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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】レトロウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/867 20060101AFI20220715BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220715BHJP
   C12N 15/33 20060101ALI20220715BHJP
   C12N 15/49 20060101ALI20220715BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220715BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20220715BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
C12N15/867 Z
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/33
C12N15/49
C12N5/10
C12N5/071
C12N7/01
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020515093
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 GB2018052656
(87)【国際公開番号】W WO2019058108
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】1715052.5
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518305392
【氏名又は名称】オックスフォード ジェネティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD GENETICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】ケイウッド ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ペイン トム
(72)【発明者】
【氏名】ドゥナジョヴァ ルシア
(72)【発明者】
【氏名】パーカー‐マヌエル リチャード
【審査官】井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-059331(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189326(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/867
C12N 15/11
C12N 15/33
C12N 15/49
C12N 5/10
C12N 5/071
C12N 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重鎖核酸分子であって:
(a)env遺伝子を含む第1の核酸;および
(b)gag-pol遺伝子を含む第2の核酸を含み;
前記の第1および第2の核酸のコード配列が前記二重鎖核酸分子の対向鎖上にあり、前記のenvおよびgag-pol遺伝子が第1および第2の誘導可能プロモーターとそれぞれ独立して機能的に関連し、前記の第1および第2のプロモーターが95%未満のヌクレオチド配列同一性をその間に有し、且つ前記二重鎖核酸分子がアポトーシス阻害物質IAP1およびEBNA5をコードするヌクレオチド配列を含む前記二重鎖核酸分子。
【請求項2】
請求項1に記載の二重鎖核酸分子であって、前記第1および第2のプロモーターの間の前記ヌクレオチド配列同一性が90%、85%、80%、70%または60%未満である前記二重鎖核酸分子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二重鎖核酸分子であって、前記env遺伝子がVSV-G遺伝子である前記二重鎖核酸分子。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子であって、前記gag-pol遺伝子がHIV-1に由来するか、またはその誘導体である前記二重鎖核酸分子。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子であって、前記核酸分子がrev遺伝子を追加的に含む前記二重鎖核酸分子。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子であって、前記核酸分子が導入遺伝子を追加的に含む前記二重鎖核酸分子。
【請求項7】
請求項1から6のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子を含む、レトロウイルスベクター、より好ましくはレンチウイルスベクター。
【請求項8】
請求項1から6のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子を含む哺乳類細胞であって、好ましくは前記二重鎖核酸分子が前記哺乳類細胞の核ゲノムに安定的に組込まれる前記哺乳類細胞。
【請求項9】
請求項1から6のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子を含むレトロウイルスパッケージング細胞。
【請求項10】
キットであって:
(i)請求項1から6のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子を含むレトロウイルスパッケージングベクターを、
以下のうち1つ以上と共に含むキット:
(ii)導入遺伝子およびレトロウイルスrev遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクター;
(iii)ウイルス粒子の産生に適した細胞株の細胞。
【請求項11】
キットであって:
(i)rev遺伝子を追加的に含む請求項1から6のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子を含むレトロウイルスパッケージングベクターを、
以下のうち1つ以上と共に含むキット:
(ii)導入遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクター;
(iii)ウイルス粒子の産生に適した細胞株の細胞。
【請求項12】
レトロウイルスパッケージング細胞を生成するためのプロセスであって、前記プロセスが:
(i)哺乳類細胞に請求項1から6のうちいずれか1つに記載の二重鎖核酸分子を安定的に組込み、
それによりレトロウイルスenvおよびgag-pol遺伝子、および任意にrev遺伝子を発現する哺乳類細胞を生成する段階を含む前記プロセス。
【請求項13】
レトロウイルス粒子の産生における請求項9に記載のレトロウイルスパッケージング細胞の使用。
【請求項14】
レトロウイルスを産生するためのプロセスであって、前記プロセスが:
(a)5’および3’レトロウイルスLTR、レトロウイルスパッケージングシグナルおよびレトロウイルスrev遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクターを請求項9に記載のレトロウイルスパッケージング細胞に導入する段階であって、前記レトロウイルスパッケージング細胞がそのゲノムに安定的に組込まれたレトロウイルスenvおよびgag-pol遺伝子を含む前記段階;
(b)レトロウイルスが構成されて前記細胞から分泌される条件下で前記細胞を培養する段階;および
(c)上清からパッケージングされたレトロウイルスを回収する段階を含む前記プロセス。
【請求項15】
レトロウイルスを産生するためのプロセスであって、前記プロセスが:
(a)導入遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクターを請求項9に記載のレトロウイルスパッケージング細胞に導入する段階であって、前記レトロウイルスパッケージング細胞がそのゲノムに安定的に組込まれたレトロウイルスenv、gag-polおよびrev遺伝子を含む前記段階;
(b)レトロウイルスが構成されて前記細胞から分泌される条件下で前記細胞を培養する段階;および
(c)上清からパッケージングされたレトロウイルスを回収する段階を含む前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトロウイルスパッケージングベクターの産生における使用を目的としたウイルス遺伝子またはその誘導体を含む核酸分子、およびレトロウイルスパッケージングおよびプロデューサー細胞株に関する。1つの実施形態において、核酸分子は、envとgag-pol遺伝子のコード配列が反対方向にあるenvおよびgag-pol遺伝子を含む。
【0002】
レトロウイルス(レンチウイルスを含む)は、ウイルス感染後、そのゲノムがデオキシリボ核酸(DNA)に逆転写された後、宿主細胞ゲノムに組み込まれることを包含する、複雑なライフサイクルを経るプラス鎖RNAウイルスである。そのゲノムを、標的細胞のゲノムのほぼ任意の座位にDNAとして挿入し、ウイルス遺伝子の長期的発現を媒介することが可能であり、感染細胞が分裂するときには各娘細胞にDNAがコピーされる。転写に細胞のRNAポリメラーゼを用いることにより、そのゲノムを非スプライシングmRNA分子として産生する。その後、ウイルスゲノムはRevと呼ばれるウイルスタンパク質を用いて細胞質に輸送される。次に、ウイルスにコードされた構造タンパク質Envelope(Env)、GagおよびPolymerase(Pol)を用いて、サイトゾル内でゲノムがウイルス粒子にパッケージングされる。レトロウイルスゲノムは、典型的には長さ7~10kbであり、一般的に研究されるHIVウイルスの場合、ゲノムは長さ9.7kbである。各ウイルス粒子に2コピー/ビリオンで存在する。
【0003】
レトロウイルスのライフサイクル、およびその構造的柔軟性は、哺乳類細胞のゲノムへのDNA送達といった、数多くのバイオテクノロジー用途に対応可能である。さらに、レトロウイルスは、その表面に非レトロウイルス糖タンパク質を含むよう修飾して、そこから糖タンパク質が発生するウイルスの細胞指向性を、レトロウイルス粒子に賦与することができる。これは、天然レトロウイルス糖タンパク質が限定的な細胞指向性を有する場合に時に重要である。この一例は、CD4受容体と結合するように、そしてこのタンパク質を細胞表面に担持する細胞にのみ感染するように進化したHIV-1のGP160糖タンパク質である。HIV-1の場合、シュードタイピングと呼ばれるプロセスにおいて、ウイルス粒子は頻繁に修飾されて天然糖タンパク質と異なる糖タンパク質を含有する。最も一般的には、これは水疱性口内炎ウイルス(VSV-G)に由来する糖タンパク質によって達成されて、より幅広い細胞指向性を提供する。
【0004】
実験室においてレトロウイルスをツールとして用いる場合、典型的には、1つ以上の導入遺伝子またはshRNA分子のいずれかを発現することのできる複製不全ベクターを形成するよう修飾され、これらの修飾ウイルスは、細胞の導入遺伝子発現および遺伝子操作を目的とした多能性ベクターを提供する。またレトロウイルスパッケージングプロセスの柔軟性は、多様なゲノムサイズを収容することも可能とし:3kbの小型ゲノムおよび18kbの大型ゲノムをパッケージングすることが可能であるが、これらの極端な場合はウイルス力価が損なわれる可能性がある。
【0005】
遺伝性単遺伝子病の治療において、レトロウイルス(および後にレンチウイルス)を用いて幹細胞をエクスビボで感染させ、補充しようとする導入遺伝子を発現させる治験が、現在数件実施されている。これは、通常は自己由来で実施されるが、一部の幹細胞は異種移植片として適用されることもある。
【0006】
レトロ/レンチウイルスは、養子細胞導入の分野でも重要な用途、最も著しくは、T細胞にハイブリッド「キメラ抗原受容体」(CAR)を発現させた後、細胞増殖して患者に再注入する用途を見出している。一般的に、CARは、T細胞受容体に基づくが、外部がその抗原と結合した後の細胞刺激の質を改善するよう(第2および第3世代CARにおいて)修飾された、細胞外抗体構造および細胞内構造を有する。この「CAR T細胞」手法は、B細胞性リンパ腫の臨床治療において、CD19を認識するCARをコードするレンチウイルスを用いて印象的な成功を示しており、近い将来、ノバルティス社に対し、CTL019として知られるCD19特異性CAR T細胞に対する初の米国製品認可が交付される見込みである。応用分野は、他の分子標的および他の悪性疾患に対応するよう、現在拡張されつつある。したがって、既存のウイルス産生系を用いて達成することが困難である、大スケールレンチウイルス製造に対するニーズが拡大しつつある。
【0007】
臨床使用と共に、多くの実験室で研究および開発を目的としてレンチウイルスベクターを頻繁に用いており、この場合は外因性DNAを細胞ゲノムに挿入する必要がある。レンチウイルスの多能性により、それらを用いてDNAをヒトおよびマウス幹細胞、癌細胞、初代組織細胞(肝臓、神経および線維芽細胞など)を含むがこれに限定されない多様な種類の細胞に導入することが可能である。
【0008】
これらの細胞の感染は、幅広い指向性の糖タンパク質、最も多くはVSV-G表面糖タンパク質でウイルスを被覆またはシュードタイピングすることによってのみ可能となる。このタンパク質は、ほぼ全ての臓器に由来し、且つヒト、マウス、ラット、ハムスター、サル、ウサギ、ロバおよびウマ、ヒツジ、ウシおよび旧世界サルを含むがこれに限定されない多くの種に渡る細胞の感染を可能とする。
【0009】
