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特許7106161粒子サイズが不揃いな原薬粒子の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】粒子サイズが不揃いな原薬粒子の処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20220719BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 31/63 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220719BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220719BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K9/20
A61K31/167
A61K31/192
A61K31/197
A61K31/63
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/38
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020527545
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2019025177
(87)【国際公開番号】W WO2020004393
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2018121227
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231796
【氏名又は名称】日本臓器製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 浩
(72)【発明者】
【氏名】駒居 邦男
(72)【発明者】
【氏名】福田 清
(72)【発明者】
【氏名】難波 健介
(72)【発明者】
【氏名】下赤 佳緒里
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195796(WO,A1)
【文献】特開2004-121822(JP,A)
【文献】特開2009-126783(JP,A)
【文献】特開2017-088459(JP,A)
【文献】特開2018-177800(JP,A)
【文献】European Journal of Pharmaceutical Sciences,2017年04月20日,Vol.104,p.344-355
【文献】International Journal of Pharmaceutics,2018年04月03日,Vol.543,p.288-299
【文献】Recent Pat Drug Deliv Formul.,2010年01月,Vol.4, No.1,p.58-81,抄録
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-31/80
A61K 33/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ふるい分け法により粒度分布を測定したとき、原薬100重量%に対して、500μm以上の粒子を1重量%以上、且つ、60μm以下の粒子を10重量%以上含有する原薬に、分散剤、及び、所望により、その他の添加剤を加え、解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に少なくとも分散剤及びその他添加剤を分散・付着させ、当該粉末100重量%に対して、180μm以上の粒子を25重量%以下、且つ、60μm以下の粒子を25重量%以下含有する粉末とする、医薬製剤の製造における前処理方法であって、該解砕整粒は少なくとも1回石臼式磨砕機により行われるものである、前処理方法。
【請求項2】
レーザー回折法により粒度分布を測定したとき、原薬100体積%に対して、500μm以上の粒子を1体積%以上、且つ、50μm以下の粒子を10体積%以上含有する原薬に、分散剤、及び、所望により、その他の添加剤を加え、解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に少なくとも分散剤及びその他添加剤を分散・付着させ、当該粉末100体積%に対して、200μm以上の粒子を40体積%以下、且つ、50μm以下の粒子を50体積%以下含有する粉末とする、医薬製剤の製造における前処理方法であって、該解砕整粒は少なくとも1回石臼式磨砕機により行われるものである、前処理方法。
【請求項3】
製剤100重量%に対して、0~85重量%の結晶セルロース、0~30重量%の崩壊剤、0~6重量%の界面活性剤(可溶化剤)、0~40重量%の水溶性添加剤及び0~15重量%の糖アルコール類から選ばれる少なくとも1種を配合して、少なくとも1回解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に添加剤を分散・付着させる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
必要に応じて、製剤100重量%に対して、0.5~3.0重量%の水を添加する請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
乾式直接打錠法の前処理方法である請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
造粒工程の前処理方法である請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
造粒工程が連続式造粒システムによるものである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
原薬が難流動性、難溶解性又はゲル(継粉)を形成しやすい高溶解性である請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
原薬がプレガバリン、セレコキシブ、アセトアミノフェン又はイブプロフェンである請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
分散剤が含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸又はケイ酸カルシウムである請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
分散剤以外の添加剤が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーL、アミノアルキルメタクリレートコポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、カルボシキメチルスターチナトリウム、酸化チタン、酸化鉄、タルク、澱粉、滑沢剤、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、コポリビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖、糖類、糖アルコール類及びトレハロースから選ばれる水溶性添加剤、並びにマクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベートから選ばれる界面活性剤(可溶化剤)から選ばれる少なくとも1種である請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
解砕整粒を石臼式摩砕機及び棒状若しくはインペラー型解砕整粒機により行う請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体物性(粒子径・粒子形状・密度等)が不揃いな原薬を用いた医薬製剤の製造における打錠工程又は造粒工程等の前処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製剤を製造するに際し、固形製剤における錠剤の製造方法として、例えば、造粒物を調製せずに原薬と添加剤の混合物を打錠する乾式直接打錠法(「乾式直打法」、あるいは単に「直打法」ともいう。)や、乾式造粒法(乾式ローラーコンパクター法、ロールグラニュレータ法)又は湿式造粒法(撹拌造粒法、押出し造粒法、噴霧造粒法、流動層造粒法)等のいくつかの方法で造粒物を調製した後に打錠する方法がある。これらのいずれの方法においても、ごく一部の例外を除いて、商用生産に移る際にはスケールアップが必要となる。医薬品はその性格上、安全性と有効性が最優先され、この安全性と有効性は小規模試製、中規模試製、商用生産と移行する間の開発ステージにおいてに確定される。商用生産で大量に製造する製品についてもスケールアップの前後で品質は同等でなければならないが、品質管理等に関する手法に課題が有るとの指摘もあった。
【0003】
医薬品製造においては、今までバッチ生産(回分式)が一般的であり連続生産の導入は遅れていた。しかし、最近の潮流として、米国においては、米国食品医薬品局(FDA)等から連続式造粒システムの開発が求められており、ガイドライン等も提示され、連続生産を導入した医薬品が承認されている。同様に日本においても、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から連続生産の導入の方向性が求められている。また、連続造粒装置及び連続顆粒製造システムに関する特許文献(特開2015-85225号公報)も公開されている。この連続生産のメリットの1つとして、スケールアップが必要ない、或いは容易であるということが挙げられる。このような潮流の中、原薬と添加剤粉末を連続的に製造工程内に定量供給し、混合⇒結合剤添加⇒造粒⇒乾燥⇒整粒⇒打錠と進む連続生産システムにおいて、同等の品質の医薬品固形製剤が製造できる連続式造粒システムの開発がなされている。例えば、原薬に添加剤を配合し、定量フィーダーを介して連続式造粒システムに供給した後、ここに結合剤溶液を添加するが、各ポイントにおいて工程解析システム(PATシステム)等を用いて状況を監視・制御することにより、同一品質の造粒製品のスケールアップが容易になる方法が推奨されている。しかし、スケールアップにおいて、例えば回分式流動層造粒においては、大型機になるほど、単位面積当たりの仕込み量(kg/m2:積載密度)が大きくなり、積載厚みが増加するため、造粒中の粒子に加わる厚密が大きくなるという問題があった。このような状況下において、スケールアップの前後で同等品質の製剤を生産するためには様々な課題があった。
