(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20220715BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20220715BHJP
H01F 27/40 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H01F37/00 K
H01F17/06
H01F27/40 120
H01F37/00 A
H01F37/00 M
H01F37/00 T
(21)【出願番号】P 2021524678
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2020011740
(87)【国際公開番号】W WO2020246108
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019103755
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 義明
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 康博
(72)【発明者】
【氏名】荒殿 充生
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-260341(JP,A)
【文献】特開2015-198330(JP,A)
【文献】特開2013-222802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 17/06
H01F 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状外形を有するように巻回された巻線を有するトロイダルコイルと、
前記巻線の一方の端部と電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーを流れる電流を測定する電流センサと、
を備えるリアクトルであって、
前記バスバーは、前記環状外形の内側面の内側の領域および当該領域を前記環状外形の中心軸に沿った方向に延ばした領域からなる中央領域を通る交差部を有し、
前記電流センサは、前記交差部を流れる電流を測定すること
を特徴とするリアクトル。
【請求項2】
前記電流センサは、前記交差部を流れる電流が作る誘導磁界を測定する磁気検知素子を備える、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記磁気検知素子は、磁気抵抗効果素子からなる、請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記トロイダルコイルは、その周囲を前記巻線が巻回する環状のトロイダルコアをさらに備える、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記トロイダルコイルと前記バスバーとを固定する絶縁性の台座をさらに備える、請求項1に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記台座は、前記トロイダルコイルおよび前記バスバーを一体化する成形品である、請求項5に記載のリアクトル。
【請求項7】
前記台座に前記電流センサは埋設され、前記台座の表面の一部は導電性を有する、請求項5に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトルに関し、詳しくは、電流センサと一体型のリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リアクトルの構成部材を利用して電流センサをコイルに固定することができ、かつリアクトルの組立作業に伴って電流センサをコイルに固定することができるリアクトルが開示されている。かかるリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルに配置されるコアと、巻線に取り付けられ、コイルに流れる電流を検出する電流センサと、コイルの外周の少なくとも一部を覆う樹脂部とを備える。そして、リアクトルは、電流センサが樹脂部に一体成形されている。この構成により、電流センサを取り付ける際、リアクトルの構成部品とは別に電流センサの設置部品を必要とせず、リアクトル自体の組み立て工程とは別に電流センサの設置工程を必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献1に開示されるリアクトルでは、巻線端部の周囲にホール素子型の電流センサが配置されて、巻線端部を流れる電流を電流センサが測定している。ここで、電流センサの検出素子が、ホール素子型など磁気を検知する磁気検知素子である場合には、この磁気検知素子は外乱磁界の影響を受けやすい。特に、磁気検知素子が磁気抵抗効果素子である場合には、検知感度に優れるが、その反面、外乱磁界の影響を受けやすい。リアクトルがトロイダルコイルの場合には、コイルからの誘導磁界に基づく漏れ磁束が検出素子の外乱磁界となり得る。
【0005】
本発明は、トロイダルコイルおよびその巻線を流れる電流を測定する電流センサを有するリアクトルにおいて、電流センサの検知素子が外乱磁界の影響を受けにくい構造を有するリアクトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明は、一態様において、環状外形を有するように巻回された巻線を有するトロイダルコイルと、前記巻線の一方の端部と電気的に接続するバスバーと、前記バスバーを流れる電流を測定する電流センサと、を備えるリアクトルであって、前記バスバーは、前記環状外形の内側面の内側の領域および当該領域を前記環状外形の中心軸に沿った方向に延ばした領域からなる中央領域を通る交差部を有し、前記電流センサは前記中央領域に配置されて、前記交差部を流れる電流を測定することを特徴とするリアクトルである。
