IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トスレック株式会社の特許一覧

特許7106089微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法
<>
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図1
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図2
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図3
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図4
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図5
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図6
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図7
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図8
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図9
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図10
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図11
  • 特許-微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】微細気泡殺菌システム、ならびに、魚介類、飲料および食品の殺菌方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 4/015 20060101AFI20220719BHJP
   A23B 4/26 20060101ALI20220719BHJP
   A23L 3/015 20060101ALI20220719BHJP
   A23L 3/30 20060101ALI20220719BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A23B4/015
A23B4/26
A23L3/015
A23L3/30
A01K63/04 C
A01K63/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017182354
(22)【出願日】2017-09-22
(65)【公開番号】P2019055384
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】504280724
【氏名又は名称】トスレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】中尾 順次
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第1717553(KR,B1)
【文献】特許第6123013(JP,B1)
【文献】特開2006-346633(JP,A)
【文献】国際公開第2005/030649(WO,A1)
【文献】特開2015-186781(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102805051(CN,A)
【文献】特開2013-017963(JP,A)
【文献】国際公開第2009/016998(WO,A1)
【文献】特開2012-019729(JP,A)
【文献】特開2018-094543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23B
A23N
B01F
C02F
A01K
A61L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部と、
前記液体を貯留する貯留部と、
前記微細気泡生成部と前記貯留部とに介在する通路と、
前記通路に設けられ、前記微細気泡を含有し前記通路を通過する前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する第1の超音波照射部と、
前記貯留部に設けられ、前記微細気泡を含有し前記貯留部に導入された前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する第2の超音波照射部とを備え、
前記貯留部、前記微細気泡生成部および前記通路により、前記液体を循環させる循環経
路を形成する微細気泡殺菌システムであって、
前記貯留部は、魚介類を殺菌被対象物として導入され、また、前記液体を貯留する貯留槽と、殺菌被対象物を保持する保持部材とを備え、
微細気泡または超微細気泡が前記殺菌被対象物からウイルスまたは細菌を脱離することを特徴とする、微細気泡殺菌システム。
【請求項2】
液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部と、
前記液体を貯留する貯留部と、
前記微細気泡生成部と前記貯留部とに介在する通路と、
前記通路に設けられ、前記微細気泡を含有し前記通路を通過する前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する第1の超音波照射部と、
前記貯留部に設けられ、前記微細気泡を含有し前記貯留部に導入された前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する第2の超音波照射部とを備え、
前記貯留部、前記微細気泡生成部および前記通路により、前記液体を循環させる循環経路を形成する微細気泡殺菌システムであって、
前記貯留部は、食品を殺菌被対象物として導入され、また、前記液体を貯留する貯留槽と、殺菌被対象物を保持する保持部材とを備え、
微細気泡または超微細気泡が前記殺菌被対象物からウイルスまたは細菌を脱離することを特徴とする、微細気泡殺菌システム。
【請求項3】
前記貯留部は、前記液体を貯留する貯留槽を備え、
前記貯留槽は、底部と、前記底部の略中央に形成され、前記貯留槽に貯留された前記液体を排出する導出口と、複数の前記超音波照射部を取り付けられ、前記底部から上方に続く側周部とを備え、
前記貯留槽は、前記導出口から前記液体を排出することにより前記導出口を中心とし前記底部に向けて回転する渦流を形成され、
複数の前記超音波照射部は前記渦流の中央に向けて超音波を照射し、
微細気泡または超微細気泡が前記殺菌被対象物からウイルスまたは細菌を脱離する、請求項1または2に記載の微細気泡殺菌システム。
【請求項4】
前記貯留槽は、さらに、前記側周部の上端となる開口を備え、
前記開口の周囲から周方向に向けて前記液体を導入することを特徴とする、請求項3に記載の微細気泡殺菌システム。
【請求項5】
貯留部に液体を準備する準備ステップと、
保持部材に保持した食品を前記貯留部の保持部に保持する導入ステップと、
前記液体に二酸化炭素ガスの微細気泡を含有させる微細気泡生成ステップと、
前記微細気泡を含有する液体および前記食品に超音波を照射する超音波圧壊ステップとを含み、
前記超音波圧壊ステップでは、超音波により、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成するとともに、前記食品を殺菌し、
微細気泡または超微細気泡が前記殺菌被対象物からウイルスまたは細菌を脱離することを特徴とする、食品の殺菌方法。
【請求項6】
貯留部に液体を準備する準備ステップと、
保持部材に保持した魚介類を前記貯留部の保持部に保持する導入ステップと、
前記液体に二酸化炭素ガスの微細気泡を含有させる微細気泡生成ステップと、
前記微細気泡を含有する液体および前記食品に超音波を照射する超音波圧壊ステップとを含み、
前記超音波圧壊ステップでは、超音波により、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成するとともに、前記魚介類を殺菌し、
微細気泡または超微細気泡が前記殺菌被対象物からウイルスまたは細菌を脱離することを特徴とする、魚介類の殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波による微細気泡の圧壊を利用した殺菌システム、ならびに、超音波による微細気泡の圧壊を利用した魚介類、飲料および食品の殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウルトラファインバブル含有液には、殺菌効果、洗浄効果、生物の発育促進効果等が期待されている。ウルトラファインバブル含有液を製造する方法として、旋回流方式、加圧溶解方式、微細孔方式等の他に、超音波の衝撃波によってファインバブルをウルトラファインバブルに変換する超音波方式が知られている。
【0003】
例えば、先行技術文献1に記載のナノバブル生成装置では、ファインバブルを含有する液体を貯留部に貯留し、貯留部に超音波を照射してマイクロバブルをナノバブルに変換することによりウルトラファインバブル含有液が製造される。
【0004】
このナノバブル生成装置により生成されたウルトラファインバブル含有液は、貯留部に一時貯留された後、必要に応じて貯留部から取り出され、対象物に適用されている。先行技術文献1では、例えば、ぶどう園の葡萄を殺菌被対象物として適用(散布)することで、病害、黴害が抑止されたことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-47419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ウルトラファインバブル含有液のウルトラファインバブルそのものによる殺菌効果を期待して、生成装置で生成したウルトラファインバブル含有液を殺菌被対象物に適用しても、期待通りの殺菌効果を得ることができない場合があった。例えば、魚介類の内部に蓄積された細菌やウイルスや細菌等については十分に殺菌できず、飲料に対する殺菌についても明確な殺菌効果は立証されていなかった。
