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特許7105924位置決め表面特徴部を備える基板を有するバイポーラセルを含むバッテリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】位置決め表面特徴部を備える基板を有するバイポーラセルを含むバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220715BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20220715BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220715BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20220715BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220715BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20220715BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/66 A
H01M10/052
H01M10/0562
H01M10/0585
H01M50/184 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020566653
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2019062794
(87)【国際公開番号】W WO2019228825
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】62/677,966
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン シュミート
(72)【発明者】
【氏名】ラウラ バウアー
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ティーレン
(72)【発明者】
【氏名】イェローメ ホーマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ スコット
(72)【発明者】
【氏名】ダン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シューマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ディースナー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ノートン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー モスリー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ アンゲルバウアー
(72)【発明者】
【氏名】マーク コティック
(72)【発明者】
【氏名】アンネ ブーフクレーマー
【審査官】近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-085253(JP,A)
【文献】国際公開第2012/164642(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/124108(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/062204(WO,A1)
【文献】特表2008-541353(JP,A)
【文献】特開2005-259379(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0033831(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 4/66
H01M 10/052
H01M 10/0562
H01M 10/0585
H01M 50/184
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層配置された電気化学セルを含むバッテリであって、各電気化学セルが、
基板と、前記基板の第一表面に配置された第一活物質層と、前記基板の第二表面に配置された第二活物質層とを含むバイポーラプレートであって、前記第二表面が前記第一表面と対向しており、前記第一活物質層が、基板周縁部から離隔されており、かつこれよりも前記基板の中心の近くに配置された、第一活物質層周縁部を有し、前記第二活物質層が、前記第一活物質層の材料とは異なる材料であり、前記第二活物質層が、前記基板周縁部から離隔された第二活物質層周縁部を有する、バイポーラプレートと、
前記第二活物質層周縁部を含む前記第二活物質層を取り囲むように前記第二表面に配置されたフィルムである、固体電解質層と、
電気絶縁材料のシートを含む縁部絶縁デバイスであって、前記縁部絶縁デバイスが、外側周縁部および内側周縁部を含み、前記縁部絶縁デバイスが、所与のセルの基板周縁部と隣のセルの基板周縁部間に配置されており、前記外側周縁部が、前記基板周縁部よりも前記基板の中心から離れて配置されている、縁部絶縁デバイスと
を含み、
一対の隣接セルのうちの片方のセルの前記第一表面が、前記バイポーラプレートに対して前記縁部絶縁デバイスを位置決めするように前記縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合される基板表面特徴部を含むか、または
前記一対の隣接セルのうちの他方のセルの前記第二表面が、前記バイポーラプレートに対して前記縁部絶縁デバイスを位置決めするように前記縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合される基板表面特徴部を含む、バッテリ。
【請求項2】
前記縁部絶縁デバイスの前記対応特徴部が、前記外側周縁部および前記内側周縁部から離隔された位置に配置された貫通穴を含み、前記基板表面特徴部が、前記貫通穴内に突き出た突出部を含む、請求項1記載のバッテリ。
【請求項3】
前記突出部が、端面、ならびに前記端面と、前記一対の隣接セルのうちの片方のセルの前記第一表面または前記一対の隣接セルのうちの他方のセルの前記第二表面との間に延在する側壁を含み、
前記側壁が、直線状であり、前記一対の隣接セルのうちの片方のセルの前記第一表面または前記一対の隣接セルのうちの他方のセルの前記第二表面に垂直であり、
前記貫通穴が、前記縁部絶縁デバイスの対向した幅広の表面間に延在しており、
前記貫通穴の内側表面が、前記対向した幅広の表面に垂直である、請求項2記載のバッテリ。
【請求項4】
前記貫通穴および前記突出部が、前記突出部が嵌合公差で前記貫通穴に収容されるように寸法決めされている、請求項2記載のバッテリ。
【請求項5】
前記突出部が、端面、ならびに前記端面と、前記一対の隣接セルのうちの片方のセルの前記第一表面および前記一対の隣接セルのうちの他方のセルの前記第二表面のうちの1つとの間に延在する側壁を含み、
前記側壁が、非直線プロファイルを有し、
前記貫通穴の内側表面が、前記側壁の前記非直線プロファイルを補完する非直線プロファイルを有し、かつ
前記突出部が、前記側壁と前記貫通穴の内側表面との間のスナップフィット係合により前記貫通穴と係合される、請求項2記載のバッテリ。
【請求項6】
前記縁部絶縁デバイスが、前記基板表面特徴部に面するデバイス表面を含み、
前記デバイス表面には、くぼみが形成されており、かつ
前記基板表面特徴部が、前記くぼみと係合される突出部を含む、請求項1記載のバッテリ。
