(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】サポート材料の後処理除去の完全性を検証する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/40 20170101AFI20220715BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220715BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20220715BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20220715BHJP
B29C 64/379 20170101ALI20220715BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20220715BHJP
【FI】
B29C64/40
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/112
B29C64/379
B33Y40/20
(21)【出願番号】P 2020570576
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 US2019036970
(87)【国際公開番号】W WO2019245847
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-01
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,マーク レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ボー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ジュール ダブリュー
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131398(JP,A)
【文献】国際公開第2016/115046(WO,A1)
【文献】特表2012-526687(JP,A)
【文献】特開2018-030902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物品を製造する方法であって、
造形材料インクと、蛍燐光体成分を含む相変化インクであるサポート材料インクとを含むインクを、プリントヘッドアセンブリに供給すること;
プリントヘッドアセンブリを使用して三次元物品の層をプリントすること;および
サポート材料インクによって形成された支持構造を含む三次元物品が完全に形成されるまで、供給およびプリントを繰り返すこと;
を含む、三次元物品を層ごとに形成すること、
サポート材料インクを除去するために三次元物品を
後処理すること、
三次元物品を電磁放射線で照明すること、
照明に応答したフォトルミネッセンスについて三次元物品を検査すること、および
検査に基づき、前記
後処理によりサポート材料が十分に除去されているか否かを検証すること
を含み、
前記サポート材料インクは、サポート材料インクの総重量に基づき、50~80重量%の相変化ワックス成分、10~45重量%の粘着付与剤成分、および0.01~5重量%の蛍燐光体成分を含み、
前記三次元物品は、空洞を囲む造形材料の壁、および後処理の前には空洞内にサポート材料の部分を含み、照明が造形材料の壁を通って空洞まで行われ、前記検査は、後処理後にサポート材料が空洞に残っているか否かを判定するために造形材料の壁を通過するフォトルミネッセンス発光を検出することを含む、方法。
【請求項2】
前記検証によりサポート材料が十分に除去されていないと判定された場合に、サポート材料インクを再度除去するために三次元物品を処理することをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
三次元物品を製造する方法であって、
造形材料インクと、蛍燐光体成分を含む相変化インクであるサポート材料インクとを含むインクを、プリントヘッドアセンブリに供給すること;
プリントヘッドアセンブリを使用して三次元物品の層をプリントすること;および
サポート材料インクによって形成された支持構造を含む三次元物品が完全に形成されるまで、供給およびプリントを繰り返すこと;
を含む、三次元物品を層ごとに形成すること、
サポート材料インクを除去するために三次元物品を後処理すること、
三次元物品を電磁放射線で照明すること、
照明に応答したフォトルミネッセンスについて三次元物品を検査すること、および
検査に基づき、前記後処理によりサポート材料が十分に除去されているか否かを検証すること
を含み、
前記三次元物品が製造テストクーポンであり、検証が、前記検査に基づいて後処理が仕様内であるか否かを判定することを含み、
前記テストクーポンは、
開口部の寸法によってサイズが個別に異なる複数の開口部を画定する外層を有する造形材料から形成された基体;および
前記複数の開口部を少なくとも部分的に閉じる複数の犠牲部分であって、蛍燐光体成分を含むサポート材料から形成される犠牲部分;
を含み、
前記判定は、犠牲部分が取り除かれた開口部の寸法範囲に基づく、方法。
【請求項4】
開口部の寸法が水力直径である、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
開口部の寸法が、開口部が基体内に延びる深さである、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
開口部が基体を通って延びる、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
前記基体は、開口部の可変の軸方向長さを提供するために厚さが変化する、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記サポート材料インクが、
サポート材料インクの総重量に基づき、50~80重量%の相変化ワックス成分、
10~
45重量%の粘着付与剤成分、および0.01~5重量%の蛍燐光体成分を含む、請求項
3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記蛍燐光体成分が、450~750ナノメートル(nm)のピークフォトルミネッセンス発光波長、および0.1~1のフォトルミネッセンス量子収率を有する、請求項1
~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記
後処理が、サポート材料に溶媒を適用することを含む、請求項1
~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒がイソプロピルアルコールを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、ポリプロピレングリコール、エチルアルコール、酢酸エチル、メチルアルコール、および植物油のうちの1つまたは複数を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
照明が検査と同時に行われる、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記蛍燐光体成分が450~750ナノメートル(nm)のピークフォトルミネッセンス発光波長を有し、照明のピーク波長が該フォトルミネッセンス発光波長よりも短い、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記照明が紫外線によるものであり、フォトルミネッセンスが可視光である、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
検査が照明の後に行われる、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
検査が手動である、請求項1~
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
検査が自動カメラシステムによって行われる、請求項1~
16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この非仮特許出願は、米国特許法第119条(e)の利益のもと、参照により本明細書に組み込まれる2018年6月22日に出願されたMark Raymond Parkerらによる「METHOD OF VERIFYING INTEGRITY OF A POST-PROCESS REMOVAL OF SUPPORT MATERIAL」と題する米国仮特許出願第62/688,791号に対する優先権を主張する。この非仮特許出願は、米国特許法第119条(e)の利益のもと、参照により本明細書に組み込まれる2018年6月22日に出願されたMark Raymond Parkerらによる「METHOD FOR VERIFYING INTEGRITY OF A POST PROCESS」と題する米国仮特許出願第62/688,802号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、インクジェットプリントヘッドからの材料の選択的堆積から固体三次元物品を形成するための材料に関する。より具体的には、本開示は、造形材料からのサポート材料の後処理除去の完全性を検証する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
三次元プリントシステムは、プロトタイピングや製造などの目的のために使用が急増している。あるタイプの3Dプリンタは、インクジェットプリントヘッドを使用して材料を選択的に堆積し、三次元物品を製造する。通常、このようなプリンタは、「造形材料(build material)」を利用して三次元物品を形成し、製造中にさもなければ支持されていない造形材料の領域を支持するためにサポート材料(support material)を利用する。サポート材料は後処理において後で除去される。1つの課題は、除去プロセスの完全性(integrity)を検証することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様では、三次元物品を製造する方法は、三次元プリントにより三次元物品を形成すること、サポート材料インクを除去するために三次元物品を処理すること、三次元物品を電磁放射線で照明すること、照明に応答したフォトルミネセンスについて三次元物品を検査すること、および検査に基づいてサポート材料が十分に除去されているか否かを検証することを含む。三次元物品の形成は、プリントヘッドアセンブリにインクを供給すること、プリントヘッドアセンブリを使用して三次元物品の層をプリントすること、および三次元物品が完全に形成されるまで供給およびプリントを繰り返すことを含み得る。インクは、造形材料インクおよびサポート材料インクを含む。サポート材料インクは、蛍燐光体(phosphor)成分を含む相変化インクである。プリント中、サポート材料はさもなければ支持されていない造形材料の部分に支持を提供するためにプリント(印刷)される。
【0005】
一実施形態では、サポート材料インクは、サポート材料の総重量に基づき、50~80重量パーセント(重量%)の相変化ワックス成分、5~50重量%の粘着付与剤成分、および0.01~5重量%の蛍燐光体成分を含むことができる。相変化成分は、炭化水素ワックス、脂肪アルコールワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステルワックス、アルデヒドワックス、アミドワックス、およびケトンワックスのうちの1つまたは複数を含むことができる。相変化成分は、サポート材料の総重量に基づき、60~70重量%の量で存在することができる。粘着付与剤成分は、ロジンエステルおよびロジンアルコールのうちの1つまたは複数を含むことができる。粘着付与剤成分は、サポート材料の総重量に基づき、25~45重量%の量で存在することができる。
【0006】
別の実施形態では、蛍燐光体成分は、450~750ナノメートル(nm)の範囲のピークフォトルミネッセンス発光波長、および0.10~1のフォトルミネッセンス量子収率を有することができる。蛍燐光体成分は、100~400nmの照明波長に応答することができる。蛍燐光体成分は、500~700nmのピークフォトルミネッセンス発光波長を有することができ、また0.10~1のフォトルミネッセンス量子収率を有することができる。
【0007】
さらに別の実施において、検査は照明と同時に行われる。照明は紫外線(UV)光で行うことができ、フォトルミネッセンスは可視光であってよい。照明は、可視青色および/または紫色光であってよく、フォトルミネッセンスは、照明光よりも長い波長を有する可視光であってよい。
【0008】
さらなる実施において、三次元物品は、空洞を囲む造形材料の壁、および後処理の前にはその空洞内にサポート材料を含む。照明は、造形材料の壁および空洞に対して行われる。残存するサポート材料は照明に応答して光を放出し、その光は造形材料の壁を通過して検査中に目に見える。
【0009】
さらに別の実施では、検証によりサポート材料が十分に除去されていないと判定された場合、サポート材料インクを除去するための処理が繰り返される。
【0010】
別の実施では、三次元物品は製造テストクーポンであり、検証は、検査に基づいて、処理が仕様内であるか否かを判定することを含む。テストクーポンは、開口部の寸法によってサイズが個別に異なる複数の開口部を画定する外層(outside surface)を有する造形材料から形成された基体(substrate)と、複数の開口部を少なくとも部分的に閉じる複数の犠牲部分(sacrificial portion)とを含むことができる。犠牲部分は、蛍燐光体成分を含むサポート材料から形成される。判定は、犠牲部分が取り除かれた開口部の寸法範囲に基づくことができる。開口部の寸法は水力直径であってよい。開口部の寸法は、開口部が基体内に延びる深さであってよい。開口部は、基体を通って延びることができる。基体は、開口部の可変の軸方向長さを提供するために厚さを変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】三次元プリントシステムの一実施形態の概略ブロック図である。
【
図2】
図1のプリントシステムで利用されるプリントヘッドアセンブリの概略図である。
【
図4】三次元物品の製造プロセス、および後処理パラメータが仕様内であるか否かを判定する一実施形態を示すフローチャートである。
【
図5】サポート材料の後処理除去の完全性を検証しながら三次元物品を形成するための製造プロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【
図6】後処理を評価するためのテストクーポンの一実施形態の説明図である。
【
図7】テストクーポンに基づいて後処理除去パラメータを評価するためのプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【
図8】封入されたしるしを有する三次元物品の部分の一実施形態である。
【
図9】
図8のしるしを形成および読み取るためのプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【
図10】加熱された相変化インクを利用する三次元プリンタを操作および維持するためのプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、以下の詳細な説明および実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載の要素、装置、および方法は、詳細な説明および実施例に示されている特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。多数の修正および適合は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0013】
さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、そこに含まれるありとあらゆるサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1.0~10.0」の範囲は、最小値が1.0以上で始まり、最大値が10.0以下で終わるすべてのサブ範囲(例えば、1.0~5.3、または4.7~10.0、または3.6~7.9)を含むと見なされるべきである。同様に、「1~100」の指定された範囲は、最小値が1以上で始まり、最大値が100以下で終わるすべてのサブ範囲(例えば、1~49、または33~70、または17~100)を含むと見なされるべきである。
【0014】
本明細書に開示されるすべての範囲はまた、特に明記しない限り、範囲の端点を含むと見なされるべきである。例えば、「5~10の間」の範囲は、一般に、端点5および10を含むと見なされるべきである。
【0015】
さらに、「最大(up to)」という語句が量または数量に関連して使用される場合、その量は、少なくとも検出可能な量または数量であると理解されたい。例えば、「最大」指定された量までの量で存在する材料は、検出可能な量から指定された量まで(その指定された量を含む)の量で存在することができる。
【0016】
「三次元プリントシステム」、「三次元プリンタ」、「プリント」などの用語は、選択的堆積、噴射、溶融堆積モデリング、マルチジェットモデリング、ならびに三次元物体、部品、または物品を製造するために造形材料またはインクを使用する当技術分野で現在知られているまたは将来知られる可能性のある他の技術により、三次元物品または物体を製造するためのさまざまな固体自由形状製造技術を広く記載する。
【0017】
図1は、プリントシステム2の一実施形態の概略ブロック図である。プリントシステム2を説明する際に、相互に直交する軸X、Y、およびZが利用される。軸XおよびYは「横」または「水平」軸と呼ばれ、Zは「垂直」軸と呼ばれる。しかしながら、Zは必ずしも重力基準と完全に整列しているわけではないことを理解されたい。また、Xは「走査」軸を指し、Yは「横」軸を指す。+Z方向は一般に「上向き」方向と呼ばれ、-Zは一般的に「下向き」方向と呼ばれる。
【0018】
プリントシステム2は、ビルドプレート(build plate)4を支持し、位置合わせし、さらに垂直に配置するための昇降機構(elevator mechanism)6を備える。ビルドプレート4は、通常、アルミニウムまたは鋼などの剛性材料から形成され、その上に三次元(3D)物品7が形成される上面を備える。正確な位置公差および寸法公差を達成するには、剛性が重要である。昇降機構6は、垂直軸Zに沿ってビルドプレート4を制御可能に配置するように構成される。
【0019】