【0004】
処理される原薬粒子の粉体物性(粒子径・形状・粒子密度等)は、異なる原薬メーカー間はもちろんのこと、同一メーカーであっても季節(夏期と冬期)やロット間により変動することは周知である。そして、原薬粒子の粉体物性が変動すれば後工程の製品品質が変動し、同等の品質が保たれた製品を製造することは困難になる。しかしながら、季節変動等に起因するバラツキの解消のための原薬粒子の均質化等の前処理方法については知られていなかった。
【0005】
1970年頃以前の原薬や添加剤の粒子径は比較的大きく、また、溶解度の高い原薬が多く不揃いな粒子サイズでも溶解性や溶出率に支障はなかった。さらに、当時の医薬品製造の作業環境における空調設備は未整備で、湿度は高い(成り行き)ため、原薬や添加剤の二次凝集等の弊害はほとんどなく、それらの粒子に作用する力は重力(質量)が主であった。
これに対して、最近の原薬は難溶性のものが多くなったことから、原薬メーカーでは、溶解性等の改善等のために原薬をピンミル、ハンマーミル、ジェットミル等を用いて微粉砕しているケースが多く、粉体物性が不揃いな原薬を供給(市販)している。原薬を微粉砕するに伴い、静電気帯電、分子間力(ファンデルワールス力)、表面エネルギー等が強く作用することになる。また、溶解性の極めて高い原薬は、不溶性添加剤を配合した場合であっても、結合剤溶液のスプレー添加により、溶解性の高い原薬が選択的に先行して結合剤ミストと結合・凝集し、その表面にゲル(継粉)を生成して溶解が遅延するケースがある。特に、低含量で固有の色調を有する原薬においては、製剤化した場合に色斑や斑点等均一性に問題を生じることがある。
【0006】
原薬合成における粉体物性(粒度分布や粒子形状・密度等)は、各原薬メーカーにおける設備の設置環境によっても異なる。同じメーカー内の同一設備においても、季節変動(夏期と冬期の温度・湿度)や設備の設置環境等が影響することは周知で、例えば、原薬の合成・晶析工程のプラントが設置されている環境は、製剤の製造工程等のように空調が完備され、温度管理等が周到に行われている環境ではなく、屋外に近い環境であるケースが多い。特に、原薬合成最終の冷却工程の温度管理については、殆どが成り行きで、空調設備の完備した環境で生産しているケースはまだ少ない。従って、冷却工程における冷却速度は、装置サイズ、設備環境により大幅に変動し、この結果、得られる原薬の粉体物性(粒子径・粒度分布・粒子形状・粒子密度・帯電性・分子間力等)は変動することを免れない。
【0007】
上記のような理由により、合成された原薬には製造過程における晶析工程で生成された大きなサイズの結晶や、二次凝集による塊等が含まれており、500μm以上の大きな粒子を多く含有することもあるため、粒子サイズが不揃いである。特に、難溶性原薬において粒子サイズが不揃いで季節変動が大きいと、最終製品(錠剤等)の溶出率の均一性は期待できない。これらを改善するため、原薬メーカーは、ジェットミル、ピンミルやハンマーミル等を用いて原薬を微粉砕して供給(市販)しているが、50~60μm以下の微粒子は過粉砕され二次凝集しやすいため、細粒、顆粒、カプセル剤、錠剤等を製造する医薬品(製剤)メーカーは苦慮している。例えば、二次凝集した小塊は撹拌式混合器を用いても分散することは極めて困難である。また、この小塊は振動ふるいを用いて除去することもあるが、振動することでさらに静電気帯電を助長して二次凝集を進行させることになるので不適切である。このため、倍散工程(単純な混合工程)を行った後に混合するケースもあるが、本願のように、二次凝集した原薬粒子を解砕整粒・分散する工程は今までに行われていない。このように、粉体物性が季節により変動する原薬に添加剤を混合して得られた混合粉末を、打錠機や湿式造粒システムに投入しても、得られる細粒、顆粒、カプセル剤や錠剤の物性(粒子径、形状、密度等)は変動して、常に品質が同等である最終製品を製造することは困難であった。
【0008】
粒子サイズが50~60μm以下の原薬微粒子は静電気帯電が極めて強く、二次凝集粒子となって存在する。また、粒子サイズが500μm以上の大きく不揃いな粒子は単一粒子のように見えるが、実際には針状結晶や片状結晶等が集積・積層した粒子である(写真1(図1)及び写真2(図2:写真1の中央部拡大写真)参照)。これらを強い衝撃力で粉砕すると50~60μm以下の微粒子になるため、二次凝集粒子を生成してしまう。
【0009】
さらに、薬物を過粉砕することによる弊害としては、例えば、イブプロフェンは融点が74℃~77℃であるため、ピンミルやハンマーミル等の強い衝撃力で粉砕すると発熱のために粉砕ピンや内壁に固着して連続運転が困難となることは周知である。また、市販のアセトアミノフェン原薬は、ピンミルやハンマーミル等の強い衝撃力で粉砕した粒子が供給(市販)されているため、二次凝集粒子が多く存在し、且つ、針状粒子も多くなり、その結果、流動性が低下している。このため、回分式流動層造粒において、他の添加剤を配合して流動層造粒しても、流動不良や吹き抜け現象が生じ、円滑な流動状態は期待できない。さらに、このような状況にもかかわらず、無理に流動させるために過大風量で操作しているケースが多いが、流動初期の過大風量は微粉末状の原薬粒子が先行して浮遊・流動し、上部に敷設した飛散防止用バグフィルターに付着する。静電気帯電の強いこれら原薬粒子はシェーキング等の払い落とし操作を行ってもスプレーゾーンに環流させることは極めて困難で、含量均一性を損なう要因となり易い。また、回分式撹拌造粒機(バーチカルグラニュレーター:パウレック製等)で撹拌・混合しても、全体として均一ではあるが局所的に二次凝集した小塊が存在する。この二次凝集した小塊の分散は極めて困難であるため、二次凝集した小塊のままで造粒が進行し、結果的に色斑や斑点等の含量均一性に問題が生じることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、粉体物性、特に粒子サイズが不揃いな原薬を製剤化するための前処理方法を提供するものである。特に、本発明に係る前処理方法(以下、「本前処理方法」ということがある。)は、他の製造方法によるものよりも、粉体の流動性や均質性が優れていることが要求される乾式直打法や連続式造粒システム等による製造方法に適用性が高い粉末とすることができる、医薬製剤の製造における打錠工程又は造粒工程等の前処理方法を提供することを課題とする。なお、本前処理方法は、すなわち整粒方法であることから、打錠工程や造粒工程の前に行われるものとは限らない。
【0011】
最近の薬理活性が高く、難溶性で凝集性の強い原薬は、その溶解性を改善するために、ジェットミル、ピンミルやハンマーミル等を用いて微粉砕されている。しかし、50~60μm以下の微粒子はピンミルやハンマーミル等で粉砕すると過剰に粉砕されることがあり、その結果として、静電気帯電、分子間力(ファンデルワールス力)、表面エネルギー等の影響が強く作用し、二次凝集して流動性が極めて悪い原薬となる。このため、製剤化の過程において、原薬の流動性を改善して混合均一性を向上させるために、予め倍散工程(単純な混合工程)を行った後でその他添加剤と混合することがあり、一段階のみならず、二段階、三段階の倍散工程を行っているケースもあるが、製造工程が増えることにより製造効率が低下してしまう。また、造粒操作等で添加剤を多く配合して原薬の流動性等の改善を図ることもあるが、二次凝集した原薬微粒子の分散は困難であり、これらの問題に対処する優れた方法はなかった。また、二次凝集した原薬粒子等は結合剤溶液中での分散が不均質になり易いため、結果として、部分的に二次凝集して溶出率が低下することや、小塊が存在する造粒物になり含量均一性にやや難点が生じることがあった。さらに、微粉砕工程は装置壁面への付着等による収率低下やコストアップの要因となることがあった。また、薬物によっては、粉砕等の機械的な強い力や圧縮成形・打錠時における圧力、衝撃、発熱等により不安定化するという問題もあった。そこで、本発明者等は薬物の流動性を改善させると共に、過粉砕せずに大きな粒子のみを選択的に押しつぶすような作用で粒度調整することにより、溶解性や均質性が改善され、製造性を高めるための医薬製剤の製造における前処理方法を提供することを本発明の課題として検討した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、薬物の製剤化に際して、粉体物性(粒子径・形状・粒子密度等)が、異なる原薬メーカー間のみならず、同一の原薬メーカーにおいても季節(夏期と冬期)やロット間により変動する不揃いな原薬には、分散剤等の添加剤を配合し、一回又は複数回解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に分散剤等の添加剤を分散・付着させると共に、特定の粒度分布を有する粉末とすることが重要であることを見出した。なお、原薬に添加する分散剤等の添加剤は流動性を改善して二次凝集を抑制できれば良く、連続層を形成することは必ずしも必要とされない。例えば、ふるい分け法により粒度分布を測定したとき、原薬100重量%に対して、500μm以上の粒子を1重量%以上、且つ、60μm以下の粒子を10重量%以上含有する原薬に、分散剤、及び、所望により、その他の添加剤を加えた後、解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に少なくとも分散剤を含む添加剤を分散・付着させ、当該粉末100重量%に対して180μm以上の粒子を25重量%以下、且つ、60μm以下の粒子を25重量%以下含有する粉末に調製した。また、レーザー回折法により粒度分布を測定したとき、原薬100体積%に対して、500μm以上の粒子を1体積%以上、且つ、50μm以下の粒子を10体積%以上含有する原薬に、分散剤、及び、所望により、その他の添加剤を加えた後、解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に少なくとも分散剤を含む添加剤を分散・付着させ、当該粉末100体積%に対して200μm以上の粒子を50体積%以下、且つ、50μm以下の粒子を70体積%以下含有する粉末に調製した。これにより、多種類の添加剤を多量に使用せずとも、流動性、溶解性、均質性が改善され、また、粉体物性(粒子径・粒度分布・粒子形状・密度等)の変動幅を少なくできることを見出した。
