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特許7106142零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動及び/又は縦揺れ運動を制御するための方法
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  • 特許-零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動及び/又は縦揺れ運動を制御するための方法 図1
  • 特許-零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動及び/又は縦揺れ運動を制御するための方法 図2
  • 特許-零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動及び/又は縦揺れ運動を制御するための方法 図3
  • 特許-零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動及び/又は縦揺れ運動を制御するための方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動及び/又は縦揺れ運動を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 39/06 20060101AFI20220719BHJP
【FI】
B63B39/06 C
B63B39/06 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019515327
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 IT2017000183
(87)【国際公開番号】W WO2018055649
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】102016000094283
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519088638
【氏名又は名称】ピーエスシー エンジニアリング エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】PSC ENGINEERING S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Masera 6, I-10146 Torino, IT
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】クルピ, サンティノ
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01577210(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0114509(US,A1)
【文献】米国特許第07451715(US,B2)
【文献】欧州特許出願公開第02910463(EP,A1)
【文献】蘭国特許発明第01023921(NL,C)
【文献】実開昭60-084396(JP,U)
【文献】特開昭61-094895(JP,A)
【文献】実開昭55-022296(JP,U)
【文献】特開昭61-094891(JP,A)
【文献】特開2011-251596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0011269(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02669177(EP,A1)
【文献】米国特許第04777899(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第01992559(EP,A1)
【文献】米国特許第07263942(US,B1)
【文献】米国特許第04273063(US,A)
【文献】特開昭51-045898(JP,A)
【文献】米国特許第03842777(US,A)
【文献】米国特許第03687100(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 39/06
B63B 3/44
G05D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの安定化フィンを介して、零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動を制御するための方法であって、以下の工程を含み、
a.前記横揺れ運動が始まるとき前記安定化フィンの動作を始める、
b.横揺れ角速度によって決まる前記安定化フィンの運動側を利用する、
c.前記横揺れ運動が終わるとき前記安定化フィンの動作を終わらせる、
前記安定化フィンは前記横揺れ角速度に比例する角速度で動かされ、前記横揺れ運動に対向する緩やかな安定化動作を生成する、船舶の横揺れ運動を制御するための方法
