(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】管理装置、通信システム、管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20220715BHJP
H04W 4/20 20180101ALI20220715BHJP
H04W 4/35 20180101ALI20220715BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/20
H04W4/35
(21)【出願番号】P 2020100660
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519264564
【氏名又は名称】BBSakura Networks株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【氏名又は名称】中村 弘通
(74)【代理人】
【識別番号】100134728
【氏名又は名称】奥川 勝利
(72)【発明者】
【氏名】平井 亮次
(72)【発明者】
【氏名】堀場 勝広
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮介
(72)【発明者】
【氏名】日下部 雄也
(72)【発明者】
【氏名】川畑 裕行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】夏 玲鳳
(72)【発明者】
【氏名】牧 昌宏
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/172046(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/084310(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04M 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器の被管理情報を管理する管理装置であって、
割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行される移動通信部を搭載した前記ユーザー機器の当該移動通信部との間で、前記移動通信網を介して通信する機器通信部と、
前記機器通信部により受信した前記ユーザー機器の被管理情報を用いた処理を実行する処理部と、
前記ユーザー機器のユーザー情報を含む他の被管理情報を記憶する外部の情報記憶装置と通信可能な外部通信部と、を有し、
前記機器通信部は、前記ユーザー機器の電源投入によって前記ユーザー機器の自動接続処理が完了した後、前記ユーザー機器との間で前記移動通信網を介したNIDD(Non-IP Data Delivery)に準拠する通信方式で通信を行うためのリソースが生成され、前記ユーザー機器の端末識別情報に基づいて前記ユーザー機器の認証処理が行われ、前記ユーザー機器の端末識別情報と前記NIDDの通信方式で用いる前記ユーザー機器の外部識別情報との対応付けが行われ、前記ユーザー機器との間の前記NIDDの通信方式のセッションが確立された後、前記NIDDの通信方式のセッションにより、前記ユーザー機器から制御チャネルを介して、前記ユーザー機器の識別情報、製造情報及び位置情報を含む被管理情報を受信し、
前記外部通信部は、前記ユーザー機器の製造情報に基づいて、前記情報記憶装置から前記他の被管理情報を取得し、
前記処理部は、前記機器通信部により前記ユーザー機器から受信した前記ユーザー機器の識別情報、製造情報及び位置情報を含む被管理情報と、前記外部通信部により前記情報記憶装置から受信した前記他の被管理情報とを、互いに関連付けて登録する処理を実行する、
ことを特徴とする管理装置
。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置において、
外部の情報提供先装置と通信可能な外部通信部を有し、
前記処理部は、前記被管理情報を前記外部通信部により前記情報提供先装置へ送信する処理を実行することを特徴とする管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理装置において、
前記ユーザー機器から受信する前記被管理情報は、前記ユーザー機器の位置情報を含まず、
前記他の被管理情報と関連付けて登録する前記ユーザー機器の位置情報は、前記NIDDの通信方式で規格されているAPIを用いて把握された前記ユーザー機器の位置情報である、ことを特徴とする管理装置。
【請求項4】
機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器に通信部を搭載し、該ユーザー機器と管理装置との間を通信可能に接続した通信システムであって、
前記ユーザー機器の前記通信部は、割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行され、前記移動通信網を介し
たNIDD(Non-IP Data Delivery)に準拠する通信により前記管理装置と通信可能な移動通信部であり、
前記管理装置は、請求項1乃
至3のいずれか1項に記載の管理装置である、ことを特徴とする通信システム
。
【請求項5】
機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器に搭載された通信部と管理装置との間で通信を行い、該ユーザー機器の被管理情報を該管理装置で管理する管理方法であって、
前記通信部は、割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行され、前記移動通信網を介して前記管理装置と通信可能な移動通信部であり、
前記管理装置が前記ユーザー機器の前記移動通信部と移動通信網を介して通信することと、
前記管理装置が前記ユーザー機器の
前記被管理情報を
該ユーザー機器から受信することと、
前記管理装置が前記ユーザー機器のユーザー情報を含む他の被管理情報を記憶する外部の情報記憶装置と通信することと、
前記管理装置が、前記ユーザー機器の電源投入によって前記ユーザー機器の自動接続処理が完了した後、前記ユーザー機器との間で前記移動通信網を介したNIDD(Non-IP Data Delivery)に準拠する通信方式で通信を行うためのリソースが生成され、前記ユーザー機器の端末識別情報に基づいて前記ユーザー機器の認証処理が行われ、前記ユーザー機器の端末識別情報と前記NIDDの通信方式で用いる前記ユーザー機器の外部識別情報との対応付けが行われ、前記ユーザー機器との間の前記NIDDの通信方式のセッションが確立された後、前記NIDDの通信方式のセッションにより、前記ユーザー機器から制御チャネルを介して、前記ユーザー機器の識別情報、製造情報及び位置情報を含む被管理情報を受信することと、
前記管理装置が、前記ユーザー機器の製造情報に基づいて、前記情報記憶装置から前記他の被管理情報を取得することと、
前記管理装置が
、前記ユーザー機器から受信した前記ユーザー機器の識別情報、製造情報及び位置情報を含む被管理情報と、前記情報記憶装置から受信した前記他の被管理情報とを、互いに関連付けて登録する処理を実行することと、を含むことを特徴とする管理方法。
【請求項6】
機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器の被管理情報を管理する管理装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、
割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行される移動通信部を搭載した前記ユーザー機器の当該移動通信部との間で、前記移動通信網を介して通信する機器通信部、
前記機器通信部により受信した前記ユーザー機器の被管理情報を用いた処理を実行する処理部
、及び、
前記ユーザー機器のユーザー情報を含む他の被管理情報を記憶する外部の情報記憶装置と通信可能な外部通信部として、前記コンピュータを機能させる
ものであり、