野生型レトロ/レンチウイルスは宿主細胞内で複製することが可能であるが、導入遺伝子およびshRNA発現を目的として用いられるレトロ/レンチウイルスベクターは、典型的には多様な様態で無効化され、その複製して疾患を引き起こす能力を除去される。このことは、単回感染が可能な感染性ウイルス粒子の1バッチを、実験または臨床使用を目的として培養するためには、遺伝子操作でウイルスゲノムから除去され、同時にウイルスパッケージングに用いる細胞内に挿入される数種類のウイルス遺伝子(またこれによりウイルスタンパク質)を提供する必要があることを意味する。これらの遺伝子は、一般的に3つまたは4つのプラスミドに分けて提供され、細胞に共トランスフェクトされる。中心的コンポーネントは、集合するウイルス粒子が対応するRNAを新たなウイルス粒子に取り込むよう方向付けるパッケージングシグナルを含んだ、ウイルスベクターゲノム(任意の導入遺伝子および標的細胞における転写を調節する関連プロモーターを含む)をコードするプラスミドである。Gag-Pol、TatおよびRevなどの他のウイルスタンパク質の遺伝子は、一般的に共トランスフェクトされる他のプラスミドから提供される;さらなる他のプラスミドは、新たに形成されるウイルス粒子のエンベロープに取り込まれ、その感染指向性を方向付ける糖タンパク質を提供する。gag-pol発現カセットはウイルスカプシドおよび内部構造タンパク質およびポリメラーゼおよびプロテアーゼ活性をコードする。rev遺伝子は、Rev反応エレメント(RRE)と呼ばれるウイルスゲノムの特定領域と結合することにより、核からのレトロ/レンチウイルスゲノムの排出を促進するよう作用する。
【0010】
レトロウイルスおよびレンチウイルスパッケージング系は複雑であるため多くの「世代」が存在し、それぞれが前の世代よりも安全性が向上している。「第1世代」パッケージング系では3つのプラスミド:envelope遺伝子を除く全てのHIV遺伝子をコードする1つのプラスミド;表面糖タンパク質(最も多くはVSV-G)を提供する第2のプラスミド;およびパッケージングしようとするウイルスゲノムを含むプラスミドを用いた。この系は、ウイルス遺伝子を含むプラスミドが、ウイルスゲノムプラスミドとの同一性を有する大きなDNA領域を含み、これによりプラスミド間で組換えが発生する可能性があったという欠点を有する。これによって、疾患を引き起こすことができる感染性ウイルスが生成される可能性があった。その他の問題には、VPU、VIF、VPRおよびNefを含む、ウイルス産生に必要とされない多くのウイルス遺伝子の存在が含まれた。
【0011】
「第2世代」系では、HIV-1遺伝子コード9領域のうち5領域が系から除去された。この方法も3プラスミド系となり、1つのプラスミドはgag-pol遺伝子およびTatおよびRevタンパク質の補助的遺伝子を含み、第2のプラスミドは糖タンパク質(最も多くはVSV-G)をコードし、第3のプラスミドはパッケージングしようとするウイルスゲノムをコードした。この系のウイルスゲノムは、典型的には野生型の5’長い末端反復(LTR)を含むので、転写活性化およびゲノム産生にはtat遺伝子を必要とする。この系は、ウイルスゲノムとパッケージングプラスミドの間の相同性が低減されているために、潜在的に有害な複製可能レトロウイルスが形成される可能性が低減されるという長所を有する。
【0012】
最も新しい「第3世代」レンチウイルスベクター系では、3プラスミドではなく4プラスミドを用いる。「第3世代」系は、系を4プラスミド(3ヘルパープラスミドおよびベクターゲノム+導入遺伝子を含む1プラスミド)に分割することにより、(主として複製可能ウイルスを形成するのに必要な組換え事象の数を増加させることによって)数多くの長所を提供する。しかし、「第3世代」系はプロモーターを含む修飾5-LTRを有するためにもう1つの著しい長所も有し、これによりゲノムの転写はTatタンパク質による転写活性化に依存せず、それゆえTatが系内にコードされる必要がなくなる。使用するプラスミドのいずれもTatタンパク質を含まない。1つのプラスミドにはrev遺伝子も配置される。したがって、第三世代系においては、4つのプラスミドは1:gag-pol、2:糖タンパク質(最も多くはVSV-G)、3:rev、および4:導入遺伝子または目的のRNAを含む自己不活化レンチウイルスゲノムをコードするプラスミドを含む。特に糖タンパク質プラスミドに関しては、数種類のエンベロープ糖タンパク質が提供され利用されているが、最も幅広く利用されているのはVSV-Gとして知られる水疱性口内炎ウイルスに由来する糖タンパク質である。
【0013】
これらのレンチウイルスパッケージング遺伝子の一部、特にVSV-Gおよびgag-polコンポーネントは、哺乳類細胞に対して毒性であることが広く報告されている(Burns他、Proc.Natl.Acad.Sci.90,8033-8037(1993);Yee他、Proc.Natl.Acad.Sci.,90,9564-9568(1994);Hoffman他、J.Gen.Virol,91,2782-2793(2010)。これは、必要とされる多くのパッケージングタンパク質を発現する安定なパッケージング細胞の開発にとって、相当な障壁をもたらす。したがって、細胞内で一過性トランスフェクションによる全てのプラスミドの同時発現を要する非効率的なプロセスによって、複数バッチのレンチウイルスが調製されてきた。このようなトランスフェクション法は高価であり、大スケールで再現することが困難であり、またプラスミドおよび細胞デブリによるウイルス製剤の汚染を引き起こすことが多い。
【0014】
新たなウイルス粒子を産生するのに必要な細胞ゲノム内のコンポーネントの一部、または全てをコードするレトロウイルスまたはレンチウイルスのために、「パッケージング」細胞株を作成することが非常に望ましい。これは、ウイルスパッケージングに必要とされるプラスミドトランスフェクションの複雑度が低下する可能性があり、且つ全ての細胞がウイルス産生に必要な遺伝子を発現するという重要な長所を有する。互いに対する特定の化学量関係でウイルスタンパク質を発現する細胞株を作成する能力は、もう1つの重要な長所となるであろう。安定的に、あるいは条件付きまたは誘導可能プロモーターの下でのいずれかでウイルスタンパク質の発現がいくつか試みられており、たとえばIkedaら(Nature Biotechnology,21,560-572(2003))が生成したSTAR細胞は、コドン最適化HIV Gag、PolおよびRevのレトロウイルス形質導入を用いて、パッケージング細胞の持続的発現を達成している。しかし、これらの細胞を用いて産生されるウイルスの力価は、典型的には業界標準である1×10~1×10/mLを下回る。一部の遺伝子が誘導可能でもあるか、または独立した抗生物質選択剤を必要とするという要件は系を著しく複雑にし、且つ製造のためのスケールアップの難度を著しく高める。現在まで、最も多く利用されているレトロウイルスおよびレンチウイルス糖タンパク質VSV-Gを安定的且つ構成的に発現する細胞株は、その毒性が報告されていることから、生成されていない。
【0015】
単一のプラスミド/ベクター上にEnvタンパク質およびGag/Polタンパク質をコードする配列があることは、ウイルス粒子を産生するのに必要なプラスミドの数を減らし、これによりウイルス産生系の効率を高めるという長所を有する。しかしこの配置は、潜在的に有害な複製可能レトロウイルスの形成の可能性を高めるという著しい欠点を被る。EnvおよびGag-Polコード配列の双方を同じ5’から3’方向で含む単一のmRNAを細胞内で産生すると、両タンパク質が同じmRNA分子から産生される可能性があり、これが発生する確率が相当高くなる。
【0016】
現在、発明者らは、Envタンパク質のコード配列を一方の鎖に、Gag/Polタンパク質を同じプラスミド/ベクターの対向鎖に配置することで、EnvおよびGag-Pol配列をコードする単一のmRNAを生成するプロモーターからのリードスルーの可能性が無いことを担保し、これにより複製可能レトロウイルスが形成されるリスクが低減されることを発見している。
【0017】
したがって、本発明の目的の1つは、特に、現在ウイルス粒子の産生に必要とされているプラスミドの数を減らすことにより、ウイルス産生系の全般的効率を高めるために用いることのできる、核酸分子およびレトロウイルスパッケージングベクターを提供することである。
【0018】
1つの実施形態において本発明は、二重鎖核酸分子であって:
(a)env遺伝子を含む第1の核酸;および
(b)gag-pol遺伝子を含む第2の核酸を含み;
第1および第2の核酸のコード配列が二重鎖核酸分子の対向鎖上にあり、envおよびgag-pol遺伝子が、その間のヌクレオチド配列同一性が95%未満である第1および第2の誘導可能プロモーターと独立して機能的に関連し、且つ二重鎖核酸分子がアポトーシス阻害物質をコードするヌクレオチド配列を1つ以上含む二重鎖核酸分子を提供する。
【0019】
一部の実施形態においては、二重鎖核酸分子はrev遺伝子を含む核酸を追加的に含む。一部の実施形態においては、二重鎖核酸分子は導入遺伝子を含む核酸を追加的に含む。好ましくは、二重鎖核酸分子はレトロウイルスベクター、より好ましくはレンチウイルスベクターである。
【0020】
二重鎖核酸分子中の核酸はDNAまたはRNA、好ましくはDNAでありうる。
【0021】
好ましくは、二重鎖核酸分子はレトロウイルスベクターである。本願で用いる用語「レトロウイルスベクター」は、レトロウイルスの産生に有用であるベクターまたはプラスミドを指す。レトロウイルスベクターの例はγ-レトロウイルスベクター(マウス白血病ウイルスに由来するベクターなど)およびレンチウイルスベクターを含む。
【0022】
好ましくは、レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。本願で用いる用語「レンチウイルスベクター」は、レンチウイルスの産生に有用であるベクターまたはプラスミドを指す。たとえば、レンチウイルスベクターはパッケージングベクター、エンベロープベクターまたはパッケージング/エンベロープベクターでありうる。
【0023】
env、gag、polおよびrev遺伝子は、好ましくはウイルス遺伝子であるかまたはウイルス遺伝子に由来する。より好ましくは、レトロウイルス遺伝子であるかまたはレトロウイルス遺伝子に由来する。レトロウイルスの例はレンチウイルス、αーレトロウイルス、γ-レトロウイルス(マウス白血病ウイルスなど)およびフォーミーレトロウイルスを含む。好ましくは、レトロウイルスはレンチウイルスである。
【0024】
レンチウイルスは、特に造血幹細胞およびT細胞などの前駆細胞集団において、導入遺伝子送達およびタンパク質発現に使用されることが増えているレトロウイルス科の亜群である。大半のレトロウイルスとは異なり、レンチウイルスはそのゲノム、またはその修飾形態を、細胞周期に依存せずに送達することが可能であり、且つより短い時間枠においてより高い細胞感染効率を達成することが多い。これにより、研究および臨床使用のいずれにとってもさらにより有効なウイルスベクターとなる。
【0025】
現在、レンチウイルス科は10種類のウイルスからなる。これらの種は:ウシレンチウイルス群(ウシ免疫不全ウイルスおよびジェンブラナ病ウイルス)、ウマレンチウイルス群(ウマ感染性貧血ウイルス、ネコレンチウイルス群、ネコ免疫不全ウイルス、ピューマレンチウイルス)、ヒツジ/ヤギレンチウイルス群(ヤギ関節炎脳炎ウイルス、ビスナ・マエディウイルス)、霊長類レンチウイルス群(ヒト免疫不全ウイルス1,ヒト免疫不全ウイルス2,サル免疫不全ウイルス)を含む5群に分類される。
【0026】
好ましい実施形態においては、レンチウイルスはヒト免疫不全ウイルス1、サル免疫不全ウイルスまたはウマ感染性貧血ウイルスである。より好ましい実施形態においては、レンチウイルスはヒト免疫不全ウイルス1またはウマ感染性貧血ウイルスである。
【0027】
env、gag、polおよびrev遺伝子は、1つ以上の異なるウイルス(2、3または4種類の異なるウイルスなど)に由来しうる。たとえば、env遺伝子がラブドウイルス科(VSV-Gなど)に由来する一方で、他のgal、polおよびrev遺伝子がHIV-1に由来してもよい。
【0028】
レトロウイルスのenv、gag、polおよびrev遺伝子はクレードおよび分離株によって異なることが、当業者により認識されている。このような全てのクレードおよび分離株に由来するこれらの遺伝子の配列は、その誘導体と共に本願に包含される。
【0029】
第1の核酸はenv遺伝子を含む。envはウイルスエンベロープを形成するタンパク質をコードする遺伝子である。env遺伝子の発現により、レトロウイルスが特定の種類の細胞を標的として接着し、さらに標的細胞膜に浸潤することが可能となる。env遺伝子の例はHIV-1 env遺伝子およびその誘導体を含む。
【0030】
HIVにおいて、env遺伝子は、ホモ三量体を形成し、且つ宿主細胞のプロテアーゼであるフューリンによって開裂されてgp120およびgp41となる、gp160タンパク質をコードする。HIV-1 envのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、配列番号1および2にそれぞれ示す。
【0031】
本願で用いる用語「HIV-1 env遺伝子」は、好ましくは配列番号1に示す配列を有するヌクレオチド配列または配列番号2をコードするヌクレオチド配列、またはこれと少なくとも80%、85%90%、95%または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、且つホモ三量体を形成することが可能で、且つHIV-1プロテアーゼによって開裂されてgp120およびgp41となることが可能なgp160タンパク質をコードするヌクレオチド配列を指す。
【0032】
ウイルスエンベロープは、たとえばVGV-G遺伝子などの、水疱性口内炎ウイルス(VSV)といったウイルスに由来するenv遺伝子またはその誘導体を用いて、シュードタイピングしうる。
【0033】
