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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】携帯型ベビーベッド
(51)【国際特許分類】
   A45C 9/00 20060101AFI20220719BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A45C9/00 C
A45C11/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018111465
(22)【出願日】2018-06-11
(65)【公開番号】P2019213626
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月26日の株式会社西松屋チェーンへの販売
(73)【特許権者】
【識別番号】514160054
【氏名又は名称】株式会社アールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100107847
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 博己
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06687928(US,B1)
【文献】国際公開第2017/017159(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 9/00 - 15/08
A47D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開してベビーベッドとして使用することができる一方、折りたたんで携帯することができる携帯型ベビーベッドにおいて、
変形自在の柔軟性を有するシート状素材からなる略矩形の底部と、
前記底部の上部空間を取り囲み、容易に折れ曲がらない硬質素材を用いた側壁とを備え、
前記側壁が、前記底部の一対の短辺にそれぞれ連結された一対の短壁と、前記底部の一対の長辺にそれぞれ連結された一対の長壁とを備え、
前記長壁が、上下方向に伸びる奇数本の折曲線を有し、
前記側壁が、前記短壁及び前記長壁を連結する壁連結線と、前記折曲線とにおいて折曲自在に形成され
前記短壁が、折りたたみ状態で使用される下げ紐を備え、
前記下げ紐が、前記短壁の上端よりも高い位置において把持される把持部を有し、
展開状態において前記下げ紐の把持部を前記短壁の外側に固定する下げ紐固定部をさらに備えたことを特徴とする携帯型ベビーベッド。
【請求項2】
前記下げ紐固定部は、前記短壁の外面上に設けられた収納用のポケットであり、
前記ポケットは、上部に出入口が設けられ、当該出入口が弾性的に閉口するように付勢され、
前記下げ紐の把持部は、展開状態において前記ポケット内に挿入して固定されることを特徴とする請求項1に記載の携帯型ベビーベッド。
【請求項3】
前記長壁が、3つの前記折曲線を有し、
中央の前記折曲線が外側に向かい、両側の前記折曲線が内側に向かうように折り曲げられ、折り曲げられた前記長壁が、前記短壁によって挟まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型ベビーベッド。
【請求項4】
折りたたみ時に前記一対の短壁を互いに連結し近接して係止する連結係止具を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の携帯型ベビーベッド。
【請求項5】
前記底部よりも厚いシート状の弾性部材からなり、前記底部を概ね覆うように前記底部上に配置されるマットを備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の携帯型ベビーベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型ベビーベッドに係り、更に詳しくは、容易に携帯することができるベビーベッドの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーベッドとして使用することができる一方、コンパクトに折りたたんでバッグとして容易に携帯することができる携帯型ベビーベッドが従来から知られている(例えば、特許文献1、2)。携帯型ベビーベッドは、外出時に折りたたんだ状態で携帯し、外出先で展開してベビーベッドとして使用される。例えば、公園などの屋外において使用され、あるいは、訪問先の友人宅などの屋内において使用される。