【0007】
すなわち、ウルトラファインバブル含有液による殺菌のメカニズムは解明されておらず、またウルトラファインバブルそのものによる殺菌効果は限定的となる場合が多かった。さらに、ウルトラファインバブルの吸着脱離作用や、超音波圧壊によりウルトラファインバブルを生成する際の超音波圧壊エネルギーを利用した殺菌作用については知られていなかった。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、超微細気泡を生成するための超音波を殺菌に利用することで、殺菌被対象物を効率的に殺菌することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る第1の微細気泡殺菌システムは、液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部と、前記液体を貯留する貯留部と、前記微細気泡生成部と貯留部とに介在する通路と、前記通路に設けられ、前記微細気泡を含有し前記通路を通過する前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する超音波照射部とを備え、前記貯留部、前記微細気泡生成部および前記通路により、前記液体を循環させる循環経路を形成する微細気泡殺菌システムであって、前記貯留部は、殺菌被対象物を導入されることを特徴とする。
【0010】
この微細気泡殺菌システムによれば、貯留部と微細気泡生成部とをつなぐ通路を通過する液体に超音波照射部から超音波が照射される。また、超微細気泡を含有する液体を貯留する貯留部に殺菌被対象物が導入され、さらに、貯留部に貯留された液体は、循環経路を介して微細気泡生成部に再帰される。
【0011】
超音波が照射される通路には殺菌被対象物のような障害物がないため、通路内には強力な超音波圧壊場が形成され、液体中の微細気泡を効果的に圧壊し、超微細気泡を生成できる。そして、微細気泡および超微細気泡を含有する液体を貯留部に供給する。
【0012】
液体を供給される貯留部に導入された殺菌被対象物は、微細気泡および超微細気泡によりウイルスや細菌等が脱離され、脱離されたウイルスや細菌等を含んだ液体が循環経路を介して、超音波を照射される通路を通過する。通路では、強力な超音波圧壊場が形成されており、微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成するとともに、超音波圧壊エネルギーにより液中のウイルスや細菌等が効率的に殺菌される。
【0013】
したがって、この微細気泡殺菌システムでは、殺菌被対象物に蓄積されたウイルスや細菌等を吸着脱離し、脱離されたウイルスを有する液体が循環経路を循環して通路を通過する際に、超音波を照射されて殺菌されるため、従来は殺菌が困難であった殺菌被対象物に蓄積または付着したウイルスや細菌等を効率的に殺菌することができる。
【0014】
(2)本発明に係る第2の微細気泡殺菌システムは、液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部と、前記微細気泡生成部に接続し、前記微細気泡生成部から微細気泡を含有する前記液体を導入されて貯留する貯留部と、前記貯留部に設けられ、前記微細気泡を含有し前記貯留部に導入された前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する超音波照射部とを備える微細気泡殺菌システムであって、前記貯留部は、殺菌被対象物を導入されることを特徴とする。
【0015】
この微細気泡殺菌システムによれば、貯留部に超音波照射部から超音波が照射される。また、超微細気泡を含有する液体を貯留する貯留部に殺菌被対象物が導入される。これにより、貯留部に導入された殺菌被対象物は超微細気泡によりウイルスや細菌等が吸着脱離され、脱離されたウイルスや細菌等を含んだ液体が、貯留部に照射された超音波により直接殺菌される。
【0016】
したがって、超微細気泡を生成でき、かつ超音波圧壊エネルギーにより効率的な殺菌を行うことができるため、従来は殺菌が困難であった殺菌被対象物に付着したウイルスや細菌等を効率的に除去することができる。
【0017】
(3)本発明に係る第3の微細気泡殺菌システムは、液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部と、前記液体を貯留する貯留部と、前記微細気泡生成部と貯留部とに介在する通路と、前記通路に設けられ、前記微細気泡を含有し前記通路を通過する前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する第1の超音波照射部と、前記貯留部に設けられ、前記微細気泡を含有し前記貯留部に導入された前記液体に超音波を照射し、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する第2の超音波照射部とを備え、前記貯留部、前記微細気泡生成部および前記通路により、前記液体を循環させる循環経路を形成する、微細気泡殺菌システムであって、前記貯留部は、殺菌被対象物を導入されることを特徴とする。
【0018】
この微細気泡殺菌システムによれば、貯留部と微細気泡生成部をつなぐ通路を通過する液体に超音波照射部から超音波が照射されとともに、貯留部にも超音波照射部から超音波が照射される。また、超微細気泡を含有する液体を貯留する貯留部に殺菌被対象物が導入され、さらに、貯留部に貯留された液体は、循環経路を介して微細気泡生成部に再帰される。
【0019】
超音波が照射される通路には殺菌被対象物のような障害物がないため、通路内には強力な超音波圧壊場が形成され、液体中の微細気泡を超微細気泡に効果的に圧壊できる。そして、液体に対して、超微細気泡を生成しながら循環させることができ、超微細気泡を含有した液体を貯留する貯留部に殺菌被対象物を導入し、殺菌することができる。これにより、超音波を照射される通路では、超微細気泡を効率的に生成でき、かつ超音波圧壊エネルギーにより効率的な殺菌を行うことができる。
【0020】
また、貯留部に導入された殺菌被対象物は超微細気泡によりウイルスや細菌等が脱離され、脱離されたウイルスや細菌等を含んだ液体が、貯留部に照射された超音波により直接殺菌される。これにより、貯留部では、超微細気泡を効率的に生成でき、かつ超音波圧壊エネルギーにより効率的な殺菌を行うことができるため、従来は殺菌が困難であった殺菌被対象物に付着したウイルスや細菌等を効率的に殺菌することができる。
【0021】
すなわち、貯留部に導入された殺菌被対象物は超微細気泡によりウイルスや細菌等が脱離され、脱離されたウイルスや細菌等を含んだ液体がシステムを循環するうちに、通路および貯留部において超音波照射部から超音波を照射されて、微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成するとともに、超音波圧壊エネルギーにより液中のウイルスや細菌等が殺菌される。これにより、従来は殺菌が困難であった殺菌被対象物に付着したウイルスや細菌等を効率的に除去することができる。
【0022】
(4)前記液体および前記殺菌被対象物は飲料であってもよい。そのようにすれば、飲料を超音波により直接殺菌できるため、非加熱で効果的な殺菌を行うことができる。
【0023】
(5)前記した微細気泡殺菌システムにおいて、前記貯留部は、前記貯留部は、前記液体を貯留する貯留槽と、殺菌被対象物を保持する保持部材とを備え、微細気泡または超微細気泡が前記殺菌被対象物からウイルスまたは細菌を脱離するようにしてもよい。
【0024】
そのような微細気泡殺菌システムによれば、貯留部の貯留槽内に殺菌被対象物を保持する保持部材を配置することにより、貯留槽内の殺菌被対象物の位置を調整することができる。これにより、例えば、超音波圧壊部を貯留部に形成する際に、超音波圧壊場に殺菌被対象物を保持すること、また超音波圧壊場とは異なる位置に殺菌被対象物を保持することができる。
【0025】
超音波圧壊場の付近に殺菌被対象物を保持すれば、殺菌被対象物が直接超音波を受け、直接的に殺菌されるため、殺菌効率が向上する。一方で、超音波圧壊場から離れた位置に殺菌被対象物を保持すれば、殺菌被対象物が超音波の伝達の障害物になることがなく、圧壊場が効率的に形成され、超微細気泡の生成効率が向上する。
【0026】
また、超微細気泡は、粒径が小さいものほど下方に密集する性質があるため、適用したい粒径の超微細気泡が密集する位置に殺菌被対象物を保持することにより、殺菌被対象物のウイルスや細菌を選択的に脱離し、効率的に殺菌することができる。
【0027】
(6)前記貯留部は、前記液体を貯留する貯留槽を備え、前記貯留槽は、底部と、前記底部の略中央に形成され、前記貯留槽に貯留された前記液体を導出する導出口と、複数の前記超音波照射部を取り付けられ、前記底部から上方に続く側周部とを備え、前記貯留槽は、前記導出口から前記液体を排出することにより前記排出口を中心とし前記底部に向けて回転する渦流を形成され、複数の前記超音波照射部は前記渦流の中央に向けて超音波を照射し、微細気泡または超微細気泡が前記殺菌被対象物からウイルスまたは細菌を脱離してもよい。
【0028】
このような微細気泡殺菌システムでは、貯留部の貯留槽内で形成された渦流の中央に超音波圧壊場が形成される。これにより、貯留槽の中央に微細気泡から高濃度の超微細気泡が生成され、渦流に乗って周囲へ拡散していく。これにより、微細気泡および超微細気泡が貯留槽内全体に効果的に循環し、貯留部内に導入された殺菌被対象物に接触できる。したがって、微細気泡および超微細気泡、特に粒径100μm以下の超微細気泡を、貯留槽に導入された殺菌被対象物に効果的に作用させることができる。