前記機器通信部は、前記ユーザー機器の電源投入によって前記ユーザー機器の自動接続処理が完了した後、前記ユーザー機器との間で前記移動通信網を介したNIDD(Non-IP Data Delivery)に準拠する通信方式で通信を行うためのリソースが生成され、前記ユーザー機器の端末識別情報に基づいて前記ユーザー機器の認証処理が行われ、前記ユーザー機器の端末識別情報と前記NIDDの通信方式で用いる前記ユーザー機器の外部識別情報との対応付けが行われ、前記ユーザー機器との間の前記NIDDの通信方式のセッションが確立された後、前記NIDDの通信方式のセッションにより、前記ユーザー機器から制御チャネルを介して、前記ユーザー機器の識別情報、製造情報及び位置情報を含む被管理情報を受信し、
前記外部通信部は、前記ユーザー機器の製造情報に基づいて、前記情報記憶装置から前記他の被管理情報を取得し、
前記処理部は、前記機器通信部により前記ユーザー機器から受信した前記ユーザー機器の識別情報、製造情報及び位置情報を含む被管理情報と、前記外部通信部により前記情報記憶装置から受信した前記他の被管理情報とを、互いに関連付けて登録する処理を実行する、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としない家電機器などのユーザー機器の被管理情報を管理する管理装置、通信システム、管理方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット(IPネットワーク)を介した通信を可能にする通信部を家電機器に搭載し、家電機器でインターネットを介した通信を可能にしたスマート家電が知られている。例えば、特許文献1には、家電機器である洗濯機を、家庭に設置された無線LANアクセスポイントを介してインターネットに接続し、インターネットを介して洗濯機からサーバ(管理装置)にデータを送信する通信システムが開示されている。この通信システムでは、洗濯機のモーター実働率データ、電力データ、温度データ等の診断データ(被管理情報)がサーバ(管理装置)へ伝送され、サーバで管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスマート家電では、インターネットを介して洗濯機などの家電機器と管理装置との間で通信できるように、家電機器を使用するユーザー自身が、インターネットに接続するための当該機器に対する初期設定作業や無線LANアクセスポイント等の通信中継機器に対する初期設定作業などを行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る管理装置は、機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器の被管理情報を管理する管理装置であって、割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行される移動通信部を搭載した前記ユーザー機器の当該移動通信部との間で、前記移動通信網を介して通信する機器通信部と、前記機器通信部により受信した前記ユーザー機器の被管理情報を用いた処理を実行する処理部と、を有する。
前記管理装置において、前記機器通信部は、前記移動通信網を介して低消費電力広域通信により前記ユーザー機器の前記移動通信部と通信してもよい。
また、前記管理装置において、前記低消費電力広域通信は、IP(Internet Protocol)を用いずに通信を行う非IP通信であってもよい。
また、前記管理装置において、前記非IP通信は、NIDD(Non-IP Data Delivery)に準拠する通信であってもよい。
また、前記管理装置において、前記被管理情報は、前記ユーザー機器の識別情報、機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、前記セルラー方式の移動通信で取得可能な位置情報の少なくとも1つの情報を含んでもよい。
また、前記管理装置において、前記機器通信部は、前記ユーザー機器の制御情報を該ユーザー機器へ送信してもよい。
また、前記管理装置において、外部の情報記憶装置と通信可能な外部通信部を有してもよく、前記処理部は、前記ユーザー機器の被管理情報に基づいて、該ユーザー機器に関する他の被管理情報を前記外部通信部により前記情報記憶装置から取得する処理を実行してもよい。
また、前記管理装置において、前記他の被管理情報は、前記ユーザー機器のユーザー情報を含んでもよい。
また、前記管理装置において、外部の情報提供先装置と通信可能な外部通信部を有してもよく、前記処理部は、前記被管理情報を前記外部通信部により前記情報提供先装置へ送信する処理を実行してもよい。
【0006】
また、本発明の他の態様に係る通信システムは、機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器に通信部を搭載し、該ユーザー機器と管理装置との間を通信可能に接続した通信システムであって、前記ユーザー機器の前記通信部は、割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行され、前記移動通信網を介して前記管理装置と通信可能な移動通信部であり、前記管理装置は、上述した管理装置である。
【0007】
また、本発明の更に他の態様に係るユーザー機器は、機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器に通信部を搭載し、管理装置との間で通信可能に構成したユーザー機器であって、前記通信部は、割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行され、前記移動通信網を介して前記管理装置と通信可能な移動通信部であり、前記ユーザー機器の被管理情報を前記管理装置へ送信する。
【0008】
また、本発明の更に他の態様に係る管理方法は、機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器に搭載された通信部と管理装置との間で通信を行い、該ユーザー機器の被管理情報を該管理装置で管理する管理方法であって、前記通信部は、割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行され、前記移動通信網を介して前記管理装置と通信可能な移動通信部であり、前記管理装置が前記ユーザー機器の前記移動通信部と移動通信網を介して通信することと、前記管理装置が前記ユーザー機器の被管理情報を前記ユーザー機器から受信することと、前記管理装置が前記ユーザー機器の被管理情報を用いた処理を実行することと、を含む。
【0009】
また、本発明の更に他の態様に係るプログラムは、機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器の被管理情報を管理する管理装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、割り当てられたセルラー方式の移動通信における端末識別情報に基づいて移動通信網に対する自動接続処理が実行される移動通信部を搭載した前記ユーザー機器の当該移動通信部との間で、前記移動通信網を介して通信する機器通信部、及び、前記機器通信部により受信した前記ユーザー機器の被管理情報を用いた処理を実行する処理部として、前記コンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザーによる初期設定作業を必要とせずに、ユーザーが使用するユーザー機器と管理装置との間の通信を確立して、管理装置により当該機器の被管理情報を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る通信システムの概略構成の一例を示す説明図。
【
図2】同通信システムのより詳細な構成を示す説明図。
【
図3】同通信システムにおいて、家電製品に関わる被管理情報を管理サーバの管理DBに登録するための処理の流れを示すシーケンス図。
【
