(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/10 20060101AFI20220715BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G09G5/10 Z
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
(21)【出願番号】P 2020087245
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】宿田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】高坂 光俊
(72)【発明者】
【氏名】植田 信平
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0263208(US,A1)
【文献】特開2008-281768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00-5/42
G09G 3/20
G09G 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光の遮光を制御して、少なくとも表示の視野角を変更可能なフィルタ層を有する表示部と、
OS(オペレーティングシステム)に基づく処理を実行するメイン制御部であって、前記フィルタ層により前記表示部の正面以外からの視認性を低下させる覗き見防止機能と、前記表示部の輝度を周辺の明るさに応じて自動調整する自動輝度調整機能とを実現する処理を実行するメイン制御部と、
前記メイン制御部とは異なるサブ制御部であって、所定の入力情報の受け付けを検出した場合に、検出通知を出力するサブ制御部と、
前記サブ制御部が出力した前記検出通知に応じて、BIOS(ベーシックインプットアウトプットシステム)を介して、前記メイン制御部によって前記OS上で実行されるユーティリティに、前記所定の入力情報を受け付けたことを示すイベント通知を通知する仮想デバイスと
を備え、
前記ユーティリティは、前記覗き見防止機能が無効な状態において、前記覗き見防止機能を有効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記表示部の輝度が、前記覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、
前記自動輝度調整機能を停止して、前記自動輝度調整機能を制限する
情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーティリティは、前記覗き見防止機能が有効な状態において、前記覗き見防止機能を無効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記自動輝度調整機能の制限を解除する
請求項1
に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーティリティは、前記覗き見防止機能が有効な状態において、前記覗き見防止機能を無効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記自動輝度調整機能を有効にする
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記仮想デバイスである第1仮想デバイスとは異なる第2仮想デバイスであって、前記サブ制御部が出力した前記検出通知に応じて、前記BIOSを介して、前記イベント通知である第1イベント通知とは異なる第2イベント通知であって、前記所定の入力情報を受け付けたことを示す第2イベント通知を、前記メイン制御部に通知する第2仮想デバイスを備え、
前記メイン制御部は、前記覗き見防止機能が無効な状態において、前記覗き見防止機能を有効にする前記所定の入力情報による前記第2イベント通知を前記第2仮想デバイスから受信した場合に、前記表示部の輝度を前記最適な輝度範囲内の輝度値に変更するとともに、前記覗き見防止機能を有効にする
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、バックライトを有する液晶ディスプレイであり、
前記表示部の輝度は、前記バックライトの明るさを示す
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
表示光の遮光を制御して、少なくとも表示の視野角を変更可能なフィルタ層を有する表示部と、OS(オペレーティングシステム)に基づく処理を実行するメイン制御部であって、前記フィルタ層により前記表示部の正面以外からの視認性を低下させる覗き見防止機能と、前記表示部の輝度を周辺の明るさに応じて自動調整する自動輝度調整機能とを実現する処理を実行するメイン制御部と、前記メイン制御部とは異なるサブ制御部とを備える情報処理装置の表示制御方法であって、
前記サブ制御部が、所定の入力情報の受け付けを検出した場合に、検出通知を出力するステップと、
仮想デバイスが、前記サブ制御部が出力した前記検出通知に応じて、BIOS(ベーシックインプットアウトプットシステム)を介して、前記メイン制御部によって前記OS上で実行されるユーティリティに、前記所定の入力情報を受け付けたことを示すイベント通知を通知するステップと、
前記メイン制御部が、前記ユーティリティの実行により、前記覗き見防止機能が無効な状態において、前記覗き見防止機能を有効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記表示部の輝度が、前記覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、
前記自動輝度調整機能を停止して、前記自動輝度調整機能を制限するステップと
を含む表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、周囲の明るさに応じて、表示装置の表示の明るさを調整する機能を備える情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。例えば、Windows(登録商標)を搭載した情報処理装置では、環境光センサ(ALS:Ambient Light Sensor)により環境光の明るさを検出し、環境光の明るさに応じて、自動で表示部の明るさ(輝度)を調整する自動輝度調整機能(以下、ALS機能という)を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、情報処理装置では、上述したALS機能とは異なる機能として、表示部の第三者からの覗き見を防止する覗き見防止機能を備えるものがある。このような覗き見防止機能では、表示部に特殊なフィルタ層を設けて視野角を制限することを行っており、視野角を制限する際に、表示パネルに応じた視野角を制限するために最適な輝度に設定する必要がある。