【0029】
(7)前記貯留槽は、さらに、前記側周部の上端となる開口を備え、前記開口の周囲から周方向に向けて前記液体を導入することを特徴とする。
【0030】
このような微細気泡殺菌システムでは、側周部の上端となる開口から周方向に向けて液体を導入することで、貯留槽内で形成される渦流が側周部まで広がり、渦流の中央で圧壊により生成される超微細気泡を効果的に貯留槽内に拡散することができる。
【0031】
(8)本発明に係る第4の微細気泡殺菌システムは、液体に殺菌被対象物を導入すること、前記液体に微細気泡を生成すること、超音波を照射し、前記液体内に超音波圧壊場を形成すること、前記超音波圧壊場により前記微細気泡を圧壊し、超微細気泡を生成することを含み、前記超音波圧壊場が前記微細気泡を圧壊することで、液体中に水酸基ラジカルを発生させ、紫外線を生じさせ、かつ、キャビテーションを起こさせることにより液体中のウイルスまたは細菌を殺菌することを特徴とする。
【0032】
この微細気泡殺菌システムによれば、微細気泡を含有する液体に超音波を照射し、超音波圧壊場を形成することにより、微細気泡が圧壊されて超微細気泡が生成される。このとき、微細気泡の圧壊により、水酸基ラジカルが発生し、また紫外線発光およびキャビテーションが起こり、これらが作用することでウイルスまたは細菌に作用することができる。
【0033】
また、液中の微細気泡および超微細気泡が殺菌被対象物からウイルスおよび細菌を選択的に吸着脱離するため、殺菌被対象物に付着または蓄積したウイルスまたは細菌を液中に排出させて、殺菌することができる。これにより、従来は殺菌が困難であった殺菌被対象物に付着または蓄積したウイルスや細菌等を効率的に殺菌することができる。
【0034】
(9)本発明に係る魚介類の殺菌方法は、貯留部に海水を準備する準備ステップと、前記貯留部に魚介類を導入する導入ステップと、前記海水に酸素ガスまたは二酸化炭素ガスの微細気泡を含有させる微細気泡生成ステップと、前記微細気泡を含有する海水に超音波を照射して圧壊する超音波圧壊ステップとを含み、前記超音波圧壊ステップでは、超音波により、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成するとともに、前記海水を殺菌することを特徴とする。
【0035】
この魚介類の殺菌方法によれば、貯留部に準備される海水は、微細気泡を含有し、超音波により圧壊されて超微細気泡を生成される。このとき、海水を準備される貯留部は、魚介類を導入され、海水の微細気泡および超微細気泡により、魚介類の表面および体内に蓄積されたウイルスや細菌等を脱離される。この脱離は、微細気泡または超微細気泡の粒径に応じて、粒径に近似する大きさのウイルスや細菌が選択的に脱離される。
【0036】
そして、脱離したウイルスや細菌等を含む海水は、超音波を照射されて殺菌される。すなわち、この魚介類の殺菌方法によれば、ウイルスや細菌等を脱離する超微細気泡を効率的に生成でき、かつ超音波圧壊エネルギーにより効率的な殺菌を行うことができるため、従来は殺菌が困難であった殺菌被対象物に付着したウイルスや細菌等を効率的に除去することができる。
【0037】
(10)前記準備ステップでは、前記微細気泡生成ステップで微細気泡を含有した海水を前記貯留部に準備し、前記超音波圧壊ステップでは、前記貯留部に貯留された海水に超音波を照射してもよい。
【0038】
このような魚介類の殺菌方法によれば、貯留部内の海水に直接超音波を照射するため、脱離して液体内に排出されたウイルスや細菌に対して、排出後すぐに殺菌がされるため、ウイルスや細菌が再び魚介類に蓄積されることを防止できる。
【0039】
(11)本発明に係る飲料の殺菌方法は、貯留部に飲料を準備する準備ステップと、前記貯留部に貯留された飲料に微細気泡を含有させる微細気泡生成ステップと、前記微細気泡を含有する前記飲料に超音波を照射して圧壊する超音波圧壊ステップとを含み、前記超音波圧壊ステップでは、前記飲料を殺菌することを特徴とする。
【0040】
この飲料の殺菌方法によれば、貯留部に準備される飲料は、微細気泡を含有し、超音波により圧壊されて超微細気泡を生成される。このとき、飲料を準備される貯留部では、ウイルスや細菌等を超音波により殺菌される。また、超音波により生成された超微細気泡により飲料は、抗菌作用を有し、殺菌された安全な状態を維持される。
【0041】
(12)前記準備ステップでは、前記微細気泡生成ステップで微細気泡を含有した飲料を前記貯留部に準備し、前記超音波圧壊ステップでは、前記貯留部に貯留された前記飲料に超音波を照射してもよい。
【0042】
このような飲料の殺菌方法によれば、貯留部内の飲料に直接超音波を照射するため、飲料内のウイルスや細菌に対して、直接殺菌がされるため、効率的に飲料を殺菌することができる。
【0043】
(13)本発明に係る食品の殺菌方法は、貯留部に液体を準備する準備ステップと、前記貯留部に食品を導入する導入ステップと、前記飲料に二酸化炭素ガスの微細気泡を含有させる微細気泡生成ステップと、前記微細気泡を含有する液体に超音波を照射して圧壊する超音波圧壊ステップとを含み、前記超音波圧壊ステップでは、超音波により、前記微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成するとともに、前記液体を殺菌することを特徴とする。
【0044】
この食品の殺菌方法によれば、貯留部の貯留槽内に殺菌被対象物を保持する保持部材を配置することにより、貯留槽内の食品の位置を調整することができる。これにより、例えば、超音波圧壊部を貯留部に形成する際に、超音波圧壊場に食品を保持すること、また超音波圧壊場とは異なる位置に食品を保持することができる。
【0045】
そのようにすることで、超音波圧壊場付近に食品を保持すれば、食品が直接超音波を受け、直接的に殺菌されるため、殺菌効率が向上する。一方で、超音波圧壊場から離れた位置に食品を保持すれば、食品が超音波の伝達の障害物になることがなく、圧壊場が効率的に形成され、超微細気泡の生成効率が向上する。
【発明の効果】
【0046】
本発明は、超微細気泡を生成するための超音波を殺菌に利用することで、殺菌被対象物を効率的に殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の第1の実施形態に係る微細気泡殺菌システムの機能ブロック図を示す。
図2図1における通路圧壊部の概略図を示し、図2(A)は通路圧壊部の側面図、図2(B)は通路圧壊部の正面図を示す。
図3図1における貯留部の概略図を示し、図3(A)は貯留部の平面図を、図3(B)は図3(A)の3B-3Bの断面図を示す。
図4】貯留部内で生じる超音波圧壊および渦流を説明するための貯留部の概略斜視図を示す。
図5】超微細気泡をPLL-mica基板を用いて観察した結果を示す図であり、図5(A)は観察写真、図5(B)は図5(A)の白線上の高さのグラフを示す。
図6】超微細気泡をPLL-mica基板を用いて観察した結果を示す図であり、図6(A)は観察写真、図6(B)は図6(A)の白線上の高さのグラフを示す。
図7】超微細気泡をAPTES-mica基板を用いて観察した結果を示す図であり、図7(A)は観察写真、図7(B)は図7(A)の白線上の高さのグラフを示す。
図8】超微細気泡をAPTES-mica基板を用いて観察した結果を示す図であり、図8(A)は観察写真、図8(B)は図8(A)の白線上の高さのグラフを示す。
図9】本発明の第2の実施形態に係る微細気泡殺菌システムの機能ブロック図を示す。
図10図9における貯留部の概略図を示し、図10(A)は貯留部の平面図を、図10(B)は図10(A)の10B-10Bの断面図を示す。
図11】本発明の第3の実施形態に係る微細気泡殺菌システムの機能ブロック図を示す。
図12図11における貯留部の概略側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[第1の実施形態]
【0049】
本発明の第1の実施形態に係る微細気泡殺菌システム100について、図1図4を参照しながら説明する。微細気泡殺菌システム100は、微細気泡または超微細気泡を利用して殺菌被対象物を殺菌するものであり、本実施形態においては、殺菌被対象物を魚介類としたシステムについて説明する。
【0050】
図1は、微細気泡殺菌システム100の機能ブロック図を示す。微細気泡殺菌システム100は、図1に示すように、液体を貯留し、また貯留した液体中で魚介類を養殖するための貯留部110と、貯留部110に接続され、貯留部110から供給される液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部120と、微細気泡生成部120に接続され、微細気泡を含有した微細気泡含有液を通過させながら超音波を照射し、微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する通路圧壊部130とを備える。通路圧壊部130は、微細気泡生成部120に接続された側と反対側を貯留部110に接続され、通路圧壊部130を通過した超微細気泡含有液は貯留部110に貯留される。
【0051】
本実施形態において、養殖する魚介類の成長を促進するために、超微細気泡含有液の液体には海水、気体には酸素を適用しているが、液体および気体の種類は適宜変更できる。例えば、魚類を殺菌被対象物とする場合であっても、気体に二酸化炭素を適用し、麻酔効果を併せ持つようにしてもよい(例えば、特開2014-39514号公報を参照)。また、例えば、食品の殺菌においては液体に水道水、気体に窒素を適用してもよく、さらに、例えば、液体に飲料、気体に二酸化炭素や窒素を適用してもよい。
【0052】