図4】同通信システムにおいて、管理サーバから家電製品へ制御情報を送信するための処理の流れを示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態における情報の管理対象は、機器本来の機能に外部との通信ネットワークを介した通信を必要としないユーザー機器である。ユーザー機器としては、例えば、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、エアコン、照明器具、時計等の家電製品(ホームアプライアンス)、キャッシュレジスター、商品保管庫等の店舗機器、電卓、シュレッダー等のオフィス機器、自動車等の移動体に搭載される車載機器などが挙げられる。なお、移動体は、自動車等のように地上を移動する移動体でもよいし、ドローンなどの空中を移動する移動体でもよいし、海などの水上を移動する船舶等の移動体であってもよい。また、移動体は、四輪以上の車両、三輪車(トライスクル)、二輪車(バイク、自転車)、トラック、バス、自家用車、事業用車両などの車両であってもよい。
【0013】
本実施形態では、ユーザー機器として家庭に置かれる家電製品を例に挙げ、その家電製品に搭載される移動通信部と移動通信網を介して管理装置が通信し、当該家電製品の被管理情報を管理する通信システムについて説明する。本実施形態の通信システムは、セルラー方式の移動通信網を介して複数の家電製品の被管理情報を集めて管理するプラットフォーム(例えば、家電製品とセルラー方式のIoT通信モジュール(例えば、NIDD通信モジュール)とが連携した「家電IoT連携プラットフォーム」)を構築することができる。
【0014】
図1は、本実施形態に係る通信システムの概略構成の一例を示す説明図である。
本実施形態の通信システムは、主に、1又は2以上の家電製品10A,10B(以下、特に区別しない場合には「家電製品10」ともいう。)と、管理サーバ100とから構成される。本実施形態の家電製品10には、管理サーバ100と移動通信網1を介して通信するための移動通信部が搭載されている。家電製品10は、移動通信部により、移動通信網1を介して、当該家電製品10内に保存されている被管理情報を管理サーバ100へ送信したり、管理サーバ100から制御情報を受信して家電製品10の制御に用いたりすることができる。
【0015】
本実施形態において、管理サーバ100が移動通信網1を介して家電製品10A,10Bから受信して管理する被管理情報は、家電製品10A,10Bに保存される情報であれば、特に制限はない。被管理情報の具体例としては、家電製品10A,10Bの識別情報(個々の製品固有のシリアル番号、プロダクト番号等の識別情報)、機器製造情報(製品の種別、製造時期、型番、ロットナンバーなど)、機器状態情報(稼働状態(稼働中又は休止中等)、電源状態(電源ON又は電源OFF)、異常の有無など)、故障種別情報(故障の種別、故障の原因箇所、故障の度合など)、移動通信で取得可能な位置情報(移動通信部が接続している移動通信網1の基地局を識別する基地局識別情報など)等が挙げられる。
【0016】
また、本通信システムの管理サーバ100は、IPネットワーク2を介して、外部の情報記憶装置から家電製品10A,10Bに関する他の被管理情報を受信したり、外部の情報提供先装置へ家電製品10A,10Bの被管理情報を提供したりすることができる。情報記憶装置は、家電製品10A,10Bに関する情報を記憶していて管理サーバ100と通信可能な外部装置であれば、特に限定されることはない。また、情報提供先装置は、管理サーバ100で管理される家電製品10A,10Bの被管理情報(情報記憶装置から取得される前記他の被管理情報を含む。)を要求していて管理サーバ100と通信可能な外部装置であれば、特に限定されることはない。
【0017】
本実施形態では、前記情報記憶装置として、家電製品10Aの販売元である製品販売業者の顧客管理サーバ200を一例に挙げている。この例において、前記他の被管理情報としては、例えば、家電製品10Aを購入したユーザーに関する製品販売業者所有のユーザー情報が挙げられる。ユーザー情報には、例えば、家電製品10Aを購入したユーザーの氏名、住所、連絡先、購入履歴などの個人情報、ユーザーの年齢や性別などの属性情報、その他のユーザーに関わる情報が含まれる。もちろん、このようなユーザー情報以外に、家電製品10Aに関するその他の情報も、他の被管理情報として使用できる。
【0018】
本実施形態では、前記情報提供先装置として、家電製品10Aの保守、メンテナンスを行う保守業者が使用するパソコンやタブレット端末等の端末装置であるカスタマーサービス端末(CS端末)300を一例に挙げている。この例において、CS端末300に提供される被管理情報としては、例えば、ユーザーから修理依頼を受けた家電製品10Aについての機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、移動通信で取得可能な位置情報、ユーザー情報等が挙げられる。修理依頼を受けた保守業者は、例えば、機器製造情報に基づいて故障原因が既知のものかどうかを判断したり、機器状態情報に基づいて故障ではなくユーザーの操作ミス(電源の入れ忘れ等)であるかどうかを判断したり、故障種別情報に基づいて現場に行く前に故障原因を特定して必要な交換部品などを準備したり、位置情報に基づいて最寄りの修理作業者を選定して派遣したり、ユーザー情報に基づいてユーザーの年齢、性別などの属性情報を確認したりすることができる。
【0019】
また、本実施形態では、前記情報提供先装置として、家電製品10A,10Bを製造した製造業者(メーカー)が使用するパソコンやタブレット端末等の端末装置であるメーカー端末400を一例に挙げている。この例において、メーカー端末400に提供される被管理情報としては、例えば、当該製造業者が製造した家電製品10A,10Bについての機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報、ユーザー情報等が挙げられる。製造業者は、例えば、機器製造情報に基づいて故障が多い製造工場や製造時期を分析したり、機器状態情報に基づいて実際の製品稼働率を把握したり、故障種別情報に基づいて故障の発生原因を分析したり、位置情報に基づいて製品の地域分布を把握したり、ユーザー情報に基づいてユーザーの年齢、性別などの属性情報を確認したりすることができる。
【0020】
また、本実施形態では、前記情報提供先装置として、家電製品10A,10Bをユーザーから買い取った中古販売業者あるいは個人間売買等の売買仲介業者の業者サーバ500を一例に挙げている。この例において、業者サーバ500に提供される被管理情報としては、例えば、中古販売業者や売買仲介業者の取引対象となる家電製品10A,10Bについての識別情報やユーザー情報等が挙げられる。業者は、例えば、識別情報に基づいて正規品であるかどうかを判断したり、ユーザー情報に基づいて購入時期や購入店を確認して家電製品10A,10Bの保証期間や保証内容を確認したりすることができる。
【0021】
図2は、本実施形態の通信システムのより詳細な構成を示す説明図である。
本実施形態の通信システムを構成する移動通信網1は、主に、家電製品10A,10Bと無線通信する1又は2以上の基地局20と、MME(Mobility Management Entity)40と、SCEF(Service Capability Exposure Function)50とを含む。管理サーバ100は、SCEF50と通信を行うためのSCS(Service Capability Server)120を含んでいる。
【0022】
基地局20、MME40、SCEF50などの移動通信網1内の設備は、例えば、移動通信網1の移動通信事業者によって管理運営してもよい。
図2には、管理サーバ100が移動通信網1内の設備として図示してあるが、移動通信網1外の設備であってもよい。また、
図2では、図示の都合上、家電製品10を2台だけ示しているが、家電製品10は3台以上であってもよい。
【0023】
本実施形態の家電製品10は、いずれも、少なくとも移動通信部12及び制御部13を有し、その家電製品10の機能に応じて、表示部11、動作部14、操作部15を備える。例えば、家電製品10が洗濯機であれば、表示部11として表示パネル等を備え、動作部14として、マイコンなどの制御プロセッサ、洗濯槽を駆動するモータ、給水弁や排水弁等を備え、操作部15として操作ボタン等を備える。また、家電製品10が掃除機であれば、表示部11として表示ランプ等を備え、動作部14として制御プロセッサや吸引モータ等を備え、操作部15として操作ボタン等を備える。また、家電製品10が冷蔵庫であれば、例えば表示部11を備えておらず、動作部14として制御プロセッサやコンプレッサ等を備え、操作部15として操作ボタン等を備える。