【請求項2】
前記安定化フィンの動作は、前記安定化フィンによって到達したのが、いずれの位置であっても、到達した前記位置に隣接して停止することを特徴とする請求項1記載の船舶の横揺れを制御するための方法。
【請求項3】
前記横揺れ角速度が零に隣接する位置で、前記安定化フィンが直ちに停止し、到達位置が何れであってもその到達位置を維持することを特徴とする請求項1記載の船舶の横揺れを制御するための方法。
【請求項4】
次の零でない前記横揺れ角速度で、前記安定化フィンは、前記横揺れ運動を制御するための前のサイクルで到達した位置から始め、再び動き始めることを特徴とする請求項1記載の船舶の横揺れを制御するための方法。
【請求項5】
前記安定化フィンの運動側は、連続型であることを特徴とする請求項1記載の船舶の横揺れを制御するための方法。
【請求項6】
前記安定化フィンの動作は、回転軸に対して振動していることを特徴とする請求項1記載の船舶の横揺れを制御するための方法。
【請求項7】
最大傾斜角度の達した場合、前記安定化フィンは、前記横揺れ角速度が方向を変えるまで動かず、それから反対方向に沿って動き始めることができることを特徴とする請求項1記載の船舶の横揺れを制御するための方法。
【請求項8】
前記方法は、マグナス効果、ジャイロスコープ、回転集合体、能動振り子、液体置換箱、水中に配置された外部箱、変位角スクリュー又は推進機付き横揺れ防止用安定装置、そのような安定化フィンの装置に適用されることを特徴とする特徴とする請求項1記載の船舶の横揺れを制御するための方法。
【請求項9】
零又は低速の船速での縦揺れ安定化に移行することができることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の船舶の横揺れ運動を制御するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動及び/又は縦揺れ運動を制御するための方法に関する。
特に、本発明は船速が零で錨に止められ、又は低速で航行している船舶の横揺れ角度及び/又は縦揺れ角度を減少させるフィンの位置を決定するための方法に関する。
【0002】
零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動の減少は、その船舶の横揺れ運動を打ち消す能力がある横揺れ運動を生じさせるためにフィンを回転させることによって得られる。事実、船速が零又は低速の場合、力が安定化フィン又は他の装置の回転速度から生じることはよく知られている。
【背景技術】
【0003】
先行技術は、欧州特許第2669177号公報に代表されており、動かず錨で止めた船舶のアンチロールを安定させるための安定化フィンを制御するための方法を扱っており、次の工程を含む。船舶の横揺れについて少なくとも1つの識別値を検出し、検出された値に応じて予想される船舶の横揺れ振動を推定し、予想される横揺れに応じて安定化フィンを動かすための軌道を決定し、この軌道に応じて安定化フィンの動作を制御する。
【0004】
欧州特許第2669177号公報の方法は、正弦波によって船舶の横揺れ振動をモデル化し、海の不安定化動作の推定及びフィンの安定化動作に応じて安定化フィンを動かすための軌道を決定することを可能にする。
特に、欧州特許第2669177号公報の方法は、安定化の寄与が負になったときにフィンを制動する必要を回避するために最も適切な種類の軌道を斬次選択することによって、安定化効果を得るためにどの速度でフィンを動かすのが都合がよいかを評価することを可能にする。フィンの動作が適用される瞬間は、ゼロから横揺れの通過がある瞬間であり、おそらくその前はない。
【0005】
一般に、フィンのすべての製造業者によって採用された解決策は船舶の横揺れ角度が数値ゼロから通過するとき、即ち、横揺れ角速度がその最大値をとるとき、又はこの値を跨ぐときにフィンストロークをつくることを可能にする。フィンは、一方端から他方端まで、いわゆるバンバン、又は蹴り出しのように連続的ではなく動かされ、最大の減衰(dampening)を得ることができるようにするため最大の横揺れエネルギーを消散させる。
【0006】
現在の技術水準では、横揺れ角度が安定した平衡点にない場合、最大横揺れ角速度ゾーン内で、即ち、水平線上の船舶に対応する0°前後の横揺れ角度で安定化フィンを動かすことによって、フィンの動きが十分であれば、船舶は止まる。そのため、船舶は安定した平衡点に向かって戻ることによって動くことを強要される。このようにして、横揺れ角度は反対方向に進む傾向があり、フィンに対して更なる修正が必要である。これは、運動と制御が同時に実行されるのと同時に小さな運動を安定させることは実際上不可能であることを意味する。その船舶はその平衡状態に戻ることができるようにまだ小さい横揺れ角度を実行することを強いられており、どんなふうにしようとも、減衰力を最大限に引き出すことなく、さらに快適さを最大限に引き出すことはできない。
【0007】