プリントシステム2は、移動機構10によって支持されて横方向に平行移動されるプリントヘッドアセンブリ8を備える。移動機構10は、プリントヘッドアセンブリ8がビルドプレート6上にインクの液滴を選択的に堆積させて三次元(3D)製品の層を形成するときに、プリントヘッドアセンブリ8を走査軸Xに沿って平行移動させるように構成される。代替の実施形態では、ビルドプレートは、ビルドプレートを横方向に平行移動させる移動機構に取り付けられ、プリントヘッドアセンブリは昇降機構に取り付けられて、プリントヘッドアセンブリをビルドプレートに対して垂直に配置する。本発明のさらなる実施形態は、X、Y、およびZ軸においてビルドプレートに対してプリントヘッドアセンブリを移動させる代替の機構を含む。
【0020】
プリントヘッドアセンブリ8は、インク経路14を介してインク供給部12からインクを受け取る。例示的な実施形態では、インク経路14は、相変化インクをインク供給部12からプリントヘッドアセンブリ8に輸送する加熱管である。コントローラ16は、三次元(3D)製品7をプリントするためにプリントシステム2を操作するように構成される。
【0021】
三次元物品7を形成するためのプリント方法は、層ごとのプロセスである。インク供給部12は、造形材料インク9および犠牲サポート材料インク11を含む少なくとも2つの異なるインクを含む。プリント方法は、造形材料インク9およびサポート材料インク11を含めて、プリントヘッドアセンブリ8にインクを供給すること、プリントヘッドアセンブリ8を使用して三次元物品7の層をプリントすること、および三次元物品7が完全に形成されるまで供給とプリントを繰り返すことを含む。個々の層は、軸XおよびY上でほぼ平面である。図示の三次元物品7の場合、サポート材料11がなければ支持されていない造形材料9の部分13が存在する。製造プロセスの後、サポート材料11を除去することが望ましい。したがって、後処理を実施して、サポート材料11を除去する。材料11は、一般に、後で三次元物品7から除去される一時的または犠牲的材料であるため、「犠牲サポート材料」11と呼ばれる。
【0022】
図2は、走査軸Xに沿って例示的なプリントヘッドアセンブリ8を概略的に示す。Xに沿って配列されたプリントヘッドアセンブリ8は、2つのUVランプ20、2つのファン22、平坦化装置ローラ24、およびプリントヘッド26を備える。プリントヘッド26は下面28を有する。平坦化装置ローラ24は、平坦化面30の上に広がる材料に衝撃を与えて平坦化するように構成される。垂直距離H
Tは、下面28と平坦化面30との間に延在する。
【0023】
プリントヘッド26は、異なるインクをプリントするための異なるノズル群を含むことができる。これらのインクのいくつかがUV硬化性(紫外線で硬化可能)である場合、UVランプ20を操作してインクを硬化させることができる。いくつかの実施形態では、プリントシステム2は、UV硬化性インクを利用せず、したがって、UVランプ20は必要とされない。
【0024】
一実施形態では、プリントヘッドアセンブリ8は、造形材料9およびサポート材料11を含む2つの異なるインクを噴出するように構成された1つのプリントヘッド26を備える。別の実施形態では、プリントヘッドアセンブリ8は、2つの異なるプリントヘッド26を備え、1つは造形材料9を噴出するためのものであり、もう1つはサポート材料11を噴出するためのものである。さらに別の実施形態では、プリントシステム2は、2つの異なるプリントヘッドアセンブリ8を含むことができ、1つは造形材料9を噴出するためのものであり、もう1つはサポート材料11を噴出するためのものである。さらなる実施形態では、プリントシステム2は、色、弾性率、充填剤、および他の特性および態様に関して変化し得る複数の造形材料9を噴出するための追加のプリントヘッド26を備えることができる。
【0025】
I.造形材料
一態様では、3Dプリントシステムで使用するための造形材料が本明細書に記載されている。本明細書に記載の造形材料は、造形材料から形成されたプリント3D物品に機械的構造を提供する1つまたは複数の成分、ならびに蛍燐光体成分を含むことができる。当業者によって理解されるように、機械的構造を提供する成分には、様々な材料または化学種が含まれ得る。例えば、ある場合には、そのような成分は、基体上に堆積されると急速な相変化(例えば、流体から固体)を受け、それによってプリント物品の層の固体ボクセルを形成する「相変化」成分である。他の例では、造形材料の構造成分は硬化性である。当業者によって理解されるように、硬化性成分は、形状不安定または準不安定な状態で堆積され、その後に硬化(例えば重合)されて、プリント3D物品の層の形状安定なボクセルを形成することができる。造形材料のそのような「構造」成分は、本明細書に記載の造形材料の大部分を構成または形成することができる。さらに、そのような「構造」成分は、一般に、着色剤、安定剤、および禁止剤(inhibitor)などの添加剤を除外する。
【0026】
一般に、本明細書に記載の造形材料の構造成分のタイプは特に限定されない。しかしながら、いくつかの好ましい組成物を特に以下でさらに説明する。
【0027】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に記載の造形材料は、造形材料の総重量に基づき、少なくとも70重量%の相変化ワックス成分、任意選択で最大30重量%の添加剤成分、および0.001~5重量%の蛍燐光体成分を含む。いくつかのそのような例において、造形材料の総重量に基づき、相変化ワックス成分は少なくとも85重量%の量で造形材料中に存在し、添加剤成分は2~10重量%の量で造形材料中に存在し、蛍燐光体成分は、0.001~0.5重量%、0.005~0.5重量%、または0.01~0.5重量%の量で造形材料中に存在する。
【0028】
他の実施形態では、本明細書に記載の造形材料は、造形材料の総重量に基づき、10~60重量%のオリゴマー硬化性材料、最大80重量%のモノマー硬化性材料、および0.001~0.5重量%、0.005~0.5重量%、または0.01~0.5重量%の蛍燐光体成分を含む。いくつかのそのような例では、造形材料の総重量に基づき、オリゴマー硬化性材料は10~30重量%の量で造形材料中に存在し、モノマー硬化性材料は40~70重量%の量で造形材料中に存在し、蛍燐光体成分は0.001~0.5重量%の量で造形材料中に存在する。
【0029】
本明細書に記載の造形材料は、上記のものに加えて、1つまたは複数の他の成分も含むことができる。例えば、ある場合には、本明細書に記載の造形材料は、少なくとも1つの着色剤、少なくとも1つの光開始剤、少なくとも1つの禁止剤、少なくとも1つの安定剤、あるいは前述のクラスの追加成分の2つ以上の組み合わせを含む。
【0030】
ここで造形材料の特定の成分に着目すると、本明細書に記載の造形材料は、一部の実施形態では、相変化ワックス成分を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の相変化ワックス成分を使用することができる。さらに、ある場合には、相変化ワックス成分は、複数の異なるワックスまたは異なるワックスのブレンドを含む。ある場合には、相変化ワックス成分は、炭化水素ワックス、脂肪アルコールワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステルワックス、アルデヒドワックス、アミドワックス、ケトンワックス、またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。
【0031】
炭化水素ワックスは、一部の実施形態では、パラフィンワックスを含む。そのようなパラフィンワックスは、1つまたは複数の線状(またはn-)アルカン、分岐(またはイソ)アルカン、ナフテン、あるいはアルキルまたはナフテン置換芳香族炭化水素を含むことができる。例えば、ある場合には、パラフィンワックスは1つまたは複数のC9~C60アルカンを含む。当業者によって理解されるように、「Cn」アルカン(または他の種)は、「n」個の炭素原子を有するアルカン(または他の種)である。一部の例では、炭化水素ワックスは、C9~C40アルカン、C9~C30アルカン、C16~C60アルカン、C16~C40アルカン、C16~C30アルカン、C20~C60アルカン、C20~C50アルカン、またはC20~C40アルカンを含む。さらに、一部の実施形態では、炭化水素ワックス成分は、上記の異なる種(例えば、線状アルカン、分岐アルカン、および/またはナフテン炭化水素)の組み合わせを含めて、複数の異なる種を含む。
【0032】
脂肪アルコールワックスは、ある場合には、脂肪アルコールを含む。本開示の目的と矛盾しない任意の脂肪アルコールを使用することができる。ある場合には、脂肪アルコールは、一般式CnH2n+1OHを有し、nは6~36または8~28の整数である。一部の実施形態において、例えば、脂肪アルコールは、デカノール(C10H21OH)、ドデカノール(C12H25OH)、テトラデカノール(C14H29OH)、ヘキサデカノール(C16H33OH)、オクタデカノール(C18H37OH)、エイコサノール(C20H41OH)、またはドコサノール(C22H45OH)、またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。さらに、本明細書に記載の脂肪アルコールは、ある場合には、ステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールなどの第一級アルコールであってよい。他の脂肪アルコールも使用することができる。
【0033】
さらに、本明細書に記載のアルコールワックスは、合成長鎖アルコール、またはヒドロキシル末端ポリエチレンなどのヒドロキシル末端疎水性ポリマーを含むこともできる。例えば、ある場合には、本明細書に記載のアルコールワックスは、UNILIN 350、UNILIN 425、UNILIN 550、および/またはUNILIN 700を含む。
【0034】
さらに、本明細書に記載のアルコールワックスには、ある場合には、例えばエトキシル化ベヘニルアルコール(例えば、NOVEL 22-25エトキシレート)などの、アルコキシル化された(例えば、エトキシル化された)アルコールワックスが含まれる。
【0035】
一部の実施形態では、脂肪酸ワックスは、脂肪族カルボン酸または脂肪酸を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の脂肪酸を使用することができる。ある場合には、脂肪酸は一般式CnH2n+1COOHを有し、nは、6~36、または8~28、または24~49の整数である。一部の実施形態では、例えば、脂肪酸は、ラウリン酸(C11H23COOH)、ミリスチン酸(C13H27COOH)、パルミチン酸(C15H31COOH)、ステアリン酸(C17H35COOH)、ベヘン酸(C21H43COOH)、またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。本明細書に記載の脂肪酸ワックスは、ある場合には、UNICID 350またはUNCID 550(Baker Hughesから市販されている)などの合成酸ワックスである。他の脂肪酸も使用することができる。
【0036】
さらに、本明細書に記載の酸ワックスは、合成長鎖カルボン酸、またはカルボキシル末端ポリエチレンなどのカルボキシル末端疎水性ポリマーを含むこともできる。
【0037】
脂肪酸エステルワックスは、一部の実施形態では、アルキルアルキルエステル、アルキルアリールエステル、アルキルアリールアルキルエステル、アルキルアルキルアリールエステル、または前述の2つ以上の組み合わせもしくは混合物を含む。例えば、ある場合には、本明細書に記載の造形材料の脂肪酸エステルワックスは、一般式R-(C=O)-OR’を有するエステルを含み、ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、脂肪酸ワックスについて上記に記載するまたはケトンワックスについて下記に記載するようなアルキル基であり、例えば1~36個の炭素原子を有するアルキル基であり、ただし、RおよびR’のうち少なくとも1つは少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基である。ある場合には、そのようなアルキル基は線状である。本明細書に記載の脂肪酸エステルワックスのアルキル基はまた、分岐、環状、飽和、不飽和、置換、または非置換であってよい。エステルワックスは、一般式R-(C=O)-OAr、RO-(C=O)-Ar、Ar-(C=O)-OAr’、ArO-(C=O)-RAr’、Ar-(C=O)-ORAr’、ArO-(C=O)-Ar’R、Ar-(C=O)-OAr’R、ArR-(C=O)-OAr’R、ArR-(C=O)-OR’Ar’、またはRAr-(C=O)-OR’Ar’を有することができ、ここで、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、ケトンワックスについて下記に記載するアリール基であり、RおよびR’は、それぞれ独立して、上記のアルキル基である。例えば、一部の実施形態において、ArおよびAr’はそれぞれ、6~36個の炭素原子を有するアリール基である。本明細書に記載の一部の実施形態での使用に適したエステルワックスの1つの非限定的な例は、ベヘン酸メチル(CH3O-(C=O)-CH2(CH2)20CH3)である。他のエステルワックスも使用することができる。
【0038】
さらに、本明細書に記載のエステルワックスが置換されたアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル基を含む場合、置換された基の1つまたは複数の置換基は、ある場合には、置換ケトンワックスについて下記に記載する置換基を含むことができる。
【0039】
本明細書に記載のアルデヒドワックスは、一部の実施形態では、アルキルアルデヒド、アリールアルデヒド、アリールアルキルアルデヒド、アルキルアリールアルデヒド、または前述の2つ以上の組み合わせもしくは混合物を含む。例えば、ある場合には、本明細書に記載の造形材料のアルデヒドワックスは、一般式R-(C=O)-Hを有するアルデヒドを含み、ここで、Rは、脂肪酸ワックスについて上記に記載するまたはケトンワックスについて下記に記載するアルキル基であり、例えば、4~36個の炭素原子または9~36個の炭素原子を有するアルキル基である。ある場合には、そのようなアルキル基は線状である。本明細書に記載のアルデヒドワックスのアルキル基はまた、分岐、環状、飽和、不飽和、置換、または非置換であってよい。エステルワックスはまた、一般式R-(C=O)-H、Ar-(C=O)-H、ArO-(C=O)-H、ArR-(C=O)-H、またはRAr-(C=O)-Hを有することができ、ここで、Arはケトンワックスについて下記に記載するアリール基であり、Rは上記のアルキル基である。例えば、一部の実施形態では、Arは、6~36個の炭素原子を有するアリール基である。
【0040】
さらに、本明細書に記載のアルデヒドワックスが置換されたアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル基を含む場合、置換された基の1つまたは複数の置換基は、ある場合には、置換ケトンワックスについて下記に記載する置換基を含むことができる。
【0041】
アミドワックスは、一部の実施形態では、アルキルアルキルアミドもしくはビス(アミド)、アルキルアリールアミドもしくはビス(アミド)、アリールアリールアミドもしくはビス(アミド)、アリールアリールアルキルアミドもしくはビス(アミド)、アリールアルキルアリールアミドもしくはビス(アミド)、アリールアルキルアリールアルキルアミドもしくはビス(アミド)、アリールアルキルアルキルアリールアミドもしくはビス(アミド)、アルキルアリールアルキルアリールアミドもしくはビス(アミド)、または前述の2つ以上の組み合わせもしくは混合物を含む。例えば、ある場合には、本明細書に記載のアミドワックスは、エチレンビス(ステアリン酸アミド)(EBS)を含む。他の場合において、アミドは、一般式R-(C=O)-NHR’を有し、ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、上記のアルキル基、例えば1~36個の炭素原子を有するアルキル基であり、ただし、RおよびR’のうちの少なくとも1つは、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基である。ある場合には、そのようなアルキル基は線状である。本明細書に記載のアミドワックスのアルキル基はまた、分岐、環状、飽和、不飽和、置換、または非置換であってよい。アミドワックスは、一般式R-(C=O)-NR”Ar、RNR”-(C=O)-Ar、Ar-(C=O)-NR”Ar’、ArNR”-(C=O)-RAr’、Ar-(C=O)-NR”RAr’、ArNR”-(C=O)-Ar’R、Ar-(C=O)-NR”Ar’R、ArR-(C=O)-NR”Ar’R、ArR-(C=O)-NR”R’Ar’、またはRAr-(C=O)-NR”R’Ar’を有することができ、ここで、ArおよびAr’はそれぞれ独立して上記のアリール基であり、RおよびR’はそれぞれ独立して上記のアルキル基であり、R”は水素または上記のアルキル基である。例えば、一部の実施形態において、ArおよびAr’はそれぞれ、6~36個の炭素原子を有するアリール基である。本明細書に記載の一部の実施形態での使用に適したアミドワックスの1つの非限定的な例は、ステアリルステアリン酸アミド(CH3(CH2)17-(C=O)-NH(CH2)17CH3)である。他のアミドワックスも使用することができる。
【0042】
ケトンワックスは、ある場合には、アルキルアルキルケトン、アルキルアリールケトン、アリールアリールケトン、アリールアリールアルキルケトン、アリールアルキルアリールケトン、アリールアルキルアリールアルキルケトン、アリールアルキルアルキルアリールケトン、アルキルアリールアルキルアリールケトン、または前述の2つ以上の組み合わせもしくは混合物を含む。例えば、一部の実施形態において、本明細書に記載のケトンワックスは、一般式R-(C=O)-R’を有するアルキルアルキルケトンを含み、ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、1~36個の炭素原子を有するアルキル基であり、ただし、RおよびR’の少なくとも1つは少なくとも4個の炭素原子を有するアルキル基である。ある場合には、そのようなアルキル基は線状である。本明細書に記載のケトンワックスのアルキル基はまた、分岐、環状、飽和、不飽和、置換、または非置換であってよい。本明細書に記載の造形材料の一部の実施形態での使用に適したアルキルアルキルケトンの非限定的な例には、n-オクチル-n-プロピルケトン、n-オクチル-n-ブチルケトン、n-デシル-n-エチルケトン、n-ウンデシル-n-プロピルケトン、n-ドデシル-n-エチルケトン、ジ-n-ヘキシルケトン、ジ-n-ヘプチルケトン、ジ-n-オクチルケトン、ジ-n-ノニルケトン、ジ-n-デシルケトン、ジ-n-ウンデシルケトン、ジ-n-トリデシルケトン、ジ-n-ヘプタデシルケトン、ジ-n-オクタデシルケトン、およびそれらの混合物もしくは組み合わせが含まれる。他のアルキルアルキルケトンも使用することができる。
【0043】