しかしながら、ALS機能を備える情報処理装置に、このような覗き見防止機能を提供した場合に、覗き見防止機能により、視野角を制限するために最適な輝度に設定された後に、ALS機能が動作して、表示部の明るさ(輝度)が変更されて、覗き見防止機能が十分に機能しない場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、自動輝度調整機能と覗き見防止機能との両方を搭載することができる情報処理装置、及び表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、表示光の遮光を制御して、少なくとも表示の視野角を変更可能なフィルタ層を有する表示部と、OS(オペレーティングシステム)に基づく処理を実行するメイン制御部であって、前記フィルタ層により前記表示部の正面以外からの視認性を低下させる覗き見防止機能と、前記表示部の輝度を周辺の明るさに応じて自動調整する自動輝度調整機能とを実現する処理を実行するメイン制御部と、前記メイン制御部とは異なるサブ制御部であって、所定の入力情報の受け付けを検出した場合に、検出通知を出力するサブ制御部と、前記サブ制御部が出力した前記検出通知に応じて、BIOS(ベーシックインプットアウトプットシステム)を介して、前記メイン制御部によって前記OS上で実行されるユーティリティに、前記所定の入力情報を受け付けたことを示すイベント通知を通知する仮想デバイスとを備え、前記ユーティリティは、前記覗き見防止機能が無効な状態において、前記覗き見防止機能を有効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記表示部の輝度が、前記覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、前記自動輝度調整機能を停止して、前記自動輝度調整機能を制限する情報処理装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記ユーティリティは、前記覗き見防止機能が有効な状態において、前記覗き見防止機能を無効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記自動輝度調整機能の制限を解除するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記ユーティリティは、前記覗き見防止機能が有効な状態において、前記覗き見防止機能を無効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記自動輝度調整機能を有効にするようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記仮想デバイスである第1仮想デバイスとは異なる第2仮想デバイスであって、前記サブ制御部が出力した前記検出通知に応じて、前記BIOSを介して、前記イベント通知である第1イベント通知とは異なる第2イベント通知であって、前記所定の入力情報を受け付けたことを示す第2イベント通知を、前記メイン制御部に通知する第2仮想デバイスを備え、前記メイン制御部は、前記覗き見防止機能が無効な状態において、前記覗き見防止機能を有効にする前記所定の入力情報による前記第2イベント通知を前記第2仮想デバイスから受信した場合に、前記表示部の輝度を前記最適な輝度範囲内の輝度値に変更するとともに、前記覗き見防止機能を有効にするようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記表示部は、バックライトを有する液晶ディスプレイであり、前記表示部の輝度は、前記バックライトの明るさを示すようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、表示光の遮光を制御して、少なくとも表示の視野角を変更可能なフィルタ層を有する表示部と、OS(オペレーティングシステム)に基づく処理を実行するメイン制御部であって、前記フィルタ層により前記表示部の正面以外からの視認性を低下させる覗き見防止機能と、前記表示部の輝度を周辺の明るさに応じて自動調整する自動輝度調整機能とを実現する処理を実行するメイン制御部と、前記メイン制御部とは異なるサブ制御部とを備える情報処理装置の表示制御方法であって、前記サブ制御部が、所定の入力情報の受け付けを検出した場合に、検出通知を出力するステップと、仮想デバイスが、前記サブ制御部が出力した前記検出通知に応じて、BIOS(ベーシックインプットアウトプットシステム)を介して、前記メイン制御部によって前記OS上で実行されるユーティリティに、前記所定の入力情報を受け付けたことを示すイベント通知を通知するステップと、前記メイン制御部が、前記ユーティリティの実行により、前記覗き見防止機能が無効な状態において、前記覗き見防止機能を有効にする前記所定の入力情報による前記イベント通知を受信した場合に、前記表示部の輝度が、前記覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、前記自動輝度調整機能を停止して、前記自動輝度調整機能を制限するステップとを含む表示制御方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、自動輝度調整機能と覗き見防止機能との両方を搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態によるノートPCの主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態における表示部の断面構造の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態における表示部のプライバシーフィルタを有効にした場合の動作を説明する図である。
【
図4】本実施形態によるノートPCの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態によるノートPCの覗き見防止機能の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態によるノートPCのALS機能の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態によるノートPCのALS機能の制限処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による情報処理装置、及び表示制御方法について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態によるノートPC1の主要なハードウェア構成の一例を示す図である。なお、本実施形態において、情報処理装置の一例として、ノートブック型のPC(パーソナルコンピュータ)であるノートPC1について説明する。
【0017】
