(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】温度調節弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/68 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
F16K31/68 E
(21)【出願番号】P 2021520264
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2019091052
(87)【国際公開番号】W WO2020001279
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】201810656329.1
(32)【優先日】2018-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518379566
【氏名又は名称】ジャージャン サンフア オートモーティヴ コンポーネンツ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】裘浩明
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼▲曉▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼小丹
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼▲楊▼
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-333068(JP,A)
【文献】実開昭55-126068(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1弁体(1)と、第2弁体(2)と、第2熱動素子(15)とを含む温度調節弁であって、前記第1弁体(1)は第2チャンバ(13)と第3チャンバ(75)とを含み、前記第2熱動素子(15)は、前記第2チャンバ(13)と前記第3チャンバ(75)とを隔離させるように前記第1弁体(1)と封止して固定され、前記温度調節弁は弁コア(80)をさらに含み、前記弁コア(80)は少なくとも一部が前記第2チャンバ(13)に位置し、前記弁コア(80)は前記第2熱動素子(15)の第2弁棒(153)に接続し又は前記第2弁棒(153)と一体構造となり又は前記第2弁棒(153)と当接し、前記温度調節弁は、第2ポート(88)と第3ポート(93)とを含み、前記第2熱動素子(15)は前記第3チャンバ(75)内の流体の温度変化に伴って動作し、前記弁コア(80)は前記第2弁棒(153)の動作に伴って前記第2ポート(88)または前記第3ポート(93)を開くように設けられ、
前記温度調節弁は第3弁体(6)をさらに含み、前記第2弁体(2)の一端は前記第1弁体(1)に固定され、前記第2弁体(2)の他端は前記第3弁体(6)に固定され、前記第3弁体(6)は第1チャンバ(8)を含み、前記第2弁体(2)はランナー(100)を含み、前記温度調節弁は、第1ポート(91)をさらに含み、前記ランナー(100)は前記第1ポート(91)を介して前記第1チャンバ(8)と連通することができ、前記ランナー(100)は、前記第2ポート(88)を介して前記第2チャンバ(13)と連通することができ、
前記温度調節弁は、第1熱動素子(3)をさらに含み、前記第1熱動素子(3)は、前記第1チャンバ(8)における流体の温度変化に伴って動作するように設けられることで、前記第1ポート(91)を開放又は閉鎖するか、または前記第1ポート(91)の開度を調節する、温度調節弁。
【請求項2】
前記第3弁体(6)は、第1入口通路(9)を含み、前記第1弁体(1)は第2入口通路(63)と第1出口通路(65)を含み、前記第2入口通路(63)は前記第2チャンバ(13)と連通し、第1出口通路(65)も前記第2チャンバ(13)と連通し、第1ポート(91)は前記ランナー(100)の前記第3弁体(6)側に近い端部に位置し、前記第1ポート(91)と第3ポート(93)が閉じ
られ、前記第2ポート(88)が開かれ、前記第1入口通路(9)と前記第1出口通路(65)とが連通しなく、前記第2入口通路(63)と前記第1出口通路(65)とが連通しない第1作動状態と、
前記第3ポート(93)が閉じ
られ、前記第1ポート(91)と第2ポート(88)とが開かれ、前記第1入口通路(9)は前記第1ポート(91)及び第2ポート(88)により前記第1出口通路(65)と連通し、前記第2入口通路(63)と第1出口通路(65)とが連通しない第2作動状態との少なくとも2つの作動状態を含む、請求項1に記載の温度調節弁。
【請求項3】
第1スプリング(4)をさらに含み、前記第3弁体(6)の内壁部は前記第1チャンバ(8)の前記第1入口通路(9)に近い側に第1肩部(92)が形成されており、前記第1熱動素子(3)は、第1本体(32)と第1弁棒(34)とを含み、前記第1弁棒(34)の一端が第1本体(32)内に差し入れ、前記第1本体(32)は第1本体大径部(31)と第1本体小径部(33)とを含み、前記第1本体大径部(31)は前記第1本体小径部(33)から離れる側に第1端壁部(35)を有し、前記第1端壁部(35)は第2弁体(2)の一端に係合するように設けられることで、前記ランナー(100)を閉じさせる、請求項2に記載の温度調節弁。
【請求項4】
前記第1本体大径部(31)は前記第1本体小径部(33)に近い側に第2端壁部(36)を有し、前記第1スプリング(4)は小端部(401)と大端部(402)を備え、前記第1スプリング(4)は第1本体(32)に嵌設され、前記小端部(401)は第2端壁部(36)に当接し、前記大端部(402)は前記第1肩部(92)に当接する、請求項3に記載の温度調節弁。