さらに、本明細書に記載のケトンワックスはまた、一般式R-(C=O)-Arを有するアルキルアリールケトンを含むことができ、ここで、Rはアルキルアルキルケトンについて上記に記載するようなアルキル基であり、Arは6~36の炭素原子を有するアリール基である。アリール基は、ある場合には、置換または非置換のフェニル、ナフチル、またはアントリル基を含む。本明細書に記載の造形材料の一部の実施形態での使用に適したアルキルアリールケトンの非限定的な例には、n-オクチルフェニルケトン、n-ウンデシルフェニルケトン、n-ペンタデシルフェニルケトン、n-オクタデシルフェニルケトン、およびそれらの混合物もしくは組み合わせが含まれる。他のアルキルアリールケトンも使用することができる。
【0044】
さらに、一部の実施形態において、本明細書に記載のケトンワックスは、一般式Ar-(C=O)-Ar’を有するアリールアリールケトンを含み、ここで、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、アルキルアリールケトンについて上記に記載するアリール基である。本明細書に記載の造形材料の一部の実施形態での使用に適したアリールアリールケトンの非限定的な例には、ジフェニルアセトン、2-ナフチルフェニルケトン、およびそれらの混合物もしくは組み合わせが含まれる。他のアリールアリールケトンも使用することができる。
【0045】
さらに、本明細書に記載のケトンワックスはまた、一般式Ar-(C=O)-Ar’RまたはAr-(C=O)-RAr’を有するアリールアリールアルキルケトンまたはアリールアルキルアリールケトンを含むことができ、ここで、Rはアルキルアルキルケトンについて上記に記載するアルキル基であり、ArおよびAr’は、それぞれ独立して、アリールアリールケトンについて上記に記載するアリール基である。本明細書に記載の造形材料の一部の実施形態での使用に適したアリールアルキルアリールケトンの1つの非限定的な例は、ベンジルフェニルケトンである。他のアリールアリールアルキルケトンまたはアリールアルキルアリールケトンも使用することができる。
【0046】
さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のケトンワックスは、一般式RAr-(C=O)-Ar’R、RAr-(C=O)-R’Ar’、またはArR-(C=O)-R’Ar’を有するアリールアルキルアリールアルキルケトン、アリールアルキルアルキルアリールケトン、またはアルキルアリールアルキルアリールケトンを含み、ここでArおよびAr’はそれぞれ独立して上記のアリール基であり、RおよびR’はそれぞれ独立して上記のアルキル基である。そのようなケトンの1つの非限定的な例は、ジ-n-ベンジルケトンである。他のそのようなケトンも使用することができる。
【0047】
さらには、本明細書に記載のケトンワックスが置換されたアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル基を含む場合、置換された基の1つまたは複数の置換基は、ある場合には、ヒドロキシ基、アミン基、イミン基、アンモニウム基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、リン酸基、メルカプト基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、またはアジド基を含むことができる。
【0048】
本明細書に記載の造形材料の一部の実施形態での使用に適したケトンワックスの追加の例には、T-1(花王株式会社);KLB-766(C21-(C=O)-C21ケトン)(花王株式会社);およびKLB-770(C17-(C=O)-C17ケトン)(花王株式会社)などのステアロン、および/またはLAURONE(関東化学株式会社)などのラウロンが含まれる。
【0049】
さらに、本明細書に記載の造形材料の相変化ワックス成分は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で造形材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、相変化ワックス成分は、造形材料の総重量に基づき、少なくとも70重量%または少なくとも85重量%の量で存在する。一部の実施形態では、相変化ワックス成分は、造形材料の総重量に基づき、70~99重量%、70~95重量%、70~90重量%、70~85重量%、75~99重量%、75~95重量%、75~90重量%、75~85重量%、80~99重量%、80~95重量%、85~99重量%、85~95重量%、または85~90重量%の量で存在する。
【0050】
ここで、本明細書に記載の造形材料の他の特定の成分に着目すると、本明細書に記載の造形材料は、1つまたは複数のオリゴマー硬化性材料および/または1つまたは複数のモノマー硬化性材料をさらに含むことができる。本明細書における参照目的のために、硬化性材料は、1つまたは複数の硬化性または重合性部分を含む化学種を含む。本明細書における参照目的のために、「重合性部分」は、プリント3D物品または物体を提供するために重合または硬化され得る部分を含む。そのような重合または硬化は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で実施することができる。一部の実施形態では、例えば、重合または硬化は、重合または架橋反応を開始するのに十分なエネルギーを有する電磁放射線を重合性または硬化性材料に照射することを含む。例えば、一部の例では、紫外線(UV)放射を使用することができる。したがって、一部の例では、重合性部分は、UV重合性部分などの光重合性または光硬化性部分を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の硬化性材料は、約300nm~約400nmまたは約320nm~約380nmの範囲の波長で光重合性または光硬化性である。あるいは、他の例では、硬化性材料は、電磁スペクトルの可視波長で光重合性である。
【0051】
さらに、一部の例では、重合反応は、エチレン性不飽和点を含む、不飽和点間の反応などのフリーラジカル重合反応を含む。他の重合反応も使用することができる。当業者によって理解されるように、本明細書に記載の硬化性材料を重合または硬化するために使用される重合反応は、互いに反応して1つまたは複数の共有結合を形成することができる1つまたは複数の官能基または部分を有する複数の「モノマー」または化学種の反応を含むことができる。
【0052】
本明細書に記載の硬化性材料の重合性部分の非限定的な例は、ビニル部分、アリル部分、または(メタ)アクリレート部分などのエチレン性不飽和部分であり、用語「(メタ)アクリレート」には、アクリレートまたはメタクリレート、あるいはそれらの混合物もしくは組み合わせが含まれる。
【0053】
本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料に含まれる「オリゴマー」種は、それ自体がポリマーまたはオリゴマーであり、比較的高い分子量または比較的高い粘度を有する。これらの種はまた、本明細書に記載の1つまたは複数の不飽和点などを介して、追加の重合を受けることができる。本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料中のオリゴマー種の集団は、(例えば、非単一分子量分布を有する特定の質量のウレタンアクリレート、あるいは集団内のエチレングリコール単位の分布および/またはエトキシ単位の分布を有する特定の質量のエトキシル化ポリエチレングリコールによって示され得るような)その集団全体にわたり様々な分子構造および/または式を有することができる。本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料の重量平均分子量は、一般に、約400~10,000、約600~10,000、または約500~7,000の範囲であってよい。
【0054】
「オリゴマー」種とは対照的に、本明細書に記載の追加のモノマー材料に含まれる「モノマー」種は、それ自体はポリマーまたはオリゴマーではなく、比較的低い分子量または比較的低い粘度を有する。追加のモノマー硬化性材料に含まれる「モノマー」種は、(例えば、特定の質量のエトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、または特定の質量の上記の硬化性モノマーによって示され得るような)その集団を通して一貫したまたは明確に規定された分子構造および/または式を有することができる。さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載の追加のモノマー硬化性材料は、ASTM D2983に準拠して測定した場合に、25℃で500センチポアズ(cP)以下の粘度を有するが、「オリゴマー」硬化性材料は、ASTM D2983に準拠して測定した場合に、25℃で1000cP以上の粘度を有する。
【0055】
本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料または追加のモノマー硬化性材料の重合性部分の1つの非限定的な例は、ビニル部分、アリル部分、または(メタ)アクリレート部分などのエチレン性不飽和部分であり、用語「(「メタ)アクリレート」には、アクリレートまたはメタクリレート、あるいはそれらの混合物もしくは組み合わせが含まれる。
【0056】
さらに、本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料および追加のモノマー硬化性材料は、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、またはそれより高官能性の硬化性種を含むことができる。本明細書における参照目的のために、「単官能性」硬化性種は、1つの硬化性または重合性部分を有する化学種を含む。同様に、「二官能性」硬化性種は、2つの硬化性または重合性部分を有する化学種を含み;「三官能性」硬化性種は、3つの硬化性または重合性部分を有する化学種を含み;「四官能性」硬化性種は、4つの硬化性または重合性部分を有する化学種を含み;「五官能性」硬化性種は、5つの硬化性または重合性部分を有する化学種を含む。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の造形材料の単官能性硬化性材料はモノ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載の造形材料の二官能性硬化性材料はジ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載の造形材料の三官能性硬化性材料はトリ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載の造形材料の四官能性硬化性材料はテトラ(メタ)アクリレートを含み、本明細書に記載の造形材料の五官能性硬化性材料はペンタ(メタ)アクリレートを含む。その他の単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、および五官能性の硬化性材料も使用することができる。
【0057】
さらには、単官能性、二官能性、三官能性、四官能性、および五官能性の硬化性材料は、一部の例では、比較的低い分子量の種(すなわちモノマー種)、または比較的高い分子量の種(すなわちオリゴマー種)を含むことができる。
【0058】
一般に、本開示の目的と矛盾しない任意のオリゴマー硬化性材料を本明細書に記載の造形材料で使用することができる。一部の例では、例えば、オリゴマー硬化性材料は、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、またはエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料は、脂肪族ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマーおよび/またはアミノアクリレートオリゴマー樹脂(EBECRYL 7100など)を含む。一部の例では、本明細書に記載のオリゴマー硬化性材料は、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含む。一部の実施形態では、オリゴマー硬化性材料は、単官能性脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを含む。さらには、一部の例では、オリゴマー硬化性材料は、脂肪族、脂環式または芳香族ジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレートエステルを含み、それらには、ポリエチレングリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ネオペンチルグリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールS、エトキシル化またはプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、あるいはエトキシル化またはプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレートが含まれる。
【0059】
本明細書に記載のいくつかの実施形態で有用な市販のオリゴマー硬化性材料の一部の非限定的な例には以下のものが含まれる:SARTOMER社からSR 611の商品名で市販されているアルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート;RAHN USA社から商品名GENOMER 1122で市販されている単官能性ウレタンアクリレート;ALLNEX社から商品名EBECRYL 8402で市販されている脂肪族ウレタンジアクリレート;DYMAX社から商品名BR-952で市販されている多官能性アクリレートオリゴマー;DYMAX社から商品名BR-371Sで市販されている脂肪族ポリエーテルウレタンアクリレート;およびDYMAX社から商品名BR-541MBで市販されている脂肪族ポリエーテルウレタンメタクリレート。他の市販のオリゴマー硬化性材料も使用することができる。
【0060】
本明細書に記載の造形材料での使用に適したウレタン(メタ)アクリレートは、一部の例では、典型的には、ヒドロキシル末端ウレタンをアクリル酸またはメタクリル酸と反応させて対応するウレタン(メタ)アクリレートを得るか、またはイソシアネート末端プレポリマーをヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートと反応させてウレタン(メタ)アクリレートを得ることにより、既知の方法で調製することができる。適切なプロセスは、とりわけ、欧州特許出願公開第114982号および同第133908号に開示されている。そのような(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、一部の例では、約400~10,000、または約500~7,000であってよい。ウレタン(メタ)アクリレートはまた、SARTOMER社からCN980、CN981、CN975およびCN2901の製品名で、あるいはBOMAR Specialties社からBR-741の製品名で市販されている。本明細書に記載の一部の実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ASTM D2983に準拠した方法で測定した場合に、約50℃で約140,000センチポアズ(cP)~約160,000cP、または約50℃で約125,000cP~約175,000cPの範囲の粘度を有する。一部の例では、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ASTM D2983に準拠する方法で測定した場合に、約50℃で約100,000cP~約200,000cP、または、約50℃で約10,000cP~約300,000cPの範囲の粘度を有する。
【0061】
オリゴマー硬化性材料は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で、本明細書に記載の造形材料中に存在することができる。ある場合には、オリゴマー硬化性材料は、造形材料の総重量に基づき、合計で、最大約80重量%、最大約70重量%、最大約60重量%、最大約50重量%、最大約40重量%、最大約30重量%、または最大約20重量%の量で造形材料中に存在する。ある場合には、本明細書に記載の造形材料は、造形材料の総重量に基づき、約10~80重量%のオリゴマー硬化性材料を含む。一部の実施形態では、造形材料は、造形材料の総重量に基づき、約10~70重量%、10~60重量%、10~50重量%、10~40重量%、10~30重量%、10~20重量%、15~80重量%、15~70重量%、15~40重量%、15~30重量%、20~80重量%、20~70重量%、20~60重量%、20~50重量%、20~40重量%、30~80重量%、30~70重量%、30~60重量%、30~50重量%、40~80重量%、40~70重量%、または40~60重量%のオリゴマー硬化性材料を含む。
【0062】
さらに、本開示の目的と矛盾しない任意のモノマー硬化性材料を、本明細書に記載のモノマー硬化性材料として使用することができる。一部の例では、本明細書に記載の造形材料のモノマー硬化性材料は、例えば1つまたは複数の単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、三官能性(メタ)アクリレート、四官能性(メタ)アクリレートおよび/または五官能性(メタ)アクリレートなどの、1種または複数種の(メタ)アクリレートを含む。一部の実施形態では、例えば、モノマー硬化性材料は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロへキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート、またはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、モノマー硬化性材料は、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、およびシクロヘキサンジメタノールジアクリレートの内の1つまたは複数を含む。さらには、一部の例では、モノマー硬化性材料は、脂肪族、脂環式または芳香族ジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレートエステルを含み、そのようなジオールには、1,3-または1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンまたはビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、またはビスフェノールSなどが含まれる。本明細書に記載のモノマー硬化性材料はまた、1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、および/またはビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレートを含むことができる。さらに、一部の例では、モノマー硬化性材料は、エトキシル化またはプロポキシル化ネオペンチルグリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールF、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールS、エトキシル化またはプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、あるいはエトキシル化またはプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレートなどの、エトキシル化またはプロポキシル化種を含んでいてもよい。
