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特許7105868振動する機械式アクチュエータを有するデバイスからの改善された音声再生
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】振動する機械式アクチュエータを有するデバイスからの改善された音声再生
(51)【国際特許分類】
   H04R 7/04 20060101AFI20220715BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20220715BHJP
   H04R 3/04 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H04R7/04
H04R3/00 310
H04R3/00 320
H04R3/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020505431
(86)(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 FR2018051874
(87)【国際公開番号】W WO2019025700
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】1757383
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519304206
【氏名又は名称】イヴィーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン・マモウ-マニ
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-009236(JP,A)
【文献】特開2017-123636(JP,A)
【文献】特開2016-171556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00- 3/14
H04R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の放射構造の振動によって、マルチメディア音声コンテンツをレンダリングするための方法であって、
前記放射構造の前記振動が、レンダリングデバイスとの接触によって引き起こされ、前記レンダリングデバイスが、
- 前記放射構造が前記レンダリングデバイスと接触しているとき、マルチメディア音声信号に対応するソース信号から、前記放射構造に振動励起を適用するように構成された、少なくとも1つの機械式アクチュエータ
を備える、方法において、
前記レンダリングデバイスが、前記放射構造の前記振動から生じる少なくとも1つの信号をピックアップするように構成された、少なくとも1つのセンサーをさらに備え、
前記方法が、
* 知られている振動音響周波数成分を有するソース信号を、前記アクチュエータに供給するステップと、
* 前記アクチュエータによって印加された前記放射構造からの振動信号を、前記センサーから受信して、前記ソース信号を介して前記アクチュエータにフィードバックを提供するために、前記センサーから受信された振動音響周波数振動信号と、前記ソース信号の前記振動音響周波数成分との間の比較によって、前記放射構造の振動音響周波数応答を取得するステップと、
* 前記放射構造の前記振動音響周波数応答を補正する補正フィルタを適用することによって、前記アクチュエータに供給するように意図された前記ソース信号を前記フィードバックに基づいて補正し、前記補正フィルタによって補正された前記放射構造の前記振動音響周波数応答が、各周波数に関連付けられた振幅を備えるようにして、現在の周波数に関連付けられた前記振幅と、すべての前記周波数にわたる平均振幅との間の絶対値における差が、選択されたしきい値を下回るようにするステップと、
*そのように補正された前記ソース信号を、前記アクチュエータに供給するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記選択されたしきい値が5dB以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクチュエータに供給するように意図された前記ソース信号の前記補正が、
- 前記放射構造の前記振動音響周波数応答における振動中心の周波数識別と、
- 前記ソース信号の他の周波数に対して、前記放射構造の前記振動中心の周波数前記ソース信号の振幅を減衰させるための、前記ソース信号に適用されるべき前記補正フィルタの作成と
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記レンダリングデバイスが、前記放射構造の識別子のための入力インターフェースを備え、前記放射構造の前記振動音響周波数応答に関するデータが、データベース内で前記放射構造の前記識別子にマッピングされて、メモリ内に記憶される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記レンダリングデバイスが、前記放射構造の識別子のための入力インターエースを備え、前記放射構造の前記振動音響周波数応答に関するデータが、データベース内で前記放射構造の前記識別子にマッピングされて、メモリ内に記憶され、
