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特許7105989浮遊ゲートに容量結合されたゲートを有するメモリセルのプログラミング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】浮遊ゲートに容量結合されたゲートを有するメモリセルのプログラミング
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/10 20060101AFI20220715BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20220715BHJP
   G11C 16/34 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G11C16/10 140
G11C16/04 120
G11C16/04 140
G11C16/34 106
G11C16/34 160
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2021510093
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019041264
(87)【国際公開番号】W WO2020040900
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】62/722,776
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/746,962
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/217,916
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコフ、ビクター
(72)【発明者】
【氏名】コトフ、アレキサンダー
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/065917(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/113714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/04
G11C 16/34
G11C 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリデバイスであって、該メモリデバイスは、
行及び列に配置されたメモリセルであって、該メモリセルの各々は、
半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、前記チャネル領域の前記第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む、メモリセルと、
制御回路であって、前記メモリセルのうちの1つに対して、
前記制御ゲートに印加された第1の電圧を含むプログラミング電圧の第1のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加し、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加の後に、前記制御ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る電流を検出することと、前記検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る目標電流に対応する前記制御ゲートに対する目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行し、
前記第1の電圧、公称電圧及び前記目標電圧から決定される前記制御ゲートに印加された第2の電圧を含むプログラミング電圧の第2のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加し、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の後に、前記チャネル領域における任意の電流を検出しながら、前記制御ゲートに印加された前記公称電圧を含むそれぞれの読み出し電圧を前記ドレイン領域、前記選択ゲート及び前記制御ゲートに印加することによって、前記1つのメモリセルのプログラム状態を判定するように構成された制御回路と、を備える、メモリデバイス。
【請求項2】
前記1つのメモリセルに対して、前記制御ゲートに印加された前記第2の電圧は、前記第1の電圧と前記公称電圧の和から前記目標電圧を減算したものから決定される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記制御回路は、前記1つのメモリセルに対して、前記読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するように更に構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記制御回路は、前記1つのメモリセルに対して、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の後に、前記制御ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る第2の電流を検出することと、前記第2の検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る前記目標電流に対応する前記制御ゲートに対する第2の目標電圧を決定することと、を含む、第2の読み出し動作を実行し、
前記第2の電圧と前記公称電圧の和から前記第2の目標電圧を減算したものから決定される前記制御ゲートに印加された第3の電圧を含むプログラミング電圧の第3のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加するように更に構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記制御回路は、前記1つのメモリセルに対して、前記第2の読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第3のパルスの前記印加の前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するように更に構成される、請求項4に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの2つ以上に位置するメモリセルを含む第1の複数の前記メモリセルに前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを同時に印加し、
前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの1つのみに位置するメモリセルを含む第2の複数の前記メモリセルに前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを同時に印加する
ように更に構成される、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項7】
メモリデバイスであって、該メモリデバイスは、
行及び列に配置されたメモリセルであって、該メモリセルの各々は、
半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、前記チャネル領域の前記第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む、メモリセルと、
制御回路であって、前記メモリセルのうちの1つに対して、
前記消去ゲートに印加された第1の電圧を含むプログラミング電圧の第1のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加し、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加の後に、前記消去ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る電流を検出することと、前記検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る目標電流に対応する前記消去ゲートに対する目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行し、
前記第1の電圧、公称電圧及び前記目標電圧から決定される前記消去ゲートに印加された第2の電圧を含むプログラミング電圧の第2のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加し、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の後に、前記チャネル領域における任意の電流を検出しながら、前記消去ゲートに印加された前記公称電圧を含むそれぞれの読み出し電圧を前記ドレイン領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加することによって、前記1つのメモリセルのプログラム状態を判定するように構成された制御回路と、を備える、メモリデバイス。
