(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】コレット検出装置、コレット位置補正装置、ボンディング装置、コレット検出方法、コレット位置補正方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/52 C
(21)【出願番号】P 2021035220
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2022-01-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】永元 信裕
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-032810(JP,A)
【文献】特開2004-288715(JP,A)
【文献】特開平02-150041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを吸着するコレットの位置または状態を検出するコレット検出装置であって、
被撮像面を撮像する撮像機構と、
前記コレットに対する斜め方向から前記コレットへ光を照射し、前記被撮像面に前記コレットの影を投影する光源と、
画像内の前記影を認識する画像認識手段と、を備え、
前記画像認識手段が認識した前記画像内の前記影により、前記コレットの位置または状態を検出することを特徴とするコレット検出装置。
【請求項2】
前記撮像機構および前記コレットは移動可能に設けられ、当該移動により、異なる複数の配置で前記コレットの位置を検出できる請求項1記載のコレット検出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のコレット検出装置と、
前記コレット検出装置の検出結果に基づいて、前記コレットの位置を補正する位置補正手段とを備えたコレット位置補正装置。
【請求項4】
前記コレットにより前記チップをピックアップしてボンディング位置まで搬送し、当該ボンディング位置にボンディングするボンディング装置であって、
請求項3記載のコレット位置補正装置と、
一または複数の前記コレットと、を備えたボンディング装置。
【請求項5】
前記チップをピックアップするピックアップ位置における前記コレットの位置を補正する請求項4記載のボンディング装置。
【請求項6】
前記ボンディング位置における前記コレットの位置を補正する請求項4または5記載のボンディング装置。
【請求項7】
ピックアップされた前記チップを載置する中間ステージをさらに有する請求項4から6いずれか1項に記載のボンディング装置であって、
前記中間ステージにおける前記コレットの位置を補正するボンディング装置。
【請求項8】
チップを吸着するコレットの位置または状態を検出するコレット検出方法であって、
光源が、被撮像面に対する斜め方向から前記コレットへ光を照射して前記コレットの影を前記被撮像面に投影した状態で、撮像機構が前記被撮像面上の
画像を撮像し、
画像認識手段が前記画像内の前記影を認識することにより、前記コレットの位置または状態を検出することを特徴とするコレット検出方法。
【請求項9】
前記撮像機構は、前記光源が異なる複数の方向から前記コレットへ光を照射したそれぞれの状態の前記被撮像面を画像として撮像し、
前記画像認識手段が前記複数の画像内の前記影をそれぞれ認識することで、前記コレットの位置または状態を検出する請求項8記載のコレット検出方法。
【請求項10】
請求項8または9記載のコレット検出方法による検出結果に基づいて、前記コレットの位置を補正するコレット位置補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレット検出装置、コレット位置補正装置、ボンディング装置、コレット検出方法、コレット位置補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、多数個の素子を一括して造り込まれたウエハをダイシングして個々の半導体チップに分離し、これを一個ずつリードフレーム等の所定位置にボンディングするというチップボンディングの手法が採用されている。
【0003】
従来においては、特許文献1等に記載のように、ピックアップ位置において、チップをピックアップ用コレットにてピックアップし、このチップを中間ステージに供給する。そして、この中間ステージ上に供給されているチップをボンディング用コレットにてピックアップして、このチップをボンディング位置に供給するものがある。
【0004】
この特許文献1に記載のボンディング装置は、
図6に示すように、半導体ウエハを保持する第1保持手段としてのウエハ保持台1と、シートを保持する第2保持手段としてのシート保持台2と、ウエハ保持台1とシート保持台2との間に配置される中間ステージ3とを備える。