【0007】
本発明に係るリアクトルの中央領域では、巻線を流れる電流が作る誘導磁界が打ち消し合うため、巻線を流れる電流量が増えてもトロイダルコイルに由来する外乱磁界が大きくなりにくい。したがって、その中央領域に電流センサを配してバスバーの交差部を流れる電流を電流センサによって測定することにより、リアクトルの近傍に位置しながら正確に電流を測定できる電流センサを有するリアクトルを得ることができる。
【0008】
上記のリアクトルにおいて、前記電流センサは、前記交差部を流れる電流が作る誘導磁界を測定する磁気検知素子を備えてもよい。電流センサが磁気検知素子を備える場合には、磁気検知素子は外乱磁界の影響を受けやすいが、上記のとおり、本発明の一態様に係るリアクトルは、電流センサを中央領域に配置するため、電流センサは、トロイダルコイルの漏れ磁束に基づく外乱磁界の影響を受けにくい。したがって、電流センサが磁気検知素子を備える場合であっても、電流センサはバスバーの交差部を流れる電流をより正確に測定することができる。
【0009】
前記磁気検知素子は、磁気抵抗効果素子からなるものであってもよい。磁気抵抗効果素子の具体例として、巨大磁気抵抗効果素子およびトンネル磁気抵抗効果素子が挙げられる。磁気抵抗効果素子は、他の磁気検知素子(例えばホール素子)に比べて、感度が高いが、その分、外乱磁界の影響を受けやすい。したがって、電流センサを中央領域に配置することにより、電流センサの磁気検知素子が磁気抵抗効果素子であっても、交差部を流れる電流を正確に測定することができる。
【0010】
上記のリアクトルにおいて、前記トロイダルコイルは、その周囲を前記巻線が巻回する環状のトロイダルコアをさらに備えていてもよい。トロイダルコアを有することにより、リアクトルのインダクタンスの設定自由度が高まる。
【0011】
上記のリアクトルにおいて、前記トロイダルコイルと前記バスバーとを固定する絶縁性の台座をさらに備えていてもよい。トロイダルコイルとバスバーとの相対位置を固定することにより、バスバーの所定の位置を測定するようにバスバーに対して固定されている電流センサとトロイダルコイルとの相対位置も固定される。その結果、トロイダルコイルから発生し電流センサに及ぶ外乱磁界と電流センサが計測する電流との相関関係が固定され、電流センサの測定精度をさらに高めることが可能となる。
【0012】
前記台座は、前記トロイダルコイルおよび前記バスバーを一体化する成形品であることが、トロイダルコイルとバスバーとの相対位置をより確実に固定する観点から好ましく、リアクトルの生産性を高める観点からも好ましい。
【0013】
前記台座に前記電流センサは埋設され、前記台座の表面の一部は導電性を有することが、電流センサの周囲の外乱磁界を減少させる観点から好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、付設された電流センサの検出素子が外乱磁界の影響を受けにくい構造を有する、電流センサ一体型リアクトルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの外観を示す説明図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの構造を示す、Z方向からみた説明図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの構造を示す、Y方向からみた説明図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの電流センサによる電流測定の概要を示す、Z方向からみた説明図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの電流センサによる電流測定の概要をトロイダルコイルからの漏れ磁束と共に示す、Z方向からみた説明図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るリアクトルがプリント基板に取り付けられた状態を示す説明図である。
【
図7】シミュレーションにおける各部品の配置図である。
【
図8】シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束のベクトル図(X-Y平面図)である。
【
図9】シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束のX1-X2方向の強さを示すコンター図である。
【
図10】シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束のY1-Y2方向の強さを示すコンター図である。
【
図11】シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束のZ1-Z2方向の強さを示すコンター図である。
【
図12】(a)シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束のベクトル図(X-Z平面での断面図)、(b)シミュレーションにおける各部品の配置図(Z1-Z2方向Z2側からZ1側に見た図)、
(c)シミュレーションにおける各部品の配置図(Z1-Z2方向Z1側からZ2側に見た図)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るリアクトルの外観を示す説明図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係るリアクトルの構造を示す、Z方向からみた説明図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係るリアクトルの構造を示す、Y方向からみた説明図である。
図2および