図1に示すように、ノートPC1は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、HDD23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、撮像部27と、照度センサ28と、エンベデッドコントローラ31と、入力部32と、電源回路33とを備える。
なお、本実施形態において、CPU11と、チップセット21とは、メイン制御部10に対応する。
【0018】
CPU(Central Processing Unit)11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、ノートPC1全体を制御している。
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS(オペレーティングシステム)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0019】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。また、ビデオサブシステム13は、CPU11からの制御指示に基づいて、輝度の制御(バックライトの輝度の制御)を実行する。
【0020】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイであり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。
また、表示部14は、表示光の遮光を制御して、少なくとも表示の視野角を変更可能な機能を有している。ここで、
図2を参照して、本実施形態による表示部14の構成について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態における表示部14の断面構造の一例を示す図である。
図2に示すように、表示部14は、液晶パネル層141と、プライバシーフィルタ142と、バックライト143とを備えている。なお、この図において、断面の高さ方向である上下方向がZ軸方向であり、表示面と並行な左右方向がX軸方向である。また、表示面と並行なX軸方向と垂直な方向を、Y軸方向とする。
【0022】
液晶パネル層141は、液晶セルを含む液晶パネルであり、後述するバックライト143からの光を偏光することで、表示面に各種表示を行う。なお、
図2において、表示面は、液晶パネル層141のプライバシーフィルタ142とは反対側のXY平面である。また、表示面から照射される光を表示光とする。
【0023】
プライバシーフィルタ142(フィルタ層の一例)は、例えば、液晶パネル層141とバックライト143との間に配置され、表示光の遮光を制御して、少なくとも表示の視野角を変更可能である。プライバシーフィルタ142により表示の視野角を変更することで、覗き見防止機能を実現する。
【0024】
ここで、覗き見防止機能とは、プライバシーフィルタ142により表示部14の正面以外からの視認性を低下させる機能であり、利用者以外からの視認性を低下させて、第三者による覗き見を防止する。
【0025】
バックライト143は、例えば、EL(Electro Luminescence)のパネルであり、液晶パネル層141の表示面とは反対側の面側に配置される。バックライト143は、表示光を、プライバシーフィルタ142を介して、液晶パネル層141に照射する。バックライト143は、光量を調節することで、表示の全体の輝度(明るさ)を変更可能である。
【0026】
図2に示すように、表示部14は、プライバシーフィルタ142を無効にした状態では、バックライト143から照射された光(正面光L1及び傾斜光L2)は、プライバシーフィルタ142及び液晶パネル層141を透過して表示する。
【0027】
また、
図3は、本実施形態における表示部14のプライバシーフィルタ142を有効にした場合の動作を説明する図である。
図3に示すように、表示部14は、プライバシーフィルタ142を有効にした状態では、バックライト143から照射された光(正面光L1及び傾斜光L2)は、プライバシーフィルタ142により正面光L1のみ透過され、液晶パネル層141が正面光L1を偏光して表示する。この場合、正面光L1のみが透過されるため、表示部14の正面以外からの視認性を低下される。
【0028】
なお、正面光L1のみが透過させるためには、バックライト143の輝度を覗き見防止機能に最適な輝度範囲に設定する必要がある。本実施形態では、覗き見防止機能に最適な輝度値を輝度50%(パーセント)とする。
【0029】
図1の説明に戻り、チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。
図1では、デバイスの例示として、BIOSメモリ22と、HDD23と、オーディオシステム24と、WLANカード25と、USBコネクタ26と、撮像部27と、照度センサ28とが、チップセット21に接続されている。
【0030】
BIOS(Basic Input Output System)メモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0031】
HDD(Hard Disk Drive)23(不揮発性記憶装置の一例)は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
オーディオシステム24は、音データの記録、再生、出力を行う。
【0032】
WLAN(Wireless Local Area Network)カード25は、ワイヤレス(無線)LANにより、ネットワークに接続して、データ通信を行う。WLANカード25は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。
【0033】
USBコネクタ26は、USBを利用した周辺機器類を接続するためのコネクタである。
撮像部27は、Webカメラであり、画像を撮像する。撮像部27は、例えば、USBインタフェースによりチップセット21と接続されている。
【0034】
照度センサ28は、例えば、ALS(Ambient Light Sensor:環境光センサ)であり、ノートPC1の周辺の明るさ(照度)を検出する。照度センサ28は、自動輝度調整機能であるALS機能に利用される。ここで、ALS機能とは、照度センサ28が検出した周辺の明るさ(照度)に応じて、表示部14の輝度を自動調整する機能である。照度センサ28は、例えば、USBインターフェースや、ISH(Integrated Sensor Hub(登録商標))によりチップセット21と接続される。
【0035】
