(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】腹腔鏡手術トレーニング器具
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20220719BHJP
G09B 19/24 20060101ALI20220719BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B19/24 Z
G09B9/00 Z
(21)【出願番号】P 2018101982
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504233144
【氏名又は名称】株式会社寿技研
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 成一郎
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0202179(US,A1)
【文献】実開昭59-147171(JP,U)
【文献】特表2017-508186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/28-23/34
G09B 19/24
G09B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状部材により穿孔可能又は刃物により切開可能な柔軟素材を有し、所定の面積を有するシート状の模擬腹壁と、
前記模擬腹壁を固定しつつ、前記模擬腹壁の下側に腹腔鏡下手術練習空間を形成する基台と、
を備え
、
前記模擬腹壁は、
穿孔可能又は切開可能な前記柔軟素材からなる生地部と、
前記生地部を鉛直方向に保持して、前記基台と前記生地部の間に前記腹腔鏡下手術練習空間を形成するフレーム部と、を有し、
更に、前記生地部と前記フレーム部の間に挟持される照明装置を備えることを特徴とする腹腔鏡手術トレーニング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡下における手術をトレーニングするための腹腔鏡手術トレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡手術は、臍部の周囲から内視鏡を腹腔内に挿入してテレビモニターに映し出された画像に基づいて腹腔内で手術をおこなう術式である。具体的には、皮膚を小さく切開して鉗子類を腹腔内に挿入し、手術を行う。開腹手術と比較すると低侵襲であり、術後の患者の快復も早い。しかしモニターを見ながら狭い腹腔内で操作性の悪い鉗子類を複数操作しなければならないことから、手術自体の難易度は開腹手術に比べて高くなる。
【0003】
従来から腹腔鏡手術のトレーニングのために、腹腔内を模擬したトレーニング器具が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
図8は、従来の腹腔鏡手術トレーニング器具101の説明図である。従来の腹腔鏡手術トレーニング器具101は、基台115とそれに固定された硬質の合成樹脂でできた屋根部105から構成され、屋根部105には貫通孔を形成できるゴム膜120が予め複数設けられている。トレーニングをおこなう者は、ゴム膜120に形成した孔に差し込んだ筒状器具130が有する貫通孔を通して把持鉗子170A等を挿入し、腹腔鏡下手術練習空間110内に備えられた動画取得装置(図示省略)で取得した画像をモニターで見ながら手術の練習をおこなう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の腹腔鏡手術トレーニング器具では、鉗子等を挿入するゴム膜の位置が固定されており、実際の医療現場のように最適な位置を選んでの手術の練習をすることができない。また一台のトレーニング器具で診療科によって異なる穿孔位置に対応することが困難である。また、屋根部が硬質な素材であるため、把持鉗子の挿入方向が限定され、例えば皮膚裏(例えば
図8の位置O)を被手術部位として練習することが困難である。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、従来より実際の手術に近い形で腹腔鏡下における手術を練習するための腹腔鏡手術トレーニング器具提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、実際の手術に近い環境を作るために、針状部材でより自由な位置での穿孔が可能な模擬腹壁を備え、且つ、様々な位置での手術の練習を可能にするために、柔軟素材からなる生地部をフレーム部に保持する形で模擬腹壁を構成した。
【0008】
(1)本発明は、針状部材により穿孔可能又は刃物により切開可能な柔軟素材を有し、所定の面積を有するシート状の模擬腹壁と、前記模擬腹壁を固定しつつ、前記模擬腹壁の下側に腹腔鏡下手術練習空間を形成する基台とを備えることを特徴とする腹腔鏡手術トレーニング器具を提供する。
【0009】
上記(1)に記載の発明によれば、針状部材により穿孔可能又は刃物により切開可能な柔軟素材で腹壁を模擬するので、トレーニングをおこなう者が、好きな位置から、また模擬腹壁と平行に近い角度まで、鉗子類を、腹腔内空間を模擬した練習空間に挿入でき、従来より実際の手術に近い環境を作り出せるため、より良い手術トレーニングが可能になるという優れた効果を奏する。