【0003】
従来の携帯型ベビーベッドは、コンパクトに折りたたむことができるが、ベビーベッドとして使用するための展開作業や、バッグとして持ち運ぶための折りたたみ作業が繁雑であるという問題があった。例えば、展開及び折りたたみの方法が直感的でなく、簡単に使用することができるとはいえないものが多かった。また、展開及び折りたたみの作業が煩雑であり、例えば、特許文献1の発明では、バッグの下げ紐を着脱して折りたたむ必要があり、特許文献2の発明では、多くのジッパーを開閉して折りたたむ必要があった。
【0004】
また、従来の携帯型ベビーベッドは、側壁を倒して折りたたむように構成されているため、側壁の自立性が十分でなく、ベビーベッドとしての使用中に側壁が倒れ込み易く、安全性を確保するために何らかの補強を行わなければならない。しかし、側壁の倒れ込みを防止するための補強手段を追加すれば、重量の増大などにより携帯性が損なわれ、あるいは、展開や折りたたみの作業性が損なわれるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2の発明では、展開状態において、バッグの下げ紐やポケットが、ベビーベッドの底部下側に位置している。このため、衛生上の観点から屋外で使用することができないという問題があった。また、屋内で使用する場合であっても、底部に凹凸が生じ易く快適性が損われるという問題があった。
【0006】
さらに、特許文献1の発明では、展開時に下げ紐の付け替えが行われ、ベビーベッドの上部に下げ紐が取り付けられる。この場合、衛生上の問題は生じないが、付け替えの煩雑さが生じるのに加えて、ベビーベッドの上部に下げ紐があるため、下げ紐が乳幼児に絡みついた場合に事故につながる可能性があり、安全性に問題があった。
【0007】
さらに、従来の携帯型ベビーベッドは、複数のポケットを備え、オムツや哺乳瓶などの物品を収容することができる。しかし、ポケットを設けることにより確保できる収容力には限界があり、十分な収容力を確保することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-54174号
【文献】実用新案登録第3162739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、展開又は折りたたみ時における作業性を向上させた携帯型ベビーベッドを提供することを目的とする。特に、展開又は折りたたみの作業が簡単で直感的でわかり易い携帯型ベビーベッドを提供することを目的とする。
【0010】
また、安全性を向上させた携帯型ベビーベッドを提供することを目的とする。例えば、作業性や携帯性を損なうことなく、ベビーベッドとしての使用時における側壁の倒れ込みを抑制することを目的とする。また、作業性や携帯性を損なうことなく、携帯用の下げ紐による事故を防止することができる。
【0011】
さらに、収容力を向上させた携帯型ベビーベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様による携帯型ベビーベッドは、展開してベビーベッドとして使用することができる一方、折りたたんで携帯することができる携帯型ベビーベッドにおいて、変形自在の柔軟性を有するシート状素材からなる略矩形の底部と、前記底部の上部空間を取り囲み、容易に折れ曲がらない硬質素材を用いた側壁とを備え、前記側壁が、前記底部の一対の短辺にそれぞれ連結された一対の短壁と、前記底部の一対の長辺にそれぞれ連結された一対の長壁とを備え、前記短壁又は前記長壁の一方が、上下方向に伸びる奇数本の折曲線を有し、前記側壁が、前記短壁及び前記長壁を連結する壁連結線と、前記折曲線とにおいて折曲自在に形成される。
【0013】
この様な構成を採用することにより、いずれも上下方向に伸びる壁連結線及び折曲線において折り曲げることにより、コンパクトに折りたたむことができる。このため、折りたたみ作業が簡単であり、また、直感的に理解し易く、折りたたみ作業を迅速かつ容易に行うことができる。また、側壁を立てたままで折りたたむことができるため、側壁を倒して折りたたむ従来品に比べて側壁の自立性を向上させることができ、ベビーベッドとして使用している場合に、側壁が意図せず倒れ込むのを防止し、安全性を向上させることができる。さらに、乳幼児や物品を収容することにより、底部の変形が抑制され、意図せず側壁が折りたたまれるのを抑止することができるので、さらに安全性を向上させることができる。