貯留部110、微細気泡生成部120および通路圧壊部130は、相互に接続されており、液体を循環させる循環経路R1を形成する。貯留部110と微細気泡生成部120との間には、第1のポンプ140が配置され、貯留部110から微細気泡生成部120に液体を供給する。また、貯留部110と第1のポンプ140との間には、濾過部150が設けられ、第1のポンプ140に供給される液体を濾過する。微細気泡生成部120は、気体供給部160に接続され、気体供給部160から気体を供給される。
【0053】
また、微細気泡殺菌システム100は、海域Sから貯留部110に液体を導入し、または、貯留部110から海域Sに液体を排出するための海水導入出路D1を備える。海水導入出路D1は、排出路圧壊部170を備える。排出路圧壊部170は、導入出路171と、超音波照射部173とを備え、通過する海水の含有する気体を超音波圧壊する。貯留部110と排出路圧壊部170との間には、バルブ180が設けられている。
【0054】
排出路圧壊部170と海域Sとの間には、第2のポンプ190が配置され、第2のポンプ190の吐出方向を切り替えることにより、排出路圧壊部170から排出された液体を海域Sに排出し、または海域Sから排出路圧壊部170へ液体を汲み上げることができる。微細気泡殺菌システム100は、海水導入出路D1に代えて、貯留部110に所定の液体を供給する供給部および所定の液体を排出する排出部の少なくとも一方の経路を備えてもよい。
【0055】
微細気泡殺菌システム100は、制御部1により集中管理される。図1では、制御部1と、制御部1により管理される各部との接続を破線で示している。制御部1は、外部の制御装置等と連携して、微細気泡殺菌システム100を制御してもよい。また、微細気泡殺菌システム100の各部は、他の制御装置等により制御されてもよい。
【0056】
[微細気泡生成部]
【0057】
微細気泡殺菌システム100は、微細気泡生成部120として、従来よく知られる、ノズル型のファインバブル発生装置を備える(例えば、特許第5002480号を参照)。このようなノズル型のファインバブル発生装置は、気体と液体とを撹拌混合室に導入して液体及び気体をループ状の流れによって撹拌混合して混合流体とする。気液ループ流式撹拌混合室は、加圧された液体を気液ループ流式撹拌混合室に供給する液体供給孔と、気体が流入する気体流入孔と、混合流体を前記気液ループ式撹拌混合室から噴出させる噴出孔とを備える。
【0058】
このノズル型のファインバブル発生装置において、液体供給孔は、第1のポンプ140を介して貯留部110に接続されており、加圧された液体を撹拌混合室に導入することができる。気体供給孔は、気体供給部160に接続されており、気体を撹拌混合室に導入することができる。噴出孔は、配管により通路圧壊部130に接続されており、ループ流により撹拌され微細気泡となった気体を含有する微細気泡含有液を通路圧壊部130に向けて噴射する。
【0059】
ファインバブル発生装置において、液体供給孔から供給される液体の圧力、気体供給孔から供給される気体の圧力、噴出孔の大きさにより、生成される微細気泡の粒径を制御することができる。
【0060】
[通路圧壊部]
【0061】
図2は、図1に示す通路圧壊部130の概略図であり、(A)は側面図を示し、(B)は正面図を示す。通路圧壊部130は、従来よく知られる超微細気泡生成装置(例えば、特許第6123013号を参照)を備える。通路圧壊部130は、一方側を微細気泡生成部120に接続され、微細気泡生成部120で製造された微細気泡含有液を通過させる通路131と、通路131の周囲を覆う外装体132とを備え、通路131と外装体132との間に中間空間130sを有する二層構造とされている。通路圧壊部130は、他方側を貯留部110に接続され、通路131が水平方向に延びるように配置されている。
【0062】
外装体132には、複数の超音波振動子133が設けられており、各超音波振動子133は、通路131に向けて超音波を照射する超音波照射部として機能する。通路131と外装体132との間の中間空間130sには伝搬液が充填され、超音波振動子133から照射された超音波は、伝搬液を介して通路131の内部に伝搬され、通路131の内部を流れる気泡含有液の微細気泡を圧壊する。
【0063】
伝搬液は、チラーのような冷却水供給部(図示しない)から供給される冷却水であり、外装体132に設けられた伝搬液導入口134から中間空間130sに導入され、同じく外装体132に設けられた伝搬液導出口135から導出される。通路圧壊部130では、中間空間130sに伝搬液(冷却水)が充満して流れており、超音波振動子133による超音波照射が伝搬液に伝搬され、通路131を通過する液体が加熱される。ここで、伝搬液は通路圧壊部130を冷却する作用も有するため、中間空間130sを流れる伝搬液の流量を調整することにより、通路131を通過する気泡含有液の温度を調整することができる。
【0064】
通路131は、PFA(ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂やPVC(ポリ塩化ビニル)等を材料としたパイプから形成されている。これにより、通路131は、円形の断面を有し、同一径で円柱状に延び、気泡含有液の流動方向に均一な流路を形成している。通路131は、微細気泡生成部120と貯留部110とに介在するように接続されており、微細気泡生成部120から供給された微細含有液は、通路131の内部に充満した状態で貯留部110に向けて流される。
【0065】
外装体132は、ステンレスを材料とし、正六角形の断面を有する六角柱状に延びる側周部材136と、側周部材136を延在方向の両側から挟む円板状の一対の平面部材137とからなる。両平面部材137は、平面の中央に通路131がはめ込まれ、側周部材136の構成する正六角柱の中心軸上に通路131が延びるように通路131を固定している。これにより、通路131の外面と外装体132の側周部材136の内面によって中間空間130sが形成される。
【0066】
外装体132は、側周部材136が構成する六角柱の各面に超音波振動子133を取り付けられている。超音波振動子133は、通路131の延在方向に前後2段に分けて設けられており、微細気泡生成部120側を前段の超音波振動子133群、貯留部110側を後段の超音波振動子133群としている。
【0067】
各段の超音波振動子133群は、通路131の中心軸から放射状に設けられた6つの超音波振動子133からなる。各超音波振動子133は、対向して配置され、発生する超音波の周波数および出力を制御部1により調整可能とされている。本実施形態において、12個の超音波振動子133は、いずれも同一周波数、同一出力で超音波を照射する。
【0068】
各段の超音波振動子133は、それぞれが通路131の中央の一点に向けて超音波を照射する。そのため、通路131の中央に超音波圧壊場が形成され、通路131を通過する微細気泡含有液の微細気泡が圧壊され、超微細気泡が生成される。通路圧壊部130では、複数の方向から超音波が照射され、超音波が集中する場所に超音波圧壊場が形成される。
【0069】
そのため、本実施形態において、各段の超音波振動子133群が、それぞれ通路131内に超音波圧壊場を形成する。なお、超音波振動子の周波数および出力を変更することにより、微細気泡を圧壊して生成される超微細気泡の粒形や濃度を制御することができる。
【0070】
[貯留部]
【0071】
図3は、図1に示す貯留部110の概略図を示し、図3(A)は貯留部110の平面概略図を示し、図3(B)は(A)の3B-3Bの断面概略図を示す。貯留部110は、通路圧壊部130から超微細気泡含有液を導入され、また、濾過部150に接続されることにより、循環経路R1に組み込まれている。
【0072】
貯留部110は、液体を貯留し、魚介類を養殖可能な容量を有する貯留槽111と、通路圧壊部130に接続されて貯留槽111に超微細気泡含有液を導入する複数の液体導入管112と、貯留槽111に貯留した液体に向けて超音波を照射する超音波照射装置113とを備える。本実施形態において、貯留部110は、4つの液体導入管112を備える。
【0073】
貯留槽111は、概略円柱状の収容空間111sを形成するように側周部111aと、底部111bとを備え、上方に開放する開口111oを有している。貯留槽111の底部111bは、平面視で円形となり、中央に向けて径方向に僅かに下降傾斜する擂り鉢状に形成されており、貯留槽111内の異物が中央に集合する。また、貯留槽111は、貯留した液体を循環経路R1に向けて導出するための導出口114を底部111bの中央に備え、貯留した液体を海水導入出路D1に排出するための排出口115を底部111bの側部に備える。
【0074】
導出口114は、底弁として機能し、濾過部150を介して第1のポンプ140に接続されており、第1のポンプ140に貯留槽111内の液体が送られ、第1のポンプで加圧された液体が微細気泡生成部120に供給される。また、導出口114付近には、気体の溶存濃度を検出する検出部116が設けられている。導出口114の周囲は、下方に凹む凹部114aとして形成されている。凹部114aは、貯留槽111に生じた不純物で導出口114が詰まらないように作用する。
【0075】
また、排出口115は、底弁として機能し、排出路圧壊部170を介して第2のポンプ190に接続されており、第2のポンプ190に貯留槽111内の液体が送られ、液体が第2のポンプ190を介して海域Sに排出される。排出口115の周囲は下方に凹む凹部115aとして形成されている。凹部115aは、貯留槽111に生じた不純物で排出口115が詰まらないように作用する。
【0076】
貯留部110の液体導入管112は、上方に開放する貯留槽111の開口の周囲に設けられている。各液体導入管112は、主に円筒の配管からなり、それぞれが通路圧壊部130に接続され、通路圧壊部で生成される超微細気泡を含有する微細気泡含有液を貯留槽111に導入する。
【0077】
