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特許7105995過充電防止が可能な構造を有するバッテリーパック充電システム及びこれを含む自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】過充電防止が可能な構造を有するバッテリーパック充電システム及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220715BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20220715BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20220715BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220715BHJP
   H01M 50/574 20210101ALI20220715BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20220715BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H7/18
H01M50/211
H01M10/44 Q
H01M50/574
H01M50/249
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021516518
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 KR2019014007
(87)【国際公開番号】W WO2020101207
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0138450
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ヨン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソル-ニプ・イ
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-234055(JP,A)
【文献】特表2014-523627(JP,A)
【文献】特開2018-023257(JP,A)
【文献】国際公開第2018/065232(WO,A1)
【文献】実開昭52-134939(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
H01M 50/211
H01M 10/44
H01M 50/574
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルを含むバッテリーパックと、
前記バッテリーパックの両端に接続し、前記バッテリーパックに充電電流を供給する充電装置と、
前記バッテリーパックと充電装置との間に連結され、前記充電電流の流れを許容または遮断するスイッチと、
前記スイッチと機械的に連結され、前記バッテリーパックの両端の間に形成される電位差が基準値以上になる場合、反り変形を起こして前記スイッチをオフにする電流遮断部材と、を含
前記電流遮断部材は、
EAP層と、
前記EAP層の一面上に形成される第1金属層と、
前記EAP層の他面上に形成される第2金属層と、を含み、
前記第1金属層が、前記反り変形を起こす領域の前記第1金属層と前記スイッチとが導電性の材質からなる連結ロッドによって機械的かつ電気的に接続されることによって、前記バッテリーパックの負極と電気的に接続し、前記第2金属層が、前記バッテリーパックの正極と電気的に接続する、バッテリーパック充電システム。
【請求項2】
前記バッテリーセルが、パウチタイプのバッテリーセルであることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック充電システム。
【請求項3】
前記充電装置が、自動車に設けられたオルタネータであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッテリーパック充電システム。
【請求項4】
前記電流遮断部材の長手方向の一側が、前記バッテリーパックまたは地面に直接または間接的に固定される固定端であり、
前記電流遮断部材の長手方向の他側が、前記反り変形によって位置が変更される自由端であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバッテリーパック充電システム。
【請求項5】
前記EAP層は、
ナフィオン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンから選択された少なくとも一つの高分子電解質を含むことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバッテリーパック充電システム。
