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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】電気式エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20220715BHJP
   A24F 40/49 20200101ALI20220715BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20220715BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/49
A24F47/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020536155
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2018097112
(87)【国際公開番号】W WO2019129868
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】17211090.0
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538408(JP,A)
【文献】特表2015-507477(JP,A)
【文献】特表2017-506070(JP,A)
【文献】特表2016-524777(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成システム(36)であって、
- 前記エアロゾルを生成するために前記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、
- 前記エアロゾルを含むフローをユーザに送給するための流路(18)であって、前記電気式加熱システム(30)は、前記流路(18)と流体連通して配置される、流路(18)と、
- 電気回路(8)と
を含み、前記電気回路(8)は、
- 前記流路(18)を通したユーザ吸入からの、前記電気式加熱システムに対する冷却効果による、前記電気式加熱システム(30)と関連付けられた特性の変化を測定することと、
- 前記電気式加熱システム(30)と関連付けられた前記測定された特性に基づいて前記吸入の特質を決定することと、
- 前記決定された特質に基づいて前記ユーザを識別することであって、前記ユーザの識別が、成人と未成年ユーザとを区別することを含むこと
を行うように配置される、エアロゾル生成システム(36)。
【請求項2】
前記電気回路(8)は、前記決定された特質と、格納された特質との相関に基づいてユーザを識別するように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電気回路(8)は、較正手順中、前記格納された特質を格納するように配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電気回路(8)は、相関スコアの値に基づいて前記ユーザを識別するように配置される、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電気回路(8)は、ユーザの識別に基づいて前記システムの動作を制御するように配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作は、前記電気式加熱システム(30)を使用可能にすること又は使用不能にすることを含み、前記電気式加熱システム(30)は、前記ユーザが識別されない場合に使用不能にされる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記電気式加熱システム(30)と関連付けられた前記測定された特性は、前記電気式加熱システム(30)の温度、前記電気式加熱システム(30)を通した電流、前記電気式加熱システム(30)を通した電力、前記電気式加熱システム(30)にわたる電位の1つに基づく、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記電気式加熱システム(30)と関連付けられた前記測定された特性は、前記電気式加熱システム(30)の温度に基づき、及び前記電気回路(8)は、前記電気式加熱システム(30)の電気抵抗の測定に基づいて前記温度を決定するように配置されるか、又は前記電気回路(8)は、前記電気式加熱システム(30)に動作可能に近接して配置された温度センサを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電気回路(8)は、前記電気式加熱システム(30)の温度をターゲット温度に調節するように配置され、及び前記特質は、前記流路(18)を通した吸入によって生じる、前記ターゲット温度からの前記調節された温度の時間的変移に少なくとも部分的に基づく、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記特質は、前記電気式加熱システム(30)と関連付けられた前記測定された特性の時間に関する導関数に基づく、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気回路(8)は、メモリ及び1つ又は複数のプロセッサを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成システム(36)のユーザを識別する方法であって、前記エアロゾル生成システム(36)は、前記エアロゾルを生成するために前記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、前記エアロゾルを含むフローをユーザに送給するための流路(18)であって、前記電気式加熱システム(30)は、前記流路(18)と流体連通して配置される、流路(18)とを含み、前記方法は、
- 前記流路(18)を通したユーザ吸入からの、前記電気式加熱システム(30)に対する冷却効果による、前記電気式加熱システム(30)と関連付けられた特性の変化を測定するステップと、
- 前記電気式加熱システム(30)と関連付けられた前記測定された特性に基づいて前記吸入の特質を決定するステップと、
- 前記決定された特質に基づいて前記ユーザを識別するステップであって、前記ユーザの識別が、成人と未成年ユーザとを区別することを含むステップ
を含む、方法。
【請求項13】
プログラム可能電気回路(8)において実行されると、請求項12に記載の方法を実行する命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
電気式エアロゾル生成システムのための電気回路(8)であって、請求項12に記載の方法を実施するように配置される、電気回路(8)。
【請求項15】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルが形成され、且つ前記エアロゾルをユーザに送達される電気式エアロゾル生成システムの分野に関する。具体的には、本開示は、システムのユーザの識別に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル生成システムは、エアロゾル形成前駆体を貯蔵するための貯蔵部分を含む。前駆体は、液体を含み得る。加熱システムは、1つ又は複数の電気起動加熱要素から形成することができ、1つ又は複数の電気起動抵抗性加熱要素は、エアロゾルを生成するために前記前駆体を加熱するように配置される。エアロゾルは、システムの流入口と流出口との間に延在する流路内に放出される。流出口は、ユーザにエアロゾルを送達するためにユーザがエアロゾルを吸入するマウスピースとして配置することができる。
【0003】
様々な理由のため(例えば、無許可の使用を防ぐため又はユーザの好みに従ってシステムを操作するため)、そのようなシステムのユーザを識別することが望ましい場合がある。結果的に、費用効果が高いユーザ識別システムを実装することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル生成システムの開発に既に努力が注ぎ込まれているにもかかわらず、さらなる改善が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成システムであって、エアロゾルを生成するために前記前駆体を加熱するための電気式加熱システムと、エアロゾルを含むフローをユーザに送給するための流路であって、加熱システムは、流路と流体連通して配置される、流路とを含むエアロゾル生成システムを提供する。電気回路は、加熱システムと関連付けられた特性を測定するように構成される。流路を通したユーザ吸入からの、加熱システムに対する冷却効果による特性の変化を測定することができる。測定された特性から吸入の特質を決定することができる。ユーザのアイデンティティは、決定された特質に基づいて決定され得る。

【0006】
吸入からの冷却効果による、加熱システムと関連付けられた特性の変化の特質を決定することにより、ユーザを識別できることが分かっている。例えば、ユーザは、流路を通した特質的な吸入シグネチャを有することが分かっており、その特質的な吸入シグネチャを使用してユーザを識別することができる。加熱システムは、流路と流体連通するため(例えば、空気を含む流体で)、特質的な吸入シグネチャは、冷却を介して、加熱システムと関連付けられた測定された特性に与えられる。
【0007】
従って、特質は、流路を通したユーザの吸入中に決定される。この方法で識別を実施することにより、費用効果が高い識別システムを実装することができ、その識別システムにより、例えば識別のための専用センサ(高価なフローセンサ又はバイオメトリックセンサなど)の必要性がなくなる。
【0008】
ユーザ識別により、エアロゾル生成システムは、様々な方法で動作することができ、それらの方法は、ユーザにとって好ましい動作モードにシステムを構成する(例えば、ユーザが好む特定の温度に加熱システムを設定するか又はユーザが好む最大吸入持続時間を用いる)こと、未成年ユーザを判別する(例えば、未成年ユーザがシステムを使用できないように)こと、無許可のユーザに対してシステムを解除すること、特に識別されたユーザの使用量データを記録することを含む。
【0009】
ユーザ識別の例として、成人ユーザは、未成年ユーザより長く及び/又はより大きいフローレートで吸入することが分かっており、それは、成人の方が大きい肺容量及び/又は肺を制御するための発達した筋肉組織を有することが原因によるものであり得る。結果的に、吸入持続時間及び/又は最大フローレートを使用して、成人を区別することができる。高フローレートは、加熱システムに対する高い冷却効果を与える。
【0010】
ユーザ識別のさらなる例として、ユーザ(例えば、成人ユーザ)は、特定の特質的な吸入シグネチャを有することが分かっている。
【0011】
実施形態では、回路は、特質(吸入持続時間及び/又は吸入中の最大温度降下を含み得る)が閾値を超えるかどうかを決定することにより、ユーザを識別することができる。閾値を超えるかどうかを決定することにより、システムは、低い処理オーバーヘッドでユーザ識別を実施することができる。
【0012】
実施形態では、電気回路は、決定された特質と、対応する格納された特質との相関に基づいて(例えば、決定された特質と、格納された特質とを比較することによるものを含む)、ユーザを識別するように構成される。例えば、回路は、格納された特質を格納するためのメモリを実装することができる。格納された特質と比較することにより、システムは、ユーザを正確に識別することができる。
【0013】
実施形態では、ユーザは、相関スコアの値に基づいて識別される。回路は、相関スコアと閾値スコアとを比較し、相関スコアが閾値スコアを超える場合、識別されたものとしてユーザを決定するように配置することができる。
【0014】
実施形態では、回路は、較正手順中、格納された特質を格納する。例えば、ユーザは、ユーザインタフェースを介してシステムを較正モードに設定することができ、較正モード中、ユーザは、システムを通して吸入し、格納された特質の決定及び格納が行われる。較正モードでは、ユーザインタフェースを介して、吸入を開始するという表示をユーザに提供することができ、吸入開始から既定の時間量にわたり、加熱システムと関連付けられた特性を記録することができる。較正手順を実施することにより、以前の吸入からの特質と、相当する後続の吸入からの特質とを比較することができ、それによりユーザの正確な識別が可能になる。
