うだけでなく、誘導レーザービームまたは電磁放射線投影によって小さな領域(ほぼ点状)で行うこともできる。この場合に照射される電磁波の波長は、すでに上で説明したように、200~2000nmの範囲である。
【0100】
ここでの照射は、連続的にまたはパルス状でまたは連続的な放射で複数の短期間で行われてもよい。ここでの放射線の強度は、幅広い範囲にわたって変化してよく、後の使用のために放射線硬化性層を十分に変化させるのに十分な線量が使用されることを保証する。放射線で誘起される反応は、場合により更なる熱処理後に、放射線感受性層の露光領域が安定であるように十分に進められなければならない。放射線の強度と線量は、配合物の反応性および現像の能動性(Aggressivitaet)に依存する。放射線の強度は、1~15000mW/cm2の範囲、好ましくは5~5000mW/cm2の範囲、特に好ましくは10~1000mW/cm2の範囲である。放射線の線量は、0.3~6000J/cm2の範囲、好ましくは3~100J/cm2の範囲、特に好ましくは6~20J/cm2の範囲である。エネルギー源への暴露は、例えば希ガス、CO2および/もしくは窒素などの不活性雰囲気、または多層要素を損傷しない液体下で実施することもできる。
【0101】
レリーフ構造は、工程f)で、放射線感受性層の少なくとも一部の像様アブレーションによって完成させられる。これは、機械的方法または高エネルギー放射線によるアブレーションによって行うことができる。機械的方法の場合、放射線感受性層の特定の領域が少なくとも1つのツールで除去され、その結果、画像が付与される。ツールは、コンピューター支援プロセスを使用して制御することができる。高エネルギー放射線によるアブレーションの場合、ビームは、コンピューター支援により放射線感受層の上に誘導され、露光領域で材料が除去される。この場合、照射された電磁波の波長は、500nm~100μmの範囲、好ましくはIR範囲、特に好ましくは500nm~50μmの範囲、特に非常に好ましくは800nm~20μmの範囲である。電磁波の広帯域照射に加えて、対応するフィルター、レーザーまたは発光ダイオード(LED)を備えた低圧ランプ、高圧ランプ、蛍光ランプおよび/またはフラッシュランプ(Blitzlichtlampen)を使用して生成できる種類の狭帯域または単色光の波長範囲を使用することが有利であり得る。これらの場合、830nm、980nm、1064nmおよび10.6μmの領域の波長を単独または組み合わせて使用することが好ましい。LEDと蛍光ランプまたは蛍光灯が使用され、互いに任意に組み合わされる。この場合の放射電力は、1~100Wの範囲、好ましくは2~50Wの範囲、特に好ましくは5~30Wの範囲である。放射線の線量は、1~100mJ/cm2の範囲、好ましくは2~80mJ/cm2の範囲、特に好ましくは3~50mJ/cm2の範囲である。
【0102】
この方法で達成可能なレリーフの深さは、塗布される放射線感受性層の層厚により上限が設けられ、10~1000μmの範囲、好ましくは20~500μmの範囲、特に好ましくは30~100μmの範囲である。任意に、先行する工程の後に、更なる処理工程を実施することができる(工程j)。これらには、例えば、熱処理、乾燥、電磁放射線による処理、識別機能の取付け、切断、被覆およびそれらの任意の組合せが含まれる。例えば、反応を開始および/または完了させるために、レリーフ構造の機械的および/または熱的安定性を高めるために、ならびに揮発性成分を除去するために、熱処理を利用してもよい。熱処理のために、例えば、加熱された気体または液体による加熱、IR放射、およびそれらの任意の組合せなどの既知の方法を使用することができる。この場合、オーブン、ファン、ランプおよびそれらの任意の組合せを使用することができる。
【0103】
例えば、レリーフ構造の表面を非粘着性にするために、重合反応および/または架橋反応を誘発および/または完了させるために、電磁放射線による処理を使用してもよい。この場合、照射された電磁波の波長は、すでに上で説明したように、200~2000nmの範囲である。
【0104】
本発明はさらに、印刷のための、上記の実施形態に従って製造されたレリーフ構造の使用に関する。これに関連して、レリーフ構造は、例えば、凸版印刷およびグラビア印刷プロセスだけでなく、ならびにタンポ印刷においても使用することができる。
【0105】
以下の例によって、本発明をより詳細に説明する。
【0106】
例
方法:
官能化度を測定する方法:
最初の工程では、測定対象のサンプルを洗浄して、反応残留物、特にモノマーを除去する。このために、約12gのサンプルを、200gのアセトンを用いて56℃でソックスレー抽出により6時間洗浄する。引き続き、70℃で2時間減圧乾燥する(約100mbar)。洗浄したサンプルからn-プロパノール/水(w%、n-プロパノール=50%)中10%濃度溶液を製造し、ここで、正確な固形分を記録する。この溶液の5gを2gの水酸化カリウム(水溶液2モル/L)と共に50mL容器に秤量する。サンプルを乾燥キャビネットに93℃で4時間入れ、コンディショニングする。中和のために、3gの塩酸(2モル/L)を秤量する。引き続き、サンプルをIKA 130 ベーシックシェーカー(IKA)で450rpmにより45分間振盪させる。キャップを外し、内部標準としてデカノールを含む35gのアセトン(アセトン1500g/1-デカノール0.51g)を秤量する。サンプルをIKA 130 ベーシックシェーカー(IKA)で450rpmにより1.5時間混合する。この溶液を、液体注入のために0.25μmのシリンジフィルターユニットを介して2mLのGCバイアルに分注する。これらのバイアルをオートサンプラーに入れ、Chromeleonソフトウェア(バージョン7.2)を使用してTriPlus 100LSガスクロマトグラフ(Thermo Fisher Scientific)を搭載したTRACE 1300 GCで分析し、mg/gでメタクリル酸(MAA)および酢酸(Essig)の出力を行う。これは、長さ50m、占有幅0.25mm、220℃および175kPaのFFAPカラム(Chromatographie Service GmbH)、FID検出器、およびキャリアガスとしての水素(6.0、Air Liquide)を使用して行う。
【0107】
結果の評価は、置換されていてもよいアクリル酸と酢酸とのモル量が、ポリマー中に存在するアクリル酸ビニル単位と酢酸ビニル単位とのモル量にそれぞれ相当し、ビニルアルコール単位、アクリル酸ビニル単位および/または酢酸ビニル単位のモル分率が足して100%になることを仮定して行う。これを、例としてビニルメタクリレートを使用して以下に具体的に示す。GC分析から得られたメタクリル酸(mg/g)および酢酸(mg/g)の値を、秤量された官能性ポリマー(g記載)の溶液全体に対して換算し、ここで、質量mMASおよびmEssig(g)が得られる。モル質量は次のとおり計算される:
【0108】
【0109】
【0110】
【数3】
から、次のとおり官能化度(%)が得られる:
【0111】
【0112】
引張ひずみ測定
引張ひずみ測定を、版の全厚を使用して(つまり構造化せずに表側から実施する)、露光、洗浄および乾燥したサンプル(カバーシートおよび支持体シート無しで、これらは事前に引き剥がした)で実施する。露光条件、洗浄条件および乾燥条件は、それぞれの試験で報告している。乾燥後、版を室温で一晩保存し、それぞれ測定長20mmおよび測定幅4mmの4つのサンプルをZwickprobenform 5A(Zwick specimen form 5A)(Zwick Roell AG製)によって打ち抜いた。ここでは、サンプルに損傷(ひび割れなど)および/または異物(例えば気泡、粒子など)が存在しないことに留意する必要がある。測定は、Zwick Roell 72.5機器(Zwick Roell AG製)とtestexpertソフトウェア(バージョンV10.0)を用いて、DIN 53504に準拠して、0.01MPaのプリテンションおよび100mm/分のひずみ速度で室温にて実施した。それぞれ4つのサンプルを測定し、破断伸びεRの算術平均(%)と降伏応力σmax(N/mm2)を報告する。
【0113】
部分ケン化されたポリ酢酸ビニルの粘度測定
粘度の測定は、DIN 53015に従って、20℃の4%濃度水溶液で落球式粘度計を用いて行った。
【0114】
放射線感受性混合物の粘度測定
粘度測定は、DIN 53019に従ったMV測定カップ付きHAAKE Viscotester 550回転式粘度計を使用し、60℃、64回転/分の回転速度で行った。
【0115】
露光時間の決定
露光時間を決定するために、版の保護シートを引き剥がした後、TL 09チューブを装着したnyloprint(登録商標)Combi CW 35×50(Flint Group)を使用し、テストネガ(Reprofilm、Koestlin、1C Testform nyloprint、従来型、2540dpi、45°の角度)を介して異なる時間で露光した。水を使用してnyloprint(登録商標)Combi CW 35×50(Flint Group)で洗い流し、引き続き65℃で10分間乾燥した後、2%ハーフトーンスクリーン(59L/cm)がエラー無しで再現される露光時間を決定した。
【0116】
洗い出し時間の決定
洗い出し時間の決定のために、非露光版を、感光層が完全に除去されるまで、nyloprint(登録商標)Combi CW 35×50(Flint Group)で水を使用して洗浄した。これに必要な時間を、洗い出し時間(分)として報告する。
【0117】
乾燥
洗浄した版を、nyloprint(登録商標)Combi CW 35×50(Flint Group)乾燥機で65℃にて10分間乾燥した。
【0118】
カール測定
カールを測定するために、20×20cmの版の保護層を引き剥がした後、TL 09チューブを装着したnyloprint(登録商標)Combi CW 35×50(Flint Group)を使用して、2%ハーフトーンスクリーン(59L/cm)が形成する対応する時間だけ分単位で露光し(ネガ無し)、現像し(それぞれの版に対する水での対応する洗い出し時間)、乾燥した。引き続き、版を室温で3日間保存した。この間、版の4つの角は支持層から上向きに離れて曲がった。最も高い値を持つ2つの角で、支持層から角が離れた距離をミリメートル単位で測定し、これら2つの測定値の算術平均を出して報告した。