【請求項5】
前記第2弁体(2)は弁棒座(22)をさらに含み、前記弁棒座(22)
は前記ランナー(100)内に位置し、前記弁棒座(22)が盲孔部(23)と連通孔(24)を含み、前記連通孔(24)は前記弁棒座(22)の両側のライナー(100)を連通し、前記盲孔部(23)は盲孔(231)を含み、前記第1弁棒(34)の一端は前記盲孔(231)に差し入れ、前記第1弁棒(34)と前記盲孔(231)との間にはすきま嵌めとなっており、前記第1弁棒(34)が前記盲孔(231)の底部に当接する、請求項4に記載の温度調節弁。
【請求項6】
前記第2弁体(2)は管状本体(201)を備え、前記管状本体(201)は第1ポート部(25)と第2ポート部(26)とを含み、前記管状本体(201)は、前記第1ポート部(25)の付近に第1環状突起(27)が設けられ、前記第1ポート部(25)と前記第1環状突起(27)との間に第1環状凹溝(29)が設けられ、前記管状本体201は前記第2ポート部(26)の付近に第2環状突起(28)が設けられ、第2ポート部(26)と第2環状突起(28)との間に第2環状凹溝(30)が設けられ、
前記第1環状凹溝(29)に第1シールリング(202)が設けられ、前記第1シールリング(202)の一部が第1環状凹溝(29)に収容され、前記第1シールリング(202)は前記第2弁体(2)と第3弁体(6)との接続箇所を封止するように設けられ、
前記第2環状凹溝(30)に第2シールリング(203)が設けられ、前記第2シールリング(203)の一部が前記第2環状凹溝(30)に収容され、前記第2シールリング(203)は、第2弁体(2)と第1弁体(1)との接続箇所を封止するように設けられている、請求項5に記載の温度調節弁。
【請求項7】
サークリップ(5)を備え、前記第3弁体(6)は第1接続部(10)をさらに含み、前記第1接続部(10)は第1接続部小径部(11)と第1接続部大径部(12)を含み、前記第1弁体(1)は、第2接続部(60)を含み、前記第2接続部(60)は第2接続部大径部(61)と第2接続部小径部(62)とを含み、前記第1ポート部(25)が第1接続部(10)に差し入れ前記サークリップ(5)によって第1接続部(10)に固定して接続され、前記第1ポート部(25)と第1接続部小径部(11)とはすきま嵌めとなり、前記第1環状突起(27)と前記第1接続部大径部(12)とはすきま嵌めとなり、
前記管状本体(201)の前記第
2ポート部(26)が第2接続部(60)に差し入れ前記サークリップ(5)により第2接続部(60)に固定して接続され、前記第2ポート部(26)と前記第2接続部小径部(62)とはすきま嵌めとなり、前記第2環状突起(28)と前記第2接続部大径部(61)とはすきま嵌めとなる、請求項6に記載の温度調節弁。
【請求項8】
前記第1接続部大径部(12)の内円周面部には第1平面部(21)が設けられ、前記第2弁体(2)に第2平面部(42)が設けられ、前記第2接続部大径部(61)の内円周面部に第3平面部(95)が設けられ、前記第2平面部(42)の一端は前記第1平面部(21)に係合され、前記第2平面部(42)の他端が前記第3平面部(95)に係合されている、請求項7に記載の温度調節弁。
【請求項9】
前記第1弁体(1)は第3入口通路(64)と第2出口通路(66)とをさらに含み、前記第2出口通路(66)は前記第3チャンバ(75)に連通し、前記第3入口通路(64)も前記第3チャンバ(75)に連通する、請求項8に記載の温度調節弁。
【請求項10】
前記第1出口通路(65)と前記第2チャンバ(13)とは前記第2接続部小径部(62)において連通し、前記第2チャンバ(13)の一部は、第2接続部小径部(62)内に形成される、請求項9に記載の温度調節弁。
【請求項11】
前記第1弁体(1)
は座孔部(14)をさらに含み、前記座孔部(14)は前記第2チャンバ(13)に対応する内壁部と第3チャンバ(75)に対応する内壁部との間に位置し、前記座孔部(14)は座孔(73)を含み、前記第2熱動素子(15)は、第2本体(150)を含み、前記第2本体(150)は、第2本体大径部(151)と第2本体小径部(152)とを含み、前記第2本体小径部(152)の直径は、前記座孔(73)の内径よりも小さく、前記第2本体小径部(152)と対応する前記座孔部(14)の内壁との間のスペースは前記第3チャンバ(75)に連通し、前記第2本体大径部(151)と前記座孔部(14)の内壁との間はすきま嵌め又はしまり嵌めとなり、前記第2本体小径部(152)は座孔(73)を貫通して前記第3チャンバ(75)内に差し入れる、請求項10に記載の温度調節弁。
【請求項12】
前記弁コア(80)は円柱状の主体部(801)を含み、前記主体部(801)は大径部(81)と小径部(87)とを備え、前記弁コア(80)は前記小径部(87)の大径部(81)から離れた一端に、少なくとも1つの柱状部(85)が設けられ、前記柱状部(85)は少なくとも一部が前記ランナー(100)に差し入れ、且つ前記柱状部(85)は前記ランナー(100)に対応する内壁に摺動係合する、請求項1~11のいずれか一項に記載の温度調節弁。
【請求項13】
前記主体部(801)の少なくとも一部周壁は、前記ランナー(100)に対応する内壁に摺動係合するように設けられ、前記大径部(81)は、前記大径部(81)の小径部87に背向する側の中心または中心付近に円環突起(83)が設けられ、前記第2熱動素子(15)の第2弁棒(153)の一端は、前記円環突起(83)に差し入れ前記大径部(81)に当接し、前記第2熱動素子(15)の第2弁棒153と前記円環突起(83)との間はすきま嵌めとなり、