【0063】
本明細書に記載の一部の実施形態においてモノマー硬化性材料として有用な市販のモノマー硬化性材料の追加の非限定的な例には以下のものが含まれる:SARTOMER社からSR 506の商品名で市販されているイソボルニルアクリレート(IBOA);SARTOMER社からSR 423Aの商品名で市販されているイソボルニルメタクリレート;SARTOMER社からSR 272の商品名で市販されているトリエチレングリコールジアクリレート;SARTOMER社からSR 205の商品名で市販されているトリエチレングリコールジメタクリレート;SARTOMER社からSR 833Sの商品名で市販されているトリシクロデカンジメタノールジアクリレート;SARTOMER社からSR 368の商品名で市販されているトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;SARTOMER社からSR 339の商品名で市販されている2-フェノキシエチルアクリレート;SARTOMER社からSR 349の商品名で市販されているエトキシル化(3モル)ビスフェノールAジアクリレート;RAHN USA社からGENOMER 1120の商品名で市販されている環式単官能性アクリレート;およびSARTOMER社からSR 399LVの商品名で市販されているジペンタエリトリトールペンタアクリレート。他の市販のモノマー硬化性材料も使用することができる。
【0064】
モノマー硬化性材料は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で、本明細書に記載の造形材料中に存在することができる。ある場合には、モノマー硬化性材料は、造形材料の総重量に基づき、合計で、最大約80重量%、最大約70重量%、最大約60重量%、または最大約50重量%の量で存在する。ある場合には、本明細書に記載の造形材料は、造形材料の総重量に基づき、約0~80重量%のモノマー硬化性材料を含む。一部の実施形態では、造形材料は、造形材料の総重量に基づき、約30~80重量%、30~70重量%、30~60重量%、30~50重量%、30~40重量%、40~80重量%、40~70重量%、40~60重量%、50~80重量%、または50~70重量%のモノマー硬化性材料を含む。
【0065】
本明細書に記載の造形材料の別の成分に着目すると、本明細書に記載される造形材料は、少なくとも1つの光開始剤をさらに含むことができる。本開示の目的と矛盾しない任意の光開始剤を使用することができる。一部の例では、光開始剤は、約250nm~約400nmの間、または約300nm~約385nmの間の光を吸収してフリーラジカルを生成するように動作可能な、α開裂型(単分子分解プロセス)の光開始剤または水素引き抜き型の光増感剤-第三級アミン相乗剤を含む。α開裂型の光開始剤の例としては、Irgacure 184(CAS 947-19-3)、Irgacure 369(CAS 119313-12-1)、およびIrgacure 819(CAS 162881-26-7)がある。光増感剤-アミンの組み合わせの例は、Darocur BP(CAS 119-61-9)とジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0066】
さらに、一部の例では、光開始剤は、ベンゾイン、ベンゾインエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテルおよびベンゾイルイソプロピルエーテルなど)、ベンゾインフェニルエーテルおよびベンゾインアセテートなどのベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシアセトフェノンおよび1,1-ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類;ベンジル、ベンジルケタール(例えば、ベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタールなど);2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンおよび2-アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;トリフェニルホスフィン;ベンゾイルホスフィンオキシド(例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin TPO)など);ベンゾフェノンおよび4,4’-ビス(N,N’-ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;チオキサントンおよびキサントン;アクリジン誘導体;フェナジン誘導体;キノキサリン誘導体または1-フェニル-1,2-プロパンジオン;2-O-ベンゾイルオキシム;1-アミノフェニルケトン;または、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトン、および4-イソプロピルフェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトンなどの1-ヒドロキシフェニルケトン類を含む。
【0067】
光開始剤はまた、HeCdレーザ放射線源で使用するために機能できる光開始剤も含むことができ、そのような光開始剤には、アセトフェノン、2,2-ジアルコキシベンゾフェノン、および1-ヒドロキシフェニルケトン(例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2-ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(=2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン)など)が含まれる。さらに、一部の例では、光開始剤は、Arレーザ放射線源で使用するために機能できる光開始剤を含み、そのような光開始剤には、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール類が含まれる。一部の実施形態では、適切な光開始剤は、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、あるいはそれらの混合物を含む。
【0068】
本明細書に記載の造形材料に含めることができる別のクラスの光開始剤は、化学線を吸収して重合開始のためのフリーラジカルを生成することができるイオン性染料-対イオン化合物を含む。いくつかのイオン性染料-対イオン化合物、およびその動作モードが、欧州特許出願公開第0223587号、ならびに米国特許第4,751,102号、同第4,772,530号、および同第4,772,541号に開示されている。
【0069】
光開始剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で本明細書に記載の造形材料中に存在することができる。一部の実施形態では、光開始剤は、造形材料の総重量に基づき、最大約5重量%の量で造形材料中に存在する。一部の例では、光開始剤は、約0.1重量%~約5重量%の範囲の量で存在する。
【0070】
さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載の造形材料は、1つまたは複数の光増感剤をさらに含む。一般に、そのような増感剤を造形材料に添加して、存在し得る1つまたは複数の光開始剤の有効性を高めることができる。一部の例では、増感剤は、イソプロピルチオキサントン(ITX)または2-クロロチオキサントン(CTX)を含む。
【0071】
増感剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で造形材料中に存在することができる。一部の実施形態では、増感剤は、造形材料の総重量に基づき、約0.1重量%~約2重量%、または約0.5重量%~約1重量%の範囲の量で存在する。
【0072】
本明細書に記載の造形材料の別の成分に着目すると、本明細書に記載の造形材料はまた、少なくとも1つの着色剤を含むことができ、これは、特に非ルミネッセンス着色剤(non-luminescent colorant)であり得る。本明細書に記載の造形材料の着色剤は、粒状顔料などの粒状着色剤、または分子着色剤であってよい。本開示の目的と矛盾しない任意のそのような粒状または分子着色剤を使用することができる。一部の例では、例えば、造形材料の着色剤は、TiO2および/またはZnOなどの無機顔料を含む。一部の実施形態では、造形材料の着色剤は、RGB、sRGB、CMY、CMYK、L*a*b*、またはPantone(登録商標)カラー化スキームにおいて使用するための着色剤を含む。一部の例では、本明細書に記載の造形材料の1つまたは複数の着色剤は白色を呈する。他の例では、着色剤は黒色を呈する。さらには、一部の例では、本明細書に記載の粒状着色剤は、約5μm未満、または約1μm未満の平均粒径を有する。一部の例では、本明細書に記載の粒状着色剤は、約500nm未満の平均粒径、例えば、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、または約150nm未満の平均粒径を有する。一部の例では、粒状着色剤は、約50~5000nm、約50~1000nm、または約50~500nmの平均粒径を有する。
【0073】
着色剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で本明細書に記載の造形材料中に存在することができる。一部の例では、着色剤は、造形材料の総重量に基づき、最大約2重量%の量、あるいは、約0.005~2重量%、0.01~2重量%、0.01~1.5重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.1~2重量%、0.1~1重量%、0.1~0.5重量%、または0.5~1.5重量%の量で造形材料中に存在する。
【0074】
さらには、本明細書に記載の造形材料は、一部の実施形態では、1つまたは複数の他の添加剤をさらに含む。一部の例では、例えば、本明細書に記載の造形材料は、1つまたは複数の重合禁止剤および/または安定剤をさらに含む。重合禁止剤を造形材料に添加して、組成物に付加的な熱安定性をもたらすことができる。本開示の目的と矛盾しない任意の重合禁止剤を使用することができる。さらには、重合禁止剤は、重合の速度を遅延または低下させることができ、および/または重合禁止剤が消費されるまでのある期間または「誘導時間」の間、重合が生じるのを防ぐことができる。さらに、一部の例では、本明細書に記載の重合禁止剤は、「付加型」の禁止剤である。本明細書に記載の禁止剤はまた、「連鎖移動型」の禁止剤であってもよい。一部の例では、適切な重合禁止剤はメトキシヒドロキノン(MEHQ)を含む。
【0075】
安定剤は、一部の実施形態では、1つまたは複数の酸化防止剤を含む。安定剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の酸化防止剤を含むことができる。一部の例では、適切な酸化防止剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含むさまざまなアリール化合物が含まれ、それらは本明細書に記載の一部の実施形態において重合禁止剤としても使用することができる。より一般的には、単一の種が安定剤と重合禁止剤の両方の機能を果たすことができる。一部の例では、複数の禁止剤および/または安定剤を使用することも可能であり、異なる禁止剤および/または安定剤が、異なる効果をもたらすおよび/または相乗的に作用する。
【0076】
重合禁止剤および/または安定剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で造形材料中に存在することができる。一部の実施形態では、重合禁止剤は、約0.01重量%~約2重量%、または約0.05重量%~約1重量%の範囲の量で存在する。同様に、一部の例では、安定剤は、造形材料の総重量に基づき、約0.1重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4重量%、または約1重量%~約3重量%の量で造形材料中に存在する。
【0077】
一部の実施形態では、本明細書に記載の造形材料は、粘度調整剤をさらに含むことができる。粘度調整剤の非限定的な例には、飽和脂肪酸または飽和脂肪酸の組み合わせ、あるいは植物油などの油が含まれる。本明細書に記載の造形材料は、最大5重量%、最大3重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、または最大0.1重量%の本発明の目的と矛盾しない粘度調整剤を含むことができる。
【0078】
本明細書に記載の造形材料は、一部の実施形態では、1つまたは複数のポリマー添加剤などのさらなる添加剤も含む。ポリマー添加剤は、一部の例では、相変化ワックス成分も造形材料に存在する場合に、特に好ましい可能性がある。本開示の目的と矛盾しない任意のポリマーをそのような添加剤として使用することができる。例えば、ある場合には、そのようなポリマー添加剤は、上記の1つまたは複数の相変化ワックス成分と混和性(少なくとも80%混和性)である疎水性ポリマーを含めて、疎水性ポリマーである。一部の実施形態では、本明細書に記載のポリマー添加剤は、未硬化状態での本明細書に記載の造形材料の機械的強度を改善する。本明細書に記載のいくつかの造形材料で使用することができるポリマー添加剤の1つの非限定的な例は、Vybar 103(Baker Hughesから入手可能)である。
【0079】
ある場合には、本明細書に記載の造形材料は、ポリマー添加剤として非硬化性ポリマーまたはオリゴマーを含むことができる。そのような「非硬化性」ポリマーまたはオリゴマーは、エチレン性不飽和部分または他の光硬化性部分などの上記の重合性部分を除外するまたは含まなくてよい。もちろん、そのような「非硬化性」ポリマーまたはオリゴマーは、(非硬化性ポリマーまたはオリゴマーの形成前に重合性部分を含まないのではなく)非硬化性ポリマーまたはオリゴマーの形成後に、ポリマーまたはオリゴマー骨格(および/またはポリマーまたはオリゴマーのペンダント基)中に重合性部分を含まないことを理解されたい。本明細書に記載の非硬化性ポリマーまたはオリゴマーの非限定的な例には、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリジエン、ポリアミド、ポリエステル、およびポリアクリロニトリルが含まれる。さらに、一部の例では、非硬化性ポリマーまたはオリゴマーは、ポリオレフィンコポリマー(例えば、ポリプロピレンコポリマー、もしくはPPC)、またはポリジエン-ポリアクリロニトリルコポリマー(例えば、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー)などのコポリマーを含む。
【0080】
本明細書に記載の造形材料のポリマー添加剤成分は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で造形材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、ポリマー添加剤成分は、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、または最大5重量%の量で存在する。ある例では、ポリマー添加剤成分は、造形材料の総重量に基づき、1~30重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、2~20重量%、2~15重量%、2~12重量%、2~10重量%、5~30重量%、5~25重量%、5~20重量%、5~15重量%、5~10重量%、10~30重量%、10~25重量%、10~20重量%、15~30重量%、15~25重量%、15~20重量%、または20~30重量%の量で存在する。
【0081】
本明細書に記載の造形材料はまた、蛍燐光体成分を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の蛍燐光体成分を本明細書に記載の組成物で使用することができる。例えば、ある場合には、本明細書に記載の蛍燐光体成分は、有機蛍燐光体またはルミネッセンス種を含む。本明細書に記載の蛍燐光体成分はまた、有機蛍燐光体またはルミネッセンス種の代わりに、あるいはそれに加えて、無機蛍燐光体またはルミネッセンス種を含むことができる。
【0082】
さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載の蛍燐光体成分は蛍光性である。当技術分野の当業者によって理解されるように、そのような「蛍光」体は、励起三重項状態または他の高スピン多重度状態から光子を放出するのとは対照的に、励起一重項状態から光子を放出することによってルミネッセンスを示すことができる。さらに、「蛍光」体は、量子力学的に「許容される」エネルギー遷移を介した発光により、励起(または吸収)後に比較的迅速な発光を示すことができる。例えば、ある場合には、吸収とそれに続く蛍光発光が約10ナノ秒以下で生じることができる。あるいは、他の例では、本明細書に記載の蛍燐光体成分は燐光性である。当技術分野の当業者によって理解されるように、そのような「燐光」体は、励起一重項状態から光子を放出するのとは対照的に、励起三重項状態または他のより高いスピン多重度状態から(またはそれを通して)光子を放出することによってルミネッセンスを示すことができる。当業者によって理解されるように、そのような燐光発光は、電荷キャリア(例えば、電子)の項間交差によることができる。さらに、「燐光」体は、量子力学的に「禁制である」エネルギー遷移による発光のため、励起(または吸収)後に比較的遅い発光を示すことができる。例えば、ある場合には、吸収および燐光発光は1~10ミリ秒以上のタイムスケールで生じる。
【0083】
さらに、上記の蛍燐光体またはルミネッセンス種は、エレクトロルミネッセンス性またはケミルミネッセンス(化学発光)性ではなく、フォトルミネッセンス性であり得ることを理解されたい。そのような「フォトルミネッセンス」種は、(エレクトロルミネッセンスのように)電流または電場の印加の結果としてまたは(ケミルミネッセンスのように)化学反応を受けた結果として発光するのではなく、光の吸収の結果として発光することが理解される。