【0010】
(2)本発明は、前記模擬腹壁が、穿孔可能又は切開可能な前記柔軟素材からなる生地部と、前記生地部を鉛直方向に保持して、前記基台と前記生地部の間に前記腹腔鏡下手術練習空間を形成するフレーム部と、を有することを特徴とする上記(1)に記載の腹腔鏡手術トレーニング器具を提供する。
【0011】
上記(2)に記載の発明によれば、模擬腹壁が生地部とそれを保持するフレーム部で構成されるので、基台と生地部の間に確実に腹腔鏡下手術練習空間が設けられ、適切に手術の練習ができるようになるという優れた効果を奏する。
【0012】
(3)本発明は、前記生地部と前記フレーム部の間には、前記生地部と前記フレーム部を着脱自在に係合する係合機構が設けられていることを特徴とする上記(2)に記載の腹腔鏡手術トレーニング器具を提供する。
【0013】
上記(3)に記載の発明によれば、生地部がフレーム部に対して着脱自在に係合されるので、生地部のみを交換することができる。したがって複数の診療科が、それぞれ専用の生地を用意することで、一台の腹腔鏡手術トレーニング器具を共用することができるという優れた効果を奏する。また肉厚や剛性等の異なる複数の生地部を使い分けることで、小児向けや成人向けのトレーニングを同一の腹腔鏡手術トレーニング器具で行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【0014】
(4)本発明は、前記フレーム部は、少なくとも一つの開口部を有することを特徴とする上記(2)又は上記(3)に記載の腹腔鏡手術トレーニング器具を提供する。
【0015】
上記(4)に記載の発明によれば、生地部を保持するフレーム部が、少なくとも一つの開口部を有するので、開口部に対向する生地部に穿孔が可能又は切開が可能になり、生地部の下部に設けられた練習空間に鉗子等を挿入することができるようになることで手術の練習が適切に可能になるという優れた効果を奏する。
【0016】
(5)本発明は、前記フレーム部は、可視領域の光に対して透明であることを特徴とする上記(2)乃至上記(4)のうちのいずれかに記載の腹腔鏡手術トレーニング器具を提供する。
【0017】
上記(5)に記載の発明によれば、肉眼で確認しながらフレーム部の下側に設けられる腹腔鏡下手術練習空間に載置すべき、内臓を模擬する物体や動画取得装置の位置を容易、且つ、適切に定めることができるという優れた効果を奏する。またフレーム部50が透明なので、照明装置45をどの位置にセットしても遮光しないという極めて優れた効果を奏する。
【0018】
(6)本発明は、前記生地部と前記フレーム部の間に挟持される照明装置を備えることを特徴とする上記(1)乃至上記(5)のうちのいずれかに記載の腹腔鏡手術トレーニング器具を提供する。
【0019】
上記(6)に記載の発明によれば、生地部とフレーム部の間に照明装置が挟持されるので、練習空間を犠牲にすることなく明るい術野が確保でき、より適切に手術の練習ができるという優れた効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1~6記載の腹腔鏡手術トレーニング器具によれば、実際の手術に近い環境を作り出すことができ、より良い手術トレーニングが可能になるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具の斜視図である。
【
図2】(A)腹腔鏡手術トレーニング器具の断面図である。(B)模擬腹壁を構成する生地部とフレーム部の係合を解く過程を示す説明図である。
【
図4】(A)針状部材で腹腔鏡手術トレーニング器具の生地部に貫通孔を形成する態様の説明図である。(B)腹腔鏡手術トレーニング器具による腹腔鏡下手術のトレーニング動作の説明図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具の断面図である。
【
図6】(A)本発明の第三実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具の断面図である。(B)照明装置の説明図である。
【
図7】変形実施例に係る腹腔鏡手術トレーニング器具を構成するフレーム部の斜視図である。
【
図8】従来の腹腔鏡手術トレーニング器具の構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1~
図7は発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。なお、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0024】
図1には、本発明の第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1の斜視図を示す。腹腔鏡手術トレーニング器具1は、針状部材により穿孔可能又は刃物により切開可能な伸縮性と弾性を持つ柔軟素材を有し、所定の面積を有するシート状の模擬腹壁5と、模擬腹壁5を固定しつつ、模擬腹壁5の下側に腹腔鏡下手術練習空間10を形成する基台15とを備える。基台15は、手術練習中に腹腔鏡手術トレーニング器具1全体の構造が歪まない程度に堅固な材料、例えばアルミなどの金属製であることが好ましい。
【0025】