前記
第2弁体(2)の第2ポート部(26)は前記第2ポート部(26)の端部に、第1端部環状凹溝(45)がさらに設けられ、前記小径部(87)に第2スプリング(7)がさらに嵌設され、前記第2スプリング(7)の一端は前記大径部(81)に当接し、前記第2スプリング(7)の他端は前記第1端部環状凹溝(45)に当接する、請求項12に記載の温度調節弁。
【請求項14】
前記
第2熱動素子(15)の第2本体大径部(151)の円周面部に、第3環状凹溝(155)、第4環状凹溝(156)及び第5環状凹溝(157)がさらに設けられ、前記第4環状凹溝(156)は、前記第3環状凹溝(155)と第5環状凹溝(157)との間に位置し、前記第1弁体(1)は第4環状凹溝(156)に対応する弁体に第9ビア(1561)が穿設され、
バックル部材(160)をさらに含み、前記バックル部材(160)は前記第9ビア(1561)を通過して前記第4環状凹溝(156)と係合し、前記第3環状凹溝(155)と第5環状凹溝(157)にそれぞれ第3シールリング(1501)が設けられ、前記第3シールリング(1501)は、前記第2チャンバ(13)と前記第3チャンバ(75)との流体の隔離を実現するように設けられ、前記
第1弁体(1)の第2接続部小径部(62)の内円周面部には、ガイド縁(86)がさらに設けられ、前記ガイド縁(86)は前記
弁コア(80)の大径部(81)の円周面部に係合する、請求項11~13のいずれか一項に記載の温度調節弁。
【請求項15】
第1弁体(1)、第2弁体(2)、第3弁体(6)及び弁コア(80)はプラスチック材料からなり、それぞれ射出成形プロセスにより一体成形され、
前記第1
ポート(91)と並列する通路(200)がさらに設けられ、前記通路(200)の一端は前記第1チャンバ(8)に連通し、前記通路(200)の他端は前記ランナー(100)に連通し、前記通路(200)の通流量は前記第1
ポート(91)の通流量よりもかなり小さく、前記
第1熱動素子(3)の第1本体(32)が前記
第2弁体(2)の第1ポート部(25)に当接すると、前記第1
ポート(91)が閉じられ、前記ランナー(100)は前記通路(200)、前記第1チャンバ(8)を介して前記
第3弁体(6)の第1入口通路(9)と連通する、前記請求項14に記載の温度調節弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本公開は、2018年6月24日に中国特許庁へ提出された出願番号201810656329.1の中国特許出願に基づいて優先権を主張し、当該出願の全ての内容を引用により本公開に援用する。
【0002】
本文は流体制御技術分野に関し、具体的には温度調節弁に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車用トランスミッションの潤滑油は、主として、温度調節弁と外部冷却用熱交換装置とからなる温度制御回路によって温度調節機能を果たす。自動車の始動直後、特に低温環境下での始動時には、トランスミッションの潤滑油を加熱する必要があり、自動車の走行中において、トランスミッションの潤滑油の温度が高い場合に、トランスミッションの潤滑油を適正な作動温度に保つように、トランスミッションの潤滑油を冷却する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、エンジンの熱の冷却液を用いてトランスミッションの潤滑油を加熱するが、エンジンの冷却液の温度はいつでも加熱に適用することわけではなく、エンジンの冷却液の温度が低いと、その際に冷却液が熱交換器に入り、かえってトランスミッションの潤滑油の熱を奪ってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本文の技術態様は、第1弁体と、第2弁体と、第2熱動素子とを備える温度調節弁を提供し、前記第1弁体は第2チャンバと第3チャンバを含み、前記第2熱動素子は、前記第2チャンバと前記第3チャンバとを隔離させるように前記第1弁体と封止して固定され、前記温度調節弁は弁コアをさらに含み、前記弁コアは少なくとも一部が前記第2チャンバに位置し、前記弁コアは前記第2熱動素子の第2弁棒に接続され、または第2弁棒と一体構造となり、または第2弁棒と当接し、前記温度調節弁は、第2ポートと第3ポートとを備えており、前記第2熱動素子は前記第3チャンバ内の流体の温度変化に伴って動作し、前記弁コアは、前記第2弁棒の動作に伴って前記第2ポートまたは前記第3ポートを開くように設けられ、
前記温度調節弁は第3弁体をさらに含み、前記第2弁体の一端は前記第1弁体に固定され、前記第2弁体の他端は前記第3弁体に固定され、前記第3弁体は第1チャンバを含み、前記第2弁体はランナーを含み、前記温度調節弁は、第1ポートをさらに含み、前記ランナーは前記第1ポートを介して前記第1チャンバと連通可能であり、
前記ランナーは、前記第2ポートを介して前記第2チャンバと連通することができ、前記温度調節弁は、第1熱動素子をさらに含み、前記第1熱動素子は、前記第1チャンバにおける流体の温度変化に伴って動作するように設けられることで、前記第1ポートを開放又は閉鎖するか、あるいは前記第1ポートの開度を調節する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態に係る温度調節弁の斜視模式図である。
【
図2】
図1に示された温度調節弁の背面模式図である。
【
図3】
図1に示された温度調節弁の断面模式図である。
【
図4】
図1に示された温度調節弁における第2弁体の正面模式図である。
【
図5】
図5に示された第2弁体の斜視模式図である。
【
図6】