【請求項7】
前記一対の隣接セルのうちの片方のセルの前記第一表面または前記一対の隣接セルのうちの他方のセルの前記第二表面が、前記基板周縁部に平行に延在する線に沿って離隔された幾つかの前記基板表面特徴部を含む、請求項1記載のバッテリ。
【請求項8】
前記基板表面特徴部が、前記第一活物質層周縁部と離隔された関係で前記縁部絶縁デバイスの前記内側周縁部を保持するように、前記縁部絶縁デバイスの前記対応特徴部と係合される、請求項1記載のバッテリ。
【請求項9】
前記縁部絶縁デバイスの前記対応特徴部が、前記内側周縁部を含み、かつ
前記基板表面特徴部が、前記第一活物質層周縁部よりも前記基板の中心からさらに離れた位置に、前記一対の隣接セルのうちの片方のセルの前記第一表面または前記一対の隣接セルのうちの他方のセルの前記第二表面に配置された突出部を含み、
それにより、
前記縁部絶縁デバイスの内側周縁部および前記突出部が協働して、前記縁部絶縁デバイスの内側周縁部と前記第一活物質層との間に離隔された関係を保持する、請求項1記載のバッテリ。
【請求項10】
前記基板がクラッドプレートであり、ここで、前記第一表面が、導電性の第一材料であり、前記第二表面が、前記第一表面に電気的に接続されており、かつ前記第一材料とは異なる導電性の第二材料である、請求項1記載のバッテリ。
【請求項11】
一緒になってバッテリを形成する積層配置された電気化学セル中に含まれるように構成された電気化学セルであって、前記電気化学セルが、
基板と、前記基板の第一表面に配置された第一活物質層と、前記基板の第二表面に配置された第二活物質層とを含むバイポーラプレートであって、前記第二表面が前記第一表面と対向しており、前記第一活物質層が、基板周縁部から離隔されており、かつこれよりも前記基板の中心の近くに配置された、第一活物質層周縁部を有し、前記第二活物質層が、前記第一活物質層の材料とは異なる材料であり、前記第二活物質層が、前記基板周縁部から離隔された第二活物質層周縁部を有する、バイポーラプレートと、
前記第二活物質層周縁部を含む前記第二活物質層を取り囲むように前記第二表面に配置されたフィルムである、固体電解質層と、
電気絶縁材料のシートを含む縁部絶縁デバイスであって、前記縁部絶縁デバイスが、外側周縁部および内側周縁部を含み、前記縁部絶縁デバイスが、前記第一表面に隣接して配置されており、前記外側周縁部が、前記基板周縁部よりも前記基板の中心から離れて配置されており、かつ前記内側周縁部が、前記第二活物質層周縁部よりも前記基板の中心の近くに配置されている、縁部絶縁デバイスと
を含み、
前記第一表面が、前記基板に対して前記縁部絶縁デバイスを位置決めするように前記縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合される基板表面特徴部を含む、電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
バッテリは、携帯用電子機器から再生可能電力システムおよび環境に優しい車両に至るまで、様々な科学技術のための電力を供給する。例えば、ハイブリッド電気自動車(HEV)は、バッテリおよび電気モータと燃焼エンジンとを組み合わせて使用して、燃費を向上させる。電気自動車(EV)は、1つ以上のバッテリにより電力供給された電気モータにより、完全に動力が供給されている。これらのバッテリは、二次元または三次元アレイに配置され、かつ電気的に直列または並列に接続された幾つかの電気化学セルを含み得る。直列接続では、2つ以上のセルそれぞれの正極と負極とが互いに電気的に接続されて、セルの電圧が加算されて、より大きな電圧のセルのバッテリが得られる。例えば、n個のセルが電気的に直列に接続されている場合、バッテリの電圧は、単一セルの電圧にnを掛けたものになり、nは、正の整数である。
【0002】
個々のセルは、一般的にガス不透過性ハウジングに取り囲まれていることが一般的である。多くの場合、ハウジングは、セルの1つの電極に電気的に接続され得る。セルが互いに電気的に直列に接続されている用途では、例えば、片方のセルの正極と隣接セルの負極との間に接続を形成することによりセルの電圧が加算され、ハウジングは、短絡を防止するために、互いに絶縁される必要がある。したがって、バッテリにおいて、セルハウジングおよび対応する絶縁構造を収容するために使用されるスペースと、これらに使用される材料とにより、バッテリ効率が低下し、製造の複雑性およびコストが増加する。
【0003】
発明の概要
幾つかの態様では、バッテリは、積層配置された電気化学セルを含む。各電気化学セルは、バイポーラプレート、固体電解質層、および縁部絶縁デバイスを含む。バイポーラプレートは、基板と、基板の第一表面に配置された第一活物質層と、基板の第二表面に配置された第二活物質層とを含む。第二表面は、第一表面と対向している。第一活物質層は、基板周縁部から離隔されており、かつこれよりも基板の中心の近くに配置された、第一活物質層周縁部を有する。第二活物質層は、第一活物質層の材料とは異なる材料である。第二活物質層は、基板周縁部から離隔された第二活物質層周縁部を有する。固体電解質層は、第二活物質層周縁部を含む第二活物質層をカプセル化するように第二表面に配置されている。縁部絶縁デバイスは、電気絶縁材料のシートを含む。縁部絶縁デバイスは、外側周縁部および内側周縁部を含む。縁部絶縁デバイスは、一対の隣接セルの基板の周縁部間に配置されており、外側周縁部は、基板周縁部よりも基板の中心から離れて配置されている。一対の隣接セルのうちの片方のセルの第一表面が、バイポーラプレートに対して縁部絶縁デバイスを位置決めするように縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合される基板表面特徴部を含むか、または一対の隣接セルのうちの他方のセルの第二表面が、バイポーラプレートに対して縁部絶縁デバイスを位置決めするように縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合される基板表面特徴部を含む。
【0004】
幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイスの対応特徴部は、外側周縁部および内側周縁部から離隔された位置に配置された貫通穴を含み、基板表面特徴部は、貫通穴内に突き出た突出部を含む。
【0005】
幾つかの実施形態では、突出部は、端面、ならびにこの端面と、一対の隣接セルのうちの片方のセルの第一表面または一対の隣接セルのうちの他方のセルの第二表面との間に延在する側壁を含む。この側壁は、直線状であり、一対の隣接セルのうちの片方のセルの第一表面または一対の隣接セルのうちの他方のセルの第二表面に垂直である。貫通穴は、縁部絶縁デバイスの対向した幅広の表面間に延在しており、貫通穴の内側表面は、対向した幅広の表面に垂直である。
【0006】
幾つかの実施形態では、貫通穴および突出部は、突出部が嵌合公差で貫通穴に収容されるように寸法決めされている。
【0007】
幾つかの実施形態では、突出部は、端面、ならびにこの端面と、一対の隣接セルのうちの片方のセルの第一表面および一対の隣接セルのうちの他方のセルの第二表面のうちの1つとの間に延在する側壁を含む。この側壁は、非直線プロファイルを有する。貫通穴の内側表面は、側壁の非直線プロファイルを補完する非直線プロファイルを有し、突出部は、側壁と貫通穴内側表面との間のスナップフィット係合により貫通穴と係合される。
【0008】
幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイスは、基板表面特徴部に面するデバイス表面を含む。デバイス表面には、くぼみが形成されており、基板表面特徴部は、このくぼみと係合される突出部を含む。
【0009】
