(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】自動車前照灯用照明装置及び自動車前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 41/663 20180101AFI20220715BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20220715BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20220715BHJP
F21S 41/29 20180101ALI20220715BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20220715BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220715BHJP
【FI】
F21S41/663
F21S41/24
F21S41/25
F21S41/29
F21W102:13
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021534984
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019085400
(87)【国際公開番号】W WO2020127083
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-30
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ライジンガー、ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウナー、ニーナ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、マリナ
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン、マテウス
(72)【発明者】
【氏名】タウト、ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ミートラー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ライター、トーマス
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/169154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/663
F21S 41/24
F21S 41/25
F21S 41/29
F21W 102/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光分布(LV
)又はそ
の部分を生成するための自動車前照灯用の照明装置であって、
該照明装置(1)は、個数Nの投影モジュール(10,20)を含み、但しN=2,3,4又は5以上であり、各投影モジュール(10,20)はセグメント光分布(LV10,LV20)を生成するよう構成されており、
1つのセグメント光分布(LV10,LV20)は複数の光セグメント(SEG10,SEG20)から形成されており、セグメント光分布(LV10,LV20)の複数の光セグメント(SEG10,SEG20)は2つ以上の実質的に水平な行(Z101,Z102;Z201,Z202)と2つ以上の列(S1001,...,S1005,...,S1013;S2001,...,S2005,...,S2013)に配置されており、
複数の光セグメント(SEG10,SEG20)は、セグメント光分布(LV10,LV20)の全ての光セグメント(SEG10,SEG20)の活性化時、前記2つ以上の行と前記2つ以上の列の間に暗い又は明るい帯状ラインが実質的に形成されないよう、配置されており、
セグメント光分布(LV10,LV20;LV10,LV20,LV30)の各光セグメント(SEG10,SEG20)は、該セグメント光分布(LV10,LV20;LV10,LV20,LV30)の他の光セグメント(SEG10,SEG20)に依存しないで活性化又は不活性化可能であり、
各行(Z101,Z102;Z201,Z202)において、複数の光セグメント(SEG10,SEG20)―メインセグメントともいう―は同じメインセグメント幅BRを有し、
全ての投影モジュール(10,20)は光学的に同一に構成されており、
複数の投影モジュール(10,20)は、いわゆる基準セグメント光分布(LV10)を生成する基準投影モジュール(10)ともいう第1投影モジュール(10)を基準とし、更なる投影モジュール(20)のセグメント光分布(LV20;LV20,LV30)が共通の水平方向において横方向にシフトされているよう、互いに対し配置されており、この水平方向におけるn番目の投影モジュール(20)のn番目のセグメント光分布(LV20;LV20,LV30)の前記シフトの大きさVShは、値VSh(n)=m×BR+((n-1)/N)×BR,但しn=2,...,N、m=0,1,又は2,又は3,又は4以上、に相当すること、
前記n番目のセグメント光分布(LV20;LV20,LV30)、但しn=2,...,N、の少なくとも1つは、垂直方向において前記基準セグメント光分布(LV10)に対し上方又は下方にシフトされていること
を特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記n番目のセグメント光分布(LV20;LV20,LV30)は、値VSh(n)=((n-1)/N)×BR、但しn=2,...,N、だけ水平方向においてシフトされていること
を特徴する照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明装置において、
前記n番目のセグメント光分布(LV20;LV20,LV30)、但しn=3,...,N、は全て、垂直方向において前記基準セグメント光分布(LV10)に対し同じ大きさだけかつ同じ方向
へシフトされていること