VSV-Gタンパク質はシングルパス膜糖タンパク質である。幅広い感染指向性を媒介する。遺伝子は1536塩基対オープンリーディングフレームによってコードされ、511アミノ酸からなるタンパク質を産生する。タンパク質は、N末端に16アミノシグナルペプチドを含み(アミノ酸配列:MLSYLIFALAVSPILG、配列番号14)、細胞表面への分泌経路から排出される際にこれが成熟タンパク質から開裂する。糖タンパク質は458アミノ酸の細胞外領域および21アミノ酸の膜貫通領域(膜横断領域)、これに続く22アミノ酸の細胞内(サイトゾル)C-末端領域を含む。小胞体からのVSV-Gタンパク質のシャトリングは迅速であり、またこれはDxEモチーフを含むより幅広い輸送シグナルTyr-Thr-Asp-Ile-Glu-Met内にDxEモチーフ(ただしxは任意のアミノ酸)を含む、C末端テール内の特異的輸送シグナルによって達成される(Sevier他、Mol.Biol.Cell.2000Jan;11(1):13-22)。VSV-Gタンパク質の排出の効率は、レトロウイルスおよびレンチウイルス産生に対するその有効性に対して部分的に寄与しうる。VSV-G受容体は非特異的膜融合タンパク質と記載されることが多いが;しかし最近は、VSV-Gが低密度脂質受容体(LDL-R)と結合すると判定され(Finkelstein他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2013;110(18):7306-7311)、これはその幅広い細胞指向性およびレトロウイルスおよびレンチウイルスのシュードタイピングにおける幅広い用途を説明する。
【0034】
本願で用いる用語「VGV-G遺伝子」は、好ましくは配列番号3に示す配列を有するヌクレオチド配列または配列番号4をコードするヌクレオチド配列、またはこれと少なくとも80%、85%90%、95%または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、且つLDL受容体に結合することのできるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を指す。
【0035】
第2の核酸はgag-pol遺伝子を含む。本願で用いる用語「gag-pol」は、近接する/オーバーラップするgag-pol遺伝子および独立したgagおよびpol遺伝子を指す。
【0036】
レンチウイルスのGag-Polタンパク質は、Gag-Polタンパク質をタンパク分解的に開裂して、数多くのウイルス機能を果たす数多くのより低分子のタンパク質となることを可能とするプロテアーゼをコードする、単一のポリタンパク質として産生される。HIV-1 Gagタンパク質は、ウイルスゲノムの5’末端から最初に翻訳されるオープンリーディングから産生され、フレームシフト配列として知られる配列を含む。このシグナルは、約20回の翻訳のうち1回の間に、mRNA分子上の翻訳リボソームを1塩基後退させる。このプロセスによりGag-Polタンパク質が産生される。結果、レンチウイルスはGagとGag-Polを約1:20の比率で産生する。Gagタンパク質は3つの主要な構造タンパク質:p18、p24およびp15をコードする。Polタンパク質セグメントも、p10(プロテアーゼ)、p66/55(逆転写酵素)およびp32(インテグラーゼ)と呼ばれる主要な3タンパク質をコードする。プロテアーゼは、タンパク分解的開裂によるこれらの各タンパク質の産生に必要とされる全ての開裂事象を担う。しかし、これらの開裂事象を確定するプロテアーゼ認識配列は十分に確定されず、プロテアーゼが幅広い特異性を有することを示唆している。したがって、このためウイルスと無関係なタンパク質の開裂が発生する可能性がある。実際、このことによりGal-Polタンパク質の発現は細胞にとって非常に毒性が高いと報告されている(Blanco他、The Journal of Biochemistry,278,2,1086-1093,2003)。
【0037】
一部のウイルスにおいては、gag遺伝子とpol遺伝子のコード配列は重複する。本発明のgag遺伝子およびpol遺伝子のコード配列は近接、非近接、重複または非オーバーラップであり得る。
【0038】
好ましくは、gag-pol配列はレンチウイルスを形成する。gag、polおよびgag-pol遺伝子の例はHIV-1 gag-pol遺伝子およびその誘導体を含む。
【0039】
HIV-1においては、gag遺伝子およびpol遺伝子のリーディングフレームは、すなわちgag-pol遺伝子においてオーバーラップする。HIV-1 gag-polヌクレオチド配列は配列番号5に示す。
【0040】
本願で用いる用語「HIV-1 gag-pol遺伝子」は、好ましくは配列番号5に示す配列を有するヌクレオチド配列、またはこれと少なくとも80%、85%90%、95%または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、且つマトリクス、カプシドおよびヌクレオカプシドタンパク質、および逆転写酵素、インテグラーゼ、およびプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列を指す。
【0041】
本発明の二重鎖核酸分子においては、第1および第2の核酸のポリペプチドコード配列は二重鎖核酸分子の対向鎖上にある。二重鎖核酸分子の2本の鎖は、しばしばセンス/アンチセンス鎖またはプラス/マイナス鎖と呼ばれる。したがって、env遺伝子のコード配列を含む核酸鎖をセンス鎖またはプラス鎖と定義するのであれば、gagおよびpol遺伝子のコード配列はアンチセンス鎖またはマイナス鎖上にあることになる。
【0042】
一部の実施形態においては、二重鎖核酸分子はrev遺伝子を含む核酸を追加的に含む。Revは、HIV-1タンパク質発現の調節に不可欠であるトランス活性化タンパク質である。rev遺伝子中には核局在化シグナルがコードされ、これによりRevタンパク質が核内に局在化し、そこで非スプライシングおよび不完全スプライシングmRNAの排出に関与する。Revは、レンチウイルス産生にとって不可欠である、非スプライシング全長ゲノムの核からの排出を可能とする、Rev反応エレメントと呼ばれるレンチウイルスゲノム領域と結合する。rev遺伝子の例はHIV-1 rev遺伝子およびその誘導体を含む。HIV-1 revヌクレオチド配列およびRevアミノ酸配列は、配列番号6および7にそれぞれ示す。
【0043】
本願で用いる用語「HIV-1 rev遺伝子」は、好ましくは配列番号6に示す配列を有するヌクレオチド配列または配列番号7をコードするヌクレオチド配列、またはこれと少なくとも80%、85%90%、95%または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、且つRev反応エレメント(RRE)と結合することのできるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を指す。
【0044】
他の一部の実施形態においては、二重鎖核酸分子はrev遺伝子を含む核酸を含まない。
【0045】
VSV-Gは一般に細胞に対して細胞毒性である。細胞融合を誘導し、且つ合胞体を形成することが可能である。gag-pol遺伝子産物の一部も細胞毒性である。特に、pol遺伝子は細胞内でタンパク質を開裂して細胞死をもたらすプロテアーゼをコードする。
【0046】
1つ以上のアポトーシス阻害物質の発現は、これが発現しなければ細胞毒性ポリペプチドの細胞毒性によって開始されていたであろう細胞のアポトーシスを緩和または防止する。したがって、本発明の二重鎖核酸は、アポトーシス阻害物質をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を追加的に含む。1つ以上のアポトーシス阻害物質は、独立にポリペプチドまたはRNAなどであり得る。
【0047】
好ましくは、本発明の二重鎖核酸は、アポトーシス阻害物質をコードするヌクレオチド配列を追加的に1つ、2つ、3つ,4つまたは5つ、より好ましくは1つまたは2つ含む。一部の実施形態においては、アポトーシス阻害物質はAPAF-1(AVENなど)、カスパーゼ9(IAPまたはXIAPなど)、BAK、BAX、BOKまたはBAD(BCL2、E1B-19KまたはBCL-XLなど)経路の阻害物質である。好ましくは、1つ以上のアポトーシス経路または段階を阻害する遺伝子を1つ以上用いて(E1B-19Kと組み合わせたAVENなど)、アポトーシスに対する耐性の向上を提供する。
【0048】
一部の実施形態においては、1つ以上のアポトーシス阻害物質は、細胞膜の完全性の喪失、細胞-細胞融合または合胞体形成によってその産生が刺激されるか、または細胞内のタンパク質を開裂するプロテアーゼによって刺激されるアポトーシスタンパク質を阻害するものである。
【0049】
アポトーシス阻害ポリペプチドの例はセロウイルスGAM1、アデノウイルスE4 Orf6、アデノウイルスE1B 55K、アデノウイルスE1B 19K、粘液腫ウイルスM11L、サイトメガロウイルスIE1、サイトメガロウイルスIE2、バキュロウイルスp35、バキュロウイルスIAP-1、ヘルペスウイルスUS3、サルヘルペスウイルスORF16、単純ヘルペス2 LAT ORF 1、ヒトXIAP、アフリカブタ熱ASFV-5-HL(LMW-5-HL/A179L)、カポジ肉腫ウイルスKSbcl2、ワクシニアウイルスSPI-2、牛痘ウイルスCrmA、エプスタインバーウイルスBHRF1、エプスタインバーウイルスEBNA-5、エプスタインバーウイルスBZLF-1、パピローマウイルスE6、ヒトAven、ヒトBCL2およびヒトBCL-XLを含む。
【0050】
一部の実施形態においては、1つ以上のアポトーシス阻害物質はRNA、好ましくはアンチセンスまたはshRNAである。その他のRNAアポトーシス阻害物質の例は、ヘルペスウイルスLATおよびアデノウイルスVA1を含む。
【0051】
好ましくは、アポトーシス阻害物質はIAP1、EBNA5およびBCL-XLからなる群から選択される。アポトーシス阻害物質の特に好ましい組み合わせは:IAP1+EBNA5;IAP1+BCL-XL;およびEBNA5+BCL-XLを含む。アポトーシス阻害物質IAP1、EBNA5およびBCL-XLのヌクレオチド配列は、本願にそれぞれ配列番号11、12および13として示す。
【0052】
特に好ましいのは:配列番号11、12または13を含むアポトーシス阻害物質をコードするヌクレオチド配列、またはこれと少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を追加的に含む本発明の二重鎖核酸である。
【0053】
哺乳類培養における安定細胞株の生成には、典型的には、任意の外因的に添加されるDNAを含有する細胞の培養を促進するための選択法が必要である。好ましくは、本発明の二重鎖核酸分子は選択遺伝子または抗生物質耐性遺伝子を追加的に含む。この目的を達成するために、それをコードするDNAが哺乳類細胞ゲノムに挿入されるとき特定の化合物に対する耐性を提供する、多様な遺伝子が知られている。
【0054】
好ましくは、選択遺伝子はピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ(Puro)、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Hygro)、ブラストサイジンのデアミナーゼ(Blast)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Neo)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GS)、ゼオシン耐性遺伝子(Sh ble)、またはジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)である。これらの遺伝子は、それぞれ哺乳類細胞に対して毒性であることがわかっている低分子に対する耐性を提供し、あるいはGSの場合は、増殖培地にグルタチオンが存在しない場合に、グルタチオンを産生する方法を細胞に提供する。
【0055】
本発明の好ましい実施形態においては、耐性遺伝子はPuroである。この遺伝子は、一般的な組織培養に用いられる細胞株の多くが耐性でないので、特に有効であり;Neoの場合は多くの細胞株、特にHEK293誘導株が研究者らによる過去の遺伝子操作によってすでにNeo耐性となっているので(HEK293 T細胞など)、これが当てはまらない。Puro選択は、毒性である時間が短い(<72時間)という長所もあるので、変数を迅速に試験し、ゲノムに挿入しようとする外因性DNAが入っていない細胞は、培養系から迅速に除去することができる。このことは、毒性の発現がより遅いHygroなどの他の一部の選択方法には当てはまらない。
【0056】
選択遺伝子(Puroなど)を用いた安定細胞株の発生は、耐性遺伝子が必ず細胞で発現されることが要件である。これは、配列内リボソーム進入部位(IRES)、2A開裂系、オルタナティブスプライシング、および専用プロモーターを含むがこれに限定されない多様な方法によって達成することができる。
【0057】
本発明の好ましい実施形態においては、選択遺伝子は専用プロモーターから発現される。このプロモーターは、ヒト細胞において、好ましくはVSV-Gまたはgag-pol遺伝子を駆動する専用プロモーターよりも低いレベルで転写する。
【0058】
ポリペプチドまたはRNAをコードする二重鎖核酸分子内の各遺伝子は、好ましくは1つ以上の調節エレメントと機能的に関連する。これにより、ポリペプチドまたはRNAが所望のレベル且つ所望の時期に発現されることが担保される。
【0059】
この文脈において、用語「調節エレメント」はエンハンサー、プロモーター、イントロン、polyA、インシュレーターまたはターミネーターのうち1つまたはそれ以上を含む。
【0060】
本願のベクターに用いられるウイルスは、好ましくは他の遺伝子への転写リードスルーを最小限に維持し、かつ抑制することが所望される遺伝子(VSV-Gおよびgag-pol)を、通常の環境で、発現されることが所望される遺伝子(TetRおよびアポトーシス阻害物質など)から遮蔽する取組みにおいて、polyAシグナルおよび/またはインシュレーターによって分離される。
【0061】
同じ調節エレメント(プロモーター配列など)の複数のコピーを、2つ以上のポリペプチドまたはRNAコードヌクレオチド配列と共に用いることにより(その協調発現という点で)いくつかの利点が得られるが、本発明のこの状況においては、各ポリペプチドまたはRNAコードヌクレオチド配列に異なる調節エレメントを用いることが非常に望ましい。