図4に示すように、貯留部110では、液体導入管112から、平面視で時計回り(図3(A)の矢印rの向き)に超微細気泡含有液が放出され、かつ底部111bの中央に設けられた導出口114から貯留された液体を導出することにより、貯留槽111は、上方から下方に向けて貯留槽111の周方向に時計回りに回転する渦流Tを形成する。
【0078】
貯留槽111の側周部111aには、複数の超音波照射装置113が配置されている。本実施形態では、平面視で円形をなす貯留槽111に4つの超音波振動子133を取り付けている。これらの超音波照射装置113は貯留槽111の中央へ向けて水平方向に超音波を発振し得るように対向して配置されている。各超音波照射装置113は、発生する超音波の周波数および出力を制御部1により調整可能とされている。本実施形態において、4つの超音波照射装置113は、いずれも同一周波数、同一出力で超音波を照射する。
【0079】
各超音波照射装置113は、貯留槽111の中央に向けて超音波を照射するため、貯留槽111の中央に超音波圧壊場Wが形成され(図4を参照)、中央部を中心として、高濃度の超微細気泡が生成される。そして、貯留槽111の中央部を中心として渦流Tが形成されており、生成された超微細気泡は渦流Tに乗って、貯留槽111の全域(図4の矢印dの向き)に拡散される。
【0080】
これにより、超微細気泡が貯留槽111内全体に効率的に循環し、貯留部110内に導入された殺菌被対象物に接触する。したがって、貯留槽111内では、超微細気泡、特に粒形100μm以下の超微細気泡を、貯留槽111に導入された殺菌被対象物に直接作用させることができる。
【0081】
また、貯留部110で養殖される魚介類は、液体に含まれる超微細気泡が体内のウイルス等を選択的に吸着して体内から脱離させ、体外に排出させられる。すなわち、液体の超微細気泡により殺菌される。魚介類の殺菌については、後述する。
【0082】
濾過部150は、従来よく知られるフィルター式の濾過装置を備え、循環経路R1を循環する液体の不純物を採取し、循環経路R1から不純物を除去することができる。
【0083】
[排出路超音波圧壊部]
排出路圧壊部170は、バルブ180を介して貯留部110に接続され、また、バルブ180とは反対側に第2のポンプ190が接続されている。排出路圧壊部170は、通路圧壊部130と同様の構成であるため、具体的な構成の説明は省略する。
【0084】
排出路圧壊部170は、貯留部110との間で必要に応じてバルブ180を開いて液体の導入および導出を行う。液体の導入および導出を行わない場合には、バルブ180は閉じた状態とする。
【0085】
貯留部110から排出路圧壊部170へ海水である液体を導入する場合、排出路圧壊部170は導入された海水に超音波を照射して、海水中に残存する雑菌やウイルス等を死滅させる。その上で、海水は第2のポンプ190によって海域Sに排出される。排出された海水は、超音波が照射され、雑菌やウイルス等を死滅させているため、海域Sの環境への負荷、悪影響を抑止することができる。
【0086】
排出路圧壊部170から貯留部110へ海水である液体を導出する場合、海域Sから第2のポンプ190によって汲み上げた海水に超音波を照射した上で、貯留部110に導出する。貯留部110に導出された海水は、超音波が照射され、雑菌やウイルス等を死滅させているため、貯留部110に保持された魚介類への負荷、悪影響を抑止することができる。
【0087】
本実施形態に係る微細気泡殺菌システム100において、貯留部110、微細気泡生成部120および通路圧壊部130は循環経路R1に組み込まれ、液体の流動方向上流側から順に、貯留部110は第1のポンプ140を介して微細気泡生成部120に接続され、通路圧壊部130は微細気泡生成部120に接続され、貯留部110は通路圧壊部130に接続されている。また、貯留部110には、バルブ180を介して排出路圧壊部170が接続され、排出路圧壊部170は第2のポンプ190を介して海域Sに接続されている。
【0088】
すなわち、循環経路R1は、海域Sから第2のポンプ190、排出路圧壊部170およびバルブ180を介して貯留部110に導入された液体が、微細気泡生成部120、および通路圧壊部130を介して再び貯留部110に再帰するように形成されている。超微細気泡を含有する液体が再帰するため、全ての液体を海域Sから新たに導入する場合と比べて貯留部110に保持される液体の超微細気泡の含有量を高く維持することができる。
【0089】
[制御部]
【0090】
本実施形態に係る微細気泡殺菌システム100は、制御部1により、各部が制御される。制御部1は、図1に示すように、微細気泡生成部120、通路圧壊部130、貯留部110、第1のポンプ140、第2のポンプ190、検出部116等に接続され、これら各部を制御する。
【0091】
制御部1は、通路圧壊部130に対して、主に、各超音波振動子133の振動出力および振動周波数を制御する。また、制御部1は、貯留部110に対して、主に、各超音波照射装置113の振動出力および振動周波数を制御する。さらに、制御部1は、第1および第2のポンプ140、190の吐出量を制御する。
【0092】
また、制御部1は、目標値設定部(図示しない)を備え、貯留部に貯留される超微細気泡含有液の気体の溶存濃度の目標値を設定できる。また、制御部1は、検出部116から貯留部110に貯留される超微細気泡含有液の気体の溶存濃度の実測値を検出することができる。そして制御部1は、貯留部110に貯留される超微細気泡含有液の気体の溶存濃度の目標値と実測値が一致するように気体供給量を調整する。具体的には、制御部1は、気体供給部に設けられた比例制御弁(図示しない)を制御することにより、気体供給量が調整される。
【0093】
制御部1は、検出部116により検出した貯留部110の微細気泡含有液中の気体の溶存濃度の実測値が、目標値設定部により設定された貯留部110の微細気泡含有液中の気体の溶存濃度の目標値に一致するように、比例制御弁を制御する。制御部1は、気体供給量調整部に対して、比例要素、積分要素、微分要素を用いた、いわゆるPID制御により、微細気泡生成部への気体供給量を調整する。また、制御部1は、従来よく知られる、オートチューニング機能により、比例要素、積分要素、微分要素の各定数を設定される。
【0094】
本実施形態において、通路圧壊部130の通路131は、PFA等のフッ素樹脂やPVC管を材料としたパイプから形成されているが、他の樹脂を材料としていてもよいし、衛生面と腐食面で問題のない金属を材料としてもよい。また、通路圧壊部130は、通路131と外装体132とからなる二層構造とされているが、超音波を照射して微細気泡を圧壊できれば他の構成であってもよい。例えば、液体を通過させても衛生面と腐食面で問題のないチタンのような金属を材料に単層構造の筒状部材を形成し、当該筒状部材の周囲に直接超音波振動子133を配置し、当該筒状部材の内部に気泡含有液を通過させるようにしてもよい。
【0095】
本実施形態において、液体排出管は、貯留槽111の周囲に時計回りに超微細気泡含有液を放出するように配置されている。しかし、液体導入管112は、どのように液体を放出するように配置してもよく、例えば、反時計回りに液体を放出するように設けられてもしてもよいし、径方向に液体を放出するようにしてもよい。また、貯留槽の形状は、略四角柱、略六角柱等の角柱形状であってもよい。
【0096】
本実施形態において、通路圧壊部130および貯留部110では、超音波圧壊場が形成され、液体の含有する微細気泡を圧壊して超微細気泡に変換する。超音波圧壊場は、連続的に超音波を照射されて形成されており、超音波圧壊場には、いわゆるソノルミネセンス現象により紫外線が発生する。そのため、超音波圧壊場を通過する液体に対して紫外線による殺菌効果が得られる。
【0097】
さらに、通路圧壊部130および貯留部110では、超音波圧壊場を形成する超音波が液体に照射されることにより、液中でキャビテーションにより無数の真空気泡が生じる。この真空気泡が圧縮と膨張を繰り返して崩壊する際に、超高温高圧の反応場が形成される。この反応場では、真空気泡が破裂することにより細菌の細胞壁を破壊し、一般生菌やレジオネラ菌、大腸菌等に加え、ノロウイルスのようなウイルスを死滅させる効果を得られる。
【0098】
特に、通路圧壊部130では、通路131内に超音波の伝搬を阻害する障害物が存在せず、効率的に超音波圧壊場が形成される。これにより、超音波が照射される通路には殺菌被対象物のような障害物がないため、通路内には強力な超音波圧壊場が形成され、液体中の微細気泡を超微細気泡に効果的に圧壊できる。そして、液体に対して、超微細気泡を生成しながら循環させることができ、超微細気泡を含有した液体を貯留する貯留部に殺菌被対象物を導入し、殺菌することができる。これにより、超微細気泡を効率的に生成でき、かつ超音波圧壊エネルギーにより効率的な殺菌を行うことができる。
【0099】
一方、貯留部110では、貯留部110に導入された魚介類は超微細気泡によりウイルスや細菌等が脱離され、脱離されたウイルスや細菌等を含んだ液体が、貯留部に照射された超音波により直接殺菌される。これにより、脱離されたウイルスや細菌等が再び魚介類に戻ることを防止し、従来は殺菌が困難であった殺菌被対象物に付着したウイルスや細菌等を効率的に除去することができる。
【0100】
[魚介類の殺菌方法の実施例]
次に、本発明の実施例に係る魚介類の殺菌方法について説明する。この殺菌方法では、微細気泡殺菌システム100を利用して魚介類の除菌を行う。
【0101】
本発明の実施例に係る魚介類の殺菌方法では、微細気泡殺菌システム100の貯留部110に貯留された海水中に、魚介類が養殖される。海水は、微細気泡殺菌システム100の貯留部110、微細気泡生成部120および通路圧壊部130の動作により、酸素ガスの微細気泡および超微細気泡を含有し、超微細気泡は、直径100nm未満の気泡を含む。
【0102】
本発明にかかる殺菌方法では、まず、貯留部110に海水を準備する。具体的には、第2のポンプ190が動作し、海域の海水が貯留部110に導入される。このとき、排出路圧壊部170が動作することにより、海水中の雑菌やウイルスが死滅される。