を特徴する照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置において、
前記同じ方向は、垂直方向上方であること
を特徴する照明装置。
【請求項5】
請求項1~
4の何れかに記載の照明装置において、
垂直方向においてセグメント光分布の少なくとも1つ(LV10)は、少なくとも1つの行(Z102)の光セグメント(SEG10)が光像中のHH線の下側に位置する直線(G1)から出発して下方に延伸しかつ当該光セグメントの少なくとも1つの行(Z101)の光セグメント(SEG10)が該直線(G1)から上方に延伸するよう、配置されているこ
と
を特徴する照明装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の照明装置において、
他のセグメント光分布(LV20;LV20,LV30)は、当該他のセグメント光分布の光セグメント(SEG20)についての2つの行(Z201,Z202)の間の分離線(G2)が前記直線(G1)の上側に位置するよう、垂直方向(V)においてシフトされているこ
と
を特徴する照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置において、
前記分離線(G2)はHH線の下側に位置すること
を特徴する照明装置。
【請求項8】
請求項1~
7の何れかに記載の照明装置において、
完全にHH線の下側
に位置するセグメント光分布(LV10,LV20)の光セグメント(SEG10,SEG20)は、その上側に位置する光セグメント(SEG10,SEG20)よりも、より小さい高さ、即ち垂直方向(V)におけるより短い延伸長さを有すること
を特徴する照明装置。
【請求項9】
請求項8に記載の照明装置において、
前記HH線の下側は、前記直線(G1)及び前記分離線(G2)の一方の下側であること
を特徴する照明装置。
【請求項10】
請求項1~
9の何れかに記載の照明装置において、
1つのセグメント光分布の全ての光セグメント(SEG10,SEG20)は同じ幅、即ちメインセグメント幅BRを有すること
を特徴する照明装置。
【請求項11】
請求項1~
10の何れかに記載の照明装置において、
1つのセグメント光分布の1つの行の複数の光セグメントは異なる幅を有するこ
と
を特徴する照明装置。
【請求項12】
請求項1~10の何れかに記載の照明装置において、
中央部のVV線の領域に位置する光セグメントは第1メインセグメント幅BRを有し、かつ、水平方向に見て横側に位置する光セグメントは第2メインセグメント幅BR’を有すること
を特徴する照明装置。
【請求項13】
請求項
11又は12に記載の照明装置において、
1つのセグメント光分布の1つ以上の光セグメントと一緒に中央部に並んでほぼVV線の領域に位置する1つの光セグメントの幅(BR)がメインセグメント幅BRを規定すること
を特徴する照明装置。
【請求項14】
請求項
11~13の何れかに記載の照明装置において、
前記第2幅(BR’)は前記第1幅(BR)よりも大きいこと
を特徴する照明装置。
【請求項15】
請求項
8~
14の何れかに記載の照明装置において、
1つのセグメント光分布の複数の光セグメントは光像中においてVV軸(線)について対称的に位置していること
を特徴する照明装置。
【請求項16】
請求項1~
15の何れかに記載の照明装置において、
複数の投影モジュール(10,20)は夫々1つの光軸(OA1,OA2)を有すること、
前記基準セグメント光分布(LV10)に対する1つのセグメント光分布(LV20)のシフトは、シフトされるセグメント光分布(LV20)を生成する投影モジュール(20)の光軸(OA2)が前記基準投影モジュール(LV10)の光軸(OA1)に対し水平角
だけ及び垂直角(γ)だけ傾けられることによって、形成されること
を特徴する照明装置。
【請求項17】
請求項1~
16の何れかに記載の照明装置において、
該照明装置は自動車前照灯として構成されていること
を特徴とする照明装置。
【請求項18】
請求項1~17の何れかに記載の照明装置において、
前記光分布(LV)は、アダプティブ型光分布であること
を特徴とする照明装置。
【請求項19】
請求項1~
18の何れかに記載の照明装置を少なくとも1つ含む自動車前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光分布、とりわけアダプティブ(配光可変)型光分布、例えばアダプティブ(配光可変)型ロービーム用及びハイビーム用光分布、又はそのような光分布の部分を生成するための自動車前照灯用の照明装置であって、該照明装置は、個数Nの投影モジュールを含み、但しN=2,3,4又は5以上であり、各投影モジュールはセグメント光分布を生成するよう構成されており、1つのセグメント光分布は複数の光セグメントから形成されており、セグメント光分布の複数の光セグメントは2つ以上の実質的に水平な行(横列)と2つ以上の列(縦列)に配置されており、複数の光セグメントは、セグメント光分布の全ての光セグメントの活性化(起動)時、前記2つ以上の行と前記2つ以上の列の間に暗い又は明るい帯状ラインが実質的に形成されないよう、配置されており、セグメント光分布の各光セグメントは、該セグメント光分布の他の光セグメントに依存しないで(から独立に)活性化又は不活性化可能であり、各行において、複数の光セグメント―メインセグメントともいう―は同じメインセグメント幅BRを有し、全ての投影モジュールは光学的に同一に構成されている照明装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、少なくとも1つのそのような照明装置を有する自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0003】
「セグメント光分布」という概念は、光分布が上下に即ち列(複数)にかつ左右に即ち行(複数)に配置された複数の光セグメントから形成されている従来技術において知られているようなセグメント化された光分布として理解されるものである。個別の光セグメントは光分布の他の光セグメントに依存しないで(から独立に)スイッチオン又はスイッチオフされることが可能であり、個別の光セグメントは明暗調節可能、とりわけ他の光セグメントに依存しないで(から独立に)明暗調節可能でもあり得る。