【0024】
表示部11は、家電製品10の種類等によって異なるものの、例えばランプのように点灯、点滅するような表示部であってもよいし、液晶ディスプレイのように画像を表示する表示部であってもよい。また、家電製品10の種類等によっては、表示部11が備わっていなくてもよい。
【0025】
移動通信部12は、移動局とも呼ばれる移動通信用の通信部であり、移動通信網1を介して通信する通信手段として機能し、例えばシンセサイザ、周波数変換器、高周波増幅器などにより構成され、移動体通信網の基地局20との間で無線通信するための高周波信号処理を実行する。この移動通信部12は、例えば通信モジュールとして構成される。家電製品10A,10Bは、当該移動通信部12により、所定の無線通信方式で基地局20と無線通信を行い、移動通信網1側に接続することができ、移動通信網1を介して低消費電力広域通信技術であるLPWA(Low Power、Wide Area)通信技術に属する例えばNIDD(Non-IP Data Delivery)通信方式による通信を行うことができる。
【0026】
移動通信部12は、Cat.MやCat.NBなどのLPWA通信技術に属する他の通信方式を採用してもよい。なお、Cat.Mは、3GPPのCat.M、Cat.M1、LTE-M又はeMTCの仕様に準拠した無線通信方式であり、周波数帯域幅が例えば1.4MHzに制限され、約15dBのカバレッジ拡張及び1Mbps(上り)の最大通信速度(スループット)をサポートしている。また、Cat.NBは、3GPPのCat.NB又はNB-IoTの仕様に準拠した無線通信方式であり、周波数帯域幅が例えば200kHzの狭帯域に制限され、約23dBのカバレッジ拡張及び63kbps(上り)の最大通信速度(スループット)をサポートしている。
【0027】
移動通信部12は、通常の移動局のように、移動通信網1を介してIP(Internet Protocol)を用いた通信をする機能が備わっていてもよい。しかしながら、この場合、IP通信用の処理モジュールを実装する必要があり、移動通信部12の部品コストや製造コストが増大する。本実施形態の移動通信部12は、市場に出回る大量の家電製品10に搭載されるため、本実施形態の移動通信部12としては、上述したLPWA通信技術に属するNIDD通信方式の通信に必要十分な機能だけを備え、この通信に必要のないIP通信などの他の機能を排除したものが、コスト面で好ましい。
【0028】
この結果、本実施形態では、家電製品10と管理サーバ100との間の通信は、NIDD通信方式による通信に限られるため、一度に情報のやりとりができるデータ量が少なく、また情報のやりとりの頻度が小さい。そのため、家電製品10から管理サーバ100へ送信される被管理情報としては、上述した家電製品の識別情報、機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報などのように、データ量の少ない情報が選定される。同様に、管理サーバ100から家電製品10へ送信される制御情報も、少ないデータ量で制御可能な範囲の制御情報が選定され、例えばリセット制御信号、ファームウェアの更新データなどが挙げられる。
【0029】
なお、家電製品の位置情報は、NIDD通信方式において規格されている「Monitoring Event API」を用いることにより、家電製品にGNSS(Global Navigation Satellite System)装置などの測位装置を搭載することなく、家電製品の位置を把握することが可能である。このAPIは、移動通信網側で管理している基地局情報(ECGI等)やアクティブ状態などを管理サーバ100側に送信可能であるため、事前に家電製品の通信モジュールの生存状況や接続エリアなどの把握が可能となり、管理サーバ100側でより詳細に状態把握が可能である。
【0030】
また、NIDD通信方式であれば、家電製品に搭載されている通信モジュールに手を加えることなく、管理サーバ100からのデータ送信先を変更することも可能となっているため、データ収集を行うプラットフォーム側のメンテナンスが容易な構成となる。
【0031】
制御部13は、家電製品10A,10Bの動作を制御するものである。制御部13は、家電製品10の種類等によって異なるものの、例えば、MPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)、RAM、ROM等を備える。制御部13は、所定のファームウェア等のプログラムを実行することで、例えば、被管理情報を移動通信部12から移動通信網1を介して管理サーバ100へ送信したり、管理サーバ100から移動通信網1を介して移動通信部12で受信した制御情報に基づいて表示部11や動作部14などを制御する。
【0032】
動作部14は、家電製品10A,10Bの動作をする部分であり、特に、制御部13が故障や異常を検知することのできる動作部分を含む。動作部14には、物理的に駆動する駆動部分のほか、マイコンなどの制御プロセッサのような回路部分なども含まれる。なお、家電製品10の種類等によっては、動作部14を含まないものも考えられる。
【0033】
操作部15は、ユーザー等の操作を受け付けるものであり、表示部11に組み込まれるタッチパネルであってもよいし、各種の操作キー、操作スイッチ、操作ボタンなどであってもよい。なお、家電製品10の種類等によっては、操作部15を含まないものも考えられる。
【0034】
また、基地局20は、無線アクセス網(RAN)を構成し、例えば、eNodeBやgNodeB等とも呼ばれたり、自局が形成するセルのサイズによりマクロセル基地局やスモールセル基地局などと呼ばれたりする。基地局20は、例えば、無線信号の送受信をする無線部(RRH)と、デジタルベースバンド信号処理を行うベースバンド部(BBU)を備える。RRHは、例えば、BBUから受信したデジタルベースバンド信号をRF信号に変換し、所定の信号レベルに電力増幅して家電製品10A,10Bに送信する。また、RRHは、家電製品10A,10Bの移動通信部12から受信したRF信号をデジタルベースバンド信号に変換し、BBUへ送信する。
【0035】
移動通信網1に含まれるコアネットワークは、例えばLTE/LTE-AdvancedにおいてEPC(Evolved Packet Core)とも呼ばれ、所定の通信インターフェースを介して基地局20が接続される。コアネットワークは、MME40、SCEF50等の各種ノードも有している。コアネットワークは、PCRF(Policy and Charging Rules Function)等の他のノードを有していてもよい。
【0036】
MME40は、基地局20を収容して無線通信ネットワーク制御、モビリティ制御、ハンドオーバ制御、ユーザー認証制御等を行うノードである。MME40は、ユーザー登録情報に基づいて、基地局20を介して送信されてきたデータを、後述のNIDDのデータ転送を行うSCEF50に転送したり、SCEF50から送られてきた家電製品10A,10B宛のデータや受信要求などの情報を基地局20に転送したりする。また、MME40は、家電製品10A,10B及び基地局20のそれぞれについて通信ログ情報及び通信制御パラメータ等の情報を収集して格納する機能を有する。
【0037】
SCEF50は、3GPPの通信サービスの一部をサードパーティのアプリケーションプロバイダーに提供するためのインターフェースを有するノードである。SCEF50は、後述のNIDDによる家電製品10A,10Bとの間のデータ送受信の転送処理を行う。SCEF50は、NIDDによる家電製品10A,10Bとのデータ送受信に対する課金用の通信利用データ(例えばCDR)を作成してもよい。
【0038】
また、本実施形態において、家電製品10A,10Bが所定のデータ通信タイミングでデータ通信する定期通信のデータ通信タイミングを知らせる通知などの情報は、例えば、制御チャネルにより家電製品10A,10BからSCEF50に通知される。
【0039】