図5に示された第2弁体の他の視角の斜視模式図である。
【
図7】
図5に示された第2弁体の左側模式図である。
【
図8】
図1に示された温度調節弁における第1弁体の斜視模式図である。
【
図9】第3弁体と第2弁体とが係合する斜視模式図である。
【
図10】
図1に示された温度調節弁におけるサークリップの斜視模式図である。
【
図11】
図1に示された温度調節弁における第1弁体の斜視模式図である。
【
図13】
図1に示された温度調節弁における第2熱動素子の斜視模式図である。
【
図14】
図1に示された温度調節弁におけるバックル部材の斜視模式図である。
【
図15】
図1に示された温度調節弁における弁コアの斜視模式図である。
【
図16】
図1に示された温度調節弁における弁コアの他の視角の斜視模式図である。
【
図17】本発明の他の実施形態に係る温度調節弁の断面模式図である。
【
図18】
図17に示された温度調節弁における第2弁体の斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0008】
本発明の一実施形態は、
図1~
図16に示すように、本実施形態に係る温度調節弁は第1弁体1と、第2弁体2と、第3弁体6と、サークリップ5とを備えている。第2弁体2は、第3弁体6と第1弁体1とにそれぞれ固定して接続され、且つ接続部位が封止して設けられ、第2弁体2はランナー100を含み、第3弁体6と第1弁体1とはランナー100を介して連通可能である。
【0009】
図3に示すように、第3弁体6は、第1入口通路9と第1接続部10とを含み、第3弁体6は第1チャンバ8をさらに含み、第1チャンバ8に対応する弁体は第1入口通路9と第1接続部10との間に位置する。第1チャンバ8が第1入口通路9に近い側には、第3弁体6の内壁部に第1肩部92が形成されている。
【0010】
第1接続部10は第1接続部小径部11と第1接続部大径部12を含み、第1接続部小径部11は第1チャンバ8に相対的に近接し、第3弁体6の内壁部は第1接続部小径部11と第1接続部大径部12との接続箇所に第2肩部16を形成されている。
【0011】
温度調節弁は、第3弁体6内に、第1熱動素子3と第1スプリング4とが設けられている。
図3に示すように、第1熱動素子3は、少なくとも一部が第1チャンバ8に収容され、第1本体32と第1弁棒34とを含み、第1本体32は第1本体大径部31と第1本体小径部33とを含み、第1熱動素子3には感熱物質が充填されており、第1弁棒34の一端が第1本体32内に差し入れ、感熱物質は温度変化に伴って体積変化を起こし、感熱物質の体積変化によって第1弁棒34が動作するように押動することで、第1弁棒34が第1本体32に対して移動し、あるいは第1本体32が第1弁棒34に対して移動するように促す。
【0012】
第1本体大径部31は、第1本体小径部33から離れる側に第1端壁部35を有し、第1本体小径部33に近い側に第2端壁部36を有し、第1端壁部35は、第2弁体2の一端に係合するように設けられ、第1端壁部35が第2弁体2の一端に当接すると、ランナー100が閉じられ、第1チャンバ8内の第1流体は第2弁体2内のランナー100を通過することができず、ここで、第1流体は、エンジンからの冷却液であってもよい。
【0013】
本実施形態では、第1スプリング4はコーンスプリングであり、第1スプリング4は小端部401と大端部402を備え、第1スプリング4は第1本体32に嵌設され、小端部401は第2端壁部36に当接し、大端部402は第1肩部92に当接し、且つ、大端部402の外径は、第1チャンバ8に対応する弁体の内径とほぼ同じであり、第1チャンバ8に対応する弁体の内壁部がリミット作用を果たすことができ、第1スプリング4が変位して正常に作動できなくなるのが防止され、同様に、第1スプリング4が第1本体32に嵌設された設置形態はリミット作用を果たすこともできる。
【0014】
第1スプリング4は圧縮状態にあり、第1流体の温度が設定温度に達するまでは、第1スプリング4の弾力の作用で、第1端壁部35は第2弁体2の一端に当接して保持されている。このようにすれば、低温環境下での自動車の始動時に、低温の冷却液が熱交換器に入ることを防止し、低温の冷却液が潤滑油の大量の熱を奪うことを回避し、潤滑油の昇温を遅らせることができる。冷却液の温度が設定温度に達すると、第1熱動素子3の感熱物質が熱膨張し、第1熱動素子3の第1本体大径部31が、第1端壁部35が第2弁体2から離れるまで第1入口通路9の方向に移動して、ランナー100が開かされ、熱い冷却液が熱交換器に入って潤滑油を加熱することで、潤滑油の速い昇温を図っている。
【0015】
図4~7に示すように、第2弁体2は第1ポート部25と第2ポート部26とを含む管状本体201を備え、本実施形態には、管状本体201は、第1ポート部25の付近に第1環状突起27が設けられ、第1ポート部25と第1環状突起27との間に第1環状凹溝29が設けられており、第1ポート部25は、第1接続部小径部11に差し入れることが可能である。管状本体201は、第2ポート部26の付近に第2環状突起28が設けられ、第2ポート部26と第2環状突起28との間に第2環状凹溝30が設けられている。
【0016】
図5に示すように、第2ポート部26の端部には、第1端部環状凹溝45がさらに設けられ、第1端部環状凹溝45が第2ポート部26の端面に凹設され、第1端部環状凹溝45は、第1ポート部25に背向する方向に開口している。
【0017】