【0004】
ここで、スイッチのオンオフ又は明暗調節が可能な光セグメント(複数)ないし光分布(複数)については、このために一般的には夫々の光セグメント(ないし光分布)の生成のために使用される夫々の光源がスイッチのオンオフ又は明暗調節されると、当業者であれば理解する。
【0005】
水平方向における即ち行の内部における光セグメントの個数が大きくなればなるほど、水平方向における解像度も一層大きくなる。同じことは、垂直方向における即ち列内の光セグメントの個数、従って垂直方向の解像度についても当て嵌まる。
【0006】
「列に配置」とは、1つのセグメント光分布の1つの列の複数の光セグメントがこれらが互いに対し横方向に(水平方向に)ずらされていないという意味で直接的に上下に位置しており、かつ、1つの列のすべての光セグメントが同じ幅を有することであると理解される。同様に、1つのセグメント光分布の1つの行の全ての光セグメントは同じ高さを有し、かつ、これらが垂直方向において互いに対しずらされていないという意味で直接的に左右に並置されている。
【0007】
行(複数)内の光セグメント(複数)が互いに対し離隔されている即ち1つの行の2つの光セグメントが夫々照明されない領域によって互いに対し分離(離隔)されているセグメント化光分布を生成するための投影モジュールは従来技術から既知である。
【0008】
これに対し本発明の場合、1つの投影モジュールによって生成される複数の光セグメントが行の内部においても行と行の間においても互いに密接する(それらの際同士が接触する)か又は互いに僅かに重なり合うよう位置する投影モジュールが使用される。そのような投影モジュールの場合、しばしば、個別の光セグメント間に細くて暗い、より稀には明るい帯状ラインが生じ、これにより、投影モジュールの光像中に格子(グリッド)状の構造が形成される。これは、望まれることはあり得るが、一般的には、そして本発明の場合にも望ましいことではない。当業者は、セグメント化光像中におけるそのような格子構造を回避するために、何らかの方策を知っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】US 2013/169154 A1
【文献】DE 10 2005 041234 A1
【文献】KR 2016 0077726 A
【文献】EP 2 818 793 A2
【文献】US 2013/010485 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば完全な(vollwertig)アダプティブ(配光可変)型減光ライト(ロービーム)及び/又は遠方ライト(ハイビーム)及び/又はアウトバーンライト(ビーム)の生成のために、或いは、一般的に、状況に応じてハイビームとロービームの間で切替可能な、場合によってはアウトバーンライトも生成可能な、及び/又はハイビームで運転しているにも拘らず先行車や対向車を眩惑することを回避するために状況に制限されて車両の前方の領域を遮光可能なアダプティブ(配光可変)型光分布の生成のために役立つそのようなセグメント化光分布を生成する現在使用されている投影モジュールの場合、解像度、光流、及び光分布の最大(値)についての所望のパフォーマンスは顧客の要求を満たし得る。しかしながら、そのために使用される投影モジュールは比較的大型であり、例えばそのような投影モジュールの投影レンズは凡そ80mm×50mmのサイズを有する。
【0011】
しかしながら、現代の前照灯設計は、25mm未満又はしかもしばしば20mm未満の構造高さを有する益々小型な、とりわけ薄型の投影モジュールを要求する。
【0012】
更に、顧客側からしばしば、光出力(照明パフォーマンス:Lichtleistung)に対する及びそのような自動車前照灯の解像度に対する種々異なる要求及び要望がある。
【0013】
本発明の課題は、とりわけアダプティブ型光分布を生成するためのセグメント化光分布をとりわけ薄型投影モジュールによって生成可能にするための解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の視点により、光分布又はその部分を生成するための自動車前照灯用の照明装置が提供される。
該照明装置は、個数Nの投影モジュールを含み、但しN=2,3,4又は5以上であり、各投影モジュールはセグメント光分布を生成するよう構成されており、
1つのセグメント光分布は複数の光セグメントから形成されており、セグメント光分布の複数の光セグメントは2つ以上の実質的に水平な行と2つ以上の列に配置されており、
複数の光セグメントは、セグメント光分布の全ての光セグメントの活性化時、前記2つ以上の行と前記2つ以上の列の間に暗い又は明るい帯状ラインが実質的に形成されないよう、配置されており、
セグメント光分布の各光セグメントは、該セグメント光分布の他の光セグメントに依存しないで活性化又は不活性化可能であり、
各行において、複数の光セグメント―メインセグメントともいう―は同じメインセグメント幅BRを有し、
全ての投影モジュールは光学的に同一に構成されており、
複数の投影モジュールは、いわゆる基準セグメント光分布を生成する基準投影モジュールともいう第1投影モジュールを基準とし、更なる投影モジュールのセグメント光分布が共通の水平方向において横方向にシフトされているよう、互いに対し配置されており、この水平方向におけるn番目の投影モジュールのn番目のセグメント光分布の前記シフトの大きさVShは、値VSh(n)=m×BR+((n-1)/N)×BR,但しn=2,...,N、m=0,1,又は2,又は3,又は4以上、に相当すること、
前記n番目のセグメント光分布、但しn=2,...,N、の少なくとも1つは、垂直方向において前記基準セグメント光分布に対し上方又は下方にシフトされていることを特徴とする(形態1)。
本発明の第2の視点により、本発明の照明装置を少なくとも1つ含む自動車前照灯が提供される(形態19)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の照明装置において、