【0084】
本明細書に記載の蛍燐光体成分を形成することができるまたはそれに含まれ得る特定の化学種または材料に再び着目すると、本明細書に記載の蛍燐光体成分は、有機蛍燐光体を含む、包含する、または有機蛍燐光体であることができる。有機蛍燐光体の非限定的な例には、有機レーザ染料および蛍光タンパク質が含まれる。ある場合には、本明細書に記載の蛍燐光体成分は、フルオレセイン;ベンゾチアゾール、インドシアニングリーン(ICG)などのシアニン染料;Dylite-700-2BなどのDylight-700;3,3’-ジエチルチアトリカルボシアニンヨージド(DTTCI);Cypate;ローダミン6GまたはローダミンBなどのローダミン染料;クマリン;ルシフェリン;緑色蛍光タンパク質(GFP)または赤色蛍光タンパク質(RFP)のうちの1つまたは複数を含む。他の有機蛍燐光体も使用することができる。
【0085】
さらに、ある場合には、本明細書に記載の蛍燐光体成分は、無機蛍燐光体を含む、包含する、または無機蛍燐光体である。一部の実施形態では、本明細書に記載の蛍燐光体成分として使用できる無機ルミネッセンス種には、ZnSまたはCdSeなどのII-VI族半導体ナノ結晶、あるいはInPまたはInAsなどのIII-V族半導体ナノ結晶を含めて、半導体ナノ結晶または量子ドットが含まれる。他の例では、無機蛍燐光体は、ランタニド種、またはランタニド錯体もしくは化合物を含む。他の無機蛍燐光体も使用することができる。
【0086】
本明細書に記載の蛍燐光体成分は、本開示の目的と矛盾しない任意のルミネッセンス発光プロファイルを有することができる。例えば、一部の実施形態では、蛍燐光体は、可視光を含むかまたは430nm~750nmの間または450nm~750nmの間などの電磁スペクトルの可視領域を中心とする発光プロファイルを示す。したがって、ある場合には、本明細書に記載の組成物の蛍燐光体成分は、430~750nm、450~750nm、または500~700nmのピークフォトルミネッセンス発光波長を有する。ある場合には、蛍燐光体は、赤外線(IR)光を含むかまたは電磁スペクトルのIR領域を中心とする発光プロファイルを示す。例えば、いくつかの例では、本明細書に記載の蛍燐光体は、近赤外(NIR、750nm~1.4μm)、短波長IR(SWIR、1.4~3μm)、中波長IR(MWIR、3~8μm)、または長波長IR(LWIR、8~15μm)を中心とする発光プロファイルを示す。さらには、一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物の蛍燐光体成分は、異なる発光プロファイルを有する複数の異なる蛍燐光体種を含む。例えば、ある場合には、蛍燐光体成分の第1のルミネッセンス種はNIRで発光することができ、蛍燐光体成分の第2のルミネッセンス種は電磁スペクトルの可視領域で発光することができる。
【0087】
さらに、本明細書に記載の組成物の蛍燐光体成分は、蛍燐光体成分が本明細書に記載されている量で存在する場合を含めて、また平均的または典型的な人間の支援されていないまたは「裸の」人間の目で組成物が観察される場合を含めて、組成物中の蛍燐光体成分からのルミネッセンスの検出を可能にするルミネッセンス(例えば、フォトルミネッセンス)量子収率(QY)および吸収断面積を有することができる。一部の実施形態では、蛍燐光体成分は、0.10~1のフォトルミネッセンス(PL)量子収率を有する。ある場合には、蛍燐光体成分は、0.10~0.9;0.10~0.8;0.1~0.7;0.2-1;0.2~0.9;0.2~0.8;0.3~1;0.3~0.9;0.3~0.8;0.4~1;0.4~0.9;または0.5~1のPL QYを有する。当業者によって理解されるように、ルミネッセンス種のPL量子収率は、その種によって放出される光子の数のその種によって吸収された光子の数に対する比であり、したがって、QY=1(または100%)は、吸収された各光子についてルミネッセンス種が1つの光子を放出するフォトルミネッセンスに相当する。さらに、量子収率は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で実験的に測定することができる。例えば、ルミネッセンス種の量子収率は、ルミネッセンス種の発光を、測定に使用された励起波長で同じ光学密度または吸光度を有する参照種(参照染料など)の発光と比較することによって測定することができる。
【0088】
本明細書に記載の造形材料の蛍燐光体成分は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で造形材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、蛍燐光体成分は、造形材料の総重量に基づき、最大5重量%、最大3重量%、最大1重量%、または最大0.5重量%の量で存在する。ある場合には、蛍燐光体成分は、造形材料の総重量に基づき、0.001~5重量%、0.001~3重量%、0.001~1重量%、0.001~0.5重量%、0.001~0.1重量%、0.001~0.01重量%、0.01~5重量%、0.01~3重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.1重量%、0.05~5重量%、0.05~3重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~1重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、または0.5~1重量%の量で存在する。
【0089】
本明細書に記載の造形材料はまた、様々な望ましい特性を示すことができる。例えば、本明細書に記載の造形材料は、本開示の目的と矛盾しない任意の凝固点(freezing point)、融点、および/または他の相転移温度を有することができる。一部の実施形態では、造形材料は、相変化造形材料で使用するために設計された3Dプリントシステムを含めて、いくつかの3Dプリントシステムで使用される温度と整合する凝固点または融点を有する。一部の実施形態では、造形材料の凝固点は約40℃よりも高い。ある場合には、例えば、造形材料の凝固点は、約45℃~約55℃または約50℃~約80℃の範囲の温度を中心とする凝固点を有する。他の例では、造形材料は、約40℃未満または約30℃未満の凝固点を有する。
【0090】
さらに、本明細書に記載の一部の実施形態では、造形材料は、シャープな凝固点または他の相転移を示す。ある場合には、造形材料は、約1℃~約10℃、約1℃~約8℃、または約1℃~約5℃の温度範囲などの、狭い温度範囲で凝固する。一部の実施形態では、シャープな凝固点を有する造形材料は、X±2.5℃の温度範囲で凝固し、ここで、Xは、凝固点の中心となる温度(例えば、X=65℃)である。
【0091】
さらに、本明細書に記載の造形材料は、一部の実施形態では、3Dプリントシステムにおいて直面する噴射温度で流体である。さらには、ある場合には、造形材料は、三次元的にプリントされた物品または物体の製造中に表面に堆積されるとすぐに固化する。あるいは、他の実施形態では、造形材料は、表面への堆積時には実質的に流体のままである。造形材料の固化は、一部の例では、凝固などの造形材料の相変化によって生じる。相変化は、一部の実施形態では、液体から固体への相変化または液体から半固体への相変化を含む。一部の実施形態では、造形材料の固化は、以下でさらに説明するように、低粘度状態から高粘度状態への粘度の増加など、粘度の増加を含む。
【0092】
さらに、本明細書に記載の造形材料は、1つまたは複数の3Dプリントシステムの要件およびパラメータに整合する粘度プロファイルを有することができる。一部の実施形態では、例えば、本明細書に記載の造形材料は、ASTM規格D2983に準拠して測定した場合に、約65℃の温度で、約8.0cP~約19.0cP、約8.0~約13.5cP、または約11.0cP~約14.0cPの範囲の粘度を有する。他の例では、本明細書に記載の造形材料は、約80℃の温度で、約8.0cP~約14.0cP、約9.5cP~約12.5cP、または約10.5cP~約12.5cPの範囲の粘度を有する。ある場合には、造形材料は、約85~87℃の温度で約8.0cP~約10.0cPの範囲の粘度を有する。
【0093】
さらに、本明細書に記載の造形材料は、一部の実施形態では、1つまたは複数の望ましい特徴の組み合わせを示す。ある場合には、例えば、未硬化状態の造形材料は、次の特性の1つまたは複数を有する:
1.約30℃~約65℃の間の凝固点;
2.70~95℃で約8cP~約16cPの噴射粘度;および
3.噴射温度で少なくとも3日間の熱安定性。
粘度は、(例えば、ブルックフィールドモデルDV-II+粘度計を使用して)ASTM D2983に準拠して測定することができる。さらに、本明細書での参照目的のために、熱的に安定な材料は、期間の開始時と終了時に指定温度(例えば、85℃の噴射温度)で測定した場合に、指定期間(例えば、3日)の間に約35%以下の粘度変化を示す。一部の実施形態では、粘度変化は、約30%以下または約20%以下、あるいは約10%~約20%の間、または約25%~約30%の間である。さらに、一部の実施形態では、粘度の変化は粘度の増加である。
【0094】
さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載の造形材料は硬化状態で1つまたは複数の望ましい特性を示すことができる。硬化状態の造形材料は、ある場合には、少なくとも部分的に重合および/または架橋された硬化性材料または重合性成分を含む造形材料を含む。例えば、一部の実施形態では、硬化した造形材料は、少なくとも約10%が重合または架橋されている、あるいは少なくとも約30%が重合または架橋されている。ある場合には、硬化した造形材料は、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が重合または架橋されている。一部の実施形態では、硬化した造形材料は、約10%~約99%が重合または架橋されている。ある場合には、硬化した状態にあるとき、本明細書に記載の造形材料は、次の特性のうちの1つまたは複数を有することができる:
1.少なくとも2,000psiの引張強度;
2.少なくとも100,000psiの引張弾性率;
3.少なくとも9%の引張伸び;
4.少なくとも60ショアDの硬度;
5.少なくとも0.2ft-lb/in(約107J/m)の衝撃強度(アイゾット ノッチ付き);
6.少なくとも1,500psiの曲げ強度;および
7.少なくとも2,500psiの曲げ弾性率。
【0095】
本明細書に記載の造形材料は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で製造することができる。一部の実施形態では、例えば、本明細書に記載の造形材料の調製方法は、造形材料の成分を混合し、混合物を溶融し、溶融混合物を濾過するステップを含む。混合物の溶融は、一部の例では、約75℃または約75℃~約85℃の範囲の温度で行われる。一部の実施形態では、本明細書に記載の造形材料は、造形材料のすべての成分を反応容器に入れ、得られた混合物を攪拌しながら約75℃~約85℃の範囲の温度に加熱することによって製造される。混合物が実質的に均質化された溶融状態に達するまで加熱および撹拌を続ける。一般に、溶融混合物を流動状態にある間に濾過して、噴射または吐出あるいは他のプリントプロセスを妨げる可能性のある大きな望ましくない粒子を除去することができる。次に、濾過した混合物を周囲温度まで冷却し、3Dプリントシステムで使用する準備ができるまで保管することができる。
【0096】
II.サポート材料
別の態様では、3Dプリントシステムで使用するためのサポート材料が本明細書に記載されている。一般に、本明細書に記載のサポート材料は、サポート材料から形成されたプリント3D物品の除去可能な支持部分に機械的構造を提供する1つまたは複数の成分、ならびに蛍燐光体成分を含む。当業者によって理解されるように、機械的構造を提供する成分には、様々な材料または化学種が含まれ得る。例えば、ある場合には、そのような成分は、基体上に堆積すると急速な相変化(例えば、流体から固体)を受ける「相変化」成分である。他の例では、サポート材料の構造成分は硬化性である。当業者によって理解されるように、硬化性成分は、形状不安定または準不安定な状態で堆積され、その後に硬化(例えば重合)されて、形状安定な材料のボクセルを形成することができる。サポート材料のそのような「構造」成分は、本明細書に記載のサポート材料の大部分を構成または形成することができる。さらに、そのような「構造」成分は、一般に、着色剤、安定剤、および禁止剤などの添加剤を除外する。
【0097】
一般に、本明細書に記載のサポート材料の構造成分のタイプは特に限定されない。しかしながら、いくつかの好ましい組成物を特に以下でさらに説明する。
【0098】
例えば、いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に記載のサポート材料は、サポート材料の総重量に基づき、50~80重量%の相変化ワックス成分、5~50重量%の粘着付与剤成分、および0.001~5重量%の蛍燐光体成分を含む。いくつかのそのような場合において、相変化ワックス成分は、炭化水素ワックス、脂肪アルコールワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステルワックス、アルデヒドワックス、アミドワックス、ケトンワックス、またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。さらに、ある場合には、相変化ワックス成分は、サポート材料の総重量に基づき、60~75重量%の量でサポート材料中に存在する。さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のサポート材料の粘着付与剤成分は、ロジンエステル、ロジンアルコール、またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。このような粘着付与剤成分は、ある場合には、サポート材料の総重量に基づき、25~45重量%の量でサポート材料中に存在する。粘着付与剤成分を部分的にポリ(アルキレンオキシド)成分で置き換えることも可能である。そのようなポリ(アルキレンオキシド)成分は、使用される場合、最大30重量%または最大40重量%の量で存在することができる。ある場合には、ポリ(アルキレンオキシド)成分は、サポート材料の総重量に基づき、5~40重量%、5~30重量%、10~40重量%、10~30重量%、15~40重量%、15~30重量%、または20~30重量%の量で存在する。さらに、本明細書に記載の一部の実施形態では、サポート材料の蛍燐光体成分は、430~750nmのピークフォトルミネッセンス発光波長および/または0.10~1のフォトルミネッセンス量子収率を有する。ある場合には、蛍燐光体成分は、500~700nmのピークフォトルミネッセンス発光波長および0.30~1のフォトルミネッセンス量子収率を有する。さらに、ある場合には、蛍燐光体成分は、サポート材料の総重量に基づき、0.001~0.5重量%または0.01~0.5重量%の量でサポート材料中に存在する。
【0099】
あるいは、他の好ましい実施形態では、本明細書に記載のサポート材料は、サポート材料の総重量に基づき、60~90重量%のポリ(アルキレンオキシド)成分、10~30重量%の硬化性モルホリン成分、および0.001~5重量%の蛍燐光体成分を含む。いくつかのそのような例では、ポリ(アルキレンオキシド)成分は、ポリエチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、またはそれらの組み合わせを含む。さらには、一部の実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)成分は、異なる平均分子量を有する複数の異なるポリ(アクリレンオキシド)種を含み、その異なる平均分子量は少なくとも2倍異なる。さらに、ある場合には、ポリ(アルキレンオキシド)成分は、サポート材料の総重量に基づき、75~85重量%の量でサポート材料中に存在する。さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のサポート材料の硬化性モルホリン成分は、式(I)の構造を有する1つまたは複数の種を含む:
【化1】
式中、R
1はHまたはCH
3であり;R
2、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、OH、またはC1~C10ヒドロカルビル部分である。そのような硬化性モルホリン成分は、ある場合には、サポート材料の総重量に基づき、15~25重量%の量でサポート材料中に存在する。さらに、一部の実施形態では、蛍燐光体成分は、430~750nmのピークフォトルミネッセンス発光波長および/または0.10~1のフォトルミネッセンス量子収率を有する。ある場合には、蛍燐光体成分は、500~700nmのピークフォトルミネッセンス発光波長および0.30~1のフォトルミネッセンス量子収率を有する。さらに、一部の実施形態では、蛍燐光体成分は、サポート材料の総重量に基づき、0.001~0.5重量%または0.01~0.5重量%の量でサポート材料中に存在する。
【0100】
本明細書に記載のサポート材料はまた、上記のものに加えて、1つまたは複数の他の成分を含むことができる。例えば、ある場合には、本明細書に記載のサポート材料は、少なくとも1つの着色剤、少なくとも1つの禁止剤、少なくとも1つの安定剤、または前述のクラスの追加成分の2つ以上の組み合わせを含む。
【0101】
ここでサポート材料の具体的成分に着目すると、本明細書に記載のサポート材料は、一部の実施形態では、相変化ワックス成分を含む。相変化ワックス成分は、一部の実施形態では、サポート材料がその材料の凝固点以下に冷却されたときに、サポート材料の固化(solidification)を支援または加速するように動作可能である。ある場合には、相変化ワックス成分は、シャープな凝固点または狭い温度範囲の凝固点を有する。一部の実施形態では、例えば、相変化ワックス成分は、約1℃~約5℃または約1℃~約3℃の温度範囲で凝固または固化する。ある場合には、シャープな凝固点を有する相変化ワックス成分は、X±0.5℃の温度範囲で凝固または固化し、ここで、Xは、凝固点の中心となる温度(例えば、X=45℃)である。
【0102】
