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特許7105828抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/242 20190101AFI20220715BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220715BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20220715BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220715BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220715BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220715BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20220715BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20220715BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220715BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61K33/242
A61K9/08
A61K47/06
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/54
A61K47/61
A61K47/62
A61P27/02
G02C7/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020099262
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021006518
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2020-06-08
(31)【優先権主張番号】108122605
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512020327
【氏名又は名称】ペガヴィジョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PEGAVISION CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2F-1,No.5,SHING YEH ST.,GUISHAN DIST.,TAOYUAN CITY 333,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】陳 君涵
(72)【発明者】
【氏名】高 婉楹
【審査官】篭島 福太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073494(JP,A)
【文献】国際公開第2018/212152(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/235939(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/095429(WO,A1)
【文献】Nanoscale,2019年03月04日,Vol.11, No.12,p.5580-5594
【文献】Carbohydrate Polymers,2018年,No.186,p.243-251
【文献】Molecular Vision,2008年,Vol.14,p.150-160
【文献】PLOS ONE,2014年,Vol.9,Issue 8,e105359,p.1-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/242
A61P 27/02
A61K 9/08
A61K 47/06
A61K 47/22
A61K 47/20
A61K 47/54
A61K 47/61
A61K 47/62
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用組成物を含むコンタクトレンズ製品であって、
前記眼科用組成物は、複数の金ナノ粒子と、少なくとも1つの非酵素的抗酸化剤とを含む抗酸化機能を含有し、
前記金ナノ粒子の平均粒径は、0.5nm乃至40nmであり、前記金ナノ粒子の有効濃度は、0.01ppm乃至3000ppmであり、前記眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、前記非酵素的抗酸化剤の含有量は、0より多く20wt%未満である、
抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項2】
前記金ナノ粒子の有効濃度は1ppm乃至400ppmであり、前記非酵素的抗酸化剤の含有量は0.05wt%乃至3wt%である、
請求項1に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項3】