【請求項8】
前記1つのメモリセルに対して、前記消去ゲートに印加された前記第2の電圧は、前記第1の電圧と前記公称電圧の和から前記目標電圧を減算したものから決定される、請求項7に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記制御回路は、前記1つのメモリセルに対して、前記読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するように更に構成される、請求項7に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
前記制御回路は、前記1つのメモリセルに対して、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の後に、前記消去ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る第2の電流を検出することと、前記第2の検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る前記目標電流に対応する前記消去ゲートに対する第2の目標電圧を決定することと、を含む、第2の読み出し動作を実行し、
前記第2の電圧と前記公称電圧の和から前記第2の目標電圧を減算したものから決定される前記消去ゲートに印加された第3の電圧を含むプログラミング電圧の第3のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加するように更に含む構成される、請求項7に記載のメモリデバイス。
【請求項11】
前記制御回路は、前記1つのメモリセルに対して、前記第2の読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第3のパルスの前記印加の前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するように更に構成される、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項12】
前記制御回路は、
前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの2つ以上に位置するメモリセルを含む第1の複数の前記メモリセルに前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを同時に印加し、
前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの1つのみに位置するメモリセルを含む第2の複数の前記メモリセルに前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを同時に印加するように更に構成される、請求項7に記載のメモリデバイス。
【請求項13】
メモリデバイスであって、該メモリデバイスは、
行及び列に配置されたメモリセルであって、該メモリセルの各々は、
半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、前記チャネル領域の前記第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む、メモリセルと、
制御回路であって、前記メモリセルのうちの1つに対して、
前記制御ゲートに印加された第1の電圧及び前記消去ゲートに印加された第2の電圧を含む、プログラミング電圧の第1のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加し、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加の後に、前記制御ゲート及び前記消去ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る電流を検出することと、前記検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る目標電流に対応する前記制御ゲートに対する第1の目標電圧及び前記消去ゲートに対する第2の目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行し、
前記第1の電圧、第1の公称電圧及び前記第1の目標電圧から決定される前記制御ゲートに印加された第3の電圧、並びに、前記第2の電圧、第2の公称電圧及び前記第2の目標電圧から決定される前記消去ゲートに印加された第4の電圧を含む、プログラミング電圧の第2のパルスを前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加し、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスの前記印加及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の後に、前記チャネル領域における任意の電流を検出しながら、前記制御ゲートに印加された前記第1の公称電圧及び前記消去ゲートに印加された前記第2の公称電圧を含む、それぞれの読み出し電圧を前記ドレイン領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートに印加することによって、前記1つのメモリセルのプログラム状態を判定するように構成された制御回路と、を備える、メモリデバイス。
【請求項14】
前記1つのメモリセルに対して、前記制御ゲートに印加された前記第3の電圧は、前記第1の電圧と前記第1の公称電圧の和から前記第1の目標電圧を減算したものから決定され、前記消去ゲートに印加された前記第4の電圧は、前記第2の電圧と前記第2の公称電圧の和から前記第2の目標電圧を減算したものから決定される、請求項13に記載のメモリデバイス。
【請求項15】
前記制御回路は、前記1つのメモリセルに対して、前記読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスの前記印加の前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するように更に構成される、請求項13に記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記制御回路は、
前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの2つ以上に位置するメモリセルを含む第1の複数の前記メモリセルに前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを同時に印加し、
前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの1つのみに位置するメモリセルを含む第2の複数の前記メモリセルに前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを同時に印加するように更に構成される、請求項13に記載のメモリデバイス。
【請求項17】
行及び列に配置されたメモリセルを含むメモリデバイスを動作させる方法であって、
前記メモリセルの各々は、
半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、前記チャネル領域の前記第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含み、