本開示の目的と矛盾しない任意の相変化ワックス成分を本明細書に記載のサポート材料で使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のサポート材料の相変化ワックス成分は、炭化水素ワックス、脂肪アルコールワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステルワックス、アルデヒドワックス、アミドワックス、ケトンワックス、またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。より具体的には、炭化水素ワックス、脂肪アルコールワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステルワックス、アルデヒドワックス、アミドワックス、またはケトンワックスは、上記のセクションIで造形材料に関して説明した任意の炭化水素ワックス、脂肪アルコールワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステルワックス、アルデヒドワックス、アミドワックス、またはケトンワックスであってよい。
【0103】
さらに、本明細書に記載のサポート材料の相変化ワックス成分は、本開示の目的と矛盾しない任意の量でサポート材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、相変化ワックス成分は、サポート材料の総重量に基づき、50~80重量%、50~70重量%、60~80重量%、または60~75重量%の量で存在する。
【0104】
本明細書に記載のサポート材料は、一部の実施形態では、粘着付与剤をさらに含む。「粘着付与剤」を含めることにより、ある場合には、以下でさらに説明するように、プリント基体および/または造形材料に対するサポート材料の接着性を高めることができる。本開示の目的と矛盾しない任意の粘着付与剤を使用することができる。一部の実施形態では、例えば、粘着付与剤は、ロジンエステル、ロジンアルコール、またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。本開示の目的と矛盾しない任意のロジンエステルまたはロジンアルコールを使用することができる。
【0105】
一部の実施形態において、ロジンエステルは、アルコールとロジン酸との反応生成物を含む。アルコールは、一部の実施形態では、メタノール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、および/またはペンタエリスリトールを含む。ロジン酸は、ある場合には、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パルストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、およびサンダラコピマル酸のうちの1つまたは複数を含む。さらに、ある場合には、ロジンエステルは少なくとも部分的に水素化されている。
【0106】
一部の実施形態では、ロジンアルコールは、上記で説明したロジン酸を含む、1つまたは複数のロジン酸の水素化の反応生成物を含む。さらに、ある場合には、ロジンアルコールは、ヒドロアビエチルアルコールなどの第一級アルコールを含む。
【0107】
粘着付与剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で、本明細書に記載のサポート材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、粘着付与剤は、サポート材料の総重量に基づき、5~50重量%、10~50重量%、10~45重量%、10~40重量%、15~50重量%、15~45重量%、15~40重量%、15~35重量%、20~50重量%、20~45重量%、20~40重量%、25~50重量%、25~45重量%、25~40重量%、25~35重量%、30~50重量%、または30~45重量%の量で存在する。
【0108】
本明細書に記載のサポート材料は、一部の実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)成分も含む。本開示の目的と矛盾しない任意のポリ(アルキレンオキシド)成分を使用することができる。例えば、ある場合には、ポリ(アルキレンオキシド)成分は、ポリエチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、またはそれらの組み合わせを含む。他のポリ(アルキレンオキシド)種も使用することができる。
【0109】
さらに、一部の実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)成分は、異なる平均分子量を有する複数の異なるポリ(アルキレンオキシド)種を含み、その異なる平均分子量は少なくとも2倍異なる。例えば、ある場合には、平均分子量が、1.5~5倍、1.5~4倍、1.5~3倍、1.5~2.5倍、2~5倍、2~4倍、または2~3倍異なる。さらに、本明細書に記載のポリマー種の「平均分子量」は、特に明記しない限り、重量平均分子量であることを理解されたい。
【0110】
ポリ(アルキレンオキシド)成分は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で、本明細書に記載のサポート材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)成分(合計)は、サポート材料の総重量に基づき、60~90重量%、60~85重量%、60~80重量%、65~90重量%、65~85重量%、70~90重量%、70~85重量%、70~80重量%、75~90重量%、または75~85重量%の量で存在する。
【0111】
本明細書に記載のサポート材料は、一部の実施形態では、硬化性モルホリン成分を含む。上記の「硬化性」モルホリン成分は、1つまたは複数の硬化性または重合性部分を含み、かつ典型的には置換モルホリン環であるモルホリン環を含む、化学種を含む。当技術分野の当業者によって理解されるように、置換モルホリン環は、6員モルホリン環の2、3、5、または6位の炭素に結合した、または6員モルホリン環の4位の窒素に結合した、水素以外の官能基を含む(環のエーテル部分の酸素原子に1の位置が指定され、環のアミン部分の窒素に4の位置が指定される)。本開示の目的と矛盾しない任意の硬化性モルホリン成分を使用することができる。
【0112】
ある場合には、硬化性モルホリン成分は、以下の式(I)の構造を有する1つまたは複数の種を含む:
【化2】
式中、
R
1はHまたはCH
3であり;
R
2、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、OH、またはC1~C10ヒドロカルビル部分である(当業者によって理解されるように、「Cn」ヒドロカルビル部分は、正確に「n」個の炭素原子を含むヒドロカルビル部分である)。いくつかのそのような実施形態では、R
1はHまたはCH
3であり;R
2、R
3、R
4、およびR
5はそれぞれHである。ある場合には、式(I)の構造を有する種は4-アクリロイルモルホリンである。他の例では、アクリロイル基は、4位の窒素に結合するのではなく、6員モルホリン環の2、3、5、および6位の1つまたは複数の炭素原子に結合している。このような場合、モルホリン環の窒素原子は、HまたはC1~C10ヒドロカルビル部分であり得る置換基R
6を有することができる。他の硬化性モルホリン種も使用することができる。
【0113】
硬化性モルホリン成分は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で本明細書に記載のサポート材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、硬化性モルホリン成分は、サポート材料の総重量に基づき、10~30重量%、10~25重量%、10~20重量%、15~30重量%、または15~25重量%の量でサポート材料中に存在する。
【0114】
本明細書に記載のサポート材料は、一部の実施形態では、禁止剤または安定剤をさらに含む。禁止剤または安定剤は、ある場合には、本明細書に記載のサポート材料の1つまたは複数の成分の重合、酸化、または他の反応または分解を防止または阻害することができる。本開示の目的と矛盾しない任意の禁止剤または安定剤を使用することができる。ある場合には、禁止剤または安定剤は、1つまたは複数の抗酸化剤を含む。ある場合には、例えば、禁止剤または安定剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などのアリール化合物を含む。他の禁止剤または安定剤も使用することができる。
【0115】
禁止剤または安定剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で本明細書に記載のサポート材料中に存在することができる。一部の実施形態では、禁止剤または安定剤は、サポート材料の総重量に基づき、最大約10重量%または最大約5重量%の量でサポート材料中に存在する。ある場合には、禁止剤または安定剤は、サポート材料の総重量に基づき、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の範囲の量でサポート材料中に存在する。
【0116】
ある場合には、サポート材料は光開始剤を含むこともでき、これには、上記のセクションIで記載した光開始剤が含まれ、また上記のセクションIで記載した重量%が含まれる。
【0117】
本明細書に記載のサポート材料はまた、蛍燐光体成分を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の蛍燐光体成分を本明細書に記載のサポート材料で使用することができる。例えば、本明細書に記載のサポート材料の蛍燐光体成分は、造形材料について上記のセクションIで記載した任意の蛍燐光体成分であってよく、またはそれらを含むことができることを理解されたい。例えば、ある場合には、本明細書に記載の蛍燐光体成分は、有機レーザ染料などのフォトルミネッセンス蛍燐光体を含む。さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のサポート材料の蛍燐光体成分は、430~750nmまたは500~700nmのピークフォトルミネッセンス発光波長を有する。さらに、ある場合には、本明細書に記載のサポート材料の蛍燐光体成分は、0.10~1;0.10~0.9;0.10~0.8;0.1~0.7;0.2~1;0.2~0.9;0.2~0.8;0.3~1;0.3~0.9;0.3~0.8;0.4~1;0.4~0.9;または0.5~1のPL QYを有する。
【0118】
本明細書に記載のサポート材料の蛍燐光体成分は、本開示の目的と矛盾しない任意の量でサポート材料中に存在することができる。ある場合には、例えば、蛍燐光体成分は、サポート材料の総重量に基づき、最大5重量%、最大3重量%、最大1重量%、または最大0.5重量%の量で存在する。ある場合には、蛍燐光体成分は、サポート材料の総重量に基づき、0.001~5重量%、0.001~3重量%、0.001~1重量%、0.001~0.5重量%、0.001~0.1重量%、0.001~0.01重量%、0.01~5重量%、0.01~3重量%、0.01~1重量%、0.01~0.5重量%、0.01~0.1重量%、0.05~5重量%、0.05~3重量%、0.05~1重量%、0.05~0.5重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~1重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、または0.5~1重量%の量で存在する。
【0119】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成を有するサポート材料は、水分散性または水溶性であり得る。「水分散性」サポート材料は、ある場合には、水の攪拌ありまたはなしで水に浸した場合に、18時間以内、8時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、5分以内、3分以内、2分以内、または1分以内に、水に完全にまたは実質的に完全に分散させることができる。一部の実施形態では、水に「実質的に分散」しているサポート材料は、サポート材料の総重量に基づき、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%の量が、溶媒和化学種としておよび/またはコロイド状もしくは懸濁粒子として水中に存在する。さらに、一部の実施形態では、水は20~30℃の温度であり、例えば25℃の温度である。
【0120】
さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載のサポート材料は、水または連続水相と接触すると自己乳化する。さらに、ある場合には、本明細書に記載のサポート材料の水性分散液は、排水処理システムに入る前にさらに化学的および/または物理的処理をすることなく、排水処理システムに直接廃棄することができる。ある場合には、例えば、本明細書に記載のサポート材料の水性分散液は、都市下水処理システムに入る前に、さらなる化学的および/または物理的処理または処置なしに都市下水処理システムに廃棄することができる。さらに、ある場合には、本明細書に記載のサポート材料は生分解性である。
【0121】
さらに、本明細書に記載のサポート材料は、一部の実施形態では、1つまたは複数の3Dプリントシステムの温度パラメータと整合する融点または凝固点を有することができる。ある場合には、サポート材料は、約45℃~約95℃、約45℃~約70℃、約50℃~約65℃、約55℃~約63℃、または約60℃~約62℃の範囲の融点を有する。また、一部の実施形態では、本明細書に記載のサポート材料は、約45℃~約55℃、約47℃~約52℃、または約49℃~約51℃の範囲の凝固点を有する。
【0122】
さらに、ある場合には、本明細書に記載のサポート材料は、1つまたは複数の3Dプリントシステムの要件およびパラメータと整合する粘度を有する。ある場合には、例えば、本明細書に記載のサポート材料は、(例えば、ブルックフィールドモデルDV-11+粘度計を使用して)ASTM標準D2983に準拠して測定した場合に、約65℃の温度で約9.0センチポアズ(cP)~約14.0cPの範囲の粘度を有する。いくつかの実施形態では、サポート材料は、約65℃の温度で、約9.5cP~約12.0cPまたは約10.0cP~11.0cPの範囲の粘度を有する。他の場合、本明細書に記載のサポート材料は、約80℃の温度で、約10.0cP~約19.0cP、約11.0cP~約14.0cP、約11.5cP~約13.5cP、または約12.0cP~約13.0cPの範囲の粘度を有する。
【0123】
本明細書に記載のサポート材料は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で製造することができる。ある場合には、例えば、本明細書に記載のサポート材料の調製方法は、サポート材料の成分を混合し、混合物を溶融し、溶融混合物を濾過するステップを含む。混合物の溶融は、一部の実施形態では、約55℃または約40℃~約110℃の範囲の温度で行われる。一部の実施形態では、本明細書に記載のサポート材料は、サポート材料のすべての成分を反応容器に入れ、得られた混合物を撹拌しながら約40℃~約110℃の範囲の温度に加熱することによって製造される。混合物が実質的に均質化された溶融状態に達するまで、加熱および撹拌を続ける。一般に、溶融混合物は、流動状態にある間に濾過して、噴射を妨げる可能性のある大きな望ましくない粒子を除去することができる。
【0124】
III.3D物品を含む構成物(Composition comprising 3D Articles)
別の態様では、構成物が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、構成物は、造形材料およびサポート材料を含む三次元プリントされた物品を含み、造形材料は上記のセクションIに記載された造形材料を含み、および/またはサポート材料は上記のセクションIIに記載のサポート材料を含む。セクションIに記載される任意の造形材料を、本明細書に記載の構成物で使用することができる。同様に、セクションIIに記載される任意のサポート材料を、本明細書に記載の構成物で使用することができる。例えば、ある場合には、造形材料は、造形材料の総重量に基づき、少なくとも70重量%の相変化ワックス成分;最大30重量%の添加剤成分;および0.01~5重量%の蛍燐光体成分を含む。さらに、一部の実施形態では、サポート材料は、サポート材料の総重量に基づき、50~80重量%の相変化ワックス成分;5~50重量%の粘着付与剤成分;および0.01~5重量%の蛍燐光体成分を含む。セクションIの造形材料とセクションIIのサポート材料の他の組み合わせも可能である。
【0125】
さらに、構成物が本明細書に記載のセクションIに記載の造形材料と本明細書に記載のセクションIIに記載のサポート材料の両方を含む一部の実施形態では、造形材料の蛍燐光体成分は、サポート材料の蛍燐光体成分とは異なる(または異なる発光プロファイルを有する)ことができる。例えば、ある場合には、造形材料は、第1のピーク発光波長を有する第1の蛍燐光体成分を含み、サポート材料は、第2のピーク発光波長を有する第2の蛍燐光体成分を含み、ここで、第1のピーク発光波長と第2のピーク発光波長は、分光的にまたは肉眼によって、造形材料とサポート材料の発光プロファイルのスペクトル分解を可能にするのに十分な量だけ異なる。いくつかのそのような実施形態では、例えば、第1のピーク発光波長と第2のピーク発光波長は、少なくとも50nmまたは少なくとも100nm異なる。本明細書に記載の構成物が、(両方を含むのではなく)本明細書に記載のセクションIに記載の造形材料のみまたは本明細書に記載のセクションIIに記載のサポート材料のみを含む場合、構成物は、追加のまたは「補足的な」成分として、本開示の目的と矛盾しない任意の他の造形材料またはサポート材料を含むことができる。特に、本明細書に記載の構成物がセクションIの造形材料を含む場合、構成物中に存在し得るサポート材料は、特に制限はなく、そのような造形材料と共に使用するための当業者に知られている任意のサポート材料であってよい。同様に、本明細書に記載の構成物がセクションIIのサポート材料を含む場合、構成物中に存在し得る造形材料は、特に制限はなく、そのようなサポート材料と共に使用するための当業者に知られている任意の造形材料であってよい。
【0126】
本明細書でさらに説明するように、本明細書に記載の構成物または三次元プリント物品は、一部の実施形態では、造形材料(例えば、セクションIの造形材料)の複数の層を含み、造形材料の層は、コンピュータ可読形式のデータに従って堆積される。さらに、造形材料の堆積層の少なくとも1つは、サポート材料(ある場合には、セクションIIのサポート材料であり得る)によって支持される。一般に、構成物の三次元プリントされた物品または物体の製造を完了するために、サポート材料は除去可能である。
【0127】
IV.3D物品をプリントする方法
