(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220715BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
G06Q30/02 320
G06Q30/02 350
(21)【出願番号】P 2020162794
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】寺田 英治
(72)【発明者】
【氏名】笠原 由衣
【審査官】岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-073489(JP,A)
【文献】特開2011-242959(JP,A)
【文献】特開2018-132321(JP,A)
【文献】特開2011-014048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動履歴として、該ユーザが所定の行動をとった際の同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を蓄積する行動履歴蓄積手段と、
ユーザの現在又は未来の同行者を特定する同行者特定手段と、
前記ユーザについて
前記行動履歴蓄積手段によって蓄積された前記行動履歴から、前記同行者特定手段によって特定された前記同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を抽出する行動履歴抽出手段と、
前記ユーザに提供するためのコンテンツとして、抽出された前記行動履歴に対応するコンテンツを特定するコンテンツ特定手段と、
を備え、
前記行動履歴蓄積手段は、前記ユーザが前記所定の行動をとった際に該ユーザのユーザ端末と所定距離内に所定時間以上存在した他のユーザ端末を識別可能な情報を、前記同行者の識別情報として蓄積する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記行動履歴抽出手段によって抽出された行動履歴に係る施設又はサービスの属性を取得する属性取得手段を更に備え、
前記コンテンツ特定手段は、取得された属性と所定の関連性を有する属性を有する施設又はサービスのためのコンテンツを、前記行動履歴に対応するコンテンツとして特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コンテンツ特定手段は、前記ユーザに提供するためのコンテンツとして、該ユーザが所定以下の労力で利用可能なコンテンツを特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コンテンツ特定手段は、所定以下の労力で利用可能なコンテンツとして、前記ユーザの位置から所定距離内の場所又は所定時間内で移動可能な場所で使用可能なコンテンツを特定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記同行者特定手段は、前記ユーザのユーザ端末から取得した位置情報又は近隣端末情報に基づいて、ユーザの現在又は未来の同行者を特定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記同行者特定手段は、前記ユーザのユーザ端末から所定距離内に現在存在する他のユーザを、該ユーザの現在の同行者として特定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記同行者特定手段は、所定時間内に前記ユーザのユーザ端末と所定距離内に存在することとなると推測される他のユーザ端末のユーザを、該ユーザの未来の同行者として特定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コンテンツ特定手段によって特定された前記コンテンツを前記ユーザに対して提供するコンテンツ提供手段を更に備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記コンテンツ提供手段によって提供されるコンテンツは、前記ユーザによって使用された場合に、該ユーザの同行者についても効果を及ぼすコンテンツである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記コンテンツ提供手段によって提供されるコンテンツは特典コンテンツであり、前記ユーザによって使用された場合に、該ユーザの同行者についても特典の効果が及ぶ特典コンテンツである、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが、
ユーザの行動履歴として、該ユーザが所定の行動をとった際の同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を蓄積する行動履歴蓄積ステップと、
ユーザの現在又は未来の同行者を特定する同行者特定ステップと、
前記ユーザについて
前記行動履歴蓄積ステップで蓄積された前記行動履歴から、前記同行者特定ステップで特定された前記同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を抽出する行動履歴抽出ステップと、