前記方法は、前記メモリセルのうちの1つに対して、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第1のパルスは前記制御ゲートに印加された第1の電圧を含む、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを前記印加するステップの後に読み出し動作を実行するステップであって、前記読み出し動作は、前記制御ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る電流を検出するステップと、前記検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る目標電流に対応する前記制御ゲートに対する目標電圧を決定するステップと、を含む、読み出し動作を実行するステップと、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第2のパルスは前記制御ゲートに印加された第2の電圧を含み、前記第2の電圧は前記第1の電圧、公称電圧及び前記目標電圧から決定される、プログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを印加するステップ及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの後に、前記チャネル領域における任意の電流を検出しながら、前記ドレイン領域、前記選択ゲート及び前記制御ゲートにそれぞれの読み出し電圧を印加することによって、前記1つのメモリセルのプログラム状態を判定するステップであって、前記読み出し電圧は、前記制御ゲートに印加された前記公称電圧を含む、判定するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記1つのメモリセルに対して、前記制御ゲートに印加された前記第2の電圧は、前記第1の電圧と前記公称電圧の和から前記目標電圧を減算したものから決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つのメモリセルに対して、前記読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記1つのメモリセルに対して、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを印加するステップ及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの後に第2の読み出し動作を実行するステップであって、前記第2の読み出し動作は、前記制御ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る第2の電流を検出するステップと、前記第2の検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る前記目標電流に対応する前記制御ゲートに対する第2の目標電圧を決定するステップと、を含む、第2の読み出し動作を実行するステップと、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第3のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第3のパルスは、前記制御ゲートに印加された第3の電圧を含み、前記第3の電圧は、前記第2の電圧と前記公称電圧の和から前記第2の目標電圧を減算したものから決定される、プログラミング電圧の第3のパルスを印加するステップと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記1つのメモリセルに対して、前記第2の読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第3のパルスを印加するステップの前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを第1の複数の前記メモリセルに同時に印加するステップであって、前記第1の複数のメモリセルは、前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの2つ以上に位置するメモリセルを含む、前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを同時に印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを第2の複数の前記メモリセルに同時に印加するステップであって、前記第2の複数のメモリセルは、前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの1つのみに位置するメモリセルを含む、前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを同時に印加するステップと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
行及び列に配置されたメモリセルを含むメモリデバイスを動作させる方法であって、
前記メモリセルの各々は、
半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、前記チャネル領域の前記第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含み、
前記方法は、前記メモリセルのうちの1つに対して、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第1のパルスは前記消去ゲートに印加された第1の電圧を含む、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを印加するステップの後に読み出し動作を実行するステップであって、前記読み出し動作は、前記消去ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る電流を検出するステップと、前記検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る目標電流に対応する前記消去ゲートに対する目標電圧を決定するステップと、を含む、読み出し動作を実行するステップと、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第2のパルスは前記消去ゲートに印加された第2の電圧を含み、前記第2の電圧は前記第1の電圧、公称電圧及び前記目標電圧から決定される、プログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを印加するステップ及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの後に、前記チャネル領域における任意の電流を検出しながら、前記ドレイン領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにそれぞれの読み出し電圧を印加することによって、前記1つのメモリセルのプログラム状態を判定するステップであって、前記読み出し電圧は、前記消去ゲートに印加された前記公称電圧を含む、判定するステップと、を含む、方法。
【請求項24】
前記1つのメモリセルに対して、前記消去ゲートに印加された前記第2の電圧は、前記第1の電圧と前記公称電圧の和から前記目標電圧を減算したものから決定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1つのメモリセルに対して、前記読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するステップを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記1つのメモリセルに対して、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを印加するステップ及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの後に第2の読み出し動作を実行するステップであって、前記第2の読み出し動作は、前記消去ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る第2の電流を検出するステップと、前記第2の検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る前記目標電流に対応する前記消去ゲートに対する第2の目標電圧を決定するステップと、を含む、第2の読み出し動作を実行するステップと、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第3のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第3のパルスは、前記消去ゲートに印加された第3の電圧を含み、前記第3の電圧は、前記第2の電圧と前記公称電圧の和から前記第2の目標電圧を減算したものから決定される、プログラミング電圧の第3のパルスを印加するステップと、を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記1つのメモリセルに対して、前記第2の読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第3のパルスを印加するステップの前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するステップを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを第1の複数の前記メモリセルに同時に印加するステップであって、前記第1の複数のメモリセルは、前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの2つ以上に位置するメモリセルを含む、前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを同時に印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを第2の複数の前記メモリセルに同時に印加するステップであって、前記第2の複数のメモリセルは、前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの1つのみに位置するメモリセルを含む、前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを同時に印加するステップと、を更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