【0015】
実施形態では、回路は、ユーザの識別に基づいてエアロゾル生成システムの動作を制御する。加熱システムと関連付けられた特質が、以前の格納された特質と一致する場合若しくは特質が閾値を超える場合又は他の基準により、識別されたものとしてユーザを決定することができる。
【0016】
前記制御の例は、例えば、加熱システムへのさらなる電気エネルギーの供給を阻止すること(5分間又は10分間などの既定の時間量にわたり、電気エネルギーの供給を阻止することを含み得る)により、加熱システムを使用可能にすること又は使用不能にすることである。加熱システムは、ユーザが識別されない場合に使用不能にすることができる。加熱システムは、ユーザが識別される場合にのみ、後続の吸入に対して使用可能にすることができる。
【0017】
実施形態では、加熱システムと関連付けられた特性は、加熱システムを通した電気エネルギーの特性に基づく。加熱システムを通した電気エネルギーの特性は、加熱システムを通した電流若しくは電力又は加熱システムにわたる電位に基づき得る。前記量は、例えば、シャント抵抗器及び適切に配置された回路によって適宜測定することができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「基づいて」という用語は、明確に又は関連する量を指し得、例えば、「電流に基づいて」は、電流に明確に又は電流から導出されるか若しくは電流に関連する他の何らかの特性を指し得る。
【0019】
実施形態では、加熱システムと関連付けられた特性は、加熱システムの温度に基づく。実施形態では、電気回路は、加熱システムの電気抵抗の測定に基づいて加熱システムの温度を決定するように配置される。例えば、電気抵抗を決定するために、加熱システムを通した電流及び加熱システムにわたる電位降下を測定することができる。温度は、温度と抵抗との間の実験的関係に基づいて電気抵抗から導出することができる。実施形態では、電気回路は、加熱システムに動作可能に近接して配置された温度センサを含む。「動作可能に近接して」により、加熱システムの代表的な温度を測定するようにセンサが配置されることを意味する。
【0020】
実施形態では、回路は、加熱システムの温度をターゲット温度に調節するように配置され、流路を通した吸入により、ターゲット温度からの調節された温度の時間的変移が起こり、特質は、時間的変移に少なくとも部分的に基づく。
【0021】
実施形態では、特質は、加熱システムと関連付けられた前記測定された特性の時間に関する導関数に基づく。導関数は、一次又は二次時間導関数であり得る。加熱システムと関連付けられた特性の時間に関する導関数から特質を決定することにより、時間導関数を使用しない特性と比べて、ユーザ間の特定の特質のより大きい変動を得ることができ、それによりユーザの正確な識別が可能になる。
【0022】
実施形態では、加熱システムと関連付けられた測定された特性から決定された特質は、振動の振幅、面積、時間又は他の曲線形状(吸入持続時間と関連付けられた全体的な振動又は吸入開始時若しくは終了時の振動を含み得る)、ピーク冷却までの時間、第1の最大冷却までの時間、第1の最小冷却までの時間、ピーク冷却間の時間、冷却の変化率、ピーク冷却数、ピーク冷却温度、ピーク冷却比、冷却速度比の変化率を含み得る。
【0023】
実施形態では、電気回路は、メモリ及び1つ又は複数のプロセッサを実装する。
【0024】
本開示は、エアロゾル生成システムのユーザを識別する方法を提供する。方法は、流路を通したユーザ吸入からの、加熱システムに対する冷却効果による、加熱システムと関連付けられた特性の変化を測定するステップと、加熱システムと関連付けられた測定された特性から吸入の特質を決定するステップと、決定された特質に基づいてユーザを識別するステップとを含み得る。
【0025】
本開示は、本明細書で開示される方法の1つ又は複数を実施するためのコンピュータプログラム若しくは電気回路又はコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読媒体を提供する。
【0026】
先行する概要は、本明細書で説明される主題の態様の基本的な理解を提供するためにいくつかの実施形態を要約する目的のために提供される。それに従って、上記で説明される特徴は、単なる例であり、本明細書で説明される主題の範囲又は趣旨を決して縮小するものと解釈すべきではない。その上、上記の及び/又は先行する実施形態は、さらなる実施形態を提供するために任意の適切な組合せで組み合わせることができる。本明細書で説明される主題の他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明、図及び請求項から明らかになるであろう。
【0027】
本開示の実施形態の態様、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の説明から明らかになるであろう。添付の図面では、同様の数字は、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】エアロゾル生成システムの構成部品の実施形態を示すシステムブロック図である。
図2図1のシステムの構成部品の実施形態を示す概略図である。
図3図1のシステムの実施形態を示す概略図である。
図4】前記システムを通したフローの特性を決定するために、図1のシステムによって実施されたプロセスの実施形態を示すフロー図である。
図5図1のエアロゾル生成システムの構成部品の実施形態を示す概略図である。
図6図1のシステムの回路、すなわち加熱システムを通した電気エネルギーの特性を決定するための回路の実施形態を示す概略図である。
図7図6の回路のより詳細な実装形態を示す概略図である。
図8図6又は7の回路の実施形態の電気加熱システムを通した電流の例を示すグラフである。
図9図9の電流及びその二次時間導関数を示すグラフである。
図10図6又は7の回路の実施形態の電気加熱システムを通した電流及びその二次時間導関数の例を示すグラフであり、図1のシステムの流路を通したユーザ吸入の効果が詳細に示される。
図11図6又は7の回路の実施形態の電気加熱システムを通した電流及びその二次時間導関数の例を示すグラフであり、図1のシステムの流路を通したユーザ吸入の効果が詳細に示され、吸入は、図10に示されるものより早く開始される。
図12】前記システムを通したフローの特性を決定するために、図1のシステムによって実施されたプロセスの実施形態を示すフロー図であり、特性は、前記特性の決定前に既定の量の電気エネルギーによって安定化する。
図13】前記システムを通したフローの特性を決定するために、図1のシステムによって実施されたプロセスの実施形態を示すフロー図であり、特性は、その加熱システムを通した電気エネルギーの特性における振動に基づき、振動は、前記システムを通したフローの吸入の開始及び/又は終了によるものである。
図14】前記システムを通したフローの特性を決定するために、図1のシステムによって実施されたプロセスの実施形態を示すフロー図であり、特性は、複数の異なる関係の1つを使用して決定される。
図15】ユーザを識別するために、図1のシステムによって実施されたプロセスの実施形態を示すフロー図である。
図16図1のシステムの電気加熱システムの温度履歴の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
エアロゾル生成システムのいくつかの実施形態を説明する前に、システムは、以下の説明に記載される構造又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示の利益を有する当業者であれば、システムの他の実施形態が可能であり、システムを様々な方法で実践又は実行できることが明らかであろう。
【0030】
本開示は、以下の説明を考慮してより良く理解することができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル生成装置」又は「装置」という用語は、エアロゾル生成ユニット(例えば、ユーザによる吸入のために、装置の流出口に送達する前に例えばマウスピースにおいて凝縮してエアロゾルにするための蒸気を生成する加熱器又はアトマイザ)により、エアロゾル(喫煙のためのエアロゾルを含む)をユーザに送達するための喫煙装置を含み得る。喫煙のためのエアロゾルは、0.5~7ミクロンの粒径のエアロゾルを指し得る。粒径は、10又は7ミクロン未満であり得る。装置は、ポータブルであり得る。「ポータブル」は、ユーザが保持して使用するための装置を指し得る。装置は、例えば、不定の時間量にわたり、アトマイザを起動することにより、不定量のエアロゾル(定量のエアロゾルとは対照的に)を生成するように適応させることができ、その生成は、トリガによって制御することができる。トリガは、蒸気吸入ボタン及び/又は吸入センサなど、ユーザが起動できるものであり得る。装置は、例えば、不定の時間量にわたってアトマイザを起動することにより、不定量のエアロゾル(定量のエアロゾルとは対照的に)を生成するように適応させることができ、その生成は、トリガによって制御することができる。トリガは、蒸気吸入ボタン及び/又は吸入センサなど、ユーザが起動できるものであり得る。吸入センサは、吸入強度及び吸入持続時間に対する感度が高いものであり得、その結果、吸入強度に基づいてより多くの又はより少ない蒸気を提供することが可能になる(その結果、タバコ、葉巻又はパイプなどの従来の可燃性喫煙具の喫煙効果を模倣する)。装置は、温度調節制御(例えば、比例・積分・微分(PID)コントローラなど)を含み得、温度調節制御は、エアロゾル生成ユニットで利用可能な基質である前駆体)の量にかかわらず及びユーザが吸入する強度にかかわらず、加熱器及び/又は加熱エアロゾル生成物質(エアロゾル前駆体)の温度を指定ターゲット温度まで迅速に上昇させ、その後、ターゲット温度で温度を維持するためのものである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル生成システム」又は「システム」という用語は、装置及び任意選択により装置の機能と関連付けられた他の回路/構成部品(例えば、周辺デバイス及び/又は他のリモートのコンピューティングデバイス)を含み得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体の1つ又は複数として前駆体の懸濁液を含み得る。前記懸濁液は、空気を含む気体の状態であり得る。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指し得る/含み得る。エアロゾルは、前駆体の1つ又は複数の成分を含み得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成前駆体」、「前駆体」、「エアロゾル形成物質」又は「物質」という用語は、液体、固体、ゲル、他の物質の1つ又は複数を指し得る。前駆体は、本明細書で定義されるようにエアロゾルを形成するために、装置のアトマイザによって処理可能なものであり得る。前駆体は、ニコチン、カフェイン又は他の有効成分の1つ又は複数を含み得る。有効成分は、液体であり得るキャリアで運ぶことができる。キャリアは、プロピレングリコール又はグリセリンを含み得る。また、香味料も存在し得る。香味料は、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナオイル)又は同様のものを含み得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「電気回路(electrical circuitry)」、「電気回路(electric circuitry)」、「回路」又は「制御回路」という用語は、以下の又は他の適切なハードウェア又はソフトウェアコンポーネント、すなわち特定用途向け集積回路(ASIC)、電子/電気回路(例えば、トランジスタ、変成器、抵抗器、キャパシタの組合せを含み得る受動コンポーネント)、プロセッサ(共有、専用又はグループ)、1つ又は複数のソフトウェア又はファームウェアプログラムを実行することができるメモリ(共有、専用又はグループ)、組合せ論理回路の1つ又は複数を指すか、それらの一部であるか、又はそれらを含み得る。