(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】浴槽用吐水装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20220719BHJP
A47K 3/02 20060101ALI20220719BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20220719BHJP
E03C 1/04 20060101ALI20220719BHJP
A61H 9/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A47K3/28
A47K3/02
A47K3/00 E
E03C1/04
A61H9/00
(21)【出願番号】P 2017133791
(22)【出願日】2017-07-07
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】原島 立成
(72)【発明者】
【氏名】石丸 亮子
(72)【発明者】
【氏名】関 大輝
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-178656(JP,A)
【文献】特開2002-065490(JP,A)
【文献】特開2007-330518(JP,A)
【文献】特開平03-039161(JP,A)
【文献】特開平03-026267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
A47K 3/02
A47K 3/00
E03C 1/04
A61H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に設置される浴槽用吐水装置であって、
上記浴槽内の壁面の上方に配置され、幅広形状に形成された吐水孔から水を吐水させる吐水部と、
上記吐水部へ水を供給する供給部と、
上記供給部による水の供給動作を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、上記吐水孔から吐水される水の流速が異なる複数の吐水モードを実行可能であり、吐水開始時において上記吐水部からの幅広状の水流の上記浴槽の
上記壁面への張り付きを
抑制し、上記水流を上記壁面から吐水方向側に離間させやすくするように、吐水開始時から、最も流速が低い吐水を行う第1吐水モードにおける吐水の流速より流速が高い吐水を行う第2吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う流速上昇機能を備えることを特徴とする浴槽用吐水装置。
【請求項2】
上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から所定時間経過後に、上記第2吐水モードから上記第1吐水モードへの切り替えを可能とするモード切替機能を備える請求項1に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項3】
上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から予約時間経過前に受けた上記第1吐水モード又は上記第2吐水モードの選択指令を、上記吐水開始時から上記予約時間経過後に実行する予約機能を備える請求項1に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項4】
上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から上記予約時間経過前に上記第1吐水モードにおける吐水の流速及び上記第2吐水モードにおける吐水の流速よりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードの選択指令を受けた場合には、上記予約時間経過前にその第3吐水モードを実行する選択機能を備える請求項3に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項5】
上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から上記予約時間経過前に受けた最後の吐水モードの選択指令を、上記予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する決定機能を備える請求項3に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項6】
上記制御部の上記流速上昇機能により行われる上記第2吐水モードは、最も流速が高い吐水を行う吐水モードにおける吐水の流速より流速が低い吐水を行うように設定される請求項1乃至5の何れか1項に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項7】
浴槽に設置される浴槽用吐水装置であって、
上記浴槽内の壁面の上方に配置され、幅広形状に形成された吐水孔から幅広形状の水を吐出する吐水部と、
上記吐水部へ水を供給する供給部と、
上記供給部の水の供給動作を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、上記吐水孔から吐水される水の流速が異なる複数の吐水モードを実行可能であり、さらに、吐水開始時において、最も流速が低い吐水を行う第1吐水モードに設定されている場合に、吐水開始時から、上記第1吐水モードにおける吐水の流速より流速が高い吐水を行う第2吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う第1流速上昇機能を備え、上記第1流速上昇機能を実行した後、上記第1吐水モードにおける吐水の流速まで流速を下降させる制御を行うことを特徴とする浴槽用吐水装置。
【請求項8】
上記制御部は、さらに、吐水開始時において上記第1吐水モードにおける吐水の流速及び上記第2吐水モードにおける吐水の流速よりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードに設定されている場合に、吐水開始時から、上記第3吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う第2流速上昇機能を備える請求項7に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項9】
上記制御部は、さらに、吐水開始時において上記第2吐水モードに設定されている場合に、吐水開始時から、上記第2吐水モードにおける吐水の流速より流速が高い吐水を行う第3吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う第3流速上昇機能を備え、上記第3流速上昇機能を実行した後、上記第2吐水モードにおける吐水の流速まで流速を下降させる請求項7に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項10】
上記制御部の上記第1流速上昇機能により行われる上記第2吐水モードは、最も流速が高い吐水を行う吐水モードにおける吐水の流速より流速が低い吐水を行うように設定される請求項7に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項11】
上記制御部は、上記吐水開始時から、予約時間経過前に受けた上記第1吐水モード又は上記第2吐水モードの選択指令を、上記予約時間経過後に実行する予約機能を備える請求項7乃至10の何れか1項に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項12】
上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から、上記予約時間経過前に上記第1吐水モードにおける吐水の流速における吐水の流速及び上記第2吐水モードにおける吐水の流速よりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードの選択指令を受けた場合には、上記予約時間経過前にその第3吐水モードを実行する選択機能を備える請求項11に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項13】
上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から、上記予約時間経過前に受けた最後の吐水モードの選択指令を、上記予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する決定機能を備える請求項11に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項14】
浴槽に設置される浴槽用吐水装置であって、
上記浴槽内の壁面の上方に配置され、幅広形状に形成された吐水孔から幅広形状の水を吐出する吐水部と、
上記吐水部へ水を供給する供給部と、
上記供給部の水の供給動作を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、吐水開始時から、上記吐水孔から吐水される水の流速を、上記吐水孔から吐水させる予定の流速よりも高い流速まで上昇させる制御を行う流速上昇機能を備え、上記流速上昇機能を実行した後、流速を下降させる制御を行うことを特徴とする浴槽用吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽用吐水装置に関し、特に、浴槽内の壁面の上方に設置される浴槽用吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-7360号公報(特許文献1)には、吐水装置及び浴槽装置が記載されている。この吐水装置は、浴槽内の湯水(水又は湯)を給水ポンプによって汲み上げ、汲み上げた湯水を、浴槽の上縁部に隣接して配置された幅広の吐水孔から浴槽内に吐出させる浴槽用吐水装置である。この幅広の吐水孔から吐出された湯水は、浴槽内に座っている使用者の肩や首筋に当たって浴槽内に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1に示すような吐水装置において、使用者の肩や首筋に対して柔らかい体感を与える水流を吐水させたいという要請がある。この要請を実現するため、吐水装置から吐水される湯水の水勢を弱くすることが検討された。