行及び列に配置されたメモリセルを含むメモリデバイスを動作させる方法であって、
前記メモリセルの各々は、
半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に前記基板のチャネル領域が延在している、ソース領域及びドレイン領域と、
前記チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、前記チャネル領域の前記第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、
前記チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、前記チャネル領域の前記第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、前記チャネル領域の前記第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、
前記浮遊ゲートの上方に配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、
前記ソース領域の上方に配設され、前記ソース領域から絶縁され、前記浮遊ゲートに隣接して配設され、前記浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含み、
前記方法は、前記メモリセルのうちの1つに対して、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第1のパルスは前記制御ゲートに印加された第1の電圧及び前記消去ゲートに印加された第2の電圧を含む、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを印加するステップの後に読み出し動作を実行するステップであって、前記読み出し動作は、前記制御ゲート及び前記消去ゲートに印加された異なる電圧に対する前記チャネル領域を通る電流を検出するステップと、前記検出された電流を使用して、前記チャネル領域を通る目標電流に対応する前記制御ゲートに対する第1の目標電圧及び前記消去ゲートに対する第2の目標電圧を決定するステップと、を含む、読み出し動作を実行するステップと、
前記ソース領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップであって、前記プログラミング電圧の前記第2のパルスは、前記制御ゲートに印加された第3の電圧及び前記消去ゲートに印加された第4の電圧を含み、前記第3の電圧は、前記第1の電圧、第1の公称電圧及び前記第1の目標電圧から決定され、前記第4の電圧は、前記第2の電圧、第2の公称電圧及び前記第2の目標電圧から決定される、プログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを印加するステップ及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの後に、前記チャネル領域における任意の電流を検出しながら、前記ドレイン領域、前記選択ゲート、前記消去ゲート及び前記制御ゲートにそれぞれの読み出し電圧を印加することによって、前記1つのメモリセルのプログラム状態を判定するステップであって、前記読み出し電圧は、前記制御ゲートに印加された前記第1の公称電圧及び前記消去ゲートに印加された前記第2の公称電圧を含む、判定するステップと、を含む、方法。
【請求項30】
前記1つのメモリセルに対して、
前記制御ゲートに印加された前記第3の電圧は、前記第1の電圧と前記第1の公称電圧の和から前記第1の目標電圧を減算したものから決定され、
前記消去ゲートに印加された前記第4の電圧は、前記第2の電圧と前記第2の公称電圧の和から前記第2の目標電圧を減算したものから決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つのメモリセルに対して、前記読み出し動作の後、及び前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを印加するステップの前に、正電圧を前記消去ゲートに印加することを含む消去動作を実行するステップを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを第1の複数の前記メモリセルに同時に印加するステップであって、前記第1の複数のメモリセルは、前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの2つ以上に位置するメモリセルを含む、前記プログラミング電圧の前記第1のパルスを同時に印加するステップと、
前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを第2の複数の前記メモリセルに同時に印加するステップであって、前記第2の複数のメモリセルは、前記メモリセルの前記行のうちの2つ以上、及び前記メモリセルの前記列のうちの1つのみに位置するメモリセルを含む、前記プログラミング電圧の前記第2のパルスを同時に印加するステップと、を更に含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年8月24日出願の米国特許仮出願第62/722,776号、2018年10月17日出願の米国特許仮出願第62/746,962号及び2018年12月12日出願の米国特許出願第16/217,916号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、不揮発性メモリアレイに関する。
【背景技術】
【0003】
スプリットゲート型不揮発性メモリセル、及びかかるセルのアレイは周知である。例えば、4つのゲートを有する従来のスプリットゲート型メモリセル10を図1に示す。各メモリセル10は、半導体基板12に形成されたソース領域14及びドレイン領域16を含み、ソース領域14とドレイン領域16の間にはチャネル領域18が延在している。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に形成され、チャネル領域18の第1の部分から絶縁され(並びに、チャネル領域18の第1の部分の伝導率を制御し)、好ましくは、ソース領域14の一部分の上方にかけて形成される。選択ゲート22(ワード線ゲートとも呼ばれる)は、チャネル領域18の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域18の第2の部分から絶縁され(並びに、チャネル領域18の第2の部分の伝導率を制御し)、また、浮遊ゲート20に横方向に隣接する。制御ゲート28は、浮遊ゲート20の上方に配設され、浮遊ゲート20から絶縁される。消去ゲート30は、ソース領域14の上方に配設され、ソース領域14から絶縁される。好ましくは、メモリセル10は対で形成され、各対は共通の消去ゲート30及び共通のソース領域14を共有し、これらの対は、各ドレイン領域16が2つの隣接するメモリセル対によって共有されるように、端部から端部まで配置される。
【0004】
高圧正電圧を消去ゲート30にかけることによって、メモリセル10に対して消去が行われ(電子が浮遊ゲート20から除去される)、これによって、浮遊ゲート20の電子は、浮遊ゲート20から消去ゲート30までそれらの間にある絶縁体の中をファウラーノルドハイム(Fowler-Nordheim)トンネリングを介して通過する(図1に、浮遊ゲート20から消去ゲート30まで延在している矢印によって図示される)。消去効率は、消去ゲート30のノッチを浮遊ゲート20の上縁部の周囲に回り込ませることによって向上する。
【0005】
メモリセル10は、選択ゲート22、制御ゲート28、消去ゲート30及びソース領域14に適切な正電圧をかけ、ドレイン16に電流源を加えることによって、プログラムされる(電子が浮遊ゲート20に加えられる)。電子は、ドレイン16から、チャネル領域18に沿ってソース14に流れる。電子は、加速して、選択ゲート22と浮遊ゲート20との間の間隙に到達したときに加熱される。図1に示すように、加熱された電子の一部は、浮遊ゲート20からの静電引力による(制御ゲート28の正電圧を浮遊ゲート20に容量結合させることに起因する)浮遊ゲートの下のゲート酸化物絶縁体を通って、浮遊ゲート20に注入される。このプログラミング技術は、熱電子注入として知られており、チャネル領域18に沿って浮遊ゲート20に延在している矢印によって、図1に図示される。