第2弁体2が第3弁体6に接続されて係合する時に、第2弁体2の第1ポート部25が第1接続部10に差し入れ、第1ポート部25が第1接続部小径部11とすきま嵌め、且つ第1ポート部25と第1接続部小径部11との間には、第1シールリング202が設けられ、第1環状突起27と第1接続部大径部とすきま嵌め、且つ第1環状突起27は第2肩部16に当接する。第1シールリング202の一部が第1環状凹溝29に収容可能であり、第1シールリング202が第2弁体2と第3弁体6との接続箇所においてシール作用を果たすことができる。第1ポート部25の内円周面部にテーパ壁部37が形成され、テーパ壁部37は、第1熱動素子3の第1端壁部35に係合され、第1端壁部35がテーパ壁部37に当接すると、第2弁体2内のランナー100が閉じられる。
【0018】
図3及び
図7に示すように、第2弁体2の第1ポート部25に近い内壁部に弁棒座22が設けられ、本実施形態には、弁棒座22が盲孔部23と連通孔24とを含み、連通孔24は弁棒座22の両側のライナーを連通し、盲孔部23には盲孔231が設けられ、弁棒座22は管状本体201に固定して接続され、弁棒座22と管状本体201とが一体構造であってもよい。
【0019】
第1弁棒34の一端は上記盲孔231に差し入れ、第1弁棒34と盲孔231との間にはすきま嵌めとなっており、第1弁棒34が盲孔231の底部に当接することで、第1弁棒34のリミットが実現され、したがって、感熱物質が膨張又は収縮すると、第1弁棒34の他端は、第1本体32が第1ポート部25から離れるように又は近づけるように連行させる。
【0020】
図8に示すように、第1接続部大径部12の円周面部には、第1ビア17、第2ビア18、第3ビア19及び第4ビア20が設けられており、サークリップ5は、第1ビア17、第2ビア18、第3ビア19及び第4ビア20に係合して取付ることにより、第3弁体6と第2弁体2との固定接続を実現することができ、このような取付形態は簡単で且つ取り外しやすい。
【0021】
図8に示すように、第1接続部大径部12の内円周面部は、第3ビア19と第4ビア20との間に第1平面部21が設けられ、第1平面部21は、第1接続部大径部12の内円周面部の一端から他端まで延びていてもよいし、または第1接続部大径部12の内円周面部の少なくとも一部が平面状構造に設けられていてもよく、第1平面部21と第2弁体2とは係合して第2弁体2と第3弁体6の間の相対な回動を防止することができ、第1平面部21の形状は、方形又は円形としてもよく、第1平面部21を設けることでリミット作用を果たすことができる。
【0022】
図5及び
図6に示すように、第1環状突起27と第2環状突起28との間には複数のリブ39が設けられ、本実施形態にはリブ39の数が6個であり、第1環状突起27と第2環状突起28はリブ39により固定して接続され、リブ39は第2弁体2の管状本体201の両側に対称に設けられ、リブ39が対称に設けられることにより、第2弁体2の力受けの均一化を実現することができ、第2弁体2の強度を増やすことで、第2弁体2の長寿命化を図ることができる。
【0023】
リブ39は、管状本体201に近い側が管状本体201に固定して接続され、径方向の高さが第1環状突起27及び第2環状突起28の径方向の高さよりも大きくなく、リブ39、管状本体201、第1環状突起27及び第2環状突起28は一体構造であってもよい。
【0024】
管状本体201の一側に位置する3つのリブ39は管状本体201から離れた一端の端面が同一平面に位置し又は同一平面に位置することに近く、第1環状突起27は、当該平面と交差する位置に第1プラットフォーム部40が設けられ、第2環状突起28は、当該平面と交差する位置に第2プラットフォーム部41が設けられ、且つ第1プラットフォーム部40の端面と第2プラットフォーム部41の端面とが当該平面と同一平面上に位置し、第1プラットフォーム部40、第2プラットフォーム部41及びリブ39の一端が共通に形成された仮想平面部を第2平面部42と定義し、第2弁体2が第1接続部10に接続されると、
図9に示すように、第1平面部21が第2平面部42の一端に係合し、リミット作用を果たすことができ、使用中に、第2弁体2と第3弁体6との相対な回転を防止することができ、それにより、長期の相対な回転による第1シールリング202の摩耗失効を回避する。
【0025】
図10はサークリップ5の斜視模式図であり、サークリップ5は略U字状の構成であり、本体50と、第1支部51と、第2支部52とを備えている。第1支部51は、第2ビア18及び第3ビア19を貫通し、第2支部52は、第1ビア17及び第4ビア20を貫通しており、第1支部51及び第2支部52は管状本体201の両側に位置し、第1支部51と第2支部52との間の最大距離は第1環状突起27の外径より小さく、第1環状突起27は第2肩部16とサークリップ5との間に位置し、且つ第1支部51および第2支部52は第1環状突起27に当接している。このようにすることで、第2弁体2の一端と第3弁体6との強固な接続が可能となり、且つ着脱が容易となる。第2弁体2の他端は上記接続形態を採用して、第1弁体1に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0026】
図2及び
図3に示すように、第1弁体1は、第2接続部60と、第2入口通路63と、第3入口通路64と、第1出口通路65と、第2出口通路66とを含み、第2接続部60は第2接続部大径部61と第2接続部小径部62を含み、第1弁体1は第2チャンバ13と第3チャンバ75とが設けられており、第2チャンバ13の一部は、第2接続部小径部62内に形成されている。
【0027】
第1弁体1の内壁部は、第2接続部小径部62と第2接続部大径部61との接続箇所に第3肩部70が形成され、第1弁本体1は、第2チャンバ13に対応する内壁部に弁シートが設けられ、弁シートは第4肩部71を含んでいる。
【0028】