【0013】
また、溶解性の改善には、一般的に比表面積を大きくすることに重点が置かれているが、原薬粒子の表面改質も重要なポイントであり、比表面積は変わらずとも原薬粒子表面に可溶化剤や高分子結合剤を付着し、レイアリングすることで溶出率が改善できることを見出した。
【0014】
これらの知見により、医薬製剤の製造工程において、本前処理方法を行うことで、従来、粒子サイズが不揃いで、流動性が悪い薬物では難しいとされていた最も簡単な乾式直打法による製錠化することを可能とした。また、本前処理方法により調製された粉末を連続式造粒システムに供給することで、優れた均質性の造粒物が得られ、さらには、安定した品質の医薬品固形製剤を製造することを可能とした。また、回分式流動層造粒法や回分式撹拌造粒法においても含量均一性に優れた製品品質の造粒物や錠剤が得られる。
【0015】
原薬中に含まれる大きな結晶(針状又は柱状結晶等)等は、選択的に解砕して、長径/短径比が3以下、望ましくは球状の粒子になるように、石臼式摩砕機〔商品名:スーパーマスコローダー(登録商標、増幸産業株式会社)等〕や棒状又はインペラー型解砕整粒機〔商品名:コーミル(登録商標、株式会社パウレック)等〕の粒子を押しつぶすような作用で、衝撃力が弱く、発熱も少ない、解砕、整粒、分散できる装置を用いることが重要である。原薬に分散剤、及び、所望により、可溶化剤を配合した段階や、さらにその他の添加剤を配合した段階において、解砕整粒機を用いて、原薬の粒子径が大きな結晶や凝集した塊を選択的に解砕整粒して、原薬粒子の表面に分散剤等添加剤を分散・付着さることで、薬物の凝集性や低流動性が改善されて、溶出性や成形性に優れ、苦味マスキングが施された小型化錠や徐放錠等の製剤を製造できることを見出した。
【0016】
粉砕と解砕・整粒・分散について記述すると、1)粉砕とは大きな粒子にハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等を用い強い衝撃を与え粒子を小さく調整する単位操作であり、2)解砕・整粒・分散は凝集した粒子や結晶(針状、柱状・片状等)が集積・積層した原薬粒子に、やや弱い衝撃を与え解砕・分散・整粒するもので、その作用は、粉砕と同様な操作で一部重複しており、混同されやすいが粉体工学分野においては明確に区分されている単位操作である。
【0017】
一方、錠剤の小型化のために添加剤の量を少なくすると、成形性が悪く、硬度が不足する場合があるが、製造過程において若干量の水分を添加して、粉体の水分を調整することで、これを打錠した場合、優れた硬度を有する錠剤が得られることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、本発明を完成させた。
【0018】
すなわち、本発明は、例えば、下記(1)~(13)に関するものであるが、これらに限定されるものではない。
(1)ふるい分け法により粒度分布を測定したとき、原薬100重量%に対して、500μm以上の粒子を1重量%以上、且つ、60μm以下の粒子を10重量%以上含有する原薬に、分散剤、及び、所望により、その他の添加剤を加え、解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に少なくとも分散剤及びその他添加剤を分散・付着させ、当該粉末100重量%に対して、180μm以上の粒子を25重量%以下、且つ、60μm以下の粒子を25重量%以下含有する粉末とする、医薬製剤の製造における前処理方法。
(2)レーザー回折法により粒度分布を測定したとき、原薬100体積%に対して、500μm以上の粒子を1体積%以上、且つ、50μm以下の粒子を10体積%以上含有する原薬に、分散剤、及び、所望により、その他の添加剤を加え、解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に少なくとも分散剤及びその他添加剤を分散・付着させ、当該粉末100体積%に対して、200μm以上の粒子を50体積%以下、且つ、50μm以下の粒子を70体積%以下含有する粉末とする、医薬製剤の製造における前処理方法。
(3)製剤100重量%に対して、0~85重量%の結晶セルロース、0~30重量%の崩壊剤、0~6重量%の界面活性剤(可溶化剤)、0~40重量%の水溶性添加剤及び0~15重量%の糖アルコール類から選ばれる少なくとも1種を配合して、少なくとも1回解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に添加剤を分散・付着させる上記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)必要に応じて、製剤100重量%に対して、0.5~3.0重量%の水を添加する上記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)乾式直接打錠法の前処理方法である上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)造粒工程の前処理方法である上記(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(7)造粒工程が連続式造粒システムによるものである上記(6)に記載の方法。
(8)原薬が難流動性、難溶解性又はゲル(継粉)を形成しやすい高溶解性である上記(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9)原薬がプレガバリン、セレコキシブ、アセトアミノフェン又はイブプロフェンである上記(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)分散剤が含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸又はケイ酸カルシウムである上記(1)~(9)のいずれかに記載の方法。
(11)分散剤以外の添加剤が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーL、アミノアルキルメタクリレートコポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、カルボシキメチルスターチナトリウム、酸化チタン、酸化鉄、タルク、澱粉、滑沢剤、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、コポリビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖、糖類、糖アルコール類及びトレハロースから選ばれる水溶性添加剤、並びにマクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベートから選ばれる界面活性剤(可溶化剤)から選ばれる少なくとも1種である上記(1)~(10)のいずれかに記載の方法。
(12)解砕整粒を石臼式摩砕機及び/又は棒状若しくはインペラー型解砕整粒機により行う上記(1)~(11)のいずれかに記載の方法。
(13)石臼式摩砕機による解砕整粒及び棒状又はインペラー型解砕整粒機による解砕整粒を各々少なくとも1回行う上記(1)~(12)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0019】
本前処理方法によれば、薬物を広範囲な配合率(0.5~98重量%)で含有する粉末が調製でき、本粉末を用いることで、薬物含量均一性に優れ、試製規模から商用生産規模へのスケールアップが容易で、製造工程を簡略化できるため、生産コストを低減できる。また、本前処理方法によれば、流動性や溶解性の改善のために、多種類の添加剤を多量に使用する必用がないので、従来と比べて小型化された錠剤を製造することができる。本前処理方法により調製された粉末は、打錠機の臼や杵の金属表面に直接接触することで打錠障害が発現しやすい原薬の場合でも、その原薬粒子の表面が、分散剤、不溶性添加剤、界面活性剤(可溶化剤)、水溶性高分子等の添加剤粒子で被覆されているため、打錠障害の発生が低減できる等の副次的な効果も併せ持っている。さらに、本前処理方法により調製された粉末を乾式直打法に供する場合、打錠に適した水分値に調整(原薬や添加剤の物性や配合割合にもよるが、粉末全量100重量%に対して、概ね0.5~3.0重量%の水を添加)することで、二次凝集が低減でき、且つ、高い錠剤硬度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、イブプロフェン原末のロットAのSEM写真(×100倍)である(写真1)。
図2図2は、写真1(イブプロフェンの原末A)の中央部拡大SEM写真(×200倍)である(写真2)。
図3図3は、イブプロフェン原末のロットB(ロットAとは製造した季節が異なる同一メーカーのロット)のSEM写真(×100倍)である(写真3)。