【0119】
ハイライトに関する印刷結果の評価
さらに、UV活版用インク、UVONOVA(Flint Group)を用いて印刷試験を実施した。このために、印刷版を印刷シリンダー上に引き伸ばし、通常の活版用印刷ツール(印刷機:Nilpeter-F 2400)で印刷した。印刷基材は、エイブリィ・デニソン社の片面コーティングを施した「High Gloss White Premium」紙であった。印刷速度は25m/分であった。ハーフトーンスクリーンの幅は59L/cmであった。理想的なトーン初期値(Tonwertvorlage)(1:1曲線)に対する特性印刷ラインのトーン値ゲイン(1%~10%のハーフトーンフィールド)が測定された。印刷試験の結果を表4~5および6にまとめている。印刷後、印刷版のベタ領域のひび割れを調べた。
【0120】
例1:1.0モル%の官能化度を有するポリマーP1の製造
容器内で、強力な撹拌機による良好な混合により、82.5重量部のポリ酢酸ビニルペレット(ケン化度82%、粘度:5mPas)に、6.6重量部のプロピレンカーボネート、6.6重量部のエチレンカーボネート、3.3重量部の無水メタクリル酸(VISIOMER MAAH、Evonik Industries社、94%グレード)、0.9重量部のエステル化触媒(N-メチルイミダゾール)および0.1重量部の熱安定剤としての2,6-ジ-t-ブチル-クレゾール(ドイツ、BASF社のKerobit(登録商標)TBK)の混合物を加えた。引き続き、混合物を85℃の温度で5時間撹拌する。この時間の後、部分ケン化され、続いてポリマー類似的に官能化されたポリ酢酸ビニル、膨潤剤、触媒、安定剤およびメタクリル酸からなる流動性ペレットが得られる。
【0121】
上記の方法(欧州特許出願公開第0962828号明細書(EP0962828A1)と同様)に従って、1.0モル%のビニルメタクリル酸単位、84.8モル%のビニルアルコール単位および14.2モル%の酢酸ビニル単位を有するコポリマーを得た。
【0122】
例2:1.1モル%の官能化度を有するポリマーP2の製造
例1と同様に、88%の加水分解度および3mPasの粘度を有する部分ケン化されたポリ酢酸ビニルから出発してコポリマーを製造した。得られた結果は、1.1モル%のビニルメタクリル酸単位、86.2モル%のビニルアルコール単位および12.7モル%の酢酸ビニル単位を有するコポリマーであった。
【0123】
例3:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3の製造
例1と同様に、部分ケン化されたポリ酢酸ビニル(ケン化度82%、粘度5mPas)から出発して、1.9モル%のビニルメタクリル酸単位、83.9モル%のビニルアルコール単位および14.2モル%の酢酸ビニル単位を有するコポリマーを得た。
【0124】
例4:0.57モル%の官能化度を有するポリマーP4の製造
例1と同様に、部分ケン化されたポリ酢酸ビニル(ケン化度82%、粘度5mPas)から出発して、0.57モル%のビニルメタクリル酸単位、82.4モル%のビニルアルコール単位および17.03モル%の酢酸ビニル単位を有するコポリマーを得た。
【0125】
比較例5:3.4モル%の官能化度を有するポリマーP5の製造
官能化されたポリ酢酸ビニルは、DE-A 3322994に従って製造した。このために、50重量部の部分ケン化されたポリ酢酸ビニル(ケン化度82モル%、平均分子量30000g/モル)を150重量部のトルエンに懸濁し、次いで8重量部の無水メタクリル酸、0.4重量部のメチルイミダゾールおよび0.05重量部のKerobit TBKを加えた。不均一な反応混合物を85℃で5時間撹拌した後、反応生成物を分離し、トルエンで洗浄し、乾燥キャビネットで50℃にて12時間乾燥した。これにより、3.4モル%のビニル(メタ)アクリル酸単位、81.0モル%のビニルアルコール単位および15.6モル%の酢酸ビニル単位を有するコポリマーを得た。
【0126】
【0127】
印刷版前駆体:
光重合性版板を製造するために、以下の手順を、例1~5に従って得られるコポリマーおよび他の成分を用いて行う:
対応する重量部(次の例を参照)の部分ケン化され、続いてポリマー類似的に官能化されたポリ酢酸ビニル(例1~5に記載)およびポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(該コポリマーは、分子量1000~50000のポリエチレングリコールに酢酸ビニルをグラフトし、引き続き80~100%のケン化度までケン化することにより得られる(例えば独国特許出願公開第2846647号明細書(DE 2846647A1)に記載))を、水276重量部とn-プロパノール184重量部の混合物に85℃の温度で溶解し、均質な溶液が得られるまで撹拌した。引き続き、エチレン性不飽和化合物として、対応する重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート)および開始剤として1.5重量部のベンジルジメチルケタール、熱抑制剤として0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミンのカリウム塩ならびに色素として0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)および0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)を添加し、均質な溶液が得られるまで85℃の温度で撹拌した。引き続き、この溶液を、乾燥後に600μmの厚さの感光層が得られるようにシート支持体上に流し込んだ。この材料を被覆PETシート上にライニングし、こうして得られた総厚1050μmの層を乾燥キャビネットで60℃にて3時間乾燥した。
【0128】
印刷版の従来の製造は、写真のネガを使用して行う。このために、まず保護シートを印刷版から引き剥がし、その後、UV真空露光ユニット(nyloprint(登録商標)Combi CW 35×50、Flint Group)のテストネガを介して感光層を露光し、水で洗い出し(洗い出し時間の決定を参照)、乾燥し、後処理する。
【0129】
例6:1.0モル%の官能化度を有するポリマーP1および水素結合形成添加剤(ポリオール/ポリエーテルグラフトコポリマー)を含む混合物
以下:
45重量部の例1で製造した官能化コポリマーP1、
20重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は3500mPas(60℃)であった。
【0130】
例7:1.0モル%の官能化度を有するポリマーP1および水素結合形成添加剤(ポリオール/ポリエーテルグラフトコポリマー)を含む混合物
以下:
45重量部の例1で製造した官能化コポリマーP1、
20重量部の加水分解度86%および粘度4mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0131】
例8:1.1モル%の官能化度を有するポリマーP2および水素結合形成添加剤(ポリオール/ポリエーテルグラフトコポリマー)を含む混合物
以下:
55重量部の例2で製造した官能化コポリマーP2、
10重量部の加水分解度86%および粘度4mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0132】
例9:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3および水素結合形成添加剤(ポリオール/ポリエーテルグラフトコポリマー)を含む混合物
以下:
45重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
20重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は4770mPas(60℃)であった。
【0133】
例10:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3および水素結合形成添加剤(ポリアミン)を含む混合物
以下:
45.17重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
17.5重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
2.5重量部の分子量(GPC)約25000g/モル、粘度(50℃、DIN 53015)約15500mPas、pH値約13を有するポリエチレンイミン(ポリアミン)、
33重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のオラソルブルー(C.I.ソルベントブルー70)、
0.02重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は4310mPas(60℃)であった。
【0134】
例11:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3および水素結合形成添加剤(ポリアミン)を含む混合物
以下:
45.17重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
17.5重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
2.5重量部の粘度(20℃、ISO 2431、No.4)約100mPasおよびpH値約11を有するポリエチレンイミン(ポリアミン、カチオン性)の50%水溶液、
33重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のオラソルブルー(C.I.ソルベントブルー70)、
