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特許7105867多層構造及び電子機器を製造するための関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】多層構造及び電子機器を製造するための関連方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220715BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20220715BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220715BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20220715BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/14 C
H05K3/46 L
H05K3/46 Q
H01R12/77
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020504448
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 FI2018050251
(87)【国際公開番号】W WO2018189419
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】15/483,417
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519364406
【氏名又は名称】タクトテック オサケユイチア
【氏名又は名称原語表記】TACTOTEK OY
【住所又は居所原語表記】Automaatiotie 1, 90460 Oulunsalo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ケラネン,アンティ
(72)【発明者】
【氏名】サースキ,ヤルモ
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,ロナルド
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/004563(WO,A1)
【文献】米国特許第05265329(US,A)
【文献】実開平05-029738(JP,U)
【文献】特開2012-004348(JP,A)
【文献】特開2000-031627(JP,A)
【文献】特開2013-258184(JP,A)
【文献】特開2010-192883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 1/02
H05K 1/14
H05K 3/36
H05K 3/46
H01R 12/00 -12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造(100、400、410、420)において、
第1面及び反対の第2面を有し、電気絶縁材料を含む基板フィルム(102)と、
所望の回路設計を確立するために、プリンテッドエレクトロニクス技術により、少なくとも前記基板フィルム(102)の第1面上に印刷される導体パッド及び長尺導体の少なくとも一方を規定する多くの導電トレース(108)と、
前記基板フィルム(102)に設けられ、その1面が、構造内部に対向するとともに、反対の他面が、前記基板フィルム(102)に形成される貫通孔である少なくとも1つの穴(102B)を介して、前記基板フィルム(102)の前記第2面上の環境に対向するコネクタ要素(118)であって、前記基板フィルム(102)の前記第1面上の回路に接続され、前記コネクタ要素(118)との嵌合(124)に応答する外部要素(119)の1以上の電気接点部材に接触するように構成される多くの導電性接点部材(118A)を備える前記コネクタ要素(118)と、
前記コネクタ要素(118)の前記1面及び前記回路を覆うように、前記基板フィルム(102)の前記第1面及び前記コネクタ要素(118)の前記1面上に成形されるプラスチック層(104)と、
を備え、
前記基板フィルム(102)は可撓性であり、前記回路設計を備える前記基板フィルム(102)が熱成形可能であり、
前記コネクタ要素(118)は、平面的であり、
前記コネクタ要素(118)は、前記コネクタ要素(118)の前記導電性接点部材(118A)及び多くの電子部品をホストするように構成される回路基板であるキャリア基板(113)をさらに備え、
前記コネクタ要素(118)の少なくとも部分(118B)は、前記基板フィルム(102)の前記第2面の表面に沿って位置する、
多層構造。
【請求項2】
請求項1に記載の多層構造において、
前記確立した回路設計は、前記基板フィルム(102)の前記第1面上の前記プラスチック層(104)内に少なくとも部分的に組み込まれ、前記多くの導電トレース(108)に電気的に接続される少なくとも1つの集積回路を含む多くの電子部品(106)をさらに備える、
多層構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の多層構造において、
前記コネクタ要素(118)は、多くの電子部品をさらに備える、
多層構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記基板フィルム(102)の前記少なくとも1つの穴(102B)を少なくとも部分的に覆うか塞ぐように構成され、操作可能、破壊可能、又は前記基板フィルム(102)の前記第2面から取り外し可能であり、剥離可能、引き裂き可能、穴あけ可能、蝶つがいされ、屈曲可能、摺動し、離昇し、あるいは、回転可能又は並進運動可能なカバー部材を含む取り外し可能な又は破壊可能なカバー(121)を備える、
多層構造。
【請求項5】
請求項4に記載の多層構造において、
前記カバーは、前記基板フィルムの前記第1面上に付着防止材料を備える、
多層構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記コネクタ要素(118)は、導電率の観点から、前記多くの導電性接点部材(118A)もしくは前記基板フィルム(102)上の前記回路へのそれらの電気的接続の1以上を規定するように構成される異方性材料を含む、
多層構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記構造に関連する前記外部要素(119)を固定するとともに、少なくとも1つの支持要素(120)を備える、
多層構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記多くの導電性接点部材は、弾力のある接点部材、ばね仕掛けの接点部材、ばね仕掛けの接続ピン又はスリップ、導体パッド、接触領域、接続ピン、導電性材料の壁部あるいは底部を有する穴、ソケット、雌ソケット、雄プラグ又はソケット、ハイブリッドソケット、ピンソケット、及び、ばねピンソケットからなる一群から選択される少なくとも1つの特徴を規定する、
多層構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記プラスチック層(104)の、前記基板フィルム(102)とは反対側に設けられた更なるフィルム(110)を備える、
多層構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の多層構造において、
テキスト、写真、記号、パターンを含むグラフィックを決定する1以上の色や着色層を備え、
前記着色層は、ある色の専用フィルムにより実装され、又は既存のフィルム、成形層、あるいは他の表面上へのコーティングとして設けられる、