前記データベース内に記憶された前記データが、前記放射構造に関する少なくとも振動中心周波数データを備え、前記放射構造の振動中心の前記周波数識別が、
- 前記データベース内の、放射構造識別子に基づく、前記データベース内に以前に記憶された前記放射構造の過去の振動中心周波数に関するデータの検索と、
-前記放射構造識別子に対応するデータが前記検索の間に取り出されている場合、前記過去の振動中心周波数を含む、周波数範囲における前記放射構造の現在の振動中心周波数の決定
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記レンダリングデバイスが、リモートサーバとの通信インターフェースをさらに備え、前記方法が、
- 前記レンダリングデバイスによって適用される、前記リモートサーバへの、ソース信号振動音響周波数成分データを伴う、前記センサーによって受信された前記放射構造からの前記振動信号についてのデータの送信と、
- 前記サーバによって適用される、前記放射構造の前記振動音響周波数応答の決定と、
- 前記サーバによる、前記アクチュエータに供給するように意図された前記ソース信号を補正するための、前記補正フィルタの作成と、
- 前記サーバによって適用される、前記レンダリングデバイスにおいて前記ソース信号を補正するための、前記レンダリングデバイスの通信インターフェースへの前記補正フィルタの送信と
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記レンダリングデバイスが、前記放射構造の識別子のための入力インターエースを備え、前記放射構造の前記振動音響周波数応答に関するデータが、データベース内で前記放射構造の前記識別子にマッピングされて、メモリ内に記憶され、前記データベースが、前記サーバにおけるメモリ内に記憶される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータプログラムであって、このプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実施するための命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項9】
レンダリングするためのレンダリングデバイスであって、前記レンダリングデバイスと接触している任意の放射構造の振動によって、マルチメディア音声コンテンツをレンダリングするためのデバイスであり、前記レンダリングデバイスが、
- マルチメディア音声信号に対応するソース信号から、前記放射構造に振動励起を適用するように構成された、少なくとも1つの機械式アクチュエータ
を備える、デバイスにおいて、
前記レンダリングデバイスが、
- 前記放射構造の振動から生じる少なくとも1つの信号をピックアップするように構成された、少なくとも1つのセンサーと、
- プロセッサとをさらに備え、前記プロセッサが、
* 知られている振動音響周波数成分を有するソース信号の、前記アクチュエータへの供給を制御すること、
* 前記アクチュエータによって印加された前記放射構造からの振動信号を、前記センサーから受信して、前記ソース信号を介して前記アクチュエータにフィードバックを提供するために、前記センサーから受信された振動音響周波数振動信号と、前記ソース信号の前記振動音響周波数成分との間の比較によって、前記放射構造の振動音響周波数応答を取得すること、
* 前記放射構造の前記振動音響周波数応答を補正する補正フィルタを適用することによって、前記アクチュエータに供給するように意図された前記ソース信号を前記フィードバックに基づいて補正し、前記補正フィルタによって補正された前記放射構造の前記振動音響周波数応答が、各周波数に関連付けられた振幅を備えるようにして、現在の周波数に関連付けられた前記振幅と、すべての前記周波数にわたる平均振幅との間の絶対値における差が、選択されたしきい値を下回るようにすること、および
* 十分に補正された前記ソース信号の、前記アクチュエータへの前記供給を制御すること
を行うように構成されることを特徴とする、デバイス。
【請求項10】
システムであって、
- 請求項9に記載のレンダリングデバイスと、
- 前記レンダリングデバイスと通信することが可能であり、プロセッサを装備したサーバとを備え、前記プロセッサが、
* 前記レンダリングデバイスから、ソース信号振動音響周波数成分データとともに、前記レンダリングデバイスの前記センサーによって受信された前記放射構造からの前記振動信号についてのデータを受信すること、
* 前記ソース信号を介して前記アクチュエータにフィードバックを提供するために、前記放射構造の前記振動音響周波数応答を決定すること、
* 前記フィードバックに基づいて、前記アクチュエータに供給するように意図された前記ソース信号を補正するために、補正フィルタを作成すること、および
* 前記レンダリングデバイスにおいて前記ソース信号を補正するために、前記レンダリングデバイスに前記補正フィルタを送信すること
を行うためのものである、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムのサーバであって、プロセッサを備え、前記プロセッサが、