また、家電製品10A,10Bの移動通信部12は、電力消費を低減するために着信待ち受け時に一部回路への電源供給を休止してスリープ状態にしておいてもよい。家電製品10A,10Bの移動通信部12は、前記着信待ち受け時に後述する受信要求を受信し、その受信をトリガーとして全体回路への電源供給を行い、所定のアプリケーションを起動して受信対象のデータ(管理サーバ100からの制御情報など)を受信し、データ受信が完了したらスリープ状態に戻るように制御してもよい。
【0040】
また、本実施形態において、家電製品10A,10Bとの通信状況を示す通信状況情報は、家電製品10A,10Bや基地局20からMME40を介してSCEF50に転送される。通信状況情報は、例えば、家電製品10A,10B及び基地局20の通信ログ情報及び通信制御パラメータ等の情報、家電製品10A,10Bの移動通信部12に設定されているデータ通信タイミングの設定情報などである。
【0041】
本実施形態の通信システムを構成する通信システムは、NIDD(Non-IP Data Delivery)をサポートしている。NIDDは、3GPPの標準規格(例えば、TS23.401 V15.4.0(2018-06),TS23.682 V15.5.0(2018-06)参照)で定義された機能であり、IPを用いずに通信を行う非IP通信であるため、家電製品10A,10B等の各種デバイスに搭載される移動通信部12がIPスタックの操作やIPアドレスの取得を行うことなくデータ転送が可能になる機能である。このNIDDを利用することにより、IPを用いるIPネットワークからの攻撃が少なくセキュアなデータ転送が可能になるとともに、移動通信網1において同じ情報量を転送するための伝送データ量が少なくて済む。
【0042】
移動通信網1におけるデータ処理の負荷を軽減するため、移動通信網1におけるデータ処理の一部を行うMEC(Mobile Edge Computing)サーバを、基地局20の内部又は近傍に設けてもよい。MECサーバは、例えば、そのサーバに対応する基地局20のセルに在圏する家電製品10A,10Bへのデータ送信タイミングを管理する機能を有してもよい。
【0043】
また、本実施形態の通信システムは、家電製品10A,10BがIoT通信モードで通信できるようにカテゴリーM1(eMTC)及びカテゴリーNB1(NB-IoT)のカバレッジ拡張(CE)をサポートしている。
【0044】
IoT通信モードは、基地局20との間でIoT用通信を行う通信モードであり、例えばLTE-Advanced ProのeMTC若しくはNB-IoTの標準規格(非特許文献1参照)に準拠した通信モード、又は、第5世代の移動通信で提案されている大規模マシンタイプ通信(5GのmMTC:massive Machine-Type Communications)の通信モードである。
【0045】
なお、広帯域通信モードは、IoT通信モードで通信可能なIoT通信エリアよりも狭い広帯域通信エリアにおいて基地局20との間で広帯域の通信を行う通信モードであり、例えば移動通信の第3世代(3G)、LTE、LTE-Advanced若しくはLTE-Advanced Proの標準規格に準拠する通信モード、又は、第5世代の移動通信で提案されている新しい無線アクセス技術(5G(New Radio))の通信モードである。
【0046】
第5世代等の次世代の移動通信においてけるNIDDを利用するの場合、例えば、上述したSCEF50の代わりにNEF(Network Exposure Function)を用いが上述したSCEF50の代わりとなり、上述したSCS120や顧客管理サーバ200等のAS(Application Server)の代わりにAF(Application Function)を用いるように構成してもよい。が上述したSCS120や顧客管理サーバ200等のAS(Application Server)の代わりとなる。
【0047】
本実施形態の家電製品10A,10Bを含む通信システムとしては、広帯域通信モード及びIoT通信モードの両方に対応しているものであってもよいし、IoT通信モードのみに対応しているものであってもよい。
【0048】
また、本実施形態の通信システムでは、管理サーバ100から家電製品10A,10Bの移動通信部12へのデータ送信をプッシュ通信(移動通信部12がデータの取得要求を送信することなく当該データを受信する通信方式)によって行うことができる。このようなプッシュ通信によれば、管理サーバ100側が希望する時期に家電製品10A,10Bに制御情報を送信することが可能になる。
【0049】
ただし、家電製品10A,10Bの移動通信部12は、電力消費を低減するために、所定のデータ通信タイミングではない通信不可タイミングでは通信不可の状態になっている。そのため、通信不可タイミングで家電製品10A,10Bの移動通信部12にデータを送信(プッシュ通信)してもデータ不達となってしまう。
【0050】
この点について、本実施形態では、データ通信タイミングがSCEF50等によって管理されているので、通信不可タイミングに管理サーバ100から家電製品10A,10Bの移動通信部12へのデータ送信(プッシュ通信)があった場合、当該データをSCEF50が一時的に保持する。そして、所定のデータ通信タイミングになったタイミングで、SCEF50が家電製品10A,10Bの移動通信部12へ当該データを送信する。
【0051】
また、所定のデータ通信タイミングであっても、家電製品10A,10Bの電源が落とされているなど、家電製品10A,10Bの移動通信部12が基地局20との間で通信できない状況になっている場合には、データ不達となってしまう。このような場合、本実施形態では、MME40が家電製品10A,10Bの移動通信部12と基地局20との通信状況を監視しているので、当該移動通信部12へのデータ送信があった場合、MME40は当該移動通信部12とは通信できない状況であることをSCEF50へ通知する。これにより、SCEF50は、当該データを一時的に保持しておき、当該移動通信部12との通信が可能な状況になった旨の通知がMME40から受けたら、当該データをMME40を介して家電製品10A,10Bの移動通信部12へ送信する。
【0052】
次に、本実施形態の管理サーバ100の構成について説明する。
管理サーバ100は、本通信システムに属する各家電製品10A,10Bの移動通信部12から送信される被管理情報を移動通信網1を介して受信し、これを管理、処理する管理装置としての機能を有する。管理サーバ100は、
図2に示すように、制御部110と、SCS120と、管理データベース(DB)130と、IP用I/F140とを備えている。
【0053】
制御部110は、管理サーバ100が担う機能を発揮させるための各種制御、データ処理を実行する。具体的には、制御部110は、例えば、家電製品10A,10Bの移動通信部12からNIDD通信方式により送信されてくる被管理情報をSCS120を介して取得し、取得した被管理情報(製品識別情報、機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報など)を管理DB130に保存して管理する処理を実行する。
【0054】
また、制御部110は、製品販売業者の顧客管理サーバ200に対し、家電製品10A,10Bからの被管理情報に基づいて、該家電製品10A,10Bに関わる他の被管理情報(ユーザー情報等)の取得要求をIP用I/F140から送信する処理を行う。そして、この取得要求に対する応答として、顧客管理サーバ200から送信される他の被管理情報をIP用I/F140により受信したら、当該他の被管理情報(ユーザー情報等)を、家電製品10A,10Bからの被管理情報と関連づけて、管理DB130に保存して管理する処理を実行する。
【0055】
また、制御部110は、保守業者のCS端末300から送信される被管理情報の取得要求をIP用I/F140により受信したら、当該取得要求に係る被管理情報(製品識別情報、機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報、ユーザー情報等)を管理DB130から読み出し、IP用I/F140によりCS端末300へ送信する処理を行う。
【0056】
また、制御部110は、製造業者のメーカー端末400から送信される被管理情報の取得要求をIP用I/F140により受信したら、当該取得要求に係る被管理情報(製品識別情報、機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報、ユーザー情報等)を管理DB130から読み出し、IP用I/F140によりメーカー端末400へ送信する処理を行う。