前記非酵素的抗酸化剤は、β-カロテン、リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、及びカンタキサンチンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、
請求項1に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項4】
前記非酵素的抗酸化剤は、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸グルコシド又はそれらの組み合わせである、
請求項1に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項5】
前記非酵素的抗酸化剤は、エピカテキン(epicatechin)、エピガロカテキン(epigallocatechin)、エピカテキンガレート(epicatechin gallate)、及びエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate)からなる群から選ばれる少なくとも一種である、
請求項1に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項6】
前記非酵素的抗酸化剤は、シアニジン(cyanidin)、ペラルゴニジン(pelargonidin)、ペオニジン(peonidin)、デルフィニジン(delphinidin)、ペツニジン(petunidin)、及びマルビジン(malvidin)からなる群から選ばれる少なくとも一種である、
請求項1に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項7】
前記非酵素的抗酸化剤は、α-リポ酸、2‐アミノエタンスルホン酸又はそれらの組合せである、
請求項1に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項8】
前記金ナノ粒子には、少なくとも一種の官能性分子グループが表面修飾され、前記官能性分子グループは、親水性官能基、フェノール基含有化合物、多糖類、少なくとも1つのNH基又はCOOH基を含むペプチド、及びチオール配位子からなる群から選ばれる少なくとも一種である、
請求項1に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項9】
前記眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、前記官能性分子グループの含有量は、0.01wt%乃至5wt%である、
請求項8に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項10】
前記親水性官能基は、OH基、CONH基、CONH基、又はCOOH基である、
請求項8に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項11】
前記フェノール基含有化合物は、モノフェノール、ポリフェノール、又はフラボノイド化合物である、
請求項8に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項12】
前記多糖類は、ウロン酸、メチルカルボン酸キチン、メチルカルボン酸キトサン、アルギン酸、又はヒアルロン酸である、
請求項8に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項13】
前記ペプチドの分子量は、300Dalton乃至300,000Daltonである、
請求項8に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【請求項14】
前記チオール配位子は、リポ酸又はジヒドロリポ酸である、
請求項8に記載の抗酸化機能を有するコンタクトレンズ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用製品に関し、特にコンタクトレンズ関連製品又は眼科用医薬品等抗酸化機能を有する眼科用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化時代に入った以来、スマートフォン又はコンピュータなどの3C製品が頻繁に使用され、その結果、人々は近視に罹患する割合が高くなるだけでなく、近視の低年齢化も年々に進む傾向がある。美観性と使用の便利性の点から、コンタクトレンズの着用は非常に価値がある選択になっている。
【0003】
視力の弱い人の大半は、コンタクトレンズを長い間着用する習慣がある。しかしながら、着用者の目は、特に長期間空調された部屋において、着用時間の増加に伴う角膜低酸素症および脱水に起因する角膜損傷または病変に苦しむ可能性がある。さらに、サラリーマン等は、仕事の必要に応じて、長時間コンピュータ画面を見つめることがよくある。これは目の過剰使用を引き起こしやすく、ドライアイや他の炎症性眼疾患、さらには目の刺激や不快感を引き起こす可能性がある。そこで、目の健康状態及び快適さを維持することは、現代人にとって重要な課題である。
【0004】
ゼアキサンチン炎症が人体で発生する理由はたくさんあるが、その根本的な原因は、内部および外部の要因から生じる不安定なフリーラジカルが常に電子を奪い、臓器やシステムに損傷を与えることである。そのような悪い状況下では、さまざまな病気が起きる。目の健康のための多くの製品には、例えば、ルテインやゼアキサンチンなどの優れた抗酸化能力を持つ有益な成分が含まれているが、これらの有益な成分は、経口摂取により、目の表面に直接供給することはできない。