【0103】
次に、貯留部110に貯留された海水に魚介類を導入する。具体的には、海水を貯留された貯留部110の開口110oから魚介類が放流される。
【0104】
次に、貯留部110に貯留された海水に酸素ガスの気泡を含有させる。具体的には、貯留部110に貯留された海水が、第1のポンプ140の動作により微細気泡生成部120に供給され、微細気泡生成部120で酸素ガスの微細気泡を発生された海水が通路圧壊部130に供給され、通路圧壊部130で微細気泡を超微細気泡に変換された海水が、貯留部110に再帰される。
【0105】
循環経路R1を経由して貯留部110に貯留された海水は、粒径が100nm未満の酸素ガスの気泡を含有する。通常は、バブリングにより酸素を海水に溶解させるだけであるが、超微細気泡として海水に含有させることで、効率的に酸素ガスを含有する海水を生成することができる。なお、酸素ガスの気泡を含有する海水は、魚介類の成長を促進する。
【0106】
次に、貯留部110に貯留された海水に超音波を照射して超微細気泡を生成する。具体的には、通路圧壊部130で圧壊された超微細気泡含有液は、超微細気泡の他に、超微細気泡にまで圧壊されなかった微細気泡を含有し、超微細気泡をさらに圧壊するとともに、微細気泡を超微細気泡に圧壊する。
【0107】
貯留部110に超音波を照射することにより、貯留槽の中央に超音波圧壊場を形成し、海水の含有する微細気泡を圧壊して超微細気泡に変換するとともに、超音波圧壊場は、連続的に超音波を照射されて形成されており、超音波圧壊場には、いわゆるソノルミネセンス現象により紫外線が発生する。そのため、貯留部110に貯留される液体そのものに対して紫外線による殺菌効果が得られる。
【0108】
さらに、貯留部110では、超音波圧壊場を形成する超音波が液体に照射されることにより、液中でキャビテーションにより無数の真空気泡が生じる。この真空気泡が圧縮と膨張を繰り返して崩壊する際に、超高温高圧の反応場が形成される。この反応場では、真空気泡が破裂することにより細菌の細胞壁を破壊し、一般生菌やレジオネラ菌、大腸菌等に加え、ノロウイルスのようなウイルスを死滅させる効果を得られる。
【0109】
貯留部110に魚介類を導入したあとは、貯留部110に貯留された海水に酸素ガスの気泡を含有させる工程と、貯留部110に貯留された海水に超音波を照射して超微細気泡を生成する工程とを同時にまたは交互におこなってもよい。
【0110】
本発明の実施例に係る微細気泡殺菌システム100では、魚介類の体内に蓄積されたウイルスを超微細気泡により選択的に吸着して脱離し、魚介類の体内から排出、すなわち除菌する。そして、排出されたウイルスを超音波圧壊部で超音波により死滅させる。従来の次亜塩素酸等による化学的殺菌では、海水に薬液等を混入させることで雑菌やウイルスを死滅させることはできるが、同時に魚介類にも悪影響を与えてしまっていた。しかし、本発明の実施例に係る魚介類の微細気泡殺菌システム100のように、超音波による物理殺菌であれば、魚介類に影響を与えることがない。
【0111】
このように、貯留部110において養殖される魚介類は、その過程で、超微細気泡の選択吸着脱離作用により体内のウイルスを対外に排出される。そして、貯留部110および通路圧壊部130でウイルスや細菌が超音波照射により殺菌されることで、確実に魚介類を殺菌し、安全な状態で市場に出荷することができる。
【0112】
[超微細気泡の観察結果]
次に、本発明の実施形態に係る通路圧壊部130により発生された超微細気泡を観察した結果について説明する。超微細気泡の観察には、高速原子力顕微鏡(高速AFM)を利用した。
【0113】
観察条件は以下のとおりである。
装置:高速原子力間顕微鏡 NanoExplorer
観察環境:室温(21℃)
カンチレバー:BL-AC10DS-A2(Olympus,Japan)
解像度:200×200ピクセル
観察イメージ:液中ACモード形状像
なお、ナノバブルは、一般に負電荷を持つことが知られており、正電荷を持つ基板(PLL-mica基板およびAPTES-mica基板)を利用して観察を行った。
【0114】
図5および図6は、PLL-mica基板を用いて観察した超微細気泡の観察結果を示し、各図(A)は観察写真を示し、各図(B)は(A)中の白線上の高さのグラフを示す。各図の(A)に示す白線上の三角形のマークの位置は、(B)のグラフ上の三角形のマークの位置に対応する。ここで、PLL(Poly-L-Lysine)はアミノ酸であるリジン重合体である。リジンはアミノ基を持ち、正電荷を有する。したがって、負に帯電するmica(雲母)をPLLで覆うことにより、mica表面に正電荷を持たせることができる。
【0115】
図5(A)は走査範囲を500nmとした条件の観察写真を示し、図6(A)は走査範囲を200nmとした条件の観察写真を示す。図5(B)によれば、図5(A)は、高さが20.9nm、白線方向の長さが75.4nmの粒子が観察されたことを示し、図6(B)によれば図6(A)は、高さが23.0nm、白線方向の長さが59.5nmの粒子が観察されたことを示す。PLL-mica基板を用いた本観察では、粒子の高さが粒径と考えられ、全体として、粒径約20nmの粒子が、500nm×500nmの範囲に1個程度観察された。
【0116】
図7および図8は、APTES-mica基板を用いて観察した超微細気泡の観察結果を示し、各図(A)は観察写真を示し、各図(B)は(A)中の白線上の高さのグラフを示す。各図の(A)に示す白線上の三角形のマークの位置は、(B)のグラフ上の三角形のマークの位置に対応する。ここで、APTES(3-aminоprоpyl triethоxy silane)はエトキシ基がmica上の水酸基と結合することで、基板表面にアミノ基を露出させる。これにより、mica表面に正電荷を持たせることができる。
【0117】
図7(A)および図8(A)は走査範囲を500nmとした条件の観察写真を示す。図7(B)によれば、図7(A)は、高さが15.7nm、白線方向の長さが75.4nmの粒子が観察されたことを示し、図8(B)によれば、図8(A)は、高さが8.57nmの粒子および高さが4.53nmの粒子が観察されたことを示す。APTES-mica基板を用いた本観察では、粒子の高さが粒径と考えられ、全体として、粒径が20nm以下で粒径の異なる粒子が、500nm×500nmの範囲に複数個観察された。
【0118】
以上の観察結果から、粒径が数nm~数十nmの粒子が観察された。これらと同様の正電荷の基板では、過去にもナノバブルが観察されていることから、観察された粒子は、ナノバブルであると考えられ、本発明の実施形態に係る除菌システムでは、少なくとも数nm以上のナノバブルが液体中に生成されていることがわかる。
【0119】
[第2の実施形態]
【0120】
本発明の実施形態に係る第2の実施形態に係る微細気泡殺菌システム200について、図9および図10を参照しながら説明する。微細気泡殺菌システム200は、微細気泡または超微細気泡を利用して殺菌被対象物を殺菌するものであり、本実施形態においては、殺菌被対象物を飲料としたシステムについて説明する。
【0121】
図9は、微細気泡殺菌システム200の機能ブロック図を示す。微細気泡殺菌システム200は、図9に示すように、液体を貯留する貯留部210と、貯留部210に接続され、貯留部210から供給される液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部220とを備える。本実施形態において、微細気泡殺菌システム200は、微細気泡殺菌システム100における通路圧壊部130、濾過部150を備えていない。
【0122】
本実施形態において、液体には飲料、気体には二酸化炭素を適用しているが、液体および気体の種類は適宜変更できる。例えば、飲料を殺菌被対象物とする場合であっても、気体に窒素を適用して、風味を維持する効果を併せ持つようにしてもよい。
【0123】
貯留部210、微細気泡生成部220は、相互に接続されており、液体を循環させる循環経路R2を形成する。貯留部210と微細気泡生成部220との間には、第1のポンプ240が配置され、貯留部210から微細気泡生成部220に液体を供給する。第1のポンプ240は、気体供給部260に接続され、気体供給部260から供給された気体を液体に混合して微細気泡生成部に供給する。
【0124】
微細気泡殺菌システム200は、液体の原液を導入する原液供給部290と、貯留部210を加圧するための加圧部280と、液体を導出するための導出部270とを備える。原液供給部290は、例えば、殺菌前の牛乳を貯留したタンクに接続されており、牛乳を微細気泡殺菌システム200に供給することができる。加圧部280は、例えば、コンプレッサーのような加圧装置に接続され、貯留部210を加圧することができる。
【0125】
また、導出部270は、貯留部210の導出口214に接続しており、飲料を取り出す際に利用できる。導出部270と微細気泡生成部220とは、貯留部210の導出口214に切替バルブ(図示なし)を介して接続されている。したがって、貯留部210に貯留された液体は、循環経路R2を経由して循環する状態と、導出部270から取り出される状態とを切替バルブにより制御される。切替バルブは、制御部1に接続され、切り替えを制御される。
【0126】
微細気泡殺菌システム200は、微細気泡殺菌システム100と同様に、制御部1により集中管理される。図9では、制御部1と、制御部1により管理される各部との接続を破線で示している。制御部1は、外部の制御装置等と連携して、微細気泡殺菌システム200を制御してもよい。また、微細気泡殺菌システム200の各部は、他の制御装置等により制御されてもよい。
【0127】
[微細気泡生成部]
【0128】