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような浴槽内の壁面の上方に設置される吐水装置においては、吐水開始時において、水勢が比較的弱い湯水は例えば吐水装置の前方側の浴槽の上端面や浴槽内の縦壁に沿うように吐水されることになる。湯水は、このような壁面に沿って吐水されるとき、水流がその壁面に対し表面張力の作用により張り付くように流れる状態となる。特に、幅広の吐水孔から吐出された幅広の湯水は、このような壁面に対し広い範囲で接触することになるため、表面張力も大きいものである。従って、吐水開始時において、水流が浴槽内の壁面に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなる、または、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうという課題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、水流が浴槽内の壁面に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなる、または、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまう、ことを抑制することができる浴槽用吐水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を解決するために、本発明は、浴槽に設置される浴槽用吐水装置であって、上記浴槽内の壁面の上方に配置され、幅広形状に形成された吐水孔から水を吐水させる吐水部と、上記吐水部へ水を供給する供給部と、上記供給部による水の供給動作を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記吐水孔から吐水される水の流速が異なる複数の吐水モードを実行可能であり、吐水開始時において上記吐水部からの幅広状の水流の上記浴槽の壁面への張り付きを離間させやすくするように、吐水開始時から、最も流速が低い吐水を行う第1吐水モードにおける吐水の流速より流速が高い吐水を行う第2吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う流速上昇機能を備えることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、吐水開始時から、最も流速が低い第1吐水モードより流速が高い第2吐水モードまで流速を上昇させることができる。これにより、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させることができる。
したがって、水流が浴槽内の壁面に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなったり、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうことを抑制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から所定時間経過後に、上記第2吐水モードから上記第1吐水モードへの切り替えを可能とするモード切替機能を備える。
このように構成された本発明によれば、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させた後、モード切替機能による第1吐水モードにより、使用者の肩や首等に水勢の比較的弱く且つ柔らかい体感を与える水流を吐水することができる。また、本発明によれば、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に完全に振り切る前に、第1吐水モードに切り替わってしまうことを抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から予約時間経過前に受けた上記第1吐水モード又は上記第2吐水モードの選択指令を、上記吐水開始時から上記予約時間経過後に実行する予約機能を備える。
このように構成された本発明によれば、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させた後、予約機能により、吐水開始時から予約時間経過前に受けた吐水モードの選択指令による吐水モードを比較的早期に実行することができる。また、本発明によれば、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に完全に振り切る前に、第1吐水モードへ切り替わってしまうことを抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から上記予約時間経過前に上記第1吐水モードにおける吐水の流速及び上記第2吐水モードにおける吐水の流速よりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードの選択指令を受けた場合には、上記予約時間経過前にその第3吐水モードを実行する選択機能を備える。
このように構成された本発明によれば、制御部の選択機能により、吐水開始時から予約時間経過前に第1吐水モードよりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードの選択指令を受けた場合には、その第3吐水モードを実行することができる。吐水開始時から予約時間経過を待つことなく第1吐水モードよりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードを早期に実行することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、制御部は、さらに、上記吐水開始時から上記予約時間経過前に受けた最後の吐水モードの選択指令を、上記予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する決定機能を備える。
このように構成された本発明によれば、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させた後、決定機能により、吐水開始時から予約時間経過前において使用者が最も望んでいると想定される最後に選択した吐水モードの選択指令を実行させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、制御部の上記流速上昇機能により行われる上記第2吐水モードは、最も流速が高い吐水を行う吐水モードにおける吐水の流速より流速が低い吐水を行うように設定される。
このように構成された本発明によれば、吐水開始時から、最も流速が高い吐水を行う吐水モードまで、急速に流速を上げ、使用者を驚かせてしまうことを抑制することができるとともに、吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。
【0014】
本発明は、好ましくは、浴槽に設置される浴槽用吐水装置であって、上記浴槽内の壁面の上方に配置され、幅広形状に形成された吐水孔から幅広形状の水を吐出する吐水部と、上記吐水部へ水を供給する供給部と、上記供給部の水の供給動作を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記吐水孔から吐水される水の流速が異なる複数の吐水モードを実行可能であり、さらに、吐水開始時において、最も流速が低い吐水を行う第1吐水モードに設定されている場合に、吐水開始時から、上記第1吐水モードにおける吐水の流速より流速が高い吐水を行う第2吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う第1流速上昇機能を備え、上記第1流速上昇機能を実行した後、上記第1吐水モードにおける吐水の流速まで流速を下降させる制御を行う。
このように構成された本発明によれば、制御部が最も流速が低い吐水を行う第1吐水モードに設定されている場合においても、制御部は、吐水開始時から、最も流速が低い第1吐水モードより流速が高い第2吐水モードまで流速を上昇させることができる。これにより、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。したがって、水流が浴槽内の壁面に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなること、及び、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうことを抑制しつつも、使用者の肩や首筋に対して柔らかい体感を与える水流を吐水することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、さらに、吐水開始時において、上記第1吐水モードにおける吐水の流速及び上記第2吐水モードにおける吐水の流速よりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードに設定されている場合に、吐水開始時から、上記第3吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う第2流速上昇機能を備える。
このように構成された本発明によれば、制御部が吐水開始時において、上記第1吐水モードよりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードに設定されている場合においては、制御部は、吐水開始時から、第3吐水モードまで流速を早期に上昇させることができる。よって、本発明によれば、使用者の望む第3吐水モードを早期に実行することができるとともに、吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。従って、使用者の望む第3吐水モードを早期に実行することができる浴槽用吐水装置を提供することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、制御部は、さらに、吐水開始時において、上記第2吐水モードに設定されている場合に、吐水開始時から、上記第2吐水モードにおける吐水の流速より流速が高い吐水を行う第3吐水モードにおける吐水の流速まで流速を上昇させる制御を行う第3流速上昇機能を備え、上記第3流速上昇機能を実行した後、上記第2吐水モードにおける吐水の流速まで流速を下降させる。