【0005】
そのため、フリーラジカルを抑制しながら、目の不快感を解消または軽減することができる新規の眼科用製品が日常生活で必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の不足に対し、抗酸化機能を有する、目の健康状態と快適さを維持できる眼科用製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的技法の1つとしては、下記の抗酸化機能を有する眼科用製品を提供することである。抗酸化機能を有する眼科用製品には、眼科用組成物が含まれる。前記眼科用組成物は、複数の金ナノ粒子及び少なくとも1つの抗酸化補助成分を含み、前記金ナノ粒子の有効濃度は0.01ppm乃至3000ppmであり、前記眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、抗酸化補助成分の含有量が0より多く20wt%未満である。
【0008】
本発明に係る特定の実施形態において、前記金ナノ粒子の平均粒径は、0.01nm乃至100nmであり、前記金ナノ粒子の有効濃度は、0.05ppm乃至1600ppmであり、前記抗酸化補助成分の含有量は、0.01wt%乃至5wt%である。
【0009】
本発明に係る特定の実施形態において、前記金ナノ粒子の平均粒径は、0.5nm乃至40nmであり、前記金ナノ粒子の有効濃度は、1ppm乃至400ppmであり、前記抗酸化補助成分の含有量は、0.05wt%乃至3wt%である。
【0010】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、カロテノイドである。
【0011】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、β-カロテン、リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン及びカンタキサンチンからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0012】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、アスコルビン酸及びその誘導体である。
【0013】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸グルコシド又はそれら組合せである。
【0014】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、カテキン及びその誘導体である。
【0015】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、エピカテキン(epicatechin)、エピガロカテキン(epigallocatechin)、エピカテキンガレート(epicatechin gallate)及びエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate)からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0016】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、アントシアニン及びその誘導体である。
【0017】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、シアニジン(cyanidin)、ペラルゴニジン(pelargonidin)、ペオニジン(peonidin)、デルフィニジン(delphinidin)、ペツニジン(petunidin)及びマルビジン(malvidin)からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0018】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化補助成分は、α-リポ酸、2‐アミノエタンスルホン酸又はそれらの組合せである。
【0019】
本発明に係る特定の実施形態において、前記金ナノ粒子に、少なくとも一種の官能性分子グループで表面修飾され、前記官能性分子グループは、親水性官能基、フェノール基含有化合物、多糖類、少なくとも1つのNH2基又はCOOH基を含むペプチド、及びチオール配位子からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0020】
本発明に係る特定の実施形態において、眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、前記官能性分子グループの含有量は、0.01wt%乃至5wt%である。
【0021】
本発明に係る特定の実施形態において、前記親水性官能基は、OH基、CONH基、CONH基又はCOOH基である。
【0022】
本発明に係る特定の実施形態において、前記フェノール基含有化合物は、モノフェノール、ポリフェノール又はフラボノイド化合物である。
【0023】
本発明に係る特定の実施形態において、前記多糖類は、ウロン酸、メチルカルボン酸キチン、メチルカルボン酸キトサン、アルギン酸又はヒアルロン酸である。
【0024】
本発明に係る特定の実施形態において、前記ペプチドの分子量は、300Dalton乃至300,000Daltonである。