【0014】
本発明の第2の態様による携帯型ベビーベッドは、上記構成に加えて、前記長壁が、3つの前記折曲線を有し、中央の前記折曲線が外側、両側の前記折曲線が内側に向かうように折り曲げられ、折り曲げられた前記長壁が、前記短壁によって挟まれるように構成される。
【0015】
この様な構成を採用することにより、一対の長壁を蛇腹状に折りたたみ、一対の短壁で挟み込むことができる。このため、ベビーベッドをコンパクトに折りたたむことができ、携帯性を向上させることができる。
【0016】
本発明の第3の態様による携帯型ベビーベッドは、上記構成に加えて、折りたたみ時に前記一対の短壁を互いに連結し近接して係止する連結係止具を備える。
【0017】
この様な構成を採用することにより、携帯時に意図せず展開するのを防止することができ、携帯性を向上させることができる。
【0018】
本発明の第4の態様による携帯型ベビーベッドは、上記構成に加えて、前記底部よりも厚いシート状の弾性部材からなり、前記底部を概ね覆うように前記底部上に配置されるマットを備える。
【0019】
この様な構成を採用することにより、ベビーベッドとして使用する際の快適性を向上させることができる。また、折曲げられようとする側壁の内面がマットと干渉することにより、意図せずに側壁が折りたたまれるのを防止することができる。
【0020】
本発明の第5の態様による携帯型ベビーベッドは、上記構成に加えて、前記短壁が、折りたたみ状態で使用される下げ紐を備え、展開状態において、前記下げ紐の把持部近傍を前記短壁の外側に固定する下げ紐固定部を備える。
【0021】
この様な構成を採用することにより、下げ紐がベビーベッドの収容部内に垂れ下がり、乳幼児に絡みつくことによって発生する事故を防止することができ、安全性を向上させることができる。また、下げ紐を着脱する場合に比べ、展開及び折りたたみ作業が容易であり、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、展開又は折りたたみ時における作業性を向上させた携帯型ベビーベッドを提供することができる。特に、展開又は折りたたみの作業が簡単で直感的でわかり易い携帯型ベビーベッドを提供することができる。
【0023】
また、安全性を向上させた携帯型ベビーベッドを提供することができる。特に、作業性や携帯性を損なうことなく、ベビーベッドとしての使用時における側壁の倒れ込みを抑制することができる。また、作業性や携帯性を損なうことなく、携帯用の下げ紐による事故を防止することができる。
【0024】
さらに、収容力を向上させた携帯型ベビーベッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態による携帯型ベビーベッド100の一構成例を示した斜視図であり、ベビーベッド101として使用される展開状態が示されている。
図2図1のベビーベッド101を示した正面図である。
図3図1のベビーベッド101を示した側面図である。
図4図1のベビーベッド101を示した平面図である。
図5図1のベビーベッド101を図4のA-A切断線で切断した場合の様子を示した断面図である。
図6】ベビーベッド101からバッグ102へ変形する様子を示した図であり、マット3を取り外す様子が示されている。
図7】ベビーベッド101からバッグ102へ変形する様子を示した図であり、長壁22,24を折りたたむときの様子が示されている。
図8】ベビーベッド101からバッグ102へ変形する様子を示した図であり、折りたたまれたマット3を収容する様子が示されている。
図9図1のベビーベッド101を折りたたむことによって得られるバッグ102の一構成例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~5は、本発明の実施の形態による携帯型ベビーベッド100の一構成例を示した図である。図1は斜め上方向から見た斜視図、図2は正面図、図3は側面図、図4は平面図である。また、図5は、図4のA-A切断線により切断した場合の様子を示した断面図である。