前記n番目のセグメント光分布は、値VSh(n)=((n-1)/N)×BR、但しn=2,...,N、だけ水平方向においてシフトされていることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の照明装置において、
前記n番目のセグメント光分布、但しn=3,...,N、は全て、垂直方向において前記基準セグメント光分布に対し同じ大きさだけかつ同じ方向へシフトされていることが好ましい。
(形態4)形態3の照明装置において、
前記同じ方向は、垂直方向上方であることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの照明装置において、
垂直方向においてセグメント光分布の少なくとも1つは、少なくとも1つの行の光セグメントが光像中のHH線の下側に位置する直線から出発して下方に延伸しかつ当該光セグメントの少なくとも1つの行の光セグメントが該直線から上方に延伸するよう、配置されていることが好ましい。
(形態6)形態5の照明装置において、
他のセグメント光分布は、当該他のセグメント光分布の光セグメントについての2つの行の間の分離線が前記直線の上側に位置するよう、垂直方向においてシフトされていることが好ましい。
(形態7)形態6の照明装置において、
前記分離線はHH線の下側に位置することが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかの照明装置において、
完全にHH線の下側に位置するセグメント光分布の光セグメントは、その上側に位置する光セグメントよりも、より小さい高さ、即ち垂直方向におけるより短い延伸長さを有することが好ましい。
(形態9)形態8の照明装置において、
前記HH線の下側は、前記直線及び前記分離線の一方の下側であること
を特徴する照明装置。
(形態10)形態1~9の何れかの照明装置において、
1つのセグメント光分布の全ての光セグメントは同じ幅、即ちメインセグメント幅BRを有することが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの照明装置において、
1つのセグメント光分布の1つの行の複数の光セグメントは異なる幅を有することが好ましい。
(形態12)形態1~10の何れかに記載の照明装置において、
中央部のVV線の領域に位置する光セグメントは第1メインセグメント幅BRを有し、かつ、水平方向に見て横側に位置する光セグメントは第2メインセグメント幅BR’を有することが好ましい。
(形態13)形態11又は12の照明装置において、
1つのセグメント光分布の1つ以上の光セグメントと一緒に中央部に並んでほぼVV線の領域に位置する1つの光セグメントの幅がメインセグメント幅BRを規定することが好ましい。
(形態14)形態11~13の何れかの照明装置において、
前記第2幅は前記第1幅よりも大きいことが好ましい。
(形態15)形態8~14の何れかの照明装置において、
1つのセグメント光分布の複数の光セグメントは光像中においてVV軸(線)について対称的に位置していることが好ましい。
(形態16)形態1~15の何れかの照明装置において、
複数の投影モジュールは夫々1つの光軸を有すること、
前記基準セグメント光分布に対する1つのセグメント光分布のシフトは、シフトされるセグメント光分布を生成する投影モジュールの光軸が前記基準投影モジュールの光軸に対し水平角
だけ及び垂直角(γ)だけ傾けられることによって、形成されることが好ましい。
(形態17)形態1~16の何れかの照明装置において、
該照明装置は自動車前照灯として構成されていることが好ましい。
(形態18)形態1~17の何れかの照明装置において、
前記光分布は、アダプティブ型光分布であることが好ましい。
(形態19)上記本発明の第2の視点参照。
【0016】
この課題は冒頭に記載の照明装置が以下のように構成されることによって、即ち、本発明に応じ、複数の投影モジュールは、いわゆる基準セグメント光分布を生成する基準投影モジュールともいう第1投影モジュール[のセグメント光分布]を基準とし、更なる投影モジュールのセグメント光分布(複数)が1つの方向において、とりわけ共通の水平方向において横方向にシフトされているよう、互いに対し配置されており、この水平方向におけるn番目の投影モジュールのn番目のセグメント光分布の前記シフトの大きさVShは、メインセグメント幅BRの(n-1)/N倍、但しn=2,...,N、に比例すること、及び、前記n番目のセグメント光分布、但しn=2,...,N、の少なくとも1つは、垂直方向において前記基準セグメント光分布に対し上方又は下方にシフトされていることによって解決される。
【0017】
「光学的に同一」という概念は、本開示との関連において、好ましくは、「光学的に同一」である2つのモジュール、とりわけ2つの投影モジュールが同一の位置に配置されかつ同一の配向を有する場合同一の光分布を生成すること、とりわけ投影モジュール(複数)の個別の光セグメントも同一の形状に形成され、光像中の同一の部位に位置しかつ同一の光値(光分布、明るさ等)を有することとして理解されるものである。
【0018】
このことは、とりわけ、モジュール(複数)が同一に、好ましくは構造上同一に構成されていることによって達成されることができる。
【0019】
光分布を生成するために2つ以上の投影モジュールが使用される本発明に応じた解決策によって、一緒に(これらが合わせて)必要な光量を提供することができ、フレキシブルに(自在に)配置可能なより小型の投影モジュール(複数)を使用することが可能になり、セグメント光分布(複数)の本発明に応じた重ね合わせによって、使用される投影モジュール(複数)に応じてこれらが共同で種々の光分布(ロービーム、ハイビーム、アウトバーンライト、部分ハイビーム)を生成可能な所望の解像度を有するアダプティブ(配光可変)型光分布を既に提供することができる。
【0020】
この場合、照明装置に組み込まれる投影モジュールの個数が多ければ多いほど、達成可能な解像度、達成可能な最大照度(照明強度)[lx(ルクス)]ないし光度(光強度)[cd(カンデラ)]及び生成される光流は一層大きくなり得る。
【0021】
本発明の有利な実施形態(複数)について以下に詳細に説明する。