【0025】
本発明に係る特定の実施形態において、前記チオール配位子は、リポ酸又はジヒドロリポ酸である。
【0026】
本発明に係る特定の実施形態において、前記眼科用組成物は、pH値が6乃至8であり、浸透圧が240 Osmol/Kg乃至400 Osmol/Kgである。
【0027】
本発明に係る特定の実施形態において、前記眼科用組成物は、溶液、ゲル又は軟膏に形成される。
【0028】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化機能を有する眼科用製品は、前記眼科用組成物を目に移送するための移送媒体を含む。
【0029】
本発明に係る特定の実施形態において、前記移送媒体は、眼科用包帯である。
【0030】
本発明に係る特定の実施形態において、前記抗酸化機能を有する眼科用製品は、コンタクトレンズを含み、前記コンタクトレンズは、溶液に形成された前記眼科用組成物に含侵されている。
【0031】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する別の技術技法としては、抗酸化機能を有する眼科用製品を提供することである。抗酸化機能を有する眼科用製品には、眼科用組成物が含まれる。前記眼科用組成物は、複数の金ナノ粒子を含み、前記金ナノ粒子の有効濃度は、0.01ppm乃至3000ppmであり、前記金ナノ粒子の平均粒径は、0.01nm乃至100nmである。
【0032】
本発明に係る特定の実施形態において、前記金ナノ粒子の有効濃度は、0.05ppm乃至1600ppmである。
【0033】
本発明の実施形態において、前記金ナノ粒子の平均粒径は、0.5nm乃至40nmであり、前記金ナノ粒子の有効濃度は、1ppm乃至400ppmである。
【0034】
本発明による有益な効果の1つとしては、本発明に係る抗酸化機能を有する眼科用製品は、「眼科用組成物に、複数の金ナノ粒子及び少なくとも1つの抗酸化補助成分が含まれ、金ナノ粒子の有効濃度が0.01ppm乃至3000ppmである」技術的特徴により、目の炎症等目の疫病を治療又は予防することにより、目の不快感を抑える、又は消除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係る眼科用製品の一部を示す部分模式図である。
図2】本発明に係る眼科用製品の一部を示す別の部分模式図である。
図3】本発明に係る眼科用製品の一部を示すさらに別の部分模式図である。
図4】本発明に係る眼科用製品の好ましい実施形態を示す斜視模式図である。
図5】本発明に係る眼科用製品の好ましい実施形態を示す断面模式図である。
図6】本発明に係る眼科用製品の好ましい実施形態を示す使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【0037】
下記より、具体的な実施例で本発明が開示する「抗酸化機能を有する眼科用製品」に係る実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神から逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。
【0038】
なお、本明細書において「第1」、「第2」、「第3」等の用語で各種の部品又は信号を説明する可能性があるが、これらの部品又は信号はこれらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は、主として一つの部品と別の部品、又は一つの信号と別の信号を区分するためのものであることを理解されたい。また、本明細書に用いられる「又は」という用語は、実際の状況に応じて、関連する項目中の何れか一つ又は複数の組合せを含み得る。
【0039】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される技術用語は、特に個数が指定されない限り、複数形を含むことが意図されている。
【0040】
特に明記しない限り、本明細書に開示されているすべてのパーセンテージは重量パーセントである。提供された範囲の上限および下限は、より小さな範囲に含めることができ、また、範囲に含まれた全ての組み合わせは、独立して包含されるものとみなす。
【0041】
眼の表面領域の抗酸化能力を高め、フリーラジカルによるダメージを抑えるために、本発明は、抗酸化機能を有する眼科用製品を提供する。本発明に係る眼科用製品には、眼科用組成物が含まれる。眼科用組成物は、主に複数の金ナノ粒子、及び少なくとも1つの抗酸化補助成分を含む。使用する際、眼科用製品は、眼科用組成物が直接的に、又は間接的に眼の表面領域に接することを介して、有効量に至る金ナノ粒子と抗酸化補助成分を眼の表面領域に移送する。それで、金ナノ粒子と抗酸化補助成分とは、抗酸化の相乗効果が生じされる。本明細書において、「眼の表面領域」という用語は、角膜、結膜、涙膜およびそれらの隣接または関連構造を含む。
【0042】
より具体的には、本開示の眼科用製品は、コンタクトレンズまたは眼科用医薬品の関連製品であり得る。眼科用組成物は、溶液、ゲルまたは軟膏の形態であることができ、例えば、それは、パッケージ溶液、保存溶液、洗浄溶液、ケア溶液、または多機能点眼剤または眼用医薬品として機能することができる。しかしながら、そのような例は、本開示を限定することを意図していない。
【0043】