* 前記レンダリングデバイスから、ソース信号振動音響周波数成分データとともに、前記レンダリングデバイスの前記センサーによって受信された前記放射構造からの前記振動信号についてのデータを受信すること、
* 前記放射構造の前記振動音響周波数応答を決定すること、
* 前記アクチュエータに供給するように意図された前記ソース信号を補正するために、補正フィルタを作成すること、および
* 前記レンダリングデバイスにおいて前記ソース信号を補正するために、前記レンダリングデバイスに前記補正フィルタを送信すること
を行うためのものである、サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射構造に振動を印加するアクチュエータを備えるレンダリングデバイスからのマルチメディアコンテンツの音声レンダリングに関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、音声レンダリングデバイスが(特に、たとえば、文書KR101265798(B1)から)知られており、音声レンダリングデバイスは、たとえば、スマートフォンタイプの端末SMの形態をとることができ、図1に示されるようなテーブルのトップなど、音響的放射構造SR上に配置され得る。そのようなデバイスSMは、たとえば、
- マルチメディア音声コンテンツ(音楽、ラジオ放送から生じるコンテンツなど)を(恒久的に、または一時的に)記憶するメモリと、
- メモリからデータコンテンツを読み取り、以下で定義する機械式アクチュエータを駆動するためのプロセッサと、
- 動作時に、デバイスSMと接触している表面に、プロセッサによって制御された振動を印加することが可能な機械式アクチュエータと
を備え得る。
【0003】
そのような実施形態は、スマートフォンなどのマルチメディアレンダリングデバイス上に通常設けられる小型のラウドスピーカーを省くこと、および、任意の利用可能な放射構造(テーブル、机など)を使用して、放射構造の振動から生じる増幅された音声を引き起こすことが期待できる。
【0004】
しかしながら、この実施形態は、特に、デバイスSMから振動を受信する放射構造の振動音響性質の多様性のために、さらなる改善が必要であると見なされるようになっている。典型的には、ガラス製のテーブルおよび木製のテーブルは、たとえば、木の場合よりもガラスの場合にはるかに多くフィルタ処理され、共鳴する音声と、等しく共鳴しない。同様に、放射構造の寸法(および/または形状、バッフルか否か)が、それらの共鳴に影響を及ぼす。その上、たとえば、テーブル上のデバイスSMの位置(テーブルの角にあるか、またはテーブルの中心にあるか)もまた、音響共鳴に影響を及ぼす。従来技術のデバイスは、そのような違いを考慮に入れておらず、音声は、(たとえば、典型的には、ガラス製または金属製の支持体上の)デバイスSMを収納する放射構造に応じて、劣化して現れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】KR101265798(B1)
【文献】FR 17 51403
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、この状況を改善する。
【0007】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、任意の放射構造の振動によって、マルチメディア音声コンテンツをレンダリングするための方法であって、放射構造の振動が、レンダリングデバイスとの接触によって引き起こされ、レンダリングデバイスが、放射構造がレンダリングデバイスと接触しているとき、マルチメディア音声信号に対応するソース信号から、放射構造に振動励起を適用するように構成された、少なくとも1つの機械式アクチュエータを備える、方法を提案する。
【0008】
より詳細には、レンダリングデバイスは、本発明の意義の範囲内で、放射構造の振動から生じる少なくとも1つの信号をピックアップするように構成された、少なくとも1つのセンサーをさらに備え、この方法は、
* 知られている振動音響周波数成分を有するソース信号を、アクチュエータに供給するステップと、
* アクチュエータによって印加された放射構造からの振動信号を、センサーから受信して、センサーから受信された振動音響周波数振動信号と、ソース信号の振動音響周波数成分との間の比較によって、放射構造の振動音響周波数応答を取得するステップと、
* 放射構造の振動音響周波数応答を補正するフィルタを適用することによって、アクチュエータに供給するように意図されたソース信号を補正し、補正フィルタによって補正された放射構造の振動音響周波数応答が、各周波数に関連付けられた振幅を備えるようにして、現在の周波数に関連付けられた振幅と、すべての周波数にわたる平均振幅との間の絶対値における差が、選択されたしきい値を下回るようにするステップと、
* 十分に補正されたソース信号を、アクチュエータに供給するステップと
を含む。
【0009】
したがって、デバイスが接触している任意のタイプの放射構造に、アクチュエータによって印加される振動を適応させるために、次いで、本発明によるデバイスが備えるセンサーによってピックアップされた振動の測定値に応じた、アクチュエータに供給する信号の補正が提案される。
【0010】