【0027】
この携帯型ベビーベッド100は、ベビーベッド101として使用される展開状態と、バッグ102として携帯される折りたたみ状態との間で自在に変形することができる。図1~5には展開状態のベビーベッド101が示されている。折りたたみ状態のバッグ102は図9に示されており、詳細については後述する。なお、本明細書では、便宜上、展開状態をベビーベッド101、折りたたみ状態をバッグ102と呼ぶが、いずれも同じ携帯型ベビーベッド100の異なる形態を指している。
【0028】
A.ベビーベッド101の基本的構成
ベビーベッド101は、乳幼児が就寝するためのベッドであり、平坦な載置面上において使用される。ベビーベッド101は、載置面に接する底部1と、底部1に連結された側壁2とを備え、底部1の上部空間を側壁2で取り囲み、その上方を開口させた形状を有し、この空間内に乳幼児が収容される。また、底部1の上面には、マット3が配置されている。
【0029】
(1)底部1
底部1は、携帯型ベビーベッド100の底面を形成する部材である(図4図5を参照)。底部1は、載置面に沿って略水平に配置される略矩形のシート形状からなる部材であり、変形自在の柔軟性を有する薄い素材、例えば、ポリエステルが用いられる。底部1は、例えば、略長方形に形成され、長手方向が身長方向、短手方向が肩幅方向となるように就寝中の乳幼児を収容する。このため、底部1は、例えば、長手方向が約660mm、短手方向が約480mmに形成される。
【0030】
(2)側壁2
側壁2は、底部1を取り囲むように配置された保護壁であり、底部1の周縁部に連結され、底部1の周縁部から上方に向かって延びる(図1図4を参照)。
【0031】
側壁2は、互いに対向する一対の短壁21,23と、互いに対向する一対の長壁22,24とにより構成される。短壁21,23は、底部1の短辺に対応して設けられ、長壁22,24は、底部1の長辺に対応して設けられる。また、互いに隣接する短壁21,23と長壁22,24とは、底部1の頂点に対応する4つの壁連結線200上において折曲自在となるように互いに連結される。
【0032】
一対の短壁21,23は、その下端が底部1の一対の短辺にそれぞれ連結され、当該短辺から上方に向かって延びる略平板形状からなる。短壁21,23は、例えば、幅480mm、高さ250mmの略長方形に形成される。短壁21,23には、容易に屈曲することがない強度を有する硬質素材が用いられる。例えば、厚紙板や樹脂板などの硬質板状体をポリエチレン製の表地及び裏地の間に挟み込んで構成される。また、硬質板状体の内面又は両面にスポンジなどの緩衝材をさらに設けることもできる。
【0033】
また、短壁21,23には、外面にポケット41、上部に下げ紐42、両側端及び下端に連結係止具43~45がそれぞれ設けられている。
【0034】
一対の長壁22,24は、その下端が底部1の一対の長辺にそれぞれ連結され、当該長辺から上方に向かって延びる略平板形状からなる。長壁22,24は、短壁21,23に比べて高さが低く、さらに長手方向の中央部が両端部よりも低くなるように形成される。具体的には、長壁22,24の両端部の上端は、短壁21,23の上端よりもやや低く、中央部へ向かって滑らかに下降する曲線からなり、中央部の上端は、水平に伸びる直線からなり、一定の高さを有する。長壁22,24を短壁21,23よりも低くすることにより、バッグ102として携帯する場合に、短壁21,23間に挟まれた長壁22,24が短壁21,23の上方に突出するのを防止することができる。また、長壁22,24の両端部よりも中央部の高さを低くすることにより、長壁22,24の自立性を顕著に低下させることなく利便性を向上させることができる。例えば、おむつ替えのような乳幼児の世話を容易に行うことができ、あるいは、外部からの乳幼児の視認性を向上させることができる。
【0035】
長壁22,24は、3つの折曲線201~203をそれぞれ有する。折曲線201~203は、上下方向に延び、長壁22,24の下端から上端に至る折り曲げ線であり、少なくとも一方向に容易に屈曲させることができる。中央の折曲線202は、長辺の中央に位置し、両側の折曲線201,203は、中央の折曲線202から等距離に位置する。例えば、長辺を4等分する位置に折曲線201~203を設けることができる。
【0036】