幾つかの実施形態では、一対の隣接セルのうちの片方のセルの第一表面または一対の隣接セルのうちの他方のセルの第二表面は、基板周縁部に平行に延在する線に沿って離隔された幾つかの基板表面特徴部を含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、この基板表面特徴部は、第一活物質層周縁部と離隔された関係で縁部絶縁デバイスの内側周縁部を保持するように、縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合される。
【0011】
幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイスの対応特徴部は、内側周縁部を含む。さらに、基板表面特徴部は、第一活物質層周縁部よりも基板の中心からさらに離れた位置に、一対の隣接セルのうちの片方のセルの第一表面または一対の隣接セルのうちの他方のセルの第二表面に配置された突出部を含む。結果として、縁部絶縁デバイス内側周縁部および突出部が協働して、縁部絶縁デバイス内側周縁部と第一活物質層との間に離隔された関係を保持する。
【0012】
幾つかの実施形態では、基板はクラッドプレートであり、ここで、第一表面は、導電性の第一材料であり、第二表面は、第一表面に電気的に接続されており、かつ第一材料とは異なる導電性の第二材料である。
【0013】
幾つかの態様では、電気化学セルは、一緒になってバッテリを形成する積層配置された電気化学セル中に含まれるように構成されている。電気化学セルは、バイポーラプレート、固体電解質層、および縁部絶縁デバイスを含む。バイポーラプレートは、基板と、基板の第一表面に配置された第一活物質層と、基板の第二表面に配置された第二活物質層とを含む。第二表面は、第一表面と対向している。第一活物質層は、基板周縁部から離隔されており、かつこれよりも基板の中心の近くに配置された、第一活物質層周縁部を有する。第二活物質層は、第一活物質層の材料とは異なる材料である。第二活物質層は、基板周縁部から離隔された第二活物質層周縁部を有する。固体電解質層は、第二活物質層周縁部を含む第二活物質層をカプセル化するように第二表面に配置されている。縁部絶縁デバイスは、電気絶縁材料のシートを含む。縁部絶縁デバイスは、外側周縁部および内側周縁部を含む。縁部絶縁デバイスは、第一表面に隣接して配置されており、外側周縁部は、基板周縁部よりも基板の中心から離れて配置されており、かつ内側周縁部は、第二活物質層周縁部よりも基板の中心の近くに配置されている。第一表面は、基板に対して縁部絶縁デバイスを位置決めするように縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合される基板表面特徴部を含む。
【0014】
幾つかの態様では、各セルがガス不透過性ハウジングに取り囲まれている配置は、各セルがセル積層体の隣接セルと直接的な直列接続を形成するように積層された幾つかのハウジングなし単一電気化学セルにより置き換えられる。各セルは、平面形状を有し、セパレータにより分離されたほぼ同サイズの平面アノードおよび平面カソードを含む(例えば、アノードおよびカソードは、コイルとして巻かれたり、Z折り構成で折り畳まれたりはしない)。さらに、各セルは、片方のセルのカソードと、隣接セルの接続されたアノードとの間に、バイポーラプレートを有する。セル積層体では、直列配置の各カソードは、介在するハウジングなしで、次のアノードに直接電気的に接続されている。バイポーラプレートは、カソードおよびアノードの集電体に置き換えられ、また、カソード活物質とアノード活物質との間で化学反応が起こるのを防止する。リチウムイオン電池の場合、バイポーラプレートは、例えば、アノードを形成する銅箔を片側に、カソードを形成するアルミニウム箔を反対側に含み得る。これらの箔は、隣接していても、または介在する導電性基板の最外層を形成していてもよい。
【0015】
幾つかの実施形態では、各電気化学セルは、約3mAh/cmの被覆率およびリチウム金属アノードを有し得る。セルの充電に際して、リチウム金属アノードは、アノード上に堆積されたリチウム金属層を生成することにより、層に垂直な方向に、例えば、約13~15マイクロメートル(μm)膨張する。したがって、セルは、充電と放電との間で、約13~15μm「呼吸」(例えば、膨張および収縮)する。
【0016】
これらのセルは、直列接続される場合、それらの電極層をバイポーラプレートと一緒に互いに非常に近くにして、配列される。例えば、これらの層の間隔は、単にセルの厚さの寸法に相当し得て、40μm~120μmの間であり得る。セル積層体の片方のセルおよび隣接セルのバイポーラプレートも同様に離隔されている。セル積層体の隣接セル間の短絡の発生を回避するために、隣接セル間に縁部絶縁デバイスを含めることにより、片方のセルのバイポーラプレートが隣接セルのバイポーラプレートと接続されることが防止される。より具体的には、縁部絶縁デバイスは、隣接セルのバイポーラプレートの周縁部間に配置されている。縁部絶縁デバイスは、電気絶縁材料から形成されており、隣接セルから各セルを電気的に絶縁するように機能する一方で、セルがサイクル時に、縁部絶縁デバイスまたはセル自体の損傷なく、依然として膨張または収縮することを可能にする。
【0017】
幾つかの態様では、縁部絶縁デバイスの縁部領域は、バイポーラプレートのアノード側およびカソード側のうちの一方に固定されていてもよい。縁部絶縁デバイスの絶縁機能部は、絶縁すべき要素間にこのデバイスを機械的に挿入することにより直接与えられる。縁部絶縁デバイスは、いかなる外部部品が、バイポーラプレート、電極、および電解質に機械的および電気的に接触することも防止する。縁部絶縁デバイスは、バイポーラプレートのアノード側およびカソード側のうちの片方にのみ固定されており、バイポーラプレートのアノード側およびカソード側のうちの他方から切り離されている。例えば、幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイスは、カソード側(例えば、カソード活物質層と同じ側のバイポーラプレート)に固定されており、隣接セルのどのコンポーネントにも固定されていない。他の実施形態では、縁部絶縁デバイスは、アノード活物質層上にある固体電解質の周縁部分に固定されているため、バイポーラプレートに直接固定されてはおらず、これらのバイポーラプレート間に、縁部絶縁デバイスが存在している。
【0018】
幾つかの態様では、縁部絶縁デバイスは、外側周縁部および内側周縁部を含む枠形状を有する。縁部絶縁デバイスは、セルの周縁上にあり、そのため、外側周縁部は、バイポーラプレート周縁部よりもバイポーラプレートの中心から離れて配置されている。縁部絶縁デバイスは、バイポーラプレートに対して縁部絶縁デバイスを位置決めするように縁部絶縁デバイスの対応特徴部と係合するバイポーラプレート表面特徴部を介して、バイポーラプレートに対して所望の位置に保持され得る。
【0019】
本開示の1つ以上の特徴部、態様、実装、および利点の詳細は、以下で、添付の図面、詳細な説明、および特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】バッテリハウジングと、このバッテリハウジング内に配置されたセル積層体とを含むバッテリの概略断面図である。
図2図1のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図2A】セルの一部の拡大図であり、図2で破線により特定される部分である。
図3図2の線3-3に沿って見た図1のセル積層体の断面図である。
図4】セル積層体の一部の拡大図であり、図3で破線により特定される部分である。