多層構造。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記基板フィルム(102)の前記第2面上に、前記コネクタ要素(118)の一部上に位置する少なくとも1つの電子部品(118D、420)を備える、
多層構造。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記コネクタ要素(118、420)は、少なくとも部分的に可撓性である、
多層構造。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記外部要素(119)は、前記コネクタ要素(118)に嵌合し、
前記多層構造は、前記嵌合した外部要素(119)を少なくとも部分的に覆うカプセル化層(126)をさらに備える、
多層構造。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の多層構造において、
前記コネクタ要素(118)は、前記基板フィルム(102)の前記第1面に配置される、
多層構造。
【請求項15】
多層構造(100)を製造する方法(300)であって、
電子機器を収容する基板フィルム(102)を得るステップ(304)と、
所定の回路設計を確立するために、プリンテッドエレクトロニクス技術により少なくとも部分的に、少なくとも前記基板フィルム(102)の第1面上に、多くの導電トレース設けるステップ(306)と、
回路に電気的に接続するために、前記基板フィルム(102)に対してコネクタ要素(118)を設けるステップ(310)であって、前記コネクタ要素(118)の位置に一致する貫通孔である少なくとも1つの穴(102B)を前記基板フィルム(102)に配設し(308)、前記少なくとも1つの穴を介して、前記基板フィルム(102)の第2の反対面から前記コネクタ要素(118)の多くの導電性接点部材にアクセス可能にするステップ(310)と、
前記基板フィルム(102)の第1面及び前記コネクタ要素(118)の上に熱可塑性プラスチック材料を成形し、前記確立した回路と、前記コネクタ要素(118)の前記熱可塑性プラスチック材料に対向する面とを覆うステップ(312)と、
を含み、
前記基板フィルム(102)は可撓性であり、前記回路設計を備える前記基板フィルム(102)が熱成形可能であり、
前記コネクタ要素(118)は、平面的であり、
前記コネクタ要素(118)は、前記コネクタ要素(118)の前記導電性接点部材(118A)及び多くの電子部品をホストするように構成される回路基板であるキャリア基板(113)をさらに備え、
前記コネクタ要素(118)の少なくとも部分(118B)は、前記基板フィルム(102)の第2面の表面に沿って位置する、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記コネクタ要素は、厚さ1mmの金属板と少なくとも同じ硬さの電気コネクタである、
方法。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の方法において、
前記多くの導電トレースと、3次元形状を示す電子部品とを備える基板フィルム(102)を、熱成形し、あるいは冷間成形するステップを含む、
方法。
【請求項18】
請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の方法において、
前記コネクタ要素(118)は、回路基板と多くの電子部品の少なくとも一方を含む、
方法。
【請求項19】
請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の方法において、
外部コネクタを含む外部要素は、前記コネクタ要素(118)に接続され、その後、少なくとも部分的に、追加の材料である低圧成形材料又は樹脂分散材料により前記接続された前記外部要素をカプセル化する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子機器、関連した装置、構造、及びその製造方法に関する。特に、排他的ではないが、本発明は、フィルム層と、隣接する一体成型のプラスチック層とを含む構造の内部に外部の電気的接続を設けることに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器及び電子製品との関連で、種々の異なる積層アセンブリが存在する。
【0003】
エレクトロニクスと関連製品の統合の背後にある動機は、関連する使用状況と同じくらい多様であり得る。結果として得られる解決手段が最終的に多層性を示すとき、比較的多くの場合、サイズの節約、重量の節約、コストの節約、又は構成要素の単なる効率的な統合が求められる。同様に、関連した使用シナリオは、製品パッケージもしくは食品ケーシング、装置ハウジングの視覚的設計、ウェアラブル電子機器、パーソナル電子デバイス、ディスプレイ、検出器もしくはセンサ、車両インテリア、アンテナ、ラベル、車内電子機器などに関してもよい。
【0004】
電子部品、IC(集積回路)、導電体などの電子機器は、一般に、複数の異なる技術によって基板要素上に設けられ得る。例えば、種々の表面実装デバイス(SMD)などの既製の電子機器は、最終的に多層構造の内側又は外側の界面層を形成する基板表面に取り付けられ得る。さらに、関連した基板に対して、直接かつ付加的に電子機器を実際に製造するために、用語「プリンテッドエレクトロニクス(印刷電子機器)」に該当する技術を適用し得る。用語「プリンテッド(printed)」は、印刷物から電子機器/電気素子を製造可能な種々の印刷技術を指し、実質的に付加的印刷技術を通した、スクリーン印刷、フレキソ印刷、及びインクジェット印刷を含むが、これらに限定されない。使用される基板は、可撓性であり、印刷された有機材料であればよい。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らない。
【0005】
多層構造に種々の電子機器を搭載しているとき、常に完全に独立して、すなわち自律的に機能しないかもしれない。その代わりに、種々の電力、データ、もしくは制御接続を提供しなければならず、あるいは、少なくとも好ましくは、例えば、時には、特定の必要性に応じてそれらを提供すべきである。それは、無線接続も適用可能であっても、典型的に、電気コネクタや関連する配線を設ける必要がある。
【0006】
通常、環境と積層多層構造の埋め込み電子機器との間の有線電気接続は、必要な外部配線がコネクタ又は他の接点要素と接触するように、構造の側端に設けられる。それは、潜在的にその周囲に位置し、その周囲でその構造から突出している。しかしながら、多くの使用シナリオでは、コネクタや外部配線のそのような構造は、次善のものである。なぜならば、それは、関連したホスト構造と構成要素の寸法と位置決めに追加の制約を容易に掛けてしまい、多層構造自体の特徴や製造を忘れないからである。
欧州特許出願公開第2285195号明細書は、その上に形成された複数の配線部を有する回路基板に搭載されたLED装置を開示する。回路基板は、ソケットの取付のための複数の取付孔を有する。ソケットは、配線部を介して、LED装置に接続され、ソケットは、種々のプラグを受容する。
国際公開第2008/058782号は、電子回路配列を提示する。電気的接続を有する第1のフレキシブルプリント回路は、これらの回路が積層されるように、第2の回路に電気的に接続される。第2の回路は、剛体基板と構成要素を有する。フレキシブルプリント回路は、回路が互いの上に配置されると、プリント回路基板の下面にある構成要素が突出する凹部を有してもよい。
米国特許第5355282号明細書は、複数のモジュールがマザーボードに実装され、複数対のモジュールの接点が互いに及びマザーボードと電気的に接続される電子装置を提示する。
欧州特許出願公開第1734615号明細書は、電子デバイス内で用いられ、特に、表示パネルのコネクタに関するプリント回路基板を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、一体型多層構造及びそれに埋め込まれた電子機器との関連で、既存の解決策に関連する上記の欠点の1つ以上を少なくとも軽減することである。