【0057】
また、制御部110は、中古販売業者や売買仲介業者の業者サーバ500から送信される被管理情報の取得要求をIP用I/F140により受信したら、当該取得要求に係る被管理情報(製品識別情報、機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報、ユーザー情報等)を管理DB130から読み出し、IP用I/F140により業者サーバ500へ送信する処理を行う。
【0058】
なお、家電製品10A,10Bから送信される被管理情報や家電製品10A,10Bへ送信される制御情報は、高いセキュリティ性が望まれるため、高いセキュリティ性を備えたNIDD通信方式を用いることは有効である。本実施形態の通信システムがサポートしているNIDD通信方式は、上述のとおり、IPを使わないIPアドレス不要の通信技術であるため、一般的なIP通信方式による悪意ある攻撃を受けるリスクが低く、セキュアな通信が可能である。また、このように、NIDD通信方式を利用することにより、暗号化通信などの他のセキュリティ対策を取らなくても十分なセキュリティ性を確保できることから、他の通信方式においてセキュリティ対策のために必要な分のデータ量を削減でき、同じ情報量を転送するための伝送データ量が少なくて済む。
【0059】
SCS120は、SCEF50との間で通信を行うためのインターフェースである。管理サーバ100とSCEF50との間は、IPを用いない非IP通信方式で接続される必要はないが、IP通信方式により接続する場合には、プライベートIPを用いたり専用線を用いたりして十分なセキュリティを確保することが望ましい。
【0060】
管理DB130は、制御部110で実行されるデータ処理に利用される各種情報が登録されるデータベースである。管理DB130には、例えば、家電製品10A,10Bから送信される被管理情報や製品販売業者の顧客管理サーバ200から送信される他の被管理情報を互いに関連づけて記憶される。
【0061】
IP用I/F140は、主に、製品販売業者の顧客管理サーバ200、保守業者のCS端末300、製造業者のメーカー端末400、中古販売業者や売買仲介業者の業者サーバ500などの外部装置との間で通信を行うためのインターフェースである。これらの外部装置200,300,400,500と管理サーバ100との間は、IPを用いて通信するIP通信方式により接続されているが、十分なセキュリティを確保することが望まれる。そのため、例えば、クライアント証明書により通信が許可されている外部装置200,300,400,500のみが管理サーバ100と通信できるように認証を行うとともに、SSL(Secure Sockets Layer)による暗号化通信を行うなどして、十分なセキュリティ性を確保している。
【0062】
次に、本通信システムにおいて、家電製品10A,10Bに関わる被管理情報を管理サーバ100の管理DB130に登録する処理について説明する。
図3は、本実施形態の通信システムにおいて、家電製品10A,10Bに関わる被管理情報を管理サーバ100の管理DB130に登録するための処理の流れを示すシーケンス図である。
本実施形態において、家電製品10A,10Bに関わる被管理情報を管理サーバ100の管理DB130に登録する処理は、本通信システムに家電製品10A,10Bを登録するための認証処理を行うデバイス認証ステップ(S100)と、に関わる被管理情報を管理サーバ100の管理DB130に登録するDB登録ステップ(S200)とに、大別できる。
【0063】
デバイス認証ステップ(S100)では、ユーザーが製品販売業者から家電製品10A,10Bを購入し(
図1のステップ(1))、その家電製品10A,10Bをユーザーの家庭に設置して電源を投入すると、家電製品10A,10Bの移動通信部12は、予め自身に割り当てられている端末識別情報であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)情報を、基地局20を介してMME40に通知する(S101,S102)。MME40は、このIMSIが認証されたものであるかどうかを確認するための認証設備に問い合わせを行って認証処理を行う(S103)。
【0064】
ここで、この認証処理の前に、管理サーバ100は、事前に、SCEF50を介して当該家電製品10A,10Bの移動通信部12との間でNIDD通信方式での通信を行うためのリソースを生成する。このとき、SCEF50は、認証設備に対し、External-ID(以下「E-ID」という。)の認証要求を出し、認証設備は、この認証要求の応答として、当該認証処理に係るIMSIをSCEF50に返す。これにより、SCEF50は、デバイス認証ステップの認証対象である家電製品10A,10Bの移動通信部12に対応する当該IMSIと、SCEF50と管理サーバ100との間の通信に用いられるE-IDとの対応付けを行う処理を実行し、当該対応付けを保持する。
【0065】
認証設備は、この事前の処理により、SCEF50にIMSIとE-IDとの対応付けがなされたIMSI、すなわち、本通信システムの家電製品10A,10Bとして利用可能なIMSIが登録されている。したがって、家電製品10A,10Bの移動通信部12からIMSIの通知を受けたMME40は、認証設備に問い合わせることで、このIMSIが本通信システムの表示デバイスのIMSIであるかどうかの認証を行うことができる。
【0066】
MME40は、家電製品10A,10BのIMSIの認証処理を終えたら、NIDD通信方式によるセッション生成要求をSCEF50へ送信する(S104)。これにより、SCEF50は、事前に対応づけておいた当該IMSIとE-IDとの対応付け処理を管理サーバ100との間で実行する(S105)。これにより、管理サーバ100は、当該家電製品10A,10Bの移動通信部12に対し、SCEF50を介してデータの通信を行うことが可能となる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、ユーザーが家電製品10A,10Bに電源を投入するだけで、家電製品10A,10Bの移動通信部12と移動通信網1との間の自動接続処理が実行され、管理サーバ100と家電製品10A,10Bの移動通信部12との間のNIDD通信方式による通信を確立することができる。従来のスマート家電のような家電製品では、家庭に設置された無線LANアクセスポイント等の通信中継機器を介して管理装置と通信を行う場合、家電製品と管理装置との間の通信を確立するために、ユーザー自身が家電製品に対する設定作業や家庭の通信中継機器に対する設定作業などを行わなければならなかった。これに対し、本実施形態では、ユーザーの手を煩わせることなく、家電製品10A,10Bと管理サーバ100との間の通信を確立することができるので、ユーザーの利便性が大幅に向上する。
【0068】
また、従来のスマート家電のような家電製品では、家庭に設置された無線LANアクセスポイント等の通信中継機器を介して管理装置と通信を行う場合、家電製品に対する設定作業や通信中継機器に対する設定作業をやり直さなければならない。本実施形態によれば、このような作業のやり直しをユーザーに強いるようなこともない。
【0069】
また、従来のスマート家電のような家電製品では、家庭に設置された無線LANアクセスポイント等の通信中継機器を介して管理装置と通信を行う場合、そもそも家庭に通信中継機器が設置されていないと、家電製品10A,10Bと管理サーバ100との間の通信を確立することができない。本実施形態によれば、家電製品が設置される過程に通信中継機器が無くても、家電製品10A,10Bと管理サーバ100との間の通信を確立することができる。
【0070】