このように構成された本発明によれば、制御部が第1吐水モードよりも流速が高く且つ最も流速が高い吐水モードより流速が低い吐水を行う第4吐水モードに設定されている場合において、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から振り切るように吐水方向側により早期に離間させることができる。吐水孔からの吐水が使用者の肩や首等に適切に行えるようになるまでに要する時間をより短縮することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、制御部の上記第1流速上昇機能により行われる上記第2吐水モードは、最も流速が高い吐水を行う吐水モードにおける吐水の流速より流速が低い吐水を行うように設定される。
このように構成された本発明によれば、吐水開始時から、最も流速が高い吐水を行う吐水モードまで、急速に流速を上げ、使用者を驚かせてしまうことを抑制することができるとともに、吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記吐水開始時から、予約時間経過前に受けた上記第1吐水モード又は上記第2吐水モードの選択指令を、上記予約時間経過後に実行する予約機能を備える。
このように構成された本発明によれば、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させた後、予約機能により、吐水開始時から予約時間経過前に受けた吐水モードの選択指令による吐水モードを比較的早期に実行することができる。また、本発明によれば、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に完全に振り切る前に、吐水モードが第1吐水モードへ切り替わってしまうことを抑制することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から、上記予約時間経過前に上記第1吐水モードにおける吐水の流速における吐水の流速及び上記第2吐水モードにおける吐水の流速よりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードの選択指令を受けた場合には、上記予約時間経過前にその第3吐水モードを実行する選択機能を備える。
このように構成された本発明によれば、制御部の選択機能により、吐水開始時から予約時間経過前に第1吐水モードよりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードの選択指令を受けた場合には、その第3吐水モードを実行することができる。吐水開始時から予約時間経過を待つことなく第1吐水モードよりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードを早期に実行することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、さらに、上記吐水開始時から、上記予約時間経過前に受けた最後の吐水モードの選択指令を、上記予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する決定機能を備える。
このように構成された本発明によれば、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させた後、決定機能により、吐水開始時から予約時間経過前において使用者が最も望んでいると想定される最後に選択した吐水モードの選択指令を実行させることができる。
【0021】
本発明は、好ましくは、浴槽に設置される浴槽用吐水装置であって、上記浴槽内の壁面の上方に配置され、幅広形状に形成された吐水孔から幅広形状の水を吐出する吐水部と、上記吐水部へ水を供給する供給部と、上記供給部の水の供給動作を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、吐水開始時から、上記吐水孔から吐水される水の流速を、上記吐水孔から吐水させる予定の流速よりも高い流速まで上昇させる制御を行う流速上昇機能を備え、上記流速上昇機能を実行した後、流速を下降させる制御を行う。
このように構成された本発明によれば、吐水開始時から、吐水孔から吐水される水の流速を、吐水孔から吐水させる予定の流速よりも高い流速まで上昇させることができる。これにより、幅広形状の吐水孔から吐水される幅広状の水流を、浴槽内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させることができる。したがって、水流が浴槽内の壁面に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなること、及び、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうことを抑制しつつも、使用者の肩や首筋に対して柔らかい体感を与える水流を吐水することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の浴槽用吐水装置によれば、水流が浴槽内の壁面に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなる、または、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまう、ことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置を浴槽に適用した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置を浴槽に適用した状態を示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置を浴槽に適用した状態を示す全断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置を浴槽に適用した状態を示す側面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置が設けられた浴槽内に使用者が座っている状態で、吐水孔からの吐水が行われている様子を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置が、吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができないように形成されている場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図7】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置につき、浴槽用吐水装置が吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができないように形成されている場合において、さらに、使用者が、吐水開始時から予約時間経過前に、弱吐水モード等の吐水を行うように操作部を操作した場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図8】本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置につき、浴槽用吐水装置が吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができないように形成されている場合において、さらに、使用者が、吐水開始時から予約時間経過前に、強吐水モード等の吐水を行うように操作部を操作した場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図9】本発明の第2実施形態による浴槽用吐水装置が、吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができるように形成されている場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図10】本発明の第2実施形態による浴槽用吐水装置につき、浴槽用吐水装置が吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができないように形成されている場合において、さらに、制御部が、吐水開始時において、弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードに設定されている場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図11】本発明の第2実施形態による浴槽用吐水装置につき、浴槽用吐水装置が吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができないように形成されている場合において、さらに、制御部が、吐水開始時において、弱吐水モードよりも流速が高く且つ最も流速が高い強吐水モードより流速が低い吐水を行う中吐水モードに設定されている場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図12】本発明の第2実施形態による浴槽用吐水装置につき、使用者が、吐水開始時から予約時間経過前に、弱吐水モード等の吐水を行うように操作部を操作した場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図13】本発明の第2実施形態による浴槽用吐水装置につき、使用者が、吐水開始時から予約時間経過前に、強吐水モードの吐水を行うように操作部を操作した場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【
図14】本発明の第3実施形態による浴槽用吐水装置につき、制御部が、単一の吐水モードを実行する中で、吐水開始時から、吐水孔から吐水される水の流速を、吐水孔から吐水させる予定の流速よりも高い流速まで上昇させる制御を行う場合の吐水開始からの吐水動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置を説明する。
図1乃至
図4は、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置を浴槽に適用した状態を示す斜視図、平面図、全断面図、及び側面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1は、施設、家庭等の浴場、風呂場又は浴室等の浴槽2に適用され、浴槽2の上端近傍に配置される。浴槽2は、浴槽水としての湯水(湯又は水)を貯留する。
【0025】