【0008】
この目的は、本発明に係る多層構造及び製造の関連方法の種々の実施形態により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、電子デバイスでの試料に適した多層構造は、
第1面及び反対の第2面を有し、実質的な電気絶縁材料を含む基板フィルムと、
所望の回路設計を確立するために、好ましくは、プリンテッドエレクトロニクス技術により、少なくとも基板フィルムの第1面上に印刷される導体パッド及び長尺導体の少なくとも一方を任意に規定する多くの導電トレースと、
任意に実質的に設けられ、基板フィルムの第1面上に置かれ、その1面が、構造内部に対向するとともに、反対の他面が、少なくとも1つの穴、好ましくは、基板フィルムに規定される貫通孔を介して、基板フィルムの第2面上の環境に対向するコネクタ要素であって、基板フィルムが可撓性もしくは硬く、形成可能であり、あるいは、ある温度で、すなわち、フィルム又はその材料の温度に依存して可撓性であり、接着剤やはんだを利用して、基板フィルムの第1面上の回路に電気的、機械的、あるいは化学的に接続され、コネクタ要素との嵌合に応答するその構造と外部装置又は他の外部要素との間で延伸する外部装置のコネクタやコネクタケーブルなどの外部要素の1以上の電気接点部材に接触するように構成される多くの導電性接点部材を備えるコネクタ要素と、
コネクタ要素及び回路の1面を覆うように、基板フィルムの第1面及びコネクタ要素の1面上に成形されるプラスチック層と、
を備える。
【0010】
所望の所定の回路設計は、多層構造を製造する前に定義され得る。したがって、それは、基板フィルムに配置すべき種々の導電トレース、導体パッド、あるいは導電体の指示及び位置を提供する。
【0011】
「導体パッド」は、本明細書では、あらゆる導電性要素又はパッチ、あるいは、基板フィルム上の電気結合の位置又は領域を指す。導体パッドは、銅、銀、アルミニウム、又は導電性エラストマーなどの導電性材料を含むか、それらで作られればよい。導電性エラストマーは、例えば、カーボン又は他の導電性粒子、あるいは、パッドが存在する表面の視覚的品質を任意に高めることができる他のそのような材料を含む。導体パッドの形状は、あらゆる適切な幾何学的形状であればよい。導体パッドの形状は、有利にも、製造される製品又は製品の一部の形状又は特徴に基づいて選択されればよく、前記導体パッドを含めばよい。
【0012】
「基板フィルム」は、木材、皮革、布地などの有機又は生体材料などの材料、あるいは、互いにこれらの材料のいずれかの組み合わせ、プラスチック、ポリマーもしくは金属との組み合わせを含んでもよく、それらから構成されてもよい。フィルムは、熱可塑性であってもよい。
【0013】
基板フィルム上に成形された「プラスチック層」は、それらの組み合わせと同様に、ポリマー、有機、生体材料、有機又はグラフィックなどの複合材料などの材料を含んでもよい。その材料は、熱可塑性材料であってもよい。
【0014】
「外部要素」は、例えば、ソケット構造又はケーブルであってもよく、これらは、例えば、外部装置の回路基板にはんだ付け又は接着されてもよい。
【0015】
種々の実施形態では、コネクタ要素は、プレート又は他の実質的に平面的要素などの好ましくは実質的に硬い(剛性の)材料片を備えてもよい。しかしながら、その形状は、特定の実施形態によく適したあらゆる他の適切な形状であってもよい。形状は、例えば、円弧形状、あるいは、基本的な幾何学的形状に関するあらゆる複雑な形状であってもよい。コネクタ要素は、金属であってもよく、構成材料として金属を含んでもよい。コネクタ要素は、多くの接点部材、すなわち、ガルバニック接続の観点から、多層構造に嵌合される外部コネクタなどの外部要素の複数の接点部材のための少なくとも1つの接点部材を規定してもよい。
【0016】
種々の実施形態では、コネクタ要素は、任意に、柔軟な又は硬い(例えば、FR4)タイプのプリンテッド回路基板などの回路基板を含んでもよい。
【0017】
種々の実施形態では、コネクタ要素は、トランジスタ又は集積回路(IC)、例えば、オペアンプ(当然、個々の構成要素から構築することもできる)などの少なくとも1つの電子部品を含んでもよい。
【0018】
上記を考慮して、コネクタ要素は、例えば、典型的にはかなり薄くて可撓性のある基板などのフィルムタイプ上に搭載又は製造するのがより困難又は実際に不可能な構成要素を収容するように構成されてもよい。
【0019】
基板フィルムの第1面、すなわち、関連する第1表面は、関連する表面積を考慮して、プラスチック、好ましくは典型的には熱可塑性材料で少なくとも部分的にオーバーモールドされている。任意に、1以上の成形層、例えば、基板の第1面上に横に並んで、あるいはその上の複数重ねられた層の積層を形成する隣接層を確立するために、いくつかのオーバーモールド適用可能な材料が利用されてもよい。
【0020】
任意に、成形層の他面上に更なる第2基板フィルムが設けられる。したがって、第2基板フィルムは、最初のあるいは第1基板フィルムとは反対の方向から成形層に対向する。第2基板フィルムは、実装あるいはプリンテッド電子部品、トレース、導電体、又は絶縁要素などのグラフィックあるいは電子機器の基板として機能し得る。第2基板フィルムは、それらの間にプラスチック材料を注入可能な第1基板フィルムとともに、モールド内に配置、すなわち、挿入されればよい。その代わりに、第2基板フィルムは、例えば、接着剤、高温あるいは圧力ベースの接着を用いる実行可能な積層技術によって成形層上に積層されていてもよい。第2基板フィルムは、それらの間の導電性材料を用いて、第1基板フィルムに電気的に接続されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、成形層を確立するために用いられる(熱)プラスチック材料は、例えば、光学的に実質的に不透明な材料、無視可能な損失で可視光を透過可能な透明又は半透明な材料を含む。所望の波長における十分な透過率は、例えば、およそ80%、85%、90%、あるいは95%以上であればよい。可能な更なる成形(熱)プラスチック材料は、実質的に不透明であるか、半透明であればよい。いくつかの実施形態では、更なる材料は、透明であればよい。
【0022】
更なる代替の実施形態では、含まれるフィルムの1つ以上は、少なくとも部分的に、光学的に実質的に不透明であるか、あるいは、例えば、可視スペクトル内の所定の波長に関して少なくとも半透明であればよい。フィルムは、最初に、視覚的に区別可能であって、装飾的/美的あるいは有益な図形パターンやその上又は中の色などの特徴を備えていてもよい。その特徴は、関連したオーバーモールド手順を通して、プラスチック材料によりシールされるように、電子機器を有するフィルムの同じ面に設けられればよい。したがって、IML(インモールドラベリング)/IMD(インモールドデコレーション)技術が適用可能である。フィルムは、少なくとも部分的に、すなわち、少なくとも所々で、その上の電子機器によって放出される可視光などの放射線に対して光学的に透明であればよい。透過率は、例えば、およそ80%、85%、90%、95%以上であればよい。
【0023】
なお、多層構造の実施形態と、構造のコネクタ要素と嵌合するのに適した外部要素の実施形態とを含むシステムが提供され得る。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、多層構造を製造する方法は、
電子機器を収容する基板フィルム(102)を得るステップと、
所定の回路設計を確立するために、好ましくは、プリンテッドエレクトロニクス技術により少なくとも部分的に、少なくとも基板フィルムの第1面上に、多くの導電トレースと、任意に電子部品とを設けるステップと、
回路に電気的に接続するために、基板フィルムに対して、好ましくは、実質的にその第1面上に、任意に実質的に硬い電気コネクタ要素を設けるステップであって、少なくとも1つの穴、好ましくは、貫通孔をコネクタ要素の位置に実質的に一致する基板フィルムに配置し、少なくとも1つの穴を介して、基板フィルムの第2の反対面からコネクタ要素の多くの導電性接点部材をアクセス可能にするステップと、