電気回路は、装置における集中型であるか、又は分散型(装置の基板上で及び/若しくは例えばシステムの一部として装置と通信する1つ若しくは複数のコンポーネント上で分散されたものを含む)であり得る。コンポーネントは、ネットワーク接続コンピュータ(例えば、リモートサーバ)、クラウドベースのコンピュータ、周辺デバイスの1つ又は複数を含み得る。回路を1つ若しくは複数のソフトウェア若しくはファームウェアモジュールにおいて実装するか、又は回路と関連付けられた機能を1つ若しくは複数のソフトウェア若しくはファームウェアモジュールによって実装することができる。回路は、ハードウェアにおいて少なくとも部分的に動作可能な論理を含み得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」又は「処理資源」という用語は、ASIC、マイクロコントローラ、FPGA、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)能力、状態機械又は他の適切なコンポーネントを含む、処理のための1つ又は複数のユニットを指し得る。プロセッサは、メモリに格納された機械可読命令及び/又はプログラマブル論理としてのコンピュータプログラムを含み得る。プロセッサは、回路に対して論じられたものに相当する様々な配置(例えば、装置の基板上及び/又はシステムの一部として装置の基板外)を有することができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読媒体」という用語は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、メモリカード、DVD-ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、光学式ドライブの1つ又は複数など、従来の非一時的なメモリを含み得る。メモリは、回路/プロセッサに対して論じられたものに相当する様々な配置を有することができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「通信資源」という用語は、電子情報転送のためのハードウェア及び/又はファームウェアを指し得る。無線通信資源は、無線機によって信号を送信及び受信するためのハードウェアを含み得、例えば電子学会(IEEE)において説明される802.11規格及びワシントン州のKirklandにあるBluetooth(登録商標) Special Interest GroupからのBluetooth(登録商標)などの様々なプロトコルの実装形態を含み得る。有線通信資源は、ユニバーサルシリアルバス(USB)、高精細度マルチメディアインタフェース(HDMI(登録商標))又は他のプロトコルの実装形態を含み得る。装置は、周辺デバイスとの通信のための通信資源を含み得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「流路と流体連通して配置された(配置されている)加熱システム」は、加熱システムと、流路によって送給されるフローとの間、(これらに限定されないが)加熱コイルなどの加熱システムのコンポーネントと、空気、前駆体、固体材料及び/又はフローに含まれるエアロゾルとの間などの相互作用又は交換を指し得る。例えば、コイルなどの加熱要素が流路内に位置付けられる場合、加熱システムは、流路と流体連通している。この事例では、加熱要素はフローを加熱し、その逆も同様であり、すなわち、フローは、加熱要素に対する冷却効果を有し得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ネットワーク」又は「コンピュータネットワーク」という用語は、電子情報転送のためのシステムを指し得る。ネットワークは、公衆陸上移動体ネットワーク(PLMN)、電話網(例えば、公衆交換電話網(PSTN)及び/又は無線ネットワーク)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネットプロトコルマルチメディアサブシステム(IMS)ネットワーク、プライベートネットワーク、インターネット、イントラネットを含み得る任意のタイプの1つ又は複数のネットワークを含み得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「周辺デバイス」という用語は、装置の周辺の電子コンポーネントを含み得る。周辺デバイスは、スマートフォン、PDA、テレビゲームコントローラ、タブレット、ラップトップ又は他の同様のデバイスを含む電子コンピュータデバイスを含み得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「貯蔵部分」という用語は、前駆体を貯蔵するように適応させた装置の部分を指し得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「送達システム」という用語は、吸入によってエアロゾルをユーザに送達するように動作可能なシステムを指し得る。送達システムは、マウスピース又はマウスピースを含むアセンブリを含み得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「流路」という用語は、装置中を通る経路又は密閉通路を指し得、それを通して、ユーザは、エアロゾル送達のための吸入を行うことができる。流路は、エアロゾルを受け取るように配置することができる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「フロー」という用語は、流路内のフローを指し得、流路を通した吸入によって流路内に誘導することができる空気及び/又はエアロゾルを含み得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「吸入する」という用語は、流路を通過するフローを誘導するように減圧をもたらすためにユーザが吸入すること(例えば、肺拡張によって)を指し得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「アトマイザ」という用語は、前駆体からエアロゾルを形成するためのデバイスを指し得る。アトマイザは、加熱システム、超音波又は他の適切なシステムを含み得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「加熱システムを通した電気エネルギーの特性」又は「電気エネルギーの測定された特性」という用語は、加熱システム(例えば、その1つ又は複数の電気抵抗性要素)又は関連コンポーネント(例えば、加熱システムに直列若しくは並列に配置された又は他の適切な動作可能な配置の抵抗器(シャント抵抗器を含み得る))を通した、且つ/或いは同加熱システム又は関連コンポーネントにわたる電気エネルギーの電流、電位、電力、位相、他の関連特性の1つ又は複数を指し得る。特性は、電気エネルギーの特性の時間依存性を指し得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「フローに関連する特性」又は「フローの特性」という用語は、流路のフローと関連付けられた以下のもの、すなわちエアロゾル及び/又は空気のフローレート(例えば、体積若しくは質量)、吸入持続時間、吸入開始、吸入終了、吸入強度、流速、流量(例えば、体積若しくは質量)(吸入と関連付けることができるフローのエアロゾルの1つ若しくは複数の成分(例えば、ニコチン、カフェイン)及び/又は空気を含む)の1つ又は複数を指し得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、電気エネルギーの測定された特性に対する「二次時間導関数の特質」という用語は、以下の特徴、すなわち停留点(例えば、極大値若しくは極小値)、他の変曲点(鞍点を含む)、停留点と関連付けられた時間(基礎値に対するものであり得る)、停留点間の時間(直接連続した若しくは区切られた(例えば、ベースラインの時間で)ものであり得る)、ステップ又は他の不連続性、ベースラインからの上昇又は下降(例えば、パルスの場合)、パルスの振幅と関連付けられた位置(例えば、振幅の25%)の1つ又は複数を含み得る/指し得る。大きさ及び/又は時間位置に対して様々なポイントを特徴付けることができる。
【0051】
図1を参照すると、エアロゾル生成装置2の実施形態は、電気エネルギーを供給するための電源4を含む。電気エネルギーは、アトマイザ6及び/又は電気回路8に供給することができる。電源4は、電池の形態の電源及び/又は外部電源への電気接続を含み得る。装置2は、エアロゾルを形成するために前駆体をアトマイザ6に送給するための前駆体送給システム10を含み得る。送達システム12は、エアロゾルをユーザに送達する。
【0052】
図1及び2を参照すると、エアロゾル生成装置2の実施形態は、前駆体の貯蔵のための貯蔵部分14を有する前駆体送給システム10を含む。貯蔵部分14は、前駆体の物質的な状態に応じて、貯蔵所(図示せず)又は他の適切な配置部分として配置することができる。前駆体送給システム10は、貯蔵部分14からアトマイザ6に前駆体を送給するための送給ユニット16を含む。送給ユニット16は、毛細管現象による送給用に配置された吸収性部材(例えば、綿)、導管、バルブ、ポンプシステム(電動式ポンプを含み得る)の1つ又は複数を含み得る。
【0053】
示されていない実施形態では、前駆体送給システム10を省略することができる。そのような実施形態では、前駆体は、消耗品ポッドとして(例えば、液体又はゲルとして)配置することができ、アトマイザは、ポッドのための加熱レセプタクルを含む。
【0054】
送達システム12は、アトマイザ6からユーザにエアロゾルを送給するための流路18を含む。アトマイザ6は、前駆体流入口20を含む。アトマイザ6は、フローがアトマイザ6を通過するための流路18のフロー流入口22及び流出口24を含む。示されていない実施形態では、流路18は、流出口24からエアロゾルを受け取り、アトマイザ6を通過しない。
【0055】
流路18は、装置2の筐体を通して配置することができる流入口26を含む。流路18は、エアロゾル及び流入フローをユーザに送達するための流出口28を含む。流出口28は、マウスピース又は他の適切な送達部材として配置することができる。
【0056】
アトマイザ6は、加熱システム30を含み、加熱システム30は、1つ又は複数の電気抵抗性加熱要素(図示せず)として配置することができる。加熱要素は、ワイヤ又はフィラメントとして配置することができる。加熱要素は、送給ユニット16の前駆体を加熱するために前駆体送給ユニット16に動作可能に接続することができる。1つ又は複数の加熱要素は、例えば、前記フローによって冷却するために流路18内に配置し、且つ/又は流路18と流体連通することができる。
【0057】
示されていない実施形態では、カートマイザは、送給システム10の貯蔵部分14及び送給ユニット16並びに加熱システム30を共通の筐体に統合される。カートマイザは、既定量の前駆体を含む。
【0058】
回路8は、電源4から加熱システム30への電気エネルギーを調節する。前駆体は、加熱要素の最も近くまで接近すると、過飽和蒸気に変換され、その後、凝縮されて、吸入可能なエアロゾルを形成する。前駆体は、エアロゾルに変換されると、例えばポンピング動作により、送給ユニット16によって供給されるさらなる前駆体と置き換えられ、その置換は、貯蔵部分14を使い果たすまで続く。
【0059】
加熱システム30に供給される電気エネルギーは、以下の又は他の同様の回路の1つ、すなわち電動式スイッチによるパルス幅変調(PWM)又は他の適切な手段により(例えば、交流波形切断、降圧型変換器などの直流/直流変換器、線形レギュレータにより)、回路8で制御することができる。
【0060】
回路8は、例えば、閉ループ制御により、加熱システム30の温度の制御の何らかの形態を実施する。実施形態に応じて、制御は、電位、電流、電力、温度、ターゲット値にとどめるための加熱システム30を通した(又は加熱システム30にわたる)他の関連量の1つを調節することを含み得る。
【0061】