浴槽2は、入浴している使用者の臀部又は足部が接する底部2aと、入浴している使用者の背中が接する縦壁2bと、縦壁2bの上部と接続され且つ浴槽2の上面を形成する上端部2cとを備えている。上端部2cは、浴槽内に座って入浴している使用者の上半身、例えば頭部、首部、又は肩部に比較的近い高さ位置に形成される。縦壁2b及び吐水孔4aの前方側の上端部2cは浴槽内の壁面として機能する。さらに、浴槽2には、外部の給水源及び給湯装置等から湯水を浴槽2内に給水できる給水装置(図示せず)が設けられている。なお、本発明において使用する用語「水」は、浴槽2を使用する使用者が入浴できる温度範囲にある湯水を含む意味で使用されている。
【0026】
浴槽用吐水装置1は、供給された湯水を左右方向に幅広形状に形成された吐水孔4aから吐水させる吐水部4を備えている。吐水部4は浴槽2の上端部2c上に配置され、その吐水孔4aから左右方向に幅広の水を、座って入浴している状態の使用者の首や肩付近に向けて吐水させる肩湯吐水を行うようになっている。即ち、本実施形態の浴槽用吐水装置1は、浴槽2内の湯水を取り込み、取り込んだ湯水を浴槽2の水面よりも上方から浴槽2内へ吐出させる。幅広形状の吐水孔4aは、使用者の肩幅程度の幅の帯状の吐水をすることができる。吐水孔4aの左右方向は、吐水孔の吐水方向に対して左右方向であり、浴槽2の使用者の背中が接する縦壁2bの左右方向である。
【0027】
図3及び
図4に示すように、浴槽用吐水装置1は、さらに、浴槽2の側壁2dに形成された第1取水口6から延びる第1流路8と、第1流路8上に設けられ且つ浴槽2内の水を吸引して下流側に圧送する加圧ポンプであるポンプ(供給部)10と、第1流路8の下流端で水の流れを制御する三方弁12と、三方弁12から吐水孔4a側に延びる第2流路14と、三方弁12から第2流路14と別に延びる第3流路16と、第3流路16から供給された水を浴槽2の上下方向の中央よりわずかに下方から浴槽2内にブロー吐水するブロー吐水部18と、第2流路14の下流部分に設けられるジェットポンプユニット20と、浴槽2の側壁に形成された第2取水口22からジェットポンプユニット20まで延びる接続管である第4流路24と、ジェットポンプユニット20から垂直上方に延びるスロート管である上昇管26と、ポンプ10及び三方弁12を制御する制御部28と、使用者が操作する操作部30と、を備えている。
【0028】
第1流路8は、第1取水口6からポンプ10を介して三方弁12まで延びる流路を形成している。ポンプ10は、浴槽2内の湯水を、第1取水口6を介して吸引し、圧送するように構成されている。ポンプ10は、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転に伴って水を吸引し且つ下流側に圧送する。ポンプ10は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により駆動制御されるようになっている。ポンプ10は、吐水部へ水を供給する供給部として機能する。
【0029】
三方弁12は、第1流路8から供給される水を、第2流路14、及び第3流路16のうちの両方又はいずれか一方に選択的に供給することができる。第2流路14及び第3流路16を同時に開放している場合には、三方弁12は、流量の分配割合を自由に変更することができる。三方弁12は、制御部28と電気的に接続され、制御部28により電気的に開閉制御されるようになっている。三方弁12は、吐水部4への湯水の供給と、ブロー吐水部18への湯水の供給との両方又はいずれか一方を選択的に実行できる。
【0030】
第2流路14は、三方弁12からジェットポンプユニット20まで延びる流路を形成している。第3流路16は、三方弁12からブロー吐水部18まで延びる流路を形成している。
【0031】
ブロー吐水部18は、浴槽2の吐水孔4a側の縦壁2bにおいて2つ設けられている。ブロー吐水部18は、その内部の流路の径を、上流側の流路の径よりも絞るように形成されている。ブロー吐水部18は、水平に近い横向きに取付けられており、ブロー吐水部18から横向きに高速のブロー吐水を吐水する。ブロー吐水部18は、ポンプ10から第3流路16を介して圧送された水流を直接噴出する。従って、ブロー吐水部18は、ポンプ10の圧送する送出水量に応じた比較的小流量且つ高速の吐水流を形成する。ブロー吐水部18から吐水されたブロー吐水が使用者の腰や背中に衝突することにより、使用者の腰や背中を押圧し、マッサージの効果を奏することができる。
【0032】
ジェットポンプユニット20の内部には、箱形の水溜室32が形成されている。水溜室32と第2流路14の間の接続部には、噴射ノズル34が上方に向けて取り付けられている。ポンプ10によって加圧された湯水は、第2流路14から噴射ノズル34に流入し、ここで更に流速を増して、噴射ノズル34先端の噴射口から上方に向けて噴射される。
【0033】
制御部28は、吐水孔4aから吐水される水の流速が異なる複数の吐水モードを実行可能である。制御部28は、ポンプ10、三方弁12、操作部30等と、電気的に接続され、電気信号を相互に送受信することができ、上述の各部分を電気的に操作できるようになっている。制御部28は、操作部30からの操作信号を受けて又は記憶されたプログラム等に従って各機器の制御を行う。制御部28は、浴槽用吐水装置1を適切に制御することができるようなメモリ等の記憶装置(図示せず)及び演算装置(図示せず)を備えている。制御部28は、浴室の縦壁(図示せず)の裏側に取付けられている。制御部28は、本発明における「流速上昇機能」、「モード切替機能」、「予約機能」、「選択機能」、「決定機能」として機能する。制御部28は、さらに、吐水開始時に吐水モードの選択ができないようにする機能を有している。
【0034】
操作部30は、使用者が希望する操作を行うことができる操作パネル等の操作部であり、浴室内の縦壁に取付けられている。使用者Hが操作部30を操作した情報が電気信号により操作部30から制御部28に送られる。
【0035】
次に、
図1乃至
図5を参照して、本発明の一実施形態による浴槽用吐水装置1の吐水動作(作用)を説明する。
入浴中の使用者Hが、ブロー吐水を行うべく操作部30を操作すると、制御部28が三方弁12に信号を送り、これを第1流路8と第3流路16が連通する状態に切り替えると共に、ポンプ10に信号を送り、これを作動させる。これにより、浴槽2内の湯水が第1流路8から取り込まれ、第1流路8、ポンプ10、三方弁12、及び第3流路16を介してブロー吐水部18から吐出される。ブロー吐水部18から浴槽2内に吐出される湯水の流れにより、使用者Hの腰部等を心地よくマッサージすることができる。
【0036】
入浴中の使用者Hが、吐水部4からの吐水を行うべく操作部30を操作すると、制御部28が三方弁12に信号を送り、これを第1流路8と第2流路14が連通する状態に切り替えると共に、ポンプ10に信号を送り、これを作動させる。この状態でポンプ10が作動されると、浴槽2内の湯水が第1流路8から取り込まれ、第1流路8、ポンプ10、三方弁12、及び第2流路14を介して、噴射ノズル34から湯水が噴射される。噴射ノズル34は、湯水が満たされている水溜室32の内部に湯水を噴射するので、噴射口34aから噴出された噴流は、水溜室32内に満たされていた湯水を引き込みながら上方に流れ、噴射ノズル34に対向して設けられたスロート孔26aに流入する。
【0037】
これにより、上昇管26には、噴射ノズル34によって噴射された流量よりも大きい流量の湯水が流れ込み、大流量の湯水が上昇管26の上端に接続された吐水部4の吐水孔4aから吐出される。吐水孔4aは幅広に形成されているため、幅の広い滝状の湯水が、浴槽2の水面よりも上方から浴槽2の中に流下する。この滝状の吐水が、入浴中の使用者Hにあたるので、使用者Hの肩や首筋を心地よくマッサージすることができる。また、使用者Hが浴槽2内に座っている状態(例えば半身浴をしている状態)で、吐水された湯水により使用者Hの肩や首、首筋、背中、胸部等を温めることができる。
【0038】
次に、本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置1の吐水部4からの吐水開始時の吐水動作(作用)を説明する。
図6乃至
図8を参照して、浴槽用吐水装置1が、吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができないように形成されている場合の吐水動作について説明する。
図6乃至
図8においては、縦軸において吐水部4から吐水される湯水の流速に応じた吐水モード(ポンプ10の回転数)を示し、横軸において時刻を示している。
【0039】
先ず、
図6を参照して、本発明の第1実施形態による浴槽用吐水装置1における基本的な吐水開始時の吐水動作について説明する。
まず、待機状態(時刻t0~t1)において、制御部28は、ポンプ10を停止状態としている。ポンプ10は停止状態であるので、吐水部4からの吐水は行われていない。
【0040】
時刻t1(吐水開始時)において、使用者が、吐水部4からの吐水を行うべく操作部30を操作すると、制御部28がポンプ10を作動させる。ポンプ10が作動されると、吐水部4の吐水孔4aからの湯水の吐水が開始される。制御部28は、流速上昇機能により、時刻t1から、吐水部4から最も流速が低い吐水を行う弱吐水モードより流速が高い吐水を行う中吐水モードまで流速を上昇させる制御を行う。このような吐水流速の変化を実現するため、制御部28は、時刻t1から、ポンプ10の回転数を弱吐水モードに対応する低回転数より高い中吐水モードに対応する中回転数まで上昇させる制御を行う。制御部28による流速を上昇させる制御は、時刻t1からt2の間の所定時間Tの間において行われる。
【0041】
本実施形態においては、最も流速が低い吐水を行う弱吐水モードが第1吐水モードに対応している。本実施形態においては、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う中吐水モードが第2吐水モードに対応しているが、中吐水モードより流速が高い吐水を行う吐水モード、例えば強吐水モードが第2吐水モードに含まれていてもよい。
【0042】
このように、制御部28の流速上昇機能により行われる第2吐水モードは、予め使用者が選択できるように用意されていた複数の吐水モード、例えば弱吐水モード、中吐水モード及び強吐水モードのうちから選択される。よって、使用者が第2吐水モードの吐水状態を快適と感じた場合に、後にこの第2吐水モードを選択することができる。従って、使用者が快適と感じた吐水状態で使用することができる浴槽用吐水装置が提供される。
【0043】
なお、最も流速が高い吐水を行う強吐水モードより流速が低い吐水を行う中吐水モードを第2吐水モードに設定する場合には、時刻t1直後から、最も流速が高い吐水を行う強吐水モードまで急速に流速を上げ、使用者を驚かせてしまうことを抑制することができるとともに、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b及び/又は上端部2cから表面張力を振り切るように吐水方向側に離間させることができる。