【0062】
したがって好ましくは、envおよびgag-pol遺伝子は、異なるプロモーター、異なるイントロン、異なるpolyA、異なるインシュレーターおよび/または異なる転写終結配列などの、異なる調節エレメントと機能的に関連する。
【0063】
より好ましくは、envプロモーターとgag-polプロモーターの間のヌクレオチド配列同一性の度合いは95%未満または90%未満、より好ましくは85%、80%、70%または60%未満である。より好ましくは、envターミネーターとgag-polターミネーターの間のヌクレオチド配列同一性の度合いは95%未満またはまたは90%未満、より好ましくは85%、80%、70%または60%未満である。こうして、これらの調節エレメント間の相同組み換えのリスクが低減される。
【0064】
envおよびgag-pol遺伝子は、独立に誘導可能プロモーター配列と機能的に関連する。アポトーシス阻害物質遺伝子が存在する場合、これも1つ以上のプロモーターと機能的に関連し;これらは誘導可能であるか、抑制可能であるか、あるいは構成的である。
【0065】
誘導可能プロモーターはドキシサイクリン、テトラサイクリン、IPTGまたはラクトースによって誘導可能なものであり得る。好ましくは、誘導可能プロモーターエレメントは、Tetリプレッサータンパク質(TetR)がそこに結合することのできる複数のTetオペレーター配列を含む。結合状態においては、厳格な転写の抑制が得られる。しかし、ドキシサイクリン(より好ましくなくはテトラサイクリン)の存在下では抑制が緩和されるので、プロモーターは完全な転写活性を得る。そのような誘導可能プロモーターエレメントは、好ましくはCMVプロモーターなどのもう1つのプロモーターの下流に配置される。
【0066】
TetR結合部位は、その多くが技術上既知である野生型配列を有することがある。好ましくは、TetR結合部位はわずかな配列変更を取り入れることによって1つ以上の改善を受けている。本発明の実施形態において用いることのできる好ましい変種は配列:tccctatcagtgatagaga(配列番号8)を有する。TetRリプレッサータンパク質が、使用されるTetR結合配列変種と結合するのであれば、TetRタンパク質またはTetRタンパク質の誘導体と結合するリプレッサーエレメントの代替的な変種も、本発明の実施形態において用いうる。一部のリプレッサー/結合部位変種は、互いに対する親和性が野生型よりも高くなり;これらは本発明の実施形態の1つにおいて好ましい。
【0067】
TetR遺伝子はヒト(宿主)細胞の染色体に組込まれることになる。遺伝子は、envまたはgag-pol遺伝子に隣接して、またはこれと連携して組込まれることもあれば、そうでないこともある。
【0068】
好ましい実施形態においては、TetR遺伝子のコード鎖は、envまたはgag-pol遺伝子に隣接して配置される場合、対向DNA鎖上でGag-Polタンパク質のコード配列と逆向きの5’から3’方向にある。一部の実施形態においては、TetR遺伝子はgag-pol遺伝子と共発現する。
【0069】
本発明の1つの実施形態においては、TetRタンパク質のヌクレオチド配列は配列番号9に示すものであるか、またはこれと少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、90%または95%の配列同一性を有し、かつTetRタンパク質をコードするヌクレオチド配列である。
【0070】
本発明の他の実施形態においては、TetRタンパク質のアミノ酸配列は配列番号10に示すものであるか、またはこれと少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、90%または95%の配列同一性を有し、かつTetRタンパク質をコードするアミノ酸配列である。
【0071】
一部の好ましい実施形態においては、env遺伝子(好ましくはVSV-G遺伝子)およびgag-pol遺伝子と機能的に関連するプロモーターは、共通して誘導可能な(すなわち同時に誘導可能な)誘導可能プロモーターである。
【0072】
より好ましくは、env遺伝子(好ましくはVSV-G遺伝子)およびgag-pol遺伝子と機能的に関連するプロモーターは、いずれもenv遺伝子(好ましくはVSV-G遺伝子)およびgal-pol遺伝子の同時抑制および共発現を可能とするTetR結合部位を含む。
【0073】
好ましくは、アポトーシス阻害物質プロモーターはRSV、CMV、SV40、PGKおよびユビキチンプロモーターからなる群から選択される。
【0074】
2つ以上のアポトーシス阻害物質を用いる実施形態においては、各アポトーシス阻害物質が好ましくは異なるプロモーターにより独立に駆動され;また好ましくは各プロモーターが異なる種類のもの(CVM、SV40など)である。
【0075】
1つのアポトーシス阻害物質をコードする各核酸が、細胞に至適なアポトーシス阻害を提供するプロモーターの制御下で発現されることが好ましい。
【0076】
一部の好ましい実施形態においては、本発明の二重鎖核酸分子は以下のプロモーター-アポトーシス阻害物質の組み合わせの使用を含む:
RSV-ヒトアポトーシス阻害物質(IAP)1
RSV-エプスタインバーEBNA5
RSV-BCL-XL
SV40-ヒトアポトーシス阻害物質(IAP)1
SV40-エプスタインバーEBNA5
SV40-BCL-XL
PGK-ヒトアポトーシス阻害物質(IAP)1
PGK-エプスタインバーEBNA5
PGK-BCL-XL
ユビキチン-ヒトアポトーシス阻害物質(IAP)1
ユビキチン-エプスタインバーEBNA5
ユビキチン-BCL-XL
【0077】
好ましくは、二重鎖核酸分子はIAP1、EBNA5およびBCL-XLのうち少なくとも2つの組み合わせを含み、IAP1、EBNA5およびBCL-XLの発現が、好ましくはRSV、CMV、SV40、PGK、GRP78、EF1-α、SFFV、CHEF-1、アデノウイルスE1A、ニワトリβアクチン、CAG、CMV-β-グロビン、およびユビキチンプロモーターから選択されるプロモーターのいずれかにより駆動される。
【0078】
本発明の二重鎖核酸分子は、少なくとも1つの選択遺伝子を追加的に含みうる。他の実施形態においては、本発明の二重鎖核酸分子および導入遺伝子を含むベクターまたはプラスミドを含むキットが提供される。
【0079】
一部の実施形態においては、envおよびgag-pol遺伝子は部位特異的組換え部位、好ましくはLoxPまたはFRT部位、より好ましくはLoxP部位と隣接する。
【0080】
本発明は、具体的には本発明の二重鎖核酸を含むレトロウイルスパッケージングプラスミドを提供する。
【0081】
本発明の好ましい実施形態の例は、以下のエレメントをこの順で含む二重鎖核酸分子を含む:
【0082】
TetR遺伝子(逆方向)-(誘導可能、Tet抑制可能プロモーターなど)VSV-G遺伝子-(構成的、EF1aなど、プロモーター)ピューロマイシン耐性-gag-pol遺伝子(逆方向;誘導可能、Tet抑制可能など、プロモーター)-アポトーシス阻害物質1-アポトーシス阻害物質2。
【0083】
TetR遺伝子(逆方向)-(誘導可能、Tet抑制可能プロモーターなど)VSV-G遺伝子-(IRES、プロモーター)ピューロマイシン耐性-gag-pol遺伝子(逆方向;誘導可能、Tet抑制可能など、プロモーター)-アポトーシス阻害物質1-アポトーシス阻害物質2。
【0084】
(構成的プロモーター)VSV-G遺伝子-(構成的プロモーター)ピューロマイシン耐性-gag-pol遺伝子(逆方向;構成的プロモーター)-アポトーシス阻害物質1-アポトーシス阻害物質2。
【0085】
(構成的プロモーター)VSV-G遺伝子-IRES-ピューロマイシン耐性-gag-pol遺伝子(逆方向;構成的プロモーター)-アポトーシス阻害物質1-アポトーシス阻害物質2。
【0086】
2つのアミノ酸または核酸配列を整合するために利用可能な数多くのアルゴリズムが確立されている。典型的には、一方の配列が試験配列と比較することのできる参照配列の機能を果たす。配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づき、参照配列と比較した試験配列の配列同一性百分率を算出する。比較を目的としたアミノ酸または核酸配列の整合は、たとえばコンピューター実装アルゴリズム(GAP、BESTFIT、FASTAまたはTFASTA)、またはBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムによって実施することができる。
【0087】
アミノ酸配列同一性および核酸配列同一性の百分率は、BLAST整合法を用いて得ることができる(Altschul他 (1997)、「ギャップBLASTおよびPSI-BLAST:タンパク質データベース検索プログラムの新世代」Nucleic Acids Res.25:3389-3402;およびhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)。好ましくは、標準またはデフォルト整合パラメーターを用いる。
【0088】
標準タンパク質-タンパク質BLAST(blastp)を用いて、タンパク質データベース内の類似した配列を発見することができる。他のBLASTプログラムと同様に、blastpは類似した局所領域を発見することができるよう設計されている。配列の類似性が全配列に及ぶ場合、blastpは全般的整合も報告し、これはタンパク質同定の目的にとって好ましい結果である。好ましくは、標準またはデフォルト整合パラメーターを用いる。一部の場合では、「低複雑度フィルター」を外すこともある。
【0089】
BLASTタンパク質検索は、BLASTXプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施することもある。比較を目的としたギャップ整合を得るために、Altschul他(1997)Nucleic Acids Res.25:3389の記載に従ってギャップBLAST(BLAST2.0に含まれる)を利用することができる。またその代わりに、PSI-BLAST(BLAST2.0に含まれる)を用いて、分子間の遠隔関係を検出する累次検索を実施することができる。(Altschul他(1997)supraを参照)。BLAST、ギャップBLAST、PSI-BLASTを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーターを用いることができる。
【0090】
ヌクレオチド配列の比較については、MEGABLAST、不連続megablastおよびblastnを用いてこの目標を達成してもよい。好ましくは、標準またはデフォルト整合パラメーターを用いる。MEGABLASTは、非常に類似した配列間で長い整合を効率よく発見するよう特に設計されている。不連続MEGABLASTを用いて、本発明の核酸と類似しているが、同一ではないヌクレオチド配列を発見することができる。
【0091】
BLASTヌクレオチドアルゴリズムは、クエリをワードと呼ばれる短いサブ配列に分解することによって類似した配列を発見する。プログラムは、始めにクエリワードとの完全一致を特定する(ワードヒット)。次に、BLASTプログラムはこれらのワードヒットを多段階で拡張し、最終ギャップ整合を生成する。一部の実施形態においては、BLASTヌクレオチド検索はBLASTNプログラム、スコア=100、ワード長=12で実施することができる。
【0092】
BLAST検索の精度を支配する重要なパラメーターの1つはワードサイズである。blastnがMEGABLASTよりも感度が高い最も重要な理由は、より短いデフォルトワードサイズ(11)を用いることである。このためblastnは、他の生物に由来する関連ヌクレオチド配列に対する整合発見において、MEGABLASTよりも優れている。blastnではワードサイズを調節することが可能であり、デフォルト値より短縮して最小で7とし、検索感度を高めることができる。
【0093】
新たに導入された不連続megablastページを用いることにより、より感度の高い検索を遂行することができる(www.ncbi.nlm.nih.gov/Web/Newsltr/FallWinter02/blastlab.html)。このページでは、Ma他(Bioinformatics.2002 Mar;18(3):440-5)によって報告されたものと同様のアルゴリズムを用いる。不連続megablastは、整合拡張のシードとして完全ワードマッチを必要とするのではなく、テンプレートのより長いウインドウ内で非連続ワードを用いる。コーディングモードでは、第1および第2コドン位置での一致の発見に注目する一方で、第3位の不一致を無視することにより、第3塩基のゆれを考慮に入れる。同じワードサイズを用いた不連続MEGABLASTにおける検索は、同じワードサイズを用いた標準的blastnよりも感度および効率が高い。不連続megablastに固有のパラメーターは:
ワードサイズ:11または12;テンプレート:16、18、または21;テンプレートタイプ:コーディング(0)、非コーディング(1)、または両方(2)である。
【0094】
一部の実施形態においては、デフォルトパラメーターを用いてBLASTP2.5.0+アルゴリズム(NCBIから入手できるものなど)を用いうる。
【0095】
他の実施形態においては、ギャップコスト:Existence 11およびExtension 1による2タンパク質配列のNeedleman-Wunsch整合を用いたBLAST Global Alignmentプログラムを用いうる(NCBIから入手できるものなど)。
【0096】
また本発明は:
(i)本発明の二重鎖核酸を含むレトロウイルスパッケージングベクターを、
以下のうち1つ以上と共に含むキットも提供する:
(ii)導入遺伝子およびレトロウイルスrev遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクター;
(iii)ウイルス粒子の産生に適した細胞株の細胞。
【0097】
また本発明は:
(i)rev遺伝子を追加的に含む本発明の二重鎖核酸を含むレトロウイルスパッケージングベクターを、
以下のうち1つ以上と共に含むキットも提供する:
(ii)導入遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクター;
(iii)ウイルス粒子の産生に適した細胞株の細胞。
【0098】
レトロウイルス導入ベクターは、導入遺伝子を細胞ゲノムに挿入するための部位(LTRなど)を含む。好ましくは、導入ベクター内の5’-LTRがプロモーターを含むことで、Tatタンパク質の必要性を取り除く。
【0099】
またキットは、1本以上の遠心管、イオジキサノール、透析バッファーおよび透析カセットなどのウイルス粒子の密度バンディングおよび精製に関与するものなどの、ウイルス粒子の精製のための材料も含む。
【0100】
また本発明は、本発明の二重鎖核酸を含む哺乳類細胞も提供する。本発明の二重鎖核酸は、哺乳類細胞の核ゲノムに安定的に組込まれるか、または細胞内のベクターまたはプラスミド内に存在しうる。好ましくは、本発明の二重鎖核酸は、哺乳類細胞の核ゲノムに安定的に組込まれる。
【0101】
細胞は、たとえば生存動物内に位置しない分離細胞でありうる。哺乳類細胞の例は、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、サル、ウサギ、ロバ、ウマ、ヒツジ、ウシおよびサルに由来する任意の臓器または組織に由来するものを含む。好ましくは、細胞はヒト細胞である。細胞は初代細胞であっても不死化細胞であってもよい。好ましい細胞はHEK-293、HEK293T、HEK-293E、HEK-293FT、HEK-293S、HEK-293SG、HEK-293FTM、HEK-293SGGD、HEK-293A、MDCK、C127、A549、HeLa、CHO、マウス骨髄腫、PerC6、911およびVero細胞株を含む。HEK-293細胞はE1AおよびE1Bタンパク質を含有するよう修飾されており、またこれにより、この細胞株で増殖させるE1AおよびE1B領域の欠失したウイルスの、トランス補完による作製を可能とする。同様に、PerC6および911細胞は同様の修飾を含み、これも使用することができる。最も好ましくは、ヒト細胞はHEK293、HEK293T、HEK293A、PerC6または911である。他の好ましい細胞は、CHOおよびVERO細胞を含む。好ましくは、本発明の細胞はenvおよびgag-pol遺伝子を導入可能に発現することができる。
【0102】
また本発明は、本発明の二重鎖核酸分子を含むレトロウイルスパッケージング細胞、好ましくは哺乳類細胞、より好ましくはヒト細胞)、も提供する。
【0103】
したがって、さらなる実施形態においては、レトロウイルスパッケージング細胞を生成するためのプロセスであって、プロセスが:
(i)本発明の二重鎖核酸分子を哺乳類細胞に安定的に組込み、
それによりレトウイルスenvおよびgag-pol遺伝子、および任意にrev遺伝子を発現する哺乳類細胞を生成する段階を含むプロセスが提供される。
【0104】
また本発明は、レトロウイルス粒子産生における本発明のレトロウイルスパッケージング細胞の使用も提供する。
【0105】
また本発明は、レトロウイルスを産生するためのプロセスであって、プロセスが:
(a)5’および3’レトロウイルスLTRおよびレトロウイルスパッケージングシグナルおよびレトロウイルスrev遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクターを本発明のレトロウイルスパッケージング細胞に導入する段階であって、レトロウイルスパッケージング細胞がそのゲノムに安定的に組込まれたレトロウイルスenvおよびgag-pol遺伝子を含む段階;
(b)レトロウイルスが構成されて細胞から分泌される条件下で細胞を培養する段階;および
(c)上清からパッケージングされたレトロウイルスを回収する段階を含むプロセスも提供する。
【0106】
また本発明は、レトロウイルスを産生するためのプロセスであって、プロセスが:
(a)導入遺伝子を含むレトロウイルス導入ベクターを本発明のレトロウイルスパッケージング細胞に導入する段階であって、レトロウイルスパッケージング細胞がそのゲノムに安定的に組込まれたレトロウイルスenv、gag-polおよびrev遺伝子を含む段階;
(b)レトロウイルスが構成されて細胞から分泌される条件下で細胞を培養する段階;および
(c)上清からパッケージングされたレトロウイルスを回収する段階を含むプロセスも提供する。
好ましくは、ウイルスベクターは複製欠損または複製不全である。
【0107】
本願で用いる用語である1つ以上のベクターを細胞に「導入すること」は、形質転換、およびとりわけ任意の形態のエレクトロポレーション、コンジュゲーション、感染、形質導入、またはトランスフェクションを含む。このような導入のプロセスは技術上周知である(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1995 Aug1;92(16):7297-301など)。好ましくは、回収されたレトロウイルスは続いて精製される。
【0108】
本願に記載された各参照文献の開示は、参照文献としてその全文を本願に個別に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】VSV-G+アポトーシス阻害物質を発現する安定細胞株の生成。
図2】VSV-G安定細胞株からのレンチウイルス粒子の発現。
図3】VSV-Gおよびgag-pol遺伝子を発現するベクターにおける主要な発現カセットの配置の模式図。誘導可能プロモーター:i、構成的プロモーター:cと示される。A.I.はアポトーシス阻害物質を示す。
図4】主要な発現カセットの配置を図解する模式図。LTRは長い末端反復を示し、RSVはラウス肉腫ウイルスプロモーターを示し、PGKはヒトホスホグリセリン酸キナーゼプロモーターを示し、G418はG418(ジェネテシン)耐性遺伝子を示し、Blastはブラストサイジン耐性遺伝子を示する。
図5】レンチウイルスベクターのパッケージングおよびプロデューサー細胞株生成の一時的評価。
図6】ピューロマイシン選択時の各パッケージング細胞株の生存度。
図7】%FITC陽性集団として評価した、同定した目的のクローンにおける導入後の表面VSV-G発現。
図8】転写リードスルー評価を目的としたVSV-G発現構築物。
図9】AMBRバイオリアクター系において相異なるプロセス条件を用いた好ましいパッケージング株(CV170)の分析。
図10】非誘導プロデューサー細胞株から誘導プロデューサー細胞株へのウイルス力価の倍数変化。
【実施例
【0110】
本発明は以下の実施例によってさらに例示され、別段の言及がない限りその部および割合は重量によるものであり、温度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、例示を目的としてのみ提示されることを理解すべきである。上記の考察およびこれらの実施例により、当業者は本発明の本質的特性を確認し、その主旨および範囲を逸脱することなく、本発明に多様な変更および変法を行って多様な用途および条件に適合させることができる。したがって、本願に提示および記載するものに加えて、本発明の多様な変法が、先行する記述により当業者に明らかになるであろう。そのような変法もまたは付属の請求項の範囲内となることを意図している。
【実施例1】
【0111】
(ウイルスタンパク質発現を支持する因子の同定)
水疱性口内炎ウイルスに由来するウイルス糖タンパク質VSV-Gを、アポトーシス阻害物質パネルと共発現させた。我々は、VSV-Gの構成的発現を支持した数種類の分子を同定し、さらに抗生物質選択により安定細胞株を確立することができた。続いて、このデータを用いて、後述の実施例に記載する、最終レンチウイルスパッケージングおよびプロデューサー細胞株に含める好ましいアポトーシス阻害物質を選択した。
【0112】
HEK293懸濁細胞を、ピューロマイシン選択マーカーとIRESを介して機能的に連結したVSV-G、さらには数多くのアポトーシス阻害物質遺伝子をコードする多様な発現ベクターにより、PEI試薬を用いてトランスフェクトした。3~4日毎の選択培地の培地交換により、安定したプールを確立した。構成的に発現されたVSV-G遺伝子の毒性により、安定したプールを確立するための期間が長くなった。結果を図1に示す。図に示す選択されたアポトーシス阻害物質は、VSV-Gのみの構築物と比較して、安定なプールの回復率を高めた。
【0113】
安定的に組込んだコピーから発現させたVSV-G以外の、レンチウイルスの発現に必要な全ての因子(GagPol、Rev、ゲノム)をコードする3ベクターにより、PEI試薬を用いて安定なプールをトランスフェクトした。対照を目的として、同じプラスミドセットにVSV-Gベクターも含めて、親HEK293株をトランスフェクトした。ゲノムはeGFP遺伝子を含み、これを用いて接着HEK293細胞における力価を測定した(ウイルス感染力価を概算するため)。結果を図2に示す。この実験より、構成的細胞株は、アポトーシス阻害物質の共発現によって支持されるとき、機能的VSV-G発現を提供することができることが立証された。そのような発現は、高レベルウイルス粒子産生を支持するための、安定的パッケージング細胞株の安定的プロ-デューサーの状況において、十分であると考えられる。
【実施例2】
【0114】
(レンチウイルスパッケージングおよびプロデューサー細胞株の構築を目的とした構築物の産生)
図3に示すように、4つの構築物が産生される。構築物では、ピューロマイシン選択マーカーを用いてVSV-G遺伝子とgag-pol遺伝子を合わせて対とし、G418またはブラストサイジン選択マーカーを用いてrevとゲノムを合わせて対とした。
【0115】
各カセットは以下の機能的コンポーネントに分解することができる:
【0116】
(VSV-Gカセット)
・誘導可能プロモーター(2つのTetO部位を戦略的位置に付加することにより誘導可能プロモーターに変換されたPGK CMV融合プロモーター)または構成的プロモーター(PGK CMV融合プロモーター)
・5’UTR = ヒトトリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)イントロン
・CDS(HEK293細胞における発現に最適化されたVSV-Gコドン)
・ウサギβ-グロビンpolyAシグナル
【0117】
(GagPolカセット)
・誘導可能プロモーター(2つのTetO部位を戦略的位置に付加することにより誘導可能プロモーターに変換されたCMV)または構成的プロモーター(CMV)
・5’UTR(ヒトβ-グロビンイントロン)
・CDS(野生型HIV1 GagPol)
・HIV-1由来RRE
・ヒトβ-グロビンpolyAシグナル
【0118】
(TetRタンパク質発現カセット(誘導可能ベクターにのみ存在)
・プロモーター(CMV)
・TetR配列(HEK293細胞における発現に最適化されたコドン)
・PolyA
【0119】
(抗生物質耐性マーカー)
・Puro(IRES-PuroまたはEF1-α-puroのいずれか)
【0120】
(アポトーシス阻害物質カセット)
・IAP1およびEBNA5
【0121】
(Rev/ゲノムベクター)
Rev/ゲノムベクターは、レンチウイルス粒子産生に必要な全ての因子を含むプロデューサー細胞株を生成するために、VSV-G/GagPol安定細胞株に安定的に組込まれるよう設計された。Rev/ゲノム構築物を示す模式図を図4に示す。
【0122】
各Rev/ゲノムベクターカセットは以下の機能的コンポーネントに分解することができる:
【0123】
(ゲノム)
・第3世代レンチウイルスゲノム
・レンチウイルスゲノムの転写を駆動する異種CMVプロモーターと融合したキメラ5’-LTR
【0124】
(導入遺伝子カセット)
・導入遺伝子は緑色蛍光タンパク質(GFP)または抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)である。
・導入遺伝子は脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーターから発現される。
【0125】
(Revカセット)
・構成的RSVプロモーター
・Rev CDS
【0126】
(抗生物質耐性マーカー)
・PGK-G418またはPGK-Blast
【実施例3】
【0127】
(一過的な状況におけるレンチウイルスパッケージングおよびプロデューサー細胞株の構築を目的とした構築物の分析)
安定細胞株において用いようとするベクターの機能性を評価するために、始めに接着細胞を対象とした一過性の実験においてレンチウイルス粒子を産生するために用いた。これにより、標準的4ベクター一過性発現ベクターに対するベンチマーキングが可能となった。
【0128】
安定レンチウイルスプロデューサー細胞株の構築を目的として生成した構築物(構成的または誘導可能)を含む2、3または4プラスミドレンチウイルスパッケージング系により、接着293T細胞をトランスフェクトした。このときゲノムベクターにおいて導入遺伝子としてeGFPを一貫して用いた。
【0129】
72時間後に上清を含むレンチウイルスを回収し、DMEMで連続希釈し、これを用いて接着293細胞に感染させた。72時間後、細胞をトリプシン処理し、フローサイトメーターでeGFPシグナルを分析した。
【0130】
その後、10~20%eGFP陽性(すなわち形質導入された)細胞が達成された連続希釈からのデータを用いて、感染性粒子濃度を算出した。これを用いて、評価対象の各パッケージング/プロデューサー構築物の性能を計測した。
【0131】
第0日:10%ウシ胎児血清を添加したDMEM中の293細胞を、事前に規定した密度で6ウェルプレートに播種し、翌日のトランスフェクションに備えた。細胞を37℃、5%COの加湿インキュベーター内で一晩インキュベートした。
【0132】
第1日:表1に詳述するプラスミドの組み合わせで、評価対象の構築物が構成的であるか誘導可能であるかに関わらず、ドキシサイクリンを用いて、またはこれを用いずに、分枝PEIを用いて細胞をトランスフェクトした。
【0133】