本実施形態において、金ナノ粒子の有効濃度は、0.01ppm乃至3000ppmであり、0.05ppm乃至1600ppmが好ましく、1ppm乃至400ppmがより好ましい。例えば、金ナノ粒子の有効濃度は、5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、25ppm、50ppm、75ppm、100ppm、150ppm、200ppm、250ppm、300ppm又は350ppmであってもよい。本明細書において、「有効濃度」という用語は、十分な量の金ナノ粒子を眼の表面領域に送達して、有益な効果を生み出すことができる濃度である。
【0044】
金ナノ粒子は、少なくとも抗酸化、抗炎症、抗アレルギー、緩和、角膜修復および血管増殖抑制の機能または効果を有することが見出された。したがって、眼科用組成物が金ナノ粒子を含むことにより、目を健康的で快適な状態に効果的に維持することができる。
【0045】
図1及び図2を参照されたい。眼科用組成物は、分散媒体200を含み、金ナノ粒子100は、分散媒体200により分散状態になっている。眼科用組成物において、水が分散媒体200として使用されてもよいが、その例に制限されない。眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、分散媒体200の含有量は、75wt%乃至99wt%であり、85wt%乃至99wt%が好ましい。実際の応用では、図2に示すように、金ナノ粒子100をグループ化して金ナノクラスター100'をなしてもよい。金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'の平均粒径は、0.01nm乃至100nm、好ましくは0.5nm乃至40nmである。
【0046】
図3を参照されたい。実際の応用では、金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'に少なくとも一種の官能分子基が表面修飾され得る。即ち、金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'に、機能性を高めるためにそれらの表面に結合された少なくとも1つの官能性分子群を有する。官能分子基は、親水性官能基、フェノール基含有化合物、多糖類、少なくとも1つのNH基又はCOOH基を含むペプチド、及びチオール配位子からなる群から選ばれる少なくとも一種であってもよいが、それに制限されない。眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、官能分子基の含有量は、0より多く20wt%未満であってもよいが、好ましくは0.01wt%乃至5wt%、さらに好ましくは0.05wt%乃至3wt%である。
【0047】
ところで、親水性官能基が表面修飾された金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'は、良好な親水性を持っている。フェノール基含有化合物が表面修飾された金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'は、同時に、モノフェノール、ポリフェノール、フラボノイド化合物で表面修飾されることが好ましく、それにより、細胞内のグルタチオンの濃度を調節できる。多糖類が表面修飾された金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'と、少なくとも1つのNH基又はCOOH基を含むペプチドが表面修飾された金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'とは、生物学的安全性の要件を満たすだけでなく、フリーラジカル耐性と保湿力も高めることができる。チオール配位子が表面修飾された金ナノ粒子100又は金ナノクラスター100'は、抗酸化能力が向上している。
【0048】
実施形態において、親水性官能基は、OH基、CONH基、CONH基、又はCOOH基であってもよい。多糖類は、ウロン酸、メチルカルボン酸キチン、メチルカルボン酸キトサン、アルギン酸又はヒアルロン酸であってもよい。ペプチドの分子量は、300Dalton乃至300,000Daltonである。チオール配位子は、SH基を有する分子グループであり、例えば、リポ酸又はジヒドロリポ酸である。なお、本発明は上記の例に制限されない。
【0049】
眼科用組成物は、非酵素的抗酸化剤を抗酸化補助成分として使用している。眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、抗酸化補助成分の含有量は、0より多く20wt%未満であってもよいが、好ましくは0.001wt%乃至5wt%、さらに好ましくは0.005wt%乃至3wt%である。例えば、抗酸化補助成分の含有量は、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1.0wt%、1.5wt%、2.0wt%又は2.5wt%であってもよい。
【0050】