基板フィルムの第1面及びコネクタ要素の上に熱可塑性プラスチック材料を成形し(312)、確立した回路と、コネクタ要素の熱可塑性プラスチック材料に対向する面とを実質的に覆うステップと、
を含む。
【0025】
その方法は、例えば、好ましくは、印刷トレース又は導体パッドを介して、コネクタ要素を機械的に取り付け、あるいは、それを回路に電気的に接続するように構成される追加の材料又は要素を設けるステップをさらに含んでもよい。その目的のために、例えば、導電性接着剤、又は特にACF(異方性導電フィルム)材料、及び関連した接着技術を適用してもよい。詳細には、まず、ペースト又はフィルムなどの適切な異方性材料を接触領域に供給し、回路とコネクタ要素とをともに電気的に接続してもよい。その後、異方性材料に対してコネクタ要素を押圧してもよい。任意に、関連した接着剤の付着を強化するために、(例えば、よりよい流れを通して)熱を加えてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、好ましくは、導電体と、その上の電子部品などの任意の更なる電子機器とを設けた後であって、プラスチック層を成形する前に、1以上の基板フィルムを形成し、任意に、熱成形して、典型的に、特に、所望の3次元目標形状を示してもよい。
【0027】
成形(あるいは、一般に、穴を備えた基板フィルムを直接確立)したり、穴をあけたり、切り込んだり、切り出したり、エッチングしたり、(例えば、レーザや機械式ブレードで)切断したりすることにより、あるいは、当業者に理解されるようなあらゆる他の実行可能な方法により、少なくとも1つの穴を設ければよい。
【0028】
少なくとも1つの穴は、所望の形状、すなわち、実質的に円形又は角形状、例えば、長方形形状を有すればよい。好ましくは、穴は、基板フィルムの第2面上の環境からコネクタ要素の接点部材に到達可能なように、コネクタ要素の形状/寸法に一致するように成形される。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの穴は貫通孔である。その代わりに、少なくとも1つの穴の少なくとも1つは、止まり穴であってもよい。その場合、外部要素を構造に接続するとき、止まり穴の底部を突き通して、基礎をなすコネクタ要素の接点部材との電気接触を確立するために、任意に、外部要素のピンなどの導電性突起を用いてもよい。いくつかの実施形態では、穴は、そこから蓋部を部分的に切り離すことにより、基板により規定される屈曲可能な蓋などの取り外し可能なカバーを含んでもよい。
【0030】
制御、測定、UI、データ処理、格納などの目的を有する所望の回路を確立するために、例えば、基板フィルムの第1面上に、任意に、潜在的な上部フィルム上に印刷あるいは実装することにより、多くの電子部品を設けてもよい。その代わりに又はそれに加えて、具体的に、多くの構成要素、任意に、集積回路や例えば回路基板を有するコネクタ要素を設けてもよい。したがって、基板あるいはコネクタ要素上に、回路基板とそれ自身の構成要素を有する電子サブアセンブリを設けてもよい
【0031】
様々な方法項目の相互実行順序は、各実施形態で具体的にケースごとに決定されればよい。例えば、基板にコネクタ要素を設けるとき又はその前後に、開口部を確立してもよい。
【0032】
上記で言及したように、任意に、上述のような成形プラスチックの他面上に、更なる第2基板フィルムを設けてもよい。プラスチック材料を間に注入することにより積層構造が得られるように、蓋を保持する主要な第1基板とともに、それは、モールド内に位置してもよい。あるいは、成形プラスチック層上に直接製造されない場合には、その後、適切な積層技術を用いて、第2基板フィルムを設けてもよい。第2基板フィルムは、例えば、グラフィック(IMD/IML技術の適用が可能)と同様に、いずれかの面に電子機器を有すればよい。なお、それは、保護目的や、所望の光透過率、外観(例えば、色)、又は感触などの他の技術的特徴を有してもよい。
【0033】
実行可能な成形法は、例えば、射出成形を含む。いくつかのプラスチック材料の場合、2ショット又は一般的なマルチショット成形法を使用して、それらを成形してもよい。複数の成形ユニットを備えた成形機を利用してもよい。その代わりに、いくつかの材料を連続して供給するために、複数の装置又は1つの再構成可能な装置を用いることもできる。
【0034】
多層構造の種々の実施形態に関する前述の考慮事項は、当業者に認められるように、必要な変更を加えて方法の実施形態に柔軟に適用してもよく、その逆もまた同様である。
【0035】
本発明の有用性は、実施形態に依存する複数の課題から生じる。
【0036】
電気コネクタ要素は、機能的な電子機器を含む多層構造内に便利に統合及び埋め込まれてもよい。その要素は、好ましい金属(銀、銅、金など)などの導電性材料、又は、例えば、導電性ポリマーを含んでもよく、それらから構成されてもよい。ホスト基板上の回路への電気的接続、コネクタ要素の内部接続、あるいは、外部装置又はその接続ケーブルのコネクタなどの外部要素の互換性のある対応物に接触するための接点部材を確立するために、導電性ポリマーを用いる。多層構造の外側に専用のハウジングを備えた複雑でスペースを消費するコネクタを省略してもよい。コネクタ要素の位置を柔軟に決定してもよく、例えば、多層構造の横方向端部にコネクタを位置決めする必要もない。多層構造は、構造及びホストデバイス又はそれらが配置される可能性のある製品の構造的及び潜在的に機能的な多様性を大幅に追加する。
【0037】
コネクタ要素は、例えば、構造的に耐久性のある金属などの硬い材料であってもよく、少なくともそれを含めばよい。したがって、それに関連する外部コネクタなどの外部要素の繰り返しの取り付けや取り外しに耐える。なお、多層構造におけるボスやボスベースの組み合わせなどの一体的な又は別の支持要素で、コネクタ要素を補完してもよい。成形プラスチックにより、任意に、支持要素を確立してもよい。支持要素の1つの機能は、外部コネクタなどの外部要素を正しい位置に保持し、多層構造に対して意図せずに外れるのを防止することであればよい。なお、潜在的により大きなホスト装置や一般的な要素に対して、多層構造自体を固定し、整列させるために、支持要素を用いてもよい。構造を外部要素に固定するための支持要素に関して、ねじ又はリベットなどの更なる特徴を適用してもよい。支持要素は、穴、より具体的には、ねじなどの所望のねじ付き固定要素のために寸法決めされたねじ穴を規定してもよい。
【0038】
オーバーモールドを適用する推奨の製造方法は比較的簡単であり、有益であると考えられるものは、プリント及びインモールド電子機器に照らして、十分な接続性を生成するために完全に新しい、あるいは異なる製造技術を採用する必要はない。基板フィルムがまだ実質的に平面である間に、その上に導体及び任意の更なる電子機器を供給した後、フィルムを所望の3D形状に(熱)形成することにより、基板上の電子機器の3Dアセンブリの必要性を低減し、又は不要にしてもよい。
【0039】
また、同様のコネクタ要素は、電気的接続が潜在的に不要であるが、例えば、光接続を要求する他のシナリオでの使用を見出すことができる。導電性材料、電気配線、又は、例えば、印刷トレースの代わりに、あるいは、それに加えて、コネクタは、例えば、光ファイバを含んでもよい。
【0040】
一般に、所望の装置や、インテリジェント衣服(例えば、シャツ、ジャケット、ズボン、又は圧縮衣服)、他のウェアラブル電子機器(例えば、リストップ装置、ヘッドウェア、又はフットウェア)などのホスト要素内のモジュール、車両のエクステリア又はインテリア(例えば、車両内電子機器)などの車両、パーソナル通信装置(例えば、スマートフォン、ファブレット、タブレット)、あるいは、他の電子機器を確立するために、得られた多層構造を用いてもよい。得られた構造の統合レベルは高くてもよく、その厚さなどの所望の寸法は小さくてもよい。
【0041】