【請求項6】
前記第1金属層及び前記第2金属層は、
白金、金、銀及び銅を含む群から選択されたいずれか一つの金属を含むことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のバッテリーパック充電システム。
【請求項7】
前記スイッチが、前記バッテリーパックの負極と充電装置との間に連結されることを特徴とする、請求項から請求項のいずれか一項に記載のバッテリーパック充電システム。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のバッテリーパック充電システムを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過充電防止が可能な構造を有するバッテリーパック充電システム及びこれを含む自動車に関し、より詳しくは、両面の間に印加される電位差によってその形態が変形されて、バッテリーパックと充電装置との間に連結されたスイッチを動作させることで回路に流れる電流を遮断することができる電流遮断部材を備えるバッテリーパック充電システム及びこれを含む自動車に関する。
【0002】
本出願は、2018年11月12日出願の韓国特許出願第10-2018-0138450号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、二次電池に使用されるヒューズ装置としては、PTCサーミスタ(positive temperature coefficient thermistor)、TCO(thermal cut-out)、サーマルヒューズ(thermal fuse)などが挙げられる。しかし、サーマルヒューズの場合、使い捨てという短所があり、PTCやTCOは反復的な使用が可能ではあるが、動作を繰り返すほど自体抵抗が増加し、回路上の全体的な抵抗を高めるようになるという短所がある。
【0004】
また、前述した素子は全て、過電流による発熱によって作動する。即ち、前述した素子は、過充電などによって回路電流経路上に過電流が発生し、これによって温度が上昇すればこそ電流の流れを遮断するように動作する素子である。
【0005】
したがって、前述した素子の場合、発熱によって既に安全が脅かされる状況になった後に初めて動作することで過電流を遮断するようになり、温度を上昇させる原因が発生してすぐ過電流を遮断することはできない。
【0006】
また、前述した素子の場合、単に温度によって動作するようになるため、自動車に用いられるバッテリーパックのように高出力の二次電池には使用しにくい面がある。即ち、自動車用バッテリーパックの場合、高いC-rateを要し、これによって発熱量も多くなるしかなく、PTCサーミスタ、TCO、サーマルヒューズのような素子は、このような高温環境に置かれる場合、あまり速く作動してしまうという問題点がある。
【0007】
そこで、再使用が可能でありながらも、高い電流が流れる環境においても利用可能であり、温度が上昇する前にそのような温度上昇の原因になり得るイベントが発生すれば、予め電流を遮断することができる装置が適用された二次電池が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーパックの過充電による発熱によってバッテリーパックの温度が上昇する前、予め電流を遮断できる電流遮断部材が設けられた構造を有するバッテリーパック充電システムを提供することを目的とする。
【0009】
なお、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するための本発明の一実施例によるバッテリーパック充電システムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリーパックと、前記バッテリーパックの両端に接続し、前記バッテリーパックに充電電流を供給する充電装置と、前記バッテリーパックと充電装置との間に連結され、前記充電電流の流れを許容または遮断するスイッチと、前記スイッチと機械的に連結され、前記バッテリーパックの両端の間に形成される電位差が基準値以上になる場合、反り変形を起こして前記スイッチをオフにする電流遮断部材と、を含む。
【0011】
前記バッテリーセルは、パウチタイプのバッテリーセルであり得る。
【0012】
前記充電装置は、自動車に設けられたオルタネータであり得る。
【0013】
前記電流遮断部材の長手方向の一側が、前記バッテリーパックまたは地面に直接または間接的に固定される固定端であり、前記電流遮断部材の長手方向の他側が、前記反り変形によって位置が変更される自由端であり得る。
【0014】
前記電流遮断部材は、EAP層と、前記EAP層の一面上に形成される第1金属層と、前記EAP層の他面上に形成される第2金属層と、を含み得る。
【0015】