本実施形態において、抗酸化補助成分は、カロテノイド、アスコルビン酸及びその誘導体、カテキン及びその誘導体、アントシアニン及びその誘導体、α-リポ酸、及び2‐アミノエタンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であってもよい。カロテノイドについて、具体的に例示すれば、β-カロテン(β-Carotene)、リコピン(Lycopene)、アスタキサンチン(Astaxanthin)、ゼアキサンチン(Zeaxanthin)、及びカンタキサンチン(Canthaxanthin)が挙げられる。アスコルビン酸及びその誘導体について、具体的に例示すれば、L-アスコルビン酸、及びL-アスコルビン酸グルコシドが挙げられる。カテキン及びその誘導体について、具体的に例示すれば、エピカテキン(epicatechin)、エピガロカテキン(epigallocatechin)、エピカテキンガレート(epicatechin gallate)、及びエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate)が挙げられる。アントシアニン及びその誘導体について、具体的に例示すれば、シアニジン(cyanidin)、ペラルゴニジン(pelargonidin)、ペオニジン(peonidin)、デルフィニジン(delphinidin)、ペツニジン(petunidin)、及びマルビジン(malvidin)が挙げられる。なお、本発明は上記の例に制限されない。
【0051】
非酵素的抗酸化剤が電子を供給して活性フリーラジカルを還元し、活性フリーラジカルの連鎖反応をブロックし、比較的非反応性のフリーラジカル(Relatively unreactive antioxidant radical)に酸化される可能性がある。このようなフリーラジカルは連鎖反応を引き起こさないため、目の細胞への酸化ストレスによる損傷を軽減し、細胞膜の完全性を維持できる。したがって、細胞は正常に機能することができる。さらに、非酵素的抗酸化剤とナノ金成分は、異なるメカニズムで相互に作用して、予期しない抗酸化効果を生み出すことができる。
【0052】
眼科用組成物は、緩衝剤、界面活性剤、親水性ポリマーおよび他の機能性添加剤をさらに含んでもよい。緩衝剤は、眼科用組成物が所望の効果、すなわち、目に有益な効果を果たせるために、眼科用組成物のpH値および浸透圧を調整するために用いられる。眼科用組成物のpH値は、6乃至8であり、好ましくは7乃至8である。眼科用組成物の浸透圧は、240 Osmol/Kg乃至400 Osmol/Kgであり、好ましくは260 Osmol/Kg乃至340 Osmol/Kgである。
【0053】
本実施形態では、緩衝剤は、ホウ酸緩衝液またはリン酸緩衝液であり得る。眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、緩衝剤の含有量は、0より多く5wt%未満、例えば、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%又は4wt%である。ホウ酸緩衝液は、ホウ酸、塩化ナトリウムおよび四ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩を含み得るが、これに限定されない。リン酸緩衝液は、塩化ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムおよびリン酸水素二カリウムなどのリン酸塩を含み得るが、これらに限定されない。
【0054】
界面活性剤を添加することにより、ナノ金成分の性能を向上させることができる。界面活性剤は、ポリソルベート80(Tween80、登録商標)、スルホコハク酸アルキル(SBFA 30)、ラウロイル乳酸ナトリウム(sodium lauroyl lactylate)、ポリオキシプロピレングリコール(polyoxypropylene glycol)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(polyoxyethylene hardened castoroil)、およびポリビニルピロリドン(PVP)からなる群から選ばれる少なくとも一種であり得るが、それに限定されない。眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、界面活性剤の含有量は、0.01wt%乃至5wt%、好ましくは0.01wt%乃至3wt%、例えば、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%または2.5wt%である。
【0055】
親水性ポリマーを添加することにより、目の湿潤感を増やすことができる。さらに、親水性ポリマーは、ナノ金成分の徐放効果を高め、ナノ金成分の眼内滞留時間を延長して、目に有益な効果をもたらすことができる。親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG400)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、及びヒアルロン酸(hyaluronicacid)からなる群から選ばれる少なくとも一種であり得るが、これに限定されない。眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、親水性ポリマーの含有量は、0.01wt%乃至5wt%、好ましくは0.01wt%乃至3wt%、例えば、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、又は2.5wt%であり得る。
【0056】