前記ユーザに提供するためのコンテンツとして、抽出された前記行動履歴に対応するコンテンツを特定するコンテンツ特定ステップと、
を実行し、
前記行動履歴蓄積ステップでは、前記ユーザが前記所定の行動をとった際に該ユーザのユーザ端末と所定距離内に所定時間以上存在した他のユーザ端末を識別可能な情報を、前記同行者の識別情報として蓄積する、
方法。
【請求項12】
コンピュータを、
ユーザの行動履歴として、該ユーザが所定の行動をとった際の同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を蓄積する行動履歴蓄積手段と、
ユーザの現在又は未来の同行者を特定する同行者特定手段と、
前記ユーザについて
前記行動履歴蓄積手段によって蓄積された前記行動履歴から、前記同行者特定手段によって特定された前記同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を抽出する行動履歴抽出手段と、
前記ユーザに提供するためのコンテンツとして、抽出された前記行動履歴に対応するコンテンツを特定するコンテンツ特定手段と、
として機能させ、
前記行動履歴蓄積手段は、前記ユーザが前記所定の行動をとった際に該ユーザのユーザ端末と所定距離内に所定時間以上存在した他のユーザ端末を識別可能な情報を、前記同行者の識別情報として蓄積する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザに対して提供されるコンテンツを特定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クーポンの利用を促進させることができる情報処理装置として、ユーザのコンテキストに関する情報を取得する取得部と、取得部によって取得されたコンテキストに関する情報に応じてユーザに配信するコンテンツの有効期間を決定する決定部と、を備える情報処理装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、事前にユーザ等により登録された属性情報に基づいて電子クーポン等のコンテンツを決定し、ユーザに対して当該コンテンツを配信する配信システムが知られている。しかし、単に事前に登録された属性情報に基づいて決定されたコンテンツでは、ユーザが置かれた状況に対して適切ではないことがあり、配信されたコンテンツがユーザにとって有益とならない場合がある。
【0005】
本開示は、上記した問題に鑑み、ユーザが置かれた状況に対して適切なコンテンツを特定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例は、ユーザの現在又は未来の同行者を特定する同行者特定手段と、前記ユーザについて蓄積されている行動履歴から、前記同行者特定手段によって特定された前記同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を抽出する行動履歴抽出手段と、前記ユーザに提供するためのコンテンツとして、抽出された前記行動履歴に対応するコンテンツを特定するコンテンツ特定手段と、を備える情報処理装置である。
【0007】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピュータによって実行される方法又はコンピュータに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザが置かれた状況に対して適切なコンテンツを特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の概略を示す図である。
【
図3】実施形態に係る情報処理システムの機能構成の概略を示す図である。
【
図4】実施形態において蓄積されるユーザの行動履歴の例を示す図である。
【
図5】実施形態において管理されるユーザ状況情報のデータ形式の例を示す図である。
【
図6】実施形態においてユーザに提供されるコンテンツを管理するためのコンテンツ管理データの概要を示す図である。
【
図7】実施形態に係るコンテンツ特定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0011】
本実施形態では、本開示に係る技術を、ユーザに対してクーポン等のコンテンツを配信するためのシステムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る技術は、ユーザに対して提供されるコンテンツを特定するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。
【0012】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムは、ネットワークに接続されることで互いに通信可能なコンテンツ配信サーバ1と、1又は複数のユーザ端末9とを備える。
【0013】