長壁22,24は、折曲線201~203上において屈曲自在となるように形成される一方、折曲線201~203以外においては容易に屈曲しないように形成される。長壁22,24には、容易に屈曲することがない強度を有する硬質素材が用いられ、折曲線201~203上において分割された複数の硬質部材を屈曲自在に連結して構成される。例えば、厚紙板や樹脂板などからなる複数の硬質板状体をポリエチレン製の表地及び裏地の間に挟み込んで構成される。また、硬質板状体の内面又は両面にスポンジなどの緩衝材をさらに設けることもできる。
【0037】
(3)マット3
マット3は、底部1の上面に配置されるマットレスであり、底部1よりもやや小さい相似形状からなり、底部1の上面を概ね覆うことができる。マット3は、シート形状に加工された弾性部材であり、例えば、スポンジをポリエチレン製の表地及び裏地間に挟み込んで構成される。マット3は、上方からの荷重により適度に変形するため、底部1上にマット3を敷くことにより、設置面が硬い場合でも就寝時の快適性を確保することができる。
【0038】
マット3は、折りたたむための1又は2以上の折曲線30を有する。折曲線30は、容易に折り曲げることができる折り曲げ線であり、短辺と略平行に延び、一方の長辺から他方の長辺に至るように形成される。また、折りたたんだ状態の幅及び高さが、短壁21,23の幅及び高さよりも小さくなるように、折曲線30が設けられる。ここでは、長辺を3等分する位置に2本の折曲線30が設けられている。
【0039】
マット3は、弾性部材からなり、底部1よりも厚く形成され、変形自在の底部1とは異なり、外力に対し反発するように構成されている。このため、底部1上にマット3を配置することにより、底部1の変形が抑制される。特に、マット3上に乳幼児や荷物を載せることにより、底部1の変形がより確実に抑制できる。
【0040】
(4)ポケット41
ポケット41は、短壁21,23の外面上に設けられる補助収容部である(図2~5を参照)。ポケット41は、ベビーベッド101及びバッグ102のいずれとして使用する場合にも、おむつや哺乳瓶などを収容することができる。さらに、ベビーベッド101として使用する場合には、下げ紐を側壁2の外側に固定する下げ紐固定部として用いられる。
【0041】
ポケット41は、短壁21,23の下端及び両側端に至る形状を有し、短壁21及び23の上端近傍を除く大部分に形成されている。収容物は、ポケット41上部の出入口から出し入れすることができ、当該出入口は、周縁部にゴム紐等が縫付され、収容物が容易に脱落しないように弾性的に閉口するように付勢されている。また、下げ紐42の把持部をポケット41内に挿入することにより、下げ紐42を側壁2の外面側に固定することができる。
【0042】
バッグ102を携帯する場合、下げ紐42の中央付近を把持し、あるいは、肩にかけてバッグ102を持ち上げる。このとき、下げ紐42の中央部を含む大部分は、短壁21,23の上端よりも高い位置に引き上げられる。このため、ベビーベッド101として使用している場合、下げ紐42が収容部内に垂れ下がった状態になれば、乳幼児に絡みついて重大な事故につながる可能性がある。このため、ベビーベッド101として使用する場合には、下げ紐42の把持部をポケット41内に挿入して固定することにより、このような事故を防止することができる。
【0043】
(5)下げ紐42
下げ紐42は、側壁2の上部に取り付けられ、バッグ102の下げ紐としても用いられる。下げ紐42は、短壁21,23の外面上に取り付けられたループ形状の紐又は帯であり、下げ紐42の両端は、短壁21,23の上端近傍の同じ高さに、水平方向の位置を異ならせて固着されている。例えば、ポケット41の出入口よりも上方に、下げ紐42の両端が取り付けられる。
(6)連結係止具43~45
連結係止具43~45は、一対の短壁21,23にそれぞれ設けられた開閉自在の連結具である。バッグ102として使用される折りたたみ状態の場合には、連結係止具43~45によって、一対の短壁21,23を互いに近接させて連結し、長壁22,24を折りたたんだ状態に維持する一方、ベビーベッド101として使用される展開状態の場合には、連結係止具43~45は連結されず使用されない。
【0044】
連結係止具43,44は、短壁21,23の両側端の中央付近に設けられ、連結係止具45は、短壁21,23の下端の中央付近に設けられている。また、一方の短壁21には、雌型の連結係止具43~45が設けられ、他方の短壁23には、雄型の連結係止具43~45が設けられ、一対の短壁21,23の対応する連結係止具43~45同士が開閉可能に連結される。例えば、樹脂製の連結バックルや面ファスナーを連結係止具43~45として用いることができる。