腹腔鏡下手術練習空間10の内部には、模擬内臓支持台20と動画取得装置支持台40が設けられる。模擬内臓支持台20と動画取得装置支持台40は、基台15に固定される。模擬腹壁5の腹腔鏡下手術練習空間10側には照明装置45が保持され、腹腔鏡下手術練習空間10の内部の明るさを確保する。
【0026】
模擬内臓支持台20は、基台15に固定される柱部25と、模擬内臓35を載置する載置部30を備える。載置部30と柱部25がなす角度は、自在に変えられるように載置部30と柱部25の間にヒンジ構造が設けられていることが好ましい。また載置部30の高さも変化させることができる。
【0027】
模擬内臓35は、例えば素材としてはシリコーン等、人の組織と似たような柔軟性を持つことが好ましい。
【0028】
動画取得装置支持台40は、いわゆるフレキシブルアーム構造を備え、動画取得装置(図示省略)の方向を自在に変化させることができることが好ましい。
【0029】
図2(A)には、腹腔鏡手術トレーニング器具1の断面図を示す。模擬腹壁5は、穿孔可能又は切開可能な柔軟素材からなる生地部60と、生地部60を鉛直方向に保持して、基台15と生地部60の間に腹腔鏡下手術練習空間10を形成するフレーム部50とを有する。また、生地部60とフレーム部50の間には、生地部60とフレーム部50を着脱自在に係合する係合機構65が設けられる。
【0030】
具体的には、生地部60の素材は針状部材により穿孔可能刃物により切開可能な柔軟素材、例えばウエットスーツに用いられるような、気泡を含んだ5mm程度の厚みのクロロプレンゴム製生地の両面に、ポリウレタン混紡等でできた伸縮性のあるニット地を貼り付けたものが好ましい。勿論、ゴムの素材は特に限定されず、シリコーンゴム等を採用しても良い。また、穿孔可能又は切開可能な柔軟性を有するものであれば、ゴム以外の素材を選択することもできる。
【0031】
フレーム部50は、無色透明なPET(Polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)の薄板で、例えば格子状に作成されることが望ましい。フレーム部50は基台15に対してネジ止め等で固定される。
【0032】
係合機構65は、例えば金属製のスナップボタンであり、フレーム部50にフレーム側係合用治具67(スナップボタンの雄側)を配置し、生地部60に生地側係合用治具69(スナップボタンの雌側)を配置する。係合機構65は、生地部60とフレーム部50の外周縁に沿って複数設けることが好ましい。
【0033】
フレーム部50と生地部60の間には、照明装置45が挟持され、腹腔鏡下手術練習空間10内部の明るさを確保する。
【0034】
図2(B)には、模擬腹壁5を構成する生地部60とフレーム部50の係合を解く過程を示す説明図を示す。具体的にはスナップボタンをはずすことで、生地部60とフレーム部50を分離させる。
【0035】
図3は、フレーム部50の斜視図である。フレーム部50はPET等の比較的柔軟性の高い合成樹脂で構成され、ラダー状又は格子状であることが好ましい。具体的にはフレーム部50は、少なくとも一つの開口部55を有する。フレーム部50の外周縁に沿って、係合機構65のフレーム側係合用治具67(スナップボタンの雄側)が複数設けられる。フレーム部50はアーチ状に折り曲げられて、端部が基台15(
図2(A)参照)に固定され、生地部60で覆われることで腹腔鏡下手術練習空間10を形成する。
【0036】
次に、
図4(A)と
図4(B)を用いて、上記した第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1を使った腹腔鏡手術トレーニング動作を説明する。
【0037】
図4(A)は、針状部材Nで腹腔鏡手術トレーニング器具1の生地部60に貫通孔を形成する態様の説明図である。針状部材Nの鋭利な先端により柔軟素材からなる生地部60を押圧することで、貫通孔が形成される。形成された貫通孔には体内と体外を繋ぐ連絡路となるカテーテルKを差し込んで挿入部を確保する。なお、ここでは針状部材Nで貫通孔を形成する場合を例示するが、メスやハサミ等の刃物によってスリット状に切開しても良い。
【0038】
図4(B)は、腔鏡手術トレーニング器具1による腹腔鏡下手術のトレーニング動作の説明図である。体表に留置したカテーテルKが有する貫通孔へ把持鉗子70等を挿入する。模擬内臓35を縫う動作を練習する場合には、例えば把持鉗子70を複数使用して、針と手術糸で腹腔鏡下手術練習空間10の内部で縫合を行う。
【0039】
生地部60が伸縮性と弾性のある柔軟素材であるため、鉗子を模擬皮膚に対して平行
近くまで倒すことができ、実際の手術と同様に把持鉗子170Bのように模擬皮膚の裏側にある位置Oを被手術部として練習をすることができるという極めて優れた効果を奏する。
【0040】
本第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1によれば、針状部材により穿孔可能又は切開可能な柔軟素材で腹壁を模擬するので、トレーニングをおこなう者が、好きな位置から、また模擬腹壁と平行に近い角度まで、鉗子類を、腹腔内空間を模擬した腹腔鏡下手術練習空間10に挿入でき、従来より実際の手術に近い環境を作り出せるため、より良い手術トレーニングが可能になるという優れた効果を奏する。
【0041】
本第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1によれば、模擬腹壁5が生地部60とそれを保持するフレーム部50で構成されるので、基台15と生地部60の間に確実に腹腔鏡下手術練習空間10が設けられ、適切に手術の練習ができるようになるという優れた効果を奏する。