使用したフィルムは、グラフィックス及び他の視覚的にあるいは触覚的に検出可能な特徴を含んでもよく、その結果、フィルムは、電子機器を収容し、保護することに加えて、美的効果や有益な効果を有してもよい。フィルムは、少なくとも所々において、半透明又は不透明であってもよい。それらは、所望の色を付与してもよく、あるいは、構造の対応する部分に所望の色を付与する部分を含んでもよい。したがって、得られた多層構造は、テキスト、写真、記号、パターンなどのグラフィックを任意に決定する1以上の色や着色層を組み込んでもよい。例えば、ある色の専用フィルムにより、これらの層を実装してもよく、既存のフィルム、成形層、あるいは他の表面上に(例えば、印刷を通して)コーティングとして設けてもよい。
【0042】
フィルムは、関連製品の外面や内面の少なくとも一部を確立するように構成されてもよい。
【0043】
その特徴が分離され、少なくともフィルムの厚さによる環境効果から保護されたままであるように、例えば、内部層を介して、成形プラスチックに対向する第1あるいは潜在的な第2基板フィルムの面上に、パターンや色付けなどの視覚的特徴を提供してもよい。したがって、例えば、塗料した表面特徴を容易に損傷し得る異なる衝撃、摩擦、化学物質などは、通常、それらに到達しない。フィルムを容易に製造し、処理してもよく、任意に、成形材料などの基礎をなす特徴を露出するための穴や切り欠きなどの必要な特徴を備えた所望の形状にフィルムを切断してもよい。
【0044】
成形処理を考慮して電子機器を固定することを含む種々の目的のために、成形した熱可塑性プラスチック材料を最適化すればよい。なお、材料は、例えば、湿気、熱、寒さ、汚れ、衝撃などの環境条件から電子機器を保護するように構成されればよい。また、それは、例えば、光透過性や弾性の観点から所望の特性を有してもよい。埋め込み電子機器が光又は他の放射線を放出したり、受光したりする構成要素を含む場合には、材料は、それを通した光透過を可能にするのに十分な透過率を有すればよい。成形材料は、元々多くの色を示してもよく、その後、例えば、インク、塗料、又はフィルムコーティングによって着色されてもよい。
【0045】
「多くの(a number of)」という表現は、本明細書では、1から始まる任意の正の整数を指せばよい。
【0046】
「複数の(a plurality of)」という表現は、それぞれ2から始まる任意の正の整数を指せばよい。
【0047】
その他明示的に言及しない限り、本明細書では、用語「第1(first)」及び「第2(second)」は、ある要素を他の要素から区別するために用いられ、それらを特別に優先順位付けたり、順序付けたりしない。
【0048】
その他明示的に示す場合を除き、用語「フィルム(film)」及び「フォイル(foil)」は、本明細書では、一般に相互に交換可能に用いられる。
【0049】
添付の従属請求項には、本発明の異なる実施形態を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
次に、添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
図1】本発明における多層構造の一実施形態を示す。
図2】コネクタ要素の平面図とともに、図1の多層構造の実施形態の底面図を示す。
図3】本発明における方法の一実施形態を開示するフローチャートである。
図4A】多層構造の更なる実施形態を示す。
図4B】多層構造の更なる実施形態を示す。
図4C】多層構造の更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、断面側面図を介して、多層構造の一実施形態100を示す。図1では、符号200として、図1の多層構造100の本実施形態の潜在的な底面図を示す。
【0052】
完成した多層構造100は、それ自体の最終製品、例えば、電子デバイス又は要素(例えば、ケーブル、コネクタ装置)を確立してもよく、集合部品又はモジュールとしてホスト装置内に配置されてもよい。多層構造100は、図示しない多くの更なる要素又は層を備えてもよい。
【0053】
その多層構造100は、好ましくは、スクリーン印刷、タンポ印刷、フレキソ印刷又はインクジェットなどのプリンテッドエレクトロニクス技術によりその上に印刷された多くの導電体108を収容する少なくとも1つの基板フィルム102を含む。基板フィルム102上には、電子部品106などの多くの構成要素をさらに設けてもよい。少なくともトレース108を組み込む印刷要素は、所望の回路設計を確立するように構成される。
【0054】
印刷バージョンに加えて、又はその代わりに、電子部品106は、いわゆる表面実装要素などの基板102上に実装された既製の構成要素(表面)を含んでもよい。電子機器を基板上に機械的に固定するために、例えば、接着剤を用いてもよい。導電トレース108や電子部品106などの種々の要素間の電気的及び機械的接続を確立するために、導電性接着剤やはんだなどの追加の導電性材料を適用してもよい。
【0055】
それにより、電子部品106は、受動素子、能動素子、IC(集積回路)、スクリーン印刷などの印刷物、あるいは、電子サブアセンブリを含めばよい。例えば、まず、別の基板、例えば、FPC(フレキシブルプリント回路)や例えばFR4タイプ(難燃剤)、オードなどの回路基板上に、1以上の構成要素を設けてもよく、次いで、全体として(すなわち、サブアセンブリとして)、目標の基板102又はコネクタ要素118に取り付けてもよい。
【0056】
より詳細には、電子部品106は、光電子部品、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、信号プロセッサ、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、センサ、プログラマブル論理チップ、メモリ、トランジスタ、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、メモリアレイ、メモリチップ、データインターフェイス、トランシーバ、ワイヤレストランシーバ、トランスミッタ、レシーバ、ワイヤレストランスミッタ、ワイヤレスレシーバからなるグループから選択される少なくとも1つの電子要素を含んでもよい。
【0057】
まだ、その構造によりホストされる電子部品106は、少なくとも1つの光電子部品を含んでもよい。少なくとも1つの光電子部品は、例えば、LED(発光ダイオード)、OLED(有機発光ダイオード)、又はその他の発光部品を含んでもよい。その部品は、側面発光(「側面照射」)であってもよい。その代わりに又はそれに加えて、それは、フォトダイオード、フォトレジスタ、他の光検知器、あるいは、例えば、光電池などの受光素子や感光性素子を含んでもよい。OLEDなどの光電子部品は、プリンテッドエレクトロニクス技術の好適な方法を用いて、基板フィルム上に印刷されてもよい。
【0058】
実際に、例えば、埋め込みIC、専用構成要素、あるいは共有IC/電子機器(多目的電子機器)により、異なるセンシング機能や他の機能を実装してもよい。
【0059】
基板フィルム102と、そこに所望の回路設計を確立する電子機器106、108とは、少なくとも1つの、好ましくは、成形プラスチック層104により、少なくとも部分的に覆われる。したがって、特に電子部品106は、成形プラスチック層104内に少なくとも部分的に埋め込まれる。
【0060】
同様に、第1基板フィルム102と同じ又は異なる材料の任意の第2基板フィルム110は、多層スタック内に存在してもよい。フィルム110は、電子機器112、グラフィック111、あるいは、有利と考えられる他の特徴を収容すればよい。例えば、美的、保護/絶縁、あるいはその他の目的のために、任意に、第2基板フィルム110上に更なるフィルムやコーティングなどを設けてもよい。
【0061】
プラスチック層104を成形する前に、少なくとも1つの導電性(少なくとも所々に)コネクタ要素118は、基板102に設けられた。コネクタ要素118は、金属、プラスチック、特に例えば、PC(ポリカーボネート)、ポリイミドなどを含んでもよい。コネクタ要素118は、外部要素119の互換部材に電気的に(直流的に)接続するように構成される多くの接点部材118Aを備える。