【0022】
具体的には、例えば、n番目のセグメント光分布は、値VSh(n)=((n-1)/N)×BR,但しn=2,...,Nだけ水平方向にシフトされることが可能である。
【0023】
n番目のセグメント光分布は値VSh(n)=m×BR+((n-1)/N)×BR,但しn=2,...,N、m=0,1,又は2,又は3,又は4以上、だけ水平方向にシフトされることも可能である。
【0024】
第1のケースにおいてセグメント光分布(複数)が僅かだけシフトされ、そのため、そのようにして生成される全体光分布のほぼ幅全体にわたって大きな解像度が得られる(解像度は勿論更に個数Nにも依存する)のに対し、第2のケースでは、シフトされる各光分布は、第1のケースと比べて、更に完全なメインセグメント幅だけ、或いは2つのメインセグメント幅(メインセグメント幅の2倍)だけ等シフトされる。このようにして、光分布の全幅は拡大されることができる。
【0025】
更に、n番目のセグメント光分布、但しn=2,...,N、は全て、垂直方向において基準セグメント光分布に対し同じ大きさだけかつ同じ方向へ、好ましくは垂直方向上方に、シフトされることが可能である。
【0026】
即ち、水平方向においては全てのセグメント光分布は異なる値だけシフトされるのに対し、垂直方向においては全てのシフトされるセグメント光分布は同じ大きさだけシフトされることができる。
【0027】
垂直方向においてセグメント光分布の少なくとも1つは、少なくとも1つの行の光セグメント(複数)が光像中のHH線の下側に位置する直線から出発して下方に延伸しかつ当該光セグメント[セグメント光分布]の少なくとも1つの[他の]行の光セグメント(複数)が該直線から上方に延伸するよう、配置されていることが可能であり、この場合、該直線はHH線の下側の0.57°のところに位置することが好ましい。
【0028】
0.57°の下側に位置する行(複数)によって、相応に、ロービーム用光分布を生成することができ、ないしはロービーム用光分布の明暗境界(線)際に位置する領域を照明することができる。
【0029】
他のセグメント光分布(複数)は、当該他のセグメント光分布の光セグメント(複数)についての2つの行の間の分離線が上記直線の上側に位置するよう、垂直方向においてシフトされることが可能であり、この場合、該分離線はHH線の下側に好ましくはHH線の下側0.23°の所に位置することが好ましい。
【0030】
このようにして、例えばアウトバーンライト(ビーム)用光分布を生成することができる。そのために、例えば、0.57°の下側にあるセグメント光分布(複数)の全ての光セグメント及び0.23°の下側にある[セグメント光分布(複数)の]全て[の光セグメント]が活性化され、そのため、ロービーム用光分布と比べて、明暗境界は-0.23°に上昇される。場合によっては、(右側通行の場合)右側の道路脇に対し幾つかのハイビーム光セグメントも、即ち-0.57°と-0.23°のこれらの境界線の上側に位置する光セグメント(複数)も活性化されることができる。
【0031】
例えば、1つのセグメント光分布の複数の光セグメントは実質的に方形に又は好ましくは実質的に矩形(状)に構成される。
【0032】
完全にHH線の下側に、とりわけ完全に上記直線及び上記分離線の一方の下側に位置するセグメント光分布の光セグメント(複数)は、その上側に位置する光セグメント(複数)よりも、より小さい高さ、即ち垂直方向におけるより短い延伸長さを有することが好ましい。
【0033】
垂直方向に「短い」光セグメントは光像中の下側に位置し、他方、「より長い」光セグメントは、とりわけ光分布の中央において(即ち領域HVの周りにおいて)ハイビーム用光分布の上方への所望の延伸(張り出し:Auslauf)を実現する。
【0034】
一実施形態では、1つのセグメント光分布の全ての光セグメントは同じ幅、即ちメインセグメント幅BRを有する。
【0035】
他の一実施形態では、1つのセグメント光分布の1つの行の複数の光セグメントは異なる幅を有し、好ましくは、中央部のVV線の領域(中央領域)に位置する光セグメントは第1メインセグメント幅BRを有し、かつ、水平方向に見て[該領域の]横側に位置する光セグメントは第2メインセグメント幅BR’を有する。
【0036】
例えば、この中央領域は、水平方向においてVV線(これは水平方向において0°に位置する)から左右に-30°~+30°の範囲にわたって、又は-20°~+20°の範囲にわたって、又は-15°~+15°の範囲にわたって延在する。
【0037】
とりわけ、1つのセグメント光分布の1つ以上の光セグメントと一緒に中央部に並んでほぼVV線の領域に位置する1つの光セグメントの幅がメインセグメント幅BRを規定する(定義する)。
【0038】
通常は、HV点の周りの光分布の中央領域は縁部領域(複数)よりも重要であり、そのため、この領域は、セグメント光分布(複数)のシフトの決定(Ermittelung)についても考慮されることが好ましい。
【0039】
縁部領域についての第2[メインセグメント]幅は中央領域における第1[メインセグメント]幅よりも大きいことが好ましい。
【0040】
とりわけ、1つのセグメント光分布の複数の光セグメントは光像中においてVV軸(線)について対称的に位置することが可能である。この場合、1つの行の半分のセグメント光分布の光セグメント(複数)はVV軸の周りで鏡像が形成される(VV軸について鏡像対称性ないし線対称性を有する)。
【0041】
複数の投影モジュールは夫々1つの光軸を有し、基準セグメント光分布に対する1つのセグメント光分布のシフトは、シフトされるセグメント光分布を生成する投影モジュールの光軸が基準投影モジュールの光軸に対し(所定の)水平角だけ及び(所定の)垂直角だけ傾けられることによって、形成されることが好ましい。
【0042】
シフトされるセグメント光分布を生成する各投影モジュールは、相応の水平角及び垂直角だけ相応に回転される。
【0043】
本発明に応じた照明装置は自動車前照灯として構成可能であり、ないしは、1つ以上の本発明に応じた照明装置は自動車前照灯に配設される。
【0044】
以下において、本発明は図面を用いて詳細に説明されている。なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】2つの投影モジュールを有する本発明に応じた照明装置の一例の斜視図。