図4図4は、イブプロフェンの解砕整粒品のSEM写真(×100倍)である(写真4)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、特定の粒度分布を有する原薬(A)に少なくとも分散剤を含む添加剤を配合した後、一回又は複数回、解砕整粒することにより、原薬粒子の表面に添加剤を分散・付着させ、特定の粒度分布を有する粉末(B)とする、医薬製剤の製造における打錠工程又は造粒工程等の前処理方法に関する。本発明における原薬(A)及び粉末(B)の粒度分布については、ふるい分け法(装置:ロータップ型ふるい振とう機等)による重量分布評価、及びレーザー回折法(「レーザー回折散乱法」ともいう)(測定装置:マスターサイザー2000又はマスターサイザー3000〔マルバーン社〕等、分散圧縮空気圧:2~4Bar)を用いた体積分布評価により求められ、各々の方法において、下記[1]又は[2]の通り測定粒径範囲(上限/下限)が設定される。
[1]ふるい分け法により粒度分布を測定したとき、原薬(A)100重量%に対して、500μm以上の粒子を1重量%以上、且つ、60μm以下の粒子を10重量%以上、好ましくは、500μm以上の粒子を10重量%以上、且つ、60μm以下の粒子を13重量%以上含有する原薬(A)、及び粉末(B)100重量%に対して、180μm以上の粒子を25重量%以下、且つ、60μm以下の粒子を25重量%以下、好ましくは、180μm以上の粒子を20重量%以下、且つ、60μm以下の粒子を20重量%以下含有する粉末(B)。
[2]レーザー回折により粒度分布を測定したとき、原薬(A)100体積%に対して、500μm以上の粒子を1体積%以上、且つ、50μm以下の粒子を10体積%以上、好ましくは、500μm以上の粒子を3体積%以上、且つ、50μm以下の粒子を15体積%以上含有する原薬(A)、及び粉末(B)100体積%に対して、200μm以上の粒子を50体積%以下、且つ、50μm以下の粒子を70体積%以下、好ましくは、200μm以上の粒子を40体積%以下、且つ、50μm以下の粒子を50体積%以下含有する粉末(B)。
【0022】
本前処理方法により調製される粉末は、流動性等が改善されている上に、粉体の物性の変動幅が少なく均一性が高いことから、製造性が高いものである。従って、本前処理方法による粉末を用いて、錠剤等に製剤化する場合、造粒工程を省略した乾式直打法や、品質管理が難しい連続式造粒システムにも適用でき、また、添加剤の種類や量を低減して小型で高含量の錠剤等の製造やその製造コストの低減を可能とする。
【0023】
さらに、本前処理方法においては、上記の特定の粒度分布を有する原薬と添加剤を混合した粉末を、解砕整粒機を使用して解砕・整粒し、原薬粒子の表面に分散剤や可溶化剤等の添加剤を分散・付着させて、上記の特定の粒度分布を有する粉末とすることが重要である。本前処理方法において、解砕整粒するために使用する装置としては、特に限定されるものではないが、石臼(グラインダー)や棒状又はインペラー型の回転体(回転数:約800~3000rpm)により、大きな粒子を選択的に押しつぶすような作用で粒度調整する解砕整粒機が適している。例えば、投入した原料粉末は間隔を自由に調製できる上下2枚の無気孔グラインダーの間に送り込まれて、そこで生じる圧縮、剪断、転がり摩擦等によってすり潰されて、次第に丸みを帯び、より滑らかになるという機能を有する石臼式摩砕機(スーパーマスコロイダー〔登録商標〕等)が挙げられる。本前処理方法においては、石臼式摩砕機のクリアランス(砥石間隙)は、通常30~5000μmであるが、500~3000μmが好ましく、1000~2000μmがさらに好ましい。また、投入した原料粉末を回転するインペラ(回転羽根)による遠心力で円筒状のスクリーンに押し付けで解砕、整粒した後、スクリーンに設けられた多数の開口部から原料粉末を排出するという機能を有する棒状又はインペラー型解砕整粒機(コーミル等)が挙げられる。解砕整粒機のスクリーン径(スクリーンの開口部の直径)は0.5mm~4mm程度が好ましい。
【0024】
一方、「解砕」と同様に粒子を細かくする処理として「粉砕」があるが、粉砕機はハンマーやピンが高速回転(回転数:約5000~15000rpm)して、原料粉末粒子を圧縮、衝撃、摩擦、せん断等の強い衝撃を与えて粒子を細かくするもので、特に粒子の大きさに関係なく処理する。従って、例えば、アセトアミノフェンの場合、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて微粉砕すると、小さい粒子が過粉砕され、比表面積が大きくなり、静電気帯電や分子間力の影響が強くなることから、流動性が低下して二次凝集が生じるため、装置内壁面への付着等が起こり、作業性が低下する。
【0025】
図1及び図2に解砕整粒前イブプロフェン原薬粒子の電子顕微鏡写真(写真1:×100倍、写真2:中央部拡大×200倍)及び図4に解砕整粒後イブプロフェン原薬粒子の電子顕微鏡写真(写真4:×100倍)を示す。写真1では、イブプロフェン原薬粒子は各々大きな単一粒子に見えるが、写真1の中央部を拡大した写真2では、結晶が積層・集積していることが、写真4では積層・集積した粒子が解砕・分散されていることが、各々確認できる。また、写真1と写真3を比較することにより、同一メーカーにおいてでも、各ロットの製造された季節(夏期と冬期)が異なることで粒子サイズや粒子形状等が異なることが確認できる。
【0026】
イブプロフェンの融点は約74~77℃であり、ピンミル、ハンマーミル等で粉砕すると衝撃による発熱のため、装置内壁面、粉砕ピン、ハンマー等に固着するので、長時間の連続粉砕(運転)が困難なことが知られている。このように融点が低くハンドリング(生産性)に難点のある原薬でも、解砕整粒することにより、発熱が抑えられつつ、やや丸い形状の粒子が多くなることで流動性が改善できる。また、プレガバリンやカンデサルタン等、薬物によっては、粉砕等の機械的な強い衝撃や発熱により不安定化するものもあるので、解砕整粒機により衝撃や発熱を抑えて過粉砕せずに大きな粒子を選択的に粒度調整する本前処理方法は不安定化も少なく有用である。
【0027】
以上のことから、本前処理方法においては、一般的な粉砕処理ではなく、薬物の粗大結晶や塊を選択的にほぐして細かくし、微粉領域の粒子については過粉砕せずに均一に分散させ、粒子表面に分散剤等添加剤を均一に付着させる、すなわち、解砕整粒により特定の粒度分布を有する粉末とすることが重要である。特に、薬物の結晶の中でも細長い形状の針状結晶については、長径/短径比が3以下になるように解砕整粒して粒子径を調整することで、より均一に分散させることができる。これにより、薬物の静電気帯電や分子間力は抑えられて流動性や凝集性が改善するため、より製造性が向上する。特に、製造過程における晶析工程において生成された大きな結晶や、二次凝集による塊等が含まれているような粒子径が不揃いである薬物を使用する場合は、小さな粒子径の薬物をさらに過粉砕して二次凝集の原因とならないように、大きい粒子径の薬物を選択的に細かくして粒子径を調整できる解砕整粒処理が好ましい。また、本前処理方法において、解砕整粒工程は、原薬や添加剤の配合割合や量等、又、作業環境等に応じて、1回のみならず、必要な回数実施することが好ましい。原薬に添加剤を配合した粉末では、添加剤(例えば:結晶セルロースや崩壊剤)の粒子径が支配的になるため原薬の粒子径よりも大きく表示されることもある。
【0028】
最近は、原薬メーカーにおいて、原薬合成の晶析工程で生成する結晶を平均粒子径が50~60μm以下に微粉砕しているケースが多く、このため難溶性の原薬は二次凝集力が強く、流動性、均一性に難点が生じ、また、粉砕装置内壁面への付着により収率も低下する。しかし、原薬と分散剤(カープレックスやアエロジル)、必要に応じて、界面活性剤(可溶化剤)等の添加剤を混合し、衝撃力の弱い石臼式摩砕機やインペラー型解砕整粒機を用いて、大きな粒子を選択的に解砕整粒し均一分散することで、再凝集は防止でき、流動性や溶出性を改善できる。
【0029】
本前処理方法は、乾式直打法や湿式造粒システムに供給できる粉末を調製するものであり、上記の粒度分布を有する原薬に分散剤(含水二酸化ケイ素(カープレックス)や軽質無水ケイ酸(アエロジル)等)を0.1~6.0重量%配合し、解砕整粒して分散させ、さらに、その他の添加剤を加えて、例えば、水溶性高分子結合剤、糖アルコール、トレハロース、カルボキシビニルポリマー等を、解砕整粒して原薬粒子の表面に分散・付着させ、特定の粒度分布を有する粉末を調製するものである。本粉末を用いることで、乾式直打法においては不具合が生じやすい、難流動性で、且つ帯電性の強い原薬であっても、含量均一性に優れた錠剤を製造することができる。
【0030】
また、本前処理方法では、1)難流動性原薬と分散剤(含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸等)を一回又は複数回、解砕整粒して均一分散させ、2)必要に応じて、打錠に適した水分値に調整し、さらに、3)不溶性添加剤(結晶セルロースや崩壊剤等)を配合し、4)水溶性高分子結合剤(カルボキシビニルポリマーやヒドロキシプロピルセルロース等)を難流動性原薬粒子の表面に一回又は複数回、解砕整粒して分散・付着(まぶす)させることで、帯電性や流動性が改善され、二次凝集を防止できるプレミックス原薬を得ることができる。さらに、複数種の原薬を配合する場合において、接触により原薬が変質するケースでは、中間層を設けて接触を回避させることもある。
【0031】
また、原薬メーカーや添加剤メーカーより入荷した原薬や添加剤の水分は、各社の出荷規格が厳しくなったため、打錠に適した水分値(0.5~3.0重量%)よりも過乾燥されていることが多くなっている。このため、原薬の静電気帯電、分子間力(ファンデルワールス力)及び表面エネルギーが高くなって二次凝集しやすくなることから、製剤化した際に含量均一性に問題が生じることがある。さらには、錠剤硬度も低くなりやすい。そこで、本前処理方法においては、必要に応じて、打錠に適した水分値に調整(粉末全量100重量%に対して、0.5~3.0重量%の水を添加)することにより、原薬の静電気帯電、分子間力(ファンデルワールス力)及び表面エネルギーを抑えられるため、製剤化した場合の二次凝集等による含量均一性に関わる問題や錠剤硬度に関わる問題を解消できる。