活性医薬成分は、抗炎症、抗アレルギーおよび緩和効果を提供するために添加され得る。活性医薬成分は、プラノプロフェン(pranoprofen)、アミノカプロン酸(ε-aminocaproic acid)、アラントイン(allanton)、ベルベリン(berberine)、アズレンスルホン酸(azulene sulfonate)、グリチルリチン酸(glycyrrhizinate)、クロモグリケート(sodium cromoglycate)及び硫酸亜鉛から選ばれる少なくとも一種であり得る。眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、活性医薬成分の含有量は、0.001wt%乃至20wt%、例えば、0.01wt%、0.05wt%、1wt%、5wt%、又は10wt%であり得る。本実施形態において、眼科用組成物において、プラノプロフェン0.001wt%乃至5wt%、アミノカプロン酸0.001wt%乃至5wt%、アラントイン0.001wt%乃至5wt%、ベルベリン0.001wt%乃至10wt%、グリチルリチン酸0.001wt%乃至10wt%、クロモグリケート0.001wt%乃至10wt%、又は硫酸亜鉛0.001wt%乃至10wt%を活性医薬成分としてもよいが、それらの例に制限されない。
【0057】
機能性添加剤としては、抗菌剤、ビタミン等、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、特に限定されない。機能性添加剤は、眼科用組成物の総量100wt%を基準にして、0.01wt%乃至5wt%の範囲で配合することができる。抗菌剤について、具体的に例示すれば、ポリヘキサメチレンビグアナイド(polyhexamethylene biguanide,PHMB)とその水溶性塩、ポリアミノプロピルビグアナイド(polyaminopropyl biguanide,PAPB)とその水溶性塩が挙げられる。ビタミンの具体例としては、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン,pyridoxine hydrochloride)、ビタミンB12(シアノコバラミン,cyanocobalamin)、ビタミンE(DL-alpha-tocopherol)などが挙げられる。しかしながら、そのような例は、本開示を限定することを意図するものではない。
【0058】
図4及び図5を参照されたい。本発明において、眼科用製品300に係る好ましい実施形態の1つとしては、コンタクトレンズ製品である。それは、パッケージ構造310、眼科用組成物のパッケージ溶液320、及びコンタクトレンズ330を備える。パッケージ溶液320及びコンタクトレンズ330は一緒にパッケージ構造310に密封されており、かつ、例えば、高温、高圧滅菌などの滅菌処理がかかった。なかでも、コンタクトレンズ330は、パッケージ溶液320に含侵される。
【0059】
より具体的には、パッケージ構造310は、容器311およびカバーシート312を含む。容器311は、パッケージ溶液320およびコンタクトレンズ330を収容するために使用される。カバーシート312は、その開口を密閉するために容器311に剥離可能に結合される。本実施形態では、容器311は、プラスチックで作られてもよく、コンタクトレンズ330に妥当な程度の保護を提供する。カバーシート312は、金属またはプラスチックで作られてもよい。コンタクトレンズ330は、ヒドロゲル(hydrogel)またはシリコーンヒドロゲル(siliconehydrogel)から作製されてもよいが、必要に応じて、青色光吸収成分およびUV吸収成分などの1つ以上の機能性材料を含み得る。しかしながら、そのような例は、本開示を限定することを意図していない。
【0060】
ところで、コンタクトレンズ330がパッケージ溶液320に浸されると、パッケージ溶液320中の有益な成分がコンタクトレンズ330に入るか、またはコンタクトレンズ330に付着する。そのため、コンタクトレンズ330を着けると、有益な成分がコンタクトレンズ330から眼の表面領域に移され、眼の疾患(例えば、眼の炎症)を治療および予防し、眼の不快感を軽減することができる。
【0061】
本発明の別の好ましい実施形態による眼科用製品400が示されており、これは、眼科用組成物から得られる眼科用調製物410を含む。使用中、眼科用調製物410は、点眼剤の形で眼の表面領域に移すことができるが、それに限定されない。他の実施形態では、眼科用調製物410は、眼科用基材または包帯などの移送媒体によって眼の表面領域に移送させることができる。
【0062】
[評価項目]
眼科用製品の製造:
表1に示すように、実施例1~4および比較例1の眼科用組成物に従ってコンタクトレンズパッケージ溶液を調製した。ペガビジョン社によって製造されたヒドロゲルコンタクトレンズをそれぞれコンタクトレンズパッケージ溶液に含侵して、さらに、密封および高温滅菌(125℃、30分)処理後、眼科用製品(すなわち、コンタクトレンズ製品)が得られた。
【0063】
表1の実施例1乃至4と比較例1との比較は、それぞれコンタクトレンズを装着してアンケートによる自己認識評価を行う10人の臨床試験対象者によって得られた。評価項目はポジティブグループとネガティブグループに分け、それぞれコンタクトレンズを装着した直後と4時間以上装着した後に採点した。結果を表2に示す。各評価項目のスコアは10人の平均値である。
【0064】