微細気泡殺菌システム200は、微細気泡生成部220として、従来よく知られる、旋回流式のファインバブル発生装置を備える(例えば、特許第6123013号を参照)。微細気泡生成部220は、旋回部(図示しない)と、突起圧壊部(図示しない)と、畜養部(図示しない)と、発泡部(図示しない)とを備える。
【0129】
微細気泡生成部220は、第1のポンプ240から供給される、気体を混合した液体に対して、旋回、圧壊、畜養、発泡(加圧、減圧)の機能を適用して微細気泡を生成する。このような旋回流式のファインバブル発生装置において、第1のポンプ240から供給される液体の圧力、畜養部で加圧される圧力、発泡部の構造により生成される微細気泡の粒径を制御することができる。
【0130】
[貯留部]
【0131】
図10は、図9に示す貯留部210の概略図を示し、図10(A)は貯留部210の平面概略図を示し、図10(B)は(A)の10B-10Bの断面概略図を示す。貯留部210は、循環経路R2に組み込まれている。したがって、貯留部210は、微細気泡生成部220から液体を導入され、導出口214から微細気泡生成部220に液体を導出する。
【0132】
貯留部210は、液体を貯留し、所定の容量を有する貯留槽211と、貯留槽211を覆う外槽217と、微細気泡生成部220に接続されて貯留槽211に微細気泡含有液を導入する液体導入口212と、貯留槽211に貯留した液体に向けて超音波を照射する超音波照射装置213と、貯留部210に貯留した液体を導出する導出口214とを備える。
【0133】
貯留槽211は、概略円柱状の収容空間211sを形成するように側周部211aと、底部211bとを備える。貯留槽211の底部211bは、平面視で円形となり、中央に向けて径方向に僅かに下降傾斜し、貯留槽211内の異物が中央に集合する。また、貯留槽211は、貯留した液体を循環経路R2に向けて導出するための導出口214を底部211bの中央に備える。導出口214は、導出部270にも接続しており、液体を外部に導出することもできる。導出口214は、底弁として機能し、第1のポンプ240に貯留槽211内の液体が送られ、第1のポンプ240で加圧された液体が微細気泡生成部220に供給される。
【0134】
また、貯留槽211は、外槽217に覆われており、貯留槽211と外槽217の間に中間空間217sを有する二層構造とされている。外槽217には、複数の超音波照射装置213が設けられており、各超音波照射装置213は、対向して配置されており、貯留槽211の中央に向けて超音波を照射する超音波照射部として機能する。
【0135】
貯留槽211と外槽217との間の中間空間217sには伝搬液が充填され、超音波照射装置213から照射された超音波は、伝搬液を介して貯留槽211の内部に伝搬され、貯留槽211の内部に貯留された液体に圧壊場を形成し微細気泡を圧壊する。本実施形態において、外槽217の側部に等間隔に8つの超音波照射装置213が取り付けられている。
【0136】
伝搬液は、チラーのような冷却水供給部(図示しない)から供給される冷却水であり、外槽217の底部に設けられた伝搬液導入口217aから中間空間217sに導入され、外槽217の側部上端に設けられた伝搬液導出口217bから導出される。貯留槽211では、中間空間217sに伝搬液(冷却水)が充満して流れており、超音波照射装置213による超音波照射が伝搬液に伝搬され、貯留槽211に貯留された液体が加熱される。
【0137】
ここで、伝搬液は貯留槽211を冷却する作用も有するため、中間空間217sを流れる伝搬液の流量を調整することにより、貯留槽211に貯留された液体の温度を調整することができる。貯留槽211および外槽217は、ステンレス等を材料として形成されている。
【0138】
また、貯留部210は、開閉可能な上蓋219を有し、上蓋219が閉じられた状態で貯留槽211が密閉される。上蓋219は、加圧部に接続する加圧口219aと、ベントフィルターに接続する気体排出口219bと、原液供給部に接続する原液導入口219cとを備える。貯留槽211は、上蓋を閉じることで密閉構造となり、上蓋に取り付けられた加圧口219aを介して加圧され、ベントフィルターに接続する気体排出口219bを介して圧力を調整される。原液導入口219cは、液体の原液を供給される。
【0139】
さらに、貯留部210は、貯留槽211に貯留された液体を撹拌する撹拌機218を備える。撹拌機218は、上蓋219に取り付けられたモータ218aと、モータ218aに接続するシャフト218bと、シャフト218bに取り付けられた撹拌羽218cとを備える。モータ218aは制御部1に接続しており、駆動するタイミングを制御される。
【0140】
[飲料の殺菌方法の実施例]
【0141】
次に、本発明の実施例に係る飲料の殺菌方法について説明する。この殺菌方法では、微細気泡殺菌システム200を利用して飲料の除菌を行う。
【0142】
本発明の実施例に係る飲料の殺菌方法では、微細気泡殺菌システム200の貯留部210に貯留された飲料が殺菌される。飲料は、微細気泡殺菌システム200の貯留部210、微細気泡生成部220の動作により、二酸化炭素ガスの微細気泡および超微細気泡を含有し、超微細気泡は、直径100nm未満の気泡を含む。
【0143】
本発明にかかる殺菌方法では、まず、貯留部210に飲料を準備する。具体的には、原液供給原から原液供給部290を介して飲料が貯留部210に導入される。
【0144】
次に、貯留部210に貯留された飲料に酸素ガスの気泡を含有させる。具体的には、貯留部210に貯留された飲料が、第1のポンプ240の動作により微細気泡生成部220に供給され、微細気泡生成部220で酸素ガスの微細気泡を発生された飲料が、貯留部210に再帰する。これにより、飲料は、微細気泡を含有する。
【0145】
次に、貯留部210に貯留された飲料に超音波を照射して超微細気泡を生成する。具体的には、貯留部210に超音波を照射することにより、貯留槽211の中央に超音波圧壊場を形成し、飲料の含有する微細気泡を圧壊して超微細気泡に変換する。これにより、飲料は、微細気泡および超微細気泡を含有する。超音波圧壊場は、連続的に超音波を照射されて形成されており、超音波圧壊場には、いわゆるソノルミネセンス現象により紫外線が発生する。そのため、貯留部210に貯留される液体そのものに対して紫外線による殺菌効果が得られる。
【0146】
さらに、貯留部210では、超音波圧壊場を形成する超音波が液体に照射されることにより、液中でキャビテーションにより無数の真空気泡が生じる。この真空気泡が圧縮と膨張を繰り返して崩壊する際に、超高温高圧の反応場が形成される。この反応場では、真空気泡が破裂することにより細菌の細胞壁を破壊し、一般生菌やレジオネラ菌、大腸菌等に加えノロウイルスのようなウイルスを死滅させる効果を得られる。
【0147】
貯留部210に飲料を導入したあとは、貯留部210に貯留された飲料に二酸化炭素ガスの気泡を含有させる工程と、貯留部210に貯留された飲料に超音波を照射して超微細気泡を生成する工程とを同時にまたは交互におこなってもよい。また、貯留部210に飲料を導入するとき、導入した後のいずれのときにも撹拌機218を駆動して、貯留部210内の液体を撹拌することができる。
【0148】
従来の加熱殺菌では飲料の風味の劣化等のように飲料にも悪影響を与えてしまっていた。しかし、本発明の実施例に係る飲料の微細気泡殺菌システム200のように、超音波による非加熱の物理殺菌であれば、飲料に悪影響を与えることがない。また、微細気泡または超微細気泡の気体の種類を選択することで、飲料の風味の劣化をさらに抑制できる。
【0149】
[第3の実施形態]
【0150】
本発明の実施形態に係る第3の実施形態に係る微細気泡殺菌システム300について、図11および図12を参照しながら説明する。微細気泡殺菌システム300は、微細気泡または超微細気泡を利用して殺菌被対象物を殺菌するものであり、本実施形態においては、殺菌被対象物を食品としたシステムについて説明する。微細気泡殺菌システム300では、食品として、例えば、野菜、精肉、卵、胡麻、小豆等について、殺菌することができる。
【0151】
図11は、微細気泡殺菌システム300の機能ブロック図を示す。微細気泡殺菌システム300は、図11に示すように、液体を貯留する貯留部310と、貯留部310に接続され、貯留部310から供給される液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部320と、微細気泡生成部320に接続され、微細気泡を含有した微細気泡含有液を通過させながら超音波を照射して微細気泡を圧壊して超微細気泡を生成する通路圧壊部330とを備える。本実施形態において、微細気泡殺菌システム300は、微細気泡殺菌システム100における濾過部150を備えていない。
【0152】
本実施形態において、液体には水道水、気体には二酸化炭素を適用しているが、液体および気体の種類は適宜変更できる。例えば、食品を殺菌被対象物とする場合であっても、気体に窒素を適用して、風味を維持する効果を併せ持つようにしてもよい。
【0153】
貯留部310、微細気泡生成部320および通路圧壊部330は、相互に接続されており、液体を循環させる循環経路R3を形成する。貯留部310と微細気泡生成部320との間には、第1のポンプ340が配置され、貯留部310から微細気泡生成部320に液体を供給する。第1のポンプ340は、気体供給部360に接続され、気体供給部360から供給された気体を液体に混合して微細気泡生成部に供給する。
【0154】
微細気泡殺菌システム300は、液体の原液を導入する原液供給部390と、液体を導出するための導出部370とを備える。原液供給部390は、例えば、従来よく知らせる水供給装置に接続されており、水を微細気泡殺菌システム300に供給することができる。
【0155】
また、導出部370は、貯留部310の導出口314に接続しており、液体を取り出す際に利用できる。導出部370と微細気泡生成部320とは、貯留部310の導出口314に切替バルブ(図示なし)を介して接続されている。したがって、貯留部310に貯留された液体は、循環経路R3を経由して循環する状態と、導出部370から取り出される状態とを切替バルブにより制御される。切り替えバルブは、制御部1に接続され、切り替えを制御される。