前記EAP層は、ナフィオン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンから選択された少なくとも一つの高分子電解質を含み得る。
【0016】
前記第1金属層及び第2金属層は、白金、金、銀及び銅を含む群から選択されたいずれか一つの金属を含み得る。
【0017】
前記第1金属層は、前記バッテリーパックの負極と電気的に接続し、前記第2金属層が、前記バッテリーパックの正極と電気的に接続し得る。
【0018】
前記スイッチは、前記バッテリーパックの負極と充電装置との間に連結され得る。
【0019】
前記第1金属層は、導電性の材質からなる連結ロッドによって前記スイッチと機械的/電気的に接続し得る
前記第1金属層が、連結ロッドによって前記スイッチと機械的に連結され、負極接続リードによって前記バッテリーパックの負極と電気的に接続し得る。
【0020】
前記連結ロッドは、前記スイッチ及び第1金属層と各々ヒンジ結合し得る。
【0021】
なお、上記の課題を達成するための本発明の一実施例による自動車は、前述したような本発明の一実施例によるバッテリーパック充電システムを含む。
【発明の効果】
【0022】
バッテリーパックの使用において過電流による発熱によって二次電池の温度が上昇する前に、過電流の発生原因になる基準値以上の電位差を予め感知して電流を遮断することができ、これによってバッテリーパックの使用上の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーパック充電システムを示す概念図である。
図2図1に示したバッテリーパック充電システムに適用されるバッテリーパックを示す図である。
図3図2に示したバッテリーパックを構成する個々のバッテリーセルを示す図である。
図4図1に示したバッテリーパック充電システムに適用される電流遮断部材を示す図である。
図5図4に示した電流遮断部材の第1金属層と第2金属層との間に基準値以上の電位差が形成された場合において、電流遮断部材が形態変形を起こす様子を示す図である。
図6図1に示した電流遮断部材とスイッチとの連結関係の変形例を示す図である。
図7】本発明の一実施例による自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0025】
先ず、図1図5を参照して、本発明の一実施例によるバッテリーパック充電システムの全体的な構成を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーパック充電システムを示す概念図であり、図2は、図1に示したバッテリーパック充電システムに適用されるバッテリーパックを示す図であり、図3は、図2に示したバッテリーパックを構成する個々のバッテリーセルを示す図である。また、図4図1に示したバッテリーパック充電システムに適用される電流遮断部材を示す図であり、図5は、図4に示した電流遮断部材の第1金属層と第2金属層との間に基準値以上の電位差が形成された場合において、電流遮断部材が形態変形を起こす様子を示す図である。
【0027】
先ず、図1を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーパック充電システムは、バッテリーパック100、充電装置200、スイッチ300及び電流遮断部材400を含む形態で具現される。
【0028】
図1及び図2を共に参照すれば、前記バッテリーパック100は、直列、並列または直列と並列が混合した形態で接続した複数のバッテリーセル10を含み得る。また、このようなバッテリーセル10が電気的に接続して形成されたセル積層体は、バッテリーパック100の外部に形成された負極端子110及び正極端子120と電気的に接続し得る。
【0029】
図3を参照すれば、前記バッテリーパック100を構成する各々のバッテリーセル10として、例えば、パウチタイプのバッテリーセルを適用し得る。図3を参照すれば、このようなパウチタイプのバッテリーセル10は、電極組立体(図示せず)、電極リード11、セルケース12及びシーリングテープ13を含む形態で具現され得る。
【0030】
図示していないが、前記電極組立体は、交互に繰り返して積層された正極板と負極板との間にセパレータを挟んだ形態を有し、両側の最外郭には絶縁のためにセパレータが各々位置することが望ましい。
【0031】
前記負極板は、負極集電体及びその片面または両面上にコーティングされる負極活物質層からなり、一側端部には負極活物質がコーティングされていない負極非コーティング部が形成され、このような負極非コーティング部は負極タブとして機能する。
【0032】
前記正極板は、正極集電体及びその片面または両面上にコーティングされる正極活物質層からなり、一側端部には正極活物質がコーティングされていない正極非コーティング部が形成され、このような正極非コーティング部は正極タブとして機能する。
【0033】
また、前記セパレーターは、負極板と正極板との間に挟まれ、相異なる極性を有する電極板同士が直接接触することを防止し、負極板と正極板との間で電解質を介してイオンの移動を可能にするために多孔性材質からなり得る。