【0005】
そして、ウエハ保持台1のチップを吸着して中間ステージ3としてのガラス載置台に供給するためのピックアップヘッド(コレットおよびそのホルダ)5と、中間ステージ3のチップを吸着してシート保持台2に供給するためにピックアップヘッド(コレットおよびそのホルダ)6とを備える。
【0006】
各ピックアップヘッド5,6は、Y軸方向に沿って往復動するアーム7,8に付設され、各アーム7,8の本体部7a,8aが、X軸方向に沿って基台11上を往復動するブロック体9,10にZ軸方向に沿って往復動可能として付設されている。
【0007】
すなわち、ピックアップヘッド5がウエハからのピックアップ用のヘッドとなり、ピックアップヘッド6がボンディング用のヘッドとなる。このため、ピックアップヘッド5は、各X・Y・Z軸に沿って移動してウエハ保持台1のチップを中間ステージ3に供給でき、ピックアップヘッド6は、各X・Y・Z軸に沿って移動して中間ステージ3上のチップをシート保持台2のボンディング位置にボンディングすることができる。
【0008】
このようなボンディング装置では、コレットの劣化による新規コレットへの交換、あるいは、使用時の摩擦や熱変形などにより、コレットの位置にズレが生じる。そして、コレットの位置ズレにより、チップのボンディング位置にズレが生じてしまう。従って、コレットの位置を検出して補正することが必要になってくる。
【0009】
例えば特許文献2では、コレットを保持するボンディングヘッドに基準マークを設ける。そして、撮像カメラにより基準マークを撮像することで、ボンディングヘッドの経時変化による姿勢ズレなどを検出して補正している。なお、撮像カメラは中間ステージ上に焦点位置が合うように配置されており、撮像カメラはプリズムを介して基準マークを撮像することで、基準マークとの焦点距離を合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2006-13073号公報
【文献】特許第6470088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2の検出方法では、基準マークとコレットとの位置が、例えばコレットの熱膨張により変化してしまうと、検出誤差あるいは補正誤差になってしまうという問題があった。
【0012】
以上のことから、本発明では、高精度にコレットの位置または状態を検出できるコレット検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明は、チップを吸着するコレットの位置または状態を検出するコレット検出装置であって、被撮像面を撮像する撮像機構と、前記コレットに対する斜め方向から前記コレットへ光を照射し、前記被撮像面に前記コレットの影を投影する光源と、前記画像内の前記影を認識する画像認識手段と、を備え、前記画像認識手段が認識した前記画像内の前記影により、前記コレットの位置または状態を検出することを特徴とする。
【0014】
本発明のコレット検出装置によれば、コレット自身の形状が投影された影を用いて、コレットの位置または状態の検出ができる。従って、特許文献2のように、コレットと基準マークとの位置の変化による検出誤差が生じず、高精度にコレットの位置または状態を検出できる。
【0015】
また、撮像機構の焦点距離を被撮像面に合わせるだけで、コレットの影に対しても自動的に焦点距離を合わせることができるため、特許文献2のようなプリズムなどの機構を設けて、撮像対象と撮像機構との焦点距離を合わせる必要がない。従って、焦点距離を容易に合わせることができ、高精度にコレットの位置または状態を検出できる。また、コレットの検出を安価に行うことができる。
【0016】
上記コレット検出装置は、前記撮像機構および前記コレットは移動可能に設けられ、当該移動により、異なる複数の配置で前記コレットの位置を検出できる。
【0017】
また本発明は、上記コレット検出装置と、前記コレット検出装置の検出結果に基づいて、コレットの位置を補正する位置補正手段とを備えたコレット位置補正装置とすることができる。これにより、コレットの被撮像面に対する位置を高精度に補正できる。
【0018】
また本発明は、前記コレットにより前記チップをピックアップしてボンディング位置まで搬送し、当該ボンディング位置にボンディングするボンディング装置であって、上記コレット位置補正装置と、一または複数のコレットとを備えたものとすることができる。
【0019】
また上記ボンディング装置は、前記チップをピックアップするピックアップ位置における前記コレットの位置を補正するものとすることができる。これにより、ピックアップ位置におけるコレットの位置を高精度に補正できる。
【0020】