【0006】
メモリセル10は、ドレイン領域16、選択ゲート22(選択ゲート22の下のチャネル領域部分をオンにする)及び制御ゲート28(浮動ゲート20に容量結合されている)に、正の読み出し電圧をかけることによって読み出される。浮遊ゲート20が正に帯電する(すなわち、電子を消去し、制御ゲート28の正電圧に容量結合される)と、容量結合された電圧により浮遊ゲート20の下方のチャネル領域の部分も同様にオンになり、電流はチャネル領域18を流れ、これは、消去された状態つまり「1」の状態として検知される。浮遊ゲート20が負に帯電する(すなわち、電子でプログラミングされる)と、浮遊ゲート20の下方のチャネル領域の部分はほとんど又は完全にオフになり(すなわち、制御ゲート28からの容量結合された電圧が、浮遊ゲート20に蓄積された負電荷に打ち勝つのに十分ではない)、電流はチャネル領域18を流れず(又はほとんど流れず)、これは、プログラミングされた状態つまり「0」の状態として検知される。
【0007】
メモリセル10が、複数のプログラム状態(マルチレベルセル(multi-level cell、MLC)と呼ばれる)を有するように、メモリセル10を動作させることも可能であり、メモリセル10は、例えば、2ビットの情報を記憶するための4つの状態11、10、01及び00といった、2つを超える離散プログラム状態を有する。また、アナログ方式でメモリセル10を動作させることも可能である(すなわち、アナログ読み出し信号値の範囲を生成するために、離散プログラミング状態がない)。いずれの場合でも、メモリセルは、意図されたプログラム状態を適切に反映する読み出し動作結果を遅れなく生成するため、メモリセルをオーバープログラムしない(すなわち、浮遊ゲートの多くの電子に加える)ことが重要である。しかし、そのプログラム状態が後の読み出し動作中に確実に検出され得るように、メモリセル10に対して十分なプログラミングを確実に行うことも重要である。更に、マルチレベルセル又はアナログセル用途では、メモリセルをアンダープログラミングすると、所望の読み出し動作結果を生成しない。したがって、従来、プログラミング電圧を離散パルスで印加し、プログラミングパルス間に読み出し動作を介在させることが知られている。具体的には、メモリセルに電圧のプログラムパルスが印加され、その後、読み出し動作が実行されて、チャネルを横切る読み出し電流が所望の閾値を下回るかどうかを判定する。読み出し電流が所望の閾値を下回らない場合、更にプログラム電圧のパルスが印加され、更に読み出し動作が実行されて、チャネルを横切る読み出し電流が閾値を下回るかどうかを確認する。プロセスは、チャネルを横切る読み出し電流が閾値を下回るまで継続する。オーバープログラミングを防止するためにパルスは比較的短いが、オーバープログラミングなしにメモリセルを十分にプログラミングするために多くのパルスが必要とされる。実際に、典型的なメモリセルは、メモリセルをその所望の「0」状態に適切にプログラミングするために、10~30又は更にそれを超えるプログラム電圧のパルスを必要とする場合がある。これは、各プログラミングパルスが、所望のプログラミング状態に対する対象枠(すなわち、目標範囲)を超えてメモリセルのプログラミング状態を漸増的に変化させることができないためである(そうでなければ、望ましくないレベルのオーバープログラミングが起こり得る)。この技術の利点は、メモリセルが、所望のプログラム状態をかなり正確に達成するまで、メモリセルが漸増的にプログラミングされることである(プログラム状態が確実に検出され得るように、読み出し動作中に所望の読み出し電流を提供する)。この技術の欠点は、複数の読み出し動作によって分離された多くのプログラミング電圧パルスを実行するために比較的長い時間を要することである(例えば、数十マイクロ秒)。
【0008】
メモリセルをオーバープログラミングすることなく、短時間で、メモリセルを正確かつ確実にプログラミングするメモリセルプログラミング技術が必要とされる。
【発明の概要】
【0009】
上記の問題及び必要性は、行及び列に配置されたメモリセル及び制御回路を含むメモリデバイスによって対処される。メモリセルの各々は、半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在しているソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む。制御回路は、メモリセルのうちの1つに対して、制御ゲートに印加された第1の電圧を含むプログラミング電圧の第1のパルスをソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加し、プログラミング電圧の第1のパルスの印加の後に、制御ゲートに印加された異なる電圧に対するチャネル領域を通る電流を検出することと、検出された電流を使用して、チャネル領域を通る目標電流に対応する制御ゲートに対する目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行し、第1の電圧、公称電圧及び目標電圧から決定される制御ゲートに印加された第2の電圧を含むプログラミング電圧の第2のパルスをソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加し、プログラミング電圧の第1のパルスの印加及びプログラミング電圧の第2のパルスの印加の後に、チャネル領域における任意の電流を検出しながら、制御ゲートに印加された公称電圧を含むそれぞれの読み出し電圧をドレイン領域、選択ゲート及び制御ゲートに印加することによって、1つのメモリセルのプログラム状態を判定するように構成される。
【0010】
メモリデバイスは、行及び列に配置されたメモリセル及び制御回路を含むことができる。メモリセルの各々は、半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在しているソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む。制御回路は、メモリセルのうちの1つに対して、消去ゲートに印加された第1の電圧を含むプログラミング電圧の第1のパルスをソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加し、プログラミング電圧の第1のパルスの印加の後に、消去ゲートに印加された異なる電圧に対するチャネル領域を通る電流を検出することと、検出された電流を使用して、チャネル領域を通る目標電流に対応する消去ゲートに対する目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行し、第1の電圧、公称電圧及び目標電圧から決定される消去ゲートに印加された第2の電圧を含むプログラミング電圧の第2のパルスをソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加し、プログラミング電圧の第1のパルスの印加及びプログラミング電圧の第2のパルスの印加の後に、チャネル領域における任意の電流を検出しながら、消去ゲートに印加された公称電圧を含むそれぞれの読み出し電圧をドレイン領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加することによって、1つのメモリセルのプログラム状態を判定するように構成される。
【0011】
メモリデバイスは、行及び列に配置されたメモリセル及び制御回路を含むことができる。メモリセルの各々は、半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在しているソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む。制御回路は、メモリセルのうちの1つに対して、制御ゲートに印加された第1の電圧及び消去ゲートに印加された第2の電圧を含むプログラミング電圧の第1のパルスをソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加し、プログラミング電圧の第1のパルスの印加の後に、制御ゲート及び消去ゲートに印加された異なる電圧に対するチャネル領域を通る電流を検出することと、検出された電流を使用して、チャネル領域を通る目標電流に対応する制御ゲートに対する第1の目標電圧及び消去ゲートに対する第2の目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行し、第1の電圧、第1の公称電圧及び第1の目標電圧から決定される制御ゲートに印加された第3の電圧、並びに、第2の電圧、第2の公称電圧及び第2の目標電圧から決定される消去ゲートに印加された第4の電圧を含む、プログラミング電圧の第2のパルスをソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加し、プログラミング電圧の第1のパルスの印加及びプログラミング電圧の第2のパルスの印加の後に、チャネル領域における任意の電流を検出しながら、制御ゲートに印加された第1の公称電圧及び消去ゲートに印加された第2の公称電圧を含むそれぞれの読み出し電圧をドレイン領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートに印加することによって、1つのメモリセルのプログラム状態を判定するように構成される。