さらに、最大の横揺れ角速度を有する領域又は次の最大の運動エネルギーを有する領域での、フィンの、いわゆるバンバン、又は蹴り出しといった不連続な運動は、フィンがストロークを始めたとき及び、しばしばフィンが停止したときに、急に動くこととして知られていて文献でよく説明されているいらいらさせる横方向の衝撃で、乗船中の乗客によって感知可能な我慢できない横揺れ運動を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、最大エネルギーの消散が、最高の快適さ及び船舶の横揺れ運動の最大の減衰(dampening)と一致するという一般的な関係を適用することなく、船舶の横揺れエネルギーを消散させることを可能にする方法を提供することによって、上記の従来技術の問題を解決することである。
【0009】
更なる目的は、次のそのような一般的に使用されている関係、即ち、横揺れの通過位置でフィンをゼロから次のゼロまで動かすことに従う方法を放棄することができることである。
更なる目的は、フィンによって生じる動作が横揺れ動作を和らげるのに十分であるときに、ゼロ又はその安定した平衡点の船舶の横揺れ角度で停止させることを可能にする方法を提供することである。
更なる目的は、快適さを得るためのすべての効果とともに、横方向の衝撃を受けることなくフィンを動作させることを可能にする方法を提供することである。
更なる目的は、そのような点で又は次のそのような点で開始する代わりに、横揺れの安定した平衡点で力を出し尽くす能力がある制御動作を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記及び他の目的及び効果は、以下の説明の結果として、請求項1に記載のように、零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動を制御するための方法によって得られる。本発明の好ましい実施形態及び重要な変形は、従属請求項の主題である。
【0011】
添付の特許請求の範囲のすべては、本説明の不可欠な部分であることが意図されている。
添付の特許請求の範囲から明らかなように、本発明の範囲から逸脱することなく記載されているものに対して(例えば、形状、サイズ、配置、及び同等の機能を有する部品に関する)多数の変形及び修正が可能である。
本発明は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として提供されるその好ましい実施形態によってよりよく説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明による、零又は低速の船速での横揺れ角速度である横揺れ角速度と、その横揺れ角度である横揺れ角度との挙動の時間グラフを示す。
図2図2は、本発明による、上記横揺れ角速度である横揺れ角速度と、右舷フィン角度であるフィン度との挙動の時間グラフを示す。
図3図3は、前図の時間グラフの拡大部分を示す。そして、
図4図4は、安定化フィンの最大傾斜角の制限がある場合の方法の一部に関連する時間グラフの拡大部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、零又は低速の船速での船舶の横揺れ運動を制御するための方法は、少なくとも1つの安定化フィンを介して、以下の工程を含むことに留意することが可能である。
a.横揺れ運動が始まるとき安定化フィンの動作を始める。
b.横揺れ角速度によって決まる安定化フィンの運動則を利用する。
c.横揺れ運動が終わるとき安定化フィンの動作を終わらせる。
【0014】
特に、安定化フィンの動作は、安定化フィン自体が到達したのが、いずれの位置であっても、到達した前記位置に隣接して停止する。
非限定的な例として、安定化フィンは、横揺れ角速度に比例した速度で動かされ、横揺れ運動に対抗する緩やかな安定化動作を生成することができる。
次の横揺れ角速度零で、安定化フィンは直ちに停止し、そして到達位置がどちらであっても、その到達位置を維持する。
次の零でない横揺れ角速度で、安定化フィンは、船舶の横揺れ運動を制御するための前のサイクルの到達位置から始まって再び動き始める。
【0015】
安定化フィンの運動則は、連続型である。
好ましくは、安定化フィンの運動は、回転軸に対して振動している。
最大傾斜角に達すると、安定化フィンは横揺れ角速度が方向を変えるまで動かず、それから反対方向に沿って動き始めることができる。
有利には、このような方法は、フィン、マグナス効果、ジャイロスコープ、回転集合体、能動的振り子、液体置換箱、水中に配置された外部箱、ヘルムによる横揺れ安定化、アジマスプロペラによる横揺れ安定化、又は推進のような装置に適用できる。最新技術によれば、これらすべての装置は、ゼロから又はそれに近いところを通過する横揺れで作動する。
さらに、そのような方法は、錨で止めたとき又は低速のときの縦揺れ安定化の制御を定義するために移行することができる。
【0016】
本発明の零又は低速の船速での横揺れ運動を制御するための方法は、前述の目的が得られることを可能にする。
横揺れの最大の減衰と最高の快適さは、横揺れ運動が始まったときにフィンが動き始め、最大横揺れ角速度の領域だけでなく、横揺れがゼロ又は平衡点からの通過の横揺れ角速度に応じてフィンが動き続けると、横揺れが零でない横揺れ角速度で動くときに常に得られる。