加熱システム30は、流路18内に配置された抵抗性要素を含み得るため、流路を通した吸入は、加熱システム30を冷却する効果がある。前記冷却は、抵抗性要素の電気抵抗に影響を及ぼし、従って、冷却度は、ユーザ吸入の強度(すなわち流路を通したフローレート)を表し得る。送給ユニット16からエアロゾルとして送達される前駆体の量は、吸入の強度に依存し得るため、抵抗を使用して、本明細書で定義されるようなフローの特性を決定することができる。
【0062】
加熱システム30にわたって電圧が一定のものとして調節される実施形態では、吸入中に定電圧を維持するための電流の変化は、吸入の強度を表し得る。
【0063】
従って、例えば、比例・積分・微分(PID)又は他の同様の制御アルゴリズムにより、加熱システムの温度がターゲット温度に調節される実施形態では、吸入中にターゲット温度を維持するための電力(又は電流などの他の関連量)は、吸入の強度を表し得る。
【0064】
加熱システム30の温度は、上記で説明されるように電気抵抗を測定し、電気抵抗と温度との間の実験的に決定された関係を実施することによって決定することができる。代わりに、回路は、加熱システム30に動作可能に近接して配置された専用温度センサを実装することができる。
【0065】
後続の実施形態において提示される例は、加熱システム30の前述の様々な制御形態に適応させることができることが理解されるであろう。
【0066】
回路8は、エアロゾル形成が要求されている際にそれを検出するためのトリガ(図示せず)を含み得る。回路8は、トリガをトリガすることが決定され次第、加熱システム30への電気エネルギーの供給をもたらすことができる。トリガは、エアロゾル形成を要求していることをユーザ動作が示唆している際にそれを検出することができる。そのような要求は、吸入によるものなどの黙示的なものであるか、又はボタンを押すことによるものなどの明示的なものでもあり得る。トリガは、ユーザの手の指によるものを含めて、物理的な接触(例えば、蒸気吸入ボタン)によって作動されるアクチュエータを含み得る。その例は、ボタン又はダイヤルを含む。トリガは、流路18を通したユーザ吸入を検出するように動作可能な吸入センサを含み得る。吸入センサは、圧力応答性置換可能ダイヤフラムの容量検知によるものを含めて、流圧を決定するように動作可能なフローメータ又は圧力センサを含み得る。
【0067】
図3を参照すると、装置2の配置の実施形態は、電源4とマウスピース34とを相互接続するカートマイザ32を含む。言及したコンポーネントは、モジュール式で接続することができる(差し込み若しくはねじ込み式接続又は他の適切な接続によるものを含む)。装置2は、縦軸に沿って幾何学的に細長いものである。言及したコンポーネントは、葉巻又はタバコの形態を複製できるように、細長い円筒状の形態で配置することができる。示されていない実施形態では、言及したコンポーネントは、分離可能に配置され、例えばアトマイザを貯蔵部分から分離できるように配置することができる。言及したコンポーネントの1つ又は複数は、共通の筐体35に配置することができる。
【0068】
図1~5を参照すると、エアロゾルを生成するための電気式エアロゾル生成システム36は、本明細書で開示される任意の先行する実施形態又は他の実施形態の特徴を実装することができる。システム36は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するように構成され、エアロゾルを生成するために前記前駆体を加熱するための加熱システム30を含む。流路18は、空気流入のための流入口26と、エアロゾル及び流入空気の送達のための流出口28とを含む。加熱システム30は、流路のフロー50を受け取るためを含めて、流路18と流体連通して配置される。
【0069】
ブロック38では、電気回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性を決定する(例えば、測定する)。時間に対する特性の依存性を決定することができる。適切な特性の例は、本明細書で開示されるようなものであり、電流又は電圧を含む。本明細書で使用される場合、「加熱システムを通した電気エネルギーの特性を決定する」又は「加熱システムを通した電気エネルギーの特性」という用語は、加熱システムを通した電気エネルギーの特性の直接的な測定値及び/又は加熱システムと関連付けられた回路の他の場所(例えば、加熱システムと並列若しくは直列接続された抵抗器(シャント抵抗器を含み得る))における電気エネルギーの特性の代表的な測定値を指し得る。
【0070】
ブロック40では、電気回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの決定された特性の二次時間導関数を決定する。本明細書で使用される場合、「二次時間導関数の決定」又は「二次時間導関数に基づく」(若しくは同様の用語)は、明示公式の有無にかかわらず、代表的な量を含み得る。二次導関数の微分方法の例を以下で提供する。
【0071】
ブロック42では、電気回路8は、二次時間導関数の特質を決定し、その例は、本明細書で開示されるようなものであり、極大値及び極小値のピーク-ピーク値などの特徴を含む。「二次時間導関数の特質」という用語は、単一の特徴に限定されないものと理解されたい。例えば、「二次時間導関数の特質」という用語は、前記ピーク-ピーク値及び最大値の時刻を含み得る。さらなる例を以下で提供する。
【0072】
ブロック44では、電気回路8は、フローに関連する特性を決定するために、二次時間導関数の決定された特質を処理する。フローに関連する特性の例は、本明細書で開示されるようなものであり、流路18を通したユーザ吸入中に分配されたエアロゾルの1つ又は複数の成分の量を含む。
【0073】
実施形態において、フローに関連する特性は、フローに関連する特性と二次時間導関数の特質との間の関係に基づいて決定することができる。例えば、関係は、実験データに基づき得、その例を以下で提供する。示されていない他の実施形態では、回路8は、代替の手順ステップを実施することができ、例えば特質に基づいて固定動作が実行される。
【0074】
任意選択のブロック46では、電気回路8は、フローに関連する決定された特性を出力し、出力することは、決定された特性を表示する命令及び/又は前記特性を格納する命令をユーザインタフェースに提供することを含み得、その例を以下で提供する。
【0075】
本明細書における回路8の定義によれば、プロセスブロック38~46(又はそれらのブロックと関連付けられた他の任意のブロック及び本明細書で開示される他の実施形態の同様のプロセスステップ)は、装置2上で集中的に実行すること及び/又システム36と関連付けられた他の回路(例えば、スマートフォンとして実装することができる周辺デバイス48)上で分散することができることが理解されるであろう。
【0076】
ここで、図4のブロックによって例示される手順ステップをより詳細に説明し、ブロック38から始める。加熱システム30を通した電気エネルギーの特性の決定のための回路8は、様々な方法で実装することができる。
【0077】
[加熱システムを通した電気エネルギーの特性の決定]
図6を参照すると、回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性を決定するための回路を実装する。回路8は、加熱システム30の加熱要素を通した又は同加熱要素にわたる電気エネルギーの特性を測定するための測定ユニット52を含む。測定ユニット52は、加熱システム30に直列に配置された抵抗器(例えば、シャント抵抗器(図示せず))及び抵抗器にわたる電位を測定するように配置された電位差計(図示せず)として実装することができる。抵抗器にわたる電位は、抵抗で除することによって電流に変換することができる。それに従って、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性は、電流及び/又は電位に基づき得る。プロセッサ54は、測定システム52からの信号に基づいて電気エネルギーの特性を決定する。
【0078】
示されていない実施形態では、測定ユニットは、例えば、加熱システムにわたる電位を直接測定するように、又は位相若しくは電力を含み得る他の特性を測定するように配置された電位差計など、他の実装形態を有し得る。その上、プロセッサは、アルゴリズム及び/又は組合せ論理回路として測定ユニットの要素(例えば、電位差計)を実装することができる。また、プロセッサは、加熱システムへの電気エネルギーを制御するための制御システムの要素(例えば、PWM制御又はDC/DC変換)を実装することもできる。プロセッサ54は、以下で論じるような、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性の変動の二次時間導関数の決定及びフローに関連する特性の後続の決定を実施することができる。
【0079】
加熱システム30は、単一又は複数の加熱要素を含み得る。加熱要素の材料は、ニッケルなど、抵抗の温度係数αが高くなるように(例えば、30~90×10)選択することができる。実施形態では、加熱システム30のその加熱要素又は各加熱要素は、前駆体を燃焼させずに前駆体の蒸発を引き起こす範囲(例えば、150~350℃)まで加熱することができる。
【0080】
図6の回路8のより詳細な実装形態である図7を参照すると、回路8は、例示を目的として、例示的な構成部品を含む。測定システム52は、2mΩのシャント抵抗器58として実装され、2mΩのシャント抵抗器58は、加熱システム30に直列に配置される。加熱システム30は、200mΩの電気抵抗負荷を有する。増幅器60は、シャント抵抗器58にわたる電位を増幅する。増幅器は、50の利得を有するTexas InstrumentsによるINA215である。フィルタ62は、例えば、スプリアスモードを含む雑音を除去するために、増幅器60の出力をフィルタ処理するように配置される。プロセッサ54は、マイクロコントローラ64として実装される。マイクロコントローラ64は、Texas instrumentsによるCC2540である。
【0081】
DC-DC変換器56(実施形態では降圧変換器として実装される)は、電源4から安定した連続電圧を提供するように配置される。DC-DC変換器は、Texas InstrumentsによるLM212降圧変換器である。電源4は、3.7Vの公称供給電圧を有する。DC-DC変換器56は、2.5Vの連続電圧を出力するが、1.9~2.75Vに制御することができる。マイクロコントローラ64は、DC-DC変換器56の制御を提供する。電位差計66は、マイクロコントローラ64及びDC-DC変換器56に基準電圧を提供するように配置される。電位差計66は、MicrochipによるMCP4013である。電圧は、マイクロコントローラ64によって制御され、それにより電位差計66の基準電圧が設定される。
【0082】
シャント抵抗器58の抵抗は、比較的一定であるため、シャント抵抗器58にわたる電位は、前記抵抗で除することによって電流に変換することができる。それに従って、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性は、電流及び/若しくは電位又は電流及び/若しくは電位から導出することができる他の量(電力など)に基づき得る。
【0083】
加熱システム30を通した電気エネルギーの決定された特性の二次時間導関数は、回路8のコンポーネントの特定の実装形態(例えば、抵抗)とは比較的無関係であることが理解されるであろう。その上、前記無関係性は、同じ回路8を実装する電気構成部品の変動(例えば、製造公差)のいかなる影響も低減することができる(例えば、同じ装置2のバッチの場合)。
【0084】
フィルタ62は、例えば、抵抗器・キャパシタ(RC)フィルタなど、ローパスフィルタとして実装することができる。通過周波数は、20Hz未満であり得る。実施形態では、フィルタ(又は追加のフィルタ)は、プロセッサ54上に任意選択により配置されるデジタルフィルタリングアルゴリズム(又は論理回路)として実装される。デジタルフィルタは、有利には、プロセッサ54によって構成されたフィールドであり得る。フィルタは、最小限の歪みで信号対雑音比を増加するために平滑化アルゴリズムを実施することができ、適切な実装形態は、Savitzky-Golayフィルタリングアルゴリズムを含む。実施形態では、フィルタは、貯蔵所の気泡による振動又は他の変動をフィルタ除去するように選択される。