【0062】
例えば、接着剤、ペースト、導電性接着剤などを用いて、基板フィルム102にコネクタ要素118を固定してもよい。はんだ、導電性接着剤又はペースト、配線、接触領域/パッド、ピン、フレックスケーブル、あるいは、例えば、ACF(異方性導電フィルム)などの導電率を考慮した異方性材料の構成要素などの同じ又は専用の機能により、基板フィルム110上の回路設計106、108とコネクタ要素118との間の電気的接続を利用してもよい。
【0063】
本実施形態によれば、1以上の接点部材118Aは、弾力のある接点部材、ばね仕掛けの接点部材、ばね仕掛けの接続ピン又はスリップ、導体パッド、接触領域、ACFなどの導電性異方性材料、接続ピン、好ましくは導電性材料の壁部や底部を有する穴、ソケット、雌ソケット、雄プラグ又は雄ソケット、ハイブリッドソケット、ピンソケット、及びばねピンソケットからなる一群から選択された少なくとも1つの特徴を備えればよい。
【0064】
コネクタ要素118は、実質的に平面的であればよく、複数要素構造の場合、平面的部分又は平面的要素、例えば、本体を少なくとも含んでよい。しかしながら、その形状は、特定の実施形態によく適した他の適切な形状であってもよい。形状は、例えば、コネクタの対応物の形状や特性に依存し得る基本的な幾何学的形状に関して、円弧形状又はあらゆる複雑な形状であってもよい。項目113は、図示の実施形態において、例えば、コネクタ本体や、コネクタ要素118の導体パッド又は一般に接触領域などの多くの導電性接点部材118Aを収容する任意の基板を指す。なお、基板113は、トレースなどの導電体や導電性パッド108を収容すればよい。
【0065】
例えば、接点部材118Aは、接着剤により、その本体などの残りのコネクタ要素118に取り付けられてもよく、印刷によりその上に直接製造されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、金属プレートは、コネクタ要素118の少なくとも1つの接点部材118Aを直接規定してもよい。より詳細には、プレートの金属又は他の導電性表面領域の1以上の部分は、外部要素119のピン、スリップ、又はパッドなどの導電性接点部材のための1以上の接点部材118Aを規定すればよい。プレートがコネクタ要素118の実際の本体を規定してもよいので、いくつかの実施形態では、更なる基板113は、不要であってもよい。
【0066】
種々の実施形態では、コネクタ要素118、又は例えば、特に、前述のその本体/基板113は、実質的に硬いか、剛性である。それは、その後、例えば、それぞれのとの接触に対するコネクタなどの外部要素110の頻繁な物理的取り付け124や取り外しによりよく耐えることができる。取り付けと取り外しは、簡単なプッシュ及びプルタイプの動作を指せばよく、あるいは、例えば、その手順が下記のような追加のファスナーの使用を含むならば、より複雑な動作を要求してもよい。適切な材料と材料の厚さなどの関連寸法により、コネクタ要素118の剛性又は一般的な耐久性を得られればよい。例えば、およそ1mmの厚さの金属プレートは、多くの適用に対してわずかに耐久性があると考えられる。コネクタ要素118は、硬い部分に加えてあるいはその代わりに、例えば、外部要素119の固定を強化するためのばね仕掛けの要素などの可撓性のあるばね部材を含んでもよい。外部要素119の嵌合が容易になり得、例えば、それとの確立した接続をより強くなり得る。いくつかの実施形態では、例えば、キャリア基板113は、本質的に可撓性であればよいが、残りのコネクタ部分は、実質的に硬くてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、外部装置のコネクタなどの外部要素119の提案した多層構造のコネクタ要素118への嵌合に続いて、例えば、接続領域118、119を含む結果として生じる集合構造の所望の部分は、他の潜在的な目的のうち、接続及び関連した要素をさらに保護し、あるいは固定するために、追加の材料126を備えてもよい。例えば、その目的のために、低圧成形や樹脂分散(エポキシの供給)を利用してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、コネクタ要素118は、前述のものの1以上、任意には、少なくとも1つの集積回路などの多くの電子部品をさらに備える。コネクタ要素118は、可撓性又は硬い、例えば、FR4型PCBの回路基板をさらに含む。回路基板は、上述のような多くの電子部品を持ってもよい。回路基板は、コネクタ要素118の本体又は基板部材を確立してもよい。
【0069】
なお、2つの間にガルバニック接続を確立し得るように、外部要素119がコネクタ要素118に到達するのを可能にするために、基板フィルム102は、穴又は「開口」102Bを備える。それを有する基板フィルム102に穴をあけたり、切り取ったり、エッチングしたり、例えば、成形を通して直接確立したりすることにより、穴102Bを形成すればよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、コネクタ要素118は、図示のように、基板フィルム102の第1面及びそれぞれの第1表面上に実質的に位置すればよい。外部要素119は、穴102Bに突き出し、穴102Bを囲む領域から基板102により支持される。
【0071】
その代わりに、実質的にコネクタ要素118ではないならば、アンダーハングのように少なくともその部分が穴102Bを規定する空間内に位置するように、コネクタ要素118を配置することができる。コネクタ要素118は、穴102Bの容積を実質的に完全に満たし、側面から、又は部分的にのみ基板フィルム102に接続すればよい。
【0072】
図示などのいくつかの実施形態では、多層構造100は、少なくとも1つの支持体と、任意に同時に外部コネクタなどの外部要素119のための固定要素120とを含む。支持要素120は、基板フィルム102のレベル底面又はそのレベルから環境に向かって突出すればよい。
【0073】
支持要素120は、少なくとも部分的に成形されればよい。例えば、それは、プラスチック層104の形成中に、その材料から成形されてもよい。モールドは、プラスチック層104の成型時に溶融プラスチックがそのような空間を満たし得るように、凹部、又は支持要素120のそれらに対応する他の形状を含めばよい。その目的のために、基板フィルム102は、支持要素120の成形部を確立するために、成形中に溶融プラスチックが侵入し得る穴又は少なくとも弱い(例えば、薄い)部分を含めばよい。その代わりに、支持要素120は、別のステップとして成形されてもよく、事前に準備した部品として多層構造100に導入されてもよい。
【0074】
支持要素120は、例えば、多層構造100及び例えばそのコネクタ要素118に対して、外部装置の外部コネクタなどの外部要素119を適切に位置決めするための支持面あるいは案内面を含んでもよい。あるいは、最終的に、多層構造100と外部要素との相対的な位置決めの問題であるので、その逆も同様である。
【0075】
なお、支持要素120は、上述のような観点に応じて、外部要素119をその位置に固定するために、あるいは多層構造100をそこに固定するために、その中に挿入されるねじ、リベット、又は他のファスナー122のためのボス又はより包括的なボスベース構造などの全体的固定又は配置固定の少なくとも一部を含めばよい。その目的のために、外部要素119は、例えば、ファスナー122の頭部と支持要素120の接触面との間にとどまるフランジを含んでもよい。支持要素120は、凹部、任意に、ねじなどのねじ要素を受けるためのねじ開口部を含めばよい。その代わりに、支持要素120内にねじ山を生成するために、ねじ山形成ねじを利用することもできる。
【0076】
いくつかの実施形態では、穴102Bは、例えば、外部要素119に接続していないとき、基礎をなすコネクタ要素118を保護するために、カバー121により少なくとも部分的に覆われ、あるいは満たされればよい。