【0012】
行及び列に配置されたメモリセルを含むメモリデバイスを動作させる方法。メモリセルの各々は、半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在しているソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む。本方法は、メモリセルのうちの1つに対して、ソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにプログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップであって、プログラミング電圧の第1のパルスは制御ゲートに印加された第1の電圧を含む、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップと、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップの後に読み出し動作を実行するステップであって、読み出し動作は、制御ゲートに印加された異なる電圧に対するチャネル領域を通る電流を検出することと、検出された電流を使用して、チャネル領域を通る目標電流に対応する制御ゲートに対する目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行するステップと、ソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップであって、プログラミング電圧の第2のパルスは制御ゲートに印加された第2の電圧を含み、第2の電圧は第1の電圧、公称電圧及び目標電圧から決定される、プログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップと、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップ及びプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップの後に、チャネル領域における任意の電流を検出しながら、ドレイン領域、選択ゲート及び制御ゲートにそれぞれの読み出し電圧を印加することによって、1つのメモリセルのプログラム状態を判定するステップであって、読み出し電圧は、制御ゲートに印加された公称電圧を含む、判定するステップと、を含む。
【0013】
行及び列に配置されたメモリセルを含むメモリデバイスを動作させる方法。メモリセルの各々は、半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在しているソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む。本方法は、メモリセルのうちの1つに対して、ソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにプログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップであって、プログラミング電圧の第1のパルスは消去ゲートに印加された第1の電圧を含む、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップと、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップの後に読み出し動作を実行するステップであって、読み出し動作は、消去ゲートに印加された異なる電圧に対するチャネル領域を通る電流を検出することと、検出された電流を使用して、チャネル領域を通る目標電流に対応する消去ゲートに対する目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行するステップと、ソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップであって、プログラミング電圧の第2のパルスは消去ゲートに印加された第2の電圧を含み、第2の電圧は第1の電圧、公称電圧及び目標電圧から決定される、プログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップと、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップ及びプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップの後に、チャネル領域における任意の電流を検出しながら、ドレイン領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにそれぞれの読み出し電圧を印加することによって、1つのメモリセルのプログラム状態を判定するステップであって、読み出し電圧は、消去ゲートに印加された公称電圧を含む、判定するステップと、を含む。
【0014】
行及び列に配置されたメモリセルを含むメモリデバイスを動作させる方法。メモリセルの各々は、半導体基板に形成されたソース領域及びドレイン領域であって、ソース領域とドレイン領域との間に基板のチャネル領域が延在しているソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁された浮遊ゲートであって、チャネル領域の第1の部分の伝導率を制御するための浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁された選択ゲートであって、チャネル領域の第2の部分の伝導率を制御するための選択ゲートと、浮遊ゲートの上方に配設され、浮遊ゲートから絶縁された制御ゲートと、ソース領域の上方に配設され、ソース領域から絶縁され、浮遊ゲートに隣接して配設され、浮遊ゲートから絶縁された消去ゲートと、を含む。本方法は、メモリセルのうちの1つに対して、ソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにプログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップであって、プログラミング電圧の第1のパルスは制御ゲートに印加された第1の電圧及び消去ゲートに印加された第2の電圧を含む、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップと、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップの後に読み出し動作を実行するステップであって、読み出し動作は、制御ゲート及び消去ゲートに印加された異なる電圧に対するチャネル領域を通る電流を検出することと、検出された電流を使用して、チャネル領域を通る目標電流に対応する制御ゲートに対する第1の目標電圧及び消去ゲートに対する第2の目標電圧を決定することと、を含む、読み出し動作を実行するステップと、ソース領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップであって、プログラミング電圧の第2のパルスは、制御ゲートに印加された第3の電圧及び消去ゲートに印加された第4の電圧を含み、第3の電圧は、第1の電圧、第1の公称電圧及び第1の目標電圧から決定され、第4の電圧は、第2の電圧、第2の公称電圧及び第2の目標電圧から決定される、プログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップと、プログラミング電圧の第1のパルスを印加するステップ及びプログラミング電圧の第2のパルスを印加するステップの後に、チャネル領域における任意の電流を検出しながら、ドレイン領域、選択ゲート、消去ゲート及び制御ゲートにそれぞれの読み出し電圧を印加することによって、1つのメモリセルのプログラム状態を判定するステップであって、読み出し電圧は、制御ゲートに印加された第1の公称電圧及び消去ゲートに印加された第2の公称電圧を含む、判定するステップと、を含む。
【0015】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲、添付図面を精読することによって明らかになるであろう。
【0016】
【0017】
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】4つのゲートの不揮発性メモリセルの横断面図である。
図2】メモリデバイスアーキテクチャの平面図である。
図3】メモリセルのアレイの概略図/レイアウト図である(簡略化のため、浮遊ゲートは示されていない)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、伴うプログラミング電圧のパルスが2と少ないにもかかわらず、オーバープログラミングの過度の危険なしにメモリセルを正確にプログラミングできる、新規プログラミング技術に関する。本プログラミング技術は、プログラミング中に制御ゲート28に印加された電圧の大きさにより、プログラミングパルスが最終的にメモリセルをプログラミングする度合いが強く決定づけられるという事実を利用する。