第2弁体2が第1弁体1に係合されると、第2弁体2の第2のポート部26が第2接続部60に差し入れ、第2ポート部26が第2接続部小径部62とすきま嵌め、第2環状突起28が第2接続部大径部61とすきま嵌め、且つ第2環状突起28が第3肩部70に当接する。第2ポート部26と第2接続部小径部62との間に、第2シールリング203がさらに設けられており、本実施形態では第2シールリング203の一部が第2環状凹溝30に収容されることができ、第2シールリング203は、第2弁体2と第1弁体1との接続箇所においてシール作用を果たす。
【0029】
図11に示すように、第2接続部大径部61の円周面部には、第5ビア611、第6ビア612、第7ビア613及び第8ビア614が設けられている。サークリップ5は第5ビア611、第6ビア612、第7ビア613及び第8ビア614と係合して取り付けることにより、第1弁体1と第2弁体2との固定接続を図ることができ、接続形態は第2弁体2と第3弁体6との接続形態と同じである又は類似であるため,ここでは説明を省略する。なお、第3弁体6と第2弁体2との間及び第2弁体2と第1弁体1との間の固定接続は、ボルト接続や他の一般的な接続形態を採用してもよい。
【0030】
図11に示すように、第2接続部大径部61の内円周面部は、第7ビア613と第8ビア614との間に第3平面部95が設けられ、第3平面部95は第2接続部大径部61の内円周面部の一端から他端まで延びているか、または、少なくとも一部の内円周面部が平面状に設けられている。第1弁体1と第2弁体2とが接続されると、第3平面部95が第2平面部42の一端に係合し、リミット作用を果たすことができ、使用中に、第2弁体2と第1弁体1との間の相対な回転を防止することができ、長期の相対な回転による第2シールリング203が摩耗失効になってしまうことを回避する。第3平面部95の形状は、正方形又は円形とすることができる。
【0031】
図3に示すように、第1出口通路65と第2チャンバ13は、第2接続部小径部62において連通している。第2入口通路63は第2チャンバ13に連通し、第2入口通路63と第2チャンバ13との連通箇所は、第2本体大径部151に対応する弁体と第2接続部小径部62との間に位置しており、第4肩部71によって囲まれた流通口は、第2入口通路63及び第1出口通路65のそれぞれ第2チャンバ13との連通箇所の間に位置し、第2入口通路63内には第2流体が流れており、なお、第2流体は、冷却器からの温度が低い冷却液であってもよい。
【0032】
図2及び
図3に示すように、第3入口通路64は第3チャンバ75に連通し、第2出口通路66も第3チャンバ75に連通している。第1弁体1は、第2チャンバ13に対応する内壁部と第3チャンバ75に対応する内壁部との間に座孔座孔部14が設けられ、座孔座孔部14は、座孔73を含み、座孔部14の第3チャンバ75側の一端に近接する近傍には、第5肩部72が形成されている。
【0033】
温度調節弁は、第1弁体1に第2熱動素子15をさらに設けられ、
図13に示すように、第2熱動素子15は、第2本体150と第2弁棒153とを含み、第2本体150は、第2本体大径部151と第2本体小径部152とを含み、第2熱動素子15には感熱物質が充填され、第2弁棒153の一端は第2本体150内に差し入れ、感熱物質は温度変化を伴って体積変化を起こすことができ、感熱物質の体積変化によって第2弁棒153が作動するように押動することで、第2弁棒153が第2本体150に対して移動し、または第2本体150が第2弁棒153に対して移動するように促すことができ。なお、本実施形態では、第2本体150は第1弁体1に固定され、第2弁棒153は第2本体150に対して移動する。
【0034】
第2本体大径部151は第2本体小径部152に近い側に第3端壁部154を有し、第2本体大径部151の円周面部には、第3環状凹溝155、第4環状凹溝156及び第5環状凹溝157が設けられており、第4環状凹溝156は、第3環状凹溝155と第5環状凹溝157との間に位置している。第2本体小径部152の直径は、座孔73の内径よりも小さく、第2本体大径部151の直径は、座孔73の内径よりも大きい。
【0035】
図3に示すように、第2熱動素子15は、一部が第2チャンバ13に位置し、一部が第3チャンバ75に位置している。本実施形態において、第2本体小径部152は、座孔73を貫通して第3チャンバ75内に差し入れ、第2熱動素子15は、第3チャンバ75を流れる第3流体の温度に応じることができ、第2弁棒153を軸方向に移動させ、なお、第3流体は潤滑油であってもよい。なお、第2本体大径部151の直経が座孔73の内径よりも大きいという前提のもとでは、座孔73の内径は、第2本体小径部152の直径よりも最大限に大きい可能であり、すなわち、第2本体小径部152と対応する座孔座孔部14の内壁部とのスペースを最大限に増加し、当該スペースは第3チャンバ75に連通し、このようにすれば、当該スペースに潤滑油を入り込ませて第2本体小径部152に十分に接触させることができることで、第2熱動素子15の油温に対する応答速度を増加させることができる。
【0036】
第2本体大径部151の第3端壁部154が第5肩部72に当接し、第2本体大径部151はそれに対応する座孔座孔部14の内壁とすきま嵌め又はしまり嵌めになり、第3環状凹溝155及び第5環状凹溝157にはそれぞれ第3シールリング1501が設けられ、第3シールリング1501を設けることにより、第2チャンバ13と第3チャンバ75とを流体的に隔離することができ、一方の流体が他方の流体を汚染することを防止することができる。
【0037】
温度調節弁は第4環状凹溝156にバックル部材160が設けられており、