【
図2】
図1の照明装置において投影装置の「内部構造」を模式的に示した図。
【
図3】
図1の照明装置において使用するための投影モジュールの一例を後方から見た模式的斜視図。
【
図4】
図3の投影モジュールを前方から見た斜視図。
【
図5】
図1に示したような2つの投影モジュールの一例の具体的構造を斜め後方から見た斜視図。
【
図6】
図1ないし
図5の第1投影モジュールによって生成されたセグメント化された光分布(「セグメント光分布」)の一例の模式図。
【
図7】
図1ないし
図5の第2投影モジュールによって生成されたセグメント化された光分布(「セグメント光分布」)の一例の模式図。
【
図8】
図6及び
図7の光分布の本発明に応じた重ね合わせの一例。
【
図9】3つの投影モジュールを用いた場合の(3つの)セグメント光分布の本発明に応じた重ね合わせの一例。
【
図10】前域(Vorfeld)光分布の一例と組み合わされた
図8の光分布の一例。
【
図11】縁部領域において拡大されたセグメント幅を有する可能なセグメント光分布(複数)の例。
【実施例】
【0046】
図1は、2つの投影モジュール10,20を備えた照明装置1の一例を例示的に示す。なお、この図示の状態では投影レンズ12,22の形での二次光学系のみが視認可能である。投影モジュール10,20は夫々1つの光軸OA1、OA2を有し、光軸OA1、OA2は夫々例えば実質的に主光出射方向を特徴付ける。
【0047】
図2は
図1の照明装置1を再度示すが、この場合―本発明の理解のためには重要ではないが―投影レンズ12,22のためのホルダが取り外された状態を示しており、そのため、各投影モジュール10,20の一次光学系11,21への視野が開けている。一次光学系11,21は夫々1つの光出射面11a,21aを有する。光出射面11a,21aにはセグメント化された中間光像が形成可能である。該中間光像は、対応(割り当てられた)一次光学系11,21の光出射面11a,21aの領域にその焦点面ないしペッツバール(Petzval)面が位置する対応(割り当てられた)二次光学系によって、セグメント光分布として、照明装置1の前方の領域に、例えば、凡そ25メートル離れた所にある、自動車の前方の道路(路面)に又は測定スクリーンに結像されることができる。
【0048】
図3及び
図4は、
図1及び
図2の投影モジュール10の一例を詳細に示す。この場合、一次光学系11は、既知の方法で、複数の導光体(光ガイド)を有する1つの光学体から構成されており、導光体(複数)には夫々1つの独自の(専用の)光源100が光を入力することができる。例えば、各光源はLEDを含むか又はLEDから構成されることが可能である。導光体は例えば光学的に透明な光を案内する材料から構成されるが、該材料内において光源の光は伝播することが可能であり、境界壁(境界面)においては例えば全反射される。導光体は共通の光出射面11aに合流(結合)し、本書の導入部(概説部)において既に説明したような(1つの)セグメント光分布を生成する。
【0049】
図3及び
図4に示した投影モジュール10は好ましく使用されるモジュールであるが、原理的には、冒頭に記載したようなセグメント光分布を生成可能な任意の投影モジュールが使用可能である。
【0050】
図5は、
図3及び
図4を用いて説明したような2つの同一構造の投影モジュール10,20の一例を示す。同一の配置即ち同一の部位における同一の配向(方向)及び位置付けが想定される場合、これらの投影モジュール10,20は同一の合同のセグメント光分布を生成するであろう。第2投影モジュール20の光源には図面参照符号「200」が付記されている。
【0051】
本発明に応じ、第2投影モジュール20の光軸OA2は、第1投影モジュール10、謂わば、基準投影モジュール10、の光軸OA1に対し、水平角
だけ及び垂直角γだけ傾けられており、これによって、第2投影モジュール20のセグメント光分布は第1投影モジュール10のセグメント光分布に対し、以下に一層詳細に説明するように、シフトされる。これらの投影モジュール10,20の図示の並列配置は全くの例示である。例えば25メートル離れた所にある測定スクリーンでは、即ち遠域(Fernfeld)では、個別の投影モジュールの具体的位置、即ちこれらのモジュール相互間の空間的ずれは無視可能であり、重要なのは光軸OA1,OA2の配向(方向)である。
【0052】
図6は、第1ないし基準投影モジュール10によって生成されるセグメント光分布LV10(「基準セグメント光分布」)の一例を示す。HH線(ないしH軸)及びVV線(ないしV軸)は、光分布を表すために、水平線0°-0°及び垂直線0°-0°を既知の方法で特徴付けている。
【0053】
セグメント光分布LV10は、この例では2つの行(横列)Z101,Z102と13の列(縦列)S1001...S1013に配置された複数の矩形(状)の光セグメントSEG10から形成されている。これらの個数は本発明の説明のために純粋に例示的に選択されたものであり、従って、より多くの又はより少ない列や行を使用することも可能であるが、少なくとも2つの行及び少なくとも2つの列を設けることが好ましい。
【0054】
光セグメントはすべて同じ幅(水平方向における広がり)BRを有し、これはメインセグメント幅BRとも称されるが、例えばこの幅は2.4°、好ましくは1.2°とすることができる。
【0055】
更に、2つの行Z101,Z102を互いから分離する1つの直線G1が見出される。直線G1はHH線の下側0.57°の所に位置することが好ましい。
【0056】
図7は、第2投影モジュール20によって生成されるセグメント光分布LV20の一例を示す。セグメント光分布LV20はセグメント光分布LV10と光学的に同一である/あろうが、光像中において既に本発明に応じ水平方向にも垂直方向にもシフトされており、2つの行Z201,Z202と13の列S2001...S2013に配置された複数の矩形(状)の光セグメントSEG20から形成されている。光セグメントSEG20はすべて同じ幅(水平方向における広がり)BRを有し、これはメインセグメント幅BRとも称される。