【0020】
本プログラミング技術は、プログラミングされるメモリセルにプログラミング電圧の第1のパルスを印加することによって開始され、この第1のパルス中に制御ゲート28に印加された電圧は、初期値Vcg1である。プログラミング電圧のこの第1のパルスは、メモリセルを第1のプログラム状態にプログラミングする。次いで、チャネル領域18を通る読み出し電流が測定又は検出されると、制御ゲート28の読み出し電圧を、値の範囲にわたって掃引する第1の掃引読み出し動作が実行される。この読み出し動作の目的は、チャネル領域18を通る目標読み出し電流Itを生成する制御ゲート28の目標電圧Vtcgを決定することである。読み出し動作からVtcgが決定されると、メモリセルに対し、消去動作によって消去が行われる。次いで、プログラミング電圧の第2のパルスがメモリセルに印加され、このプログラミング電圧の第2のパルス中に制御ゲート28に印加された電圧Vcg2は、以下によって決定され、
cg2=Vcg1+Vcgn-Vtcg 等式1
式中、Vcgnは、通常の読み出し動作中にメモリセルのプログラミング状態を読み取るために使用される制御ゲート28に対する公称読み出しバイアスである。Vcgnの非限定的な例は、2.5Vである。本発明者らによって、このプログラミング電圧の第2のパルスが、メモリセルを所望のプログラミング状態にする可能性が高いことが発見された。これを確認するために、第2の読み出し動作を実行することができる。所望のプログラミング状態が確認された場合、2つのプログラミングパルスのみで達成される。
【0021】
特定の状況下では、第1のプログラミングパルスと第2のプログラミングパルスとの間で消去動作を省略できることが更に発見された。具体的には、等式1によって決定されるVcg2が、Vcg1+Vdよりも大きいと判定され、式中、Vdは、メモリセル特性及びプロセス技術に基づいて変化するデルタ電圧値である(例えば、典型的なメモリセルについては約0.8V~1.0Vである)場合、第1のプログラムパルスと第2のプログラムパルスとの間の介在する消去動作を省略することができる。Vdは、両方のプログラミングパルス(Vcg1を使用するもの、及びVcg2を使用するもの)の結果と、一方のみのプログラミングパルス(Vcg2のみを使用する)の結果で、メモリセル10のプログラミング状態にもたらす変化が本質的に同じになるVcg2とVcg1との間の最小差である。プログラミング状態とは、浮遊ゲートの電子の数を指す。
【0022】
第1及び第2のプログラミングパルスに対する電圧及び電流の非限定的な例が、以下の表に提供される。
【表1】
【0023】
メモリセルを読み出し、消去するための電圧の非限定的な例が、以下の表に提供される。
【表2】
【0024】
上記の2つのパルスプログラミング技術では、第2の読み出し動作から、所望のプログラミング状態が達成されなかったと判定される場合、いくつかの選択肢が存在する。まず、第2の読み出し動作から、メモリセルがプログラミング電圧の第2のパルスによってアンダープログラミングされていると判定される場合、読み出し動作の確認を行うことによって増分プログラミングパルスを少しずつ分離する先行技術を使用して、所望のプログラミング状態が達成されるまで、メモリセルを漸増的にプログラミングし続けることができる。なお、この場合であっても、プログラミングパルスの総数は、従来技術の増分プログラミング技術のみを使用する場合と比較して大幅に低減される。第2に、第2の読み出し動作から、所望のプログラミング状態が達成されなかったと判定される場合、消去動作を繰り返すことができ、以下の式に従って、第3のプログラミングパルスを印加することができる。
cg3=Vcg2+Vcgn-Vtcg2 等式2
具体的には、第2のプログラミングパルスが印加され、メモリセルがオーバープログラミングされているか又はアンダープログラミングされていると判定された後、チャネル領域18を通る読み出し電流が測定又は検出されると、制御ゲート28の読み出し電圧が値の範囲にわたって掃引される、第2の掃引読み出し動作が実行される。この第2の掃引読み出し動作の目的は、チャネル領域18を通る目標読み出し電流Itを生成する制御ゲートの第2の目標電圧Vtcg2を決定することである。次いで、メモリセルに対して消去が行われ、プログラミング電圧の第3のパルスがメモリセルに印加され、このプログラミング電圧の第3のパルス中に等式2に従って電圧Vcg3が制御ゲートに印加される。この第2のプログラム反復(掃引読み出し、消去、第3のプログラミングパルス)は、メモリセルにおける二次的効果を補正できることが発見された。第2のプログラミングパルスの後の初期読み出し動作は、Vcgnを使用して実行されて、セルが適切にプログラミングされているかどうかを判定することができ、適切にプログラミングされていない場合には、掃引読み出し動作を実行して、Vtcg2を決定する。代替的に、第2のプログラミングパルスの後の初期読み出し動作は、掃引読み出し動作であってもよく、Itに達するために必要とされる制御ゲートの電圧がVcgnとは(正確に又は所定の範囲内で)異なる場合にのみ、第2のプログラム反復はトリガされる。第3のプログラミングパルスの後、読み出し動作が実行され、所望のプログラミング状態が達成されていないと判定される場合、等式2に関する上記プロセスは、所望のプログラミング状態が達成されるまで反復的に繰り返され得る(すなわち、等式Vcg(k)=Vcg(k-1)+Vcgn-Vtcg(k-1)を使用し、式中、kは、第1の反復繰り返しについては4、第2の反復繰り返しについては5、などとなる)。
【0025】
プログラミング中に浮遊ゲートに結合する電圧は、制御ゲートと浮遊ゲートとの間だけでなく、消去ゲートと浮遊ゲートとの間でも生じる。したがって、第1の代替実施形態では、2つのパルスプログラム技術において、制御ゲートの代わりに、消去ゲートの電圧を変化させることが可能である。具体的には、プログラミングされているメモリセルに対するプログラミング電圧の第1のパルスは、消去ゲート30に印加された初期電圧Ve1を含む。次いで、チャネル領域18を通る読み出し電流が測定又は検出されると、消去ゲート30の読み出し電圧を値の範囲にわたって掃引する第1の掃引読み出し動作が実行される。この読み出し動作の目的は、チャネル領域18を通る目標読み出し電流Itを生成する消去ゲートの目標電圧Vteを決定することである。目標電圧Vteが読み出し動作から決定されると、メモリセルに対して、消去動作によって消去が行われる。次いで、プログラミング電圧の第2のパルスがメモリセルに印加され、このプログラミング電圧の第2のパルス中に消去ゲートに印加された電圧Ve2は、以下によって決定され、
e2=Ve1+Ven-Vte 等式3
式中、Venは、通常の読み出し動作中にメモリセルのプログラミング状態を読み取るために使用される消去ゲートに対する公称読み出しバイアスである。Venの非限定的な例は、2.5Vである。この第1の代替実施形態について、第1及び第2のプログラミングパルスに対する電圧及び電流の非限定的な例が、以下の表に提供される。
【表3】
【0026】
この第1の代替実施形態について、メモリセルを読み出し、消去するための電圧の非限定的な例が、以下の表に提供される。
【表4】
【0027】
特定の状況下では、この第1の代替実施形態について、第1のプログラミングパルスと第2のプログラミングパルスとの間で消去動作を省略できることが更に発見されている。具体的には、Ve2が、Ve1+Vedよりも大きいと判定され、式中、Vedは、メモリセル特性及びプロセス技術に基づいて変化するデルタ電圧値である(例えば、典型的なメモリセルについては約1V~2Vである)場合、第1のプログラムパルスと第2のプログラムパルスとの間の介在する消去動作を省略することができる。Vedは、両方のプログラミングパルス(Ve1を使用するもの、及びVe2を使用するもの)の結果と、一方のみのプログラミングパルス(Ve2だけを使用する)の結果で、メモリセルのプログラミング状態にもたらす変化が本質的に同じになるVe2とVe1との間の最小差である。
【0028】
第2の代替実施形態では、2つのパルスによるプログラム技術において制御ゲート電圧及び消去ゲート電圧の両方が変更される。具体的には、プログラミングされているメモリセルに対するプログラミング電圧の第1のパルスは、消去ゲート30に印加された初期電圧Ve1、及び制御ゲート28に印加された初期電圧Vcg1を含む。次いで、チャネル領域18を通る読み出し電流が測定又は検出されると、制御ゲート28及び消去ゲート30の読み出し電圧が、値の範囲にわたって掃引される読み出し動作が実行される。この読み出し動作の目的は、チャネル領域18を通る目標読み出し電流Itを生成する、消去ゲート30の目標電圧Vte及び制御ゲート28の目標電圧Vtcgをそれぞれ決定することである。Vte及びVtcgが読み出し動作から決定されると、メモリセル10に対して、消去動作によって消去が行われる。次いで、プログラミング電圧の第2のパルスがメモリセルに印加され、このプログラミング電圧の第2のパルス中に消去ゲートに印加された電圧Ve2、及び制御ゲートに印加された電圧Vcg2は、以下によって決定される。