【0032】
難溶性原薬の場合は、その溶解性を改善するために界面活性剤(可溶化剤)による表面改質が効果を奏することがあり、粉末状の界面活性剤(可溶化剤)、例えば、粉末状のマクロゴール、ラウリル硫酸ナトリウム等をそのまま、又は、水分調整のための水に溶解して添加し、一回又は複数回解砕整粒して原薬粒子の表面に均一分散・付着してもよい。
【0033】
本前処理方法で使用可能な薬物の種類については、単一種又は複数種を配合しても良く、医薬品として疾患の予防や治療に供されるものであれば特定の範囲に限定されず、例えば、プレガバリン、デュロキセチン、セレコキシブ、カンデサルタン、バルサルタン、オルメサルタンメドキソミル、ベジル酸アムロジピン、フェニトイン、ニザチジン、ブシラミン、アゼルニジピン、ロキソプロフェンナトリウム水和物、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ノスカピン、カフェイン、ファモチジン、レボフロキサチン水和物、エテンザミド、トラマドール塩酸塩等が挙げられる。これらの薬物は、静電気帯電・分子間力・表面エネルギーが大きく、二次凝集しやすい粉体物性を有するものであり、本前処理方法の効果を発揮するのに適した薬物である。本発明における薬物の配合割合は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して0.5~98重量%と広範囲の割合で薬物を含有することができる。
【0034】
本前処理方法を行って錠剤を製造する場合、造粒工程が省略された乾式直打法であっても、原薬粒子の表面に、不溶性添加剤と水溶性高分子添加剤を解砕整粒して均一分散(まぶす)・付着させ、特定の粒度分布を有する粉末に調製することで、結合性、徐放性を生じさせることができる。さらに、本前処理方法の過程において、打錠に適した水分値に調整することで、水も結合剤として作用することとなり、硬度が30N以上の錠剤を製造できる。また、本前処理方法は、二次凝集した小塊で存在する原薬粒子の分散に優れるため、本前処理方法に引き続き乾式直打法や湿式連続式造粒システムにより製剤化した場合でも、含量均一性に優れた錠剤や造粒物が得られる。また、本前処理方法である整粒方法は、錠剤や造粒物の製造に限らず、散剤等の製造においても使用することができるものである。
【0035】
このため、本前処理方法のように、製剤100重量%に対して、原薬合成の晶析工程で産出された大きな粒子径の結晶や二次凝集した原薬に分散剤(カープレックスやアエロジル等)を、0.1~3.0重量%程度配合して、解砕整粒機により原薬粒子の表面に分散剤を分散・付着させることで、混合粉末の粒子径が調整されて流動性や分散性を改善することができる。この混合粉末にカルボキシビニルポリマーや水溶性高分子等を0.0~25.0重量%、さらに結晶セルロース、糖アルコール類、崩壊剤等を1.0~35.0重量%配合して分散・付着させた後、湿式連続造粒システムに供給することもできる。一方、この混合粉末に、結晶セルロース、崩壊剤等を0.5~45重量%、界面活性剤(可溶化剤)粉末を配合し、必要に応じて水分調整し、さらに水溶性添加剤(例えば、糖アルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等)を0.0~35.0重量%配合して均一分散・付着させた後、直接打錠法により打錠することで、錠剤の含量均一性のみならず、溶解性についても改善できる。
【0036】
本前処理方法で使用する添加剤としては、通常、一般製剤の製造に使用されている種々の添加剤を目的に応じて適宜配合することができ、崩壊剤、結合剤、矯味剤、着色剤、張化剤、界面活性剤(可溶化剤)、抗酸化剤、保存剤、可塑剤、pH調整剤、甘味剤、香料等が挙げられる。
【0037】
本前処理方法で使用する分散剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム造粒物等が挙げられ、好ましくは、含水二酸化ケイ素又は軽質無水ケイ酸で、より好ましくは、含水二酸化ケイ素である。これらの分散剤は、一種単独で使用してもよいし、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明における分散剤の配合割合は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して0.1~6.0重量%であり、好ましくは0.3~2.0重量%であり、原薬粒子の表面を完全に被覆する必要はない。また、分散剤の粒子径は、原薬粒子に対して、好ましくは1/10以下であり、より好ましくは1/100以下である。
【0038】
本前処理方法において界面活性剤(可溶化剤)を配合する場合は、基本的には、分散剤と一緒に粉末状の可溶化剤を配合することができるが、水分調整をする場合には、可溶化剤(液状であるホリソルベート80等)を水に溶解させて、水分調整と同時に添加することもできる。本発明製造方法で使用する界面活性剤(可溶化剤)としては、粉末状では、例えば、マクロゴール4000、マクロゴール6000又はマクロゴール20000等のマクロゴール粉末、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。また、液状では、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート80、マクロゴール200、マクロゴール400等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、溶出改善等に用いられる、ポリソルベート、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ラウリル硫酸ナトリウム等である。これらの界面活性剤(可溶化剤)は、一種単独で使用してもよいし、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明における界面活性剤(可溶化剤)の配合割合は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して0~6.0重量%であり、好ましくは0.5~3.0重量%である。
【0039】
本前処理方法で使用する賦形剤としては、例えば、糖類(乳糖、ブドウ糖、果糖、白糖など)、糖アルコール(D-マンニトール)、結晶セルロース、粉末セルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、デキストリン、βーシクロデキストリン、カルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、沈降性炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、乳酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、タルク、カオリン等が挙げられるが、好ましくは、結晶セルロースである。これらの賦形剤は、一種単独で使用してもよいし、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明における賦形剤の配合割合は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して0.0~85.0重量%であり、好ましくは2.0~60.0重量%である。
【0040】
本前処理方法で使用する崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース類(例えば、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース・カルメロースナトリウム等)、カルボキシメチルスターチ類(例えば、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)等)、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシメチルスターチナトリウム、デンプン類(部分アルファー化デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等)、アルギン酸、又はベントナイト等が挙げられる。好ましくは、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファー化デンプンであり、また、より好ましくは、クロスポビド又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースで、特に好ましくは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。これらの崩壊剤は、一種単独で使用してもよいし、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明における崩壊剤の配合割合は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して、0.0~30.0重量%であり、好ましくは1.5~20.0重量%である。
【0041】
本前処理方法で使用する徐放性基剤としては、例えば、水と接触してヒドロゲルを形成して薬物の放出を制御し得るものが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース(高粘度グレード)、メチルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルボキシビニルポリマーで、より好ましくは、ヒプロメロース又はカルボキシビニルポリマーである。これらの徐放性基剤は、一種単独で使用してもよいが、二種以上を組み合わせて、製剤が所望の徐放性を示すように調整して使用するのが好ましい。