また上記ボンディング装置は、前記ボンディング位置における前記コレットの位置を補正するものとすることができる。これにより、ボンディング位置におけるコレットの位置を高精度に補正できる。
【0021】
また上記ボンディング装置は、ピックアップされた前記チップを載置する中間ステージをさらに有し、前記中間ステージにおける前記コレットの位置を補正するものとすることができる。これにより、中間ステージにおけるコレットの位置を高精度に補正できる。
【0022】
また、上記の課題を解決するため、本発明は、チップを吸着するコレットの位置または状態を検出するコレット検出方法であって、光源が、被撮像面に対する斜め方向から前記コレットへ光を照射して前記コレットの影を前記被撮像面に投影した状態で、撮像機構が前記被撮像面上の前記画像を撮像し、画像認識手段が前記画像内の前記影を認識することにより、前記コレットの位置または状態を検出することを特徴とする。
【0023】
また、上記コレット検出方法は、前記撮像機構は、前記光源が異なる複数の方向から前記コレットへ光を照射したそれぞれの状態の前記被撮像面を画像として撮像し、前記画像認識手段が前記複数の画像内の前記影をそれぞれ認識することで、前記コレットの位置または状態を検出することができる。これにより、コレットの外形のより多くの辺を影として被撮像面に投影して検出することができる。従って、複数の画像により位置検出精度を高めたり、コレットの大きさの検出の利便性を向上させることができる。
【0024】
また、上記コレット検出方法による検出結果に基づいて、前記コレットの位置を補正するコレット位置補正方法とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コレットの位置または状態を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るダイボンダを示し、(a)はピックアップ工程を示す簡略図であり、(b)はボンディング工程を示す簡略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコレット検出装置の概略構成図である。
【
図4】コレット位置補正装置を備えたボンディング装置の全体簡略ブロック図である。
【
図5】カメラが撮像した画像の一例を示す図である。
【
図6】中間ステージを有する従来のダイボンダの簡略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0028】
以下、
図1を用いて本発明の一実施形態に係るダイボンダ(ボンディング装置)を説明する。
図1(a)および
図1(b)に示すように、ダイボンダ100は、コレットホルダ23に保持されたピックアップ用コレット22と、コレットホルダ25に保持されたボンディング用コレット24とを有する。コレット22およびコレット24は、例えばゴムなどの弾性材により形成される弾性部を有する。またコレット22およびコレット24は、コレットホルダ23あるいはコレットホルダ25により、適宜の方法で保持されており、例えばコレットホルダ23あるいはコレットホルダ25にネジ止めされている。
【0029】
まず、
図1(a)に示すように、ピックアップ用コレット22が、ピックアップ位置Aにおいて1つのチップ21をその表面に吸着し、ピックアップする。そして、ピックアップ用コレット22は、ピックアップしたチップ21を中間ステージ27まで運搬した後、チップ21に対する吸着状態を解除してチップ21を中間ステージ27上に載置する。
図1(b)に示すように、ボンディング用コレット24は、中間ステージ27上のチップ21をピックアップし、チップ21をリードフレーム28等のボンディング位置Bに供給する。なお、ピックアップ位置Aのチップ21は、ウエハ26から多数に分割されたものである。
【0030】
ピックアップ用コレット22は、コレットホルダ23を介してアーム(図示省略)が接続され、このアームがピックアップ側搬送手段(図示省略)にて、X、Y、Z方向に駆動およびθ方向へ回転できる。この場合、ピックアップ側搬送手段としては、ロボットアーム機構やXYZθ軸ステージ等で構成できる。また、コレット22は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ21が真空吸引され、このコレット22の下端面にチップ21が吸着する。この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット22からチップ21が外れる。ピックアップ用コレット22としては、吸着面がフラットなフラットコレットであっても、吸着時にチップのエッジを案内するテーパ部を有する角錐コレットであってもよく、チップの2辺で吸着するタイプであっても、チップの4辺で吸着するタイプであってもよい。なお、このピックアップ用コレット22の真空引きには、真空ポンプやエジェクタ等の真空発生器を使用する。本実施形態では、θ方向はX-Y平面に沿う回転の方向である。