【0057】
図8は、好ましくは
図5に示されているような投影モジュール10,20をひねる(傾ける)ことによって、セグメント光分布LV10,LV20を本発明に応じて重ね合わせたものとしての光分布LVの一例を示す。
【0058】
水平方向にシフトされているn番目のセグメント光分布のシフトの値についての一般的関係(一般式)は、VSh(n)=m×BR+((n-1)/N)×BR、n=2,...,N;m=0,1,又は2,又は3,又は4以上で与えられる。(第1のシフトされたセグメント光分布を表す)第2セグメント光分布では数nはn=2であり、基準セグメント光分布は第1(セグメント)光分布である。
【0059】
図8に示した例では、
N=2(従ってn=2)
m=0
である。
【0060】
水平方向では、本発明に応じ、第2セグメント光分布LV20は、メインセグメント幅BRの半分に相当する値VShだけ、基準セグメント光分布LV10に対し(紙面)右側にシフトされている:VSh(n=2)=BR/2。垂直方向でも、第2セグメント光分布LV20はシフトされているが、この場合、値VSvだけ(紙面)上方にシフトされている。垂直方向シフトVSvは、この場合、2つの行Z201,Z202を互いから分離する第2直線G2がHH線の下側0.23°に位置するよう、選択されることが好ましい。
【0061】
ここで注意すべきことは、直線G1及びG2は、これらのセグメント光分布が互いに対しシフトされている場合にのみ、互いに対し相違することである。投影モジュール10,20の配向が同一の場合、直線G1、G2は一致するであろう。
【0062】
図9は、この場合、3つの(それ自体同一の)セグメント光分布LV10,LV20,LV30を生成する3つの投影モジュール(N=3)のセグメント光分布の重ね合わせとしての光分布LVの更なる一例を示す。これらのセグメント光分布LV10,LV20,LV30は
図6ないし
図7のセグメント光分布に相当する。
【0063】
図9に示した例では、
N=3(従ってn=2,3)
m=1
である。
【0064】
基準セグメント光分布LV10を基準とし、相応に、第2(n=2)セグメント光分布LV20(=第1のシフトされたセグメント光分布)は1×BR/3だけ(紙面)右側に水平方向にシフトされており、第3(n=3)セグメント光分布LV30(=第2のシフトされたセグメント光分布)は2×BR/3だけ(紙面)右側に水平方向にシフトされている。
【0065】
任意的に、更に図示されているように、2つのシフトされたセグメント光分布LV20,LV30は夫々一定の大きさだけ、例えば、値m=1に応じて、メインセグメント幅BRだけ追加的にシフトされることが可能であり、そのため、セグメント光分布LV20,LV30はこの例では全体として夫々VSh(n=2)=BR+BR/3及びVSh(n=3)=BR+2×BR/3だけ(紙面)右側に水平方向にシフトされる。
【0066】
垂直方向におけるシフトVSvに関し、
図8の実施例を参照する。2つのシフトされたセグメント光分布LV20,LV30は垂直方向において同じ値VSvでシフトされているが、これは
図8について説明したような値に相当する。
【0067】
図8及び
図9の重ね合わせから良好に見い出されるように、使用される投影モジュールの個数(及び使用される投影モジュールのタイプ)に依存して照度(照明強度)は目標を定めて(目的に適合して)制御されることができ、使用される投影モジュールの個数に応じて増大するとりわけ水平方向における大きな解像度が得られ、そのため、個別セグメント光分布(複数)の特定の光セグメント(複数)の目標を定めた(目的に適合する)活性化及び不活性化(生成及び消滅)によって、ロービーム、アウトバーンライト及びハイビーム並びに種々の遮光(ないし減光)形態(Ausblendszenarien)のような所望の光分布(複数)を実現することができる。
【0068】
図10は、
図8の光分布LVをもう一度示すが、不図示の更なる照明装置によって生成される前域(Vorfeld)光分布VFLも一緒に示している。この前域光分布VFLは好ましくは常時的に活性化されており、とりわけセグメント化されておらず、好ましくは、自動車の前方の(例えば45メートルまでの)「近域(Nahbereich)」に均一な照明を形成する。
【0069】
前域光分布VFLは、直線G1のぎりぎり下側で(アダプティブ型)光分布LVに接続する(重なる)ことが好ましい。
【0070】
最後に、
図11は、本発明の更に2つの特殊例を示す。
【0071】
上記の図(複数)においては、光セグメントは全て同じ幅BRを有する。これに対し、光セグメントSEGが全て同一の第1幅BRを有するVV線の周囲の中央領域に続いて、その(紙面)左右の両隣に第2幅BR’を有する更なる光セグメントSEG’、SEG’’を形成することも可能である。典型的には、第2幅BR’は第1幅BRよりも大きい。
【0072】
第1幅BRはメインセグメント幅を規定(定義)し、
図11に示されているような2つ以上の同一のそのようなセグメント光分布SLVは、この場合、
図6~
図9を用いて上記した場合と同様に、重ね合わされてとりわけアダプティブ型(配光可変型)の光分布を形成することができる。
【0073】
光セグメントSEG’を有する(紙面)左側の領域は点線で示されており、光セグメントSEG’’を有する(紙面)右側の領域は破線で示されている。これにより、上記の段落(複数)(における形態)と異なり、第1セグメント光分布SLVは、例えば(紙面)左側にのみ、光セグメントSEGからなる中央領域に加えて、より幅の広い光セグメント(複数)SEG’を有することを意味することが意図されている。本発明に応じてシフトされるべきセグメント光分布SLVの更なる一例は、中央領域に加えて、(紙面)右側にのみより幅の広い光セグメント(複数)SEG’’を有するなど、その他同様。
【0074】