本発明における徐放性基剤の配合量は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して、0.0~20.0重量%であり、好ましくは1.0~15.0重量%である。
【0042】
本前処理方法で使用する滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ポリエチレングリコール、ジメチルポリシロキサン、カルナウバロウ、ラウリル硫酸ナトリウム、ミツロウ、サラシミツロウ等が挙げられ、好ましくは、ステアリン酸マグネシウムである。これらの滑沢剤は、一種単独で使用してもよいし、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明における滑沢剤の配合割合は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して0.05~3.0重量%であり、好ましくは0.1~2.5重量%である。
【0043】
本前処理方法で使用する結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(商品名:POVACOAT)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、コポリビドン(商品名:Kollidon)等の溶液又は粉末状の結合剤が挙げられる。これらのうち、水溶性高分子結合剤でも分子量の小さいものは、原薬粒子の表面に付着して界面張力を下げる効果もがあり、難溶性原薬の溶解性を改善することができる。また、水溶性高分子結合剤の分子量の大きいものは、水分の付着によりゲルを形成して溶出を遅延させ、徐放性作用がある。
本発明における結合剤の配合割合は、特に制限されるものではないが、製剤100重量%に対して0.1~5.0重量%であり、好ましくは0.5~3.0重量%である。また、本発明における結合剤として、より成形性が向上することから、コポリドンを使用することが好ましい。
【実施例
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に何ら限定されるものではない。
なお、粒度分布測定機はロータップ式ふるい振とう機(飯田製作所・局方)〔実施例1~10及び比較例1及び2〕又はマスターサイザー2000(マルバーン社、分散圧縮空気圧:2~4Bar)〔実施例11~14〕、解砕整粒機は石臼式摩砕機スーパーマスコロイダーMKCA6-5JR若しくは同MKZA10-15J(増幸産業社製)又はコーミルQC‐197S若しくは同QC‐U20(パウレック社製)、及び打錠機はロータリー打錠機VEL5型(菊水製作所製)又はHT-CVX-MS型打錠機(畑鐵工所)を使用した。本実施例において、「%(百分率)」は特記したもの以外は全て「重量%(重量百分率)」を表す。
また、添加剤(結晶セルロースや崩壊剤等)を配合すると、これらの添加剤粒子径が支配的になるため表示される粒子径は大きく表示されることがある。
【0045】
実施例1
500μm以上の粒子を31%、60μm以下の粒子を14.5%含有する粒子径が不揃いなプレガバリン粉末200.0gとカープレックス 1.5gを解砕整粒機(石臼式摩砕機・商品名:スーパーマスコロイダー:増幸産業)を用い解砕整粒・均一分散した粉末に、結晶セルロース(KG-1000)35.0g、界面活性剤(可溶化剤)粉末2.5g、さらにD-マンニトール(商品名:マンニットP 三菱フードテック社)25.0gを加え、解砕整粒・均一分散し、直接打錠用粉末264.0gを得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:119Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は89%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
プレガバリン (200.0g) 74.75%
(プレガバリン100%に対して、500μm以上の粒子31%、60μm以下の粒子14.5%)
カープレックス (1.5g) 0.56%
解砕整粒1 (スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子12.5%、60μm以下の微粒子1.5%)
結晶セルロース(KG-1000)(135.0g) 13.25%
マクロゴール4000 (2.5g) 0.94%
マンニットP (25.0g) 9.47%
解砕整粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子16.1%で、60μm以下の微粒子9.5%)
【0046】
実施例2
500μm以上の粒子を31%、60μm以下の粒子を14.5%含有する粒子径が不揃いなプレガバリン粉末300.0gとカープレックス1.6gを解砕整粒機(スーパーマスコロイダー)を用い解砕整粒・均一分散し、崩壊剤(L-HPC)5.0g、乳糖水和物22.0g及びマクロゴール粉末5.5gを加え、解砕整粒・均一分散し、334.1gの粉末を得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:117Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は89%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
プレガバリン (300.0g) 89.8%
(プレガバリン100%に対して、500μm以上の粒子31%、60μm以下の粒子14.5%)
カープレックス (1.6g) 0.5%
解砕整粒1 (スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子9.8%、60μm以下の微粒子3.5%)
乳糖水和物 (22.0g) 6.5%
崩壊剤(L-HPC) (5.0g) 1.5%
マクロゴール6000 (5.5g) 1.6%
解砕整粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子7.2%、60μm以下の微粒子12.4%)
【0047】
実施例3
500μm以上の粒子を32.1%、60μm以下の粒子を18.5%含有する粒子径が不揃いなセレコキシブ粉末200.0gにカープレックス1.5g及び崩壊剤(L-HPC)15.0gを加え、解砕整粒機(スーパーマスコロイダー)を用い解砕整粒・均一分散した粉末に、乳糖水和物48.0g、マクロゴール4000粉末5.5g、HPC-SSL9.0g及び滑沢剤2.0gを加え解砕整粒・均一分散し、直接打錠用粉末281.0gを得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:121Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は91%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
セレコキシブ (200.0g) 71.2%
(セレコキシブ100%に対して、500μm以上の粒子32.1%、60μm以下の粒子18.5%)
崩壊剤(L-HPC) (15.0g) 5.3%
カープレックス (1.5g) 0.5%
解砕整粒1 (スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子4.9%、60μm以下の微粒子13.9%)
乳糖水和物 (48.0g) 17.0%
マクロゴール4000粉末 (5.5g) 1.9%
HPC-SSL (9.0g) 3.2%
滑沢剤 (2.0g) 0.7%
解砕整粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.5%、60μm以下の微粒子15.5%)
【0048】
実施例4
500μm以上の粒子を14%、60μm以下の粒子を32.9%を含有するアセトアミノフェン60.0gにカープレックス0.3gを加え、解砕整粒機(スーパーマスコロイダー)を用い、解砕整粒・均一分散させ、さらに、結晶セルロース(セオラスKG-1000)400.0g及び崩壊剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:L-HPC)130.0gを加え、錠剤100%に対して1.8%の水を添加して打錠に適した水分値に水分調整した後、コーミルで解砕整粒・均一分散し、さらに、PVACOAT13.0g及びパーテックM120.0gを加え、解砕整粒機(コーミル:(株)パウレック)を用い解砕整粒・均一分散し、打錠機に供給する粉末723.30gを得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:64.5Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は88%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (60.0g) 8.30%
(アセトアミノフェン100%に対して、500μm以上の粒子14%、60μm以下の粒子32.9%)
カープレックス (0.3g) 0.04%
解砕整粒1 (スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子4.9%、60μm以下の微粒子9.5%)
結晶セルロース(KG-1000)(400.0g) 55.30%
L-HPC(崩壊剤) (130.0g) 17.98%
水分調整
POVACOAT (13.0g) 1.80%
パーテックM (120.0g) 16.59%
解砕製粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子4.5%、60μm以下の微粒子17.5%)
【0049】
実施例5