【0077】
取り外し可能又は破壊可能なカバー121は、例えば、操作可能、すなわち、破壊可能、又は、コネクタ要素118へのアクセスが必要なとき、基板フィルムの第2面から実質的に取り外し可能であり、剥離可能、引き裂き可能、穴あけ可能、蝶つがいされ、屈曲可能、摺動し、離昇し、あるいは、好ましくは、回転可能又は並進運動可能なカバー部材を含めばよい。上述のように、例えば、屈曲可能で完全に取り外し可能な蓋として、基板フィルム102の一部からカバー121を形成してもよい。例えば、成形層104、又はコネクタ要素118などのその上の他の要素がそこに接着されておらず、あるいは、少なくとも接着性が低下しているように、成形前にその第1面上に付着防止材料を供給するなど、その部分を前処理してもよい。それに加えて又はその代わりに、前処理は、例えば、局所的穿孔、切断、又は他の機械的処理、あるいは、例えば、基礎をなす穴102B及びコネクタ要素118を露出させるように、後で容易に取り外せるカバー121を準備する化学処理(例えば、輪郭に沿って)を含めばよい。
【0078】
材料選択を考慮して、フィルム102、110は、ポリマー、熱可塑性プラスチック材料、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体(MS樹脂)、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、カーボン繊維、及び金属からなる一群から選択された少なくとも1つの材料から実質的になるか、あるいは、それを含めばよい。
【0079】
種々の実施形態では、フィルム102、110は、可撓性であればよく、したがって、例えば、多層構造100の製造中に破損することなく曲げるなど、多目的に扱えばよい。なお、例えば、熱成形手順や冷間成形手順に対応して、新しい形状を採用するように、それらの材料を選択してもよい。
【0080】
フィルム102、110は、各使用シナリオにより設定される要件に応じて形成されればよい。フィルム102、110は、例えば、長方形、円形、又は四角形の一般的形状を示せばよい。フィルム102、110は、実質的に無孔であってもよく、あるいは、他の構成要素への取り付け、電子機器又は他の構成要素の取り付け、光や他の放射線、流体など用の通路の供給などの種々の目的のために、任意に、他の材料で満たされた凹部、ノッチ、カット、又は開口部を含んでもよい。
【0081】
好ましくは、オーバーモールド手順により設けられるプラスチック層104は、一般に、例えば、弾性樹脂を含んでもよい。より詳細には、プラスチック層104は、PC、PMMA、ABS、PET、ナイロン(PA、ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ポリスチレン(GPPS)、TPSIV(熱可塑性シリコーン加硫物)、及びMS樹脂からなる一群から選択された少なくとも1つの材料を含む1以上の熱可塑性プラスチック材料を含めばよい。
【0082】
プラスチック層104や潜在的な更なる層(塗料、インク、フィルムなど)と同様に、フィルム層102、110は、外部から近く可能な所望の色や図形パターンを示すように構成されてもよい。例えば、多層構造100内に埋め込みグラフィックを配置するために、IMD/IML(インモールドデコレーション/ラベリング)手順を利用してもよい。
【0083】
また、限定的ではないが、レリーフなどの光学機能要素を潜在的に含む所望の他の特徴は、表面又は埋め込み特徴として多層構造100に設けられてもよい。
【0084】
図3は、本発明における方法の一実施形態を開示するフローチャート300を示す。
【0085】
多層構造を製造する方法の開始時に、スタートアップ段階402を実行すればよい。スタートアップ302中、材料、構成要素、ツールの選択、取得、較正、及び他の構成などの必要なタスクが行われればよい。個々の要素と材料の選択が連携して、選択された製造及び設置処理に耐えるように特に注意する必要がある。好ましくは、この処理は、製造処理の使用や成分データシートに基づいて、あるいは、例えば、製造したプロトライブを調査・テストすることにより、当然に、事前にチェックされる。したがって、その他の中で、成形/IMD(インモールドデコレーション)、積層、接合、(熱)形成、電子機器アセンブリ、切断、穴あけ、あるいは、印刷機器などの使用機器は、この段階で稼働状態になってもよい。
【0086】
ステップ304では、少なくとも1つの、好ましくは、可撓性のプラスチックの基板フィルム、又は、好ましくは、電子機器を収容するための他の平面的基板を得る。基板材料として使用するために、既製の要素、例えば、プラスチックフィルムのロールやシートを取得してもよい。いくつかの実施形態では、まず、所望の出発材料から成形や他の方法により、組織内で基板フィルム自体を製造してもよい。この段階で、任意に、基板フィルムをさらに処理してもよい。例えば、前述のように、穴、切り欠き、凹部、切り込みなどを設けてもよい。
【0087】
ステップ306では、好ましくは、プリンテッドエレクトロニクス技術の1以上の技術により、電子部品を電気的に結合するための例えば導体線、導体パッド(あるいは、他の接触領域)などを規定する多くの導電トレースをフィルム上に設ける。例えば、スクリーン、インクジェット、フレキソ印刷、グラビア印刷、又はオフセット平版印刷を利用すればよい。ここで、例えば、フィルム上へのグラフィックや視覚インジケータなどの印刷を含むフィルムを育成する更なる動作を行ってもよい。
【0088】
任意に、印刷により、更なる電子機器、あるいは成形プラスチックに対して非接着性の材料を基板上に配置してもよい。
【0089】
はんだや接着剤により、種々のSMDなどの既製の構成要素を接触領域に取り付けてもよい。その代わりに又はそれに加えて、OLEDなどの構成要素の少なくとも一部を直接フィルム上に実際に製造するために、プリンテッドエレクトロニクス技術を適用してもよい。
【0090】
ステップ308では、好ましくは、基板には、最終的構造におけるコネクタ要素の位置に実質的に一致する位置に、穴、必ずではないが、典型的に貫通孔が設けられる。例えば、ドリルを用いて基板から材料を取り除くことにより、あるいは、基板材料の周囲の壁部により後に規定される(例えば、円柱又は支柱などの適切なモールド形状により製造される)穴を本質的に含むような方法で、基板(したがって、ステップ308と304を組み合わせる処理のように)を製造することにより、穴を製造すればよい。さらに、穴は、上述のようなカバーなしで残されてもよく、カバーが設けられ、そのままにされてもよい。
【0091】
その代わりに、図示のように、後程、任意に、例えば、基板フィルムの第1面及び対応する表面上にコネクタ要素を位置決めした後、穴を製造することもできる。
【0092】
好ましくは、基板の第2面(環境側)からコネクタ要素への外部アクセスを可能とするように、穴を寸法決めし、形成する。なお、穴は、(成形前後に開口部に残る)コネクタ要素の目標部分やカバーを収容するように構成されてもよい。
【0093】
ステップ309は、ICや種々の構成要素などの電子機器を備える最初は別個の二次基板を組み込み得る1以上のサブシステム又は「サブアセンブリ」の可能な取り付けを指す。そのようなサブアセンブリを介して、多層構造のすべての電子機器の少なくとも一部を基板フィルムに設けてもよい。任意に、主基板に取り付ける前に、保護プラスチック層により少なくとも部分的にサブアセンブリをオーバーモールドしてもよい。サブアセンブリの一次(ホスト)基板との機械的接着のために、例えば、接着剤、圧力、あるいは熱を用いてもよい。はんだ、配線、及び導電性インクは、サブアセンブリの要素と一次基板上の残りの電気要素との電気的接続を提供するための適用可能なオプションの例である。例えば、ステップ308又は310中に、ステップ309も実行することができる。主として、図示の位置は例示に過ぎない。
【0094】