【0085】
[加熱システムを通した電気エネルギーの測定された特性の例]
図8~11を参照すると、ライン72は、図6又は7に示される回路8の実施形態を使用して測定する際の加熱システム30を通した電流の時間依存性を表す。加熱システムを通した電気エネルギーの他の特性(その例は、電力を含む)を測定する際にも同様の時間依存性を得ることができる。
【0086】
実施形態(以前に論じられたような)では、加熱システム30にわたって一定の電位が維持される。加熱システム30を通した電流は、加熱システム30のその加熱要素又は各加熱要素を加熱する。加熱要素の温度増加は、抵抗を増加させ、それは、一定の電位への調節により、結果的に加熱システム30を通した電流が減少することが原因である。
【0087】
図8を参照すると、Tでは、電気エネルギーが加熱システム30に印加される。加熱システム30を通した電流は、指数関数的に減少することを観察することができる。これは、加熱システム30が加熱されると実質的な初期の温度増加を呈し、それに続いて一定の温度に収束することが原因である。電気抵抗は温度に比例するため、電流は、対応する指数関数的減衰を呈することで一定の電位を維持する。
【0088】
示されていない実施形態では、回路8は、定電流源を実装し、定電流源は、加熱システム30にわたって定電流を維持するように配置される。加熱要素の抵抗が増加すると、定電流源にわたる電位が増加し、従って、電位は、先行する実施形態の電流の場合と同様の時間依存性を呈する。加熱システムにわたる電力又は他の代表的な量を測定する際にも同様の時間依存性を得ることができる。従って、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性と、流路のフローに関連する特性との間の関係は、回路8の実装形態に基づいて選択された様々な電気量に適用できることが理解されるであろう。
【0089】
ユーザが流路18を通して吸入すると、例えば加熱要素からフローストリームへの熱エネルギーの対流熱伝達により、加熱システム30からフロー50に熱が放散する。従って、加熱システム30の熱放散は、流路18を通したフロー50に関連する。加熱要素の温度は、その電気抵抗に関連するため、温度は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性(例えば、回路8の実装形態に応じて、加熱システム30にわたる電位又は加熱システム30を通した電流)に影響を及ぼす。従って、加熱システム30を通した電気エネルギーは、以下で論じるように、流路18のフロー50の様々な特性に関連する。
【0090】
図10及び11を参照すると、電流に対する流路18を通したユーザ吸入の影響がより明確に示されており、ライン72は、吸入中の電流を示し、ライン73は、吸入がなかった場合の電流を示す。ライン78は、ライン72の二次時間導関数である。具体的には、それぞれ基準ライン74でユーザ吸入が開始され、基準ライン76でユーザ吸入が終了する。吸入の開始により、電流における初期振動75が起こり、それに続いて電流増加77の時間があり、終了時に振動79が起こることが分かる。その影響は、電流の二次時間導関数78においてより顕著である。ライン81では、初期振動75は、二次時間導関数78に対する影響がなくなる。ライン83では、末期振動79が始まり、二次時間導関数78に対する影響が出てくる。
【0091】
図8及び9を参照すると、電流は、12アンペアを超える初期の大きさから、0.5~1秒で8~7.5アンペアまで、1~2秒で7.5~7アンペアまで、その約2秒後には6.5~7アンペアの公称値まで減少する。公称値を基準値として用いると、電流は、従って、最初の0.5秒で70%を超えて下降することになる。電流が安定し且つ吸入による振動の影響がより顕著に現れ得る0.5秒後に、加熱システム30を通した電流に対するユーザ吸入の影響を測定することが好ましい。
【0092】
従って、ユーザ吸入の開始の影響を捕捉できるように、既定の量の電気エネルギーの供給に続いて及び/又は加熱要素の何らかの予熱を行ってから、ユーザ吸入が起こることが望ましい。
【0093】
本明細書で使用される場合、「公称値」は、回路8が動作するように設計することができる電気エネルギーの信号の正常な動作値を指し得る。公称は、信号が収束する値又はおよその値を指し得る。
【0094】
図12を参照すると、回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性を安定させるためのプロセスの実施形態を実施する。プロセスは、図4に示されるプロセスの実施形態又は本明細書で開示される別の実施形態と組み合わせて実施することができる。ブロック88では、回路8は、既定の量の電気エネルギーを加熱システム30に印加する。ブロック90では、既定の量の電気エネルギーが加熱システム30を通した電気エネルギーの特性(例えば、例示的な実施形態では電流)を安定させる。ブロック92では、回路8は、既定の量の電気エネルギーの印加後(すなわち前記特性が安定してから)、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性に基づいて流路18のフロー50に関連する特性を決定し、その例を以下で提供する。
【0095】
既定の量の電気エネルギーの印加後の吸入(吸入の開始を含み得る)は、回路8の動作の1つ又は複数の実施形態モードを実施することによって保証することができる。実施形態では、ブロック86において、以前に説明されたように、トリガが決定され次第、既定の量の電気エネルギーが印加される。トリガは、ユーザの手の指によるものを含めて、物理的な接触(例えば、蒸気吸入ボタン)によって作動されるアクチュエータを含み得る。電気回路8は、作動中にアトマイザ6に電気エネルギーを印加するアクチュエータを実装することができる。そのようなアクチュエータを用いて、ほとんどのユーザは、作動の0.5秒又は1秒後に吸入を開始することが分かっている。従って、回路8は、0.5~1秒前に既定の量の電気エネルギーを印加するように特に構成することができる。前記構成は、加熱システム30への電気エネルギーを調節するためのプロセッサ54の制御システムによって実装することができる(例えば、DC/DC変換器又はPWMに基づく制御システムが最初の0.5~1秒又は他の適切な時間T以内に既定の量の電気エネルギーを印加する)。
【0096】
他の実施形態では、回路8は、吸入開始の意思を決定するために、運動センサ又は顔認識センサ(例えば、画像処理を有するカメラ)としてトリガを実施する。
【0097】
実施形態では、回路8は、加熱システム30が既定の温度まで加熱された際及び/又は電流が公称値の特定の量(例えば、±40%若しくは±25%)を有する際にのみ、流路18を通した吸入を可能にすることができる。回路8は、電動式値又は他のフロー調節デバイスにより、吸入を可能にすることができる。
【0098】
図8及び9を参照すると、回路8は、第1の時間Tにわたって既定の量の電気エネルギーを印加する。流路18を通した吸入の開始は、Tにおけるライン74によって示されており、T後且つ後続の時間にわたって起こる。従って、回路8は、以下で論じるように、流路を通したフローに関連する特性を決定する。回路8は、0.3~2秒若しくは0.6~1.5秒又は1秒未満若しくは0.5秒未満のT1の時間にわたって既定の量の電気エネルギーを印加するように構成することができる。
【0099】
既定の量の電気エネルギーが印加された後にTが起こることを保証することが好ましいが、実施形態では、フローの特性は、吸入の終了時の振動に基づく(その例を以下で提供する)。従って、いくつかの例では、Tは、既定の量の電気エネルギーが完全に印加される前に起こる。
【0100】
既定の量の電気エネルギーは、20、25又は30ジュール(それぞれ±40%、±25%若しくは±10%)であり得る。図6及び7の実装形態の実施形態では、既定の量の電気エネルギーは、T中に印加される2.5Vを含み得る(以前の範囲によって定義されるように)。
【0101】
既定の量の電気エネルギーは、既定の温度範囲(前記吸入中にこの範囲から冷却することができる)まで加熱システム30の加熱要素を予熱するためのものであり得る。既定の温度範囲は、前駆体を燃焼させずに前駆体の蒸発を引き起こすように選択することができる(例えば、150~350℃まで又は200~250℃まで)。加熱要素の温度は、様々な実装形態によって決定することができ、それらの実装形態は、加熱システムの抵抗、専用温度センサ、実験データ(例えば、特定の量のエネルギーは、実験的に決定された温度範囲をもたらすことが知られている)を含む。
【0102】
既定の量の電気エネルギーは、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性を公称値の±25%又は±40%に安定させるためのものであり得る。例では、電流の公称値は、6.5アンペアとして取り入れることができ、従って、その+40%又は+25%は、それぞれ9.1アンペア及び8.1アンペアに等しく、8.1アンペアは、T中に起こる。回路8の他の実施実装形態では、加熱システム30を通した電気エネルギーの他の特性(例えば、電位)にも同じ範囲を適用することができる。
【0103】
既定の量の電気エネルギーは、流路を通したユーザ吸入によって生じる振動を抽出して処理することができるように、加熱システムを通した電気エネルギーの特性を安定させるためのものであり得る。振動は、以下で論じるように、一次又は二次時間導関数におけるものを含み得る。
【0104】
前述の安定化を達成するための特定の量の電気エネルギーは、装置2の実装形態(回路8、加熱要素の抵抗を含む加熱システム30、流路の実装形態を含む)に依存する。従って、特定の量の電気エネルギーは、実験データに基づいて決定できることが理解されるであろう。
【0105】
図9を参照すると、約2.5秒後、電流72は、著しい振動を呈している(対応する二次時間導関数74においてより明確に分かる)。振動は、加熱システム30の加熱要素の過熱によって生じる電気雑音である。従って、電気雑音が吸入の測定値に干渉しないように、流路18を通したユーザ吸入が電気雑音の前に起こるように回路8を構成することが望ましいことがあり得る。これは、ユーザ吸入の開始にできる限り近い時刻に既定の量の電気エネルギーを印加することによって達成することができる。
【0106】
二次時間導関数は、加熱システム30を通した電気エネルギーがその初期値から公称値まで減少する際に干渉の影響を特に受けやすいため、フローの特性を計算するために、二次時間導関数の処理と組み合わせて、既定の量の電気エネルギーを印加する回路8を実装することが望ましいことがあり得、その例を以下で提供する。
【0107】
しかし、いくつかの実施形態では、フローの特性を計算するため、数値微分が行われない加熱システム30を通した電気エネルギーの特性を処理することができ、その例を以下で提供する。
【0108】
[二次時間導関数の決定]
図4及び9~11を参照すると、ブロック40では、回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの決定された特性の時間に関する二次導関数を決定する。
【0109】
二次時間導関数の決定は、プロセッサに配置することができるアルゴリズム(又は論理回路)によって実施することができる。有限差分法(例えば、ニュートンの差分商、対称差若しくは高次方法)又は他の方法(微分求積法など)を実施することができる。また、電気構成部品によって導関数の微分を決定することもでき、例えば加熱システム30を通した電気エネルギーの特性の遅延を導入するように配置されたキャパシタと、電気エネルギーの特性及び電気エネルギーの遅延された特性から導関数を決定するための差動増幅器とによって有限差分法が実施される。
【0110】
二次時間導関数の明示決定は、不要であり、例えば有限差分法を実施する際、関数サンプリングポイント間の時間変化が一定のままである場合、わずかな時間変化を除することはできないことが理解されるであろう。実施形態では、導関数の明示公式を実施する。
【0111】
[二次時間導関数の特質的特徴の決定]