500μm以上の粒子を14%、60μm以下の粒子を32.9%含有するアセトアミノフェン粉末96.0gとアエロジル0.4gを解砕整粒機(スーパーマスコロイダー)で解砕整粒・均一分散した粉末に、結晶セルロース(セオラスKG-1000;旭化成ケミカルズ)300.0g及びカルボキシビニルポリマー160.0gを加え、解砕整粒・均一分散し、湿式連続造粒システムに供給する粉末556.4gを得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:52Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は92%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (96.0g) 17.27%
(アセトアミノフェン100%に対して、500μm以上の粒子14%、60μm以下の粒子32.9%)
アエロジル (0.4g) 0.07%
解砕整粒1(スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.8%、60μm以下の微粒子9.3%)
結晶セルロース(KG-1000)(300.0g) 53.92%
カルボキシビニルポリマー (160.0g) 28.76%
解砕製粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.9%、60μm以下の微粒子13.5%)
【0050】
実施例6
500μm以上の粒子を14%、60μm以下の粒子を32.9%含有するアセトアミノフェン粉末700.0gとカープレックス3.2gに水を加えて水分調整し、結晶セルロース(KG-1000)18.0g及び崩壊剤(NBD-21)20.0gを加え、解砕整粒機(スーパーマスコロイダー)を用い解砕整粒・均一分散した粉末に、滑沢剤を配合し解砕整粒・均一分散し、直接打錠用粉末743.2gを得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:49Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は89.5%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (700.0g) 94.19%
(アセトアミノフェン100%に対して、500μm以上の粒子14%、60μm以下の粒子32.9%)
カープレックス (3.2g) 0.43%
水分調整
結晶セルロース(KG-1000) (18.0g) 2.42%
崩壊剤(NBD-21) (20.0g) 2.69%
解砕整粒1(スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.8%、60μm以下の微粒子9.3%)
滑沢剤 (2.0g) 0.27%
解砕整粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.8%、60μm以下の微粒子14.3%)
【0051】
実施例7
500μm以上の粒子を14%、60μm以下の粒子を32.9%含有するアセトアミノフェン粉末300.0gとカープレックス 1.5gを解砕整粒機(スーパーマスコロイダー)で解砕整粒・均一分散した粉末を、打錠に適した水分値に調整し、カルボキシビニルポリマー55.0gを加え解砕整粒・均一分散し、さらにヒドロキシプロピルセルロース(HPC)7.0g及びトレハロース3.0gを加え解砕整粒・均一分散し、さらに滑沢剤(ステリン酸マグネシウム)8.5gを配合して、直接打錠用粉末375.0gを得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:49Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は91.2%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (300.0g) 80.0%
(アセトアミノフェン100%に対して、500μm以上の粒子14%、60μm以下の粒子32.9%)
カープレックス (1.5g) 0.4%
解砕整粒1(スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.8%、60μm以下の微粒子9.3%)
水分調整
カルボキシビニルポリマー (55.0g) 14.7%
HPC(SSL) (7.0g) 1.9%
トレハロース (3.0g) 0.8%
解砕整粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子6.1%、60μm以下の微粒子16.3%)
滑沢剤 (8.5g) 2.3%
【0052】
実施例8
500μm以上の粒子を14%、60μm以下の粒子を32.9%含有するアセトアミノフェン粉末200.0gにアエロジル3.0gを加え、解砕整粒機(スーパーマスコロイダー)を用い解砕整粒・均一分散した粉末に、結晶セルロース(セオラスKG-1000)350.0gとトレハロース130.0gを加え、解砕整粒・均一分散し、直接打錠用粉末683.0gを得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:51Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は91%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (200.0g) 29.29%
(アセトアミノフェン100%に対して、500μm以上の粒子14%、60μm以下の粒子32.9%)
アエロジル (3.0g) 0.44%
解砕整粒1(スーパーマスコロイダー)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子6.8%、60μm以下の微粒子9.9%)
結晶セルロース(KG-1000)(350.0g) 51.24%
トレハロース (130.0g) 19.03%
解砕製粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.8%、60μm以下の微粒子19.3%)
【0053】
実施例9
500μm以上の粒子11%、60μm以下の粒子27.2%含有するイブプロフェン粉末300.0gにカープレックス3.0gを加え解砕整粒機(コーミル)を用い、解砕整粒・均一分散し、マクロゴール4000粉末11.0g及び結晶セルロース(KG-1000)350.0g、さらに、HPC-SSL26.0gを加え、解砕整粒機(コーミル)を用い解砕整粒・均一分散して690.0gの粉末を得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:51Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は87.5%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
イブプロフェン (300.0g) 43.48%
(イブプロフェン100%に対して、500μm以上の粒子11%、60μm以下の粒子27.2%)
カープレックス (3.0g) 0.43%
解砕整粒1(コーミル)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.1%以下、60μm以下の微粒子13.3%)
マクロゴール」4000 (11.0g) 1.59%
結晶セルロース(KG-1000)(350.0g) 50.72%
HPC-SSL (26.0g) 3.77%
解砕製粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子5.8%、60μm以下の微粒子15.9%)
【0054】
実施例10
500μm以上の粒子を11%、60μm以下の粒子を27.2%含有するイブプロフェン粉末300.0gに結晶セルロース(セオラスKG-1000)6.20g及び崩壊剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:L-HPC)16.40gを加え混合し、打錠に適した水分値に調整し、さらにカープレックス2.25gを加え混合後、解砕整粒機(コーミル)を用い解砕整粒・均一分散し、直接打錠用粉末を得た。この粉末に滑沢剤(ステリン酸マグネシウム)1.0gを配合し、解砕整粒・均一分散した後、菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:54Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は86%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
イブプロフェン (300.0g) 92.1%
(イブプロフェン100%に対して、500μm以上の粒子11%、60μm以下の粒子27.2%)
結晶セルロース (6.20g) 1.9%
L-HPC (16.40g) 5.0%
水分調整
カープレックス (2.25g) 0.7%
解砕整粒1(コーミル)
(解砕整粒1後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子4.8%、60μm以下の微粒子7.5%)
滑沢剤 (1.00g) 0.3%
解砕整粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100%に対して、180μm以上の粒子7.8%、60μm以下の微粒子9.7%;滑沢剤の分散、水分調整等のための時間の経過により粒子径はやや大きくなる。)
【0055】
実施例11