図2は、本実施形態に係るシステムのハードウェア構成の概略を示す図である。コンテンツ配信サーバ1は、ユーザに対してクーポン等のコンテンツを配信するためのサーバである。コンテンツ配信サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、NIC(Network Interface Card)等の通信ユニット15、等を備えるコンピュータである。但し、コンテンツ配信サーバ1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、コンテンツ配信サーバ1は、単一の筐体からなる装置に限定されない。コンテンツ配信サーバ1は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0014】
ユーザ端末9は、ユーザによって使用される端末装置である。ユーザ端末9は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。また、ユーザ端末9は、単一の筐体からなる装置に限定されない。ユーザ端末9は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。ユーザは、これらのユーザ端末9を介してコンテンツ配信サーバ1によって提供される各種サービスを利用する。
【0015】
図3は、本実施形態に係る情報処理システムの機能構成の概略を示す図である。コンテンツ配信サーバ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、コンテンツ配信サーバ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、行動履歴蓄積部21、同行者特定部22、行動履歴抽出部23、属性取得部24、コンテンツ特定部25、コンテンツ提供部26及びコンテンツ管理データベース27を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、コンテンツ配信サーバ1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0016】
行動履歴蓄積部21は、ユーザの行動履歴として、当該ユーザが所定の行動(アクティビティ)をとった際に当該ユーザと同行していた他のユーザ(以下、「同行者」)の識別情報が関連づけられた行動履歴を蓄積する。本実施形態では、同行者の識別情報として、当該同行者のユーザ端末を識別可能な情報が用いられる。より具体的には、本実施形態において、行動履歴蓄積部21は、ユーザが所定の行動をとった際に当該ユーザのユーザ端末と所定距離(例えば、1.0メートル)内に所定時間(例えば、5から10分)以上存在した他のユーザ端末を識別可能な情報を、同行者の識別情報として蓄積する。
【0017】
図4は、本実施形態において蓄積されるユーザの行動履歴の例を示す図である。本実施形態において、行動履歴データは、ユーザID、ユーザの行動、当該行動に係る日時、当該行動に係る施設/サービス情報、当該行動の属性(カテゴリ)、及び同行者識別情報を含み、ユーザが所定の行動を取る毎に蓄積される。ここで、施設/サービス情報は、ユーザが当該行動をとった施設又はサービスを示す情報であり、例えば、飲食店や小売店等の施設、出前等の宅配サービス、ゲームや遊戯等の体験型サービス、等が含まれる。また、属性は、ユーザが当該行動をとった施設又はサービスを分類し、ユーザの興味の範囲を推測するために用いられる情報であり、店舗のカテゴリや用途、価格帯の他、出前サービスやゲーム等が含まれる。属性は、1の行動履歴データに対して複数の属性が記録されてよい。
【0018】
本実施形態において、行動履歴の蓄積のためのトリガーとなる所定の行動は、ポイント付与/利用、支払/決済、提供されたコンテンツの使用(例えば、クーポン利用)等であり、行動履歴として蓄積されるためのデータのうち、ユーザの行動、日時及び施設/サービス情報は、ユーザが所定の行動を取る際に利用する外部システム(例えば、ポイント管理システムや決済システム、提供されたコンテンツを管理するシステム)等から取得する。また、例えば、ユーザによって上記所定の行動が取られた際に、サーバ1のユーザデータベース(図示は省略する)等にユーザIDに関連付けて格納されているユーザのポイント情報や決済情報が蓄積されてもよい。ここで、決済情報とは、決済をするために必要な情報であり、例えば、クレジットカード情報、電子バリュー(例えば、電子マネー又はポイント)のアカウント情報、仮想通貨のアカウント情報、銀行口座情報、又はデビットカード情報等である。ポイント情報や決済情報は、ユーザ登録時等に登録され、例えば、サーバ1のユーザデータベースに、ユーザIDに関連付けて格納されていてもよいし、外部システムに格納されていてもよい。
【0019】
但し、本開示に係る技術においてユーザによる「行動」として捉えられ、行動履歴として記録される対象は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、施設やサービスの利用、同行者と行ったアクティビティ(レジャーやゲーム、スポーツ等の種類やカテゴリ)そのものを「行動」として捉え、ユーザの行動履歴として記録してもよい。これらの行動履歴についても、行動履歴蓄積部21は、施設やサービスを利用する際に利用される外部システムから取得することが可能である。