0.02重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は3920mPas(60℃)であった。
【0135】
例12:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3および水素結合形成添加剤(ポリウレタン)を含む混合物
以下:
43重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
20重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
2.0重量部のポリウレタンアクリレートPUA BIN 200(BASF)
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は4670mPas(60℃)であった。
【0136】
例13:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3および水素結合形成添加剤(ポリオール)を含む混合物
以下:
45重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
20重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
6.5重量物のグリセロール
33.17重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.02重量部のオラソルブルー(C.I.ソルベントブルー70)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は3990mPas(60℃)であった。
【0137】
例14:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3および水素結合形成添加剤(ポリエーテル)を含む混合物
以下:
45重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
20重量部のPEG 400ポリマー(ポリエチレングリコール)
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は4340mPas(60℃)であった。
【0138】
例15:3.4モル%の官能化度を有するポリマーP5および水素結合形成添加剤(ポリエーテル/ポリエーテルグラフトコポリマー)を含む混合物
以下:
45重量部の例5で製造した官能化コポリマーP5、
20重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0139】
例16:3.4モル%の官能化度を有するポリマーP5および水素結合形成添加剤(ポリオール/ポリエーテルグラフトコポリマー)を含む混合物
以下:
24重量部の例5で製造した官能化コポリマーP5、
24重量部の加水分解度97%および粘度5mPasを有するポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、
21.84重量部の部分ケン化されたポリ酢酸ビニル(加水分解度88%、粘度3mPas)
28重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.4重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.25重量部のBYK370(BYK-Chemie GmBH社)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。塗布時に測定された粘度は7500mPas(60℃)であった。
【0140】
水素結合形成添加剤(ポリオール/ポリエーテル/グラフトコポリマー)を有しない例
例17:1.0モル%の官能化度を有するポリマーP1を含む混合物
以下:
65重量部の例1で製造した官能化コポリマーP1、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0141】
例18:1.9モル%の官能化度を有するポリマーP3を含む混合物
以下:
65重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0142】
比較例19:3.4モル%の官能化度を有するポリマーP5を含む混合物
以下:
65重量部の例5で製造した官能化コポリマーP5、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0143】
例20:官能化されていないポリビニルアルコールを含む混合物
以下:
65重量部の部分ケン化されたポリ酢酸ビニル(加水分解度82%、粘度5mPas)、
33.18重量部のフェニルグリシジルエーテルアクリレート、
1.5重量部のベンジルジメチルケタール、
0.3重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物を、上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0144】