第3日:DMEM+10%FBS中の293T細胞を、事前に規定した密度で48ウェルプレートに播種し、翌日の感染に備えた。細胞を37℃、5%CO2の加湿インキュベーター内で一晩インキュベートした。
【0134】
第4日:レンチウイルス上清の回収後、遠心分離して細胞デブリを除去。レンチウイルスを連続希釈して293細胞の感染に用いた。
【0135】
第7日:形質導入した細胞の回収およびフローサイトメトリーによる分析。その後、10~20%eGFP陽性(すなわち形質導入された)細胞が達成された連続希釈を用いて、感染性粒子濃度を算出した。
【0136】
4、3および2プラスミド系構築物の組み合わせを、接着293T細胞における一過性レンチウイルスの産生について試験した。組み合わせを以下の表1に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
このデータより数多くの結論が導かれた:
・レンチウイルスベクター内の全てのコンポーネントは完全に機能的である。
・2プラスミド系は高いレンチウイルス力価をもたらすことが可能であり、また多くの場合3または4プラスミド系よりも優れているか、または同等である。
・2プラスミド系でアポトーシス阻害物質もコードする構成的VSV-G/GagPol構築物は、これらのカセットを欠いた同一の構築物と比較したとき、レンチウイルス産生の増強を示した(図5,BoxAとBoxB)。
・誘導可能VSV-G/GagPol構築物は、アポトーシス阻害物質の有無に関わらず、構成的構築物をわずかにのみ下回る高レベルウイルス粒子発現を示した(図5,ボックスCおよびボックスB)。
・誘導可能構築物(ボックスC)は、Dox不在下における発現レベルによって示されるように、非常に厳格な遺伝子調節を示す。
・全般的に、ドキシサイクリン処理は誘導系に関わらずウイルス粒子発現を上昇させた。
【実施例4】
【0139】
(VSV-G/GalPolパッケージング細胞株の生成および分析)
懸濁HEK293細胞を、アポトーシス阻害物質を用いるか、またはこれを用いずに、VSV-GまたはVSV-GおよびGalPolのいずれかをコードする直鎖状誘導可能パッケージング構築物で、直鎖PEIを用いてトランスフェクトした(表2に詳述)。続いて、遺伝子が安定的に組込まれた細胞を、宿主細胞株と同様の増殖特性で生存度≧90%が得られるまでピューロマイシン処理により選択した(図1)。VSV-G/GagPol細胞プールを単一細胞クローニングに進め、モノクローナル高度発現細胞株を得た。これは、ソニーSH800セルソーターを用いて、96ウェルプレート内の調製済みクローニング培地に細胞をソーティングして実施した。次に、コロニーを形成する単一細胞を、VSV-Gタンパク質発現の評価に十分な数の細胞を得るまで、数回のスケールアップステージを経て選択した。この目的のために、細胞クローンを媒体対照(DMSO)またはドキシサイクリンで24時間インキュベートし、VSV-G/Gal-Pol発現を誘導した。細胞を抗VSV-Gおよび対応する二次FITCコンジュゲート抗体で染色し、フローサイトメトリーでFITC陽性細胞を分析した。結果を図6に示す。
【0140】
(安定パッケージング細胞株の生成に用いた構築物)
【0141】
【表2】
【0142】
クローニング実験後に多数のクローン細胞株が生成された。2つのクローンからの代表的データを図7に示す。クローンCV02およびCV35はいずれもドキシサイクリン処理後にVSV-Gの高レベル発現を示した。しかし、CV35はVSV-Gの基礎発現も高く、Tet-調節系の漏出性機能性を示す。このことは、誘導可能な状況において、生成されたパッケージング構築物を用い、安定した高度のVSV-G/GagPol遺伝子発現が達成できることを示す。
【実施例5】
【0143】
(プロデューサー細胞株の生成および分析)
モノクローナルVSV-G/GagPol懸濁HEK293細胞株(実施例4に詳述)を、Rev単独またはRevとウイルスゲノム(eGFPまたはCD19)の組み合わせをコードする直線化構成的構築物により、直鎖PEIを用いてトランスフェクトする(構築物の詳細は表3を参照)。続いて、遺伝子が安定的に組込まれた細胞を、宿主細胞株と同様の増殖特性で生存度≧90%が得られるまでブラストサイジン選択により選択する。生成したプロデューサー細胞をドキシサイクリンで誘導し、設定した産生期間後に培養上清を回収し、細胞デブリを除去して清澄化する。続いて、このウイルス上清を連続希釈し、これを用いてJurkat細胞(eGFPおよびCD19)または接着293細胞(eGFPのみ)に72時間感染させる。eGFPレンチウイルスに感染したJurkatおよび293細胞をフローサイトメトリーで直接分析し、これにより10~20%eGFP陽性(すなわち形質導入された)細胞を得る希釈を用いて、感染性粒子濃度を算出する。
【0144】
CD19の場合、感染Jurkat細胞をプロテインLで染色して表面CD19発現を検出し、eGFPと同様に、感染性粒子濃度を概算する。パッケージング細胞株(VSV-G/GagPol+Rev)を、VSV-G/GagPol発現の同時的ドキシサイクリン誘導およびe-GFPウイルスゲノムの一過性トランスフェクションを用いて評価する。その後、産生されたウイルス上清を連続希釈し、これを用いてJurkatおよび293細胞を感染させ、感染性粒子濃度を確立する。好ましいプロデューサープールを、ソニーSH800セルソーターを用いて、96ウェルプレート内の調製済みクローニング培地への単一細胞ソーティングに進める。その後、コロニーを形成する単一細胞を、ドキシサイクリン誘導後のレンチウイルス産生を上記に概説した方法で評価するのに十分な数の細胞を得るまで、数回のスケールアップステージを経て選択する。
【0145】
(安定プロデューサー細胞株の生成を目的としたモノクローナルパッケージング細胞株のトランスフェクションに用いる構築物)
【0146】
【表3】
【実施例6】
【0147】
(ウイルス遺伝子間の転写リードスルーの分析および複製可能レンチウイルス(RCL)が生成する可能性)
レトロウイルスベクターの使用により推測される主な安全上の問題は、複製可能レトロウイルスを生成するリスクである。これは、パッケージング因子に対して個別のベクターを組み入れると共に、LTR領域内部で削除してプロモーター活性を切除し、導入遺伝子の転写を内部プロモーターに依存させる、第3世代系による一過性レンチウイルス発現の状況で言及されている。
【0148】
安定バイオ産生細胞株の生成に用いた構造物におけるVSV-G遺伝子とgag-pol遺伝子の立体配置と、RCL生成のリスクを低減するその可能性を評価するために、VSV-Gがルシフェラーゼレポーターと直列に順方向と逆方向の両方向に発現した、2つの追加的構築物を生成した。これは図8に図示した。
【0149】
続いて、2つの構築物を、転写を誘導するためにドキシサイクリンで処理した接着HEK293細胞に一時的にトランスフェクトし、24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。順方向構築物にルシフェラーゼ活性が存在することは、安定細胞株の状況において、本発明で用いられる遺伝子立体配置によって回避される安全上の懸念に直接関係する、リードスルー転写を示す。
【実施例7】
【0150】
(VSV-G/GalPolパッケージング細胞株の分析)
実施例4に記載のものと同一の方法により、追加的なパッケージング細胞株を産生した。パッケージング細胞株は、産生パラメーターを分析および最適化するために、振盪フラスコ系およびミニチュアバイオリアクター系(AMBR15)の双方で増殖させた。本願に例示するものは、直線化Q1850プラスミドの安定的な組込みによって産生された。
【0151】
産生パラメーターを検討するため、PEIによるREV/ゲノムプラスミド(Q1847)のトランスフェクション、およびドキシサイクリンを用いて誘導した後にパッケージング細胞株を72時間培養した。上清を回収してフローサイトメトリーによる感染力価測定法で分析した。データは図9に提示し、AMBRバイオリアクター系における各プロセス条件を用いた好ましいパッケージング株(CV170)の分析を示す。
【実施例8】
【0152】
(プロデューサー細胞株の分析)
好ましいパッケージング細胞株(CV170)を、完全に安定なプロデューサー細胞株の生成の出発点として用いた。安定プールは、直線化Q3928プラスミドの安定的な組込みによって作製し、その後FACSソーティングによってクローニングした。その後、クローン株を拡張し、ディープウェル振盪プレートで分析した。このデータに基づき、選択したクローン細胞株を振盪フラスコ培養にスケールアップした。
【0153】
プロデューサー細胞株は一旦振盪フラスコに移行し、その後細胞培地にドキシサイクリンを添加して誘導した。誘導の72時間後、上清を回収してフローサイトメトリーによる感染力価測定法で分析した。データは、図10に非誘導株から誘導株へのウイルス力価の倍数変化として示す。
【0154】
(配列番号1:HIV-1 envヌクレオチド)
ATGAGAGTGAAGGAGAAATATCAGCACTTGTGGAGATGGGGGTGGAGATGGGGCACCATG
CTCCTTGGGATGTTGATGATCTGTAGTGCTACAGAAAAATTGTGGGTCACAGTCTATTAT
GGGGTACCTGTGTGGAAGGAAGCAACCACCACTCTATTTTGTGCATCAGATGCTAAAGCA
TATGATACAGAGGTACATAATGTTTGGGCCACACATGCCTGTGTACCCACAGACCCCAAC
CCACAAGAAGTAGTATTGGTAAATGTGACAGAAAATTTTAACATGTGGAAAAATGACATG
GTAGAACAGATGCATGAGGATATAATCAGTTTATGGGATCAAAGCCTAAAGCCATGTGTA
AAATTAACCCCACTCTGTGTTAGTTTAAAGTGCACTGATTTGAAGAATGATACTAATACC
AATAGTAGTAGCGGGAGAATGATAATGGAGAAAGGAGAGATAAAAAACTGCTCTTTCAAT
ATCAGCACAAGCATAAGAGGTAAGGTGCAGAAAGAATATGCATTTTTTTATAAACTTGAT
ATAATACCAATAGATAATGATACTACCAGCTATAAGTTGACAAGTTGTAACACCTCAGTC
ATTACACAGGCCTGTCCAAAGGTATCCTTTGAGCCAATTCCCATACATTATTGTGCCCCG
GCTGGTTTTGCGATTCTAAAATGTAATAATAAGACGTTCAATGGAACAGGACCATGTACA
AATGTCAGCACAGTACAATGTACACATGGAATTAGGCCAGTAGTATCAACTCAACTGCTG
TTAAATGGCAGTCTAGCAGAAGAAGAGGTAGTAATTAGATCTGTCAATTTCACGGACAAT
GCTAAAACCATAATAGTACAGCTGAACACATCTGTAGAAATTAATTGTACAAGACCCAAC
AACAATACAAGAAAAAGAATCCGTATCCAGAGAGGACCAGGGAGAGCATTTGTTACAATA
GGAAAAATAGGAAATATGAGACAAGCACATTGTAACATTAGTAGAGCAAAATGGAATAAC
ACTTTAAAACAGATAGCTAGCAAATTAAGAGAACAATTTGGAAATAATAAAACAATAATC
TTTAAGCAATCCTCAGGAGGGGACCCAGAAATTGTAACGCACAGTTTTAATTGTGGAGGG
GAATTTTTCTACTGTAATTCAACACAACTGTTTAATAGTACTTGGTTTAATAGTACTTGG
AGTACTGAAGGGTCAAATAACACTGAAGGAAGTGACACAATCACCCTCCCATGCAGAATA
AAACAAATTATAAACATGTGGCAGAAAGTAGGAAAAGCAATGTATGCCCCTCCCATCAGT
GGACAAATTAGATGTTCATCAAATATTACAGGGCTGCTATTAACAAGAGATGGTGGTAAT
AGCAACAATGAGTCCGAGATCTTCAGACCTGGAGGAGGAGATATGAGGGACAATTGGAGA
AGTGAATTATATAAATATAAAGTAGTAAAAATTGAACCATTAGGAGTAGCACCCACCAAG
GCAAAGAGAAGAGTGGTGCAGAGAGAAAAAAGAGCAGTGGGAATAGGAGCTTTGTTCCTT
GGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCCTCAATGACGCTGACGGTACAG
GCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAG
GCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATC
CTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTGGGGATTTGGGGTTGCTCTGGA
AAACTCATTTGCACCACTGCTGTGCCTTGGAATGCTAGTTGGAGTAATAAATCTCTGGAA
CAGATTTGGAATCACACGACCTGGATGGAGTGGGACAGAGAAATTAACAATTACACAAGC
TTAATACACTCCTTAATTGAAGAATCGCAAAACCAGCAAGAAAAGAATGAACAAGAATTA
TTGGAATTAGATAAATGGGCAAGTTTGTGGAATTGGTTTAACATAACAAATTGGCTGTGG
TATATAAAATTATTCATAATGATAGTAGGAGGCTTGGTAGGTTTAAGAATAGTTTTTGCT
GTACTTTCTATAGTGAATAGAGTTAGGCAGGGATATTCACCATTATCGTTTCAGACCCAC
CTCCCAACCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGA
GACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCCTTGGCACTTATCTGGGACGATCTG
CGGAGCCTGTGCCTCTTCAGCTACCACCGCTTGAGAGACTTACTCTTGATTGTAACGAGG
ATTGTGGAACTTCTGGGACGCAGGGGGTGGGAAGCCCTCAAATATTGGTGGAATCTCCTA
CAGTATTGGAGTCAGGAACTAAAGAATAGTGCTGTTAGCTTGCTCAATGCCACAGCCATA
GCAGTAGCTGAGGGGACAGATAGGGTTATAGAAGTAGTACAAGGAGCTTGTAGAGCTATT
CGCCACATACCTAGAAGAATAAGACAGGGCTTGGAAAGGATTTTGCTATAA
【0155】
(配列番号2:HIV-1 Envアミノ酸)
MRVKEKYQHLWRWGWRWGTMLLGMLMICSATEKLWVTVYYGVPVWKEATTTLFCASDAKA
YDTEVHNVWATHACVPTDPNPQEVVLVNVTENFNMWKNDMVEQMHEDIISLWDQSLKPCV
KLTPLCVSLKCTDLKNDTNTNSSSGRMIMEKGEIKNCSFNISTSIRGKVQKEYAFFYKLD
IIPIDNDTTSYKLTSCNTSVITQACPKVSFEPIPIHYCAPAGFAILKCNNKTFNGTGPCT
NVSTVQCTHGIRPVVSTQLLLNGSLAEEEVVIRSVNFTDNAKTIIVQLNTSVEINCTRPN
NNTRKRIRIQRGPGRAFVTIGKIGNMRQAHCNISRAKWNNTLKQIASKLREQFGNNKTII
FKQSSGGDPEIVTHSFNCGGEFFYCNSTQLFNSTWFNSTWSTEGSNNTEGSDTITLPCRI
KQIINMWQKVGKAMYAPPISGQIRCSSNITGLLLTRDGGNSNNESEIFRPGGGDMRDNWR
SELYKYKVVKIEPLGVAPTKAKRRVVQREKRAVGIGALFLGFLGAAGSTMGAASMTLTVQ
ARQLLSGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARILAVERYLKDQQLLGIWGCSG
KLICTTAVPWNASWSNKSLEQIWNHTTWMEWDREINNYTSLIHSLIEESQNQQEKNEQEL
LELDKWASLWNWFNITNWLWYIKLFIMIVGGLVGLRIVFAVLSIVNRVRQGYSPLSFQTH
LPTPRGPDRPEGIEEEGGERDRDRSIRLVNGSLALIWDDLRSLCLFSYHRLRDLLLIVTR
IVELLGRRGWEALKYWWNLLQYWSQELKNSAVSLLNATAIAVAEGTDRVIEVVQGACRAI
RHIPRRIRQGLERILL
【0156】
(配列番号3:VSV-Gヌクレオチド)
atgaagtgtctgctgtacctggcgttcctgtttatcggggtgaactgcaagttcactatcgtgtttccgcacaaccaaaagggcaactggaaaaacgtgccttcaaattaccattattgccccagcagctcggacctgaactggcacaatgacctcattggaaccgcgctgcaggtgaagatgccaaagagccacaaggctatccaggctgacggatggatgtgccacgcgtcaaaatgggtgactacctgcgatttccgctggtacggaccaaaatacatcacgcacagcatcagatcattcaccccgtcagtggaacaatgcaaagaatccatcgaacagactaagcagggaacctggctgaaccctggatttccgccgcagtcgtgtgggtacgcaaccgtgaccgatgcagaggccgtgatcgtgcaagtcacgccgcatcacgtgcttgtggacgagtacaccggagaatgggtcgattcccagttcatcaacggcaagtgctccaactacatttgcccaaccgtgcacaacagcactacttggcacagcgactacaaagtgaagggtctgtgtgattccaacctgatctccatggatatcactttcttctcggaagacggcgaactgtcctcactgggcaaagaaggaactgggtttcgctcaaattacttcgcctacgaaactggaggaaaagcctgcaagatgcagtactgcaagcactggggcgtgagactacccagcggtgtctggttcgagatggccgataaggacctgtttgcagcagcgagattcccggaatgccctgagggatcgagcatctccgctccaagccaaacttcagtggacgtgagcctgatccaggacgtggaacggattctcgactactcgctgtgccaggagacctggtcgaagatcagagcgggactgcccatctcaccggtggacctgtcctacctggcgccaaagaatccgggcactggaccggcgttcaccatcatcaacggcaccctcaaatacttcgagacgcggtacatccgggtggacatcgcagctccgatcctctcccggatggtgggaatgatctcggggactactaccgaacgcgagctctgggacgactgggcaccttacgaggatgtcgagatcggacctaacggagtgctccggacctcctccgggtacaagttccctctgtacatgatcggccatggcatgctggactcggatctgcatctgtcgtccaaagcacaggtgtttgaacacccacacattcaagacgccgccagccagctgccggacgatgagtcgctgttcttcggagacacgggcttgtcaaagaatcccatcgagctggtggaaggatggttttcatcctggaaaagcagcatcgcttcattcttcttcatcattggcctgatcatcggcctatttctagtcctgcgggtgggaattcatctgtgcatcaagctcaagcacactaagaagcggcaaatctacactgatatcgagatgaatcgcctgggcaag
【0157】
(配列番号4:VSV-Gアミノ酸)
MKCLLYLAFLFIGVNCKFTIVFPHNQKGNWKNVPSNYHYCPSSSDLNWHNDLIGTALQVKMPKSHKAIQADGWMCHASKWVTTCDFRWYGPKYITHSIRSFTPSVEQCKESIEQTKQGTWLNPGFPPQSCGYATVTDAEAVIVQVTPHHVLVDEYTGEWVDSQFINGKCSNYICPTVHNSTTWHSDYKVKGLCDSNLISMDITFFSEDGELSSLGKEGTGFRSNYFAYETGGKACKMQYCKHWGVRLPSGVWFEMADKDLFAAARFPECPEGSSISAPSQTSVDVSLIQDVERILDYSLCQETWSKIRAGLPISPVDLSYLAPKNPGTGPAFTIINGTLKYFETRYIRVDIAAPILSRMVGMISGTTTERELWDDWAPYEDVEIGPNGVLRTSSGYKFPLYMIGHGMLDSDLHLSSKAQVFEHPHIQDAASQLPDDESLFFGDTGLSKNPIELVEGWFSSWKSSIASFFFIIGLIIGLFLVLRVGIHLCIKLKHTKKRQIYTDIEMNRLGK
【0158】
(配列番号5:HIV-1 gag-polヌクレオチド)
atgggtgcgagagcgtcagtattaagcgggggagaattagatcgatgggaaaaaattcggttaaggccagggggaaagaaaaaatataaattaaaacatatagtatgggcaagcagggagctagaacgattcgcagttaatcctggcctgttagaaacatcagaaggctgtagacaaatactgggacagctacaaccatcccttcagacaggatcagaagaacttagatcattatataatacagtagcaaccctctattgtgtgcatcaaaggatagagataaaagacaccaaggaagctttagacaagatagaggaagagcaaaacaaaagtaagaaaaaagcacagcaagcagcagctgacacaggacacagcaatcaggtcagccaaaattaccctatagtgcagaacatccaggggcaaatggtacatcaggccatatcacctagaactttaaatgcatgggtaaaagtagtagaagagaaggctttcagcccagaagtgatacccatgttttcagcattatcagaaggagccaccccacaagatttaaacaccatgctaaacacagtggggggacatcaagcagccatgcaaatgttaaaagagaccatcaatgaggaagctgcagaatgggatagagtgcatccagtgcatgcagggcctattgcaccaggccagatgagagaaccaaggggaagtgacatagcaggaactactagtacccttcaggaacaaataggatggatgacacataatccacctatcccagtaggagaaatctataaaagatggataatcctgggattaaataaaatagtaagaatgtatagccctaccagcattctggacataagacaaggaccaaaggaaccctttagagactatgtagaccgattctataaaactctaagagccgagcaagcttcacaagaggtaaaaaattggatgacagaaaccttgttggtccaaaatgcgaacccagattgtaagactattttaaaagcattgggaccaggagcgacactagaagaaatgatgacagcatgtcagggagtggggggacccggccataaagcaagagttttggctgaagcaatgagccaagtaacaaatccagctaccataatgatacagaaaggcaattttaggaaccaaagaaagactgttaagtgtttcaattgtggcaaagaagggcacatagccaaaaattgcagggcccctaggaaaaagggctgttggaaatgtggaaaggaaggacaccaaatgaaagattgtactgagagacaggctaattttttagggaagatctggccttcccacaagggaaggccagggaattttcttcagagcagaccagagccaacagccccaccagaagagagcttcaggtttggggaagagacaacaactccctctcagaagcaggagccgatagacaaggaactgtatcctttagcttccctcagatcactctttggcagcgacccctcgtcacaataaagataggggggcaattaaaggaagctctattagatacaggagcagatgatacagtattagaagaaatgaatttgccaggaagatggaaaccaaaaatgatagggggaattggaggttttatcaaagtaagacagtatgatcagatactcatagaaatctgcggacataaagctataggtacagtattagtaggacctacacctgtcaacataattggaagaaatctgttgactcagattggctgcactttaaattttcccattagtcctattgagactgtaccagtaaaattaaagccaggaatggatggcccaaaagttaaacaatggccattgacagaagaaaaaataaaagcattagtagaaatttgtacagaaatggaaaaggaaggaaaaatttcaaaaattgggcctgaaaatccatacaatactccagtatttgccataaagaaaaaagacagtactaaatggagaaaattagtagatttcagagaacttaataagagaactcaagatttctgggaagttcaattaggaataccacatcctgcagggttaaaacagaaaaaatcagtaacagtactggatgtgggcgatgcatatttttcagttcccttagataaagacttcaggaagtatactgcatttaccatacctagtataaacaatgagacaccagggattagatatcagtacaatgtgcttccacagggatggaaaggatcaccagcaatattccagtgtagcatgacaaaaatcttagagccttttagaaaacaaaatccagacatagtcatctatcaatacatggatgatttgtatgtaggatctgacttagaaatagggcagcatagaacaaaaatagaggaactgagacaacatctgttgaggtggggatttaccacaccagacaaaaaacatcagaaagaacctccattcctttggatgggttatgaactccatcctgataaatggacagtacagcctatagtgctgccagaaaaggacagctggactgtcaatgacatacagaaattagtgggaaaattgaattgggcaagtcagatttatgcagggattaaagtaaggcaattatgtaaacttcttaggggaaccaaagcactaacagaagtagtaccactaacagaagaagcagagctagaactggcagaaaacagggagattctaaaagaaccggtacatggagtgtattatgacccatcaaaagacttaatagcagaaatacagaagcaggggcaaggccaatggacatatcaaatttatcaagagccatttaaaaatctgaaaacaggaaagtatgcaagaatgaagggtgcccacactaatgatgtgaaacaattaacagaggcagtacaaaaaatagccacagaaagcatagtaatatggggaaagactcctaaatttaaattacccatacaaaaggaaacatgggaagcatggtggacagagtattggcaagccacctggattcctgagtgggagtttgtcaatacccctcccttagtgaagttatggtaccagttagagaaagaacccataataggagcagaaactttctatgtagatggggcagccaatagggaaactaaattaggaaaagcaggatatgtaactgacagaggaagacaaaaagttgtccccctaacggacacaacaaatcagaagactgagttacaagcaattcatctagctttgcaggattcgggattagaagtaaacatagtgacagactcacaatatgcattgggaatcattcaagcacaaccagataagagtgaatcagagttagtcagtcaaataatagagcagttaataaaaaaggaaaaagtctacctggcatgggtaccagcacacaaaggaattggaggaaatgaacaagtagataaattggtcagtgctggaatcaggaaagtactatttttagatggaatagataaggcccaagaagaacatgagaaatatcacagtaattggagagcaatggctagtgattttaacctaccacctgtagtagcaaaagaaatagtagccagctgtgataaatgtcagctaaaaggggaagccatgcatggacaagtagactgtagcccaggaatatggcagctagattgtacacatttagaaggaaaagttatcttggtagcagttcatgtagccagtggatatatagaagcagaagtaattccagcagagacagggcaagaaacagcatacttcctcttaaaattagcaggaagatggccagtaaaaacagtacatacagacaatggcagcaatttcaccagtactacagttaaggccgcctgttggtgggcggggatcaagcaggaatttggcattccctacaatccccaaagtcaaggagtaatagaatctatgaataaagaattaaagaaaattataggacaggtaagagatcaggctgaacatcttaagacagcagtacaaatggcagtattcatccacaattttaaaagaaaaggggggattggggggtacagtgcaggggaaagaatagtagacataatagcaacagacatacaaactaaagaattacaaaaacaaattacaaaaattcaaaattttcgggtttattacagggacagcagagatccagtttggaaaggaccagcaaagctcctctggaaaggtgaaggggcagtagtaatacaagataatagtgacataaaagtagtgccaagaagaaaagcaaagatcatcagggattatggaaaacagatggcaggtgatgattgtgtggcaagtagacaggatgaggattaa
【0159】
(配列番号6:HIV-1 revヌクレオチド)
ATGGCAGGCCGCTCAGGGGACTCGGATGAGGATCTGCTGAAGGCGGTGCGGCTCATCAAATTCCTGTACCAGAGCAACCCGCCACCGAACCCCGAAGGAACTCGCCAGGCTCGCAGGAACCGCCGCAGACGCTGGCGCGAACGGCAGCGCCAGATCCACAGCATCAGCGAACGCATCCTGTCAACTTACTTGGGACGGTCAGCGGAACCTGTCCCGCTGCAGCTGCCGCCGCTGGAGCGCCTGACTCTGGATTGCAACGAAGACTGCGGAACCAGCGGAACCCAGGGCGTGGGAAGCCCACAGATCCTGGTGGAATCGCCTACCATCTTGGAAAGCGGCGCGAAAGAA
【0160】
(配列番号7:HIV-1 Revアミノ酸)
MAGRSGDSDEDLLKAVRLIKFLYQSNPPPNPEGTRQARRNRRRRWRERQRQIHSISERILSTYLGRSAEPVPLQLPPLERLTLDCNEDCGTSGTQGVGSPQILVESPTILESGAKE
【0161】
(配列番号8:TetR結合部位)
tccctatcagtgatagaga
【0162】
(配列番号9:TetRタンパク質のヌクレオチド配列)
Atgtcgcgcctggacaaaagcaaagtgattaactcagcgctggaactgttgaatgaggtgggaattgaaggactcactactcgcaagctggcacagaagctgggcgtcgagcagccaacgctgtactggcatgtgaagaataaacgggcgctcctagacgcgcttgccatcgaaatgctggaccgccatcacacccacttttgccccctggagggcgaatcctggcaagattttctgcggaacaatgcaaagtcgttccggtgcgctctgctgtcccaccgcgatggcgcaaaagtgcacctgggcactcggcccaccgagaaacaatacgaaaccctggaaaaccaactggctttcctttgccaacagggattttcactggagaatgccctgtacgcactatccgcggtcggccactttaccctgggatgcgtcctcgaagatcaggagcaccaagtcgccaaggaggaaagagaaactcctaccactgactcaatgcctccgctcctgagacaagccatcgagctgttcgaccaccagggtgctgaacctgcatttctgttcgggcttgaactgattatctgcggcctggagaaacagttgaagtgcgagtcgggatcctag
【0163】
(配列番号10:TetRタンパク質のアミノ酸配列)
MSRLDKSKVINSALELLNEVGIEGLTTRKLAQKLGVEQPTLYWHVKNKRALLDALAIEMLDRHHTHFCPLEGESWQDFLRNNAKSFRCALLSHRDGAKVHLGTRPTEKQYETLENQLAFLCQQGFSLENALYALSAVGHFTLGCVLEDQEHQVAKEERETPTTDSMPPLLRQAIELFDHQGAEPAFLFGLELIICGLEKQLKCESGS
【0164】
(配列番号11:アポトーシス阻害物質IAP1)
ATGAACGAGGACACTCCGCCGTTTTATTTTATCAATACGCGCGACAACTTTCGCGATAACATCGCCGAACACGTATTCGATATGTTACTAGAAAGACATGGCTCGTTTGAAAATTATCCCATTGTAAACACGGCATTCATCAACAGCTTGATCGTTAACGGGTTTAAATACAATCAAGTCGATGACCACGTTGTGTGCGAGTATTGTGAAGCAGAAATAAAAAATTGGTCCGAAGACGAGTGTATTGAATATGCACACGTAACCTTGTCGCCGTATTGCGCCTACGCCAATAAGATTGCTGAGCATGAATCGTTTGGCGACAACATTACCATCAACGCTGTACTGGTAAAAGAAGGCAGACCCAAGTGTGTGTACAGATGCATGTCCAATTTACAGTCGCGTATGGATACGTTTGTTACTTTTTGGCCTGCCGCATTGCGTGACATGATTATAAACATCGCGGAAGCGGGACTTTTTTACACGGGTCGCGGAGACGAAACTGTATGTTTCTTTTGCGATTGTTGCGTACGTGATTGGCATACTAACGAAGACGCCTGGCAGCGACACGCCACCGAAAACCCGCAATGCTACTTTGTGCTGTCGGTGAAAGGTAAAGAATTTTGTCAAAACGCAATTACTGCCACTCACGTTGATAAACGTGACGATGACGACGACGACGATGATAATTTAAACGAGAGCGTCGATGACATTGAGGAAAAATACGAATGCAAAGTCTGTCTTGAACGCCAACGCGACGCAGTGCTTATGCCTTGTCGGCATTTTTGTGTTTGCGTTCAGTGTTATTTTGGTTTAGATCAAAAGTGTCCGACCTGTCGTCAAGACGTCACCGATTTCATAAAAATATTTGTGGTGTAG
【0165】
(配列番号12:アポトーシス阻害物質EBNA5)
ATGGGAGATCGTAGCGAAGTCCCCGGTCCGGCACGCCCCGGACCTCCGGGAATTGGCCCCGAAGGCCCTCTAGGACAGCTCCTGCGTCGGCACCGCAGTCCCTCCCCGACCCGTGGAGGCCAAGAGCCCCGGCGGGTCAGACGCCGCGTATTAGTCCAGCAGGAAGAGGAAGTAGTAAGTGGCTCACCATCAGGGCCCCGGGGAGACAGGTCAGAGGTCCCAGGCCCAGCCCGCCCTGGCCCGCCGGGTATCGGACCCGAAGGGCCCCTGGGCCAGCTGTTGCGCCGGCACAGATCACCCAGCCCCACCCGCGGCGGTCAGGAACCTCGCCGGGTCAGACGGCGGGTGCTCGTACAACAGGAAGAGGAAGTTGTTTCTGGATCGCCCTCGGGCCCGCGCGGCGACCGCTCAGAGGTGCCTGGACCAGCCCGGCCTGGGCCCCCCGGAATCGGACCTGAAGGACCGCTGGGTCAGTTACTACGCCGGCACCGGTCCCCTTCGCCGACTCGGGGCGGGCAGGAACCCCGGCGCGTGAGGCGTCGCGTCCTGGTCCAGCAGGAGGAAGAGGTTGTCAGCGGCAGCCCATCCGGGCCGAGGGGGGATCGTTCGGAAGTGCCCGGCCCAGCACGCCCGGGCCCGCCAGGTATTGGGCCCGAAGGTCCGTTAGGTCAGCTGCTCCGGCGGCATAGGTCACCATCCCCGACTCGGGGCGGCCAGGAACCGCGGAGAGTGCGCCGGAGAGTGCTGGTGCAACAGGAGGAAGAAGTCGTGTCCGGGTCGCCGTCAGGTCCTCGGGGCGACCGGTCAGAAGTACCTGGACCGGCCCGCCCCGGACCGCCGGGCATCGGGCCGGAAGGCCCCCTGGGACAGCTGCTGCGGAGACATAGATCGCCATCCCCCACCAGAGGCGGACAGGAACCGCGCCGCGTGCGCCGCCGGGTGCTGGTTCAGCAAGAAGAAGAGGTTGTGTCGGGTTCACCTAGCGGCCCGAGAGGCGACCGGAGCGAAGTGCCAGGACCAGCACGTCCGGGCCCTCCAGGTATCGGCCCAGAAGGACCACTGGGACAACTGCTGAGACGCCATCGCTCGCCGAGCCCTACGCGCGGAGGTCAAGAACCGAGACGGGTCCGCAGACGAGTCCTCGTTCAACAAGAAGAAGAGGTCGTGTCTGGAAGCCCGTCTGGCCCAAGAGGGGACAGAAGCGAGGTGCCGGGACCGGCGCGGCCGGGGCCGCCGGGGATCGGGCCTGAAGGTCCGCTGGGGCAGCTCTTGCGCAGACACCGCTCGCCCAGCCCAACCCGCGGTGGACAAGAACCCCGACGGGTGCGGCGGCGCGTGCTCGTGCAACAAGAAGAAGAGGTTGTCTCGGGCTCGCCATCTGGCCCGCTCAGACCAAGACCGCGACCGCCGGCCCGGTCCCTCCGCGAATGGCTGCTGCGCATCAGAGACAGATTCGAGCCGCCAACTGAAACCACCCAGCGGCAGTCCATCTACATTGAGGAAGAGGAAGATGAGGATTAG
【0166】
(配列番号13:アポトーシス阻害物質BCL-XL)
ATGAGCCAGTCAAATCGGGAACTGGTGGTGGATTTTCTGAGCTACAAGCTCTCGCAAAAGGGCTACTCATGGAGCCAGTTTTCGGATGTCGAAGAAAACCGGACCGAGGCTCCAGAGGGCACCGAATCGGAGATGGAAACTCCGTCAGCAATCAACGGAAATCCATCATGGCACCTGGCAGATAGCCCGGCGGTGAACGGAGCAACCGGACATTCAAGCTCCCTGGACGCCAGAGAAGTGATTCCGATGGCGGCAGTGAAGCAGGCGCTACGCGAAGCGGGAGACGAGTTCGAGCTGCGGTACAGGAGAGCTTTTAGCGACCTGACTAGCCAGCTCCACATCACTCCGGGGACCGCCTACCAGTCGTTTGAACAGGTGGTGAACGAGCTGTTTCGGGATGGAGTCAACTGGGGCAGAATCGTGGCCTTCTTTTCCTTCGGCGGTGCGCTGTGCGTCGAATCCGTGGACAAGGAGATGCAGGTCCTGGTCAGCCGGATCGCAGCGTGGATGGCCACTTATCTCAACGATCACCTGGAGCCGTGGATTCAAGAGAATGGGGGCTGGGACACCTTCGTGGAACTGTATGGAAACAACGCGGCAGCAGAGTCGAGGAAGGGCCAAGAACGCTTTAATCGGTGGTTCCTGACTGGAATGACGGTGGCAGGAGTGGTGCTACTGGGCTCGCTTTTCAGCCGCAAATAA
【0167】
(配列番号14:VSV-Gに由来するN末端シグナルペプチド)
MLSYLIFALAVSPILG
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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