図5】代替実施形態のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図6】別の代替実施形態のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図7】別の代替実施形態のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図8】別の代替実施形態のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図9】別の代替実施形態のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図10】基板表面特徴部の実施形態を図示する、図9のセル積層体の拡大部分の断面図である。
図11】基板表面特徴部の別の実施形態を図示する、図9のセル積層体の拡大部分の断面図である。
図12】基板表面特徴部の別の実施形態を図示する、図9のセル積層体の拡大部分の断面図である。
図13】基板表面特徴部の別の実施形態を図示する、図9のセル積層体の拡大部分の断面図である。
図14図9の線14-14に沿って見た図9のセル積層体の一部の断面図である。
図15】別の代替実施形態のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図16図15の線16-16に沿って見た図15のセル積層体の一部の断面図である。
図17図15のセル積層体の一部の代替実施形態の断面図である。
図18図15のセル積層体の一部の別の代替実施形態の断面図である。
図19図15のセル積層体の一部の別の代替実施形態の断面図である。
図20】支持枠を図示する、図1のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図21図20の支持枠を図示する、代替実施形態のセル積層体の周縁部分の断面図である。
図22】剛性の外側枠部材内に配置された図20の支持枠の断面概略図である。
図23】膨張可能な外側枠部材内に配置された図20の支持枠の断面概略図である。
図24】バッテリハウジングと、このバッテリハウジング内に配置されたセル積層体とを含む代替実施形態のバッテリの概略断面図である。
【0021】
詳細な説明
図1を参照すると、バッテリ1は、積層配置された電気化学セル3を取り囲むバッテリハウジング2を含む電力生成および貯蔵デバイスである。バッテリハウジング2は、空気、水分、および/または他の汚染物質が、セル3を含む内部空間に入るのを防止するように構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、バッテリハウジング2は、可撓性ラミネート材料から形成されており、この可撓性ラミネート材料は、ポリマー層間に挟まれた金属箔を含み、かつ密封ポーチの形態で用意される。
【0022】
セル3は、リチウムイオン二次電池であり得るが、リチウムイオン電池の化学作用に限定されることはない。セル3は、セルハウジングがなく、概して平面で薄型の形状を有し、積層軸線5に沿って積層され、そのため、各セル3aは、セル積層体4の隣接セル3bと直接的な直列接続を形成する。各セル3は、活物質層30,40が対向表面に設けられたバイポーラプレート12と、隣接セル3a,3b間のイオン交換を可能にする一方で、隣接セル3a,3bの活物質層30,40間の電気的接触を防止する固体電解質層50と、縁部絶縁デバイス60とを含む。図1および他の図では、セル3を構成する材料層が薄いため、セル3のコンポーネントは、概略的に示され、縮尺通りではない。
【0023】
縁部絶縁デバイス60は、隣接セル3a,3bのバイポーラプレート12の周縁部15間に配置されており、片方のセル3aのバイポーラプレート15aを隣接セル3bのバイポーラプレート15bから電気的に絶縁するように機能する一方で、セル3がサイクル時に、縁部絶縁デバイス60またはセル3自体の損傷なく、依然として膨張または収縮することを可能にする。縁部絶縁デバイス60は、以下でさらに詳細に論じられるように、バイポーラプレート上に形成される表面特徴部と縁部絶縁デバイスとの間の協働により、バイポーラプレート周縁部15に対して所望の位置に保持することが可能である。以下でさらに論じられるように、各セルは、縁部絶縁デバイス60と隣接セル3bとの間の隙間g1を封止するように構成された弾性封止デバイス80をさらに含んでいてもよく、それにより、空気および水分がセル3に入ることがさらに防止される。さらに、幾つかの実施形態では、バッテリ1は、以下でさらに説明されるように、各縁部絶縁デバイスの外側周縁部63を収容して支持する縁部支持枠90を含んでいてもよい。
【0024】
図2を参照すると、セル積層体4の周縁の一部が示されている。この図および他の図では、セル積層体4の4つの完全なセル3のみが示されており、図示されているセル3の上方および/または下方の省略記号は、さらなるセルが、図示されているセルの片側または両側に存在することを示すために使用される。図2に見られるように、バイポーラプレート12は、プレート状基板20と、基板20の第一表面21に形成されてカソードを形成する第一活物質層30と、基板20の対向した第二表面22に形成されてアノードを形成する第二活物質層40とを含む。
【0025】
基板20は、導電体およびイオン絶縁体であり、第一表面21を形成する第一金属箔を片側に有し、第二表面22を形成する第二金属箔を反対側に有するクラッドプレートであり得る。セル3にリチウムイオン電池の化学作用が用いられる場合、基板20は、例えば、カソード基板を形成するアルミニウム箔を片側に、アノード基板を形成する銅箔を反対側に含み得る。幾つかの実施形態では、これらの箔は隣接していてもよい。例えば、基板20は、銅箔を用意し、片側にアルミニウムを蒸着またはめっきすることにより、あるいはアルミニウム箔を用意し、片側に銅を蒸着またはめっきすることにより、実現することが可能である。他の実施形態では、基板20は、他の対の導電性材料から形成されたおよび/または他の適切な技術により形成されたクラッドプレートであり得る。
【0026】
さらなる他の実施形態では、基板20は、介在する導電性基板の対向した最外層を形成する金属箔を含み得る。
【0027】
さらなる他の実施形態では、基板20は、導電性材料から形成された固体プレート(例えば、非クラッドかつ単一材料から形成されたプレート)であり得る。例えば、幾つかの実施形態では、基板20は、固体ニッケル箔または固体ステンレス鋼箔であり得る。
【0028】
第一活物質層30は、基板の第一表面21に形成されている。第一活物質層30は、活物質から形成されている。本明細書で使用される場合、「活物質」という用語は、充電または放電の電気化学反応に関与する、セル内の電気化学的活物質を指す。第一活物質層30は、基板20の周縁部23から離隔されており、かつこれよりも基板20の中心24の近くに配置された、第一活物質層周縁部31を有する。第一表面21がアルミニウムから形成される実施形態では、第一活物質層30は、例えば、リチウム化金属酸化物から形成することができ、その際、リチウム化金属酸化物の金属部分は、コバルト、マンガン、ニッケル、またはこれら3つの複合体であり得る。
【0029】
第二活物質層40は、基板の第二表面22に形成されている。第二活物質層40は、第一活物質層30を形成するために使用される活物質とは異なる活物質から形成されている。第二活物質層40は、基板周縁部23から離隔された第二活物質層周縁部41を有する。特に、第二活物質層周縁部41は、アノードの縁部における縁部効果および電流集中を回避するために、積層軸線5に平行な軸線に沿って第一活物質層周縁部31と整列されてはいない。この目的から、第二活物質層周縁部41は、基板周縁部23よりも基板20の中心24の近くに配置されており、基板周縁部23と第一活物質層周縁部31との間に配置されている。第二表面22が銅から形成されている実施形態では、第二活物質層40は、例えば、リチウム金属から形成され得る。
【0030】