【0145】
表2aから明らかなように、例6~9はすべて、比較例低いカール、同じまたはより少ない露光時間および洗浄時間、より大きな深度(Zwischentiefen)、より良好な印刷挙動、より低い降伏応力、したがってより高い弾性およびより高い引張強度を示す。
【0146】
【0147】
表2bから明らかなように、例10~14はすべて、比較例低いカール、同じまたはより少ない露光時間および洗浄時間、より大きな深度、より良好な印刷挙動、より低い降伏応力、したがってより高い弾性およびより高い引張強度を示す。
【0148】
【0149】
表3から明らかなように、例17および18はすべて、比較例低いカール、同じまたはより少ない露光時間および洗浄時間、より大きな深度、より良好な印刷挙動、より低い降伏応力、したがってより高い弾性およびより高い引張強度を示す。官能化されていない比較例20のみが、安定して形成されたハーフトーンフィールド(洗い出し中にブラッシングによって除去される)を示さず、したがって更なるデータも測定することができない。
【0150】
【0151】
例6および7からのP1を含む配合物(水素結合形成添加剤有り)と例17(添加剤無し)および例9の配合物と例18(添加剤無し)の結果(第4表)の比較から、水素結合形成添加剤の添加により、洗い出し時間がより短くなり、印刷中のひび割れがより少なくなり、降伏応力がより低くなり、したがって弾性がより高くなり、引張強度もより高くなる。
【0152】
【0153】
第5表は、特に、低いトーン値がより良好に維持され、目標値に対する偏差がより小さいことを示している。
【0154】
例21:デジタル版
デジタル光重合性版板の製造は、例1~5に記載のポリマーと、それらから製造された例6~16に記載の光重合性配合物を用いて行われるが、水80部およびn-プロパノール20部におけるカーボンブラック(Orion Engineered Carbons GmbHのPrintex U)2部と部分ケン化されたポリ酢酸ビニル(KurarayのKP 5-88)とからなる懸濁液から得られるレーザーアブレーション可能なマスク層が適用される。
【0155】
版は、IRレーザー(ESKO CDI Spark 2530)のドラムに取り付け、レーザー処理した。レーザー処理されたモチーフは、前述の例のテストネガに対応していた。引き続き、UV真空露光ユニット(nyloprint(登録商標)Combi CW 35×50、Flint Group)で露光し、水で洗い出し、乾燥し、後処理した。
【0156】
結果として、レーザーアブレーション可能なマスク層を有するデジタル版は、従来の版と同様に動作し、比較配合物と比較して、大幅な改善を示した(より高い解像度、より少ないカール、同じまたは少ない露光および洗浄時間、より高い深度、より良好な印刷挙動、より高い弾性およびより高い引張強度)。
【0157】
【0158】
第6表は、特に、低いトーン値がより良好に維持され、目標値に対する偏差がより小さいことを示している。
【0159】
例22:レーザー彫刻
1.9モル%の官能化度を有するKP5-82からの官能化PVAの、例3に従った版を上記のように製造し、印刷前駆体に加工した。
【0160】
以下:
58.78重量部の例3で製造した官能化コポリマーP3、
33.4重量部のグリセリンジメタクリレート、
5.2重量部の平均粒度3μmを有する石英粉、
2.0重量部のベンジルジメチルケタール、
0.6重量部のN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、カリウム塩、
0.01重量部のサフラニンT(C.I.50240)、
0.01重量部のアクリフラビン(C.I.46000)
からなる光重合性配合物。
【0161】
UV露光は、nyloprint combi CW 35×50露光ユニットを使用して2.5分間行った。引き続き、版をCO2レーザー(Agrios、Stork Prints Austria GmbH)のドラムに取り付け、2032dpiの解像度でレーザー処理した。レーザー処理されたモチーフは、様々なハーフトーンウェッジを含んでおり、ここで、選択されたハーフトーンスクリーンの解像度は60L/cmであった。表面被覆率は70~90%で変化した。タンポ印刷の表面被覆率は、総面積と比較した、彫刻によって除去される面積の割合を指す。
【0162】
レーザー出力は500ワットであった。毎分250回転の回転速度で、画像の最適な鮮明度が達成された。
【0163】
引き続き、彫刻された版をタンポ印刷機(Morlock社、閉じたブレードポット)に取り付けた。タンポ印刷インクとして、溶媒ベースのタンポン印刷インク、Marabu TPY980(白)を使用した。インクには、溶媒として炭化水素、ケトンおよび酢酸塩が含まれている。硬化剤としては、Marabuの10%イソシアネート硬化剤H1を加えた。印刷体に印刷すると、すべての版で、90%の表面被覆率まで微細要素を画像化することができた。