エンベデッドコントローラ31は、ノートPC1のシステム状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視し制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。また、エンベデッドコントローラ31は、電源回路33を制御する電源管理機能を有している。なお、エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAMなどで構成されるとともに、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備えている。エンベデッドコントローラ31には、それらの入出力端子を介して、例えば、入力部32、及び電源回路33などが接続されており、エンベデッドコントローラ31は、これらの動作を制御する。
【0036】
入力部32は、例えば、キーボードなどの、ポインティング・デバイス、タッチパッドなどの入力デバイスである。なお、入力部32のキーボードには、例えば、後述する覗き見防止機能を有効又は無効にするホットキーが含まれるものとする。
【0037】
電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、電池ユニット、AC/DCアダプタなどを含んでおり、AC/DCアダプタ、又は電池ユニットから供給される直流電圧を、ノートPC1を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路33は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、ノートPC1の各部に電力を供給する。
【0038】
次に、
図4を参照して、本実施形態によるノートPC1の機能構成について説明する。
図4は、本実施形態によるノートPC1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0039】
図4に示すように、ノートPC1は、エンベデッドコントローラ31と、入力部32と、表示部14と、照度センサ28と、BIOS60と、OS61と、ALS機能処理部62と、覗き見防止ユーティリティ63と、MF(マルチファンクション)ユーティリティ64と、輝度機能処理部65とを備える。
なお、
図4において、ノートPC1が備える機能構成のうちの、本実施形態の発明に関する主要な機能構成のみを記載している。
【0040】
また、
図4において、BIOS60、OS61、ALS機能処理部62、覗き見防止ユーティリティ63、MFユーティリティ64、及び輝度機能処理部65は、HDD23又はBIOSメモリ22が記憶するプログラムをメイン制御部10が実行することで実現されるソフトウェアの機能部である。メイン制御部10は、BIOS60、OS61、ALS機能処理部62、覗き見防止ユーティリティ63、MFユーティリティ64、及び輝度機能処理部65を備えるものとする。
【0041】
メイン制御部10は、OS61に基づく処理を実行する制御部であって、プライバシーフィルタ142により表示部14の正面以外からの視認性を低下させる覗き見防止機能と、表示部14の輝度を周辺の明るさに応じて自動調整するALS機能とを実現する処理を実行する。
【0042】
OS(オペレーティングシステム)61は、例えば、Windows(登録商標)であり、ここでは、HDD23が記憶するOSプログラムをメイン制御部10に実行させることで実現される機能部として説明する。
【0043】
エンベデッドコントローラ31(サブ制御部の一例)は、OS61に基づく処理を実行するメイン制御部10とは異なる制御部であり、入力部32が所定の入力情報の受け付けを検出した場合に、検出通知を出力する。エンベデッドコントローラ31は、入力部32が、例えば、覗き見防止機能を有効又は無効にするホットキーKEY1を検出した検出通知を、BIOS60に出力する。ここで、ホットキーKEY1は、例えば、ファンクションキーなどの所定の特殊キーであり、所定の入力情報の一例である。
【0044】
BIOS60は、BIOSメモリ22が記憶するBIOSのプログラムをメイン制御部10に実行させることで実現される機能部であり、各種周辺機器類とOS61との間の入出力処理を行う。また、BIOS60は、表示部14のプライバシーフィルタ142の制御を行う。BIOS60は、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)処理部50と、ソフトウェアデバイス51と、ソフトウェアデバイス52とを備える。
【0045】
ACPI処理部50は、BIOSのプログラムをメイン制御部10に実行させることで実現される機能部であり、エンベデッドコントローラ31からのホットキーKEY1の検出通知を受信した場合に、ACPIインタフェース経由でソフトウェアデバイス51にイベント通知を出力する。
【0046】
ソフトウェアデバイス51(仮想デバイスの一例)は、BIOS60のACPIコードで仮想のデバイスとして作成されており、所定の入力情報(ホットキーKEY1)を受け付けたことを示すイベントを定義する。ソフトウェアデバイス51は、エンベデッドコントローラ31が出力した検出通知に応じて、BIOS60を介して、メイン制御部10によってOS61上で実行されるMFユーティリティ64に、所定の入力情報(ホットキーKEY1)を受け付けたことを示すイベント通知を通知する。すなわち、ソフトウェアデバイス51は、ACPI処理部50によるACPIインタフェース経由のイベント通知を、Windows(登録商標)インタフェースのイベント通知に変換して、MFユーティリティ64に出力する。
【0047】
なお、ソフトウェアデバイス51は、覗き見防止機能のホットキーKEY1を受け付けたことを検出したイベントを生成する第1仮想デバイスであり、イベント通知として、第1イベント通知をMFユーティリティ64に通知するものとする。
【0048】
ソフトウェアデバイス52(第2仮想デバイスの一例)は、BIOS60のACPIコードで仮想のデバイスとして作成されており、ソフトウェアデバイス51(第1仮想デバイス)とは異なるソフトウェアデバイス52である。ソフトウェアデバイス52は、ホットキーKEY1を受け付けたことを示す覗き見防止機能専用のイベント通知を覗き見防止ユーティリティ63に出力する。
【0049】
ALS機能処理部62は、メイン制御部10によってOS61上で実行される機能部であり、ALS機能を実現する。ALS機能処理部62は、例えば、照度センサ28が検出したノートPC1の周辺の明るさ(照度)を、定期的に取得し、周辺の明るさ(照度)に応じて、表示部14のバックライト143の輝度を変更する。
【0050】
なお、ALS機能処理部62は、例えば、メインメモリ12に、周辺の明るさ(照度)とバックライト143の輝度とを対応付けた輝度変換テーブルを記憶しており、ALS機能処理部62は、当該輝度変換テーブルに基づいて、周辺の明るさ(照度)に応じて、バックライト143の輝度を変更する。ALS機能処理部62は、輝度機能処理部65を介して、バックライト143の輝度を変更する。
【0051】