固体電解質層50は、固体電解質、例えば、イオン伝導性かつ電気絶縁性の固体材料から形成され、フィルムとして形成され得る。固体電解質層50は、第二活物質層周縁部41を含む第二活物質層40をカプセル化するように第二表面22に配置されている。結果として、固体電解質層50は、第二活物質層40が空気および水分に接触するのを防止するように構成されており、かつカソード材料との接触を防止する。さらに、固体電解質層50は、片方のセル3aの第一活物質層30と隣接セル3bの第二活物質層40との間のイオン伝導体として機能する。幾つかの実施形態では、固体電解質層50は、例えば、活物質層30,40を形成するために使用されるポリマーに類似したポリマーと、活物質層30,40を形成するために使用される塩と同一の塩と、カリフォルニア州ヘイワードのSeeo, IncorporatedによりDryLyte(商標)の名称で販売されているような添加剤とを含む固体ポリマー電解質から形成され得る。他の実施形態では、固体ポリマー電解質層50は、セラミックまたはセラミックとポリマー材料との混合物を含む他の材料から形成され得る。
【0031】
再び図1を参照すると、バッテリ1は、セル積層体4の片方の端部(例えば、第一端部6)に配置された負の端部端子100を含み、この負の端部端子100は、セル積層体4の第一端部6で最外セル3に電気的に接続されている。さらに、バッテリ1は、セル積層体4の反対側の端部(例えば、第二端部8)に配置された正の端部端子110を含む。正の端部端子110は、セル積層体4の第二端部8で最外セル3に電気的に接続されている。
【0032】
負の端部端子100は、負の集電体102として機能する導電性シート(例えば、銅シート)と、負の集電体102のセル積層体側表面に形成された、負の集電体の活物質層104とを含む。負の集電体の活物質層104には、セル3のアノードを形成するために使用されるのと同じ活物質層が用いられる。リチウムイオン電池の化学作用を対象とする図示される実施形態では、負の集電体の活物質層104は、例えば、固体電解質材料にカプセル化されたリチウム金属であり得る。使用時には、負の端部端子100は、セル積層体4の第一端部8に積層され、そのため、負の集電体の活物質層104は、セル積層体4の第一端部6の最外セルの第一活物質層30に直接接触しており、第一活物質層30と電気的接続を形成する。
【0033】
正の端部端子110は、正の集電体112として機能する導電性シート(例えば、アルミニウムシート)と、正の集電体112のセル積層体側表面に形成された、正の集電体の活物質層114とを含む。正の集電体の活物質層114には、セル3のカソードを形成するために使用されるのと同じ活物質層が用いられる。リチウムイオン電池の化学作用を対象とする図示される実施形態では、正の集電体の活物質層114は、例えば、リチウム化金属酸化物であり得る。使用時には、正の端部端子110は、セル積層体4の第二端部8に積層され、そのため、正の集電体の活物質層114は、セル積層体4の第二端部の最外セル3の固体電解質層50に直接接触している。正の集電体の活物質層114は、固体電解質層50を介して、セル積層体4の第二端部の最外セル3の第二活物質層40(例えば、リチウム金属アノード)と電気的接続を形成する。
【0034】
図2図5を参照すると、縁部絶縁デバイス60は、電気絶縁材料のシートから形成されており、外側周縁部63と、外側周縁部63に囲まれかつこれから離隔された内側周縁部64とを含む。結果として、縁部絶縁デバイス60は、セル3の積層方向に平行な方向で見たときに、枠形状を有する。
【0035】
縁部封止デバイス60は、各セル3に設けられており、隣接セル3a,3bのバイポーラプレート基板20の周縁部23a,23b間に配置されている。各セル3において、外側周縁部63は、基板周縁部23から離隔されており、かつこれよりも基板20の中心24から離れて配置されている。内側周縁部64は、基板周縁部23および第二活物質層周縁部41から離隔されており、かつこれらよりも基板20の中心24の近くに配置されている。さらに、内側周縁部64は、第一活物質層周縁部31よりも基板20の中心24から遠くに配置されており、それにより、内側周縁部64は、第一活物質層周縁部31から離隔されており、かつこれに面している。
【0036】
縁部絶縁デバイス60は、各対の隣接セル3a,3bの基板20a,20b間に配置されると同時に、片方のセル(例えば、セル3a)の第一表面21aまたは隣接セル(例えば、セル3b)の固体電解質層50bのいずれかに物理的に接触しており、かつこれに直接固定されている一方で、セル3aの第一表面21aおよび隣接セル3bの固体電解質層50bのうちの他方に対して自由に移動することができる。
【0037】
例えば、幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイス60は、片方のセル3aの第一表面21aに物理的に接触しており、かつこれに直接固定されている一方で、隣接セル3bに対して自由に移動することができ、より具体的には、隣接セル3bの固体電解質層50bに対して自由に移動することができる(図2)。縁部絶縁デバイス60は、任意の適切な方法を使用して、例えば、これらの要素間に接着層を設けることにより、セル3aの第一表面21aに固定されている。
【0038】
他の実施形態では、縁部絶縁デバイス60は、隣接セル3bの固体電解質層50bに物理的に接触しており、かつこれに直接固定されている一方で、セル3aの第一表面21aに対して自由に移動することができる(図5)。縁部絶縁デバイス60は、固体電解質層50bの外側表面の機械的特性(例えば、接着性または粘着性)により隣接セル3bの固体電解質層50bに固定されても、または他の方法により、例えば、これらの要素間に接着層を設けることにより隣接セル3bの固体電解質層50bに固定されてもよい。
【0039】
縁部絶縁デバイス60(この場合、60a)は、片方のセルに固定されており、かつ他方のセルに対して移動することができるため、セル3a,3bは、例えば充電サイクルにより、積層軸線5に平行な方向に自由に膨張および収縮することができ、縁部絶縁デバイス60およびセル3a,3bは、片方セルの別のセルに対する相対運動および隣接セル3a,3bに対する縁部絶縁デバイスの相対運動にもかかわらず、損傷を受けないままである。
【0040】
縁部絶縁デバイス60は、バイポーラプレート12の基板20の周縁部23に重なっており、外側周縁部63は、セル3から外向きに配置されている。基板周縁部23から外側周縁部63までの距離は、いくらかの変形応力がかかっても異なるセルのバイポーラプレートが互いに接触かつ短絡形成できないほど十分に大きいので、短絡に関連する大電流および熱の生成が回避される。幾つかの実施形態では、基板周縁部23から外側周縁部63までの距離は、セルの厚さの3~20倍以上であり得る。ここで使用される場合、「厚さ」という用語は、セルの積層方向に平行な方向の寸法に対応する。
【0041】
縁部絶縁デバイス60は、バイポーラプレート12の基板20の周縁部23に重なっており、内側周縁部66は、セル3の内側に配置されている。基板周縁部23から内側周縁部63までの距離は、内側周縁部63を第一活物質層周縁部31のできるだけ近くに配置し、その一方で縁部絶縁デバイス60と第一活物質層周縁部31との間の接触を防止するのに十分である。縁部絶縁デバイス60の内側周縁部66と第一活物質層周縁部31との間の間隔または隙間g2は、基板の第一側21に第一活物質層30を形成する方法から生じる縁部許容値に依存し、この方法は、例えば、パッチプロセスであり得る。幾つかの実施形態では、第一活物質層周縁部31から内側周縁部64までの距離(隙間g2)は、縁部許容値の約2倍になるように設定される。例えば、パッチプロセスの許容値が約0.15mmである場合、第一活物質層周縁部31から内側周縁部63までの距離は、約0.3mmに設定される。
【0042】
