(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】頭部用ブラシ
(51)【国際特許分類】
A45D 19/00 20060101AFI20220719BHJP
A46B 1/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A45D19/00 A
A46B1/00
(21)【出願番号】P 2018248901
(22)【出願日】2018-12-17
【審査請求日】2021-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591199039
【氏名又は名称】ベス工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紀伊野 進一
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3154737(JP,U)
【文献】特開2014-004341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0177207(US,A1)
【文献】特開2016-13190(JP,A)
【文献】実開昭54-98366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 19/00
A46B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持した時に人体の手の掌と向かい合う面を表面側とすると共に、ブラシ毛を複数設けるブラシ面を裏面側とする把持可能な基台の側面側に、マッサージ用の突起部を設け
、人体の手の指を挿入するための貫通孔部を前記基台の前記突起部付近に設け、前記ブラシ面に、前記ブラシ毛の外側に位置するようマッサージ用の第二突起部を設けると共に、前記第二突起部は、前記ブラシ面において前記貫通孔部とは反対側の、手の主根部付近に位置するようにし、前記基台が弾性を有するよう形成すると共に、複数の前記ブラシ毛と前記第二突起部側との間に、前記基台においてスリット孔部を設けるように構成したことを特徴とする頭部用ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の頭部に使用するための頭部用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の頭部用ブラシは、洗浄用のブラシ毛とマッサージ用の突起部とが、同じブラシ面に設けられており、持ち方を変えることなく頭皮の洗浄とマッサージを同時に行うことができる。洗浄用のブラシ毛は、その先端が細くされているため、頭皮の汚れをかき出して快適な洗浄感をもたらすことができ、マッサージ用の突起部は、その先端が太くされているため頭皮に押圧力をかけやすく、その形状が異なる複数種の突起部を設けるなら、複数の異なるマッサージ感をもたらすことができる。一例として、ブラシ面の中央に太目のマッサージ用の突起部を設け、その外周囲に洗浄用のブラシ毛を配し、その洗浄用のブラシ毛の外周囲に細めのマッサージ用の突起部を設けたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の頭部用ブラシは、洗浄用のブラシ毛とマッサージ用の突起部とが、同じブラシ面に設けられ、且つブラシ面中央にあるマッサージ用の突起部の外周囲に洗浄用のブラシ毛を配し、その洗浄用のブラシ毛の外周囲にマッサージ用の突起部を設けているため、使用する時、洗浄用のブラシ毛とマッサージ用の突起部とが同時に人体の頭部に当接することになる。そのため、洗浄用のブラシ毛がもたらす洗浄感とマッサージ用の突起部がもたらす押圧感とが相互に相殺され、使用者が求める充実した洗浄感と押圧感はそれぞれ得られなくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、洗浄感と押圧感とが相殺されず、そのそれぞれを十分に得られる頭部用ブラシを実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の頭部用ブラシは、把持した時に人体の手の掌と向かい合う面を表面側とすると共に、ブラシ毛を複数設けるブラシ面を裏面側とする把持可能な基台の側面側に、マッサージ用の突起部を設け、人体の手の指を挿入するための貫通孔部を前記基台の前記突起部付近に設け、前記ブラシ面に、前記ブラシ毛の外側に位置するようマッサージ用の第二突起部を設けると共に、前記第二突起部は、前記ブラシ面において前記貫通孔部とは反対側の、手の主根部付近に位置するようにし、前記基台が弾性を有するよう形成すると共に、複数の前記ブラシ毛と前記第二突起部側との間に、前記基台においてスリット孔部を設けるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の頭部用ブラシは、前記ブラシ毛を複数設ける前記ブラシ面を裏面側とする把持可能な前記基台の側面側に、マッサージ用の前記突起部を設けているため、使用時に前記ブラシ毛と前記突起部とが同時に人体頭部に当接しにくくなり、洗浄用の前記ブラシ毛がもたらす洗浄感とマッサージ用の前記突起部がもたらす押圧感とが相互に相殺されにくくなる。その結果、前記ブラシ毛を中心に使用する場合、使用者は充実した洗浄感を得られ、前記突起部を中心に使用する場合、使用者は充実した押圧感を得られる。
【0010】
また、本発明の頭部用ブラシとして、人体の手の指を挿入するための前記貫通孔部を前記基台の前記突起部付近に設けるなら、前記基台を掴んで前記貫通孔部に人差し指または中指などを入れて前記基台を把持する場合、前記突起部は人体の頭部に向けやすくなって押圧力が十分伝わるようになるため、前記突起部による充実した押圧感をもたらしやすくなる。
【0011】
さらに、本発明の頭部用ブラシとして、前記ブラシ面に、前記ブラシ毛の外側に位置するようマッサージ用の前記第二突起部を設けると共に、前記第二突起部は、前記ブラシ面において前記貫通孔部とは反対側の、手の主根部付近に位置するようにし、前記基台が弾性を有するよう形成すると共に、複数の前記ブラシ毛と前記第二突起部側との間に、前記基台においてスリット孔部を設けるように構成するなら、前記基台を掴んで前記貫通孔部に人体の手の人差し指または中指などを入れて前記基台を把持する場合、前記第二突起部は手の主根部付近に位置するため、手の主根部からの強い力が前記第二突起部にかかりやすくなり、人体の頭部に押圧力が十分伝わるようになるため、前記第二突起部による充実した押圧感を得られやすくなる。特に、前記突起部側を人体の頭部から浮かして前記第二突起部を中心に人体の頭部に当接させると、前記ブラシ毛が人体の頭部に当接しにくくなり、前記第二突起部による充実した押圧感をもたらすことができるし、前記第二突起部を中心に人体の頭部に当接させると共に頭皮に沿って頭頂部へ引き上げるなら、前記第二突起部が撓みやすくなり、頭皮を捉えて効果的な引上げマッサージを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシの平面図。