覗き見防止ユーティリティ63は、メイン制御部10によってOS61上で実行される機能部であり、覗き見防止機能を実現する。覗き見防止ユーティリティ63は、覗き見防止機能が無効の状態で、ソフトウェアデバイス52からホットキーKEY1を受け付けたことを示すイベント通知を受信した場合に、覗き見防止機能に最適な輝度値である50%(最適な輝度範囲内の輝度値の一例)に、表示部14のバックライト143の輝度を変更するとともに、覗き見防止機能を有効にして動作させる。なお、覗き見防止ユーティリティ63は、表示部14のバックライト143の輝度を変更する際に、輝度機能処理部65を介して、バックライト143の輝度を変更する。
【0052】
この場合、覗き見防止ユーティリティ63は、BIOS60を介して、表示部14のプライバシーフィルタ142を有効にして、例えば、
図3に示すように、傾斜光L2の透過を低減させ、正面光L1のみ透過させるようにする。これにより、表示部14の視野角が狭くなり、正面以外からの視認性を低下させる。なお、覗き見防止ユーティリティ63は、バックライト143の輝度を50%に変更する前の輝度値を、例えば、メインメモリ12に記憶させる。
【0053】
また、覗き見防止ユーティリティ63は、覗き見防止機能が有効の状態で、ソフトウェアデバイス52からホットキーKEY1を受け付けたことを示すイベント通知を受信した場合に、表示部14のバックライト143の輝度を、覗き見防止機能を有効にする前の輝度値に変更するとともに、覗き見防止機能を無効にして動作を停止させる。この場合、覗き見防止ユーティリティ63は、BIOS60を介して、表示部14のプライバシーフィルタ142を無効にして、例えば、
図2に示すように、正面光L1及び傾斜光L2を透過させるようにする。これにより、表示部14の視野角が広くなり、表示部14は、正面以外からも視認できるようになる。
【0054】
MFユーティリティ64(ユーティリティの一例)は、メイン制御部10によってOS61上で実行される機能部であり、ALS機能を制限する。MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が無効な状態において、覗き見防止機能を有効にする所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)によるイベント通知を受信した場合に、表示部14の輝度が、覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、ALS機能を制限する。
MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が無効な状態において、ソフトウェアデバイス51から覗き見防止機能を有効にするホットキーKEY1によるイベント通知を受信した場合に、ALS機能を停止する。この場合、MFユーティリティ64は、ALS機能処理部62によるALS機能を停止させる。
【0055】
また、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が有効な状態において、覗き見防止機能を無効にする所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)によるイベント通知を受信した場合に、ALS機能の制限を解除する。
すなわち、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が有効な状態において、ソフトウェアデバイス51から覗き見防止機能を有効にするホットキーKEY1によるイベント通知を受信した場合に、ALS機能の停止を解除して、ALS機能を動作させる。この場合、MFユーティリティ64は、ALS機能処理部62によるALS機能を有効にする。
【0056】
なお、覗き見防止機能を有効にするホットキーKEY1と、覗き見防止機能を無効にするホットキーKEY1とは、同一のキー(入力情報)であってもよいし、異なるキー(入力情報)であってもよい。
【0057】
また、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能切替GUI(Graphical User Interface)641を備えている。
覗き見防止機能切替GUI641は、覗き見防止機能を有効又は無効に切り替えるGUIであり、当該GUIによる入力により、上述した所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)と同様の切り替えを行う。
すなわち、MFユーティリティ64は、上述したホットキーKEY1の代わりに、覗き見防止機能切替GUI641により、覗き見防止機能を無効にする、又は有効にする所定の入力情報を取得して、ホットキーKEY1の場合と同様の処理を実行する。
【0058】
輝度機能処理部65は、メイン制御部10によってOS61上で実行される機能部であり、表示部14の輝度を変更する処理を実行する。輝度機能処理部65は、ALS機能処理部62又は覗き見防止ユーティリティ63からの輝度変更要求に応じて、表示部14の輝度を変更する。
【0059】
次に、図面を参照して、本実施形態によるノートPC1の動作について説明する。
図5は、本実施形態によるノートPC1の覗き見防止機能の動作の一例を示すフローチャートである。
【0060】
図5に示すように、メイン制御部10の覗き見防止ユーティリティ63は、まず、ホットキーKEY1が押下されたか否かを判定する(ステップS101)。覗き見防止ユーティリティ63は、ソフトウェアデバイス52からのイベント通知により、ホットキーKEY1が押下されたか否かを判定する。覗き見防止ユーティリティ63は、ホットキーKEY1が押下された場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、覗き見防止ユーティリティ63は、ホットキーKEY1が押下されていない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0061】
ステップS102において、覗き見防止ユーティリティ63は、覗き見防止機能が有効であるか否かを判定する。覗き見防止ユーティリティ63は、覗き見防止機能が既に有効である場合(ステップS102:YES)に、処理をステップS105に進める。また、覗き見防止ユーティリティ63は、覗き見防止機能が無効である場合(ステップS102:NO)に、処理をステップS103に進める。
【0062】
ステップS103において、覗き見防止ユーティリティ63は、表示部14のバックライト143を50%に変更する。すなわち、覗き見防止ユーティリティ63は、輝度機能処理部65を介して、覗き見防止機能に最適な輝度値である50%に、バックライト143の輝度を変更する。
【0063】
次に、覗き見防止ユーティリティ63は、表示部14のプライバシーフィルタ142を有効にする(ステップS104)。覗き見防止ユーティリティ63は、例えば、
図3に示すように、プライバシーフィルタ142を有効にし、傾斜光L2の透過を低減させ、正面光L1のみ透過させるようにする。これにより、表示部14の視野角が狭くなり、表示部14は、正面以外からの視認性が低下する。ステップS104の処理後に、覗き見防止ユーティリティ63は、処理をステップS101に戻す。