図14に示すように、バックル部材160は、略U字状に形成され、バックル部材160は、バックル部材本体161と、第1バックル部材支部162と、第2バックル部材支部163とを備えており、第1弁体1は第4環状凹溝156に対応する弁体に4つの第9ビア1561が穿設され、第1バックル部材支部162は、そのうちの2つの第9ビア1561に通過され、第2バックル部材支部163は、残りの2つの第9ビア1561に通過され、第1バックル部材支部162及び第2バックル部材支部163は、第4環状凹溝156と係合して第2熱動素子15の位置固定を実現することができ、4つの第9ビア1561を設けることで、第3チャンバ75内の潤滑油や第2チャンバ13内の冷却液の漏れをチェックすることもできる。
【0038】
温度調節弁は、弁コア80をさらに含み、弁コア80は少なくとも一部が第2チャンバ13に位置し、
図15~16に示すように、弁コア80は円柱状の主体部801を備え、主体部801は、大径部81と小径部87とを備え、大径部81は小径部87に背向する側の中心または中心付近に、大径部81から離れる方向に円環突起83が設けられている。大径部81は小径部87に背向する側には第2端部環状凹溝82が設けられ、第2端部環状凹溝82は、大径部81の端面に凹んでおり、第2端部環状凹溝82は小径部87に背向する方向に開口している。大径部81は、小径部87に向かう側に環状壁部84をさらに備えている。
【0039】
弁コア80は小径部87の大径部81から離れる一端に、少なくとも1つの柱状部85が設けられ、柱状部85が小径部87の端面部に軸方向に延びており、小径部87および柱状部85はいずれもランナー100に差し入れることができ、且つ小径部87および柱状部85はいずれもランナー100に対応する内壁に摺動係合することができる。本実施形態では、小径部87の端面部に3つの柱状部85が均等に設けられており、いずれか2つの柱状部85の間に流体通流口が形成されている(以下、流体通流口を第2ポート88ともいう)。第2弁棒153の第2本体小径部152から離れた一端は、円環突起83に差し入れ大径部81に当接され、第2弁棒153と円環突起83との間はすきま嵌めである。なお、柱状部85の数が1つである際に、柱状部85は円弧の大きい円弧状の柱状体と設けられてもよく、ランナー100に対応する内壁に摺動係合することを実現することができる。
【0040】
温度調節弁は第2スプリング7をさらに含み、第2スプリング7は弁コア80の小径部87に嵌設され、第2スプリング7は一端が環状壁部84に当接し、他端が第1端部環状凹溝45に当接しており、第1端部環状凹溝45は、リミット作用を果たすことができ、第2スプリング7の変位によって正常に作動しなくなることを防止し、同様に、第2スプリング7が弁コア80の小径部87に嵌設される設置形態もリミット作用を果たすことができる。
【0041】
第2スプリング7が圧縮状態であり、第3チャンバ75の第3流体の温度が低いときに、第2スプリング7の弾性力の作用により弁コア80の大径部81は第4肩部71に当接するように保持すると、第2入口通路63からの第2流体は第1出口通路65へ流れず、このとき弁コア80の柱状部85の一部が第2弁体2内のランナー100に差し入れ、すなわち流体通流口(即ち、第2ポート88)が開状態となり、ランナー100内からの第1流体は第1出口通路65へ流れることができる。第1弁体1は、第2端部環状凹溝82にさらに第4シールリングが設けられ、第4シールリングは、弁コア80の大径部81と第4肩部71との間にシール作用を果たす。
【0042】
第3チャンバ75の第3流体の温度が高いときには、第2熱動素子15の感熱物質が熱膨張し、第2弁棒153は、第2弁体2に向かって進行することで、弁コア80が第2弁体2に向かって進行するように押動し、大径部81は、柱状部85の全体がランナー100に進入するまで第4肩部71から離れると、第2入口通路63からの第2流体が第1出口通路65に流れることができ、このとき流体通流口(すなわち第2ポート88)は閉状態であり、第2弁体2内からの第1流体は、第1出口通路65に流れない。第2熱動素子15、弁コア80及び第2スプリング7の係合により、異なる温度で、異なる流体が第1出口通路65に流れるように制御することを実現することができ、相対的には構成が簡単で部品点数が少なく、取り付けが便利である。
【0043】
弁コア80が軸方向に移動する際に、柱状部85がガイド作用を果たす。
図11および
図12に示すように、第2接続部小径部62の内円周面部には、ガイド縁86がさらに設けられており、ガイド縁86は、第4肩部71と第2接続部小径部62の内円周面部との接続箇所において、軸方向に延びており、ガイド縁86が軸方向に延びる長さは第4肩部71と第2ポート部26との間の距離よりも小さい。弁コア80が軸方向に移動する際に、ガイド縁86が大径部81の円周面部に係合してガイド作用を果たし、本実施形態では、第2接続部小径部62の内円周面部には、3つのガイド縁86が均等に設けられている。
【0044】
第3入口通路64の開口方向と第1出口通路65の開口方向は温度調節弁の同一側に位置してもよく、第1弁体1は第3入口通路64と第1出口通路65の側に取付ボード90がさらに設けられ、取付ボード90に複数の取付孔が設けられ、取付ボード90と第1弁体1とは一体構造であってもよい。本発明に係る温度調節弁は、取付ボード90を介して他の装置、例えば熱交換器に取り付けることができ、温度調節弁の第1出口通路65は、熱交換器の冷却液入口に接続され、温度調節弁の第3入口通路64は、熱交換器の潤滑油出口に接続される。第1出口通路65は、熱交換器の冷却液入口との接続箇所または接続箇所近傍に、第6環状凹溝158がさらに設けられ、第3入口通路64は、熱交換器の潤滑油出口との接続箇所または接続箇所近傍には第7環状凹溝159が設けられ、第6環状凹溝158及び第7環状凹溝159には、第5シールリングが設けられることで、接続箇所に封止を実現する。