アセトアミノフェン25,000gに、粉末全量に対して約2重量%の水(543g)を加えて混合した。これに、結晶セルロース(セオラスKG-1000)867g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC NBD‐021)675g及びコポリビドン(Kollidon VA64 Fine)275gを加えて混合した。これに、含水二酸化ケイ素(カープレックス)242gを加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径0.8mm)で解砕整粒・均一分散した。これに、ステアリン酸マグネシウム83gを加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。得られた混合粉末をHT-CVX-MS型打錠機(打錠圧15N)で直接打錠し、300mg錠(硬度46N、摩損度0.66%、15分時溶出率81%)を得た。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (25,000g) 92.1%
(アセトアミノフェン100体積%に対して、500μm以上の粒子4.53体積%、50μm以下の粒子21.20体積%)
水分調整
結晶セルロース (867g) 3.2%
L-HPC (675g) 2.5%
コポリビドン (275g) 1.0%
含水二酸化ケイ素 (242g) 0.9%
解砕整粒1(コーミル)
ステアリン酸マグネシウム (83g) 0.3%
解砕整粒2(コーミル)
(解砕整粒2後の粉末100体積%に対して、200μm以上の粒子31.50体積%、50μm以下の粒子30.39体積%)
【0056】
実施例12
アセトアミノフェン25,000gに含水二酸化ケイ素(カープレックス)250gを加えて混合した後、解砕整粒機(スーパーマスコロイダー:クリアランス1500μm)で解砕整粒・均一分散し、粉末全量に対して約2重量%の水(537g)を加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。これに、結晶セルロース(セオラスKG-1000)858g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC NBD‐021)668g及びコポリビドン(Kollidon VA64 Fine)272gを加えて混合し、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。これに、ステアリン酸マグネシウム83gを加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。得られた混合粉末をHT-CVX-MS型打錠機(打錠圧15N)で直接打錠し、300mg錠(硬度71N、摩損度0.31%、15分時溶出率93%)を得た。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (25,000g) 92.1%
(アセトアミノフェン100体積%に対して、500μm以上の粒子4.53体積%、50μm以下の粒子21.20体積%)
含水二酸化ケイ素 (250g) 0.9%
解砕整粒1(スーパーマスコロイダー)
水分調整
解砕整粒2(コーミル)
結晶セルロース (858g) 3.2%
L-HPC (668g) 2.5%
コポリビドン (272g) 1.0%
解砕整粒3(コーミル)
ステアリン酸マグネシウム (83g) 0.3%
解砕整粒4(コーミル)
(解砕整粒4後の粉末100体積%に対して、200μm以上の粒子15.99体積%、50μm以下の粒子45.05体積%)
【0057】
実施例13
アセトアミノフェン300.0gに含水二酸化ケイ素(カープレックス)2.9gを加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:0.8mm)で解砕整粒・均一分散し、粉末全量に対して約2重量%の水(6.5g)を加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。これに、結晶セルロース(セオラスKG-1000)10.4g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC NBD‐021)8.1g及びコポリビドン(Kollidon VA64 Fine)3.3gを加えて混合し、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。これに、ステアリン酸マグネシウム1.0gを加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。得られた混合粉末を打錠機(打錠圧10N)で直接打錠し、300mg錠(15分時溶出率77%)を得た。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (300.0g) 92.1%
(アセトアミノフェン100体積%に対して、500μm以上の粒子4.53体積%、50μm以下の粒子21.20体積%)
含水二酸化ケイ素 (2.9g) 0.9%
解砕整粒1(コーミル)
水分調整
解砕整粒2(コーミル)
結晶セルロース (10.4g) 3.2%
L-HPC (8.1g) 2.5%
コポリビドン (3.3g) 1.0%
解砕整粒3(コーミル)
ステアリン酸マグネシウム (1.0g) 0.3%
解砕整粒4(コーミル)
(解砕整粒4後の粉末100体積%に対して、200μm以上の粒子36.53体積%、50μm以下の粒子23.10体積%)
【0058】
実施例14
アセトアミノフェン300.0gに含水二酸化ケイ素(カープレックス)2.9gを加えて混合した後、解砕整粒機(スーパーマスコロイダー:クリアランス1500μm)で解砕整粒・均一分散し、粉末全量に対して約2重量%の水(6.5g)を加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。これに、結晶セルロース(セオラスKG-1000)10.4g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC NBD‐021)8.1g及びコポリビドン(Kollidon VA64 Fine)3.3gを加えて混合し、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。これに、ステアリン酸マグネシウム1.0gを加えて混合した後、解砕整粒機(コーミル:スクリーン径:1.6mm)で解砕整粒・均一分散した。得られた混合粉末を打錠機(打錠圧10N)で直接打錠し、300mg錠(15分時溶出率92%)を得た。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (300.0g) 92.1%
(アセトアミノフェン100体積%に対して、500μm以上の粒子4.53体積%、50μm以下の粒子21.20体積%)
含水二酸化ケイ素 (2.9g) 0.9%
解砕整粒1(スーパーマスコロイダー)
水分調整
解砕整粒2(コーミル)
結晶セルロース (10.4g) 3.2%
L-HPC (8.1g) 2.5%
コポリビドン (3.3g) 1.0%
解砕整粒3(コーミル)
ステアリン酸マグネシウム (1.0g) 0.3%
解砕整粒4(コーミル)
(解砕整粒4後の粉末100体積%に対して、200μm以上の粒子18.03体積%、50μm以下の粒子44.70体積%)
【0059】
なお、上記実施例11~14で用いたアセトアミノフェン原薬ロットと異なる2ロットについて、同様に、回折法により粒度分布を測定したところ、アセトアミノフェン100体積%に対して、500μm以上の粒子3.57体積%、50μm以下の粒子25.11体積%、及び、500μm以上の粒子5.82体積%、50μm以下の粒子21.08体積%の結果が得られた。
【0060】
比較例1(実施例1との比較
不揃いで、500μm以上の粒子を31%以上含有するプレガバリン粉末200.0gにカープレックス1.5g、結晶セルロース(KG-1000)35.0g、界面活性剤(可溶化剤)粉末2.5g、さらにD-マンニトール(商品名:マンニットP 三菱フードテック社)22.0g及びステアリン酸マグネシウムを加え容器回転型混合器で混合し、264.0gの粉末を得た。この粉末を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:35Nの錠剤を得た。さらに、この錠剤の15分時溶出率は54%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
プレガバリン (200.0g) 75・75%
カープレックス (1.5g) 0.57%
結晶セルロース(KG-1000)(135.0g) 13.26%
マクロゴール4000 (2.5g) 0.95%
マンニットP (22.0g) 8.33%
ステアリン酸マグネシウム (3.0g) 1.14%
容器回転型混合器
【0061】
比較例2(実施例6との比較)
500μm以上の粒子を14%含有するアセトアミノフェン粉末700.0gとカープレックス3.2gに水を加えて水分調整し、結晶セルロース(KG-1000)18.0g、崩壊剤(NBD-21)20.0g及び滑沢剤2.0gを配合し容器回転型混合器で混合し、直接打錠用プレミックス原薬743.2.0gを得た。このプレミックス原薬を菊水製作所製打錠機(VEL5型・打錠圧14kN)で打錠し、錠剤硬度:27Nの錠剤を得た。この錠剤の15分時溶出率は65%であった。
[成分(配合量)] [配合率(重量%)]
アセトアミノフェン (700.0g) 94.19%
カープレックス (3.2g) 0.43%
水分調整
結晶セルロース(KG-1000) (18.0g) 2.42%
崩壊剤(NBD-21) (20.0g) 2.69%
滑沢剤 (2.0g) 0.27%
容器回転型混合器
単純な混合工程で解砕整粒・分散工程はなし。従って粒子径はやや大きくなるが未測定。
【産業上の利用可能性】
【0062】
最近の原薬は、難溶性や難流動性のものが多く、製剤化での操作性、製剤の含量均一性や錠剤硬度等に課題があったが、本発明前処理方法によれば、流動性、溶解性、均質性に優れた原薬及び添加剤を含有する混合粉末が得られるため、直接打錠法や連続式造粒システム等の簡略化・効率化された製造工程により製剤化が可能となり、製造時間や製造コストが低減され、非常に有用で実用的である。
図1
図2
図3
図4