【0031】
図1(a)に示すように、ピックアップ用コレット22は、コレットホルダ23と一体的に、ウエハ26と中間ステージ27との間を移動可能である。より具体的には、ピックアップ用コレット22は、待機位置、つまり、ピックアップ位置Aと中間ステージ27との中間位置の上部位置から、矢印C1方向に沿ってピックアップ位置Aの上方位置までの移動、この位置から矢印D1方向に沿って下降して、ピックアップ位置Aにおけるチップ21を吸着するための移動、この位置から矢印D2方向に沿って上昇してピックアップ位置Aの上方位置までの移動、この位置から矢印C2方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。またピックアップ用コレット22は、待機位置から矢印C3方向に沿って中間ステージ27の上方位置までの移動、この位置から矢印D3方向に沿って下降して、中間ステージ27上のチップ供給位置へチップを供給するための移動、この位置から矢印D4方向に沿って上昇して中間ステージ27の上方位置までの移動、この位置から矢印C4方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。
【0032】
ボンディング用コレット24は、コレットホルダ25を介してアーム(図示省略)が接続され、このアームがボンディング側コレット搬送手段にて、X、Y、Z方向に駆動およびθ方向へ回転できる。このボンディング側コレット搬送手段も、ロボットアーム機構やXYZθ軸ステージ等で構成できる。また、コレット24としては、吸着面がフラットなフラットコレットであっても、吸着時にチップのエッジを案内するテーパ部を有する角錐コレットであってもよく、チップの2辺で吸着するタイプであっても、チップの4辺で吸着するタイプであってもよい。なお、コレット24の真空引きには、真空ポンプやエジェクタ等の真空発生器を使用する。
【0033】
図1(b)に示すように、ボンディング用コレット24は、コレットホルダ25と一体的に、中間ステージ27とリードフレーム28との間を移動可能である。より具体的には、ボンディング用コレット24は、ボンディング位置Bと中間ステージ27との中間位置の上部位置から、矢印E1方向に沿って中間ステージ27の上方位置までの移動、この位置から矢印F1方向に沿って下降して、中間ステージ27上のチップ21を吸着するための移動、この位置から矢印F2方向に沿って上昇して中間ステージ27の上方位置までの移動、この位置から矢印E2方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。またボンディング用コレット24は、待機位置から矢印E3方向に沿ってボンディング位置Bの上方位置までの移動、この位置から矢印F3方向に沿って下降して、ボンディング位置Bへチップ21を供給するための移動、この位置から矢印F4方向に沿って上昇してボンディング位置Bの上方位置までの移動、この位置から矢印E4方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。
【0034】
ところで、このようなダイボンダ100においては、コレット22(24)の経時変化による位置ズレや、新規のコレットに交換した際の位置ズレ等が生じるため、コレットの位置を検出して補正することが必要になる。以下、このコレット位置を検出して補正するコレット検出装置およびコレット位置補正装置について説明する。以下の説明では、一例としてボンディング用コレット24のボンディング位置Bに対する位置を補正する場合について説明する。
【0035】
図2および
図3に示すように、コレット検出装置30は、撮像機構としてのカメラ31と、光源32とを備える。
【0036】
カメラ31は、前述のリードフレームを支持する支持台29の上面である被撮像面29aを撮像する。被撮像面29aの、特にカメラ31によって撮像される部分は平坦状をなしており、かつ、光線を反射する程度の表面粗さを有している。カメラ31は、被撮像面29aの真上に配置され、被撮像面29aとの距離Lがカメラ31の焦点距離になるように調整されている。つまり、カメラ31は被撮像面29aに対して垂直な方向(
図2の上方向)から被撮像面29aを撮像する。被撮像面29aはリードフレームを支持する支持面である。
【0037】
コレット24は、コレット搬送手段によって保持されて被撮像面29aの直上に配置される。コレット24がその直上に配置され、カメラ31によって撮像される被撮像面29aの部分は、チップ21を供給するアイランド部である。
【0038】