一実施形態では、選択されたしきい値は、たとえば、5dB以下である。そのような実施形態によって、音楽レンダリングのために設計されたラウドスピーカーであるかのように、実質的に平坦である、放射構造の補正されたスペクトル応答を有することが可能になる。
【0011】
一実施形態では、アクチュエータに供給するように意図されたソース信号の補正は、
- 放射構造の振動音響周波数応答における振動中心の周波数識別と、
- 他の周波数に対して、少なくとも放射構造の振動中心の周波数まで、ソース信号の振幅を減衰させるための、ソース信号に適用されるべき補正用フィルタの作成と
を含み得る。
【0012】
代替的に、放射構造の振動中心を正確に識別することが困難である、典型的な場合には、放射構造の応答を全体的に中和するために、以下で見られるように、全体的なスペクトル解析(たとえば、LPC)を実施することが可能である。
【0013】
一般に、レンダリングデバイスは、放射構造の識別子のための入力インターフェースを備えることができ、放射構造の振動音響周波数応答に関するデータが、データベース内で放射構造の識別子にマッピングされて、メモリ内に記憶される。
【0014】
そのような実施形態によって、したがって、構造の識別子に基づいて、構造の振動データを取り出すこと、および、ソース信号に適用されるべき補正フィルタの(完全な再計算ではなく)単純な更新を迅速に計算することが可能になる。
【0015】
データベース内に記憶されたデータが、放射構造の少なくとも振動中心周波数についての前のデータを備える、可能な実施形態では、上述の放射構造の振動中心周波数の識別は、たとえば、
- データベース内の、放射構造識別子に基づく、データベース内に以前に記憶された放射構造の前の振動中心周波数に関するデータの最初の検索と、
- 最初の検索が肯定的である場合、上記の前の振動中心周波数を含む、周波数範囲における放射構造の現在の振動中心周波数の検索と
を含み得る。
【0016】
より一般的には、補正フィルタを取得するために行われる計算は、リモートサーバを用いて分散され得るか、またはリモートサーバによって完全に適用され得、レンダリングデバイスが、そのようなリモートサーバとの通信インターフェースをさらに備える場合には、方法は、
- レンダリングデバイスによって適用される、リモートサーバへの、ソース信号振動音響周波数成分データを伴う、センサーによって受信された放射構造からの振動信号についてのデータの送信と、
- 放射構造の振動音響周波数応答の決定と、
- サーバによる、アクチュエータに供給するように意図されたソース信号を補正するための、補正フィルタの作成と、
- サーバによって適用される、レンダリングデバイスにおいてソース信号を補正するための、レンダリングデバイス通信インターフェースへの補正フィルタの送信と
を含み得る。
【0017】
したがって、上述のデータベースは、たとえば、このサーバにおけるメモリ内に記憶され得る。
【0018】
本発明はまた、コンピュータプログラムであって、このプログラムがプロセッサによって実行されると、上記で定義した方法を実施するための命令を備える、コンピュータプログラムを対象とする。そのようなコンピュータプログラムの全体的なアルゴリズムが、以下で説明する図3または図6において示され得る。このプログラムの命令は、上述のレンダリングデバイスのメモリ内に記憶され得るか、または、このデバイスと上述のサーバとの間で分散され得る。
【0019】
また別の態様によれば、本発明はまた、そのようなレンダリングするためのデバイスであって、レンダリングデバイスと接触している任意の放射構造の振動によって、マルチメディア音声コンテンツをレンダリングするためのデバイスであり、このレンダリングデバイスが、
- マルチメディア音声信号に対応するソース信号から、放射構造に振動励起を適用するように構成された、少なくとも1つの機械式アクチュエータと、
- 放射構造の振動から生じる少なくとも1つの信号をピックアップするように構成された、少なくとも1つのセンサーと、
- プロセッサとを備え、プロセッサが、
* 知られている振動音響周波数成分を有するソース信号の、アクチュエータへの供給を制御すること、
* アクチュエータによって印加された放射構造からの振動信号を、センサーから受信して、センサーから受信された振動音響周波数振動信号と、ソース信号の振動音響周波数成分との間の比較によって、放射構造の振動音響周波数応答を取得すること、
* 放射構造の振動音響周波数応答を補正するフィルタを適用することによって、アクチュエータに供給するように意図されたソース信号を補正し、補正フィルタによって補正された放射構造の振動音響周波数応答が、各周波数に関連付けられた振幅を備えるようにして、現在の周波数に関連付けられた振幅と、すべての周波数にわたる平均振幅との間の絶対値における差が、選択されたしきい値を下回るようにすること、および
* 十分に補正されたソース信号の、アクチュエータへの供給を制御すること
を行うように構成される、デバイスを対象とする。
【0020】
また別の態様によれば、本発明はまた、システムであって、
- そのようなレンダリングデバイスと、
- レンダリングデバイスと通信することが可能であり、プロセッサを装備したサーバとを備え、プロセッサが、
* レンダリングデバイスから、ソース信号振動音響周波数成分データとともに、レンダリングデバイスのセンサーによって受信された放射構造からの振動信号についてのデータを受信すること、