コンタクトレンズは生体適合性を持たなければならない医療機器であるため、特に細胞毒性は最初の試験指標となっている。そのため、ISO10993-5:2009規格に準拠したインビトロ細胞毒性試験を実施して、試験対象がマウス線維芽細胞(細胞株L929)に対して細胞毒性を有するかどうかを確認する。テストオブジェクトには、コンタクトレンズ330とパッケージ溶液320が含まれる。細胞毒性は、ISO 10993-5:2009規格の表1「抽出物の細胞毒性の質的形態学的等級付け(Table 1 Qualitative morphological grading of cytotoxicity of extracts)」に従って0~4のスコアで等級付けされた。スコア「0」は細胞毒性がないこと、グレード「1」はわずかな細胞毒性、即ち、20%未満の細胞変動性であること、グレード「2」は穏やかな細胞毒性、即ち、50%未満の細胞変動性であること、グレード「3」は中程度の細胞毒性、即ち、細胞の変動性が70%未満であること、グレード「4」は深刻な細胞毒性、即ち、細胞層のほぼ完全または完全な破壊を表す。結果は、表3に示される。
【0065】
近年、スマートフォンや青色光を発するLED光源の人気が高まっており、また、屋外作業員の目は、日光に長時間直接さらされた結果として、青色光による損傷を受ける可能性がある。青色光への長時間の暴露は、角膜細胞の損傷または死をもたらす可能性があり、より深刻には、黄斑変性症、かすみ目、ゆがみ視力または中心視力の暗い影が目に発生する可能性がある。したがって、青色光を遮断することは目の健康にとって非常に重要であり、青色光保護を備えた製品はますます人気が高まっている。2017年に発行された国際眼科雑誌(International Journal of Ophthalmology)は、目の細胞には、人体が自己生産できる抗酸化物質であり、水晶体、角膜、視神経、網膜、毛様体に高濃度で存在する還元型グルタチオン(GSH)が含まれていると述べている。GSHはチオール基によってフリーラジカルと結合して、容易に代謝される酸性物質を形成し、それによってフリーラジカルの排泄を促進することができる。さらに、不安定な水晶体タンパク質のチオール基を抑制することができるため、白内障の発生率を下げることができ、角膜症および網膜症の発症を抑制することができる。これらは、角膜または水晶体の透明性を維持し、組織の再生と修復に有益である。本開示の眼科用製品は、目の表面積の抗酸化能力を高め、目の細胞内還元型グルタチオン(GSH)の濃度を維持し、青色光を遮断することにより、目の病気を効果的に防止し、目を保護するために使用できる。
【0066】
そのため、本発明の表1に示す実施例4と比較例1の比較では、コンタクトレンズ330の角膜細胞に青色光を照射し、防御モードにより角膜細胞のGSH含有量を定量化した。検証のために損傷が観察された。選択した細胞株はウシ角膜内皮細胞(Bovine cornealendothelial cells)であった。実験方法は、12ウェルの細胞培養プレートに角膜内皮細胞を接種して12時間放置した。その後、角膜内皮細胞をそれぞれ実施例4と比較例1の組成物に含侵したコンタクトレンズ330に加えて、さらに青色光(3W)を24時間照射した後、細胞の状態を観察して、細胞のGSH含有量を検出した。ダメージを受けたGSH含有量は低減することになり、試験結果を表4に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
[実施形態による有益な効果]
本発明実施形態により提供されたコンタクトレンズ用組成物では、金ナノ粒子を眼科用製品として細胞毒性試験において細胞毒性を有さないため、眼科用製品に使用した場合、良好な生物学的安全性を有する。さらに、金ナノ粒子の性能は、少なくとも1つの抗酸化補助成分の存在下で強化され、長時間のコンタクトレンズ装用者の否定的な評価(例えば、目の不快感や異物感)を排除または軽減することができる。長時間、目を潤いのある快適な状態に保つ。細胞内GSH検出の比較から、実施例1~4に起因する眼表面積の抗酸化活性は、比較例1に起因する眼表面積の抗酸化活性よりも優れていることが観察される。
【0072】
本発明による有益な効果の1つとしては、本発明に係る抗酸化機能を有する眼科用製品は、「眼科用組成物に、複数の金ナノ粒子及び少なくとも1つの抗酸化補助成分が含まれ、金ナノ粒子の有効濃度が0.01ppm乃至3000ppmである」技術的特徴により、目の炎症等目の疫病を治療又は予防することにより、目の不快感を抑える、又は消除することができる。
【0073】
さらに言えば、金ナノ粒子は、少なくとも抗酸化、抗炎症、抗アレルギー、緩和、角膜修復および血管増殖抑制の機能または効果を有するため、眼科用組成物が金ナノ粒子を含むことにより、目を健康的で快適な状態に効果的に維持することができる。さらに、非酵素的抗酸化剤を抗酸化補助成分として採用することにより、非酵素的抗酸化剤とナノ金成分は、異なるメカニズムで相互に作用して、予期しない抗酸化効果を生み出すことができる。
【0074】
さらに、金ナノ粒子には、少なくとも1つの官能性分子グループを表面修飾することができ、すなわち、金ナノ粒子は、表面に付着した少なくとも1つの官能性分子グループを有し、それにより、金ナノ粒子の抗酸化能力及び機能性を高める。
【0075】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0076】
100:金ナノ粒子
100':金ナノクラスター
200:分散媒体
300:眼科用製品
310:パッケージ構造
311:容器
312:カバーシート
320:パッケージ溶液
330:コンタクトレンズ
400:眼科用製品
410:眼科用調製物
図1
図2
図3
図4
図5
図6