【0044】
このように、吐水部4からの吐水が中吐水モードまで流速を上昇される。従って、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の壁面として機能する縦壁2b及び/又は上端部2c(以下、縦壁2b等と略する)に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させる。したがって、水流が浴槽2内の縦壁2b等に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が使用者の肩や首等に当たらなくなる又は当たる水量が減少する等、適切に行えなくなることを抑制することができる。さらに、吐水孔4aからの吐水が浴槽2内の縦壁2b等から離れ、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうことを抑制することができる。
【0045】
時刻t2において、制御部28は、ポンプ10を中吐水モードに対応する中回転数で作動させ、吐水部4から中吐水モードの吐水が行われている。時刻t1から比較的早期のタイミングの時刻t2において、吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等から離れた状態で、使用者の肩や首等に吐水が適切に行われている。
時刻t2において、制御部28は、時刻t1から所定時間Tが経過したことを判断し、モード切替機能を作動させる。制御部28のモード切替機能は、中吐水モードから弱吐水モードへの切り替えを可能とする。
【0046】
時刻t3において、使用者が、弱吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作すると、制御部28は、操作部30から弱吐水モードの選択指令を受ける。よって、制御部28は、時刻t3から、ポンプ10の回転数を最も回転数の低い弱吐水モードに対応する低回転数まで下降させる制御を行う。よって、吐水部4から弱吐水モードの吐水を行うことにより、使用者の肩や首等に水勢の比較的弱く且つ柔らかい体感を与える水流を吐水することができる。上述のように一端、吐水部4から中吐水モードの吐水を行うことにより、吐水部4からの吐水を縦壁2bから早期に離間させ、弱吐水モードの吐水を早期に開始させることができる。仮に時刻t1から中吐水モードの吐水を介さずに弱吐水モードの吐水を実行させる場合と比べて、本実施形態においては、結果として弱吐水モードの吐水を縦壁2bから離間した状態で早期に且つ適切に行うことができる。
【0047】
なお、仮に時刻t2以降、使用者が、操作部30を操作しない場合には、制御部28は、予め設定された中吐水モードで吐水部4からの吐水を継続する。
【0048】
次に、
図7に示すように、時刻t1からt2の間において、使用者が、弱吐水モード等の吐水を行うように操作部30を操作した場合の動作について説明する。
時刻t0及びt1においては、浴槽用吐水装置1の動作は同じであるので説明を省略する。
時刻t1からt2の間における時刻t4において、使用者が、中吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作する。制御部28は、操作部30から中吐水モードの選択指令を受ける。さらに、時刻t1からt2の間における時刻t5において、使用者が、弱吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作している。制御部28は、操作部30から弱吐水モードの選択指令を受ける。
【0049】
このとき、制御部28は、さらに、決定機能を備えることにより、時刻t1から時刻t2までの予約時間Rを経過する前に受けた最後の吐水モードの選択指令を、後述する予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する。決定機能は、時刻t1から時刻t2までの予約時間Rの間に受けた吐水モードの選択指令を、待機状態にしておき、この予約時間Rの経過時に最後に受けた吐水モードの選択指令を決定する。本実施形態では最後の吐水モードの選択指令は、時刻t5に受けた弱吐水モードの選択指令となる。
【0050】
予約時間Rは、所定時間Tと同じ時間に設定されているが、異なる時間に設定されてもよい。
予約時間Rは、吐水開始時の時刻t1から、流速上昇機能を実行して中吐水モードまで至った後の時刻t2までの時間である。
【0051】
制御部28は、さらに、予約機能を備えることにより、時刻t1から時刻t2までの予約時間Rを経過する前に受けた吐水モードの選択指令を、時刻t1から時刻t2までの予約時間Rを経過するまで待機させ、この予約時間Rを経過した後に実行する。本実施形態においては、決定機能により決定された弱吐水モードを吐水モードの選択指令として採用し、時刻t1から予約時間Rを経過した後に実行する。
【0052】
吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間させた後、予約機能により、時刻t1から予約時間R経過前に受けた吐水モードの選択指令による吐水モードを比較的早期に実行することができる。また、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間させた後、決定機能により、時刻t1から予約時間R経過前において使用者が最も望んでいると想定される最後に選択した吐水モードの選択指令を実行させることができる。
【0053】
時刻t1からt2の間においては、制御部28は、吐水モードの選択指令を受けている状態で待機するとともに、流速上昇機能により、時刻t1から、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う中吐水モードまで流速を上昇させる制御を行う。よって、時刻t2においては、制御部28は、ポンプ10を中回転数で作動させ、吐水部4から中吐水モードの吐水が行われている。
【0054】
時刻t2において、制御部28は、決定機能により時刻t2までに受けた最後の吐水モードの選択指令、この場合は時刻t5に受けた弱吐水モードの選択指令を予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する。次いで、制御部28は、予約機能により待機された弱吐水モードの選択指令を時刻t2経過後に実行する。よって、制御部28は、時刻t2から、ポンプ10の回転数を最も回転数の低い弱吐水モードに対応する低回転数まで下降させる制御を行う。よって、時刻t2以降、吐水部4から弱吐水モードの吐水が行われる。
【0055】
次に、
図8に示すように、時刻t1からt2の間において、使用者が、強吐水モード等の吐水を行うように操作部30を操作した場合の動作について説明する。
時刻t0及びt1においては、浴槽用吐水装置1の動作は同じであるので説明を省略する。
時刻t1からt2の間における時刻t6において、使用者が、強吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作する。制御部28は、操作部30から強吐水モードの選択指令を受ける。
【0056】
制御部28は、さらに、選択機能を備えることにより、時刻t1から予約時間R経過前に弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードの選択指令を受けた場合には、予約時間R経過前に、直ちにその強吐水モードを実行する。制御部28は、強吐水モードの選択指令を受けた場合には、予約時間Rの経過を待つことなく強吐水モードを実行する。
【0057】
従って、時刻t1から予約時間R経過を待つことなく弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードを早期に実行することができる。よって、中吐水モードを超えて、強吐水モード又はこの強吐水モードに至る過程において、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間させることができる。このように、時刻t2より前の時点、例えば時刻t7において、吐水孔4aからの吐水は縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間される。
【0058】
なお、本実施形態においては、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う強吐水モードが第3吐水モードに対応しているが、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う吐水モード、例えば中吐水モードが第3吐水モードに含まれていてもよい。
【0059】
時刻t2において、ポンプ10の回転数は、強吐水モードに対応する高回転数近傍まで上昇されている。吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等から離れた状態で、吐水が行われている。
【0060】
本発明の第1実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、時刻t1から、最も流速が低い弱吐水モードより流速が高い中吐水モードまで流速を上昇させることができる。これにより、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させることができる。したがって、水流が浴槽2内の縦壁2b等に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなること、又は、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに時刻t1から比較的長い時間を要してしまうことを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させた後、モード切替機能により切り替えられる弱吐水モードにより、使用者の肩や首等に水勢の比較的弱く且つ柔らかい体感を与える水流を吐水することができる。また、本発明によれば、浴槽2内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に完全に振り切る前に、第1吐水モードに切り替わってしまうことを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させた後、予約機能により、時刻t1から予約時間R経過前に受けた吐水モードの選択指令による吐水モードを比較的早期に実行することができる。また、本発明によれば、浴槽2内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に完全に振り切る前に、第1吐水モードへ切り替わってしまうことを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、制御部28の選択機能により、時刻t1から予約時間R経過前に弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードの選択指令を受けた場合には、その強吐水モードを実行することができる。時刻t1から予約時間R経過を待つことなく弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードを早期に実行することができる。