図3では、内部構造が理解しやすいように台座を2点鎖線で示し、台座に覆われる構造を透視している。
図4は、本発明の第1実施形態に係るリアクトルの電流センサによる電流測定の概要を示す、Z方向からみた説明図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係るリアクトルの電流センサによる電流測定の概要をトロイダルコイルから外乱磁界と共に示す、Z方向からみた説明図である。
【0017】
図1から
図3に示されるように、本発明の一態様に係るリアクトル100は、環状外形を有するように巻回された巻線11を有するトロイダルコイル10を有する。巻線11に電流が流れることにより磁束が発生するが、外形が環状であることにより、発生した磁束が比較的外部に影響を及ぼしにくい。トロイダルコイル10は、その周囲を巻線11が巻回する環状のトロイダルコア12をさらに備える。トロイダルコア12の透磁率μを変更することにより、トロイダルコイル10のインダクタンスを変更することができる。
【0018】
トロイダルコイル10の巻線11の一方の端部111には、バスバー20が電気的に接続されている。
図2および
図3に示されるように、バスバー20は、その法線がZ1-Z2方向に沿った主面を有する板状の部材からなる板状部21と、板状部21の一方(X1-X2方向X2側)の端に設けられZ1-Z2方向Z1側に伸びる接続部22とから構成され、板状部21の一部(具体的には板状部21のX1-X2方向X1側)に板厚方向に貫通孔が設けられ、トロイダルコイル10の巻線11の一方の端部111がこの貫通孔に挿通されて、バスバー20と電気的に接続している。
【0019】
バスバー20は、トロイダルコイル10の環状外形の内側面の内側の領域および当該領域を環状外形の中心軸Oに沿った方向(Z1-Z2方向)に延ばした領域からなる中央領域CA(
図2および
図3では一点鎖線により表されている。)を通る交差部21Cを有する。
【0020】
図4に示されるように、バスバー20を流れる電流を測定する電流センサ30は、交差部21Cを流れる電流C1を測定する。本発明の一態様に係るリアクトル100の電流センサ30は、交差部21Cを流れる電流C1が作る誘導磁界を測定する磁気検知素子を備える。一例において、磁気検知素子は磁気抵抗効果素子からなり、その具体例として、巨大磁気抵抗効果素子およびトンネル磁気抵抗効果素子が挙げられる。
【0021】
こうした磁気抵抗効果素子を有する電流センサは、小型でありながら巻線を流れる電流を間接的に高精度で測定することができるが、磁気抵抗効果素子は外乱磁界の影響を受けやすい。トロイダルコイル10は、コイル(巻線11)を流れる電流が作る磁束の漏れが比較的発生しにくい構造を有するが、磁気抵抗効果素子の感度が高く巻線11の巻き密度が低い場合には、漏れ磁束が外乱磁界として測定に及ぼす影響が無視できなくなることが懸念される。
【0022】
そこで、本発明の一態様に係るリアクトル100では、
図2から
図5に示されるように、バスバー20の交差部21Cを流れる電流C1を測定するように電流センサ30を配置する。交差部21Cは、トロイダルコイル10の環状外形における内側面およびこの内側面をZ1-Z2方向に伸ばして得られる筒状の面の内側の領域である中央領域CAに位置する。
図5に示されるように、中央領域CAでは、トロイダルコイル10の巻線11からの漏れ磁束Bは互いに打ち消し合うため、小さくなる。
図5には一例として、Z1-Z2方向Z1側からZ2側へとみたときに、トロイダルコイル10の内側の巻線11から反時計回りの漏れ磁束Bが発生している状態が示されている。トロイダルコイル10の環状外形における内側面に並ぶ巻線11のそれぞれから磁束が生じるため、内側面の内側では、X-Y平面内方向の漏れ磁束Bは互いに打ち消し合う。このため、中央領域CAでは、X-Y平面内方向の外乱磁界の強度は小さくなる。中央領域CAの中心部、すなわち環状外形の中心軸Oの周辺ではこの傾向が顕著となり、外乱磁界の影響が特に少なくなる。
【0023】
したがって、トロイダルコイル10の環状外形の中心軸O(Z1-Z2方向)に沿った方向を法線とする面(X-Y平面)の面内方向(具体的にはX1-X2方向)に電流C1が流れるように、バスバー20の交差部21Cが配置されると、電流C1が作る誘導磁界は、交差部21CのZ1-Z2方向側においてX-Y平面の面内方向(具体的にはY1-Y2方向)となる。このX-Y面内方向では外乱磁界の影響を受けにくいため、電流センサ30の磁気検知素子の検知軸P1をX-Y平面の面内方向(具体的にはY1-Y2方向)とすることにより、電流センサ30による電流測定が外乱磁界の影響を受けにくくなる。
【0024】
本発明の一態様に係るリアクトル100は、
図1に示されるように、トロイダルコイル10とバスバー20とを固定する絶縁性の台座40を備える。本実施形態において、台座40は、トロイダルコイル10およびバスバー20を一体化する、すなわち、相対位置が変動しないように固定する成形品である。
図3に示されるように、バスバー20は支持基板60の上(Z1-Z2方向Z1側)に固定され、バスバー20の上(Z1-Z2方向Z1側)に電流センサ30が固定される。したがって、台座40によって、支持基板60および電流センサ30も固定されている。トロイダルコイル10は、その一部(具体的にはZ1-Z2方向Z1側の一部)が台座40に埋設されている。このような台座40は、金型に電流センサ30などが配置された状態で樹脂成形を行う一体成形によって形成することができる。
【0025】
図1に示されるように、本実施形態では、支持基板60、バスバー20の板状部21および電流センサ30は台座40の内部に埋設されている。そして、台座40の表面は導電性を有する。台座40の表面が導電性を有することにより、トロイダルコイル10から生じた漏れ磁束B以外に起因する外乱磁界が電流センサ30に与える影響を少なくすることができる。外乱磁界の影響をより安定的に低減する観点から、台座40の少なくとも側面(その法線がX-Y平面の面内方向に沿った面)の表面が導電性を有することが好ましい。台座40の表面に導電性を付与する方法は特に限定されない。かかる方法の具体例として、めっきなどのウェットプロセス、スパッタなどのドライプロセス、導電性ペーストの塗布などが挙げられる。