【0034】
前記電極リード11は、電極タブと接続してセルケース12の外側へ引き出される。相互に隣接したバッテリーセル10は、電極リード11を介して、直列、並列または直列と並列とが混合した形態で電気的に接続して一つのセル積層体を成し得る。
【0035】
前記セルケース12は、電極組立体を収容する収容部12aと、収容部12aの周り方向へ延び、電極リード11が外部へ引き出された状態で熱溶着されてセルケース12を密封するシーリング部12bとの二つの領域を含む。
【0036】
図示していないが、前記セルケース12は、樹脂層/金属層/樹脂層の順に積層された多層のパウチフィルムからなる上部ケース及び下部ケースの各々の周縁部が当接して熱溶着されることで密封される。
【0037】
前記シーリングテープ13は、電極リード11の周りに付着され、セルケース12のシーリング部12bと電極リード11との間に介在される。前記シーリングテープ13は、セルケース12のシーリング部12bにおいて電極リード11が引き出される領域でセルケース12の内側面と電極リード11との低い接着力によってセルケース12の密封性が低下することを防止するために適用される部品である。
【0038】
図1をさらに参照すれば、前記充電装置200は、バッテリーパック100の両端、即ち、負極端子110及び正極端子120と接続してバッテリーパック100に充電電流を供給するものであって、例えば、自動車に設けられて自動車のエンジン駆動によって電力を生産し、生産された電力をバッテリーパック100に供給するオルタネータ(Alternator)であり得る。
【0039】
図1を参照すれば、前記スイッチ300は、前記バッテリーパック100の負極と充電装置200との間に連結され、電流遮断部材400の形態変形によってオン(On)/オフ(Off)動作をさせることでバッテリーパック100と充電装置との電気的接続を許容または遮断する。
【0040】
図1と共に図4及び図5を参照すれば、前記電流遮断部材400は、バッテリーパック100の両端の間に電気的に接続し、バッテリーパック100の電圧が基準値以上になると、その形態が変形されてスイッチ300をオフにする。
【0041】
即ち、前記電流遮断部材400の一面はバッテリーパック100の負極と充電装置200との間に連結されたスイッチ300と機械的/電気的に接続し得、他面はバッテリーパック100の正極と電気的に接続し得る。
【0042】
このような連結関係によって、前記電流遮断部材400の両面の間にバッテリーパック100の電圧が印加され、バッテリーパック100が過充電されて基準値以上の電圧を示す場合には、電流遮断部材400の両面の間にも基準値以上の電位差が形成され、電流遮断部材400が反り変形を起こすようになる。一方、前記バッテリーパック100の電圧が予め設定された安全範囲内の範囲を示す場合には、電流遮断部材400が反り変形を起こさず、その形態を維持するので、スイッチ300がオン状態を維持することができる。
【0043】
前記電流遮断部材400の長手方向の一側(図1で下方を意味)は、バッテリーパック100または地面に直接または間接的に固定されて動かない固定端である。一方、前記電流遮断部材400の長手方向の他側(図1で上方を意味)は、電流遮断部材400が反り変形を起こす場合、その位置が変更される自由端である。
【0044】
前記自由端の一面は、導線によってスイッチ300と機械的/電気的に接続し、これによって電流遮断部材400の反り変形時、電流遮断部材400の自由端がスイッチ300から遠くなる方向へ動きながらスイッチ300をオフにする。
【0045】
図4及び図5を参照して、本発明に適用される電流遮断部材400の具体的な構造及び形態変形の原理について説明する。
【0046】
図4及び図5を参照すれば、上述したように、両面の間に形成される電位差による形態変形によって過電流を遮断可能にするために、前記電流遮断部材400は、EAP層(Electro active polymer layer)410、EAP層410の一面上に形成される第1金属層420及びEAP層410の他面上に形成される第2金属層430を含む形態で具現される。
【0047】
前記EAP層410、即ち、電気活性ポリマー層は、イオン伝達特性に優れた高分子電解質からなる層となり、例えば、ナフィオン、ポリピロール、ポリアニリン及びポリチオフェンより選択された少なくとも一つの高分子電解質を含み得る。
【0048】
前記第1金属層420及び第2金属層430は、EAP層410の両面上に各々形成され、電気導電性に優れた金属からなり得る。前記金属層420、430は、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)及び銅(Cu)より選択された少なくとも一つの金属を含み得る。
【0049】
前記電流遮断部材400は、EAP層410の両面に形成された金属層420、430によって基準値以上の電圧が印加されると、形態変形を起こす。