【
図2】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシの正面図。
【
図3】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシの左側面図。
【
図4】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシの右側面図。
【
図5】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシのA-A断面図。
【
図6】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシの把持状態を示す斜視図。
【
図7】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシの使用状態を示す説明図。
【
図8】本発明の一実施の形態における頭部用ブラシの使用状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の頭部用ブラシを、一実施例として図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
本発明の頭部用ブラシ1は、
図1から
図6の実施形態で示したように、把持した時に人体の手の掌と向かい合う面を表面側とすると共に、ブラシ毛4を複数設けるブラシ面3を裏面側とする把持可能な基台2の側面側に、マッサージ用の突起部5を設けて構成している。
【0015】
前記基台2、前記ブラシ毛4、前記突起部5は、樹脂や木、金属などの材質でそれぞれ独立した部品としてそれらを組み合わせた構造でもよいし、これらすべてが一体として金型成形されたものであってもよい。また、前記基台2、前記ブラシ毛4、前記突起部5をそれぞれ弾性のある樹脂やゴムなどで形成するなら、人体の頭部を強く刺激して不快感を与えることなく、快適なマッサージを実施できる。
【0016】
前記基台2は、平たい円形に近い形状にしているので、
図6に示すように手に持った時にしっかり把持しやすい。
【0017】
複数の前記ブラシ毛4は、先端が先細り形状になっているので、人体頭部の頭皮にまで達し、頭皮の汚れを洗浄したり、マッサージしたりすることができる。
【0018】
前述したように、前記突起部5は前記基台2の前記側面側に設けられている。すなわち、前記突起部5は前記基台2の前記表面側と前記裏面側とを結ぶ方向に対して直角に延びる方向へ先端が細くなる形状になる仕方で突出しているため、使用時に前記ブラシ毛4と前記突起部5とが同時に人体頭部に当接しにくくなり、洗浄用の前記ブラシ毛4がもたらす洗浄感とマッサージ用の前記突起部5がもたらす押圧感とが相互に相殺されにくくなる。その結果、
図7に示すように、前記ブラシ毛4を中心に使用する場合、前記突起部5は当接しにくくなるため、使用者は充実した洗浄感を得られるし、
図8に示すように、前記突起部5を中心に使用する場合、前記ブラシ毛4は当接しにくくなるため、使用者は充実した押圧感を得られる。しかも、前記ブラシ毛4と前記突起部5とをそれぞれ使用する際、持ち方を変えることなく、同じ持ち方で洗浄感と押圧感をそれぞれ得ることができる。
【0019】
尚、平たい円形に近い形状の前記基台2の前記側面側から前記突起部5は突出しているが、それらが一体的に滑らかになるよう形成すると、
図1に示すようにしずく型になり、そのため
図8に示すように、前記基台2を把持して前記突起部5を人体の頭部に押し当てる時、前記突起部5の先端に押圧力が集中し、少ない力で十分な押圧マッサージをもたらすことができる。
【0020】
また、本発明の頭部用ブラシ1は、
図1、
図5、
図6などで示すように、人体の手の指を挿入するための貫通孔部21を前記基台2の前記突起部5付近に設けることができる。
【0021】
前記貫通孔部21は
図1に示すように、角を丸くした三角形に近い形状をしているため、先端が細くなる形状をしている前記突起部5の形状に沿って設けることができる。
【0022】
このように、人体の手の指を挿入するための前記貫通孔部21を前記基台2の前記突起部5付近に設けることにより、前記基台2を掴んで前記貫通孔部21に人差し指または中指などを入れて前記基台2を把持する場合、前記突起部5は
図8に示すように、人体の頭部に向けやすくなって押圧力が十分伝わるようになるため、前記突起部5による充実した押圧感をもたらしやすくなる。
【0023】
さらに、本発明の頭部用ブラシ1として、
図2から
図6に示すように、前記ブラシ面3に、前記ブラシ毛4の外側に位置するようマッサージ用の第二突起部6を設けると共に、前記第二突起部6は、前記ブラシ面3において前記貫通孔部21とは反対側に位置するよう構成できる。尚、前記第二突起部6を複数設けることができる。
【0024】
そのように構成するなら、
図6に示すように、前記基台2を掴んで前記貫通孔部21に人体の手の人差し指または中指などを入れて前記基台2を把持する場合、前記第二突起部6は手の主根部付近に位置するため、手の主根部からの強い力が前記第二突起部6にかかりやすくなり、人体の頭部に前記第二突起部6からの押圧力が十分伝わるようになるため、前記第二突起部6による充実した押圧感を得られやすくなる。
【0025】
特に、前記突起部5側を人体の頭部から浮かして前記第二突起部6を中心に人体の頭部に当接させると、前記ブラシ毛4が人体の頭部に当接しにくくなり、前記第二突起部6による充実した押圧感をもたらすことができるし、前記第二突起部6を中心に人体の頭部に当接させると共に頭皮に沿って頭頂部へ引き上げるなら、引上げマッサージを実施することができる。
【0026】
複数の前記ブラシ毛4と前記第二突起部6側との間に、前記基台2においてスリット孔部22を設けるなら、前記基台2を弾性のある樹脂やゴムなどで形成する場合、前記第二突起部6を中心に人体の頭部に当接させると共に頭皮に沿って頭頂部へ引き上げる際に、前記第二突起部6が撓みやすくなり、
図7に示すように頭皮を捉えて効果的な引上げマッサージを実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 頭部用ブラシ
2 基台
21 貫通孔部
22 スリット孔部
3 ブラシ面
4 ブラシ毛
5 突起部
6 第二突起部