図4を参照すると、ブロック42では、回路8によって(プロセッサに配置されたアルゴリズム(又は論理回路)によるものを含む)、二次時間導関数の特質的特徴を抽出することができる。
【0112】
抽出される具体的な特質は、流路18のフローの特性を決定するために実施される特定の関係に依存し得、その例を以下で提供する。
【0113】
関係は、二次導関数の1つ又は複数の特徴(入力値と呼ばれる)を含むクラスの抽出を必要とし得、それらの特徴は、すべて「二次時間導関数の特質的特徴」という用語によって包含される。
【0114】
抽出される具体的なクラスに応じて、特徴抽出のための様々なプロセスを実施できることが理解されるであろう。例えば、停留点又はベースラインからの初期の上昇/下降は、データポイントの大きさと隣接するデータポイントの大きさとの比較を介して決定することができ、その後、隣接する極大値及び極小値のピーク間振幅又は最大値若しくは最小値の振幅を決定することができる。
【0115】
[フローの特性の決定]
図4を参照すると、ブロック44では、フローの特性を決定するために、二次時間導関数の決定された特質的特徴が処理される。処理することは、流路18のフロー50の特性を決定するために特定の関係を実施することを含み得る。関係は、回路8によって(プロセッサに配置されたアルゴリズム(又は論理回路)によるものを含む)実施することができる。
【0116】
本明細書で使用される場合、「関係」という用語は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性と流路18のフローの特性との間の関係を指し得る。関係は、実験的関係(例えば、実験的に得られたデータによって得られたもの)であり得る。実験データは、回路8と関連付けられたメモリに格納することができる。関係は、1つ又は複数の入力変数及び1つの出力変数を有する数学関数を含み得る。出力変数は、フローの特性を含む。1つ又は複数の入力変数は、1つ又は複数の特質の以前に説明されたクラスを含む。
【0117】
適切な出力値の範囲は、「フローに関連する特性」の定義の下で提供される。適切な入力値(すなわちクラス)の範囲は、「二次時間導関数の特質」及び/又は加熱システム30を通した電気エネルギーの他の特徴の定義の下で提供される。
【0118】
本明細書で定義される関係は、以下の例を考慮してより良く理解することができる。
【実施例
【0119】
[例1]
ここで、以前に説明された実施形態又は本明細書で開示される別の実施形態の1つ又は複数の特徴を実装する例示的な実施形態を提供する。
【0120】
方程式(1)において提供される関係は、回路8により、フローの特性を決定するために実施することができる。
M=A.I+B.I+C.T+D.T+E.V-F............(1)
式中、出力値は、流路18を通したユーザ吸入中に存在するエアロゾルの質量Mである。係数A~Fは、実験データの回帰によって決定され、0.5965、0.1223、0.002088、0.0004042、0.05651、134.0のそれぞれの値を有する。図9を参照すると、入力値は、「I」として示されるピーク間大きさ84と、「V」(単位:mV)として示される加熱システム30にわたって維持される定電圧と、電気エネルギーが加熱システムに印加される持続時間「T」(単位:mSec)と、吸入の開始時刻「T」(単位:mSec)とを含む。電圧Vは一般に定数であるため、E及びVは、単一の係数として置き換えることができる。
【0121】
ここで、例示として、上記の関係を利用する。
【0122】
入力値は、2.51Vの電圧Vと、3.987秒の電気エネルギー持続時間Tと、1.035秒のTと、1.370の強度Iとを含む。上記の関係は、±2~3%の実験誤差でMを12.9mgと決定する。実験的に得られるMの値は、前駆体を含む貯蔵部分の枯渇を測定することによって得られた。流路を通したユーザ吸入は、18.33ml/sの較正された代表的なフローレートでポンプによって複製された。
【0123】
エアロゾルの個々の成分(例えば、ニコチン)の量は、前駆体におけるそれらの濃度に基づいて(例えば、濃度とMとの積によって)決定することができる。
【0124】
図9を参照すると、二次時間導関数を使用することにより、ライン74に対して特質(例えば、停留点)がより顕著になる(一次時間導関数又はライン72に対して観察されるものより)ことが分かる。導関数74は、吸入の開始と関連付けられる隣接する最大値80及び最小値82に対するピーク間大きさ84を決定するために処理される。吸入の開始は、ライン74によって示されるように、最大値80として決定される。
【0125】
回路8は、正しい最大値80及び最小値82の検索及び位置付けを行うための様々な条件を実施することができる。これらの条件は、図7に示される回路8の実装形態に対して次のように例示される。すなわち、加熱システムへの電気エネルギーの開始から1.5秒後に可能な極大値及び極小値を決定すること、隣接する極大値80と極小値82との間の最大差を決定すること、隣接する極大値80と極小値82との間の時間差が1秒を超える場合に無視すること、ピーク間大きさ84の絶対値が0.19以下である場合に無視すること、ピーク間大きさ84の絶対値が、後に起こった隣接する最大値及び最小値のピーク間大きさの絶対値に1.18を乗じたものを超えなければならないこと、ピーク間大きさ84の絶対値が、前に起こった隣接する最大値及び最小値のピーク間大きさの絶対値に1.13を乗じたものを超えなければならないことが条件である。
【0126】
回路8は、以前に説明されたトリガ(例えば、蒸気吸入ボタン又は他の適切なトリガ)の作動中に電気エネルギーが加熱システム30に印加される持続時間Tを決定することができる。回路8は、極大値80の時刻によって吸入の開始Tを決定することができる。代表的な吸入持続時間(方程式1では使用されない)は、T-Tによって決定することができる。
【0127】
電流が公称値を達成した際及び電流が公称値に収束している間のそれぞれにおいて吸入が開始される例に対する電流72及び二次時間導関数78を例示する図10及び11を参照すると、ピーク間大きさ84は、両方の例において同様の大きさを呈し得ることが分かる。従って、入力値の決定のために二次導関数(一次導関数又は数値微分が行われない電流とは対照的に)を利用することが有利であり得る。ピーク間大きさ84及び開始時刻Tのいかなる依存性(電流の指数関数的な減衰による)も、開始時刻Tに対する方程式(1)の依存に基づいて説明することができる。その上、二次導関数は、数値微分が行われない電流より速く公称値に収束することが明らかである。
【0128】
方程式(1)の変形形態では、十分早く吸入が開始された場合、電流72の鞍点は、ライン74で起こり得る。結果的に、ピーク間大きさ84を導出するために、鞍点を探し、鞍部のゼロ勾配のポイント(80の極大値の代わりに)の開始を利用するように、関係を適応させることができる。
【0129】
[例2]
ここで、以前に説明された実施形態又は本明細書で開示される別の実施形態の1つ又は複数の特徴を実装する例示的な実施形態を提供する。
【0130】
方程式(2)において提供される関係は、回路8により、フローの特性を決定するために実施することができる。
M=X.T+Y.V-Z.........................(2)
式中、出力値は、流路18を通したユーザ吸入中に存在するエアロゾルの質量M(単位:mg)である。係数X~Zは、実験データの回帰によって決定され、-0.00003115、0.1227、295.2のそれぞれの値を有する。入力値は、「V」(単位:mV)として示される加熱システム30にわたって維持される定電圧と、電気エネルギーが加熱システムに印加される持続時間「T」(単位:mSec)とを含む。
【0131】
ここで、例示として、上記の関係を利用する。
【0132】
入力値は、2.51Vの電圧Vと、3.987秒の電気エネルギー持続時間Tとを含む。上記の関係は、±4~6%の実験誤差でMを12.7mgと決定する。実験的に得られるMの値は、前駆体を含む貯蔵部分の枯渇を測定することによって得られた。流路を通したユーザ吸入は、18.33ml/sの較正された代表的なフローレートでポンプによって複製された。
【0133】
加熱システム30を通した電気エネルギー持続時間Tは、例1で論じられるように決定することができる。
【0134】
吸入の開始が決定できず(例えば、極大値80が識別できない)、従って方程式(1)の実装形態を除外する例では、フローの特性を決定するために方程式(2)を実施することができる。
【0135】
[変形形態の例]
例1及び例2は、加熱システム30を通した電気エネルギーと流路18のフローの特性との間の関係の例を提供することを理解されたい。他の関係も実施することができる。
【0136】
例1の変形形態は、入力値として、最大値80と最小値82との間の時間又は関連する他の時間、最大値80及び/又は最小値82の下の面積、最大値又は最小値82の大きさ(ピーク-ピーク値84とは対照的に)、代替の極大値又は極小値(吸入の終了と関連付けられるものを含む)の1つ又は複数を含み得る。代わりに、吸入の開始及び終了によって生じる振動間の時間の勾配/時間を利用することができる。他の変形形態では、入力値は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性の一次導関数又は加熱システム30を通した電気エネルギーの特性(すなわち数値微分が行われない)から得ることができる。
【0137】
さらなる変形形態では、加熱システムを通した電気エネルギーの特性における振動の特徴は、入力値として(唯一の入力値としてを含む)使用することができる。例えば、方程式(1)は、唯一の入力値として、実験データに基づき得る(従って方程式の時間依存性を置き換える)ピーク間大きさ84を有するように適応させる。
【0138】
さらなる変形形態では、ユーザ吸入の持続時間は、二次時間導関数から得ることができ、吸入の開始時刻及び/又は電気エネルギーが加熱システムに印加される持続時間の代わりに入力値として使用することができる。
【0139】
例2の変形形態は、入力値としてユーザ吸入の持続時間を含み得、ユーザ吸入の持続時間は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性の二次導関数又は加熱システム30を通した電気エネルギーの特性(すなわち数値微分が行われない)から決定することができる。
【0140】
他の変形形態では、フローに関連する代替の特性を決定することができ、例えば、方程式(1)又は(2)は、代わりに、エアロゾルの体積、フローの質量又は体積(すなわちエアロゾルと空気との総量)、フローの速度を決定するために公式化することができる。
【0141】
[フローに関連する特性の出力]
フローの決定された特性は、その特性がどのようなものであるかに応じて、様々な方法で利用することができる。フローの決定された特性は、ユーザインタフェース(例えば、スマートフォン48などの周辺デバイス上又は装置2上の)上でユーザに表示するため、システム36と関連付けられたメモリに格納するため、装置2の制御の基準として使用するため(例えば、前駆体の枯渇が閾値を超えると決定され、エアロゾル生成が低減されるか又は別の方法で制御される)の1つ又は複数として利用することができる。
【0142】
図5を参照すると、フローの特性がユーザインタフェース94上に表示される実施形態では、回路8は、ユーザインタフェース94に対して、フローの決定された特性に基づいて情報を表示する命令を生成する。命令は、ユーザインタフェース94を駆動するために、ディスプレイドライバによって処理するためのものである。フローの特性が吸入中に存在するエアロゾルの1つ又は複数の成分の量である実施形態では、前記量及び/又は複数の吸入の集計からの量を表示することができる。
【0143】
[流路を通したユーザ吸入の開始又は終了に基づくフローに関連する特性の決定]
図13を参照すると、説明される実施形態は、回路8を含み、ブロック100では、回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性を決定する。ブロック102では、回路8は、流路18を通したユーザ吸入の開始及び/又は終了による振動を決定する。このプロセスは、図4及び/若しくは12に示されるプロセスの実施形態又は本明細書で開示される別の実施形態と組み合わせて実施することができる。