光源32は、被撮像面29a上のコレット24に対して光を照射する。光源32の光の照射方向は、コレット24に対する斜め方向である。この斜め方向とは、コレット24に対して直交する方向と異なる方向(
図2の上方向で
図2の紙面と平行な方向、とは異なる方向)であり、より詳細には、コレット24の底面(チップ21を吸着する面)に対して直交する方向と異なる方向である。また、この斜め方向は被撮像面29aに対して直交する方向と異なる方向でもある。また、この斜め方向はカメラ31の撮像方向と異なる方向でもある。光源32がコレット24に上記の斜め方向から光を照射することで、被撮像面29a上に、コレット24の外形を影Kとして投影できる。なお、
図2では、被撮像面29aのその他の部分と区別するために、便宜的に影Kを太線で示している。影Kのうちの範囲K1が、カメラ31によって被撮像面29aを真上から撮像した時に、コレット24によって隠れずに画像内に映し出される範囲である。
【0039】
図4に示すように、ダイボンダ100は、コレット位置補正装置40を有する。コレット位置補正装置40は、コレット検出装置30と、位置補正手段としてのコレット搬送手段41を有する。
【0040】
コレット検出装置30は画像認識手段33を有する。画像認識手段33が、カメラ31が撮影した画像から、投影された影と背景である被撮像面29aとを判別する。つまり、画像認識手段33が、画像内における影の位置を認識し、カメラ31に対する影Kの位置を認識する。これにより、画像認識手段33が、理想のコレットの影の位置に対する実際のコレットの影の位置ズレを認識する。
【0041】
コレット搬送手段41は、コレット24を被撮像面29aに対して、X、Y、Z方向に移動およびθ方向へ回転させることができる。画像認識手段33が認識した位置ズレ方向に基づいて、コレット搬送手段41がボンディング時のコレット24の位置を補正する。以上のコレット位置の検出および補正動作を、例えば各ボンディング位置に対して行うこともできる。
【0042】
図5はカメラ31が撮影した画像の一例を示している。
図5に示すように、画像認識手段33はコレット24の影Kと被撮像面29aとの色を識別し、画像上の影Kの位置を認識する。そして、影Kと、予め設定された理想のコレットの影K’の位置との位置ズレを認識する。例えば
図5では、影Kが理想の影K’に対してX1方向およびY1方向に位置ズレしていることを認識する。そして、コレット搬送手段41(
図4参照)が位置ズレ方向と反対方向へコレット24を移動させ、ボンディング位置を変更する。以上のようにして、コレット24の位置ズレを補正でき、ボンディング位置を高精度に補正できる。
【0043】
ところで、本実施形態と異なる構成として、例えばコレットホルダに設けたマークなどを用いてコレットの位置を検出あるいは補正する場合、マークとコレットの位置関係にズレが生じた場合に、それが検出誤差になるという問題がある。つまり、コレットが熱膨張する等して変形すると、コレットとマークとの位置関係が変化して位置検出および位置補正の誤差になってしまう。これに対して、上記本実施形態の構成によれば、コレット自身の形状が投影された影を用いてコレットの位置を検出できるため、上記のような誤差が生じず、高精度なコレットの位置検出および位置補正が可能である。さらに、コレットやコレットホルダに特別な加工を施す必要がないため、安価に容易な方法でコレットの位置検出および補正が可能である。
【0044】
また、コレットホルダにマークを設ける場合、精度良くマークを撮影しようとするとマークと撮像機構との焦点距離を合わせるためにプリズムなどの機構が必要になる。これに対して本実施形態では、被撮像面に投影された影を用いるため、つまり、位置検出の対象が背景と同じ面上にあるため、カメラの焦点距離を被撮像面に合わせるだけで位置検出の対象の焦点距離も同時に合わせることができる。従って、上記のようなプリズム機構を必要としない。このように本実施形態の構成では、撮像機構と光源のみによって位置検出および位置補正が可能であり、安価である。また、撮像機構と位置検出の対象との焦点距離を容易に合わせることができるため、コレットの位置検出および位置補正の精度が向上する。
【0045】
また本実施形態では、光源のコレットおよび被撮像面に対する位置を変化させることで、被撮像面に投影される影の大きさを変更できる。つまり、撮像対象の大きさを任意に変更できる。従って、実際のコレットよりも大きな影を被撮像面に投影することで、分解能が高くない撮像機構であっても、画像認識手段が認識可能な画像を撮像することが可能である。このように、本実施形態では、撮像機構の分解能を高めることなく、高精度にコレットの位置検出および位置補正が可能である。
【0046】