通常、縁部絶縁デバイス60は、セルの充電状態に関係なく、セル3の厚さよりも薄い厚さを有する。幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイス60は、セル3の充電状態に関係なく、第一活物質層30、固体電解質層50、および第二活物質層40の厚さの合計よりも薄い厚さを有する。これは、縁部絶縁デバイス60がバイポーラプレート12の第一表面21に固定されている実施形態、および縁部絶縁デバイス60が固体電解質層50に固定されている実施形態に当てはまる。例えば、充電されたセルがバイポーラプレートなしで80μmの厚さを有し、放電されたセルが65μmの厚さを有する場合、縁部絶縁デバイス60は、最も薄い厚さよりも、ここでは厚さ65μmよりも3~10μm薄い厚さを有するべきである。したがって、縁部絶縁デバイス60は、この例では62μm未満、特に55μm未満の厚さを有するべきである。縁部封止デバイスの厚さは、接着剤層または必要な他の固定アセンブリを含むと理解される。
【0043】
幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイス60は、テープまたはストリップとして設けられている。テープは、まずセルの2つの平行な縁部に沿って、続いて横切る平行な縁部に沿って貼られ得る。この貼り付け方法では、セルの各隅でテープの厚さが2倍になる。他の実施形態では、セルのプロファイルが長方形である場合、縁部絶縁デバイスは、長方形の周辺縁部を収容するために、単純に90°で折り畳まれている。これによっても、セルの隅で縁部封止デバイスの厚さが2倍になる。縁部絶縁デバイス60の厚さの要件を決定する際に、セルの隅の厚さの寸法が考慮され、縁部絶縁デバイス60の2倍の厚さの部分もまた、いずれの充電状態でもセルより薄くなくてはならない。
【0044】
セルがラミネートされている場合、セル積層体4の製造中に、縁部絶縁デバイス60をセル3間の隙間に挿入することは困難であり得る。そのことから、幾つかの実施形態では、セル3を積層する前に、縁部絶縁デバイス60は、バイポーラプレートに予め接着されるか、そうでなければこれと一緒に組み立てられる。
【0045】
縁部絶縁デバイス60は、セルの周縁部を互いに電気的に絶縁するように機能する。この目的から、縁部絶縁デバイス60を形成するために使用される材料は、膨らまない絶縁ポリマーフィルムであり得る。そのような材料としては、例えば、ポリアルキレンフィルム、または絶縁性が高く吸湿性ではない他の既知の封止材料が挙げられ得る。他の例示的な材料としては、フルオロアルキレンタイプのポリマー、ポリスチレンタイプのポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、ポリアクリラート、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
図6図8を参照すると、前述のように、縁部絶縁デバイス60は、片方のセル(例えば、セル3a)の第一表面21aまたは隣接セル(例えば、セル3b)の固体電解質層50bのいずれかに物理的に接触しており、かつこれに直接固定されている一方で、セル3aの第一表面21aおよび隣接セル3bの固体電解質層50bのうちの他方に対して自由に移動することができる。幾つかの実施形態では、隙間g1は、縁部絶縁デバイス60と、この縁部絶縁デバイス60が相対して自由に移動する構造体との間に形成されている。例えば、縁部絶縁デバイス60が、片方のセル3aの第一表面21aに物理的に接触しており、かつこれに直接固定されている一方で、隣接セル3bの固体電解質層50bに対して自由に移動することができる場合、隙間g1は、縁部絶縁デバイス60と固体電解質層50bとの間に形成され得る。
【0047】
幾つかの実施形態では、各セルは、縁部絶縁デバイス60に加えて、弾性封止デバイス80を含む。封止デバイス80は、セル3の周縁に水分不透過性の封止を形成する。縁部絶縁デバイス60が、片方のセル3aの第一表面21aに物理的に接触しており、かつこれに直接固定されている一方で、隣接セル3bの固体電解質層50bに対して自由に移動することができる実施形態では、封止デバイス80は、縁部絶縁デバイス60と隣接セル3bの固体電解質層50bとの間の隙間g1に配置されている(図6)。より具体的には、封止デバイス80は、縁部絶縁デバイス60と固体電解質層50bとの間に配置されており、かつこれらに直接物理的に接触している。この構成では、封止デバイス80は、固体電解質層50bの一部(例えば、その周縁部51)および縁部絶縁デバイス60を覆っており、固体電解質層50bおよび縁部絶縁デバイス60それぞれと封止を形成することができる。結果として、封止デバイス80は、水分および他の汚染物質が固体電解質層50bおよび電気化学的活物質に接触することを防止するバリアを形成する。さらに、封止デバイス80が弾性であることに基づいて、かつ封止デバイス80が固体電解質層周縁部51に隣接しているため、封止デバイス80は、周縁部51を圧縮して電解質層50bがその基板20bから剥がれることを防止する外向きの応力をかけることができる。
【0048】
縁部絶縁デバイス60が、隣接セル3bの固体電解質層50bに物理的に接触しており、かつこれに直接固定されている一方で、セル3aの第一表面21aに対して自由に移動することができる実施形態では、封止デバイス80は、縁部絶縁デバイス60とセル3aの第一表面21aとの間の隙間g1(a)に配置されている(図7)。より具体的には、封止デバイス80は、縁部絶縁デバイス60およびセル3aの第一表面21aそれぞれと封止を形成する。幾つかの実施形態では、第二封止デバイス82が、縁部絶縁デバイス60と隣接セル3bの第二表面22bとの間の隙間g1(b)に配置され得る(図8)。第二封止体82は、対向した側の縁部絶縁デバイス60と、隣接セル3bの基板20bの第二表面22bとの両方に直接物理的に接触しており、これらと封止を形成する。有利なことに、この構成では、2つの封止デバイス80,82により隣接セル3a,3bを一緒に効果的に接着することができる。
【0049】
封止デバイス80,82は、縁部絶縁デバイス60と隣接セル3bのバイポーラプレート12bとの間の隙間g1を閉じることにより、不透過性をもたらす。封止デバイス80は、例えば、弾性材料のストリップの形態で設けられていても、または縁部絶縁デバイスに印刷もしくは接着された独立気泡弾性フォームもしくはポリマーの形態で設けられていてもよい。封止デバイス80,82は、セル3の周辺に延在し得るため、封止デバイス80,82は、セル3の積層方向に平行な方向で見たときに、枠形状を有し得る。
【0050】
封止デバイス80,82は、充電サイクルに関連する膨張および収縮を含む、積層軸線5に平行な方向のセルの寸法変化を補償することを可能にする弾性特性を有する。膨張または収縮の量は、セルの厚さの10パーセント以上までに相当し得るので、封止デバイス80,82は、セルの寸法が変化しても封止を維持するのに十分なほど弾性である必要がある。
【0051】
充電サイクルによるセルの膨張および収縮に対応するのに十分なほど弾性であることに加えて、封止デバイス80,82を形成するために使用される材料はまた、水分を通してはならない。幾つかの実施形態では、封止デバイス80,82は、独立気泡弾性フォームの気泡率がセル3の膨張および収縮をセルの厚さの10パーセント以上まで補償するのに十分である独立気泡弾性フォームラバーであり得る。他の実施形態では、封止デバイス80,82は、連続気泡フォームラバーを含むがこれに限定されることはない、特定用途の要件に対処する他の材料から形成することが可能である。
【0052】
封止デバイス80,82の使用は、液体電解質またはゲルタイプの電解質を有するセル積層体においても有利である。幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイスの上側において、弾性もしくは独立気泡弾性フォームまたはラバータイプのポリマーフィルムの形態のさらなる封止を縁部絶縁デバイスに設けることが適切である。