【0020】
外部システムからユーザの行動、日時及び施設/サービス情報が取得されると、行動履歴蓄積部21は、後述するユーザ状況情報から、該当ユーザの該当日時における同行者を特定し、特定された同行者の識別情報と併せて、行動履歴を蓄積する。また、行動履歴蓄積部21は、予め定義されている施設/サービスと属性との対応テーブル(図示は省略する)に基づいて、当該行動や施設/サービスに対応する属性を取得する。但し、属性の取得方法は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、属性は、インターネット等の広域ネットワークから収集されたデータの機械学習や、収集されたデータに基づいて行動や施設/サービスをクラスタリングする手法で取得されてもよい。また、行動履歴のデータ形式や行動履歴の蓄積単位は、本実施形態における例示に限定されない。
【0021】
同行者特定部22は、ユーザの現在の同行者を特定する。本実施形態において、同行者特定部22は、ユーザ端末から取得された位置情報又は近隣端末情報に基づいて、当該ユーザ端末から所定距離内に現在存在する他のユーザを、当該ユーザの現在の同行者として特定する。ここで、位置情報には、例えばGPS(Global Positioning System)や無線LANのアクセスポイント、携帯電話網の基地局情報等に基づいて測定された位置情報を用いることが可能であり、近隣端末情報には、ユーザ端末同士の近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))によって得られたユーザ端末識別情報を用いることが可能である。但し、同行者を特定するために採用される具体的な手法は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、同行者は、ユーザによって予め登録されたスケジュールやユーザから共有された通信データの内容を解析すること等の方法で特定されてもよい。
【0022】
図5は、本実施形態において管理されるユーザ状況情報のデータ形式の例を示す図である。本実施形態において、同行者特定部22は、ユーザIDに関連づけてユーザの現在位置情報(具体的には、GPSで取得された座標等)、同行者識別情報及び情報取得日時を保存することで、ユーザ状況情報を管理する。このため、同行者特定部22は、ユーザ端末の位置情報が取得される都度、当該ユーザ端末のユーザIDに対応させて、ユーザ状況情報中のユーザの現在位置情報、同行者識別情報及び情報取得日時を更新する。
【0023】
但し、本実施形態において示されたユーザ状況情報の構成は、ユーザの同行者を特定するためのデータ構成の一例であり、ユーザの同行者を特定するためのデータは、
図5に示されたようなユーザ状況情報の例に限定されない。例えば、ユーザの位置情報を取得することなく、ユーザ端末同士の近距離無線通信によって得られたユーザ端末識別情報のみに基づいて同行者を特定することも可能であり、そのような手法が採用される場合、同行者識別情報及び情報取得日時のみが更新されればよく、ユーザ状況情報にユーザの位置情報は記録されなくてもよい。
【0024】
行動履歴抽出部23は、行動履歴蓄積部21によって蓄積された行動履歴から、同行者特定部22によって特定された同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を抽出する。
【0025】
属性取得部24は、行動履歴抽出部23によって抽出された行動履歴に係る施設又はサービスの属性を取得する。
【0026】
コンテンツ特定部25は、ユーザに提供するためのコンテンツとして、抽出された行動履歴に対応するコンテンツを特定する。本実施形態では、コンテンツ特定部25は、行動履歴に対応するコンテンツとして、属性取得部24によって取得された属性と所定の関連性を有する(例えば、同じ)属性を有する施設又はサービスのためのコンテンツを特定する。なお、本実施形態では、所定の関連性として、属性が同じである(複数の属性が設定されている場合には、少なくとも一部が共通する)ことを条件とするコンテンツ特定手法について説明しているが、属性取得部24によって取得された属性と、特定されるコンテンツに係る属性とは、同一でなくてもよい。例えば、コンテンツ特定部25は、互いに関連性を有する属性をまとめたリストや、属性間の距離を示すデータ等に基づいて、取得された属性と所定の関連性を有する他の属性に係るコンテンツを特定してもよい。
【0027】
また、コンテンツ特定部25は、例えば、ユーザの位置から所定距離内の場所又は所定時間内で移動可能な場所で使用可能なコンテンツ等の、ユーザが所定以下の労力で利用可能なコンテンツを特定してもよい。より具体的には、コンテンツ特定部25は、コンテンツを利用可能な場所の位置情報を取得し、当該位置情報とユーザの現在の位置情報とに基づいて、ユーザの現在位置からコンテンツ利用場所までの距離又は移動所要時間を取得する。この際、距離又は移動所要時間の取得には、地図情報サービスや乗換案内サービス等の外部サービスが利用されてよい。そして、コンテンツ特定部25は、取得された距離又は移動所要時間が所定の基準以下である利用場所に係るコンテンツを、ユーザに提供するためのコンテンツとして特定する。