【0156】
微細気泡殺菌システム300は、微細気泡殺菌システム300と同様に、制御部1により集中管理される。図11では、制御部1と、制御部1により管理される各部との接続を破線で示している。制御部1は、外部の制御装置等と連携して、微細気泡殺菌システム300を制御してもよい。また、微細気泡殺菌システム300の各部は、他の制御装置等により制御されてもよい。
【0157】
微細気泡殺菌システム300は、第1の実施形態に係る微細気泡生成部320と同様のノズル型のファインバブル発生装置と、第1の実施形態に係る通路圧壊部330と同様の通路圧壊部330とを備える。これらの構成については、実施形態1と同様のため、説明を省略する。
【0158】
[貯留部]
【0159】
図12は、図11に示す貯留部310の概略側断面図を示す。貯留部310は、循環経路R3に組み込まれている。したがって、貯留部310は、微細気泡生成部320から通路圧壊部330を介して液体を導入され、導出口314から微細気泡生成部320に液体を導出する。
【0160】
貯留部310は、液体を貯留し、所定の容量を有する貯留槽311と、微細気泡生成部320に接続されて貯留槽311に微細気泡含有液を導入する液体導入管312と、貯留部310に貯留した液体を導出する導出口314とを備える。本実施形態に係る貯留部310は、第1および第2の実施形態に係る貯留部110、210と異なり、超音波照射部を備えない。
【0161】
しかし、貯留部310は、第2の実施形態に係る貯留部210と同様の超音波照射部を設けられてもよい。そして、超音波照射部により超音波を照射し、貯留槽311内に超音波圧壊場が形成することができる。その場合に、食品を保持する位置を調整し、超音波圧壊場付近に食品が位置するようにしてもよいし、超音波圧壊場から離れた場所に食品が位置するようにしてもよい。例えば、保持部319の深さを変更することにより、食品を保持する位置を調整できる。
【0162】
貯留槽311は、概略円柱状の貯留空間311sを形成するように側周部311aと、底部311bとを備え、上方に開放する開口311oを有している。貯留槽311の底部311bは、平面視で円形となり、中央に向けて径方向に僅かに下降傾斜する形成されており、貯留槽311内の異物が中央に集合する。また、貯留槽311は、貯留した液体を循環経路R3に向けて導出するための導出口314を底部311bの中央に備える。導出口314は、導出部370にも接続しており、液体を外部に導出することもできる。
【0163】
導出口314は、底弁として機能し、第1のポンプ340に貯留槽311内の液体が送られ、第1のポンプ340で加圧された液体が微細気泡生成部320に供給される。
【0164】
また、貯留槽311は、外槽317に覆われており、貯留槽311と外槽317との間に中間空間317sを有する二層構造とされている。貯留槽311と外槽317との間の中間空間317sには伝搬液が充填される。伝搬液は、チラーのような冷却水供給部(図示しない)から供給される冷却水であり、外槽317の底部に設けられた伝搬液導入口317aから中間空間317sに導入され、外槽317の側部上端に設けられた伝搬液導出口317bから導出される。貯留槽311では、中間空間317sに伝搬液(冷却水)が充満して流れている。
【0165】
ここで、伝搬液は貯留槽311を冷却する作用も有するため、中間空間317sを流れる伝搬液の流量を調整することにより、貯留槽311に貯留された液体の温度を調整することができる。貯留槽311および外槽317は、ステンレス等を材料として形成されている。
【0166】
貯留部310は、さらに、貯留槽311の貯留空間311s内に配置される保持部材319を備える。保持部材319は、全面に複数の穴を形成した、いわゆる編み目状(図示しない)のカゴであり、貯留槽311内に殺菌被対象物を保持する。保持部材319は、ステンレスを材料に形成されている。
【0167】
保持部材319は、貯留槽311の開口311oと略同一形状の底部319aと、底部319aの側周から上方に延在する側周部319bとを備える。保持部319の側周部319bは、上端を外側に折り返された折返部319cを備え、折返部319の内側は、貯留槽311の開口311oと略同一形状の開口319oを形成する。
【0168】
本実施形態において、殺菌被対象物は、保持部材319に保持され、貯留槽311に導入することができる。保持部材319の側周部319bの長さを調整することにより、底部319aの貯留槽内の高さが変わるため、保持部材319により殺菌被対象物の貯留槽311内の高さ位置を調整することができる。なお、保持部材は、殺菌被対象物を保持できれば他の構成でもよく、例えば、殺菌被対象物を紐でくくり、貯留槽311内にぶら下げるような構成でもよい。
【0169】
[食品の殺菌方法の実施例]
【0170】
本発明の実施例に係る食品の殺菌方法では、微細気泡殺菌システム300の貯留部310に貯留された液体中に、食品が保持される。液体は、微細気泡殺菌システム300の貯留部310、微細気泡生成部320および通路圧壊部330の動作により、二酸化炭素ガスの微細気泡および超微細気泡を含有し、超微細気泡は、直径100nm未満の気泡を含む。
【0171】
本発明にかかる殺菌方法では、まず、貯留部310に液体を準備する。具体的には、具体的には、原液供給原から原液供給部390を介して液体が貯留部310に導入される。
【0172】
次に、貯留部310に貯留された液体に食品を導入する。具体的には、液体を貯留された貯留部310に開放した上方から、食品を保持した保持部材319が導入される。
【0173】
次に、貯留部310に貯留された液体に二酸化炭素ガスの気泡を含有させる。具体的には、貯留部310に貯留された液体が、第1のポンプ340の動作により微細気泡生成部320に供給され、微細気泡生成部320で二酸化炭素ガスの微細気泡を発生された液体が通路圧壊部330に供給され、通路圧壊部330で微細気泡を超微細気泡に変換された液体が、貯留部310に再帰される。
【0174】
貯留部310に食品を導入したあとは、貯留部310に貯留された液体に酸素ガスの気泡を含有させる工程と、貯留部310に貯留された液体に超音波を照射して超微細気泡を生成する工程とを同時にまたは交互におこなってもよい。
【0175】
本発明の実施例に係る微細気泡殺菌システム300では、食品に付着したウイルスや細菌を微細気泡または超微細気泡により選択的に吸着して脱離し、食品から排除、すなわち除菌する。そして、排除されたウイルスを超音波圧壊部で超音波により死滅させる。従来の次亜塩素酸等による化学的殺菌では、液体に薬液等を混入させることで雑菌やウイルスを死滅させることはできるが、同時に食品にも悪影響を与えてしまっていた。しかし、本発明の実施例に係る食品の微細気泡殺菌システム300のように、超音波による物理殺菌であれば、食品に影響を与えることがない。
【0176】
このように、貯留部310において保持される食品は、その過程で、超微細気泡の選択吸着脱離作用により体内のウイルスを排除される。そして、貯留部310および通路圧壊部330でウイルスや細菌が超音波照射により殺菌されることで、確実に食品を殺菌し、安全な状態で市場に出荷することができる。
【0177】
本発明の実施形態に係る微細気泡殺菌システムおよび殺菌方法によって殺菌されるウイルスや細菌は種類によって形状や大きさが異なる。例えば、イリドウイルスは、直径200nm前後の球菌で鯛、ハマチ等の内部に生息し、腸炎ビブリオは、1μm前後の桿菌で、魚類に共通して生息し、ノロウイルスは直径30nm前後の球菌で牡蠣、ホタテなど2枚貝に生息し、大腸菌は長径2μm~4μm前後の桿菌で野菜類、牛乳等飲料、穀物他に生息し、サルモレラ菌は直径2μm前後の桿菌で、家畜類の肉、卵に生息し、カンピロバクターは、2μm前後の螺旋型桿菌で家畜類の肉に生息し、黄色ブドウ球菌は1μm前後の球菌で野菜、果実、牛乳他に生息し、セレウス菌は4μm前後の桿菌で野菜、果実、牛乳他に生息することが知られている。
【0178】
本発明の実施形態に係る微細気泡殺菌システムおよび殺菌方法によれば、ウイルスや細菌の形状および大きさによって、ウイルスや細菌を吸着脱離しやすい微細気泡および超微細気泡の生成を制御できる。すなわち、殺菌被対象物の有するウイルスや細菌に応じて微細気泡および超微細気泡の粒径を制御して、効果的に殺菌被対象物からウイルスや細菌を脱離することができる。なお、ウイルスや細菌に限らず、例えば、寄生虫のような生物にも効果を有する。
【0179】
なお、上記各実施形態に示す構成は構成要素の具体例を挙げたものであり、各構成、形
状、又は取り付け態様は本発明の趣旨を逸脱しない限り、実施形態として示すものに限定
されることなく、種々の変形ないし変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明は、超音波による殺菌システムおよび殺菌方法に利用できる。
【符号の説明】
【0181】
100 微細気泡殺菌システム
110 貯留部
112 液体導入管
113 超音波照射装置(超音波照射部)
114 導出口
120 微細気泡生成部
130 通路圧壊部
133 超音波振動子(超音波照射部)
160 供給部
200 微細気泡殺菌システム
210 貯留部
212 液体導入口
213 超音波照射装置(超音波照射部)
220 微細気泡生成部
260 気体供給部
270 導出部
300 微細気泡殺菌システム
310 貯留部
312 液体導入管
319 保持部材
320 微細気泡生成部
330 通路圧壊部
360 気体供給部
370 導出部
R1 循環経路
R2 循環経路
R3 循環経路

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12