【0045】
B.バッグ102への変形
図6~9は、携帯型ベビーベッド100をベビーベッド101からバッグ102へ変形する様子を時系列に示した図である。
【0046】
図6は、マット3を取り外すときの様子を示した図である。マット3を取り外すことにより、ベビーベッド101の底部1が変形自在になる。
【0047】
図7は、長壁22,24を折りたたむときの様子を示した図である。長壁22,24は、折曲線201~203上において折り曲げられる。このとき、互いに隣接する折曲線201~203に関し、山折り、谷折りの折り方を互いに異ならせることにより、長壁22,24を蛇腹状に折り曲げることができる。
【0048】
短壁21,23及び長壁22,24は、壁連結線200上において折曲自在に連結されている。また、長壁22,24は、折曲線201~203上において折曲自在に形成されている。このため、長壁22,24を蛇腹状に折り曲げることにより、短壁21,23間に挟み込まれた状態で、長壁22,24を折りたたむことができる。長壁22,24の下端は底部1に連結されているため、変形自在の底部1を部分的に上方に持ち上げて皺を形成するように大きく変形させることにより、長壁22,24を蛇腹状に折りたたむことができる。
【0049】
長壁22,24の折りたたみは、マット3を取り外すことにより可能になる。マット3を底部1上に配置している場合、長壁22,24を折り曲げようとすれば、長壁22,24の内面がマット3と干渉し、長壁22,24の折曲線201~203を内側に移動させることができない。また、マット3を配置することにより、底部1が変形自在ではなくなるため、長壁22,24を折り曲げることができない。なお、マット3を配置していなくても、乳幼児を収容している場合や、乳幼児に代えて荷物を収容している場合でも同様である。
【0050】
図7では、両側の折曲線201,203が、内側へ折り曲げられ(外側からみて谷折り)、中央の折曲線202が、外側へ折り曲げられている(外側からみて山折り)。このような変形は、両側の折曲線201,203を外側から内側に押し、あるいは、中央の折曲線202を内側から外側に押すことによって実現される。
【0051】
図8は、折りたたまれたマット3を収容する様子が示されている。折曲線201~203を途中まで折り曲げたところで、折りたたまれたマット3が収容される。このとき、マット3以外にも収容したい物品がある場合には、マット3とともに収容することができる。その後、折曲線201~203をさらに折り曲げられる。また、下げ紐42がポケット41から取り出される。そして、最後に連結係止具43~45を連結させることにより、バッグ102となる(図9を参照)。
【0052】
C.バッグ102
図9は、図1のベビーベッド101を折りたたむことによって得られるバッグ102の一構成例を示した斜視図である。バッグ102は、短壁21,23の間に、折りたたまれた長壁22,24を挟み込んで構成される。短壁21,23は、連結係止具43~45により互いに連結され、折りたたまれた長壁22,24が展開するのを防止している。
【0053】
折りたたまれた長壁22,24は、短壁21,23から突出しないように形成されている。つまり、長壁の3つの折曲線201~203は、両端の折曲線201,203が、内側に折れ曲がり、中央の折曲線202が外側に折れ曲がっている。また、両端の折曲線201、203は、中央の折曲線202までの距離が壁連結線200までの距離以下になるように配置されている。
【0054】
短壁21,23の外面には、ポケット41がそれぞれ設けられ、オムツや哺乳瓶などを収容することができる。また、長壁22,24を折りたたむことにより、展開時に比べれば小さな空間になっているが、依然として、底部1及び側壁2で取り囲まれた領域が存在し、マット3を収納したのと同様にして、短壁21,23間において物品を脱落しないように収容することができる。このため、従来の携帯型ベビーベッドに比べ、折りたたんでバッグ102として使用する場合における収容力を大幅に向上させることができる。
【0055】
D.効果