* 放射構造の振動音響周波数応答を決定すること、
* アクチュエータに供給するように意図されたソース信号を補正するために、補正フィルタを作成すること、および
* レンダリングデバイスにおいてソース信号を補正するために、レンダリングデバイスに補正フィルタを送信すること
を行うためのものである、システムを対象とする。
【0021】
本発明はまた、そのようなシステムのサーバであって、ひいてはプロセッサを備え、プロセッサが、
* レンダリングデバイスから、ソース信号振動音響周波数成分データとともに、レンダリングデバイスのセンサーによって受信された放射構造からの振動信号についてのデータを受信すること、
* 放射構造の振動音響周波数応答を決定すること、
* アクチュエータに供給するように意図されたソース信号を補正するために、補正フィルタを作成すること、および
* レンダリングデバイスにおいてソース信号を補正するために、レンダリングデバイスに補正フィルタを送信すること
を行うためのものである、サーバを対象とする。
【0022】
本発明の他の利点および特徴は、以下で提示する例示的な実施形態の説明を読み、上記で提示した図1に加えて、以下の図面を検討すると、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】たとえば、スマートフォンタイプの端末SMの形態をとることができ、音響的放射構造SR上に配置され得る、音声レンダリングデバイスの図である。
図2】本発明の例示的な実施形態によるレンダリングデバイスを概略的に示す図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による方法のステップを概略的に示す図である。
図4A】振動中心を有する放射構造(ここでは、低い金属製のテーブル)のスペクトル応答の一例を示す図である。
図4B】この放射構造の補正されたスペクトル応答の一例を示す図である。
図5】別の放射構造、ここでは靴箱のスペクトル応答(薄い曲線)を、補正された同じ応答(濃い曲線)と比較する図である。
図6】本発明の意義の範囲内のサーバを伴う例示的な実施形態による方法のステップを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2のレンダリングデバイスDISは、本発明の意義の範囲内のコンピュータプログラムの命令の少なくとも一部を記憶するメモリMEMと協働することができる、プロセッサPROCを備える。メモリMEMは、マルチメディア音声コンテンツデータ、および、場合によっては、図3に示し、後でコメントするタイプのプロセッサによって加工された一時的な計算データを記憶することもできる。デバイスDISは、1つまたは複数の機械式アクチュエータAC1およびAC2(たとえば、コンテンツのフォーマットを守る立体音響レンダリングについて示された例では、2つのアクチュエータ)をさらに備える。これらのアクチュエータAC1、AC2は、デバイスが機械的に接触している支持体に、制御された振動を印加する。これらのアクチュエータは、電気機械変換によって、任意の表面をラウドスピーカーメンブレンに変換する。そのようなアクチュエータを備えるレンダリングデバイスは、多数の利点を有し、すなわち、それらのレンダリングデバイスは小型であり、ポータブルであり、それにもかかわらず、接触している表面によって、強い低音が得られる。
【0025】
1つの可能なタイプのアクチュエータAC1は、たとえば、Tectonic(登録商標)社によって、モデル参照記号TEAX25C10-8/HSで販売されたものであり得る。支持体は、その上にデバイスDISが単に配置される、テーブルまたは机であり得る。したがって、支持体は、アクチュエータAC1、AC2によって振動が印加されるとき、音響的な放射構造を形成する。より一般的には、そのような支持体は、何であってもよく、たとえば、デバイスDISの剛性保護シェルからなり得る。
【0026】
本発明の意義の範囲内のデバイスDISはまた、1つまたは複数のセンサーC1、C2を備え、そのうちの少なくとも1つが、アクチュエータAC1、AC2が支持体に振動を印加するとき、デバイスDISが接触している支持体によって引き起こされた音響振動をピックアップするように構成される。そのようなセンサーC1は、たとえば、K&K(登録商標)社によって、モデル参照記号Hot Spotで販売されたものであり得る。他方のセンサーC2は、たとえば、(デバイスが使用される部屋の反響の影響を制限するか、または、さらにデバイスのユーザによって所望される等価を改善するなどのために)レンダリング音声を改善するためのマイクロフォンであり得る。
【0027】
レンダリングデバイスDISは、図6を参照しながら以下で説明する一実施形態において、通信ネットワークRESを介して、サーバSERとの通信インターフェースCOMをさらに備える。図6のこの例示的な実施形態でわかるように、サーバSERは、放射構造(テーブル、机など)を形成する支持体の識別子IDに応じて、アクチュエータAC1、AC2に供給する信号に適用されるべき補正のフィルタFILTについてのデータをアーカイブするデータベースDBを、メモリ内に記憶する。さらに、レンダリングデバイスDISは、支持体識別子IDを入力するための(デバイスのユーザにとって利用可能な)入力インターフェースINTを備えることができる。