しかも、従来は、ユーザーが上述した設定作業を行わない場合には、家電製品と管理装置との通信が確立されず、管理装置により当該家電製品の被管理情報を管理することができない。これに対し、本実施形態においては、ユーザーが家電製品10A,10Bを使用するために電源を投入することにより、家電製品10A,10Bと管理サーバ100との間の通信が確立されるので、市場に出回っている実質的にすべての家電製品10A,10Bの被管理情報を管理装置により管理することが可能となる。その結果、より多くの製品に係る被管理情報を収集できるので、より有用な各種情報を、保守業者のCS端末300、製造業者のメーカー端末400、中古販売業者や売買仲介業者の業者サーバ500などの情報提供先装置へ提供することができる。
【0071】
次に、DB登録ステップ(S200)について説明する。
家電製品10A,10Bは、所定のデータ通信タイミングに、被管理情報を、移動通信部12から管理サーバ100に向けて送信する(S201~S204)。これにより、家電製品10A,10Bの移動通信部12から送信される被管理情報は、NIDD通信方式により、基地局20、MME40及びSCEF50を介して、管理サーバ100へと送られる(
図1のステップ(2))。管理サーバ100は、制御部110により、家電製品10A,10Bから受信した被管理情報を管理DB130に登録する処理を実行する(S205)。
【0072】
ここで、本実施形態において、NIDD通信方式により送信される被管理情報は、制御データの送受信に利用される制御チャネルを用いて送信され、1回の送信で送信可能なデータ量が少ない。そのため、被管理情報のデータ量が多いと、被管理情報を家電製品10A,10Bへ送信するのに要する時間がかかるうえ、消費電力も多くなってしまう。そのため、家電製品10から管理サーバ100へ送信される被管理情報としては、上述した家電製品の識別情報、機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報などのように、データ量の少ない情報が選定される。
【0073】
また、管理サーバ100は、制御部110により、管理DB130に登録した家電製品10A,10Bの被管理情報(例えば製品識別情報)に基づいて、製品販売業者の顧客管理サーバ200に対し、当該家電製品10A,10Bに関わる他の被管理情報(ユーザー情報等)の取得要求をIP用I/F140から送信する処理を行う(S206)。そして、この取得要求に対する応答として、顧客管理サーバ200から送信される他の被管理情報をIP用I/F140により受信したら(S207)(
図1のステップ(3))、当該他の被管理情報(ユーザー情報等)を、家電製品10A,10Bからの被管理情報と関連づけて、管理DB130に登録する処理を実行する(S208)。
【0074】
製品販売業者の顧客管理サーバ200は、製品販売業者が販売した家電製品についてのユーザー情報などのデータベースを有している。ユーザー情報などは、例えば、製品販売業者がEC(Electronic Commerce)の業者であれば、ECサイトの利用者の登録情報により入手でき、製品販売業者が店舗販売の業者であれば、ポイントサービス等のための利用者の登録情報により入手できる。
【0075】
本実施形態によれば、管理サーバ100は、家電製品10A,10Bからは取得できない他の被管理情報(ユーザー情報など)を、製品販売業者の顧客管理サーバ200から取得して管理することができる。これにより、より多くの種類の被管理情報を収集できるので、より有用な各種情報を、保守業者のCS端末300、製造業者のメーカー端末400、中古販売業者や売買仲介業者の業者サーバ500などの情報提供先装置へ提供することができる。
【0076】
次に、本通信システムにおいて、管理サーバ100から家電製品10A,10Bへ制御情報を送信する処理について説明する。
図4は、本実施形態の通信システムにおいて、管理サーバ100から家電製品10A,10Bへ制御情報を送信するための処理の流れを示すシーケンス図である。
本実施形態においては、例えば、製造業者から提供されるファームウェアの更新データなどの制御情報を管理サーバ100から家電製品10A,10Bへ送信する。この場合、管理サーバ100は、制御部110により、製造業者から提供される制御情報を家電製品10A,10Bへ送信するための処理を行う(S301)。これにより、管理サーバ100は、制御部110が管理DB130を参照して、当該制御情報の送信先となる家電製品10A,10Bの移動通信部12に対し、当該制御情報をSCS120からSCEF50へ送信する(S302)。
【0077】
SCEF50は、管理サーバ100から受信した制御情報を、家電製品10A,10Bの移動通信部12との間でデータ通信可能な所定のデータ通信タイミングに、当該家電製品10A,10Bに向けて送信する(S303~S306)。これにより、SCEF50から送信される制御情報は、NIDD通信方式により、MME40及び基地局20を介して、家電製品10A,10Bの移動通信部12へと送られる(
図1のステップ(4))。
【0078】
制御情報が家電製品10A,10Bの移動通信部12に受信されると、制御部13は、制御情報に含まれる更新データに基づき、ファームウェアの更新処理を実行する(S307)。これにより、家電製品10A,10Bのファームウェアが更新され、機能向上、不具合の改善などがなされる。
【0079】
本実施形態によれば、ユーザーの手を煩わせることなく、家電製品10A,10Bと管理サーバ100との間の通信を確立することができるので、上述したように市場に出回っている実質的にすべての家電製品10A,10Bに対して、ファームウェアの更新データ等の制御情報を送ることが可能となる。しかも、家電製品10A,10Bの識別情報や機器製造情報などから、市場に出回っている個々の家電製品の型番やロットナンバー等を把握できることから、それぞれの家電製品に対してそれぞれに適切な更新データ等の制御情報を送ることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、家電製品10A,10Bの家電製品10A,10Bの位置情報やユーザー情報などに基づき、市場に出回っている家電製品の地域ごとやユーザー属性ごとに、それぞれに適した新規設定、設定変更、設定削除などの家電製品の制御を動的に実施することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、宿泊施設等において大量の家電製品を一括して導入し、これらの家電製品の設定やメンテナンスを行う場合に、宿泊施設等のユーザーに手間をかけさせることなく、大量の家電製品に対して一括した設定作業、設定変更作業、メンテナンス作業などを行うことができる。
【0082】
なお、NIDD通信方式以外のLPWA通信技術の通信方式を利用してもよいが、高いセキュリティ性が望まれる被管理情報や制御情報の通信に用いるので、本実施形態のようにセキュリティ性の高いNIDD通信方式を採用することが好ましい。
【0083】
次に、本通信システムにより管理サーバ100で管理される被管理情報を保守業者に提供する処理について説明する。
ユーザーが購入した家電製品10Aが故障した場合、ユーザーは保守業者へ連絡して修理を依頼する(
図1のステップ(5))。この修理依頼を受けた保守業者は、CS端末300から、当該ユーザーの家電製品10Aに関する被管理情報の取得要求を管理サーバ100へ送信する。そして、この取得要求に対する応答として、管理サーバ100から送信される家電製品10Aについての機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、移動通信で取得可能な位置情報、ユーザー情報等の被管理情報をCS端末300で受信する(
図1のステップ(6))。
【0084】
保守業者は、CS端末300で受信した被管理情報に基づき、家電製品10の修理を含む保守サービスを提供することができる(
図1のステップ(7))。例えば、保守業者は、家電製品10Aの機器製造情報に基づいて、過去の同種の製品についての故障履歴情報などと照らし合わせて、家電製品10Aの故障原因が既知のものかどうかを確認することができる。これにより、既知の故障原因であれば、過去の修理履歴情報に基づいて、家電製品10Aに対する迅速かつ適切な修理が可能となる。
【0085】
また、保守業者は、例えば、家電製品10Aの機器状態情報を確認することで、故障ではなくユーザーの操作ミス(電源の入れ忘れ等)であるかどうかを判断することができる。
【0086】