以上のコレット位置検出および位置補正は、例えばコレットを新規のコレットに交換した場合に実施することもできるし、定期的にコレットの位置ズレを検出し、その補正を行うものとしてもよい。
【0047】
また、
図3に示すように、リードフレーム支持台29に複数の撮像箇所が存在する(つまり、複数のリードフレーム28が載置される)場合には、コレット24をコレット搬送手段により、そして、カメラ31を移動機構によりそれぞれ移動させ、各撮像箇所に配置および影を撮像させるようにしてもよい(例えば、
図3の実線から点線のようにコレット24やカメラ31を移動させることができる)。この場合、コレット検出装置30に、カメラ31やコレット24の直前の撮像箇所からの移動量を記憶させることで、画像認識手段33が、次の撮像箇所において、カメラ31によって撮像された画像上の影の位置を検出できる。また、この検出結果に基づいて、次の撮像箇所におけるコレット24の位置を補正することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
以上の実施形態では、コレット24をボンディング位置Bにおいて位置合わせする場合を示したが、チップ21をピックアップする前のコレット24と、被撮像面としての中間ステージ27の上面(コレット24のピックアップ位置である)との位置合わせに上記のコレット位置補正装置を用いてもよい。これにより、コレット24とコレット24が保持するチップ21との位置を高精度に位置合わせできる。さらにコレット位置補正装置により、コレット22とピックアップ位置A(被撮像面としてのウエハ26の上面)との位置合わせ、あるいは、コレット22と被撮像面としての中間ステージ27の上面との位置合わせをしてもよい。これらにより、コレット22とピックアップするチップ21を高精度に位置合わせしたり、コレット22が精度良く中間ステージ27にチップ21を載置したりすることができる。
【0050】
また、以上の実施形態では、コレットを被撮像面に沿う方向(X方向およびY方向)の位置ズレを検出し、その位置を補正する場合を示したが、X-Y平面に沿う回転方向の位置ズレを検出および位置補正してもよい。回転方向の位置ズレを検出する方法としては、例えば、コレット24の理想の位置に対するコレット24の外形の一辺あるいは複数辺の傾きを認識することで検出できる。
【0051】
以上の実施形態では、コレット検出装置がコレットの被撮像面に対する位置を検出する場合を示したが、本発明はこれに限らずコレットの状態を検出するものであってもよい。例えば、被撮像面に投影されたコレットの影の辺の長さを測定することでコレットの大きさを検出し、正しい大きさのコレットがコレットホルダに装着されているかを判別することもできる。またコレットのコレットホルダに対する位置ズレから、コレットがコレットホルダに正しく装着されていないことを検出することもできる。この際、撮像機構が、光源による光の照射方向が異なる複数の画像を撮像し、それぞれの画像を上記コレットの大きさの検出に用いることもできる。これにより、被撮像面上に投影した影により、コレットの外形のより多くの辺(例えばコレットの全周)の長さを測定でき、コレットの大きさ検出の利便性が向上する。また、複数の方向から光を照射したそれぞれの画像をコレットの位置検出に用いて、位置検出の精度を向上させることもできる。なお、光源による光の照射方向を変更する場合には、光源を移動させてもよいし、被撮像面を有するリードフレーム支持台およびコレットを光源に対して移動させてもよい。
【符号の説明】
【0052】
21 チップ
22 コレット
23 コレットホルダ
24 コレット
25 コレットホルダ
26 ウエハ
27 中間ステージ
28 リードフレーム
29 リードフレーム支持台
29a 被撮像面
30 コレット検出装置
31 カメラ(撮像機構)
32 光源
33 画像認識手段
40 コレット位置補正装置
41 コレット搬送手段(位置補正手段)
100 ダイボンダ(ボンディング装置)
A ピックアップ位置
B ボンディング位置
K コレットの影
K‘ 理想のコレットの影の位置
【要約】
【課題】本発明では、高精度にコレットの位置または状態を検出できるコレット検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】チップ21を吸着するコレット24の位置または状態を検出するコレット検出装置30であって、コレット24に対する斜め方向からコレット24へ光を照射し、被撮像面29aにコレット24の影Kを投影する光源32と、被撮像面29aおよび被撮像面29a上のコレット24の影Kを画像として撮像するカメラ31と、画像内の影Kを認識する画像認識手段33と、を備え、画像認識手段33が認識した画像内の影Kにより、コレット24の位置または状態を検出することを特徴とする。
【選択図】
図2