【0028】
次に図3を参照すると、最初のステップS11は、特に、デバイスのユーザによって選択された音声コンテンツにアクセスするために、メモリMEMを読み取ることにあり得る。ステップS12で、プロセッサは、このコンテンツの読取りを開始し、選択された持続時間の時間ウィンドウにわたって、特にそのスペクトル特性(音響周波数、たとえば、30~16000Hzまでに応じた音声振幅)を識別する。
【0029】
次のステップS13で、プロセッサPROCは、アクチュエータAC1、AC2を駆動して、支持体に振動を印加し、支持体は、放射構造として挙動し、したがって、ステップS14でセンサーC1、C2によって測定される振動音響信号を発する。次いで、プロセッサPROCは、上述の選択された持続時間にわたって、ステップS15で放射構造によって発せられた振動音響信号のスペクトル特性を推定し、放射構造から生じる信号のこれらの特性を、(ステップS12で決定された)コンテンツの特性と比較する。
【0030】
図4Aは、ここでは低い金属製のテーブルに対応し、典型的には450Hz、700Hzおよび1100Hzにおいて中心を有する、放射構造の振動中心の一例を示す。放射構造のこの周波数応答は、アクチュエータAC1、AC2の振動の間の振動音響信号のスペクトルと、(マルチメディア音声コンテンツに対応する)ソース信号のスペクトルとの間の比較から導出される。この比較は、たとえば、放射構造からの振動信号のスペクトルを、ソース信号のスペクトルによって除算することにあり得る。したがって、これらのスペクトルを取得するための上述の選択された持続時間が、たとえば、測定された振動音響信号のスペクトルにおけるコンテンツの単一の周波数寄与を保持するためのみでなく、とりわけ、放射構造の振動に応答して振動音響中心を識別するために十分長いことは理解されよう。たとえば、マルチメディア音声コンテンツは、(ソース信号のスペクトルにおけるすべての周波数を取得するために十分長い持続時間の解析ウィンドウを有する)音楽であり得るか、または最初は、すべての音響周波数が同時に存在するホワイトノイズでさえあり得る。しかしながら、より好ましい使いやすさのために、レンダリングされるべきマルチメディア音声コンテンツに基づいて、ステップS11~S16を実行することが好ましくなり得、補正の改善が漸進的であることが可能である。
【0031】
図3のステップS17で生じる補正自体は、放射構造の振動中心を減衰させるために、ソース信号に補正フィルタを適用することにあり得る。補正フィルタは、この実施形態では、より具体的には、フィードバックコントローラである。例として、このタイプのフィードバックコントローラは、文書FR 17 51403において記載されたものであり得る。
【0032】
より一般的には、この補正フィルタは、図4Aとの比較によって、図4Bに示されるように、放射構造の応答における振動中心に対応する周波数ピークを(その振幅を減衰させるという意味で)「平滑化する」効果を有し得る。明らかに、この振幅低減は、いくつかの周波数、典型的には、たとえば、図4Aにおける1500Hzの領域における、放射構造のスペクトル応答においてあまり表されない周波数のための、振幅増加(利得増加)によって設定され得る。そのような実施形態によって、均一な平均スペクトルエネルギーを保持することが可能になる。放射構造のスペクトル応答のこの補正後、応答自体は、選択されたしきい値、たとえば、5dBを下回ったままである、異なる周波数に関連付けられた振幅間の絶対値における差を有し得る。
【0033】
したがって、たとえば、そのような補正が、この構造の形状に関連するバッフル効果のために、低い周波数の範囲内で強い表現を有する、ここでは、靴箱のスペクトル応答(比較的薄い曲線)に対応する、図5のスペクトルにおいて実行されている。補正されたスペクトル応答(比較的濃い曲線)は、図5に提示されるように、振幅がより平坦である。
【0034】
したがって、それは、放射構造の振動中心の影響を最小限に抑えるために、アクチュエータAC1、AC2に供給する信号に最終的に適用される、放射構造の応答を補正することができる(次いで、この応答は、図5の濃い曲線の外観を有する)、フィルタFILTである。
【0035】
次に、上述のステップが、レンダリングデバイスDISと、その通信インターフェースCOMを介してレンダリングデバイスに接続されたリモートサーバSERとの間で、分散的に実行され得る、一実施形態を示す図6を参照する。この実施形態の代替手法では、すべてのステップが、レンダリングデバイスDISによって行われ得る。最初の手法によれば、補正フィルタFILTのデータが、レンダリングデバイスDISの各使用について決定され得る。ただし、計算が集中的になることがあり、すべての上述のステップを系統的に繰り返すことを回避するために、(最初の実施形態では、レンダリングデバイスのメモリMEM内に記憶され得る)データベース内にフィルタFILTのデータを記憶することが有利であり得る。そのような実施形態では、所与の支持体(たとえば、特にテーブル)のためのフィルタFILTデータの最初の計算の後、ヒューマンマシンインターフェースが、レンダリングデバイス上で駆動され、入力インターフェースINTを介して、この支持体の識別子(たとえば、「木製のテーブル#1」)を入力するように、ユーザにプロンプトを出すことができる。したがって、同じ支持体における後続の使用のために、ヒューマンマシンインターフェースは、この支持体の識別子がすでに知られている場合、その識別子を入力するように、ユーザにプロンプトを出すために再度駆動され得る。必要に応じて、デバイスは、この「木製のテーブル#1」支持体に対応するフィルタFILTデータを、そのデータベースから取り出すことができる。しかしながら、少なくとも以下の理由で、新しい補正フィルタFILTを再計算することが好ましい。