【0144】
本明細書で使用される場合、「振動」は、極大値、極小値、鞍点の1つ又は複数を指し得る。極大値と極小値とは、隣接し得る。振動は、流路18を通した吸入によって(電気雑音又は他の干渉によるものというよりむしろ)生じ得る。
【0145】
ブロック104では、回路8は、フローに関連する特性を決定するために振動の1つ又は複数の特徴を処理するように構成される。処理は、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性と流路18のフローの特性との間の説明される関係に対する入力値として使用される1つ又は複数の特徴を含み得、フローの特性は、出力値である。ブロック106では、回路8は、任意選択により、フローに関連する特性を出力するように構成される(以前に論じられたように)。
【0146】
以前に論じられた例1を参照すると、ブロック104のフローに関連する特性は、流路18を通した吸入中に分配されたエアロゾルの1つ又は複数の成分の量を含み得る。例1に対して論じられるように、且つ図10及び11を参照すると、入力値は、流路18を通したユーザ吸入の開始による振動から決定することができる。振動は、二次時間導関数78に基づき得、最大値80及び隣接する最小値82を含む。ピーク間振幅84は、最大値80及び最小値82から抽出し、入力値として使用することができる。
【0147】
実施形態では、入力値は、流路18を通したユーザ吸入の終了による振動から決定することができる。振動は、二次時間導関数78に基づき得、最大値108及び隣接する最小値110を含む。ピーク間振幅112は、極大値108及び極小値110から抽出し、入力値として使用することができる。
【0148】
吸入の開始及び終了の一方又は両方からの振動は、流路18を通した吸入中に分配されたエアロゾルの1つ又は複数の成分の量に関連することが分かっている。実施形態では、入力値は、終了及び開始による振動から決定することができる。実施形態では、吸入の開始による振動及び吸入の終了による振動の一方からの入力値は、他方が利用可能でない場合に使用することができる。
【0149】
加熱システム30を通した電気エネルギーと流路18のフローの特性との間の実施される関係は、いずれの入力値を決定するかに基づいて選択できることが理解されるであろう。
【0150】
図9を参照すると、約2.5秒後、電流72は、著しい振動を呈している(対応する二次時間導関数74においてより明確に分かる)。振動は、加熱システム30の加熱要素の過熱によって生じる電気雑音である。電気雑音がいつ起こるかに応じて、電気雑音は、吸入の開始及び/又は終了と関連付けられた振動の決定に干渉し得る。従って、電気雑音が吸入の測定値に干渉しないように、流路18を通したユーザ吸入が電気雑音の前に起こるように回路8を構成することが望ましい。
【0151】
図9を参照すると、吸入の終了による振動は、電気雑音の干渉を受ける。従って、吸入の終了による振動を正確に決定することが難しい。それに従って、加熱システム30を通した電気エネルギーと流路18のフローの特性との間の関係(例えば、例1の下で論じられるもの)を実施することが望ましく、その関係は、吸入の終了時の振動の決定を必要とせず、開始時の振動(この振動は干渉を受ける可能性が低いため)の決定を必要とするものである。
【0152】
変形形態では、振動を決定する場合、加熱システム30を通した電気エネルギーの特性の一次導関数又は加熱システム30を通した電気エネルギーの特性(すなわち数値微分が行われない)を利用することができる。しかし、図10を参照すると、二次導関数は、より顕著な振動を提供し、より正確な出力値をもたらし得ることが分かる。
【0153】
実施形態では、回路8は、極大値及び極小値の検索及び位置付けを行うための条件に関連して、例1の下で例示される1つ又は複数の既定の条件と比較することにより、吸入及び/又は終了の吸入による振動を決定することができる。
【0154】
変形実施形態では、例えば、極大値と極小値との間の時間又は関連する他の時間、極大値及び/又は極小値の下の面積、極大値又は極小値の大きさ(ピーク-ピーク値とは対照的に)など、振動の他の特徴を入力値として利用することができる。
【0155】
例1を考慮すると、振幅の大きさ84は、分配されたエアロゾルの1つ又は複数の成分の量Mに直接関連すること(すなわち方程式1の実験的関係を介して)、振幅の大きさが大きいほど、分配された成分の量が大きくなること(例えば、直接比例関係又は他の数学関数関係を介して)を理解することができる。
【0156】
本明細書で使用される場合、「振幅」は、以下の定義、すなわちピーク間、ピーク、RMS、他の同様の定義を含み得る。
【0157】
[回路によって実施されるフローの特性を決定するための複数の関係]
説明される実施形態は、電気回路8を用いて、加熱システムを通した電気エネルギーと前記特性との間の複数の異なる関係の1つに基づいて流路18のフローに関連する特性を決定するために実施することができる。
【0158】
具体的には、回路は、加熱システムを通した電気エネルギーの特性(例えば、以前に説明されたような電流又は電力若しくは電圧などの別の特性)を測定することと、電気エネルギーの前記測定された特性からの1つ又は複数の特質(例えば、以前に説明された例1若しくは例2又は本明細書で説明される関連変形形態に対する入力値或いは他の同様の特質)を決定することと、本明細書で定義されるように、決定された特質に基づいて、電気エネルギーの測定された特性とフローの特性との間の複数の異なる実験的関係から1つを選択する(例えば、例1若しくは例2又は本明細書で説明される関連変形形態の別のものを選択する)ことと、本明細書で定義されるように、フローの特性を決定するために前記関係を実施することとを含むプロセスを実施することができる。
【0159】
関係の適切な例は、例1及び例2並びに本明細書で説明される関連変形形態として提供される。それに従って、実施形態では、回路8は、好ましい順又は入力値セット(「クラス」と呼ぶことができる)に従って関係(例えば、例1若しくは例2又は他の変形形態)を実施することができる。
【0160】
図14を参照すると、複数の関係を実施するためのプロセスの実施形態は、ブロック114において、回路8が加熱システム30を通した電気エネルギーの特性を測定することを含む(その例は、以前に論じられている)。
【0161】
条件116では、回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの決定された特性から1つ又は複数の入力値の第1のクラスを決定できるかどうかを決定する。第1のクラスを決定することができる場合、ブロック118が実行され、ブロック120においてフローの特性が出力される。ブロック118は、第1の関係を実施する。
【0162】
例1の方程式(1)を実施する実施形態では、第1のクラスは、「I」として示されるピーク間大きさ84、「V」として示される加熱システム30にわたって維持される定電圧、電気エネルギーが加熱システムに印加される持続時間「T」、吸入の開始時刻「T」である。従って、条件116において第1のクラスを決定することができる場合、ブロック118において方程式(1)が実施される。ブロック120では、出力値は、流路18を通したユーザ吸入中に存在するエアロゾルの質量Mである。
【0163】
条件116において第1のクラスを決定することができない(例えば、入力値の1つ又は複数を演算することができない)場合、条件122が実行される。条件112では、回路8は、加熱システム30を通した電気エネルギーの決定された特性から1つ又は複数の入力値の第2のクラスを決定できるかどうかを決定する。第2のクラスを決定することができる場合、ブロック124が実行され、ブロック120においてフローの特性が出力される。ブロック124は、第2の関係を実施する。
【0164】
例2の方程式(2)を実施する実施形態では、第2のクラスは、電気エネルギーが加熱システムに印加される持続時間「T」である。従って、条件116において第2のクラスを決定することができる場合、ブロック124において方程式(2)が実施される。ブロック120では、出力値は、流路18を通したユーザ吸入中に存在するエアロゾルの質量Mである。
【0165】
変形実施形態では、3つ以上の数の関係が実施される。実施形態では、複数の関係と関連付けられたクラスを決定することができ、特定の関係は、好ましい順に従って実施される。
【0166】
条件116において第2のクラスを決定することができない(例えば、入力値の1つ又は複数を演算することができない)場合、条件126が実行される。ブロック126では、回路8は、流路18を通した1つ又は複数の以前のユーザ吸入から決定された出力値に基づいて出力値を決定することができる(例えば、以前の吸入からの出力値が出力値として利用されるか、又は複数の以前の吸入からの出力値に基づく平均若しくは他の適切な表現が出力値として利用される)。以前の出力値に関連する情報は、回路8のプロセッサに通信可能に結合されたメモリに格納することができる。
【0167】
方程式(1)及び(2)が第1及び第2の関係として実施される先行する実施形態を参照すると、第2の関係と関連付けられた第2のクラスの入力値は、第1の関係と関連付けられた第1のクラスの入力値のサブセットである。この方法で実装される電気回路8は、第1のクラスからの入力値のすべてを決定できるとは限らない場合、第1のクラスの入力値の1つ又は複数を使用して、第2の関係を適宜に実施できるようにする。そのような実装形態は、処理オーバーヘッドを低減することができる。
【0168】
[吸入シグネチャに基づくユーザの識別]
図15及び16を参照すると、エアロゾルを生成するための電気式エアロゾル生成システム36は、本明細書で開示される任意の先行する実施形態又は他の実施形態の特徴を実装することができる。電気回路8は、流路を通したユーザ吸入からの加熱システムに対する冷却効果による、加熱システム30と関連付けられた特性の変化を測定することと、加熱システムと関連付けられた測定された特性に基づいて吸入の特質を決定することと、決定された特質に基づいてユーザを識別することとを行うように実装することができる。
【0169】
図15のブロック200を参照すると、流路を通したユーザ吸入からの加熱システムに対する冷却効果による、加熱システム30と関連付けられた特性の変化を測定することは、以前の実施形態において説明されるように、加熱システムを通した電気エネルギーの特性を測定することを含み得る。その一例は、図6及び7と関連付けられた実施形態において提供される回路8の実施形態であり、そのような特性の例は、図8~11において提供される電流である。
【0170】
ブロック202を参照すると、特質を決定することは、測定された特性の特定の特徴(例えば、時間履歴の特質)を識別することを含む。参照実施形態では、特質は、電流72の特性又は電流の時間導関数(一次時間導関数(図示せず)若しくは二次時間導関数78など)である。特質は、識別して、以前の実施形態に対して説明されるような特徴抽出などの技法によって測定された特性から抽出することができる。
【0171】
図10を参照すると、電流72の例では、特質は、ステップを有する振幅(すなわち上昇75と下降79との間の電流増加)、電流増加における初期の上昇75の時刻又はレート、電流増加におけるステップ持続時間、他の関連特性の1つ又は複数に基づき得る。
【0172】
二次時間導関数78の例では、特質は、極大値又は極小値82~108と関連付けられた振幅(ピーク間大きさ84、112を含む)、前記振幅の時刻、前記極大値及び/又は極小値と関連付けられた面積、前記極大値及び/又は極小値と関連付けられた時間、極大値及び/又は極小値から導出された吸入持続時間、他の関連特性の1つ又は複数に基づき得る。
【0173】
ブロック204を参照すると、決定された特質に基づいてユーザを識別するため、特質は、閾値と比較することができる。後者の例として、吸入の強度(振幅84、112によって決定することができる)及び/又は持続時間(振幅84、112の時刻によって決定することができる)に基づいて成人と未成年ユーザとを区別するため、実験的に得られたデータに基づいて閾値を設定することができる。また、異なる成人同士もこの方法で識別することができる。実施形態では、未成年ユーザの振幅は、典型的な成人の振幅の50~75%であると決定することができる。