【0064】
また、ステップS105において、覗き見防止ユーティリティ63は、表示部14のバックライト143の輝度を変更前に戻す。すなわち、覗き見防止ユーティリティ63は、バックライト143の輝度を、輝度機能処理部65を介して、覗き見防止機能を有効にする前(50%に変更する前)の状態に戻す。なお、変更前の輝度は、例えば、メインメモリ12に記憶されているものとする。
【0065】
次に、覗き見防止ユーティリティ63は、表示部14のプライバシーフィルタ142を無効にする(ステップS106)。覗き見防止ユーティリティ63は、例えば、
図2に示すように、プライバシーフィルタ142を無効にし、正面光L1及び傾斜光L2を透過させるようにする。これにより、表示部14の視野角が広くなり、表示部14は、正面以外からも視認できるようになる。ステップS106の処理後に、覗き見防止ユーティリティ63は、処理をステップS101に戻す。
【0066】
次に、
図6を参照して、本実施形態によるノートPC1のALS機能の動作について説明する。
図6は、本実施形態によるノートPCのALS機能の動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図6に示すように、メイン制御部10のALS機能処理部62は、照度センサ28が検出した周辺の照度を取得する(ステップS201)。ALS機能処理部62は、例えば、照度センサ28が検出したノートPC1の周辺の照度(明るさ)を、チップセット21を介して、取得する。
【0068】
次に、ALS機能処理部62は、輝度設定テーブルを参照して周辺の照度に応じたバックライト143の輝度に変更する(ステップS202)。ALS機能処理部62は、メインメモリ12が記憶する輝度設定テーブルを参照し、周辺の照度に対応するバックライト143の輝度を取得し、輝度機能処理部65を介して、表示部14のバックライト143の輝度を取得した輝度値に変更する。ステップS202の処理後に、ALS機能処理部62は、処理をステップS101に戻す。
【0069】
このように、ALS機能処理部62は、機能が有効である場合に、上述した
図6に説明したように、定期的に、ノートPC1の周辺の照度(明るさ)に応じて、バックライト143の輝度を変更する。また、MFユーティリティ64により、ALS機能が無効にされている場合には、ALS機能処理部62は、上述した
図6に示す処理の実行を停止する。
【0070】
次に、
図7を参照して、本実施形態によるノートPC1のALS機能の制限処理について説明する。
図7は、本実施形態によるノートPC1のALS機能の制限処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
図7に示すように、ノートPC1は、まず、ホットキーKEY1が押下されたか否かを検出する(ステップS301)。ノートPC1のエンベデッドコントローラ31は、入力部32がホットキーKEY1を受け付けたか否かを検出する。エンベデッドコントローラ31は、ホットキーKEY1の押下を検出した場合(ステップS301:YES)に、処理をステップS302に進める。また、エンベデッドコントローラ31は、ホットキーKEY1の押下を検出していない場合(ステップS301:NO)に、処理をステップS301に戻す。
【0072】
ステップS302において、ノートPC1は、エンベデッドコントローラ31から検出通知を出力する。エンベデッドコントローラ31は、ホットキーKEY1の押下に応じて、検出通知をBIOS60のACPI処理部50に、検出通知を出力する。
【0073】
次に、ACPI処理部50は、ACPI I/F(インタフェース)経由でイベント通知を出力する(ステップS303)。ACPI処理部50は、BIOS60のACPIコードで定義されたイベント通知をソフトウェアデバイス51に出力する。
【0074】
次に、ソフトウェアデバイス51は、イベント通知を出力する(ステップS304)。ソフトウェアデバイス51は、Windows(登録商標) I/F経由でイベント通知を、MFユーティリティ64に出力する。
【0075】
次に、ソフトウェアデバイス51は、覗き見防止機能が有効であるか否かを判定する(ステップS305)。ソフトウェアデバイス51は、覗き見防止機能が既に有効である場合(ステップS305:YES)に、処理をステップS308に進める。また、ソフトウェアデバイス51は、覗き見防止機能が無効である場合(ステップS305:NO)に、処理をステップS307に進める。
【0076】
ステップS306において、ソフトウェアデバイス51は、ALS機能を停止する。ソフトウェアデバイス51は、上述した
図6に示すALS機能処理部62によるALS機能の処理を停止させる。ステップS306の処理後に、ソフトウェアデバイス51は、処理を終了する。
【0077】
また、ステップS307において、ソフトウェアデバイス51は、ALS機能を動作させる。ソフトウェアデバイス51は、上述した
図6に示すALS機能処理部62によるALS機能の処理を有効にして動作させる。ステップS307の処理後に、ソフトウェアデバイス51は、処理を終了する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、表示部14と、メイン制御部10と、エンベデッドコントローラ31(サブ制御部)と、ソフトウェアデバイス51(仮想デバイス)とを備える。表示部14は、表示光の遮光を制御して、少なくとも表示の視野角を変更可能なプライバシーフィルタ142(フィルタ層)を有する。メイン制御部10は、OS61(例えば、Windows(登録商標))に基づく処理を実行するメイン制御部10であって、プライバシーフィルタ142により表示部14の正面以外からの視認性を低下させる覗き見防止機能と、表示部14の輝度を周辺の明るさに応じて自動調整するALS機能(自動輝度調整機能)とを実現する処理を実行する。エンベデッドコントローラ31は、メイン制御部10とは異なるエンベデッドコントローラ31であって、入力部32が所定の入力情報の受け付けを検出した場合に、検出通知を出力する。ソフトウェアデバイス51は、エンベデッドコントローラ31が出力した検出通知に応じて、BIOS(ベーシックインプットアウトプットシステム)60を介して、メイン制御部10によってOS61上で実行されるMFユーティリティ64(ユーティリティ)に、所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)を受け付けたことを示すイベント通知を通知する。また、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が無効な状態において、覗き見防止機能を有効にする所定の入力情報によるイベント通知を受信した場合に、表示部14の輝度が、覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、ALS機能を制限する。