- 支持体の振動音響性質が、経時的に変化し得ること、および
- 放射構造の振動音響性質もまた、支持体上のデバイスの位置に依存し得ること(たとえば、テーブルの角におけるデバイスの位置は、テーブルの中心におけるデバイスの位置と同じ振動音響特性を引き起こさない)。
【0036】
したがって、以下で説明する一実施形態では、フィルタデータが、支持体識別子に直接マッピングされて記憶されるのではなく、放射構造の応答の特性が記憶される。これらの特性は、たとえば、図3に示された方法の上記の実装形態では、その中で放射構造の振動中心が識別された周波数範囲を示す。
【0037】
たとえば、振動中心周波数を中心としてプラスまたはマイナス10%の周波数範囲が、この範囲内で実行されるべき放射構造の新しい振動中心の検索のために記憶され得る。したがって、検索の対象がより絞られるので、計算がそれほど長くならず、必要になるレンダリングデバイスDISのリソースがより少ない。
【0038】
しかしながら、この観測から開始して、一実施形態は、同じタイプのレンダリングデバイスDISによって実行され得る異なる測定をプールすること、および、したがって、各レンダリングデバイス上で個々にではなく、レンダリングデバイスのセットのための共通サーバSER上で、データベースDBを保持することにある。この場合、家具メーカーは、たとえば、異なる提案された家具モデルのために、スペクトル応答データを利用可能にすることができる。特定のモデルのデータは、同じモデルの現在の支持体の振動中心の取得を迅速化および簡略化するために、たとえば、通信インターフェースCOMを介して、ウェブサイトからダウンロードするために利用可能であり得る。
【0039】
したがって、図6を参照すると、たとえば、図3のステップS15の後、デバイスDISは、ステップS21でユーザによって入力された支持体識別子に基づいて、ステップS22で、サーバSERのデータベースDBに問い合わせることができる。サーバは、ステップS23で、そのデータベースをルックアップし、特にステップS24で、この識別子IDについて、振動中心データ(または、より一般的には、フィルタFILTデータ)がすでに決定されているか否かを決定することができる。
【0040】
そうである場合(テストS24を出る際のOKの矢印)、ステップS29で、ソース信号のスペクトルと、1つまたは複数のセンサーC1、C2によって測定された信号のスペクトルとの比較が、データベース内に記憶された現在の支持体の振動中心を含む周波数範囲についてのみ実行される。したがって、ステップS30で、適用されるべき補正フィルタが、これに基づいて決定され得る(または、より一般的には、上記の補正フィルタ自体が、センサーC1から生じる新しいデータを用いて補正され得る)。
【0041】
支持体識別子IDがデータベースにない場合(テストS24を出る際のKOの矢印)、ステップS25で、すべての音響スペクトルにわたって比較が実行され、ステップS26で、この支持体について、補正フィルタが初めて推定される。
【0042】
次に、ステップS27で、補正フィルタデータ(および、特に、現在の支持体の振動中心データ)が、次のようにデータベースDB内に記憶され得る。
- ステップS30に従って、補正用フィルタがすでに決定されている場合、古いデータを置換する(したがって、その製造における、または使用された材料における、この支持体の変化を考慮に入れる)、または
- 新しい支持体に関するデータとして。
【0043】
次いで、このように更新された補正フィルタFILTデータは、以前に説明した図3のステップS17に従って、このデバイスのアクチュエータAC1、AC2に供給するように意図された信号を補正するために、ステップS28で、レンダリングデバイスDISに送信され得る。
【0044】
上記で説明した少数の実施形態の詳細、および実装形態の利点について、以下で説明する。
【0045】
最初に、各支持体のための個々の補正フィルタの決定が、以下のように正当化される。
【0046】
音響放射を引き起こすいかなる物体も、その周波数応答、すなわち、(直線性を仮定して)その物体を励起するいかなる力をも、その物体がある空間点において放射する音声にリンクさせる関数によって、説明され得る。したがって、優良なラウドスピーカーは、平坦な周波数応答を有し、したがって、1つの同じ音声レベルですべての周波数を放射し、したがって、音源に忠実な信号を放射する。次に、音声を放射するように設計されていない物体は、(典型的には、図4A図4B、および図5に示されたように)平坦な周波数応答を有していない。それらの物体がアクチュエータによって励起されるとき、そのような支持体は、ラウドスピーカーよりも良くない品質の音声を発する。
【0047】