いくつかの実施形態では、例えば、所望の3次元(本質的に、非平面的)形状を示すために、成形段階の前又はその間に、任意に、電子機器を既に含む基板フィルムを(熱)形成318してもよく、冷間形成してもよい。目標環境/装置、あるいは目標使用によりよく適合するために、熱成形可能な材料を含む基板を形成してもよい。それに加えて又はその代わりに、既に確立した多層スタックがそのような処理に耐えるように設計した場合、成形後に熱成形を行うこともできる。
【0095】
ステップ310では、コネクタ要素は、基板フィルムに設けられ、好ましくは、本実施形態によれば、例えば、接着剤を用いて、基板の第1面又は第2面上に取り付けられ(固定され)、あるいは、穴が底にあり、又はそこまで延伸しているならば、その穴の中に取り付けられる(固定される)。例えば、その目的のために、ピックアンドプレース機器を用いてもよい。なお、例えば、パッド、ピン、フレックスケーブル、配線、又は導電性接着剤、はんだ、あるいはペーストなどの多くの導電性接点要素を用いて、基板上の回路レイアウトにそれを電気的に接続してもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ要素は、本明細書のほかの箇所でも記載したように、例えば、基板又は本体、回路基板、多くの電子部品、サブアセンブリなどを備えてもよい。種々の実施形態では、コネクタ配置が多くの構成要素又は構成要素(例えば、基板、本体、接点部材)を含むので、そのような各要素又は構成要素のために、適切な準備や配置技術を選択すればよい。例えば、任意に、例えば、熱可塑性結合とともに、導電性インク、エポキシ、接着剤、z軸接着剤、又はインクを用いて、トレース、パッド、又は接点部材などの導電体に基板又は本体を接着すればよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、コネクタを結合するための基板上に、例えば、(導電性接着剤/ペーストを含む)異方性フィルムの形式で、基板との物理的、機械的、あるいは、電気的接触を確保するための特定の接着材料をさらに設けてもよい。
【0097】
なお、基板フィルムの第2面からコネクタ要素の少なくとも一部を固定するために、オーバーモールド手順や樹脂分散手順などの適用可能なカプセル化を適用してもよい。
【0098】
ステップ312では、基板フィルムの第1面及びその上のトレースや多くの電子部品などの電子機器上に、少なくとも1つの熱可塑性層を成形する。実際には、射出成形処理における挿入面(インサート)として、基板フィルムを用いてもよい。いくつかの実施形態では、基板フィルムの第1面及び関連表面は、成形プラスチックのない1以上のとして残されてもよい。成形層は、その一部として、コネクタ要素を固定するのを容易にする。
【0099】
その場合、2つのフィルムを用い、プラスチック層をそれらの間に注入するように、それら自身の金型に2つのフィルムを挿入すればよい。その代わりに、適切な積層技術により、第1基板フィルムと、その後のプラスチック層との集合体に第2基板フィルムを取り付けることもできる。
【0100】
得られた積層構造の結果として生じる全体厚さに関して、それは、製造及びその後の使用に関して、必要な強さを提供する使用材料及び関連した最小材料厚さに大きく依存する。これらの側面は、ケースバイケースで検討する必要がある。例えば、構造の全体厚さをおよそ1mm又は数mmであればよいが、かなり厚い実施形態や厚い実施形態も実行可能である。
【0101】
ステップ314は、可能な後処理タスクを指す。積層手順又は適切なコーティング(例えば、堆積)手順により、多層構造に更なる層を追加してもよい。それらの層は、保護的、指標的、あるいは美的価値(グラフィック、色、図、テキスト、数値データなど)であればよく、例えば、更なるプラスチックの代わりに又はそれに加えて、織物材料、皮革、又はゴム材料を含んでもよい。基板の外面などの構造の外表面に、電子機器などの追加の要素を設置してもよい。成形や切断が行われてもよい。外部装置のコネクタなどの所望の外部要素にコネクタ要素を接続してもよい。例えば、これら2つのコネクタはともに、プラグソケット形接続を形成すればよい。
【0102】
多層構造のコネクタ要素に外部要素を接続した後、プラスチックの低圧成形や樹脂分散(エポキシ)などの追加の処理により、確立した接続及び関連した要素をさらに固定し、あるいは、保護してもよい。そうすると、結果としての層は、例えば、接続領域において、所望の要素(例えば、フィルム102の第2面(表面)、支持要素120、カバー121、コネクタ118、あるいは要素119)を少なくとも部分的にカプセル化すればよい。構造の電気要素などの他の要素を保護し、固定するために、低圧成形又は樹脂分散を利用してもよい。
【0103】
ステップ316では、方法の実行を終了する。
【0104】
図4Aは、多層構造の更なる実施形態を符号400として示す。コネクタ要素118は、キャリア基板113を備える。また、キャリア基板113は、例えば、キャリア基板113又は基板フィルム102にコネクタ要素118を電気的に接続するためのトレースあるいは導体パッドを規定する導電体108の少なくとも一部を収容すればよい。
【0105】
図4Bは、更なる実施形態を符号410として示す。コネクタ要素118を配置され、あるいは、コネクタ要素118は、基板フィルム102の第2面及びそれぞれの表面上に配置され、好ましくは、それらに沿って延伸する部分118Bを少なくとも備える。部分118Bと基板フィルム102(図示せず)の間に、更なる要素又は層、例えば、導電体(トレース、パッド)108があってもよい。
【0106】
さらに、例えば、穴102Bに設けられた導電性材料を用いて、部分118Bから基板フィルム102の第1面へ、あるいは、導電体108及びその上に配置される要素106への確立した電気的接続118Cがあればよい。ある場合には、以下に記載した次の実施形態をさらに参照して、コネクタ要素118の一部は、基板フィルム102の第1面上に位置してもよい。同様に、部分118Bに接点部材118Aを設けてもよい。
【0107】
実際に、図4Cは、符号420において、更なる実施形態を示す。基板フィルム102の穴102Bを介して至る、例えば、フレキシブル回路、フィルム又はケーブルを組み込む少なくともコネクタ要素118の部分118Bは、少なくとも1つの電子部品118Dと、任意に、能動素子、受動素子、電気機械部品、光電子部品、あるいは集積回路とを備える。部分118Bは、例えば、図示のように、コネクタ要素118から環境に延伸する基板フィルム102の第2面上に位置すればよい。さらに、樹脂分散などの他の手順を用いて、電子部品118Dをオーバーモールドしたり、カプセル化したりしてもよい。
【0108】
なお、部分118B又は一般にコネクタ要素118と、基板フィルム102(図示せず)との間に、更なる要素又は層、例えば、導電体(トレース、パッド)108があってもよい。また、この場合、部分118B内に接点部材118Aを設けてもよい。
【0109】
当業者は、多層構造の種々の上述の実施形態を容易に選択的に組み合わせてもよい。例えば、任意のオーバーモールド又は他の実行可能なカプセル化を備えた図4Cの実施形態の前記少なくとも電子部品118Dを図1図4A、又は図4Bの解決手段に導入することができる。同様に、残りのレビューした実施形態に関連して、潜在的に、図1のより一般的又は包括的なカプセル化層126を利用することができる。
【0110】
本発明の範囲は、その均等物とともに、添付の特許請求の範囲により決定される。当業者は、開示した実施形態が例示目的のみのために記載され、上記原理の多くを適用する他の構成が各潜在的な使用シナリオに最も適合するように容易に準備可能であるという事実を認識するであろう。例えば、印刷トレースの代わりに、別な方法でトレースを作成あるいは提供することができる。例えば、他の選択肢のうち、エッチングを用いて製造した導体フィルムを適用することもできる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C