【0064】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させた後、決定機能により、時刻t1から予約時間R経過前において使用者が最も望んでいると想定される最後に選択した吐水モードの選択指令を実行させることができる。
【0065】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、時刻t1から、最も流速が高い吐水を行う吐水モードまで、急速に流速を上げ、使用者を驚かせてしまうことを抑制することができるとともに、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。
【0066】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、中吐水モードは、予め使用者が選択できるように用意されていた複数の吐水モードのうちから選択されているので、使用者が中吐水モードの吐水状態を快適と感じた場合に、後にこの中吐水モードを選択することができる。従って、本発明によれば、使用者が快適と感じた吐水状態で使用することができる浴槽用吐水装置1を提供することができる。
【0067】
次に、
図9乃至
図11を参照して、本発明の第2実施形態による浴槽用吐水装置1について説明する。本実施形態の浴槽用吐水装置1は、吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができるように形成されている点が上述した第1実施形態とは異なる。ここでは、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態における浴槽用吐水装置1の制御部28は、本発明における「第1流速上昇機能」、「第2流速上昇機能」、「第3流速上昇機能」、「予約機能」、「選択機能」及び「決定機能」として機能する。
【0069】
図9乃至
図11を参照して、浴槽用吐水装置1が、吐水開始時に使用者による吐水モードの選択ができるように形成されている場合の吐水動作について説明する。
図9乃至
図11においては、縦軸において吐水部4から吐水される湯水の流速に応じた吐水モード(ポンプ10の回転数)を示し、横軸において時刻を示している。
【0070】
先ず、
図9を参照して、制御部28が吐水開始時において最も流速が低い吐水を行う弱吐水モードに設定されている場合における、吐水開始時の吐水動作について説明する。
まず、待機状態(時刻t10~t11)において、制御部28は、ポンプ10を停止状態としている。ポンプ10は停止状態であるので、吐水部4からの吐水は行われていない。
【0071】
時刻t11(吐水開始時)において、使用者が、吐水部4からの吐水を行うべく操作部30を操作すると、制御部28がポンプ10を作動させる。ポンプ10が作動されると、吐水部4の吐水孔4aからの湯水の吐水が開始される。このとき、使用者が弱吐水モードの吐水を行うように操作部30を予め設定する又は使用者が弱吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作することにより、制御部28は弱吐水モードに設定されている。
【0072】
制御部28は、第1流速上昇機能により、時刻t11から、吐水部4から最も流速が低い吐水を行う弱吐水モードより流速が高い吐水を行う中吐水モードまで流速を上昇させる制御を行う。このような吐水流速の変化を実現するため、制御部28は、時刻t11から、ポンプ10の回転数を弱吐水モードに対応する低回転数より高い中吐水モードに対応する中回転数まで上昇させる制御を行う。制御部28による流速を上昇させる制御は、時刻t11からt12の間において行われる。
【0073】
本実施形態においては、最も流速が低い吐水を行う弱吐水モードが第1吐水モードに対応している。本実施形態においては、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う中吐水モードが第2吐水モードに対応しているが、中吐水モードより流速が高い吐水を行う吐水モード、例えば高吐水モードが第2吐水モードに含まれていてもよい。
【0074】
このように、制御部28の流速上昇機能により行われる中吐水モード(第2吐水モード)は、予め使用者が選択できるように用意されていた複数の吐水モード、例えば弱吐水モード、中吐水モード及び強吐水モードのうちから選択される。よって、使用者が中吐水モード(第2吐水モード)の吐水状態を快適と感じた場合に、後にこの中吐水モード(第2吐水モード)を選択することができる。従って、使用者が快適と感じた吐水状態で使用することができる浴槽用吐水装置が提供される。
【0075】
なお、最も流速が高い吐水を行う強吐水モードより流速が低い吐水を行う中吐水モードを第2吐水モードに設定する場合には、時刻t1から、最も流速が高い吐水を行う強吐水モードまで、急速に流速を上げ、使用者を驚かせてしまうことを抑制することができるとともに、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等から表面張力を振り切るように吐水方向側に離間させることができる。
【0076】
このように、吐水部4からの吐水が中吐水モードまで流速を上昇される。従って、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間させる。したがって、水流が浴槽2内の縦壁2b等に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が使用者の肩や首等に当たらなくなる又は当たる水量が減少する等、適切に行えなくなることを抑制することができる。さらに、吐水孔4aからの吐水が浴槽2内の縦壁2b等から離れ、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうことを抑制することができる。
【0077】
時刻t12において、制御部28は、ポンプ10を中吐水モードに対応する回転数で作動させ、吐水部4から中吐水モードの吐水が行われている。時刻t11から比較的早期のタイミングの時刻t12において、吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等から離れた状態で、使用者の肩や首等に吐水が適切に行われている。
【0078】
時刻t12において、制御部28は、時刻t11から所定時間T1が経過したことを判断し、自動的に予め設定されている弱吐水モードに戻る制御を行う。制御部28は、時刻t12から、ポンプ10の回転数を弱吐水モードに対応する最も回転数の低い回転数まで下降させる制御を行う。よって、吐水部4から弱吐水モードの吐水を行うことにより、使用者の肩や首等に水勢の比較的弱く且つ柔らかい体感を与える水流を吐水することができる。
上述のように一端、吐水部4から中吐水モードの吐水を行うことにより、吐水部4からの吐水を縦壁2bから早期に離間させ、弱吐水モードの壁面から離間した吐水を早期に行うことができる。仮に時刻t11から中吐水モードの吐水を介さずに弱吐水モードの吐水を実行させる場合と比べて、本実施形態においては、弱吐水モードの吐水を縦壁2bから離間した状態で早期に且つ適切に行うことができる。
【0079】
次に、
図10を参照して、制御部28が吐水開始時において弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードに設定されている場合における、吐水開始からの吐水動作について説明する。前記の制御部28が吐水開始時において弱吐水モードに設定されている場合における吐水開始時の吐水動作と共通する動作等の説明は以下省略する。
まず、時刻t11(吐水開始時)において、使用者が強吐水モードの吐水を行うように操作部30を予め設定する又は使用者が強吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作することにより、制御部28は強吐水モードに設定されている。
【0080】
制御部28は、第2流速上昇機能により、時刻t11から、強吐水モードまで流速を上昇させる制御を行う。このような吐水流速の変化を実現するため、制御部28は、時刻t11から、ポンプ10の回転数を中吐水モードに対応する中回転数より高い強吐水モードに対応する高回転数まで上昇させる制御を行う。
【0081】
本実施形態の変形例として、制御部28の第2流速上昇機能は、吐水開始時(時刻t11)において第2吐水モード(例えば中吐水モード)よりも流速が高い吐水を行う第3吐水モード(例えば強吐水モード)に設定されている場合に、吐水開始時から、第3吐水モードまで流速を上昇させる制御を行うように機能してもよい。
【0082】
再び、本実施形態に戻って説明する。本実施形態においては、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う強吐水モードが第3吐水モードに対応しているが、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う吐水モード、例えば中吐水モードが第3吐水モードに含まれていてもよい。
【0083】
このように、制御部28が吐水開始時において、強吐水モードに設定されている場合においては、制御部28は、時刻t11から、強吐水モードまで流速を早期に上昇させることができる。よって、使用者の望む強吐水モードを早期に実行することができるとともに、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等から表面張力を振り切るように吐水方向側に離間させる。
【0084】