この場合、「光学的に同一」という概念は、「光学的に同一」である2つのモジュール、とりわけ2つの投影モジュールが同一の位置に配置されかつ同一の配向を有する場合、(本説明の導入部において例示的に説明されているような)中央領域にのみ同一の光分布を生成することとして、とりわけ投影モジュール(複数)の中央領域における個別の光セグメントも同一の形状に形成され、光像中の同一の部位に位置しかつ同一の光値(光分布、明るさ等)を有することとして理解されるものである。中央領域の左右において、「光学的に同一」のモジュール(複数)は、これに対し、異なる光セグメント・光分布を生成することができ、例えば上述したように、第1モジュールが、場合によっては更に第3モジュール、第5モジュール等が、中央領域の(紙面)左側にのみより幅の広い光セグメントを有し、第2モジュールが、場合によっては更に第4モジュール、第6モジュール等が、(紙面)右側にのみより幅の広い光セグメントを有することができる。この場合、中央領域の(紙面)左側の光分布(例えば第1セグメント光分布)は、中央領域の(紙面)右側の光分布(例えば第2セグメント光分布)を形成するために、VV軸の周りで鏡像化される(VV軸について鏡像対称性ないし線対称性を有する)ことが好ましい。
【0075】
そのような「光学的に同一」の光分布は、同一の、とりわけ同一構造の投影モジュールによって生成されることができ、この場合、各ライトモジュールの使用される光セグメントを生成しないある数の光源は駆動されず、或いは、投影モジュールは、奇数番目のセグメント光分布については第1のタイプの同一構造の投影モジュールが使用されかつ偶数番目のセグメント光分布については第2のタイプの同一構造の投影モジュールが使用されるよう、その都度相応に適合される。
【0076】
以下に、本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]光分布、とりわけアダプティブ型光分布、例えばアダプティブ型ロービーム用及びハイビーム用光分布、又はそのような光分布の部分を生成するための自動車前照灯用の照明装置。
該照明装置は、個数Nの投影モジュールを含み、但しN=2,3,4又は5以上である。
各投影モジュールはセグメント光分布を生成するよう構成されている。
1つのセグメント光分布は複数の光セグメントから形成されている。
セグメント光分布の複数の光セグメントは2つ以上の実質的に水平な行と2つ以上の列に配置されている。
複数の光セグメントは、セグメント光分布の全ての光セグメントの活性化時、前記2つ以上の行と前記2つ以上の列の間に暗い又は明るい帯状ラインが実質的に形成されないよう、配置されている。
セグメント光分布の各光セグメントは、該セグメント光分布の他の光セグメントに依存しないで活性化又は不活性化可能である。
各行において、複数の光セグメント―メインセグメントともいう―は同じメインセグメント幅BRを有する。
全ての投影モジュールは光学的に同一に構成されている。
複数の投影モジュールは、いわゆる基準セグメント光分布を生成する基準投影モジュールともいう第1投影モジュールを基準とし、更なる投影モジュールのセグメント光分布が共通の水平方向において横方向にシフトされているよう、互いに対し配置されている。
この水平方向におけるn番目の投影モジュールのn番目のセグメント光分布の前記シフトの大きさVShは、値VSh(n)=m×BR+((n-1)/N)×BR,但しn=2,...,N、m=0,1,又は2,又は3,又は4以上、に相当する。
前記n番目のセグメント光分布、但しn=2,...,N、の少なくとも1つは、垂直方向において前記基準セグメント光分布に対し上方又は下方にシフトされている。
[付記2]上記の照明装置において、
前記n番目のセグメント光分布は、値VSh(n)=((n-1)/N)×BR、但しn=2,...,N、だけ水平方向においてシフトされている。
[付記3]上記の照明装置において、
前記n番目のセグメント光分布、但しn=3,...,N、は全て、垂直方向において前記基準セグメント光分布に対し同じ大きさだけかつ同じ方向へ、好ましくは垂直方向上方に、シフトされている。
[付記4]上記の照明装置において、
垂直方向においてセグメント光分布の少なくとも1つは、少なくとも1つの行の光セグメントが光像中のHH線の下側に位置する直線から出発して下方に延伸しかつ当該光セグメントの少なくとも1つの行の光セグメントが該直線から上方に延伸するよう、配置されている;
前記直線は好ましくはHH線の下側の0.57°のところに位置する。
[付記5]上記の照明装置において、
他のセグメント光分布は、当該他のセグメント光分布の光セグメントについての2つの行の間の分離線が前記直線の上側に位置するよう、垂直方向においてシフトされている;
好ましくは、該分離線はHH線の下側に好ましくはHH線の下側0.23°の所に位置する。
[付記6]上記の照明装置において、
完全にHH線の下側に、とりわけ前記直線の一方の下側に、位置するセグメント光分布の光セグメントは、その上側に位置する光セグメントよりも、より小さい高さ、即ち垂直方向におけるより短い延伸長さを有する。
[付記7]上記の照明装置において、
1つのセグメント光分布の全ての光セグメントは同じ幅、即ちメインセグメント幅BRを有する。
[付記8]上記の照明装置において、
1つのセグメント光分布の1つの行の複数の光セグメントは異なる幅を有する;
好ましくは、中央部のVV線の領域に位置する光セグメントは第1メインセグメント幅BRを有し、かつ、水平方向に見て横側に位置する光セグメントは第2メインセグメント幅BR’を有する。
[付記9]上記の照明装置において、
1つのセグメント光分布の1つ以上の光セグメントと一緒に中央部に並んでほぼVV線の領域に位置する1つの光セグメントの幅がメインセグメント幅BRを規定する。
[付記10]上記の照明装置において、
前記第2幅は前記第1幅よりも大きい。
[付記11]上記の照明装置において、
1つのセグメント光分布の複数の光セグメントは光像中においてVV軸(線)について対称的に位置している。
[付記12]上記の照明装置において、
複数の投影モジュールは夫々1つの光軸を有する;
前記基準セグメント光分布に対する1つのセグメント光分布のシフトは、シフトされるセグメント光分布を生成する投影モジュールの光軸が前記基準投影モジュールの光軸に対し水平角
だけ及び垂直角(γ)だけ傾けられることによって、形成される。
[付記13]上記の照明装置において、
該照明装置は自動車前照灯として構成されている。
[付記14]上記の何れかの照明装置を少なくとも1つ含む自動車前照灯。