【0045】
なお、温度調節弁の第1弁体1、第2弁体2、第3弁体6及び弁コア80はいずれもプラスチック材料からなってもよく、温度調節弁の重量を軽減するだけではなく、射出成形プロセスにより一体成形されてもよい。また、プラスチックハウジングも断熱作用を有し、油路と冷却液路との熱交換を低減することで、熱動素子の温度感知が干渉されることを防止している。
【0046】
自動車用変速機の潤滑油冷却装置において、温度調節弁の第1入口通路9はエンジン冷却液の流出口と接続してもよく、温度調節弁の第2入口通路63が冷却器の冷却液の流出口と接続してもよい。説明の便宜上、ここで第2弁体2内のランナー100の第1入口通路9に近い一端のポートを第1ポート91、流体の流通ポートを第2ポート88、第4肩部71より囲まれた流通ポートを第3ポート93、第1流体を第1冷却液、第2流体を第2冷却液と呼ばれる。
【0047】
本発明に係る温度調節弁は少なくとも、第1作動状態と第2作動状態の2つの作動状態を含む。第1作動状態のとき、第1ポート91と第3ポート93が閉じられ、第2ポート88が開かれ、第1入口通路9と第1出口通路65とが連通されず、第2入口通路63と第1出口通路65とが連通されない。第2作動状態のとき、第3ポート93が閉じられ、第1ポート91と第2ポート88とが開かれ、第1入口通路9と第1出口通路65が連通され、第2入口通路63と第1出口通路65とが連通されない。
【0048】
自動車用トランスミッションの潤滑油冷却システムに本発明の温度調節弁を設けることにより、低温環境下では、自動車の始動時には、第1冷却液および潤滑油の温度が低く、第1熱動素子3の感熱物質および第2熱動素子15の感熱物質はいずれも収縮状態または相対な収縮状態であり、第1スプリング4は第1端壁部35が第2弁体2のテーパ壁部37に当接するように保持し、第1ポート91が閉じられ、第2スプリング7は弁コア80の大径部81が第4肩部71に当接するように保持し、第3弁口93が閉じられ、同時に、第2弁口88が開かれる。このとき低温の第1冷却液と第2冷却液は熱交換器に入り潤滑油の熱を奪うことができず、第1冷却液の温度が上昇して設定温度に達すると、第1熱動素子3の感熱体が熱膨張し、第1熱動素子3の第1本体大径部31は、第1端壁部35がテーパ壁部37から離れて第1弁口91を開けるまで第1入口通路9の方向に移動し、このとき、第2ポート88は開状態を保持し、第3ポート93は閉状態を保持し、熱い第1冷却液が熱交換器に入って潤滑油を加熱することで、潤滑油の速い昇温が図られる。
【0049】
潤滑油が所望の温度に達すると、第2熱動素子15の感熱物質が熱膨張し、第2弁棒153が第2弁体2に向かって進行することで、弁コア80が第2弁体2に向かって進行するように押動し、このとき第2ポート88は部分的に閉じられ、第3ポート93は部分的に開かれ、第1ポート91は開状態になり、第1冷却液と第2冷却液とは同時に熱交換器に入れることができ、潤滑油の温度をできるだけ一定に保持させることができる。
【0050】
潤滑油が所望の温度を超えると、第2弁棒153の第2弁体2への進行距離がさらに大きくなり、弁コア80の第2弁体2への進行距離も、柱状部85の全体がランナー100に差し入れるまで増大し、このとき第2ポート88は完全に閉じられ、熱い第1冷却液が熱交換器に入るのを阻止し、同時に、第3ポート93が完全に開かれ、より多い第2の冷却液が熱交換器に入ることを許容し、潤滑油を最大限に冷却する。
【0051】
潤滑油の温度が高すぎると、弁コア80は第2弁体2に向かって進行し続け、このとき小径部87の一部がランナー100に差し入れ、第2スプリング7がさらに圧縮され、第2熱動素子15の過大な変形量を効果的に緩衝し、温度調節弁の破損を回避することができる。
【0052】
図17は、本文の他の実施形態に係る温度調節弁の断面模式図であり、
図18は、
図17の温度調節弁における第2弁体の斜視模式図である。本実施形態では、第2弁体2のテーパ壁部37に通路200が開設され、通路200の数は1以上であり、本実施形態では、通路200は略正方形の凹溝38であり、第1熱動素子3の第1端壁部35がテーパ壁部37に当接して係合すると、凹溝38はそのまま第1チャンバ8と第2弁本体2内のランナー100を連通し、凹溝38の通流量は、第2弁本体2内のランナー100の通流量よりもかなり小さく、凹溝38の通流量の具体的な大きさは、システムによって決定される。
【0053】
凹溝38を設けることにより、自動車の始動時に第1冷却液が設定温度に達する前に、マイクロサイクルが可能となり、マイクロサイクルは、低温の冷却液が大量に熱交換器に入ってトランスミッションの潤滑油の熱を奪うことを回避することができるし、第1冷却液がより速く昇温するのを保証することができ、第1冷却液をより速く設定温度に達させ、第1ポート91が開かれ、さらにトランスミッションの潤滑油の加熱をより一層早め、本実施形態の他の部分は、上述の実施形態と同じまたは類似であり、ここでその説明が省略される。
【0054】
なお、通路200は貫通孔としてもよく、貫通孔の一端がランナー100に連通し、他端が第1チャンバ8に連通する。なお、通路200は、第1本体大径部31に設けられてもよい。
【0055】
本発明において、自動車のトランスミッションの潤滑油の冷却システムに上記温度調節弁を設けることにより、トランスミッションの潤滑油の加熱が必要な場合に、低温の冷却液が熱交換器に多量に流入して潤滑油と熱交換して潤滑油の熱を奪うことを防止することができ、冷却液の温度が所望の温度に達したら熱交換器に流入して潤滑油と熱交換することにより、潤滑油を加熱することができる。