【0050】
即ち、前記第1金属層420は、バッテリーパック100の負極と電気的に接続し、第2金属層430は、バッテリーパック100の正極と電気的に接続して一対の金属層420、430の間にバッテリーパック100の電圧だけの電位差が形成されるのである。
【0051】
このように一対の金属層420、430の間に形成された電位差がバッテリーパック100の仕様を考慮した安全範囲から外れる大きい数値に至るようになると、EAP層410をなす高分子電解質の内部に存在する移動性陽イオン(cation)が水に水和した状態で負に荷電された第1金属層420の方向へ移動するようになる。この場合、第1金属層420と第2金属層430との間のイオン濃度の不均衡で浸透圧が惹起され、負に荷電された第1金属層420側の水分子の量が増加するようになり、これによって電流遮断部材400に第2金属層430に向かう方向へ反り変形が発生するようになる。
【0052】
前記電流遮断部材400のこのような形態変形及びそれによるスイッチ300の動作のために、第1金属層420はスイッチ300と機械的/電気的に接続する。
【0053】
一方、前記電流遮断部材400の形態変形を起こす電圧の大きさは、電流遮断部材400に適用されるEAP層410を構成する高分子電解質の種類によって変わる。
【0054】
即ち、本明細書で言及する電圧の基準値は、適用される高分子電解質の種類によって変わり得、これによって電流遮断部材400が適用されるバッテリーパック充電システムを構成するバッテリーパック100が有する安全電圧範囲によって適切な高分子電解質を選択することでバッテリーパック100の過充電などのイベントの発生時に迅速な電流遮断を可能にすることができるのである。
【0055】
次は、図6を参照して、図1に示した電流遮断部材とスイッチとの連結関係の変形例を説明する。
【0056】
図6は、図1に示した電流遮断部材とスイッチとの連結関係の変形例を示す図である。
【0057】
図6を参照すれば、図1に示した前述した実施形態に示したように、スイッチ300と電流遮断部材400の自由端とが一つの導線によって電気的/機械的に同時に連結されたこととは異なり、スイッチ300と電流遮断部材400との機械的連結は連結ロッド500によって行われ、電気的接続は別の接続リードL1によって行われる。
【0058】
前記スイッチ300と電流遮断部材400の第1金属層420との連結が一つの導線によって行われても、第1金属層420を負に荷電し、電流遮断部材400の形態変形によってスイッチ300も共に動くようにすることは可能である。
【0059】
しかし、前記電流遮断部材400の反り変形によって自由端が第2金属層430に向かう方向へ移動するとき、スイッチ300が円滑に動くようにするために電流遮断部材400とスイッチ300との結合にヒンジ結合構造を適用し得る。
【0060】
但し、このようなヒンジ結合構造を適用する場合、導線とスイッチ300の連結部位及び導線と第1金属層420との連結部位で電気的接続の安定性が劣り得る。したがって、前記スイッチ300と電流遮断部材400との機械的連結と電気的接続は、一つの部材によって共に行われるよりは、二つの部材を用いて個別的に行われることが望ましい。
【0061】
このような観点で、図6に示したバッテリーパック充電システムは、スイッチ300と、第1金属層420とヒンジ結合する導電性の材質からなる連結ロッド500と、第1金属層420とバッテリーパック100の負極とを電気的に接続する負極接続リードL1と、を含む形態で具現され得る。この場合、前記第2金属層430は、バッテリーパック100の正極と電気的に接続しなければならず、このような第2金属層430とバッテリーパック100の正極との電気的接続のために正極接続リードL2が適用され得る。
【0062】
前述したように、本発明によるバッテリーパック充電システムは、バッテリーパック100と充電装置200とを電気的に接続するスイッチ300のオン/オフ動作を、バッテリーパック100の電圧によって反り変形を起こす電流遮断部材400を用いて行うように構成されることで、バッテリーパックの使用上の安全性を確保することができる。
【0063】
本発明の図7に示した本発明の一実施例による自動車は、上述したのような本発明によるバッテリーパック充電システムを含む形態で具現される。
【0064】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
10 バッテリーセル
11 電極リード
12 セルケース
12a 収容部
12b シーリング部
13 シーリングテープ
100 バッテリーパック
110 負極端子
120 正極端子
200 充電装置
300 スイッチ
400 電流遮断部材
410 EAP層
420 第1金属層
430 第2金属層
500 連結ロッド
L1 負極接続リード
L2 正極接続リード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7