このように、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させる。したがって、水流が浴槽2内の縦壁2b等に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が使用者の肩や首等に当たらなくなる又は当たる水量が減少する等、適切に行えなくなることを抑制することができる。さらに、吐水孔4aからの吐水が浴槽2内の縦壁2b等から離れ、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうことを抑制することができる。
【0085】
時刻t13においては、時刻t11から所定時間T2が経過している。時刻t11から比較的早期のタイミングの時刻t13において吐水部4から中吐水モード程度の吐水が行われるようになった段階で、吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等から離れた状態となり、使用者の肩や首等に吐水が適切に行われる。
【0086】
時刻t14においては、吐水部4から強吐水モードによる吐水が行われる。使用者が強吐水モードの設定をしているので、制御部28は強吐水モードの吐水状態を継続させる。制御部28は、中吐水モードや弱吐水モードに変更しない制御をすることにより、使用者の意図に沿った吐水を実現させることができる。
【0087】
次に、
図11を参照して、制御部28が吐水開始時において弱吐水モードよりも流速が高く且つ最も流速が高い強吐水モードより流速が低い吐水を行う中吐水モードに設定されている場合における、吐水開始時の吐水動作について説明する。前記の制御部28が吐水開始時において弱吐水モードに設定されている場合における、吐水開始時の吐水動作と共通する動作等の説明は以下省略する。
まず、時刻t10(吐水開始時)において、使用者が中吐水モードの吐水を行うように操作部30を予め設定する又は使用者が中吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作することにより、制御部28は中吐水モードの吐水を行うように設定されている。
【0088】
制御部28は、第3流速上昇機能により、時刻t11から、中吐水モードより流速が高い吐水を行う強吐水モードまで流速を上昇させる制御を行う。このような吐水流速の変化を実現するため、制御部28は、時刻t11から、ポンプ10の回転数を中吐水モードに対応する中回転数より高い強吐水モードに対応する高回転数まで上昇させる制御を行う。
【0089】
本実施形態においては、弱吐水モードよりも流速が高く且つ最も流速が高い強吐水モードより流速が低い吐水を行う吐水モード、例えば中吐水モードが第4吐水モードに対応している。
【0090】
制御部28が、時刻t11から、中吐水モードまで流速を上昇させた場合においても、依然として吐水部4から吐水される水流が、縦壁2bに表面張力により張り付くように流れる状態である場合に、強吐水モードによる吐水により水流を、縦壁2bから振り切るように吐水方向側により早期に離間させることができる。
【0091】
このように、中吐水モード程度の流速で吐水孔4aから吐水される水流が、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れている状態から、水流をこの縦壁2bから振り切るように吐水方向側により早期に離間させることができる。吐水孔4aからの吐水が使用者の肩や首等に適切に行えるようになるまでに要する時間をより短縮することができる。
【0092】
時刻t13においては、時刻t11から所定時間T2が経過している。時刻t11から比較的早期のタイミングの時刻t13において吐水部4から中吐水モードを超える流速の吐水が行われ、吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等からより確実に離れた状態となり、使用者の肩や首等に吐水が適切に行われる。
【0093】
時刻t20において、制御部28は、ポンプ10を強吐水モードに対応する高回転数に到達し、吐水部4から強吐水モードの吐水が行われる。時刻t11から比較的早期のタイミングの時刻t20において、吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等からより確実に離れた状態となり、使用者の肩や首等に吐水が適切に行われている。
【0094】
時刻t15において、制御部28は、時刻t20から一定時間が経過したことを判断し、自動的に予め設定されている中吐水モードに戻る制御を行う。制御部28は、時刻t15から、ポンプ10の回転数を中吐水モードに対応する回転数まで下降させる制御を行う。制御部28が弱吐水モードよりも流速が高く且つ最も流速が高い強吐水モードより流速が低い吐水を行う中吐水モードに設定されている場合において、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2bから吐水方向側に振り切るようにより早期に離間させることができる。吐水孔4aからの吐水が使用者の肩や首等に適切に行えるようになるまでに要する時間をより短縮することができる。
【0095】
次に、
図12に示すように、時刻t11からt16の間において、使用者が、弱吐水モード等の吐水を行うように操作部30を操作した場合の動作について説明する。
時刻t10からt11においては、浴槽用吐水装置1の動作は同じであるので説明を省略する。
時刻t11からt16の間における時刻t17において、使用者が、中吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作する。制御部28は、操作部30から中吐水モードの選択指令を受ける。さらに、時刻t11からt16の間における時刻t18において、使用者が、弱吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作している。制御部28は、操作部30から弱吐水モードの選択指令を受ける。
【0096】
このとき、制御部28は、さらに、決定機能を備えることにより、時刻t11から時刻t16までの予約時間Rを経過する前に受けた最後の吐水モードの選択指令を、後述する予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する。決定機能は、時刻t11から時刻t16までの予約時間Rの間に受けた吐水モードの選択指令を、待機状態にしておき、この予約時間Rの経過時に最後に受けた吐水モードの選択指令を決定する。本実施形態では最後の吐水モードの選択指令は、時刻t18に受けた弱吐水モードの選択指令となる。
【0097】
予約時間Rは、制御部28が吐水開始時において弱吐水モードに設定されている場合においては、吐水開始時の時刻t11から、第1流速上昇機能を実行した後、弱吐水モードまで流速を下降させる制御を実行し終える時刻t16までの時間である。
予約時間Rは、制御部28が吐水開始時において強吐水モードに設定されている場合においては、吐水開始時の時刻t11から、第2流速上昇機能を実行した後、強吐水モードまで流速を上昇させる制御を実行し終える時刻t14までの時間である。
予約時間Rは、制御部28が吐水開始時において弱吐水モードよりも流速が高く且つ最も流速が高い強吐水モードより流速が低い吐水を行う中吐水モードに設定されている場合においては、吐水開始時の時刻t11から、第3流速上昇機能を実行した後、中吐水モードまで流速を下降させる制御を実行し終える時刻t21までの時間である。
【0098】
制御部28は、さらに、予約機能を備えることにより、時刻t11から時刻t16までの予約時間Rを経過する前に受けた吐水モードの選択指令を、時刻t11から時刻t16までの予約時間Rを経過するまで待機させ、この予約時間Rを経過した後に実行する。本実施形態においては、決定機能により決定された弱吐水モードを吐水モードの選択指令として採用し、時刻t11から予約時間Rを経過した後に実行する。
【0099】
吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間させた後、予約機能により、時刻t11から予約時間R経過前に受けた吐水モードの選択指令による吐水モードを比較的早期に実行することができる。また、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間させた後、決定機能により、時刻t11から予約時間R経過前において使用者が最も望んでいると想定される最後に選択した吐水モードの選択指令を実行させることができる。
【0100】
時刻t11からt16の間においては、制御部28は、吐水モードの選択指令を受けている状態で待機するとともに、第1流速上昇機能により、時刻t11から、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う中吐水モードまで流速を上昇させる制御を行う。時刻t12においては、制御部28は、ポンプ10を中回転数で作動させ、吐水部4から中吐水モードの吐水が行われている。制御部28は、時刻t12から、ポンプ10の回転数を最も回転数の低い弱吐水モードに対応する低回転数まで下降させる制御を行う。よって、時刻t16以降、吐水部4から弱吐水モードの吐水が行われる。
【0101】
時刻t16において、制御部28は、決定機能により時刻t16までに受けた最後の吐水モードの選択指令、この場合は時刻t18に受けた弱吐水モードの選択指令を予約機能により実行される吐水モードの選択指令として決定する。次いで、制御部28は、予約機能により待機された弱吐水モードの選択指令を時刻t16経過後に実行する。よって、制御部28は、時刻t16から、ポンプ10の回転数を弱吐水モードに対応する低回転数に維持する制御を行っている。よって、時刻t16以降、吐水部4から弱吐水モードの吐水が行われる。
【0102】
次に、
図13に示すように、時刻t11からt16の間において、使用者が、強吐水モード等の吐水を行うように操作部30を操作した場合の動作について説明する。
時刻t10からt11においては、浴槽用吐水装置1の動作は同じであるので説明を省略する。
時刻t11からt12の間における時刻t19において、使用者が、強吐水モードの吐水を行うように操作部30を操作する。制御部28は、操作部30から強吐水モードの選択指令を受ける。
【0103】
制御部28は、さらに、選択機能を備えることにより、時刻t11から予約時間R経過前に弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードの選択指令を受けた場合には、予約時間R経過前に、直ちにその強吐水モードを実行する。
図13において点線で示すように、当初予定されていた弱吐水モードへの下降制御はキャンセルされる。制御部28は、強吐水モードの選択指令を受けた場合には、予約時間Rの経過を待つことなく強吐水モードを実行する。