また、保守業者は、例えば、家電製品10Aの故障種別情報に基づいて、家電製品10Aの故障の症状、故障箇所、故障部品などを特定することが可能となる。これにより、家電製品10Aの場所に行く前に、予め必要な交換部品や必要な工具などを準備することができ、1回の訪問で家電製品10Aの修理を完了することができる。
【0087】
また、従来は、家電製品10Aの故障の目視確認や故障コードの確認などをユーザー自身が行って保守業者へ連絡する場合がある。この場合、ユーザーから連絡される情報が不正確であることが多く、家電製品10Aの状態を保守業者が正確に把握することが難しい。本実施形態によれば、管理サーバ100から提供される家電製品10Aの機器状態情報や故障種別情報により、ユーザーを介さずに家電製品10Aの状態を保守業者が確認できるようになるので、家電製品10Aの正確な状態を保守業者が正確に把握することが可能となる。また、ユーザーの手間も減るので、ユーザーの利便性の向上にもなる。
【0088】
また、ユーザー情報と機器状態情報や故障種別情報とが関連付けられることにより、これらの情報を例えば製品販売業者に提供すれば、製品販売業者は、ユーザーへの新製品の紹介などについて、より有効な販売アプローチが可能となる。
【0089】
また、保守業者は、例えば、家電製品10Aの位置情報に基づいて、家電製品10Aの設置場所を特定することができる。これにより、その設置場所に近い修理作業者を選定して家電製品10Aの修理に派遣するということも可能になる。
【0090】
なお、本実施形態では、家電製品10Aが故障した場合、ユーザーから保守業者へ修理の依頼をする例であるが、保守業者は、管理サーバ100から提供される家電製品の機器状態情報や故障種別情報を確認することで、ユーザーからの連絡が無くても、ユーザーの家電製品の故障あるいは異常を把握することが可能である。したがって、ユーザー自身が家電製品の故障や修理の連絡を保守業者に行わなくても、家電製品の修理などの保守サービスを提供することが可能となる。
【0091】
次に、本通信システムにより管理サーバ100で管理される被管理情報を製造業者に提供する処理について説明する。
家電製品10A,10Bの製造業者は、メーカー端末400から、自社の製造した家電製品10に関する被管理情報の取得要求を管理サーバ100へ送信する。そして、この取得要求に対する応答として、管理サーバ100から送信される家電製品10についての機器製造情報、機器状態情報、故障種別情報、位置情報、ユーザー情報等の被管理情報をメーカー端末400で受信する(
図1のステップ(6))。
【0092】
製造業者は、メーカー端末400で受信した被管理情報に基づき、自社の製造した製品の情報分析や統計を行うことができる(
図1のステップ(8))。例えば、製造業者は、家電製品10の機器製造情報に基づいて、ロット単位での故障等を分析したり、故障が多い製造工場や製造時期を特定したりして、製造工程の改善に役立てることができる。また、製造業者は、例えば、家電製品10の機器状態情報に基づいて、市場における実際の製品稼働率を把握することもできる。また、製造業者は、例えば、家電製品10の故障種別情報に基づいて、家電製品10の故障の発生原因を分析し、製品の改良に役立てることができる。また、製造業者は、例えば、家電製品10の位置情報に基づいて、製品の地域分布を把握し、販売促進方法の改善に役立てることができる。また、製造業者は、例えば、家電製品10のユーザー情報に基づいて、製品のユーザーの年齢、性別などの属性情報を分析し、販売促進方法の改善に役立てることができる。
【0093】
次に、本通信システムにより管理サーバ100で管理される被管理情報を、中古販売業者や売買仲介業者に提供する処理について説明する。
家電製品10A,10Bを買い取った中古販売業者や家電製品10A,10Bの売買の仲介を行う売買仲介業者は、業者サーバ500から、取引の対象に係る家電製品10A,10Bについての被管理情報の取得要求を管理サーバ100へ送信する。そして、この取得要求に対する応答として、管理サーバ100から送信される家電製品10についての識別情報やユーザー情報等の被管理情報を業者サーバ500で受信する(
図1のステップ(6))。
【0094】
中古販売業者や売買仲介業者は、業者サーバ500で受信した被管理情報に基づき、取引の対象に係る家電製品10A,10Bについての情報を確認することができる(
図1のステップ(9))。例えば、業者は、管理サーバ100から提供される家電製品10A,10Bの識別情報に基づいて、取引の対象に係る家電製品10A,10Bが正規品であるかどうかを確認することができる。また、業者は、例えば、管理サーバ100から提供される家電製品10A,10Bのユーザー情報に基づいて、家電製品10A,10Bの購入時期や購入店を確認することもできる。これにより、取引の対象に係る家電製品10A,10Bが正規のルートで入手されたものであるかどうかを判断したり、家電製品10A,10Bの保証期間や保証内容を確認したりすることができる。
【0095】
本発明は、本実施形態に例示した用途例に限らず、家電製品10等のユーザー機器に移動通信部を搭載し、その移動通信部から移動通信網を介して低消費電力広域通信により管理サーバ100等の管理装置へ送信される被管理情報を利用するものであれば、多種多様な用途のものに適用することができる。
【0096】
特に、本発明によれば、ユーザー機器の設置場所、設置状態、動作状況、不具合や故障の状態などの被管理情報を、高セキュリティを保ちつつ、ユーザに手間をかけさせることなく、管理することができるので、ユーザーや関連業者等(情報提供先)に対して、より高度なサービス(例えば、家電製品に対して高度な「Home Appliance as Service」)を提供することができる。
【0097】
他の用途例としては、例えば、ユーザー機器が盗難された場合において、ユーザー機器の位置情報に基づき、盗難されたユーザー機器の所在を確認する用途に適用することが考えられる。
【0098】
また、他の用途例としては、例えば、ユーザーが引越した場合において、ユーザー機器の位置情報に基づいて引っ越し先の地域を特定し、その地域に適応するようにユーザー機器の設定を自動変更する用途(例えば、エアコンや冷蔵庫などを、寒冷地又は熱帯地域など気候に応じて設定変更したり、地域に対応した電源設定を自動変更したりする用途)に適用することが考えられる。
【0099】
なお、本明細書で説明された処理工程並びにユーザー機器、管理装置、通信システムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0100】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、eNodeBやgNode等の各種基地局装置、移動通信部、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0101】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、前記構成要素を実現するために用いられる各部は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された前記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置や記憶装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0102】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であれよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0103】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0104】
1 :移動通信網
2 :IPネットワーク
10 :家電製品
11 :表示部
12 :移動通信部
13 :制御部
14 :動作部
15 :操作部
20 :基地局
30 :S/PGW
40 :MME
50 :SCEF
100 :管理サーバ
110 :制御部
120 :SCS
130 :管理DB
140 :IP用I/F
200 :顧客管理サーバ
300 :CS端末
400 :メーカー端末
500 :業者サーバ