【0017】
本発明の方法によれば、船舶の横揺れ角速度が零でない場合、フィンが動かされる。特に、フィンは船舶の横揺れ角速度に応じた回転速度で動く。したがって、フィンによって生じる横揺れ運動が十分であるか、又は初期横揺れ角度が十分に小さい場合、フィンの動作は船舶の横揺れ角度をゼロ又は安定した平衡横揺れ点で停止させることができる。横揺れ角速度がゼロの値、一定の横揺れ角度になると、フィンは到達角度でブロックされる。零横揺れ位置は安定した平衡位置なので、船舶は外部の横揺れ動作がそれを動かすまでそこに留まる。さらに、横揺れ角速度に応じて、次の横揺れ運動でフィンを動かすことは、衝撃を生じさせないフィンの作用を生み出し、これは快適さの利点である。
【0018】
本発明の方法は、船舶を安定した平衡点に停止させ、それに続く振動の必要性を排除することを可能にする。
錨で止めたとき、船舶の横揺れ角速度に比例した回転速度で動く安定化フィンで得られる船速ゼロでの横揺れ安定化は、他の現在使用されている方法よりも大きく、かつ、より少ないフィンの仕事量で横揺れ減衰を得ることを可能にする。さらに、バンバン、又は蹴り出しシステムの代わりに存在する不快な横揺れ、不快な急な動きはなく、どんな方法であっても、横揺れが通過するとき、又はゼロからその通過の次にフィンを作動させる。バンバンシステムは、これらの不快な横方向の急な動きを避けるために、同じ数のフィンで得られる減衰よりも低い減衰になるように、又はそれらの動作の必要性を減らすために設置されたフィンのサイズを大きくすることで得られる減衰よりも低い減衰になるように、横揺れ減衰を生み出す制御動作に制限を設けなければならない。
【0019】
本発明の方法は、零又は低速の船速での船舶の横揺れの安定化に適用される。けれども、そのような方法は、一般に、そのようなフィン、羽ばたきフィンDMS、及びマグナス効果を有するシステムなどの翼構成要素を使用する任意の表面又は装置に拡張することができる。
【0020】
本発明の方法は、以下の数学的アルゴリズムによって分析的に支持される。
所与:
δfin(t) 時間におけるフィンの角度、
p(t) 船舶の横揺れ角速度、
functionOf (p(t)) 横揺れ角速度の非線形関数、及び
Kp 利得係数、
【0021】
錨で止め、船舶の角速度が低いときの横揺れ制御の構成要素は、次のとおりである。
【0022】
【数1】
【0023】
これは、最も単純な実施形態では、しかしながら非常に効率的であるが、利得を介した横揺れ角速度に比例する。
【0024】
【数2】
【0025】
フィンが発生する速度は横揺れ角速度に比例するか、又は非線形関数である。フィンが生じる力はその回転速度に比例する。したがって、船舶が零でない横揺れ角速度を有する限り、フィンは回転し、船舶の横揺れ運動に対抗する横揺れ運動を作り出す。船舶の横揺れ角速度が零のとき、フィンはそれらの到達値(一定値)に留まり、横揺れ運動を和らげるために再び動き始めるのを待つ。フィンが独立して管理されている場合、フィンは、各フィンごとに異なっていても、零でない位置に停止させることができる。零でない値を有するフィンの動作は、本発明の方法に特有のものである。
【0026】
また、利得係数Kは、単純に係数であるか、又は海の状態、横揺れの運動幅、最大フィン速度、フィンストローク、フィン揚力、又は他の環境又は快適性パラメータに応じてより複雑な方法で決定され得る。
一般に、フィンは斜めに駆動される。フィン角度を得ることを可能にする等価な式は、次のとおりである。
【0027】
【数3】
【0028】
積分限界はフィンの最大値と最小値である。横揺れ角速度が零であるとき、横揺れ角度は釣り合っているか、又は最大又は最小で、船舶が再び横揺れ運動をしたときにフィンは停止して再び動き始める。
【0029】
【数4】
【0030】
規定則(4)では、同じフィンサイズで最大レベルの横揺れ減衰を得ることができる。この状況は連続型、即ちバンバンや蹴り出しではなく、気難しい横揺れ加速度、即ち様々な船舶の看板上にいる乗客から感知される横加速度を生み出す流体力学的な急激な変化を打ち消す。
【0031】
現在行われているように、最大横揺れ角速度の近辺にフィンストロークを適用することは、角速度曲線をその最大点で歪める横揺れ運動を突然加えることを意味する。
他方で、連続的な減衰動作の適用は、横揺れ角速度が小さいときから始めてしてもこの現象は発生せず、最大の横揺れ減衰能力で最高の快適性を保証する。
【0032】
さらに、これは連続的な解決策なので、そのような運動則は、暴露された如何なる横揺れ角速度を残さないで、小さな横揺れ運動をも減衰させることを可能にする。同じフィン、船舶、海であれば、本方法は、より少ないフィンの作業量で、かつ、グローバルシステムの消耗が少なくて、より大きな横揺れの減衰を保証する。錨で止めたときの安定化のためのフィンの作業量の評価は、通常起こるように、フィン角度の標準偏差の計算ではなく、フィン速度の標準偏差の計算を用いて実行されなければならない。
【0033】
この制御では、観察するのに慣れているものに関して、明白な例外に慣れることも必要である。