【0028】
図6は、本実施形態においてユーザに提供されるコンテンツを管理するためのコンテンツ管理データの概要を示す図である。本実施形態において提供されるコンテンツは、施設/サービスの利用にあたって割引やポイント付与等の特典を受けることが出来る特典コンテンツ(所謂クーポン)である。コンテンツ管理データベース27は、提供されるコンテンツの種類毎に、コンテンツID、利用可能施設/サービス、属性、有効期限、利用可能な場所(位置情報)、等の情報を蓄積し、管理する。その他、コンテンツには、提供可能数の上限等が設定されてもよい。即ち、本実施形態において、コンテンツ特定部25は、コンテンツ管理データベース27に蓄積された情報を参照することで、属性取得部24によって取得された属性と所定の関連性を有し、ユーザが所定以下の労力で利用可能であり、有効期限内であり、且つ提供可能数の上限に達していないコンテンツを特定する。また、コンテンツには、本実施形態において例示したもの以外の条件が設定されていてもよい。
【0029】
なお、本実施形態では、ユーザに対してクーポン等の特典コンテンツが提供される例について説明しているが、ユーザに提供されるコンテンツの種類は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、コンテンツとして、チケット、音楽/画像データ、アプリケーション、のような様々な種類のコンテンツが提供されてよい。
【0030】
コンテンツ提供部26は、コンテンツ特定部25によって特定されたコンテンツをユーザに対して提供する。
【0031】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る情報処理システムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0032】
図7は、本実施形態に係るコンテンツ特定処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、コンテンツ配信サーバ1が、ユーザ端末から、当該ユーザ端末の位置情報又は近隣端末情報を受信したことを契機として実行される。より具体的には、例えば、ユーザによって携帯されているユーザ端末において起動したアプリケーションが近傍の施設/サービス検索(例えば、近くの飲食店検索)処理を行う際に、ユーザに対して位置情報又は近隣端末情報の取得・送信の許諾を求め、ユーザによる許諾操作が行われると、許諾を受けたユーザ端末は、位置情報又は近隣端末情報を取得し、コンテンツ配信サーバ1に送信する。本フローチャートに示された処理は、このようにしてユーザ端末から送信された情報が、コンテンツ配信サーバ1によって受信されたことを契機として実行される。
【0033】
ステップS101及びステップS102では、ユーザの現在の同行者が特定される。同行者特定部22は、ユーザ端末から、当該ユーザ端末の位置情報、又は当該ユーザ端末の近隣端末情報を受信する(ステップS101)。
【0034】
そして、同行者特定部22は、当該ユーザ端末との間の通信で用いられる識別情報に基づいて当該ユーザ端末に係るユーザのユーザIDを特定し、特定されたユーザIDに対応するユーザ状況情報中の現在位置情報(受信された場合)、同行者識別情報及び情報取得日時を更新する。ここで、受信された情報がユーザ端末の位置情報であった場合、同行者特定部22は、他のユーザIDに係るユーザ状況情報のうち、受信された位置情報と近い位置情報が記録されている他のユーザ状況情報に係る他のユーザIDを同行者識別情報として記録する。一方、受信された情報が近隣端末情報であった場合、同行者特定部22は、近隣端末情報自体、又は当該近隣端末情報に対応する他のユーザIDを、同行者識別情報として記録する。そして、同行者特定部22は、記録された同行者識別情報に係る1又は複数の他のユーザを、情報送信元ユーザの同行者として特定する(ステップS102)。その後、処理はステップS103へ進む。
【0035】
ステップS103では、現在の同行者に係る過去の行動履歴が抽出される。行動履歴抽出部23は、蓄積された行動履歴から、ステップS102で特定された同行者の識別情報が関連づけられた行動履歴を抽出する。この際、ステップS102で特定された同行者と、抽出される行動履歴に記録されている同行者とは、一部が共通していればよい。例えば、ステップS102で特定された同行者がユーザA、ユーザB及びユーザCである場合、行動履歴抽出部23は、同行者としてユーザA、ユーザB及びユーザCの何れか1人以上が記録されている行動履歴を抽出してもよいし、同行者としてユーザA、ユーザB及びユーザCに加えてユーザDが記録されている行動履歴を抽出してもよい。その後、処理はステップS104へ進む。
【0036】