【0042】
本第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1によれば、生地部60がフレーム部50に対して着脱自在に係合されるので、生地部60のみを交換することができる。したがって複数の診療科が、それぞれ専用の生地部60を用意することで、一台の腹腔鏡手術トレーニング器具1を共用することができるという優れた効果を奏し得る。また肉厚や剛性等の異なる複数の生地部を使い分けることで、小児向けや成人向けのトレーニングを同一の腹腔鏡手術トレーニング器具で行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【0043】
本第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1によれば、生地部60を保持するフレーム部50が、少なくとも一つの開口部55を有するので、開口部55に対向する生地部60に穿孔が可能になり、生地部60の下部に設けられた腹腔鏡下手術練習空間10に把持鉗子70等を挿入することができるようになることで手術の練習が適切に可能になるという優れた効果を奏する。
【0044】
本第一実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1によれば、フレーム部50が透明なので、肉眼で確認しながらフレーム部50の下側に設けられる腹腔鏡下手術練習空間10に載置すべき、内臓を模擬する物体や動画取得装置の位置を容易、且つ、適切に定めることができるという優れた効果を奏する。またフレーム部50が透明なので、照明装置45をどの位置にセットしても遮光しないという極めて優れた効果を奏する。
【0045】
図5は、本発明の第二実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1の断面図である。本実施形態においては、被手術部80は生地部60の腹腔鏡下手術練習空間10側表面に配設される。このとき被手術部80は、フレーム部50と干渉しない位置に設けられることが好ましい。他の特徴は、前述した第一実施形態と同様なので記載は省略する。
【0046】
生地部60からフレーム開口部55を通して、例えば把持鉗子70Aは腹腔鏡下手術練習空間10の内部に挿入され、被手術部80の縫合や剥離の練習をおこなう。実際の手術、例えば瘢痕ヘルニアの手術で行われるような、腹壁を体外から手指Hで押さえて腹壁内側にある被手術部80に施術をするカウンタートラクションをかけた動作の練習ができるという優れた効果を奏し得る。
【0047】
図6(A)は、本発明の第三実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1の断面図である。腹腔鏡手術トレーニング器具1の模擬腹壁5を構成するフレーム部50と生地部60の間に、照明装置45が挟持されている。他の特徴は第一実施形態と同じなので記載を省略する。照明装置45から腹腔鏡下手術練習空間10に光Lが照射される。本第三実施形態に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1によれば、生地部60とフレーム部50の間に照明装置45が挟持されるので、照明部45が腹腔鏡下手術練習空間10内に突出しないため、練習空間を犠牲にすることなく明るい術野が確保でき、より適切に手術の練習ができるという優れた効果を奏する。
【0048】
図6(B)は、照明装置45の説明図である。照明装置45は柔軟性のある薄板状の基材46に少なくとも一つ、好ましくは複数のLED49が配設され、照明電源ライン47を通じて通電されることで発光する。厚みが薄く、軽量であるため、容易にフレーム部50と生地部60の間に挟持でき、配設する場所も簡単に変えることができる。
【0049】
尚、本発明の腹腔鏡手術トレーニング器具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0050】
例えば、本発明の変形実施例として、腹腔鏡手術トレーニング器具1の模擬腹壁5(
図2参照)を構成するフレーム部50の形状を変えることも考えられる。
図7は、変形実施例に係る腹腔鏡手術トレーニング器具1を構成するフレーム部50の斜視図である。本変形実施例においてフレーム部50はラダー状であり、短冊様の大きな開口部55を持つ。このように大きな開口部を有することで、穿孔可能な部分が増加して、腹腔鏡下手術練習空間10への鉗子等の挿入について、実際の手術により近い環境での練習が可能になるという効果を奏し得る。
【符号の説明】
【0051】
1 腹腔鏡手術トレーニング器具
5 模擬腹壁
10 腹腔鏡下手術練習空間
15 基台
20 模擬内臓支持台
25 柱部
30 載置部
35 模擬内臓
40 動画取得装置支持台
45 照明装置
46 基材
47 照明電源ライン
49 LED
50 フレーム部
55 フレーム開口部
60 生地部
65 係合機構
67 フレーム側係合用治具
69 生地側係合用治具
70 把持鉗子
80 被手術部
101 従来の腹腔鏡手術トレーニング器具
105 屋根部
110 腹腔鏡下手術練習空間
115 基台
120 ゴム膜
130 筒状器具
170 把持鉗子