実際、フィンが一緒に駆動されるとき、フィンは、船舶の同じ部分で一致し、向かい側で対抗して、零でない角度で止められ得る。フィンが別々に駆動される場合、特定の条件を考慮に入れるために、各フィンは特定の条件をとることができ、各フィンは異なる値であるとみなすことができる。通用している調整方法では平均フィン値はゼロであるが、本発明の方法では、錨で止めたとき又は船舶の角速度が低いときの安定化でのフィンは、横揺れが零又は平衡値であるとみなされるとき、フィンは必ずしもゼロではなく、任意の角度で停止することができる。
【0034】
記述された横揺れ制御構成要素は、錨で止めたときの安定化において特に能率的であるが、低速の船速でも有効である。実際、低速では、しかるべき船舶の前進及び一般的な揚力(衝撃角度)によるフィンの揚力が小さいときに、船舶の横揺れ運動を低減する能力がある横揺れ力を発生させることができる。
同等の解決策は、横揺れ角加速度の角加速度関数を用いてフィンを動かすことである。
【0035】
もう一つの同等の解決策は、半周期内の横揺れ角度の相対最大又は最小、最大横揺れからの変位角、又は最小横揺れからの変位角といった、新しい制御量を作成することである。これは、最大又は最小の横揺れ変位に比例した量のフィンの増加又は減少として調整器を得ることを可能にする。要求されるフィン角度は、瞬間横揺れと相対的な最大又は最小横揺れとの差にKを乗じたものとを合計した相対的な最大又は最小横揺れ点における要求角度の値に等しい。
即ち、それが発生した時に識別される横揺れ反転点から、次の反転点である、相対的な最大又は相対的な最小までの、要求される角度は次のようになる。
【0036】
【数5】
【0037】
ここで、φ(t)は所要時間における横揺れ角度である。
【0038】
この解決策は、たとえ理論的には等価であったとしても、実行がより困難である。横揺れ角速度積分による実行は非常に単純で効率的である。さらに、制御理論の設計法に従って利得を決定するために使用することができる。時々、他の形式が、横揺れ角速度積分ノイズよりも低い横揺れセンターノイズ、非慣性横揺れセンサー、又は横揺れセンサー積分は、横揺れセンサーが慣性で横揺れ角速度が特に正確な場合に便利であるといった他の理由で好まれることもある。
【0039】
この安定化方法では、大きな船舶の小さな運動は、錨で止めたときに高い減衰レベルで減衰され、かつ、特に横揺れ角幅が減少すると減衰は増加する。一般に、錨で止めたときの安定化システムは、船舶の小さな横揺れ運動を減少させることができず、かつ、実際、横揺れ角度が減少するときに減衰の減少を有し、小さな生じた力が必要なとき、フィンはより高い横揺れ運動に関する横揺れ減衰に必要なフィンの減衰能力が劣るという明確なパラドックスを生み出している。
【0040】
本革新は、特に大型船舶では重要な、小さな横揺れ振動を非常に減らすことが可能である。大きなヨットでは、小さな運動が快適さの過酷な欠如の原因である。±0.5°だけの横揺れ振動は、幅20mの船舶の横位置で、17cmを超える垂直方向の揺動を発生させる。本発明の制御方法は、その連続的な機能性により、これらの振動を90%より大きい値で減衰させる能力がある。本革新は、わずかな横揺れ期間(6秒又は7秒未満)で船舶の横揺れ動作を減衰させることを可能にする。実際には、バンバン法では、この船舶の横揺れ減衰は非常に低いか又は負である。
【0041】
この方法は、錨で止めた場合又は船速が低速の場合の横揺れの安定化、及び錨で止めた場合又は船速が低速の場合の縦揺れの安定化に適用することができる。それは、フィン、フラップ、羽ばたきフィン(DMS)、マグナス効果、ジャイロスコープ、回転集合体、能動的振り子、液体置換箱、水中に配置された外部箱、ヘルムによる横揺れ安定化、アジマスプロペラによる横揺れ安定化、又は推進のような装置といったすべてのデバイスに適用される。
【0042】
それは、横揺れ、縦揺れ、侵漬体の衝撃、及び浮遊プラットフォームの安定化に適用され、かつ、考慮された数量の制御手段の構成要素の「角速度積分」を介して、あらゆる調整で使用することができる。その調整量が横揺れの場合は横揺れ角速度積分、その調整量が縦揺れの場合は縦揺れ角速度積分、その調整量がうねりの場合はうねり速度積分である。
実際の実行では、フィンの最大角速度である「MaxFinRate」、又は一般的な制御の最大角速度、及び或いは最大角加速度の計算も考慮に入れる必要がある。
実行定式は次のようになる。
【0043】
【数6】
【0044】
線形解の場合
【0045】
【数7】
【0046】
フィン角度制御は次のようになる。
【数8】
【0047】
本発明の方法は、上述したアルゴリズムによって実行され、図2に示される挙動のように安定化フィンの回転角度の挙動を得ることを可能にする。
図2を参照すると、フィンは、横揺れ角速度が零でないときに動く。図2図3及び図4の縦線は、横揺れ角速度が零で、かつ、フィンが動かない点を示す。この点で、フィンは説明した安定化方法で動き始める。
【0048】
本発明の方法は、コンピュータシステム又はPLCsの場合はソフトウエア、アナログ回路システムの場合はハードウエア、空気圧又は機械式調整器による実施形態の場合は物理的装置の実用的な実施形態に関する。
図1
図2
図3
図4