したがって、少なくとも1つのセンサーが、放射する物体の周波数応答を、上記で提示したように補正するために追加される。
【0048】
較正段階が設けられ、次のように分割され得る。
- 専用の信号(すべてのオーディオスペクトルをカバーするために、正弦またはホワイトノイズをスライドさせる)を用いて、または発せられるべき音楽を直接用いて、物体の周波数応答を測定すること、
- たとえば、LPC(線形予測コーディング)、WLPC(ワープ線形予測コーディング(Warped Linear Predictive Coding))、またはRFP(有理分数多項式(Rational Fraction Polynomials))アルゴリズムを使用した、周波数応答の解析、
- これらのデータをリモートコンピュータサーバに送ること、および以前に記憶されたデータ(特に、振動中心)との比較、
- 放射構造の周波数応答欠陥の補償の計算(選択された目標についての、逆フィルタの計算、および/または場合に応じたモード振動中心の配置)。
【0049】
この較正段階の目的は、放射する物体を中和し、したがって、ソース信号に忠実な音声を取得することである。
【0050】
この較正の結果が、サーバからデバイスDIS(たとえば、内部DSP)のプロセッサPROCに送られる。次に、振動する支持体の周波数応答の補正が、入力信号のフィルタ処理(適応的であるか否か)、および/または振動する支持体の共鳴のフィードバック制御にさえも基づいて行われ得る。
【0051】
適切なプロセッサ(たとえば、ARM Cortex M7)の使用によって、オーディオおよび振動制御のためのハイブリッドアーキテクチャを用いた、低レイテンシのリアルタイム処理が可能になる。接触している支持体の表面の共鳴を機械的に選ぶために配置されたトランスデューサ(センサーおよび電気機械式アクチュエータ)のセットによって、有効な電気機械モードフィルタリングを適用することが可能になる。場合によっては、レンダリングデバイスとリモートサーバとの間で共有される、接触している表面の振動パラメータを識別するためのアルゴリズムが、この有効性に寄与する。これらのアルゴリズムは、このように支持体の振動を制御し、したがって、目標の音質を与えることを可能にする。上述のデータベースDBのコンテンツはまた、ユーザを、その表面がデバイスと接触している支持体のメーカーにリンクさせる、振動および音楽情報交換プラットフォームの実装を通して維持され得る。
【0052】
本発明の意義の範囲内の実施形態が、そのスペクトル応答が図4Aに示されている放射構造(金属製のテーブル)上で、実質的にリアルタイムでテストされた。金属製のテーブルによって放送された、音楽および/または話し声を最初に聴くと、正しいが、いくつかの欠陥のある音声が知覚される。物体の周波数応答は、入力信号を、平均と比較して約10dBだけ増幅させる、いくつかのピークを示す。これらのピークは、振動モード、物体の共鳴から発生する。「有理分数多項式」(RFP)アルゴリズムによるこの周波数応答の解析によって、本質的に3つの振動モードを識別することが可能になる。それらの特性(周波数、ダンピング、振幅)が、それにおいて状態空間モード制御アルゴリズムが実装されているプロセッサPROC内に統合される。これらの3つのモードのダンピングの400%増加によって、(図4Bに示されるように)これらの3つのモードが消失する。異なる音源(ロック音楽、ジャズ、ラジオの話し声)に適用されたとき、これらの3つのモードのモード制御によって、放射音声の主要な欠陥を消失させることが可能になった。
【0053】
図5の例に関して、この物体(ここでは、靴箱)によって放射された音楽を聴くと、局所的な周波数欠陥がもはや知覚されず、むしろ、幅広く増幅または低減されたゾーンである。物体のホワイトノイズに対する応答が、図5(薄い線)において提示される。非常に高いレベル(80dB)の変動が、幅広い増幅帯域とともに現れる。1000個の係数を用いたLPC解析、次いでこれらの係数から生じる逆フィルタ処理(LPC補償)の後、応答が平坦になる(図5の濃い線)。音楽信号に適用されるとき、この物体によって取得された放射音声は、ソース信号に忠実な品質を有する。
【0054】
もちろん、本発明は、例として上記で説明した実施形態に限定されず、他の変形態に拡張する。
【0055】
したがって、たとえば、構造の振動中心データの記憶について(そのようなパラメータが測定可能であるとき)、上記で説明した。明らかに、特に、図5を参照しながら上記で説明したような、バッフル放射構造に関する上記の解析のLPC係数など、放射構造のスペクトル応答を特徴付ける任意の他のパラメータをデータベース内に記憶およびアーカイブすることが想定され得る。
【符号の説明】
【0056】
SM スマートフォンタイプの端末、デバイス
SR 音響的放射構造
DIS レンダリングデバイス、デバイス
MEM メモリ
PROC プロセッサ
AC1、AC2 機械式アクチュエータ、アクチュエータ
C1、C2 センサー
RES 通信ネットワーク
SER サーバ、リモートサーバ、共通サーバ
COM 通信インターフェース
ID 識別子、支持体識別子
FILT フィルタ
DB データベース
INT 入力インターフェース
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6