【0053】
図9図13を参照すると、前述のように、縁部絶縁デバイス内側周縁部64は、積層軸線5を横切る方向で第一活物質層周縁部31から離隔されており、これらのコンポーネント間の衝突が回避されている。というのも、そのような衝突により、第一活物質層30が損傷する可能性があるからである。幾つかの実施形態では、バイポーラプレート12の基板20は、基板20に対して縁部絶縁デバイス60を位置決めするように縁部絶縁デバイス60と係合する表面特徴部を含み得て、それにより、縁部絶縁デバイス内側周縁部64と第一活物質層周縁部31との間の間隔の維持が確実になる。
【0054】
例えば、基板20の第一表面21は、第一表面21に垂直な方向に第一表面21から外向きに突き出た突出部25を含み得る(図9)。突出部25は、積層軸線5に平行な方向で見たときに、円形または楕円形のプロファイルを有し得る。さらに、突出部25は、端面26、ならびに端面26と基板第一表面21との間に延在する側壁27を含み得る。突出部25は、第一表面21に沿って、基板周縁部23と縁部絶縁デバイス60の内側周縁部64との間に配置されている。縁部絶縁デバイス60は、突出部25を収容するように形作られて寸法決めされた貫通穴66(図10および図11)または凹所68(図12および図13)などの対応特徴部を含み得る。貫通穴66は、縁部絶縁デバイス60の対向した幅広の表面間に延在しており、外側周縁部63および内側周縁部64から離隔された位置に配置されている。突出部25と貫通穴66とが係合すると、縁部絶縁デバイス60は、縁部絶縁デバイス内側周縁部64と第一活物質層周縁部31との間の間隔が維持されるように、基板20に対して位置決めおよび保持される。凹所68を貫通穴66と置き換える場合、凹所68は、形状および機能が貫通穴66に類似しているが、縁部絶縁デバイス60の厚さの部分的にのみ延在すると理解される。
【0055】
幾つかの実施形態では、突出部25は、嵌合公差で貫通穴66または凹所68内に収容され得る。あるいは、突出部25は、圧入で貫通穴66または凹所68内に収容され得る。これらの実施形態では、突出部側壁27は、直線状であり、基板第一表面21に垂直である。貫通穴66または凹所68を通る縁部絶縁デバイスは、直線状であり得てかつ縁部絶縁デバイス60の対向した幅広の表面に垂直であり得る内側表面67を含むか(図10)、あるいは突出部側壁27と係合する表面特徴部66aを含み得る(図11)。
【0056】
幾つかの実施形態では、突出部25および/または貫通穴66もしくは凹所68は、それらの間に「スナップイン」または「クリックイン」式の機械的接続を形成するように形作られているおよび/または寸法決めされている。これらの実施形態では、突出部側壁27は、非直線プロファイルを有し得て、貫通穴66または凹所68の内側表面67は、突出部側壁27の非直線プロファイルを補完する非直線プロファイルを有し得て、突出部25は、突出部側壁27と貫通穴内側表面67との間のスナップフィット係合により貫通穴66と係合される。図12に図示される例では、突出部側壁27および凹所内側表面67は、基板第一表面21に対してそれぞれ角度付けられた相補的な形状およびサイズを有する。さらに、凹所開口部は、突出部25の最も幅の広い寸法よりも小さくなるように寸法決めされており、それにより、突出部25は、スナップまたはクリックされて凹所内側表面67と係合する。図13に図示される例では、突出部側壁27および凹所内側表面67は、図12のものと同様の様式で相補的な形状を有するが、空洞68内で突出部25がいくらか移動できるようにサイズ決めされている一方で、空洞68内に突出部25を保持するように依然として機能する。
【0057】
図14を参照すると、各セル3の基板20は、基板20の周縁を取り囲むように基板周縁部23に平行に延在する線に沿って離隔された幾つかの突出部25を含み得る。
【0058】
図15および図16を参照すると、幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイス60には、貫通穴66および/または凹所68がない。これらの実施形態では、バイポーラプレート12の基板20は、基板20に対して縁部絶縁デバイス60を位置決めするように縁部絶縁デバイス内側周縁部64と係合する表面特徴部(例えば、突出部125)を含み得る。先の実施形態のように、幾つかの突出部125は、基板20の周縁を取り囲むように基板周縁部23に平行に延在する線に沿って離隔されるように配置されている。突出部125は、前述のように、縁部絶縁デバイス60と第一活物質層30との間の接触を防止するために、特に縁部絶縁デバイス60を位置決めして、縁部絶縁デバイス60の内側周縁部64と第一活物質層周縁部31との間の間隔を維持するために、縁部絶縁デバイス内側周縁部64と第一活物質層周縁部31との間に配置されている。
【0059】
図17を参照すると、幾つかの実施形態では、縁部絶縁デバイス内側周縁部64は、基板第一表面21に形成された代替実施形態である表面特徴部225と協働している。例えば、代替実施形態である表面特徴部225は、前述のように、基板第一表面21から突出しており、かつ縁部絶縁デバイス60の内側周縁部66と第一活物質層周縁部31との間の間隔を維持するように配置された、枠状の縁であり得る。縁225は、縁部絶縁デバイス60の周縁に沿って連続的に(図示されている)または非連続的に(図示せず)延在し得る。
【0060】
図18を参照すると、基板20は、特定の用途において必要な場合、縁部絶縁デバイス60の対応する表面特徴部66と係合する位置決め表面特徴部25と、縁部絶縁デバイス60の内側周縁部64と係合する位置決め表面特徴部125との両方を含み得る。
【0061】
本明細書では、位置決め表面特徴部25,125は、縁部絶縁デバイス60が結合しているセル3(セル3a)の第一表面21(すなわち、第一表面21a)に形成されるものとして説明してきたが、位置決め表面特徴部25,125は、代替的には、隣接セル3bの基板20b(すなわち、第二表面22b)に形成され得ると理解される。
【0062】
突出部25,125は、基板表面の一体部分であっても、またはその上に形成されていてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、突出部25,125は、スクリーン印刷プロセスにおいて基板表面に形成され得る。
【0063】
図19を参照すると、幾つかの実施形態では、位置決め特徴部25,66は、独立気泡フォームラバーまたは弾性周辺ストリップ(図示せず)から形成され得る弾性アドオンパッド86と組み合わされ得る。パッド86は、セル3aの基板20aおよび/または隣接セル3bの基板20bと組み合わさって、縁部絶縁デバイス60、したがってセル3の縁部を弾性的に固定して封止するように機能する。
【0064】
図20を参照すると、幾つかの実施形態では、各縁部絶縁デバイス60の外側周縁部63を収容して支持し、かつ隣接セルの縁部絶縁デバイス外側周縁部63に対して積層軸線5に平行な方向で離隔された関係で、各外側周縁部63を維持し、かつ縁部封止デバイス60の縁部の周縁に封止を形成する支持枠90が設けられている。支持枠90は、バッテリハウジング2の内側に配置されており、隙間g3が支持枠90と基板周縁部23との間に存在するようにセル積層体4を取り囲む。
【0065】
支持枠90は、縁部封止テープ(図示せず)または厚いフォーム部材91(図20)として実現され得る。フォーム部材91は、空気および水分不透過性であり、セル積層体4の周辺に延在しており、またセル積層体4の両端を取り囲むことができ、それにより、セル3は、バッテリ1の環境から離れて封止される。
【0066】