別の態様では、3D物品または物体をプリントする方法を本明細書に記載する。本明細書に記載の3D物品または物体をプリントする方法は、層ごとの様式で、本明細書に記載の造形材料の複数の層から3D物品を形成することを含むことができる。上記セクションIに記載のいずれの造形材料を使用してもよい。例えば、一部の例では、造形材料は、造形材料の総重量に基づき、少なくとも70重量%の相変化ワックス成分、任意選択で最大30重量%の添加剤成分、および0.001~5重量%の蛍燐光体成分を含む。さらに、コンピュータ可読形式の3D物品の画像に従って、造形材料の層を堆積させることができる。一部の実施形態では、造形材料は、事前に選択されたコンピュータ支援設計(CAD)パラメータに従って堆積される。さらに、一部の例では、本明細書に記載の造形材料の1つまたは複数の層は、約10μm~約100μm、約10μm~約80μm、約10μm~約50μm、約20μm~約100μm、約20μm~約80μm、または約20μm~約40μmの厚さを有する。他の厚さも可能である。
【0128】
さらに、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、例えば、MJPまたはSLA 3Dプリント方法を含むことができることを理解されたい。例えば、一部の例では、3D物品をプリントするMJP方法は、本明細書に記載の造形材料の層を流体状態で3Dプリントシステムのビルドパッドなどの基体上に選択的に堆積させることを含む。さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、サポート材料で造形材料の層の少なくとも1つを支持することをさらに含む。本開示の目的と矛盾しない任意のサポート材料を使用することができる。ある場合には、サポート材料は、上記のセクションIIで説明したサポート材料を含む。
【0129】
本明細書に記載の方法はまた、造形材料の層を硬化させることを含むことができる。例えば、一部の例では、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、造形材料を硬化させるのに十分な波長および強さの電磁放射線に造形材料を曝すことをさらに含み、硬化は、造形材料の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の重合性部分または官能基を重合することを含んでいてよい。一部の例では、堆積された造形材料の層を、別のまたは隣接する造形材料の層の堆積の前に硬化させる。さらに、堆積された造形材料の1つまたは複数の層の硬化は、一部の実施形態では、1つまたは複数の層を、例えば紫外(UV)線、可視光線、または赤外線などの電磁放射線に曝すことによって行われる。
【0130】
あるいは、造形材料の層(例えば、堆積された造形材料の層)は硬化されず(または造形材料の次の層の形成前に硬化されず)、代わりに、形成後に単に相転移を経て層を固化する。
【0131】
「材料堆積」法(MJPなど)または「バット重合」法(SLAなど)を含む、さまざまな方法に関するさらなる詳細を以下に記載する。
【0132】
A.材料堆積法
材料堆積法では、本明細書に記載の造形材料の1つまたは複数の層を基体上に選択的に堆積させ、任意選択で硬化させる。造形材料の硬化は、造形材料の1つの層、各層、いくつかの層、またはすべての層の選択的堆積の後に生じ得る。
【0133】
一部の例では、本明細書に記載の造形材料を、3Dプリントシステムのビルドパッドなどの基体上に流体状態で選択的に堆積させる。選択的堆積は、例えば、事前に選択されたCADパラメータにしたがって造形材料を堆積させることを含んでいてよい。例えば、一部の実施形態では、プリントされる所望の3D物品に対応するCADファイルの図面を作製し、十分な数の水平スライスにスライスする。その後、CADファイルの図面の水平スライスに従って、造形材料を層ごとに選択的に堆積させて所望の3D物品をプリントする。「十分な」数の水平スライスは、例えば正確かつ精密にそれを製造するために、所望の3D物品をうまくプリントするのに必要な数である。
【0134】
さらに、一部の実施形態では、事前に選択された量の本明細書に記載の造形材料を適切な温度に加熱し、適切な造形材料ジェットプリンタの1つまたは複数のプリントヘッドを通して噴射させて、プリントチャンバ内のプリントパッド上に層を形成する。一部の例では、事前に選択されたCADパラメータに従って造形材料の各層を堆積させる。造形材料を堆積させるのに適したプリントヘッドは、一部の実施形態では、圧電プリントヘッドである。本明細書に記載の造形材料およびサポート材料の堆積に適したさらなるプリントヘッドは、さまざまな造形材料ジェットプリント装置製造業者から市販されている。例えば、一部の例では、Xerox、Hewlett Packard、またはRicohのプリントヘッドを使用することができる。
【0135】
さらに、一部の実施形態では、本明細書に記載の造形材料は、堆積時に実質的に流体のままである。あるいは、他の例では、造形材料は、堆積時に相変化を示す、および/または、堆積時に固化する。さらには、一部の例では、造形材料の噴射された液滴が受容面と接触すると固化するようにプリント環境の温度を制御することができる。他の実施形態では、噴射された造形材料の液滴は、受容面と接触しても固化せず、実質的に流体状態のままである。さらに、一部の例では、各層が堆積された後、堆積された材料は、次の層の堆積前に、平坦化され、電磁放射線(例えば、UV線、可視光線または赤外線)で硬化される。任意選択で、平坦化および硬化の前にいくつかの層を堆積させてもよく、あるいは複数の層を堆積および硬化させた後に、1つまたは複数の層を堆積させ、その後硬化せずに平坦化してもよい。平坦化により、分配された材料を平らにして余分な材料を除去し、プリンタの支持プラットフォーム上に均一に滑らかな露出面または平坦な上向き面を作り出すことによって、材料の硬化前に1つまたは複数の層の厚さが補正される。一部の実施形態では、平坦化は、ローラなどのワイパ装置を用いて達成され、それらは1つまたは複数のプリント方向で逆回転するが、1つまたは複数の他のプリント方向では逆回転しないものであってよい。一部の例では、ワイパ装置は、ローラと、ローラから余分な材料を除去するワイパとを備える。さらに、一部の例では、ワイパ装置は加熱される。硬化前の噴射された本明細書に記載の造形材料の粘稠度は、一部の実施形態では、その形状を保持するのに十分でありかつ平坦化装置からの過度の粘性抵抗を受けないことが望ましいことに留意されたい。
【0136】
さらには、サポート材料は、使用される場合、造形材料について上述したものに準拠する様式で堆積させることができる。サポート材料は、例えば、サポート材料が造形材料の1つまたは複数の層に隣接または連続するように、事前に選択されたCADパラメータに従って堆積させることができる。サポート材料の噴射された液滴は、一部の実施形態では、受容面と接触すると固化または凝固する。一部の例では、堆積されたサポート材料も平坦化、硬化、または平坦化および硬化を受ける。本開示の目的と矛盾しない任意のサポート材料を使用することができる。
【0137】
造形材料およびサポート材料の積層堆積を、3D物品が形成されるまで繰り返すことができる。一部の実施形態では、3D物品をプリントする方法は、上記の方法(例えば、水性または非水性溶媒を使用する)で行うことを含めて、造形材料からサポート材料を除去することをさらに含む。
【0138】
造形材料の硬化は、使用する場合、造形材料の1つの層、造形材料の各層、造形材料のいくつかの層、または所望の3D物品をプリントするのに必要な造形材料のすべての層の選択的堆積の後に生じてよい。一部の実施形態では、堆積された造形材料の部分的硬化は、造形材料の1つの層、造形材料の各層、造形材料のいくつかの層、または所望の3D物品をプリントするのに必要な造形材料のすべての層の選択的堆積の後に行われる。本明細書における参照目的のために、「部分的に硬化された」造形材料は、さらなる硬化を受けることができるものである。例えば、部分的に硬化された造形材料は、約30%まで重合または架橋されている、あるいは約50%まで重合または架橋されている。一部の実施形態では、部分的に硬化された造形材料は、約60%まで、約70%まで、約80%まで、約90%まで、または約95%まで重合または架橋されている。
【0139】
一部の実施形態では、堆積された造形材料の部分的硬化は、造形材料に電磁放射線源を照射する、または造形材料を光硬化することを含むことができる。例えば、UV線、可視光線または赤外線を放射する電磁放射線源など、本開示の目的と矛盾しない任意の電磁放射線源を使用することができる。例えば、一部の実施形態では、電磁放射線源は、例えばキセノン(Xe)アークランプなど、約300nm~約900nmの波長を有する光を放射するものであってよい。
【0140】
さらに、一部の実施形態では、部分的硬化が行われた後に後硬化が行われる。例えば、一部の例では、後硬化は、所望の3D物品を形成するのに必要な造形材料のすべての層を選択的に堆積させた後、造形材料のすべての層を部分的に硬化させた後、あるいは前記のステップの両方を実施した後に実施される。さらには、一部の実施形態では、後硬化は光硬化を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の電磁放射線源を本明細書に記載の後硬化ステップに使用することができる。例えば、一部の実施形態では、電磁放射線源は、部分的硬化に使用される電磁放射線源よりも高いエネルギー、低いエネルギー、またはそれと同じエネルギーを有する光源であってよい。後硬化に用いられる電磁放射線源が部分的硬化に使用されるものよりも高いエネルギー(すなわち、より短い波長)を有する一部の例では、キセノン(Xe)アークランプを部分的硬化に使用することができ、水銀(Hg)ランプを後硬化に使用することができる。
【0141】
さらに、後硬化の後、一部の例では、造形材料の堆積層は、少なくとも約80%が重合または架橋されている、あるいは少なくとも約85%が重合または架橋されている。一部の実施形態では、造形材料の堆積層は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%が重合または架橋されている。一部の例では、造形材料の堆積層は、約80~100%、約80~99%、約80~95%、約85~100%、約85~99%、約85~95%、約90~100%、または約90~99%が重合または架橋されている。
【0142】
B.バット重合法
SLA法などのバット重合法を使用して、本明細書に記載の造形材料から3D物品を形成することも可能である。したがって、一部の例では、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、本明細書に記載の造形材料を流体状態で容器内に保持すること、および容器内の造形材料にエネルギーを選択的に印加して、造形材料の流体層の少なくとも一部を固化し、それにより3D物品の断面を画成する固化層を形成することを含む。さらに、本明細書に記載の方法は、造形材料の固化層を上昇または下降させて、容器内の流体造形材料の表面に未固化造形材料の新しいまたは第2の流体層を提供し、次いで容器内の造形材料に再度エネルギーを選択的に印加し、造形材料の新しいまたは第2の流体層の少なくとも一部を固化して、3D物品の第2の断面を画成する第2の固化層を形成することをさらに含むことができる。さらに、造形材料を固化するためにエネルギーを印加することによって、3D物品の第1の断面と第2の断面を、z方向(または、上記の上昇または下降方向に対応する構築方向)に互いに結合または接着させることができる。さらには、容器内の造形材料にエネルギーを選択的に印加することは、造形材料を硬化させるのに十分なエネルギーを有する電磁放射線を適用することを含んでいてよい。一部の例では、電磁放射線は、300~900nmの平均波長を有し、他の実施形態では、電磁放射線は、300nm未満の平均波長を有する。一部の例では、硬化放射線はコンピュータ制御されたレーザ光線によって提供される。さらに、一部の例では、造形材料の固化層を上昇または下降させることは、流体造形材料の容器内に配置された昇降プラットフォームを使用して行われる。本明細書に記載の方法はまた、昇降プラットフォームを上昇または下降させることによってもたらされる流体造形材料の新しい層を平坦化することも含んでいてよい。このような平坦化は、一部の例では、ワイパまたはローラによって行うことができる。
【0143】
さらに、3D物品を提供するために、前述のプロセスを所望の回数だけ繰り返してよいことをさらに理解されたい。例えば、一部の例では、このプロセスを「n」回繰り返すことができ、ここで、nは、最大約100,000、最大約50,000、最大約10,000、最大約5000、最大約1000、または最大約500であってよい。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、容器内の造形材料にエネルギーを選択的に印加して、造形材料のn番目の流体層の少なくとも一部を固化し、それにより3D物品のn番目の断面を画成するn番目の固化層を形成するステップ、造形材料のn番目の固化層を上昇または下降させて、容器内の流体造形材料の表面に、未固化造形材料の(n+1)番目の層を提供するステップ、容器内の造形材料の(n+1)番目の層にエネルギーを選択的に印加して、造形材料の(n+1)番目の層の少なくとも一部を固化して、3D物品の(n+1)番目の断面を画成する(n+1)番目の固化層を形成するステップ、造形材料の(n+1)番目の固化層を上昇または下降させて、容器内の流体造形材料の表面に、未固化造形材料の(n+2)番目の層を提供するステップ、および3D物品を形成するために前述のステップを繰返し続けるステップを含んでいてよい。さらに、造形材料の層にエネルギーを選択的に印加するステップなど、本明細書に記載の方法の1つまたは複数のステップを、コンピュータ可読形式の3D物品の画像に従って行うことができることを理解されたい。ステレオリソグラフィを使用する3Dプリントの一般的な方法は、特に、米国特許第5,904,889号および同第6,558,606号にさらに記載されている。
【0144】
上記のプリントプロセスを実行することにより、本明細書に記載の造形材料から、高い特徴解像度を有するプリント3D物品を提供することができる。本明細書での参照目的のために、物品の「特徴解像度(feature resolution)」とは、物品の最小の制御可能な物理的特徴サイズであることができる。物品の特徴解像度は、マイクロメートル(μm)などの距離の単位、または1インチ当たりのドット数(dpi)で記載することができる。当業者に理解されるように、より高い特徴解像度は、より高いdpi値に該当し、またμmでのより短い距離に該当する。一部の例では、本明細書に記載の造形材料を堆積または固化することによって形成される物品は、高温での解像度を含めて、約500μm以下、約200μm以下、約100μm以下、または約50μm以下の特徴解像度を有することができる。一部の実施形態では、物品は、約50μm~約500μmの間、約50μm~約200μmの間、約50μm~約100μmの間、または約100μm~約200μmの間の特徴解像度を有する。それに対応して、一部の例では、本明細書に記載の物品は、少なくとも約100dpi、少なくとも約200dpi、少なくとも約250dpi、少なくとも約400dpi、または少なくとも約500dpiの特徴解像度を有する。一部の例では、物品の特徴解像度は、約100dpi~約600dpiの間、約100dpi~約250dpiの間、または約200dpi~約600dpiの間である。
【0145】
上記のようなバット重合法において、上記のセクションIVAで説明したように、造形材料は部分的に硬化され得る。例えば、一部の実施形態では、容器内の造形材料にエネルギーを選択的に印加して造形材料の流体層の少なくとも一部を固化させることは、造形材料の流体層の少なくとも一部を部分的に硬化させることを含んでいてもよい。他の実施形態では、造形材料の流体層の少なくとも一部の部分的硬化は、造形材料の第1の層を提供および固化した後、造形材料の第2の層を提供または固化する前または後、あるいは造形材料の1つ、いくつか、またはすべてのその後の層を提供または固化する前または後に生じてよい。
【0146】
さらに、本明細書に記載のバット重合法の一部の実施形態では、部分的硬化の後、あるいは所望の3D物品が形成された後に、上記のセクションIVAで説明したような後硬化を行ってもよい。所望の3D物品は、例えば、CADファイルの設計に対応する物品であり得る。
【0147】
本明細書に記載の一部の実施形態を以下の非限定的な実施例でさらに説明する。
【実施例】
【0148】
造形材料
本明細書に記載の一部の実施形態による造形材料は、以下のように調製した。具体的には、さまざまな造形材料組成物を調製するために、表Iの成分を反応容器内で混合した。表Iにおける量は、組成物の総重量に基づく、指定された組成物の各成分の重量%を示す。各造形材料組成物について、適切な混合物を撹拌しながら約75~85℃の温度に加熱した。混合物が実質的に均質化された溶融状態に達するまで、加熱および撹拌を続けた。次に、溶融混合物を濾過した。次に、濾過した混合物を周囲温度まで冷却させた。表Iにおいて、「BM」は「造形材料」を意味し、「--」は関連する成分が組成物に含まれていないことを意味する。表IIは、造形材料1~3のいくつかの特性を示す。80℃および96℃での粘度は、ASTM D2983に準拠して測定した。
【表1】
【0149】
上記の表Iにおいて、造形材料1について、相変化ワックス成分は、非極性炭化水素ワックス、パラフィンワックス、およびベースワックスの組み合わせあり;非硬化性ポリマー添加剤は、Vybar 103(Baker Hughes社から市販されている)であり;安定剤はペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)ステアリルアルコールであり;蛍燐光体は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であり;非蛍燐光体着色剤はKeyplast IRS Violet(Keystone Aniline社から市販されている)であった。造形材料2について、相変化ワックス成分は、Permulgin 4023(Koster Keunen社から市販されている)と水素化炭化水素ワックス樹脂のブレンドであり;蛍燐光体は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であり;非蛍燐光体着色剤はKeyplast Blue(Keystone Aniline社から市販されている)であった。造形材料3について、蛍燐光体は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であり、非蛍燐光体着色剤はKeyplast Blueであった。
【表2】
【0150】
上記の造形材料1~3に加えて、本発明による他の造形材料は、以下の表IIIの量を使用して提供される(各行は特定の造形材料組成物に対応する)。表IIIにおける量は、組成物の総重量に基づく、関連する組成物の各成分の重量%を示し、ここで、合計は所定の例で100重量%に等しくなければならないことを理解されたい。また、「PI」は「光開始剤」の略である。
【表3】
【0151】
サポート材料