【0174】
別の実施形態では、決定された特質は、格納された特質と比較することができ、格納された特質は、従来技術の較正手順(較正手順について以下で論じる)の一部として導出されているものである。次いで、相関スコアの値に基づいてユーザを識別することができる。相関スコアは、相関又はパターンマッチングアルゴリズム(例えば、ブロッサムアルゴリズム(blossom algorithm))から導出される単一の値であり得る。ユーザは、相関スコアが閾値スコアを超える場合、識別されたものとして決定することができる。相関スコアが閾値スコアを超えない場合、識別されたものとしてユーザを決定することはできない。例として、パターンマッチングアルゴリズムを使用して、極大値80の曲線と格納された曲線とを比較することができる。
【0175】
上記のプロセスの変形形態では、本明細書で開示される以前の実施形態に従って、加熱システム30を通した電気エネルギーの他の特性(例えば、加熱システムにわたる電位又は加熱システムを通した電力)も同様に処理できることが理解されるであろう。
【0176】
さらなる変形形態では、加熱システムと関連付けられた特性は、加熱システム30の温度である。加熱システム30の温度は、以前の実施形態で開示されるように、加熱システム30の電気抵抗から決定することができる。代わりに、電気回路は、温度を測定するために加熱システムに動作可能に近接して配置される別個の温度センサ(熱電対(図示せず)など)を含む。これらの実施形態では、電気回路8は、加熱システムをターゲット温度に調節するように(例えば、以前の実施形態において論じられるようなPID又は同様のアルゴリズムによって)配置され、流路を通した吸入により、ターゲット温度からの前記調節された温度の時間的変移が起こる。
【0177】
図16を参照すると、そのような実施形態に対する温度履歴206がプロットされている。吸入208、210、212、214は、温度206における振動(すなわち冷却)として観察することができる。ユーザは、温度降下(最大フローレート及び/又は吸入持続時間を示し得る)、時間、面積、他の関連量などの振動の特質によって識別することができる。例として、温度降下の大きさに基づいて成人と未成年ユーザとを区別するため、実験的に得られたデータに基づいて閾値を設定することができる。また、異なる成人同士もこの方法で識別することができる。実施形態では、特質は、温度の時間導関数から決定することができる。
【0178】
様々な実施形態の他の特質は、吸入持続時間と関連付けられた全体的な振動又は吸入開始時若しくは終了時の振動を含み得る振動の他の曲線形状(その例は、例えば、図9及び10に関連して論じられるものなどの先行する実施形態で提供される)、ピーク冷却までの時間、第1の最大冷却までの時間、第1の最小冷却までの時間、ピーク冷却間の時間、冷却の変化率、ピーク冷却数、ピーク冷却温度、ピーク冷却比、冷却速度比の変化率を含み得る。
【0179】
図15のブロック204を参照すると、実施形態において決定された特質に基づいてユーザを識別することは、特徴と格納された特質とを比較することと、例えば相関スコアにより、相関を決定することとを含む。実施形態では、格納された特質は、較正手順中に格納される。
【0180】
較正手順の一部として、ユーザ吸入シグネチャと関連付けられた前述の特質が格納される場合、ユーザは、流路を通した典型的な吸入又は非典型的な吸入(特定のシリーズの若しくは短く強い吸入など)を記録することを選択し得る。後者は、セキュリティの強化を提供することができる。
【0181】
実施形態では、較正手順は、設定時間(例えば、2秒間)にわたって記録されてメモリに格納された加熱システムと関連付けられた測定された特性に対する吸入の影響を含む。次いで、この測定された特性から(例えば、以前の実施形態において説明されるような特徴抽出によって)及び格納されたユーザ吸入シグネチャと関連付けられた特質から関連する特質(例えば、温度降下又は他のそのような特質)を抽出することができる。較正手順は、前記プロセスを実行するためにユーザからコマンドを受信するように配置されたシステムのユーザインタフェースを介して実行することができる。
【0182】
較正プロセスの代替として、ユーザ吸入シグネチャと関連付けられた特質は、システムの最初の動作中又はデバイスの最初の数回の動作中に記録することができ、従って較正手順の必要性をなくすことができる。
【0183】
ブロック204に続いて、電気回路8は、ユーザの識別に基づいて様々な制御動作を実施することができる。以前の実施形態において論じられるように、加熱システムと関連付けられた特質が以前の格納された特質と一致する場合若しくは特質が閾値を超える場合又は他の基準により、識別されたものとしてユーザを決定することができる。
【0184】
制御動作の例は、加熱システム30を使用可能にすること又は使用不能にすることである(例えば、加熱システム30へのさらなる電気エネルギーの供給を阻止することによって)。ユーザが識別されない場合、実施形態では、既定の時間量にわたり(5分間若しくは10分間など)又はシステムがリセットされるまで、加熱システムへの電気エネルギーの供給が阻止される。実施形態では、リセットは、周辺デバイス48のユーザインタフェースを介する認証コードのエントリを含む。
【0185】
制御動作の例は、例えば、周辺デバイス48のユーザインタフェースにより、ユーザが識別されたことを表示することである。
【0186】
制御動作の例は、特定の方法で動作するように装置を構成することである。実施形態では、装置は、より多くの動作パラメータの1つを選択する構成であり、動作パラメータは、ユーザのアイデンティティと関連付けてメモリに格納することができる。この動作は、キー値データベース(又は他の同様のパラダイム)などのデータ構造を実装することを含み得、ユーザアイデンティティは、キーであり、1つ又は複数の動作パラメータの単一のセットにリンクされる。実施形態では、データ構造は、システムの他のコンポーネント(周辺デバイス42を含む)にわたって実装することができる。動作パラメータは、加熱器システム温度、加熱システムの最大許容加熱器持続時間、ユーザインタフェース構成、他の関連パラメータの1つ又は複数を含み得る。
【0187】
制御動作の例は、ユーザアイデンティティと関連付けられた動作情報を格納するようにシステムを構成することである。動作情報は、使用時刻、吸入数、吸入持続時間、エアロゾルに処理された前駆体の量、エアロゾルとして分配された前駆体の1つ又は複数の成分の量の1つ又は複数を含み得る。情報は、周辺デバイス48又はリモートサーバーシステムに定期的に転送することができる。
【0188】
開示される方法(又は対応する装置、プログラム、データキャリアなど)のいずれも、具体的な実装形態に応じて、ホスト又はクライアントによって実行できることが理解されるであろう(すなわち、開示される方法/装置は、コミュニケーションの形態であり、従っていずれかの「視点」から(すなわち互いの様式に対応して)実行することができる)。その上、「受信すること」及び「送信すること」という用語は、「入力すること」及び「出力すること」を包含し、電波の送信及び受信のRFに関連して限定されないことが理解されるであろう。従って、例えば、実施形態を実現するためのチップ又は他のデバイス若しくはコンポーネントは、別のチップ、デバイス又はコンポーネントに出力するためのデータを生成することも、別のチップ、デバイス又はコンポーネントからの入力データを有することもでき、そのような出力又は入力は、「送信する」及び「受信する」と称することができ、動名詞形、すなわち「送信すること」及び「受信すること」並びにRFに関連して「送信すること」及び「受信すること」を含む。
【0189】
本明細書で使用される場合、「A、B又はCの少なくとも1つ」というスタイルで使用される明確な記述及び「A、B及びCの少なくとも1つ」という明確な記述は、離接的な「又は」及び離接的な「及び」を使用し、その結果、それらの明確な記述は、A、B、Cの組合せのいずれか及びすべて並びにA、B、Cのいくつかの並べ替え(すなわちAのみ、Bのみ、Cのみ、任意の順番のA及びB、任意の順番のA及びC、任意の順番のB及びC、任意の順番のA、B、C)を含む。そのような明確な記述では、3つ以上又は3つ以下の特徴を使用することもできる。
【0190】
請求項では、括弧内にあるいかなる参照符号も、請求項を限定するものと解釈してはならない。「含む」という単語は、請求項にリストされているもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。その上、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、本明細書で使用される場合、「1つ又は複数」として定義される。また、請求項における「少なくとも1つの」及び「1つ又は複数」などの導入句の使用は、同じ請求項が「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」という導入句及び「1つの(a)」又は「1つの(an)」などの不定冠詞を含む場合でも、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞による別の請求項要素の導入が、そのような導入請求項要素を含む特定の請求項を、そのような要素を1つのみ含む発明に限定することを含意するものと解釈すべきではない。定冠詞の使用についても同じことが言える。別段の言明がない限り、「第1の」及び「第2の」などの用語は、そのような用語が説明する要素を任意に区別するために使用される。従って、これらの用語は、必ずしもそのような要素の時間的な又は他の優先順位決定を示すことを意図するとは限らない。ある対策が相互に異なる請求項で列挙されているという事実のみでは、利益を得るためにこれらの対策の組合せを使用できないということを示さない。
【0191】
不適合との別段の言明がない限り又は実施形態、例若しくは請求項の物理学若しくは別の方法がそのような組合せを阻止しない限り、前述の実施形態及び例並びに以下の請求項の特徴は、任意の適切な構成で1つに統合することができる(特に、そうすることで有益な効果が得られる特徴の場合)。これは、指定される利益のみに限定されず、代わりに「事後的な」利益から起こり得る。すなわち、特徴の組合せは、説明される形態(特に例、実施形態又は請求項の従属性の形態(例えば、番号付け))による限定を受けない。また、これは、「一実施形態では」及び「実施形態によれば」という記載並びに同様のものにも当てはまり、それらの記載は、単に表現の様式的な形態であり、それに続く特徴を同じ又は同様の表現の他のすべての例に対する別個の実施形態に限定するものと解釈してはならない。すなわち、「1つの(an)」、「1つの(one)」又は「いくつかの」実施形態への言及は、開示される実施形態のいずれか1つ若しくは複数及び/又はすべての実施形態或いはそれらの組合せへの言及であり得る。また、同様に、「その」実施形態への言及は、その直前の実施形態に限定されない。
【0192】
本明細書で使用される場合、いかなる機械実行可能命令又はコンピュータ可読媒体も、開示される方法を実行することができ、従って方法という用語と(又は互いに)同義に使用することができる。
【0193】
1つ又は複数の実装形態の前述の説明は、実例及び説明を提供するが、網羅的であることも、本発明の範囲を開示される正確な形態に限定することも意図しない。変更形態及び変形形態は、上記の教示を考慮して可能であるか又は本開示の様々な実装形態の実践から得ることができる。
【符号の説明】
【0194】
36 システム
2 装置
4 電源
6 アトマイザ
20 前駆体流入口
22 フロー流入口
24 流出口
30 加熱システム
8 回路
52 測定システム
58 シャント抵抗器
60 増幅器
62 フィルタ
54、64 プロセッサ
56 DC/DC変換器
10 前駆体送給システム
14 貯蔵部分
16 送給ユニット
12 送達システム
34 マウスピース
18 流路
26 流入口
28 流出口
50 フロー
32 カートマイザ
36 筐体
34 マウスピース
48 周辺デバイス
94 ユーザインタフェース
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