支持枠90は、セル積層体4の各縁部絶縁デバイス60の外側周縁部63を収容して支持する。幾つかの実施形態では、フォーム部材91は弾性である。特に、フォーム部材91は、例えば充電サイクルによる積層軸線5に平行な方向のセル積層体4の膨張および収縮を補償するのに十分なほど弾性である。支持枠90は、隣接セル3の縁部絶縁デバイス60の各外側周縁部63間の離隔された関係を維持するように構成されている一方で、縁部絶縁デバイス60の部分69は拘束しないままである。縁部絶縁デバイス60の非拘束部分69は、セル3の外側に存在する、例えば、基板20の周縁部23を超えて支持枠90に対して内側に存在する部分である。
【0067】
図21を参照すると、縁部絶縁デバイス63が、セルの厚さの約100~1000倍以上の距離で基板周縁部23を超えて外向きに延在する実施形態では、フォーム部材91は、弾性がより低いまたは非弾性の材料から形成され得て、接着剤、ポリマー、またはセラミックポリマーハイブリッド封止剤からなる絶縁材料を含み得る。さらに、縁部絶縁デバイス60の非拘束部分69は、バッテリ1を積層軸線5に平行な断面で見たときに、湾曲していてもよい。したがって、縁部絶縁デバイス60は、1種の折り畳まれた波形を有し得る。曲線または波形を形成するために使用される過剰な材料が、支持枠90に対する積層軸線5に平行な方向のセル3の膨張および収縮を補償するために使用され、したがって、フォーム部材91が非弾性である場合に生成されるであろう引張応力の生成が回避され、縁部絶縁デバイス外側周縁部63が積層軸線5に平行な方向に移動することが防止される。
【0068】
他の実施形態では、セル積層体4の片方のセル3の縁部絶縁デバイス60の非拘束部分69は、セル積層体4の別のセル3の縁部絶縁デバイス60の非拘束部分69の長さとは異なる長さを有し得る。本明細書で使用される場合、非拘束部分69の長さとは、支持枠90の内側表面と、対応する基板20の周縁部23との間の距離である。例えば、セル積層体4の中心(例えば、セル積層体の第一端部6と第二端部8との間の中間)に配置されたセル3の非拘束部分69は、セル積層体4の第一端部6または第二端部8のいずれかに配置されたセル3の非拘束部分69よりも短い長さを有し得る。様々な長さの非拘束部分69を有する縁部絶縁デバイス60を設けることにより、セル積層体4の中央よりもセル積層体4の端部6,8で比較的大きな変位を経験するセル積層体4は、セルの充電サイクルによる積層軸線5に平行な方向のセル積層体の膨張および収縮を容易に収容することができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、各セル3の縁部絶縁デバイス60の外側周縁部63は、支持枠90に固定されている。さらに、縁部絶縁デバイス60の長さ(例えば、外側周縁部63と内側周縁部64との間の距離)は、支持枠90および縁部絶縁デバイス60が協働して、縁部絶縁デバイス内側周縁部64と第一活物質層周縁部31との間に所望の間隔を維持するように、設定されている。縁部絶縁デバイス60は、支持枠90に固定されているので、縁部絶縁デバイス60は、第一活物質層30との衝突が防止される。したがって、支持枠90を用いるバッテリ1は、任意選択的に、図9および図15に関して先に記載されている位置決め特徴部25,125なしで形成され得る。
【0070】
図22および図23を参照すると、支持枠90は、任意選択的に、剛性でありかつフォーム部材91を取り囲む外側枠部材92を含み得る。外側枠部材92は、バッテリハウジング2によるフォーム部材91の圧縮を防止するように機能する。幾つかの実施形態、例えば、フォーム部材91が弾性材料から形成されている実施形態では、外側枠部材92は、外側枠部材92が積層軸線5に平行な方向に膨張することを可能にする特徴部を有し得る。そのような特徴部は、重なり合った2つの剛性外側枠半分93,94のアセンブリとしての外側枠部材92を設けることを含み得る(図23)。他の実施形態、例えば、フォーム部材91が非弾性材料から形成されている実施形態では、外側枠部材92は、剛性でありかつ積層軸線5に平行な方向に膨張することができない単一構造体であり得る(図22)。
【0071】
図24を参照すると、代替実施形態であるバッテリ200は、図1に関して先に記載されているバッテリ100に類似しており、共通の要素は、共通の参照番号を使用して参照される。バッテリ200は、積層配置された電気化学セル203を封入している。セル203は、セル203が縁部絶縁デバイス60を含まないことを除いて、先に記載のセル3と同一である。代わりに、絶縁テープ260が、各基板20および各集電体102,112の周縁部23に貼られており、これらの構造体の周縁全体に沿って延在している。
【0072】
例えば、幾つかの実施形態では、テープ260は、薄い柔軟な電気絶縁体であり、テープの片方の表面に接着剤が施与されている。例えば、テープ260は、接着剤が裏打ちされたポリアミドテープ、例えば、Kapton(商標)テープであり得る。Kapton(商標)は、E. I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。接着表面は、テープ260を導電体(例えば、基板20および集電体102,112)に固定するために使用される。テープ260は、導電体の片方の表面にのみ貼られ得るが、第一表面および第二表面21,22の周縁、ならびに示される導電体の切断表面または縁部表面を覆うように導電体の縁部に巻き付けると、より効果的である。さらに、テープ260は、導電体のみを覆い、固体電解質層50または活物質層30,40は覆わないものとして図示されているが、固体電解質層50または活物質層30,40も、必要に応じてテープ260で部分的に覆うことができると考えられる。
【0073】
本明細書では、縁部絶縁デバイス60は、固体電解質50を有するセルの一部として説明してきたが、縁部絶縁デバイス60は、このタイプのセルに限定されることはない。例えば、縁部絶縁デバイス60は、半固体セルにおいて、例えば、粘度のより高いかつ流動特性のより低いゲル電解質を有するセルにおいて、有利に使用することができる。縁部絶縁デバイス60は、縁部封止デバイスの上側のさらなる液体封止弾性フィルムとともに、液体電解質を有するセルにおいて使用することもできる。弾性液体電解質封止層としては、シリコーンゲルおよびポリマーが適している。
【0074】
本明細書に記載の実施形態では、固体電解質層50は、電気化学セル3のアノードを形成するものと説明される第二活物質層40をカプセル化するように第二表面22に配置されている。しかしながら、他の実施形態では、固体電解質層50は、電気化学セル3のカソードを形成する第一活物質層30をカプセル化するように構成され得る。
【0075】
図5に図示される実施形態では、固体電解質50は、アノード活物質層40上にあり、縁部絶縁デバイス60は、固体電解質50の周縁部分に直接固定されている。ただし、セル3は、この構成に限定されることはない。例えば、他の実施形態では、固体電解質50は、カソード活物質層30上にあってもよく、縁部絶縁デバイス60は、固体電解質50の周縁部分に直接固定されていてもよい。いずれの場合も、カソード活物質層30は、活物質層30への応力を防止するために、したがって、例えば対応する基板からこれを取り外すことによる損傷を防止するために、縁部絶縁デバイス60に接触していない。
【0076】
先に記載の実施形態は、例示的に示されたものであって、これらの実施形態は、様々な変形形態および代替形態にするのが容易であり得ると理解されたい。さらに、特許請求の範囲は、開示された特定の形態に限定されることを意図するのではなく、むしろ、本開示の趣旨および範囲に該当するすべての変形形態、等価物、および代替物を網羅することを意図すると理解されたい。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24