【0079】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、覗き見防止機能が有効の状態において、覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、ALS機能を制限するため、ALS機能と覗き見防止機能との両方を搭載することができる。
【0080】
例えば、従来技術のノートPCでは、ALS機能と覗き見防止機能との両方を搭載しようとした場合、ALS機能によりバックライト143の輝度が90%に設定されている状態において、覗き見防止機能を有効にすると一旦、覗き見防止機能に最適な輝度値(例えば、50%)に変更される。ところが、従来技術のノートPCでは、ALS機能により再び90%の輝度に戻ってしまうため、バックライト143の表示光(正面光L1及び傾斜光L2)がプライバシーフィルタ142を透過してしまい、第三者に覗き見されてしまう可能性がある。
【0081】
また、従来技術のノートPCでは、ALS機能により輝度が20%に設定されている状態において、覗き見防止機能を有効にすると一旦、覗き見防止機能に最適な輝度値(例えば、50%)に変更されるが、ALS機能により再び20%の輝度に戻ってしまう。この場合、従来技術のノートPCでは、バックライト143の表示光(正面光L1及び傾斜光L2)のプライバシーフィルタ142の透過が過剰に低減してしまい、ユーザが表示を視認できない可能性がある。
【0082】
これに対して、本実施形態によるノートPC1では、覗き見防止機能が有効の状態において、覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、ALS機能を制限するため、上述した従来技術のノートPCのような覗き見防止機能の性能低下を防止することができる。よって、本実施形態によるノートPC1は、ALS機能と覗き見防止機能との両方を搭載することができる。
【0083】
また、本実施形態では、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が無効な状態において、覗き見防止機能を有効にする所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)によるイベント通知を受信した場合に、ALS機能を停止する。
【0084】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、覗き見防止機能が有効になる際に、ALS機能を停止するため、ALS機能が覗き見防止機能を妨害することを防止することができる。
【0085】
また、本実施形態では、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が有効な状態において、覗き見防止機能を無効にする所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)によるイベント通知を受信した場合に、ALS機能の制限を解除する。
これにより、本実施形態によるノートPC1は、ALS機能を適切に利用することができる。
【0086】
また、本実施形態では、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が有効な状態において、覗き見防止機能を無効にする所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)によるイベント通知を受信した場合に、ALS機能を有効にする。
【0087】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、覗き見防止機能が無効になる際に、ALS機能を有効にするため、覗き見防止機能がALS機能を妨害することを防止することができる。
【0088】
また、本実施形態によるノートPC1は、ソフトウェアデバイス51である第1仮想デバイスとは異なるソフトウェアデバイス52(第2仮想デバイス)を備える。ソフトウェアデバイス52は、エンベデッドコントローラ31が出力した検出通知に応じて、BIOS60を介して、イベント通知である第1イベント通知とは異なる第2イベント通知であって、所定の入力情報を受け付けたことを示す第2イベント通知を、メイン制御部10に通知する。メイン制御部10は、覗き見防止機能が無効な状態において、覗き見防止機能を有効にする所定の入力情報による第2イベント通知をソフトウェアデバイス52から受信した場合に、表示部14の輝度を最適な輝度範囲内の輝度値(例えば、50%)に変更するとともに、覗き見防止機能を有効にする。
【0089】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、覗き見防止機能と、ALS機能の制限処理とを、独立した別系統の処理として実行することができるため、覗き見防止機能に影響を与えることなく、容易に、ソフトウェアデバイス51及びMFユーティリティ64によるALS機能の制限処理を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態によるノートPC1は、プラットフォーム毎のハードウェア及びエンベデッドコントローラ31の設計差分(例えば、ALS機能を非搭載で覗き見防止機能のみのプラットフォームや、様々な入力情報及びホットキー)をBIOS60が吸収し、規定のイベント通知をソフトウェアデバイス51、52に通知することにより、プラットフォームに依存しない覗き見防止機能及びMFユーティリティ64の開発が可能になる。これにより、本実施形態によるノートPC1は、開発コスト及び開発期間を大幅に低減することができる。
【0091】
また、本実施形態では、表示部14は、バックライト143を有する液晶ディスプレイであり、表示部14の輝度は、バックライト143の明るさを示す。
これにより、本実施形態によるノートPC1は、バックライト143の輝度を変更することで、覗き見防止機能とALS機能との機能容易に実現することができる。
【0092】
また、本実施形態による表示制御方法は、上述した表示部14と、メイン制御部10と、ノートPC1の表示制御方法であって、エンベデッドコントローラ31とを備えるノートPC1の表示制御方法であって、入力検出ステップと、イベント通知ステップと、制御ステップとを含む。入力検出ステップにおいて、エンベデッドコントローラ31が、入力部が所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)の受け付けを検出した場合に、検出通知を出力する。イベント通知ステップにおいて、ソフトウェアデバイス51が、エンベデッドコントローラ31が出力した検出通知に応じて、BIOS60を介して、メイン制御部10によってOS61上で実行されるMFユーティリティ64に、所定の入力情報(例えば、ホットキーKEY1)を受け付けたことを示すイベント通知を通知する。制御ステップにおいて、メイン制御部10が、MFユーティリティ64の実行により、覗き見防止機能が無効な状態において、覗き見防止機能を有効にする所定の入力情報によるイベント通知を受信した場合に、表示部14の輝度が、覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、ALS機能を制限する。
【0093】
これにより、本実施形態による表示制御方法は、上述したノートPC1と同様の効果を奏し、ALS機能と覗き見防止機能との両方を搭載することができる。
【0094】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、情報処理装置がノートブック型PC(ノートPC1)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、デスクトップ型PC、タブレット端末装置などの他の情報処理装置であってもよい。
【0095】
また、上記の実施形態において、ソフトウェアデバイス51は、BIOS60によって実現される例を説明したが、これに限定されるものではなく、ソフトウェアデバイス51の一部又は全部をOS上で実行されるデバイスドライバにより実現してもよい。
【0096】
また、上記の実施形態において、入力部からの所定の入力情報によって実現される例を説明したが、これに限定されるものではなく、覗き見防止機能を有効/無効にするGUIにより、直接通知して実現してもよい。すなわち、入力部32から所定の入力情報を出力するのではなく、覗き見防止機能を有効/無効にするGUI(例えば、覗き見防止機能切替GUI641)により、MFユーティリティ64は、覗き見防止機能が有効に設定された場合に、表示部14の輝度を前記最適な輝度範囲内の輝度値に変更するとともに、覗き見防止機能を有効にするようにしてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態において、プライバシーフィルタ142は、液晶パネル層141とバックライト143との間に配置され、有効時に傾斜光L2を低減(又は遮断)する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、プライバシーフィルタ142は、液晶パネル層141の表示面側に配置され、有効時に傾斜光L2を低減(又は遮断)するとともに、外部からの入射光を反射して第三者からの視認性を低下させるものであってもよいし、他の方式のフィルタ層であってもよい。
【0098】
また、上記の実施形態において、覗き見防止機能の最適輝度値を50%とする例を説明したが、これに限定されるものではなく、プライバシーフィルタ142の特性に応じて他の値であってもよいし、所定に輝度範囲内の値であってもよい。
【0099】
また、上記の実施形態において、表示部14の輝度が、覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、ALS機能を制限する一例として、MFユーティリティ64は、ALS機能を停止する例を説明したが、これに限定されるものではない。MFユーティリティ64は、例えば、覗き見防止機能に最適な輝度範囲から外れないように、ALS機能の輝度設定を制限するようにしてもよい。この場合、MFユーティリティ64は、予めメインメモリ12に制限用の輝度設定テーブルを記憶させておき、輝度設定テーブルを通常用と、制限用とで切り替えるようにしてもよい。
【0100】
また、上記の実施形態において、表示部14は、液晶ディスプレイである例を説明したが、これに限定されるものではなく、有機ELディスプレイなどバックライト143を有しない自発光セル型のディスプレイであってもよいし、他の方式のディスプレイであってもよい。
【0101】
また、上記の実施形態において、OS61が、Windows(登録商標)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、iOS(登録商標)、Android(登録商標)などの他のOSに適用してもよい。
【0102】
また、上記の実施形態において、覗き見防止機能と、ALS機能の制限処理とを、独立した別系統の処理として実行する例を説明したが、これに限定されるものではなく、ALS機能の制限処理とを、独立した別系統の処理とを1つのソフトウェアデバイス(仮想デバイス)により実現するようにしてもよい。
また、MFユーティリティ64と、覗き見防止ユーティリティ63とを1つの構成として、実現するようにしてもよい。
【0103】
また、上記の実施形態において、照度センサ28がチップセット21に直接接続される例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、エンベデッドコントローラ31を介して、チップセット21に接続されるようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、BIOS60が、表示部14のプライバシーフィルタ142を直接制御する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ビデオサブシステム13を介して、表示部14のプライバシーフィルタ142を制御するようにしてもよい。
【0104】
なお、上述したノートPC1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述したノートPC1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述したノートPC1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0105】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0106】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後にノートPC1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0107】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 ノートPC
10 メイン制御部
11 CPU
12 メインメモリ
13 ビデオサブシステム
14 表示部
21 チップセット
22 BIOSメモリ
23 HDD
24 オーディオシステム
25 WLANカード
26 USBコネクタ
27 撮像部
38 照度センサ
31 エンベデッドコントローラ(EC)
32 入力部
33 電源回路
50 ACPI処理部
51、52 ソフトウェアデバイス
60 BIOS
61 OS
62 ALS機能処理部
63 覗き見防止ユーティリティ
64 MFユーティリティ
65 輝度機能処理部
141 液晶パネル層
142 プライバシーフィルタ
143 バックライト
641 覗き見防止機能切替GUI