ステップS104及びステップS105では、行動履歴に基づいてコンテンツが特定される。属性取得部24は、ステップS103で抽出された行動履歴に記録されている属性を取得する(ステップS104)。そして、コンテンツ特定部25は、ステップS103で取得された属性と所定の関連性を有する(例えば、同じ)属性を有する施設又はサービスのためのコンテンツを、コンテンツ管理データベース27を検索することで索出し、特定する(ステップS105)。この際特定されるコンテンツの数は、複数であってもよい。その後、処理はステップS106へ進む。
【0037】
ステップS106では、ユーザ及び/又は同行者に対してコンテンツが提供される。コンテンツ提供部26は、ステップS101で受信された情報の送信元ユーザ端末のユーザ、及びステップS102で特定された同行者のうち、少なくとも1人以上に対して、ステップS105で特定されたコンテンツを提供する。コンテンツの提供先をユーザ及び同行者のうち一部のみとするか全員とするか、更には一部のみに提供する場合に何人に提供するか、等の提供先の詳細については、コンテンツ管理データベース27においてコンテンツ毎に予め定義されていてよい。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0038】
コンテンツの提供を受けたユーザは、提供されたコンテンツを使用することが出来る。例えば、コンテンツがクーポン等の特典コンテンツやチケットである場合、コンテンツの提供を受けたユーザのユーザ端末は、コンテンツ配信サーバ1からクーポンコードやチケットコード等のコンテンツを受信し、施設/サービス提供者のシステムに当該コンテンツを読み取らせる等の方法で、コンテンツを使用することが出来る。また、コンテンツが音楽/画像データやアプリケーション等である場合、コンテンツの提供を受けたユーザのユーザ端末は、コンテンツ配信サーバ1から音楽/画像データやアプリケーション等のコンテンツをダウンロードし、ユーザ端末において再生や実行することで、コンテンツを使用することが出来る。コンテンツの提供は、任意の方法を利用可能であり、例えば、電子メール、プッシュ通知、バナー通知、音声通知、または、SNS(Social Networking Service)、メッセージアプリ等の各種の媒体が利用されてもよい。
【0039】
なお、ここで提供されるコンテンツは、ユーザによって使用された場合に、当該ユーザの同行者についても効果を及ぼすコンテンツであってよい。例えば、コンテンツがクーポン等の特典コンテンツである場合、ユーザ及び同行者のうちの誰か一人が当該特典コンテンツを使用することで、他のユーザ及び同行者も、割引やポイント付与等の、特典コンテンツの効果を得ることができてよい。
【0040】
また、コンテンツが使用されると、使用結果はコンテンツ配信サーバ1に通知され、行動履歴蓄積部21は、ユーザの行動履歴として、コンテンツ使用に伴うユーザの行動履歴を、同行者の識別情報を関連づけて蓄積する。ここで蓄積された行動履歴は、同行者特定部22によって当該ユーザの同行者が次に特定された際に、行動履歴抽出部23及び属性取得部24によって参照される。
【0041】
上記説明した実施形態に係るシステムによれば、現在のユーザの状況に応じたコンテンツを、当該ユーザの過去の行動履歴に基づいて特定することで、当該ユーザによって利用される可能性が高いコンテンツを特定し、提供することが可能となる。即ち、本実施形態に係るシステムによれば、例えば、クーポンが配信されたユーザXが、ユーザAと食事をするときはファミリーレストランで食事をすることが多く、ユーザBとの食事は高級レストランに行くことが多い、といった傾向がある場合に、ユーザXにユーザBが同行している場合において、ユーザXがユーザBと一緒に利用する可能性が低いと推測されるファミリーレストランのクーポンではなく、ユーザXがユーザBと一緒に利用する可能性が高いと推測される高級レストランのクーポンを提供することが出来る。
【0042】
<バリエーション>
上記説明した実施形態では、ユーザの現在の同行者を特定する例について説明したが、特定される同行者は、ユーザの未来の同行者であってもよい。この場合、同行者特定部22は、所定時間内にユーザのユーザ端末と所定距離内に存在することとなると推測される他のユーザ端末のユーザを、当該ユーザの未来の同行者として特定する。例えば、同行者特定部22は、ユーザのユーザ端末から取得した位置情報又は近隣端末情報に基づいてユーザの移動経路や目的地、到着時刻等を予測することで、当該ユーザに合流する他のユーザ(即ち、未来の同行者)を特定することが出来る。本バリエーションは、特定される同行者が未来の同行者である点を除けば、上記説明した実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。
【0043】
このようにして、ユーザの未来の同行者を推測することで、適切なコンテンツを事前に特定し、ユーザが同行者と合流する前や合流直後のタイミングで当該コンテンツを提供し、ユーザの意思決定に影響を与えることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 コンテンツ配信サーバ
9 ユーザ端末