本明細書に記載の一部の実施形態によるサポート材料は、以下のように調製した。具体的には、様々なサポート材料を調製するために、表IVの成分を反応容器内で混合した。表IVにおける量は、組成物の総重量に基づく、指定された組成物の各成分の重量%を示す。各サポート材料組成物について、適切な混合物を撹拌しながら約75~85℃の温度に加熱した。混合物が実質的に均質化された溶融状態に達するまで、加熱および撹拌を続けた。次に、溶融混合物を濾過した。次に、濾過した混合物を周囲温度まで冷却させた。表IVにおいて、「SM」は「サポート材料」を意味し、「--」は関連する成分が組成物に含まれていないことを意味する。表Vは、サポート材料1~5のいくつかの特性を示す。80℃および96℃での粘度は、ASTM D2983に準拠して測定した。表Vにおける「DSC」は示差走査熱量測定である。
【表4】
【0152】
上記の表IVにおいて、サポート材料1およびサポート材料5について、相変化ワックス成分はステアリルアルコールであり、粘着付与剤は水素化ウッドロジンのグリセロールエステルであり、蛍燐光体は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であった。サポート材料2について、相変化ワックス成分はステアリルアルコールであり、粘着付与剤は水素化ロジンエステルであり、蛍燐光体は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であり、安定剤はBHTであった。サポート材料3について、相変化ワックス成分はステアリルアルコールであり、粘着付与剤は水素化ロジンエステルであり、ポリ(アルキレンオキシド)は数平均分子量が2050のポリエチレングリコール(PEG)であり、蛍燐光体は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であり、安定剤はBHTであった。サポート材料4について、相変化ワックス成分はステアリルアルコールとエトキシル化ベヘニルアルコールの組み合わせであり、粘着付与剤は水素化ロジンエステルであり、蛍燐光体はベンゾチアゾールであり、安定剤はBHTであった。サポート材料6について、ポリ(アルキレンオキシド)成分は、PEG1200とPEG425(数字は数平均分子量を意味する)のほぼ等量混合物であり、モルホリン成分は4-アクリロイルモルホリンであり、蛍燐光体は2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)であり、安定剤はN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン(アルミニウム塩)であり、光開始剤はIrgacure 819であった。
【表5】
【0153】
上記のサポート材料1~6に加えて、本発明による他のサポート材料は、以下の表VIの量を使用して提供される(各行は特定のサポート材料組成物に対応する)。表VIにおける量は、組成物の総重量に基づく、関連する組成物の各成分の重量%を示し、ここで、合計は所定の例で100重量%に等しくなければならないことを理解されたい。また、「PI」は「光開始剤」の略である。
【表6】
【0154】
図3は、三次元プリントシステム2によって形成された三次元物品7の一実施形態の部分の説明図である。図示の三次元物品7は、湾曲した管状形状を有し、内部が中空である。
図3Aは、
図3のAAから切り取った断面図である。図示のように、三次元物品7は、造形材料9から形成された外殻32を有する。外殻32は、三次元物品7内の空洞(hollow cavity)36を画定する内側面34を有する。空洞36は、サポート材料11を含む。サポート材料11は、三次元物品7を形成するプリントプロセスの直後には存在する。サポート材料11は、後処理によって後で除去され得る。
【0155】
サポート材料11の位置のせいで、肉眼で除去後処理の完全性を直接観察することが不可能な場合がある。しかしながら、サポート材料11は蛍燐光体成分を含むため、それが観察可能となり得る。図示の実施形態によれば、光源37を使用して、電磁放射線38を三次元物品7に当てる。蛍燐光体成分は、肉眼で見える放射線39を放出することによって、入ってくる放射線38に応答する。
【0156】
図4は、三次元プリントシステム2を利用して三次元物品を製造するための第1の方法40の一実施形態を示すフローチャートである。三次元物品7は、機能的製品であってよく、あるいは後処理を評価するためのテストクーポンなどの試験物品であってもよい。
【0157】
42によると、インク供給部12はインクをプリントヘッドアセンブリ8に供給する。インクは、造形材料インク9、および蛍燐光体成分を有するサポート材料インク11を含む。
【0158】
44によれば、プリントシステム2は、三次元物品7を層ごとにプリントする。プリントされた層の少なくとも一部は、個別に、造形材料9の領域およびサポート材料11の領域を含む。
【0159】
46によれば、後処理が三次元物品7に対して実施される。この後処理は、サポート材料11の除去を含むことができる。一実施形態では、サポート材料11は、三次元物品7を加熱し、それによってサポート材料11が溶融して三次元物品7から滴り落ちることによって除去される。別の実施では、サポート材料11は、溶媒で溶解されて除去される。さらに別の実施形態では、サポート材料11は、加熱溶媒によって除去される。さらなる実施は、加熱してサポート材料11の大部分を除去し、続いて残留物を溶媒で除去することを含む。
【0160】
溶媒を使用してサポート材料を溶解する場合、溶媒は、単一成分であっても共溶媒の混合物であってもよい。溶媒は、水、イソプロピルアルコール(IPA)、および他の成分のうちの1つまたは複数を含むことができる。溶媒は、水、イソプロピルアルコール(IPA)、ポリプロピレングリコール、エチルアルコール、酢酸エチル、メチルアルコール、および植物油のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0161】
48によれば、電磁放射線が三次元物品7に当てられる。50によれば、三次元物品7から放出された光の画像が取得される。画像取得は、スキャナ、カメラ、または放出される光に感受性の他の光学検出器を使用して実施することができる。
【0162】
52によると、画像が分析される。画像の分析(すなわち、画像分析)は、いくつかの例を挙げれば、形状分析、寸法分析、存在分析、および配向分析のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0163】
54によれば、画像分析に基づいて、後処理の態様またはパラメータが許容可能であるかまたは指定された公差内(許容範囲内)であるか否かについての判定がなされる。一例は、サポート材料の除去が完了したか(完全であるか)否かの判定である。基準は、ステップ50での特定のエネルギー閾値を超える捕捉光の放出であり得る。
【0164】
図5は、プリントシステム2を使用して三次元物品7を製造するための第2の方法60を示すフローチャートである。62によると、インク供給部12はインクをプリントヘッドアセンブリ8に供給する。インクは、造形材料インク9、および蛍燐光体成分を有するサポート材料インク11を含む。
【0165】
64によれば、プリントシステム2は、三次元物品7を層ごとにプリントする。得られた三次元物品7は、サポート材料11を含む部分を含む。
【0166】
66によると、三次元物品はサポート材料11を除去するために処理される。一実施形態では、サポート材料11は、三次元物品7を加熱し、それによってサポート材料11が溶融して三次元物品7から滴り落ちることによって除去される。別の実施では、サポート材料11は、溶媒で溶解されて除去される。さらに別の実施形態では、サポート材料11は、加熱溶媒によって除去される。さらなる実施では、サポート材料11は、加熱と溶媒適用の組み合わせによって除去される。
【0167】
68によれば、三次元物品7は電磁放射線で照明される。電磁放射線は、紫外線、可視青色光、白色光、および周囲光のうちの1つまたは複数を含むことができる。70によれば、三次元物品7は視覚的に検査される。検査は、照明中および/または照明後に行うことができる。任意の除去されていないサポート材料は可視光を放出する。サポート材料11が観察された場合、それは72に従って除去され、これは除去66と同様であり得る。サポート材料11が観察されない場合、製造プロセス60は74に従って完了する。
【0168】
図6は、サポート材料の後処理除去のためのプロセス較正方法の一部としてプリントされる「テストクーポン」80を示す。図示のテストクーポン80は、複数の開口部84を有する基体82を含む。基体は造形材料9から形成される。開口部84は、開口部84の寸法に応じて、大きな開口部から小さな開口部までサイズが異なる。図示の実施形態では、開口部は円形であり、直径寸法よって異なる。
【0169】
開口部は、少なくとも部分的にサポート材料11で満たされている。サポート材料11は蛍燐光体成分を含む。サポート材料11の後処理除去中に、より小さな直径の開口部は、完全にクリアにする(取り除く)ことがより困難な傾向がある。
【0170】
例示的な実施形態では、テストクーポン80は、クーポン80の厚さに沿って延びる円筒軸を有する円筒状開口部を有する。厚さは、固定値を有していてよく、あるいは様々な軸方向長さの円筒状開口部を提供するためにクーポン全体で変えることもできる。円筒状開口部は、テストクーポンを完全に貫通していてよく、および/またはクーポンの厚さよりも浅い深さを有していてもよい。開口部84の深さは、基体全体にわたり変化してよい。
【0171】
他の実施形態では、開口部84は、楕円形、三角形、正方形、多角形、丸みを帯びた多角形、または不規則形などの非円形形状であり得る。いくつかの実施形態では、異なる開口形状および深さの混合であってよい。非円形開口部84の場合、「水力直径」(DH)は、DH=4A/Pとして定義することができ、ここで、Aは開口部の面積であり、Pは開口部の周囲長である。非円形形状の場合、水力直径は、開口部84ごとに異なる寸法であり得る。円形の場合、水力直径は直径と同じである。
【0172】
さらに他の実施形態では、開口部84は形状によって異なり得る。例えば、一連の開口部84は、すべて同じ面積を有するが、周囲形状によって異なる場合がある。一例として、形状には、円形、多角形、および星形が含まれ得る。所定の領域について、星形の開口部84は、円形または正多角形の開口部よりもクリアにするのに時間がかかる。
【0173】
さらなる実施形態では、単一のスロット形状の開口部84を使用することができる。開口部84は、スロットの長さに沿って深さが変化する。サポート材料の除去プロセスの有効性は、クリアにされたスロットの長さまたは長さのパーセンテージに応じて測定することができる。
【0174】
さらに別の実施形態では、開口部84は、文字などのしるしの形態である。文字には、「完了していない(NOT COMPLETE)」などのメッセージを有することができる。(蛍燐光体を含むサポート材料が後処理で除去されるため)文字が発光しなくなったとき、後処理は完了する。
【0175】
図7は、クーポン80を製造および使用する方法90を示す。プリントシステム2を利用して、ステップ92および94を同時に実行する。92によれば、インク供給部12は、インクをプリントヘッドアセンブリ8に供給する。インクは、造形材料インク9およびサポート材料インク11を含む。94によれば、プリントシステム2は、テストクーポン80を層ごとにプリントする。
【0176】
96によれば、サポート材料11の後処理除去が行われる。98によれば、クーポン80は、後処理の有効性を評価するために検査される。評価は、クリアにされた最小または最大の寸法の開口部に基づくことができる。一実施形態では、評価は、完全にクリアにされた最小直径または水力直径に基づく。別の実施形態では、評価は、完全にクリアにされた最も深い開口部84に基づく。
【0177】
例示的な実施形態によれば、サポート材料86は蛍燐光体インクである。98の一部として、クーポンを電磁放射線で照明することができ、検査は照明中または照明後に行われる。残存するサポート材料は光を放出し、ステップ98の検査を容易にする。
【0178】
図8は、物品7の適切な照明で見えるようになるしるし102を有する三次元物品7の部分100を示す。図示の実施形態では、しるし102は、様々な間隔および幅を有する複数のバーコードストライプ104である。様々な実施形態において、しるし102は、機械可読性、対人可読性、または機械と人間の両方に可読であり得る。しるし102は、いくつかの例を挙げれば、図示のような線形のバーコードのセット、あるいは2次元バーコードまたはQR(クイックレスポンス)コードであり得る。いくつかの実施形態では、コードは、様々な色で形成することができる。
【0179】
図8Aは、
図8の断面AAから切り取られた断面図である。造形材料9の外側部分106は、複数の囲まれた内部チャネル108を画定する。チャネル108は、一般に、サポート材料11で満たされている。チャネル108は、一般に、囲まれており、それによってサポート材料11を封入している。造形材料11は蛍燐光体成分を含む。外側部分106が適切な電磁放射線で照明されると、造形材料11が光を放出し、しるし102が外側部分106の外面110に沿って見えるようになる。
【0180】
造形材料9は、サポート材料11を封入するのを助けて後処理中のその除去を防ぐ上部カバー層112を画成する。三次元プリントプロセス中に造形材料9の部分を支持するサポート材料11の他の封入されていない部分(例えば、
図1および3Aを参照)が存在する。上部カバー層は、封入されていないサポート材料11を除去する後処理中に、封入されたサポート材料11の除去を防止する。光源37を使用してしるし102を照明する場合、封入されたサポート材料の蛍燐光体成分はカバー層112を通して光を放出し、それは人間および/またはカメラもしくはスキャナなどの光捕捉デバイスに見える。
【0181】
図9は、しるし102を有する三次元物品7を製造するための方法120を示すフローチャートである。最初の2つの操作122および124は、三次元プリントシステム2によって同時に実行される。122によれば、インク供給部12は、インクをプリントヘッドアセンブリ8に供給する。インクは、造形材料インク9、および蛍燐光体成分を有するサポート材料インク11を含む。
【0182】
124によれば、三次元プリントシステム2は、三次元物品7を層ごとにプリントする。三次元物品7は、
図8および8Aに関して説明したように、封入されたしるし102を有する外側部分106を含む。三次元物品7はまた、
図1に関して説明したように、三次元物品のそうでなければ支持されていない部分13を支持するために、封入されていないサポート材料11を有することができる。
【0183】
126によれば、三次元物品7は、封入されていないサポート材料11を除去するが封入されたサポート材料11は残すように処理される。
【0184】
後で、しるし102は128に従い電磁放射線で照射される。しるし102は、129に従って、人間または機械によって読み取られる。ステップ128および129は、順次または同時に実行できる。
【0185】
図10は、三次元プリントシステム2を操作および維持し、複数の三次元物品7を製造する方法130を示すフローチャートである。132によれば、インク供給部12はインクをプリントヘッドアセンブリ8に供給する。インクは、操作中に造形材料インクと蛍燐光体成分を有するサポート材料インクとを含む。一部の実施形態では、造形材料インクとサポート材料インクの両方が、個別に蛍燐光体成分を含む。134によれば、複数の三次元物品7がプリントシステム2によって製造される。
【0186】
使用されるインクは、プリント134の操作中に加熱される相変化インクである。インクは、プリントシステム2の内側面にインクを堆積させる蒸気環境を作り出す。
【0187】
136および138によれば、プリントシステム2の内側面は電磁放射線で照明される。また、136によれば、内側面を被覆するインクは、それらの放射放出によって容易に識別される。138によると、インクは内側面から取り除かれる。このクリーニングは、放射放出によって促進される。
【0188】
図4、5、7、9、および10に関連する方法は、サポート材料11を電磁放射線で照明すること、およびサポート材料から放射される電磁放射線を観察または捕捉することを含むことができる。いくつかの実施形態では、照明と観察または捕捉は、同時にまたは並行して行われる。他の実施形態では、観察または捕捉は、照明の後に行われる。
【0189】
一実施形態によれば、サポート材料11の照明は、100~400ナノメートル(nm)の範囲の波長またはスペクトルピークを有し得る紫外線(UV)光で行われる。サポート材料は、約450nm~750nmの可視範囲の波長またはスペクトルピークを有する光を放射することによって応答する。照明波長またはスペクトルピークは、放射波長またはスペクトルピークよりも短い。UV照明と観察または捕捉は同時に行われる。
【0190】
別の実施形態によれば、サポート材料11の照明は、380nm~495nmの範囲の波長を有し得る青色光(ブルーライト)または紫色光(バイオレットライト)で実行される。サポート材料は、照明波長よりも長い波長を有する光を放射することによって応答する。照明と観察または捕捉は同時に行われる。
【0191】
さらに別の実施形態によれば、サポート材料11の照明は、白色光または複数波長の混合で実行される。サポート材料は、照明とはシフトしたまたは異なるスペクトル分布を有する光を放射することによって応答する。観察または捕捉は、照明の後に行われる。
【0192】
図4、5、7、9、および10に関連する材料および方法はまた、使用される造形材料インク9およびサポート材料インク11の組成に基づいて変化し得る。一実施形態では、造形材料インク9およびサポート材料インク11は両方とも、主に相変化ワックスに基づく。そのような材料の組み合わせの場合、封入されていないサポート材料11を除去するための後処理は、溶媒への曝露に基づくことができる。溶媒は、造形材料9よりもサポート材料11を優先的に除去する。
【0193】
代替の実施形態では、造形材料インク9は、少なくとも部分的に紫外線硬化性インクに基づき、高い熱撓み温度を有する。比較して、サポート材料11は相変化ワックスに基づく。このような材料の組み合わせの場合、後処理はオーブンでの加熱に基づくことができる。後処理中に、サポート材料11が溶融し、造形材料9から滴り落ちる。いくつかの実施形態では、サポート材料は、熱湯、スチームバス、加熱した鉱油、または特殊な洗浄剤で溶融および除去することができる。
【0194】
本明細書で参照されるすべての特許文書は、その全体が参照により組み込まれる。本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的を達成するために記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。その多数の修正および適合は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に容易に明らかとなるあろう。
【符号の説明】
【0195】
2 プリントシステム
7 三次元物品
8 プリントヘッドアセンブリ
9 造形材料(インク)
11 サポート材料(インク)
80 テストクーポン
82 基体
84 開口部