【0104】
従って、時刻t11から予約時間R経過を待つことなく弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードを早期に実行することができる。よって、中吐水モードを超えて、強吐水モード又はこの強吐水モードに至る過程において、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2bから吐水方向側に振り切るように離間させることができる。
【0105】
なお、本実施形態においては、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う強吐水モードが第3吐水モードに対応しているが、弱吐水モードより流速が高い吐水を行う吐水モード、例えば中吐水モードが第3吐水モードに含まれていてもよい。
【0106】
時刻t12において、ポンプ10の回転数は、強吐水モードに対応する高回転数近傍まで上昇されている。吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等から離れた状態で、吐水が行われている。
【0107】
本発明の第2実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、制御部28が最も流速が低い吐水を行う弱吐水モードに設定されている場合においても、制御部28は、時刻t11から、最も流速が低い弱吐水モードより流速が高い中吐水モードまで流速を上昇させることができる。これにより、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態から、この縦壁2b等から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。したがって、水流が浴槽2内の縦壁2b等に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなること、及び、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに時刻t11から比較的長い時間を要してしまうことを抑制しつつも、使用者の肩や首筋に対して柔らかい体感を与える水流を吐水することができる。
【0108】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、制御部28が時刻t11において、弱吐水モードよりも流速が高い吐水を行う強吐水モードに設定されている場合においては、制御部28は、時刻t11から、強吐水モードまで流速を早期に上昇させることができる。よって、本発明によれば、使用者の望む強吐水モードを早期に実行することができるとともに、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。従って、使用者の望む強吐水モードを早期に実行することができる浴槽用吐水装置1を提供することができる。
【0109】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、制御部28が弱吐水モードよりも流速が高く且つ最も流速が高い強吐水モードより流速が低い吐水を行う中吐水モードに設定されている場合において、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から振り切るように吐水方向側により早期に離間させることができる。吐水孔4aからの吐水が使用者の肩や首等に適切に行えるようになるまでに要する時間をより短縮することができる。
【0110】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、時刻t11から、最も流速が高い吐水を行う強吐水モードまで、急速に流速を上げ、使用者を驚かせてしまうことを抑制することができるとともに、吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等から振り切るように吐水方向側に離間させることができる。
【0111】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させた後、予約機能により、時刻t11から予約時間R経過前に受けた吐水モードの選択指令による吐水モードを比較的早期に実行することができる。また、本発明によれば、浴槽2内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に完全に振り切る前に、吐水モードが第1吐水モードへ切り替わってしまうことを抑制することができる。
【0112】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、制御部28の選択機能により、時刻t11から予約時間R経過前に第1吐水モードよりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードの選択指令を受けた場合には、その第3吐水モードを実行することができる。吐水開始時から予約時間R経過を待つことなく第1吐水モードよりも流速が高い吐水を行う第3吐水モードを早期に実行することができる。
【0113】
また、本実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の壁面に表面張力により張り付くように流れる状態からこの壁面から吐水方向側に振り切るように離間させた後、決定機能により、吐水開始時から予約時間R経過前において使用者が最も望んでいると想定される最後に選択した吐水モードの選択指令を実行させることができる。
【0114】
次に、
図14を参照して、本発明の第3実施形態による浴槽用吐水装置1について説明する。本実施形態の浴槽用吐水装置1は、複数の吐水モードが設定されておらず、吐水開始時から、吐水孔4aから吐水される水の流速を、吐水孔4aから吐水させる予定の流速よりも高い流速まで上昇させる制御を行う点が上述した第1実施形態とは異なる。ここでは、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
図14においては、縦軸において吐水部4から吐水される湯水の吐水流速(ポンプ10の回転数)を示し、横軸において時刻を示している。
【0115】
本実施形態においては、制御部28は、本発明における「流速上昇機能」として機能する。制御部28の吐水状態は、予め使用者が選択できるように用意されていた複数の吐水モード、例えば弱吐水モード、中吐水モード及び強吐水モードのうちから選択されていない。制御部28は、単一の吐水モードを実行する中で、吐水開始時から、吐水孔4aから吐水される水の流速を、第1流速よりも高い第2流速まで上昇させる制御を行うように設定されている。
【0116】
第1流速は使用者に対して最終的に吐水孔4aから吐水させる予定の流速として設定されている。本実施形態においては、第1流速は最も流速が低い弱吐水として設定されているが、第1流速は弱吐水よりも流速の高い吐水、例えば中吐水に設定されていてもよい。
第2流速は、第1流速よりも高い流速として設定される。本実施形態においては、第2流速は第1流速よりも流速が高い中吐水として設定されているが、第2流速は第1流速よりも流速の高い吐水、例えば最も流速の高い強吐水に設定されていてもよい。
【0117】
図14を参照して、制御部28が、吐水開始時から吐水孔4aから吐水される水の流速を、吐水孔4aから吐水させる予定の第1流速よりも高い第2流速まで上昇させる制御を行う場合の吐水動作について説明する。
まず、待機状態(時刻t30~t31)において、制御部28は、ポンプ10を停止状態としている。ポンプ10は停止状態であるので、吐水部4からの吐水は行われていない。
【0118】
時刻t31(吐水開始時)において、使用者が、吐水部4からの吐水を行うべく操作部30を操作すると、制御部28がポンプ10を作動させる。ポンプ10が作動されると、吐水部4の吐水孔4aからの湯水の吐水が開始される。
【0119】
制御部28は、流速上昇機能により、時刻t31から、吐水孔4aから吐水される水の流速を、上記吐水孔4aから吐水させる予定の第1流速よりも高い第2流速まで上昇させる制御を行う。このような吐水流速の変化を実現するため、制御部28は、時刻t31から、ポンプ10の回転数を予定の第1流速に対応する第1回転数より高い第2回転数まで上昇させる制御を行う。制御部28による流速を上昇させる制御は、時刻t31からt32の間において行われる。
【0120】
これにより、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させる。したがって、水流が浴槽2内の縦壁2b等に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなることを抑制することができる。さらに、吐水孔4aからの吐水が浴槽2内の縦壁2b等から離れ、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに吐水開始時から比較的長い時間を要してしまうことを抑制することができる。
【0121】
時刻t32において、制御部28は、ポンプ10を第2回転数で作動させ、吐水部4から予定の第1流速よりも高い第2流速の吐水が行われている。時刻t31から所定時間T3が経過した比較的早期のタイミングの時刻t32において、吐水孔4aからの吐水は浴槽2内の縦壁2b等から離れた状態で、使用者の肩や首等に吐水が適切に行われている。
【0122】
時刻t33において、制御部28は、時刻t32から一定時間が経過したことを判断し、自動的にポンプ10の回転数を予定の第1流速に対応する第1回転数まで下降させる制御を行う。
【0123】
本発明の第3実施形態の浴槽用吐水装置1によれば、時刻t31から、吐水孔4aから吐水される水の流速を、吐水孔4aから吐水させる予定の第1流速よりも高い第2流速まで上昇させることができる。これにより、幅広形状の吐水孔4aから吐水される幅広状の水流を、浴槽2内の縦壁2b等に表面張力により張り付くように流れる状態からこの縦壁2b等から吐水方向側に振り切るように離間させることができる。したがって、水流が浴槽2内の縦壁2b等に張り付くように流れて使用者の肩や首等への吐水が適切に行えなくなること、及び、使用者の肩や首等に吐水が適切に行えるようになるまでに時刻t31から比較的長い時間を要してしまうことを抑制することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 浴槽用吐水装置
2 浴槽
2a 底部
2b 縦壁
2c 上端部
2d 側壁
4 吐水部
4a 吐水孔
10 ポンプ
28 制御部
30 操作部