【0026】
台座40のZ1-Z2方向Z1側の面には、巻線11の一方の端部111、巻線11の他方の端部112、バスバー20の接続部22、および電流センサ30の配線321、322、323が台座40の表面から突出している。これらの突出する導電性部材が互いに電気的に独立となることを維持できる場合には、台座40のZ1-Z2方向Z1側の面の表面は導電性を有していてもよい。
【0027】
図6は、本発明の第1実施形態に係るリアクトルがプリント基板に取り付けられた状態を示す説明図である。
図6に示されるように、台座40のZ1-Z2方向Z1側に突出する3つの突起51、52、53を位置決めとして、台座40のZ1-Z2方向Z1側にプリント基板70が設けられている。プリント基板70には、バスバー20の接続部22と電気的に接続される配線71、巻線11の他方の端部112と電気的に接続される配線72、および電流センサ30の配線321、322、323のそれぞれと電気的に接続される一群の配線73が設けられている。
【0028】
このように、プリント基板28におけるフットプリントとしてはトロイダルコイル10の大きさでありながら、本発明の一態様に係るリアクトル100は電流センサ30を備え、しかも、その電流センサ30は、バスバー20の交差部21Cを流れる電流C1を測定するように配置されているため、トロイダルコイル10からの漏れ磁束Bに起因する外乱磁界の影響を受けにくい。しかも、電流センサ30は、バスバー20とトロイダルコイル10とを固定する台座40の内部に埋設され、台座40の表面は導電性を有するため、トロイダルコイル10に起因しない外乱磁界の影響も適切に抑制されている。
【0029】
以下、リアクトル100の漏れ磁束Bについてシミュレーションした結果について説明する。
図7は、シミュレーションにおける各部品の配置図である。
図8は、シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束Bのベクトル図(Z1-Z2方向Z1側からZ2側に見たX-Y平面図)である。
図9は、シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束BのX1-X2方向の強さを示すコンター図である。
図10は、シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束BのY1-Y2方向の強さを示すコンター図である。
図11は、シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束BのZ1-Z2方向の強さを示すコンター図である。
図12(a)は、シミュレーションの結果を示す図であって、漏れ磁束Bのベクトル図(電流センサ30を通るX-Z平面での断面図)である。
図12(b)は、シミュレーションにおける各部品の配置図(Z1-Z2方向Z2側からZ1側に見たX-Y平面図)である。
図12(c)は、シミュレーションにおける各部品の配置図(Z1-Z2方向Z1側からZ2側に見たX-Y平面図)である。
【0030】
図7に示されるように、トロイダルコイル10の中心を原点として座標は定義された。バスバー20は支持基板60を介してトロイダルコイル10のZ1-Z2方向Z1側に位置し、電流センサ30は、バスバー20のZ1-Z2方向Z1側に位置する。
図8に示されるように、漏れ磁束Bの分布は、基本的には、トロイダルコイル10の中心軸Oを中心として対称となる。
図9および
図10に示されるように、漏れ磁束BのX1-X2方向の強さおよびY1-Y2方向の強さは高くなかった。特に、Z1-Z2方向にみてトロイダルコイル10の内径側の交差部21Cでは、漏れ磁束BはX-Y面内方向において弱く、漏れ磁束Bの交差部21Cの内部でのばらつきは特に低くなった。したがって、検知軸P1がX-Y面内方向である電流センサ30を交差部21Cの内部に配置することにより、バスバー20の誘導磁界を漏れ磁束Bの影響少なく測定することができることが確認された。
【0031】
図11や
図12に示すように、交差部21Cにおける漏れ磁束BのZ1-Z2方向の強さはX-Y面内方向の強さに比べると高くなった。しかしながら、電流センサ30の検知軸P1がX-Y面内方向であれば、Z1-Z2方向の外乱磁界は測定結果に影響を及ぼさない。したがって、電流センサ30は、交差部21Cの内部であればZ1-Z2方向のどの位置にあっても、バスバー20の誘導磁界を漏れ磁束Bの影響少なく測定することができる。
【0032】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0033】
例えば、突起51、52、53は、台座40を構成する成形品の一部であってもよいし、成形品とは別部品から構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の一実施形態に係るリアクトルは、小型でありながら外乱磁界の影響を受けにくいため、プリント基板に部品が密に実装される場合などに好適に使用されうる。
【符号の説明】
【0035】
100 :リアクトル
10 :トロイダルコイル
11 :巻線
12 :トロイダルコア
20 :バスバー
21 :板状部
21C :交差部
22 :接続部
28 :プリント基板
30 :電流センサ
40 :台座
51 :突起
52 :突起
53 :突起
60 :支持基板
70 :プリント基板
71 :配線
72 :配線
73 :配線
111 :端部
112 :端部
321 :配線
322 :配線
323 :配線
B :漏れ磁束
C1 :電流
CA :中央領域
O :中心軸
P1 :検知軸