e2=Ve1+Ven-Vte 等式4
cg2=Vcg1+Vcgn-Vtcg 等式5
この第2の代替実施形態について、第1及び第2のプログラミングパルスに対する電圧及び電流の非限定的な例が、以下の表に提供される。
【表5】
【0029】
この第2の代替実施形態について、メモリセルを読み出し、消去するための電圧の非限定的な例が、以下の表に提供される。
【表6】
【0030】
特定の状況下では、この第2の代替実施形態について、第1のプログラミングパルスと第2のプログラミングパルスとの間で消去動作を省略できることが更に発見されている。具体的には、Ve2がVe1+Vedよりも大きく、Vcg2がVcg1+Vdよりも大きいと判定される場合、第1のプログラムパルスと第2のプログラムパルスとの間の介在する消去動作を省略することができる。
【0031】
例示的なメモリデバイスのアーキテクチャを図2に示す。このメモリデバイスは、不揮発性メモリセルのアレイ60を含み、アレイ60は2つの分離した平面(平面A62a及び平面B62b)に分離することができる。メモリセルは、半導体基板12に複数の行及び列で配置され、単一のチップに形成された、図1に示されたタイプ(すなわち、メモリセル10)であり得る。不揮発性メモリセルのアレイ60には、アドレスデコーダ(例えば、XDEC64(ワード線を駆動する行デコーダ)、SLDRV66(ソース線を駆動するためのソース線ドライバ)、YMUX68(ビット線を駆動する列デコーダ)、HVDEC70(高電圧デコーダ))、及びビット線コントローラ(BLINHCTL72)が隣接し、これらを使用して、選択されたメモリセルの読み出し、プログラム、及び消去動作中にアドレスがデコードされ、様々な電圧が様々なメモリセルゲート及び領域に供給される。コントローラ76(制御回路を含む)は、各種デバイス要素を制御して、対象メモリセルで各動作(プログラム、消去、読み出し)を実施する(すなわち、本明細書で考察されるように、メモリセルを動作させるために、電圧及び電流を直接又は間接的に提供する)。電荷ポンプCHRGPMP74は、コントローラ76の制御下において、メモリセルの読み出し、プログラム、及び消去に使用される各種電圧を提供する。
【0032】
本発明の重要な利点は、複数のセルのプログラミングが、第1及び第2のプログラミングパルスに対して、同時に、異なる粒度で発生し得る(すなわち、異なる数のメモリセルが関与する)ことである。これはメモリアレイのアーキテクチャを示す図3(簡略化のため、浮遊ゲートは示されていない)に関して説明される。各水平の選択ゲート線22aは、メモリセル10のその行の選択ゲート22全てを電気的に一緒に接続する。各水平の制御ゲート線28aは、メモリセル10のその行の制御ゲート28全てを電気的に一緒に接続する。各水平のソース線14aは、ソース領域14を共有するメモリセル10の2つの行のソース領域14全てを電気的に一緒に接続する。各ビット線16aは、メモリセル10のその列のドレイン領域16全てを電気的に一緒に接続する。各消去ゲート線30aは、消去ゲート30を共有するメモリセル10の2つの行の消去ゲート30全てを電気的に一緒に接続する。したがって、全てのゲート線及びソース線は水平(行)方向に走り、ビット線は垂直(列)方向に走る。
【0033】
上記のメモリアレイアーキテクチャでは、複数のセルのプログラミングを同時に実行することができる。具体的には、第1のプログラミングパルス及び第2のプログラミングパルスの両方を、以下のように複数のメモリセルに同時に印加することができる。まず始めに、プログラミングされる全てのメモリセルは、好ましくは、最初に、第1のプログラミングパルスに対する同じ値を使用してプログラミングされるため、異なる行及び異なる列のメモリセルは、同時に第1のプログラミングパルスでプログラミングされ得る。例えば、第1のプログラムパルスは、同じビット線16aの複数のメモリセル10に印加され得、これには制御ゲート線28aを介して制御ゲート28にVcg1を印加することが含まれる。同じビット線の非標的セルのプログラミングは、メモリセルのそれらの行に対するプログラミング電圧のうちの1つ以上を除去することによって防止することができ、他のビット線の非標的セルのプログラミングは、それらのビット線にプログラム禁止電圧をかけることによって防止することができる。どのセルがプログラミングされるかに応じて、複数の行及び複数の列の複数のセルを、同時に第1のプログラムパルスでプログラミングすることが可能である。しかしながら、周辺回路が、メモリセルの全て又はそのほとんどでさえも一度にプログラミングするために十分な電圧及び/又は電流を供給できない可能性があるため、一度にプログラミングされ得るセルの数に実用的な限界が存在し得ることに留意されたい(すなわち、ほとんどの場合、全てのメモリセルを一度にプログラミングするために十分な電圧/電流を供給できる周辺回路を含むのは、あまりにも高コストであり、非常に多くのスペースを使用することになる)。しかし、ほとんどのアレイ設計では、周辺回路は、第1のプログラムパルスで、同時に2つ以上のメモリセルをプログラミングすることができる。
【0034】
第2のプログラムパルスもまた、同時に複数のメモリセル10に印加され得る。具体的には、複数のメモリセル10について、Vcg2が決定された後、第2のプログラムパルスは、それらのそれぞれのVcg2値が同じである限り(それらが同じ制御ゲート線28aを共有するため)、同じ行の複数のメモリセル10に印加され得る。更に、第2のプログラムパルスは、同時に同じビット線16aの異なる行の複数のメモリセル10に印加され得るが、なぜなら、異なるVcg2値を、異なる行に対する別々の制御ゲート線28aに適用することができるためである。上記から明らかなように、メモリセルの行の複数の対は、消去電圧を複数の消去ゲート線30aに同時供給することによって、同時消去することができる。
【0035】
第1のプログラミングパルス及び/又は第2のプログラミングパルスを使用する複数のメモリセルの同時プログラミングを第1の実施形態に関して説明すると、読み出しは制御ゲート電圧を掃引することによって実行され、第2のプログラムパルスは適切な制御ゲート電圧Vcg2の決定に基づいて各セルに対してカスタマイズされる。しかしながら、上記の第1の代替実施形態についても同様に同時プログラミングを実行することができ、その場合、読み出しは消去ゲート電圧を掃引することによって実行され、第2のプログラムパルスは適切な消去ゲート電圧Ve2の決定に基づいて各セルに対してカスタマイズされる。
【0036】
本発明は、本明細書に図示された上記実施形態(複数可)に限定されるものではなく、任意の特許請求の範囲の範疇に収まるあらゆる変形例を包含することが理解されよう。例えば、本明細書における本発明への言及は、特許請求の範囲又は特許請求項の用語の限定を意図するものではなく、代わりに特許請求の範囲の1つ以上によって網羅され得る1つ以上の特徴に言及するにすぎない。上記で説明した材料、プロセス、及び数値の実施例は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。材料の一つの層は、かかる又は類似の材料の複数の層として形成することができ、そして、逆もまた同様である。最後に、本発明は、異なるメモリセル用途、すなわちマルチレベルセル(メモリセルは、プログラミングされていない状態に加えて、2つ以上の異なるプログラム状態を有する)、及びアナログ(プログラム状態が離散ステップに限定されない)に関して理想的である。
【0037】
本明細書で使用される、用語「の上方に(over)」及び「に(on)」は共に、「に直接」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されない)及び「の上に間接的に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設される)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設される)を含み、「に取り付けられた」は、「に直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されない)、及び「に間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設される)を含み、「電気的に結合された」は、「直接電気的に結合された」(中間材料又は要素がそれらの間で要素を電気的に接続されない)、及び「間接的に電気的に結合された」(中間材料又は要素がそれらの間で要素を電気的に接続される)を含む。例えば、「基板の上方に」要素を形成することは、中間材料/要素が介在せずに直接基板にその要素を形成することも、1つ以上の中間材料/要素が介在して間接的に基板の上にその要素を形成することも含み得る。
図1
図2
図3