(1) 本実施の形態による携帯型ベビーベッド100は、マット3を取り外し、長壁22,24を折りたたみ、連結係止具43~45を連結することにより、ベビーベッド101をバッグ102に変形させることができる。このため、変形作業が簡単であり、かつ、直感的に理解しやすいために、変形作業が容易である。
【0056】
(2) また、短壁21,23及び長壁22,24は、壁連結線200により互いに連結され、収容空間を取り囲む側壁2を構成している。また、長壁22,24には、上下方向に延びる折曲線201~203が形成され、立てた状態のままで折りたたむことができる。このため、側壁2を分離し、それぞれを設置面に倒して折りたたむ従来の形態型ベビーベッドに比べ、ベビーベッド101としての使用中に側壁2が倒れ込みにくく、側壁2の自立性を向上させることができ、安全性を確保することができる。また、展開及び折りたたみ作業中に底部1以外が設置面に触れないため、屋外で使用する場合であっても衛生的である。
【0057】
さらに、変形自在の底部1に長壁22,24が連結されているため、長壁22,24を折りたたむ際には、底部1の一部を持ち上げて皺を寄せるように大きく変形させる必要がある。このため、底部1上にマット3を配置し、あるいは、乳幼児や物品を収容することにより、底部1の変形を抑制すれば、長壁22,24を折りたたむことができなくなる。このため、ベビーベッド101の使用中に側壁2が意図せず折りたたまれるのを防止することができる。従って、側壁2の自立性をさらに向上させ、安全性をさらに確保することができる。
【0058】
(3) また、ベビーベッド101として使用している場合であっても、ポケット41や下げ紐42が設置面に接することがないため、屋内だけでなく、屋外でも利用することができる。また、底部1に凹凸が生じることにより快適性が低下することがない。
【0059】
(4) また、ベビーベッド101として使用している場合に、下げ紐42の把持部をポケット41内に収容し、側壁2の外側に固定することができる。このため、下げ紐42が収容部内に垂れ下がり、乳幼児に絡みつくことにより事故が発生するのを防止することができる。
【0060】
(5) また、長壁22,24を蛇腹状に折りたたむことにより、コンパクトなバッグ102へ変形させるため、折りたたみ後も底部1及び側壁2で囲まれた袋状の空間を保持することができる。このため、折りたたんだマット3やその他の物品をこの空間に収容することができる。従って、バッグ102の形態における収納力を大幅に向上させることができる。
【0061】
E.その他
(1) なお、本実施の形態では、長壁22,24が、3つの折曲線201~203を有する例について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されない。5以上の奇数個の折曲線を有するように構成することもできる。この場合、最も外側の折曲線は内側に向かって折り曲げられ(外側から見て谷折り)、隣接する折曲線は、山折り、谷折りの折り方が互いに異なるように折曲げられる。
【0062】
(2) また、本実施の形態では、一対の長壁22,24が、折曲線201~203を有し、長壁22,24を折りたたむ例について説明したが、本発明は、このような場合のみに限定されない。例えば、短壁21,23を折りたたむように構成することもできる。この場合、折曲線は1以上の奇数個にすることができ、ポケット41、下げ紐42及び連結係止具43~45は、長壁22,24に設けられる。
【0063】
(3) また、各折曲線201~203は、あらかじめ定められた山折り、谷折りのいずれか一方の方法のみで常に折り曲げられる。このため、各折曲線201~203は、内側又は外側の一方に向かう折り方のみについて折曲自在となり、逆方向には折曲げることができないように構成することもできる。この場合、折りたたみ時の作業性をさらに向上させることができる。
【0064】
(4) 本実施の形態では、マット3を備える例について説明したが、マット3を備えることは必須ではない。
【符号の説明】
【0065】
1 底部
2 側壁
3 マット
21,23 短壁
22,24 長壁
200 壁連結線
201~203 折曲線
30 折曲線
41 ポケット
42 下げ紐
43~45 連結係止具
100 携帯型ベビーベッド
101 ベビーベッド
102 バッグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9